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階層的モデリングによる広域水循環予測

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階層的モデリングによる広域水循環予測
戦略的創造研究推進事業 CREST
研究領域「水の循環系モデリングと利用システム」
研究課題「階層的モデリングによる広域水循環予測」
研究終了報告書
研究期間 平成13年12月~平成19年3月
研究代表者:木本 昌秀
(東京大学気候システム研究センター 教授)
1 研究実施の概要
1-1.全体の構想
水循環予測に対する社会的な要請と期待は大きく、大気-海洋-陸面過程を総合して表
現する気候の数値モデルを用いたアプローチはこれに応えるもっとも有望な手段の一つで
ある。本研究は、数値モデルを用いて、時間的には季節~年々、空間的にはおよそ 1000km
以上のスケールでの広域水循環変動の予測可能性を明らかにすることを目指す。とくに日
本にかかわりの深いユーラシア~東アジア域を中心に考察する。モデル開発、水循環に関
る種々の気象現象の解析はこれまでも精力的に行われてきたが、長期予測可能性について
の検討は不十分である。本研究では、数値モデルによる広域水循環変動の再現性を高め、
その予測可能性について明らかにすることを目指す。現存のモデルによって多数の予測例
を稼ぎ点数を評価することを目的とするものではなく、いつ、どのような現象が、なぜ、
またどのように予測可能なのか、についての検討に重点を置く。
1-2.研究手法
本研究課題の特徴は、多様なモデルを開発・使用し、さまざまな角度から広域水循環の
予測可能性の評価とそのメカニズム解析を行うことである。研究はおおまかに、
(1)モデル開発
(2)予測可能性評価
に分けられる。
文字通り大気に国境はなく、日本のように限られた地域といえども、数週間以上の長期
予測となると世界中の他の地域からの影響を受けるため、全球の大気、水循環を表現する
大気大循環モデル(Atmospheric General Circulation Model; AGCM)が広域水循環変動の予測
のもっとも重要な道具である。しかし、現在広く用いられている AGCM の水平格子サイズ
は 300km 程度と粗く、梅雨前線や降雨をもたらす気象擾乱の表現が十分でない。また、格
子点以下の現象を格子平均量で表現する「パラメタリゼーション」手法を用いざるを得な
いため、広域水循環の再現性にも課題が多い。ここでは、モンスーンや梅雨前線に伴う降
雨の年々、季節スケールでの再現性向上を目的としてモデルの高分解能化、パラメタリゼ
ーションの精度向上を図る。また、長期予測にはエルニーニョなどの大規模大気海洋相互
作用の表現も不可欠である。大気海洋結合モデルの高精度化も行う。さらに、大循環モデ
ルで扱えない局地気候を扱ったり、パラメタリゼーション改良に資するために雲解像モデ
ルも用いる。
気候系は複雑な非線形システムであり、そこに生ずる変動のメカニズムの理解には、現
実と同様の複雑さをもつ大循環モデル出力の解析のみでは不十分な場合が多い。このため、
熱源に対する応答や大規模場のもとでの高低気圧集団(ストームトラック)の振る舞いな
どの定量的解析を行うことができる線形モデルを構築し、メカニズム解析に資する。
大気大循環モデルを中心に上記のような多様なモデルを駆使して、東アジアを中心とし
た広域水循環の長期変動の主要モードの同定、メカニズムの解析を行い、それをもとに、
特徴ある変動、年に焦点を当てた事後予測実験等を行い、予測可能性を評価する。
1-3.研究成果の概要
1-3-1 モデル開発
大循環モデルの高解像度高精度化
長期積分を行う大気大循環モデルの標準的な解像度である水平格子約 300km、鉛直 20 層
のモデルをもとに、水平約 110km、鉛直 56 層のモデルに拡張し、プログラムの並列・高速
化、新規パラメタリゼーションの導入や既存のものの再調整などの作業を精力的にすすめ
た。この結果、高解像度版を広域水循環予測等の研究に耐えるレベルにまで調整すること
ができた。同時に、大気海洋結合モデルも高解像度化、高精度化を行った。大気モデル、
結合モデルとも延べ数百年の積分を行い、これまで十分に表現されなかった梅雨前線やモ
ンスーン域の季節内変動などが改善された。高分解能大気海洋結合モデルは、大気の水平
1
解像度 110km
(球面調和関数展開の三角形切断で T106)、鉛直層数 56、海洋は、水平 1/4°×1/6°、
鉛直 48 層を持ち、長期積分を行う気候モデルとしては現在世界で最高解像度を誇るもので
ある。
この結果、梅雨前線帯の強雨や東アジアの広域水循環変動の再現性を従来格段に向上さ
せることができた。
湿潤線形モデルの構築
すべてのプロセスを含む大循環モデルは広域水循環予測のもっとも重要なツールである
が、その複雑さゆえ、現象や予測可能性の要因分析が困難な場合も多い。熱帯の大規模対
流の偏差への応答としてどのような循環の偏差が期待できるかといった分析には、大循環
モデルの力学部を線形化したモデルが有用である。本課題でもこのようなモデルを構築し、
また、世界に先駆けて湿潤過程を含むように拡張することができた。これにより、海面水
温に対する大気循環の応答を求める際に、海面水温のみならず大気循環の関数でもある非
断熱熱源をアプリオリに与えざるを得ない矛盾から解放される。エルニーニョ等の海面水
温偏差に対する大気応答(~異常気象)の解釈に湿潤線形モデルが有効であることを示す
ことができ、また、予測可能性評価の強力なツールを得ることができた。
局地降積雪のシミュレーション
高解像大循環モデルといえども数 10km スケールの降水現象の再現はまだできない。北陸
地方を対象とした領域モデルによるシミュレーション、また、圧密過程を含む多層積雪モ
デルを開発して、豪雪地域における局地降積雪の予測可能性を探る試みを進めている。1 次
元モデルとしての積雪モデルの振る舞いは良好である。領域モデル結果は陸面条件の設定
に対する感度等を追求してゆく必要がある。
雲解像モデルと大気大循環モデルの結合
大気大循環モデルのパラメタリゼーションの代わりに2次元(水平一方向-鉛直)の雲
解像モデルを用いるスーパーパラメタリゼーション手法の有効性とパラメタリゼーション
改良へのインパクトを評価するため、プロトタイプモデルを構築した。大循環モデルと雲
モデルの結合に伴う鉛直内挿誤差を原因とする計算不安定が生じ、これは擬似拡散の導入
や、より理想的には双方向互換性を保障する内挿法の導入によって回避できることはわか
ったが、雲モデルの長期積分時の安定性やさらに要求される計算資源の大きさ等、解決す
べき種々の技術的問題があることが明らかになった。そこで課題後期では、大循環モデル
に埋め込むモデルを必ずしも雲の解像できる解像度に限定せず、既存領域モデルと大循環
モデルの双方向結合系を構築することとし、現在もテストを続けている。本課題期間中に
は特段の科学的成果をあげるには至らなかったが、パラメタリゼーション向上への重要な
基礎研究と位置付け、今後も堅実に進捗させる必要がある。
また、上記のような雲解像モデルのこれからの用途拡大への準備として、大循環モデル
スケールの水熱収支が雲解像モデルの解像度にどのように依存するかを調べる基礎調査を
行った。その結果、数 km 格子といえども雲内とその外側の自由大気との間の気塊混合を十
分には表現できず、そのために大規模場の水熱収支に系統的な誤差が生じることを明らか
にした。
1-3-2 予測可能性
広域水循環は大気の大循環と不可分である。大気大循環の変動とそれに伴う降水等水循
環の長期予測にはまず、予測可能な成分とその形成維持メカニズムを同定し、数値モデル
等を用いて予測可能性を探ってゆく必要がある。日本を含む東アジア域の天候変動は、熱
帯の水循環の変動と、中高緯度ジェット気流の変動の両方によって支配されている。長期
観測データにより夏季アジアモンスーン水蒸気フラックスの年々変動の解析を行い、あら
たに重要なモードを同定することができ、その形成維持メカニズムと予測可能性の探求を
2
行ってきた。一方、オホーツク海高気圧など北の気圧システムの長期変動にユーラシア大
陸の陸面条件等が大きく影響している可能性が見出され、その実態とモデルによる予測可
能性を追求してきた。
夏季アジアモンスーン水循環の主要変動モード
夏の東アジアモンスーンの変動は、西太平洋フィリピン東沖の対流活動と密接な関係に
ある。長期間の水蒸気フラックス変動の解析から、フィリピン沖とインドネシアとの間で
シーソー様の対流活動の変動が主要な変動モードとして同定され、Pacific-Indo Dipole モー
ドと呼んだ。このモードの形成維持にモンスーンの季節平均場が重要な役割を果たしてい
ることが、線形モデル等による解析によりわかった。このモードは本質的に特定の場所の
海面水温変動のような外部強制がなくても存在する。しかし、年々異なったパターンで変
動する海水温は毎回異なった形でこのモードの正負を励起する。したがって、このモード
の予測に、特定場所の海面水温インデックスは無力である。大気大循環モデルは複雑に変
動する海面水温に対するこのモードの応答をよく再現することがわかった。
春季ユーラシア大陸の東アジア初夏天候への影響
新しい仮説として、初夏の東アジアの天候変動に対する晩冬から春にかけてのユーラシ
ア大陸上の循環変動の影響に着目している。春季のユーラシア大陸北部(シベリア)の地
表気温は非常に大きな空間スケールを持ち、引き続く初夏のオホーツク海高気圧の活動度
に影響を与えていることが明らかになってきた。春のシベリアの気温が高いとオホーツク
海高気圧が優勢となる。シベリア気温の変動は晩冬の北大西洋振動(NAO)モードの動向
に左右される。シベリアの気温偏差の形成過程、初夏へ続くメモリメカニズムの解析を進
めてきた。この現象は、近年の天候トレンドや温暖化時の気候変化にも大きな意義を持つ。
また、2003 年夏の冷夏に関連して、欧州からシベリア上空を経て東アジアに至る導波管
の活動がオホーツク海高気圧の活発化をもたらしたことを数値モデルでも検証し、また、
それが欧州熱波とも関連した北大西洋の低海水温に起因することを数値実験によって示し
た。
このほか、東アジアの冬季天候~北極振動(AO)の励起に秋の東シベリアの積雪偏差が
鍵となっていることが事例予測実験によって確認された。また、エルニーニョと夏季東ア
ジアの冷夏傾向のメカニズムについて湿潤線形モデル等による解析を進め、インド洋海水
温の影響が明らかになった。2005/2006 年の日本の寒冬に関しては、低緯度の降水活動が深
く関わっていたことが線形モデル、大循環モデルを用いた解析により明らかとなった。ま
た、予測事例の解析により、亜熱帯ジェットを伝搬する波動や熱帯の帯状平均場に予測可
能性が存することが見出された。
海洋データ解析、データ同化と大気海洋結合モデルによる予測実験
広域水循環の長期予測は、究極的には大気のみならず海洋においてもデータ同化初期値化を
行い、大気海洋結合モデルを用いて行う必要がある。このためには、大規模な予測システムの確
立が必要であるが、本研究ではそのための礎となる、海洋表層の歴史的データの解析、海洋デー
タ同化法の開発を行い、結合モデルによる予測予備実験を開始した。大気データの同化は行って
いないが、海洋表層データを用いて結合モデルを初期値化した予測結果は、モデルが実際の観
測値から系統的にずれてゆく気候ドリフトを、海面水温のみを同化した従来手法に比べて効果的
に避けることができることが示された。エルニーニョ現象の予測良好であり、今後広域水循環の実
用的な予測可能性を探求してゆく道具立ての基礎を築くことができた。
3
2 研究構想及び実施体制
(1) 研究構想
本研究は、既存のモデルによって多数の予測例を稼ぎ点数を評価することを目的とするも
のではなく、いつ、どのような現象が、なぜ、またどのように予測可能なのか、について
の検討に重点を置いてきた。このため、従来モデルの高解像度化、高精度化に労力を費や
し、線形モデルのような要因分析ツールや海洋データ同化手法の開発、結合モデルを用い
た予測プロトタイプシステムの構築を行ってきた。また、広域水循環予測の基幹となる大
気大循環モデルの最大の検討課題である、サブグリッドスケールの雲のパラメタリゼーシ
ョン(格子平均量で格子内の小現象の集団効果を表現すること)改良の将来の有望手法で
ある、雲解像モデルと大循環モデルの結合についての基礎研究も視野に入れてきた。
研究はこのようにモデル開発と予測可能性探求の二面に重点を置き、基幹グループの統
括のもと、参加機関も大まかにこの2グループに分けて進められたが、主要な参加研究者
は多かれ少なかれこれら両面にまたがる活躍をしてくれた。
広域水循環予測研究の基幹をなす大循環モデルの改良開発は、東京大学気候システム研
究センターを中心として研究参加機関の献身的な協力のもとで進められ、従来の 300km 程
度の計算格子の大気モデルにくらべて格段に性能のよい 100km 格子の高解像度モデルを研
究の道具として整備することができた。モデルのさらなる改良に課題はあるが、当初目標
は達成でき、確実に1ステップ進むことができたし、モデルのさらなる進化を支える開発
グループが構成できたことは大きな成果であると考えている。世界に先駆けて湿潤線形モ
デルを要因分析の有益なツールとして確立することもできた。
雲解像モデルと大循環モデルの結合については、当初からある程度予測できたとおり、
順調とは行かなかった。雲解像モデルを大循環モデルの1格子毎に埋め込むスーパーパラ
メタリゼーションは本課題内で実現することはできなかった。しかし、雲解像モデルを用
いた長期積分時の解像度についての留意点について重要な示唆を持つ基礎研究成果は挙げ
ることができた。この課題については今後も研究を進めてゆく必要がある。
予測可能性については、東アジアの水循環、天候変動の長期予測可能性について、熱帯
の影響、中高緯度の影響双方についていくつかの有望なメカニズムを指摘することができ、
また、高解像度モデルがそれらの現象の事後再現性をある程度持つことも示された。しか
し、これらのメカニズムが実用的な広域水循環予測に貢献しうるものであるのか、今後も
さらに検討が必要である。
本課題は、予測システムの構築やそれによる多年の予測実験を目指すものではないが、
海洋データ同化、結合モデルの着実な開発を進め、予測プロトタイプシステムに着手する
ことができたのは嬉しい誤算であった。
4
(2)実施体制
モデル開発グループ
サブグループ(1)
(独)国立環境研究所 大気物理研究室
サブグループ(2)
長岡技術科学大学
熊倉研究室
サブグループ(3)
(独)海洋研究開発機構
地球環境フロンティア研究センター
サブグループ(4)
(財)高度情報科学技術研究機構
計算科学技術第 2 部
サブグループ(5)
気象庁 予報部
高解像度モデルの開発および実験の実施
モデルの計算効率向上、プログラム高速化、プログラム管理
高解像度化に向けた陸面過程調整
高分解能大気モデル力学過程の検討、領域・雲解像モデルの
開発
研究代表者
木本 昌秀
基幹グループ
東京大学気候システム研究センター
総括
高解像度化に向けた大気、海洋、結合モデルの総合調整
広域水循環の長期予測可能性探求
予測グループ
気象庁 気候・海洋気象部
予測事例検討、海洋・陸面データ同化開発
5
3
研究実施内容及び成果
3.1 モデル開発
基幹グループ
モデル開発グループ
東京大学気候システム研究センター
(独)国立環境研究所 大気物理研究室
長岡技術科学大学
熊倉研究室
(独)海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター
(財)高度情報科学技術研究機構計算科学技術第 2 部
気象庁 予報部
(1)研究実施内容及び成果
詳細は次々ページ以降にテーマ別に報告する(本項末尾にリストを記載)。ここでは概要
のみ述べる。
大循環モデルの高解像度高精度化
広域水循環予測の基幹となる大気大循環モデル、大気海洋結合モデルの高解像度化、高
精度化と行った。従来の標準的な解像度である水平格子約 300km、鉛直 20 層のモデルをも
とに、水平約 110km、鉛直 56 層のモデルに拡張し、プログラムの並列・高速化、新規パラ
メタリゼーションの導入や既存のものの再調整などの作業を精力的にすすめ、高解像度版
を広域水循環予測等の研究に耐えるレベルにまで調整することができた。広域水循環、大
気海洋変動現象について従来モデルよりよい結果を得ることができた。とくに、大気モデ
ル、結合モデルとも、これまで十分に表現されなかった梅雨前線帯の強雨やモンスーン域
の季節内変動再現性が改善された。多岐にわたる現象について解像度のインパクトを調べ
た。(詳細報告 1),2),3),4),5))
湿潤線形モデルの構築
熱帯の大規模対流の偏差への応答としてどのような循環の偏差が期待できるかといった
分析には、大循環モデルの力学部を線形化したモデルが有用である。本課題でもこのよう
なモデルを構築し、また、世界に先駆けて湿潤過程を含むように拡張することができた。
これにより、海面水温に対する大気循環の応答を求める際に、海面水温のみならず大気循
環の関数でもある非断熱熱源をアプリオリに与えざるを得ない矛盾から解放され、エルニ
ーニョ等の海面水温偏差に対する大気応答(~異常気象)の解釈に湿潤線形モデルが有効
であることを示すことができた。予測可能性研究の強力なツールを得ることができた。(詳
細報告 6))
局地降積雪のシミュレーション
圧密過程を含む多層積雪モデルを開発し、観測と比較して良好な結果を得た。(詳細報告
7))
雲解像モデルと大気大循環モデルの結合
大気大循環モデルのパラメタリゼーションの代わりに雲解像モデルを用いるスーパーパ
ラメタリゼーションの手法のプロトタイプモデルを構築した。大循環モデルと雲モデルの
結合に伴う鉛直内挿誤差を原因とする計算不安定が生じ、これは擬似拡散の導入や、より
理想的には双方向互換性を保障する内挿法の導入によって回避できることはわかったが、
雲モデルの長期積分時の安定性やさらに要求される計算資源の大きさ等、解決すべき種々
の技術的問題があることが明らかになった。そこで課題後期では、大循環モデルに埋め込
むモデルを必ずしも雲の解像できる解像度に限定せず、既存領域モデルと大循環モデルの
6
双方向結合系を構築することとし、現在もテストを続けている。本課題期間中には特段の
科学的成果をあげるには至らなかったが、パラメタリゼーション向上への重要な基礎研究
と位置付け、今後も堅実に進捗させる必要がある。
また、上記のような雲解像モデルのこれからの用途拡大への準備として、大循環モデル
スケールの水熱収支が雲解像モデルの解像度にどのように依存するかを調べる基礎調査を
行った。その結果、数 km 格子といえども雲内とその外側の自由大気との間の気塊混合を十
分には表現できず、そのために大規模場の水熱収支に系統的な誤差が生じることを明らか
にした。(詳細報告 8))
詳細報告リスト
1) 大循環モデル高解像度化のインパクト(木本昌秀)
2) 大気海洋結合大循環モデルによるエルニーニョのシミュレーション:振幅に影響を与
える要因について(金丸由紀子・木本昌秀)
3) 高解像度大気海洋結合モデルで表現された赤道海洋不安定波(Xianyan Chen・木本昌
秀)
4) 高解像度モデルにおけるストームトラック、大気海洋結合効果(稲津將・木本昌秀)
5) 高解像度モデルで表現された成層圏突然昇温とその温暖化時の変化(稲津將・木本昌
秀)
6) 湿潤線型モデルの ENSO テレコネクションに対する応用(渡部雅浩)
7) 降雪、積雪、融雪モデルの構築(熊倉俊郎)
8) 水平解像度に依存した雲解像モデルの系統的誤差の原因に関する研究(三浦裕亮・関
口美保・木本昌秀)
(2)研究成果の今後期待される効果
高解像度大気海洋結合モデルを実現し、梅雨前線の降雨帯の表現が可能になり、また、そ
れを含む東アジアの天候の年々変動パターンが表現できたことはより本格的な広域水循環
変動の長期予測研究に大いに貢献するものであると信じている。高解像度化に伴って強雨
イベントの発言可能性を議論できるようになった。今後このようなモデルを用い、データ
同化を含めた本格的な予測システムに発展させてゆく必要がある。
モデルの解像度、精度向上により、水資源予測、水産資源予測等他分野との連携により
新しい研究成果を産む基盤が築かれた。
また、線形モデルが広域の天候変動の解析に有用であることを示すことができ、データ
やこのようなツールの相互共有を通じて、異常気象発生時の要因分析等に現業機関と研究
コミュニティの連携の道が開かれつつある。
7
大循環モデル高解像度化のインパクト
木本昌秀(東京大学気候システム研究センター)
東大気候システム研究センター(CCSR)、国立環境研究所(NIES)、海洋研究開発機構地
球 環 境 フ ロ ン テ ィ ア 研 究 セ ン タ ー ( FRCGC ) の 合 同 チ ー ム は 、 十 年 来 に わ た っ て
CCSR/NIES/FRCGC GCM の開発、改良を行ってきた。とくにここ数年来、長期積分を行う
大気大循環モデルの標準的な解像度である水平格子約 300km、鉛直 20 層のモデルをもとに、
水平約 110km、鉛直 56 層のモデルに拡張し、プログラムの並列・高速化、新規パラメタリ
ゼーションの導入や既存のものの再調整などの作業を精力的にすすめてきた。この結果、
高解像度版を広域水循環予測等の研究に耐えるレベルにまで調整することができた。同時
に、大気海洋結合モデルも高解像度化、高精度化を行い、これまで十分に表現されなかっ
た梅雨前線やモンスーン域の季節内変動などが改善された。高分解能大気海洋結合モデル
は、大気の水平解像度 110km(球面調和関数展開の三角形切断で T106)、鉛直層数 56、海
洋は、水平 1/4°×1/6°、鉛直 48 層を持ち、長期積分を行う気候モデルとしては現在世界で最
高解像度を誇るものである。
高解像度化と同時に広域水循環等の再現性を向上させるため、モデル物理の改良も精力
的に行った。主な改良項目は以下のようなものである。
・ 多数ノードによる計算に耐えるプログラムの並列効率化、高速化。
・ 各種サブモデルとの結合を行うためのカップラープログラムの整備、モザイク結合の導
入。
・ 大気における鉛直ハイブリッド座標オプションの導入。
・ 格子移流スキームの改良、標準オプション化
・ 海洋モデルの自由表面化、ハイブリッド鉛直座標導入。
・ 新規海洋混合層過程の導入と改良。結合モデルでの現実的なエルニーニョ再現等に有効
である。
・ エアロゾル第一種、第二種間接効果の標準化。エアロゾル輸送モデルの結合。
・ 積雲対流のトリガリング過程(成層不安定状態から実際に対流を生起させる過程)の導
入。これにより、熱帯域の季節内変動の表現力が大きく向上することを見出した。
・ 積雲摩擦、雲頂でのエントレインメント不安定過程の導入。
・ 大気境界層湿潤クロージャの高度化。
・ 雲過程の改良。とくに水雲と氷雲の分配、氷雲の落下過程の改善。このプロセスは、モ
デルの気候感度(地球温暖化時の昇温の程度など)に決定的な役割を果たしていること
がわかった。
・ 放射計算における雲のマキシマム-ランダムオーバラップの導入。
・ 雲などに関わる各種診断量の導入。
図1
高解像度大気海洋結合モデルでシミュレートされた海面水温と土壌水分量の年平均値。
8
この結果、梅雨前線帯の強雨や東アジアの広域水循環変動の再現性を従来より格段に向
上させることができた。しかし、多数の実験から明らかになった大循環モデル物理過程の
改良課題も残っている。主な項目を挙げると、
・ 雲微物理過程の改良、とくに雲水、雲氷の独立予報スキームの検討。
・ 境界層雲の再現性の向上。
・ 積雲対流のトリガリング過程の精度向上。境界層、自由大気と積雲の相互作用の精緻化。
・ 積雲や境界層における運動量鉛直輸送。
・ 海洋混合層過程、とくに安定成層時の拡散のコントロール。
さらなる高解像度化を目指し、また、大気海洋双方における解像度のインパクトを明ら
かにするために、大気、海洋の高解像度、中解像度版を互いに差し替えたモデルを構築し
た実験も行った。大気海洋のあらゆる組み合わせにおいて、人為的なフラックス調整なし
で、ドリフトのない良好な現在気候を再現することができた。本モデルの最大の課題の一
つは熱帯太平洋におけるエルニーニョ現象の振幅を過少評価している点であるが、実験し
た結合モデルの組み合わせのうち大気海洋双方の最高解像度版(大気約 60km、海洋 20~
30km)では、海面水温の誤差がもっとも少なく、エルニーニョの振幅にも改善の兆しが見
られた。現在その要因を分析中である。
SST bias
uAhO
hAhO
mAhO
hAmO mAmO
大気大循環モデルの高解像度化
によって、細かい地形性の降雨パタ
ーンは確実によくなる。梅雨前線の
特徴である水蒸気の大きな南北傾
度や、降雨をもたらす前線上の気象
擾乱の表現も解像度とともに向上
する。また、降雨をもたらす気象擾
乱の表現が向上するため、降雨強度
の頻度分布もよくなると期待され
る。図3は、夏季(6-8月)日本
付近の水平 250km 格子での日別降水
量の強度別頻度分布を中解像度モ
デルと高解像度版、そして衛星デー
タによる見積もりを比較したもの
図2 大気海洋結合モデルによ
って計算された海面水温年平均
気候値の観測値との差。各パネ
ルは大気および海洋の解像度が
異なる。各パネル上段の「RMSE」
は観測値との根平均二乗誤差を
表す。
(左上)大気水平約 60km 鉛直 56
層,海洋 1/4°×1/6°鉛直 48 層
(左中)大気水平約 110km 鉛直
56 層,海洋 1/4°×1/6°鉛直 48 層
(左下)大気水平約 110km 鉛直
56 層,海洋 1°×1.4°鉛直 44 層
(右上)大気水平約 300km 鉛直
20 層,海洋 1/4°×1/6°鉛直 48 層
(右下)大気水平約 300km 鉛直
20 層, 海洋 1°×1.4°鉛直 44 層
図3 日本付近の夏(6-8 月)における日降水量の強度別
頻度分布。
days/yr
図4 日降水量 50mm 以上の年間日数の気候値。
(左)衛星
による推定、
(中)高解像度(~110km)、
(右)中解像度(~
300km)大気海洋結合モデルによるシミュレーション。
9
である。中解像度モデルでは、弱い降雨の頻度を過大評価し、逆に強い降雨頻度を過小
評価する傾向があるが、高解像度モデルでは改善されている。図4は、大気海洋結合モ
デルによる日雨量 50mm 以上の日数の空間分布を衛星計測と比較している。高解像度モ
デルは日本を横切る前線帯の強雨頻度をよく再現している。ただし、このような降雨頻
度の再現性精度向上は、高解像度化のみによるのでなく、格子点以下の雲や境界層過程
の調整、例えば不安定成層に伴う積雲対流の生起条件の設定等に強く依存することがわ
かった。
大気大循環モデルによる広域水循環変動の再現性を確認するため、1979 年から 1998
年までの観測された海面水温を与えて高解像度、中解像度大気モデルを積分した。大気
のカオス性から来るサンプリングエラーを減ずるため、初期値を変えて各解像度 3 本ず
つのアンサンブル実験を行った。図5は、6-8 月平均の鉛直積算水蒸気フラックス平年
偏差の観測値とモデル計算値の空間パターン相関を示す。パターン相関はモデルのアン
サンブル平均偏差と観測の平年偏差の間で、アジアモンスーン域(東経 40°-150°, 南
緯 20°-北緯 40°)にわたって積分して求めた。熱帯での水循環偏差は海水温分布に
規定される部分が多いので、適当な初期値から始めた長期積分でも現実をある程度模倣
できると期待される。
図を見ると、高解像モデルの方がおおむねスコアがよい、すなわちシミュレートされ
た水蒸気循環の偏差が観測と似ていることがわかる。しかしながら、長江洪水など顕著
な大雨が東アジアを襲った 1998 年の 0.8 近い高相関を除くと 0.6 に達することはまれ
で、モデルの水循環偏差パターンの逐一をそのまま観測と比べて解釈することにはまだ
無理がある。他の解析結果も総合すると、T42 から T106 への高解像度化により、大循
環、広域水循環の変動再現性は確実に向上する。しかし、その程度は広域変動の予測の
困難さを一掃するものではない。変動のモードを抽出し、メカニズムに踏み込んで解析
することが必要である。
T106
T42
図5 アジアモンスーン域(東経 40°-150°, 南緯 20°-北緯 40°)における 6-8 月平均の鉛直積算
水蒸気フラックス平年偏差の観測値とモデル再現値の空間パターン相関。横軸は年(1979-1998)。橙
は T106、緑は T42 モデル。モデルは両解像度版とも観測された海面水温を与えた長期積分 3 本のアンサ
ンブル平均。
10
変動モードにもとづく解析の一例として、われわれが少し前に発見した、熱帯環状モー
ド(TAM)の年々変動の再現性を示す北半球冬季(12-2 月)時系列を図6に示す。このモ
ードはエルニーニョ等によって効果的に励起され、熱帯のみならず全球的なテレコネクシ
ョンを生じる。図7は観測された熱帯環状モードに伴う地表気温と 500hPa 高度の偏差図を
示す。500hPa 高度偏差を見ると南北半球の中高緯度の偏差パターンの表現はとくに西半球
において高解像度モデルの方が格段に観測に近い。
T106 3members
T42 8members
図6 冬季(12-2 月)熱帯環状モードの年々
変動再現性。太い黒線は観測値、太い赤線はモ
デルのアンサンブル平均値。細い線はアンサン
ブル各メンバーの値。(上)T106 モデル(アン
サンブル数:3)、
(下)T42 モデル(アンサンブ
ル数:8)。Cor はアンサンブル平均と観測時系
列の相関係数。
図7 冬季(12-2 月)熱帯環状モードの年々変動
に伴う全球テレコネクション構造。環状モードの時
系列と地表 2m 気温(陰影)、500hPa 高度偏差(等
値線)の回帰係数。(上)観測、(中)T106 モデル
(3 メンバーアンサンブル平均)
、(下)T42 モデル
(8 メンバーアンサンブル平均)
。
一般に、大気モデルの高解像度化は、
細かい地形の効果や、数百~千 km スケー
T106L56
T42L20
Obs.
Obs.
ルの降水をもたらす気象擾乱の表現が向
上することのほかに、大規模基本場の表
現向上を通して、解像度依存性が一見小
さいと思われる数千 km スケールの長周期
変動の表現の向上ももたらす。熱帯の季
節内変動やブロッキング現象の表現にそ
の例を見ることができた。ここでは夏季
インド洋における 40-50 日周期での大
lat
規模雲塊の北進モードの表現を紹介す
lag
る。図8は観測、T106、T42 モデルによ
図8 20-120 日周期成分 OLR の時差-緯度断面図。 る外向き長波放射(OLR;数値が低いほ
ど背の高い雲の存在を示す)の北進のよ
赤道域 5°S-5°N、70°E-90°E で平均した OLR 時
系列をキーインデックスとしてそれと他の場所の
うすを示す。OLR の 20-120 日周期成分
OLR の回帰係数を計算した。
(左)観測値、
(中)T42
を用い、
赤道域 5°S-5°N,70°E-90°
モデル、(右)T106 モデル。
11
E で平均した OLR 時系列をキーインデックスとしてそれと他の場所の 20-120 日周期成
分 OLR との時差回帰係数を計算したものである。85°E における緯度-時差断面を示し
ている。観測および T106 モデルでは赤道域 OLR が北進する傾向が現れているが、T42
モデルでは赤道域とその北の亜熱帯域で定在波的になってしまっている。T106 と T42
モデルの違いの理由は、高分解能化によって気候学平均的な下層風場の表現がよくなっ
たことに求められる。図9は、観測、T106、T42 モデルによる夏季(6~8 月)平均の
850hPa 風 ベ ク ト ル と ロ ス ビ ー 波 の 復 元 力 と し て 働 く 実 効 β と 呼 ば れ る 量
(β* =
df d 2 u
; f は Coriolis パラメータ、 u は気候学平均の帯状風成分)を陰影
−
dy dy 2
で示したものである。インド半島を南へ迂回する成分が観測、T106 モデルでは表現さ
れており、このため、実効βの大きい領域がより低緯度まで広がっている。このような
基本場の違いは赤道で大規模な雲塊が存在したときその北側に生じる低気圧性循環の
応答の強さの違いをもたらす。図10は、観測、T106、T42 モデルの気候値を基本場に
して、インド洋赤道域の雲による加熱を与えたときの循環応答を線型大気モデルによっ
て計算したものである。観測、T106 基本場では加熱域北方に低気圧性循環が生じてい
るが、T42 基本場では応答が著しく弱い。低気圧性循環域では境界層収束等により水蒸
気が蓄積され鉛直安定度が悪くなる。そのため、元赤道にあった雲塊が北方へ移動する
ものと考えられる。
このような、高解像度化による基本場の表現向上を通じて比較的大きな空間スケール
の変動成分の再現性向上につながる、というシナリオは新しい見解として科学的知見へ
と高めてゆく必要があると考えている。
Obs.
Obs.
Obs.
T42L20
T42L20
T106L56
T106L56
図9 夏季インド洋における気候学的な 850hPa
風ベクトルと実効β(陰影)の分布。(上)観測、
(中)T42 モデル、
(下)T106 モデル。
図10 (上)観測、(中)T42 モデル、(下)T106
モデルの気候値を基本場として上図楕円域に加熱を
与えたときの線型応答。ベクトル、陰影は 850hPa 風
と渦度を表す。
12
大気海洋結合大循環モデルによるエルニーニョのシミュレーション
:振幅に影響を与える要因について
金丸
由紀子、木本
昌秀
(東大気候システム研究センター)
1.はじめに
気候システム研究センター(CCSR)の現バージョンの結合モデル(MIROC2.1)では、ENSO
の振幅が観測の半分程度である。観測とモデルでは、熱帯太平洋の海洋混合層における鉛
直温度成層に図 2 の上図(観測)と下図(MIROC2.1 の CTL 実験の結果)のような違いが見
られた。そこで、海洋及び大気の境界層の計算過程に変化を加えてこの成層を変化させ、
温度躍層の構造に対する ENSO 振幅の感度実験を行った。
図 1. Niño3(5S-5N, 150W-90W で囲まれる領
域 )( 赤 、 緑 ) と Niño4 ( 同 じ く 5S-5N,
150E-150W)
(グレー線)において平均した SST
偏差[K]。上:Ishii, Kimoto, and Kachi (2002)に
よる観測データ、中央:CTL 実験の結果、下:
実験3の結果。
図 2. 年 平 均 海 水 温 の 鉛 直 プ ロ フ ァ イ ル
[℃]。赤道(2N-2S 平均)における東西∼深さ
断面。上:観測(Levitus (1982)の 1948∼1998
年平均)、下:CTL 実験の結果。棒線及び矢印
は、Meehl et al. (2001)による温度躍層の
幅と深さの指標。
2.実験
変更1:赤道上の海洋上層では、温度躍層を覆う深さに混合係数の極大が見られ(図 3 上:
鉛直拡散係数の鉛直プロファイル)、温度勾配形成の妨げになっている。海洋混合層では、
混合係数が大きいため陰解法を用いた時間差分化を行うが、係数が非線形に決まる場合に
数値不安定が起こりやすい。このことを原因の一つと疑い、数値的な安定度を増すために、
粘性・拡散方程式の数値計算に時間フィルターを適用した。(実験1)
変更2:Wilson (2002)では、安定な場所の混合係数を小さくすると温度躍層における温度
勾配が強化されるという結果が述べられている。海洋混合層の鉛直混合スキームには、Noh
& Kim (1999)の turbulence closure model(以降 N-K、Mellor-Yamada (1982) Level2.5 に相当、
ただし TKE の移流は福間ない)を用いている。Wilson に倣い、この N-K スキームで計算さ
れる混合係数の下限値の値を、モデルの不確定性の範囲内で減少させた。(実験 2)
変更3:MIROC2.1 を含む多くの CGCM では熱帯 SST の過小バイアスが見られる。大気境界
13
層の計算過程に、Holtslag and Boville (1993)の Non-local Planetary Boundary Layer
及び Del Genio et al. (1995)の Cloud Top Entrainment Instability を導入することで、
海面と境界層上空との循環を活発化させ、海面のフラックスを変化させた。これによりモ
デルにおける赤道 SST の過少バイアスを軽減し、温度躍層上下の温度コントラストが増す
ことを期待した。(実験 3)
図 3. 年平均鉛直拡散係数[cm2/s]の赤道(2
S-2N 平均)における東西-深さ断面(log
scale)。黒線は温度等値線。上: the control
run, 中央: 実験 1,下: 実験 2。
図 4. 熱帯表層 300m における海水温の年々変
動成分の標準偏差[K]。赤道(2S-2N 平均)に
おける東西-深さ断面。等値線は海水温を表
す。上:Ishii, Kimoto, and Kachi (2002)
による観測データ、中央:CTL、下:実験3
の結果。
3.結果
実験 1、2 により温度躍層の深さ周辺にあった混合係数の極大は除去され(図 3 中央)、温
度躍層に沿った場所において周囲より混合の少ない安定な状態となった(図 3 下)。その結
果、温度躍層における温度勾配は強化され、温度躍層に沿った温度の年々変動が見られた
(図 3:海水温及びその年々変動の標準偏差の鉛直プロファイル)。これに対し CTL では、
主な変動が表面付近で起こっていた。このような特徴が改善されたことで、図 6(ENSO 変動
に対する海水温回帰)に見られるように、CTL で表層にしか存在しなかった ENSO に伴う海水
温の正偏差が、実験 3 では温度躍層の東西で正負の偏差が現れるようになった。その結果、
実験 3 に現れる ENSO の振幅は、図 1 に見られるように CTL 実験の場合より増加していた。
ENSO に対する SST 正偏差を見てみると(図 5)、大きさは回復したものの観測より西側に偏
差の中心が現れる問題は以前残されたままであり、今後の課題である。
温度躍層の構造に対する ENSO 振幅の感度の違いを調べるために SST 偏差の収支解析を行
った(図7:SST 変動に対する各収支の相関)
。その結果、温度躍層における温度勾配が強
い場合には、湧昇による温度偏差の移流がエルニーニョ成長に最も強く働いているのに対
し、温度勾配が弱い場合には、海表面における東西移流が主に働いていることが分かった。
14
図 6. Niño3 インデックスに対する海水温回
帰[K]。上: Ishii, Kimoto, and Kachi (2002)
による観測データ, 中央: CTL, 下: 実験 3。
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
-0.1
-0.2
-0.3
Q
'
CTL
EXP. III
-U
(d
T'
/d
-u
x)
'd
(T
+T
')/
dy
-V
(d
T'
/d
-v
y)
'd(
T+
T'
)/
dy
-W
dT
-w
'/
dz
'd
(T
+
T'
-d
)/
/d
dz
z(
Kd
T'
/d
z)
Correlation with d(SSTA)/dt
図 5. Niño3 インデックスに対する SST 回帰
[K]。上: Ishii, Kimoto, and Kachi (2002)
による観測データ, 中央: CTL, 下: 実験 3。
d(SSTA)/dt Budget
図 7. SST 変動に対する各収支の相関係数(Niño3 インデックスに対する-2~2 年のラグ回
帰をベースに計算。計算範囲は 30N-30S、上層 50m)
。青:CTL、紫:実験 3.
