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1 1.4 脳の働き、複雑なネットワーク 神経細胞を全地球の人類に対比させ

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1 1.4 脳の働き、複雑なネットワーク 神経細胞を全地球の人類に対比させ
1.4 脳の働き、複雑なネットワーク
神経細胞を全地球の人類に対比させ、シナプス結合をインターネットに対比させて考えると次のようになります。
神経細胞は 1140 億、人類は 60 億、ひとつの神経細胞のシナプス結合は平均 1 万以上になります。
したがって一人の人間の脳内のネットワークは地球全体の人類の作るインターネットのネットワークより桁違いに多くなります。
ただ脳内のネットワークはインターネットのプロトコルと違い宛先を持っていません。
情報を発信する神経細胞と受信する神経細胞に宛先の情報が付加されていないので受ける側が必要性を判断
しています。このため脳内の連合野の判断には時間がかかります。
運動連合野から運動野までの運動指令には時間がかかります。
しかし運動野から手足にいく動作指令はほぼ 1 対 1 に対応しているので素早い伝達ができます。
フィードバックされる感覚神経も同様に感覚野までは非常に速く伝わります。
しかし、感覚を意識として自覚するのには脳内のネットワークを経由するので時間がかかります。
眼からの視覚情報は視床を経由して、後頭葉の視覚野に入ります。
視覚野からの情報は頭頂連合野、側頭連合野、後頭連合野および前頭連合野などが関わって処理しています。
このように連合野は複雑なネットワークを作っています。
どうしてこの情報を一瞬で結合できるのか、
「結合問題」とよばれる大きな課題になっています。
眼からの視覚情報は視床の手前で分岐して上丘にも送られます。上丘から小脳に送られます。
小脳には大脳で処理された視覚情報も送られてきます。
今までは、会話は大脳の左脳で行い、創造性は右脳にあるなど、局在性があるといわれてきました。
会話も大脳だけでなく、小脳も関与しています。
現在は分離して考えるのでなく、脳全体のネットワークとして考えるのが主流になってきているようです。
(1) 脳の情報処理は「神経細胞」の働き
神経細胞(ニューロンと同義語)は大脳皮質に約 140 億個、小脳には 1000 億個以上もあります。
神経細胞には樹状突起と軸索があります。
軸索は他の神経細胞と情報交換を行ないます。
軸索は 1 個の神経細胞に 1 個あります。
樹状突起はさまざまな種類があり、神経細胞の性格を決めています。
神経細胞相互の情報伝達は小さな隙間、シナプスを介して行なわれます。
このシナプスは 1 個の細胞に 100~10 万個(平均 1 万)あり、脳内には無数に存在します。
人間の場合は妊娠 2 ヶ月ぐらいから胎児の脳内にネットワークが作られ始め、生後 3 年ぐらいでほぼ完成します。
脳と脊髄の内部の神経系統を中枢神経系といいます。
その他は末梢神経系です。
末梢神経のうち、脳および脊髄から出入りし手足などへ行く神経を体性神経系といいます。
99.99%が脳内で完結する中枢神経です。
0.01%が脳から外に行く体性神経です。
体性神経系には感覚神経と運動神経があります。
1
神経細胞は生まれてから増加しませんが樹状突起とシナプス結合は体の成長に伴って増加します。
これが神経系の成長です。幼児期、学童期にどんどん成長し、思春期を過ぎる頃成長が止まります。
視覚、聴覚、触覚など生きることに直接関わる基本的な情報処理に関する神経細胞は生まれてから比較的早い
時期に成人型になります。
(成人型は神経細胞の軸索に髄鞘があります。スキャモンの神経の発達カーブがこの部分になります)
