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若者に多い「ワカシラガ」, 高年層に残る「ワカジラガ」
若者に多い「ワカシラガ」 , 高年層に残る「ワカジラガ」 ~語形のゆれに関する調査(平成 22年 2月) から①~ メディア研究部(放送用語)太田眞希恵 「研究所」は, 「ケンキューショ」と読む場合も (昭和 18)年が初版で,それ以来 4 回の改訂が あるし「ケンキュージョ」と読む場合もある。 「ユ 行われてきたが,現在,NHK 放送文化研究所・ ニホーム」と言う人もいれば「ユニフォーム」と言 放送用語班では5回目の改訂に向けての作業 う人もいる。このように同じもの・同じことを言い を進めている。 表すのに,複数の言い方が共存している現象を 「ゆれ」があると言う(塩田雄大(近刊) ) 。 アクセント辞典の改訂では,毎回,アクセン トだけでなく,そのことばをどのように発音する こうしたゆれを調べるため,NHK 放送文化 かについても検討している。この,発音を決定 研究所では平成 22 年2月に語形のゆれに関す するために必要なのが,語形の確定である。ア る調査を行った。このうち,顕著な調査結果が クセント辞典に掲載する「研究所」の発音を「ケ 現れたものについて,今号と次号で報告する。 ンキューショ」とするのか「ケンキュージョ」とす 調査の概要は下記のとおり。 るのか。 「ケンキューショ」 「ケンキュージョ」両 調査時期:2010 年 2 月 5 日~ 2 月 14 日 方を掲載するのか。両方を掲載する場合にはど 調査方法:調査員による個別面接聴取法 ちらを先に書くのか。語形にゆれがあることば 調査対象:全国満 20 歳以上の男女 について調べた今回の調査結果は,アクセント 調査相手:エリア・サンプリング 辞典改訂作業で語形確定の検討を行う際に重 (層化 3 段抽出) 住宅地図から世帯を無作為に 要な資料となるものである。 語形の確定については,調査 結果のほか, 抽出し,世帯から調査相手を そのことばがこれまでどのような変遷を経てき 誕 生日法で抽出した 4,000 人 たか,NHKではどのように扱ってきたかなども (157 地点) 調べたうえで総合的に判断する。そのため本稿 有効数(率):1,272 人(31.8%) ではそれぞれの調査語の発音について,NHK での扱いの変遷や,辞書調査の結果なども折 NHKでは,放送で使う基準となる発音・ア り込みながら,調査結果を分析していくことに クセントを示した『NHK日本語発音アクセント する。なお,今号では連濁に関する語について, 辞典』 (以下, 『NHKアクセント辞典』とする)を 次号では漢字語の読みや外来語の発音などに 1) 刊行している 。 『NHKアクセント辞典』は1943 50 NOVEMBER 2010 ついて取り上げる。 1. 若者,男性,西日本に多い「ワカシラガ」 , 高年層,女性,東日本に残る「ワカジラガ」 載する辞書も「ワカジラガ」を主見出しとして掲 「若白髪」ということばについて,NHKでは カシラガ」ばかりとなり, 「ワカジラガ」は「~と 載する辞書もそれぞれあるのだが,戦後(1946 年以降,平成も含む)になると主見出しは「ワ も」という形で掲載されるようになる。 以下のように扱ってきた。 『NHK アクセント辞典』 (1943) (1951) ワカジラカ° 1965 年(第 594 回)放送用語委員会決定 ○ワカシラカ° ○ワカジラカ° 『NHK アクセント辞典』 (1966) (1985) (1998) ワカジラカ° ワカシラカ° 「 ゜ 」は鼻濁音を表す 1965(昭和 40)年の放送用語委員会の決定 で, 「ワカシラカ°」を新たに認めるようになっ たが,それ以降もアクセント辞典では以前から の語形「ワカジラカ°」を先に記載してきた。 では,今回の調査結果を見てみよう3)。 「若白髪がはえる。」 ワカシラガ・・・・・72% ワカジラガ・・・・・27% 全体としては「ワカシラガ」と発音する人が 7 割を超えているが,この結果を詳細に見るとさ まざまなことがわかってくる。 まず,年代差である。 「ワカシラガ」は若い 年代ほど多いという傾向がはっきりと現れた 一方,このことばが国語辞典を中心とする他 (図1)。一方の「ワカジラガ」は高年層ほど多 の辞書でどう掲載されてきたかも見てみる。65 い。前述の辞書調査からは, 「若白髪」には少 ページの表 13 は,本稿で報告する調査語が, なくともこの100 年あまり「ワカシラガ」 「ワカジ 17 世紀以降に出版された主な辞書においてど ラガ」両方があったと考えられるが,現在では のような読み方で掲載されてきたかをまとめたも 「ワカジラガ」が減って「ワカシラガ」が増える ので,その語の発音が時代によってどのように という方向で変化していることがわかる。 変化してきたかを知る一助となる(このうち「若 白髪 」についてのまとめは下記の表 1 を参照) 。 表 13 でもっとも古いのは『日葡辞書』 (1603) だが,そこには「ワカシラガ」で掲載されている 図 1 ワカシラガかワカジラガか(年代別) (%) 100 83 77 80 74 2) ことがわかる 。そして,明治から昭和(戦前) の時代では「ワカシラガ」を主見出しとして掲 戦前 戦後昭和 20 平成 ワカシラガ 20[20] 9[9] 12[12] ワカジラガ 10[10] 2[0] 6[1] 戦前:江戸時代から昭和 20 年の間に発刊された辞書(対象 35 冊) 戦後昭和:昭和 21 年から昭和 63 年の間に発刊された辞書(対象 11 冊) 平成:平成になってから発刊された辞書(対象 12 冊) ※『NHK アクセント辞典』は対象外。 ※数値は,主見出し・空見出しや「~とも言う」など,何らかの形でその語形が掲載されてい る辞書の数を表す。両方の語形が掲載されている場合,それぞれにカウントしてある。カギカ ッコ( [] )内は,そのうち主見出しとして掲載されている辞書の数。 ※以降の表 2 ~ 5,表 8 ~ 9,表 11 ~ 12 も同じ。 0 64 ワカシラガ 60 ワカジラガ 40 表 1 ワカシラガかワカジラガか (辞書類での扱い/全 58 冊) 72 16 男・女 (12・19) 20 代 23 25 (19・25) (20・30) 30 代 40 代 28 (27・29) 50 代 35 (33・36) 60 歳以上 男女別では, 「ワカジラガ」と発音する人の割 合が,男性より女性に多く現れた(図 2)。これ は,すべての年代において共通した傾向でもあ NOVEMBER 2010 51 図 2 ワカシラガかワカジラガか(男女別) 1 1 知らない わからない 75 2. 「コゴエシヌ」から「コゴエジヌ」へ 動詞と動詞が複合してできた語(「追いかけ 70 ワカシラガ る」 「聞き込む」 「積み重ねる」など)は,ふつう 連濁しないと指摘されている 5)。 「凍え死ぬ」も, 動詞「凍える」と動詞「死ぬ」が複合してできた 24 30 ワカジラガ (%) 男(567 人) 女(705 人) る(図 1「ワカジラガ」の「男・女」の数値参照) 。 地域差もはっきりと現れた。地域ブロック別 に見ると,東日本の各ブロックで「ワカジラガ」 と発音する人が全国平均値を超えている。特 に東北(46%)と甲信越(48%)では4 割以上, 西日本ではあるが北陸で 6 割にのぼることがわ かる(図 3)4)。 ■ ∼20% 語であるから,連濁せずに 「コゴエシヌ」となる ■ 21%∼40% ■ 41%∼ はずである。 「凍え死ぬ」について, 『NHKアクセント辞典』 では以下のように掲載してきた。 『NHKアクセント辞典』 (1943) (1951) (1966) 掲載なし 『NHKアクセント辞典』 (1985) (1998) コゴエシヌ また, 「凍え死ぬ」の名詞形「凍え死に」につ いては以下のとおりである。 図 3 ワカシラガかワカジラガか(地域ブロック別) 『NHKアクセント辞典』 「ワカジラガ」の割合 (全国平均27%) (1943) (1951) (1966) (1985) (1998) 38 ■ ∼19% ■ 20%∼39% 14 9 コゴエジニ 名詞「凍え死に」は初版から掲載され一貫し ■ 40%∼ 46 60 48 14 29 33 10 て「コゴエジニ」という連濁の形をとっていた が,一方,その動詞「凍え死ぬ」は,1985(昭 和 60)年に初めて掲載された。その際,発音 は上記の「動詞と動詞が複合してできた語は連 濁しない」という規則どおり「コゴエシヌ」とい う清音が採用されたということになる。 今回の調査結果は次のとおり。NHKの放送 以上をまとめると,今回の調査からは次のこ とがわかったと言える。 「若白髪」の発音は全体としては「ワカシラ ガ」が増える方向で変化している。一方,その 変化の中で減る傾向にある「ワカジラガ」も, 高年層・女性・東日本では比較的残っている。 52 NOVEMBER 2010 では認められていない「コゴエジヌ」という連濁 形で発音する人が,半数を超えた。 「このまま凍え死ぬのはいやだ。」 コゴエシヌ・・・・・45% コゴエジヌ・・・・・54% 男女差で明確な違いはなかったが,年代差 『日本国語大辞典 第 2 版 』によると,この ははっきりとした傾向が現れた(図 4) 。60 歳以 ことば は 14 世 紀 後 半 の『 太 平 記 』には「 凍 上では 6 割近くが「コゴエシヌ」と発音し,50 代 死(コゴヘしん)で」という形での用例がある では両者がほぼ同程度である。一方,40 代以 ようだ。 また, 『 日葡辞 書』 (1603)には名詞 下ではすべての年代で「コゴエジヌ」が 6 割を超 「Cogoyejini( コゴエジニ)」 「Cogoyexini( コ えている。 「凍え死ぬ」の発音は 50 代に分岐点 ゴエシニ)」の両方があり, 「Cogoyejini」には があり,現在の日本語としては「コゴエシヌ」か 「Cogoyejinisuru(コゴエジニスル)」というサ ら「コゴエジヌ」へと変化していると言えそうだ。 変動詞が, 「Cogoyexini」には「-uru(コゴエシ ヌル)」 「-inda(コゴエシンダ)」という動詞形 図 4 コゴエシヌかコゴエジヌか(年代別) が掲載されている。 (%) 100 コゴエジヌ しかし今回調べた範囲では,その後 1970 年 80 67 64 60 40 36 33 を掲載したものは 1冊だけで,一方で多くの辞 59 コゴエジヌ 51 49 32 書に, 「凍え死に」という名詞が「コゴエジニ」 39 という連濁形で掲載されていた(p.65 表 13)。 そして,表 13 の中で「凍え死ぬ」という動詞が コゴエシヌ 20 0 コゴエシヌ 以前の辞書で, 見出し語として動詞「凍え死ぬ」 67 その読みとともに初めて出てくるのは 1972 〜 76 20 代 30 代 40 代 50 代 60 歳以上 (昭和 47〜 51)年の『日本国語大辞典 初版 』 増えつつある「コゴエジヌ」という発音をする で,読みは「コゴエシヌ」である。その後の辞 人が,地域ブロック別ではそれぞれどのくらい 書でも,2008 年の『広辞苑 第 6 版』以外はす いるのかを示したものが図 5 である。新型と考 べて「コゴエシヌ」をとっている 7)。 えられる「コゴエジヌ」は東海・関西に多く,中 表 2 コゴエシヌかコゴエジヌか (辞書類での扱い/全 58 冊) 6) 国・北海道に少ないという様相になっている 。 図 5 コゴエシヌかコゴエジヌか(地域ブロック別) 「コゴエジヌ」の割合 (全国平均54%) 48 ■ ∼49% 53 ■ 60%∼ 41 53 62 63 戦後昭和 平成 コゴエシヌ 1[0] 4[2] 8[6] コゴエジヌ 1[0] 1[0] 2[1] ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) では, 「凍え死ぬ/凍え死に」以外の「~死 ■ 50%∼59% 54 戦前 58 ぬ」 「~死に」ということばはどのように発音さ れているのであろうか。現行の『NHK アクセ 51 ント辞典』 (1998)に掲載されている「~死ぬ」 「~死に」ということばを抜き出してみる。 51 「~死ぬ」 (「~シヌ」) おぼれ死ぬ 焼け死ぬ NOVEMBER 2010 53 「~死に」 ( 「~ジニ」 ) 犬死に 飢え死に 討ち死に 恨み死に おぼれ死に 思い死に 餓(かつ)え死に 切り死に 焦がれ死に 嘆き死に 野たれ死に 早死に 無駄死に もだえ死に 焼け死に 若死に 「~死に」 ( 「~シニ」 ) 生き死に 1999 年の放送用語委員会決定は,それ以前 に 2 回の調査を行っていずれも「キガエル」と連 濁形で発音する人が圧倒的に多いという結果を 受けてのものである 8)。