(SST の時間変化の式)
z=0m
z=0m
z=0m
 ∂T′ ∂(T +T′) 
∂T′
∂(T +T′)
 ∂T′
′
′
∫
z=50m
∂t
dz = −
∫
z=50m
−
U ∂x +u

∂x
dz− ∫ V ∂y +v
 z=50m 
∂y
∂(T +T′) 
∂T′
 ∂T′
,
W ∂z + w′ ∂z dz+Q′ − KH ∂z


z=50m
z=50m
z=0m
∫
15
dz

高解像度大気海洋結合モデルで表現された赤道海洋不安定波
Xianyan Chen、木本昌秀(東京大学気候システム研究センター)
1.はじめに
近年の衛星による高解像度の海面水温(SST)観測によって、赤道上の冷舌とその北の熱
帯収束帯直下の高海水温との間のシャープなフロントに沿って波状の SST 擾乱が見出ださ
れた。この波は一般に、熱帯不安定波(tropical instability waves;TIWs)と呼ばれて
おり、東西波長約 1100 km、周期 20~40 日、位相速度 0.3~0.6 m/s で西進することが知られ
ている。
海洋の高解像度化によって、大気海洋結合モデルでもこの波がシミュレートできるよう
になった。本研究では、シミュレートされた TIW の構造、力学と熱輸送を通じた平均気候
再現へのインパクトを調べる。
2.方法
共生第 1 課題で開発した高解像度大気海洋結合モデルの現在気候再現実験の結果を解析
する。大気の解像度は、水平約 100km 鉛直 56 層、海洋は経度方向 0.28°緯度方向 0.19°
鉛直 48 層である。TIW に伴うメソスケール振動は、40 日移動平均で定義される長周期成分
を除いた後の日別データに 10-50 日のバンドパスフィルターを施して取り出した。
3.結果
図1は東太平洋赤道域における海面水温のスナップショット(3 日平均)を示す。上が
衛星観測、下が結合モデルである。取り出した日は任意である。観測された冷舌北端に水
平波長 1000-1200km の楔状の波動がよくシミュレートされていることがわかる。南半球側
にも弱いが波動が見える。シミュレーションでは、観測同様、カレンダー年の後半に、周
期 26 日、およそ 0.6m/s の位相速度で西進する。
エネルギー収支解析により、海洋では海流のシアにもとづく順圧エネルギー変換が卓越す
るが、傾圧変換も無視できない。傾圧変換は、波動による南向きの熱輸送を意味する。収
支解析によれば、波動による熱輸送は、冷舌での赤道湧昇の 3-4 割を補償する大きさに達
することがわかった。多くの大気海洋結合モデルでは冷舌で低温バイアスを示すことが多
いが、高解像度化により解決する可能性が示された。
図1 東太平洋赤道域における 3 日平均海面水温。
(上)
TRMM Microwave Imager による観測値、(下)結合モデ
ル結果。単位 ºC。
図2 TIW の卓越する季節、海洋混合層で積分した子午
面方向の波動による熱フラックス発散(Wm-2)。
16
図3 (a) シミュレートされた SST(等値線;℃)
と風応力発散(陰影;10-7Nm-2)。TIW 卓越季節の
ある日を中心とした 3 日平均値。(b) 北緯 2°に
おける 10-50 日バンドパスフィルターをかけた
SST の時間-経度断面図。モデル結果。 (c) (b)
と同様、ただし、 風応力発散 (10-7Nm-2)。
高解像度モデルにおけるストームトラック、大気海洋結合効果
稲津
將、木本昌秀(東京大学気候システム研究センター)
1.ストームトラック
温暖化した際、ストームトラックは多くの領域で弱くなると考えられてきた。その理由
は、氷=アルベトフィードバックによる高緯度域での著しい地表面気温上昇によって、赤
道と極の間の温度差が小さくなるからである。海面水温分布を与えた大気大循環モデル実
験では、温暖化したとき東太平洋から大西洋域では従来の理論どおりストームトラックは
弱化したが、西太平洋域でストームトラックは強くなった。これは日本付近で真冬にスト
ーム活動の振幅がやや弱くなることと関係しており、また近年真冬にストーム活動がもっ
とも強くなるような傾向を示していることと整合する(図 1)。また、西太平洋域でも東太平
洋から大西洋域でも、この温暖化のシグナルが現在気候の第 1 主変動成分に大きな射影を
持つことも示された(Inatsu and Kimoto, 2005a)。
図1:
(左)現在気候の経年変動に対する主変動成分と(右)温暖化気候と現在気候との差。等値線は 300hPa
面の総観規模擾乱の運動エネルギーで、トーンは 300hPa 面の東西風。
2.大気海洋相互作用
大気海洋結合過程が現在気候の再現や温暖化予測に与える影響を調べた。海洋のデータ
を与えてしまう大気モデルでは、対流の下降流域で大気下層の気温と海面水温の差が大き
くなり、系統的に蒸発量を過大に見積もる傾向にある。大気海洋結合モデル実験とその実
験結果から得られた海面水温を与えた大気モデル実験の結果を比較した。その結果、確か
に大気モデルでは確かに蒸発過多になった。このモデルにおいては、蒸発の増加に伴う雲
量の変化は顕著ではなかった為、大気モデルでは水蒸気の温室効果によって汎球的に陸面
の地表面気温をやや高めに見積もった。また、局所的な効果としては、温暖化時の日本の
夏の降水量を幾分過大に評価した(図2)。このような降水の過大評価の程度は気象学的に
は小さいが、多雨日の日数に鋭敏な問題を考える際に考慮されるべき問題である(Inatsu
and Kimoto, 2005b)。
図2:(a)現在気候と(b)温暖化気候における
大気海洋結合効果(結合モデルと大気モデル
の結果の差)。青(赤)は結合した方が降水が
多い(少ない)事を指す。紫矢印は水蒸気フラ
ックス。
17
高解像度結合モデルで表現された成層圏突然昇温とその温暖化時の変化
稲津將・木本昌秀・住明正(東京大学気候システム研究センター)
1. はじめに
近年、高解像度化された大気海洋結合モデルは、成層圏の気候をある程度的確に表現され
るようになった。本研究では、東京大学気候システム研究センターによって開発された大
気海洋結合モデル MIROC を用いて、北半球冬季に着目して、現在気候に於ける成層圏突然
昇温(SSW)の再現性と温暖化した時の SSW の変化を調べた。ここで、モデルに於ける現在
気候は20世紀再現実験の1980年から1999年までを、また温暖化気候はシナリオ
A1b 実験の2050年から2069年までを指す。また、SSW は WMO の定義の大昇温、成層
圏上部の極域の東西平均気温勾配が逆転し、東西平均風が東風に転ずる、とする。
2.成層圏突然昇温の再現性
結合モデル MIROC は、対流圏の気候はもとより冬半球の極夜ジェットをよく再現してい
る(図略)。MIROC に於ける SSW は、20年で12回起こった。合成図解析によると、SSW
が起こった際は、成層
圏の高緯度の気温が急激に上昇し(図1)、風は東風に転じた。これは、対流圏から移動性
擾乱によるロスビー波が対流圏から伝播し、波の作用によって東風加速が生じた。水平面
で見ると極渦が2つに割れたり、極から著しくずれたりしていた。これらモデルに於ける
SSW の統計的また力学的特徴は、観測に見られる SSW のそれとよく一致している。
3.温暖化時の成層圏突然昇温
モデルの温暖化気候20年で、SSWは10回起
こった。しかし、その時期は現在気候で晩冬
に集中しているのに対し、温暖化気候では約
半数が初冬に起こっている。これと深く関係
して、移動性擾乱による上向きロスビー波フ
ラックスは、現在気候では晩冬に偏っている
のに対し、温暖化気候では初冬でも大きかっ
た(図2)。この季節進行の相違の理由は以下
のように推測される(以下、図略)。初冬は、
熱帯上部対流圏に於ける高温化の為、亜熱帯
ジェットが温暖化気候の方が強くまた極方向
に広がる。これに伴って、成層圏へロスビー
波が伝播する上で重要な対流圏界面の北緯__
度付近の屈折率が大きくなり、波動の伝播禁
忌領域が狭まる。これによって、12月は定
常波が、1月には移動性波が成層圏に伝播し
やすくなる。12月の定常波の鉛直伝播の増
大には、温暖化に伴う熱帯の海面水温偏差が
PNAパターンを励起することで、波数1 の波
動の振幅が増大していることも関係している。
ともあれ温暖化気候では、これらの波動によ
って極夜ジェットがより減速し、2月にはこ
れによって対流圏界面、北緯60度の屈折率
はより小さくなり、波動がより伝わりにくく
なる。従って、現在気候の方が晩冬のSSWは多
い。
18
湿潤線型モデルの ENSO テレコネクションに対する応用
渡部雅浩(北大地球環境)
広域水循環長期予測の基本的な道具は高解像度の大気大循環モデルおよび大気海洋結合
モデルであるが、一方で、それらのモデルは複雑であるがゆえに、モデル内部で生じる気
候変動や異常気象のメカニズムを理解するのは、現実と同様の困難さを伴う。そこで、よ
りクリアなメカニズム研究に資するため、大気大循環モデルをもとにその線型化モデル(以
下、LBMと略)を構築し、熱源に対する応答や大規模場のもとでの高低気圧集団(ストーム
トラック)の振る舞いなどの定量的解析を行ってきた。このような線型モデルは、複数の
研究グループが構築、応用しているが、本研究においてはモデルに線型化した降水や地表
面フラックス過程を組み込み、湿潤線型モデルとしての拡張を行った。これは、現実的な
大気の応答を求められるこの種のモデルとしては初めての試みである。これにより、海面
水温に対する大気循環の応答を求める際に、海面水温のみならず大気循環の関数でもある
非断熱熱源をアプリオリに与えざるを得ない矛盾から解放される。以下に述べるように、
エルニーニョに対する大気応答(~異常気象)の解釈に湿潤線型モデルが有効であること
を示すことができた。
図 1 (a) 観 測 さ れ た エ ル ニ ー ニ ョ に 基 づ く
850hPa 流線関数偏差(等値線; 2x106 m2/s)および
外向き長波放射(OLR)の偏差(鉛直平均加熱に換
算; K/day)の合成図。 湿潤 LBM に(b)熱帯中東部
太平洋および(c)熱帯太平洋-インド洋の SST 偏差
を与えた時の応答(凡例は(a)と同じ)。
エルニーニョ時の冬には、中部赤道太平洋
で対流活動が活発化すると同時に海洋大陸
上の対流は抑制され、それとともにしばしば
フィリピン付近に高気圧性の下層循環偏差
が卓越する(図 1a)。この高気圧循環偏差は
温度・水蒸気の移流を通じて日本の冬の天候
にも影響する。乾燥 LBM を用いた診断から、
下層の高気圧偏差は海洋大陸上の対流抑制
に伴う冷源偏差によるロスビー応答である
ことが分かる。では、なぜ海洋大陸上で対流
が抑制されるのか? 湿潤 LBM に中東部熱帯
太平洋(エルニーニョ領域)の海面水温(SST)
偏差のみを与えた場合, 熱帯西太平洋の対
流活動は抑制されず、亜熱帯の高気圧応答も
現れない(図 1b)。 これは SST 偏差が熱帯太
平洋全体であっても大きく変わらない(図
略)。一方、熱帯太平洋に加えインド洋の SST
偏差で強制すると、海洋大陸上の対流は観測
同様に弱まり、下層高気圧偏差がフィリピン
海に生じる(図 1c)。湿潤モデルの応答を調
べた結果、エルニーニョに伴うインド洋の昇
温はウォーカー循環の変化を通して熱帯西
太平洋の循環-対流系に影響することが分か
った。観測データの解析結果もこれを支持す
る。
湿潤 LBM の診断結果はさらに気候モデル
などで検証される必要があるが、上の結果が
正しければ, エルニーニョに対するインド
洋大気海洋系の応答をより詳しく理解する
ことが日本など東アジアの冬の天候予測に
役立つかもしれない。
19
降雪、積雪、融雪モデルの構築
熊倉 俊郎(長岡技術科学大学)
(1)研究実施内容及び成果
従来の研究:
現在の気象数値モデルには降雪、積雪、融雪状態を模擬するモデルが含まれており、気候研究
などには Slater ら(2001)が挙げるような数十にも及ぶ様々なモデルが用いられている。また、雪崩
防除などを目指して、積雪状態をより正確に表現するために Bartelt ら(2002)、Lehning ら(2002)、
Brun ら(1989,1992)のような積雪の特性を考慮したような複雑なモデルも作られている。日本でも、
大泉ら(2002)や山崎ら(1998)などによるものがある。これらのモデルでは、積雪初期や融雪期を主
とした熱収支や水収支の状態推移が激しく、観測でもあまり明らかでない期間のシミュレーションで
結果に大きくばらつきが見られることが知られている。積雪に関しては、他にも、場所によって複雑
に変化する積雪層の特性、風や地形による積雪の再配置などの問題もあり、どの場所でも正確に
予測計算することは現状では非常に難しい。
また、観測の簡便さもあり、従来から積雪深を基本的な観測量としてきたことから、積雪融雪モデ
ルの検証も積雪深で為されることが多かった。しかし、物理的な性質を正確に議論する場合には
積雪層の密度を変数として考えることが多いため、この情報に加えて積雪層の重量をもっと詳しく
議論しないといけない。その点についても考慮していく必要がある。
問題点:
これらの観点に立ち、積雪の正確な物理モデルを構築し、そこからスケールアップすることを最
終目標とするが、それに至るために、ここでは、積雪初期、融雪期のような 0℃近傍で気温が変化
する状態での多くの問題点を解決していく。その中で、特に注目する点は、①風により降水量計を
迂回するために計測されない降雪量がどれだけあるのかという問題、②降水が雨で降っているか、
雪で降っているかという問題、③積雪層がどこで融解しているのかという問題、④さらに、積雪深と
の整合性に関しては、液水分を多く含む積雪層の力学的挙動の問題であろう。
①については、横山ら(2003)が降水量計の国際的な標準器を用いて、風速を変数として、どの程
度の割合の雪を捕捉しているのかを観測しているため、それを利用することにする。②に関しては、
現状では決め手となる観測項目があまりなく、従来からある気温や露点温度を利用する簡便な方
法で行わざるを得ない。③に関しては、多くの積雪は大気とのエネルギー交換で積雪表面から融
解する。これについては、放射エネルギーの測定などにより傾向を把握することは容易である。し
かし、冬季の気温の高い地域では積雪底面での融雪が無視できない量であるが、これに関しては
観測が難しいためにあまり多くの報告がない。④に関しては、積雪重量の把握に直接関わる問題
ではないが、観測の簡単な積雪深との対応を考えると、より正確に把握しておく必要がある。しかも、
積雪層内の熱収支や水収支を考える場合、積雪層の厚さは非常に重要な物理量である。さて、液
水を含む雪を湿雪と称することが多いが、この湿雪は一定の状態に保っておくことがほとんど困難
であり、どの程度の湿り具合で圧縮強度がどう変化するのかという測定事例はほとんどない。
使用データ:
0℃近傍のような比較的気温の高い状態で降雪、積雪、融雪が発生するとき、それぞれ別々に構
築された多数の積雪モデルの計算結果が最も異なってくることは先に述べた。その意味で、北陸
地方の平野部は積雪初期から融雪完了期まで、ほぼ 0℃近傍の気温で現象が起きており、そのよ
うな問題点を考察するには非常に適した場所である。そこで、ここでは新潟県十日町市にある森林
総合研究所十日町試験地での観測データを用いることにした。同地は、標高 200m の場所に位置
し、昭和初期から継続的に雪の観測を実施している。気候的に風速は比較的弱く、平均的には
1.5m を超える積雪深が観測される。
本研究では 2000 年から 2001 年にかけての冬季の、気温、相対湿度、風向風速、降水量、積雪
深、積雪重量、地下熱流のデータを利用した。降水量計は RT-4 型と呼ばれる風除け羽のついた
20
溢水式降水量計で、内蔵する電熱線により降水量計内の空気と測定器を暖めており、固体降水は
融かされて計測される。積雪深計は超音波積雪深計である。積雪重量計は、不凍液を封入した枕
状の袋にかかる圧力を測定する装置で計測されている。最後に、地下熱流に関しては、地下 2cm
に埋設された熱流板による観測結果である。
解析手法:
まず、降雪に関して述べる。雨雪判別については、今回の場合には気温と相対湿度から露点温
度を求めて、0℃を閾値として雨と雪に分けた。実際には、熊倉ら(2004)に示されるように、この基準
でよい地点や良くない地点に分けられるが、他に有用な指標が発見されていないので、この基準
で行った。次に、降水量計は風があると周囲に乱流を発生させる。それが原因となり雪のような密
度の小さな物体は降水量計を避けて通ることがある。捕捉できた質量と実際に降っていた質量との
比を捕捉率と言い、その補正を捕捉率補正と呼ぶ。降水量計によりこの捕捉率は異なっているた
めに、各国で使われている降水量計はそれぞれ捕捉率を測定して使うことが望ましい。横山ら
(2003)は上越市でこの測定を行い、RT-4 型の風速による捕捉率補正式を導出しており、それを用
いた。例として、補正しない場合には、風速 2m/s で約 2 割の捕捉漏れがあることになる。時間ステ
ップは観測間隔である 1 時間とし、1 時間以内に降った降雪を新雪と定義する。そうして、梶川
(1989)の秋田での雲粒つき雪結晶の観測結果を基に大泉ら(2002)が導出した回帰式を利用した
新雪密度を用いて新雪深とした。
積雪モデルは、圧縮粘性係数を基にした歪み速度の式を解くことにより圧密を表現した。積雪が
自重で圧縮する過程を圧密過程というが、これは、歪み速度の式
dh
σ
= − h により表すことがで
dt
η
きる。 h は層厚、 t は時間、 σ は荷重、 η は圧縮粘性係数である。本モデルでは、定義された一つ
の層厚では性質が一定の媒質であることを仮定して積分し、 hi ,t = h0 i ,t exp(−
σi
t ) として用いた。
ηi
i は層を区別する添え字である。さらに、圧縮粘性係数は Shinojima(1967)が示した乾雪の測定結
果を基にした。この積雪モデルは、1 時間内に積雪した層を均一な 1 層として、1 時間ごとに積み上
げていく多層モデルとし、圧縮が極端に速い場合を想定して、積分時間の検討も行い、湿雪の計
算に備えた。また、積雪層内の温度に関しては一つの積雪層内で性質が一様と仮定し、熱伝導の
微分方程式を差分化して解いた。さらに、積雪層内の水の移動は、基本的には山崎(1998)の手法
と同じとした。それは、積雪層が持てる水の量を重量含水率にして 10% と上限を決め、余った水を
下の層に落とすという操作である。実際には、不飽和媒質内の水の移動を考えるのが正しそうであ
るが、現実には媒質中の水の通りやすい箇所(水の道)などもあり、簡単にはいかないことは
Colbeck(1974)などにも示されている通りである。現実的に実測と合う解法は知られていないので、
便宜的にこの手法を用いた。
最後に、融雪に関しては、様々な問題が含まれているが、主に2つの手法を用いた。一つは、観
測が完了した後にしか使えないが、デグリーデイ法を時間間隔に縮退したデグリーアワー法で行う
方法であり、これは積雪期間と融雪全量の関係から1時間融雪水量を決定して積雪表面から融か
す仕組みである。この手法では融雪する箇所がわからないために、もっとも多く融ける箇所と考えら
れる積雪表面から融かした。二つ目は、放射収支観測値から雪面でのエネルギー収支を求めて融
雪量を決定する方法を用いた。しかし、積雪重量観測結果と比較すると、観測された重量の方が
大きい。この分が積雪底面融雪量であると考えられる。また、この結果は熱流板による直接測定さ
れた熱量による観測を併用して考察した。
結果:
○多層圧密モデルの構築
解析手法で述べたようにして、気象(降水量、風速、気温、湿度)の1時間観測値を入力しながら積
雪層を形成していく多層圧密モデルを構築した。まず、力学方程式の時間積分に関して、結果の
安定性を考察した。ある時間ステップ内の積雪層ごとに媒質の性質が一定と仮定したが、実際に
21
は刻々と媒質は変化するので、時間ステップは短くなければならない。予備的な実験により、乾雪
では時間ステップが 1 時間でも 2%以内の誤差で算定できるが、湿雪のように圧縮しやすい媒質の
場合は、圧縮粘性係数が 1/5 の場合では少なくとも時間ステップを 30 分にしないと 3%程度の誤差
に収まらないことを示した。
○熱伝導過程、水移動過程の組み込み
解析手法で示した通り、熱伝導過程と水移動過程を組み込んだ。水移動に関しては、エネルギー
収支を解いて積雪面から融かした水の流下過程として取り扱った。雪温に関しては、温度の変化
でそれ程大きな力学的性質の変化がないことを確認し、今回はオプション扱いとし、全積雪層で
0℃として扱うことにした。また、北陸地方平野部では、積雪層内の再凍結はあまり発生しないこと
からも、同仮定で十分である。しかし、山地部に入るとそうではないことが積雪断面観測から明らか
であるから、別途考慮しなければならないだろう。さて、含水率の予測値は、積雪断面観測での結
果と比較して大きな傾向は良くつかんでおり、圧縮特性の検討には使えるレベルであることを確認
した。しかし、値の上限値を設定したことによる湿りすぎの部分、また、地表面近傍(積雪底部)の水
溜りの未再現などの問題が見られた。
○融雪過程の組み込み
融雪に関しては、エネルギー収支を雪面で解く方法が予報にあたっては重要であるため、こちらを
主としてデグリーアワー法をオプションとした。雪面での融雪はこのエネルギー収支式から推定し、
発生した液水は水移動過程で流下する。途中で再凍結はなく、最低面の積雪層から流下した液
水は排水として処理した。底面融雪量は、最初に、積雪重量観測から重量変化を求め、それと雪
面融雪量との差として推定した。ここで推定された積雪期間平均量 0.04 kg・m-2・hour-1 は、他年の
積雪断面観測時に積雪層内に埋設した紙テープの移動と、各積雪層の密度と深度観測から推定
された底面融雪量である 0.05~0.07 kg・m-2・hour-1 と近い値と言える。しかしながら、前者は直接
観測でなく、後者は観測の性質上、誤差の要因が多く、もっと確からしい数値を得たい。そこで、こ
れも他の年のデータではあるが、2 年にわたって実施された熱流板による熱フラックス観測値の解
析を行った。その結果、底面融雪量は単純な冷却曲線では全冬季にわたっては合わず、積雪期
の最初に多くの雪を融かし、その後、安定して融けていくという、2 期に大きく分けられることがわか
った。その様子を図1(左)に示す。また、熱流板から推定された積雪期の平均底面融雪量 0.06
kg・m-2・hour-1 は、先程の推定値より若干大きいが、ほぼ同じ値となり、積雪全体の水の挙動として
過去にないほどの精度で再現できたと考えられる。そこで、2 冬季の熱流板観測値から 2 期別々に
指数型の近似式を求めてそれを用いることとした。これらのことから、最終的に計算した各水構成
の構成量を図1(右)に示した。
図 1 (左)熱流板による積雪底面融雪量の推定値。(右)全ての水構成の様子で、縦軸は水の重
量(kg・m-2)である。凡例は、上から、降雪量、降雨量、積雪水当量モデル値、積雪水当量観測値、
融雪量モデル値、底面融雪量、雨雪の固液比、積雪水当量の観測値とモデル値の差。
○算定誤差の要因の解析
実際に積雪層を予測する際に問題となる事柄を積雪重量の観点と積雪深の観点に分けて言えば、
22
重量の方では、捕捉率補正、雨雪判別の2点で、積雪深の方は、新雪密度、圧縮粘性係数の 2 点
であろう。重量に関する 2 点についてはもっと詳しく解析する手立てがないので、現状のままとする。
実際に、観測値を取り入れて計算した結果からは、この十日町地点では十分に機能しているとい
える状態である。積雪深の方に関しては、これら2つの中でどちらがより誤差の要因となりうるかを、
遠藤ら(2002)の解析を参考にして解析したところ、圧縮粘性係数の影響がとりわけ大きいことがわ
かった。これについては、過去の様々な研究から、湿雪の圧縮粘性の影響は少なくないことがわか
っており、その効果を取り入れなければならない。
○湿雪の圧縮粘性係数の検討
液水を含む雪の力学的性質は、実験室で雪中の含水率を一定に保つことができないことから、観
測も実験結果もほとんどない。よって、ここでは、積雪層中の固液水の存在状態と収支を合わせた
ことを利用し、観測積雪深を参考にして湿雪の圧縮粘性係数を逆に推定してみた。ここで、山崎
(1991)や大泉(2000)が示すように、乾雪の圧縮粘性係数を η d 、体積含水率を wvol とすれば、湿雪
の圧縮粘性係数 η w は、任意の正数を A とした場合、 η w = η d e
− Awvol
で表されるとした。そのとき、
観測積雪深の時系列とモデルで算出される積雪深の自乗平均平方根誤差が最小となるように A
を決定した。従来の研究では、 A = 0.092 であるとされていたが、十日町での湿雪では、その 2 倍
程の値とするとつじつまが合うことがわかった。しかし、含水率の鉛直分布が現実的であること、積
雪層内に大きな水の道が存在していないこと、本モデルでは雪の粒子を直接的に取り扱っていな
いことなどを考えると非常に汎用的に使えるものではない可能性が高い。しかし、湿雪の圧縮特性
に関してはほとんど観測事例がないことを考えれば、価値があると考えられる。
○算定結果
最終的に構築されたモデルの積雪重量と積雪深の時系列推移を図2に、示す。
図2 (左)積雪重量と(右)積雪深。実線がモデル計算結果で、点線が観測結果、さらに、黒丸は
スノーサンプラーを用いた積雪水当量観測結果で、細点線は乾雪を仮定した積雪深である。
どう改善されたか:
この研究は、気候モデルなどで使われている各種の積雪モデルが、積雪初期や融雪期に算定の
違いが多く出ることを念頭に置いたものである。そもそも、0℃近傍の気温で多量の積雪がある北陸
地方での積雪モデルの詳しい検討事例は無かった。そこで、基礎的な検討を行うために、今回は、
気象観測値を入力に用いて知見を得ることを主眼とした。積雪水当量(積雪重量)の問題からは、
降水量の捕捉率補正が必須条件であることがわかり、現在の気象観測体制では雨雪判別が困難
な地域があることも示した。さらに、積雪深算定に関しては、今までほとんど観測や実験の例がない
湿雪の圧縮粘性に関して、重要な推定事例を提供できた。積雪の状態変化は積雪密度を変数と
して変化することが多いために、これは、重要な情報であると言える。また、詳しい説明は論文や学
会予稿に譲るが、構築された多層積雪モデルは十分に応用可能であることを示した。
23
(2)研究成果の今後期待される効果
汎用的に使えるモデルとして改良していくことが望まれる。
本モデルは、地域的に様々に変化するであろうパラメータが多数含まれている。大きなところで
は、雨雪判別の妥当性と底面融雪量の見積もり、さらに圧縮粘性係数の算定である。また、今まで
にない高温時の積雪モデルであるが故に、低温時の振る舞いは他モデルよりも悪い可能性もある。
これらの問題点を今後解決していかなければならない。雨雪判別については、気象モデルへの組
み込みには直接影響しないが、防災用途で使う場合には、そうはいかない。これは別途、簡易的
な観測機器を用いた研究に着手したところである。底面融雪については、今後、土壌温度の観測
結果を基に、現在、さらに詳細に解析中である。圧縮粘性係数の取り扱いについては、他所の気
象観測データを基に、本モデルを適用していく必要があろう。低温時については、凍結過程を考
慮していく必要があるであろう。また寒い場所では、積雪粒子の変態過程などが必要である可能性
もある。
現在のモデルは、サイトベースの観測値に対して適用するモデルであり、しかも詳細過ぎて、とて
も気候モデルに組み込めるものではない。よって、積雪層数を効率的に減らす仕組みや、算定に
使われている各種パラメータの地域的な差を明らかにすること、さらにその性質をアップスケールし
ていくことが重要である。
最後に、アメダスデータ用いた解析や、レーダー降水量を地上補正した降水量を基にした解析
をすでに行っているが、北陸地方平野部での適用には十分使えるレベルであることが示されてい
る。よって、全球に広げるのも重要だが、地域防災に役立つツールとしては、すでに応用可能と思
われる。
24
水平解像度に依存した雲解像モデルの系統的誤差の原因に関する研究
三浦裕亮(海洋研究開発機構・地球環境フロンティア研究センター)
関口美保(東京海洋大学)・木本昌秀(東京大学気候システム研究センター)
1. はじめに
現在、広域水循環予測には大気大循環モデルが使われており、空間分解能のさらなる向
上が信頼性の高い予測を可能にすると期待されている。しかしながら、大気大循環モデル
では個々の積雲を直接解像することができず、なんらかの物理的な仮定に基づいて積雲の
集団としての影響を表現する必要がある。このような物理的仮定に基づいた積雲の影響の
定式化は、積雲パラメタリゼーションと呼ばれる。熱帯・亜熱帯地域における積雲の活動
は、地表から放出される熱・水蒸気を対流圏全体へと輸送し、また、潜熱放出により大規
模場の循環を作り出すため、広域水循環に対しとても大きな寄与を持つ。そのため、積雲
パラメタリゼーションの改良は、大気大循環モデルによる予測精度の向上のために必要不
可欠である。また、積雲パラメタリゼーションという枠組みを利用することで、積雲の集
団的影響の理解という科学的に重要な課題についても考察を深めることができる。
一方、計算機の進歩に伴い、個々の積雲を直接解像できる雲解像モデルの 3 次元計算が
行われるようになってきた。また、地球シミュレータのような最先端の計算機を用いるこ
とで、全球雲解像モデルの実験も、実験期間は
(a)
短いながらも現実のものとなりつつある。雲解
像モデルを用いることで、積雲パラメタリゼー
ションの曖昧さを排除した、より正しい積雲の
影響評価ができるのではないかと期待されて
いる。しかしながら、現在の雲解像モデルの利
用は、数時間から数日単位の計算が一般的であ
り、長期間積分をしたときの精度については検
証されていない。また、雲微物理過程や乱流過
程のようなより小さなスケールの現象や、水
平・鉛直解像度のような実験設定に対する結果
(b)
の依存性についての検証は、十分に行われたと
は言えず、これからの課題である。将来的に積
雲パラメタリゼーションと雲解像モデルの結
果比較を行う上で、正解として参照されるべき
雲解像モデルの側にどの程度の誤差があるか
を認識しておく必要がある。
雲解像モデルの不確定性のうち、本研究では
水平解像度に対する依存性に着目する。水平格
子間隔の違いが、長期積分した際の統計的平衡
場にどのような違いを及ぼすのか、また、その
(c)
違いはどのような物理的機構によるものなの
かを明らかにする。図1は、既存の大気大循環
モデルの1格子に相当する水平領域(200 km x
200 km)について、3 次元雲解像実験を行った
結果である。それぞれ、水平格子間隔 2 km, 4
km, 8 km の 3 つの場合であるが、表現される
積雲の形や数に大きな違いがあることが分か
る。このような個々の積雲の表現の違いにより、
大気大循環モデルの 1 格子内における熱・水蒸
図 1: 異なる解像度で実験を行った際に、雲解像モ
気収支がどのように影響を受けるか理解する
デルで表現された雲。水平格子間隔はそれぞれ(a)
ことが本研究の主題である。
2 km, (b) 4 km, および(c) 8 km。
25
2. 実験設定
本研究では、気象庁気象研究所/気象庁数値予報課統一非静力学モデル(MRI/NPD-NHM)を
使用し、放射対流平衡実験を行った。ただし、長期積分に対する精度を考慮し、放射過程
の計算には CCSR/NIES AGCM で採用されている MSTRN-X (Sekiguchi and Nakajima, 2006)
を採用した。前述の水平領域 200 km x 200 km での水平格子間隔 2 km, 4 km, 8 km の実験
(DX2、 DX4、 DX8 とする)の他、水平領域 30 km x 30 km、60 km x 60 km で、それぞれ水
平格子間隔 500 m、1 km の実験(DX0.5、DX1 とする)を行った。鉛直格子数はいずれの場
合も 42 点であり、上層へ行くほど格子間隔の広くなる伸縮格子を用いている。地表面付近
の格子間隔は 40 m、最上層での格子間隔は 1120 m である。上端の高度は約 28000 m であ
り、上部 6 層でレイリー摩擦を加えている。積分の時間間隔は DX0.5, DX1, DX2、DX4、DX8
に対し、それぞれ 1.5 s、3 s、6 s、12 s、 24 s である。
実験には、Tompkins and Craig (1998)と類似の設定を用いた。海面温度は 302 K に固定
し、大気場の変化に対し動的な放射計算を行った。過去の研究においては、大規模場によ
る強制を与え、それに対する雲解像実験の応答について、現実性を検証する方法が一般的
である。しかしながら、雲解像モデルによって自律的に作られるべき温度・水蒸気の鉛直
分布は、与えられた強制項により強く規定されてしまうことが知られている。本研究の目
的は、雲解像モデルの現実再現性の検証
ではなく、雲解像モデルの自律的振る舞
いの水平解像度依存の検証である。そこ
で、本研究では、海面温度と短波・長波
放射以外には外部からの強制を与えなか
った。実験期間は 60 日とし、解析には後
半の 30 日を用いた。図 2 が示すように、
わずかな時間変動はあるものの、計算領
図 2: 領域平均した可降水量の時間変化。
域は解析期間においてほぼ平衡状態にあ
る。
3. 結果
図 2 から、格子間隔が大きくなるにつれて可降水量が小さくなることが分かる。水蒸気
の鉛直分布(図 3)が示すように、下層だけでなく対流圏中~上層においても粗い格子の実
験では計算領域中に含まれる水蒸気量が少なくなっている。このような傾向を、低解像度
の乾燥バイアスと呼ぶことにする。Jung and Arakawa (2004)では粗い格子における不十分
な下層雲の表現が低解像度の乾燥バイアスの原因であると考察しているが、対流圏中~上
層における乾燥バイアスを説明することは難しく、他の物理機構を検討する必要がある。
図 4 には、地表降水量の格子間隔による変化を示すが、粗い格子では降水量が多くなるこ
図 3: (a)領域・時間平均した水蒸気混合比の鉛直鉛直分布と
(b)DX0.5 からの差。
26
図 4: 領域・時間平均した地表面降
水量。
とが分かる。
本研究によ
り、低解像度の乾燥バイ
アスのために大気が光
学的に薄くなり、長波放
射による冷却率が大き
くなることが、原因とし
て最も重要であること
が示されているが、将来
的には温度の鉛直分布
を含めた平衡状態全体
図 5: 水平領域 100 km x 100 km に換
の変化について、より詳
図 9: DX0.5 から差をとった、水
算した、ある時間に計算領域内に存在
蒸気混合比の鉛直分布。
細な定量的検証を行う
する雲の個数。
必要がある。
以下では、低解像度の乾燥バイアスの原因となる物
理機構について調べた結果を報告する。図 5 には、水
平領域 100 km x 100 km に換算した計算領域内の雲の
数を示すが、水平格子間隔が 2 倍になるにつれて、雲
の数が約 1/3 倍になっている。一方で、図 6 に示すよ
うに、計算領域に対する雲の量(雲量)はほとんど格
子間隔に依存しない。この結果は、格子間隔が 2 倍に
なると個々の雲の水平断面積が約 3 倍に増加すること
を意味する。したがって、計算領域中の雲の体積はほ
とんど格子間隔に依存しないにも関わらず、格子間隔
が粗くなるにつれて雲の表面積が小さくなる。
図 6: 時間平均した雲量の鉛直分布。
環境場の水蒸気分布を決定する要因として2通りの
物理機構を考えることができる。1 つは、積雲内の湿
った空気塊が環境場に供給される、デトレインメントと呼ばれる現象で、もう 1 つは、降
水物質の蒸発である。上記のような、水平格子間隔に依存した雲の大きさの変化が、これ
ら 2 つの物理機構に対してどのような影響を与えるのか検証を行った。
図 7a から、積雲と環境場の間での空気塊の交換量であるエントレインメント(環境場か
ら積雲内)・デトレインメント(積雲内から環境場)が、いずれも格子が粗くなるにつれて
小さくなることが分かる。ところが、粗い格子のほうが、エントレインメント・デトレイ
ンメントに寄与する平均風速が大きい(図 7b)
。このことから、格子間隔の増大に伴う積雲
表面積の減少が、エ
ントレインメン
ト・デトレインメン
トの減少の原因で
あると言える。湿っ
た空気塊の環境場
への供給の減少が、
特に対流圏中~上
層における低解像
度の乾燥バイアス
の原因であったと
図
8:
雲のある格子で平均した凝
考えられる。
図 7: (a)時間平均したエントレインメント・デトレインメント
結物混合比の鉛直分布。
の総量の鉛直分布。(b)エントレインメント・デトレインメン
粗い格子の場合、
トの平均風速の鉛直分布。
積雲と環境場の空
気塊の交換が不活発であることから、積雲中の凝結
物混合比は大きくなる(図 8)。本研究で使っている雲微物理モデルでは、雲が濃くなるほ
27
ど降水物質の生成が活発になる。過去の研究(Weisman et al. 1997)から、過剰な降水物質
の生成は、降水の落下速度の過大評価を介して、降水物質の蒸発の過小評価につながり、
乾燥バイアスを引き起こすことが知られている。そこで、本研究では、雲微物理モデルの
パラメーターに対し、大気中における凝結物の蒸発を多くするような 3 通りの変更を行い、
その応答を調べた。用いた格子は DX8 と同じものであり、変更を加えた実験を DX8-SAC,
DX8-LEV, DX8-STV とする。図 9 に示すように、いずれの場合にも低解像度の乾燥バイアス
が緩和される。このことから、粗い格子の場合には、雲の水平断面積の増加が、降水物質
の蒸発量の減少を介して、低解像度の乾燥バイアスの原因となっていることが示された。
4. まとめ
本研究により、雲解像モデルを用いた放射対流平衡実験では、格子間隔が大きい場合に
水蒸気量が少なくなる、低解像度の乾燥バイアスが生じることが分かった。その原因とな
るのは、積雲の水平断面積の増加と、それに伴う積雲の表面積の減少である。低解像度の
乾燥バイアスは、次のような物理機構により引き起こされる。格子間隔が大きいと、積雲
の表面積の減少し、それに伴って積雲と環境場の空気塊の交換が不活発になる。そのため、
環境場への水蒸気・凝結物質の供給が減少する。また、環境場から積雲内部への乾燥した
空気塊の供給が不活発であるために、積雲内部の凝結物質量が大きくなる。濃い雲の中で
は降水物質の生成が効率的に行われるために、降水の落下速度が過大評価されてしまい、
降水物質の蒸発が不活発になる。
本研究が対象とした水平領域 200 km x 200 km という大きさは、全球から見ればあまり
にも小さい。しかしながら、より広い領域で雲解像モデルを用いた場合にも生じ得る、実
験結果の解像度依存性を理解するための基礎的な知見として、本研究の結果は重要である。
実際、地球シミュレータを用いた全球雲解像実験においても、低解像度の乾燥バイアス、
および、乾燥バイアスに伴う降水量の増加を確認している。広領域を対象とした雲解像実
験では、熱・水蒸気の鉛直輸送の違いは、潜熱放出による循環の駆動という直接的な影響
にとどまらず、大気放射を介して、大規模場のエネルギー収支にも影響する。モデル内の
循環やエネルギー収支の歪みは、誤った水蒸気輸送や降水生成を引き起こしてしまう。本
研究で得られた水平解像度依存に関する知見に基づき、雲解像モデルを用いても表現でき
ない格子内スケールの現象について、適切な物理的仮定を検討し、より正確な熱・水蒸気
の輸送を表現することが将来的な課題である。
28
3.2 予測可能性(基幹グループ、予測グループ)
基幹グループ
東京大学気候システム研究センター
予測グループ
気象庁 気候・海洋気象部
(1)研究実施内容及び成果
詳細は次々ページ以降にテーマ別に報告する(本項末尾にリストを記載)。ここでは概要
のみ述べる。
広域水循環は大気の大循環と不可分である。大気大循環の変動とそれに伴う降水等水循
環の長期予測にはまず、予測可能な成分とその形成維持メカニズムを同定し、数値モデル
等を用いて予測可能性を探ってゆく必要がある。日本を含む東アジア域の天候変動は、熱
帯の水循環の変動と、中高緯度ジェット気流の変動の両方によって支配されている。長期
観測データにより夏季アジアモンスーン水蒸気フラックスの年々変動の解析を行い、あら
たに重要なモードを同定することができ、その形成維持メカニズムと予測可能性の探求を
行った。一方、オホーツク海高気圧など北の気圧システムの長期変動にユーラシア大陸の
陸面条件等が大きく影響している可能性が見出され、その実態とモデルによる予測可能性
を追求してきた。このほか近年の東アジアの広域水循環変動の顕著事例について、高解像
度モデル、線形モデル等を駆使した解析を行いその要因を分析した。また、大気海洋結合
モデルと海洋表層データを用いた予測プロトタイプシステムを構築した。
夏季アジアモンスーン水循環の主要変動モード
長期間の水蒸気フラックス変動の解析から、フィリピン沖とインドネシアとの間でシー
ソー様の対流活動の変動が夏の東アジアモンスーンの主要な変動モードとして同定され、
Pacific-Indo Dipole モードと呼んだ。このモードの形成維持にモンスーンの季節平均場が重
要な役割を果たしていることが、線形モデル等による解析によりわかった。このモードは
本質的に特定の場所の海面水温変動のような外部強制がなくても存在する。しかし、年々
異なったパターンで変動する海水温は毎回異なった形でこのモードの正負を励起する。し
たがって、このモードの予測に、特定場所の海面水温インデックスは無力である。大気大
循環モデルは複雑に変動する海面水温に対するこのモードの応答をよく再現することがわ
かった。(詳細報告 1))
春季ユーラシア大陸の東アジア初夏天候への影響
新しい仮説として、初夏の東アジアの天候変動に対する晩冬から春にかけてのユーラシ
ア大陸上の循環変動の影響に着目している。春季のユーラシア大陸北部(シベリア)の地
表気温は非常に大きな空間スケールを持ち、引き続く初夏のオホーツク海高気圧の活動度
に影響を与えていることが明らかになった。春のシベリアの気温が高いとオホーツク海高
気圧が優勢となる。シベリア気温の変動は晩冬の北大西洋振動(NAO)モードの動向に左
右される。シベリアの気温偏差の形成過程、初夏へ続くメモリメカニズムの解析を進めた。
この現象は、近年の天候トレンドや温暖化時の気候変化にも大きな意義を持つ。
(詳細報告
2),3))
また、2003 年夏の冷夏に関連して、欧州からシベリア上空を経て東アジアに至る導波管
の活動がオホーツク海高気圧の活発化をもたらしたことを数値モデルでも検証し、また、
それが欧州熱波とも関連した北大西洋の低海水温に起因することを数値実験によって示し
た。(詳細報告 5))
このほか、東アジアの冬季天候~北極振動(AO)の励起に秋の東シベリアの積雪偏差が
鍵となっていることが事例予測実験によって確認された。
(詳細報告 4))また、エルニーニ
ョと夏季東アジアの冷夏傾向のメカニズムについて湿潤線形モデル等による解析を進め、
29
インド洋海水温の影響が明らかになった。(詳細報告 4))2005/2006 年の日本の寒冬に関し
ては、低緯度の降水活動が深く関わっていたことが線形モデル、大循環モデルを用いた解
析により明らかとなった。(詳細報告 6))また、予測事例の解析により、亜熱帯ジェット
を伝搬する波動や熱帯の帯状平均場に予測可能性が存することが見出された。(詳細報告
9))
海洋データ解析、データ同化と大気海洋結合モデルによる予測実験
海洋表層の歴史的データの解析、海洋データ同化法の開発を行い、結合モデルによる予
測予備実験を開始した。大気データの同化は行っていないが、海洋表層データを用いて結
合モデルを初期値化した予測結果により、モデルが実際の観測値から系統的にずれてゆく
気候ドリフトを効果的に避けることができることが示した。今後広域水循環の実用的な予
測可能性を探求してゆく道具立ての基礎を築くことができた。(詳細報告 7),8))
詳細報告リスト
1) 夏季アジアモンスーン域の主要変動モード(安富奈津子・木本昌秀)
2) 夏季東アジアの天候変動と予測可能性について(荒井(野中)美紀・木本昌秀)
3) アジアジェット導波管と NAO の下流への伸長(渡部雅浩)
4) 冬季・夏季の東アジア天候の予測可能性(車恩貞・木本昌秀)
5) 欧州熱波と日本の冷夏2003(木本昌秀・宮坂隆之・荒井美紀)
6) 2005/2006 年の日本の寒冬に関する数値解析(渡部雅浩・前田修平・木本昌秀・千葉明
子)
7) 海洋データ同化と気候予測可能性、気候データベースの作成(石井正好)
8) 大気海洋結合モデルによる過去 20 年の事後予測実験(石井正好・木本昌秀・金丸由紀
子)
9) 大気変動の予測可能性について(気象庁地球環境・海洋部、予測グループ)
(2)研究成果の今後期待される効果
オホーツク海高気圧や梅雨の活動度、あるいは寒波等、東アジアの天候変動、広域水循環
変動の数か月程度の長期予測に、夏季、冬季とも可能性があることを示すことができた。
今後本格的な予測システムによってどの程度の実用的な予測が可能であるか実証してゆく
必要がある。また、このような現象に、従来の 300km 程度の解像度の大気モデルの有用性
は限られるが、100km 程度の解像度を用いることで議論が可能になることが示された。今後
数値実験等によるメカニズム解析が加速されよう。
広域水循環変動は大気大循環に支配される部分が大きいが、集中豪雨や台風といった顕
著現象の発生頻度等についてまで実用的な予測の有用性が示せるかどうかは今後の大きな
課題である。
30
夏季アジアモンスーン域の主要変動モード
安富奈津子・木本昌秀(東京大学気候システム研究センター)
1.