情報の統合などを行なう領域(連合野)の神経細胞は幼児期、学童期を通して徐々に成人型になっていきます。
脳の中で一番成長の遅いのが前頭前連合野で 20 歳ごろまで成長を続けます。
(連合野の神経系の発達はスキャモンの一般型に近いと考えられます)
神経細胞の数は出生後には減る一方です。
シナプス結合は年齢を重ねるごとに増加しネットワークの構造は複雑になっていきます。
脳の能力は加齢によってあまり下がらないどころか、年齢によって向上する部分も大きいのです。
脳の機能を左右しているのは神経細胞の数でなく、如何に効率よく、ネットワークを構成しているかにかかっていま
す。
(2) 神経細胞の軸索の成長
成人型の神経細胞は軸索が髄鞘で覆われていることです。このほうが情報伝達は速く行なわれます。
神経細胞の軸索は成長に従い太くなり、ミエリン鞘が形成されます。
ミエリン鞘が形成されると情報は鞘の節から節を飛ぶように伝わるので速い伝送ができるようになります。
人間が歩くのを想像するとわかりやすいと思います。
幼児が伝わり歩きを始めます。運動野、感覚野および体性神経系(感覚神経と運動神経)が未発達のため、
いかにもつたない歩きです。
運動野、感覚野の軸索のミエリン鞘の形成(スキャモンの神経系の発達カーブ)に従って、だんだん素早く歩けるように
なります。
体性神経系(感覚神経と運動神経)にミエリン鞘が形成されると 100m/sec の速さで信号伝達が行われます。
旧皮質より新皮質のほうがシナプス結合が変化しやすくなっています。
この変化しやすさを「可塑性」といっています。
大脳の可塑性が高いほど物事を記憶しやすくなっています。
脳の可塑性と情報伝達のスピードは逆相関の関係にあるようです。
大脳新皮質のうち、連合野のほうが年齢的に遅くまで可塑性が残ります。
そのかわり連合野の方が情報伝達は遅くなります。
・
シナプスの過剰生産と反抗期
脳は過剰なシナプス結合を一度作り、それを遮断しながら意味ある結合にしていくという考え方です。
この過剰生産が生涯に 2 度起こります。一度目は誕生から 3 歳ごろまでで脳全体に起こります。
シナプス結合は出生時にはもう大人と同じくらいになっています。
その後、幼児期を経て、おとなの 2 倍までシナプス結合が高まります。この時期が第一反抗期になります。
インターネットの配線がゴチャゴチャ混乱している状態です。反抗したくて反抗しているのではなく、自分で制御しきれ
ない状態なのです。
周囲の大人を見たり、幼稚園で学習したりして、子どもは不要なシナプス結合を遮断していきます。
やがてシナプス結合は成人のレベルにまで遮断されてきます。これをシナプスの刈り込みと言います。
幼児期の教育・躾が大切な理由です。
2 度目のシナプス過剰生産が思春期(12 歳ごろ)に頭頂葉、側頭葉、前頭葉の一部に生じます。
これが第二反抗期です。
10 代の脳を MRI で数多く(150 人)観察し、身体が急成長するころ、シナプスがもう一度急成長することが発
見されました。
(アメリカ国立衛生研究所 NIH ジェイ・ギード)
ここでシナプスの刈り込みが再度行われます。こうして大人の頭に変化します。
10 代の脳は構成変更を行っている最中であり、それだけに無防備で傷つきやすいと言えます。
(子どもの脳はこんなにたいへん、バーバラ・ストローチより)
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(3) 大脳と小脳の神経細胞の違い、記憶のしかたの違い
図 1.4-1 大脳の神経細胞
図 1.4-2 小脳の神経細胞
(理研ニュース 2003,Feb より)
大脳と小脳では神経線維
(樹状突起)
の出方が異なります。
大脳は糸状で小脳のほうが面状に広がっています。
大脳は神経線維を結合(興奮性)する方向で記憶していき
ます。
大脳の記憶は繰り返し経験することで神経ネットワークの中に信