そのうち1998 年に行っ た「ことばのゆれ調査」では, 「キカエル」8%, 「キガエル」91%であった。 また,1999 年の第 1195 回放送用語 委員会 の審議では, 「通りがかり/通りかかる」につい 名詞「~死に」に対し動詞「~死ぬ」が対応 ても「最近は両方とも濁音で読む例が増えてい して掲載されているのは, 「おぼれ死に/おぼ る」と話が及んだが,これについては変更する れ死ぬ」 「焼け死に/焼け死ぬ」のみであるが, ことなく名詞は「トーリカ°カリ」,動詞は「トー それ以外の語においても 「~死ぬ」はすべて「~ リカカル」という伝統的な読みを踏襲し,積極 シヌ」という清音, 「~死に」は,語構成の異な 的に注意喚起を促していくとされた 9)。 る「生き死に」以外はすべて「~ジニ」という濁 音をとっていることがわかる。 このように,伝 統的に「名詞は濁音,動詞 は清音」で発音されていたこれらのことばの中 「凍え死に/凍え死ぬ」のように,名詞が「コ には,動詞の濁音化が進んできたものがある。 ゴエジニ」という連濁形で,動詞「コゴエシヌ」 今回の調査結果からは,動詞「凍え死ぬ」も同 という非連濁形をとってきたことばはほかにも 様に「コゴエシヌ」から「コゴエジヌ」へと濁音 ある。 「着替え/着替える」 「通りがかり/通り 化が進んでいると言える。 かかる」などである。 「着替える」 「通りかかる」 はどちらも「動詞+動詞」の複合語であるから, 3. 「~口」は「グチ」ばかり 「動詞と動詞が複合してできた語は連濁しない」 という規則どおり伝統的には「キカエル」 「トオ リカカル」であった。しかし, 「着替える」につ いては以下のように変更されてきた。 1965 年以前 「キカエル」のみを採用 1965 年(第 594 回)放送用語委員会決定 ①キカエル ②キカ°エル 「キカエル」を標準的な発音と考えるが, 「キカ°エル」も第 2 として採る。 1999 年(第 1195 回)放送用語委員会決定 ①キカ°エル ②キカエル なお名詞「着替え」は,これまでどおり 「キカ°エ」とする。 54 NOVEMBER 2010 「はけ口」は, 『NHKアクセント辞典』では, 次のように掲載されてきた。 『NHKアクセント辞典』 (1943) ハケクチ 『NHKアクセント辞典』 (1951) (1966) (1985) (1998) ハケクチ (ハケク°チ) 今回の調査の結果は下記のとおりである。 「不満のはけ口が必要だ。」 ハケクチ・・・・・ 6% ハケグチ・・・・・93% 1951年版以降『NHKアクセント辞典』で一貫 金田一春彦は「連濁の解」 (1976)で, 「皇太 して( )付きで掲載されている「ハケグチ」の 后(コータイコー) 」が「コータイコ゜ー」と発音さ ほうが,調査では圧倒的に多い結果となった。 れることが多くなり 「西国 (サイコク) 」が「サイコ゜ このことばについて中川芳雄(1971)は「 (ハケ ク」と発音されることが多くなったのは,それぞ グチとハケクチの)両用とはいいながら,連濁 れ「皇后(コーコ゜ー) 」 , 「東国(トーコ゜ ク) 」に 優位が認められる」と指摘していたが,連濁優 影響されてのことだと指摘し「連濁というものは, 位はその後かなり進んで,いまや連濁形が定着 類推によって似た語に感染するものであることを しつつあるとも言える結果となった。 この事実は示唆している」と指摘している。 年代差や地域差は,はっきりしたものは現れ 「入り口」 「出口」 「降り口」 「はけ口」など「~ グチ」ばかりが増えるなか,最近の新語である なかった。 このことばの古い形は「ハケクチ」だったよう で, 『和英語林集成』 (初版 1867 /再版 1872 / 3 版 1886 )が「HAKE-KUCHI(ハケクチ) 」 「英語口」 「アヒル口」10)などもやはり「~グチ」 と発音されていることが多いようだ。「グチ」の “感染力”は相当に強いものと思われる。 としているほか,昭和初期までのほとんどの辞 書が「ハケクチ」で掲載している。しかし昭和 4.アラフォー女性の「トリコシグロー」 30 年代以降はそれが逆転し,ほとんどの辞書 が「ハケグチ」を見出し語として「ハケクチとも」 「取り越し苦労」には「トリコシクロー」と「ト と扱うようになる。昭和の時代になって「グチ」 リコシグロー」の2つの言い方がある。辞書調 化が進んだのかもしれない(表 3/p.65 表 13) 。 査の結果(表 4/p.65 表 13)を見ると古い形は 「トリコシグロー」であったようだ。 表 3 ハケクチかハケグチか (辞書類での扱い/全 58 冊) 戦前 戦後昭和 平成 ハケクチ 22[21] 6[5] 8[1] ハケグチ 6[5] 8[5] 12[11] ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) 表 4 トリコシクローかトリコシグローか (辞書類での扱い/全 58 冊) 戦前 戦後昭和 平成 トリコシクロー 15[11] 5[5] 4[3] トリコシグロー 17[13] 7[6] 10[9] ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) 「~口」ということばを「~クチ」と読むか「~ グチ」と読むかについては,2001年に NHK 放 送文化研究所が行った 「入り口」 「出口」 「降り口」 『NHKアクセント辞典』では,次のように掲 載してきた。 の調査がある。この3 語の読みのゆれは, 「ゆ るやかな流れではあるが 3 語とも[~グチ]の 形にまとまりつつある」ことが報告されていたが (塩田雄大(2001a,b)),今回の調査結果からは 「はけ口」についても同様に「~グチ」に収れん していることがわかる。 『NHKアクセント辞典』 (1943) トリコシクロー 『NHKアクセント辞典』 (1951) (1966) (1985) (1998) トリコシク°ロー (トリコシクロー) NOVEMBER 2010 55 1951(昭和 26)年以降,放送のことばとして 男女別では,全体でも,各年代別でも「トリ コシグロー」と発音する人の割合は男性より女 は連濁形を優先させてきたことになる。 今回の調査結果は下記のとおりである。 性のほうが多い(図 6・7)。 地域ではわずかな違いは見られるものの,顕 「取り越し苦労をする。 」 トリコシクロー・・・・・43% トリコシグロー・・・・・56% 著な差は観察されなかった(図 8)。 図 8 トリコシクローかトリコシグローか (地域ブロック別) 「トリコシグロー」が半分を超えているが,ど ちらも使われていることがわかる。 年代別に見ると, 「トリコシグロー」のグラフ は40 代がもっとも多い山型を描いていること がわかる(図 6) 。特徴的なのは 60 歳以上で, 「トリコシグロー」の割合 (全国平均56%) ■ ∼49% ■ 50%∼59% 67 ■ 60%∼ この年代では他の年代と違い「トリコシクロー 60 56 (56%) 」が「トリコシグロー(43%) 」を上回って いる。特に,60 歳以上の男性では, 「トリコシ 54 54 53 53 54 58 46 クロー」と言う人がひときわ多く64%にのぼる。 図 6 トリコシクローかトリコシグローか(年代別) (%) 100 その条件は複雑で,例外も多くあるのだが,佐 (67・72) 70 (62・63) 男・女 (56・63) 63 (49・61) (64・49) 60 56 56 60 トリコシグロー 80 43 40 37 29 43 40 トリコシクロー 男・女 (50・37) (38・36) 20 0 複合語はどのようなときに連濁を起こすのか。 (44・37) (35・50) 藤大和(1989)は「漢語の語頭音は原則として 濁らない」としたうえで,漢語の中にも例外的 に連濁を起こす語があり,それは「よく使用さ れる親しみのある語である」と指摘。その例と して「さとう(砂糖):黒ざとう」 「かいしゃ(会 (31・28) 社) :株式がいしゃ」 「かし(菓子) :和がし」 「け 20 代 30 代 40 代 50 代 60 歳以上 図 7 トリコシクローかトリコシグローか(男女別) 1 48 知らない わからない トリコシクロー 1 いこ(稽古):寒げいこ」をあげ,連濁を起こす 漢語は「和語化していると思われるほどなじみ のある語に多い」としている。 『NHK アクセント辞典』 (1998)に掲載されて 39 いる語としては「気苦労」が「キク゜ロー」であ る11)。長い日本語の歴史のなかで, 「苦労」は もはや日本人にとって「よく使用され」 「和語化 51 トリコシグロー 60 しているとも思われるほどなじみのある語」と なっていて, 「トリコシグロー」は今後ますます 男(567 人) 56 (%) 女(705 人) NOVEMBER 2010 増えていくのかもしれない。 資料 1 5. 「カンゼンジアイ」で決着つくか 「完全試合」は, 「パーフェクト・ゲーム (perfect game) 」を直訳したことばである。1931(昭和 6)年に発行された『モダン新用語辞典』には, スポーツ用語の中に「パーフエクト・ゲーム」と いう項目があり,昭和初期の“モダン”で“新し い”語であったことがわかる。その語釈には 「野 球用語。敵に安打も四球も與へず,味方に何等 の失策もなく,ひとりの走壘も出さずして,そ の試合を終つた場合は, 「パーフエクト・ゲーム」 (完全に勝った)をしたといふ」とある。 日本のプロ野球史上,最初の完全試合が達 成されたのは1950(昭和 25)年 6月28日。巨人 の藤本英雄投手によるものだった。翌日の読売 新聞の見出しには「完全試合」という語があり, このころになると「完全試合」という訳語が出 1950(昭和 25)年 6 月 29 日「読売新聞」 てきていることがわかる。ただし,その横には (昭和 41)年版に初めて「パーフェクト・ゲーム」 「パーフエクト・ゲーム」というルビがふってある と 「完全試合」が掲載されたのだが, 「完全試合」 (資料 1) 。スペースが限られている見出しとして の発音としては「カンゼンシアイ,カンゼンジア は,字数が少ないうえ意味も理解しやすい訳語 イ」の順で両方が 採られており13),これ以降, 「完全試合」を使っているが,その正式な言い 一貫してこの順で 2 つの発音が掲載されている。 方は「パーフエクト・ゲーム」であるという意識 表 5 カンゼンシアイかカンゼンジアイか (辞書類での扱い/全 58 冊) 12) で紙面を作っていたことがうかがえる 。 戦前 戦後昭和 平成 カンゼンシアイ 0[0] 3[2] 5[5] カンゼンジアイ 0[0] 2[1] 5[5] では,NHKではどのように扱われてきたの か。NHK発行の『放送のためのスポーツ辞典 Ⅰ 野球 』 (1957(昭和 32)年)には,見出し 語として「パーフェクト・ゲーム」のほかに「かん ぜん・しあい」も立項され,その説明部分には 「 「パーフェクト・ゲーム」に同じ」とある。昭和 30 年代, 「完全試合」は「パーフェクト・ゲーム」 の訳語として定 着しつつあったこと,そして, その発音は「カンゼンジアイ」ではなく「カンゼ ンシアイ」であったことがわかる。 その 後, 『NHKアクセント辞 典 』では1966 ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) 今回の調査結果は以下のとおり。全体では 「カンゼンジアイ」が 7 割近くとなった。 「完全試合を達成した投手。」 カンゼンシアイ・・・・・31% カンゼンジアイ・・・・・68% 年代別では興味深い結果が出た。 NOVEMBER 2010 57 60 歳以上では「カンゼンシアイ」と「カンゼ ンジアイ」がかなり近い値となっている一方で, 20 代から40 代では 7 割以上が「カンゼンジア イ」である。また,男女別の数値を見ると, 「カ ンゼンジアイ」と言う人の割合は,20 代から50 代の各代すべてで女性より男性のほうが多い (図 9) 。 地域差でははっきりした違いは見られなかっ た。 図 9 カンゼンシアイかカンゼンジアイか(年代別) (%) 100 男・女 (87・79) (82・77) 83 (78・75) 79 76 80 (72・65) 68 カンゼンジアイ (51・55) 60 53 40 カンゼンシアイ 21 20 17 男・女 (13・20) (18・23) 0 20 代 30 代 32 23 45 (48・42) (28・35) (21・25) 40 代 50 代 60 歳以上 表 6 パーフェクト・ゲームかカンゼンシアイかカンゼンジアイか(NHK のニュース・番組) 放送年月日 番組名 スポーツハイライト1961 年 (ラジオ) スポーツハイライト1964 年 1964.12.31. (ラジオ) 1961.12.31. 