はじめに
夏のアジアモンスーン域にはどのような変動が卓越するのだろうか?多くの人間が暮ら
すこの地域では、モンスーンの変動が農業をはじめ社会的な側面にも大きな影響を持って
おり、卓越する変動パターンやそのしくみを理解することは非常に重要である。現在まで
にこの疑問に関して数多くの研究がなされている。しかしながら、アジアモンスーン域で
卓越する変動として指摘されているのは、Nitta(1986, 1987)による夏の PJ(Pacific-Japan)
パターン、Wang et al.(2000) による冬の PEA(Pacific-East Asian)パターンなど、あまり
多くない。そのほかモンスーンインデックスを用いて強弱を定義して年々の変動を解析す
る研究も多く行われてきているが、インドから東南アジア~東アジアと広範な領域に及ぶ
現象の統合的な理解はまだ不十分である。
また近年計算機速度と記憶容量が飛躍的に上昇し、高解像度の大気海洋結合大循環モデ
ルが長期間にわたって時間積分可能になった。また、気候の再現性も向上して、細かい時
間空間スケールの現象も十分に解像されるようになった。そこで 100 年にわたる地球温暖
化の将来予測も可能になった。
本研究では、まず夏のアジアモンスーン域全体を対象として、どのような変動が卓越す
るかを解析・同定し、その時間・空間構造を示す。そして、その主要変動モードの形成・
維持の力学を解析した。さらに、地球シミュレータで計算した大気海洋結合大循環モデル
の結果を解析し、地球温暖化下での夏季アジアモンスーン域で卓越する変動がどのような
構造をして、長期的にどのような変動傾向を持つのかを調べた。
2. 用いたデータと解析方法
主要変動モードは経験的直交関数(EOF)
解析を用いて求めた。解析期間は 1979 年か
ら 2003 年までの 25 年間である。主に NCEP
の再解析データを利用し、他に NOAA/OLR、
Reynolds の OISST などを用いた。解析領域
は、アジアモンスーン域を広く包含する
(40°E-180°, 20°S-40°N)とし、夏(JJA)の月
平均の偏差に対して EOF 解析を行った。ど
の変数を用いるのが適当であるかを確認す
るために、下層の風、OLR、水蒸気フラック
スの鉛直積分を用いて比較した。水蒸気フ
ラックスは NCEP の再解析データから計算
したものである。図 1 に水蒸気フラックス
と OLR の固有値スペクトルを示した。水蒸
気フラックスの固有値は上位3モードでエ
ラーバーの重なりがなく、統計的に有意に
分離できている。 一方、OLR の固有値ス 図1:鉛直積分した水蒸気フラックス(実線)と OLR(破
ペクトルはエラーバーが重なりあっている。 線)の固有値スペクトル。エラーバーは North, et. al
下層風など他の変数でも EOF 解析を実行し (1982)による固有値の誤差。
た。いずれにおいても時系列はほぼ対応す
るモードが得られたものの、上位のモードが統計的に有意な独立した変動として抽出でき
なかった。そこで本研究では、鉛直積分した水蒸気フラックスの EOF 第 1・第 2 モードをア
ジアモンスーン域の主要変動モードとして、その時間・空間構造と維持形成のしくみを解析
していくことにする。
31
3. モードの時間・空間構造
3.1 EOF 第 1 モードの構造
図 2 に EOF 第1、第2モードの
OLR, 水蒸気フラックスの鉛直積
分に対する回帰係数を示した。上
位 2 モードの全分散に対する寄
与率はそれぞれ 23.2%、12.7%
であった。図 2(a)に示された第 1
モードでは、フィリピンの北側、
下層に低気圧性循環が形成され、
それに対応して亜熱帯西太平洋
域とインドネシア上に OLR の正
負の偏差が北東・南西方向にシー
ソーのように現れている。OLR の
相関が高かった図中白線四角で
囲まれた領域、西太平洋
上 :(7.5°N-12.5°N,
140°E155°E) と イ ン ド ネ シ ア 上 :
(2.5°S-2.5°N, 105°E-115°E)で平
均した OLR 偏差の変動を EOF1 の
時係数 PC1 の変動とともに時系
列で示した(図 3)。西太平洋上と
インドネシア上の OLR 偏差は相
関係数(-0.56)で南西-北東方向
に高い逆相関をもって変動して
いることがわかった。この西太平
洋上の OLR 偏差と PC1、インドネ
シア上の OLR 偏差と PC1 はそれぞ
れ相関係数-0.65 及び 0.68 の相
関係数で変動していて、南北の
OLR の変動と EOF1 の時系列が高
い相関係数を持つことがわかっ
た。上層(200hPa)の速度ポテンシ
図2: 水蒸気フラックスの鉛直積分と OLR 月平均偏差(JJA)の
EOF(a)第1モード(b)第2モードに対する回帰。有意水準 95%で
有意な水蒸気フラックス偏差ベクトルを図示。水蒸気フラックスと
OLR の単位はそれぞれ kg/kg・m/s、W/m²。
図 3: 水蒸気フラックス偏差の EOF 時系列(灰色のバー)、図 2(a)中の四角で示された領域で平均した OLR
月平均偏差の変動。黒い実線が亜熱帯西太平洋域の平均、破線がインドネシア上の平均。
32
ャルと風偏差の第 1 モードへの
回帰を図 4 に示した。OLR のピ
ーク位置に対応して収束・発散
域、北東-南西方向の発散風成分
が現れた。鉛直方向には二つの
OLR のピークの間で局所的なハ
ドレー循環の変動を伴っている
と考えられる。
この、夏のアジアモンスーン
域に卓越する、OLR の南北シー
ソー変動と亜熱帯西太平洋下層
の 循 環 か ら な る 変 動 を
Pacific-Indo dipole パターン
と呼ぶことにする。
図 4: 200hPa 面の速度ポテンシャル(等値線)と風(矢印)、OLR 偏
差の EOF 第 1 モードに対する回帰。単位はそれぞれ速度ポテン
シャルが 5×10⁵m、風が m/s、OLR が W/m²。
3.2 EOF 第 2 モードの構造
図 2 (b)に水蒸気フラックスと OLR 偏差の EOF 第 2 モードに対する回帰を示した。日本の
南岸に高気圧性の循環偏差、西太平洋上の赤道に沿って東西の OLR 偏差、ニューギニア東
沖からフィリピン北東、日本の上まで南北方向の OLR 偏差が現れている。赤道~日本付近
までの OLR の南北変動と日本の南岸の循環は、Nitta(1987)で指摘されている PJ パターン
と構造が一致している。500hPa 面高度偏差の回帰係数を計算したところ、波列が亜熱帯の
フィリピン上から中緯度域の北米大陸近くまで伝播していた(図 5 a)。この波列に沿った直
線上の東西風の鉛直断面を図 5(b)に示した。波列は順圧な構造をしていて、PJ パターンに
伴って中緯度域に順圧ロスビー波が伝播するという Nitta(1987)の指摘と一致した。西太平
洋上の赤道に沿った OLR の東西シーソーパターンは、ENSO に伴う変動である。
第 2 モードは ENSO と PJ パターンの双方と関連のある変動であることがわかったが、同
時に取り出されたこの二つの変動
は相関の高い変動なのであろう
か ? 季 節 平 均 し た NINO3 海 域
(150°W-90°W, 5°S-5°N) の SSTA と
PC2 の相関係数は 0.72、PJ インデ
ッ ク ス [(142.5°-150°E, 15°-20°N)
と(135°-142.5°E, 32.5°-37.5°N)の
領域で平均した OLR の差]と PC2 の
相関係数は 0.59 で、ともに高い正
相関をもっていた。一方、NINO3
SSTA と PJ インデックスは 0.32 と
低かった。また、日平均の水蒸気フ
ラックスを EOF 解析すると、第 1 モ
ードとして Pacific-Indo dipole、
第 2 モードに PJ パターン、第 3 モ
ードに ENSO パターンとわかれて現
れるので、ENSO と PJ パターンは別
の変動現象であると考えられる。
EOF 第 2 モードは PJ パターンと
ENSO の両方に関連する変動を持っ
ている。そこで、以後このモードを
図 5:(a)500hPa 高度偏差(b)上図中の直線(120°E, 0°)~(180°,
60°N)に沿った東西風の鉛直断面の EOF 第 2 モードに対する回
ENSO-PJ モードと呼ぶことにする。
帰。95%有意水準で検定した変数に対して正(濃い影)負(薄い影)
をつけた。
33
4. 海面水温変動との関係
Pacific-Indo dipole モードおよび PJ-ENSO モードと海面水温変動との関係について考える。
季節平均(JJA)の海面水温変動の EOF 第 1 モードに対する同時回帰とラグ回帰を上の図
6 に示した。最大級のエルニーニョの翌年である 1998 年は回帰計算から除外した。この年
の夏は図 3 からわかるように PC1 が大きな負の値を持っていて、季節平均でも顕著な
Pacific-Indo dipole パターンが形成された。また、中国南部で水害が発生し膨大な被害を
蒙った。この年海面水温はインド洋から南シナ海で正偏差を示した。そこで海面水温偏差
のラグ解析では 1998 年の極端な事例を除外した。Pacific-Indo dipole パターンが形成さ
れているとき、海面水温の有意な負の回帰が南シナ海上に少し見られる。これは EOF 第 1
モードの海面からの蒸発量への回帰がこの領域で有意になることから、低(高)気圧性循環
が強まることによって海洋の蒸発が活発(不活発)になり海面水温が下がる(上がる)という、
大気から海洋への作用が重要であることを示している。また前年冬とのラグ回帰係数(図
図 6:季節平均した海面水温偏差の EOF 第 1 モードに対する(a)同時(b)前年冬とのラグ回帰係数。等値線間隔
は 0.2K。95%の有意水準で有意な回帰を持つ領域に影。1998 年のデータは除いた。
6b)では、1998 年のデータを除外すると、赤道東太平洋域で大きな回帰係数をもつが有意な
領域はほとんど見られなかった。
一方、EOF 第 2 モードに関しては、同時相関として赤道東太平洋上に高い値を持っており、
ENSO と高い関連性があるということがわかった(図 7)。また前年冬とのラグ回帰では、有
意な回帰係数をもつ領域は見られな
かった(図略)。
アジアモンスーン域で卓越する変動
である Pacific-Indo dipole モードは、
海面水温変動とほとんど有意な相関
をもつ領域がみられないということ
がわかった。また、前節で ENSO と関
連する変動モードであると指摘した
図 7: 図 6(a)と同様。ただし、海面水温偏差の EOF2 に対す
ENSO-PJ モードは、東部赤道太平洋の
る回帰係数。1998 年分も含む。
海面水温変動と高い相関をもってい
ることが確認できた。
5. 解析結果のまとめ
再解析データから水蒸気フラックスの鉛直積分を EOF 解析することによってアジアモン
スーン域の主要変動モードを抽出することができた。類似のほかの研究ではよく下層の風
や OLR といった変数を用いて解析されているが、これらの変数と比較したところ、水蒸気
フラックスが最も適当な変数であることがわかった。また EOF 解析の結果から、2 つの変動
モードがこの領域での主要変動モードとして求められた。
ひとつは、フィリピン沖の下層に循環と、亜熱帯西太平洋とインドネシア上の OLR の北
東-南西方向のシーソー変動を伴う“Pacific-Indo dipole”パターン。この変動は解析領
域や期間、変数を少し変更しても主要な変動として取り出すことができた。海面水温変動
34
との相関は低かった。
そしてもうひとつは、ENSO に伴う赤道太平洋上東西方向の OLR の変動と、PJ パターンに
よる赤道から日本南岸にかけての南北方向の OLR の変動とフィリピン北の亜熱帯から北米
方向に伝播する順圧な波列を伴う変動が並立して現れる変動パターンである。ENSO-PJ モー
ドは赤道東太平洋の海面水温変動との高い同時相関がみられた。これらふたつの変動が、
夏のアジアモンスーン域で卓越することが確認できた。
6. Pacific-Indo dipole パターン形成の力学
夏のアジアモンスーン域に卓越する変動として Pacific-Indo dipole と ENSO-PJ モード
のふたつの変動モードがあることがわかった。後者に関してはエルニーニョ現象の海面水
温変動が形成に役割を果たすことがわかるが、Pacific-Indo dipole パターンに関しては、
この変動パターンがなぜ夏のアジアモンスーン域で卓越するのかということに関して言及
している研究はほとんどみられない。しかしながら、さまざまな変数を用いた EOF 解析で
主要な変動として抽出されるのに加え、1998 年夏に代表されるように、実際に夏の異常気
象時に現れることも知られているので、このパターンがアジアモンスーン域で卓越する原
因を知ることは重要である。
そこで、本節以下では EOF 解析から得られたふたつの主要変動モードのうち Pacific-Indo
dipole パターンがなぜ西太平洋域に現れ、卓越するのか、線形モデルなどを用いて解析し
ていくことにする。ここでは通常時間変化の意味を含む「形成」という言葉を Pacific-Indo
dipole パターンが「亜熱帯西太平洋域に現れる」という意味で用いている。
Pacific-Indo dipole パターンを形成・維持する要素として考えられるのは
z 海面水温変動
z 夏の大気の構造
の 2 点である。海面水温変動につ
いては、解析結果からは強い相関
関係は見られなかったが、海面水
温変動とモンスーンの関連性を指
摘する研究もある(Chang et al.
(2000)など)ので検討した。また、
図 8 に夏の気候平均の風の水平・
鉛直構造を示した。図からわかる
ように、気候平均場としてインド
洋上からインドシナ半島にかけて
下層に強い西風領域(モンスーン
ジェット)が存在し、フィリピンの
東沖で貿易風とぶつかる。インド
洋から西太平洋にかけての北半球
側に対流活動が活発な領域が存在
する。また、モンスーンジェット
の上層では東風が卓越し、強い鉛
直シアーをもっていることがわか
る。熱帯域での下層の強い西風は
夏のアジアモンスーン域にしか存
在せず、Pacific-Indo dipole パ 図 8: 夏(JJA)の(a)5°N-10°N で平均した東西風の経度高度
ターンの形成・維持に役割を果た 分布、(b)OLR(陰影)と 850hPa 面の風(ベクトル)。単位は風成分
す可能性がある。以下の節では海 が m/s、OLR が W/m²。
面水温変動と夏の気候平均場の構
造が Pacific-Indo dipole パター
ン形成・維持に果たす役割を検討していく。
35
7. Pacific-Indo dipole と海面水温変動との関係
Pacific-Indo dipole パターン
が形成されるときに海面水温偏
差が何らかの役割を果たしてい
るかを検討するために、気候平均
の海面水温を与えた大気大循環
モデル(AGCM)の時間積分を解析
し た 。 用 い た の は CCSR/NIES
AGCM5.7 で、気候値の SST を毎月
与えて 50 年間積分した。これを
再解析データと同じように夏
(JJA)の水蒸気フラックスの鉛直
積分月平均偏差の EOF 解析を実
行した。EOF 第 1 モードの固有値
の全体の分散に対する寄与率は
23.6%で、他のモードとは統計的 図 9: 水蒸気フラックス(ベクトル)と降水(陰影と等値線)の気候
値の海面水温を与えた AGCM40 年積分の EOF 第 1 モードに
に独立していた。
対する回帰係数。等値線間隔は 0.2mm/day。
図 9 に水蒸気フラックスの鉛
直積分と降水量偏差の EOF 第1モードに対する回帰を示した。フィリピン上の循環偏差と
亜熱帯西太平洋上の南北の降水偏差分布が再解析データの EOF 第 1 モード(図 2 a)と対応し
ている。鉛直構造(図略)も同様によく対応しており、海面水温偏差による強制がなくても
Pacific-Indo dipole パターンは卓越することが確認された。
8. 線形傾圧モデルの利用
Pacific-Indo dipole パターンは
海面水温偏差の強制がない場合で
も主要な変動モードとして卓越す
るということがわかった。そこで、
夏の気候平均場の 3 次元的に非一
様な構造がこの変動パターンが卓
越するのに何か役割を果たしてい
るのかを、線形傾圧モデル(LBM)を
用いて確認する。
線形傾圧モデルは Watanabe and
Kimoto (1999,2000, 2001) によっ
て開発されたもので、AGCM の力学
過程に基づいて作成されている。夏
(JJA)の気候平均場に対して、図 10
上段に示したような水平・鉛直プロ
ファイルをもつ非断熱加熱を熱源
として下段に示したグリッド上の
各点に置き、それぞれに対して定常
線形応答を計算する。各熱源に対す
る線形応答を EOF 解析することに
よって、3 次元的に非一様な夏の気
候平均場に起因して現れやすい循
環偏差パターンを求める。一様な基
本場に熱源をおいた場合、その線形
応答は緯度にのみ依存するが、気候
図 10:線形傾圧モデルに与える非断熱加熱の(a)水平(b)鉛直プ
ロファイル<上段>。図(a)の等値線間隔は 5×10⁻⁵K/s、図(b)の縦
軸はσ座標、横軸は 1×10⁻⁵K/s。<下段>丸で示したグリッド上
に非断熱加熱を置く。
36
平均場が 3 次元的に非一様な構造を持
っている場合には応答の大きさも空間
的に非一様になる。
非断熱加熱を熱源として、亜熱帯の
アジアモンスーン域とエルニーニョの
影響を考慮するために中央太平洋を含
め た 領 域 (45°E-120°W, 15°S-30°N) の
162 箇所のグリッド上に置いたときの
定常線形応答をそれぞれ計算した。夏
の気候平均場の 3 次元に非一様な構造
によって現れやすくなる線形応答パタ
ーンが存在するかを確認するために、
850hPa の風の線形応答の EOF 解析を実 図 11: 850hPa の風(ベクトル)と非断熱加熱(陰影)の線
行した。第 1 モードが全体の分散の 形定常応答の EOF 第 1 モード。風の単位は m/s、加熱
率は K/s。
34.2%を説明可能なモードであった。こ
れは他のモードに対して統計的に独立で、夏の気候平均場の 3 次元的に非一様な構造によっ
て特定の循環偏差パターンが現れやすくなることがわかった。定常線形応答の第 1 モードに
対する 850hPa の風とそれを形成する非断熱加熱の回帰係数を図 11 に示した。この循環偏差
パターンはフィリピンの北側に低気圧性循環が現れる、Pacific-Indo dipole パターンと対
応していた。このような循環偏差パターンが現れるのは図 11 の陰影で示した領域に非断熱
加熱が置かれたときで、南北に熱源と冷源が分布する様子はやはり Pacific-Indo dipole
の OLR の分布と対応している。再解析データから計算した Pacific-Indo dipole の東西風の
緯度高度断面(図 12 a)では、赤道から 20°N までの傾圧構造が線形応答の EOF 第 1 モードか
ら得られた風の鉛直構造(図 12 b)とよく対応している。
図 12: 110°-140°E で平均した東西風偏差の(a)再解析データ(b)LBM から計算した定常線形応答の EOF 第 1
モードに対する回帰係数。東西風の有意水準 95%で有意な回帰に陰影。単位は m/s。
夏の気候平均場が 3 次元的に非一様な構造をしていることが Pacific-Indo dipole パター
ンが夏のアジアモンスーン域で卓越する要因のひとつであることを確認できた。
9. Pacific-Indo dipole が亜熱帯西太平洋で卓越する要因
線形傾圧モデルを用いて、夏の気候平均場が 3 次元的に非一様であることが Pacific-Indo
dipole パターンがアジアモンスーン域で卓越する要因であることがわかった。本節では具
体的に夏の気候平均場のどのような要素がパターンが亜熱帯西太平洋域で卓越するのに貢
献しているのかを再び再解析データを用いて確認していくことにする。
37
フィリピン付近に現れる、Pacific-Indo dipole を構成する循環偏差パターンは、南北約
2200km にわたって広がっていて、これは赤道変形半径とほぼ一致する。したがって、この
循環偏差パターンは赤道から離れた熱源に対する Matsuno-Gill 応答であると考えられる。
夏の気候平均場の特徴とし
て、インド洋からインドシナ半
島にかけて下層に西風領域が
存在することがあげられる。図
13 は 850hPa の 東 西 風 と
effective β
∂2u
∂y 2
を示している。基本場が西風で
β*が正のとき、分散関係式か
ら定常ロスビー波が存在可能
である。実際に線形傾圧モデル
において、熱源をモンスーンジ
ェットの吹いている西風領域
図 13: 夏の気候平均した 850hPa 面の東西風(等値線)と effective
に置くと、線形応答として
β(陰影)。β*が負の領域に薄い影、4×10⁻¹¹以上の領域に濃い影。
Matsuno-Gill パターンが現れ
東西風の等値線間隔は 3m/s。
るが、それ以外の場所では応答
が小さかった。また、Wang and Xie(1996)では、下層で西風、上層で東風の鉛直シアーが
あるときロスビー波が下層で大きな振幅をもつことが指摘されている。これは、再解析デ
ータの解析でも線形傾圧モデルを用いた解析でも上層では循環成分が顕著ではないことに
対応している。ではインド洋から南シナ海にかけての下層で西風が吹く領域のうち、東端
のフィリピン付近で循環偏差が卓越しているのはなぜだろうか?
Simmons et al. (1983)では、擾乱が水平シアーの大きい基本場から運動エネルギーを得
て成長することが指摘されている。基本場から擾乱場への運動エネルギーの変換率は近似
的には
β* ≡β −
∂KE
∂u
∂u
≈ −(u ′ 2 − v ′ 2 )
− u ′v ′ -移流成分
∂t
∂x
∂y
で表わせる。¯ は気候平均、’は擾乱成分を示す。全体に空間平均を施して運動エネルギ
ー変換量を求める。図 14 に Pacific-Indo dipole に伴う 850hPa の風偏差と Simmons et al.
による運動エネルギー変換量を示
した。計算は上で示した近似式で
はなく Simmons et al. (1983)中
に示されている定義式に基づいて
行っている。図 13 の等値線で示し
たように南シナ海のフィリピン付
近はモンスーンジェットの西風と
貿易風の東風が出会っている場所
で、東西風の経度方向の変化率が
大きな値を持っている。同時に偏
差場の東西風も大きな値を持って
いて、この領域で関係式の右辺第
1 項が大きな値をもち、基本場か
ら擾乱場へ運動エネルギーが遷移
図 14: 850hPa の風偏差(ベクトル)と運動エネルギー変換(等値線+影)
の EOF 第 1 モードに対する回帰係数。下層の風の単位は m/s、変換
することがわかった。
量の単位は m²/s²・1/s。
夏の気候平均場の構造のどのよ
38
うな要素によって、Pacific-Indo dipole パターンがフィリピン付近の亜熱帯西太平洋域で
卓越するのかを解析した。インド洋から南シナ海にかけての下層に西風領域が存在するこ
と、その西風と貿易風が南シナ海上で出会っていること、この 2 つの下層の構造がこの位
置でパターンが卓越するのに重要な役割を果たしていることがわかった。下層の西風領域
では定常ロスビー波が存在可能である。とくに基本場の東西風の東西シアーが強い南シナ
海上で形成された場合には、基本場から偏差場への運動エネルギーの変換が起こり、循環
偏差パターンが強化される。したがって、モンスーンジェットが吹いている領域の中でも
定常ロスビー波が減衰されにくくなっており、Pacific-Indo dipole パターンが卓越する原
因のひとつになる。
10. Pacific-Indo dipole パターン維持のしくみ
再解析データの EOF 解析の結果から、Pacific-Indo dipole パターンは夏の月平均偏差の
変動で卓越するパターンであることがわかった。1998 年夏には、季節平均した場でもこの
偏差パターンが卓越したことから、長期間にわたって持続することもあることがわかる。
したがって、前節で示した定常ロスビー応答によってパターンが形成されるしくみに加え
て、形成された循環偏差パターンが長期間にわたって維持するしくみもあると考えられる。
そこで、本節では夏の気候平均場の水蒸気分布に着目して、Pacific-Indo dipole パターン
が維持されるしくみについて
考察した。
図 15(a)に下層(850hPa)の水
蒸 気 の 水 平 移 流
− (u ⋅ ∇q ′ + u ′ ⋅ ∇ q) と 降 水 偏
差、(b)に 850hPa 面の水蒸気の
図 15: 850hPa 面での(a)水蒸気の水平移流(陰影)と CMAP の降水偏差
(等値線)、(b)水蒸気の収束(太い等値線)と海面からの蒸発(等値線)の
再解析データの EOF 第 1 モードに対する回帰。等値線間隔は水平移流
が 1×10⁻⁹kg/kg・1/s 降水量が 1mm/day、収束が 3×10⁻⁹kg/kg・1/s 蒸
発が-0.005mm である。蒸発の有意水準 95%以上で有意な回帰に影。
39
収束 − q∇ ⋅ u ′ と ECMWF 再解析
による海面からの蒸発偏差の
Pacific- Indo dipole に対す
る回帰を示した。水蒸気の正の
水平移流は、フィリピンの北側
の正の降水偏差の位置と対応
した。水蒸気の収束発散は降水
偏差のピーク位置と対応した。
また図 15(b)から、循環偏差パ
ターンが形成されているとき、
ベンガル湾から西太平洋にか
けて海面からの蒸発が活発に
なることがわかった。この海域
は Pacific-Indo dipole パター
ン形成時に基本場の西風が加
速/減速される場所である。し
たがってフィリピン付近に低
気圧性循環があるとき、基本場
の下層の水蒸気がフィリピン
付近で収束する。さらに西風が
強化されて海面からの蒸発が
活発になる。海面から供給され
た水蒸気も移流されてフィリ
ピン付近の対流活動がさらに
活発になる。それに伴ってフィ
リピン付近の低気圧性循環偏差は強化される。また亜熱帯西太平洋上で収束すると南北方
向の鉛直循環が形成され、インドネシア上の対流活動が抑制される。フィリピン付近に高
気圧性の循環がある場合にも同様のしくみで逆パターンの対流活動と循環の偏差パターン
が維持される。
11. 大気大循環モデルでシミュレートされた夏季アジアモンスーン域の主要変動モード
Pacific-Indo dipole パターンは夏の気候平均場が 3 次元的に非一様な構造を持っている
ことによって大気に現れやすくなる変動モードであることが、ここまでの解析結果からわ
かった。また図 6 より、Pacific-Indo dipole パターンは海面水温変動と有意な相関係数を
持つ領域がほとんど見られない。さらに第 7 章より、観測の海面水温の気候平均値を境界
条件に与えて大気大循環モデルを 50 年間積分した場合にも Pacific-Indo dipole パターン
が EOF 第 1 モードとして抽出されることからも、この変動パターンは海面水温に季節変化
以外の変動を与えなくても卓越することが確認できた。
図 16 は観測された海面水温変動を AGCM に与えて時間積分したときの水蒸気フラックス
鉛直積分の PC1 と NCEP 再解析データの PC1 である。この時系列は相関係数 0.42 で、有意
水準 95%で有意な正相関がある。やはり Pacific-Indo dipole パターンが主要な変動として
抽出された。図 6 で示されるように特定の海域の海面水温変動との相関関係は明瞭ではな
いが、海面水温変動は Pacific-Indo dipole パターンを強制する要因となっていることが
わかった。Pacific-Indo dipole パターンの変動を予測するためには、特定海域の海面水温
変動との相関関係に頼らず、その時々で異なる広域の海面水温変動に対する応答を大循環
モデルで診断することが重要である。
図 16:水蒸気フラックス鉛直積分の EOF 第 1 モード時系列(赤線):大気大循環モデルに海面水温変動を与えて
時間積分、(○と線):NCEP 再解析データ。期間は 1979 年から 2003 年(モデルは 2002 年)で JJA 月平均。
40
12. 地球温暖化時のアジアモンスーン域で卓越する変動
将来地球が温暖化すると全球にわたって海面水温と気温が上昇し気候が変化することが
予測されている(IPCC, 2004 ほか)。特にアジアモンスーン域においては夏季の降水が増加・
減少いずれの場合でもその影響は自然環境と人々の社会生活の多岐にわたる。そこで、地
球シミュレータを利用し高解像度の大気海洋結合モデルで現在気候の再現と将来の温暖化
を予測したモデル出力の結果を利用し、夏季アジアモンスーン域で卓越する変動が地球が
温暖化した場合にどのような時間空間構造をもつようになるのかを解析した。
ここでは大気海洋結合大循環モデル
CCSR/NIES/FRCGC MIROC3.2 に IPCC の
A1B シナリオに基づいて CO2 の変動を与
えた長期積分(2000 年から 2100 年)結果
と 20 世紀再現実験(1901 年から 2000
年)結果を用いた。解析の範囲は再解析
データや AGCM の出力を用いた場合と同
様に(40E-180, 20S-40N)で 20 世紀再現
実験では 1971-2000 年、A1B 実験では
2071-2100 年の 6-8 月月平均の水蒸気フ
ラックス鉛直積分を季節平均とトレン
ドを除去し EOF 解析した。
図⒘に温暖化実験の EOF 解析の結果
を示したが、どちらもフィリピン付近
の西太平洋上に循環と対流活動偏差、
インドネシア上にも対流活動偏差が分
布する、Pacific-Indo dipole パターン
の特徴が現れた。また上層で対流活動
が活発な領域から不活発な領域に風ベ
クトルが向かっている構造も再解析デ
ータの EOF 解析結果と一致する。20 世
紀再現実験の結果を EOF 解析しても同
様の結果であった。MIROC でも主要な変
動として Pacific-Indo dipole パター
ンが得られた。
大気海洋結合モデルで再現された
Pacific-Indo dipole パターンの維持の
過程を、再解析データから得られたし
くみと比較した。図⒙は水蒸気フラッ
クス第 1 モードの蒸発への回帰である。
図 15(b)と同様にベンガル湾から西太
平洋にかけて蒸発の活発な領域が広が
っている。下層の循環偏差によって海
面からの蒸発が活発になるという大気
から海洋への作用が、結合モデルの中
で再現されていることがわかった。
図 17:温暖化実験の水蒸気フラックス鉛直積分 EOF 第 1
モードに対する(a)水蒸気フラックス(矢印)と OLR(等値線
と色)、(b)200hPa 面風の回帰。99%有意水準で有意な矢
印と OLR 正・黄/負・青(a)、青(b)をプロット。
図 18: 図⒘と同様。ただし蒸発量への回帰。99%有意
水準で有意な回帰に着色(蒸発が活発・黄/不活発・青)
41
では、地球が温暖化したときに Pacific-Indo dipole はどのような長期傾向をみせる
のであろうか。図 19 は 20 世紀再現実験(1971-2000)の水蒸気フラックス鉛直積分の EOF 第
1 モードに対してトレンドを除去せずに 1951 年から 2100 年までのデータを射影させ、
Pacific-Indo dipole パターンの長期間の変動傾向を示した図である。2040 年代後半から
PC1 が負の値をとる傾向が顕著に見られる。つまり、温暖化が進行すると図⒘の逆パターン
(北西太平洋で対流不活発・インドネシア~インド洋で活発)が卓越するようになると予測
される。これは図 20 で示した温暖化時から 20 世紀再現実験の気候平均の差としてもほぼ
同じ傾向が現れており、温暖化が進行すると Pacific-Indo dipole パターンが頻繁に現れ、
降水量が減少する地域・増加する地域が明瞭になるという予測結果が得られた。
図 19: 20 世紀再現実験の水蒸気フラックス固有ベクトル(解析期間 1971-2000)に対して 1951 年から 2100 年
までの JJA 平均水蒸気フラックスを射影した時系列。トレンドは除去していない。
図 20: 降水(正・黄/負・青)および水蒸気フラックス(矢印)の温暖化時(2071-2100)と 20 世紀再現実験
(1971-2000)の差。
42
13. まとめ
夏のアジアモンスーン域の主要変動モードを EOF 解析によって抽出し、その形成・維持の
しくみを考察した。夏のアジアモンスーン域では、フィリピン付近の下層の循環とそれに
対応した亜熱帯北西太平洋とインドネシア上の OLR の南北シーソーパターンからなる
Pacific-Indo dipole、赤道上に東西、赤道から日本にかけて南北の OLR のピークをもち日
本南岸から北米にかけてロスビー波列を伴う ENSO と PJ パターンに関連する変動モードの
ふたつの変動が卓越することがわかった。
このふたつの主要変動モードのうち、Pacific-Indo dipole パターンについてその形成と
維持のしくみを線形傾圧モデルと再解析データを用いて解析した。Pacific-Indo dipole パ
ターンは SST とは相関が低く SST 偏差の強制がなくても卓越した。線形傾圧モデルを利用
した解析の結果、夏の気候平均場が 3 次元的に非一様な構造をしていることが、パターン
が卓越することに重要な役割を果たしていることがわかった。
夏の気候平均場ではインド洋から南シナ海にかけて下層に西風が卓越し、フィリピン付
近で貿易風と合流する。この構造がフィリピン沖に循環偏差パターンが卓越するのに貢献
することがわかった。また、この循環偏差パターンが形成されているとき、下層の水蒸気
が収束・発散して、さらに海面からの水蒸気が供給・移流され、南北方向の対流活動偏差の
シーソーパターンが現れる。南北の対流活動偏差は下層の循環偏差を強化するので
Pacific-Indo dipole パターンが維持される。
Pacific-Indo dipole パターンは海面水温変動と相関が低い変動モードであることがわか
った。この変動は夏のアジアモンスーン域全体を通じて卓越する変動であるが、特定の海
域の海面水温と関連していない。また、モンスーンジェットの強弱によって海面からの蒸
発や海面水温が変化するという、大気から海洋への作用が起こっていることもわかった。
Pacific-Indo dipole パターンは大気大循環モデル、結合モデルでも主要な変動モードと
して得られた。大気海洋結合モデルではパターンの維持に海洋からの蒸発が役割を果たし
ているという再解析データの解析から得られた結果を裏付ける相関関係が確認できた。ま
た、温暖化したときには北西太平洋で対流が不活発に、ベンガル湾からインドネシアにか
けて活発になるという長期傾向があることがわかった。Pacific-Indo dipole パターンはモ
デルによる再現性が高く、アジアモンスーン域で卓越することから、地球が温暖化したと
きにこの変動パターンがどのように変調するかを知ることがアジアモンスーンの変動の将
来予測において大きな役割を果たすものと思われる。
参考文献
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43
夏季東アジアの天候変動と予測可能性について
荒井(野中)美紀・木本昌秀(東京大学気候システム研究センター)
1.はじめに
夏季東アジア域の気候を特徴付けるものの一つとして,梅雨前線の存在がある.これは,
東アジアモンスーンの一部と見做され(Ninomiya and Murakami 1987),その位置や強度
は大きな年々変動を持つ.それゆえ,東アジアモンスーンや梅雨前線の変動のメカニズム
を理解し,予測可能性を探る研究が多く行われてきた.日本付近の梅雨前線の年々変動に
重要な役割を果たす,南の太平洋高気圧と北のオホーツク海高気圧のうち,太平洋高気圧
の変動には熱帯域からの影響が指摘されている(Nitta 1987 など).一方で,オホーツク
海高気圧の年々変動は梅雨前線に影響を及ぼす(Kurashima 1969; Wang 1992)のみならず,
日本の北東部を中心に冷夏をもたらすことも知られている(Ninomiya and Mizuno 1985;
Kodama 1997).
