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建築工事における作業の推定方法に関する研究

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建築工事における作業の推定方法に関する研究
建築工事における作業の推定方法に関する研究
Methods of Presumption for Building Works in Construction Sites
2003 年 3 月
蔡
成 浩
建築工事における作業の推定方法に関する研究
Methods of Presumption for Building Works in Construction Sites
2003 年 3 月
早稲田大学大学院理工学研究科
建設工学専攻 建築材料及び施工研究
蔡
成 浩
目次
題名:建築工事における作業の推定方法に関する研究
目次
第1章
序論
1.1.建築工事における作業の推定をめぐる諸問題
1
1.2.本研究に関する既往の研究
2
1.3.本研究の目的と項目
7
10
参照文献
第2章
作業方法の選定方法に関する研究
2.1.作業プロセスの作成を用いた作業のモデル化
2.1.1.作業プロセスにおける作業方法
15
2.1.2.作業のモデルの作成方法
15
2.1.3.鋼製壁下地取付け作業における適用
19
2.1.4.結
28
2.2.機能抽出と機能展開を用いた作業方法の発想
2.2.1.作業プロセスにおける機能抽出と機能展開
30
2.2.2.機能抽出と機能展開の方法
30
2.2.3.鋼製壁下地取付け作業における適用
37
2.2.4.結
41
2.3.一対比較を用いた作業方法の選択
2.3.1.作業プロセスにおける一対比較
43
2.3.2.AHP 手法を用いた一対比較の方法
43
2.3.3.鋼製壁下地取付け作業における適用
45
2.3.4.結
55
2.4.結言
.57
第3章
作業時間の推定方法に関する研究
3.1.作業の実績に基づいた作業時間の推定
3.1.1.実績と作業時間の関係
60
3.1.2.特性値の算出を用いた作業時間の推定
61
3.1.3.鋼製壁下地取付け作業における適用
62
3.1.4.結
73
ⅰ
3.2.作業者の動作に基づいた作業時間の推定
3.2.1.動作と作業時間の関係
74
3.2.2.MOST 手法を用いた作業時間の推定方法
74
3.2.3.木製壁下地取付け作業における適用
80
3.2.4.結
94
3.3.作業の条件に基づいた作業時間の推定
3.3.1.条件と作業時間の関係
95
3.3.2.数量的・質的条件に基づいた作業時間の推定方法
95
3.3.3.石膏壁ボード張り鋼製壁下地取付け作業における適用
99
3.3.4.結
127
3.4.結言
.129
第4章
作業内容の推定方法に関する研究
4.1.作業者の姿勢の特性値
4.1.1.姿勢の測定方法
132
4.1.2.姿勢の特性値の算出方法
136
4.1.3.基本的な作業者の姿勢における適用
141
4.1.4.結
150
4.2.作業者の姿勢の特性値に基づいた作業内容の推定方法
4.2.1.推定区間の多段階の設定方法
152
4.2.2.ニューラルネットワーク手法を用いた推定方法
153
4.2.3.基本的な単位動作における適用
156
4.2.4.結
163
4.3.パネル取付け作業における適用
4.3.1.作業実験の概要
164
4.3.2.姿勢の測定と特性値の算出
167
4.3.3.ニューラルネットワークの学習と作業内容の推定結果
169
4.3.4.結
176
4.4.結言
.178
第5章
結論
A.作業方法の選定方法に関する研究について
180
B.作業時間の推定方法に関する研究について
181
C.作業内容の推定方法に関する研究について
182
ⅱ
第 1章
序論
第 1章
序論
1.1.建 築 工 事 に お け る 作 業 の 推 定 を め ぐ る 諸 問 題
今日建築工事において、作業の省力化のための自動測定装置・電動工具・部材搬入装置
などの投入、品質の安定化のため鋼製下地材・パネル仕上げ材などの工業部材・部品の開
発、作業者の安全化のための安全帯・安全帽などの安全装備の強化や高所作業車・安全仮
設などの安全装置の投入などが進んでいる。また、生産性の向上、省力化などが強く要求
されており、建築工事現場における作業の計画は益々複雑なものになっている。しかし、
作業に関する計画は従来から専門工事業者に依存する面が多く、経験的な作業の分析や、
手順の計画に留まっている。作業の実績を体系的に収集し、それを比較・評価するための
方法は十分に確立されておらず、測定者が目視で作業内容を記録する手段に頼っている。
また、実測した作業結果の作業計画への適用も限られた範囲に留まっている。このため、
現場作業がその作業条件に適した作業方法とならず、生産性の低下や作業工期の遅延を生
じる原因となっている。
作 業 方 法 の 選 定 に つ い て は 、 VE 手 法 や ワ ー ク デ ザ イ ン 手 法 な ど の 発 想 法 を 導 入 し た 方
法があり、過去の作業実績を参考にするエキスパートシステムや経験的推定方法などが提
案されている。しかし、そのような方法は発想手順において多くの情報を必要とし、経験
者の能力に頼る部分が多く、的確に代替案を比較して評価するための項目がないといった
問 題 点 が あ る 。そ の た め 、多 く の 現 場 作 業 の 計 画 は 工 程 の 順 序 や 目 標 時 間 に 関 し て 行 わ れ 、
作業方法の選択は専門工事業者の経験に頼っている。この結果、作業の基本要素である各
単位作業における生産性の向上は期待されないのが現状である。
作業内容の計測については、作業研究において多くの研究がなされ、作業の所要時間、
手待ち時間、稼働率、主作業率などの分析手法が編み出されている。しかし、作業現場に
おいて、作業者がどのような作業内容を実施しているかについては、測定者が目視で記録
するしか方法がない。そのため、作業実績は単位施工量当りの作業者数の指標である工事
別の歩掛りで表現される場合が多く、十分にそれを実績値として作業計画に活用している
とは言い難い。この結果、作業の計画者が積極的に新たな作業方法を提案し、実行した作
業をモニタリングして結果の検討を行うことは限られているのが現状である。
以上に述べた如く、作業計画を行う上で、必要となる作業情報に基づいて作業方法の選
定し、作業時間の推定を行うための方法は十分確立されておらず、作業現場から作業の実
績情報を収集するためには多くの時間を必要とするため、従来の作業の推定は生産性向
上・工事資源節減などの要求に対しての課題を残している。
1
1.2.本 研 究 に 関 す る 既 往 の 研 究
1.2.1.建 築 工 事 に お け る 作 業 方 法 の 選 定 方 法 に 関 す る 研 究
A.作 業 の モ デ ル 化 に 関 す る 研 究
作業のモデル化は、工程の計画の研究として、田村他は
1)、 建 築 物 の 仕 様 情 報 の 情 報 構
造をグラフ構造で表現する方法を提案し、図面からの情報化されたデータを示している。
江口他は
2)、 型 枠 工 事 の 工 程 計 画 を 単 位 作 業 の レ ベ ル で 行 う 場 合 の 工 程 計 画 表 や 工 程 モ デ
ルについての考察と提案を行っている。嘉納は
3)、 作 業 工 程 計 画 に お け る 作 業 活 動 を 表 現
する方法として、グラフ構造による表現法の提案を行い、各作業における要素の関係の視
覚的モデル化を行っている。鈴木は
4)、 工 事 計 画 を 確 定 す る た め の 制 約 条 件 と 情 報 の 関 係
を明らかにし、選定における意思決定の順位を示している。大沢は
5)、 施 工 プ ロ セ ス チ ャ
ート手法を提案し、工事条件に適応した工程計画の効率化の検討を行っている。三根他は
6)、 集 合 住 宅 の 内 装 工 事 を 対 象 に 工 程 分 析 の 適 用 と 分 析 方 法 の 提 案 を 行 っ て い る 。 筆 者 ら
は
7)8)、 作 業 の 方 法 や 手 段 の 選 択 プ ロ セ ス を 明 ら か に し 、 そ の 作 業 プ ロ セ ス の モ デ ル 化 を
提案した。
B.作 業 方 法 の 発 想 に 関 す る 研 究
作 業 方 法 の 発 想 は 、 VE 手 法 を 用 い た 研 究 と し て 、 小 林 他 は
9 ) 、 VE
手法における機能分
析 を 用 い て 作 業 に お け る 問 題 を 解 決 す る た め の 方 法 の 検 討 を 行 っ て い る 。馬 場 他 は
1 0 ) 、反
転 機 能 系 統 図 方 法 を 応 用 し た 工 事 ソ フ ト VE を 提 案 し 、 施 工 法 や 作 業 の 改 善 に 対 す る 適 用
を行っている。岩崎は
11 ) 、 建 築 生 産 に お け る
VE の 導 入 と 適 用 に つ い て 述 べ て い る 。
ま た 、論 理 的 な 解 決 を 用 い た 研 究 と し て 、蟹 澤 他 は
1 2 ) 、述 語 論 理 を 用 い て 工 法 決 定 の 過
程 の 分 析 を 行 い 、そ の シ ス テ ム の 構 築 の 考 え 方 を 提 案 し て い る 。佐 藤 他 は
1 3 ) 、聞 き 取 り 調
査を行い公共建築における構工法の発想において必要とする項目の決定方法を提案してい
る 。嘉 納 他 は
1 4 ) 、建 築 の 工 事 計 画 の 作 成 に お い て 、新 し い 工 程 計 画 案 の 作 成 や 工 法 案 を 提
案する計画立案の方法論を提案している。
C.作 業 方 法 の 選 択 に 関 す る 研 究
作 業 方 法 の 選 択 は 、作 業 実 績 を 用 い た 比 較 評 価 の 研 究 と し て 、田 村 他 は
1 5 ) 、工 事 計 画 に
おいて工法の選択のためのモデルを作成し、地下工事の工法選択に適用を行っている。山
崎他は
1 6 ) 、施 工 実 績 に 基 づ く 工 法 選 択 シ ス テ ム を 提 案 し 、床 工 法 の 選 択 に お け る 適 用 を 行
っ て い る 。室 他 は
1 7 ) 、鉄 筋 工 事 に お け る 在 来 工 法 と 開 発 し た ユ ニ ッ ト 工 法 及 び 自 動 ク レ ー
ン 工 法 の 比 較 を 工 期 と 工 数 を 用 い て 行 っ て い る 。王 他 は
2
1 8 ) 、間 仕 切 り 壁 の 建 具 枠 の 取 付 け
と 下 地 の 取 付 け 方 法 の 作 業 実 績 を 用 い て 作 業 工 数 の 比 較 を 行 っ て い る 。嘉 納 他 は
1 9 ) 、山 留
壁の工法の選定における比較推定モデルを判別分析、ニューラルネットワーク、経験推定
を用いて作成し、その精度を比較している。
ま た 、評 価 項 目 を 用 い た 比 較 評 価 の 研 究 と し て 、野 崎 は
2 0 ) 、コ ン ク リ ー ト の 品 質 に 関 す
る重要管理項目の重要度の評価を行い、開発が要求される技術の提案を行っている。椎野
他は
21)、 共 同 住 宅 に お け る 機 能 分 類 を 行 い 、 一 対 比 較 に よ る
重 要 度 の 評 価 を 行 っ て い る 。田 中 他 は
AHP 手 法 を 用 い た 各 機 能 の
2 2 ) 、躯 体 工 法 の 構 工 法 を 対 象 に 制 約 条 件 に よ る 評 価
項 目 を 設 定 し 、構 造 設 計 選 択 フ ロ ー を 用 い た 選 択 の 方 法 を 提 案 し て い る 。吉 田 他 は
2 3 ) 、建
築 工 事 に お け る 合 理 化 工 法 と 在 来 工 法 を 部 位 別 に 評 価 す る た め の 階 層 構 造 を 作 成 し 、AHP
手 法 を 用 い た 評 価 を 行 っ て い る 。筆 者 ら は
7)、
作業方法の選択における階層構造を提案し、
AHP 手 法 を 用 い た 評 価 を 行 っ た 。
1.2.2.建 築 工 事 に お け る 作 業 時 間 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究
A.作 業 の 実 績 に 関 す る 研 究
作業の実績に基づいた作業時間の研究は、測定した実績データから歩掛りを算出する研
究 と し て 、渡 辺 は
2 4 ) 、鉄 筋 作 業 に お け る 実 態 調 査 に 必 要 な 項 目 を 取 り 上 げ 、作 業 時 間 を 測
定 し て 各 作 業 に お け る 稼 動 時 間 と 稼 働 率 を 明 ら か に し て い る 。室 は
2 5 ) 、作 業 工 数 の 算 定 に
用いる標準歩掛りを定義し、その設定方法を提案している。柳田他は
2 6 ) 、 RC
造共同住宅
の躯体工事における現場労務量の調査を行い、要素作業のレベルでの作業時間の集計を行
っている。佐々木他は
2 7 ) 、 RC
造建築工事に対する作業測定を行い、作業職種別の稼働率
と 作 業 部 位 別 の 歩 掛 り の 算 出 を 行 っ て い る 。湯 谷 他 は
2 8 ) 、作 業 日 報 の 実 績 デ ー タ に 基 づ い
た 作 業 工 数 、及 び 習 熟 特 性 の 算 出 を 行 っ て い る 。三 根 は
2 9 ) 、鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 工 事 の 作 業
管 理 に お け る 労 務 実 績 を 用 い た 工 数 の 算 定 方 法 を 提 案 し て い る 。三 島 他 は
3 0 ) 、中 小 オ フ ィ
スビルにおける構造別、工事別、職種別、工程単位別の歩掛りを算出し、その比較を行っ
て い る 。三 輪 他 は
3 1 ) 、PCa
工事の歩掛りの測定結果を用いて各作業の効率の比較分析を行
っている。
B.作 業 者 の 動 作 に 関 す る 研 究
作 業 者 の 動 作 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 研 究 は 、田 村 他 は
3 2 ) 、建 築 作 業 に お け る 動 作 分 析 の
サーブリッグ記号を提案し、それを用いて左官工の塗り作業の動作研究を行い、その結果
を示している。真上他は
33)、 作 業 動 作 の 既 定 時 間 設 定 方 法 で あ る 簡 易
MTM 法 を 用 い て 、
枠組壁工法住宅における床取付け作業の作業時間の推定を行っている。江口他は
3
34) 、
MOST 法 を 用 い た 建 築 作 業 の 標 準 時 間 の 設 定 方 法 を 提 案 し 、PCa 工 事 と 鉄 筋 工 事 に 対 し て
そ の 適 用 性 の 検 討 を 行 っ て い る 。吉 村 他 は
3 5 ) 、MOST
法を用いたプラント建設における配
管 据 付 を 行 う 作 業 者 の 作 業 時 間 の 推 定 を 行 っ て い る 。吉 田 他 は
3 6 ) 、MOST
柱 部 材 の 製 作 に お け る 鉄 筋 組 立 の 作 業 時 間 の 推 定 を 行 っ て い る 。筆 者 ら は
法 を 用 い た PCa
3 7 ) 3 8 ) 3 9 ) 、MOST
法を用いた要素作業レベルでの作業時間の推定方法を提案し、木造壁軸組取付け作業にお
ける適用と検証を行った。
C.作 業 の 条 件 に 関 す る 研 究
作業の条件に基づいた作業時間の研究は、重回帰分析を用いた推定式の作成として、若
山他は
4 0 ) 、PCa
部 材 の 形 態 と 実 測 時 間 を 用 い て 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し 、そ の 結 果 を 示
し て い る 。脇 坂 他 は
4 1 ) 、鉄 骨 建 方 に お け る 部 材 の 特 性 と 実 測 作 業 時 間 を 用 い て 作 業 時 間 の
推 定 式 を 作 成 し 、そ の 結 果 を 示 し て い る 。中 島 他 は
4 2 ) 、木 造 住 宅 の 各 部 材 に お け る 作 業 量
と 実 測 作 業 時 間 を 用 い て 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し 、そ の 結 果 を 示 し て い る 。石 堂 他 は
43)、
集合住宅における延べ床面積と実績労務量を用いて職種別の作業者数の推定式を作成し、
そ の 結 果 を 示 し て い る 。小 早 川 は
4 4 ) 、架 構 式 プ レ キ ャ ス ト 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 工 事 の 部 材 個
数・数量・鉄筋量を用いて労務量の推定式を作成し、その結果を示している。筆者らは
4 5 ) 4 6 ) 4 7 ) 、作 業 条 件 と 実 測 作 業 時 間 を 用 い た 推 定 式 の 作 成 方 法 を 提 案 し 、鋼 製 間 仕 切 り 壁 と
石膏ボード取付け作業を対象にその適用の有効性の検証を行った。
1.2.3.建 築 工 事 に お け る 作 業 内 容 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究
A.作 業 現 場 に お け る デ ー タ の 収 集 に 関 す る 研 究
作業現場におけるデータの収集に関する研究は、各種センサーを用いてデータを自動収
集する方法と必要なデータを人間が記録装置に直接記入する方法がある。センサーを用い
て デ ー タ を 自 動 収 集 し て 分 析 す る 方 法 は 、セ ン サ ー の 種 類 に よ っ て 、小 林 他 は
4 8 ) 、作 業 者
の生体現象である、心拍数、筋電位、電気反射を測定し、測定データと基本動作の関係を
明らかにしている。所他は
4 9 ) 、 IC
カードを用いた建築車両の稼動状況の収集と分析方法
を 提 案 し 、収 集 し た デ ー タ を 用 い た 作 業 内 容 の 判 定 を 行 っ て い る 。高 田 他 は
5 0 ) 、鉛 直 レ ー
ザ発振器を用いた鉄骨柱の位置決め装置を開発し、その現場投入方法を提案している。大
津他は
5 1 ) 、DGPS
を 用 い た 現 場 内 の 移 動 体 の 位 置 計 測 シ ス テ ム を 開 発 し 、移 動 式 ク レ ー ン
の 衝 突 監 視 に 対 す る 適 用 を 行 っ て い る 。筆 者 ら は
52)、 6
自由度センサーを用いた作業者の
姿勢データの収集装置を作成し、作業実験による有効性の検証を行った。
人 間 が 記 録 装 置 に 直 接 記 入 し て 分 析 す る 方 法 は 、松 岡 他 は
4
5 3 ) 、電 子 手 帳 を 用 い た 仕 上 げ
進 捗 管 理 と 仕 上 げ 検 査 シ ス テ ム の 開 発 を 行 い 、そ の 内 容 の 説 明 を 行 っ て い る 。朋 田 他 は
54)、
仕上げ工事の検査管理のためのペン入力コンピュータを用いた記入システムを開発し、そ
の 効 果 を 明 ら か に し て い る 。脇 坂 他 は
5 5 ) 、携 帯 端 末 を 用 い た 稼 動 分 析 と ワ ー ク サ ン プ リ ン
グのための入力システムを開発し、測定した結果の分析を行っている。
B.収 集 デ ー タ の 分 析 に 関 す る 研 究
収 集 し た 実 績 デ ー タ を 分 析 し 、作 業 管 理 に 活 用 す る た め の 研 究 は 、三 根 は
5 6 ) 、建 築 工 事
の管理おけるリアルタイムモニタリングの必要性を述べ、その関連技術について分析を行
っ て い る 。池 田 他 は
5 7 ) 、現 場 で の ハ ン デ ィ タ ー ミ ナ ル を 用 い た 作 業 測 定 シ ス テ ム を 開 発 し 、
デ ー タ の 運 用 に つ い て の 提 案 を 行 っ て い る 。古 市 他 は
5 8 ) 、高 速 リ フ ト に お け る 運 送 状 態 の
データを収集するためのシステムを提案し、収集したデータを用いた稼働率の分析を行っ
ている。磯野他は
59)、 社 内
LAN と タ イ ム ラ ッ プ ビ デ オ シ ス テ ム を 用 い た 作 業 時 間 測 定 シ
ス テ ム を 提 案 し 、測 定 の 目 的 に 対 す る 評 価 を 行 っ て い る 。筆 者 ら は
6 0 ) 、ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト
ワークを用いた作業姿勢データから単位動作を推定するためのアルゴリズムを開発し、そ
の有効性の検証を行った。
1.2.4.既 往 の 研 究 に お け る 問 題 点
A.建 築 工 事 に お け る 作 業 方 法 の 選 定 方 法 に 関 す る 研 究
作業のモデル化に関しては、従来から工程の時系列な管理を目的とする様々な手法の研
究が行われ、多くの成果が得られている。しかしながら、これらの研究は、作業の条件が
変化した場合、作業方法の選択や順序などの作業計画において検討すべき事項やその進め
方の手順については不明な点が多く、作業方法を選定するための作業レベルで分析が行わ
れた研究は見当たらず、未解決の問題が多い。
作業方法の発想に関しては、作業における造り方の原理・原則に立ち戻って方法を検討
す る VE 手 法 な ど を 用 い た 研 究 と 過 去 の 資 料 や 実 績 を 用 い た 研 究 が あ り 、 そ の 成 果 を 得 て
いる。しかしながら、これらの研究は、実績データの収集や手順が複雑であり、最終的な
判断は個人やグループの能力に依存している点が多く、実務的な手法には至っていない。
作業方法の選択に関しては、過去の作業の実績と条件に基づいて最適な工法を選択する
研究がある。また、単純に数量的な実績データを用いて判断する以外に、意思決定に考慮
すべき評価項目を用いた選定方法に関する研究があり、その成果を得ている。しかしなが
ら、これらの研究は、作業方法を評価するために用いる目的、評価項目、代替案の決定方
法とその関係を示す構造の設定方法は不明な点が多い。
5
B.建 築 工 事 に お け る 作 業 時 間 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究
作業の実績に関しては、作業の実態調査に基づいて測定した作業時間と施工量による工
数と歩掛りの算出は、作業研究の手法とともに多くの研究が行われ成果を得ている。しか
しながら、作業計画に実績データを用いるためには、単位作業レベルの正確なデータの分
類が必要となるが、労務量及び工事量の推定を目的として行われた従来の研究は、単に各
まとまり作業の工数を集計して歩掛りなどを求める程度であり、詳細なレベルの実績につ
いてはほとんど明らかにされてない。
作業者の動作に関しては、サーブリッグを用いた左官工の動作分析などがあるが、既存
の動作分析の方法は工場生産などサイクルタイムが短い作業のために開発された手法であ
るため、建築作業においての適用事例は少ない。作業者の動作と作業時間の関係に関する
研 究 は 、 比 較 的 簡 単 に 作 業 時 間 を 設 定 で き る 既 定 作 業 時 間 設 定 方 法 で あ る 簡 易 MTM 手 法
や MOST 手 法 を 用 い た 研 究 行 わ れ 、建 築 作 業 に お け る 有 効 性 を 確 認 し て い る 。し か し な が
ら、これらの研究は、不規則な作業が多い単位作業レベルでの分析は行っておらず、推定
作業時間値と実測作業時間値との誤差の発生要因についても解明されていない。
作業の条件に関しては、作業の実績を報告するための研究が中心であり、作業時間の推
定に適用するための作業の条件と作業時間の関係に関しては不明な点が多く、適切な作業
研究の手順・方法に基づいて行われた調査はほとんど無い。
C.建 築 工 事 に お け る 作 業 内 容 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究
作業の実績データの収集に関しては、作業現場において実施した作業の内容をモニタリ
ングし、管理を行うための情報収集の方法に関する研究は、医療用測定センサーを用いた
作 業 者 の 生 体 情 報 の 収 集 、IC カ ー ド ま た は バ ー コ ー ド を 用 い た 作 業 者 と 部 材 の 登 録 情 報 の
収 集 、レ ー ザ ま た は 超 音 波 を 用 い た 作 業 精 度 の 情 報 の 収 集 、GPS 装 置 ま た は 赤 外 線 装 置 を
用いた位置情報の収集及び、携帯端末と通信機器を用いた作業進捗情報の収集などが行わ
れている。そのような方法は使用機器の技術的進歩を背景に実用化が進んでいる。しかし
ながら、これらの研究は、情報を収集する機器の使用に作業者または測定者のシステムに
対する仕組みの理解と操作するための時間を必要とし、情報入力の負担を無くすための方
法の開発までは至っていない。
収 集 デ ー タ の 分 析 に 関 し て は 、 収 集 し た 作 業 情 報 の デ ー タ を 用 い た 、「 作 業 者 の 動 作 」、
「 作 業 時 間 」、「 作 業 環 境 」 な ど を 明 ら か に す る 方 法 論 や 手 法 は ほ ぼ 確 立 し て い る も の の 、