号が通りやすい道(シナプス結合)が出来上がり、
その道が記憶となるメカニズムです。いわば加算記憶です。
小脳は神経線維の結合を遮断する(抑圧)する方向で記憶
していきます。
小脳は誤差信号をもとに出力誤差が小さくなるように
ブルキンエ細胞の神経線維の結合を削っていきます。
小脳は木彫りの像を作る時のように目的の機能を削りだし
ていきます。
小脳の記憶は最初にあった多数のシナプス結合を抑制(遮断)
し、少数のシナプスに絞り込んでいく記憶です。
いわば引き算の記憶です。数多く練習し、不必要な動作を
除去していきます。
そのためには動作ごとに良かった、悪かったことを確認し
ていく必要があります。
電気回路でも ROM(読み込み専用メモリ)は回路を溶断する
ことでプログラムを書き込みます。
それと同じようなことを行なって小脳は記憶していくわけ
です。
小脳の記憶はぎっしり詰まった図[B]から意味ある図[C]を
作っていくような記憶のしかたです。
切断したものは再度結合することはありません。
このため小脳の記憶(動作記憶/手順記憶)は
忘れにくくなっています。
図 1.4-3 記憶のしかた、結合と遮断
(脳と意識の地形図、ベンジャミン・リベットより)
一方、大脳の記憶のしかたは、まばらな図[A]から意味ある図[C]を作っていくやりかたです。
シナプス結合を増やしていく記憶の仕方です。
接続した結合が解除される(忘れる)ことがありうるのです。
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(4) 脳とコンピューターの比較
電子計算機(コンピューター)は右図のよう
前頭前連合野
側頭連合野
CPU
に構成されます。
CPUは論理演算装置と逐次制御装
論理演算装置
記憶装置
置から構成されます。
論理演算装置は計算や大小比較など
の演算を行ないます。
逐次制御装置は(1)命令を記憶装置
から取り出します。その命令を計算
機が理解できる様に翻訳します。
入出力制御
逐次制御装置
(2)翻訳した内容で、演算装置、記憶
装置(インタフェース)
装置に指令信号を出して、指令を実
行させます。
このCPUの部分を脳では「前頭前
運動野
感覚野
連合野」と考えます。
出
入
CPUの行なう“命令”や“データ”を蓄
力
力
えているのが記憶装置です。
装
装
置
置
この記憶装置の“命令”や“データ”には
アドレス(住所)が割り当てられています。
この記憶装置の部分は脳では「頭頂連合
野」
「側頭連合野」になります。
図 1.4-4 脳とコンピューターの比較
入出力制御装置は外部にあるデータを取り
入れたり、演算結果を外部に出力したり
します。
脳の機能では「運動野」
「感覚野」に当た
前頭前連合野
ります。
CPU
(データ読込み記憶)
感覚野
入力制御装置
計算機には“命令”や“データ”
制御
計算
にはアドレス(住所)が割り当てら
運動野
れ、そのアドレス順に命令を実行し
出力制御装置
(思考処理記憶)
ていきます。
これをプログラムといいます。
(命令)
プロ
データ
プログラムの動作の結果、出力は決
グラム
まりきった結果として出てきま
データ
す。あいまいな結果は出ません。 (手順記憶)
側頭連合野
インターネットでも同様で、受信要求に
対して、送信側が相手のアドレス
記憶装置
に向かって、送信します。
図 1.4-5 コンピューターの演算
あいまいな結果は出ません。
計算機には人間が記憶装置にプログラムを入力してやらねばなりません。
計算機がひとりで、勝手に学習することはありません。
(最近の計算機には学習機能があるものができてきました。
例えばワープロはよく使う機能を先に出してきます。操作する人のくせを憶えてきます)
人間の「思考」もコンピューターを模して考えられます。
