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系外惑星

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系外惑星
地球惑星圏物理学
系外惑星
1
Image credit: NASA/CXC/M. Weiss
系外惑星検出の困難
2
系外惑星検出の困難
3
系外惑星検出の困難
10 pc (約33光年) から観測した場合の太陽系のスペクトル (日本評論社『太陽系と惑星』より)
恒星と比較して惑星は暗いため、惑星からの光を直接観測することが難しい
惑星の存在による恒星への影響を利用して間接的に検出する
4
ドップラーシフト法(視線速度法)
惑星の重力による恒星の運動で光がドップラー偏移
惑星の軌道・質量(下限値)がわかる
5
ドップラーシフト法(視線速度法)
ペガスス座51番星の視線速度変化 (日本評論社『太陽系と惑星』より)
最初の系外惑星検出(51 Peg b)に成功した方法
中心星に近く重い惑星ほど発見しやすい
太陽系の場合、木星:約10 m s-1, 地球:約10 cm s-1
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観測的に求められたこの惑星の軌道周期は 4.2 日である。このことから、この惑星の軌道
半径 (単位は AU) を計算せよ。簡単化のために惑星は円軌道、恒星は太陽と同質量であると
し、ケプラーの法則を用いてよい。
ドップラーシフト法(視線速度法)
問 1.1 解答
惑星の軌道周期を T 、軌道長半径 (円軌道なので軌道半径と等しい) を a、恒星の質量を
M⊙ とすると、
a3
4π 2
=
.
(1)
2
T
GM⊙
恒星の質量が太陽と等しい場合、地球の軌道周期 TE 、軌道半径 aE を用いて、以下の関係が
成り立つ (ケプラーの第 3 法則)。
a3
a3E
= 2.
(2)
2
T
TE
(2) 式に TE = 365 日、aE = 1 AU、T = 4.2 日を代入すると、a = aE (T /TE )2/3 = 5.1×10−2 AU
となる。
問 1.2
問 1.1 の答えをもとに、恒星からの放射による加熱と、惑星からの放射による冷却の釣り
合いから、この惑星の平衡温度を計算せよ。簡単化のために惑星はアルベドが 0 である黒体
とし、恒星の光度は太陽と同じとする。
問 1.2 解答
Image credit: R
NASA/CXC/M.
恒星の光度を L⊙ 、惑星の平衡温度を T 、惑星半径を
とすると、加熱と冷却の釣り合い
の式は、
7
L⊙
2
4
2
トランジット法
惑星が中心星の前を通過すると恒星の光が減光
地球半径/太陽半径 1/100 → 減光率 0.01%
惑星の軌道・断面積(半径)がわかる
中心星に近く大きい惑星ほど発見しやすい
Kepler宇宙望遠鏡により、系外惑星検出数の大半(>1000個)が確認された
8
重力マイクロレンズ法
10
重力マイクロレンズ法
惑星系重力のレンズ効果
による光源天体の増光を
検出
恒星と惑星の距離、質量
比がわかる
中心星から遠い惑星も検
出可能
偶発的イベントなので、
同じ惑星系の再観測が難
しい
11
直接撮像
直接撮像された系外惑星 GJ 758b (Image Credit: MPIA)
補償光学の発展により、
2010年頃から直接撮像
が可能に
中心星からの距離、惑星
の光度、スペクトル(=大
気組成の情報)が観測可能
現状、数10AUの軌道に
ある誕生直後の明るい巨
大ガス惑星を検出可能
12
系外惑星の質量分布
10
惑星質量 [地球質量]
4
103
102
木星型巨大ガス惑星
木星
(クール・ジュピター)
ホット・ジュピター
土星
101
スーパー・アース
100
0.01
地球
0.1
1
軌道長半径 [AU]
13
10
半径分布(Kepler宇宙望遠鏡のみ)
惑星の分布に明確な境界はない
小さい系外惑星ほど数が多い傾向
14
半径分布(Kepler宇宙望遠鏡のみ)
8.3. 系外惑星の統計的性質
図 8-10. Kepler 宇宙望遠鏡によるトランジット観測で検出された系外惑星の頻度分布。斜線
は統計的に不完全な部分。点線は近似曲線。化学同人『アストロバイオロジー』より転載。
2009 年に打ち上げられた Kepler 宇宙望遠鏡によって、1000 個を超えるトランジット系外
惑星が確認された。図 8-10 に Kepler 宇宙望遠鏡で発見された系外惑星の頻度分布を示す。複
数の異なる機器の観測を合わせた図 8-9 と比較して、こちらのほうがより実際の惑星の存在
頻度分布に近いと考えられる。低質量の惑星ほど存在頻度が高いことがわかる。近似曲線を
1 地球半径まで外挿すると、恒星 (太陽型星) のうち約 29 %が地球サイズの惑星を持つことに
なる。ただし、これはトランジット観測で検出しやすい軌道周期 50 日未満の惑星の統計であ
り、ハビタブル・ゾーンにある地球サイズの惑星の存在頻度も同様の傾向にあるかはまだよ
くわかっていない。
図 8-10. Kepler 宇宙望遠鏡によるトランジット観測で検出された系外惑星
惑星の分布に明確な境界はない
は統計的に不完全な部分。点線は近似曲線。化学同人『アストロバイオロ
小さい系外惑星ほど数が多い傾向
2009
年に打ち上げられた Kepler 宇宙望遠鏡によって、1000 個を超える
惑星が確認された。図 8-10
15 に Kepler 宇宙望遠鏡で発見された系外惑星の
ホット・ジュピター
Image credit: NASA/CXC/M. Weiss
太陽系形成の標準モデルでは、巨大惑星は中心星から遠い領域で形成
ホット・ジュピターの存在は標準モデルと矛盾
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惑星移動 (planet migration)
http://jilawww.colorado.edu/ pja/planet_migration.html
惑星がある程度成長すると、円盤ガスとの重力相互作用によって円盤ガスに
角運動量を受け渡し、中心星方向に移動する
遠方で形成された巨大ガス惑星がホット・ジュピターになる
木星や土星で惑星移動が起きなかった理由は?