作業者が如何なる作業を実施しているかについては、現在まで目視による観測に依存して
おり、作業内容をデータから推定する研究は試されていない。
6
1.3.本 研 究 の 目 的 と 項 目
1.3.1.本 研 究 の 目 的 と 範 囲
建築工事の作業計画には、多くの研究で指摘される様に、作業の方法や順序をはじめ、
その能率を部位別、工具別、部材別に詳細に検討しなければならない。さらに、作業者が
行うべき作業を具体的且つ、総合的に計画する必要がある。即ち、作業計画は、単なる作
業間の実施手順やその所要日数・実施時期の管理に留まるものではなく、作業条件に適合
した作業方法の設定が要求される。
しかしながら、従来の作業計画は十分にその機能を発揮しているとは言い難い。その原
因の1つとして、作業を実行する方法は専門工事業者や製造業者の役割として任せている
ことが多く、作業方法を考慮した計画の体系が確立されていない点が挙げられる。また、
計画に要する作業の詳細な実績データは基礎資料として十分に蓄積しておらず、これらの
データを収集するためには多大な努力が必要である。
作業計画を適正化して生産性の向上を図るためには、作業における諸条件や環境につい
て詳細な調査を行って最適な作業方法を選択するともに、これに基づいて実行する作業の
綿密な計測を行い、計画の確認や修正を行う必要がある。
このためには、以下の 3 つの課題について研究を行う必要がある。
①
作業に最適な作業方法を選択するための、選定方法の開発
②
作業の作業時間を把握するための、推定方法の開発
③
作業の実績データを収集するための、推定方法の開発
本研究では、作業計画における、作業のモデル化による作業方法の発想と選定のための
方 法 の 提 案 、「 作 業 時 間 の 実 績 値 」「 作 業 者 の 動 作 」「 作 業 の 条 件 」に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推
定のための方法の提案、作業の内容の自動計測と推定のための方法の提案を目的とする。
そ の た め 、作 業 の モ デ ル 化 に 必 要 と す る 作 業 の 要 素 と そ の 関 係 を 定 義 し 、作 業 を「 機 能 」
として捉えて新たな作業方法を発想する手順を確立し、発想した代替案の選定に用いる評
価項目と比較過程を体系化する。次に、実測作業時間の特性値、作業者の動作、作業の条
件と作業時間の関係を確認し、作業時間の推定式の作成方法を確立する。さらに、作業を
行っている作業者の姿勢と作業の関係を明確にし、姿勢のデータを用いた作業内容の自動
計測方法と推定方法を確立する。
最後に、提案した各方法を具体的に内装下地工事に適用し、作業計画において本方法論
が有効であることを検証する。なお、研究に当っては、建築工事における内装工事の下地
取付け作業を対象とし、各まとまり作業における単位作業の作業方法と作業時間の研究を
範囲としている。
7
1.3.2.本 研 究 の 項 目
A.作 業 方 法 の 選 定 方 法 に 関 す る 研 究
作業プロセスにおける作業のモデル化として、作業プロセスを構成する作業の要素の定
義を行う。定義した各要素を用いて作業における作業条件、作業方法、作業結果の関係を
明らかにすることによるモデル化の方法の提案する。そして、鋼製壁下地取付け作業を対
象に適用を行い、提案した方法の有効性の検証を行う。
機能抽出と機能展開を用いた作業方法の発想として、作業を「機能」という側面から捉
え て 、 そ れ が 果 た す べ き 目 的 を 明 確 化 す る 。 明 確 に し た 「 機 能 」 を VE 手 法
ザイン手法
62)、 ワ ー ク デ
6 3 ) と い っ た 発 想 法 に お け る「 機 能 展 開 」を 用 い て さ ら に 抽 象 化 す る こ と に よ っ
て作業の新たな作業方法の代替案を発想する方法の提案する。そして、鋼製壁下地取付け
作業を対象に適用を行い、提案した方法の有効性の検証を行う。
一対比較を用いた作業方法の選択として、以上の作業方法の発想によって提案する複数
の代替案から作業条件に最適である作業方法を選択するための評価項目の階層構造を作成
す る 。ま た 、代 替 案 に 対 す る 一 対 比 較 法 で あ る AHP 手 法
64)を 用 い た 選 択 方 法 を 提 案 す る 。
そ し て 、鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 を 対 象 に 適 用 を 行 い 、提 案 し た 方 法 の 有 効 性 の 検 証 を 行 う 。
B.作 業 時 間 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究
作業時間の実績を用いた作業時間の推定として、作業時間の推定に必要な特性値を定義
し、測定した作業時間と施工量のデータを用いた特性値の算出方法を提案する。そして、
鋼製壁下地取付け作業を対象に適用を行い、提案した方法の有効性の検証を行う。
作 業 者 の 動 作 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定 と し て 、 PTS 方 法
65)の 一 つ で あ る
MOST 手 法
66)に お け る 作 業 動 作 の 時 間 設 定 方 法 を 用 い て 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し 、 推 定
式を用いた単位作業の時間の推定方法を提案する。そして、木製壁下地取付け作業を対象
に適用を行い、提案した方法の有効性の検証を行う。
作業の条件に基づいた作業時間の推定として、作業の条件をその内容によって「数量的
条 件 」と「 質 的 条 件 」に 分 類 し 、作 業 時 間 と 条 件 の 関 係 か ら 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 す る 。
数 量 的 条 件 に 対 し て は 、重 回 帰 分 析
6 7 ) を 用 い て 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し 、単 位 作 業 の 時
間を推定するための方法を提案する。そして、壁石膏ボード取付け作業を対象に適用を行
い 、提 案 し た 方 法 の 有 効 性 の 検 証 を 行 う 。質 的 条 件 に 対 し て は 、数 量 化 Ⅰ 類 手 法
68)お よ び 、
回帰分析を用いて作業時間の推定式を作成し、単位作業の時間を推定するための方法を提
案する。そして、鋼製壁下地取付け作業を対象に適用を行い、提案した方法の有効性の検
証を行う。
8
C.作 業 内 容 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究
作業者が実施している作業の自動計測方法として、作業者の姿勢や動作に関する身体の
動 き を 測 定 す る た め に 、航 空 機 等 の 方 向 や 位 置 を 3 次 元 空 間 で 制 御 す る た め の デ ー タ 収 集
用 に 開 発 さ れ た 6 自 由 度 セ ン サ ー 67)70)を 用 い た 作 業 者 の 姿 勢 デ ー タ の 収 集 方 法 を 提 案 す る 。
また、作業者に装着したセンサーから得られる 6 自由度データに基づき、作業の内容の推
定 を 行 う た め の 特 性 値 の 算 出 方 法 を 提 案 す る 。そ し て 、基 本 的 な 作 業 に 対 す る 実 験 を 行 い 、
姿 勢 デ ー タ の 収 集 方 法 と 特 性 値 の 算 出 方 法 を 適 用 し 、提 案 し た 方 法 の 有 効 性 の 検 証 を 行 う 。
作 業 者 の 姿 勢 デ ー タ の 特 性 値 を 用 い た 作 業 内 容 の 推 定 方 法 と し て 、作 業 者 の 6 自 由 度 デ
ー タ の 特 性 値 に よ る 推 定 の 対 象 作 業 レ ベ ル を 単 位 動 作 と し 、安 定 し た 推 定 結 果 を 得 る た め 、
推定する対象の時間幅である推定区間の多段階による設定方法を提案する。また、ニュー
ラルネットワーク
7 1 ) を 用 い て 、特 性 値 に 対 す る 実 施 す る 単 位 動 作 の 有 無 の 尺 度 で あ る 認 識
値を算出し、最適な推定結果を得るために推定区間の認識値の平均による単位動作の推定
方法を提案する。そして、パネル取付けの作業実験を行い、収集したデータを用いて推定
方法を適用し、提案した方法の有効性の検証を行う。
9
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AHP
1-9
ISAHP2001,Berne,Switzerland,August 2-4,2001
14
scale
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first
principles 、
第 2章
作業方法の選定方法に関する研究
第2章
作業方法の選定方法に関する研究
2.1.作 業 プ ロ セ ス の 作 成 を 用 い た 作 業 の モ デ ル 化
2.1.1.作 業 プ ロ セ ス に お け る 作 業 方 法
作業の目的を達成するための作業方法の内容及び、各作業間の順序関係を示す作業プロ
セスは、作業計画の段階で検討する必要がある。しかしながら、従来の建築工事における
作業計画は、職種・工事・施工部位ごとのまとまり作業レベルにおける順序関係やその所
要日数、実施する時期に関する管理に留まり、作業を実行するために必要な作業条件に適
合した作業方法の選定は専門工事業者に依存する面が多かった。作業方法とは、作業を実
行するために必要な具体的な手段である。作業計画において生産性の向上を考えるために
は、作業プロセスを具現化し、作業方法の選定に考慮すべき項目を明確にするための作業
のモデルの作成が不可欠である
そこで、作業のモデルは、作業の実行に必要である要素を定義し、作業に要求される要
素の状態である作業条件及び、作業の実行による要素の状態である作業結果を明確にし、
作業間の順序関係を表現する。更に、作業における作業方法の選定の指標となる評価項目
及び、選定の対象である代替案を採りあげて示すことを目的とする。本研究の作成するモ
デ ル の 作 業 レ ベ ル は 、 表 .2.1.1 に 示 す 如 く 、 単 位 作 業 レ ベ ル と す る 。
表 .2.1.1
作業分割のレベル
作業のレベル
まとまり作業
61)
分割のあらさ
分割の例
職種・工事・施工する部位などに注目して分割する作業の区分 準備・柱鉄骨建方・大梁鉄骨立方・小梁鉄骨立方など
単位作業
まとまり作業と要素作業の中間で、加工・組立て・検査・運搬な
どの単位で分割する区分
荷卸し・仮設取付け・揚重・建込など
要素作業
特定の材料や機械・工具に係わる一連の動作の纏まりの区分
位置調整・ボルト締結・親綱張り・玉掛け外しなど
注)日本建築学会の作業能率測定指針から引用
2.1.2.作 業 の モ デ ル の 作 成 方 法
作 業 の モ デ ル の 作 成 は 、作 業 を 実 行 す る た め に 必 要 で あ る「 作 業 者 」「 部 材 」「 部 位 」「 情
報 」を 作 業 の 要 素 と し て 定 義 す る 。定 義 し た 作 業 の 要 素 の「 作 業 場 に お け る 位 置 」「 大 き さ・
重 さ・数 量 な ど の 属 性 」「 度 合 」な ど を 要 素 の 状 態 と す る 。作 業 に 要 求 さ れ る 要 素 の 状 態 を
作業条件とし、その作業条件を達成させるために必要である作業を先行の作業とする。ま
た、作業に要求された要素の状態から作業の実行によって発生する新たな要素の状態を作
業結果とし、その作業結果を作業条件にする作業を後行の作業とする。
以上の先行の作業と後行の作業を用いて作業間の順序関係を決める。更に、作業条件に
従って作業を実行するために必要である具体的な手段を作業方法とする。
15
作業の要素の定義を壁下地取付け作業の例を採りあげ、以下の項目に示す。
①
作業者
作業を行う主体を意味する。
②
部材
作業の対象である部位を構成する、取付けを行う前の状態の材料・部品・部材の総称を
意味する。
(例 : 石 膏 ボ ー ド の 接 着 材 、 ALC 板 の 締 め 付 け 部 品 、 鋼 製 壁 下 地 部 材 )
③
部位
作業の目的である設計図書に示された、位置・属性を有する、取付けを行った後の部材
を意味する。
(例 : 設 計 図 書 に 従 っ て 取 付 け ら れ た 間 柱 ・ 台 輪 ・ ま ぐ さ )
④
情報
作業を実行するために必要とする部位及び、部材の位置・属性に対する、計測による情
報と経験による知識を意味する。
(例 : ス タ ッ ド 部 材 の 長 さ 、手 に 持 っ て 運 搬 が 可 能 な 間 柱 部 材 の 本 数 、間 仕 切 り 壁 か ら 床 ラ
ンナの取付け位置までの寸法)
作 業 に お け る 作 業 条 件・作 業 方 法・作 業 結 果 の 定 義 を 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 例 を 採 り あ げ 、
以下の項目に示す。
①
作業条件
作業を実行するために必要な作業者・部材・部位・情報の状態を意味する
(例 : ラ ン ナ を 間 仕 切 壁 の 位 置 に 取 付 け る た め に は 、取 付 け の 位 置 に お け る 作 業 者 、取 付 け
部位の長さの寸法に合わせて切断した取付け位置におけるランナ部材、取付け位置の長さ
の寸法に関する情報、ランナ部材の属性に関する情報が必要である)
②
作業方法
作業を実行する具体的な手段を意味する。
(例 : ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 で 床 ス ラ ブ に 打 ち 付 け る )
③
作業結果
作業を実行することによって発生する作業者・部材・部位・情報の状態を意味する。ま
た 、 作 業 の 要 素 以 外 に 発 生 す る 「 電 動 工 具 の 使 用 に よ る 騒 音 」「 溶 剤 に よ る 悪 臭 」「 部 材 の
切断による屑」などの状態は付随的作業結果とする。
(例 : ラ ン ナ を 間 仕 切 り 壁 の 位 置 に 取 付 け た 結 果 、取 付 け 位 置 に お け る 作 業 者 、取 付 け ら れ
16
たランナ部位、取付け位置の長さの寸法に関する情報、ランナ部材の属性に関する情報、
取付けられたランナ部位の位置に関する情報が発生する)
以 上 の 項 目 に 記 し た 作 業 の 要 素 と 「 作 業 条 件 」「 作 業 方 法 」「 作 業 結 果 」 を 用 い た 作 業 の
モ デ ル の 作 成 手 順 を 図 .2.1.1 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 手 順 1 で は 、 対 象 と す る 作 業 を 設 計
図書である作業図面・工事標準仕様書・標準施工要領書に基づいて、まとまり作業と単位
作業のレベルに分割する。手順 2 では、分割した単位作業ごとに作業を実行するために必
要 で あ る 「 作 業 者 」「 部 材 」「 部 位 」「 情 報 」 に 要 求 さ れ る 状 態 を 設 定 し 、 作 業 条 件 と す る 。
手順 3 では、作業の実行に用いることが可能である代替案を発想し、作業方法とする。ま
た、最適な作業方法の選定の指標を設定し、評価項目とする。手順 4 では、作業の実行に
よって発生する作業の要素の状態を設定し、作業結果とする。手順 5 では、作業における
作業条件を作業結果とする作業を設定し、先行の作業とする。また、作業結果を作業条件
にする作業を設定し、後行の作業とする。
手順1
作業をまとまり作業と単位作業のレベルに分割する
手順2
作業を実行するために必要である「作業者」「部材」「部位」「情報」に
要求される状態を作業条件として設定する
手順3
作業の実行に用いることが可能である代替案の発想し、選定の指標
を評価項目として設定する
手順4
作業の実行によって発生する「作業者」「部材」「部位」「情報」の状態
を作業結果として設定する
手順5
作業条件を作業結果とする作業を先行の作業として設定し、作業結
果を作業条件にする作業を後行の作業として設定する
図 .2.1.1
作業のモデルの作成手順
作 業 の 単 位 作 業 レ ベ ル の 分 割 は 、 図 .2.1.2 に 示 す 如 く 、 作 業 の 要 素 の 状 態 を 変 化 さ せ る
作 業 の 内 容 に 従 っ て 分 類 し た「 移 動 」「 運 搬 」「 計 測 」「 加 工 」「 取 付 け 」「 取 外 し 」の 単 位 作
業の分類項目に基づいて行う。
まとまり作業
単位作業の分類項目
作業の内容
移動
作業者の位置を変化させる
例
運搬
部材の位置を変化させる (スタッドを置き場所から切断場所まで手に持って運搬する)
計測
作業者・部材・部位の情報を得る
加工
部材の形態を変化させる
(スタッドを寸法に合わせて円鋸で切断して加工する)
取付け
部材を部位に変化させる
(スタッドをランナに押し込んで取付ける)
取外し
部位を部材に変化させる
(スタッドをランナから引き抜いて取り外す)
(スタッドの置き場から切断場所まで歩いて移動する)
(スタッドの長さの寸法を巻尺で計測する)
作業
図 .2.1.2
作業の内容による単位作業の分類項目
17
具 現 化 し た 作 業 の モ デ ル を 図 .2.1.3 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 モ デ ル は 作 業 に 対 し て 検 討
す べ き 「 作 業 条 件 」、「 作 業 方 法 」、「 作 業 結 果 」 を 明 確 化 し 、 先 行 及 び 、 後 行 の 作 業 を 設 定
して作成する。
作業条件の検討は、作業の実行に要求される作業条件とそれを達成させる先行の作業に
よって構成する。作業条件は、作業の要素である作業者・部材・部位・情報の状態として
「 作 業 者 が 作 業 を 行 う た め の 適 切 な 位 置 に い る か ? 」「 作 業 の 対 象 で あ る 部 材 を 確 保 し て
い る か ? 」「 部 材 の 属 性 に 関 す る 十 分 な 情 報 を 持 っ て い る か ? 」「 部 位 の 属 性 に 関 す る 十 分
な情報を持っているか?」を問い掛けて設定する。作業条件が達成されていない状態は、
先行の作業を設定する。例えば、作業者の位置の状態を達成させる単位作業の分類項目は
「移動」である。部材の位置の状態を達成させる単位作業の分類項目は「運搬」である。
部位の寸法の状態を達成させる単位作業の分類項目は「加工」である。部材と部位に関す
る必要な情報の状態を達成させる単位作業の分類項目は「計測」である。
作業方法の検討は、評価項目と作業方法の代替案によって構成する。評価項目は、作業
に 対 す る 最 適 な 作 業 方 法 を 選 択 す る た め に 用 い る 指 標 で あ り 、「 作 業 を 実 行 す る 作 業 者 の
安 全 性 」「 部 材 と 部 位 に 対 す る 適 合 性 」「 作 業 の 省 力 性 」 な ど で あ る 。 代 替 案 は 、 作 業 条 件
によって発想した複数の手段を持つ作業方法である。
作業結果の検討は、作業を実行することによって発生する作業の要素の状態、後続の作
業条件、必要とする後行の作業によって構成する。要素の状態は、作業者・部材・部位・
情 報 の 状 態 、及 び 付 随 的 作 業 結 果 で あ る 。後 続 の 作 業 条 件 は 、「 移 動 し た 作 業 者 の 位 置 の 状
態 」「 運 搬 し た 部 材 の 位 置 の 状 態 」な ど 後 行 の 作 業 が 必 要 と す る 状 態 で あ り 、そ の 状 態 を 達
成 す る た め の 作 業 を 必 要 と す る 後 行 の 作 業 と す る 。 付 随 的 作 業 結 果 の 状 態 は 、「 騒 音 」「 粉
塵 」「 悪 臭 」な ど が 発 生 し た 状 態 で あ り 、そ れ の 防 止 に 必 要 な 作 業 条 件 を 達 成 す る た め に 必
要とする後行の作業を設定する。
作業者の状態-1
作業条件の検討
達成させる先行の作業-1
部材の状態-1
達成させる先行の作業-2
部位の状態-1
達成させる先行の作業-3
情報の状態-1
作業
作業方法の検討
達成させる先行の作業-4
作業方法‐1
評価項目-1
作業方法-2
評価項目-2
作業方法-3
評価項目-3
作業方法-4
後続の作業条件-1
作業者の状態-2
作業結果の検討
後続の作業条件-2
部材の状態-2
後続の作業条件-3
部位の状態-2
後続の作業条件-4
情報の状態-2
付随的作業結果の状態
発生防止に必要な作業条件
図 .2.1.3
必要とする後行の作業-1
必要とする後行の作業-2
必要とする後行の作業-3
必要とする後行の作業-4
必要とする後行の作業-5
作業のモデル
18
凡例)
:すべての要素を選択する
:1つの要素を選択する
:作業
:作業方法
2.1.3.鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
①建物と作業の概要
作 業 の モ デ ル の 適 用 を 行 う A 工 事 の 建 物 の 概 要 を 表 .2.1.2.に 示 す 。本 工 事 は 、SRC 造 の
地 上 9 階 の 大 学 校 舎 で あ る 。 図 .2.1.4 に は 建 物 の 基 準 階 の 平 面 図 を 示 す 。 図 .2.1.5 に は 建
物 の 北 側 立 面 図 を 示 す 。 図 .2.1.6 に は 建 物 の 東 側 立 面 図 を 示 す 。 実 態 調 査 は 5 階 の 鋼 製 壁
下地取付け作業を対象に行った。
表 .2.1.2
調査を行った A 工事の建物の概要
項目
用途
構造
敷地面積
建築面積
延べ床面積
建物高さ
階数
工事期間
内容
大学校舎
SRC造
109,199.56m2
772.18m2
6,082.07m2
39.1m
地下0階、地上9階、PH1階
1998年9月24日∼1999年12月15日
7,500
7,500
7,500
45,000
7,500
7,500
7,500
8,000
8,000
8,000
8,000
32,000
図 .2.1.4
A 工 事 の 基 準 階 の 平 面 図 (単 位 : mm)
19
34,700
図 .2.1.5
A 工 事 の 建 物 の 北 側 立 面 図 (単 位 : mm)
図 .2.1.6
A 工 事 の 建 物 の 東 側 立 面 図 (単 位 : mm)
39,100
調 査 を 行 っ た 鋼 製 下 地 の 間 仕 切 り 壁 の 平 面 図 を 図 .2.1.7 に 示 す 。 対 象 と し た 壁 の 床 ラ ン
の 長 さ は 107.71m で あ り 、 上 部 ラ ン ナ の 長 さ は 138.11m で あ っ た 。 壁 の 高 さ は 天 井 ス ラ
ブ の 下 の 場 合 は 床 ス ラ ブ ま で 3.64m で あ り 、梁 の 下 の 場 合 は 梁 の 高 さ に よ っ て 床 ス ラ ブ ま
で 2.89m 、 2.94m 、 3.04m で あ っ た 。
鋼 製 壁 下 地 に 用 い た 各 部 材 の 構 成 と 名 称 を 図 .2.1.8 に 示 す 。 部 材 は 亜 鉛 鉄 板 を 用 い て 成
20
形 さ れ た も の で あ り 、 各 部 材 は 工 場 で 長 さ 4m に 予 め 切 断 さ れ 、 現 場 に 搬 入 さ れ た 。 各 部
位の部材の性能及び、取付け作業に関する仕様は日本建築学会の建築工事標準仕様書
(JASS26-内 装 工 事 )に 準 拠 し た 。
Y6
Y5
Y4
7500
Y3
7500
2000
Y2
7500
3935
Y1
7500
7500
3560
3565
3940
4080
X4
教官室
資料室
高速サーバ室
高速計算機室
画像解析室
教官室
3920
8000
教官室
資料室
鉄筋コンクリート壁
鋼製壁下地
X3
8000
研究室
研究室
吹き抜け
X2
4550
女子便所
男子便所
3450
8000
光機能実験室
X1
図 .2.1.7
調 査 の 対 象 と し た 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 部 位 の 平 面 図 (単 位 : mm)
天井スラブ
上部ランナ
天井スラブの高さによって変動
まぐさ
方立て
1,200
振れ止め
スタッド
1,200
床ランナ
450
床スラブ
部材
形状
t
B
スタッド
寸法(A×B×t mm)
単位重量(kg/m)
65 × 45 × 0.8
1.120
67 × 40 × 0.8
0.928
25 × 10 × 1.2
0.384
60 × 30 × 2.3
2.300
A
上部ランナ
t
B
床ランナ
A
t
振れ止め
まぐさ
方立て
図 .2.1.8
B
A
t
B
A
鋼 製 壁 下 地 の 各 部 材 の 構 成 と 名 称 (単 位 : mm)
21
まとまり作業
単位作業の
分類項目
単位作業
作業写真