1978.3.30. 第 50 回選抜高校野球大会 試合・投手 プロ野球/ 森滝義巳投手(国鉄) 東京六大学野球/ 渡辺泰輔投手(慶応) 高校野球/ 松本稔投手(前橋) 1978.3.30. ニュースセンター 9 時 高校野球/ 松本稔投手(前橋) 1994.3.26. 第 66 回選抜高校野球大会 高校野球/ 中野真博投手(金沢) パーフェクト・ 試合実況/ カンゼンシアイ カンゼンジアイ 発話者 *1 ゲーム ナレーション等 今夜はあなたとミステリー プロ野球の完全試合 1995. 5. 5. 「完全試合 空白の 15 年 (全 15 試合) ~何が奇跡を起こすのか?〜」 1998.5.18. ニュース 7 1998.5.18. ニュース 11 1998. 7. 6. おはよう日本 スポーツ大陸 2004.4.18. 「よみがえる熱球 プロ野球 70年 第 3 集 三原魔術」 スポーツ大陸 2004.7.11. 「よみがえる熱球 プロ野球 70年 第 7 集 二つの引退」 2007.11.2. おはよう日本 2009.7.24. ニュース 7 大リーグ/ デービッド・ウェルズ投手(ヤンキース) 大リーグ/ デービッド・ウェルズ投手(ヤンキース) 高校野球(北北海道大会)/ 佐藤拓也投手(北見工業) ○ ○ ○ ○ ナレーション NHK アナ ナレーション NHK アナ 試合実況 NHK アナ テレビニュース ○ ○ 試合実況 ○ ○ ○ ○ ナレーション/ スタジオトーク ナレーション/ インタビュー NHK アナ NHK アナ 外アナ 俳優 ○ テレビニュース NHK アナ ○ テレビニュース ○ テレビニュース NHK アナ ナレーター (外アナ) プロ野球(1960 年)/ 島田源太郎投手(大洋) ○ ナレーション 俳優 プロ野球(1957 年)/ 金田正一投手(国鉄) ○ ナレーション 俳優 プロ野球/ *2 山井大介・岩瀬仁紀投手(中日) 大リーグ/ マーク・バーリー投手 (ホワイトソックス) ○ テレビニュース NHK アナ ○ テレビニュース NHK アナ ○ 2009.7.24. ニュースウオッチ 9 NHK キャスター 大リーグ/ マーク・バーリー投手 (ホワイトソックス) ○ ○ 大リーグ/ ダラス・ブレイデン投手(アスレティックス) クローズアップ東北(東北管中) プロ野球(1950 年)/ 2010.8.27. 「よみがえる史上初の完全試合」 藤本英雄投手(巨人) 2010.5.10. ニュースウオッチ 9 ○ ○ NHK アナ ナレーター テレビニュース (外アナ) ナレーター (外アナ) テレビニュース NHK アナ ナレーション NHK アナ *1: 「発話者」欄の表記は, 【NHK アナ】= NHK アナウンサー, 【NHK キャスター】=アナウンサー以外の NHK 職員キャスター, 【ナレーター(外アナ) 】= NHK 以外のアナウンサーがナレーターとして発話。 *2:2 人の投手が継投したので「完全試合」ではないが,ニュースの中で「完全試合」ということばが出たため表に加えた。 58 NOVEMBER 2010 カン カン ところで,NHKの放送では実際にどのように においても,しだいに「パーフェクト・ゲーム」 言ってきたのだろうか。現在残っている資料か 以上に使われるようになった。そして,ある時 ら視聴できる範囲のものを筆者が実際に聴取 期においては 「カンゼンシアイ~カンゼンジアイ」 して調べたところ,表 6 のようになった。 という発音がゆれながら存在したが, 「完全試 この表を見ると,放送での扱いも,この語の 合」という語が使用されることが多くなる中で 成り立ち,そして新聞での使われ方と同様であ 連濁形「カンゼンジアイ」が優勢に転じるよう ることがわかる。つまり, 「パーフェクト・ゲー になった。これは,金田一春彦(1976)が「日 ム」という言い方が多かった時代がまずあり, 常用いられるようになると連濁を起こしやすく その後, 「完全試合」も使われるようになったと なる」と指摘するように,野球に親しむ人たち いうことだ。そして, 「完全試合」の発音として を中心に「完全試合」という語が日常的に使わ は,1990 年代半ばまでは「カンゼンシアイ」 「カ れるようになるうちに連濁を起こすようになった ンゼンジアイ」の両方が使われてゆれていたが, ということではないだろうか。また,他の「~ 1990 年代後半以降は「カンゼンジアイ」に集約 試合」という複合語が「~ジアイ」と読むもの 14) されたと言える 。 が多いことからの影響もあったであろう (表 7)。 特に注目すべきは,1995 年の番組『今夜は 野球が日本に入ってきて以来,変遷してきた あなたとミステリー』 「完全試合 空白の15 年~ このことばは,そろそろ「カンゼンジアイ」で決 何が奇跡を起こすのか?~」である。この番組 着がつく時期にきているようである。 では,フリーアナウンサーの吉田照美氏が司会 を務めているが,スタジオでの進行だけでなく 一部のVTRのナレーションも担当していた。吉 田氏は「完全試合」を,ナレーションでは「カン 表 7 『NHK アクセント辞典』 (1998)掲載の 「~試合」 (発音別) ~ジアイ ~シアイ, ~ジアイ ~シアイ ゼンシアイ」と発音する一方で,スタジオでのフ リートークでは「カンゼンジアイ」と発音してい る。これは,吉田氏自身のなかで発音のゆれ があり,より規範性の高い発音を求められるナ レーション場面では「カンゼンシアイ」で読んだ 紅白試合 御前試合 他流試合 奉納試合 国際試合 対抗試合 放棄試合 模範試合 完全試合 正式試合 再試合 16) ※見出し語だけでなく,巻末付録「複合名詞のアクセント」の「〜試合」 (付録 p.44)に掲載 されているものも含む。 のだが,スタジオトークという,より口語的な場 面では「カンゼンジアイ」を使って(しまって?) いたということであろうか 15)。 この時期を境に,NHKの番組およびニュー 6. 「いも焼酎」は濁っても 「紫水晶」は濁らない スで(今回筆者が確認できた範囲内では) 「カ ンゼンシアイ」が出たものはなく, 「カンゼンジ アイ」ばかりとなっている。 「パーフェクト・ゲーム」という外来語から翻 訳された「完全試合」は,放送においても社会 「いも焼酎」と「紫水晶」については, 「いも 焼酎」は濁音化へ流れているのに対し, 「紫水 晶」は濁らない方向へと反対に流れていること がわかった。 NOVEMBER 2010 59 6.1. 濁音化への流れが続く「いも焼酎」 「いも焼酎」は, 『NHKアクセント辞典』では 13)。社会生活で「イモジョーチュー」と濁音で 発音されてきた実態が,辞書にも反映された結 果だろうか。今回の調査からも, 「イモジョー 以下のように掲載されてきた。 チュー」という濁音化への流れが続いていると 『NHKアクセント辞典』 (1943) (1951) イモショーチュー 言えるだろう。 表 8 イモショーチューかイモジョーチューか (辞書類での扱い/全 58 冊) 『NHKアクセント辞典』 (1966) (1985) (1998) イモショーチュー イモジョーチュー 今回の調査では,下記のとおり連濁形が 7 割 を超えた。 「いも焼酎を飲む。 」 イモショーチュー・・・・・28% イモジョーチュー・・・・・71% 戦前 戦後昭和 平成 イモショーチュー 9[9] 2[2] 2[0] イモジョーチュー 1[1] 3[3] 7[6] ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) 6.2.“濁り”がなくなる「紫水晶」 「紫水晶」は, 『NHKアクセント辞典』では 初出の1966(昭和 41)年版から一貫して「ムラ 年代差は明確で,若い年代ほど連濁形「イ サキズイショー」のみを採ってきた。他の辞書 モジョーチュー」が増えるという結果になった でも, 「紫水晶」を掲載しているもののほとんど (図 10) 。 が濁音形を採っていることを見ると(表 9/p.65 図 10 イモショーチューかイモジョーチューか(年代別) (%) 100 84 80 81 79 表 9 ムラサキスイショーかムラサキズイショーか (辞書類での扱い/全 58 冊) イモショーチュー 74 イモジョーチュー 戦前 戦後昭和 平成 ムラサキスイショー 2[2] 0[0] 0[0] ムラサキズイショー 14[14] 5[5] 9[9] 57 40 イモショーチュー 0 ショー」だったと考えられる。 イモジョーチュー 60 20 表 13),このことばは伝統的には「ムラサキズイ 16 19 21 20 代 30 代 40 代 25 41 ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) 50 代 60 歳以上 男女差ははっきりしないが,地域ブロック別 では東北で「イモショーチュー」の回答が特に 多かった(44%)17)。 辞 書の見出し語は,昭和初期までの古い 時代はすべて清音「イモショーチュー」だった 今回の調査では,全体の 8 割近い人が清音 「ムラサキスイショー」であった。 「宝石のアメジストは,紫水晶とも言う。」 ムラサキスイショー・・・・・79% ムラサキズイショー・・・・・18% が,昭和 30 年代以降になるとほとんどが「イモ 年代差を見ると, 「ムラサキスイショー」と言 ジョーチュー」へと変化している(表 8/p.65 表 う人は 20 代から40 代では 8 割を超しているが, 60 NOVEMBER 2010 図 11 ムラサキスイショーかムラサキズイショーか (年代別) (%) 100 80 88 80 75 74 ムラサキスイショー 水晶」 を含まない)と 「紫水晶-アメジスト」 (「紫 水晶」を含むが「アメジスト」を含まない)を検 60 索してみると,前者では 22,300,000 件が出るの 40 0 ば,インターネットの検索エンジンを使って「ア ムラサキズイショー ( メジスト-紫水晶」 「アメジスト」を含むが「紫 83 ムラサキスイショー 20 なり少なくなっているのではないだろうか。例え ムラサキズイショー 17 11 20 代 30 代 に対し,後者では1,350,000 件と, 「アメジスト」 25 20 17 が「紫水晶」の16 倍以上も使われていることが わかる(Yahoo! での検索 19))。また,表記とし 40 代 50 代 60 歳以上 ては「紫水晶」を使うことがあったとしても,こ れを話しことばとして発音する機会はそれ以上 図 12 ムラサキスイショーかムラサキズイショーか (男女別) 3 83 知らない わからない に少なくなっているのではないだろうか。 このように考えると, 「紫水晶」ということば を口に出して言う経験があった年代と,それが 2 少なくなっている年代との間で調査結果に違い 76 ムラサキスイショー が出るのは想像にかたくない。 表 10 は現行の『NHKアクセント辞典』 (1998) に掲載されている「~水晶」という語の発音と, 14 男(567 人) ムラサキズイショー (%) 22 女(705 人) 50 代以上ではそれより若干少ないことがわかる (図 11) 。 18) また,男女差では, 「ムラサキスイショー」と 言う人が男性では 83%を占めるのに対し,女性 では 76%である(図 12)。 1978(昭和 53)年の雑誌『言語』には「ダイ 『NHKアクセント辞典』における初出版をまとめ たものである。どれも今では日常的にはあまり なじみのないことばとなっているが,かつて「水 晶」はこれだけの複合語を作る生産性の高い 語であったことがわかる。だからこそほとんど の語が「~ズイショー」という連濁形の発音だっ たのであろう。 表 10 『NHK アクセント辞典』での「~水晶」の発音 ヤモンドと紫水晶」と題する文がある。このタ 発音 初出 イトルから想像するに,当時の社会生活におい 黄水晶 キズイショー 1951 年版 てダイヤモンドについては和名「金剛石」を使 煙水晶 ケムリズイショー 1966 年版 黒水晶 クロズイショー 1943 年版 名「紫水晶」を使うほうが一般的だったのであ 紫水晶 ムラサキズイショー 1966 年版 ろう。しかし,それから30 年あまりたった今で 草入り水晶 クサイリズイショー クサイリスイショー 1966 年版 うことなく「ダイヤモンド」を使っていたが,紫 水晶については外来語の「アメジスト」よりも和 は, 「紫水晶」を使うことは当時にくらべるとか ※いずれの語の発音も,初出以降は現行の『NHK アクセント辞典』 (1998)まで変わらず NOVEMBER 2010 61 今回,全般的に女性にくらべ宝石に興味が ないと思われる男性と,若い世代で,非連濁形 ものは現れなかった。 