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Ⅵ
事例と Q & A
事例編
ケース1
Ⅰ
障害がある家族から虐待を受ける
家族構成(
本
は同居家族)
人
(被虐待者)
(虐待者)
長
Ⅱ
男
三女
長女
次女
家族の状況
○
①
当世帯の生計は,長男の収入及び本人の年金で維持されている。
本 人
80 歳代 男性 妻は死亡
ア 要介護 1 であるが,介護サービスは利用していない。
・老人性難聴により,かなり大きな声でないとコミュニケーションがとれない。
・医療機関(内科)の受診はあるが,通院時期は不規則である。
イ 虐待者
三女 40 歳代 独身
・精神障害があるが受診歴はない。
その他の家族
③
ア
長男 同居 独 身
・不規則勤務の仕事についていて,不在のことが多い。
イ 長女,次女 別 居 本人世帯の近所に居住。
Ⅲ 虐待の種類
○ 身体的虐待:物を投げつける,暴力をふるう
○
心理的虐待:大声での威圧
支援経過
○
虐待発見の経緯
別居の長女から,三女の精神障害の相談が水戸保健所へあり,そのなかで三女の父
親に対する虐待の状況が判明したため,保健所から水戸市へ通報が入った。
Ⅳ
その後,次女からも保健所に同様の相談があったため,市高齢福祉課地域支援セン
ター職員が家庭訪問を実施し,本人から虐待の内容を確認した。
50
○
虐待の内容
三女は,ちょっとしたことで興奮して被虐待者に対して大声での威圧を行い,粗暴
な態度をとるとともに物を投げつける。また,頻度は少ないものの,被虐待者に直接
暴力を振るい,過去には被虐待者の肋骨を折る事態もあったとのことである。しかし,
被虐待者に事を大げさにしたくないという心理的葛藤があり,問題にすることはなか
った。
○
対応の経過・支援内容
虐待者である三女には精神疾患があったが,適切な医療機関への受診が行われてい
なかった。そのため,精神的に不安定となることが頻繁で,時として暴力行為へと発
展してしまった背景がある。しかし,三女は医療機関への受診を拒否しており,家族
が受診勧奨をすると興奮状態に陥るため,言いだし難い状況であったとのこと。
家庭訪問の後,地域支援センターと関係機関 とでケースカンファレンスを開催し,
次の方針で処遇を行うこととした。
①
②
③
親族以外による訪問の実施
三女への受診勧奨
被虐待者の虐待者からの引き離し
訪問活動の結果,三女から「女医ならば病院に行ってもよい」との意向が確認でき
たため,女医のいる医療機関を推薦して三女の診察が可能となった。また,訪問面接
の経過の中で,三女は男性よりも女性のほうが受け入れが良好であることが判明した
ため,その後は女性職員による訪問を行うとともに,関係機関にその情報を提供して
対応してもらうこととした。
被虐待者については,介護保険サービスの短期入所を利用することによって当面三
女との引き離しを図った。これは,虐待者である三女が精神的に不安的となる原因が,
父親の存在に対する嫌悪感から帰来していたことによる。そこで,虐待者のストレス
軽減を図るとともに,被虐待者の安心した生活の確保のため短期入所を利用すること
とした。その後,虐待者は医療機関へ入院して治療を継続している。頃合いを見て本
人は自宅へ戻り,介護保険サービス(訪問介護)を利用しながら在宅生活を継続して
いる。
Ⅴ
評価(成果,課題,ケースから学んだこと等)
訪問活動の中で,三女の希望(同性であると安心する)を早期につかんだことが解決
につながったと感じられる。ただし,今回の事例では長男の関りが希薄であったため,
同居者としての相談が早期にあれば,解決が早かったのではないかと感じた。
Ⅵ 関係機関と役割分担
○
○
○
市地域支援センター(男性):介護保険申請,緊急避難等への対応
水戸保健所【キーパーソン】(女性):特に三女に対しての訪問
地域ケア推進員(女性):訪問・見守り
○
○
地域窓口センター(女性):訪問・見守り
生涯福祉課・障害者就業・生活支援センター:三女の単身生活の検討
51
ケース2
Ⅰ
ずさんな介護,気に入らないと暴力を振るう
家族構成(
本
は同居家族)
人
(被虐待者)
(主虐待者)
長
長男の妻
男
次男(弟)
次女(妹)
孫
Ⅱ
家族の状況
○ 長男世帯との同居であるが,生計は本人の年金のみに頼っている状態である。
① 本 人 80 歳代,女性
ア
イ
ウ
②
ア
イ
③
Ⅲ
要介護 5 日常生活はほぼ全介助が必要な状態
医療機関への定期受診はない。
認知症度Ⅲa程度
介護保険サービスは,月 1 回程度の訪問入浴を利用することがあるが,金銭の
状況によっては利用しない。
虐待者 長男の妻 50 歳代
無職,家事に専念
軽度の知的障害が見られる。
その他の家族
ア 長男 無職
イ 孫 知的障害があり,県内の養護学校へ通学中
虐待の種類
○
○
○
身体的虐待:顔や腕等に不自然なアザが見られる
経済的虐待:本人の年金を必要な介護費用に使用しない等
介護・世話の放棄,放任:仙骨部に見られる褥瘡の適切な処置がされていな く,ま
た入浴も月に 1 回程度,オムツ交換は 1 日 1 回 程 度 で あ り , 異 臭 が す る 状 態 で あ る 。
52
Ⅳ
支援経過
○
虐待発見の経緯
本人を担当する介護支援専門員から,
「 同居している長男及びその妻から虐待を受け