2.夏季北西太平洋上のブロッキング高気圧と春季シベリアの地表面気温との関係
オホーツク海高気圧は上空にブロッキング高気圧を伴って出現することが多い.また,
上流域のユーラシア大陸の地表面状態との関係も指摘されている(Kodera and Chiba 1989;
Yasunari et al. 1990).そこで,まず,ECMWF 再解析データを用いて,北西太平洋上のブ
ロッキング高気圧について調べた.解析期間は 1958 年 1 月 1 日-2001 年 12 月 31 日の 44 年
間である.
まず,春季のシベリア域の地表面気温を,この時期の標準偏差が最も大きい場所である
東経 60-140 度,北緯 50-70 度の矩形領域の平均気温の平年偏差でインデクス化する.ここ
では長周期の変動を取り出すため,30 日の低周波フィルターをかけた地表面気温に対して
解析を行った.さらに、Tibaldi and Molteni (1990)の定義を元に,以下の手順でブロッ
キングを検出した.10 日の低周波フィルターをかけた 500hPa 高度場より,ブロッキングの
多い経度帯である東経 120-170 度のある緯度φ0 において,
Z(φ0)- Z(φ0-15o)>0
かつ
Z(φ0+15o)- Z(φ0)<-8
となる日が 6 日以上連続した場合,ブロッキングが出現したとみなす.その上で,一年の
うちある日の前後 10 日間にブロッキングが何日間起きたかをその日のブロッキングの生成
頻度と定義した.こうして計算されたブロッキングの生成頻度を,先に述べたインデクス
化されたシベリア域の地表面気温が4月に高温であった年について合成した結果を図1に
示す.作図に用いた 4 月の高温年は,シベリア域の気温インデクスの 4 月 10 日から 5 月 10
日までの平均値が,44 年間の標準偏差を上回った 9 年(1967, 68, 75, 77, 81, 82, 95, 97,
2000 年)を指す.これにより、シベリア域の高温のピーク(黒線)の約 2 ヶ月後までブロ
ッキング生成頻度(赤線)が平均値(濃赤線)を大きく上回っていることがわかる.つま
り,春季のシベリア域の気温偏差の影響が,その後の夏季の北西太平洋域の大気場に長期
間現れていると言える.
44
図1 シベリア域4月高温年の地上気温偏差(黒)とブロッキング生成頻度(赤:シベリア高温年のみ合
成,濃赤:44 年平均,陰影は標準偏差±1)
.横軸は日付,3 月から 8 月.
地表面気温においてシベリア域の気温と同経度のそれより北の北極海との相関は小さい
ため,春季のこの領域の高温偏差は,冷たい北極海との間に大きな南北温度傾度を生じる
ことを意味する.この南北温度傾度は上空の西風ジェットを強化する.実際に極東域(東
経 110-160 度)で東西平均した 250hPa 面東西風の緯度-時間断面を見ると,4 月から 7 月
上旬に至るまで北緯 70 度付近で東西風が気候値より強くなっていた(図2左).このとき,
オホーツク海域上空は、北緯 20-30 度付近に存在している亜熱帯ジェットとこの寒帯ジェ
ットとの間に位置し,南北渦度傾度が小さい場所となる(図2右).
図2 左:極東域(東経 110-160 度)で平均した 250hPa 面東西風の緯度-時間断面.コンターは 44 年平均,
陰影がシベリア 4 月高温年平均の偏差.右: 5,6 月平均の 250hPa 面ポテンシャル渦度.実線がシベリア 4
月高温年平均,点線は 44 年平均.
こうしたポテンシャル渦度の南北勾配の小さい領域においては,低緯度にある低ポテン
シャル渦度の気塊と高緯度の高ポテンシャル渦度の気塊とのミキシングが起こりやすいと
考えられる.このことは,高緯度で高気圧性循環が生じるようなブロッキングのきっかけ
が豊富であるということを意味する.さらに,こうした場が背景に存在することにより,
いったん高緯度で生じた高気圧が高緯度側に留まりブロッキングを形成しやすいであろう
と推察される.実際に,4 月高温年に生じたブロッキングと 4 月低温年に生じたブロッキン
グをそれぞれイベント中のピーク時を基準として合成図を作成すると,4 月高温年に生じた
ブロッキングの方が最大発達時の高気圧偏差が大きく,かつ持続時間も長いことがわかっ
た.
45
最後に,本研究の結果から理解される日本付近の気候への影響についても言及する.一
般に,夏季に北西太平洋域のブロッキングによって下層のオホーツク海高気圧が強くなる
と,北日本に冷夏をもたらし,梅雨前線が強化されると言われている(Ninomiya and Mizuno
(1987)).シベリア 4 月高温年で気温・降水量場の合成図を作成したところ,北日本の冷夏
傾向が特によく見られた(図3).このことより,春季のシベリア域の地表面状態は,引き
続く夏季の極東域の天候の指標として用いることが出来ると考えられる.
図3:4 月のシベリア域(60-140E,50-70N)が標準偏差を上回る高温の年で合成した夏季東アジアの地表
面気温(陰影),海面温度(コンター着色),海面気圧(コンター黒),850hPa の風の場(矢印).
3.春季シベリア域の地表面気温変動の要因と影響
ここでは,シベリア域の春季の地表面気温に年々変動をもたらす原因について調べた.
地表面気温は CRU による 0.5°グリッド月平均データ,海面気圧は Trenberth の月平均海面
気圧を用いた.期間は 1901-2002 年の 102 年分である.こうした長期間に渡る地表面気温
と海面気圧場の変動を調べることにより,春季の地表面気温の年々変動の要因も探り,さ
らに前節で明らかになった春季の地表面気温の夏季の気圧場への影響も確認する.
今回は,年々変動に着目するため,春季(3,4月平均)の地表面気温に対し,high-pass
filterで20年以上の周期の変動を除去した上でEOF解析を行った.最も卓越する成分に伴う
パターンは,図3に示したように,ユーラシア大陸の広い範囲で,40N以北に大きな正の温
度偏差,その南に負の温度偏差を持ち,その寄与率は27.1%に及ぶ.
図4 春季ユーラシア域の地表面気温のEOF第一モードの空間パターン.PC1の標準偏差1に対する値で示
した.95%以上有意なところに彩色.
このような春季の変動パターンが季節とともにどのように変動するかをさらに調べるた
め,図4に示したEOF第一モードに伴う空間パターンにおいて作用中心となっているシベリ
ア域(40-140E,50-70N)が高温となる年のみで合成図を作成し,3月から6月までの変化
46
を追った(図5).高温アノマリが季節進行に伴って東に移動しながら保たれること,6月
には高温域がオホーツク海の北,東シベリア域に達することがわかる.
夏季の東シベリア域の高温アノマリは,その南側のオホーツク海との間に南北方向の温
度逆転が顕著であることを示し,これがオホーツク海上のブロッキング高気圧の生成要因
となる(Nakamura and Fukamachi 2004, Tachibana et al. 2005,Arai and Kimoto 2005).
そこで,ここで得られた春季のユーラシア域の地表面気温の変動パターンが夏季の気圧場
に及ぼす影響について調べ,これまでの研究との比較検討を行う.
図5:シベリア域(図中の矩形の領域)の3,4月の地上気温が標準偏差以上の年17年分で合成した春
から初夏にかけての季節進行.
ここで得られた春季ユーラシア大陸上の地表面気温のEOF第一主成分の時系列(PC1)と
の夏季の気圧場との相関を計算した.5,6月の海面気圧(SLP)との相関パターンは,図6
に示したように,オホーツク海から北西太平洋上で高い正相関を示している.また,PC1と
の夏季の地表面気温との相関は5月より6月の東シベリア域で高い値を示し,オホーツク
海高気圧の生成に寄与していることを示唆している.この春季のシベリア域の高温偏差は
夏季のオホーツク海高気圧を強化する傾向は,前節の結果と一致している.
図6 春の地表面気温のPC1と5,6月の地表面気温(陰影),slp(コンター)との相関図.
次に,図4に示したような春季の地表面気温の変動パターンの形成要因となる気圧場を
調べるため,前節と同様にPC1とその前の各月の地表面気温及びSLPとの相関を計算した.
その結果,図7に示した通り,1-3月にNAOに良く似たパターンを見出した.すなわち,晩
冬季のNAO的な気圧偏差場によるユーラシア大陸西側の高温化によって図4の地表面気温
のパターンがもたらされたと考えられる.
47
図7 春の地表面気温のPC1と1月-4月各月の地表面気温(陰影),SLP(コンター)との相関図.
PC1と1,2月のNAOインデクス(アイスランド-アゾレスの海面気圧差)の時系列を, 31年
間毎に相関係数を計算すると,今世紀後半から急激に両者の相関が高くなっていることが
わかる(図8).この関係は1月のNAOインデクスとの相関に特に顕著に現れ,1901-1954年
の前半55年間では両者の相関は-0.18 であったのに対し,後半の1955-2002 年では0.28 と
なっている.また,PC1 と5,6月のオホーツク海上(140-160E, 50-60N)で領域平均したSLP
偏差(オホーツクインデクス)の時系列との31年間毎の相関を取ったところ,強い正相関
をもつ時期(1925-1954, 1975-)と相関が弱い時期(-1924, 1955-1974)が存在している
ことがわかった(図9).
ここで得られた冬季のNAOから夏季のオホーツク海高気圧に至る一連の関係は,今世紀後
半については,冬季のAO/NAO パターンが夏季のオホーツク海高気圧の発達の先行シグナル
となるというOgi et al.(2004)の結果と一致しているが,より長期的に見た場合は変動し
ていることが分かった.このような春季の地表面気温の年々変動とその前後の気圧場との
関係が,長期に渡って変化する理由については,例えば太平洋の海面水温の長期変動によ
る変調が考えられる.例えば,Wang et al. (2001)では,北太平洋の海水面温度がオホ
ーツク海高気圧の年々変動に影響するという観測結果を得ている.また,冬季の気圧場と
の関係の長期変動については,NAOの持続性や近年の温暖化による季節進行の変化などが挙
げられる.さらに,図7の作成に用いたNAOインデクスは,ローカルな変動とより大規模な
変動場を持つ成分に分けられ,後者は東アジア域の地表面気温との同時相関が高いとの指
摘もある(Kodera and Chiba 2004).このような観点で,今後,両者の相関の変動を再評
価する必要がある.
48
図8 (a) 春季地表面気温のPC1と1月のNAOインデクス. (b) (a)に同じ.ただし,2月のNAOインデクス.
(c) 31年間のPC1とNAOインデクスとの相関
図9 (a) 春季地表面気温のPC1と5月のオホーツクインデクス. (b) (a)に同じ.ただし,6月のオホー
ツクインデクス.(c) 31年間のPC1とオホーツクインデクスとの相関
4.夏季東アジア域の年々変動と将来予測
ここでは,大気大循環モデルを用いて夏季の東アジア域の気候の再現を試み,さらに温
暖化による気候変化の予測を行う.近年の大循環モデルを用いた研究では,梅雨前線上の
降水の増加や,オホーツク海高気圧の強化が報告されている(Kimoto 2005).Kimoto(2005)
ではさらに,17種類の大気海洋結合モデルの温暖化シミュレーション結果から,こうした
49
気圧パターンは北東ユーラシアの地表面気温の増加と関連していることを指摘している.
本研究で使用した大気大循環モデルは,CCSR/NIES/FRCGC AGCM 5.7b(K-1 model developer
2004)である.解像度はT106L56とした.現在気候の再現実験としては(以下,現在気候実
験と表記),1979年1月1日から1998年12 月31日の期間の観測された海面水温を与えた積分
を初期値を変えて5種類のアンサンブル実験を行った.比較する観測データは,主にECMWF
ERA-40,降水量のみCMAP(Xie and Arkin 1997)の同期間を用いた.さらに,二酸化炭素
倍増実験として,7種類の研究機関が二酸化炭素倍増条件下で行った,大気海洋結合モデル
による気候値の増分を1979 年1 月1日から1998 年12月31日の観測値に加えた海面水温を
与えて,現在気候の2倍の二酸化炭素を与えて20年分の積分を行った
まず,モデルがどの程度現実の夏季(JJA)の東アジア域の気候の年々変動を再現してい
るのか調べるため,夏季平均の500hPaジオポテンシャル高度場の東アジア及び北西太平洋
域(80oE-180oE,20oN-70oN)に着目して解析を行った.この領域の観測の20夏分,現在気候
実験の20x5夏分に対してEOF解析を行った結果を図10に示す.第1主成分(PC1)の500hPa
ジオポテンシャル高度場への線形回帰図より,観測(図10(a)),現在気候実験実験(図
10(b))で得られた最も卓越するモードは,共通して130oE付近で南北3重極構造を持つ.
さらに,このモードは順圧的な構造をしており,正符号のときに低圧部にあたる,中国南
部から西太平洋に伸びる降雨帯の強化を伴う(図10(c),(d)).また,PC1の時系列も観
測と現在気候とで非常に良く似ており,アンサンブル平均と観測との相関係数は0.65であ
った.
図10:夏季東アジア域(80oE-180oE, 20oN-70oN)の500hPa面ジオポテンシャル高度場のPC1へ の
(a)(b)500hPa面高度,(c)(d)海面気圧(コンター),降水量(陰影.間隔は0.2),850hPa面上の風(矢印)
への回帰.(e)主成分PC1の時系列.黒線は観測,赤太線はアンサンブル平均,赤点線は各アンサンブル.
50
ジオポテンシャル高度場,降水量,海面気圧場への第2主成分PC2の回帰図においても,
観測と現在気候実験とはよく似た空間パターンを示している(図11).このモードにお
いては,ジオポテンシャル高度場は第1モードと比較して東西方向に広がった南北双極子構
造をしており,この二つの波のコントラストが大きい.観測と現在気候実験のアンサンブ
ル平均のPC2の時系列の相関は0.50と高い値を示した.これらのことは,この大気大循環モ
デルで,東アジア域の夏季の天候の年々変動が現実的に表現されていることを示している.
また,これら二つのモードはアンサンブル平均された場でも再現できたことから,海面水
温のような境界条件に大きく影響を受けていると考えられる.さらに,同様の解析をより
解像度の低い(T42L20)大気大循環モデルの結果についても行ったが,これまでに示した
ような観測との一致は得られなかった.
図11:図10と同様.但し,PC2への回帰図及びPC2の時系列
地球温暖化時の夏季東アジア域の気候の変化は,二酸化炭素倍増条件下での7メンバー
アンサンブル実験と現在気候実験の結果とを比較することにより得られる.二酸化炭素倍
増条件下では,2m気温は北東シベリア域で特に増加し,500hPa面ジオポテンシャル高度場
は北東シベリア域からオホーツク海にかけて特に増大していた.また,この強化された高
気圧の南端で降水が帯状に増えている.これらの空間的な構造は,前節の現在気候のEOF 第
1モードに似ている.
次に,二酸化炭素倍増実験と現在気候の年々変動を比較するため,前節で得たEOFの各モ
ードに二酸化炭素倍増実験の年々変動を投影した.図12はJJA 各月の各アンサンブルの
結果を,現在気候のEOF1,EOF2で張られた二次元空間上に投影した確率密度関数である.
51
図12:東アジア域の夏季(JJA)の500hPa高度偏差場の現在気候実験のEOF1(横軸)及びEOF2モード(縦
軸)へ投影した確率密度関数.現在気候実験は左,二酸化炭素倍増実験は右図.
現在気候のジオポテンシャル場の年々変動(図12左)は,EOF1への射影の符号による2
つのレジームに分かれている.EOF1への正の投影の大きいレジームでは,ジオポテンシャ
ル偏差場は,EOF第1モード(図10)に見られた東シベリアから南へ三重極構造をもつよ
うな空間パターンを持ち,梅雨前線は強化される.負の投影の大きいレジームはその逆と
なる.但し,観測値のこれと同様の確率密度関数では,データ数が少ないために,このよ
うな明瞭な2つのレジームは現れなかった.このような2つのレジームの存在も興味ある
問題であり,どのようなモデルの力学によって生じるのかについては今後の課題としたい.
一方で,二酸化炭素倍増実験の確率密度関数はEOF1への正の投影の大きいレジームに集
中していた(図12右).二酸化炭素倍増時のジオポテンシャル高度場や降水量の気候値
の変化は,Palmer(1999)やCorti et al.(1999)で議論されたように,このレジームの
出現頻度の変化に拠っている.ただし,本研究で議論に用いているのは,Palmer(1999)
で述べられているような大気のみの内部変動モードではなく,海面水温などの境界条件と
の相関の高い「強制」モードである.また,Palmer(1999)やCorti et al.(1999)では,
こうしたレジームの出現頻度の地球温暖化による変化を北半球の冬季において議論してい
たが,本研究ではこれと似た現象が,大気大循環モデルによって再現された夏季の東アジ
アの気候変化においても起こり得ることを示した.現在気候のアンサンブル実験の全メン
バーの第1主成分の時系列が観測のそれとよく似ていることから,主変動モードの年々変動
は海面水温のような境界条件からの応答とも考えられる.一般には夏季の東アジア域の天
候の予測可能性は低いと言われている(Brankovic and Palmer 1997, 2000)が,こうした
東アジア域の年々変動に影響を及ぼす境界条件を詳しく解析し要因の特定を行うことで,
今後の気候モデルの改良に対し貢献出来る可能性がある.
そこで,現在気候のEOF第1モードと関係している地表面の境界条件を探るため,観測及
び現在気候実験のPC1の2m気温への回帰を計算した(図13).現在気候実験では観測のそ
れと比較して正のアノマリが支配的ではあるが,回帰パターンには共通点が多い.共通す
る特徴を持つ,95%の有意水準を越えた部分は,熱帯太平洋域の西の正の偏差,中央-東の
負の偏差,大西洋の亜熱帯と極域に存在している.前者のSST偏差は,梅雨前線や東アジア
モンスーンとの関係が示唆されている(Nitta 1987; Lau et al. 2000).これらの領域は
地球温暖化時の夏季の東アジア域の変動に重要な役割を果たすと考えられる.実際に,熱
帯太平洋域のこれらの海水面温度の増大は,大気海洋結合モデルによる二酸化炭素倍増実
験でも報告されている(IPCC 2001).
52
図13:地表面気温(陰影)及び500hPa面高度(コンター)のPC1への回帰.緑線は有意水準95%以上の領
域を示す.(a)観測,(b)現在気候実験.
また,境界条件として与えた海面気温だけではなく,積分計算の結果である地表面上の
気温においても,東シベリア域に共通して高温偏差が見られた.この東シベリア域の高温
偏差は,オホーツク海高気圧に伴うブロッキング高気圧と関係していることが示唆されて
いる(Nakamura and Fukamachi 2004; Tachibana et al. 2005; Arai and Kimoto 2005).
この関係は,二酸化炭素倍増による東シベリア域の高温化と高気圧偏差の増大と一致して
いる.これらの境界条件がどのように東アジア域の気候に影響を及ぼすのかについては,
今後さらに解析を進め明らかにしたい.
53
アジアジェット導波管とNAO の下流への伸張
渡部雅浩(北大地球環境)
季節~年々スケールの東アジアの天候変動には、日本の南海上の対流活動の影響も強く
見られるが、ユーラシア大陸上のジェット気流の変動が大きな影響を持つことがわかって
きた。その一つの例として、大西洋域でしばしば見られる天候変動である北大西洋振動
(NAO)がジェット気流を介して東アジアの天候を変えるというメカニズムが明らかになっ
た。
冬の日本の天候に影響する大規模な大気変動としては、北極振動がよく知られている。
一方、北極振動とよく似た時間変動特性を示す NAO は、北大西洋のアイスランド低気圧と
アゾレス高気圧がともに強弱を繰り返す現象で、その影響は大西洋域~ヨーロッパに限ら
れている。では、両者(北極振動と NAO)を分かつものは何か? この疑問を観測データを用
いて調べてゆくと、出現する NAO のうち、あるものはより半球的な広がりを示すことがわ
かってきた。図1は、NAO に伴う対流圏上層の南北風の偏差分布である。12 月には、南北
風偏差はほぼ北大西洋にのみ見られるが(図1a)、2 月の偏差分布では、ユーラシア上のジ
ェット気流(図中の細実線)に沿って、有意な偏差が日本から北太平洋まで到達しているこ
とが分かる(図1b)。すなわち、初頭の NAO は北極振動とは異なる空間分布をもつが、晩冬
には両者は似通った構造をとりやすいことを示している(実際、北極振動と NAO の指数の相
関係数は、2 月に最大で 0.89 となる)。日単位のデータを詳細に調べると、図1(b)に見ら
れるような波列状の偏差は、NAO から数日の時間スケールで下流へ伝播したものであること
が同定できた。
上記のような波列の実体は、アジアジェットが補足した準定常ロスビー波として理解で
きる。大気中の強い西風ジェットは、波を捕捉し迅速に下流へエネルギーを伝播させる導
波管の役割をもつ。このロスビー波の波源をデータから推定すると、NAO が下流へ伸張する
ときに限り、アジアジェットの入り口に上空の発散による波のソースが生じていることが
分かった。波源は、2 週間程度の寿命をもつ NAO が衰退する際に、地表摩擦の効果として上
空に見られるものだが、データ解析および線型モデルの診断から、これが導波管としての
ジェットの入り口(地中海付近)に存在するか否かが、NAO が東アジアの天候に影響するかど
うかを決める重要な要素であると結論づけられた。
(a)
(b)
図1 月平均の NAO インデックスに対する 300hPa 南北風の線型回帰係数、(a) 12 月、(b) 2
月。等値線は 1m/s ごと、陰影は 95%で有意な領域。細実線は当該月の 300hPa 東西風の気候値。
54
冬季・夏季の東アジア天候の予測可能性
車 恩貞・木本昌秀(東京大学気候システム研究センター)
1.秋の積雪が東アジアの厳冬を誘起
北半球冬季の中高緯度に卓越する変動として北極振動(AO)がよく知られている。本研
究では、このモードの励起に関して、冬に先立つ秋のユーラシア大陸東シベリア域の積雪・
気温偏差が果たす役割がこれまでの研究で指摘されている。ここでは、典型的な逆符号の
例である 1988/89 年と 2000/01 年の事例について事後予測実験を行った。降雪があった後
の 10 月の 10 日間の各日を初期値として翌年の 2 月まで、海面水温は気候値を与えて大気
モデルを積分したところ、観測された符号の AO を励起することができた。初期値を 10 月
の降雪が起こる前へずらすと応答が消えることから、シベリアの下層気温偏差が AO 型偏差
の励起に有効であることが確認された。
(a) NCEP/NCAR z500
(DJF 2000/2001 – DJF 1988/1989)
(b) ISP Exp. z500
(DJF 2000/2001 – DJF 1988/1989)
(c) BISP Exp. z500
(DJF 2000/2001 – DJF 1988/1989)
図1 12-2 月 3 か月平均の 500hPa 高度の 2000/01 年と 1988/89 年の差。(a) 観測値。等値線は 40m 毎。
(b) 10 月を初期値とするモデルアンサンブル予報値の差。等値線間隔は 10m。(c) (b)と同じ。ただし、初
期値の日付が(b)より早く、2000 年のケースでは降雪の前、1988 年のケースでは暖気流入の前。いずれの
パネルも 95%有意な領域に陰影。
(a) NCEP/NCAR
2.エルニーニョ年東アジアの冷夏について
統計的に、エルニーニョ年の夏は東アジアでは冷
夏になる傾向が強いことが知られているが、そのメ
カニズムは不明である。過去 50 年間 10 ケースのエ
ルニーニョ(および同数のラニーニャ)事例を解析
し、東アジアの低温は、ユーラシア大陸中緯度に広
く東西帯状に広がる低温偏差の一部であり、下層か
ら上空まで同符号の順圧的なものであることが明
らかになった。このテレコネクションの成因を探る
ため、エルニーニョに伴う海面水温偏差を湿潤線型
モデルに与える数値実験を行った。図2に示すよう
に、熱帯太平洋の海水温偏差だけでは東アジアの低
温偏差の大きさの再現は十分でないが、インド洋の
海水温正偏差を加えると改善される。エルニーニョ
時の東アジアの天候予測に際し、インド洋の海水温
の監視の重要性が示唆された。
図2 エルニーニョ時の夏(6‐8 月)の 200hPa 高度(等
値線)および気温(陰影)偏差の合成図(10 ケースの平均)。
(a) 観測。(b) 熱帯太平洋の海面水温を与えた線型湿潤モデ
ルの結果。(c) (b)と同様。ただし、熱帯インド洋の海面水
温偏差を加えたもの。
55
(b) WP+EP
(c) IN+WP+EP
欧州熱波と日本の冷夏2003
木本昌秀・宮坂隆之・荒井美紀
(東京大学気候システム研究センター)
1.はじめに
1993年以来10年振りの北日本の冷夏とともに2003年夏は未曾有の欧州熱波も
話題になった(Black et al., 2004; Luterbacher et al., 2004)。
日本の冷夏は、7月と8月、とくにオホーツク海高気圧の勢力の強かった前者が顕著で
あった。一方、ヨーロッパでは、死者が多数出た8月上旬の熱波が衝撃的であったが、春
先から暖かい状態が続いてはいた。
ヨーロッパから極東にかけてはシベリア上空を越えてEUパターンなどのテレコネクシ
ョンがあることが、とくに冬季についてはよく知られている。また、極東の初夏の天候に
春先のシベリアの影響があるのではないかということも近年盛んに話題になっている。
ここでは、2003年夏のケースでは、高緯度での欧州~極東テレコネクションも一役
買っていたのではないかという観点でコメントする。
2.欧州のようす
図1は2003年5~8月の月平均偏差図である。地表気温(陰影)と500hPa高
度(等値線)を示した。8月だけでなくて5月頃から欧州の高温傾向が続いていたことが
わかる。また、地表の高温偏差は上空の高気圧偏差、あるいはその後面の暖気移流(偏差)
によることがうかがい知れる。ここで筆者らが注目したいのは、欧州の上流、北大西洋上
May 2003
May 2003
Jun 2003
Jun 2003
Jul 2003
Jul 2003
Aug 2003
Aug 2003
図1 2003 年 5 月~8 月欧州付近の月平均偏
差図。陰影は地表気温偏差(℃)、等値線は
500hPa 高度偏差(10m 毎)。NCEP/NCAR 再
解析データによる。
図2 2003 年 5 月~8 月の月平均海面水温偏差
(℃)
。NOAA Optimum Interpolation Sea Surface
Temperature データセットによる。
56
にこの期間を通じて上空の低気圧偏差が見られることである。とくに6月~8月は多少位
置にゆらぎはあるがイベリア半島北西方に持続的に低気圧偏差が見られる。この低気圧前
面では持続的な暖気移流偏差があり、下層の高温偏差に貢献したのではないかと考えられ
る。
3.北大西洋の海面水温
数か月以上にわたる上空の低気圧偏差の存在は大気循環の持続性のみからは理解しにく
い。そこで同時期の海面水温偏差(SSTA)のようすを図2で見てみる。すると、およそ上
空低気圧の下にあたる位置に負の SSTA が対応していたことがわかる。
一般に、中高緯度域での海面水温偏差は大気循環の偏差によって形成されることが多い
ことが知られている。北西太平洋のこの低 SSTA は5月頃から顕著になった。5月の上空の
南北双極子様の気圧偏差に伴って海面付近にも西風偏差が期待されるが、これに伴う潜熱
フラックス増加、乱流混合、エックマン移流偏差等が低 SSTA の形成に貢献したのではない
かと考えられる。
いったん形成された低 SSTA パッチは大気循環よりは長い持続性を持つ。6月以降 SSTA
と上空低気圧偏差がともに持続していた原因の一つにこの海域での大気海洋相互作用が挙
げられるのではなかろうか。より詳しいデータによる検証が必要である。
4.Siberian Express
さて、このような欧州の持続的様相は
より大きなスケールでどのような影響を
及ぼしていたであろうか。図3は図1,
2と同様、2003年5~8月の天気図
であるが、大西洋~極東域のより大きな
範囲を250hPa 面での高度偏差(等値
線;50m 毎、零線は略)と、それをも
と に 計 算 し た Takaya and Nakamura
(2001) による波活動度フラックス(矢
印)をプロットした。波活動度フラック
ス計算の際の基本場は長期間(1979
年~1995年)の月平均気候値とした。
これによれば6~8月には北西太平洋
~欧州から東方に弧状の波伝搬が見える。
伝搬は極東域で終わっている。
日本の冷夏をもたらしたのは7,8月
に見えるオホーツクおよび北東シベリア
上空の高気圧偏差、ないしはその南方の
低気圧偏差との組によるジェット分流~
梅雨型気圧配置であるが、そのような気
図3 観測された 2003 年 5 月~8 月の 250hPa 高
度偏差(等値線;50m 毎;零線は略)、月平均偏
差場の波活動度フラックス(矢印;単位は m2s-2)
。
57
(a)
圧配置の形成にシベリア上空を渡るテレコ
ネクションが貢献していたのではないか。
月平均でなくもう少し細かい時間スケー
ルでも波伝搬のようすを見たが(図省略)、
各偏差中心のゆっくりとした西進や波伝搬
(b)
の間欠性なども見られるものの20日周期
以上の長周期偏差成分には図3(6~8月)
の矢印で示唆される経路に沿う波伝搬が顕
著であった。
(c)
5.平年との比較
図3で見たシベリアテレコネクションは
2003年に特徴的なものであったのだろ
うか。この季節、地域における250hPa
図4 250hPa におけるポテンシャル渦度(等
値線;単位は PVU≡10-6 m2s-1Kkg-1)と波活動
べてみた。まず、図4(a)(b)は、19
度フラックス(矢印単位は m2s-2)
。(a)3~5 月、
79年~2002年の平均気候値による2 (b)6~8 月の観測気候値。(c)2003 年 6
50hPa 面ポテンシャル渦度(PV;等値線) ~8 月。詳しくは本文参照。
面の準定常波伝搬の気候学平均の様子を調
と波活動度フラックスの同じく気候学的平
均値(矢印)である。後者は、各年各月の月平均偏差を「擾乱」成分とし、長期間月平均
を「基本場」として計算したフラックスの長年平均として定義した1。したがって、気候学
平均的な擾乱活動の目安を与える。
図4(a)は3~5月(MAM)の平均、図4(b)は6~8月(JJA)の平均である。MAM で
は波活動は北大西洋からシベリア中央部で終わっているが、JJA になると活動域がやや北方
にずれ、またより極東方まで伸びていることがわかる。このような波活動域のずれは背景
場 PV の南北傾度の大きい(~ジェットの強い)場所の北方、東方へのずれ、伸張と整合的
である。他の季節の図(略)と比べても、波活動の伝搬がもっとも北方に寄り、また、極
東まで伸張するのは夏(JJA)のみの特徴であった。春から夏にかけてユーラシア大陸は昇
温するが、北極海の昇温はそれより遅い。大陸~北極海の間の温度コントラストの増大に
よる背景 PV 場の変化でこのような波活動の特徴を説明できる可能性が高い。
図4(c)は図4(b)と同様 JJA の図であるが、2003年の PV、波活動の3か月平
均を示した。「波(~擾乱)」は各月平均偏差と定義されている。基本場は長年平均。図
4(b)と比べて2003年の波活動~シベリアテレコネクションが顕著であったことが
わかる。このことには、2003年は、高緯度、ユーラシア大陸と北極海の境目付近で PV
の南北傾度が増大していた、すなわちより南方の亜熱帯ジェットとダブルジェットの様相
を呈していたことが関連しているであろう。ちなみに、前回の冷夏時、1993年の波活
1
データセットの都合により、波活動フラックス算出の際の基本場は1979~1995年の平
均気候値となっている。ポテンシャル渦度、波活動度フラックスの気候値定義年(1979~2
002年)と異なるが、結果に影響はないと考えられる。
58
動度も、2003年と同様の北方シフト、
活発化の様相が見られた(図略)。
6.Hindcast 実験
2003年日本の冷夏には欧州からシベ
リア上空を越えてユーラシア大陸と北極海
の境界域を極東まで伸びるテレコネクショ
ンが貢献していたのではないかとの考えを
述べた。また、波活動の原点付近、北大西
洋での大気海洋相互作用による持続性強化
が波活動~大規模場偏差の持続性の一因で
はないかとの仮説も提示した。
仮説は検証されねばならない。難しいが、
その第一歩として大気大循環モデルによる
hindcast 実験を行ってみた。T106鉛直
56層の CCSR/NIES/FRCGC 大気大循環モデ
ル(AGCM)を用い2003年5月1~10
日の1日ごとの NCEP/NCAR 再解析値を初期
値として10メンバーアンサンブル実験を
8月終わりまで行った。SST は気候学的平
均値を与えたもの(climSST)、観測された
2003年の全球での値を与えたもの
図 5 図 3 と 同 様 、 た だ し 、 AGCM に よ る
hindcast 実験の結果。アンサンブル平均である
ため偏差は過少評価気味になる。等値線間隔
は 20m 毎(零線は略)、矢印のスケールも図3
とは異なる。
(obsSST)、そして、北大西洋北部の負の
SSTA パッチのみを与えたもの(NATL)の計3セットを行った。
図5は、図3の観測と対比されるべき obsSST 実験の結果である。climSST 実験のアンサ
ンブル平均を基本場とし、obsSST 実験アンサンブル平均との差を偏差と定義する。6月、
8月は極東シベリア域に正の高度偏差が見られる、欧州から極東への波伝搬が少し見える、
など努力の跡は見えるが、偏差位置、時期など観測とかなり違っているので予報(hindcast)
としては成功とは言いがたい。やはり予報はむつかしい。
(NATL 実験も同様に芳しくない。
図省略。)
予報として偏差波の位相、出現時期まで当てることは難しいにしても、図4(c)で見た
ようなシベリア導波管の活発化をモデルは表現できるであろうか?まず、図6(a)は、図
4(b)に対応する climSST 実験の結果である。波活動度フラックス計算の際の基本場は
climSST 実験のアンサンブル平均とし、偏差成分はアンサンブル各メンバーの月平均値の基
本場からのずれと定義した。月平均偏差で定義した波活動をアンサンブルメンバー各々の
波の位相によらず表示したことになり、モデルにおけるこの時期(JJA)の気候学的な波活
動の目安を与える。PV は climSST 実験のアンサンブル平均をプロットしてある。5月を初
期値とした今回の実験では波活動の季節変化を見ることはできないが、別の長期積分によ
れば、モデルは夏季のシベリア導波管の活発化と下流への伸張を表現できることがわかっ
59
(a)
ている。
さらに、図6(b)(c)は obsSST、NATL
実験の結果を用いた図6(a)と同様の図
である。ただし、波活動フラックス計算の
基本場は climSST 実験のアンサンブル平
(b)
均としてある。波活動度への2003年
SSTA のインパクトを図6(a)との比較で
見ることができる。プロットされている
PV は各実験のアンサンブル平均である。
図6(a)、(b)を比べると、2003年の
(c)
SST を与えた(b)の方が気候値 SST 実験
(a)よりもシベリア導波管の活動が活発
であり、観測の気候値、2003年の比較
(図4(b)、(c))と対応する。波の位
置、位相まで予測することは難しいが、観
測された一側面をモデルが捕えようとし
ているものと考える。さらに、図6(c)
でも同様に波活動の活発化を見ることが
図6 (a)
:図4(b)と同様、ただし、AGCM
による climSST 実験の結果。
(b),
(c)
:図6(a)
と同様、ただし、obsSST、NATL 実験による。
詳しくは本文参照。
できるので、この面については、§3に述
べた北大西洋の負の SSTA パッチの役割に
ついての推論を支持する結果となってい
る。
平年より活発なシベリア導波管での波
活動は、東シベリア~極東で衰弱し、基本
場へフィードバックしていることが考え
図7 2003年6-8月平均の15日移動平
均を施した擾乱(平年偏差)成分による 250hPa
面流線関数の時間変化率(等値線:5m2s−2 毎)。
られる。図7は、観測された平年偏差の1
5日移動平均で「波」成分を定義し、それによる250hPa 面での渦度フラックス収束を、
∇ −2 演算子を施して、流線関数の時間変化率として表示したものである。2003年の6
-8月平均が示されている。東経90°-150°付近のユーラシア大陸上において、北
方で高気圧性、その南方で低気圧性の逆位相型の循環分布を作ろうとするようすが見える。
ここで、15日移動平均を用いたのは、サンプリングエラーを軽減するためと、より短周
期の擾乱成分からの寄与は顕著でなかったためである。これは、この領域での波の砕波に
伴って、より大きなスケールでの気塊の南北混合が促進されていたことを示すものと考え
られる。ポテンシャル渦度図の日々の変動のようすからもこのことを確認できた。一般に、
ブロッキング現象に伴って総観規模擾乱がより大きなスケールの逆位相型を強めるような
フィードバックが働く傾向があり、eddy straining 効果などと呼ばれている(木本, 1993)。
ここでは、冷夏年、シベリア北東域において、比較的長周期の準定常ロスビー波擾乱によ
って同様のラージスケールへのフィードバック(Rossby eddy straining と呼んでもよいで
あろう)が働く可能性が示された。
60
7.おわりに
極東の夏の天候偏差はいろいろな要因でもたらされる。簡単に思いつくだけでも、PJ パ
ターンなど日本の南方海上からのテレコネクション、インドモンスーンの影響、亜熱帯ジ
ェット上西方からのシルクロードテレコネクション、そして本稿で扱った北の影響など。
ある年の偏差はこれら複数要因の競合、相互作用の結果として生ずる。上に触れたように
そもそも偏差波の位置位相まで予測可能性はないのかもしれない。これらもろもろを踏ま
えた上で、ありうべきプロセスを蒸留抽出して理解していくことが重要であると考える。
引用文献
Black, E., M. Blackburn, G. Harrison, B. Hoskins and J. Methven, 2004: Factors contributing to the
summer 2003 European heatwave. Weather, 59, 217-223.