佐藤大 和(1989)は, 「名詞+動詞連用形」 「ムラサキスイショー」と言う傾向が強いという の形をとる複合語で,前部が後部に対する目的 結果が出た。これは, 「紫水晶」をはじめとする 格のものは連濁を起こしにくいと指摘している。 「~水晶」が日常的に使うことばでなくなってき 中でも,意味による清濁の使い分け規則があ ていることと決して無関係ではなく,なじみの 薄くなったことばが非連濁形に変化することも あるという例だと言えるだろう。 るとして以下のものをあげている。 ・「……する人」の意味のときは連濁を生じな い。 (中略)月給取り,将棋指し,人買い, 相撲取り,ピアノ弾き,絵描き 7. 「庭作り」 「封切り」は連濁へ ・「……を……すること」の意 味で,作 業, 仕事,遊び等を示すときは,連濁を生じな 7.1. 庭師もガーデニングも「ニワヅクリ」 「庭作り」は, 「名詞+動詞連用形」という語 構成のことばである。 『NHKアクセント辞典』 (1998)では意味を限定することはなく「ニワツ クリ,ニワズクリ」の順で両方を掲載しているが, い。原稿書き,草取り,麦踏み,かるた取り, 落ち穂拾い,旗取り この規則によれば,今回調査を行った2つの 「庭作り」は,ともに「ニワツクリ」が多くなると考 えられる。辞書調査結果 (表11/p.65 表 13)でも 「庭作り」には,①「庭を作ることを職業とする 「ニワツクリ」という非連濁形をとる辞書が圧倒 人(=庭師) 」の意味のほかに,②「庭を作るこ 的に多い。しかし,今回の調査結果は,どちら と」の意味もある。今回はそれぞれの意味でど も連濁形「ニワヅクリ」が 8 割前後となった。 のように使うかを知るため,次の2つの質問を した 20)。結果はそれぞれ以下のとおりである。 「庭師のことを庭作りとも言う。 」 ニワツクリ・・・・・17% ニワヅクリ・・・・・79% 「自己流で庭作りをする。 」 ニワツクリ・・・・・13% ニワヅクリ・・・・・87% どちらも連濁形「ニワヅクリ」が圧倒的に多 いという結果になった。また,①「庭師」の意 表 11 ニワツクリかニワヅクリか (辞書類での扱い/全 58 冊) 戦前 戦後昭和 平成 ニワツクリ 27[26] 9[9] 11[11] ニワヅクリ 3[1] 0[0] 1[0] ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) 佐藤大和(1989)は,上記の指摘のほかに 次の点も指摘している。 ・「…を…すること」の意識が薄く,一語とし ての意識が強いものは連濁を起こす。値踏 み,足踏み,毛羽だち,目張り 味で使うときの連濁形は 79%だったが,②「庭 ②「庭を作ること」の調査で連濁形「ニワヅ を作ること」の意味で使う場合の連濁形はさら クリ」が多かったという結果はこれと関係する に多い 87%であった。 のかもしれない。 「ガーデニング」ということば 年代差,男女差,地域差では,はっきりした 62 NOVEMBER 2010 が 1997年の流行語として選ばれてから10 年あ まり21)。この間に「庭づくり」ということばは, 今回の調査結果では, 「庭作り」と同様, 「封 「庭をつくること」というよりも「ガーデニング」 切り」も連濁形が多くなっていることがわかった。 と同義の一語としての意識が強くなり,連濁化 が進んだとは考えられないだろうか。また, 「米 作り」 「物作り」など「~作り」の他のことばが, すでに連濁形・非連濁形の両様をもっていると 「アメリカ映画の封切り。」 フーキリ・・・・・・・29% フーギリ・・・・・・・70% いうことからの影響もあるかもしれない 22)。 埼玉県にある「ものつくり大学」が「ものづく このことばについては,1995 年に行った「こ とばのゆれ調査」でも同じ質問で尋ねている。 り大学」でないのは, 「ものをつくること」を学 調査のやり方に違いがあるため単純には比較で び「ものをつくる人」を養成するという両方の側 きないが,参考までに1995 年の調査を示す 23)。 面において,伝統的な清濁の使い分け規則が このときの調査では若い世代になるほど連濁に 当てはまる語形「ものつくり」を採用したから, なる傾向があり,20 代では 75%が「フーギリ」 と考えると納得ができる。しかし一方で,大学 であった(浅井真慧/深草耕太郎(1996) ) 。 のホームページを見ると,非連濁形は大学名の ほか「ものつくり魂」 「ものつくり」という括弧つ きの語で限定的に使われているだけで,それ以 外ではすべてにおいて連濁形「ものづくり」が 「アメリカ映画の封切り。」 (1995 年調査) フーキリ・・・・・・35% フーギリ・・・・・・65% 今回の調査を年代別にしたものが図 13 であ 使われている。 「ものつくり」の伝統も,語形の うえではかなりゆらいでいるようだ。 る。50 代以外の年代で 7 割前後が「フーギリ」 と言っている。 7.2. 封を切らないから「フーギリ」 「封切り」は,本来は「封を切ること」という 同じ「名詞+動詞連用形」で前部が目的格と 意味の,前部が目的格となった「名詞+動詞連 なるものとしては, 「封切り」ということばもあ 用形」の複合語である。しかし,今や「封を切 る。これを「フーキリ」と読むか「フーギリ」と ること」という意識は薄くなり, 「映画の公開」 読むか。 『NHKアクセント辞典』では1943(昭 という意味の一語であるという意識が強くなっ 和 18)年の初版以来,一貫して「フーキリ」の みを採っている。また,表 12 および 65 ページ の表 13 のとおり他の辞典でも「フーキリ」を採 用するものがほとんどである。 図 13 フーキリかフーギリか(年代別) (%) 100 80 表 12 フーキリかフーギリか (辞書類での扱い/全 58 冊) 73 戦後昭和 平成 フーキリ 13[13] 11[10] 12[12] フーギリ 0[0] 4[1] 8[0] ※数値は,その語形が掲載されている辞書の数。 カギカッコ( [] )内は,そのうち主見出しでの掲載数。 (詳細は表 1 の欄外参照) 71 62 フーギリ 60 戦前 73 38 フーキリ 40 69 26 27 29 20 代 30 代 40 代 27 20 0 50 代 60 歳以上 NOVEMBER 2010 63 ているのだろう。 の度合いや語構成のタイプによる違い,そして 日本で映画が 初めて上映されたのは1896 音韻条件の似た他の語からの類推など,さま (明治 29)年だと言われている。 『日本国語大辞 ざまな要素がある。本稿ではこれまでの連濁 典 第 2 版』によれば,その33 年後の1929(昭 研究で明らかになっていることを引用したり辞 和 4)年には『夢声半代記』 (徳川夢声)で「其 書調査で見られる語形の変化なども参照した 頃葵館で封切された日本映画は…」と映画の公 りしながら今回の調査結果を分析してきたが, 開の意味でこのことばが使われていたことがわ 特に「完全試合」を「カンゼンジアイ」と言う人 かる 24)。それから80 年あまり。 「封切り」という は女性より男性が多いという調査結果や,逆 ことばは,アクセント辞典や多くの辞書で採用 に「紫水晶」を「ムラサキズイショー」と言う人 されてきた語形「フーキリ」は少なくなり, 「フー や「若白髪」を「ワカジラガ」と言う人は男性よ ギリ」という連濁形へと変化が続いていると考 り女性のほうが多いという調査結果は,その えられる。 ことばに社会的により接する人のほうが連濁さ せやすいという,親密さ・なじみ度と連濁との 8. この稿の終わりに 関係を改めて示すものとなったのではないだろ うか。 以上,平成 22 年2月に行った語形のゆれ調 また, 「若白髪」のように100 年ほど連濁形 査のうち,本稿では連濁に関する9 語について /非連濁形の両方が存在したうえで変化が続 取り上げた。 いているものもあれば, 「完全試合」のようにこ 冒頭で述べたように,この調査結果は 『NHK の 20 ~ 30 年ほどで語形の変化をとげたものも アクセント辞典』改訂において,発音をどう表 あったが, 「完全試合」が NHKの放送のうえで 記するのかを決定するための重要な資料となる も明らかに連濁形に変化してきたと確認できた ものでもある。今回の調査では, 「コゴエジヌ」 ことは,NHKのアーカイブス資料がことばのゆ 「ムラサキスイショー」 「フーギリ」のようにアク セント辞典に採用されていなかった語形でも, れや変化を刻みこんだ貴重な資料であり,今後 も活用し得ることを示せたものと考えている。 日常生活では相当数の人が発音しているであろ 一方で,それぞれの連濁/非連濁と地域差 うということがわかったものがある。こうした との関係や連濁規則にあてはまらない例の分析 語形を今回の改訂で採用するのかどうか ― など,力及ばなかった点もある。また,今回調 これについては,今回の調査結果のほか,そ 査したものの本稿では取り上げられなかった語 れぞれの語がどのような理由で語形変化を起 もある。これらについては今後の課題とし,さ こしているのか,日本語の歴史においてその変 らに検討を続けていきたい。 化はどのような位置づけにありどのような方向 に変化しているのか…など,さまざまな側面か らの要素を子細に検討したうえで,放送用語 委員会で判断・決定をすることになる。 連濁が起こる条件には,複合語の結びつき 64 NOVEMBER 2010 (おおた まきえ) 封切り 庭作り 紫水晶 いも焼酎 完全試合 取り越し 苦労 はけ口 ムラサキ ズイショー フーギリ イモ ジョーチュー ムラサキ スイショー フーキリ カンゼン ジアイ イモ ショーチュー ニワヅクリ トリコシ グロー カンゼン シアイ ニワツクリ トリコシ クロー ハケグチ 備考 コゴエジニ ローマ字で引く国語辞典 広辞林(廣辭林) 7 版 日本大辞典 言泉 小辞林 NEW 斎藤和英大辞典 研究社新和英大辞典 改修新式辞典(芳賀矢一) 国語発音アクセント辞典 大言海 大辞典 辞苑 増補新辞典 アクセント表示 新辞海 言苑(戦前版) 言苑 標準日本語発音比較辞典 小言林 言苑(戦後版) 明解国語辞典改訂版 角川国語辞典 30 版 三省堂国語辞典 初版 広辞苑 初版 岩波国語辞典 初版 新明解国語辞典 初版 日本国語大辞典 三省堂国語辞典 3 版 広辞林 6 版 新潮国語辞典 第 2 版 大辞泉 増補・新装版 岩波国語辞典 6 版 日本国語大辞典 2 版 新潮現代国語辞典 2 版 明鏡国語辞典 新和英大辞典 第 5 版 新明解国語辞典 6 版 大辞林 3 版 角川国語辞典 新版 416 版 広辞苑 6 版 三省堂国語辞典 6 版 NHKアクセント辞典 (1943) NHKアクセント辞典 (1951) NHKアクセント辞典 (1966) NHKアクセント辞典 (1985) NHKアクセント辞典 (1998) 日比谷 ・ 加藤 国文社 大槻文彦 明法堂 宮内庁 博文館 三省堂 六合館 三才社 大倉書店 集分館 三省堂 三省堂 郁文社 冨山房 大倉書店 大阪寶文館, 大 13 1924 東京寶文館,同文館 冨山房 大 14 1925 三省堂 大 15 1926 大倉書店 昭2 1927 三省堂 昭3 1928 日英社 昭3 1928 研究社 昭6 1931 大倉書店 昭6 1931 厚生閣 昭7 1932 冨山房 昭 7 ~ 10 1932 平凡社 昭 9 ~ 11 1934 博文館 昭 10 1935 至文堂 昭 10 1935 三学社 昭 13 1938 博文館 昭 13 1938 博友社 昭 15 1940 興南新聞社出版部 昭 16 1941 全国書房 昭 24 1949 博友社 昭 24 1949 三省堂 昭 27 1952 角川書店 昭 32 1957 三省堂 昭 36 1961 岩波書店 昭 38 1963 岩波書店 昭 38 1963 三省堂 昭 47 1972 小学館 昭 47 ~ 51 1972 〜 1976 三省堂 昭 57 1982 三省堂 昭 58 1983 新潮社 平7 1995 小学館 平 10 1998 岩波書店 平 12 2000 小学館 平 12 2000 新潮社 平 12 2000 大修館書店 平 14 2002 研究社 平 15 2003 三省堂 平 17 2005 三省堂 平 18 2006 角川書店 平 19 2007 岩波書店 平 20 2008 三省堂 平 20 2008 NHK 昭 18 1943 NHK 昭 26 1951 NHK 昭 41 1966 NHK 昭 60 1985 NHK 平 10 1998 ハケクチ 19 スタンダード和英大辞典 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 ① ② ③ ④ ⑤ 1603 