ている可能性がある。」と市地域支援センターに相談が入る。地域支援センター職員が
対象者世帯を訪問し,事実の確認を行ったところ,本人に対する長男の妻の身体的虐
待及び世話の放任等による虐待が認められた。
○
虐待の内容
本人の日常的な介護は長男の妻が行っている。食事の用意等もしているが,思うよ
うにいかないと本人を大声で怒鳴り,また顔や腕等を叩いたりするため,身体にアザ
が見られた。また,オムツ交換の頻度は 1 日 1 回程度であり,入浴も月 1 回程度の訪
問入浴サービスを利用するのみであった。
しかし,その訪問入浴も,経済的に余裕がない場合は利用しないこともある。さら
に,本人の仙骨部に褥瘡があり,時には医療機関へ受診するがその後の適切な処置は
せず,また,継続した受診もしていない状態であった。
このため,本人の居室は物が散乱し,身体及び着衣も汚れ,尿臭や褥瘡の異臭が強
く不衛生な状態であった。
本人は,適切な食事が摂れていない状態であり,栄養失調や脱水症状を起こしてい
る可能性が強いと思われた。
○
対応の経過・支援内容
訪問時の長男夫婦との会話では,「食事を作っても本人が食べたがらないから…。」,
訪問入浴の利用についても,「お金がないから。」などと主張している。長男に本人の
状況を改善しなければならないと説明しても,
「今は経済的に余裕がない,介護等にお
金をかけられない。」とのことであった。
調査後,市地域支援センターの保健師・主任ケアマネジャー・社会福祉士,市社会
福祉課,主治医,担当の介護支援専門員とでケース会議を開催し,今後の対応を検討
したところ,
①
褥創の状況や本人の栄養状態等から医療機関への受診及び必要に応じた入院治療
の必要性の説明を受けるが,今すぐ入所できる施設がある場合は,施設入所を優先
したほうが良い。
② 施設入所に関しては,次男・次女の協力を得られる可能性があるため,このまま
長男夫婦の協力が得られない場合は,他の兄弟に施設の契約を依頼する。
③
経済的困窮が介護サービスの利用を妨げているため,市社会福祉課(生活保護担
当)との協議・相談を進める。
こととした。
数日後,市外の特別養護老人ホームから通常契約による入所が可能であること,生
活保護についても担当者から受給対象であるとの回答があっため,長男夫婦に次男・
次女を含めて,改めて本人の施設入所について相談を行った。その結果,本人に施設
入所の意向があることを確認するとともに,長男夫婦及び他の兄弟も施設入所に同意
したため,早急に入所手続を進めることとした。
53
Ⅴ
評価(成果,課題,ケースから学んだこと等)
このケースでは,長男の妻の「介護が自分の思うようにいかないため,イライラして
しまった。」という介護に対する意識が,虐 待の主たる要因となっていた。また,介護保
険制度や高齢福祉施策を十分に理解していなかったため,利用できるサービスなどの幅
が狭くなってしまったようである。
実際に施設へ入居してからは,本人はもとより,長男夫婦の表情なども穏やかになっ
てきており,単に虐待者を責めるだけでなく,必要な情報を収集し,適切に伝達するこ
とが重要であると感じた。
Ⅵ
関係機関と役割分担
○ 市地域支援センター:施設紹介・入所支援
○
○
市社会福祉課:生活保護の相談,保護開始手続
主治医:本人の状態等に関する家族への説明
○
担当介護支援専門員:ケア会議の開催・家族との連絡調整
54
ケース 3
Ⅰ
親の生活資金と自分の小遣いを混同
家族構成(
本
は同居家族)
人
(被虐待者)
(虐待者)
長
Ⅱ
男
長女
次女
三女
家族の状況
○ 長男と母親の二人暮らし。生計は本人の年金に頼っている。
①
本
ア
人 80 歳代,女性
介護保険未申請だが認知症はなく自立している。
イ
医療機関への定期受診はしていない。
② 虐待者長男 50 歳代,男性
ア 無職。以前は会社を経営していたが,倒産後収入はない。
イ 結婚していたが,会社の倒産時期に離婚。
虐待の種類
Ⅲ
○
○
Ⅳ
○
心理的虐待:暴言をはく,威圧的な態度を取る
経済的虐待:本人の年金を不正に使用
支援経過
虐待発見の経緯
近隣住民(親戚)から,本人が長男から暴力行為を受けたため家を逃げだして,知
人宅等に避難している状態であるため相談に乗ってほしいとの依頼がある。市地域支
援センター職員が事実確認のため訪問,長男と会うことはできなかったが,本人と面
談することができた。
○
虐待の内容
無職である長男より金銭を要求され,渡さない場合には怒鳴ったり,暴言を吐いた
りと威圧的な行為が多い。本人は長男から逃れるために自宅敷地内にある倉庫で寝起
きしているとの発言があり,長男の行為に脅えており,経済的な困窮よりも心理的虐
待をより強く感じた。
55
○
対応の経過・支援内容
長男からの執拗な暴言や威圧などから避難したいとの訴えがあり,寒さや精神的不
安軽減の必要性を判断し,養護老人ホームへ一時避難の対応(生活管理指導短期宿泊
事業の利用)をとることとした。
本人が養護老人ホームでの宿泊を継続している間,他の家族との連絡・調整が進み,
他の家族立会いのもとで長男との面接が可能となった。
長男との面接では,「自分は母親に暴力を加えた自覚はない。」とのことであったが
金銭を要求したことは認める発言があった。長男の弁解では,無職であるため新たに
