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ネットワークアーキテクチャ特論 -はじめに

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ネットワークアーキテクチャ特論 -はじめに
ネットワークアーキテクチャ特論
-はじめに2014.9.29
九州工業大学
尾家祐二
塚本和也
戸畑キャンパス
Since 1909
飯塚キャンパス
Since 1986
若松キャンパス
Since 2000
彰往考来
ーネットワーク技術の発展、利用の現状ー
「往事を彰らかにし、来時を考察する」
『春秋左氏伝』
情報ネットワークの技術の進展と浸透
ー早まる普及の速度ー
情報通信技術の浸透が加速
1880
(
1940
1960
世帯普及率10%
(1966)76年
1980
世帯普及率10%
(1994)15年
商国
用内
サ初
ーイ
ビン
スタ
1 ー
9ネ
9ッ
2ト
モバイル通信の
一層の浸透
世帯普及率10%
(1997)5年
「もの」が繋がる
インターネット
(Internet of things)
)
国
内
自
動
車
電
話
サ
ー
ビ
ス
1
9
7
9
)
個人の情報発信力強化
2020
(
)
距離・移動の制約を解消
2000
ビデオ通信の
浸透
(
実世
験界
初
・
米イ
国ン
1 タ
ー
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6
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ト
(
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1920
(
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話
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発
明
ベ
ル
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(
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8
7
6
1900
マルチメディア、無線、センサーネットへ
サイバー・フィジカル
ネットワーク
(ネットと現実が繋がる)
多様な情報を交換・共有
多様なもののネットワーク化
Cisco Visual Networking Index:全世界モバイル データ トラフィックの予測、
2013 ~ 2018 年 アップデート
2013年
2004年現在のInternet
Archiveのサイズが
1ペタビット
・2012年は、全世界のモバイル データ トラフィックが 70 % 増加し、全世界のモバイ
ル データ トラフィックは、2011 年末の 1 ヵ月あたり 520 ペタバイトから増加し、2012
年末には 1 ヵ月あたり 885 ペタバイトに達した。
・ 2013 年は、全世界のモバイル データ トラフィックが 81 % 増加した。全世界のモ
バイル データ トラフィックは、2012 年末の 1 ヵ月あたり 820 ペタバイトから増加し、
2013 年末には 1 ヵ月あたり 1.5 エクサバイトに達した。
・2012 年の全世界のモバイル データ トラフィック(1 ヵ月あたり 885 ペタバイト)は、
2000 年の全世界のインターネット トラフィックの合計(1 ヵ月あたり 75 ペタバイト)の
ほぼ 12 倍以上であった。
・2013年のモバイル データ トラフィックは、2000 年の全世界のインターネット全体の
ほぼ 18 倍になりました。2013 年にはモバイル ネットワークで約 18 エクサバイトのト
ラフィックが伝送された。
・モバイル ビデオ トラフィックが初めて 50 % を超えた。2012 年末には、 51 % 。
2013 年末には、53 % を占めた。
Cisco Visual Networking Index:全世界モバイル データ トラフィックの予測、
2013~ 2018 年 アップデート
2013年
・2012年、モバイル ネットワークの接続速度が 2 倍以上になった。2012 年の全世
界のモバイル ネットワークのダウンストリームの平均速度は、2011 年の 248 kbps
から上昇し、526 kbps に。2012 年のスマートフォンによるモバイル ネットワークの平
均接続速度は、2011 年の 1,211 kbps から上昇し、2,064 kbps に。2012 年のタブ
レット PC によるモバイル ネットワークの平均接続速度は、2011 年の 2,030 kbps か
ら上昇し、3,683 kbps になった。
・2013 年に 5 億以上(5 億 2,600 万)のモバイル デバイスとモバイル接続が追加さ
れた。2012 年に 65 億だった全世界のモバイル デバイスとモバイル接続の数は、
2013 年には 70 億にまで増加した。この領域の成長の 77 % はスマートフォンによる
もので、スマートフォンは 2013 年に 4 億 600 万台増加した。
・スマート デバイスは 2013 年の全世界のモバイル デバイスとモバイル接続の 21 %
を占め、モバイル データ トラフィックの 88 % はスマート デバイスで生成されました。