初版 1867/ 再版 1872/3 版 1886 明 10 1877 明 21 1888 明 22 ~ 24 1889 明 25 1892 明 27 1894 明 29 1896 明 29 1896 明 37 1904 明 37 1904 明 41 1908 明 42 1909 明 42 1909 明 44 1911 大3 1914 大4~8 1915 大 11 1922 コゴエシニ 和独対訳字林(レーマン) 漢英対照いろは辞典 私版日本辞書言海 日本大辞書 日本大辞林 日本大辞典 和英大辞典(ブリンクリー) 言海(縮刷,ちくま学芸文庫版) 和仏小辞典(ルマレシャル) ことばの泉 日本大辞典 俗語辞海 新訳和英辞典(井上十吉) 辞林(辭林) 改訂版 辞海 大日本国語辞典 新式辞典(芳賀矢一) (江戸時代) コゴエジヌ 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 長崎版 日本横浜 コゴエシヌ 1 日葡辞書 ワカジラガ ワカシラガ ◎ ・ ・* ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◆* ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◆ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◆ ・ ・ ・ ◆ ■ ・ ◎ ◎ ◎ ◆ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ・ ◎ ◎ ■ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ◆ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ■ ■ 辞書名・出版社・発行年 2 和英語林集成 初版・再版・3 版 凍え死ぬ 若白髪 調査語(発音) 【参考】 凍え死に 表 13 辞書調査一覧 ◎ ・ ■ ■ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎1 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ◎2 ◎2 ◎2 ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ □ □ ・ ・ □ □ ・ ・ □ ◎2 ・ □ ・ ・ □ ◎ ◎ ◎1 ◎1 ◎1 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ■ ◎ ◆ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ■ ◎ ・ ・ ◆ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ■ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ■ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ■ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ◆ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ■ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ■ ■ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ■ ■ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ □ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ □ ◎ ・ ◎ ■ ■ ◎ □ ◎ □ ◎ ・ ◎ □ ・ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ □ ◎ ・ ◎ ◎ ・ □ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ □ ◎ ◎ □ ◎ ・ □ ◎ □ ◎ ◎ ・ □ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ◎ □ ◎ ・ ◎ ・ ◎ □ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ □ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ (◎) (◎) ◎ ・ ・ ◎ (◎) (◎) ◎ ◎ 1 ◎ 2 ◎ (◎) (◎) ◎ ◎ 1 ◎ 2 ◎ (◎) (◎) ◎ ◎ 1 ◎ 2 ・*:コゴエシヌル, コゴエシンダはあり ◆ *:再版 / 3 版のみ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◆ ・ ・ ■ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ◎1 ◎1 ◎1 ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ■ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ◎2 ◎2 ◎2 ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ・ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ (◎) ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ◎1 ◎2 ◎ ◎1 ◎2 ◎ ◎1 ◎2 ◎ ・ ・ ・ ◎ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ◎ ◎ □ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ ・ □ ・ ・ □ ・ □ ・ □ ・ ・ □ □ □ ・ □ □ □ ・ □ ・ ・ ・ ・ ・ ◎ 見出しがあり,語釈ものっている。 □ その語の見出しはないが,対の調査語の中に「×××とも言う」 「=×××」などの形でその単語が載っている。 ■ 掲載はあるが,読み不明。 ◆ 見出し語はないが,他の語の中にあり,読みがわかる。 なお, 「◎ 1,◎ 2」の数字は,両方掲載されているときの掲載順を示す。また, 「 (◎) 」は,括弧付きでの掲載を示す。 NOVEMBER 2010 65 注: 1 )NHK が編集したアクセント辞典は, 『日本語アク セント辞典』 (1943(昭和 18)年版,1951(昭和 26)年版), 『日本語発音アクセント辞典』 (1966 (昭和 41)年版), 『NHK 編 日本語発音アクセン ト辞典 改訂新版』 (1985(昭和 60)年版) 『NHK , 日本語 発 音アクセント辞典 新版 』 (1998(平成 10)年版)などと名称を変えているが,本稿では 便宜上すべての版を『NHK アクセント辞典』とす ることとし,出版年とともに記すことでどの年代 のものかがわかるようにする。 2)表 13 にはないが,『日本国語大辞典 第 2 版』 (2000)によると, 『羅葡日辞書』 (1595)でも「ワ カシラガ」で掲載されているとある。 3)調査では「国語の試験のように“正解”をたず ねているのではなく,あなた自身のお考えをそ のまま答えてください」とことわったうえで, 調査語を含む文が書かれた下記のような[回答 票]を調査者が提示し,被調査者に回答肢の中 から 1 つだけ選んでもらった。([回答票]の文 字は,調査者は読み上げない。) Q.下線を引いた部分の言い方についておたず ねします。この中から 1 つだけお答えください。 [ 回答票 ] 「若白髪がはえる。」 (ア) 「ワカシラガ」と言う (「ワカジラガ」とは言わない) (イ) 「ワカジラガ」と言う (「ワカシラガ」とは言わない) (ウ)両方とも言うが,どちらかといえば 「ワカシラガ」と言うことのほうが多い (エ)両方とも言うが,どちらかといえば 「ワカジラガ」と言うことのほうが多い (オ)このことばを知らない (他の語については,単純集計表(p.68 ~ 70) を参照) なお本稿では,煩雑さを避けるため, (ア)と(ウ) の回答率を足し合わせたものを「ワカシラガと答 えた割合」 , (イ)と(エ)の回答率を足し合わせ たものを「ワカジラガと答えた割合」として示す。 「このことばを知らない」および無回答などについ ては,少ない場合は数値を示さないこともある。 また,小数点以下は四捨五入して表示するため に,すべてを足し合わせたものが 100%を超える 場合や 100%に満たない場合もある。 4)本稿では,地域差に関して言語状況を推定する のに重要な材料になりうると判断される場合, 統計的に有意であるかどうかという観点をいっ たん保留してデータの提示・説明を行う。(塩 田雄大(2001a)参照) 5)桜井茂治(1997) ( 『NHK アクセント辞典』 (1998) 巻末 p.231),秋永一枝(2001)「東京アクセン トの習得法則」の 45(『新明解日本語アクセン ト辞典』(2001)巻末 p.54)を参照。 66 NOVEMBER 2010 6) 1998 年の「ことばのゆれ全国調査」で行った「キ カエルかキガエルか」 (p.54 参照)の地域差を 見ると, 「キガエル」の割合が全国平均値より 小さかったのは近畿(小数点以下の差) ,中国, 四国,九州だった。この「キガエル」でも,今 回の「コゴエジヌ」でも,ともに濁音形の割合 が全国平均値より小さかった中国,四国,九州 は, 「名詞は濁音,動詞は清音」で発音されて いたことばにおいて動詞の濁音化が進みにくい 地域と言えるのかどうか。 この問題については, 今後も注目すべき課題としていきたい。 7)今回の調査対象にはないが, 『広辞苑』では第 5 版(1998)から「コゴエジヌ」を立項している。 8)一つは 1989(平成元)年 8 月に首都圏在住の 番組モニター経験者 100 人(実際の回答者は 98 人)を対象に行った「連濁のゆれ 100 人ア ンケート」調査。結果は「キカエル」が 9 人, 「キ ガエル」 が 89 人であった。これについては 「 「着 替(ガ)え,着替(カ)える」のように,名詞 は濁音,動詞は清音,という正誤意識が強かっ たものも,現在では, 「着替(ガ)える」とい う発音がかなり増えており,今回の調査でもそ れが裏付けられた。現在, いくつかの辞書では, 「着替(ガ)える」を主見出しにしている。 」と 指摘されている(最上勝也(1990) ) 。もう一つ の調査は,1998(平成 10)年に行った「こと ばのゆれ全国調査」 (有効数 1,405 人) 。調査結 果の詳細は坂本充(1999)を参照。 9)第 1195 回放送用語委員会の決定と審議内容に ついては『放送研究と調査』 (1999 年 4 月)に 詳細が掲載されている。 なお, 「通りがかる」という連濁形については, 1982 年に行った 「気になる放送のことば」アンケー トでの調査 結果がある。放 送関係者・学識 経 験者,学生の計 381 人のうち, 「通りがかる」と いう言い方について「使ってよい」と答えた人は 28%, 「使ってはいけない」が 47%, 「どちらとも 言えない」が 25%であった(浅井真慧(1984) ) 。 10) 「英語口」は英語の発音を正しくするために必 要な筋肉等が鍛えられた「口」のこと, 「アヒ ル口」はあひる(鳥)のくちばしの形に似た口 (唇)のことを言うらしい。 11) 『NHK アクセント辞典』 (1998)ではほかに「ご 苦労」 「一苦労」があり,発音は「~クロー」 。 これは,佐藤大和(1989)で「接頭語(御,真, 片,唐など)は連濁を起こしにくい」と指摘さ れているとおり, 接頭語「ご~」 「一(ヒト)~」 の語だからであろう。 12)本文では「パーフエクト・ゲーム(完全試合)」と も表記している。また,この日の朝日新聞では, 「パーフェクト・ゲーム」のみが使われていた。 13)1966(昭和 41)年版の『NHK アクセント辞典』 で,なぜ「カンゼンジアイ」もともに採用され たかの経緯は不明。1965 (昭和 40) 年 10 月の 『文 研月報』で報告された「アクセント専門委員会 報(3)」には追加する語として「カンゼンシア イ」という語形のみが掲載されている。放送用 語委員会での決定もない。 