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2016年8月 「中国の交通事情」
「中国の交通事情」 上海駐在員事務所 舛本 「ニーハオ!」 誉人 今回は中国にお越しの方なら、真っ先に感じられると思われる、交通マナーの悪さと、 今後の見通しについてご紹介します。 先日、タクシーに乗り上海市の高架走っている折、交通事故現場に遭遇しました。一帯は数キロにわたって 交通渋滞が発生しており、その中で少しでも前に進もうと、クラクションを鳴らしながら車線変更(強引な 割り込み)を繰り返す車でひしめき合う状況で、まさに無法地帯の如き有様でした。 中国における交通事故の責任割合は、警察が事故現場の状況と当事者双方からの原因説明等から、その場で 決定されます。つまり、交通事故現場の状況は当事者がその原因を主張する為の重要な証拠であり、日本の ように事故車両を迷惑にならないように道路端に避けたりすることは、軽微な交通事故を除きほとんどありま せん。結果、たびたび深刻な交通事故渋滞が発生する原因に繋がっています。 さて、中国の交通事故ですが、その要因は交通マナーの悪さや交通法規の確信的不順守にあると言われてい ます。例えば、車両の車線変更は、交通ルール上において「割り込んだ方が悪い」ことになっていますが、 それでも車は恐れることなく、車列の僅かな隙間に入り、クラクション、パッシングは常識とは言わないまで も、どこを走っても高圧的なドライバーにストレスを感じる場面に遭遇します。また、ここ中国では歩道を 歩いていても交通事故に遭遇するリスクは日本に比べ格段に高いのが実態です。バイクに至っては、車道を 縦横無尽に蛇行運転し、歩道へも平気で乗り入れて来ます。バイクと言っても、上海では運転免許証不要の 電動式バイクが主流なので、これらが音もなく猛スピードで道路や歩道を走り迫ってきます。さらに歩行者の 信号無視は日常茶飯事であり、車両側の右折がほぼ自由である中国においては、交差点へスピードを緩める ことなく突っ込んで来る車と信号無視をする歩行者の接触事故が度々発生している状況であります。 現在、中国全土における交通事故死亡者数は年間 26 万人(WHO 推計)にも達しており、また上海市民 (15 歳∼44 歳)における死亡原因 NO.1 は「交通事故」となっているとの報道もあります。こうした状況下、 上海市では 2016 年 3 月 26 日より「上海市道の交通安全管理の強化に関する通知」を発布し、スピード違反、 信号無視、飲酒運転、シートベルト着用違反、上海ナンバー以外の上海高架乗入違反(時間帯制限)等への 取り締まりを強化しています。実際、上海市内を車で少し走っただけで、警察官が等間隔で取締りの為、目を 光らせていたり、道路のあちらこちらで監視カメラが設置される等の光景が多く見られるようになっています。 中国の他都市と一線を画し、プライドを持って国際都市へと発展してきたここ上海、そのハード面の発展に 追従する形で、ソフト面としてのマナー改善や法令順守の流れが出来てきています。人々の生活が豊かになり、 彼らの消費思考が「モノからコト」へと先進国並みに変化してきている今こそ、「衣食足りて礼節を知る」の 実践が行われる時であると期待したいと思います。 1610 広告審査済