2013 年にスマート デバイスが生成した 1 台あたりの平均トラフィック量は、非スマー
ト デバイス 1 台あたりの 29 倍に相当する。
Cisco Visual Networking Index:全世界モバイル データ トラフィックの予測、
2012 ~ 2017 年 アップデート
2018年までの予測
世界の印刷物
の情報の総量
の80倍(2004年)
・全世界のモバイル データ トラフィックは、2013 年から 2018 年の間に約 11 倍に増
加する見込み。トラフィック量は 2018 年までに 15.9 エクサバイト/月に到達する。
・2014 年末までに、モバイル接続されるデバイスの台数が世界の人口を超え、2018
年には 1 人あたりのモバイル デバイス数が約 1.4 台になる。2018 年には、マシン
ツーマシン(M2M; Machine-to-Machine)モジュールを含めたモバイル接続デバイス
が 100 億台を超え、同期の世界の人口(76 億人)を上回る。
・2018 年には、モバイル ネットワークに接続されるすべてのデバイスの半数以上が
「スマート」デバイスになる見込み。全世界のモバイル デバイスに占めるスマート デ
バイスの割合は、2013 年の 21 %から増加し、2018 年には 54 % になる。こうしたス
マート デバイスから生成されるモバイル データ トラフィックは、2013 年の 88 % から
増加し、2018 年にはモバイル データ トラフィックの大部分(96 %)を占めるようにな
る。
Googleが推計した2009年6月の全世界のインターネットにおける
情報の総量:百数十エクサバイト
Akamaiの利用状況
http://www.akamai.com/html/technology/nui/mobile/index.html
世界のネットワーク遅延
http://www-iepm.slac.stanford.edu/pinger/explorer.html
ネットワーク速度
情報通信白書(2014年度)
10
11
12
13
14
15
欧米における研究開発動向
Digital Future 2010, USA
NIT (Networking and Information
Technology)
for
・Health
・Energy and Transportation
・National and Homeland Security
・Discovery in Science &
Engineering
・Education
・Digital Democracy
サイバーフィジカルシステム
人、社会
サイバーフィジカルシステム
物理的空間
もの
サイバー空間
データ
サービス
処理
センシン
グ
通信
サイバーフィジカルシステム USA
CPS for
・Smart Manufacturing
・Smart Grid and Utilities
・Smart Buildings and
Infrastructure
・Smart Transportation and
Mobility
・Smart Healthcare
BiG Data Initiative 2012, USA
国立衛生
研究所
米国地質
調査所
・ 200Mドルを投じることを発表
・ 6つの政府機関(NSF,NIH,DoD,Darpa,DoE,USGS)がBig Data関連
の件研究開発に取り組む
Big Data Initiativeの一例
文部科学省「アカデミッククラウドに関する検討会」(第2回資料)
Horizon 2020 (2014-2020, EU)
EUが直面する6課題の解決:
・Health, demographic change and well-being;
・Food security, sustainable agriculture, marine and maritime research
and the bio-economy;
・Secure, clean and efficient energy;
・Smart, green and integrated transport;
・Climate action, resource efficiency and raw materials;
・Inclusive, innovative and secure societies.
ITU-T Y.3001:
Future Networks: Objectives and Design Goals
ICT
ネットワーク化による変化
スマート化
従来、人やものとの間に相互作用が起きていなかったインフラ、環境、設備、施
設等が、センシング、通信、処理能力を備えることによって、それら自体が我々に
対し、能動的に支援する。さらに、様々のスマートXが登場する。
フラット化
サービスを提供する側とサービスを享受する側の区別がさらに無くなる。専有
的通信資源提供・利用から共用に向けて、通信サービスに関する利用者相互協
力なども進む。大量の情報にアクセス可能になったことにより、専門家とアマチュ
アの差が小さくなる可能性が拡大している。
提案:スマートXXについて語ろう
・サイバーフィジカルシステムとして捉えたス
マートXXの例(将来のものでよい)を挙げなさい。
・そこでの、フィジカルな空間とサイバー空間の
構成要素と2つの空間の間で生じるインタラク
ティブ(相互作用)は何か?