14)1980 年代の放送においては,確認できる資料 は残っていなかった。 15)この番組で取材リポーターを務めた俳優のきたろ う氏も, ナレーションでは「カンゼンシアイ」と言い, インタビューでのフリートークでは 「カンゼンジアイ」 と発音していた。また,スタジオ出演した 3 人(A ・ B・C(司会を除く) )のうち,Aは「カンゼンシア イとカンゼンジアイ」の両様,Bは「カンゼンシア イ」のみ,Cは「カンゼンジアイ」のみで発音し, 出演者どうしでも発音のゆれが見られた。 16) 「再」も接頭語であると考えれば,これは連濁 しない(注 11 参照)。 17) 「~ショーチュー」か「~ジョーチューか」の 連濁については Tamaoka&Ikeda(2010)の調 査がある。「いも焼酎,そば焼酎,米焼酎,麦 焼酎,黒糖焼酎」それぞれの連濁が第一要素と 方言から影響があるかどうかについて,鹿児 島,大分,福岡,山口,広島,静岡の 6 つの方 言地域で計 405 人の大学生を対象に調査したも ので, 「いも焼酎」の連濁は 5 語の中でもっと も高く 93.83%。一方,方言は焼酎の連濁頻度 に影響せず地域差はないようだとしている。 18) 「紫水晶」については,有識者・大学生・高校 生・NHK アナウンサー(計 820 人)を対象に 「発音のゆれアンケート」を行ったことがある (1983 年 12 月から 1984 年 1 月)。今回の調査 とは方法が違うため単純に比較することはでき ないが,当時の結果では,比較的高年層の多 い有識者が「ムラサキスイショー 42%,ムラ サキズイショー 58%」であったのに対し,若 年層の大学生と高校生はそれぞれ「ムラサキ スイショー 81% ・83%,ムラサイズイショー 19%・17%」であった(菊谷彰(1984))。 19)対象国を「日本」,対象言語を「日本語」にしぼっ て検索した結果。同じ条件で Google で検索した 結果は, 「アメジスト -紫水晶」が 1,470,000 件, 「紫水晶 -アメジスト」が 192,000 件となった。 20)それぞれの影響を避けるため,2つの質問は, 調査時には連続させることなく間をあけて設定 した(単純集計表(p.68 ~ 70)参照)。 21) 「ガーデニング」は 1997 年の流行語大賞で「た まごっち」「マイブーム」「郵政 3 事業」などと ともにトップテンに入った。ちなみに NHK で は 1997 年 4 月から衛星第 2 テレビで定時番組 『私のガーデニング』が始まった。 22)鈴木豊(2009)は, 「~作(造)り」について「酒 造り」 「偽金造り」 「物作り」 「米作り」などには連 濁/非連濁の両方が成り立つことを指摘している。 23) 調 査 結 果 の 詳 細 は, 浅 井 真 慧 / 深 草 耕 太 郎 (1996) を 参 照。 調 査 の や り 方 に つ い て は, 1995 年 の 調 査 が「 住 民 基 本 台 帳 か ら 層 化 無 作為 2 段抽出/個人面接聴取法/サンプル数 2,000 人/回収数(率)1,385 人(69.3%) 」であっ たのに対し,今回は「住宅地図から世帯を無作 為に抽出し,世帯から調査相手を誕生日法で抽 出(エリア・サンプリング/層化 3 段抽出)/ 個人面接聴取法/サンプル数 4,000 人/回収数 (率)1,272 人(31.8%) 」である(今回の調査 の概要については p.50,68 にも掲載した) 。 24) 「封を切ること。物事のしはじめ」の意味では 18 世紀の用例が掲載されている。 引用文献 ・秋永一枝(2001) 「東京アクセント習得法則」 『新 明解日本語アクセント辞典』2001 ・浅井真慧(1984) 「通りがかりの人が通りかかる」 『放送研究と調査』1984 年 2 月 ・浅井真慧/深草耕太郎(1996) 「 「大地震」のゆれ はいまも大(ダイ)~第 6 回ことばのゆれ全国調 査から~」 『放送研究と調査』1996 年 4 月 ・菊谷彰(1984) 「 「発音のゆれアンケート」から」 『文 研月報』1984 年 6 月 ・金 田 一 春 彦(1 9 7 6) 「連 濁の解」 『S o p h i a Linguistica Ⅱ』※『金田一春彦著作集 第 6 巻』 (2005)に再録 ・桜井茂治(1997) 「共通語の発 音で注意すること」 『NHK 日本語発音アクセント辞典』1998 ・坂本充(1999) 「着替(カ)えるか,着替(ガ) えるか」 『放送研究と調査』1999 年 3 月 ・佐藤大和(1989) 「複合語におけるアクセント規 則と連濁規則」 『講座 日本語と日本語教育 2 日 本語の音声・音韻(上) 』 ・塩田雄大(1999) 「用語の決定(第 1195 回放送用 語委員会報告) 」 『放送研究と調査』1999 年 4 月 ・塩田雄大(2001a) 「カタクルシイ女・カタグルシ イ男」 『放送研究と調査』2001 年 9 月 ・塩田雄大(2001b) 「用語の決定」 『放送研究と調査』 2001 年 9 月 ・塩田雄大(近刊) 「ゆれ」 『方言学事典』朝倉書店 ・鈴木豊(2009) 「動詞連用形転成名詞を後部成素 とする複合語の連濁」 『文京学院大学 外国語学部 文京学院短期大学 紀要』第 8 号 ・中川芳雄(1971) 「イリクチとイリグチ」 『講座正 しい日本語 第 2 巻 発音編』 ・最上勝也(1990) 「 「干ししいたけ」と「辛しじょ うゆ」―「連濁のゆれ」100 人アンケートから―」 『放送研究と調査』1990 年 7 月 ・矢島文夫(1978) 「文化史とことば(4) ダイヤ モンドと紫水晶」 『言語』7-4 ・Tamaoka.K & Ikeda.F (2010)「Whiskey or Bhiskey?:Influence of First Element and Dialect 『言語 Region on Sequential Voicing of shoochuu 」 研究』第 137 号 2010 年 3 月 NOVEMBER 2010 67 語形のゆれに関する調査 (平成 22 年 2 月)単純集計表 【調査の概要】 1.調査時期 2.調査方法 3.調査対象 4. 調査相手 5. 有効数(率) 平成 22(2010)年 2 月 5 日~ 2 月 14 日 調査員による個別面接聴取法 全国満 20 歳以上の男女 エリア・サンプリング(層化 3 段抽出) 住宅地図から世帯を無作為に抽出し, 世帯から調査相手を誕生日法で抽出した 4,000 人(157 地点) 1,272 人(31.8%) Q 1.下線を引いた部分の言い方についておたずねします。こ の中から 1 つだけお答えください。 1. 「薬物に依存する」 (ア) 「 イソン」と言う( 「イゾン」とは言わない) ‥ ‥‥4.7% (イ) 「 イゾン」と言う( 「イソン」とは言わない) ‥ ‥ 86.3 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「イソン」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥1.6 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「イゾン」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥5.8 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.8 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.8 2.「木の実を集める」 (ア) 「 キノミ」と言う( 「コノミ」とは言わない) ‥ ‥ 62.5% (イ) 「 コノミ」と言う( 「キノミ」とは言わない) ‥ ‥ 18.6 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「キノミ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥ 14.3 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「コノミ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥4.1 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.0 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.5 3. 「庭師のことを庭作りとも言う」 (ア) 「 ニワツクリ」と言う ( 「ニワヅクリ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 12.5% (イ) 「 ニワヅクリ」と言う ( 「ニワツクリ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 71.1 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ニワツクリ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥4.2 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ニワヅクリ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥8.0 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3.2 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.9 4. 「いも焼酎を飲む」 (ア) 「 イモショーチュー」と言う ( 「イモジョーチュー」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥ 22.3% (イ) 「 イモジョーチュー」と言う ( 「イモショーチュー」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥ 62.3 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「イモショーチュー」と言うことのほうが多い‥ ‥5.2 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「イモジョーチュー」と言うことのほうが多い‥ ‥9.2 68 NOVEMBER 2010 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.3 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.7 5.「保険料の過払い」 (ア) 「 カハライ」と言う (「カバライ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥4.6% (イ) 「 カバライ」と言う (「カハライ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 85.5 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「カハライ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥1.6 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「カバライ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥4.5 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2.5 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.3 6.「アメリカ映画の封切り」 (ア) 「 フーキリ」と言う (「フーギリ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 25.8% (イ) 「 フーギリ」と言う (「フーキリ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 62.3 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「フーキリ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥2.8 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「フーギリ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥7.3 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.9 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.8 7.