プログラムに相当するのが「手順記憶」です。演算の順序と方法が記憶されています。
これをもとに前頭前連合野が演算(思考)の手順を作ります。
脳内に貯蔵された記憶が「データ読込み記憶」です。
前頭前連合野が、さまざまの記憶を取り込み、思考をします。
その結果が「思考処理記憶」として側頭連合野に記憶されます。
いろいろな記憶を統合(思考)して、別の記憶(別の考え)として、記憶されます。
コンピューターは正確に働きます。そしてコンピューターは機械です。分解しても元に戻せます。
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コンピューターは正確(きっちり)すぎるので「心」が生まれません。
大脳は非常に大型の数台のコンピューターに相当します。
小脳は 1 万個以上の“マイクロコンピューター群”を形成しています。
このため、小脳の動作は並列処理が出来ます。大脳は逐次的、直列処理になります。
脳内にある連合野の神経細胞には、送信先や受信先のアドレスがありません。
ラジオ放送のようなもので、脳内の受信側が必要性を考慮して、送信先を選択して、受信します。
送り方は有線放送に近く、送信するデータは受信する神経細胞のすぐ近くまでは有線(軸索)で送られ、
神経細胞のすぐ近くでデータは放出されます。
その結果、脳内の連合野のデータの送受信はあいまいなものになります。
従って、脳からの、出力(思考結果や行動のしかた)はあいまいなものになります。
コンピューターのように決まりきった(確定した)答えは出ません。
人間の脳の記憶は“あいまいさ”を持っています。そして“忘れやすく”出来ています。
また“学習速度が遅く”ゆっくり学習するように出来ています。
この“あいまいさ”と“忘れやすさ”と“ゆっくりさ”で物事の共通性を抽出しています。
それが出来ないと正面を向いた“顔”で記憶すると、横を向いた人の顔を見て、同一人物かどうかがわからな
くなります。物事の共通性を見出すこと「汎化」と言います。
女性の顔と男性の顔のそれぞれに「汎化」と「相違」を見出し、男性、女性の見わけをしています。
(5) 大脳の記憶を小脳が写し取る
コンピューター1
(大脳)
コンピューター2
(小脳)
クロスケーブル
図 1.4-6 コンピューターのデータ移動
コンピューター相互間のデータのコピーを行う場合はクロスケーブルを使います。
コンピューター1の出力をコンピューター2の入力につなぎます。コンピューター2の出力をコンピューター1の入力につなぎます。
このようにして、コンピューター相互間のデータのやり取り、ソフトのコピーが出来ます。
同じように、
大脳と小脳の神経細胞は神経線維で相互に結合されていますから、記憶の移動、
コピーが出来ます。
また小脳内のマイクロコンピューター相互感でも記憶の移動、コピーが出来ます。
心的モデルを写し取る小脳の働き
言語やイメージ、概念などの思考モデル(記憶)は、大脳の頭頂
小脳回路
葉や側頭葉の連合野に蓄えられており、それを前頭葉の連
合野が操作することが思考です。
しかし繰り返し思考を続けていると、頭頂葉や側頭葉の思
入力
誤差
写すべき
考モデル
(記憶)
が小脳回路に写し取られるようになります。
システム
すると前頭葉は、小脳が写し取ったモデルを直接操作して思
考するようになります。
とくに「とっさに予測し、判断する時には、小脳の思考モデ
図 1.4-7 小脳がシステムを写し取る
ルを使うはずです」
素早い判断、素早い行動をするには小脳に記憶した思考モデ
ルを使う必要があるのです。
言語、概念といった思考の制御対象が小脳の中でどのように実現されるかはまだわかっていません。
どのような神経回路網で形成されるかわかっていません。
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(6) 脳は複雑系か?