・最終的にサイバーフィジカルシステムが人、
社会を支えるためのサービスは何か?何の目
的か?
ネットワーク設計
工学とは?デザインとは?
• A most elegant description is that
engineering is about design under constraint.
Technology is the outcome of engineering.
in “The Engineer of 2020” by National Academy of
Engineering, U.S.A. (2004)
• 「デザインは(アートと異なり)基本的には個人の自
己表出が動機ではなく、その発端は社会にある。社
会の多くの人々と共有出来る問題を発見し、それを
解決していくプロセスにデザインの本質がある。」
(原研哉著「デザインのデザイン」、岩波書店)
ネットワーキング・デザイン
• 設計指針
– 何をどのように実現したいか?
• 設計方法
– 制約
• 制約条件は何か?
– それは、緩和できるか?
– それは、無くすことが出来るか?
– 目的
• 目的関数は何か?
– どのように定量化するか?
– 複数ある場合は、それらをどう取り扱うか?
ネットワークアーキテクチャとは
• 目的:ネットワークを介して様々なアプリケーション(サービス)が
実行可能な環境を実現する。
• 手段:下記の特質を勘案する。
–
–
–
–
–
伝達性:転送帯域、伝達遅延、経路決定、、、
管理性:容易な運用、簡便な保守、、、
柔軟性:将来への拡張、容易な変更、異種NW接続、、、
堅牢性:適切な信頼性、安全の確保、迅速な修復、、、
経済性:最適コスト(投資)、投資回収能力、
• 出力:最終的には下記を得る(Function & Protocol)。
– 機能定義:どのような機能を実現するか。
– 機能配備:その機能をどこに配備するか。
– 機能連携:それらの機能間の通信規約。
インターネットの各要素
ディジタル
様々な情報を統一的に
パケット
効率良く
ネットワーク
共有の仕組み
31
様々な情報(マルチメディア情報)を
効率よく
伝達
共有
することを可能にしている
インターネットの設計指針
効率良く
公平に
自律分散で
経路を決める
送る速さを決める
TCP/IPプロトコルスイート
• TCP/IPプロトコルスイートにおいては、拡張性、
変更容易性を満足し、ホスト間の相互接続性
(connectivity)を実現するために設計されてい
る。
– 変更容易性の確保のために階層構造を用いてい
る。
• 抽象化によって、上部には、下部の詳細な変更による
影響は見えない
– ネットワーク内部を複雑にせず、複雑な機能はホ
ストに収容した。
• IP層をネットワークとホストの共通の層とし、その層の
機能は最小化
33
階層化プロトコル
(OSI参照モデル)
• 階層化プロトコル
34
アプリケーション層
アプリケーション層
プレゼンテーション層
プレゼンテーション層
セション層
セション層
トランスポート層
トランスポート層
ネットワーク層
ネットワーク層
データリンク層
データリンク層
物理層
物理層
階層化プロトコル
(TCP/IPプロトコルスイート)
• TCP/IPプロトコルスイート
アプリケーション層
HTTP,FTP
トランスポート層
TCP
インターネット層
IP
データリンク LLC
層
MAC
LLC
物理層
35
CSMA
/CD
DNS NFS
UDP
トークン トークン
バス
リング
各層の関係:上下、対等
ホストB
ホストA
第n層
n層プロトコル
第n層
インターフェース
サービス
第n-1層
サービス
第n-1層
n-1層プロトコル
対等通信(peer-to-peer communication)
36
データの流れ
アプリケーション層
データ
トランスポート層
セグメント
インターネット層
データグラム
データリンク層
上位層のPDUにヘッダを追加: カプセル化
37
フレーム
ホストとネットワークの役割
アプリケーション層
アプリケーション層
トランスポート層
トランスポート層
インターネット層
インターネット層
インターネット層
インターネット層
データリンク層
データリンク層
データリンク層
データリンク層
物理層
物理層
物理層
物理層
ルータ
ルータ
ホスト
ホスト
インターネット層を共通化することによって、
異なるデータリンク層、物理層
の技術によるネットワークも相互接続可能:
すなわち、ネットワークのネットワークinternet
38
インターネット・プロトコル群
▼ 1982 ▼ 1985
FTP[RFC 959]
SMTP
[RFC 821]
▼ 1989 WWW
▼ 1993 Mosaic
Application
Transport
▼ 1990
▼ 1981
TCP Reno
TCP [RFC793]
▼ 1980
▼ 1988
UDP [RFC768] TCP Tahoe
▼ 1981
IP [RFC791]
Network
PHY/DLL
▼1973
Ethernet
2.94Mb/s
▼1983
10Mbit
Ethernet
▼Analog 56kb/s
1970
1980
▼ Youtube etc.