「この公園で,野良猫への餌付けは禁止されている」 (ア) 「 エツケ」と言う(「エヅケ」とは言わない)‥ ‥ 11.9% (イ) 「 エヅケ」と言う(「エツケ」とは言わない)‥ ‥ 76.8 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「エツケ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥2.3 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「エヅケ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥7.3 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.1 8.「この件については,認識不足だった」 (ア) 「 ニンシキフソク」と言う (「ニンシキブソク」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥7.5% (イ) 「 ニンシキブソク」と言う (「ニンシキフソク」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥ 84.8 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ニンシキフソク」と言うことのほうが多い‥ ‥‥1.3 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ニンシキブソク」と言うことのほうが多い‥ ‥‥5.4 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.4 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 0.6 9.「谷底に落ちる」 (ア) 「 タニソコ」と言う (「タニゾコ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 12.9% (イ) 「 タニゾコ」と言う (「タニソコ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 75.8 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「タニソコ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥2.4 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「タニゾコ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥8.4 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.0 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 10. 「不満のはけ口が必要だ」 (ア) 「 ハケクチ」と言う ( 「ハケグチ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥5.0% (イ) 「 ハケグチ」と言う ( 「ハケクチ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 88.0 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ハケクチ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥1.1 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ハケグチ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥5.3 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.0 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 11. 「完全試合を達成した投手」 (ア) 「 カンゼンシアイ」と言う ( 「カンゼンジアイ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥ 26.3% (イ) 「 カンゼンジアイ」と言う ( 「カンゼンシアイ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥ 60.8 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「カンゼンシアイ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥4.5 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「カンゼンジアイ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥7.5 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.2 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.7 12. 「木の葉が舞っている」 (ア) 「 キノハ」と言う( 「コノハ」とは言わない) ‥ ‥ 18.2% (イ) 「 コノハ」と言う( 「キノハ」とは言わない) ‥ ‥ 69.3 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「キノハ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥4.1 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「コノハ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥7.7 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.2 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 13. 「自分勝手な態度」 (ア) 「 ジブンカッテ」と言う ( 「ジブンガッテ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥‥ 78.1% (イ) 「 ジブンガッテ」と言う ( 「ジブンカッテ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥‥ 12.3 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ジブンカッテ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥6.9 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ジブンガッテ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥2.2 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.0 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 14. 「取り越し苦労をする」 (ア) 「 トリコシクロー」と言う ( 「トリコシグロー」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥ 38.8% (イ) 「トリコシグロー」と言う ( 「トリコシクロー」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥ 50.9 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「トリコシクロー」と言うことのほうが多い‥ ‥‥4.5 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「トリコシグロー」と言うことのほうが多い‥ ‥‥4.8 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.2 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.8 15. 「宝石のアメジストは,紫水晶とも言う」 (ア) 「 ムラサキスイショー」と言う ( 「ムラサキズイショー」とは言わない) ‥ ‥‥‥ 73.7% (イ) 「 ムラサキズイショー」と言う (「ムラサキスイショー」とは言わない)‥ ‥‥‥ 15.2% (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ムラサキスイショー」と言うことのほうが多い‥ ‥‥5.6 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ムラサキズイショー」と言うことのほうが多い‥ ‥‥2.8 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.7 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.0 16.「若白髪がはえる」 (ア) 「 ワカシラガ」と言う (「ワカジラガ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 66.7% (イ) 「 ワカジラガ」と言う (「ワカシラガ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 24.4 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ワカシラガ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥5.4 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ワカジラガ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥2.8 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.1 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 17.「このまま凍え死ぬのはいやだ」 (ア) 「 コゴエシヌ」と言う (「コゴエジヌ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 39.0% (イ) 「 コゴエジヌ」と言う (「コゴエシヌ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 47.0 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「コゴエシヌ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥6.2 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「コゴエジヌ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥7.0 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.1 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.7 18.