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惑星同士の重力散乱
重力散乱によるホット・ジュピター形成 (日本評論社『太陽系と惑星』より)
Image credit: NASA/JPL-Caltech
一部のホット・ジュピターは木星や土星と比較して大きい離心率をもつため
重力散乱による移動を経験した可能性がある
浮遊惑星の起源?
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nd of their basic equations and ingredients have already
een described in detail in previous reviews and will not be
peated here (see Guillot, 1999; Fortney and Nettelmann,
010; Fortney et al., 2011a).
der the form of metal
in the silicates). In th
characteristic of plane
ular or atomic state in
an ionized, metallic o
the
regime
of
pressur
ドップラーシフト法とトラン
actions between mole
ジット法の両方で観測できた
dominant and degene
場合、惑星の質量と半径から
crucial role, making t
組成を推定可能
of state (EOS) a chal
as phase transition or
木星サイズの惑星は水素・ヘ
interior of planets, ad
リウムガスが主成分
The correct descri
solar or extrasolar pl
the EOS and the tran
under the aforementi
tions. In the section
provements in this fie
retical fronts, and show
been accomplished on
系外惑星の組成
系外惑星の質量と半径 (Baraffe et al. 2014)
g. 1.— Mass versus radius of known planets,
including
Solar
19
スーパー・アースは必ずしも地球のような岩石惑星ではない
海王星のような氷や水素ヘリウムガスを主成分とするものもある
惑星移動?
20
系外惑星大気の透過光観測
スーパーアースGJ1214bの透過光スペクトル (Kreidberg et al. 2014)
Figure 2: The transmission spectrum of GJ 1214b. a, Transmission spectrum measurements
from our data (black points) and previous work (gray points)7–11 , compared to theoretical models
(lines). The error bars correspond to 1 σ uncertainties. Each data set is plotted relative to its mean.
Our measurements are consistent with past results for GJ 1214 using WFC310 . Previous data rule
out a cloud-free solar composition (orange line), but are consistent with a high-mean molecular
weight atmosphere (e.g. 100% water, blue line) or a hydrogen-rich atmosphere with high-altitude
clouds. b, Detail view of our measured transmission spectrum (black points) compared to high
mean molecular weight models (lines). The error bars are 1 σ uncertainties in the posterior distribution from a Markov chain Monte Carlo fit to the light curves (see the Supplemental Information
for details of the fits). The colored points correspond to the models binned at the resolution of
21
the observations. The data are consistent with a featureless spectrum (χ2 = 21.1 for 21 degrees
多波長のトランジット観測から系外惑星
の大気組成を探ることができる
©NAOJ
22
第7章
78
惑星表層環境進
ハビタブル・プラネット候補天体
7.3
ハビタブル・ゾーン
大気の温室効果がなくても
2.0
暴走温室
1.5
ハビタブルゾーン
状態
温室効果の低下
によって全球凍結
/m 2
1.0
全球凍結
0W
0.5
地球
30
中心星の光度(太陽 =1)
液体の水が存在できる領域
0
0
状態
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
中心星からの距離 ( 天文単位 )
門屋他 (2012) 日本惑星科学会誌, Vol. 21, No. 3.
図 7-1. 地球型惑星の気候状態とハビタブル・ゾーン。門屋他 (2012), 日本惑星科学会誌 V
21, No. 3 より。
ハビタブル・プラネット候補天体:ハビタブル・ゾーンに位置し、
惑星の表面において H2 O が液体として存在できるかは、第一には惑星の受け取る中心
岩石惑星の可能性がある惑星
(実際の構成物質は不明)
放射の量に依存する。惑星系において液体の
H2 O を保持するのに適した領域をハビタブ
ゾーン (Habitable Zone, 生命居住可能領域) と呼ぶ (図 7-1)。液体の H2 O の存在は地球生
現在までに十数個発見
の居住の必要条件に過ぎず、ハビタブルという言葉の本来の意味と同じではないが、アス
ロバイオロジーの分野においては惑星の表層環境と生命の存在を議論する上で、便宜的に
のような定義を置いている。
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惑星表面に H O 以外に温室効果ガスとなり得る物質が存在しない場合、ハビタブル・ゾ
バイオマーカー探索
地球照の可視光・近赤外スペクトル (化学同人『アストロバイオロジー』より)
将来的にハビタブル・プラネット候補天体の直接撮像が可能になった場合、スペク
トルの情報から生命活動の痕跡(バイオマーカー)を読み取れると期待されている
地球の場合、酸素やオゾンの吸収線、植物による近赤外線の反射(レッドエッジ)が
バイオマーカーの例
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まとめ
系外惑星は直接撮像が困難なため、主に間接的手法で検出される
主要な検出方法であるドップラーシフト法やトランジット法では中心星
に近く大きい惑星ほど発見しやすい
地球のような中心星から比較的遠く小さい惑星の発見は未だ困難
太陽系に存在しないタイプの惑星の発見:ホット・ジュピター、スーパー・
アース
ハビタブル・プラネット候補天体:十数個発見、水や生命活動の観測は現
状では不可能
将来的には、オゾンなどのバイオマーカー探索からハビタブルプラネット
候補天体における生命活動の検知が期待されている
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