Video stream
▼1999年 ▼ Myspace, mixi
Napstar (P2P) SNS
▼ 1996
TCP NewReno[RFC2582] ▼ 2005
TCP SACK [RFC2018]
CUBIC
Compound TCP
▼ 1991
▼ 1995
OSPFv2 [RFC1247]
IPv6 [RFC1883]
▼ 1996
▼ 1988年
Mobile IP [RFC2002]
RIP [RFC1058]
▼ 1997
▼ 1994
PIM-SM [RFC2117]
BGP4 [RFC1654]
▼ FTTH
▼ ISDN ▼ xDSL
64kb/s 1.5 ~ 60Mb/s 10 ~ 1000Mb/s
▼100Mbit
▼1Gbit Ethernet ▼10Gbit Ethernet
Ethernet
▼ ATM
▼ 1998
155 ~ 622Mb/s
IEEE802.11 Wireless LAN
▼ SONET/SDH
2 ~ 54Mb/s
155 ~ 622Mb/s
▼Digital 1.5 Mb/s
1990
2000
2010
階層化TCP/IPプロトコル
アプリケーション層
多様なアプリ
ケーション
トランスポート層
インターネット層
データリンク
層
物理層
LLC
MAC
多様なネット
ワーク媒体
IPの特性
• 様々な通信技術を収容
• 様々なネットワークを相互接続
• 様々なアプリケーションを支援
様々な多様性に対して、今後どう対応すべきか
41
本講義の進め方
講義+調査+発表
講義タイプ
・ネットワークアーキテクチャ概観
・最新ネットワーク研究開発動向
調査+発表
・グループを作り、ある研究論文を調査する。
・その内容のレポート提出と発表を行う。
次回説明
・論文課題一覧
・発表方法
・評価方法
講義の予定
・1回目(9月29日)本講義の目的、進め方、成績評価方法の説明。ネットワークアーキテ
クチャの概論について
・2回目(10月2日)割当課題の概要、その目的、発表方法等に関する説明、Q&A
・3回目(10月6日)ネットワークアーキテクチャの概論について
・4回目(10月9日)省エネを考慮したグリーンネットワークの背景、最新研究について
・5回目(10月16日)ネットワークセキュリティの背景、最新研究について
・6回目(10月20日)ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ『ネットワーキング
技術の新たな潮流』(富士通九州ネットワークテクノロジージ)
・7回目(10月23日)センサネットワークの背景、最新研究について
・8回目(10月27日)コグニティブネットワークの背景、最新研究について
・9回目(10月30日)コグニティブネットワークの背景、最新研究について
・10回目(11月6日)Body Area Network『mBANと無線通信』(1) (富士通九州ネットワーク
テクノロジーズ)
・11回目(11月10日)『mBANと無線通信』(1) (富士通九州ネットワークテクノロジーズ)
・12回目(11月13日)論文の調査に基づく発表と、議論
・13回目(11月17日)論文の調査に基づく発表と、議論
・14回目(11月20日)下記論文の調査に基づく発表と、議論
・15回目(11月 25日)下記論文の調査に基づく発表と、議論
・16回目(12月4日)
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