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリ
ートスラブに打ち付ける
床ランナと上部ランナの間に手に持っ
たスタッド材を差し込む
取付け
スタッドの穴に手に持った振れ止め材
を引き通す
スタッドと方立て材・方立てとまぐさ材
を溶接機を用いてを溶接する
ランナ材・スタッド材・振れ止め材・方立
て材・まぐさ材を円鋸を用いて切断する
加工
スペーサ部品をスタッド材に脚で踏み
付ける
鋼製壁下地
取付け作業
防錆剤を筆を用いて溶接した方立て・
まぐさに塗り付ける
墨壷を用いてコンクリート面に墨出し
をする
計測
レーザー光線を用いて寸法を比較す
る
巻尺を用いて寸法を測る
運搬
ランナ材・スタッド材・振れ止め材・方
立て材・まぐさ材を手で持って運ぶ
移動
床の上を歩く
取外し
図 .2.1.9
スタッドの穴から手で振れ止めを抜き
出す
A 工事の鋼製壁下地取付け作業における単位作業
22
②単位作業の分割
A 工事に おける鋼製 壁下地取付 け作業は 2 人の作業者 が 1 組にな って行った 。作業は躯
体工事が終了した状態で芯墨を基準にランナ取付け位置の寸法を測定し、墨壷を用いてそ
の位置の墨出しをする作業から行った。上部ランナの取付けの場合は、レーザー測定器を
用いて芯墨を天井スラブに映して位置を決め、墨出しを行った。使用する部材は加工を行
う場所に搬入されていたため、運搬作業の測定は加工場所に搬入された状態からの運搬を
対象にした。部材の加工は、長さ寸法の調整のための電動円鋸による切断、スタッド材の
補強のためのスペーサの取付け、溶接した部材の錆を防ぐための防錆剤の塗り付けを行っ
た。取付けは部材ごとに異なる作業方法を用いて行った、ランナ取付けは鋲打ち銃を用い
てコンクリートスラブに打ち付けし、スタッド取付けは上部ランナと床ランナの間に差し
込みした。また、振れ止め取付けはスタッドの穴に引き通しし、まぐさと方立ての取付け
はスタッドに溶接して張り付けをした。
2 人の作業者は作業平面を 2 つに分割して作業を行い、共同作業は上部ランナ取付けに
おける保持のみであった。部材の取付け順序は、先ず上部ランナ材と床ランナ材をスラブ
に取付け、その後ランナの間にスタッド材を差し込んだ。次に、振れ止め材をスタッドの
穴に通して、開口部のスタッドに方立て材を溶接して、方立てにまぐさ材を溶接して取付
ける順に行った。
作業分割は鋼製壁下地取付け作業をまとまり作業とし、単位作業のレベルまでに行った。
A 工 事 の 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 作 業 分 割 は 図 .2.1.9 に 示 す 如 く 、 取 付 け 、 加 工 、 計 測 、
運搬、移動、取外しの単位作業の分類項目に基づいて行った。
③作業のモデルの作成
単位作業の分類項目である取付け・加工・運搬・計測・移動・取外しに基づいて分割し
た鋼製壁下地取付け作業の単位作業のモデルを作成し、その結果を以下の項目に示す。
A.取 付 け
取付けにおける「ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける」に対
し て 作 成 し た 作 業 の モ デ ル を 図 .2.1.10 に 示 す 。図 に 示 す 如 く 、作 業 条 件 は 、取 付 け を 行 う
た め に 必 要 と す る 「 作 業 者 」「 部 材 」「 情 報 」 の 状 態 で あ る 。 作 業 者 の 状 態 は 、 取 付 け を 行
うことが可能である位置に作業者が居る状態であり、それを達成させる先行の作業は「取
付けの位置に作業者が移動する」である。部材の状態は、取付ける部位に適した属性の状
態を有し、取付けを行う作業者の手に届く距離にある位置の状態である。属性の状態を満
足させる先行の作業は「属性を満足する部材を加工する」であり、位置の状態を満足させ
23
る先行の作業は「取付けの位置に部材を運搬する」である。情報の状態は、取付けるの部
位に対する位置及び、取付け部位に必要とする部材の寸法であり、それを満足させる先行
の 作 業 は 「 部 材 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」「 取 付 け の 位 置 の 情 報 を 計 測 す る 」 で あ る 。
作 業 方 法 は 、「 部 材 の 性 質 に 適 合 で あ る 」、「 作 業 を 行 う 上 で 安 全 で あ る 」、「 動 き が 省 力
である」を評価項目とし、ランナをコンクリートスラブに取付けるために用いることが可
能な 9 つの作業方法を代替案として採りあげて示した。
作 業 結 果 は 、 取 付 け を 行 っ た 後 の 「 作 業 者 」「 部 位 」「 情 報 」「 付 随 的 作 業 結 果 」 の 状 態
である。作業者の状態は、取付けを行った位置に作業者が居る状態であり、後続の作業条
件が「運搬の位置の作業者」の状態である場合、それに必要とする後行の作業は「運搬の
位置に作業者が移動する」である。部位の状態は、取付けられた部位の状態であり、後続
の 作 業 条 件 が「 現 在 の 状 態 で は な い 部 位 」で あ る 場 合 、そ れ に 必 要 と す る 後 行 の 作 業 は「 部
位を取外す」である。情報の状態は、取付けられた部位と取付けた部材の属性に関する情
報であり、後続の作業条件が「部位の属性の情報」と「部材の属性の情報」である場合、
それに必要とする後行の作業は「取付けの位置の情報を計測する」と「部材の属性の情報
を計測する」である。付随的作業結果の状態は、取付けを行った際発生する音であり、後
続の作業条件が「音が漏れない作業場」である場合、それに必要とする後行の作業は「防
音装置を取付ける」である。
取付けの位置の作業者
作業条件の検討
取付けの位置に作業者が移動する
部位の属性に満足する部材
属性を満足する部材を加工する
取付けの位置の部材
取付けの位置に部材を運搬する
部材の属性の情報
部材の属性の情報を計測する
部位の属性の情報
ランナ
材を鋲
打ち銃
作業方法
を用い
の検討
てコン
クリート
スラブ
に打ち
付ける
部材の性質に
適合である
取付けの位置の情報を計測する
(例:手でランナ材を持って取付け位置に運ぶ)
(例:巻尺を用いてランナ材の寸法を測る)
(例:墨壷を用いて取付け位置を墨出しする)
連結部品の圧力を用いて締め付ける
(例:ランナを床に固定したアンカーボルトにナットで締め付ける)
(例:ランナを床に固定したクリップに押し付ける)
接着材の接着力を用いて張り付ける
作業を行う上で
安全である
(例:ランナに接着材を塗って床に張付ける)
(例:床ランナをビスで床に打ち付ける)
部材の自重を用いて据え置く
(例:ランナに磁気を持たせて床に据え置く)
部材の自重を留めて掛け置く
(例:ランナに穴を空けて天井の吊りボルトに掛け置く)
部材の圧力に対する塑性を用いて押し込む
部材の回転力に対する塑性を用いて回し込む
部材の摩擦力を用いて叩き込む
取付けを行った位置の作業者
作業結果の検討
(例:円鋸を用いてランナ材を切り離す)
連結部品を反発力を用いて押し付ける
連結部品の摩擦力を用いて打ち付ける
動きが省力で
ある
(例:ランナ材の取付け位置まで歩く)
取付けられた部位
取付けられた部位の属性の情報
取付けた部材の属性の情報
取付けを行った際に発生する音
運搬の位置の作業者
現在の状態ではない部位
部位の属性の情報
部材の属性の情報
音が漏れない作業場
(例:ランナを床に設けた溝に押し込む)
(例:ボルトを付着したランナを床に固定したナットに回し込む)
(例:釘を付着したランナを床に叩き込む)
運搬の位置に作業者が移動する
部位を取外す
取付けの位置の情報を計測する
(例:ランナ材の置き場の位置まで歩く)
(例:取付けたランナを手で取外す)
(例:巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る)
部材の属性の情報を計測する
(例:巻尺を用いてランナ材の寸法を測る)
防音装置を取付ける
(例:作業場の開口部に防音幕を取付ける)
凡例)
:すべての要素を選択する
:1つの要素を選択する
:作業
:作業方法
図 .2.1.10「 ラ ン ナ を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」 の 作 業 の モ デ ル
24
B.加 工
加工における「ランナ材を円鋸を用いて切断する」に対して作成した作業のモデルを
図 .2.1.11 に 示 す 。図 に 示 す 如 く 、作 業 条 件 は 、加 工 を 行 う た め に 必 要 と す る「 作 業 者 」「 部
材 」「 情 報 」の 状 態 で あ る 。そ れ を 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 は「 加 工 の 位 置 に 作 業 者 が 移 動 す
る 」「 加 工 の 位 置 に 部 材 を 運 搬 す る 」「 部 材 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」「 加 工 寸 法 の 情 報 を
計測する」である。
作 業 方 法 は 、「 部 材 の 性 質 に 適 合 で あ る 」、「 作 業 を 行 う 上 で 安 全 で あ る 」、「 動 き が 省 力
である」を評価項目とし、ランナを切断するために用いることが可能な 6 つの作業方法を
代替案として採りあげて示した。
作 業 結 果 は 、 加 工 を 行 っ た 後 の 「 作 業 者 」「 部 材 」「 情 報 」「 付 随 的 作 業 結 果 」 の 状 態 で
ある。その状態を後続の作業条件の状態にする場合に必要とする後行の作業は「取付けの
位 置 に 作 業 者 が 移 動 す る 」「 取 付 け の 位 置 に 部 材 を 運 搬 す る 」「 取 付 け の 位 置 の 情 報 を 計 測
す る 」「 部 材 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」「 鉄 屑 を 収 集 場 ま で 運 搬 す る 」 で あ る 。
加工の位置の作業者
加工の位置に作業者が移動する
加工の位置の部材
作業条件の検討
部材の属性の情報
部位の属性の情報
部材の性質
に適合である
ランナ
材を円
鋸を用
いて切
断する
作業方法
の検討
(例:円鋸の位置まで歩く)
加工の位置に部材を運搬する
(例:手でランナ材を持って円鋸の位置まで歩く)
部材の属性の情報を計測する
(例:巻尺を用いてランナ材の寸法を測る)
加工寸法の情報を計測する
部材に引力を与えて引き離す
(例:ランナ材を取付け位置に当てて切断位置を測る)
(例:ペンチでランナ材を引き離す)
部材に引力を与えて引き伸ばす
(例:熱を加えてランナ材を引き伸ばす)
作業を行う上
で安全である
部材に化学反応を与えて溶かす
(例:溶剤を塗ってランナ材を溶かす)
部材に圧力を与えて切り離す
(例:カッターでスタッドを切り離す)
動きが省力で
ある
部材に圧力を与えて押し曲げる
(例:手でスタッド材を押し曲げる)
部材に圧力を与えて押し縮める
(例:プレス機でランナ材を押し縮める)
加工を行った位置の作業者
加工を行った部材
作業結果の検討
部位の属性の情報
加工した部材の属性の情報
加工を行った位置の鉄屑
取付けの位置の作業者
取付けを行う位置の部材
部位の属性の情報
部材の属性の情報
取付けの位置に作業者が移動する
(例:手でランナ材を持って取付け位置まで運ぶ)
取付けの位置の情報を計測する
(例:巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る)
部材の属性の情報を計測する
鉄屑がない作業場
(例:ランナ材の取付け位置まで歩く)
取付けの位置に部材を運搬する
鉄屑を収集場まで運搬する
(例:巻尺を用いてランナ材の寸法を測る)
(例:ランナ材の切り落としを袋に入れて運ぶ)
凡例)
図 .2.1.11
:すべての要素を選択する
:1つの要素を選択する
:作業
:作業方法
「ランナ材を円鋸を用いて切断する」の作業のモデル
C.運 搬
運 搬 に お け る 「 ラ ン ナ 材 を 手 で 持 っ て 運 ぶ 」 に 対 し て 作 成 し た 作 業 の モ デ ル を 図 .2.1.12
に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 作 業 条 件 は 、 加 工 を 行 う た め に 必 要 と す る 「 作 業 者 」「 部 材 」「 情
報 」の 状 態 で あ る 。そ れ を 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 は「 運 搬 の 位 置 に 作 業 者 が 移 動 す る 」「 運
搬 の 位 置 に 部 材 を 運 搬 す る 」「 部 材 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」「 部 材 の 位 置 の 情 報 を 計 測 す
る」である。
作 業 方 法 は 、「 部 材 の 性 質 に 適 合 で あ る 」、「 作 業 を 行 う 上 で 安 全 で あ る 」、「 動 き が 省 力
25
である」を評価項目とし、ランナを運ぶために用いることが可能な 9 つの作業方法を代替
案として採りあげて示した。
作 業 結 果 は 、 運 搬 を 行 っ た 後 の 「 作 業 者 」「 部 材 」「 情 報 」 の 状 態 で あ る 。 そ の 状 態 を 後
続の作業条件の状態にする場合に必要とする後行の作業は「加工の位置に作業者が移動す
る 」「 属 性 を 満 足 す る 部 材 を 加 工 す る 」「 加 工 寸 法 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」「 取 付 け の 位
置の情報を計測する」である。
運搬の位置の作業者
運搬の位置に作業者が移動する
運搬の位置の部材
作業条件の検討
運搬の位置に部材を運搬する
部材の属性の情報
部材の位置の情報
部材の性質に
適合である
ランナ
材を手
で持っ
て運ぶ
作業方法
の検討
作業を行う上
で安全である
動きが省力で
ある
(例:搬送車両でランナ材を材料置き場まで運ぶ)
部材の属性の情報を計測する
(例:手に持つことが出来るランナ材の本数を計量する)
部材の位置の情報を計測する
(例:ランナ材を運ぶ位置を目視で測る)
腕の関節を曲げて手に持ち曲げる
(例:ランナ材を手に持ち腕の関節を曲げる)
腕の関節を伸ばして手に持ち伸ばす
(例:ランナ材を手に持ち手の関節を伸ばす)
水平方向へ手に持ち歩く
(例:手でランナ材を持ち床の上を歩く)
下方の方向へ手に持ち下りる
(例:手でランナ材を持ち脚立を上がる)
上方の方向へ手に持ち上がる
(例:手でランナ材を持ち脚立を下りる)
車両に乗せて前方の方向へ押し進める
(例:ランナ材を台車の乗せて手で押し進める)
車両に乗せて後方の方向へ引き寄せる
(例:ランナ材を台車に乗せて手で引き寄せる)
連結材を用いて上方の方向へ吊り上げる
(例:ランナ材にロープを引っ掛けて吊り上げる)
連結材を用いて下方の方向へ吊り下げる
(例:ランナ材をロープを引っかけて吊り下げる)
運搬を行った位置の作業者
作業結果の検討
(例:ランナ材の位置まで歩く)
運搬を行った位置の部材
運搬した部材の属性の情報
運搬した部材の位置の情報
加工の位置の作業者
部位の属性に満足する部材
部材の属性の情報
部位の位置の情報
加工の位置に作業者が移動する
属性を満足する部材を加工する
加工寸法の情報を計測する
取付けの位置の情報を計測する
(例:円鋸の位置まで歩く)
(例:ランナ材を円鋸を用いて切断する)
(例:巻尺を用いて切断位置の寸法を記す)
(例:ランナ材を取付ける位置を記す)
凡例)
図 .2.1.12
:すべての要素を選択する
:1つの要素を選択する
:作業
:作業方法
「ランナ材を手で持って運ぶ」の作業のモデル
D.計 測
計 測 に お け る「 巻 尺 を 用 い て 寸 法 を 測 る 」に 対 し て 作 成 し た 作 業 の モ デ ル を 図 .2.1.13 に
示 す 。図 に 示 す 如 く 、作 業 条 件 は 、計 測 を 行 う た め に 必 要 と す る「 作 業 者 」「 情 報 」の 状 態
で あ る 。そ れ を 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 は「 計 測 の 位 置 に 作 業 者 が 移 動 す る 」「 部 位 の 属 性 の
情 報 を 計 測 す る 」「 部 材 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」 で あ る 。
作 業 方 法 は 、「 部 材 の 性 質 に 適 合 で あ る 」、「 作 業 を 行 う 上 で 安 全 で あ る 」、「 動 き が 省 力
である」を評価項目とし、寸法を測るために用いることが可能な 7 つの作業方法を代替案
として採りあげて示した。
作 業 結 果 は 、 計 測 を 行 っ た 後 の 「 作 業 者 」「 情 報 」 の 状 態 で あ る 。 そ の 状 態 を 後 続 の 作
業 条 件 の 状 態 に す る 場 合 に 必 要 と す る 後 行 の 作 業 は「 運 搬 の 位 置 に 作 業 者 が 移 動 す る 」「 目
標 の 情 報 を 計 測 す る 」「 経 路 の 情 報 を 計 測 す る 」 で あ る 。
26
計測の位置の作業者
作業条件の検討
計測の位置に作業者が移動する
部位の属性の情報
部材の属性の情報
(例:設計図書から計測する部位を読み取る)
部材の属性の情報を計測する
(例:設計図書から計測する部材を確認する)
性質に関する情報を設計図書から読み取る
作業方法
の検討
巻尺を
用いて
寸法を
測る
(例:床ランナの位置まで歩く)
部位の属性の情報を計測する
(例:ランナ材の材質を仕様書から読み取る)
情報の形式に
適合である
性質に関する情報を目視で判断する
(例:スタッド材の歪みを目視で判断する)
形に関する情報を比較して分別する
(例:スタッド材を同じ長さに分別する)
作業を行う上で
安全である
形に関する情報を計測する
位置に関する情報を計測する
動きが省力
である
位置に関する情報を目視で比較する
位置に関する情報を記す
運搬の位置の作業者
計測を行った位置の作業者
作業結果の検討
移動の目標の情報
計測した部材の属性の情報
移動の経路の情報
計測した部位の属性の情報
(例:スタッド材の長さを巻尺で測る)
(例:床からスラブまでの高さを巻尺で測る)
(例:取付け部位とスタッドの長さを比較する)
(例:床にランナ取付け位置を墨出しする)
運搬の位置に作業者が移動する
(例:ランナ材の位置まで歩く)
目標の情報を計測する
(例:ランナ材までの距離を目視で計測する)
経路の情報を計測する
(例:床の上の障害物の位置を目視で計測する)
凡例)
図 .2.1.13
:すべての要素を選択する
:1つの要素を選択する
:作業
:作業方法
「巻尺を用いて寸法を測る」の作業のモデル
E.移 動
移 動 に お け る「 床 の 上 を 歩 く 」に 対 し て 作 成 し た 作 業 の モ デ ル を 図 .2.1.14 に 示 す 。図 に
示 す 如 く 、作 業 条 件 は 、移 動 を 行 う た め に 必 要 と す る「 作 業 者 」「 情 報 」の 状 態 で あ る 。そ
れ を 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 は 「 移 動 の 位 置 に 作 業 者 が 移 動 す る 」「 目 標 の 情 報 を 計 測 す る 」
「経路の情報を計測する」である。
作 業 方 法 は 、「 部 材 の 性 質 に 適 合 で あ る 」、「 作 業 を 行 う 上 で 安 全 で あ る 」、「 動 き が 省 力
である」を評価項目とし、移動するために用いることが可能な 5 つの作業方法を代替案と
して採りあげて示した。
作 業 結 果 は 、 移 動 を 行 っ た 後 の 「 作 業 者 」「 情 報 」 の 状 態 で あ る 。 そ の 状 態 を 後 続 の 作
業 条 件 の 状 態 に す る 場 合 に 必 要 と す る 後 行 の 作 業 は「 計 測 の 位 置 に 作 業 者 が 移 動 す る 」「 部
位 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」「 部 材 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」 で あ る 。
移動の位置の作業者
作業条件の検討
移動の位置に作業者が移動する
移動の目標の情報
移動の経路の情報
床の
上を
歩く
作業方法の
検討
目標の位置に
適合である
(例:床の上の障害物の位置を目視で計測する)
腕の間接を曲げて手を曲げる
動きが省力で
ある
移動を行った位置の作業者
作業結果の検討
(例:ランナ材までの距離を目視で計測する)
経路の情報を計測する
腕の関節を伸ばして手を伸ばす
作業を行う上
で安全である
計測した目標の情報
計測した経路の情報
(例:設計図書の位置まで歩く)
目標の情報を計測する
(例:手を伸ばしてランナ材を掴む)
(例:手を曲げてランナ材を掴む)
水平方向へ歩く
(例:床の上を歩く)
上方の方向へ上る
(例:はしごを上る)
下方の方向へ下りる
(例:脚立を下りる)
計測の位置の作業者
部位の属性の情報
部材の属性の情報
計測の位置に作業者が移動する
(例:ランナの取付けの部位まで歩く)
部位の属性の情報を計測する
(例:ランナ取付け部位の位置を確認する)
部材の属性の情報を計測する
(例:取付けるランナ部材を選択する)
凡例)
図 .2.1.14
「床の上を歩く」の作業のモデル
27
:すべての要素を選択する
:1つの要素を選択する
:作業
:作業方法
F.取 外 し
取外しにおける「スタッドの穴から手で振れ止めを抜き出す」に対して作成した作業の
モ デ ル を 図 .2.1.15 に 示 す 。図 に 示 す 如 く 、作 業 条 件 は 、取 外 し を 行 う た め に 必 要 と す る「 作
業 者 」「 情 報 」の 状 態 で あ る 。そ れ を 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 は「 取 外 し の 位 置 に 作 業 者 が 移
動 す る 」「 部 位 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」 で あ る 。
作 業 方 法 は 、「 部 材 の 性 質 に 適 合 で あ る 」、「 作 業 を 行 う 上 で 安 全 で あ る 」、「 動 き が 省 力
である」を評価項目とし、取外すために用いることが可能な 4 つの作業方法を代替案とし
て採りあげて示した。
作 業 結 果 は 、 移 動 を 行 っ た 後 の 「 作 業 者 」「 情 報 」「 部 材 」 の 状 態 で あ る 。 そ の 状 態 を 後
続の作業条件の状態にする場合に必要とする後行の作業は「計測の位置に作業者が移動す
る 」「 部 位 の 属 性 の 情 報 を 計 測 す る 」「 加 工 の 位 置 に 部 材 を 運 搬 す る 」 で あ る 。
取外しを行う位置の作業者
作業条件の検討
スタッド
の穴か
ら手で
振れ止
めを抜
き出す
作業方法
の検討
部位の属性の情報
目標の位置に
適合である
取外しの位置に作業者が移動する
部位の属性の情報を計測する
締め付けた連結部品を取り除く
作業を行う上
で安全である
接着された部材を取り剥がす
動きが省力で
ある
押し込まれた部材を抜き出す
据え置いた部材を取り離す
取外しを行った位置の作業者
作業結果の検討
部位の属性の情報
取外された部材
(例:取外す振れ止めの位置まで歩く)
(例:取外す振れ止めの長さを目視で測る)
(例:切断機で打ち付けた釘を取り除く)
(例:カッターで張り付けた接着剤を取り剥がす)
(例:手で据え置いた振れ止めを取り離す)
(例:ペンチで押し込んだ振れ止めを抜き出す)
計測の位置の作業者
部位の属性の情報
加工の位置の部材
計測の位置に作業者が移動する
(例:取外した部位まで歩く)
部位の属性の情報を計測する
(例:巻尺を用いて取外した部位の寸法を測る)
加工の位置に部材を運搬する
(例:振れ止め材を手に持って円鋸まで歩く)
凡例)
図 .2.1.15
:すべての要素を選択する
:1つの要素を選択する
:作業
:作業方法
「スタッドの穴から手で振れ止めを抜き出す」の作業のモデル
2.1.4.結
作業方法の選定における、作業のモデル化の必要性を指摘し、作業を「単位作業」のレ
ベルで分割してモデルを作成することを提案した。
作 業 の 要 素 と し て 、作 業 の 主 体 で あ る「 作 業 者 」、作 業 の 対 象 で あ る 部 位 を 構 成 す る「 部
材 」、 取 付 け ら れ た 部 材 で あ る 「 部 位 」、 部 位 と 部 材 の 位 置 ・ 属 性 に 対 す る 「 情 報 」 を 定 義
し、その事例を示した。
作 業 に お け る 、作 業 を 実 行 す る た め に 必 要 で あ る 作 業 の 要 素 の 状 態 で あ る「 作 業 条 件 」、
作 業 を 実 行 す る 具 体 的 な 作 業 手 段 で あ る「 作 業 方 法 」、作 業 の 実 行 に よ っ て 発 生 す る 作 業 の