就職するには準備金が必要であったとのこと。しかし,実際には就職準備金には使用
せず,遊びやギャンブル等に使用してしまったようである。
その後さらに,家族を交えた会合を行い,家族それぞれの考えや意向を確認するカ
ンファレンスを実施した。
① 本人の意向は長男との生活を続けることが嫌であり,今後は養護老人ホームへ入
②
③
所したい
長男の意向は今後暴力行為をしないため,母には戻ってきて一緒に生活をしてほ
しい。
長女・次女・三女の意向は今回の問題は今に始まったことではない。母には施設
で安心した生活を送ってほしいが,施設入所に関しては母の意向は尊重したい。
以上の家族の意向を確認したうえ本人と面談したが,家のことも心配なため一度自
宅へ戻りたいとの要望があった。そのため,日程を調整して本人が自宅へ戻ることと
するが暴力再発の可能性もあるため,本人・家族の了解を得て,民生委員・地域窓口
センターに見守り支援を依頼する。
数日後,担当の地域窓口センターから再度息子の暴力を受けたようだとの通報があ
り,再度養護老人ホームへ収容した。本人から「もう,家には二度と帰りたくない。」
と意向を固めた発言があったため,養護老人ホームへ入所措置の手続きを行った。
Ⅴ
評価(成果,課題,ケースから学んだこと等)
長男の暴力は以前から起こっており,本人の意向からも養護老人ホームへの入所措置
を早急に行わなければならない事例であった。しかし,肉親としての感情もあり,最後
に理解し合えるのでないかという母親の感情も無視することができなかったため,人間
的な感情を抑えることも難しいが,措置権者として虐待の再発を招いてしまったことは,
甘さがあったことを認め反省しなければならない。
Ⅵ 関係機関と役割分担
○
○
○
市地域支援センター:訪問相談・事実確認・入所措置
地域窓口センター:訪問・見守り
地区民生委員:見守り・情報提供
○
家族:見守り・情報提供
56
Q&A編
1「高齢者虐待防止・養護者支援法関連」
虐待が認められた養介護施設が指導に従わない場合,
老人福祉法及び介護保険法の規定ではどのような措置が
Q1
執られるのでしょうか。
A 1 養介護施設従事者等から報告を受け,事実確認の結果虐待が認められた場合は,
市町村は要介護施設に対し虐待防止のための委員会の設置や改善計画書の作成を求め,
その計画に沿った事業報告を定期的にしていただくことになりますが,その指導に従わ
ない場合は,下記の規定により権限を行使し,高齢者を保護します。
<老人福祉法>
○第 18 条
老人居宅生活支援事業者,老人デイサービスセンター,老人短期入所施設等の設置者や
養護老人ホーム・特別養護老人ホームの施設長に対する報告徴収・立入検査等
(都道府県知事)
○第 18 条の2
認知症対応型老人共同生活援助事業者に対する改善命令,老人居宅生活支援事業者,
老人デイサービスセンター,老人短期入所施設等の設置者に対する事業制限・停止命令
(都道府県知事)
○第 19 条
養護老人ホーム・特別養護老人ホームの設置者に対する事業停廃止命令
認可取消
(都道府県知事)
○第 20 条
有料老人ホーム設置者等に対する報告徴収・立入検査等
有料老人ホーム設置者に対する改善命令
(都道府県知事)
<介護保険法>
○第 76 条
指定居宅サービス事業者に対する報告徴収・立入検査等(都道府県知事・市長村長)
○第 76 条の2
○第 77 条
指定居宅サービス事業者に対する勧告・公表・措置命令(都道府県知事)
指定居宅サービス事業者の指定取消・指定の効力停止(都道府県知事)
○第 78 条の6
指定地域密着型サービス事業者に対する報告徴収・立入検査等(市町村長)
○第 78 条の8
指定地域密着型サービス事業者に対する勧告・公表・措置命令(市町村長)
○第 78 条の9
指定地域密着型サービス事業者に対する指定取消・指定の効力停止(市町村長)
○第 83 条
指定居宅介護支援事業者に対する報告徴収・立入検査等(都道府県知事・市町村長)
○第 83 条の2
○第 84 条
指定居宅介護支援事業者に対する勧告・公表・措置命令(都道府県知事・市町村長)
指定居宅介護支援事業者の指定取消・指定の効力停止(都道府県知事)
57
介護保険法
○第 90 条
指定介護老人福祉施設開設者に対する報告徴収・立入検査等(都道府県知事・市長村長)
○第 90 条の2
○第 92 条
指定介護老人福祉施設開設者に対する勧告・公表・措置命令(都道府県知事)
指定介護老人福祉施設の指定取消・指定の効力停止(都道府県知事)
○第 100 条
介護老人保健施設の開設者に対する報告徴収・立入検査等(都道府県知事・市長村長)
○第 103 条
介護老人保健施設の開設者に対する勧告・公表・措置命令(都道府県知事)
○第 104 条
介護老人保健施設の指定取消・指定の効力停止(都道府県知事)
○第 112 条
指定療養型医療施設の開設者に対する報告徴収・立入検査等(都道府県知事・市町村長)
○第 113 条の2
○第 114 条
指定療養型医療施設の開設者に対する勧告・公表・措置命令(都道府県知事)
指定療養型医療施設の開設者の指定取消・指定の効力停止(都道府県知事)
○第 115 条の6
指定介護予防サービス事業者に対する報告徴収・立入検査等(都道府県知事・市町
村長)
○第 115 条の7