木本昌秀、1993:ブロッキング現象. 気象研究ノート第 179 号, 気象とソリトン・モ ド ン
-気象現象の中の孤立波(下), 319-367.
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annual temperature variability, trends, and extremes since 1500. Science, 303, 1499-1503.
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stationary and migratory quasi-geostrophic eddies on a zonally varying basic flow. J. Atmos. Sci.,
58, 608–627.
61
2005/2006 年の日本の寒冬に関する数値解析
渡部雅浩(北大地球環境)・前田修平(気象庁気候情報課)
木本昌秀・千葉明子(東京大学気候システム研究センター)
広域水循環と言うと、つい夏の雨や台風に目が行きがちであるが、大規模な異常気象に
伴う冬の豪雪も重要な要素である。このことを端的に示したのが昨冬(2005/2006)年の寒冬
であった。特に 2005 年 12 月には、日本上空には強い寒波が停滞し、日本海側では記録的
な大雪にみまわれた。この寒冬をもたらしたメカニズムを、線形モデル、大循環モデルを
用いて調べた。
2005 年 12 月の平均的な大気循環は、いわゆる負の「北極振動」に似た偏差を示していた。
すなわち、北極域が高気圧、ヨーロッパや東アジアが低気圧性の気圧偏差パターンである。
これに伴い、日本上空のジェット気流が蛇行しながら南下し、その北側には大陸からの強
い寒気が流れ込んだ。これが、寒冬をもたらした状況であった。北極振動そのものは、我々
の最近の研究成果が示すように、中高緯度大気循環に内在する変動で、1 ヶ月を越えるよう
な予測は困難であると考えられる。しかしながら、今回の寒冬をもたらした負の「北極振
動」の出現には、通常と異なり、低緯度の降水活動が深く関わっていたことが分かってき
た。
図1(上)は、2005 年 12 月で平均した外向き長波放射(OLR)の偏差(平年からのずれ)分布
図であり、赤色の領域では平年よりも雨が少なかったことを、青色の領域では多かったこ
とを表す。全体として、ラニーニャ出現時の様子に似ているが、注目すべきはインドシナ
半島付近の大きな負偏差である(青色の濃い部分)。実際、2005 年 12 月にはインドシナ半島
付近で停滞する対流活動が何度か観測されており、領域平均した OLR 偏差の時系列を見て
も、このときの偏差はデータの存在する 1974 年以降で最大であることが分かる(図1下)。
熱帯のある領域で対流活動が活発であれば、そこでの非断熱加熱の余分な放出は広域の
大気循環を変化させる要因となり得る。そこで、線形モデルに理想化したインドシナ半島
付近の熱源を与えて、中緯度大気の定常応答を求めた(図2)。観測では、日本上空から北
太平洋にかけて強い気圧の谷が見
られているが(図2上の青色部分)、
モデルによる応答でも同様であっ
た(図2下)。半球全体の偏差分布
(図略)も、線形モデルの診断結果は
観測された負の「北極振動」パター
ンによく似ており、このことから、
インドシナ半島付近で降水活動が
活発化したことが、豪雪をもたらし
た今回の寒冬の重要な要因であっ
たと結論づけることができた。さら
に、なぜインドシナ半島で降水が多
かったのかを明らかにするために、
気象庁数値予報データを詳細に解
析したが、対流活動の活発化はラニ
ーニャ的な SST の変動に必ずしも帰
するわけではないらしいことが分
図1 (上) 2005 年 12 月の月平均外向き長波放射(OLR)の偏
かってきた。従って、今回の診断で
差分布。暖色系の領域では降水活動が平年よりも不活発、
寒色系の領域では活発だったことを表す。(下) インドシナ
は湿潤線形モデルよりも、図2に示
半島の 80°-130°E、10°-20°N で平均した 12 月の OLR 偏差の
した乾燥モデルの方が適切であっ
長期変化を表す時系列。2005 年は異常に大きな負偏差が生
た。
じており、対流活動が非常に活発であったことを表してい
る。
62
今回の事後解析では線形モデルに
よる要因分析の有用性を示すことが
できた。しかし、実際の予測に用いら
れる大循環モデルはどの程度まで、今
回の寒冬をシミュレートできるだろ
うか。今回は実際に観測された SST を
境界条件として与えた、11 月初旬の
異なる(1 日ずつずれた)初期値から
始めた 10 のアンサンブル積分によっ
てこのことを見てみる。なお、用いた
モデルは水平解像度約 300km の大気
大循環モデルである。
図3の陰影は、モデルアンサンブル
平均による 2005 年 12 月の OLR 偏差を
示している。先の図1(上)に対応す
図2 (上) 2005 年 12 月の観測された月平均の 500hPa
る。問題のインドシナ半島の負偏差は、
面高度場偏差。赤色は対流圏の気圧が平年よりも高いこ
とを、青色は低いことを示す。熱帯域の実線と破線は、 観測ほどの大きさではないものの、西
太平洋での全体的なパターンはよく
図 3 に示された OLR の偏差が各々-20W/m2 以下、20W/m2
以上の領域。(下) インドシナ半島に楕円形の非断熱加
再現されていると言ってよいだろう。
熱を与えて解いた 500hPa 高度場偏差の定常応答。
図3の等値線は同じく 12 月の 500hPa
高度偏差である。やはり定量的には観
測に及ばないものの、日本付近で北西の季節風が強化されるような気圧配置はおおむね
再現されている。
図4は観測と大循環モデルによる 500 hPa 高度偏差を北半球スケールで見たものであ
る。観測は確率過程の一実現値であるのに対し、モデルではアンサンブル平均をとって
いるため、偏差の大きさが小さくなってしまっているが、前述した負の北極振動的な要
素はモデルでもある程度再現されていることが興味深い。
大循環モデルの実験では観測された SST を全球で与え、かつ、初期値も観測値を用い
ているため、このような再現性のよさがどの要因から来るのかは追加実験が必要である。
しかし、インドシナ付近の対流の活発化が今回の重要な要因の一つであったことは強く
示唆されている。果たして、対流の活発化が特定領域の SST 偏差によるものか、あるい
は全体のパターンが問題となるのか、また、乱雑で予測不可能な循環変動の中から偶々
生じたものであるのか、より詳細な解析が必要である。
図8 2005 年 11 月初旬を初期値とし、観測された海面水
温を与えた大気大循環モデルによる 2005 年 12 月の外向
き長波放射(OLR)偏差(陰影;単位 W/m2)および 500hPa
高度偏差(等値線;10m 毎)
。10 メンバーアンサンブル平
均。
図9 2005 年 11 月初旬を初期値とし、観測された海面水
温を与えた大気大循環モデルによる 2005 年 12 月の 500hPa
高度偏差。(左)観測、(右)モデル(10 メンバーアンサ
ンブル平均)。観測とモデルでは陰影のスケールが異なる
ことに注意。
63
海洋データ同化と気候予測可能性、気候データベースの作成
石井正好(海洋研究開発機構・地球環境フロンティア研究センター)
1.概要
季節から数年先の気候状態を予測するため、大気海洋結合モデルによる予測可能性の研
究を行なってきた。とりわけ海洋モデル側の予測の初期値を精度良く作成するデータ同化
の手法を開発した。これに加えて、50 年から 100 年スケールの気候変動の解析と予測研究
のための前段階として、観測データに基づいた 50 年から 100 年にわたる海洋の水温ならび
に海上気象要素の変動の解析を行なった。
2.海洋データ同化
海洋データ同化では、水温、塩分、海面高度の観測データを用いて海洋モデル出力の最
適化を行なった。現在使用できる風や熱の大気強制データの品質は高く、これらを用いて
海洋モデルを駆動することで海洋大循環の年々変化を再現することが可能である。しかし
ながら、モデルの不完全さも手伝って、大気強制データによってもたらされる海洋モデル
の誤差は大きい。これらの誤差は海洋データ同化を導入することで大きく低減され、同時
にモデルの改善や大気データの問題の把握に効果的であった。開発してきた海洋データ同
化システムは、熱帯域の海洋現象に焦点を当てたものであるが、気候予測システムの基本
的なコンポーネントである。同化システムの性能は、従来研究のものと比較して大差なく、
実用的レベルに達成していると判断された。
3.エルニーニョ予測実験
海洋データ同化によって生成された海洋初期値と別途行なわれた大気のモデルの初期値
を用いてエルニーニョ予測実験を行なった。海洋観測データの予測への重要性を見るため
に、全ての観測データを使用したデータ同化と、ある種の観測データの利用を制限した複
数のデータ同化を行なって、予測実験の初期値とした。図に示したとおり、エルニーニョ
現象の予測精度は海洋データ同化を導入することで予測の高精度化を図ることができる。
予測に無策である場合 (図中 PERSISTENT) に比べて、格段に高い予測のスキルが達成され
第 1 図. 予測開始から 1 年後までのエルニーニョ予測スキル。左図は相関スキル (%)、右図は RMSE ス
キル (℃)。PERSISTENT は現在の水温偏差が将来まで持続するとした持続予報。
64
ている。
エルニーニョ現象の予測精度は海洋データ同化に使用した観測データに依存しているこ
とが分かった。全ての観測データを使用した場合 (図中 TSHAS) が最も予測の精度が高くな
っている。海洋観測の中でもとりわけデータの乏しい塩分データであるが、図から、同化
モデルでの塩分の取り扱いを変えると予測の精度に大きく影響することが分かる。TSAS で
は観測の塩分と水温から推定した塩分を用いてデータ同化している。これに対して、TScAS
と TSfAS では、モデルの塩分は、それぞれ、気候値の塩分に強制、いかなる拘束もしない
ようになっている。結果として、塩分の拘束を全く行なわない場合の予測精度が最も悪く
なっている。これは、同化モデルの中で塩分の再現性が悪くなったことで温度場の再現に
悪影響して、初期値の精度が全体的に低下してしまったことによる。TScAS の場合、予測
期間中も塩分は気候値に強制される。反対に、TSAS の場合には気候値への拘束は行なわれ
ていない。TSAS の予測が TScAS のものよりも良いとは言いきれないところもあり、海洋の
塩分の取り扱いに関する調査の必要性が確認された。
気候予測が力学モデルの性能に依存することは自明であるが、データ同化による初期値
化による予測実験の経験を積み重ねていくことで、力学モデルの改良を促し、結果として
予測システム全体の性能を向上させることになると考えている。
4.歴史的な海洋の水温・塩分解析
観測データを元に 1945 年から 2005 年までの海洋の水温ならびに塩分の月別客観解析を
行なった (Ishii et al. 2003)。ここでの客観解析では、1 度格子上での、気候学的に平均
的な水温、塩分場からの偏差を求める。海洋観測データは、数が少ないことと、海洋に卓
越する数 100km、10 日スケールの中小規模渦の影響を受けているため、信頼できる月平均
の解析場を得るために、データの品質管理と客観解析方法に様々な工夫を施した。上記の
データ同化と同様の客観解析スキームではあるが、力学モデルを使用したデータ同化では
ない。
得られた客観解析結果にはエルニーニョ、北部太平洋での沈み込み現象、1970 年代半ば
第 2 図.客観解析された 100m 深水温の信頼性の年代別、海域別統計。値は S/N 比。海域は 北太平
洋(NP;+)、太平洋赤道域 (TP;□)、南太平洋 (NP;○)、 北大西洋 (NA;×)、大西洋赤道域 (TA;
■)、南大西洋 (SA;●)、インド洋 (IN;△)。比較のために 10 m 深水温についての全球平均の S/N
比 (*) も表示している。
65
の気候状態の急激な変遷の様子が明瞭に表現されていることを確認した。また、推定した
解析誤差によって、解析結果の信頼性を評価した。その一例を第 2 図に示す。図は海洋の
観測データの少なさを如実に説明しており、海洋観測の中でも比較的データが充実してい
る海面付近の水温と比べて、100m 深の水温の S/N 比は半分以下である。太平洋の赤道域
では 1980 年代から定置ブイによる連続的な海洋観測が行なわれてきており、近年は大きな
S/N 比が得られているのが分かる。
海洋の歴史的変動を見積る際には海洋観測データの希少さが問題となるところではある
が、全球平均量は一定の確からしさをもって、議論することができると考える。
地球温暖化の進行に伴う海面水位の上昇が現在大きな社会問題となっている。水位の上
昇は、海水の高温化による熱膨張と海洋への淡水の流入による 2 つの効果がある。本プロ
ジェクトの主題でもある水の循環に関わる海洋と陸面間および海洋と大気間の水の交換に
ついは、歴史的な海洋上の降水のデータがほとんど無いので直接的に議論することができ
ない。一方で、沿岸や島嶼において行なわれてきた水位観測が存在し、水温と塩分の客観
解析出力からは、熱膨張の効果を見積ることができる。沿岸や島嶼での水位観測データか
ら全球の歴史的な水位変動を見積るには困難さが伴うものの、温暖化による 3mm/年の水位
上昇トレンドが報告されている。これに対して熱膨張による水位上昇への寄与は 0.5mm/年
であり、淡水の流入効果が実質的に大きいことが示唆される。熱膨張による水位変動の線
形トレンドの地理的な分布を見ると、全球一様ではないものの、上昇トレンドの海域が広
範囲に分布している (Lombard et al. 2005;第 3 図)。黒潮、メキシコ湾流、そして南極
周極流に沿う海域での顕著な上昇トレンドは、大気海洋結合モデルによる 100 年間の温暖
化実験の結果とも対応している事実にも注目すべきである。類似の水温解析出力からは、
水位上昇への寄与は小さいが、海洋には現在までの温暖化による熱を貯蓄している事実が
読み取られ (Levitus et al. 2005)、同様の傾向が本研究のデータベースにも確認される。
第 3 図. 熱膨張による水位の歴史的変化。
折れ線は全球平均 (南緯 60 度~北緯 60 度) の水位変化 (単
位 mm) で、線に沿う陰影は 95%信頼区間を表す。埋め込みの平面図は、水位変動の線形トレンド (mm/
年) の地理的分布 (Ishii et al. 2006)。
5.歴史的海上気象要素の解析
海洋モデルを駆動するための歴史的な大気強制データを求めるべく、海面水温、海面気圧、
海上風、気温、露点、雲量についての客観解析を 19 世紀の半ばから現在までの期間につい
て行なった (Ishii et al. 2005)。前項の海洋内部の客観解析と比較して、海上気象要素
の客観解析の場合には、相対的に潤沢な観測データを使用することができる。この反面、
66
第 4 図. 海面水温 (SST;℃)、夜間気温 (NAT;℃)、露点温度 (TD;℃)、全雲量 (CLD;%) 全球平
均の経年変化。
歴史的に一様な品質の客観解析結果を得るために、観測方法の歴史的変遷などに伴う観測
データに内包されたバイアスを除去する緻密な作業を余儀なくされた。
前項と同様に、解析された海面水温と気温の結果には、従来研究で指摘された温暖化シ
グナルが検出された (第 4 図)。これに加えて、本研究では、雲量や露点についても海面水
温と同様の温暖化トレンドがあることを示した。太平洋の赤道域では、この海域の気候値
からの偏差の空間パターンが大きな東西の水平スケールを持つということから、この前提
の元で客観解析を行なうことで、少ない観測データでもエルニーニョに伴う海上気象要素
の変動が再現された (第 5 図)。
第 5 図. 太平洋赤道域における海上気象要素の経年変化。A) 平均海面水温偏差 (西経 90 度~150 度、南
緯 5 度~北緯 5 度) の英国機関 (UKMO;HadISST) と今回の解析 (COBE SST) との比較。B) 南方振動指数
(-SOI) の観測データ (豪州機関 BMRC) との比較。C) 平均東西風 (東経 160 度~西経 150 度、南緯 5 度~
北緯 5 度) と HadISST との比較。
67
6.研究成果の今後期待される効果
以上の研究成果の大半は、現在、気象庁において海洋内部の監視、海洋情報の作成と流
布、季節予報のための初期値として現業的に活用されている。また、気候変動に関する政
府間パネルの第 4 次報告書が現在とりまとめられているところであるが、今回作成された
海面水温と海洋内部の水温の客観解析に基づく知見は、地球温暖化の観測的事実の一つと
して引用される予定である。社会的な貢献もさることながら、今回整備された解析データ
ベースは、今後の気候研究の展開を図る上で、基礎的なデータとして位置づけられると考
えている。
以上述べたとおり海洋の水温の場を研究の主たる対象としてきたが、今後は、海洋の水
の陸水との交換の量的な実態解明に向けた研究も必要であると考えている。衛星による重
力場の観測データが整備されつつあり、この観測結果から水 (質量) の移動が推定できる
ようになってきた。海洋の水位上昇に関していえば、海洋への水の流入量が解明されるこ
とで、温暖化による水位上昇について量的に信頼性のある見積ができるようになると期待
される。
参考文献
Levitus, S., J.I. Antonov, T.P. Boyer, H.E. Garcia, and R.A. Locarnini, 2005c: EOF analysis of upper
ocean heat content, 1956-2003. Geophys. Res. Lett., 32(18, L18607), doi:10.1029/2005GL023606.
文献リスト
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error estimates. Mon. Wea. Rev. 131, 51-73.
M. Ishii, A. Shouji, S. Sugimoto, and T. Matsumoto, 2005: Objective Analyses of SST and Marine Meteorological Variables for the 20th Century using ICOADS and the Kobe Collection. Int. J. Climatol., 25,865-879.
A. Lombard, A. Cazenave, P.-Y. Le Traon, and M. Ishii, 2005: Contribution of thermal expansion to
present-day sea-level change revisited. Global and Planetary Change, 47, 1-16.
M. Ishii, M. Kimoto, K. Sakamoto, and S.-I. Iwasaki, 2006: Steric sea level changes estimated from
historical ocean subsurface temperature and salinity analyses. J. Oceanogr. 62, 155--170.
(会議)
M. Ishii and A. Shouji and S. Sugimoto and T. Matsumoto, 2003: Objective analyses of SST and marine
meteorological variables for the 20th century using COADS and the Kobe Collection. Second
JCOMM Workshop on Advances in Marine Meteorology, Brussels, Belguim, 17-22 November,
2003.
M. Ishii and K. Sakamoto and M. Kimoto, 2003: Ocean data assimilation using temperature, salinity,
and sea surface height observations, and its impacts on El Nino prediction. International Conference on Earth System Modelling, Humburg, Germany, 15-19 September, 2003.
M. Ishii and M. Kimoto, 2005: Ocean Data Assimilation for the 20th Century. 4-th WMO International
Symposium on Assimilation of Observations in Meteorology and Oceanography, 18-22 April 2005,
Prague, Czech Republic.
M. Ishii, M. Kimoto, and K. Sakamoto, 2005: Steric Sea Level Rise Estimated from Ocean Temperature and Salinity Analyses. IAMAS 2005, Aug. 2-11, 2005, Beijin, China.
M. Ishii, 2006: Steric Sea level Changes Estimated from Historical Ocean Subsurface Temperature
and Salinity Analyses. World Climate Research Programme Workshop, "Understanding Sea Level
Rise and Variability", 6--9 June 2006, Paris, France.
68
大気海洋結合モデルによる過去 20 年の事後予測実験
石井正好(海洋研究開発機構・地球環境フロンティア研究センター)
木本昌秀・金丸由紀子(東京大学気候システム研究センター)
広域水循環の数か月以上の予測は究極的には観測データで初期値化された大気海洋結合
モデルで行われるべきものである。しかし、現状ではモデル、データ同化ともに課題が多
く、熱帯太平洋のエルニーニョ現象のような大振幅の気候変動を除いては有用な予測を行
うに至っていない。本課題は、必ずしも過去の事例を網羅した予測実験を行い、そのスキ
ルの多寡を論ずることを旨とするものではないが、一方で事例解析、事後の要因分析だけ
では、有用な予測実現への道は開けない。そこで、今回構築した大気海洋結合モデルが実
際の予測にどの程度耐えるものか、研究の将来展開を睨んで事後予測実験を開始した。
結合モデルにおいては実際とモデルの気候値との誤差が無視できず、初期値化の方法が
適切でないとモデル気候値へのドリフトによって予測がスポイルされてしまうことがよく
知られている。今回は、ナッジングと呼ばれる手法によって結合モデルの海水温を観測値
に近づけつつ長期間(1981-2002 年)積分して、結合系の初期値を構築する方法を取った。
従来研究では、海面水温のみを同化していたが、今回はその方法(実験 A)に加えて、我々
が構築した過去 50 年間の全球表層海洋の水温客観解析データセットを用いて、700m 深まで
の水温を同化する方法(実験 B)も試した。
図1は、実験 B での NINO3 と呼ばれるエルニーニョ監視海域における海面水温の観測値、
初期値、予測値(8-メンバーアンサンブル)の時系列である。図2は、NINO3 の海面水温の
全事例に渡る予報精度を相関係数で表したものである。観測値に対する検証結果である実
線を見ると実験 B の方が格段に精度がよいことがわかる。海面水温のみの同化では、海洋
内部の水温、力学場が正しく初期化されず、予報開始とともに始まるモデル気候値へのド
リフトが予測結果を深刻に汚染していることになる(図3)。
通例のエルニーニョ予測では、最初の数か月は力学予測よりも持続性予測、すなわち、
予報開始時の偏差が予測期間中持続するとする予測法の方が成績がよいのが通例で、持続
予測と力学予測を予測期間によってブレンドして用いる場合が多い。今回の実験 B ではそ
のような操作は行っていないが、予測初期も高いスキルを示しており、結合モデルの初期
値化法として有用であることが示された。
今回は大気データを用いない初期値化である
ため、大気循環の予測精度は十分でない。今
後の大きな課題である。
図1 エルニーニョ監視海域(5S-5N, 150W-90W)
における海面水温の時系列。黒太線:観測値、
赤太線:実験 B の初期値、細線:実験 B の予測
値。
図3 海面水温予測の観測値に対する全球平均根二
乗平均誤差(縦軸)の成長(横軸:予報時間(月)
)。
実験 A(黒),B(赤)
。
図2 エルニーニョ監視海域(5S-5N, 150W-90W)
での海面水温偏差の予測精度(20 年間 80 事例の
相関係数)。
(青)海面水温のみを同化した実験 A、
(赤)表層 700m までの水温を同化した実験 B。
実線は、観測値に対する検証、点線は初期値に
対する検証。
図4 実験 B の 6 か月アンサンブル平均予測結果の
観測された海面水温偏差に対する相関係数。
69
大気変動の予測可能性について
気象庁地球環境・海洋部、予測グループ
(1)研究実施内容及び成果
1)はじめに
気象庁地球環境・海洋部の予測グループでは、①長期再解析データ等の実況値、②気象庁が
現業で実施している1か月数値予報結果、③過去の多数事例を対象とした大気大循環モデルによ
る季節予報実験結果、を用いて、東アジアの天候に大きな影響を与える1週間~年々の時間スケ
ールで変動する現象のメカニズムとその予測可能性について調べた。その結果、アジアジェットに
沿って伝播する準定常ロスビー波の日本の天候への影響とその予測可能性、日本の夏の天候に
大きな影響を与える西部北太平洋モンスーン域の対流活動の予測可能性など、1か月予報と季節
予報に関わる現象とその予測可能性についてさまざまな知見が得られた。以下、1 か月予報と季節
予報に分けて具体的な研究成果について述べる。
2)1 か月予報に関わる現象
a)アジアジェットに捕捉されて伝播する準定常ロスビー波とその予測
ユーラシア大陸南部を東西に流れる亜熱帯ジェット(アジアジェット)に沿って伝播す
る、定常あるいは準定常ロスビー波束に関する研究は多い。例えば Hsu and Lin(1992)は冬
の 250hPa 流線関数の一点ラグ相関に基づき、テレコネクションパターンとしてアジアジェ
ットに沿う波列パターンを同定した。Hoskins and Ambrizzi(1993)は、この波列パターン
が、アジアジェットの導波管に捕捉された定常ロスビー波束の伝播として理解されること
を、データ解析と順圧モデルを用いた数値実験で示した。一方、Enomoto et al.(2003)は、
夏に日本付近を覆う小笠原高気圧の生成に、アジアジェットに沿って伝播する定常ロスビ
ー波が関係することを示した。アジアジェットは日本付近も流れているので、当然、アジ
アジェットに捕捉されて伝播するロスビー波は日本の天候によく影響を与え、気象庁が実
施している1か月予報の予測対象としても重要な大気現象である。しかしながら、これま
ではこのロスビー波と日本の天候との関係について、きちんとは調べられてこなかった。
そこで、本研究において佐藤ら(2005)はアジアジェットに捕捉された定常あるいは準定常
ロスビー波と日本の天候との統計的な関係を整理することを目的として統計調査を行った。
調査で使用したデータは、気象庁作成の地域平均(北日本、東日本、西日本、南西諸島)の
旬平均気温平年偏差と、ECMWF 再解析データ(ERA-40)である。第 1 図に、1 月上旬の西日本
の旬平均気温偏差による 200hPa 南北風偏差の回帰図を示す。回帰図では、ヨーロッパから
ユーラシア大陸北部を通って日本付近に達する波列に加えて、大西洋、ヨーロッパからユ
ーラシア大陸南部を通り、日本付近、太平洋、北アメリカへと連なる統計的に有意な波長
約 6000km の波列状偏差パターンが見られる。この南側の波列の鉛直構造は対流圏界面付近
で最も振幅の大きな等価順圧な構造をしており、時間的には位相は変化せずに偏差の中心
第 1 図 1 月上旬の西日本の旬平均気温による 200hPa 南北風回帰図。南風が実線で、等値線間隔は
0.5m/s。相関係数が 5%の危険率で有意な領域に陰影。
70
が下流へ伝播する定在的な変化をすることが時間ラグ回帰からわかる(図略)。この統計解
析で得られた定常波列パターンは、特にアジアジェット沿いでは、波長約 6000km 弱の等価
順圧な構造をした準定常ロスビー波の伝播を表していると考えられる。他の季節について
も調べたこところ、季節によるアジアジェットの南北移動、すなわち導波管の南北移動に
伴ってこの波列パターンが南北移動することが確かめられた。これらの統計解析、また、
2002 年 1 月の西日本の異常高温の事例解析などから、日本の天候はユーラシア大陸を東西に
流れるアジアジェット気流に捕捉されて伝播する準定常ロスビー波束の影響を年を通して強く受け
ることが明瞭に示された。
これまで、アジアジェット沿いの定常ロスビー波の生成については様々なメカニズム
が示されており(例えば、Enomoto et al.,2003; Sato and Takahashi,2003)
、そのう
ちのいくつかには大西洋やヨーロッパの循環が関係している。前述した佐藤ら(2005)
は、大西洋からヨーロッパへ伝播したロスビー波が、アジアジェット入口で順圧的エネ
ルギー変換により増幅しながら、アジアジェット導波管へ入ることを示した。Hsu and
Lin(1992)も大西洋からヨーロッパを経てアジアジェット入口に達する波列を検出し
ている。アジアジェットとヨーロッパとの間には、渦位の傾度が小さいためにロスビー
波が伝播しにくい領域がある。このため、単純なロスビー波の伝播のみでは理解できな
いであろうが、これらの調査結果は大西洋~ヨーロッパの波列とアジアジェット沿いの
波列を一連のものとして扱える可能性を示している。一方、Watanabe(2004)は、NAO
に関係する地表面摩擦に伴う地中海付近の対流圏上層の発散がアジアジェット沿いの
定常ロスビー波のソースとなると主張している。メカニズムはどうであれ、これらの研
究は NAO やブロッキング高気圧など大西洋やヨーロッパにおける顕著な大気長周期変
動が、アジアジェットに沿った定常ロスビー波の生成を介して日本の天候に大きな影響
を与える可能性を示している。日本付近の異常気象やその予測可能性についてより深く
理解するためには、これらのプロセスについて、事例解析も含めたより詳しい調査が必
要である。
そこで、本研究において伊藤と前田(2006)は、2005 年1月末から2月はじめにか
けて観測されたアジアジェットに沿った定常ロスビー波を対象に、その生成メカニズム
を調べた。その結果、大西洋のブロッキング高気圧がこのロスビー波の生成に深く関係
していることがわかった。すなわち、このブロッキング高気圧がアジアジェット入口に
向けてロスビー波を射出しつつ徐々に減衰した一方、ブロッキング高気圧から射出され
たロスビー波がアジアジェット入口で西向きに屈折し、日本、さらに北太平洋まで伝播
した。さらに気象庁の 1 か月数値予報によるその予測についても調べたところ、ブロッ
キング高気圧の減衰と、下流のロスビー波の伝播がよく予測されていた(第 2 図と第 3
図)
。佐藤ら(2005)が示したように、アジアジェットに沿って伝播する定常ロスビー
波は日本の天候に大きな影響を与えるが、群速度が速くユーラシア大陸上を伝播するの
に3~4日程度しかかからないことから、予測可能性という観点から考えると週間予報
の範囲内の現象といえる。しかし、今事例では波源と見られる大西洋のブロッキング高
気圧が 10 日程度持続し、その間波のエネルギーを射出し続けたことで下流の波列構造
に持続性が見られた。このようなブロッキング高気圧のゆっくりとした減衰過程を予測
できれば、ブロッキングの減衰時間+定常ロスビー波の伝播時間だけ予測可能性がある
ことになる。すなわち、この過程は2週目以降の予報の重要な拠り所となる可能性があ
る。
71
第3図 北大西洋のブロッキングの領
域(60W-2.5E,54N-65N)で平均した1月
27日初期値の200hPa流線関数の予測
図。単位はm2/s、黒は観測、赤はアン
サンブル平均、青は各メンバー。
第2図 波列の中心線(上図の赤線)に沿った200hPa流
線関数偏差予測の時間断面図。カラーバーの単位は
106m2/s。 左から観測、1月20日初期値のアンサンブ
ル平均、1月26日初期値のアンサンブル平均。
72
本研究では、アジアジェット沿いの準定常ロスビー波束の生成と伝播の予測に関して、上記のほ
かにもいくつかの事例が示された。例えば、2004 年 5 月に観測されたインド洋を北上する熱帯域の
季節内変動に伴う対流活動によって励起されたもの(前田ら、2005)、2005 年 12 月に観測された南
シナ海付近における活発な対流活動によって励起されたもの(前田、2006)、などである。なお、
2005 年の東アジアの異常低温の原因のひとつとなった後者については、第 4 図と第 5 図のとおり
線形モデルにより対流活動と定常ロスビー波の関係が確かめられた(渡部、私信)。
図 4 2005 年 12 月の外向き長波
長放射(OLR)の平年偏差(色)、
200hPa 面の流線関数平年偏差(等
値線)、波の活動度フラックス(矢
印)。 OLR の単位は W/m2 で、流線
関数の等値線間隔は 3×106m2/s。
波の活動度フラックス(Takaya
and Nakamura, 2001 ) の 単 位 は
m2/s2 で、そのスケールは図の右
下のとおり
図 5 ベンガル湾~フィリピン付近の凝結加
熱に対する対流圏上層(上図、200hPa)と下
層(850hPa)の定常応答(北海道大学渡部助
教授より提供)。12 月の気候平均場の周りに
線形化した大気大循環モデル(T42L20)を用
いた数値計算。両図の色がモデルに与えた凝
結加熱。凝結加熱は、東経 105 度、北緯 15
度、鉛直σ=0.4(約 400hPa)を中心に、最
大 8K/日で東西 15 度、南北 8 度幅に水平方
向には楕円形で、鉛直方向にはガンマ関数。
上図の等値線が凝結加熱に対する 200hPa 流
線関数の定常応答で、等値線間隔は 3×
106m2/s 。 下 の等 値 線 が 凝 結加 熱 に 対 す る
850hPa 流線関数、矢印が 850hPa 風の定常応
答。等値線間隔は 3×106m2/s で、風のスケー
ルは図下のとおり。
73
b)オホーツク海高気圧の予測可能性
2003 年夏に観測されたように日本の夏の天候に影響を与えるオホーツク海高気圧の生成には、
寒帯前線ジェット気流に沿って伝播する準定常ロスビー波束が深く関わるが、本研究ではその予
測の不確実性の増幅にもその波束が深く関わることが気象庁の 1 か月数値予報結果の解析から
示された(前田ら、2006)。第6図上は、強いオホーツク海高気圧が持続した時期を対象とする
2003 年7月3日を初期値とする各メンバーの予報 12~18 日目の7日平均オホーツク海高気
圧インデックス(OHI)と北半球 500hPa 高度場とのラグ回帰である。OHI はオホーツク海付近
の海面気圧平年偏差で定義されている。この図により、OHI の予測のばらつきが北半球の大
気循環とどのように関連して発達したかを示す。予報 12~18 日目の OHI のばらつきに対応
して、予報0~6日目には大西洋に波列状の偏差パターンが見られる。予報3~9日目に
は大西洋の波列の位相は3日前と変化せず振幅の大きな領域が下流に移動する。予報6~
12 日目には大西洋の波列は崩れるが、その波列に関連するカスピ海の北の正偏差からシベ
リア北部に沿った新たな波列が見られるようになり、予報9~12 日目にその波列の位相は
3日前とは変化せず振幅の大きな領域が下流に移動し、最後にオホーツク海の北での高度
のばらつきが大きくなる。一方、オホーツク海高気圧がほとんど発現しなかった月を対象
とする 2004 年 7 月 1 日初期値の例(第 6 図下)では、予報3~9日目まではスペインの南
西の大西洋の正偏差とヨーロッパの負偏差があり、予報 6~12 日目にそのヨーロッパの負
偏差から、2003 年の例と同様に北シベリアに沿った波列が形成され、その後オホーツク海
北を中心とする高度のばらつきが大きくなる。両事例ともに、シベリア北部の波列がオホ
ーツク海での予測のばらつきに深く関係していることがわかる。
Nakamura and Fukamachi(2004)は、オホーツク海高気圧の形成過程を詳しく調べ、シベ
リア北部の波列―すなわち、寒帯前線ジェットに沿って伝播する定常ロスビー波束―が、
7月のオホーツク海高気圧の形成に重要な役割を果たすことを示した。彼らの結果と、こ
こで挙げたオホーツク海高気圧の不確実性の時間発展はよく似ている。このことは、初期
値に含まれる小さな誤差がオホーツク海高気圧の形成と同じ過程を経て成長し、予報2週
目を超える頃には観測と同じ程度の強さの偽のオホーツク海高気圧にまでなりうる、とい
うことを示している。言い換えれば、1か月予報の後半におけるオホーツク海高気圧の予
測は、数値予報モデルがたとえ完璧になったとしても、オホーツク海高気圧の成り立ちに
起因する本質的な難しさを抱えている、ということである。
しかし、それが予測の改善がまったく望めない、ということを意味しているわけではな
い。オホーツク海高気圧の形成には、シベリア北部に沿ったロスビー波束の伝播のみでは
なく、冷たいオホーツク海とその北と西の温かい大陸という特殊な地表面状態のもとにお
ける大気境界層過程が重要な役割を果たす。実際、数値予報モデルへの層積雲スキームの
導入等により、オホーツク海付近の海面気圧の系統的な誤差が小さくなったという報告も
ある(川合、私信)。数値予報モデルの大気境界層スキームには改善の余地が多く残されて
いるし、境界層内の鉛直解像度も十分ではない。シベリア北部に沿ったロスビー波束の伝
播に関しても、その伝播特性を決める寒帯前線ジェットの予測に系統的な誤差がある。こ
の先の数値予報モデルの改良により、不確実性の予測も含めたオホーツク海高気圧の予測
精度が向上することは十分に期待される。初期値の改良も同様である。
ここでは示さなかったが、月平均の時間スケール(予報 2~29 日目の 28 日平均場)では、
2003/04 年夏で集計したところ、OHI のアンサンブル平均予報と実況との相関係数は 0.77
と統計的に有意であった。また、7日平均場の予測精度は、予報時間とともに低下するが、
予報 23~29 日目でも0にはならない。これらのことは、オホーツク海高気圧は、大気の内
部変動的な性質が強いものの、海面水温や陸面状態などの大気にとっての外部強制に対す
る変動としての性質も持っているということを示唆している。また、2003 年 7 月は亜熱帯
ジェットと寒帯前線ジェットがともに強いダブルジェットの状態が 1 か月以上続いたこと
がオホーツク海高気圧の持続に関係していた(前田ら、2005)など、より長い時間スケー
ルの大気内部変動にも影響を受ける。季節予報にとってはこれらのことがより重要である。
74
第6 図 1 か月数値予報の各メンバ
ーの予報 12~18 日目の 7 日平均 OHI
にラグ回帰した 7 日平均 500hPa 高
度。上 6 枚:2003 年 7 月 3 日初期
値、下 6 枚:2004 年 7 月 1 日初期
値。それぞれ左上から右へ-12 日ラ
グ(予報 0~6 日)、-9 日ラグ(予報 3
~9 日),-6 日ラグ(予報 6~12 日)
、
左下から右へ-3 日ラグ(予報 9~12
日)、0 日ラグ(予報 12~18 日)
,3
日ラグ(予報 15~21 日)
。等値線間
隔は 10m で相関が 5%の危険率で有
意な領域に影を付けた。正が薄い陰
で、負が濃い影。
3)季節予報に関係する現象
気象庁では、2003 年3月からの3か月予報への力学的手法の導入に先立ち、予測精度の
確認を目的とした力学的予報実験を行った。多数の過去事例を対象とし、気象庁の大気大
循環モデルに下部境界条件として予報初期の海面水温平年偏差を持続させて与えた 120 日
積分であり、観測された海面水温を与えて季節予報の潜在的な予測可能性を調べた
Kobayashi et al.(2000)や Kusunoki et al.(2001)とは異なり、積分開始時点で知りうる情
報のみを用いた、いわゆるハインドキャストタイプの実験である。本研究では、このハイ
ンドキャストデータ(1984~2001 年の 18 年間、毎月月末初期値、アンサンブルサイズ 5 メ
ンバー)を用いて、季節予報の予測可能性に関する調査を行なった。
Schubert et al.(2002)は、観測された海面水温を与えた大気モデルの長期ランの結果
を用いて、高度場の予測可能性を帯状平均とそれからの偏差の成分とに分けて調べ、夏の
予測可能性はほとんど帯状平均成分にあること、帯状平均場ならば中緯度でも予測可能性
が高いことを示した。逆にいうと、帯状平均場を予測できないと夏の予報は出来ない、と
いうことである。そこで前田ら(2004)は、気象庁のハインドキャストデータに基づいて、
まず、帯状平均場の予測精度を調べた。第 7 図は、4 月 30 日を初期値とする夏(JJA)平均の
帯状平均高度場の予測精度(アンサンブル平均の平年偏差と観測との相関係数)である。
北半球では、熱帯のみならず亜熱帯、中緯度まで相関係数が 0.6 以上の精度の高い領域が
ひろがっている。第 8 図は北緯 30~40 度で平均した帯状平均 500hPa 高度平年偏差の予測
75
と実況の 1984~2001 年の時系列と散布図を示す。時系列図を見ると、年々変動に比べアン
サンブルメンバー間のばらつきが小さく、予測可能性が高いことがわかる。アンサンブル
平均予報と実況の相関係数は 0.77 と高く、1998 年以降の上昇傾向のみでなく、年々変動の
傾向もよく予測している。このように北半球夏の中緯度の帯状平均高度は、予測可能性も
高いし実際の予測精度も高いことが確認された。このことには、熱帯域の帯状平均降水量
の変動とそれに伴うハドレー循環と亜熱帯ジェットの南北シフトがよく予測されているこ
とが寄与している(前田ら、2004)。
90S
0
90N
第 7 図 帯状平均高度の予測精度。4 月
30 日初期値の夏(JJA)の 90 日平均場の
予測。アンサンブル平均予報と実況と
の相関係数)。等値線間隔 0.2。危険率
5%で相関が有意な領域に影。
第8図 帯状平均した 500hPa 高度偏差(30°N~40°N の
平均高度偏差)の予測。4月 30 日初期値の 31~120 日平
均場。
上)年々変動の時系列。実線はアンサンブル平均値、一点
破線は解析値の平年偏差。□▲△×印は各メンバーを表
す。横軸は初期値の年(例えば 1984 は 1984 年 4 月 30 日
初期値の 31~120 日平均場の予報)を表す。図の右上の
数字は予報値と解析値の年々変動の相関係数を表す。
下)散布図。横軸がアンサンブル平均予報値、縦軸が解析
値。
76
また、同じハインドキャストによれば、日本を含む東アジアの循環場の予測は、冬に比
べ夏に精度が高い。このことには、太平洋高気圧の動向などに影響を与える西部北太平洋
モンスーン域(WNPM 域)の対流活動の年々変動の予測精度が高いことが寄与している(前
田ら、2003)。一方、Kobayashi et al.(2005)は、WNPM 域の対流活動の年々変動のハインドキャ
ストの予測精度は、同じモデルに観測された海面水温を与えた(いわゆる AMIP タイプ)実験のそ
れよりも高いことを示した。予想に反するこの結果は、海面水温と降水量との関係が観測と大気モ
デルで異なることが関係している。観測ではこの領域の夏の降水量と海面水温には負の相関関係
があり、大気モデルは正の相関関係がある。気象庁がエルニーニョ予測に用いている大気海洋結
合モデルでは観測と同じ傾向を示すことも考慮すると、これらの結果は、WNPM 域の降水量の
年々変動における大気海洋結合過程の重要性を示している。
本研究で長期再解析データを用いて Kobayashi and Maeda(2006)が行った解析によれば、ハド
レー循環には、春には冬の傾向が秋には夏の傾向が残る、という季節進行のトレンドがあることが
確認された(第9図)。この結果は、「季節進行の遅早」をキーワードとする予測可能性研究、気候
の長期変動研究の可能性と必要性を示すものである。
第9図 月平均質量流線関
数の気候値(左)とトレンド
(右)。上から 1 月~12 月の
順。等値線間隔は、質量流線
関数が 2×1010kg/s、トレン
ドは 0.03×1010kg/s/year。
危険率 5%でトレンドが有意
な領域に影をつけた。データ
は NCEP/NCAR 再解析で、気候
値、トレンドともに、1979
-2004 年で計算した。
77
(2)研究成果の今後期待される効果
本研究で得られた様々な知見の一部は、すでに気象庁の関連業務の改善に生かされ、社会に
還元されつつある。具体的には、①2005 年 12 月の低温と大雪などの異常気象発生時の一般への
解説の充実、②気象庁の予報現場における数値予報モデルの利用技術の高度化、➂1 週間~
年々の時間スケールの変動の予測精度向上に必要な数値予報モデルの改良点の抽出とモデル
の改良、などである。今後、他のグループでの研究成果も活用することによる、さらなる気象庁の関
連業務の改善が期待される。
本研究では、予測可能性研究に気象庁 1 か月予報データが有効に使えることを示した。しかし
ながら、アジアジェット気流に沿った定常ロスビー波束の影響など、予測可能性に関してごく一部
の視点からしか解析していない。1 か月予報の予測可能性には、北極振動などの南北ダイポール
型のテレコネクションパターン、マッデンジュリアン振動、アジアモンスーンの季節内振動、PJパタ
ーン、シベリア高気圧やアリューシャン低気圧の異常増幅、さらには陸面状態や海面水温分布、地
球温暖化など、さまざまな現象や状態が関係している。今後、気象庁の担当者のみならず、大学・
研究機関の研究者がこのデータを使った研究を行うことができるようになれば、予測可能性研究が
さらに進展する可能性がある。
現在、気象予測研究コンソーシアム計画など、大学・研究機関と気象庁との気象予測研究分野
での連携強化の動きが具体化しつつある。これには、研究コミュニティと気象庁との連携により進め
られた本研究の成功も重要な役割を果たした。本研究の重要な波及効果のひとつである。
参考文献
[本研究]
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年度「異常気象と長期変動」研究集会報告書,128-132.