要素の状態である「作業結果」を定義し、その事例を示した。
以上で定義した各項目を用いて作業のモデルを作成するための考え方を示し、その手順
を 提 案 し た 。( 図 .2.1.1 参 照 )
28
作 業 の モ デ ル は 以 下 に 示 す 3 つ の 部 分 に よ っ て 順 序 関 係 を 決 定 す る こ と を 提 案 し 、そ れ
を表現するモデルを提案した。
①
「 作 業 条 件 の 検 討 」: 作 業 の 要 素 の 状 態 を 達 成 さ せ る た め に 必 要 と す る 作 業 を 検 討 し 、
達成させる先行の作業とする。
②
「作業方法の検討」
:評 価 項 目 を 選 択 の 基 準 と し て 、作 業 の 要 素 の 状 態 か ら 発 想 し た 作
業方法を代替案とする。
③
「作業結果の検討」
:作 業 の 実 行 に よ っ て 発 生 す る 作 業 の 要 素 の 状 態 と 後 続 の 作 業 条 件
に必要とする作業を検討し、必要とする後行の作業とする。
作業のモデルによって、作業間の順序関係及び、作業方法の選定のための評価項目と代
替 案 を 表 現 す る こ と が 可 能 で あ る こ と を 提 案 し た 。( 図 .2.1.3 参 照 )
鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 実 態 調 査 を 行 い( 図 .2.1.9 参 照 )、そ の 結 果 に よ り 、以 下
の作業における作業のモデルの作成結果を示した。
①
「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」( 図 .2.1.10 参 照 )
②
「 ラ ン ナ 材 を 円 鋸 を 用 い て 切 断 す る 」( 図 .2.1.11 参 照 )
③
「 ラ ン ナ 材 を 手 で 持 っ て 運 ぶ 」( 図 .2.1.12 参 照 )
④
「 巻 尺 を 用 い て 寸 法 を 測 る 」 図 .2.1.13 参 照 )
⑤
「 床 の 上 を 歩 く 」( 図 .2.1.14 参 照 )
⑥
「 ス タ ッ ド の 穴 か ら 手 で 振 れ 止 め を 抜 き 出 す 」( 図 .2.1.15 参 照 )
以上の作業のモデルを実測した作業と比較検討の結果、提案したモデルは単位作業を実
行するために検討すべき条件と結果を明確にするともに、それによって各作業の順序関係
を表現できることを明らかにした。また、作業方法の選定に必要な評価項目と代替案の内
容を体系的に表現することを確認した。
29
2.2.機 能 抽 出 と 機 能 展 開 を 用 い た 作 業 方 法 の 発 想
2.2.1.作 業 プ ロ セ ス に お け る 機 能 抽 出 と 機 能 展 開
作業計画における作業方法の選定は、作業を行う専門工事業者が経験と知識の範囲で行
う場合が多く、計画者は実行する作業の内容を事前確認する段階に留まっている。その理
由として、現在使用されている作業方法を評価して代替案を簡単に発想するための方法が
ないことを挙げられる。その結果、作業計画の段階において作業方法に対する検討が十分
行われない、新しい部材や工法の開発に伴う作業方法の検討は作業を実施した結果に基づ
いて行うといった問題点が発生する。そのため、作業の実行に用いることが可能な作業方
法の代替案を網羅的に発想するための方法が必要である。
既存における代替案となる作業方法の発想手段は、作業を機能として捉えて果たすべき
目 標 を 追 求 す る VE 手 法 、 作 業 を 機 能 と し て 捉 え て 存 在 目 的 を 追 求 す る ワ ー ク デ ザ イ ン 手
法 、 主 に 物 の 改 善 に 対 し て 問 題 の 定 義 と 問 題 の 解 決 か ら な る 発 明 の 原 理 を 用 い る TRIZ 手
法などが挙げられる。
本研究では、作業の目的を達成するための新たな作業方法の発想を支援するための方法
の提案とその適用性の検討を目的とする。そこで、機能抽出を用いて作業を「機能」とい
う側面から捉えて、それが果たすべき目的を明確化する。さらに、抽出した「機能」から
機能展開を行い、より広い範囲の概念を持つ抽象化した「機能」を求める。そこから再び
展 開 し た「 機 能 」を 実 態 と し て 捉 え 、具 体 化 を 行 う こ と に よ り 新 た な 作 業 方 法 を 発 想 す る 。
尚 、「 機 能 」と は 、計 画 者 や 作 業 者 が 意 図 す る 作 業 の 特 定 の 働 き・役 割・目 的・作 用 で あ る 。
2.2.2.機 能 抽 出 と 機 能 展 開 の 方 法
①機能抽出
作業における機能抽出は、作業の機能を網羅的に採りあげるために、作業結果及び、付
随的作業結果の二つの側面に関する資料・データに基づいて行う。即ち、作業結果を分析
することによって作業における基本的な機能を抽出し、付随的作業結果の問題点を分析す
ることによって作業における二次的な機能を抽出する。
A.作 業 結 果 に 基 づ く 機 能 抽 出
作業のモデルを作成して明らかにした作業条件から作業に求められている機能を抽出
し、作業によって発生する作業結果の状態を具体的に定義する。状態の機能は、その状態
が果たす必要である「正の機能」と果たす必要ではない「負の機能」に分けて抽出する。
作 業 結 果 に 基 づ く 機 能 抽 出 の 手 順 は 図 .2.2.1 に 示 す 如 く 、 作 業 の モ デ ル を 作 成 し て 作 業
の順序関係を明確にする。作業を実行するための状態を達成させる先行の作業に求められ
30
る機能を抽出する。作業結果の状態を具体的に定義する。定義した状態から、作業が果た
すべき状態をその目的に照らし合わせ、目的に必要な正の機能と目的に必要ではない負の
機能を抽出する。
手順1
作業のモデルを作成して作業の順序関係を明確にする
手順2
達成させる先行の作業の機能を抽出する
手順3
作業結果の状態を具体的に定義する
手順4
定義した状態から正の機能と負の機能を抽出する
図 .2.2.1
作業結果に基づく機能抽出の手順
作 業 結 果 に 基 づ く 機 能 抽 出 の 概 念 を 図 .2.2.2 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 実 行 す る 対 象 の 作
業 を「 作 業 」に し 、「 作 業 」の 作 業 条 件 の 状 態 を 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 を「 達 成 さ せ る 先 行
の 作 業 − 1」 と 「 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 − 2」 に し た 場 合 、 そ の 作 業 の 機 能 は 「 抽 出 し た 機
能 − 1」「 抽 出 し た 機 能 − 2」「 抽 出 し た 機 能 − 3」で あ る 。作 業 結 果 の 状 態 を 、「 作 業 結 果 の
状 態 − 1 」「 作 業 結 果 の 状 態 − 2 」「 作 業 結 果 状 態 − 3 」 に し た 場 合 、 そ の 状 態 に つ い て 果 た
す必要である「正の機能」と果たす必要ではない「負の機能」を抽出する。
抽出した機能ー1
達成させる先行の作業−1
作業結果の状態-1
正 抽出した正の機能ー1
負 抽出した負の機能ー1
抽出した機能ー2
作業
達成させる先行の作業−2
作業結果の状態-2
正
抽出した正の機能ー2
負
抽出した負の機能ー2
抽出した機能ー3
作業結果の状態-3
図 .2.2.2
正
抽出した正の機能ー3
負
抽出した負の機能ー3
作業結果に基づく機能抽出の概念
B.付 随 的 作 業 結 果 の 問 題 点 に 基 づ く 機 能 抽 出
作業の実行によって発生する付随的作業結果の問題点の起因は「外的要因」と「内的要
因 」に 大 別 す る 。「 外 的 要 因 」と は 、作 業 に お い て 守 る べ き 外 的 な 作 業 条 件 に 起 因 し て 生 じ
るものであり、その要因そのものを無くしたり、回避したりすることはできない。具体的
に は 、自 然 条 件 (地 形 や 地 盤 や 気 候 な ど )、環 境 条 件 (近 隣 公 害 や 交 通 規 制 な ど )、発 注 条 件 (契
約 内 容 や 契 約 者 か ら の 要 求 な ど )、 法 的 条 件 (法 規 制 や 官 庁 か ら の 要 求 な ど )が あ る 。
「内的要因」とは、作業における諸活動に起因して生じるものであり、作業プロセスの
31
中 で 制 御 可 能 な 要 因 で あ る 。 具 体 的 に は 、 管 理 条 件 (品 質 や 原 価 や 工 程 な ど )、 生 産 資 源 条
件 (労 務 や 材 料 や 機 械 な ど )が あ る 。
付 随 的 作 業 結 果 の 問 題 点 に 基 づ く 機 能 抽 出 の 手 順 は 図 .2.2.3 に 示 す 如 く 、 問 題 を 起 こ す
「外的要因」と「内的要因」に従って作業結果に伴う問題点を列挙することによって問題
が生じる発生原因を明確にする。発生原因は構文に表し、発生しない状態に変換する。そ
の状態を作業条件とする作業を採りあげ、その機能を抽出する。また、作業によって発生
する作業結果の状態の機能については「正の機能」と「負の機能」に抽出する。
手順1
付随的作業結果の外的要因と内的要因を明確にする
手順2
付随的作業結果の発生原因の状態を構文で表す
手順3
発生原因の構文を発生しない状態に変換する
手順4
発生しない状態を作業条件とする解決のための作業を採りあげる
手順5
手順4の作業の機能を抽出する
手順6
手順4の作業結果の状態を具体的に定義する
手順7
定義した状態から正の機能と負の機能を抽出する
図 .2.2.3
付随的作業結果の問題点に基づく機能抽出の手順
抽出した機能ー1
発生原因―1
発生しない状態ー1
解決のための
作業−1
作業結果の状態
−1
正
抽出した正の機能ー1
負
抽出した負の機能ー1
抽出した機能ー2
付随的作
業結果
発生原因―2
発生しない状態ー2
解決のための
作業−2
作業結果の状態
−2
正
抽出した正の機能ー2
負
抽出した負の機能ー2
抽出した機能ー3
発生原因―3
図 .2.2.4
発生しない状態ー3
解決のための
作業−3
作業結果の状態
−3
正
抽出した正の機能ー3
負
抽出した負の機能ー3
付随的作業結果の問題点に基づく機能抽出の概念
付 随 的 作 業 結 果 の 問 題 点 に 基 づ く 機 能 抽 出 の 概 念 を 図 .2.2.4 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 発
生 し た 付 随 的 作 業 結 果 に 対 し て 、 そ の 問 題 点 の 原 因 を 「 発 生 原 因 − 1 」、「 発 生 原 因 − 2 」、
「 発 生 原 因 − 3」 と す る 。 各 発 生 原 因 に 対 し て 構 文 の 語 尾 を 反 意 語 へ と 変 換 し 、「 発 生 し な
い 状 態 」を 作 成 す る 。問 題 が 発 生 し な い 状 態 を 達 成 す る た め の 作 業 を「 解 決 の た め の 作 業 」
と す る 。「 解 決 の た め の 作 業 」 が 果 た す 機 能 を 「 抽 出 し た 機 能 」 と す る 。「 解 決 の た め の 作
業 」の 実 行 に よ っ て 発 生 す る 状 態 を「 作 業 結 果 の 状 態 」と し 、「 作 業 結 果 の 状 態 」を 正 の 状
32
態と負の状態に分類し、各状態の機能について「抽出した正の機能」と「抽出した負の機
能」を抽出する。
②機能展開
機能抽出を行い、作業の実態を抽象的な側面から捉えた機能を含むより広範囲な機能を
定義するための方法が機能展開である。機能展開は、抽出した作業の機能に対してより上
位 の 概 念 を 持 つ 機 能 を 「 作 業 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 」「 表 現 文 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 」
「 部 材 に 対 す る 形 状 の 抽 象 化 」「 部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化 」「 構 文 に 対 す る 類 似 構 文 の 検
索」の 5 つの方法を用いて抽出する。抽出した機能から、その機能を満足させる関連作業
の実施例などの参照によって再び実態としての作業を導き、多くの代替案の発想を行う。
機能展開に用いる 5 つの方法の内容を以下の項目に記す。
A.作 業 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求
作 業 が 何 の 目 的 の た め に 存 在 す る か を 追 求 す る 。 抽 出 し た 作 業 の 機 能 に 対 し て 「な ぜ そ
の 機 能 が 必 要 な の か ? 」を 順 次 繰 り 返 し 問 い 掛 け る こ と に よ り 、そ の 機 能 が 果 た せ ね ば な ら
ない上位の機能を明らかにし、それを達成する作業を発想する方法であり、ワークデザイ
ンにおいても使用される方法である。
B.表 現 文 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求
機能を表現する用語及び、動詞について上位の機能を表現する。機能を表す構文を「部
材 」、「 部 位 」及 び 、「 手 段 」を 表 す 単 語 に 分 類 し 、各 単 語 が 意 味 す る 内 容 を 含 む よ り 広 範 囲
の概念を持つ単語を探して入れ替えることによって上位の機能の構文を作成し、各段階に
応じた作業を発想する方法である。
C.部 材 に 対 す る 形 状 の 抽 象 化
作 業 に 関 連 す る 部 材 を 形 状 で 表 現 す る 。作 業 に 用 い る 部 材 を「 点 状 」、「 線 状 」、「 面 状 」、
「立体状」の 4 つの形状に抽象化し、形状特有の典型的な作業の機能に展開する方法であ
る。作業において扱われる部材の形状によって、作業が大きく影響を受けることに着目し
た 方 法 で あ る 。 4 つ の 形 状 に 分 類 し た 部 材 の 結 合 は 、 図 2.2.5 に 示 す 如 く 、 隣 接 ・ 統 合 ・
交 差 ・ 連 接 ・ 突 起 の 結 合 形 式 を 有 す る 。 図 .2.2.6 に 各 形 状 の 結 合 形 式 に 対 応 し た 作 業 事 例
の一覧を示す。表に示す如く、形状によって展開した機能から結合形式ごとに纏められた
作業の事例を用いて作業の発想を行う。
33
点状
隣接
上下
横
点と点が隣接する(例:ボルトに取付け金具を
溶接する、断熱材を接着材で接着する)
点状
統合
点と点が統合する(例:モルタルと骨材を入れ
込む、コンクリートに混和材料を混ぜる)
統合
点と立体を統合する(例:プレキャスト柱にモルタル
を流し込む、型枠の中にコンクリートを流し込む)
隣接
横
立体状
隣接
先端
上下
線状
点と線が隣接する(例:天井の軽鉄野縁にク
リップを取付ける、軽鉄のスタッド材にスペー
サを取付ける)
上下
隣接
横
点と面が隣接する(例:合板に塗料を塗る、石
膏ボードにパテを塗る)
線と立体が隣接する(例:鉄骨柱にレールを溶接す
る、コンクリート壁に木造下地材を取付ける)
面状
統合
統合
統合
点と線が統合する(例:振れ止めに錆び止めを塗
る、吊りボルトの先端にハンガーを溶接する)
点と面が統合する(例:石膏ボードに接着材を
塗る、ラスの上に耐火被服を吹き付ける)
線と立体が結合する(例:、床コンクリートに鉄筋を
埋め込む、コンクリートに目地を埋め込む)
隣接
交差
隣接
面と面が隣接する(例:石膏ボードに壁紙を接
着する、床合板の上に化粧板を張る)
線と線が隣接する(例:床鉄筋を結束線で結束
する、間柱と方立てを釘で打ちつける)
統合
線状
統合
突起
立体の面に線が突起する(例:コンクリート基礎
にアンカーボルトを埋め込む、コンクリート床に
方立てを埋め込む)
面と面が統合する(例:アスファルトフェルトを重
ね合わせる、デッキプレートを重ね合わせる)
線と線が統合する(例:間柱と間柱を釘で打ち付け
る、カーテンウォールのレール間を溶接する)
線と立体が交差する(例:大引きに連結用ボルトを
入れ込む、コンクリート柱に手摺りを引き通す)
横
交差
交差
隣接
面と面が交差する(例:間仕切り壁に天井板を
引き通す)
上下
面と線が隣接する(例:石膏ボードに軽鉄下地
を取付ける、床スラブに根太を取付ける)
線状
線と線が交差する(例:スタッドに振れ止めを打ち
付ける、鋼線の筋交いを円形金物で固定する)
面状
統合
連接
連接
面と面が連接する(例:金属板を目地で繋ぐ、
板ガラスを接着剤で接着する)
面状
面と線が統合する(例:カラス板に張り金を入れ
る、金属板に鋼材を溶接する)
交差
線と線が連接する(例:柱鉄筋を結合する、鉄筋
バー形状のブレースをターンバックルで繋ぐ)
突起
面と線が交差する(例:壁型枠板にセパレータを引
き通す、鉄骨梁の継ぎ手板にボルトを引き通す)
突起
面に面が突起する(例:間仕切り壁にドアを取
付ける、コンクリート壁にパーティクールボード
を取付ける)
突起
線と線が突起する(例:吊りボルトに天井の野
縁受を掛ける、台輪と間柱を釘で打ち付ける)
面に線が突起する(例:デッキプレートに吊りボ
ルトを差し込む、コンクリートスラブにアンカー
を埋め込む)
隣接
立体と面が隣接する(例:コンクリート壁に石
膏ボードを張り付ける、コンクリートスラブに
タイルを張り付ける)
統合
立体状
隣接
立体の面と面が隣接する(例:コンクリート柱に
方立てを接着する、床スラブに台輪を載せる)
立体状
立体と面が統合する(例:窓枠にカラスを埋め
込む、コンクリート柱に軽鉄板を埋め込む)
統合
立体の部分と部分が統合する(例:コンクリー
ト柱に床コンクリートを流し込む、ALC壁に窓
枠を入れ込む)
交差
立体と面が交差する(例:コンクリート壁に合板
を引き通す)
交差
立体と立体が交差する(例:コンクリート柱にH
鋼を入れ込む、大引きに根太を引き通す)
突起
立体の面に面が突起する(例:鉄骨柱にブラ
ケットを溶接する、コンクリート壁に軽鉄板を取
付ける)
突起
立体の面に立体が突起する(例:コンク
リート壁にを鉄骨階段をめ込む、基礎コ
ンクリートに柱脚を取付ける)
凡例) ○:形状の結合を意味する
図 .2.2.5
:線状
:点状
形状の結合形式
34
:面状
:立体状
接着剤で接着する
磁気で接着する
点状
隣接
溶剤で溶接する
噛み合わせる
溶かして付ける
中に入れ込む
点状
統合
奪い込む
溶接する
溶かし込む
隣接
接着剤で接着する
接着剤で接着する
磁気で接着する
磁気で接着する
隣接
溶剤で溶接する
引っ掛ける
統合
突き刺す
溶接する
溶剤で溶接する
溶かし込む
引っ掛ける
立体状
打ち付ける
溶かし込む
巻き付ける
押し入れる
統合
溶剤で溶接する
中に入れ込む
線状
中に入れ込む
中に入れ込む
面状
接着剤で接着する
押し入れる
統合
磁気で接着する
溶接する
隣接
溶かし込む
溶剤で溶接する
差し込む
載せる
接着剤で接着する
接着剤で接着する
磁気で接着する
磁気で接着する
隣接
溶かして塗る
介物に通し繋ぐ
溶接する
金属製品を介して繋ぐ
磁気で接着する
接着剤で接着する
点溶接する
磁気で接着する
突起
中に流し込む
結束する
金属製品を介して繋ぐ
差し込む
連接
差込介物を通し繋ぐ
中に入れ込む
接着剤で接着する
磁気で接着する
引っ掛ける
打ち付ける
接着剤で接着する
介物で通し繋ぐ
中に入れ込む
溶接する
裏に介物を当てて繋ぐ
溶接する
目地で繋ぐ
相欠きし、はめ込む
接着剤で接着する
相欠きし、通し繋ぐ
ほぞ穴に差し込む
磁気で接着する
統合
溶接する
面状
交差
溝にはめ込む
溶接する
金属製品で繋ぐ
接着剤で接着する
接着剤で接着する
線状部品で繋ぐ
結束する
突起
打ち付ける
引っ掛ける
ほぞ穴に挿し込む
溶接する
磁気で接着する
引っ掛ける
磁気で接着する
押し入れる
中に入れ込む
溶接する
突起
溶剤で溶接する
差し込む
線状部品で繋ぐ
金属製品を介して繋ぐ
接着剤で接着する
隣接
磁気で接着する
面状
溶接する
溝にはめ込む
接着剤で接着する
打ち付ける
磁気で接着する
溶接する
磁気で接着する
交差
接着剤で接着する
突起
交差
中に入れ込む
統合
中に入れ込む
連接
線状
接着剤で接着する
介物に通し繋ぐ
端部を結束する
中に入れ込む
打ち付ける
打ち付ける
流し込み固める
溶接する
多数の箇所で留める
隣接
中に入れ込む
線状
統合
差し込む
結束する
交差
中に入れ込む
溶剤で溶接する
溶剤で溶接する
打ち付ける
統合
打ち付ける
磁気で接着する
引っ掛ける
ほぞ穴に挿し込む
接着剤で接着する
穴を開け、通す
金属製品で繋ぐ
接着剤で接着する
磁気で接着する
隣接
磁気で接着する
溶剤で溶接する
相欠きし、はめ込む
隣接
差し込む
線状部品で繋ぐ
統合
立体状
打ち付ける
載せる
中に入れ込む
中に入れ込む
流し込み固める
立体状
統合
溶接する
中に入れ込む
中に入れ込む
交差
接着剤で接着する
接着剤で接着する
磁気で接着する
磁気で接着する
接着剤で接着する
接着剤で接着する
突起
中に流し込む
溶接する
磁気で接着する
交差
溶剤で溶接する
差し込む
載せる
打ち付ける
突起
磁気で接着する
溶接する
引っ掛ける
溝にはめ込む
溝にはめ込む
引っ掛ける
溶接する
凡例) ○:形状の結合を意味する
図 .2.2.6
結合形式に対応した作業事例の一覧
D.部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化
作業に関連する部材を材質で表現する。作業に用いる部材を金属系、木質系、セメント
系、高分子系、ガラス系、石材骨材系、石綿岩綿系、アスファルト系、陶磁器系の9種類
の材質に抽象化し、材質特有の典型的な作業に展開する方法である。作業において扱われ
る 部 材 の 材 質 よ っ て 、 作 業 が 大 き く 影 響 を 受 け る こ と を 着 目 し た 。 図 .2.2.7 に は 材 質 の 結
合形式に纏めた作業事例の一覧を示す。図に示す如く、材質によって展開した機能から結
35
合形式ごとに纏められた作業の事例を用いて作業の発想を行う。
金属系
結束する
繋ぐ
溶接する
差し込む
回し込む
溶かし込む
打ち付ける
突き刺す
引っ掛ける
接着する
磁気接着する
金属系
突き刺す
突き刺す
繋ぐ
繋ぐ
繋ぐ
束ねる
流し込む
打ち付ける
留める
打ち付ける
接着する
打ち付ける
接着する
接着する
木質系
セメント系
接着する
ガラス系
高分子系
打ち付ける
合わせる
突き刺す
混ぜる
接着する
繋ぐ
合わせる
差し込む
押し込む
接着する
束ねる
接着する
接着する
石骨系
接着する
接着する
接着する
圧着する
据え置く
繋ぐ
石骨系
高分子系
石綿系
接着する
ガラス系
接着する
アスファルト系
木質系
陶磁器系
打ち付ける
差し込む
繋ぐ
接着する
挟み込む
セメント系
接着する
接着する
合わせる
接着する
接着する
陶磁器系
接着する
接着する
接着する
接着する
高分子系
接着する
接着する
木質系
石骨系
混ぜる
差し込む
混ぜる
押し込む
挟み込み
接着する
セメント系
流し込む
アスファルト系
石綿系
接着する
木質系
打ち付ける
差し込む
ガラス系
はめ込む
貫通する
繋ぐ
挟み込む
高分子系
陶磁器系
高分子系
金属系
接着する
接着する
ガラス系
石綿系
セメント系
陶磁器系
接着する
挟み込み
接着する
接着する
木質系
陶磁器系
セメント系
凡例) ○:形状の結合を意味する
打ち付ける
接着する
突き刺す
流し込む
接着する
金属系
:銅版、アルミニウム、ステンレス、亜鉛鋼版などを含む
木質系
:木材繊維板、防腐木材、集成材、合板などを含む
セメント系
:スレート、ALC板、プレキャストコンクリートなどを含む
高分子系
:板ガラス、グラスウール、ガラスブロックなどを含む
接着する
ガラス系
:ルーフィング、塩化ビニル板、ウレタン防水幕などを含む
流し込む
石骨系
:石材、軽量鉄鋼、砂材、砕石などを含む
石綿系
:石膏ボード、石綿スレートなどを含む
アスファルト系
石骨系
セメント系
アスファルト系
陶磁器系
:アスファルト防水材、アスファルトブロックなどを含む
:タイル、瓦などを含む
図 .2.2.7 材 質 の 結 合 形 式 に 対 応 し た 作 業 事 例 の 一 覧
E.構 文 に 対 す る 類 似 構 文 の 検 索
作業の機能を表現する構文を、その内容に類似する類似構文で表現する。構文において
使用されている名詞及び動詞が持つ内容に基づき、それに類似する構文を探し出す。そし
て、作業の機能を検索した類似構文の機能に展開する方法である。展開した類似構文の機
能を用いて、それに対応した作業を判断して、作業の発想を行う。
36
2.2.3.鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
提 案 し た 機 能 抽 出 と 機 能 展 開 の 方 法 を 用 い た 作 業 の 発 想 の 適 用 を 2.1.3.項 に お け る A 工
事の鋼製壁下地作業を対象に行った。
①機能抽出