指定介護予防サービス事業者に対する勧告・公表・措置命令(都道府県知事)
○第 115 条の8
指定介護予防サービス事業者の指定取消・指定の効力停止(都道府県知事)
○第 115 条の 15
指定地域密着型介護予防サービス事業者に対する報告徴収・立入検査等( 市 長 村 長 )
○第 115 条の 16
指定地域密着型介護予防サービス事業者に対する勧告・公表・措置命令(市長村長)
○第 115 条の 17
指定地域密着型介護予防サービス事業者の指定取消・指定の効力停止(市長村長)
○第 115 条の 24
指定介護予防事業者に対する報告徴収・立入検査等(市長村長)
○第 115 条の 25
指定介護予防事業者に対する勧告・公表・措置命令(市長村長)
○第 115 条の 26
指定介護予防事業者の指定取消・指定の効力停止(市長村長)
「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応について」
( 厚生労働省)
被虐待者と虐待者との面会は,制限することができますか。
Q2
A2
高齢者虐待防止・養護者支援法第 13 条では,
○被虐待者をやむを得ない事由により特別養護老人ホームへ入所させた場合
○養護受託者に対し,被虐待者の養護を委託した場合
面会することで被虐待者の生命や身体,財産などが脅かされる状況が具体的に予
測される時には,面会制限をすることができるとされています。
施設では,家族との交流の機会を確保する必要もありますが,このような場合は
それに当たらないと考えられます。なお,被虐待者本人が面会を希望している場合
などは,市町村の措置担当者と連携して判断を行ってください。
58
Q3
虐待者が強引な面会要求や攻撃的な態度を示した場合
は,どのような対応をとったらよいでしょうか。
A3
○電話の様子や訪問時の対応の様子を措置担当者に報告してください。
なお,施設内で強引な面会要求や攻撃的な態度を示した場合,養護者に退去
を求めても,それに従わなかったり,暴力を振るうような場合は市から警察に
通報する場合もあります。
Q4
虐待者が,被虐待者との面会を要望した場合はどのよ
うに対応すればよいですか。
A 4 面会実施までの手順
① 養護者から面会の要望があった場合,市の措置担当者に連絡してください。
②
措置担当者が施設担当者も交え養護者と面会し,状況や要望の確認を行っ
た後判断を行います。その結果,
○面会が可能な場合
虐待者や本人,施設担当者と面会日程,立会い者等の確認をして面会を実
施します。
○面会が困難な場合
措置担当者から虐待者に面会ができる状態ではないことを伝え,次の機会
を待つように促します。
Q5
A5
虐待を発見した場合の通報と,個人情報の保護とはど
のような関係がありますか。
虐待の疑いを含め,虐待を発見した方が,市に通報する内容は個人情報
には当たりませんが,それを入手した市が利用する場合には,個人情報として
法の規制を受けることになります。
一方,事業所等で虐待の内容を市に通報する場合,個人の氏名やデータ等は
個人情報にあたりますが,
「本人の生命,身体又は財産の保護のために必要があ
る場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき」は,個人情報保護
法の利用目的の制限や第三者提供の制限の例外規定にあたると判断されます。
59
Q6
A6
警察が認知した虐待についての事案は,どのようなも
のが市への通報対象となりますか。
原則として警察が認知した場合,全ての高齢者虐待事案が通報の対象と
なります。次のような場合も含みます。
○虐待行為があったことの明確な裏づけができない場合でも,警察が高齢者虐
待の可能性があると判断できる事案については,通報の対象となります。
○加害者が高齢者本人の養護者に当たるかどうかの判断が困難なときであって
も,同居者である場合は,高齢者虐待事案として通報の対象となります。
○認知症が疑われる高齢者から虐待を受けていると申出があった場合,警察で
は認知症の判断が困難であり福祉的な立場からの対応を必要とするため,通
報の対象となります。
○配偶者から身体に対する暴行が行われているときは,暴行を受けている方の
年齢や要望等を踏まえて,いわゆるDV防止法の対象であるとに関らず高齢
者虐待事案として通報の対象となります。
60
2「公的制度活用関連」
Q7
虐待者からの分離についての方策は,どのような手段が
ありまか。
A 7 家族を分離することは,虐待防止への対応として有効な手段ですが,一
方そのリスクも大きいことから,生 命 に関わる緊急性の高い場合や在宅の介護
サービス等の提供などでは虐待の改善が見込めない場合に行うことになりま
す。
① 職権による分離の手段
○やむを得ない事由による措置
特別養護老人ホーム
グループホーム,ショートステイ等
○婦人相談所等への一時保護
○養護老人ホームへの入所措置
○保護命令等(DV防止法による接見禁止命令)
②
契約によるサービスの利用
○介護保険サービス 特別養護老人ホーム,老人保健施設
グループホーム,ショートステイ等
○軽費老人ホーム
○公営住宅への入居
Q8
虐待を理由にした短期入所を受け入れたとき,定員枠
を超えてしまった場合はどうなりますか。
A 8 やむを得ない措置の場合,一時的であれば一定率の定員超過については