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Lett., submitted.
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前田修平,伊藤明,松下泰広,2004:夏(6~8月)の帯状平均場の季節予測.平成 15 年度京都大学防災研究所特定研究集会
「対流圏長周期変動と異常気象」報告書.
前田修平,伊藤明,佐藤均,2005:2004 年夏の1か月数値予報は検討したか?. 平成 16 年度「異常気象と長期変動」研究集会報
告書,14-22.
前田修平,佐藤均,小林ちあき,2005: 2003 年夏の北半球ダブルジェット.天気,152,586-590.
前田修平,2006:2005 年 12 月の異常低温と大気大循環. 科学,76,233-236.
前田修平,佐藤均,伊藤明,2006: 2003/04 年夏のオホーツク海高気圧の1か月予報. 月刊海洋,号外 44,24-31.
佐藤均,前田修平,伊藤明,2005:アジアジェットに捕捉された準定常ロスビー波と日本の天候.平成 16 年度「異常気象と長期変
動」研究集会報告書,33-38.
Watanabe, M., 2004: Asian jet waveguide and a downstream extension of the North Atlantic Oscillation. J.Climate, 17, 4674-4691.
[本研究以外]
Enomoto, T., B. J. Hoskins, and Y. Matsuda, 2003: The formation mechanism of the Bonin high in August. Quart. J. Roy. Meteor.
Soc., 587, 157-178.
Hoskins, B.J., and T. Ambrizzi, 1993: Rossby wave propagation on a realistic longitudinally varying flow. J. Atmos. Sci., 50,
1661-1671.
Hsu, H.–H., S.-H. Lin, 1992: Global teleconections in the 250-mb streamfunction field during the Northern Hemisphere winter. Mon.
Wea. Rev., 120, 1169-1190.
Kobayashi, C., K. Takano, S. Kusunoki, M. Sugi and A. Kitoh, 2000: Seasonal prediction skill over the Eastern Asia using the JMA
global model. Quart. J. Roy. Meteor. Soc., 126, 2111-2123
Kusunoki, S., M. Sugi, A. Kitoh, C. Kobayashi, and K. Takano, 2001: Atmospheric seasonal predictability experiments by the JMA
AGCM. J. Meteor. Soc. Japan, 79, 1183-1206.
Nakamura, H. and T. Fukamachi, 2004: Evolution and dynamics of summertime blocking over the blocking and the associated surface Okhotsk high, Quart. J. Roy. Meteor. Soc., 130, 1213-1233.
Sato, N. and M. Takahashi, 2003: Formation mechanism of vorticity anomalies on the subtropical jet in the midsummer Northern
Hemisphere. Theor. Appl. Mech. Japan, 52, 109-115.
Schubert, S. D., M. J. Suarez, P. J. Pegion, and M. A. Kistler, 2002:Predictability of zonal means during boreal summer. J. Climate,
15, 420-434.
Takaya, K. and H. Nakamura, 2001: A Formulation of a Phase-Independent Wave-Activity Flux for Stationary and Migratory Quasigeostrophic Eddies on a Zonally Varing Basic Flow. J. Atmos. Sci.,58. 608-627.
78
4 研究参加者
①基幹グループ(モデル開発統括、予測可能性の研究)
氏名
所属
役職
研究項目
参加時期
木本 昌秀
東京大学気候システム
研究センター
教授
総括
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
高薮 縁
東京大学気候システム
研究センター
助教授
大気モデル、衛星
データ
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
今須 良一
東京大学気候システム
研究センター
助教授
衛星データ同化
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
阿部 彩子
東京大学気候システム
研究センター
助教授
結合モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
羽角 博康
東京大学気候システム
研究センター
助教授
海洋・結合モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
齋藤 冬樹
地球環境フロンティア研
究センター
研究員
結合モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
中野 英之
気象研究所
研究官
海洋モデル
平成 13 年 12 月~
平成 16 年 3 月
渡部 雅浩
北海道大学地球環境
助教授
大気、結合モデルの
平成 13 年 12 月~
調整。予測実験解
平成 19 年 3 月
析
野中(荒井)
美紀
東京大学気候システム
研究センター
CREST
研究員
予測実験解析
平成 15 年 4 月~
平成 19 年 3 月
稲津 将
東京大学気候システム
研究センター
特任助手
予測可能性研究
平成 16 年 4 月~
平成 19 年 3 月
菊地 一佳
ハワイ大学
研究員
データ解析
平成 14 年 4 月~
平成 19 年 3 月
車 恩貞
東京大学気候システム
研究センター
研究員
長期予測実験
平成 15 年 2 月~
平成 19 年 3 月
竹見(安富)
奈津子
東京大学気候システム
研究センター
CREST
研究員
データ解析
平成 14 年 4 月~
平成 19 年 3 月
79
金丸 由紀子
東京大学気候システム
研究センター
D1
結合モデル
平成 14 年 4 月~
平成 15 年 3 月
平成 18 年 4 月~
平成 19 年 3 月
岡 顕
東京大学気候システム
研究センター
特任助手
結合モデル
平成 16 年 1 月~
平成 19 年 3 月
中浦 京子
東京大学気候システム
研究センター
CREST
研究補助
員
計算機管理、研究
事務
平成 15 年 10 月~
平成 19 年 3 月
宮坂 隆之
東京大学気候システム
研究センター
M2
データ解析
平成 16 年 4 月~
平成 17 年 3 月
②モデル開発サブグループ(1)(モデルの調整、実験の実施)
氏名
所属
役職
研究項目
参加時期
野沢 徹
国立環境研究所・大気
物理研究室
主任研究
員
大気・結合モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
江守 正多
国立環境研究所・大気
物理研究室
主任研究
員
大気モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
小倉 知夫
国立環境研究所・大気
物理研究室
研究員
結合モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
③モデル開発サブグループ(2)(陸面過程の研究)
氏名
熊倉 俊郎
玉木 大輔
吉川 圭史
原田 裕子
所属
長岡技術科学大学 環
境・建設系
長岡技術科学大学 大
学院 環境システム工学
専攻
長岡技術科学大学 大
学院 環境システム工学
専攻
長岡技術科学大学 大
学院 環境システム工学
専攻
役職
研究項目
参加時期
助教授
大気・陸面モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
M2
大気・陸面モデル
平成 15 年 4 月~
平成 17 年 3 月
M2
大気・陸面モデル
平成 16 年 4 月~
平成 18 年 3 月
M2
大気・陸面モデル
平成 16 年 4 月~
平成 17 年 3 月
80
佐藤 光
勝島 隆史
長岡技術科学大学 大
学院 環境システム工学
専攻
長岡技術科学大学 大
学院 環境システム工学
専攻
M2
大気・陸面モデル
平成 17 年 4 月~
平成 19 年 3 月
M2
大気・陸面モデル
平成 17 年 4 月~
平成 19 年 3 月
④モデル開発サブグループ(3)(高解像度モデルの開発)
氏名
所属
役職
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
地球環境フロンティア研
究センター
サブリーダ
ー
大気モデル
研究員
大気モデル
研究員
大気モデル
研究員
海洋モデル
サブリーダ
ー
陸面モデル
研究員
大気モデル
研究員
予測実験解析
高橋 桂子
地球シミュレータセンター
研究員
結合モデル
大淵 済
地球シミュレータセンター
研究員
大気モデル
江守 正多
西村 照幸
鈴木 恒明
鈴木 立郎
高田 久美子
對馬 洋子
石井 正好
三浦 裕亮
長谷川 聡
研究員
研究員
研究項目
予測可能性・データ
同化
雲解像モデル、大
気モデル
参加時期
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
平成 14 年 4 月~
平成 19 年 3 月
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
平成 14 年 9 月~
平成 19 年 3 月
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
平成 16 年 1 月~
平成 19 年 3 月
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
平成 13 年 12 月~
平成 15 年 3 月
⑤モデル開発サブグループ(4)(プログラム高速化、管理)
氏名
所属
役職
81
研究項目
参加時期
沈 学順
井上 孝洋
高度情報科学技術研究
機構 計算科学研究部
高度情報科学技術研究
機構 計算科学技術第
2部
招聘研究
員
大気モデル
平成 13 年 12 月~
平成 15 年 1 月
研究員
大気モデル
平成 14 年 4 月~
平成 19 年 3 月
⑥モデル開発サブグループ(5)(高解像度モデル、領域モデルの開発)
氏名
所属
役職
数値予報
班長
数値予報
班長
研究項目
データ同化
参加時期
平成 13 年 12 月~
平成 18 年 3 月
平成 18 年 4 月~
平成 19 年 3 月
竹内 義明
気象庁予報部
小泉 耕
気象庁予報部
多田 英夫
気象庁予報部
予報官
データ同化
平成 14 年 4 月~
平成 15 年 3 月
松村 崇行
気象庁予報部
予報官
大気モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
北川 裕人
気象庁予報部
予報官
大気モデル
平成 14 年 4 月~
平成 19 年 3 月
中川 雅之
気象庁予報部
技術専門官
大気モデル
平成 15 年 4 月~
平成 19 年 3 月
平井 雅之
気象庁予報部
技術専門官
陸面過程
平成 15 年 4 月~
平成 19 年 3 月
原 旅人
気象庁予報部
技官
雲解像モデル
平成 16 年 4 月~
平成 19 年 3 月
大森 志郎
気象庁予報部
技官
雲解像モデル
平成 16 年 4 月~
平成 19 年 3 月
斉藤 和雄
気象研究所予報研究部
第 2 研究
室長
雲解像モデル
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
データ同化
⑦予測グループ(予測事例研究)
氏名
所属
役職
82
研究項目
参加時期
萬納寺 信嵩
気象庁気候・海洋気象
部
尾瀬 智昭
気象庁気候・海洋気象
部
前田 修平
気象庁気候・海洋気象
部
徳弘 貴之
気候モデ
ル開発推
進官
気候モデ
ル開発推
進官
予測可能性
平成 13 年 12 月~
平成 15 年 3 月
予測可能性
平成 15 年 4 月~
平成 19 年 3 月
予報官
予測可能性
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
気象庁気候・海洋気象
部
予報係長
予測可能性
平成 13 年 12 月~
平成 16 年 3 月
小林 ちあき
気象庁気候・海洋気象
部
解析係長
予測可能性
平成 16 年 4 月~
平成 19 年 3 月
新保 明彦
気象庁気候・海洋気象
部
気候モデル
係長
予測可能性
平成 13 年 12 月~
平成 19 年 3 月
川合 秀明
気象庁気候・海洋気象
部
技術専門官
予測可能性
平成 16 年 4 月~
平成 19 年 3 月
伊藤 明
気象庁気候・海洋気象
部
技術専門官
予測可能性
平成 16 年 4 月~
平成 19 年 3 月
佐藤 均
気象庁気候・海洋気象
部
気候モデル
係員
予測可能性
平成 16 年 4 月~
平成 19 年 3 月
5 招聘した研究者等
氏 名(所属、役職)
招聘の目的
滞在先
滞在期間
笠原 彰(米国大気研究センター、 大気モデリングに関 東京大学気候シス 平成 14 年 3 月 1
するセミナー・情報 テム研究センター 日~平成 14 年
名誉研究官)
3 月 14 日
交換
荒川 昭夫(カリフォルニア大学ロ 大気モデリングに関 東京大学気候シス 平成 14 年 3 月 1
サンゼルス校大気科学部、名誉教 するセミナー・情報 テム研究センター 日~平成 14 年
3 月 14 日
交換
授)
83
6 成果発表等
(1)原著論文発表 (国内誌 6件、国際誌 47件)
≪著者、論文タイトル、掲載誌 巻、号、発行年≫
1) Watanabe, M., F.-F. Jin, and M. Kimoto, Tropical axisymmetric mode of variability. Part
I: Dynamics as a neutral mode. Journal of Climate, 15 1537-1554, 2002 年.
2) 石井 正好, 栗原 和夫,Poisson 方程式の高速解法 ---マルチグリッド法と PSOR
法の紹介---,天気, 49, 597-606, 2002 年.
3) Ishii, M, M. Kimoto, M. Kachi, Historical ocean subsurface temperature analysis with
error estimate. Monthly Weather Review, Vol.131, No.1, 51-73, 2003 年.
4) Kikuchi, K. and Y. N. Takayabu, Equatorial circumnavigation of moisture signal associated with the Madden-Julian Oscillation (MJO) during boreal winter. Journal of Meteorological Society of Japan, Vol.81, No.4, 851-869,2003 年.
5) Takata, K., S. Emori, and T.Watanabe, Development of the minimal treatments of surface
interaction and runoff (MATSIRO), Global and Planetary Change,Vol.38, Issues 1-2,
pp.209-222,2003 年.
6) Watanabe, M., and F.-F. Jin, A moist linear baroclinic model: Coupled dynamical-convectinve response to El Nino, Journal of Climate, Vol.16, No.8, pp.1121-1139,
2003 年.
7) 熊倉俊郎, 山野井克己, 早川典生, 積雪の多層圧密モデルを用いた北陸地方の降
積雪現象の解析. 日本雪氷学会誌「雪氷」, 66, 35-50,2004 年.
8) 熊倉俊郎, 早川典生, 降雪数値実験による北陸地方の降雪予測に関する研究. 水
工学論文集, 48, 277-282,2004 年.
9) Watanabe, M. and F.-F. Jin, Dynamical prototype of the Arctic Oscillation as revealed by
a neutral singular vector, Journal of Climate, 17, 2119-2138,2004 年.
10) Weng, H., A. Sumi, Y. N. Takayabu, M. Kimoto, and C. Li, Interannual-interdecadal
variation in large-scale atmospheric circulation and extremely wet and dry summers in
China/Japan during 1951-2000. Part I: Spatial patterns. Journal of Meteorological Society of Japan, Vol.82, No.2, 775-788,2004 年.
11) Weng, H., A. Sumi, Y. N. Takayabu, M. Kimoto, and C. Li, Interannual-interdecadal
variation in large-scale atmospheric circulation and extremely wet and dry summers in
China/Japan during 1951-2000. Part II: Dominant timescales, Journal of Meteorological
Society of Japan, Vol.82, No.2, 789-804,2004 年.
12) Schneeberger, C., H. Blatter, A. Abe-Ouchi and M. Wild,Modelling Changes in the Mass
Balance of Glaciers of the Northern Hemisphere for a transient 2xCO2 scenario,Journal
of Hydrology Volume 282, Issues1-4, Pages 145-163,2004 年.
13) Kikuchi, K. and Y. N. Takayabu,The development of organized convection associated
with MJO during TOGA COARE IOP: Trimodal characteristics, Geophysical Research
Letters,2004 年.
14) Inatsu, M. and B. J. Hoskins, The Zonal Asymmetry of the Southern Hemisphere
WinterStorm-Track, Journal of Climate:Vol.17,No.24,pp.4882-4892,2004 年.
15) Sakamoto, T., A. Sumi, S. Emori, T. Nishimura, H. Hasumi, Ta. Suzuki, M. Kimoto,
Far-reaching effects of the Hawaiian Islands in the CCSR/NIES/FRCGC high-resolution
climate model, Geophys. Res. Lett., Vol.31,No.17,L17212,doi:10.1029/2004GL020907,
2004 年.
16) Shige, S., Y. N. Takayabu, W.-K.Tao, and D. E. Johnson, Spectral Retrieval of Latent
Heating Profiles from TRMM PR Data. Part 1: Development of a Model-Based Algorithm, Journal of Applied Meteorology, Vol.43, No.8, pp.1095-1113,2004 年.
17) Cha, E.-J., E.-J. Lee, and J.-G. Jhun, The characteristics and causes of extreme rainfall
events in August over Korea. International Journal of Climatology, in press,2004 年.
18) Ishii, M., A. Shouji, S. Sugimoto, and T. Matsumoto, Objective Analyses of SST and Ma84
19)
20)
21)
22)
23)
24)
25)
26)
27)
28)
29)
30)
31)
32)
33)
34)
35)
rine Me-teorological Variables for the 20th Century using ICOADS and the Kobe Collection. Int. J. Climatol., 25,865-879, 2005 年.
Inatsu, M., and M. Kimoto, Two types of interannual variability of the mid-winter
storm-track and their relationship to global warming. SOLA, Vol.1(2005) No.0 pp.61-64,
2005 年.
Lombard, A, A. Cazenave, P-Y. Le Traon, and M. Ishii, Contribution of thermal expansion to present-day sea level change revisited. Global and Planetary Change, Vol.47, Issue 1, pp1-16, 2005 年.
Inatsu, M., and M. Kimoto, Difference of boreal summer climate between coupled and
atmosphere-only GCMs. SOLA, Vol.1(2005) No.0 pp.105-108,2005 年.
Emori, S., A. Hasegawa, T. Suzuki and K. Dairaku, Validation, parameterization dependence and future projection of daily precipitation simulated with a high-resolution
atmospheric GCM. Geophys. Res. Let., 32, L06708, doi:10.1029/2004GL022306,2005
年.
Yokohata, T., S. Emori, T. Nozawa, Y. Tsushima, T. Ogura and M. Kimoto, Climate response to volcanic forcing: Validation of climate sensitivity of a coupled atmosphere-ocean general circulation model, Geophys. Res. Lett, Vol.32, No.21, L21710,
doi:101029/2005GL023542,2005 年.
Arai, M., and M. Kimoto, Relationship between Springtime Surface Temperature and
Early Summer Blocking Activity over Siberia. Journal of the Meteorologocal Society of
Japan,Vol.83, No.2, pp261-267,2005 年.
Kimoto, M., N. Yasutomi, C. Yokoyama and S. Emori, Projected changes in precipitation
characteristics near Japan under the global warming, SOLA, 1, 85-88, doi: 10.2151/sola.
2005-023,2005 年.
Kimoto, M.,Simulated change of the East Asian circulation under the Global Warming,
Geophys. Res. Lett, Vol.32, No.16,L16701, doi:101029/2005GL023383,2005 年.
Hirota, N., M. Takahashi, N. Sato, and M. Kimoto, Recent Climate Trends in the East
Asia During the Baiu Season of 1979-2003,SOLA, Vol. 1, 137‒140 ページ, doi:
10.2151/sola, 2005‒036,2005 年.
Emori, S. and S.J. Brown, 2005: Dynamic and thermodynamic changes in mean and
extreme precipitation under changed climate, J. Geophys. Res., Vol. 32, No. 17, L17706,
doi: 10.1029/2005GL023272,2005 年.
Chen, X., M. Kimoto, and M. Takahashi, Changes in ENSO in response to greenhouse
warming as simulated by the CCSR/NIES/FRCGC coupled GCM,SOLA, 1,149-152,
doi: 10.2151/sola, 2005-039,2005 年.
木本昌秀, 欧州熱波と日本の冷夏 2003. 日本気象学会誌「天気」, vol. 52, no. 8,
608-612,2005 年.
Hasegawa, A. and S. Emori, Tropical cyclones and associated precipitation over the
western North Pacific: T106 atmospheric GCM simulation for present and doubled
CO2 climates, SOLA, 1, 145-148, doi:10.2151/sola.2005-038,2005 年.
Yokohata, T., S. Emori, T. Nozawa, Y. Tsushima, T. Ogura, and M. Kimoto, A simple
scheme for climate feedback analysis. Geophys. Res. Lett., 32, L19703,
doi:10.1029/2005GL023673,2005 年.
Miura, H., H.Tomita, T.Nasuno, S.Iga, M.Satoh, and T.Matsuno, A climate sensitivity
test using a global cloud resolving model under an aqua planet condition. Geophys. Res.
Lett., Vol. 32, No. 19, L19717 10.1029/2005GL023672,2005 年.
Miura, H., and M. Kimoto, A comparison of grid quality of optimized spherical hexagonal-pentagonal geodesic grids.、Mon. Wea. Rev., 133, No.10, 2817-2833,2005 年.
Shiogama, H., M. Watanabe, M. Kimoto, and T. Nozawa、Anthropogenic and natural
forcing impacts on ENSO-like decadal variability during the second half of the 20th century,Geophys. Res. Lett., 32, L21714, doi:10.1029/2005GL023871,2005 年.
85
36) Yasunari, T., K. Saito, and K. Takata, Relative roles of large-scale orography and
land-surface processes in the global hydro-climate.Part I. Impacts on monsoon systems
and the tropics, Journal of Hydrometeorology, in press,2005 年.
37) Kobayashi C., S. Maeda, A. Ito, Y. Matsushita, and K. Takano, Relation between SSTs
and predictability of seasonal mean precipitation over the western tropical Pacific. J.
Meteor. Soc. Japan, 83, 919-929, 2005 年.
38) 前田修平,佐藤均,小林ちあき, 2003 年夏の北半球ダブルジェット.天気,152,586-590,
2005 年.
39) Tsushima, Y., S. Emori, T. Ogura, M. Kimoto, M. J. Webb, K. D. Williams, M.
A. Ringer, B. J. Soden, B. Li, and N. Andronova,A multi-model analysis of the
distribution of mixed-phase clouds in AGCMs, for control and doubled carbon dio
xide simulations,Clim. Dyn., doi:10.1007/s00382-006-0127-7,2006 年.
40) Ishii, M., M. Kimoto, K. Sakamoto, S.-I. Iwasaki, Steric sea level changes estimated
from historical ocean subsurface temperature and salinity analyses,J. Oceanogr, Vol. 62,
No. 2, 155-170,2006 年.
41) Saito, K., T. Yasunari, T., and K. Takata, Relative roles of large-scale orography and
land-surface processes in the global hydro-climate. Part II. Impacts on hydro-climate
over Eurasia, Journal of Hydrometeorology, in press,2006 年.
42) Inatsu, M., and B. J. Hoskins, The seasonal and wintertime interannual variability of the
split jet and the storm-track minimum near New Zealand, Journal of Meteorological Society of Japan, Vol.84, No.3, 433-445, 2006 年.
43) 稲津 將, 南半球冬季ストームトラックの東西非対称性の形成について ~2005 年
度山本・正野論文賞記念講演~, 天気, 53 巻,7 号 537-549 ページ.巻号:005300007,
2006 年.
44) Takayabu, Y. N., Rain-yield per flash calculated from TRMM PR and LIS data and its
relationship to the Tall Convective Rain Contributions, Geoph. Res. Lett., in press, 2006
年.
45) Takayabu, Y. N., J. Yokomori, and K. Yoneyama, A diagnostic study on interactions between atmospheric thermodynamic structure and cumulus convection over the tropical
western Pacific Ocean and over the Indochina Peninsula, J. Meteor. Soc. Japan, vol.84A,
151-169, 2006 年.
46) Morita, J. and Y. N. Takayabu, S. Shige, and Y. Kodama, Analysis of rainfall characteristics of the Madden-Julian oscillation using TRMM satellite data, Dyn. Atmosph. Ocea.,
in press, 2006 年.
47) Suzuki, T., Y. N. Takayabu, and S. Emori, Coupling mechanisms between equatorial
waves and cumulus convection in an AGCM, Dyn. Atmosph. Ocea., in press, 2006 年.
48) Imada, Y., and M. Kimoto, Improvement of thermocline structure that affect ENSO performance in a coupled GCM, SOLA, in press, 2006 年.
49) Kobayashi C., and S. Maeda, Phase shift of the seasonal cycle in the Hadley Circulation
in recent decades, Geophys. Res. Lett., in press, 2006 年.
[審査中]
50) Miura, H., M. Sekiguchi, and M. Kimoto, Mechanisms responsible for systematic biases
in a simulated radiative-convective equilibrium state with insufficient horizontal
resolution, submitted, Journal of the Atmospheric Sciences,2006 年.
51) Miura, H., M.Satoh, H. Tomita, T. Nasuno, S. Iga, and A. T. Noda, A short-duration
global cloud-resolving simulation under a realistic land and sea distribution, submitted,
Geophysical Research Letters. 2006 年.
52) Saito, K., S. Emori, M. Kimoto, and T. Zhang, Change in hydro-thermal regimes in the
soil-freezing regions under the global warming simulated by a high-resolution climate
model, J. Geophys. Res., submitted, 2006 年.
86
53) Arai, M., and M. Kimoto, Simulated interannual variation in summertime atmospheric
circulation associated with the East Asian monsoon. Climate Dyn., submitted.
(2)その他の著作物
≪著者、タイトル、掲載誌もしくは書籍、 巻、号、ページ、発行年など≫
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
11)
12)
13)
14)
15)
16)
17)
18)
Ogura, T., The mechanisms which control the sea ice distribution: Influence of sea ice
dynamics,CCSR Report, 17 pp.141, 2002 年.
木本昌秀、今年の夏はエルニーニョが怖い?、電気協会報, no.932, 25-27, 2002 年.
木本昌秀、地球環境の数値モデルと衛星観測. 「宇宙から見る地球の姿」(住 明
正編),156-164,2003 年.
J. D. Neelin and M. Latif (木本昌秀翻訳)、エルニーニョの力学, 「地球 大循環と
エルニーニョ」(パリティ編集委員会編)、パリティブックス, 41-59, 丸善, 2003
年.
木本昌秀、「北極振動」の力学、励起メカニズムについて、グロースベッター,
40, 28-36, 2002 年.
Nozawa, T., H. Kanzawa, S. Sugata, S. Emori, A. Higurashi, A. Numaguti, K. Takata, Y.
N. Takayabu, A. Abe-Ouchi, M., Kimoto, T. Nakajima, T. Oki, and M. Yokozawa, On the
sensitivity of the CCSR/NIES CGCM. CGER's Suoercomputer Activity Report .vol
9-2000, 19-22, 2002 年.
前田修平, 伊藤明, 松下泰広, 気象庁における力学的季節予報実験. グロースベ
ッター,41, 1-14,2003 年.
木本昌秀, 中緯度および熱帯における再帰的な変動モードとその予測可能性. グ
ロースベッター,41, 89-94,2003 年.
石井正好、坂元賢治、木本昌秀, 気候の監視と予測のための全球海洋データ同化.
グロースベッター,41, 15-21,2003 年.
Takayabu, Y.N. (CCSR),Characteristics of precipitation as observed by TRMM PR,
Report of the GEWEX Global Precipitation Climatology Project (GPCP) workshop on
precipitation analysis,WCRP Informal Report No.11/2003,84-88, 2003 年.
高薮縁, 第2章:モンスーンの季節内振動, 気象研究ノート第 204 号「モンスー
ン研究の最前線」p41-67, 2003 年.
高薮縁, クローズアップ 「エルニーニョを吹き飛ばした赤道上の積雲群」, パリ
ティ, vol.19, No.3, 丸善, p55-61, 2004 年.
前田修平, 伊藤明, 松下泰広,夏(6~8月)の帯状平均場の季節予測,平成1
5年度京都大学防災研究所特定研究集会「対流圏長周期変動と異常気象」報告書,
2004 年.
前田修平, 佐藤均, 小林ちあき,2003年夏の北半球ダブルジェット,平成1
5年度京都大学防災研究所特定研究集会「対流圏長周期変動と異常気象」報告書,
2004 年.
木本昌秀, 渡部雅浩, 北極振動の中立モード理論, 気象研究ノート第 206 号(「北
極振動」山崎孝治編),11-22, 2004 年.
渡部雅浩, 木本昌秀, NAO の力学と長周期変動, 気象研究ノート第 206 号(「北
極振動」山崎孝治編),23-48, 2004 年.
木本昌秀, コンピュータで地球の将来がわかるのか?―気候モデルとそれを用
いた研究について―, 河川文化:河川文化を語る会講演集(その 16), (社)日
本河川協会, 51-118, 2004 年.
木本昌秀, 異常気象の謎を追って―2004 年度学会賞受賞記念講演―,日本気象学
会誌「天気」, vol. 52, no. 6, 439-448,2005 年.
87
19) Liaqat, A., M. Kimoto, and T. Takeda, Predicting nonlinear time series by neural network
residual minimization training method. Proc. Annual Meeting of the Japan Soc. Int. &
Appl. Math. (Chuo Univ.), 418-419,2004 年.
20) 安富(竹見)奈津子, 木本昌秀, 夏季アジアモンスーン域の主要変動モード, グロー
スベッター,42, 19-31,2004 年.
21) Sumi, A., M. Kimoto, and X.-S. Shen, Simulation studies of the Asian monsoon using the
CCSR/NIES AGCM. In East Asian Monsoon (Ed. C.-P. Chang), World Scientific,
332-353,2004 年.
22) 木本昌秀, 2004 年異常気象と地球温暖化, Safety Eye(損保ジャパン広報誌),
2005 年 2 月号.
23) 木本昌秀,異常気象への挑戦,岩波書店「科学」,vol.75, no.10, 1138-1140,2005
年.
24) 木本昌秀,宮坂隆之,荒井美紀, 欧州熱波と日本の冷夏 2003,気象研究ノート 210
号「2003 年日本の冷夏」, P.155-160, 2005 年.
25) Yokohata, T., S. Emori, T. Nozawa, T. Ogura, Y. Tsushima, and M. Kimoto, Climate response to volcanic forcing: Validation of climate sensitivity of a coupled atmosphere-ocean general circulation model, CGER’s Supercomputer activity report, vol.
13-2004, 41-48, 2006 年.
26) 前田修平,2005 年 12 月の異常低温と大気大循環. 科学,76,233-236, 2006 年.
27) 前田修平,佐藤均,伊藤明, 2003/04 年夏のオホーツク海高気圧の1か月予報. 月
刊海洋,号外 44,24-31, 2006 年.
28) 渡部雅浩, 2005~2006 年の寒冬のメカニズム 大雪はなぜ起こったか? 特集「気象
を知って危害を回避」, 月刊養殖 2006 年 6 月号, 2006 年.
(3)学会発表(国際学会発表及び主要な国内学会発表)
≪発表者(所属)、タイトル、学会名、場所、月日等≫
① 招待講演
(国内会議 9件、国際会議
8件)
1) Kimoto, M.(CCSR), Prediction of Climate and Water Cycle Variability on Monthly, Seasonal and Annual Time Scales , The 10th U.S.-Japan Workshop on Global Climate
Change, Irvine, CA, USA, 2002 年 1 月 15 日.
2) Kimoto, M.(CCSR), Moist Convection and the General Circulation of the Atmosphere,
Fifth Annual Symposium on Japanese-American Beckman Frontiers of Science, Irvine,
CA, USA, 2002 年 12 月 6-8 日.
3) 木本昌秀(CCSR), コンピュータモデルによる地球温暖化予測. 日本気象学会公開
講演会 「地球温暖化と異常気象」, 学術総合センター一橋記念講堂,2004 年 5
月 16 日.
4) 木本昌秀(CCSR), 欧州熱波と日本の冷夏 2003,日本気象学会春季大会シンポジウ
ム「2003 年の日本の冷夏―異常気象をどこまで理解・予測できるか」, 学術総合
センター一橋記念講,2004 年 5 月 18 日.
5) 木本昌秀(CCSR), 地球温暖化と日本の天候,日本気象学会関西支部 2004 年度例
会(中国地区)特別講演,2004 年 11 月 6 日.