A.作 業 結 果 に 基 づ く 機 能 抽 出
鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 単 位 作 業 で あ る 、「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト
スラブに打ち付ける」を対象として作業結果に基づく機能抽出を行った。機能抽出の結果
を 図 .2.2.8 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 作 業 条 件 を 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 は 「 レ ー ザ ー 光 線 を
用 い て 寸 法 を 比 較 す る 」「 墨 壷 を 用 い て コ ン ク リ ー ト 面 に 墨 出 し を す る 」「 ラ ン ナ 材 を 円 鋸
を 用 い て 切 断 す る 」「 ラ ン ナ 材 を 手 で 持 っ て 運 ぶ 」 で あ る 。
作業結果の状態は、達成させる先行の作業による作業結果の状態として、設置されてい
る レ ー ザ ー 測 定 器 に よ る「 映 さ れ て い る レ ー ザ ー 光 線 」、ス ラ ブ 面 に 墨 出 し に よ る「 記 さ れ
て い る 墨 出 し 線 」、 ラ ン ナ を 切 断 し た 円 鋸 に よ る 「 設 置 さ れ て い る 円 鋸 」、 円 鋸 の 場 所 か ら
運搬したランナ材による「置かれているランナ材」及び、作業による作業結果の状態とし
て間仕切りの位置に「取付けられているランナ」である。
抽出した機能は、達成させる先行の作業を含んだ作業に対する機能として「ランナの位
置 の 基 準 芯 墨 を 計 測 す る 」「 ラ ン ナ の 位 置 を 記 す 」「 ラ ン ナ 材 の 長 さ の 寸 法 を 調 整 す る 」
「 ラ ン ナ 材 の 位 置 を 変 更 す る 」「 ラ ン ナ 材 を ス ラ ブ に 取 付 け る 」で あ る 。作 業 結 果 の 状 態 に
対する抽出した機能は正の機能と負の機能に分類した。例えば「映されているレーザー光
線 」の 場 合 に お け る 正 の 機 能 は 作 業 者 が レ ー ザ ー 光 線 を 用 い て「 定 規 を 当 て て 寸 法 を 測 る 」
であり、負の機能はレーザー光線が「作業者の目に害する」である。
作業
達成させる先行の作業
作業結果の状態
レーザー光線を用いて寸法を比
較する
映されているレーザー光線
正
定規を当てて寸法を測る
負
作業者の目を害する
正
ランナを合わせて取付ける
負
スラブの表面を汚す
ランナの位置を示す
墨壷を用いてコンクリート面に墨
出しをする
記されている墨出し線
ランナ材を鋲打ち銃を用
いてコンクリートスラブに
打ち付ける
抽出した機能
ランナの位置の基準芯墨を計測する
ランナ材の長さの寸法を調整する
ランナ材を円鋸を用いて切断する
設置されている円鋸
正
ランナを合わせて切断する
負
作業の移動時間を多くする
ランナ材の位置を変更する
ランナ材を手で持って運ぶ
置かれているランナ材
正
手を伸ばしてランナを取る
負
作業者の動きを制限する
ランナ材をスラブに取付ける
取付けられているランナ
図 .2.2.8
正
スタッドを取付ける
負
作業者の移動動線を遮る
「ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける」の機能抽出
37
B.付 随 的 作 業 結 果 の 問 題 点 に 基 づ く 機 能 抽 出
鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 単 位 作 業 で あ る 、「 ラ ン ナ 材 を 円 鋸 を 用 い て 切 断 す る 」 の 付 随
的作業結果である「加工を行う際に発生する騒音」を対象として問題点に基づく機能抽出
を 行 っ た 。 機 能 抽 出 の 結 果 を 図 .2.2.9 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 問 題 点 の 発 生 の 原 因 は 「 円
鋸 の 騒 音 が 隣 の 病 院 の 患 者 に 聞 こ え る 」「 円 鋸 の 騒 音 が 現 場 の 外 に 漏 れ る 」「 円 鋸 の 騒 音 が
発 生 す る 」「 部 材 の 切 断 の 騒 音 が 発 生 す る 」で あ る 。各 発 生 の 原 因 を 表 す 文 章 の 動 詞 の 部 分
を反意語に切り替えて発生しない状態を設定した。
発生しない状態に対する解決のための作業は、例えば「円鋸の騒音が現場の外に漏れな
い よ う に す る 」 の 場 合 、「 騒 音 が 聞 こ え な い 病 院 に 患 者 を 移 す 」「 騒 音 が 聞 こ え な い 防 音 壁
を 取 付 け る 」で あ る 。「 騒 音 が 聞 こ え な い 病 院 に 患 者 を 移 す 」に 対 す る 抽 出 し た 機 能 は「 患
者へ騒音の到達を防ぐ」である。また、作業結果の状態である「移されている患者」に対
する抽出した機能は、正の機能として騒音が聞こえない病院に移されている患者に「安定
し た 治 療 を す る 」で あ り 、負 の 機 能 と し て 移 さ れ た 患 者 に よ っ て 患 者 数 が 増 加 し た た め「 病
院の医療環境を悪くする」である。
付随的作業結果
発生の原因
発生しない状態
解決のための作業
作業結果の状態
抽出した機能
患者へ騒音の到達を防ぐ
騒音が聞こえない病院に患者を移す
円鋸の騒音
が隣の病院
の患者に聞こ
える
円鋸の騒音
が隣の病院
の患者に聞こ
えないように
する
正
安定した治療をする
負
病院の医療環境を悪くする
移されている患者
病院内部への騒音の進入を防ぐ
騒音が聞こえない防音壁を取付ける
正
安定した治療をする
負
病院の外見を醜くする
取り付けられている防音壁
現場外部への騒音の漏れを防ぐ
現場の周りに防音幕を取付ける
正
現場内で騒音機具を使用する
負
部材の運搬を妨げる
取付けられている防音幕
円鋸の騒音
が現場の外
に漏れる
円鋸の騒音を
現場の外に
漏れないよう
にする
建物外部への騒音の漏れを防ぐ
先行に建物の外壁を取付ける
正
建物内部で騒音機具を使用する
負
作業手順に変更を与える
取付けられている外壁
加工を行う際に
発生する騒音
円鋸周りへの騒音の漏れを防ぐ
円鋸の周りに防音装置を取付ける
正
円鋸周りで騒音機具を使用する
負
作業者の移動を妨げる
取付けられている防音装置
円鋸の騒音の発生を防ぐ
円鋸の騒音
が発生する
円鋸の騒音
が発生しない
ようにする
円鋸に防音装置を取付ける
正
円鋸を使用する
負
円鋸の使用自由度を制限する
取り付けられた防音装置
円鋸の使用を防ぐ
部材を工場で切断する
部材の切断
の騒音が発
生する
正
取付け作業を行う
負
取付けの精度が低下する
切断された部材
部材の切断
の騒音が発
生しないよう
にする
切断の騒音の発生を防ぐ
低音切断装置を使用する
正
部材を切断する
負
作業の能率を下げる
使用されている低音切断装置
図 .2.2.9
「加工を行う際に発生する騒音」の問題点に基づく機能抽出
38
②機能展開
「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」作 業 か ら 抽 出 し た 「 ラ
ンナ材をスラブに取付ける」の機能展開と作業方法の発想の結果を以下の項目に記す。
A. 作 業 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求
「ランナ材をスラブに取付ける」の目的は、スタッドをランナに固定するために必要で
あり、その目的はスタッドをスラブに固定するために必要である。また、固定したスタッ
ドの目的は石膏ボードを固定するために必要であり、石膏ボードの目的は部屋の音や視界
を 遮 る た め に 必 要 で あ る 。図 .2.2.10 に は「 ラ ン ナ 材 を ス ラ ブ に 取 付 け る 」の 機 能 展 開 の 結
果と各機能において発想した作業を示す。
機能
上位機能
部屋の音や視界を遮る
防音幕をコンクリートスラブのレールに張り付ける
機能の展開方向
作業
石膏ボードをスタッドに固定する
石膏ボードをコンクリートスラブの溝に差し込む
スタッドをスラブに固定する
スタッドの両端をアンカーボルトを用いてコンクリートスラブに締め付ける
スタッドをランナに固定する
ランナ材を接着材を用いてコンクリートスラブに貼り付ける
下位機能
ランナ材をスラブに取付ける
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける
図 .2.2.10
「ランナ材をスラブに取付ける」の作業に対する上位機能の追求
B. 表 現 文 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求
「ランナ材をスラブに取付ける」におけるランナ材とスラブを軽鉄板とコンクリートの
広 範 囲 に 展 開 し た 「軽 鉄 板 を コ ン ク リ ー ト 面 に 取 付 け る 」の 機 能 か ら 「 コ ン ク リ ー ト 面 に 金
属 片 を 埋 め 込 み 、軽 鉄 板 を 溶 接 す る 」の 作 業 を 発 想 し た 。さ ら に 、広 範 囲 の 「金 属 部 材 を コ
ン ク リ ー ト 部 位 に 固 定 す る 」の 機 能 に 展 開 し 、「 コ ン ク リ ー ト 部 位 に 磁 気 を 持 た せ て ラ ン ナ
材 を 張 り 付 け る 」 の 作 業 を 発 想 し た 。 さ ら に 、 広 範 囲 の 「硬 性 部 材 と 硬 性 部 位 を 結 合 す る 」
の 機 能 に 展 開 し 、「 コ ン ク リ ー ト 面 に 溝 を 作 り 、 ラ ン ナ 材 を 差 し 込 む 」 の 作 業 を 発 想 し た 。
図 .2.2.11 に は「 ラ ン ナ 材 を ス ラ ブ に 取 付 け る 」の 機 能 展 開 の 結 果 と 各 機 能 に お い て 発 想 し
た作業を示す。
機能
機能の展開方向
上位機能
作業
硬性部材と硬性部位を結合する
コンクリート面に溝を作り、ランナ材を差し込む
金属部材をコンクリート部位に固定する
コンクリート部位に磁気を持たせてランナ材を張り付ける
軽鉄板をコンクリート面に取付ける
コンクリート面に金属片を埋め込み、軽鉄板を溶接する
ランナ材をスラブに取付ける
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける
下位機能
図 .2.2.11
「ランナ材をスラブに取付ける」の表現文に対する上位機能の追求
39
C. 部 材 に 対 す る 形 状 の 抽 象 化
「ランナ材をスラブに取付ける」の部材に対する形状の抽象化を行い、ランナ材は線状
部 材 と し 、 ス ラ ブ は 面 上 部 材 と し て 「線 状 部 材 を 面 状 部 材 に 隣 接 さ せ る 」の 上 位 機 能 に 展 開
を 行 っ た 。 前 項 の 図 .2.2.6 を 参 照 す る と 、 線 状 と 面 状 を 隣 接 さ せ る 結 合 方 法 は 「 接 着 剤 で
接 着 す る 」「 磁 気 で 接 着 す る 」「溶 剤 で 接 着 す る 」「 引 っ 掛 け 」「 打 ち 付 け 」「 介 物 で 通 し 繋 ぐ 」
で あ る 。参 照 し た 各 結 合 方 法 を 用 い て 作 業 の 発 想 を 行 う 。例 え ば 、「 接 着 剤 で 接 着 す る 」を
用いて発想した作業は「ランナ材に接着材を塗ってコンクリートスラブに張り付ける」で
あ る 。図 .2.2.12 に は「 ラ ン ナ 材 を ス ラ ブ に 取 付 け る 」の 機 能 展 開 の 結 果 と 各 機 能 に お い て
発想した作業を示す。
作業
機能
ランナ材に接着材を塗ってコンクリートスラブに張り付ける
ランナ材に磁気を持たせてコンクリートスラブに張り付ける
線状部材を面状部材に隣接させる
コンクリートスラブ埋め込んだ金具にランナ材を引っ掛ける
機能の展開
方向
上位機能
ランナ材をコンクリートスラブにビスを用いて打ち付ける
コンクリートスラブに埋め込んだ針金でランナ材を繋ぐ
ランナ材をスラブに取付ける
下位機能
図 .2.2.12
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける
「ランナ材をスラブに取付ける」の部材に対する形状の抽象化
D. 部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化
「ランナ材をスラブに取付ける」の部材に対する材質の抽象化を行い、ランナ材は金属
系 部 材 と し 、 ス ラ ブ は セ メ ン ト 系 部 材 と し て 「金 属 系 部 材 を セ メ ン ト 系 部 材 に 結 合 さ せ る 」
の 上 位 機 能 に 展 開 を 行 っ た 。 前 項 の 図 .2.2.7 を 参 照 す る と 、 金 属 系 と セ メ ン ト 系 の 結 合 方
法 は 「 突 き 刺 す 」「 繋 ぐ 」「 流 し 込 む 」「 打 ち 付 け る 」「 接 着 す る 」 で あ る 。 参 照 し た 各 結 合
方法を用いて作業の発想を行う。
「 繋 ぐ 」を 用 い て 発 想 し た 作 業 は「 コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に
埋 め 込 ん だ ア ン カ ー ボ ル ト で ラ ン ナ 材 を 繋 ぐ 」で あ る 。図 .2.2.13 に は「 ラ ン ナ 材 を ス ラ ブ
に取付ける」の機能展開の結果と各機能において発想した作業を示す。
機能
作業
コンクリートスラブに埋め込んだアンカーボルトでランナ材を繋ぐ
ランナ材に接着材を塗ってコンクリートスラブに張り付ける
金属系部材をセメント系部材に結合させる
ランナにピンを取付けてコンクリートスラブに突き刺す
機能の展開
方向
上位機能
下位機能
図 .2.2.13
ランナ材を型枠取付けてコンクリートを流し込む
ランナ材をコンクリートスラブにビスを用いて打ち付ける
ランナ材をスラブに取付ける
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける
「ランナ材をスラブに取付ける」の部材に対する材質の抽象化
40
E. 構 文 に 対 す る 類 似 構 文 の 検 索
「ランナ材をスラブに取付ける」の構文に対する類似構文として、ランナの形状である
細 長 い 部 材 を 面 に 取 付 け る 機 能 を 持 つ 「 大 引 を 柱 に 取 付 け る 」「 巾 木 を 壁 に 取 付 け る 」「 ノ
ン ス リ ッ プ を 階 段 に 取 付 け る 」「 方 立 て を 壁 に 取 付 け る 」「 伸 縮 目 地 を ス ラ ブ に 取 付 け る 」
「カーテンレールを窓枠に取付ける」を採り上げた。採り上げた各機能に基づいて作業の
発 想 を 行 っ た 。 例 え ば 、 「大 引 き を 柱 に 取 付 け る 」に お け る 作 業 と し て 「 コ ン ク リ ー ト ス ラ
ブ に 空 け た 穴 に ボ ル ト を 通 し て ラ ン ナ 材 を 締 め 付 け る 」を 発 想 し た 。図 .2.2.14 に は「 ラ ン
ナ材をスラブに取付ける」の機能展開の結果と各機能において発想した作業を示す。
機能
コンクリートスラブに空けた穴にボルトを通してランナ材を締め付ける
巾木を壁に取付ける
ランナ材に接着材を塗ってコンクリートスラブに張り付ける
ノンスリップを階段に取付ける
ランナ材とコンクリートスラブの間にモルタルを流し込み固める
上位機能
方立てを壁に取付ける
コンクリートに埋め込んだ金属片にランナ材を溶接する
機能の展開
方向
作業
大引を柱に取付ける
伸縮目地をスラブに取付ける
ランナ材をコンクリートに埋め込んで固める
カーテンレールを窓枠に取付ける
ランナ材をコンクリートスラブにビスを用いて打ち付ける
ランナ材をスラブに取付ける
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける
下位機能
図 .2.2.14
「ランナ材をスラブに取付ける」の構文に対する類似構文の検索
2.2.4.結
作業に対する作業方法の代替案を発想するための方法の必要性について述べた。作業を、
それが果たすべき目的である「機能」として捉え、その機能を抽出する方法として、作業
結 果 に 基 づ く 機 能 抽 出 を 提 案 し 、そ の 手 順 と 表 現 方 法 を 示 し た 。( 図 .2.2.1、図 .2.2.2 参 照 )
ま た 、付 随 的 作 業 結 果 の 問 題 点 に 基 づ く 機 能 抽 出 を 提 案 し 、そ の 手 順 と 表 現 方 法 を 示 し た 。
( 図 .2.2.3、 図 .2.2.4 参 照 )
抽出した機能から作業方法の代替案を発想するための上位機能への展開方法として、機
能 の 目 的 を 追 求 す る「 作 業 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 」、構 文 の 意 味 を 追 求 す る「 表 現 文 に 対
す る 上 位 機 能 の 追 求 」、 関 連 す る 部 材 あ る い は 部 位 の 形 状 を 抽 象 化 す る 「部 材 に 対 す る 形 状
の 抽 象 化 」、 関 連 す る 部 材 の 材 質 を 抽 象 化 す る 「 部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化 」、 構 文 に 関 連
する類似する機能を採り上げる「構文に対する類似構文の検索」の 5 つの方法を提案し、
そ の 内 容 を 示 し た 。 「部 材 に 対 す る 形 状 の 抽 象 化 」の 方 法 は 形 状 の 結 合 形 式 ご と に 参 照 す る
作 業 事 例 の 一 覧 を 示 し た 。( 図 .2.2.5、 図 .2.2.6 参 照 ) ま た 、「 部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化 」
の 方 法 は 材 質 の 結 合 形 式 ご と に 参 照 す る 作 業 事 例 の 一 覧 を 示 し た 。 (図 .2.2.7 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業における「ランナ材を鋲
41
打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける」を対象として作業結果に基づく機能抽
出を行った。その結果、作業結果の状態から「正の機能」と「負の機能」を抽出できるこ
と を 確 認 し た 。( 図 .2.2.8 参 照 ) ま た 、「 ラ ン ナ 材 を 円 鋸 を 用 い て 切 断 す る 」 の 付 随 的 作 業
結果である「加工を行う際に発生する騒音」を対象として問題点に基づく機能抽出を行っ
た 。そ の 結 果 、発 生 の 原 因 を 発 生 し な い 状 態 に す る 作 業 の 作 業 結 果 の 状 態 か ら「 正 の 機 能 」
と 「 負 の 機 能 」 を 抽 出 で き る こ と を 確 認 し た 。( 図 .2.2.9 参 照 )
「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」作 業 か ら 抽 出 し た 「 ラ
ンナ材をスラブに取付ける」の機能展開と作業方法の発想を行い、その結果を示した。
①
作業に対する上位機能の追求:5 段階の上位機能に展開を行い、各段階の作業を発想
し た 。( 図 .2.2.10 参 照 )
②
表 現 文 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 : 4 段 階 の 上 位 機 能 に 展 開 を 行 い 、各 段 階 の 作 業 を 発
想 し た 。( 図 .2.2.11 参 照 )
③
部 材 に 対 す る 形 状 の 抽 象 化 :「 線 状 部 材 」と「 面 状 部 材 」の 結 合 に お け る 作 業 を 参 照 し
て 、 5 つ の 作 業 を 発 想 し た 。( 図 .2.2.12 参 照 )
④
部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化 :「 金 属 系 部 材 」と「 セ メ ン ト 系 部 材 」の 結 合 に お け る 方 法
を 参 照 し て 、 5 つ の 作 業 を 発 想 し た 。( 図 .2.2.13 参 照 )
⑤
構文に対する類似構文の検索:類似する 6 つ作業の機能を採り上げ、各機能に対する
作 業 を 発 想 し た 。( 図 .2.2.14 参 照 )
以上の検討の結果、作業の目的を達成するための新たな作業方法の代替案を発想する支
援方法において、提案した方法は有効であることを確認した。また、機能を抽象化するこ
とによって広い範囲における発想が容易に出来ることを確認し、発想した結果の事例から
上位機能における作業がより革新的なものであることを明らかにした。
42
2.3.一 対 比 較 を 用 い た 作 業 方 法 の 選 択
2.3.1.作 業 プ ロ セ ス に お け る 一 対 比 較
作業における機能抽出と機能展開によって発想した作業方法の代替案は作業条件によ
って評価の尺度が異なる。計画者が経験に頼って代替案を選択する場合は、選択した作業
方 法 が「 生 産 性 は 向 上 す る が 安 全 性 が 低 下 す る 」、「 安 全 性 は 向 上 す る が 適 合 性 が 低 下 す る 」
「適合生と安全性は向上するが生産性が低下する」など、経験と知識の偏りによって問題
が 発 生 す る 危 険 が あ る 。そ の よ う な 危 険 を 減 ら し 、作 業 方 法 の 選 択 を 最 適 に 行 う た め に は 、
考慮すべき全ての項目に対して総合的な評価を行う必要がある。
本研究では、一対比較からなる個別の評価項目に対する各代替案の重要度を用いて作業
方法を選択するための方法を適用し、その有用性の検討を目的とする。
作業計画者の作業方法の選択において経験にたよる従来の方法に対して一対比較を用
いる場合の特徴を以下の項目に記す。
①
計画者が考慮すべき項目を構造的に示す
②
選択の基準になる方法間の評価尺度を定量的に示す
③
作業に対する知識が少ない場合、複数の経験者の評価結果を参考にする
2.3.2.AHP 手 法 を 用 い た 一 対 比 較 の 方 法
作 業 方 法 の 選 択 の 支 援 に 用 い る AHP( Analytic
Hierarchy
Process) 手 法
64)は 選 択
の対象となる問題を最終目的、評価項目、代替案のレベルに捉えて階層構造化し、最終目
的に対する評価項目の重要度、評価項目に対する代替案の重要度を一対比較からなる比較
行 列 を 用 い て 求 め て 、最 終 目 的 に 対 す る 各 代 替 案 の 評 価 を 行 う 手 法 で あ る 。AHP 法 に お け
る 階 層 構 造 の 概 念 は 図 .2.3.1 に 示 す 如 く 、 階 層 の レ ベ ル 1 の 最 終 目 的 に 対 し て 、 そ れ の 評
価 に 用 い る 項 目 を 階 層 の レ ベ ル 2 と す る 。レ ベ ル 2 の 項 目 は 階 層 の レ ベ ル 3 の 細 目 に 再 分
割して比較を行うことによって計画者の判断を明確にすることができる。階層の代替案は
最終目的を達成するための方法の代替案であり、各評価項目に対する重要度の数値の合計
が最大である代替案を選択する。
レベル1
レベル2
レベル3
代替案
細目1-1
代替案1
評価項目1
細目1-2
代替案3
最終目的
細目2-1
評価項目2
細目2-2
代替案4
代替案5
代替案6
評価項目3
図 .2.3.1
代替案2
AHP 法 に お け る 階 層 構 造 の 概 念
43
AHP 手 法 を 用 い た 作 業 方 法 選 択 の 手 順 を 図 .2.3.2 に 示 す 。図 に 示 す 如 く 、作 業 方 法 の 選
択 の 対 象 と す る 作 業 を 最 終 目 的 と し て 決 め る 。 代 替 案 は 2.2.項 に お け る 機 能 定 義 と 機 能 展
開 か ら 発 想 し た 作 業 方 法 と す る 。作 業 方 法 を 選 択 す る た め の 評 価 項 目 は レ ベ ル ご と に 決 め 、
一対比較のための階層構造を作成する。作成した階層構造を用いて、レベルごとに上位レ
ベルに対する一対比較を行い、各レベルにおける重要度を算出する。算出した各レベルの
重要度から最終目的に対する代替案の重要度を算出する。算出した重要度が最大である代
替案を実行する作業方法として選択する。
手順1
最終目的とする作業を決める
手順2
作業の実行に用いることが可能である作業方法を代替案とする
手順3
評価項目を階層構造のレベルごとに決める
手順4
レベルごとに上位レベルに対する一対比較を行い、重要度を算出する
手順5
各レベルの重要度から最終目的に対する代替案の重要度を算出する
手順6
算出した重要度の数値が最大である代替案を選択する
図 .2.3.2.