介護報酬の減算の対象とはならないとされていましたが,平成18年4月1日
からは,短期入所生活介護についても,虐待が理由の場合には措置による利用
かどうかに関らず,定員超過の場合でも減算の対象にならないこととなりまし
た。
61
Q9
A9
やむを得ない事由による措置等によって,入所定員を
超過してしまったときはどうなりますか。
やむを得ない事由による措置による特別養護老人ホームの入所定員の超
過については,
① 市町村による措置入所
② 入院者の当初の予定より早期の再入所の場合
は入所定員の5%
③ 緊急その他の事情により併設の短期入所生活介護事業所の空床を利用する
場合
は定員の5%までは減額の対象とはなりません。
ただし,定員超過はあくまでも特例であることから,家族関係等の改善な
どに努めるなどの支援を行い,早急に定員超過を解消する必要があります。
62
やむを得ない事由による措置と契約によるサービス利
用 と の 違 い , 費 用 の負担区分はどのようになっています
か。
Q10
A10
やむを得ない事由による措置
契約によるサービス利用の場合
の場合
○要介護認定
*本人が受診を拒むなど要介護
○要介護認定
*介護保険を利用しようとする時
認定ができない時でも,職権で
措置ができます。
○サービス利用
に利用者本人や親族が市に要介
護認定を申請します。
○サービス利用
*市の委託にもとづき事業者が
サービスを提供します。
*利用者が自分にあったサービス
を提供してくれる事業者を選び
○費用
*介護保険を利用した措置の場
合,9 割は保険給付,1 割を市
契約を交わしてサービスを利用
します。
○費用
が支弁します。
*介護保険が利用できない措置
*受けたサービスに対して介護保
険給付 9 割で利用者負担が 1 割で
の場合,市が老人保護措置費と
して全額支弁します。
す。
市が支払った1割(本来は本人が負担する部分)の費用については後で市が徴収する
ことになりますが,その方法は
○要介護認定を受けていて,本人に負担能力がある場合は,市が施設に措置費として
支弁した後に本人から負担分を徴収します。
○要介護認定を受けていて,本人に負担能力がない場合で,かつ,費用を負担できる
扶養義務者がいる場合は,市が施設に措置費として支弁した後に扶養義務者から負
担分を徴収します。
○要介護認定を受けていて,本人に負担能力がない場合で,負担できる扶養義務者も
いない場合は,市が施設に措置費として支弁します(負担の回収はできず市の負担
となります)。
○特別養護老人ホームなど要介護以上でないと利用できないサービスの場合,要介護
認定を受けていなくても措置は可能ですが,サービス提供後に申請・判定の結果が
自立又は要支援になった場合は,介護保険の対象とならないために費用の全額を本
人が負担することになり ま す 。
○本人が生活保護世帯の場合は,介護保険と生活保護の介助扶助で費用が賄われるた
め,市及び本人の負担はありません。
63
Q11
A11
やむを得ない事由による措置は,住民票がなければで
きないのですか。
老人福祉法第5条の4によれば,福祉の措置の実施者は,
○居住地の市町村
○居住地がないか不明の場合は現在地の市町村
となっているため,通常は住民票のある市町村が行い,自由生活者等の場合は
現在身柄のある市町村が実施することになります。
ただし,介護保険のサービスを受けるためには住民票が必要ですので,本人
の申請または職権で住民登録を回復し,介護認定等を受けて必要なサービスの
利用を行うことになります。
判断能力に欠ける人にやむを得ない事由による措置を
Q12
行うとき,成年後見制度をどのように活用するとよいで
すか。
A 1 2 本人の同意と判断能力があれば契約による利用が可能ですが,判断能
力に欠ける人の場合は,まず代理人がいるかどうかを確認し,いる場合は代理
人による契約利用を行います。代理人がいない場合はまず措置を行い,並行し
て成年後見の手続きを進め,審判後に後見人によって契約を行うこととなりま
す。ただし,成年後見制度は申立てを行ってから開始までに相当期間(3∼6
ヶ月程度が目安)が必要であり,後見人の引受人や鑑定の依頼など,詰めてお
かなければならないことを確実に行わなければなりません。
Q13
生活保護世帯の認知症のある高齢者の今後の生活のた
め成年後見の申立てを考えていますが,生活保護制度で
は後見人の報酬が対象となりますか。
A 1 3 生活保護制度では後見人の報酬は対象としていません。しかしながら,
後見人の報酬は原則的には本人の財産の範囲内で裁判所が決めるものですの
で,安価な報酬で引受けてくれる人を探す方法もあります。
また,市長が申立てを行い,助成を受けなければ成年後見制度の利用が困難
な者に対しては,成年後見制度利用支援事業の助成対象になる場合もあります。
64
寝たきり状態ですごしている母親を特別養護老人ホー
ムに入所させたいが,経済的余裕がなく,母親の年金だ
けでは利用料の支払いができない場合,生活保護を受け
て入所することができますか。
Q14
A14
生活保護では生計状況を世帯で考えますので,同居家族の収入と母親
本人の収入を合わせて保護基準を下回われば,生活保護を受けることができま
す。家族に収入がある場合は,その収入が母親のために使えることになります