6) 木本昌秀(CCSR), 高解像度大気海洋結合モデルによる地球温暖化予測, 第3回降
雨特性の長期変動検討会, (財)国土技術研究センター, 東京,2004 年 12 月 27
日.
7) 木本昌秀 (CCSR), 地球シミュレータによる 地球温暖化予測, 水資源学シンポジ
ウム「国連水の日―気候変動がもたらす水問題」, 日本学術会議講堂, 2005 年 3
月 23 日.
8) 木本昌秀(CCSR), コンピュータによる地球温暖化の予測, 地球惑星科学関連学
会 2005 年合同大会, 幕張メッセ国際会議場, 2005 年 5 月 22 日.
88
9)
10)
11)
12)
13)
14)
15)
16)
17)
Kimoto, M.(CCSR), Modeling and Predictability Issues Related to the East Asian
Monsoon, The First Pan-WCRP Workshop on the Monsoon Climate Toward Better Prediction of the Monsoons, University of California, Irvine, USA, 2005 年 6 月 15-17 日.
Kimoto, M.(CCSR), A "High-"Resolution Coupled Ocean-Atmosphere GCM for
Climate Change Projection, IAMAS2005, 北京, 2005 年 8 月 3 日.
Kimoto, M.(CCSR), High-resolution coupled ocean-atmosphere modeling for climate
studies. Workshop on high resolution atmospheric simulations and cooperative output
data analysis, JAMSTEC 横浜研究所, 2005 年 9 月 21 -22 日.
Kimoto, M.(CCSR), Tropical and extratropical factors that affect East Asian monsoon
and its predictability. Proceeding of the Fifth International Symposium on Asian Monsoon System,Yongpyong, Republic of Korea, 2005 年 10 月 11-15 日.
Kimoto, M.(CCSR), High-resolution coupled ocean-atmosphere modeling for climate
studies,The 8th International Workshop on Next Generation Climate Models for Advanced High Performance Computing Facilities and the 3rd International Workshop on
the Kyosei Project,Albuquerque, U.S.A, 2006 年 2 月 23-25 日.
Kimoto, M.(CCSR), Tropical and extratropical factors affecting the East Asian climate.
Eighth AMIP/East Asian climate workshop, Nantou, Taiwan, 2006 年 3 月 31 日‐4 月 1
日.
木本昌秀(CCSR),地球温暖化と日本の天候,降雪に関するレーダと数値モデルに
よる研究第 4 回ワークショップ,防災科学技術研究所長岡雪氷防災研究所,2006 年
3 月 10 日.
木本昌秀(CCSR),High-impact weather: 今後の研究の展望,日本気象学会 2006
年春季大会シンポジウム「異常気象に挑む-豪雨等極端な降水現象の理解と予測
を目指して-」,つくば国際会議場, 2006 年 5 月 21 日.
木本昌秀(CCSR),変化する地球環境と気象災害,第 5 回水文・水資源学会セミ
ナー 「―気候変動と水災害・生態系―」,東京大学農学部弥生講堂, 2006 年 5 月
25 日.
② 口頭発表
(国内会議 111件、国際会議 137件)
1) Cha, E. J., M. Kimoto(CCSR), and J. G. Jhun(Seoul National University), The Asian
teleconnection during El Nino summer, Semi-annual meeting of Korean Meteorological
Society, 2002 年 4 月.
2) 木本昌秀(CCSR), 誤差成長の理論と機動的観測について―レビュー―. 日本気
象学会春季大会, 2002 年 5 月.
3) 木本昌秀(CCSR), 気候の自然変動研究―より高いリアリズムをめざして, 日本
気象学会春季大会, 2002 年 5 月.
4) 石井正好(FRCGC), 坂元賢治(気象庁), 木本昌秀(CCSR), 気候監視と予測のための
海洋データ同化(3)― 塩分データの同化とエルニーニョ予測実験―. 日本気象学
会春季大, 2002 年 5 月.
5) 金丸由紀子,木本昌秀(CCSR), 大気海洋結合モデルにおける海洋混合層と鉛直温
度勾配の関わり. 2002 年日本気象学会春季大会講演予稿集, C211, 2002 年 5 月.
6) 熊倉俊郎、豊田文吾、早川典生(長岡技科大), 日本海沿岸域冬季の降水数値実
験の検討. 雪氷学会北信越支部研究発表会, 2002 年 5 月.
7) 清木亜矢子、高薮縁(CCSR), 西風バーストの地域性、季節性、年々変動. 日本気
象学会 2002 年春季大会, 2002 年 5 月.
8) 菊地一佳、 高薮縁(CCSR), MJO のライフサイクル(I):北半球冬季に地球を巡る
MJO, 日本気象学会 2002 年春季大会, 2002 年 5 月.
9) Takayabu, Y.N.(CCSR), Rain characteristics observed with TRMM PR and expectations
to GPM. Second Global Precipitation Measurement (GPM) International Planning Workshop, 2002 年 5 月.
89
10) Shige, S.(大阪府立大), Y.N.,Takayabu(CCSR), W.-K. Tao(NASA), Spectral retrieval of
latent heating profiles from TRMM PR data: Algorithm development with a
clod-resolving model. The 2nd Global Precipitation Measurement (GPM) Workshop,
2002 年 5 月.
11) Takayabu, Y.N.(CCSR), Spectral representation of rain features and diurnal variations
observed with TRMM PR data over the equatorial area. 25th Conference on Hurricane
and Tropical Meteorology, San Diego, AMS, 118-119,2002 年 5 月.
12) Shige,S.(大阪府立大), Y.N.,Takayabu(CCSR), W.-K.Tao(NASA), and D. E. Johnson
(Univ.of Maryland), Spectral retrieval of latent heating profiles from TRMM PR data:
Algorithm development with a clod-resolving model,25th Conf. on Hurricanes and
Tropical Meteorology, San Diego, USA, AMS, 73-74,2002 年 5 月.
13) Takayabu, Y.N.(CCSR), and A. Seiki, Statistical analysis on mutual relationships among
MJO, WWBs, and ENSO. 2002 Western Pac. Geophysical Meeting (AGU), 2002 年 7 月
9-12 日.
14) Kikuchi, K., and Y.N.,Takayabu(CCSR), The composite life cycle of the Madden-Julian
oscillation: Recurrence mechanism of the MJO during southern summer. 2002 Western
Pac. Geophysical Meeting (AGU), Wellington, 2002 年 7 月 9-12 日.
15) Kimoto, M.(CCSR), The CCSR Coupled Ocean-Atmosphere General Circulation Model:
Present Status and a Near-Future Plan,The 1st CCSR and CES Joint Workshop ,2002
年 7 月 15-16 日.
16) Takayabu, Y.N.(CCSR), Statistics of tropical rain observed from TRMM. Korea-Japan
workshop, Tokyo, 2002 年 7 月 15-16 日.
17) Takayabu, Y.N.(CCSR), Spectral representation of rain features and diurnal variations
observed with TRMM PR data over the equatorial area. TRMM International Science
Conference, Honolulu, 2002 年 7 月 21-26 日.
18) Takayabu, Y.N.(CCSR), and S. Shige(大阪府立大), Spectral retrieval of latent heating
profiles from TRMM PR data. Part II: Experimental applications to PR2A25 rain profiles,
TRMM International Science Conference, Honolulu, 2002 年 7 月 21-26 日.
19) Shige, S.(大阪府立大) and Y.N.,Takayabu(CCSR), W.-K.Tao(NASA), D. Johnson(Univ.
of Maryland), Spectral retrieval of latent heating profiles from TRMM PR data. Part I:
Algorithm development with a cloud resolving model,TRMM International Science
Conference, Honolulu, 2002 年 7 月 21-26 日.
20) Kimoto, M.(CCSR), M. Watanabe, and F.-F. Jin(北大), Upstream ENSO Teleconection
over the Eurasian Continent via a Tropical Axisymmetric Mode of Variability, International Workshop on Air-Land Interaction in Arid and Semi-Arid Areas and its Impact on
Climate, 2002 年 8 月 18-21 日.
21) Shen, X.-S.(CAMS), and M. Kimoto(CCSR), Coupling of the springtime surface air
temperature over Eurasia and the extratropical circulation anomalies. International Workshop on Air-Land Interaction in Arid and Semi-Arid Areas and its Impact on Climate,
2002 年 8 月 18-21 日.
22) 江守正多, 西村照幸, 鈴木立郎(FRCGC), 羽角博康(CCSR), 齋藤冬樹(FRCGC),
木本昌秀, 井上孝洋(CCSR)他, 地球温暖化のための高解像度大気海洋結合モデル
の開発, 日本気象学会秋季大会, 2002 年 10 月.
23) 石井正好(FRCGC), 坂元賢治(気象庁), 木本昌秀(CCSR), 気候の監視と予測のた
めの海洋データ同化 (4), 日本気象学会秋季大会, 2002 年 10 月.
24) 熊倉俊郎,早川典生(長岡技科大), 積雪融雪時期の広域地表面水収支の解明に向け
た、冬季日本海沿岸域の降雪数値実験,雪氷学会全国大会, 2003 年 10 月 8-11 日.
25) 高薮縁(CCSR), 熱帯域の対流性・層状性降雨比と環境場との関係, 日本気象学会
秋季大会, 札幌, 2002 年 10 月.
26) 清木亜矢子,高薮縁(CCSR), 西風バースト発生と MJO との関係, 日本気象学会
90
秋季大会, 札幌, 2002 年 10 月.
27) 重 尚一(大阪府立大),高薮縁(CCSR),W.-K.Tao(NASA),D. E. Johnson(Univ. of
Maryland), TRMM PR データからの潜熱加熱プロファイルのスペクトル推定:雲
解像モデルによるアルゴリズム開発(2), 日本気象学会秋季大会, 札幌, 2002 年 10
月.
28) 田之脇潤,熊倉敏郎,陸旻皎,早川典生(長岡技科大),山野井克己((独)森林総合研
究所),清水増治郎,五十嵐高志,山田穣((独)防災科研), 北陸の気象観測データを
用いた積雪圧蜜密数値モデルによる積雪深の導出 2 種類の大気数値モデルを用い
た冬季北陸の数値実験と降雪水量観測値との比較, 土木学会関東支部新潟会研究
調査発表会, 2002 年 11 月 13 日.
29) 清水智,早川典生,熊倉俊郎(長岡技科大), 2 種類の大気数値モデルを用いた冬季
北陸の数値実験と降雪水量観測値との比較,土木学会関東支部新潟会研究調査発
表会, 2002 年 11 月 13 日.
30) 猪野祐一,早川典生,陸旻皎,熊倉俊郎(長岡技科大), 地下水の浸透解析を組み込ん
だ分布型水文モデルの開発に関する研究,土木学会関東支部新潟会研究調査発表
会, 2002 年 11 月 13 日.
31) 上米良秀行,熊倉俊郎,陸旻皎,早川典生(長岡技科大),楊廣雲,陰法章(中国黒龍江
省水文局), 分布型流出モデルを用いた 1998 年松花江洪水の再現. 土木学会関東
支部新潟会研究調査発表会, 2002 年 11 月 13 日.
32) 宮下貴位,早川典生,陸旻皎,熊倉俊郎(長岡技科大), 中国松花江支川の甘河流域に
おける流出特性の研究,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会, 2002 年 11 月 13
日.
33) 三浦裕亮(FRCGC), 木本昌秀(CCSR), 雲解像モデルを用いた温暖化想定実験, 第
4回 非静力学 モデルに関するワークショップ, 2002 年 11 月 30 日-12 月 1 日.
34) 重 尚一(大阪府立大),高薮縁(CCSR),W.-K.Tao(NASA),D. E. Johnson(Univ. of
Maryland), TRMM PR データからの潜熱加熱プロファイルのスペクトル推定:雲
解像モデルによるアルゴリズム開発, 第4回非静力学モデルに関するワークショ
ップ, 2002 年 11 月 30 日-12 月 1 日.
35) 北川 裕人(気象庁), Water and Energy Budgets in the AMIP Simulation with the JMA
GSM. WCRP/WGNE 第2回大気モデル相互比較プロジェクト(AMIP)国際会議,
2002 年 11 月 12-15 日.
36) Kimoto, M.(CCSR), Phenomena affecting the Asian-Pacific Climate (Invited Lecture).
Proceedings of Workshop on Climate System Monitoring, Diagnosis and Prediction in the
Asia-Pacific Region, 2002 年 12 月 2-6 日.
37) Emori, S., T., Nishimura, T. Suzuki(FRCGC), T. Inoue(RIST), H. Hasumi, F. Saito,
Abe-Ouchi, M. Kimoto(CCSR), H. Kanzawa(名古屋大), and A. Sumi(CCSR),
Development of a High-Resolution Climate Model for Future Climate Change Projection
on the Earth Simulator. AGU 2002 Fall Meeting, 2002 年 12 月 6-10 日.
38) Takayabu, Y.N.(CCSR), A review on observational studies on Madden-Julian Oscillation.
Joint Symposium THORPEX and NWP Heavy Rain over Asia, Tokyo (JMA), extended
abstract available on CD-ROM, 2003 年 2 月 6 日.
39) Kimoto, M.(CCSR), and the K-1 Japan National Team, High-resolution coupled
ocean-atmosphere general circulation modeling on the Earth Simulator,The 5th International Workshop on Next Generation Climate Models for Advanced High Performance
Computing Facilities, 2003 年 3 月 3-5 日.
40) Inoue, T.(RIST), and the K-1 Japan National Team, Computational aspects and issues of
the CCSR/NIES/FRSGC coupled general circulation model on the Earth Simulator, The
5th International Workshop on Next Generation Climate Models for Advanced High Performance Computing Facilities, 2003 年 3 月 3-5 日.
41) Hasumi, H.(CCSR), T. Suzuki(FRCGC), and H. Nakano(気象研究所), Sea ice-ocean
91
component of the CCSR/NIES/FRSGC model for future climate change projection on the
Earth Simulator, The 5th International Workshop on Next Generation Climate Models
for Advanced High Performance Computing Facilities, 2003 年 3 月 3-5 日.
42) 清水智,熊倉俊郎,早川典生(長岡技科大), 局地気象数値モデルを用いた冬季北陸域
の数値実験結果と降雪水量観測値との比較解析. 土木学会関東支部研究発表会,
2003 年 3 月 10-11 日.
43) 田之脇潤(長岡技科大),山野井克己((独)森林総合研究所),山田穣((独)防災科研
究所),熊倉俊郎(長岡技科大), 多層一次元数値モデルに基づく北陸地域における
積雪融雪分布の把握に関する研究,土木学会関東支部研究発表会, 2003 年 3 月
10-11 日.
44) 上米良秀行,熊倉俊郎,陸旻皎,早川典生(長岡技科大), 分布型流出モデルを用いた
1998 年松花江洪水の再現実験 ―基準スケール問題の検討―, 土木学会関東支部
研究発表会, 2003 年 3 月 10-11 日.
45) 猪野祐一,早川典生,陸旻皎,熊倉俊郎(長岡技科大), 地中水の浸透解析を組み込ん
だ分布型水文モデルの開発に関する研究, 土木学会関東支部研究発表会, 2003 年
3 月 10-11 日.
46) Takayabu, Y.N.(CCSR), Characteristics of precipitation observed by TRMM PR. GEWEX-GCIP Workshop on Precipitation Analysis, Reading, 2003 年 3 月 11-13 日.
47) Ogura, T.(NIES), A. Abe-Ouchi, and H. Hasumi(CCSR), Impact of sea ice dynamics
onthe Southern Ocean sea ice distribution, CCSR and CES Joint Workshop, 2002 年 7
月 15-16 日.
48) Kimoto, M.(CCSR), Simulated Enhancement of Baiu-Meiyu Activity under the Global
Warming. International Symposium on Climate Change, Beijing ,2003 年 3 月 31 日‐4
月 3 日.
49) 對馬洋子(FRCGC),木本昌秀,中島映至(CCSR), 年変動におけるモデルの solar
cloud feedback と水・氷雲の表現,日本気象学会春季大会, 2003 年 5 月.
50) 金丸由紀子, 木本昌秀(CCSR), 大気海洋結合大循環モデルによるエルニーニョの
シミ ュレーション:振幅に影響を与える要因について,日本気象学会春季大会,
2003 年 5 月.
51) Kimoto, M.(CCSR), Tropical performance of the CCSR Coupled GCM, Workshop on
Reducing Biases in Coupled Model Simulations of the Tropical Oceans on Seasonal and
Longer Timescales,GFDL/Princeton University, Princeton, NJ, USA,2003 年 5 月 28-30
日.
52) Miura, H.(FRCGC), and M. Kimoto(CCSR), Cumulus ensemble simulation using a
cloud resolving model. Workshop on the Future of Cloud Parameterization, Princeville,
Kauai, Hawaii,2003 年 5 月 7-9 日.
53) Suzuki, T., S. Emori, T. Nishimura, and S. Matsumura(FRCGC), The role of convective
triggering in an AGCM. Workshop on the Future of Cloud Parameterization, Princeville,
Kauai, Hawaii,2003 年 5 月 7-9 日.
54) 鈴木恒明,江守正多,西村照幸,松村伸治(FRCGC), 対流スキームへのトリガー
関数導入とその効果, 日本気象学会春季大会, 2003 年 5 月.
55) 高薮縁(CCSR), TRMM PR2a25 データを用いた熱帯降雨特性の定量的解析:季節変
化, 日本気象学会春季大会, 2003 年 5 月.
56) 清木亜矢子,高薮縁(CCSR), 西風バーストと MJO との統計的関係,日本気象学会
春季大会, 2003 年 5 月.
57) Kimoto, M.(CCSR), S. Emori(FRCGC), H. Hasumi(CCSR), T. Suzuki, T. Nishimura
(FRCGC), T. Inoue(RIST), F. Saito(FRCGC), T. Ogura(NIES), A. Abe-Ouchi(CCSR),
H. Kanzawa(名古屋大), and A. Sumi(CCSR), High-resolution coupled ocean-atmosphere
general circulation modeling on the Earth Simulator, XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
92
58) Yasutomi, N., and M. Kimoto(CCSR), Detection and dynamics of the principal mode of
Asian summer monsoon variability, XXIII General Asembly of the International Union
of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
59) Emori, S., T. Nishimura, T. Suzuki, S. Matsumura, F. Saito(FRCGC), T. Inoue(RIST), T.
Ogura(NIES), A. Abe-Ouchi, M. Kimoto(CCSR), H. Kanzawa(名古屋大), Atmospheric
component of the CCSR/NIES/FRSGC model for future climate change projection on the
Earth Simulator, XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and
Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
60) Miura, H.(FRCGC), and M. Kimoto(CCSR), Comparison of error reduction schemes for
a shallow water model on a spherical geodesic grid, XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
61) Ogura, T.(NIES), M. Kimoto, H. Hasumi(CCSR), R. Ohgaito, T. Segawa(FRCGC), A.
Abe-Ouchi(CCSR), S. Emori(FRCGC), M. Watanabe(北大), F. Saito(FRCGC), and H.
Kanzawa( 名 古 屋 大 ) A coupled ocean-atmosphere general circulation model for
long-term integrations on the Earth Simulator,XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
62) Nozawa, T., T. Nagashima(NIES), T. Takemura(九大), S. Emori(FRCGC), and M.
Kimoto(CCSR), Climate change simulations on the 20th century with natural and anthropogenic forcings, XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy
and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
63) Takayabu, Y.N.(CCSR), Regional and seasonal variations of precipitation characteristics
analyzed with TRMM Precipitation Radar and implications to precipitation estimates and
errors,XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics,
札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
64) Takayabu, Y.N. and K. Kikuchi(CCSR), Propagation of MJO in association with moisture signals over the western hemisphere and its recurrence mechanism during the boreal winter,XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
65) Shige,S.(大阪府立大), Y.N.,Takayabu(CCSR), W.-K.Tao(NASA), D. E. Johnson(Univ. of
Maryland), and C.-L. Shie(NASA), Spectral retrieval of latent heating profiles from
TRMM PR data: comparison of look-up tables, XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics,札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
66) Kikuchi, K., and Y.N.,Takayabu(CCSR), The development of organized convection associated with the Madden-Julian Oscillation (MJO) during TOGA COARE, XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月
30 日‐7 月 11 日.
67) Seiki, A., and Y.N.,Takayabu (CCSR), A statistical analysis of westerly wind bursts in the
equatorial tropics and their interrelationship with ENSO and intraseasonal variations,
XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌,
2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
68) Okada,I., T. Takamura, S. Kaneta, Y. Honda, Y.N.,Takayabu, and T. Nakajima(CCSR),
Five-year surface observation of radiation at Mandalgovi, Mongoria, XXIII General
Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30
日‐7 月 11 日.
69) Arai, M. (CCSR), and H. Mukougawa (京大), On the Role of Synoptic Disturbances and
Low-frequency Variations in Blocking Flows, XXIII General Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30 日‐7 月 11 日.
70) Suzuki, T., S. Emori, T. Nishimura, and S. Matsumura(FRCGC), The effect of convective
triggering in the tropical atmosphere simulated by atmospheric GCM, XXIII General
Asembly of the International Union of Geodesy and Geophysics, 札幌, 2003 年 6 月 30
日‐7 月 11 日.
93
71) Kimoto, M. (CCSR), and the K-1 Japan National Team, Coupled ocean-atmosphere modeling on the Earth Simulator, The 2nd CES and CCSR Joint Workshop on Climate Modeling and Analysis, Seoul, Korea, 2003 年 7 月 13-14 日.
72) Cha, E.-J., and M. Kimoto (CCSR), Summertime ENSO teleconnection over the Eurasia.
The 2nd CES and CCSR Joint Workshop on Climate Modeling and Analysis, Seoul, Korea,2003 年 7 月 13-14 日.
73) Miura, H.(FRCGC), and M. Kimoto (CCSR), The impact of horizontal resolution on the
radiative-convective equilibrium simulation, The 2nd CES and CCSR Joint Workshop
on Climate Modeling and Analysis, Seoul, Korea,2003 年 7 月 13-14 日.
74) Ishii, M.(FRCGC), K. Sakamoto, and M. Kimoto (CCSR), Ocean Data Assimilation Using Temperature, Salinity, and Sea Surface Height Observations, and its Impacts on El
Nino Prediction, International Conference on Earth System Modelling, Max Planck Institute for Meteorologie, Hamburg, Germany, 2003 年 9 月 15-19 日.
75) Kimoto, M. (CCSR), S. Emori(FRCGC), H. Hasumi(CCSR), T. Suzuki, T. Nishimura
(FRCGC), T. Inoue(RIST), F. Saito(FRCGC), T. Ogura(NIES), A. Abe-Ouchi
( CCSR ) , H. Kanzawa( 名 古 屋 大 ), A. Sumi(CCSR), High-Resolution Coupled
Ocean-Atmosphere General Circulation Modelling on the Earth Simulator, International
Conference on Earth System Modelling, Max Planck Institute for Meteorologie, Hamburg,
Germany, 2003 年 9 月 15-19 日.
76) Ogura, T. (NIES), M. Kimoto, H. Hasumi (CCSR), R. Ohgaito, T. Segawa (FRCGC), A.
Abe-Ouchi (CCSR), S.Emori, T.Nishimura (FRCGC), M.Watanabe (北大), F. Saito
(FRCGC), H. Kanzawa (名古屋大), A. Sumi (CCSR), A Coupled Ocean-Atmosphere
General Circulation Model for Long-Term Integrations on the Earth Simulator, International Conference on Earth System Modelling, Max Planck Institute for Meteorologie,
Hamburg, Germany, 2003 年 9 月 15-19 日.
77) Nozawa, T., T. Nagashima (NIES), T. Takemura (九大), S. Emori, T. Nishimura (FRCGC),
M. Kimoto (CCSR), Climate Simulations on the 20th Century with Various Forcings, International Conference on Earth System Modelling, Max Planck Institute for Meteorologie, Hamburg, Germany, 2003 年 9 月 15-19 日.
78) Kimoto, M. (CCSR), T. Ogura (NIES), and the K-1 Japan National Team, The 20th century climate reproduction experiment with the CCSR/NIES/FRSGC coupled
ocean-atmosphere GCM. 2nd Coupled Model Intercomparison Workshop (CMIP), Max
Planck Institute for Meteorologie, Hamburg, Germany. , 2003 年 9 月 22-23 日.
79) Liaqat , A. (CCSR), M. Fukuhara, T. Takeda (電通大), and M. Kimoto (CCSR), Constructing dynamical systems from observations by neural networks, Proceedings of annual
meeting of Japan Society for Industrial and Applied Mathematics (JSIAM), 394-395,
2003 年 9 月.
80) Kimoto, M. (CCSR), Atmospheric Physics and Dynamics issues for a comprehensive
Earth system models, UK/Japan Workshop on Earth System Modelling, Cambridge, UK,
2003 年 10 月 1-3 日.
81) Kimoto, M. (CCSR), Studies of natural and anthropogenic climate variability using
GCMs, UK/Japan Workshop on Earth System Modelling, 1-3 October 2003, Cambridge,
UK, 2003 年 10 月 1-3 日.
82) Ogura, T. (NIES), and the K-1 Project Team, High resolution modelling on the Earth
Simulator, UK/Japan Workshop on Earth System Modelling, Cambridge, UK, 2003 年
10 月 1-3 日.
83) Abe-Ouchi, A. (CCSR), Understanding Paleoclimates --Modelling the Glacial/Interglacial
Climate with Coupled GCM--, UK/Japan Workshop on Earth System Modelling, Cambridge, UK, 2003 年 10 月 1-3 日.
84) 中村卓也, 木本昌秀 (CCSR), 江守正多(FRCGC), T106 鉛直 56 層大気大循環モ
デルで再現されたモンスーン域の季節内振動, 日本気象学会秋季大会, 2003 年 10
94
月.
85) 荒井美紀, 木本昌秀(CCSR), 夏季の北西太平洋域に観測されるブロッキングの経
年変化,日本気象学会秋季大会,2003 年 10 月.
86) 荒井美紀, 木本昌秀 (CCSR), 北西太平洋域におけるブロッキングの経年変動と
その要因,平成 15 年度京都大学防災研究所特定研究集会 (15S-3)「対流圏長周期
変動と異常気象」, 京都大学宇治キャンパス内 木質科学研究所木質ホール,2003
年 10 月 30-31 日.
87) 安富奈津子, 木本昌秀 (CCSR), 夏季アジアモンスーン域の主要変動モード. 2003
年度 日本気象学会月例会「長期予報と大気大循環」, 気象庁,2003 年 11 月 4 日.
88) Watanabe, M. (北大), Possible processes affecting predictability of the East Asian winter climate. Joint Meeting for Seasonal Prediction of the East Asian Winter Monsoon,
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89) Ishii, M.(FRCGC), A. Shouji, S. Sugimoto, and T. Matsumoto (気象庁), Objective
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90) 玉木大輔, 熊倉俊郎, 早川典生(長岡技科大), 長岡市を基準とした北陸冬季の降
水域移動に関する研究. 土木学会関東支部新潟会研究調査発表会,2003 年 11 月.
91) 上村明弘, 陸旻皎, 熊倉俊郎, 早川典生(長岡技科大), 積雪パラメータの積雪深
への影響,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会, 2003 年 11 月.
92) 菊地一佳(CCSR), Madden-Julian 振動の伝播特性に関するデータ解析研究, 大
気海洋圏物理系セミナー, 北大地球環境,2003 年 11 月 20 日.
93) 木本昌秀 (CCSR), 広域水循環予測―モデルの現状と課題―,第 2 回CREST水
の循環 系モデリングと利用システム横断的研究会,東京大学生産技術研究所,
2003 年 12 月 2 日.
94) 木本昌秀 (CCSR), 比較的高解像度の大気大循環モデルによる日本付近の降水,
第 2 回気候変動が水循環に与える影響評価研究会,中央大学理工学部,2003 年 12
月 5 日.
95) Watanabe, M. (北大), From NAO to AO: A distinctive process between two phenomena,
AGU Fall Meeting, December 8, San Fransisco, 2003 年 12 月 8 日.
96) Kumakura, T. and N.Hayakawa(長岡技科大), Meteorological Numerical Simulation for
Predicting Snowfall Intensity over Hokuriku Area in Japan, Proceedings of the International Symposium on Disaster Mitigation and Basin-Wide Water Management, 2003 年 12
月 9 日.
97) 木本昌秀 (CCSR), 階層的モデリングによる広域水循環予測―全体の進捗概要報
告―. 水の循環系モデリングと水利用システム第 2 回ワークショップ,東京大学駒
場リサーチキャンパス,2004 年 1 月 7-8 日.
98) 荒井美紀 (CCSR), 春季シベリア域の陸面状態が夏季東アジアの気候にもたらす
影響, 水の循環系モデリングと水利用システム第 2 回ワークショップ,東京大学駒
場リサーチキャンパス, 2004 年 1 月 7-8 日.
99) 木本昌秀 (CCSR), 比較的高解像度の大気大循環モデルによる地球温暖化時の降
水変化, 第 3 回気候変動が水循環に与える影響評価研究会, 学士会館分館, 2004 年
1 月 19 日.
100) Kimoto, M. (CCSR), Intraseasonal variability of the Asian summer monsoon in a modestly high resolution general circulation model. International Asian Monsoon Symposium,
Honolulu, USA, 2004 年 2 月 17-21 日.
101) Yasutomi, N., and M. Kimoto (CCSR), Detection and dynamics of the principal mode of
Asian summer monsoon variability, International Asian Monsoon Symposium, Honolulu,
USA, 2004 年 2 月 17-21 日.
102) Kikuchi, K.(CCSR), Different propagation characteristics of the MJO during boreal
95
summer and winter, International Asian Monsoon Symposium, Honolulu, USA, 2004
年 2 月 17-21 日.
103) Cha, E.-J., and M. Kimoto (CCSR), Summertime ENSO teleconnections over the Eurasia: The possible cause of East Asia cool summer in developing El Nino summer,
International Asian Monsoon Symposium, Honolulu, USA, 2004 年 2 月 17-21 日.
104) Kimoto, M. (CCSR), High-resolution coupled ocean-atmosphere modeling on the Earth
Simulator, The 1st International Workshop on the Kyousei Project, Honolulu, USA,
2004 年 2 月 25-27 日.
105) Ogura, T. (NIES), M. Kimoto (CCSR), and K-1 project members, Climate sensitivty of
CCSR/NIES/FRSGC AGCM with different cloud modelling assumptions, The 1st International Workshop on the Kyousei Project, Honolulu, USA, 2004 年 2 月 25-27 日.
106) Oka, A.(CCSR), Simulation of the Atlantic deep circulation in a coupled atmosphere
and ocean general circulation model. The 1st International Workshop on the Kyousei
Project, Honolulu, USA, 2004 年 2 月 25-27 日.
107) Nishimura, T. (FRCGC), Land-surface hydrological processes of K-1 high resolution
coupled model. The 1st International Workshop on the Kyousei Project, Honolulu, USA,
2004 年 2 月 25-27 日.
108) Hasegawa, S. (FRCGC), Daily Precipitation Intensity and Tropical Cyclone Activity in
Present and 2xCO2 Climates Simulated by the CCSR/NIES/FRSGC T106 AGCM, The
1st International Workshop on the Kyousei Project, Honolulu, USA, 2004 年 2 月 25-27
日.
109) 熊倉俊郎(長岡技科大),北陸域の降雪特性とそれに関わる数値実験について,ワ
ークショップ「降雪に関するレーダと数値モデルによる研究(第2回)」,2004 年
3月8日
110) Kimoto, M. (CCSR), Update on the K-1 CGCM and related activities, Japan-UK
Workshop on Climate Modelling, Met Office, Exeter, UK, 2004 年 3 月 8-9 日.
111) Ogura, T. (NIES), Climate sensitivity of the CCSR/NIES/FRSGC AGCM with different
cloud modelling assumptions, Japan-UK Workshop on Climate Modelling, Met Office,
Exeter, UK, 2004 年 3 月 8-9 日.
112) Hasumi, H. (CCSR), Developments in K-1 ocean modeling, Japan-UK Workshop on
Climate Modelling, Met Office, Exeter, UK, 2004 年 3 月 8-9 日.
113) Emori, S. (FRCGC), K-1 T106 AMIP results and some fruits of FUJI, Japan-UK Workshop on Climate Modelling, Met Office, Exeter, UK, 2004 年 3 月 8-9 日.
114) Nozawa, T. (NIES), Climate simulations of the 20th Century with atmosphere-only and
coupled GCMs, Japan-UK Workshop on Climate Modelling, Met Office, Exeter, UK,
2004 年 3 月 8-9 日.
115) 木本昌秀(CCSR),高分解能大気海洋結合モデルの開発:現状と課題. 地球温暖化
予測研究ワークショップ, マホロバマインズ三浦, 2004 年 3 月 18-19 日.
116) Liaqat , A., and M. Kimoto (CCSR), Applying neural networks to reconstruct nonlinear
dynamical systems from observations, Conference held at Lahore, Pakistan,2004 年 3 月
18-20 日.
117) 岡 顕(CCSR),大気海洋結合大循環モデルにおける大西洋深層循環の再現,日
本海洋学会,2004 年 3 月 29 日.
118) Takayabu, Y. N. (CCSR), A Study on variations of deep-rain properties with the sea surface temperature over the tropics utilizing TRMM PR2a25 and TMI data,26th Conference
on Hurricane and Tropical Meteorology,2004 年 5 月 2-8 日.
119) 石井正好(FRCGC), 木本昌秀(CCSR),20 世紀海洋データ同化 ― 予備的実験
―,日本気象学会 2004 年度春季大会,2004 年 5 月 16 日.
120) 三浦裕亮(FRCGC), 木本昌秀(CCSR),有限体積/有限差分混合スキームを用い
た正 20 面体格子上の浅水波モデル,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 16 日.
96
121) 網野尚子, 木本昌秀(CCSR), 重力波抵抗スキームの違いによる降水量の変化に
ついて,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 17 日.
122) 中村卓也, 木本昌秀(CCSR), 江守正多(FRCGC),高解像度大気大循環モデルで再
現されたモンスーン域の季節内変動,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 18 日.
123) 坂本 天, 住 明正, 木本昌秀(CCSR), 江守正多, 西村照幸(FRCGC), 羽角博康
(CCSR), 鈴木立郎(FRCGC),高分解能大気海洋結合モデルによるハワイ諸島西方
に特有な大気海洋相互作用現象の再現,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 18
日.
124) 荒井美紀(CCSR), 向川 均(京大), 木本昌秀(CCSR),ブロッキング現象における
ストームトラックの役割,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 19 日.
125) 渡部雅浩(北大),傾圧大気の平衡状態について: baroclinic adjustment 再考,日本
気象学会春季大会,2004 年 5 月 19 日.
126) 森正人, 渡部雅浩(北大),ストームトラックのフィードバックを含む順圧特異モ
ード計算,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 19 日.
127) 鈴木恒明,江守正多,西村照幸(FRCGC),高薮縁(CCSR), CCSR/NIES/FRSGC
AGCM で再現される対流と結合した赤道波の解析, 日本気象学会春季大会,2004
年 5 月 19 日.
128) 高薮縁(CCSR),TRMM PR と TMI データを用いた熱帯域の背の高い降雨と海面
水温との関係についての解析,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 19 日.
129) 森田純太郎, 高薮縁(CCSR),TRMM 衛星データを用いた Madden-Julian 振動に伴
う 降水特性の解析,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月 19 日.
130) 片山勝之, 高薮縁(CCSR), TRMM PR データのメソスケール統計を用いた熱帯・
亜熱帯域の降雨特性とその降雨要因についての研究,日本気象学会春季大会,2004
年 5 月 19 日.
131) 横森淳一, 高薮縁(CCSR),高層ゾンデデータ解析による熱帯大気の 0°C レベル
安定層が対流に及ぼす効果についての研究,日本気象学会春季大会,2004 年 5 月
19 日.
132) Kimoto, M., T. Nakamura (CCSR), and S. Emori(FRCGC),Intraseasonal variability of
the Asian summer monsoon in a modestly high resolution general circulation
model,Proceedings of the Fourth International Symposium on Asian Monsoon Systems,
2004 年 5 月 24-29 日.
133) Sumi, A., M. Kimoto, H. Hasumi (CCSR), S. Emori (FRCGC), and T. Nozawa(NIES),
Development of a high-resolution climate model,Proceedings of the Fourth International
Symposium on Asian Monsoon Systems,2004 年 5 月 24-29 日.
134) Yasutomi, N., and M. Kimoto (CCSR),Detection of principal modes of Asian summer
monsoon variability, Proceedings of the Fourth International Symposium on Asian Monsoon Systems ,2004 年 5 月 24-29 日.
135) Shen, X.-S. (CAMS), and M. Kimoto (CCSR),The winter NAO and Eurasian land
surface conditions in springtime,Proceedings of the Fourth International Symposium on
Asian Monsoon Systems,2004 年 5 月 24-29 日.
136) Nakagawa, M., and A. Shimpo(気象庁),Impacts of a Cumulus Parameterization
Scheme on the Asian Monsoon Simulated by the JMA Global Model,Proceedings of the
Fourth International Symposium on Asian Monsoon Systems,2004 年 5 月 24-29 日.
137) Arai, M., and M. Kimoto (CCSR), Influence of springtime surface temperature over Siberia uopn summertime blocking activity over Northeast Asia, Proceedings of the Fourth
International Symposium on Asian Monsoon Systems,2004 年 5 月 24-29 日.
138) 荒井美紀(CCSR), Relationship between the surface temperature on Siberia in spring
and summertime blocking over north-west of the Pacific Ocean, 2004 年 6 月 21 日.
139) Takayabu, Y. N., and M. Katayama (CCSR),Low-latitude rainfall characteristics and
its meteorological factors analyzed with mesoscale statistics of TRMM PR data,1st meet97
ing AOGS, 2004 年 7 月 8-10 日.
140) Saito, F. (FRCGC) and A. Abe-Ouchi (CCSR), Design of the `coupler' part in
CCSR/NIES/FRSGC climate model and development of an ice-sheet sub-component
model, The First Joint Workshop between CCSR/Japan and CNPR/CAMS/China on
Climate System Modeling, QingDao, China, 2004 年 7 月 12-15 日.
141) Kimoto, M. (CCSR), High-resolution coupled ocean-atmosphere modeling: Impact of
resolution, The First Joint Workshop between CCSR/Japan and CNPR/CAMS/China on
Climate System Modeling, QingDao, China, 2004 年 7 月 12-15 日.
142) Kimoto, M. (CCSR), and the K-1 Japan Project Team, High-resolution coupled
ocean-atmosphere modeling on the Earth Simulator, University Allied Workshop,
Shonan Village Center, Kanagawa, Japan, 2004 年 7 月 20-23 日.
143) 稲津将, 木本昌秀(CCSR), Hoskins B. J. (英国レディング大学気象学科), 向川均
(京大), 謝尚平(米国ハワイ大学国際太平洋研究センター), The Mid-latitude
Storm-Track Response to Terrestrial and Radiative Forcing, University Allied Workshop,
2004 年 7 月 20-23 日.