レベル1
レベル2
AHP 手 法 を 用 い た 作 業 方 法 選 択 の 手 順
レベル3
レベル4
説明
性質に対する適性が高い 部材の硬さ、重さ、質量などの性質に適する度合を比較する項目
部材の属性
外形に対する適性が高い 部材の面積、長さ、厚さなどの外形に適する度合を比較する項目
適合性
支える外力が大きい
取付けられた部位の許容応力を比較する項目
部位の属性
形の精度が高い
高所の作業が少ない
作業
安全性
省力性
危険物の扱いが少ない
取付けられた部位の精度を比較する項目
作業者の作業位置、足場の確保などを比較する項目
爆発の危険性、火傷の危険性などを比較する項目
機械の扱いが容易
機械作業における姿勢、取扱方法などを比較する項目
動きの量が少ない
必要とする作業者の動作時間の量を比較する項目
人力に頼る部分が少ない 機械化することが出来る作業部分を比較する項目
待ちの発生が少ない
図 .2.3.3
発生する手待ちの時間を比較する項目
評価項目の内容
選 択 に 用 い る 評 価 項 目 の 内 容 を 図 .2.3.3.に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 最 終 目 的 を レ ベ ル 1 と
し 、レ ベ ル 2 か ら レ ベ ル 4 ま で の 評 価 項 目 を 定 義 し た 。最 終 目 的 の 作 業 を 実 行 す る 作 業 方
法の選択において評価する項目として、レベル 2 の評価項目は適合性、安全性、省力性と
した。適合性は、さらにレベル 3 において部材の属性と部位の属性とした。部材の属性は
性質である硬さ、重さ、質量に対する適合性と外形である面積、長さ、厚さなどに対する
44
適合性の度合いとした。部位の属性は支える外力の大きさである部位の許容応力に対する
適合性と形の精度の高さである部位の取付け精度に対する適合性の度合いとした。安全性
は、作業の位置と足場の確保などの高所作業に対する安全性と爆発、火傷などの危険物の
扱いに対する安全性と姿勢、取り扱い方法などの機械の取り扱いに対する安全性の度合い
とした。省力性は、作業者の動作に対する省力性と機械化による人力に頼る部分の省力性
と待ち時間の発生に対する省力性の度合いとした。
2.3.3.鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
提 案 し た 作 業 方 法 の 選 択 方 法 の 適 用 を 検 討 す る た め に 2.1.3 項 の A 工 事 の 鋼 製 壁 下 地 取
付 け 作 業 に お け る「 ラ ン ナ 取 付 け 」と「 ス タ ッ ド 取 付 け 」お よ び 、「 振 れ 止 め 取 付 け 」を 対
象 に 作 業 方 法 の 選 択 を 行 っ た 。項 目 間 の 比 較 に 用 い た 重 要 度 の 尺 度 は 表 .2.3.1 に 示 す 如 く 、
1 から 9 までを 5 段階に分類して用いた。本適用事例における各項目の一対比較の評価は
筆者が文献ならび、調査に基づいて行った。
表 .2.3.1
一対比較に用いた評価の尺度
重要度の尺度
定義
1
同程度
3
やや重要
5
重要
7
非常に重要
9
絶対的に重要
72)
注)重要度の尺度はThomas L. Saatyが提案した数値を用いる(参照文献72のDeriving the AHP 1-9 scale from first principlesから引用)
①ランナ取付け
ランナ取付けを採りあげ、評価項目と代替案の重要度の算出を行い、算出結果から作業
方 法 の 選 択 を 行 っ た 。 ラ ン ナ 取 付 け の 作 業 条 件 は 表 .2.3.2 に 示 す 如 く 、 取 付 け 部 位 で あ る
コ ン ク リ ー ト 躯 体 に 関 す る 情 報 、手 を 動 い て 作 業 が 可 能 な 範 囲 に お け る 作 業 者 の 位 置 情 報 、
部 材 の 属 性 の 情 報 で あ る 。ラ ン ナ 取 付 け の 評 価 項 目 と 代 替 案 の 階 層 構 造 を 図 .2.3.4 に 示 す 。
作業方法の代替案は9個とした。
表 .2.3.2
ランナの取付けの作業条件
項目
情報
作業者
内容
躯体の属性:平らであるコンクリート躯体
部位の位置:床の上における間仕切り壁の位置
位置:手がランナの位置に届く範囲
0.8 mm
部材
40mm
材質:溶融亜鉛めっき鋼
単位重:0.928kg/m
67mm
45
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
作業方法の代替案
性質に対する適性が高い
部材の属性
外形に対する適性が高い
適合性
支える外力が大きい
部位の属性
締め付ける
(ランナを床に固定したアンカーボルトにナットで締め付ける)
押し付ける
(ランナを床に固定したクリップに押し付ける)
張り付ける
(ランナに接着材を塗って床に張り付ける)
打ち付ける
(ランナをコンクリート釘で床に打ち付ける)
形の精度が高い
高所の作業が少ない
ランナ
取付け
安全性
据え置く
(ランナに磁器を持たせて床に据え置く)
危険物の扱いが少ない
機械の扱いが容易
掛け置く
(ランナに穴を空けて、天井のつりボルトに掛け置く)
押し込む
(ランナを床に設けた溝に押し込む)
回し込む
(ボルトを付着したランナを床に固定したナットに回し込む)
叩き込む
(釘を付着したランナを床に叩き込む)
動きの量が少ない
省力性
人力に頼る部分が少ない
待ちの発生が少ない
図 .2.3.4
ランナ取付けの評価項目と作業方法の代替案
評価項目間の一対比較は最終目的をランナ取付けとして各レベルに対して行った。評価
項 目 の レ ベ ル 2 に お け る 「ラ ン ナ 取 付 け 」に 対 す る 重 要 度 の 算 出 結 果 は 、 表 .2.3.3 に 示 す 如
く 、 「適 合 性 」は 「安 全 性 」に 比 較 し て や や 重 要 で あ り 、 「安 全 性 」は 「省 力 性 」に 比 較 し て 同 程
度 で あ り 、 「適 合 性 」は 「省 力 性 」に 比 較 し て や や 重 要 で あ る 。 各 項 目 の 一 対 比 較 の 結 果 か ら
算 出 し た 重 要 度 は 、 レ ベ ル 2 で は 「適 合 性 」が 0.600 と 重 要 で あ る 。
評 価 項 目 の レ ベ ル 3 に お け る 「適 合 性 」に 対 す る 重 要 度 の 算 出 結 果 は 、 表 .2.3.4 に 示 す 如
く 、 「部 位 の 属 性 」が 「部 材 の 属 性 」に 比 較 し て や や 重 要 で あ る 結 果 か ら 算 出 し た 重 要 度 は 、
適 合 性 に お い て レ ベ ル 3 の 「部 位 の 属 性 」が 0.750 と 重 要 で あ る 。
評 価 項 目 の レ ベ ル 4 に お け る 「部 材 の 属 性 」に 対 す る 重 要 度 の 算 出 結 果 は 、 表 .2.3.5 に 示
す 如 く 、 「性 質 に 対 す る 適 性 が 高 い 」が 「外 形 に 対 す る 適 性 が 高 い 」に 比 較 し て 重 要 で あ る 結
果 か ら 算 出 し た 重 要 度 は 、 「部 材 の 属 性 」に お い て 「性 質 に 対 す る 適 性 が 高 い 」が 0.833 と 重
要である。
評 価 項 目 の レ ベ ル 4 に お け る 「部 位 の 属 性 」に 対 す る 重 要 度 の 算 出 結 果 は 、 表 .2.3.6 に 示
す 如 く 、 「支 え る 外 力 が 大 き い 」が 「形 の 精 度 が 高 い 」に 比 較 し て や や 重 要 で あ る 結 果 か ら 算
出 し た 重 要 度 は 、 「部 位 の 属 性 」に お い て 「支 え る 外 力 が 大 き い 」が 0.750 と 重 要 で あ る 。
評 価 項 目 の レ ベ ル 4 に お け る 「安 全 性 」に 対 す る 重 要 度 の 算 出 結 果 は 、 表 .2.3.7 に 示 す 如
く 、 「危 険 物 の 扱 い が 少 な い 」と 「高 所 作 業 が 少 な い 」は 同 程 度 で あ り 、 「機 械 の 扱 い が 容 易 」
は 「高 所 作 業 が 少 な い 」に 比 較 し て 重 要 で あ り 、 「機 械 の 扱 い が 容 易 」は 「高 所 作 業 が 少 な い 」
に 比 較 し て 重 要 で あ る 。そ の 結 果 か ら 算 出 し た 重 要 度 は 、「安 全 性 」に お い て 「機 械 の 扱 い が
容 易 」が 0.714 と 重 要 で あ る 。
評 価 項 目 の レ ベ ル 4 に お け る 「省 力 性 」に 対 す る 重 要 度 の 算 出 結 果 は 、 表 .2.3.8 に 示 す 如
く 、「動 き の 量 が 少 な い 」は 「人 力 に 頼 る 部 分 が 少 な い 」に 比 較 し て や や 重 要 で あ り 、「人 力 に
頼 る 部 分 が 少 な い 」は 「待 ち の 発 生 が 少 な い 」に 比 較 し て や や 重 要 で あ り 、 「動 き の 量 が 少 な
46
い 」は 「待 ち の 発 生 が 少 な い 」に 比 較 し て 非 常 に 重 要 で あ る 。そ の 結 果 か ら 算 出 し た 重 要 度 は 、
「省 力 性 」に お い て 「動 き の 量 が 少 な い 」が 0.669 と 重 要 で あ る 。
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「性 質 に 対 す る 適 正 が 高 い 」対 す る 重 要 度 の 算 出 結 果 は 、
表 .2.3.9 に 示 す 如 く 、 算 出 し た 重 要 度 は 「性 質 に 対 す る 適 性 が 高 い 」に お い て 「締 め 付 け る 」
が 0.276 と 重 要 で あ る 。表 2.3.10∼ 表 .2.3.18 は 、作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る レ ベ ル 4 の 各
項目に対する重要度を示す。
評価項目の各レベルの重要度を用いて、最終目的である「ランナ取付け」に対する代替
案 の 重 要 度 を 算 出 し た 結 果 を 表 .2.3.19 に 示 す 。「 ラ ン ナ 取 付 け 」 に 対 す る 作 業 方 法 の 選 択
結 果 は 、 図 .2.3.5 に 如 く 、 重 要 度 が 0.170 と 最 も 高 い 「 締 め 付 け る 」 で あ る 。
調 査 を 行 っ た 現 場 で は 図 .2.3.6 に 示 す 如 く 、 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打
ち込むを作業方法として用いた。選択の結果が部位の属性に対する適合性を重要としてコ
ンクリート床に設置したボルトに締め付ける方法を選択したことに対して、調査した現場
では省力性を重要視する鋲打ち銃を用いた取付けの方法を採用した
表 .2.3.3
評 価 項 目 の レ ベ ル 2 に お け る 「ラ ン ナ 取 付 け 」に 対 す る 重 要 度
適合性
安全性
省力性
適合性
1
3
3
重要度
0.600
安全性
1/3
1
1
0.200
省力性
1/3
1
1
0.200
CI:0.00(注1)
注)重要度の計算過程64)(The Analytic Hierarchy Processから引用)
C1
C2
C3
・・・・
Cn
1
a12
a13
・・・・
a1n
1
a23 ・・・・
a2n
・・・・
C3 1/a31 1/a32 1
・
・
・
・
・
・
・
・
・・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
Cn 1/an1 1/an2 1/an3 ・・・・
a3n
C1
C2 1/a21
1
1/a21
A=
・
・
・
・
1
a12
a13
・・・・
a1n
1
a23 ・・・・
a2n
1
a3n
1/a31 1/a32
・・・・
・
・
・
・
・
・
・・・・
・
・
・
・
・
・
1/an1 1/an2 1/an3 ・・・・
・
・
・
・
1
(C1,C2,C3,・・・・,C n):評価項目
aij:評価項目Ciの評価項目Cjに対する評価の尺度
ただし、aii=1,aji=1/aijと仮定する
(i,j=1,2,3,・・・・,n)
A:評価の尺度aijのn×n行列
w=(w1,w2,w3,・・・・,wn)
w:評価項目の重要度
wi/wj=aij
A=
w1/w1 w1/w2 w1/w3 ・・・・ w1/wn
w1/w1 w1/w2 w1/w3 ・・・・ w1/wn
w1
w2/w1 w2/w2 w2/w3 ・・・・ w2/wn
w2/w1 w2/w2 w2/w3 ・・・・ w2/wn
w2
w3/w1 w3/w2 w3/w3 ・・・・ w3/wn
w3/w1 w3/w2 w3/w3 ・・・・ w3/wn
w3
・
・
・
・
・
・
・
・
・・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
wn/w1 wn/w2 wn/w3 ・・・・ w /w
n
n
・
・
・
・
wn
・
・
・
・
・
・
・
・
・・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
wn/w1 wn/w2 wn/w3 ・・・・ w /w
n
n
n=λmax
A×w=
λmax=0ではない唯一の行列Aの固有値
以上から重要度wはλmaxに対する固有ベクトルである。
47
=n×w
表 .2.3.4
評 価 項 目 の レ ベ ル 3 に お け る 「適 合 性 」に 対 す る 重 要 度
部材の属性
部位の属性
重要度
部材の属性
1
1/3
0.250
部位の属性
3
1
0.750
CI:0.00 (注1)
表 .2.3.5
評 価 項 目 の レ ベ ル 4 に お け る 「部 材 の 属 性 」に 対 す る 重 要 度
性質に対する適性が高い 外形に対する適性が高い
重要度
性質に対する適性が高い
1
5
0.833
外形に対する適性が高い
1/5
1
0.167
CI:0.00(注1)
表 .2.3.6
評価項目のレベル 4 における「部位の属性」に対する重要度
支える外力が大きい
形の精度が高い
重要度
支える外力が大きい
1
3
0.750
形の精度が高い
1/3
1
0.250
CI:0.00(注1)
表 .2.3.7
評 価 項 目 の レ ベ ル 4 に お け る 「安 全 性 」に 対 す る 重 要 度
高所作業が少ない
1
1
5
高所作業が少ない
危険物の扱いが少ない
機械の扱いが容易
危険物の扱いが少ない
1
1
5
機械の扱いが容易
1/5
1/5
1
重要度
0.143
0.143
0.714
CI:0.00(注1)
表 .2.3.8
評 価 項 目 の レ ベ ル 4 に お け る 「省 力 性 」に 対 す る 重 要 度
動きの量が少ない
人力に頼る部分が少ない 待ちの発生が少ない
重要度
動きの量が少ない
1
3
7
0.669
人力に頼る部分が少ない
1/3
1
3
0.243
待ちの発生が少ない
1/7
1/3
1
0.088
CI:0.01(注1)
表 .2.3.9
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「性 質 に 対 す る 適 正 が 高 い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
3
5
1
7
7
3
3
5
0.276
押し付ける
1/3
1
1
1/3
3
3
1
1
1
0.084
張り付ける
1/5
1
1
1/3
3
3
1
1
1
0.080
打ち付ける
1
3
3
1
9
9
3
3
3
0.253
据え置く
1/7
1/3
5
1/9
1
1
1/3
1/3
1/3
0.029
掛け置く
1/7
1/3
5
1/9
1
1
1/3
1/3
1/3
0.029
押し込む
1/3
1
1
1/3
3
3
1
1
1
0.084
回し込む
1/3
1
1
1/3
3
3
1
1
1
0.084
叩き込む
1/5
1
1
1/3
3
3
1
1
1
0.080
CI:0.01(注1)
48
表 .2.3.10
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「外 形 に 対 す る 適 正 が 高 い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
1/3
1/5
1/5
3
5
3
5
3
重要度
0.093
押し付ける
3
1
1
1
7
9
7
9
7
0.234
張り付ける
5
1
1
1
7
9
7
9
7
0.253
打ち付ける
5
1
1
1
9
9
9
9
9
0.268
0.024
据え置く
1/3
1/7
1/7
1/9
1
1/3
1
1/3
1
掛け置く
1/5
1/9
1/9
1/9
3
1
3
1
3
0.041
押し込む
1/3
1/7
1/7
1/9
1
1/3
1
1/3
1
0.024
回し込む
1/5
1/9
1/9
1/9
3
1
3
1
3
0.041
叩き込む
1/3
1/7
1/7
1/9
1
1/3
1
1/3
1
0.024
CI:0.06(注1)
表 .2.3.11
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「支 え る 外 力 が 大 き い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
3
5
3
9
5
3
1
3
0.246
押し付ける
1/3
1
3
1
5
3
1
1/3
1
0.099
張り付ける
1/5
1/3
1
1/3
3
1
1/3
1/7
1
0.045
打ち付ける
1/3
1
3
1
5
3
1
1/3
1
0.099
据え置く
1/9
1/5
1/3
1/5
1
1/3
1/7
1/9
1/3
0.020
0.045
掛け置く
1/5
1/3
1
1/3
3
1
1/3
1/7
1
押し込む
1/3
1
3
1
7
3
1
1/3
1
0.104
回し込む
1
3
7
3
9
7
3
1
3
0.266
叩き込む
1/3
1
1
1
3
1
1
1/3
1
0.076
CI:0.02(注1)
表 .2.3.12
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「形 の 精 度 が 高 い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
3
1
5
7
7
3
5
5
0.266
押し付ける
1/3
1
1/3
3
5
5
1
3
3
0.127
張り付ける
1
3
1
5
7
7
3
5
5
0.266
打ち付ける
1/5
1/3
1/5
1
3
3
1/3
1
1
0.055
据え置く
1/7
1/5
1/7
1/3
1
1
1/5
1/3
1/3
0.025
掛け置く
1/7
1/5
1/7
1/3
1
1
1/5
1/3
1/3
0.025
押し込む
1/3
1
1/3
3
5
5
1
3
3
0.127
回し込む
1/5
1/3
1/5
1
3
3
1/3
1
1
0.055
叩き込む
1/5
1/3
1/5
1
3
3
1/3
1
1
0.055
CI:0.02(注1)
表 .2.3.13
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「高 所 の 作 業 が 少 な い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
1/3
3
3
1/7
1/5
1/3
1/3
3
0.043
押し付ける
3
1
5
5
1/5
1/3
1
1
5
0.088
張り付ける
1/3
1/5
1
1
1/9
1/7
1/5
1/5
1
0.021
打ち付ける
1/3
1/5
1
1
1/9
1/7
1/5
1/5
1
0.021
据え置く
7
5
9
9
1
3
7
7
9
0.379
掛け置く
5
3
7
7
1/3
1
3
7
7
0.216
押し込む
3
1
5
5
1/7
1/3
1
9
5
0.142
回し込む
3
1
5
5
1/7
1/7
1/9
1
5
0.070
叩き込む
1/3
1/5
1
1
1/9
1/7
1/5
1/5
1
0.021
CI:0.09(注1)
49
表 .2.3.14
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「危 険 物 の 扱 い が 少 な い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
1/3
5
5
1/5
1/3
1/3
1/3
1
0.052
押し付ける
3
1
7
7
1/3
1
1
1
3
0.119
張り付ける
1/5
1/7
1
1
1/9
1/7
1/7
1/7
1/5
0.017
打ち付ける
1/5
1/7
1
1
1/9
1/7
1/7
1/7
1/5
0.017
据え置く
5
3
9
9
1
3
5
5
7
0.331
掛け置く
3
1
7
7
1/3
1
3
5
7
0.200
押し込む
3
1
7
7
1/5
1/3
1
3
5
0.129
回し込む
3
1
7
7
1/5
1/5
1/3
1
3
0.090
叩き込む
1
1/3
5
5
1/7
1/7
1/5
1/3
1
0.044
CI:0.07(注1)
表 .2.3.15
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「機 械 の 扱 い が 容 易 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
1/7
1/5
1
1/7
1/5
1/5
1/3
1
0.026
押し付ける
7
1
3
7
1
3
3
5
7
0.254
張り付ける
5
1/3
1
5
1/3
1
1
3
5
0.117
打ち付ける
1
1/7
1/5
1
1/7
1/7
1/5
1/3
1
0.025
据え置く
7
1
3
7
1
3
5
5
7
0.270
掛け置く
5
1/3
1
7
1/3
1
3
3
5
0.138
押し込む
5
1/3
1
5
1/5
1/3
1
1
1
0.077
回し込む
3
1/5
1/3
3
1/5
1/3
1
1
3
0.061
叩き込む
1
1/7
1/5
1
1/7
1/5
1
1/3
1
0.032
CI:0.04(注1)
表 .2.3.16
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「動 き の 量 が 少 な い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
1/5
1/3
1/3
1/7
1/5
1/5
1/3
1/3
0.025
押し付ける
5
1
3
3
1/3
1
1
3
3
0.143
張り付ける
3
1/3
1
1
1/5
1/3
1/3
1
1
0.054
打ち付ける
3
1/3
1
1
1/5
1/3
1/3
1
1
0.054
据え置く
7
3
5
5
1
3
3
5
5
0.314
掛け置く
5
1
3
3
1/3
1
1
3
3
0.143
押し込む
5
1
3
3
1/3
1
1
3
5
0.154
回し込む
3
1/3
1
1
1/5
1/3
1/3
1
3
0.065
叩き込む
3
1/3
1
1
1/5
1/3
1/5
1/3
1
0.048
CI:0.02(注1)
表 .2.3.17
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「人 力 に 頼 る 部 分 が 少 な い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
5
7
1/3
3
3
1/3
1/3
3
重要度
0.113
押し付ける
1/5
1
3
1/7
1/3
1/3
1/7
1/7
1/3
0.026
0.016
張り付ける
1/7
1/3
1
1/9
1/5
1/5
1/9
1/9
1/5
打ち付ける
3
7
9
1
5
5
1
1
5
0.229
据え置く
1/3
3
5
1/5
1
1
1/5
1/5
1
0.053
掛け置く
1/3
3
5
1/5
1
1
1/5
1/5
1
0.053
押し込む
3
7
9
1
5
5
1
1
5
0.229
回し込む
3
7
9
1
5
5
1
1
5
0.229
叩き込む
1/3
3
5
1/5
1
1
1/5
1/5
1
0.053
CI:0.03(注1)
50
表 .2.3.18
作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 「待 ち の 発 生 が 少 な い 」に 対 す る 重 要 度
張付ける
打ち付ける
据え置く
掛け置く
押し込む
回し込む
叩き込む
重要度
締め付ける
締め付ける 押し付ける
1
1/5
1/3
1/3
1/7
1/3
1/5
1/3
1/3
0.027
押し付ける
5
1
3
3
1/3
3
1
3
3
0.164
張り付ける
3
1/3
1
1
1/5
1
1/3
1
1
0.062
打ち付ける
3
1/3
1
1
1/5
1
1/3
1
1
0.062
据え置く
7
3
5
5
1
5
3
5
5
0.335
掛け置く
3
1/3
1
1
1/5
1
1/3
1
1
0.062
押し込む
5
1
3
3
1/3
3
1
3
3
0.164
回し込む
3
1/3
1
1
1/5
1
1/3
1
1
0.062
叩き込む
3
1/3
1
1
1/5
1
1/3
1
1
0.062
CI:0.01(注1)
(注1)CI:一対比較の各評価項目間の整合度を示す
CI=(λmax−n)/(n-1) ただし:λmax=比較行列に対する最大固有値、n=比較項目の数
表 .2.3.19
作業方法の代替案におけるランナ取付けに対する重要度の算出結果
ランナ取付け
締め付ける(ランナを床に固定したアンカーボルトにナットで締め付ける)
0.170
押し付ける(ランナを床に固定したクリップに押し付ける)
0.129
張付ける(ランナに接着材を塗って床に貼り付ける)
0.089
打ち付ける(ランナをコンクリート釘で打ちつける)
0.105
据え置く(ランナに磁気を持たせて床に据え置く)
0.114
掛け置く(ランナに穴を開けて、天井の吊りボルトに掛け置く)
0.074
押し込む(ランナを床に設けた溝に押し込む)
0.113
回し込む(ボルトを付着したランナを床に固定したナットに回し込む)
0.146
叩き込む(釘を付着したランナを床に叩き込む)
0.059
0.180
0.170
0.160
0.146
0.140
0.129
0.114
0.120
0.113
重要度
0.105
0.100
0.089
0.074
0.080
0.059
0.060
0.040
0.020
0.000
締め付ける
回し込む
押し付ける
据え置く
押し込む
打ち付ける
張付ける
掛け置く
叩き込む
作業方法の代替案
図 .2.3.5
作業方法の代替案におけるランナ取付けに対する重要度の分布
火薬を用いた鋲打ち銃
打ち付ける
床ランナ材
コンクリート用釘
コンクリート床スラブ
図 .2.3.6
調査した現場で行ったランナ取付けの作業方法と写真
51
②スタッド取付け
スタッド取付けを採りあげ、評価項目と代替案の重要度の算出を行い、算出結果から作
業 方 法 の 選 択 を 行 っ た 。ス タ ッ ド 取 付 け の 作 業 条 件 は 表 .2.3.20 に 示 す 如 く 、取 付 け 部 位 で