昔から数学や科学では「要素還元論」という考え方が主流で、現在もそうです。
要素還元論とは“全体は各部分部分の総和である“という考えであり、複雑な事象を細部の要素に分割して考
え、それを合わせることで全体を把握しようとする考え方です。
たとえば、人間の体を理解するためには一つ一つの部位や部分、心臓、肺、脳、骨、血管などの要素に分けて
それらを分析し、最終的にそれらの理解をすべて足せば、人間の体全体の理解につながるという考え方です。
これは“線形科学”と呼ばれることもあります。xxx=yyyと左右の式が等号で結べる式です。
学校教育も、要素還元論で成り立っています。
国語、算数、社会、理科、体育と分け、国語は国語で体形立てて勉強します。
算数は算数、理科は理科、というように科目で分けて、各科目の知識を身に着けたあとに子供がそれらの知識
を統合することができれば、立派な大人に育つであろうというものです。
複雑な事象を機械のような“部品の集合体”として、考えることから“機械論主義”ということもあります。
一度、部品の状態に分解して、理解出来たら、再組立てすれば元に戻るという考えです。
コンピューターは正確に働きます。そしてコンピューターは機械です。分解しても元に戻せます。
コンピューターは「論理演算」を行います。線形科学の機械です。
これに反して、生き物は一度、切り刻んで、理解出来たら、もう一度、縫い合わせて、再組み立てしても、
元に戻りません。再組立てしても一番大切な“命”は蘇りません。これが“生命論主義”です。
要素還元論とは反対に“全体は部分の総和以上の何かである”という考え方が昔からあります。
これが“複雑系”の考え方です。系とはシステムのことです。 “非線形科学”とも呼ばれます。
人間の脳の働きも“部分の総和”以上の何かがあります。それは“心”です。従って、脳は“複雑系”です。
そして生きていますから、分解することはできません。生命論主義で考えます。
一人の人間の頭の中には“1 千億以上”の神経細胞があり、その“神経細胞”は平均“1 万“以上の
シナプス結合をして、ネットワークを作っています。
その結合は 1 千兆(1000x108x104=1x1015)にもなります。
そして自分の出した信号が、変化して自分に戻ってくる、いわゆる、フィードバックも部分的に構成しています。
また脳の働きには「あいまいさ」があります。
そして人間の脳は生きています。生きているということは変化しているということです。
生きていて、変化している、“複雑系”の脳を持った人間の行動を完全に予測することは困難です。
“複雑系”の脳を持った、人間が構成している、人間の社会では明日は何が起こるか判らない社会です。
人間が構成する社会もまた、複雑系の世界です。
インターネットの世界も人間が介在した時点で、複雑系の世界になると考えられます。
一人が情報を発信しても、全く影響がないかも知れませんが一方では全世界に大きな影響を及ぼすかも知れま
せん。ネットワークの群れ、社会は複雑系として考えられます。
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(7) 頭の中の時計と運動に要する時間
大脳新皮質に脳時計が形成されます。脳時計とは、ドーパミンを作り出す神経活動のループのことです。
関わっているのは脳の底にある「黒質」と「大脳基底核」と「前頭前連合野」です。
脳時計の基準はこのループを一周する時間です。脳時計は通常、外部時計の 0.1 秒で1サイクルとなります。
ところがビデオの 1 コマのスピードは 0.03 秒、映画は 0.04 秒です。
意識しない(無意識)状態では 0.03 秒以上あれば識別できるようです。
視覚→意識→運動連合野→運動野のループは 0.1 秒に 1 回のサイクルです。
大脳の制御系としては、安定まで 4~5 回のサイクルが必要です。
従って、この大脳の運動ループで行動するためには 0.4~0.5 秒が必要になります。
小脳への視覚→小脳の筋肉骨格系へ指令のループは 0.025 秒に 1 回のサイクルです。
小脳の制御系としては、安定まで 4~5 回のサイクルが必要です。
従って、この小脳の運動ループで行動するためには約 0.1 秒が必要になります。
100m 競争などでは、医学的根拠にもとづき、合図から 0.1 秒以内に反応するとフライングと判定されます。
人間の眼の解像度は約 0.03 秒、色の識別が一番速く、次が形、次が状態になります。
赤い、りんごが、転がっている。
“赤い”と“転がっている”の間には 70msec ぐらいの差がある。
文字や言葉が耳に入ってきて、情報処理できるまでには、少なくても 0.1 秒、通常 0.5 秒くらいかかると言わ
れています。
(進化しすぎた脳、池谷裕二)
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