「お盆に精霊流しをする」 (ア) 「 ショーリョーナガシ」と言う (「ショーローナガシ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥ 17.2% (イ) 「 ショーローナガシ」と言う (「ショーリョーナガシ」とは言わない)‥ ‥‥‥ 72.0 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ショ-リョーナガシ」と言うことのほうが多い‥‥‥1.7 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ショーローナガシ」と言うことのほうが多い‥‥‥‥4.5 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2.4 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2.1 19.「この子は乳離れが遅い」 (ア) 「 チチバナレ」と言う (「チバナレ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 79.6% (イ) 「 チバナレ」と言う (「チチバナレ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 11.1 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「チチバナレ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥5.9 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「チバナレ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥2.3 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.2 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.9 20.「自己流で庭作りをする」 (ア) 「 ニワツクリ」と言う (「ニワヅクリ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 10.8% NOVEMBER 2010 69 (イ) 「 ニワヅクリ」と言う ( 「ニワツクリ」とは言わない) ‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 80.7% (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ニワツクリ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥2.1 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ニワヅクリ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥5.9 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.1 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.5 3.「学校の体操着のことを(ジャージ/ジャージー)とも言う」 (ア) 「 ジャージ」と言う (「ジャージー」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 79.2% (イ) 「 ジャージー」と言う (「ジャージ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 12.4 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ジャージ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥4.4 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ジャージー」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥2.1 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.3 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 21. 「春になり,いっせいに木の芽が吹きはじめた」 (ア) 「 キノメ」と言う( 「コノメ」とは言わない) ‥ ‥ 84.4% (イ) 「 コノメ」と言う( 「キノメ」とは言わない) ‥ ‥‥8.3 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「キノメ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥5.9 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「コノメ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥0.7 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.1 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.7 4.「動物園で(チータ/チーター)を見た」 (ア) 「 チータ」と言う (「チーター」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 16.2% (イ) 「 チーター」と言う (「チータ」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 74.8 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「チータ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥2.5 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「チーター」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥5.8 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.2 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.5 22. 「初めて子どもを生むことを初産と言う」 (ア) 「 ウイザン」と言うことが多い‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 83.8% (イ) 「 ショサン」と言うことが多い‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥7.1 (ウ) 「 ショザン」と言うことが多い‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥4.4 (エ) 「 ハツザン」と言うことが多い‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥2.4 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.9 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.4 5. 「(インシュリン/インスリン)は,糖尿病の治療に使われる」 (ア) 「 インシュリン」と言う (「インスリン」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 64.9% (イ) 「 インスリン」と言う (「インシュリン」とは言わない)‥ ‥‥‥‥‥‥ 16.7 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「インシュリン」と言うことのほうが多い‥ ‥‥ 11.2 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「インスリン」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥4.2 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.3 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1.7 Q 2.( )内の言い方についておたずねします。この中から 1つだけお答えください。 1. 「孫の子どものことを(ひ孫/ひこ孫)と言う」 (ア) 「 ひ孫」と言う( 「ひこ孫」とは言わない) ‥ ‥‥ 86.0% (イ) 「 ひこ孫」と言う( 「ひ孫」とは言わない) ‥ ‥‥‥6.8 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ひ孫」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥ 5.3 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ひこ孫」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥0.7 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.3 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.9 2. 「 (ワイヤ/ワイヤー)で固定する」 (ア) 「 ワイヤ」と言う( 「ワイヤー」とは言わない)‥‥‥‥9.8% (イ) 「 ワイヤー」と言う( 「ワイヤ」とは言わない)‥‥‥ 80.7 (ウ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ワイヤ」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥‥2.3 (エ) 両方とも言うが,どちらかといえば 「ワイヤー」と言うことのほうが多い‥ ‥‥‥‥‥6.1 (オ) このことばを知らない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.4 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0.6 全 体 性 別 年 齢 男 性 女 性 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 1,272 人 567 705 174 230 224 204 440 100.0 % 44.6 55.4 13.7 18.1 17.6 16.0 34.6 全 体 70 Q 3. 体の「障害」のことを,「障がい」のように,ひらがなを まぜて書くことがあります。この書き方について,あなた のお考えに近いものを1つだけ選んでください。 (ア) 見たことがあり,抵抗感はない‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 34.4% (イ) 見たことはあるが,抵抗感がある‥ ‥‥‥‥‥‥ 17.5 (ウ) 見たことはないが,抵抗感はない‥ ‥‥‥‥‥‥ 29.6 (エ) 見たこともないし,抵抗感がある‥ ‥‥‥‥‥‥ 14.3 わからない‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4.2 男の年齢 60 歳以上 女の年齢 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳以上 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 1,272 人 76 108 102 85 196 98 122 122 119 244 100.0% 6.0 8.5 8.0 6.7 15.4 7.7 9.6 9.6 9.4 19.2 NOVEMBER 2010 60 歳以上