あ る ラ ン ナ の 属 性 に 関 す る 情 報 、手 を 動 い て 作 業 が 可 能 な 範 囲 に お け る 作 業 者 の 位 置 情 報 、
部 材 の 属 性 の 情 報 で あ る 。 ス タ ッ ド 取 付 け の 評 価 項 目 と 代 替 案 の 階 層 構 造 を 図 .2.3.7 に 示
す 。 作 業 方 法 の 代 替 案 は 「 締 め 付 け る 」「 張 り 付 け る 」「 押 し 付 け る 」「 打 ち 付 け る 」「 据 え
置 く 」「 掛 け 置 く 」「 押 し 込 む 」「 回 し 込 む 」「 叩 き 込 む 」 の 9 個 と し た 。
評 価 項 目 の レ ベ ル 1 か ら レ ベ ル 4 及 び 、作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 一 対 比 較 を 行 い 、各
項目の重要度を算出した。評価項目の各レベルの重要度を用いて、最終目的である「スタ
ッ ド 取 付 け 」 に 対 す る 代 替 案 の 重 要 度 を 算 出 し た 結 果 を 表 .2.3.21 に 示 す 。「 ス タ ッ ド 取 付
け 」 に 対 す る 作 業 方 法 の 選 択 結 果 は 、 図 .2.3.8 に 如 く 、 重 要 度 が 0.205 と 最 も 高 い 「 押 し
込む」である。
調 査 を 行 っ た 現 場 で は 、 図 .2.3.9 に 示 す 如 く 、 床 と 上 部 ラ ン ナ に ス タ ッ ド を 押 し 込 む 作
業方法を採用し、選択の結果と現場で行われた作業方法が一致していることを確認した。
表 .2.3.20
スタッド取付けの作業条件
項目
内容
情報
ランナの属性:間仕切り壁の床と上部に取付けられたの鋼製材
部位の位置:間仕切り壁の45cm間隔の位置
作業者
位置:手がスタッドの位置に届く範囲
10mm
0.8 mm
部材
材質:溶融亜鉛めっき鋼
45mm
単位重量:1.120kg/m
65mm
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
作業方法の代替案
性質に対する適性が高い
部材の属性
締め付ける
(スタッドを床と天井のボルトに合わせてナットで締め付ける)
外形に対する適性が高い
適合性
押し付ける
(スタッドをに床と天井の間に押し付ける)
張り付ける
(スタッドに接着材を塗って張り付ける)
打ち付ける
(スタッドをコンクリート釘で床と天井に打ち付ける)
支える外力が大きい
部位の属性
形の精度が高い
高所の作業が少ない
スタッド
取付け
安全性
据え置く
(スタッドに磁器を持たせて床に据え置く)
掛け置く
(スタッドに穴を空けて、天井のつりボルトに掛け置く)
押し込む
(ランナを天井と床に設けた溝に押し込む)
回し込む
(ボルトを付着したスタッドを床と天井に固定したナットに回し込む)
叩き込む
(釘を付着したスタッドを床に叩き込む)
危険物の扱いが少ない
機械の扱いが容易
動きの量が少ない
省力性
人力に頼る部分が少ない
待ちの発生が少ない
図 .2.3.7
スタッド取付けの評価項目と作業方法の代替案
52
表 .2.3.21
スタッド取付けに対する各代替案の重要度の算出結果
スタッド取付け
締め付ける(スタッドを床と天井のボルトに合わせて締め付ける)
0.063
押し付ける(スタッドを床と天井の間に押し付ける)
0.144
張付ける(スタッドに接着剤を塗って張り付ける)
0.117
打ち付ける(スタッドをコンクリート釘で床と天井に打ち付ける)
0.065
据え置く(スタッドに磁気を持たせて床に据え置く)
0.198
掛け置く(スタッドに穴を空けて、天井の吊りボルトに掛け置く)
0.123
押し込む(ランナを床と天井に設けた溝に押し込む)
0.205
回し込む(ボルトを付着したスタッドを床と天井に固定したナットに回し込む)
0.046
叩き込む(釘を付着したスタッドを床に叩き込む)
0.039
0.250
0.205
0.200
0.198
0.144
重要度
0.150
0.123
0.117
0.100
0.065
0.063
0.046
0.050
0.039
0.000
押し込む
据え置く
押し付ける
掛け置く
張付ける
打ち付ける 締め付ける
回し込む
叩き込む
作業方法の代替案
図 .2.3.8
作業方法の代替案におけるスタッド取付けに対する重要度の分布
上部ランナ
手に持って押し込む
スタッド
手の持って押し込む
床ランナ
図 .2.3.9
調査した現場で行ったスタッド取付けの作業方法
③振れ止め取付け
振れ止め取付けを採りあげ、評価項目と代替案の重要度の算出を行い、算出結果から作
業 方 法 の 選 択 を 行 っ た 。ス タ ッ ド 取 付 け の 作 業 条 件 は 表 .2.3.22 に 示 す 如 く 、取 付 け 部 位 で
あるスタッドの属性に関する情報、手を動いて作業が可能な範囲における作業者の位置情
報 、 部 材 の 属 性 の 情 報 で あ る 。 振 れ 止 め 取 付 け の 評 価 項 目 と 代 替 案 の 階 層 構 造 を 図 .2.3.10
に 示 す 。 作 業 方 法 の 代 替 案 は 「 締 め 付 け る 」「 張 り 付 け る 」「 溶 接 す る 」「 打 ち 付 け る 」「 据
え 置 く 」「 掛 け 置 く 」「 押 し 込 む 」「 回 し 込 む 」「 叩 き 込 む 」 の 9 個 と し た 。
53
評 価 項 目 の レ ベ ル 1 か ら レ ベ ル 4 及 び 、作 業 方 法 の 代 替 案 に お け る 一 対 比 較 を 行 い 、各
項目の重要度を算出した。評価項目の各レベルの重要度を用いて、最終目的である「振れ
止 め 取 付 け 」 に 対 す る 代 替 案 の 重 要 度 を 算 出 し た 結 果 を 表 .2.3.23 に 示 す 。「 ス タ ッ ド 取 付
け 」 に 対 す る 作 業 方 法 の 選 択 結 果 は 、 図 .2.311 に 如 く 、 重 要 度 が 0.176 と 最 も 高 い 「 溶 接
する」である。
調 査 を 行 っ た 現 場 で は 、図 .2.3.12 に 示 す 如 く 、ス タ ッ ド の 溝 に 振 れ 止 め を ハ ン マ で 叩 い
て押し込む作業方法を用いた。選択の結果が部材の属性を重要として金属であるスタッド
に振れ止めを溶接する方法を選択したことに対して、調査した現場では器具の準備に必要
な時間を無くして取付けを行う省力性を重要視する方法を採用した。
表 .2.3.22
振れ止め取付けの作業条件
項目
内容
スタッドの属性:床と上部ランナに取付けられたの鋼製材
部位の位置:床からの高さ1.2mと2.4mの位置
情報
作業者
位置:手が振れ止めの位置に届く範囲
材質:溶融亜鉛めっき鋼
1.2 mm
10mm
部材
単位重量:0.384kg/m
25mm
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
作業方法の代替案
性質に対する適性が高い
部材の属性
締め付ける
(振れ止めを固定金物にボルトで締め付ける)
張り付ける
(振れ止めに接着材を塗って張り付ける)
外形に対する適性が高い
適合性
支える外力が大きい
部位の属性
溶接する
(振れ止めをスタッドに溶接する)
形の精度が高い
打ち付ける
(振れ止めを釘でスタッドに打ち付ける)
高所の作業が少ない
振れ止め
取付け
安全性
据え置く
(振れ止めに磁器を持たせてスタッドに据え置く)
掛け置く
(振れ止めに穴を空けて、ランナのつりボルトに掛け置く)
押し込む
(振れ止めをスタッドに設けた溝に押し込む)
回し込む
(スタッドのナットを付けて、ナットに振れ止めを回し込む)
危険物の扱いが少ない
機械の扱いが容易
動きの量が少ない
省力性
人力に頼る部分が少ない
縛り付ける
(振れ止めを針金でスタッドに縛り付ける)
待ちの発生が少ない
図 .2.3.10
表 .2.3.23
振れ止め取付けの評価項目と作業方法の代替案
振れ止め取付けに対する各代替案の重要度の算出結果
振れ止め取付け
締め付ける(振れ止めを固定金物にボルトで締め付ける)
0.127
張り付ける(振れ止めに接着材を塗って張り付ける)
0.099
溶接する(振れ止めをスタッドに溶接する)
0.176
打ち付ける(振れ止めを釘でスタッドに打ち付ける)
0.056
据え置く(振れ止めに磁気を持たせてスタッドに据え置く)
0.157
掛け置く(触れとめに穴を空けて、ランナの吊りると二掛け置く)
0.081
押し込む(振れ止めをスタッドに設けた溝に押し込む)
0.116
回し込む(スタッドにナットを付けてナットに振れ止めを回し込む)
0.135
縛り付ける(振れ止めを針金でスタッドに縛り付ける)
0.051
54
0.200
0.180
0.176
0.157
0.160
0.135
0.140
0.127
0.116
重要度
0.120
0.099
0.100
0.081
0.080
0.056
0.060
0.051
0.040
0.020
0.000
溶接する
据え置く
回し込む
締め付ける
押し込む
張り付ける
掛け置く
打ち付ける 縛り付ける
作業方法の代替案
図 .2.3.11
作業方法の代替案における振れ止め取付けに対する重要度の分布
スタッド
ハンマで叩いて
押し込む
振れ止め
図 .2.3.12
調査した現場で行った振れ止め取付けの作業方法
2.3.4.結
作業計画における、作業方法の代替案を選択するための方法の必要性について述べた。
与えられた条件に最適な作業方法の選択方法として、評価項目を階層構造にして一対比較
による総合的な評価を行う方法を提案し、その特徴を述べた。
一 対 比 較 を 用 い る AHP 手 法 を 採 り あ げ 、 そ の 階 層 構 造 の 作 成 か ら 選 択 ま で の 手 順 を 示
し た 。( 図 .2.3.2 参 照 ) ま た 、 作 業 方 法 の 比 較 の 基 準 と な る 「 適 合 性 」「 安 全 性 」「 省 力 性 」
に 関 す る 評 価 項 目 を 提 案 し た 。( 図 .2.3.3 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業における実態調査に基づ
い て「 ラ ン ナ 取 付 け 」の 作 業 方 法 の 代 替 案 と 評 価 項 目 の 階 層 構 造 を 作 成 し( 図 .2.3.4 参 照 )、
各 評 価 項 の レ ベ ル に お け る 重 要 度 の 計 算 結 果 を 示 し た 。( 表 .2.3.3∼ 表 .2.3.19 参 照 )選 択 し
た 代 替 案 ( 図 .2.3.5 参 照 ) は 「 ア ン カ ー ボ ル ト に ナ ッ ト で 締 め 付 け る 」 で あ り 、 実 測 し た
作 業 方 法 ( 図 .2.3.6 参 照 ) は 「 鋲 打 ち 銃 を 用 い て 打 ち 付 け る 」 で あ っ た 。 そ の 結 果 、 選 択
結果は「適合性」を重視し、実測値は「省力性」を重視していることを確認した。
「 ス タ ッ ド 取 付 け 」の 作 業 方 法 の 代 替 案 と 評 価 項 目 の 階 層 構 造 を 作 成 し( 図 .2.3.7 参 照 )、
55
選 択 し た 代 替 案 ( 図 .2.3.8 参 照 ) は 「 天 井 と 床 の 間 に 押 し 込 む 」 で あ っ た 。 実 測 し た 作 業
方 法 ( 図 .2.3.9 参 照 ) と 比 較 し た 結 果 、 選 択 結 果 と 実 測 値 は 同 じ く 「 省 力 性 」 を 重 視 し て
いることを確認した。
「 振 れ 止 め 取 付 け 」の 作 業 方 法 の 代 替 案 と 評 価 項 目 の 階 層 構 造 を 作 成 し( 図 .2.3.10 参 照 )、
選 択 し た 代 替 案 ( 図 .2.3.11 参 照 ) は 「 ス タ ッ ド に 溶 接 す る 」 で あ り 、 実 測 し た 作 業 方 法
( 図 .2.3.12 参 照 ) は 「 ハ ン マ 叩 い て 押 し 込 む 」 で あ っ た 。 そ の 結 果 。 選 択 結 果 は 「 部 材 の
属 性 の 適 合 性 」 を 重 視 し 、「 省 力 性 」 を 重 視 し て い る こ と が 判 っ た 。
以上の検討の結果、提案した方法は、計画者が考慮すべき評価項目を明確にし、作業の
実施において重要視する評価項目によって有効に作業方法の選択できることを確認した。
また、選択結果と実測した作業の比較によって、計画者が重要視する評価項目の差異によ
って選択結果が異なることを明らかにした。
56
2.4.結 言
A.作 業 プ ロ セ ス の 作 成 を 用 い た 作 業 の モ デ ル 化
作業計画における、作業のモデル化の必要性を指摘し、モデルを構成する作業の要素と
し て「 作 業 者 」「 部 材 」「 部 位 」「 情 報 」を 提 案 し 、そ の 定 義 を 行 っ た 。作 業 に お け る「 作 業
条 件 」「 作 業 方 法 」「 作 業 結 果 」の 検 討 項 目 に よ っ て モ デ ル を 作 成 す る 考 え 方 を 示 し 、「 作 業
方法」の評価項目と代替案を表現することを提案した。このモデルによって、単位作業の
分類項目として移動・運搬・計測・加工・取付け・取外しの順序関係及び、作業方法の評
価 項 目 の 表 現 が 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。( 図 .2.1.2 参 照 )
作 業 の モ デ ル は 以 下 に 示 す 3 つ の 部 分 に よ っ て 順 序 関 係 を 決 定 す る こ と を 提 案 し 、そ れ
を 表 現 す る モ デ ル を 提 案 し た 。( 図 .2.1.3 参 照 )
①
「作業条件の検討」による達成させる先行の作業の設定
②
「作業方法の検討」による作業方法の代替案の選択
③
「作業結果の検討」による満足させる後行の作業の設定
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業における作業内容の実態
調 査 を 行 っ た 。( 図 .2.1.9 参 照 )
以下に示す単位作業の分類項目における作業のモデルを作成した。
①
「 取 付 け 」( 図 .2.1.10 参 照 )
②
「 加 工 」( 図 .2.1.11 参 照 )
③
「 運 搬 」( 図 .2.1.12 参 照 )
④
「 計 測 」( 図 .2.1.13 参 照 )
⑤
「 移 動 」( 図 .2.1.14 参 照 )
⑥
「 取 外 し 」( 図 .2.1.15 参 照 )
以上の検討の結果、提案した方法は、作業を実行するために必要とする作業条件と作業
結果を明確にするともに、それによって作業間の順序関係を表現できることを明らかにし
た。また、作業方法の選定に必要な評価項目と代替案の内容を体系的に表現することを確
認した。
B.機 能 抽 出 と 機 能 展 開 を 用 い た 作 業 方 法 の 発 想
作業を機能として捉え、二次機能を抽出する方法として「作業結果に基づく機能抽出」
を 提 案 し 、そ の 手 順 を 示 し た 。( 図 .2.2.1、図 .2.2.2 参 照 )ま た 、「 付 随 的 作 業 結 果 の 問 題 点
に 基 づ く 機 能 抽 出 」 を 提 案 し 、 そ の 手 順 を 示 し た 。( 図 .2.2.3、 図 .2.2.4 参 照 )
抽出した機能からより広範囲における作業方法の発想のための機能展開を提案し、その
57
方 法 と し て 「 作 業 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 」「 表 現 文 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 及 」「 部 材 に 対
す る 形 状 の 抽 象 化 」「 部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化 」「 構 文 に 対 す る 類 似 構 文 の 検 索 」 の 5 つ
の方法を提案し、その内容を示した。
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業における実態調査結果に
基 づ い て 、「 上 部 ラ ン ナ を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」の 作 業 結 果
に 基 づ く 機 能 抽 出 を 行 っ た 。( 図 .2.2.8 参 照 ) ま た 、「 加 工 を 行 う 際 に 発 生 す る 騒 音 」 の 付
随 的 作 業 結 果 の 問 題 点 に 基 づ く 機 能 抽 出 を 行 っ た 。( 図 .2.2.9 参 照 )
抽出した「ランナ材をスラブに取付ける」の機能に対して、以下の項目による機能展開
からなる作業の発想を行い、その結果を示した。
①
「 作 業 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 」( 図 .2.2.10 参 照 )
②
「 表 現 文 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 」( 図 .2.2.11 参 照 )
③
「 部 材 に 対 す る 形 状 の 抽 象 化 」( 図 .2.2.12 参 照 )
④
「 部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化 」( 図 .2.2.13 参 照 )
⑤
「 構 文 に 対 す る 類 似 構 文 の 検 索 」( 図 .2.2.14 参 照 )
以上の検討の結果、作業の目的を達成するための新たな作業方法の発想支援において、
提案した方法は有効であることを確認した。また、機能を抽象化することによって広範囲
における発想が容易に出来ることを確認し、発想した結果の事例から上位機能における作
業方法がより革新的なものであることを明らかにした。
C.一 対 比 較 を 用 い た 作 業 方 法 の 選 択
作業方法の複数の代替案から作業条件に最適な案を選択する方法として、評価項目を階
層 構 造 に し て 一 対 比 較 を 行 う 方 法 の 適 用 を 提 案 し 、AHP 手 法 に お け る 階 層 構 造 の 作 成 の 手
順 を 示 し た 。( 図 .2.3.2 参 照 ) ま た 、 比 較 に 用 い る 評 価 項 目 を 提 案 し た 。( 図 .2.3.3 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業における実態調査に基づ
い て「 ラ ン ナ 取 付 け 」の 作 業 方 法 の 代 替 案 と 評 価 項 目 の 階 層 構 造 を 作 成 し( 図 .2.3.4 参 照 )、
各 評 価 項 目 の レ ベ ル に お け る 重 要 度 の 計 算 結 果 を 示 し た 。( 表 .2.3.3∼ 表 .2.3.19 参 照 )ま た 、
選 択 結 果 ( 図 .2.3.5 参 照 ) と 実 測 し た 作 業 ( 図 .2.3.6 参 照 ) を 比 較 し た 。
「 ス タ ッ ド 取 付 け 」の 作 業 方 法 の 代 替 案 と 評 価 項 目 の 階 層 構 造 を 作 成 し( 図 .2.3.7 参 照 )、
選 択 結 果 ( 図 .2.3.8 参 照 ) と 実 測 し た 作 業 ( 図 .2.3.9 参 照 ) を 比 較 し た 。
「 振 れ 止 め 取 付 け 」の 作 業 方 法 の 代 替 案 と 評 価 項 目 の 階 層 構 造 を 作 成 し( 図 .2.3.10 参 照 )、
選 択 結 果 ( 図 .2.1.11 参 照 ) と 実 測 し た 作 業 ( 図 .2.3.12 参 照 ) を 比 較 し た 。
以上の検討の結果、提案した方法は、計画者が考慮すべき評価項目を明確にし、作業の
58
実施において重要視する評価項目によって有効に作業方法を選択できることを確認した。
また、選択結果と実測した作業の比較によって、計画者が重要視する評価項目の差異によ
って選択結果が異なることを明らかにした。
59
第3章
作業時間の推定方法の関する研究
第 3章
作業時間の推定方法に関する研究
3.1.作 業 の 実 績 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定
3.1.1.実 績 と 作 業 時 間 の 関 係
新 し い 作 業 方 法 と し て 開 発 し た 「 電 動 工 具 を 用 い た 作 業 の 機 械 化 」、「 部 品 に よ る 作 業 の
単 純 化 」、「 接 合 材 に よ る 作 業 の 合 理 化 」 な ど 施 工 の 実 績 が な い 作 業 方 法 を 用 い て 作 業 を 行
う場合、作業における作業時間への影響を考慮しながら計画を行う必要がある。そのよう
な新たな作業方法を用いた作業計画を行う場合、各種の作業条件の下で作業時間を推定す
るための方法は不可欠である。
しかしながら、現状の建築作業における作業時間の推定は、実施した作業全体の労務実
績 の 合 計 で あ る「 人 工 数 」「 作 業 時 間 」「 施 工 量 」を 単 位 と し た 特 性 値 を 用 い る 場 合 が 多 い 。
そのため、作業全体が完成するまでの過程で一部の作業を対象に作業時間の推定を行う場
合や、一部の作業の作業時間による作業全体の生産性への影響を捉えて明らかにしたもの
は少ない。特に、単位作業レベルを対象にした実績データの分析事例は少ない。
従来、建築作業の管理及び、計画に用いる作業の実績から算出する特性値の種類を
表 .3.1.1 に 示 す 。 表 に 示 す 如 く 、 各 特 性 値 は 、 対 象 作 業 か ら 作 業 測 定 し た 、 投 入 し た 延 べ
作 業 者 数 で あ る 「 人 工 数 」、 完 成 し た 建 物 の 部 位 の 量 で あ る 「 施 工 量 」、 作 業 に 要 し た 時 間
の合計である「作業時間」を使用目的によって組み合わせて算出する。
表 .3.1.1
建築作業に用いる特性値と種類
特性値
61)
単位の例
使用目的
人工数/単位施工量
人・時間/㎡
歩掛りとして、必要な労務生産量の推定などに用
いる
施工量/単位人工数
㎡/時間・人
生産性の指標として、作業実績の比較及び評価な
どに用いる
作業時間/単位施工量
時間/㎡
作業工程の全体に対する管理資料として、工程管
理や、作業費用の算定などに用いる
施工量/単位作業時間
㎡/時間
作業計画のための基礎資料として、工程計画及び
管理、労務計画などに用いる
注 1)日 本 建 築 学 会 の 作 業 能 率 測 定 指 針 か ら 引 用
注 2)施 工 量 を 面 積 で 表 し た 場 合 を 示 す
作業を測定して収集した作業時間のデータを統計的に分析し、作業内容と作業時間の関
係を明らかにするとともに、作業時間の推定のための特性値を定義することは、作業計画
において生産性の分析を行うためには不可欠なことである。
そこで、取付けの部位毎の「施工量」と「作業時間」の関係を作業時間の推定に用いる
特性値として提案し、その算定方法を示すことを目的とする。
60
3.1.2.特 性 値 の 算 出 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定
作業時間の推定に用いる特性値は、要素作業のレベルで測定して集計した作業時間を、
積算して求めた施工量で除して算定する。算定した要素作業の特性値は、合計して単位作
業とまとまり作業のレベルの作業時間を推定する。
作 業 の 実 測 デ ー タ を 用 い た 作 業 時 間 の 特 性 値 算 出 の 手 順 を 図 .3.1.1 に 示 す 。 図 に 示 す 如
く、手順 1 では、対象の作業の実態調査を行い、作業の条件である、部材の属性、使用す
る道具、作業方法などを把握する。手順 2 では、実態調査に基づいてまとまり作業を単位
作業、要素作業レベルで分割する。分割した各項目の範囲は、作業時間の測定の基準とな
るため、各レベルに含まれる作業者の作業内容を明確に定義する。
手 順 3 で は 、要 素 作 業 の レ ベ ル で 作 業 時 間 と ま と ま り 作 業 を 終 了 す る ま で 実 行 し た 合 計
回 数 を 測 定 す る 。 測 定 す る 作 業 時 間 は 、 図 3.1.2.の 日 本 建 築 学 会 の 作 業 能 率 測 定 指 針 に 定
義した作業の分類の中で主体作業を対象とする。測定方法は連続時間測定方法を用いる。
手順 4 では、測定した作業時間を要素作業別に合計し、1 回当りの平均値を算出する。
手順 5 では、まとまり作業の施工量を積算する。施工量とは、作業の目標とする設計図書
に 示 さ れ た 各 部 位 を 完 成 さ せ る た め に 、作 業 者 が 取 付 け た 部 材 の 数 量 で あ り 、本 方 法 で は 、
完成した部位の量を積算した結果を施工量として用いる。その測定単位は取付け部位の形
状に基づいて、以下の項目の如く決める。
①
長 さ を 単 位 ( m): ラ ン ナ 、 土 台 な ど 線 状 の 部 材 で あ る 場 合
②
広 さ を 単 位 ( m 2 ): 石 膏 ボ ー ド 、 床 パ ネ ル な ど 面 状 の 部 材 で あ る 場 合 、
③
容 積 を 単 位 ( m 3 ): コ ン ク リ ー ト 、 石 材 な ど 立 方 状 の 部 材 で あ る 場 合 は
④
個 数 を 単 位 ( 箇 所 ): 建 具 、 階 段 な ど 部 材 の 結 合 で あ る 場 合
手 順 6 で は 、以 上 で 求 め た 単 位 作 業 の 1 回 当 り の 平 均 作 業 時 間 値 と 施 工 量 を 用 い て 特 性
値を算出する。特性値は、施工量に対する作業時間値である。
手順1
対象作業の実態調査を行う
手順2
作業調査に基づいて単位作業・要素作業のレベルに作業分割を行う
手順3
要素作業の作業時間、及び発生回数を実測する
手順4
要素作業の1回の平均値を算出する
手順5
取付け部位の形状に基づいて施工量の単位を決め、施工量を測定する
手順6
施工量当りの単位作業の作業時間を特性値として算出する
図 .3.1.1
作業時間の特性値算出の手順
61
主作業
主体作業
付随作業
付帯作業
作業余裕
作業
余裕
疲労余裕
職場余裕
非作業
図 .3.1.2
注)日本建築学会の作業能率測定指針から引用
作業の分類項目
61)
まとまり作業の作業時間の特性値は、それを構成する単位作業の作業時間の特性値を合
計して算出する。単位作業の作業時間の特性値は、それを構成する要素作業の作業時間の
特 性 値 を 合 計 し て 算 出 す る 。 式 .3.1.1. は ま と ま り 作 業 の 特 性 値 を 示 す 。 式 に 示 す 如 く 、 ま
と ま り 作 業 の 特 性 値 Y は 、そ れ を 構 成 す る 単 位 作 業 の 特 性 値 y i の 合 計 で あ る 。単 位 作 業 の
特 性 値 y i は 、 式 .3.1.2.示 す 如 く 、 要 素 作 業 の 特 性 値 x l の 合 計 で あ る 。 要 素 作 業 の 特 性 値 x l
は 、 式 3.1.3.に 示 す 如 く 、 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 合 計 T l を 施 工 量 A Y で 除 し て 算 定 す る 。
Y =
n
∑ y ・・・・(式
i
.3.1.1. )
i =1
yi =
m
∑ x ・・・・(式
l
.3.1.2. )
l =1
xl =
Tl
・・・・(式 .3.1.3. )