144) Takayabu, Y. N. (CCSR),Variations of deep-rain properties with the SST over the
tropics analyzed with TRMM PR2a25 and TMI SST , The University Allied
workshop on Climate and Environmental Studies and Global Sustainability,2004 年 7
月 20-23 日.
145) Kitoh, A., A. Noda, S. Yukimoto, S. Emori(FRCGC), T. Nozawa, T. Ogura(NIES),
M. Kimoto, A. Abe-Ouchi, and A. Sumi (CCSR), A comparison of climate sensitivity
among the Japanese models, IPCC Workshop on Climate Sensitivity, 2004 年 7 月
26-29 日.
146) Takayabu, Y. N. and M. Katayama (CCSR),An attempt to determine dominant meteorological factors of precipitation utilizing mesoscale statistics of TRMM PR2a25
data,The 8th International Conference on Precipitation,2004 年 8 月 8-11 日.
147) Tsushima, Y. (FRCGC), M. Kimoto, and T. Nakajima (CCSR), Analysis of cloud feedback in the annual variation in GCM using monthly mean profile, International Radiation Symposium 2004, 2004 年 8 月 24 日.
148) Takayabu, Y. N. (CCSR),Variations of Deep-rain Properties with the Sea Surface
Temperature,The 2nd TRMM International Science Conference, 2004 年 9 月 6-10 日.
149) Shige, S. (大阪府立大) and Y. N.Takayabu (CCSR), Specytral retrieval of latent heating
profiles from TRMM PR data: Comparison of look-up tables,The 2nd TRMM International Science Conference, 2004 年 9 月 6-10 日.
150) Morita, J., and Y. N.Takayabu (CCSR),Analysis of Rainfall Characteristics of the
Madden-Julian Oscillation Using TRMM Satellite Data,The 2nd TRMM International
Science Conference, 2004 年 9 月 6-10 日.
151) Tao, W. K., E. A. Smith, R. Adler, A. Hou, R. Kakar (NASA), T. Krishnamurti (Florida
State University), C. Kummerow (Colorado State University), S. Lang (Science Systems
and Applications Inc.), W. Olson (NASA), S. Satoh (NICT), S. Shige (大阪府立大), J.
Simpson (NASA), Y. N.,Takayabu (CCSR), and S. Yang (George Mason Univ.),Latent
Heating Structure Derived from TRMM, The 2nd TRMM International Science Conference, 2004 年 9 月 6-10 日.
152) T. Kozu, Z. Akramin, T. Shimomai (島根大), S. Mori (JAMSTEC), H. Hashiguchi (京
大), Y. Shibagaki (大阪電通大), Y. N. Takayabu (CCSR), and S. Saraspriya (インドネ
シア航空宇宙庁),Seasonal, Intra-seasonal and Diurnal Variations of Raindrop Size
Distribution at Koto Tabang, West Sumatra, The 2nd TRMM International Science
Conference, 2004 年 9 月 6-10 日.
153) 石井正好(FRCGC), 木本昌秀(CCSR), 20 世紀海洋データ同化—全球海面高度の
長期変動—,日本気象学会秋季大会, 2004 年 10 月.
98
154) 宮坂隆之, 荒井美紀, 木本昌秀(CCSR), 2003 年日本における冷夏の解析と数値実
験,日本気象学会秋季大会, 2004 年 10 月.
155) 安富奈津子, 木本昌秀(CCSR), 江守正多(FRCGC), CCSR/NIES/FRCGC T106
AGCM によって再現された日本付近の降水分布, 日本気象学会秋季大会, 2004
年 10 月.
156) 荒井美紀, 木本昌秀(CCSR), AGCM で表現されるブロッキング現象の解像度依
存性,日本気象学会秋季大会, 2004 年 10 月.
157) 稲津將, 木本昌秀(CCSR), 温暖化時のストームトラックの真冬の振動極小,日本
気象学会秋季大会, 2004 年 10 月.
158) Liaqat, A., and M. Kimoto (CCSR), Prediction of Chaotic Time Series by Neural Networks, 日本気象学会秋季大会, 2004 年 10 月.
159) 小倉知夫(NIES), 江守正多 (FRCGC), 木本昌秀(CCSR),雲水/雲氷分布が気候
感度に及ぼす影響(第2報),日本気象学会秋季大会,2004 年 10 月.
160) 鈴木恒明,江守正多(FRCGC),高薮縁(CCSR),西村照幸(NIES), 赤道波と対流の
結合メカニズムに関する考察, 日本気象学会秋季大会,2004 年 10 月.
161) 三浦裕亮, 富田浩文(FRCGC), 佐藤正樹(CCSR), 正 20 面体格子上における移流
スキームの開発, 日本気象学会秋季大会,2004 年 10 月.
162) 安富奈津子, 木本昌秀(CCSR), 2004 年夏の再現実験, 「異常気象と長期変動」研
究会, 京都大学防災研究所, 2004 年 10 月 21-22 日,.
163) 宮坂隆之, 荒井美紀, 木本昌秀(CCSR), 2003 年日本における冷夏の解析と数値実
験, 「異常気象と長期変動」研究会, 京都大学防災研究所, 2004 年 10 月 21-22 日.
164) 稲津將, 木本昌秀(CCSR), 温暖化時のストームトラックとその主変動,「異常気象
と長期変動」研究会, 京都大学防災研究所, 2004 年 10 月 21-22 日.
165) 荒井美紀, 木本昌秀(CCSR), AGCM によるブロッキングの再現性について, 「異
常気象と長期変動」研究会,京都大学防災研究所, 2004 年 10 月 21-22 日.
166) 前田修平, 佐藤均, 伊藤明(気象庁),2004年夏の1か月予報は健闘したか?,
「異常気象と長期変動」研究会, 京都大学防災研究所, 2004 年 10 月 21-22 日.
167) 佐藤均, 前田修平, 伊藤明(気象庁),アジアジェットに捕捉された準定常ロス
ビー波と日本の天候,
「異常気象と長期変動」研究会, 京都大学防災研究所,2004
年 10 月 21-22 日.
168) 渡部雅浩(北大),中緯度大気長周期変動の潜在構造と予測可能性: "annular mode"
への適用,
「異常気象と長期変動」研究会, 京都大学防災研究,2004 年 10 月 21-22
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169) Miura, H.(FRCGC), Toward the understanding of cloud systems,National Science
Foundation Science and Technology Center Site Visit,2004 年 10 月 25 日.
170) Kimoto, M. (CCSR), High-resolution coupled ocean-atmosphere modeling on the Earth
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28-29 日.
171) 木本昌秀(CCSR), 階層的モデリングによる広域水循環予測, CREST 水の循環系
モデリングと利用システム第 1 回領域シンポジウム, コクヨホール, 東京,
2004 年 11 月 4 日.
172) 原田裕子, 熊倉俊郎(長岡技科大), 降雪量補正のための高解像度地上風速水平分
布の作成,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会,2004 年 11 月 30 日.
173) Cha E.-J.,M. Kimoto (CCSR),E.-J. Lee,J.-G. Jhun (ソウル国立大学),The characteristics and causes of extreme rainfall events in August over Korea,The 6th International Study Conference on GEWEX in Asia and GAME,2004 年 12 月 4 日.
174) 三浦裕亮, 富田浩文(FRCGC), 佐藤正樹(CCSR),【和文題目】球面 6 角形/5 角形
格子上での保存を満たす風上移流スキーム,【英文題目】An upwind biased conservative advection scheme on the spherical hexagonal-pentagonal grid, 第 18 回数値
99
175)
176)
177)
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185)
186)
187)
188)
189)
流体力学シンポジウム, 2004 年 12 月 17 日.
Liaqat, A., and M. Kimoto (CCSR), Reconstructing Nonlinear Dynamical Systems by
Neural Network Residual Minimization Method,The 8th International Multitopic
Conference, Lahore, Pakistan, 275-280 (IEEE Catalog Number: 04EX930, ISBN:
0-7803-8680-9),2004 年 12 月 24-26 日.
Liaqat, A., and M. Kimoto (CCSR), Reconstruction of Nonlinear Dynamical Systems by
Neural Networks, Proc. Intl. Workshop on High Capacity Optical Networks & Enabling Tech. (HONET), Islamabad, Pakistan, 2004 年 12 月 30 日.
Liaqat, A., and M. Kimoto (CCSR), Applying Neural Network to Reconstruct Nonlinear
Dynamical Systems,The 4th Winter International Symposium on Information and
Communication Technologies (WISICT), Cape Town, South Africa,2005 年 1 月 3-6
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木本昌秀(CCSR), 階層的モデリングによる広域水循環予測, 戦略的創造研究推
進事業(CREST)水の循環系モデリングと水利用システム第 3 回ワークショップ,
科学技術振興機構東京本部, 2005 年 1 月 6-7 日.
Kimoto, M. (CCSR), High-Resolution Coupled Ocean-Atmosphere Modeling for
Global Warming projection, International Workshop on Variability and Predictability of
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Kimoto, M. (CCSR), An Overview of K-1 Japan Project for Global Warming Projection,
The 2nd International "KYOSEI" Workshop and the 7th International Workshop on
Next Generation Climate Models for Advanced High Performance Computing Facilities,
2005 年 2 月 24-26 日.
Oka, A., H. Hasumi(CCSR), N. Okada, T. Suzuki, and T. Sakamoto(FRCGC),
Multi-decadal variability of deep convection in Labrador Sea and Greenland Sea simulated in a coupled atmosphere and ocean general circulation model,The 2nd International "KYOSEI" Workshop and The 7th International Workshop on Next Generation
Climate Models for Advanced High Performance Computing Facilities,2005 年 2 月
24-26 日.
Kimoto, M. (CCSR), Simulations of the East-Asian Summer Climate and Its Change
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Hawaii, USA, 2005 年 3 月 1-4 日.
岡顕, 羽角博康(CCSR), 岡田直資, 鈴木立朗, 坂本天(FRCGC),大気海洋結合大
循環モデルにおける深層水形成の数十年変動について,日本海洋学会,2005 年
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Ishii, M.(FRCGC), and M. Kimoto(CCSR), Ocean Data Assimilation for the 20th
Century, 4-th WMO International Symposium on Assimilation of Observations in Meteorology and Oceanography,Prague, Czech Republic, 2005 年 4 月 18 日-22 日.
Sakamoto, K.(気象庁), Y. Kitamura, and M. Ishii(FRCGC), An Estimation of Argo
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荒井美紀, 木本昌秀(CCSR), 沈 学順(CAMS), 春季ユーラシア域の地表面
気温変動の要因と夏季の気圧場への影響について, 日本気象学会春季大会, 東
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る応答, 2005 年日本気象学会春季大会,東京大学, 2005 年 5 月.
稲津將, 木本昌秀(CCSR),高解像度 CCSR/NIES/FRCGC GCM における大気海
洋結合効果, 日本気象学会春季大会, 東京大学, 2005 年 5 月.
古関俊也, 渡部雅浩(北大), 木本昌秀(CCSR), 山岳強制下における中緯度大気
海洋結合系の気候形成, 日本気象学会春季大会, 東京大学, 2005 年 5 月.
100
190) 三浦裕亮, 富田浩文, 那須野智江, 伊賀晋一(FRCGC), 佐藤正樹(CCSR),全球
雲解像モデルによる水惑星実験の日周期, 日本気象学会春季大会,東京大学,
2005 年 5 月.
191) 福田義和(気象庁), 石井正好(FRCGC), 歴史的海面水温客観解析値の cross validation による品質評価, 日本気象学会春季大会, 東京大学, 2005 年 5 月.
192) 松本隆則,福田義和(気象庁), 石井正好(FRCGC), 繰野年之 (気象庁), JRA-25 長
期再解析プロジェクト:SSM/I データの利用,2005 年日本気象学会春季大会,東京
大学, 2005 年 5 月.
193) 吉川圭史,熊倉俊郎(長岡技科大),積雪多層圧密モデルへの地表面熱収支式の導
入, 雪氷学会北信越支部研究発表会, 富山大学, 2005 年 5 月 21 日.
194) 熊倉俊郎,中井専人(長岡技科大), 地上降雪水量観測値を用いた冬季のレーダ
ー観測値の補正, 雪氷学会北信越支部研究発表会, 富山大学, 2005 年 5 月 21
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195) Suzuki, T.(FRCGC), Y. N. Takayabu(CCSR), and S. Emori(FRCGC), Convectively
coupled equatorial waves simulated in the CCSR/NIES/FRCGC AGCM, The First
K-1 Workshop in 2005, 2005 年 5 月 27 日.
196) Miura, H. (FRCGC), M.Satoh (CCSR), H. Tomita, T. Nasuno, and S. Iga (FRCGC),
Development of a Global Cloud Resolving Model (NICAM) at Frontier Research Center for Global Change,SIAM Conference on Mathematical & Computational Issues in
the Geosciences,アビニョン(仏),2005 年 6 月 7 日.
197) Kimoto, M. (CCSR), and H. Miura (FRCGC), Horizontal resolution dependence of the
radiative-convective equilibrium state of a cloud system resolving model,Cloud Modeling Workshop,Fort Collins, CO, U.S.A,2005 年 7 月 6-8 日.
198) Miura, H. (FRCGC), A global cloud resolving simulation: Results of an aqua planet
experiment, Cloud Modeling Workshop,Fort Collins, CO, U.S.A, 2005 年 7 月 6-8 日.
199) 荒井(野中)美紀(CCSR),Interannual variability of summertime East Asian climate
and projection onto future climate,The University Allied Workshop for Climate and Environmental Modeling,2005 年 7 月 12 日.
200) Cha, E.-J. and M. Kimoto (CCSR), East Eurasian snow cover triggering the Northern
Annular Mode?, The University Allied Workshop for Climate and Environmental Modeling, 2005 年 7 月 11-13 日.
201) 小倉知夫(NIES), 對馬洋子, 江守正多(FRCGC), 木本昌秀(CCSR), 大気中 CO2 増
加に対する下層雲の応答とGCMの気候感度, 第 2 回積雲対流ワークショップ,
東京大学, 2005 年 7 月 22 日.
202) 鈴木 恒明(FRCGC),高薮 縁(CCSR),江守正多(FRCGC), 雲対流と赤道波の結合
メカニズムについて,第 2 回積雲対流ワークショップ,東京大学, 2005 年 7 月 22 日.
203) Ishii, M. (FRCGC), M. Kimoto, and K. Sakamoto (CCSR), Steric sea level estimated
from new ocean temperature and salinity analyses, IAMAS 2005, 北京, 2005 年 8 月 4
日.
204) Suzuki, T. (FRCGC), Y. N. Takayabu (CCSR), and S. Emori (FRCGC), Simulation of
Convectively Coupled Equatorial Wave by the CCSR/NIES/FRCGC AGCM,IAMAS
2005, 北京, 2005 年 8 月 8 日.
205) Arai, M. (CCSR), X.-S. Shen (CAMS), and M. Kimoto (CCSR), Interannual and decadal variability of the Eurasian Land surface temperature and the Northern Hemisphere circulation from winter to summer, IAMAS 2005, 北京, 2005 年 8 月 8 日.
206) Chen, X., and M. Kimoto (CCSR), Tropical Pacific Variability in the Coupled General
Circulation Models, IAMAS 2005, 北京, 2005 年 8 月 8 日.
207) Ogura, T. (NIES), S. Emori (FRCGC), M. Kimoto (CCSR) and K-1 project members,
Climate sensitivity of a general circulation model with different cloud modelling assumptions, IAMAS 2005, 北京, 2005 年 8 月 8 日.
101
208) Inatsu, M., and M. Kimoto (CCSR), The Atmosphere-Ocean Coupled Effect in a
High-Resolution CCSR/NIES/FRCGC GCM, IAMAS 2005, 北京, 2005 年 8 月 11 日.
209) Hasegawa, A. (FRCGC), Tropical cyclone and heavy precipitation over the western
North Pacific in present and doubled CO2 climates, IAMAS 2005, 北京, 2005 年 8 月
11 日.
210) 岡 顕, 羽角博康 (CCSR), 岡田直資,坂本天,鈴木立郎(FRCGC), Deep convection
seesaw controlled by sea ice transport through the Denmark Strait,Dynamic Planet 2005,
Cairns Australia, 2005 年 8 月 26 日.
211) 荒井(野中)美紀(CCSR), 夏季オホーツク海高気圧と春季シベリア域の地表
面状態との関係について, 大槌シンポジウム「冷夏猛暑に代表される夏季異常気
象研究の統合」, 東京大学海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センター, 2005 年 9
月 1 日.
212) 三浦裕亮(FRCGC), 全球雲解像モデルを用いた水惑星実験,日本流体力学会年
会 2005, 2005 年 9 月 7 日.
213) 岡 顕, 羽角 博康(CCSR),深層循環における大気偏西風の強弱の影響について,
日本海洋学会,2005 年 9 月 29 日.
214) 斉藤和之,江守正多(FRCGC),木本昌秀(CCSR),高解像度結合 GCM における温
暖化時の凍土分布変化,日本雪氷学会全国大会,2005 年 9 月 26 日-10 月 1 日.
215) 中川雅之(気象庁), Precipitation Forecasts by a High Resolution Global Model at JMA,
The seventeenth annual BMRC Modelling Workshop, オーストラリア気象庁, 2005
年 10 月 5 日.
216) Kimoto, M. (CCSR), Japanese climate modeling activities on the Earth Simulator, The
9th session of the JSC/CLIVAR working group on coupled modelling, UK Met Office,
Exeter, UK, 2005 年 10 月 3-5 日.
217) Kimoto, M. (CCSR), Japanese climate modeling activities for the 4th assessment report
of IPCC, The 9th session of the JSC/CLIVAR working group on coupled modeling, UK
Met Office, Exeter, UK, 2005 年 10 月 3-5 日.
218) 三浦裕亮(FRCGC), 全球雲解像モデルを用いた水惑星条件での温暖化想定実
験,第 7 回非静力学モデルに関するワークショップ, 東京大学海洋研究所, 2005 年
10 月 5-6 日.
219) Cha, E.-J., and M. Kimoto (CCSR), Summertime ENSO teleconnection over the Eurasia,Proceeding of the Fifth International Symposium on Asian Monsoon System, Yongpyong, Republic of Korea, 2005 年 10 月 11-15 日.
220) Ishii, M., and Y. Fukuda (FRCGC), Cross validation of the COBE products, 2nd International Workshop on Advances in the Use of Historical Marine Climate Data
(MARCDAT-II), Hadley Centre for Climate Prediction and Research, Met Office, Exeter, U.K, 2005 年 10 月 17-20 日.
221) 渡部雅浩(北大), 線型大気の定常応答問題に対する加速反復解法,「異常気象
と長期変動」研究会, 京都大学宇治キャンパス,2005 年 10 月 27 日.
222) 森正人, 渡部雅浩(北大), PNA のライフサイクル, 「異常気象と長期変動」研
究会, 京都大学宇治キャンパス,2005 年 10 月 27 日.
223) 小山博司, 渡部雅浩(北大), 大気長周期変動が日本域の延長予報に与える影響,
「異常気象と長期変動」研究会, 京都大学宇治キャンパス,2005 年 10 月 28 日.
224) Kimoto, M. (CCSR), High-resolution coupled ocean?atmosphere modeling for climate
studies, German-Japanese Workshop on Numerical Climate Modeling, Center for Climate System Research, University of Tokyo, Kashiwa, Japan, 2005 年 10 月 31 日.
225) 木本昌秀(CCSR), 地球温暖化と東アジアの気候変化, 日本気象学会月例会 「長
期予報と大気大循環」, 気象庁, 2005 年 11 月 1 日.
226) 荒井美紀, 木本昌秀(CCSR), 夏季東アジア域の天候の年々変動と将来予測, 日
本気象学会秋季大会, 神戸大学, 2005 年 11 月.
102
227) 横畠徳太(NIES), 江守正多(FRCGC), 野沢徹, 小倉知夫(NIES), 對馬洋子
(FRCGC), 木本昌秀(CCSR), 簡便手法を用いた気候フィードバックの解析,
日本気象学会秋季大会, 神戸大学, 2005 年 11 月.
228) 塩竈秀夫(NIES), 渡部雅浩(北大), 木本昌秀(CCSR), 野沢徹(NIES), 20
世紀後半における decadal ENSO に対する外部強制力変動の影響, 日本気象学会
秋季大会, 神戸大学, 2005 年 11 月.
229) 長谷川聡,江守正多(FRCGC), 大気-海洋結合/非結合 GCM 実験における熱帯
低気圧と降水, 日本気象学会秋季大会, 神戸大学, 2005 年 11 月.
230) 三浦裕亮(FRCGC),全球雲解像モデルを用いた温暖化想定実験, 日本気象学会
秋季大会, 神戸大学, 2005 年 11 月.
231) 渡部雅浩,Fei-fei Jin(北大), 線型大気定常応答の加速反復解法(AIM)とその応
用, 日本気象学会秋季大会, 神戸大学, 2005 年 11 月.
232) Kimoto, M. (CCSR), An overview of Japanese contributions to AR4,1st UJCC International Workshop on Current Problems in Earth System Modelling, 地球シミュレーシ
ョンセンター,2005 年 11 月 24-25 日.
233) Ogura, T. (NIES), S. Emori (NIES), M. Kimoto (CCSR) and K-1 project members,Climate sensitivity of a general circulation model with different cloud modelling
assumptions,1st UJCC International Workshop on Current Problems in Earth System
Modelling,地球シミュレータセンター,2005 年 11 月 24-25 日.
234) Kimoto, M. (CCSR), Influence of Eurasian Continent on the East Asian Monsoon,2nd
Symposium on Water Cycle in Northern Eurasia,北海道大学,2005 年 12 月 14-16 日.
235) 木本昌秀(CCSR), 気候環境問題への新しい情報発信に向けて,「気候環境問題の
新しい情報発信に向けて」気候・環境問題に関わる高度複合系モデリングの基
盤整備に関するプロジェクト並びに気候環境アプリケーション創成コンソーシ
アム発足記念ワークショップ, 京大学小柴ホール, 2005 年 12 月 27 日.
236) 木本昌秀(CCSR), 階層的モデリングによる広域水循環予測,戦略的創造研究推進
事業(CREST)水の循環系モデリングと水利用システム第 4 回ワークショップ,日
本科学未来館みらいCANホール, 2006 年 1 月 12-13 日.
237) Kimoto, M. (CCSR), Tropical and extratropical factors affecting the East Asian climate,Eighth AMIP/East Asian climate workshop,2006 年 3 月 31 日-4 月 1 日.
238) Kimoto, M. (CCSR), Climate projection studies by coupled ocean-atmosphere climate
models,Eighth AMIP/East Asian climate workshop,2006 年 3 月 31 日-4 月 1 日.
239) Ishii, M. (FRCGC), K. Sakamoto, Y. Fukuda, S. Hirahara, T. Matsumoto (気象庁), and
M. Kimoto (CCSR), Historical ocean temperature and salinity analyses for climate
studies, EGU General Assembly, 2006 年 4 月 3-7日
240) 三浦裕亮(FRCGC),現実的実験による全球雲解像モデルの検証,日本気象学会春
季大会,つくば国際会議場, 2006 年 5 月.
241) Inatsu, M., and M. Kimoto (CCSR), The atmosphere--ocean coupled effect in the
high-resolution CCSR/NIES/FRCGC GCM, European Geosciences Union (EGU), 2006
年 4 月 4 日.
242) Chen, X, 木本昌秀(CCSR), 高解像度大気海洋結合モデルで表現された赤道海洋
不安定波, 日本気象学会春季大会, つくば国際会議場, 2006 年 5 月.
243) Inatsu, M., M. Kimoto, and A. Sumi (CCSR),An aspect of stratospheric and tropospheric global warming response in an atmosphere-ocean coupled GCM,Workshop on
polar and global climate modeling: connection and interplay,2006 年 6 月 14 日.
244) Kimoto, M., A. Sumi, M. Inatsu (CCSR) and The K-1 Japan Project Team ,
High-resolution coupled ocean-atmosphere modeling for climate studies, Workshop
on polar and global climate modeling: connection and interplay,2006 年 6 月 14 日.
245) 荒井(野中)美紀(CCSR),シベリア域の地表面状態が夏季東アジア域の気候に
及ぼす影響,北ユーラシア気候変化・水循環変動に関する研究集会,2006 年 7
103
月 4 日.
246) Kimoto, M. (CCSR), High-resolution coupled ocean-atmosphere modeling for climate
studies,Proceedings of the University Allied Workshop 2006: Climate and Environmental Studies for Global Sustainability,2006 年 7 月 18-20 日.
247) Miura, H. (FRCGC), A global cloud resolving simulation and its validation using satellite observations, 2006 Western Pacific Geophysics Meeting,2006 年 7 月 24 日.
248) Miura, H. (FRCGC), A global cloud resolving simulation using realistic land and sea
distribution, CMMAP August 15-17 Team Meeting, 2006 年 8 月 16 日.
③ ポスター発表 (国内会議 7件、国際会議 2件)
1) Cha, E.-J., and M. Kimoto (CCSR), The Autumnal snow cover over the East Eurasia, and
its inpact on the following winter atmosphere circulation, 日本気象学会春季大会講演
予稿集, P322, 2002 年 5 月.
2) 三浦裕亮, 木本昌秀(CCSR), 正 20 面体格子の最適化方法の比較, 日本気象学会春
季大会講演予稿集, P322, 2002 年 5 月.
3) 車恩貞, 木本昌秀(CCSR), Extratropical Teleconnections related to El Nino Summer,日
本気象学会秋季大会, P161, 2002 年 10 月.
4) 安富奈津子, 木本昌秀(CCSR), 北半球夏季アジアモンスーン域主要変動モードの
維持形成機構, 日本気象学会春季大会講演予稿集, P304, 2003 年 5 月.
5) 伊藤明, 前田修平, 松下泰広(気象庁), 気象庁における力学的季節予報実験―夏の
東アジア循環場の予測精度,日本気象学会春季大会講演予稿集, P437,2003 年 5
月.
6) 車 恩貞, 木本昌秀(CCSR), Summertime ENSO teleconnection over the Eurasia.日本
気象学会秋季大会講演予稿集, P150,2004 年 10 月.
7) 小倉知夫, 江守正多(FRCGC), 木本昌秀(CCSR), AGCM + slab ocean の CO2 倍増
実験において亜熱帯下層雲減少が気候感度に及ぼすインパクト,日本気象学会秋
季大会講演予稿集, P156,2004 年 10 月.
8) Ishii, M. (FRCGC),Steric Sea level Changes Estimated from Historical Ocean Subsurface
Temperature and Salinity Analyses,World Climate Research Programme Workshop, "Understanding Sea Level Rise and Variability",2006 年 6 月 6-9 日.
9) Miura, H. (FRCGC), A global cloud resolving simulation and sensitivity to horizontal
resolution, 2006 Western Pacific Geophysics Meeting,2006 年 7 月 24 日.
(4)特許出願
①国内出願 (0 件)
②海外出願 (0 件)
(5)受賞等
① 受賞
1) 木本 昌秀: 日本気象学会賞 2004 年 5 月
2) 稲津 將:
日本気象学会山本・正野論文賞
2005 年 11 月
② 新聞報道
1) 木本昌秀,「今年の夏はどこか変!?気象のメカニズムを探る」,東京大学新聞,
2003 年 9 月 23 日.
104
2) 木本昌秀,「この夏、世界の「異常気象」原因はダブルジェット」,少年少女新
聞, 2003 年 10 月5日.
3) 木本昌秀,猛暑と豪雨:温暖化進めばより深刻に,読売新聞,2004 年 8 月 13 日
朝刊 「論点」.
4) 木本昌秀,検証 2004 年の猛暑,農業協同組合新聞,2004 年 9 月.
5) 木本昌秀,「大型台風」増えるか, 東京新聞 2005 年 9 月 8 日朝刊.
6) 木本昌秀, 今さら聞けない 寒波, 朝日新聞日曜版 Be, 2006 年 1 月 22 日.
7) 渡部雅浩, 想定外!? 大寒波, 毎日新聞 2005 年 12 月 19 日.
8) 渡部雅浩, 大寒波メカニズム再現, 東京新聞 2006 年 1 月 20 日.
9) 渡部雅浩, インドシナ半島の対流活発化⇒日本に大寒波, 北海道新聞 2006 年 1
月 26 日.
10) 渡部雅浩, 日本の寒波招き入れ ラニーニャ現象が遠因, 日経新聞 2006 年 1 月
30 日.
11) 荒井(野中)美紀, 2006 チャンネル You 知りたい 「長ーい梅雨まだなお一
週間」, 毎日新聞夕刊, 2006 年 7 月 24 日.
12) 木本昌秀, 豪雨について, 読売新聞, 2006 年 7 月 25 日.
13) 荒井(野中)美紀, 科学・いま&未来「100 年後の日本?温暖化影響じわり 長
引く梅雨」, 毎日新聞朝刊, 2006 年 7 月 26 日.
③ その他(取材、一般講演等)
1) 木本昌秀, インタビュー「昨今の世界的異常気象は地球温暖化の影響ですか?」,
岩波書店「世界」,2003 年.
2) Kimoto, M., Climate Variability that affects the Asian-Pacific region,アジア太平洋域
の気候情報サービスに関する会議, Japan Meteorological Agency, Tokyo, Japan,
2003 年 11 月 25-28 日.
3) 木本昌秀, 今夏の『異常気象』は温暖化の予兆か?第 12 回伊藤忠シンポジウム,
伊藤忠商事株式会社 東京本社ビル, 2003 年 12 月 9 日.
4) 木本昌秀, 異常気象レポート 冷夏の日本、熱波の欧州、世界を襲う気象異変,
Newton,2003 年 12 月号、96-103,2003 年.
5) 木本昌秀,「異常」気象の科学. 電力館科学ゼミナール. 2004 年 1 月 24 日.
6) 木本昌秀,今年の異常気象と地球温暖化,TBS ブロードキャスター,2004 年 9
月 11 日放送.
7) 木本昌秀, 異常気象のコワ~い連鎖―猛暑、豪雨、台風、噴火、次は「大地震」?,
サンデー毎日,2004 年 9 月 19 日号.
8) 木本昌秀,'04 年異常気象の連鎖 地球崩壊,週刊現代,2004 年 10 月 2 日号.
9) 木本昌秀,「異常」気象の科学, 「渋谷区民大学 気象学」渋谷区上原社会教育
館, 2004 年 10 月 8 日.
10) 木本昌秀,月曜特集:今年の異常気象と地球温暖化,テレビ朝日スーパーJチ
ャンネル,2004 年 10 月 18 日放送.
11) 木本昌秀,今年の異常気象と地球温暖化, NHK 国際放送「44 ミニッツ」,2004
年 10 月.
12) 木 本 昌 秀 , 地 球 シ ミ ュ レ ー タ に よ る 温 暖 化 予 測 , TOKYO FM ニ ュ ー ス
「FLOWERS」,2004 年 10 月 21 日放送.
13) 木本昌秀,世界的異常気象は「大量破壊兵器」並だ,月刊 Themis,2004 年 11
月号.
14) 木本昌秀, 地球規模の異常気象と地球温暖化, 環境省地球環境研究総合推進費
公開シンポジウム『異常気象と温暖化 その関係は?』,有楽町朝日ホール, 2004
年 11 月 30 日.
105
15) 木本昌秀、今夏の「異常」気象について, 伊藤忠シンポジウム、2004 年 12 月
7日.
16) 木本昌秀, 異常気象と地球温暖化,岩田伊津樹著, 読売新聞調査研究本部「調
研クオータリー」,2005 年春号(No.15), 194-207.
17) 木本昌秀, 気候予測・気象予測への挑戦, 第 1 回気象大学校柏コンファレンス
「気候予測の新たな展開」(基調講演), 気象大学校, 2005 年 3 月 24 日.
18) 木本昌秀, 異常気象 これだけ地球が壊れたワケ, 週刊文春, 2005 年 5 月 19
日号, 48-51.
19) 木本昌秀, 将来の天候について, テレビ朝日スーパーモーニング, 2005 年 5 月
26 日.
20) 木本昌秀, 水資源学シンポジウム「国連水の日―気候変動がもたらす水問題」
気候変動がもたらす水問題について熱心な議論を展開. 月刊「ポータル」2005
年 5 月号, 32-35.
21) 木本昌秀, 台風など研究状況取材(GCM 検討会取材),韓国 KBS TV,2005 年 6
月 1 日.
22) 木本昌秀, コンピュータによる地球温暖化の将来予測, 平成 17 年度神奈川県市
環境・公害研究合同発表会特別講演, 横浜市教育文化センターホール, 2005 年
6 月 2 日.
23) 木本昌秀, 水をめぐる知、地をめぐる水 JST News, vol.2, no.4, 4-7, 2005
年 7 月号.
24) 木本昌秀, 集中豪雨増加の背景,TBS テレビ, みのもんたの朝ズバッ!,2005 年
7 月 12 日.
25) 木本昌秀, トヨタ ECO スペシャル「生命の海に迫る危機!追跡!マグロ大回
遊!!」中京テレビ 2005 年 7 月 18 日.(資料提供)
26) 木本昌秀, 地球温暖化と台風, テレビ朝日スーパーJチャンネル, 2005 年 10
月 2 日放送.
27) 木本昌秀, 地球シミュレータによる 地球温暖化予測, 東京大学大学院理学系
研究科・理学部第 8 回公開講演会「意外と身近な理学研究」, 東京大学安田講
堂, 2005 年 11 月 11 日.
28) 木本昌秀, 地球温暖化と異常気象, NTT グループ環境担当者勉強会, NTT 武蔵野
研究開発センター,2005 年 12 月 1 日.
29) 木本昌秀, 気象予測の新たな展開,第 14 回伊藤忠シンポジウム,伊藤忠商事本社,
東京, 2005 年 12 月 19 日.
30) 木本昌秀, 地球温暖化と異常気象, テレビ朝日スーパーJチャンネル 2005 年
12 月 29 日.
31) 木本昌秀, 記録的な寒波と大雪の原因について, フジ TV 報道 2001, 2006 年 1
月 15 日.
32) 木本昌秀, 地球温暖化はコンピュータで予測できるのか?,日経エコロジー,
2006 年 2 月号(1 月 8 日発売).
33) 木本昌秀,異常気象 地球温暖化の科学,朝日カルチャーセンター・大阪,2006
年 3 月 25 日.
34) 木本昌秀,地球温暖化と異常気象 (基調講演),ISO 友の会第 8 回総会, 経団連
会館, 2006 年 4 月 12 日.
35) 渡部雅浩, のりゆきのトーク DE 北海道 「雀の大量死は寒波が原因!?」, 北海
道文化放送, 2006 年 4 月 13 日.
36) 渡部雅浩, ここが変だぞ地球, 大阪朝日放送, 2006 年 5 月 3 日.
37) 木本昌秀,地球温暖化と異常気象,環境講演会,富士通株式会社川崎工場岡田記
念ホール,2006 年 6 月 28 日.
38) 木本昌秀, 加速する地球温暖化 京都議定書をまもっても止められない ―
106
39)
40)
41)
42)
43)
44)
45)
「気候モデル」を使った「地球温暖化予測実験」結果, ビッグイシュー日本版,
53 号,18-19 ページ,2006.7.1&15 合併号.
木本昌秀, 気候変動と降雨~豪雨に備える, NHK ラジオ第一「ニュースアップ」,
2006 年 7 月 10 日.
木本昌秀, ここまで来た「異常気象」台湾ガニ・クマゼミが列島北上中, 週刊
文春, 143-145 ページ,2006 年 7 月 13 日号.
木本昌秀, 異常気象について, NHK 総合 TV ニュースウォッチ9, 2006 年7月
26 日.
木本昌秀,地球温暖化と異常気象,東京都高度建設技術研修, 東京都職員研修
所, 2006 年 7 月 28 日.
木本昌秀,地球規模の異常気象と地球温暖化, 地球温暖化・ヒートアイランド
対策講演会,高輪区民センターホール,2006 年 8 月 8 日.
木本昌秀, 地球規模の異常気象と地球温暖化, トヨタ自動車セミナー,愛知県
豊田市, 2006 年 9 月 6 日.
木本昌秀, 地球温暖化と異常気象, 東北極洋会, 仙台市ホテル仙台プラザ,
2006 年 9 月 15 日.
(6)その他特記事項
とくになし
7 研究期間中の主な活動
(1)ワークショップ・シンポジウム等
年月日
名称
場所
参加人数
東京大学
2003 年 7 月 第 1 回積雲対流ワーク
生産技術研 40 名
25 日
ショップ
究所
京都大学
研究集会
2003 年 10 月
「 対 流 圏 長 周 期 変 動 と 宇 治 キ ャ ン 40 名
30,31 日
パス
異常気象」
京都大学
研究集会
2004 年 10 月
「 異 常 気 象 と 長 期 変 動 宇 治 キ ャ ン 40 名
20,21 日
パス
研究会」
概要
大気モデルにおける積雲パ
ラメタリゼーションの課題に
ついて議論した。
異常気象に関わる大気の長
周期変動の解析、予測可能
性について研究会を行っ
た。
異常気象に関わる大気の長
周期変動の解析、予測可能
性について研究会を行っ
た。
東京大学
2005 年 7 月 第 2 回積雲対流ワーク 気 候 シ ス テ
40 名
22 日
ショップ
ム研究セン
ター
大気モデルにおける雲の取
り扱い、パラメタリゼーション
の課題について議論した。
京都大学
研究集会
2005 年 10 月
「 異 常 気 象 と 長 期 変 動 宇 治 キ ャ ン 40 名
28,29 日
パス
研究会」
異常気象に関わる大気の長
周期変動の解析、予測可能
性について研究会を行っ
た。
107
8 結び
広域水循環の長期変動が果たして可能であるかどうかは、科学的に保証された命題ではない。
ブラジルで蝶が羽ばたけばテキサスで竜巻が起こるような微妙さを内包する大気運動にカオスを超
えた秩序を見出すことができるものか?実は本課題は哲学的にきわめて脆弱な背景の下で実行さ
れたものである。答えはまだない。しかし、目を閉じて思索に耽ることで見出せるものではないと思
う。
大規模モデルの開発は、数多くの研究者の、論文にならない無数の失敗の上に成り立っている。
若い人は何のためにやっているのかわからなくなることもあるだろう。本課題を終える今、上記の難
題に希望の火は残っていると信じている。いくつかの失敗を乗り越えてきた若者が、失敗のつらさ
より、新しいものが見える喜びの方がずっと大きいことを知ってくれたとすればこれに勝る喜びはな
い。
本課題をご支援頂いた研究統括虫明先生、領域アドバイザーの先生方と柔軟な運営を可能に
して頂いた増田技術参事はじめ領域事務所、JST 本部スタッフに感謝の意を表します。
2004年10月異常気象と長期変動研究会
108
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