ので,直接の入居費用を母親だけに負担させることは認められません。また,
生活保護での特別養護老人ホーム入所は多床室が対象ですので,ユニットケア
の施設には入所することができません。
なお,家族の収入がある場合,虐待を理由に母親と家族の世帯分離(住民票
の世帯分離ではありません。)を行って生活保護を受ける可能性がまったくない
わけではありませんが,事前に生活保護担当部署とよく相談して進める必要が
あります。
生 活 保 護を 受 け て い ま す が , も う 暴 力 を 振 る う 息 子 と
Q15
A15
はいっしょに住みたくないので,入所できる施設はあり
ますか。
高齢者が生活保護を受けている場合,費用の9割は介護保険から給付
され,利用者負担に相当する部分は生活保護の介護扶助が当てられますので入
所やサービスを受けることが可能です。ただし,その介護サービス事業者が,
生活保護対象の指定を受けている必要があります。
なお,次の施設は,生活保護の対象になりませんので,自分で費用を負担す
ることができない時は入所できません。
○ケアハウス
○ユニット型介護特別養護老人ホーム
65
3「その他」
Q16
近所の高齢の夫婦が,息子から暴行を受けているとこ
ろを発見しましたが,まずどこに相談すればよいですか。
また,相談をした後の対応はどうなりますか。
A 1 6 現に暴行を受け,負傷しながら助けを求めているなど切迫した状況の
ときは,まず警察への通報が先決です。
暴行を行った息子に対しては,警察官がその現場において,他傷・自傷の害を
及ぼす恐れが著しいと判断すれば保護を行います。また,虐待事案として警察
から市担当部署にも通報がありますので,担当職員が警察や保健所等と連携を
とりながら,高齢者夫婦と面談をして処遇を行います。
緊急性が少ないときは,市地域支援センターに相談をお願いします。相談を
受けた市では,事実確認を行うための訪問や,警察や保健所等の関係機関と連
携して対応を進めます。また,必要があれば,通報者等の情報を秘匿して対応
します。
Q17
A17
虐待を受けている高齢者の医療費は,市が負担してく
れるのですか。
市の費用で,本人の医療費をまかなう制度はありませんので,医療費
は本人や家族が負担することが原則です。ただし,その世帯が生活保護を受け
ている場合は,必要な医療費については扶助を受けられます。
家族に資力がある場合は,医療の必要性を説得することが基本となりますが,
生活福祉資金の貸付や無料・低額診療施設の制度もありますので,検討を行っ
てください。
66
Q18
虐待を受けている高齢者が特別養護老人ホームへの入
所を希望しているとき,身元保証人がいない場合はどう
なるのでしょうか。
A18
特別養護老人ホームでは,正当な理由がない場合入所を拒否してはな
らないことになっています。一般に,身元引受人がいないということは,入所
拒否の正当な理由としては認められません。
ただし,虐待の事実があり,家 族が身元引受けの拒否をしている状況では,
通常の契約はできないと考えられますので,やむを得ない事由による入所措置
の対象となるものと考えられます。
認知症があり金銭の管理ができないからと通帳を預か
認知症があり金銭の管理ができないとの理由で,母親
Q19
から通帳を預かっている娘が年金を勝手に使っていま
っている娘から年金を取り戻すにはどうすればよいです
か。
す。取り戻したいのですが,どうしたらよいでしょうか。
A 1 9 その娘を説得して,通帳を取り返すことが基本です。行政機関が話し合
いに加わることで効果がある場合もあります。
それでも説得に応じない場合は,次のような方法が考えられますが,いずれも
完璧な方法ではないため,無料の法律相談などを活用しながら手だてを講じる必
要があります。
○本人が新たに口座を設け(金融機関),そこに振り込まれるように金融機関の変
更(社会保険事務所)を行う。しかし,娘が年金証書番号を知っていて元の通帳
の印鑑を持っていたりすると,元の通帳への振り込みに戻す手続きをとられてし
まうことがあります。
○元の通帳を使えなくするため,紛失届けを出して新しい通帳を再発行してもら
う。しかし,金融機関の規則によって通帳の紛失として取り扱ってくれるかどう
かは問題があります。また,元の通帳をもって娘が年金を引き出そうとして,金
融機関とトラブルになる可能性もあります。
○家庭裁判所に調停を申立てる。調停が不調のときは,裁判所に訴訟を起こす。
法的知識や書類作成の労力,訴訟に相応の費用が必要などの問題があります。
○本人が事実認知症などの場合は,成年後見制度により後見人が同様の手続をす
ることも考えられます。ただし,娘も本人の身上監護を建前にしているため,事
実をよく調査して申立てる必要があります。
67
Q20
医療費の負担などを理由に家族が本人に医療を受けさ
せない,本人が医療を拒否しているなどの場合,行政機
関が職権で医療を受けさせることができますか。
A20
医療法等には,やむを得ない事由による措置のように行政が職権で医
療サービスを受けさせる制度がないため,その権限はないと考えられます。た
だし,医療を受けさせないで放置するなど高齢者虐待にあたる場合は,家族と
分離して入院させるなどの手だては考えられます。
また,医療侵襲については本人の同意が必要であるため,無理に受診させて
も本人が拒否(医療の同意につ いての本人の意思能力の有無による判断は,諸
説あり結論が出ていません。)することで医療費の支払い等トラブルになる場合
もあります。また,本人が成年後見を受けていても,後見人には医療の同意権
がないというのも一般的な見解です(反対説もあります。)。
このため,普段からかかりつけ医を決めておくなど医療の相談ができる体制
を作っておくこと,家族等に対して医療の必要性を粘り強く説得しておくこと,
経済的な困窮がある場合は生活保護等の制度による救済を検討すること,な
どが必要です。
Q21
A21
虐 待 が 緊 急 を 要 す る 事 態 な の か どうかという判断は,
どのようにしたらいいのですか。
固定的な基準はありませんが,次の事項を判断の参考にしてください。
緊急性の判断は困難な問題ですが,普段から事例を研究し判断力を養ってお
く必要もあります。
① 本人が保護救済を強く求めている。
②
生命に危険な状態が認められる。(重度の外傷や火傷・内出血・褥瘡,栄
養失調,脱水症状,衰弱,肺炎等の重篤な疾病)
→最終的な判断は医師が行います。
③ 生命に危険を及ぼす行為(頭部や顔面・急所への打撃,器具を使った暴
行,首を絞める・揺さぶる,戸外に放置する,水中に投げ込む,水や食事
を与えない)
④ 確認はできないが,上記①∼③が行われている可能性が高い場合。
68
参考資料
水戸市高齢者虐待防止等ネットワーク構築検討会要項
1
目
的
高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援に関する法律(平成 17 年 11 月 9 日法
律第 124 号以下「法」という。)の適切な運用促進と高齢者虐待防止等ネットワークの構築
を図るため,関係機関等による検討会を開催する。
2
内
容
本会議は,次の事項についての検討を行う。
( 1 ) 高 齢 者 虐 待 等 に つ い て の 実態把握
(2)市民に対する高齢者虐待防止等に関する市民への啓発
(3)高齢者虐待防止等のためのネットワーク構築及び関係機関の連携
( 4 ) 高 齢 者 虐 待 防 止 等 に 係 る 虐 待 対 応 マ ニ ュ ア ル 等 の 作成
(5)その他高齢者虐待防止等に関し必要な事項
3
構成員
会議員は,別表に掲げる関係機関,関係団体及び高齢者福祉に関する職務に従事する者
並びにその他の関係者とする。
4
5
開催日程
本会議は,平成18年度内に3回程度開催する。
会
議
本会議は,必要に応じて構成委員以外の関係者の出席を求め,その意見を聞くことがで
きる。
6
事務局
本会議の事務局は高齢福祉課とする。
1
水戸市高齢者虐待等ネットワーク構築検討会委員名簿
(敬称略)
専門関係
保健・医療関係
警察・司法関係
学識経験者
福祉関係
団体・機関関係等名
団体・機関等職名
氏
名
水戸保健所
保健指導課長
小沼
文子
水戸市医師会
理事
荒木
誠
保健センター
所長
清水
孝子
水戸警察署
生活安全課係長
栗原
悦子
水戸市消防本部
警防課救急救助係長
堀口
照道
茨城県弁護士会水戸支部
弁護士
杉下
弘之
大学教授
茨城大学教授
松村
直道
居宅介護支援事業所
ふたりしずか所長
谷口
洋子
市内老人福祉施設の設置
愛友園施設長
山口
保雄
会長
蔭山
二郎
地域ケア担当
竹内
リエ子
主体の社会福祉法人
水戸市民生委員児童委員
連合協議会
水戸市社会福祉協議会
2
高 齢 者 虐 待 発 見 チ ェ ッ ク リ ス ト( 一 般 用)
〈身体的虐待サイン〉
チェック欄
サイン例
身体に小さな傷が頻繁にみられる。
大腿の内側や上腕部の内側,背中に傷やみみずばれがみられる。
回復状態が様々な段階の傷,あざ等がある。
頭,顔,頭皮等に傷がある。
臀部や手のひら,背中等に火傷や火傷跡がある。
急におびえたり,恐ろしがったりする。
「怖いから家にいたくない」等の訴えがある。
傷やあざの説明のつじつまが合わない。
主治医や保健,福祉の担当者に話すことや援助を受けることに躊躇する
主治医や保健,福祉の担当者に話す内容が変化し,つじつまがあわない。
〈心理的虐待サイン〉
チェック欄
サイン例
かきむしり,噛み付き,ゆすり等が見られる。
不規則な睡眠(悪夢,眠ることへの恐怖,過度の睡眠等)がみられる。
身体を萎縮させる。
おびえる,わめく,泣く, 叫ぶなどの症状がみられる。
食欲の変化が激しく,摂食障害(過食,拒食)がみられる。
自傷行為が見られる。
無気力,あきらめ,なげやりな様子になる。
体重が自然に増えたり,減ったりする。
〈性的虐待サイン〉
チェック欄
サイン例
不自然な歩行や座位を保つことが困難になる。
肛門や性器から出血や傷がみられる。
生殖器の痛み,かゆみを訴える。
急にほえたり,恐ろしがったりする。
ひと目を避けるようになり,多くの時間を一人で過ごすことが増える。
主治医や保健,福祉の担当者に話すことや援助を受けることに躊躇する
睡眠障害がある。
通常の生活行動に不自然な変化がみられる。
3
〈経済的虐待サイン〉
チェック欄
サイン例
年金や財産収入等はあることが明白にもかかわらず,お金がないと訴える。
自由に使えるお金がないと訴える。
経済的に困っていないのに,利用負担のあるサービスを利用したがらない。
お金があるのにサービス利用料や生活費の支払いができない。
資産の保有状況と衣食住等生活状況との落差が激しくなる
預貯金が知らないうちに引き出されたり,通帳がとられたと訴える。
〈ネグレクトサイン〉
チェック欄
サイン例
居住部屋,住居が極めて非衛生的になっている。また,異臭を放っている。
部屋に衣類やおむつ等が散乱している。
寝具や衣服が汚れたままの場合が多くなっている。
汚れたままの下着を身につけるようになる。
かなり褥創ができている。
身体からかなりの異臭がするようになってきている。
適度な食事を準備されていない。
不自然に空腹を訴える場面が増えてきている。
栄養失調状態にある。
疾患の症状が明白にもかかわらず,医師の診断を受けていない。
〈養護者の態度に見られる虐待サイン〉
チェック欄
サイン例
高齢者に対して冷淡な態度や無関心さがみられる。
高齢者の世話や介護に対する拒否的な発言がしばしばみられる。
他人の助言を聞き入れずに,不適切な介護方法へのこだわりがみられる。
高齢者の健康や疾患に関心がなく,医師への受診や入院の勧めを拒否する。
高齢者に対して過度に乱暴な口のきき方をする。
経済的に余裕があるように見えるのに,高齢者に対してお金をかけようとしない。
福祉,保健の担当者に会うのを嫌うようになる。
(平成18年度作成 東京都高齢者虐待対応マニュアルより引用)
4
事実確認時チェック表
通報等受理日
平成
年
月
日(
)
通報者氏名・連絡先
被虐待者氏名
事実確認方法
1)訪問面接
事実確認日時
平成
2)関係機関からの情報
年
月
日
時
分∼
時
心理的
性的
経済的
事実確認者
確
虐待の種類
身体的
認
放棄・放任
事
項
虐待の程度
虐待の事実と経過
安全の確認
身体の状況
心理・精神の状況
生活環境(世話の状況
等)
世帯構成
養護者との人間関係
家族との人間関係
養護者
年齢:
職業:
性格:
行動パターン:
虐待とのかかわり:
関係機関・関係者からの情報収集
事実確認所感
5
分
養護者不在時の対応(訪問調査・保護)について
平成
年
月
日
養護者
様
養護者不在時の対応(訪問調査・保護)について
平成
年
月
日
時
分に○○より(通報・相談)を受けま した□□の件につきま
して,「高齢者虐待防止法(通称)」第 17 条(立入調査)により下記のとおり訪問調査を
致しました。
記
1:訪問調査根拠
高齢者虐待防止法(通称)第 11 条(立入調査)
市町村長は,高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認
められるときは,高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして,当該高齢者の
住所又は居所に立ち入り,必要な調査又は質問をさせることができること。
2:立入調査の趣旨
3:不服申し立て手続きについて
立入調査を実施したところ緊急に保護するケースと判断し,▲▲の措置を致しまし
た。この措置に不服申し立てを行う場合は,水戸市高齢福祉課地域支援センター(水
戸市地域包括支援センター)調査員(
)029−224−1111までご連
絡ください。
6
引用・参考文献
○横須賀市高齢者虐待防止事業報告書
∼事業立ち上げのために∼
横須賀市
平成16年3月
○高齢者虐待対応マニュアル 世田谷区 平成17年3月
○特別養護老人ホームにおける身寄りのない利用者への支援の手引き
東京都社会福祉協議会
○在宅における高齢者虐待防止と介護者支援推進事業報告書
○高齢者虐待対応マニュアル
平成14年10月
社団法人生活福祉研究機構
平成18年3月
−安心して暮らせる高齢社会をめざして−
茨城県健康福祉部高齢福祉課
平成17年3月
○市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と擁護者支援について
厚生労働省老健局
平成18年4月
○東京都高齢者虐待対応マニュアル
東京都福祉保健局
平成18年3月
○白澤政和著 「ケースマネジメントの理論と実際」
中央法規出版 平成18年3月
○多々良紀夫編著「高齢者虐待早期発見・早期介入ガイド」
○市長村老人保護措置事務取扱マニュアル
丸三印刷所
茨城県福祉部高齢福祉課
平成16年3月
平成5年4月
○厚生労働省主催 第 56 回市町村職員を対象とするセミナー 資料2
平成18年7月
(講演 高齢者虐待における重要な視点∼法的な視点∼ 弁 護 士 滝沢香)
○サイモン・ビッグス&クリス・フィリプソン編著 京都社会福祉士会学術研究委員会訳
「高齢者虐待対応マニュアル」
ミネルヴァ書房
○福祉士養成講座編集委員会編 「社会福祉援助技術論Ⅰ」 中央法規出版
2005 年8月
2001 年3月
○福祉士養成講座編集委員会編 「社会福祉援助技術論Ⅱ」 中央法規出版 2001 年3月
○東京ソーシャルワーク編 「HOW t o 生活保護」
現代書館
1991 年12月
7
平成18年度
水戸市高齢者虐待対応マニュアル
発行
平成19年3月
水戸市保健福祉部高齢福祉課
〒310−8610 水戸市中央 1 丁目 4 番 1 号
TEL 029−224−1111(内線222)
FAX 029−228−0102
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