AY
Y :施工量に対するまと まり作業の作業時間の 特性値
y :まとまり作業を構成
する i番目の単位作業の施工 量に対する作業時間の 特性値
i
x l:単位作業を構成する l番目要素作業の施工量 に対するの作業時間の 特性値
Tl:要素作業 lの合計作業時間
AY:まとまり作業 Yの合計施工量
n:まとまり作業を構成 する単位作業の数
m :単位作業を構成する 要素作業の数
i:単位作業の実行順番
l:要素作業の実行順番
3.1.3.鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
①作業の概要
実 態 調 査 は 2.1.3 項 で 対 象 と し た A 工 事 の 5 階 に お け る 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 一 部 を
対 象 に 行 っ た 。作 業 は 2 階 か ら 4 階 の 分 の 取 付 け を 行 い 、作 業 に 習 熟 し た 2 人 作 業 者 が 行
った。現場調査では、2 人の作業者における全作業の動きを連続してビデオを用いて撮影
し、撮影した録画画面を研究室に持ち帰って分析を行った。分析は付帯作業、余裕、非作
業 を 除 く 、 主 体 作 業 を 対 象 に 作 業 内 容 の 把 握 と 作 業 時 間 の 測 定 を 行 っ た 。 図 .3.1.3 に は 鋼
62
製壁下地取付け作業の作業内容を示す。
単位作業の
分類項目
作業内容
歩く
移動
手に部材を持って歩く
運搬
メジャーで寸法を測る
測った寸法を記入する
墨壷で芯墨を打つ
円鋸で部材を切断する
スタッドにスペーサを取付ける
溶接部位に錆び止めを塗る
鋲打ち銃で上部ランナを取付ける
鋲打ち銃で床ランナを取付ける
手でスタッドをランナに差し込む
手で方立てをランナに差し込む
まぐさを方立てに溶接する
レーザー光線を芯墨に合わせる
計測
加工
取付け
安全帯ををボルトに掛ける
安全帯
図 .3.1.3
鋼製壁下地取付け作業の作業内容
63
振れ止めをスタッドの穴に入れる
②作業分割
A 工 事 に お け る 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 は 2 人 の 作 業 者 が 1 組 に な っ て 行 っ た 。作 業 分 割
は 2 人 の 作 業 者 の ま と ま り 作 業 を 取 付 け の 部 位 で あ る 、上 部 ラ ン ナ 、床 ラ ン ナ 、ス タ ッ ド 、
振 止 め 、 方 立 て 、 ま ぐ さ に 分 類 し て 行 っ た 。 図 .3.1.4 に は 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 作 業 分
割を示す。図に示す如く作業分割は取付け、加工、計測、運搬、移動、案全帯の単位作業
の分類項目に基づいて要素作業のレベルまでに行った。
まとまり作業
単位作業の
分類項目
移動
取付けの部位
単位作業
上部ランナ
床の上を歩く
要素作業
歩く
床ランナ
床の上を歩く
歩く
スタッド
床の上を歩く
歩く
振れ止め
床の上を歩く
歩く
方立て
床の上を歩く
歩く
まぐさ
床の上を歩く
歩く
ランナ材を手に取る
上部ランナ
ランナ材を手で持って歩く
床ランナ
ランナ材を手で持って歩く
ランナ材を手に持って歩く
ランナ材を目的の位置に置く
スタッド
スタッド材を手で持って歩く
振れ止め
振れ止め材を手で持って歩く
スタッド材を目的の位置に置く
方立て材を手で持って歩く
まぐさ材を手で持って歩く
振れ止め材を手に取る
振れ止め材を手に持って歩く
まぐさ材を手に取る
まぐさ
ランナ材を目的の位置に置く
スタッド材を手に持って歩く
運搬
方立て
ランナ材を手に取る
ランナ材を手に持って歩く
スタッド材を手に取る
振れ止め材を目的の位置に置く
まぐさ材を手に持って歩く
まぐさ材を目的の位置に置く
方立て材を手に取る
方立て材を手に持って歩く
方立て材を目的の位置に置く
墨壷を用いてコンクリート面に墨出しをする
上部ランナ
墨壷を用いて床に芯墨を打つ
レーザー器の光線を芯墨に合わせる
レーザー光線を用いて寸法を比較する
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、読み出す
天井に映したレーザー光線に合わせてランナの位置を記す
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、記入する
巻尺を用いて寸法を測る
読み出された寸法を紙に記入する
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、チェックを入れる
床ランナ
巻尺を用いて寸法を測る
スタッド
巻尺を用いて寸法を測る
振れ止め
巻尺を用いて寸法を測る
屈んだ状態から立つ
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
計測
鋼製壁下
地取付け
作業
巻尺を用いて寸法を測る
まぐさ
巻尺を用いて寸法を測る
測った寸法を紙に記入する
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、チェックを入れる
スタッド材を取付け位置に当てて寸法を測る
測った寸法を紙に記入する
方立て
測る位置まで屈む
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、チェックを入れる
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
測った寸法を紙に記入する
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
測った寸法を紙に記入する
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、チェックを入れる
測った寸法を紙に記入する
取付け位置に差し金と鉛筆で線を引く
円鋸の位置に屈む
部材舗装用の紐をカッターで切断する
上部ランナ
切断位置を巻尺で測定し、記す
ランナ材を円鋸を用いて切断する
安全眼鏡を掛ける
ランナ材を円鋸にセットする
円鋸を回して、ランナ材を切断する
床ランナ
ランナ材を円鋸を用いて切断する
円鋸の位置に屈む
部材舗装用の紐をカッターで切断する
切断位置を巻尺で測定し、記す
安全眼鏡を掛ける
ランナ材を円鋸にセットする
円鋸を回して、ランナ材を切断する
円鋸の位置に屈む
部材舗装用の紐をカッターで切断する
スタッド材を円鋸を用いて切断する
切断位置を巻尺で測定し、記す
安全眼鏡を掛ける
スタッド材を円鋸にセットする
スタッド
円鋸を回して、スタッド材を切断する
加工
スペーサ部品をスタッド材に脚で踏み付ける
スタッド材にスペーサを並べて脚で踏む
円鋸の位置に屈む
部材舗装用の紐をカッターで切断する
切断位置を巻尺で測定し、記す
安全眼鏡を掛ける
振れ止め材を円鋸にセットする
円鋸を回して、振れ止め材を切断する
振れ止め
振れ止め材を円鋸を用いて切断する
鋏で振れ止め材を切断する
円鋸の位置に屈む
切断位置を巻尺で測定し、記す
方立て
方立て材を円鋸を用いて切断する
安全眼鏡を掛ける
スタッド材を円鋸にセットする
円鋸を回して、スタッド材を切断する
まぐさ材を円鋸を用いて切断する
まぐさ
安全眼鏡を掛ける
まぐさ材を円鋸にセットする
円鋸を回して、まぐさ材を切断する
スペーサ部品をスタッド材に脚で踏み付ける
スタッド材にスペーサを並べて脚で踏む
防錆剤を溶接した方立て・まぐさに塗り付ける
溶接位置に錆び止め剤を刷毛で塗る
上部ランナ
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラ
ブに打ち付ける
腰ポケットから釘を取り出し、鋲打ち銃に合わせる
床ランナ
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラ
ブに打ち付ける
取付け位置にランナ材を合わせる
鋲打ち銃を位置に合わせて打つ
取付け
円鋸の位置に屈む
切断位置を巻尺で測定し、記す
スタッド
床ランナと上部ランナの間に手に持ったスタッ
ド材を差し込む
振れ止め
スタッドの穴に手に持った振れ止め材を引き
通す
方立て
床ランナと上部ランナの間に手に持った方立
て材を差し込む
鋲打ち銃を位置に合わせて打つ
床ランナと上部ランナの位置に合わせて、スタッド材を差し込む
スタッドの上部穴に振れ止め材を引き通す
スタッドの下部穴に振れ止め材を引き通す
床ランナと上部ランナの位置に合わせて、方立て材を差し込む
床ランナに方立て材を合わせて、溶接する
上部ランナに方立て材を合わせて、溶接する
スタッドに方立て材を合わせて、溶接する
スタッドと方立て材・方立てとまぐさ材を溶接機
を用いて溶接する
方立てにまぐさ材を合わせて、溶接する
まぐさにランナ材を合わせて、溶接する
まぐさ
開口部ランナと上部ランナの間に手に持った
スタッド材を差し込む
取付け位置にランナ材を合わせる
腰ポケットから釘を取り出し、鋲打ち銃に合わせる
開口部ランナと上部ランナの位置に合わせて、スタッド材を差し込む
インサートにボルトを取付ける
上部ランナ
安全対をボルトに固定する
まぐさ
安全対をボルトに固定する
安全対にボルトを掛ける
安全対にボルトから外す
安全帯
インサートからボルトを外す
インサートにボルトを取付ける
安全対にボルトを掛ける
安全対にボルトから外す
インサートからボルトを外す
図 .3.1.4
鋼製壁下地取付け作業の作業分割
64
③要素作業の作業時間
要素作業レベルの作業時間の測定は取付け方法が異なる各部位別に行い、集計した。以
下の項目に各取付けの部位における作業時間の測定結果を示す。
A. 上 部 ラ ン ナ
上部ランナの取付け作業は移動、運搬、計測、加工、取付け、安全帯の単位作業の分類
項 目 に 基 づ い て 分 割 し た 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 集 計 を 行 っ た 。 表 .3.1.2 に は 上 部 ラ ン ナ の
取 付 け 作 業 に お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値 を 示 す 。 図 .3.1.5 に は 上 部 ラ ン ナ の 取 付 け
作業における単位作業の分類項目ごとに合計した作業時間の割合を示す。図に示す如く、
上 部 ラ ン ナ の 取 付 け 作 業 の 安 全 帯 が 占 め る 作 業 時 間 は 1942.65 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合
10.89%)、 取 付 け は 3898.94 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 21.94%)、 加 工 は 1678.13 秒 ( 全 作 業
時 間 の 割 合 9.44%)、計 測 は 8161.24 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 45.93%)、運 搬 は 619.07 秒( 全
作 業 時 間 の 割 合 3.48%)、 移 動 は 1468.00 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 8.26%) で あ っ た 。 上 部
ラ ン ナ の 取 付 け 作 業 は 床 の 芯 墨 を 天 井 に 写 す た め の「 レ ー ザ ー 器 の 光 線 を 芯 墨 に 合 わ せ る 」
の要素作業が含まれるため、全作業時間に対して計測が最も大きい割合を占める。
表 .3.1.2
取付け
の部位
上部ランナの取付け作業における要素作業の実測作業時間値
単位作業の
分類項目
要素作業
移動
運搬
計測
上部ラン
ナ
加工
取付け
安全帯
作業時間の
合計(秒)
全作業時間
に対する割
合(%)
平均値
(秒/回)
標準偏差
発生回数
変動係数
(秒/回)
(回)
歩く
1468.00
8.26
6.89
10.28
1.49
上部ランナ材を手に取る
102.65
0.58
2.18
1.63
0.75
213
47
上部ランナ材を手に持って歩く
441.02
2.48
9.19
7.57
0.82
48
上部ランナ材を目的の位置に置く
75.40
0.42
1.88
1.11
0.59
40
墨壷を用いて床に芯墨を打つ
557.13
3.14
29.32
9.78
0.33
19
レーザー器の光線を芯墨に合わせる
天井に映したレーザー光線に合わせて
ランナの位置を記す
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、
読み出す
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、
記入する
読み出された寸法を紙に記入する
3620.15
20.37
95.26
56.86
0.60
38
2974.07
16.74
37.65
27.51
0.73
79
181.08
1.02
16.46
5.69
0.35
11
71.57
0.40
10.22
6.22
0.61
7
323.56
1.82
23.11
14.50
0.63
14
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、
チェックを入れる
円鋸の位置に屈む
373.04
2.10
12.86
7.63
0.59
29
60.64
0.34
20.21
6.66
0.33
3
29.45
0.17
1.02
0.48
0.47
29
部材の舗装用の紐をカッターで切断する
65.78
0.37
8.22
4.41
0.54
8
切断位置を巻尺で測定し、記す
547.99
3.08
9.61
3.90
0.41
57
安全眼鏡を掛ける
49.50
0.28
2.75
1.59
0.58
18
ランナ材を円鋸にセットする
310.43
1.75
5.54
2.73
0.49
56
円鋸を回して、ランナ材を切断する
674.98
3.80
10.23
2.59
0.25
66
取付け位置にランナ材を合わせる
腰ポケットから鋲を取り出し、鋲打ち銃に
合わせる
鋲打ち銃を位置に合わせて打つ
2172.38
12.23
11.26
10.27
0.91
193
838.76
4.72
4.69
1.72
0.37
179
887.80
5.00
4.46
1.98
0.44
199
インサートにボルトを取付ける
663.13
3.73
6.38
2.07
0.32
104
安全帯をボルトに掛ける
445.13
2.51
2.60
0.96
0.37
171
安全帯をボルトから外す
364.88
2.05
2.15
0.76
0.35
170
2.32
0.46
インサートからボルトを外す
合計
469.51
2.64
17768.03
100.00
65
4.99
ー
ー
94
ー
上部ランナの取付け作業の
単位作業の分類項目
1942.65(10.89%)
安全帯
3898.94(21.94%)
取付け
1678.13(9.44%)
加工
8161.24(45.93%)
計測
運搬
619.07(3.48%)
移動
1468.00(8.26%)
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000 10000 11000 12000 13000
上部ランナの取付け作業に占める作業時間(秒)
図 .3.1.5
上部ランナの取付け作業における作業時間の割合
B. 床 ラ ン ナ
床ランナの取付け作業は移動、運搬、計測、加工、取付けの単位作業の分類項目に基づ
い て 分 割 し た 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 集 計 を 行 っ た 。 表 .3.1.3 に は 床 ラ ン ナ の 取 付 け 作 業 に
お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値 を 示 す 。 図 .3.1.6 に は 床 ラ ン ナ の 取 付 け 作 業 に お け る 作
業時間の割合を示す。図に示す如く、床ランナの取付け作業の取付けが占める作業時間は
2731.94 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 39.28%)、加 工 は 2140.84 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 30.78%)、
計 測 は 1229.96 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 17.69%)、運 搬 は 261.07 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 3.75%)、
移 動 は 590.44 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 8.49%) で あ っ た 。 床 ラ ン ナ の 取 付 け 作 業 は 床 の 芯
墨に正確に合わせるための「取付け位置にランナ材を合わせる」の要素作業が含まれるた
め、全作業に対して取付けが最も大きい割合を占める。
表 .3.1.3
床ランナの取付け作業における要素作業の実測作業時間値
取付けの 単位作業の
部位
分類項目
要素作業
移動
運搬
計測
床ランナ
加工
取付け
作業時間の
合計(秒)
全作業時間
に対する割
合(%)
平均値
(秒/回)
標準偏差
(秒/回)
変動係数
発生回数
(回)
歩く
590.44
8.49
6.09
5.83
0.96
97
床ランナ材を手に取る
48.15
0.69
2.41
1.34
0.56
20
床ランナ材を手に持って歩く
177.48
2.55
8.87
5.83
0.66
20
床ランナ材を目的の位置に置く
35.44
0.51
1.77
0.95
0.54
20
測る位置まで屈む
28.25
0.41
1.05
0.25
0.24
27
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測
り、チェックを入れる
屈んだ状態から立つ
661.89
9.52
7.35
4.32
0.59
90
199.24
2.87
8.66
5.15
0.59
23
27.67
0.40
0.99
0.89
0.90
28
測った寸法を紙に記入する
312.91
4.50
3.96
1.91
0.48
79
円鋸の位置に屈む
部材の舗装用の紐をカッターで切断す
る
切断位置を巻尺で測定し、記す
10.73
0.15
0.98
0.30
0.31
11
31.16
0.45
7.79
1.72
0.22
4
571.28
8.21
8.16
3.23
0.40
70
安全眼鏡を掛ける
48.72
0.70
4.06
3.70
0.91
12
73
ランナ材を円鋸にセットする
945.25
13.59
12.95
7.71
0.60
円鋸を回して、ランナ材を切断する
533.70
7.67
8.09
1.30
0.16
66
取付け位置にランナ材を合わせる
腰ポケットから鋲を取り出し、鋲打ち銃
に合わせる
鋲打ち銃を位置に合わせて打つ
1521.38
21.88
7.65
7.37
0.96
199
合計
657.25
9.45
3.61
1.89
0.52
182
553.31
7.96
2.78
1.06
0.38
199
6954.25
100.00
ー
ー
ー
ー
66
床ランナの取付け作業の
単位作業の分類項目
安全帯
0.00(0.00%)
取付け
2731.94(39.28%)
加工
2140.84(30.78%)
計測
1229.96(17.69%)
運搬
261.07(3.75%)
移動
590.44(8.49%)
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000 10000 11000 12000 13000
床ランナの取付け作業に占める作業時間(秒)
図 .3.1.6
床ランナの取付け作業における作業時間の割合
C. ス タ ッ ド
スタッドの取付け作業は移動、運搬、計測、加工、取付けの単位作業の分類項目に基づ
い て 分 割 し た 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 集 計 を 行 っ た 。 表 .3.1.4 に は ス タ ッ ド の 取 付 け 作 業 に
お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値 を 示 す 。 図 .3.1.7 に は ス タ ッ ド の 取 付 け 作 業 に お け る 作
業時間の割合を示す。図に示す如く、スタッドの取付け作業の取付けが占める作業時間は
3689.13 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 18.06%)、加 工 は 12077.20 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 59.12%)、
計 測 は 1136.70 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 5.56%)、運 搬 は 1946.76 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 9.53%)、
移 動 は 1578.50 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 7.73%) で あ っ た 。 ス タ ッ ド の 取 付 け 作 業 は ス タ ッ
ドにスペーサを取付けるための「スタッド材にスペーサを並べて脚で踏む」の要素作業を
含むため、全作業に対して加工が最も大きい割合を占める。
表 .3.1.4 ス タ ッ ド の 取 付 け 作 業 に お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値
取付け 単位作業の
の部位 分類項目
要素作業
移動
運搬
計測
スタッド
全作業時間
に対する割
合(%)
平均値
(秒/回)
標準偏差
変動係数
(秒/回)
発生回数
(回)
歩く
1578.50
7.73
4.86
4.10
0.84
325
スタッド材を手に取る
640.33
3.13
2.89
2.01
0.70
221
スタッド材を手に持って歩く
937.06
4.59
4.28
3.42
0.80
219
スタッド材を目的の位置に置く
369.37
1.81
1.78
0.94
0.53
207
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
108.54
0.53
12.06
4.84
0.40
9
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、
チェックを入れる
877.38
4.29
36.55
32.26
0.88
24
スタッド材を取付け位置に当てて寸法を測
る
128.89
0.63
3.30
2.48
0.75
39
測った寸法を紙に記入する
21.89
0.11
5.47
2.88
0.53
4
円鋸の位置に屈む
34.78
0.17
0.92
0.16
0.17
38
部材の舗装用の紐をカッターで切断する
230.22
1.13
9.21
4.73
0.51
25
切断位置を巻尺で測定し、記す
720.39
3.53
10.29
3.98
0.39
70
安全眼鏡を掛ける
117.28
0.57
3.01
1.80
0.60
39
加工
取付け
作業時間の
合計(秒)
スタッド材を円鋸にセットする
1429.56
7.00
11.72
7.92
0.68
122
円鋸を回して、スタッド材を切断する
2142.12
10.49
17.56
7.80
0.44
122
スタッド材にスペーサを並べて脚で踏む
7402.85
36.24
321.86
202.95
0.63
23
床ランナと上部ランナの位置に合わせてに
スタッドを差し込む
合計
3689.13
18.06
20428.29
100.00
67
12.14
ー
5.95
ー
0.49
ー
304
ー
スタッドの取付け作業の
単位作業の分類項目
安全帯
0.00(0.00%)
取付け
3689.13(18.06%)
12077.20
(59.12%)
加工
計測
1136.70(5.56%)
運搬
1946.76(9.53%)
移動
1578.50(7.73%)
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000
10000 11000 12000 13000
スタッドの取付け作業に占める作業時間(秒)
図 .3.1.7
スタッドの取付け作業における作業時間の割合
D. 振 れ 止 め
振れ止めの取付け作業は移動、運搬、計測、加工、取付けの単位作業の分類項目に基づ
い て 分 割 し た 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 集 計 を 行 っ た 。 表 .3.1.5 に は 振 れ 止 め の 取 付 け 作 業 に
お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値 を 示 す 。 図 .3.1.8 に は 振 れ 止 め の 取 付 け 作 業 に お け る 作
業時間の割合を示す。図に示す如く、振れ止めの取付け作業の取付けが占める作業時間は
1360.06 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 34.33%)、加 工 は 1348.99 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 34.05%)、
計 測 は 475.29 秒 ( 時 間 の 割 合 12.00%)、 運 搬 は 394.11 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 9.95%)、
移 動 は 383.14 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 9.67%) で あ っ た 。 振 れ 止 め の 取 付 け 作 業 は 床 か ら
高い位置にあるスタッドの上部の穴に取付けるための「スタッドの上部穴に振れ止め材を
引き通す」の要素作業を含むため、全作業に対して取付けが最も大きい割合を占める。
表 .3.1.5 振 れ 止 め の 取 付 け 作 業 に お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値
取付けの 単位作業の
部位
分類項目
要素作業
移動
運搬
計測
振れ止め
標準偏差
(秒/回)
変動係数
発生回数
(回)
歩く
383.14
9.67
4.97
4.53
0.91
77
振れ止め材を手に取る
86.67
2.19
3.21
2.42
0.75
27
36
振れ止め材を手に持って歩く
245.43
6.20
6.82
5.09
0.75
振れ止め材を目的の位置に置く
62.01
1.57
2.14
1.39
0.65
29
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
342.20
8.64
9.51
7.25
0.76
36
測った寸法を紙に記入する
133.09
3.36
4.59
1.70
0.37
29
円鋸の位置に屈む
5.09
0.13
1.02
0.18
0.18
5
部材の舗装用の紐をカッターで切断する
99.98
2.52
16.66
10.91
0.65
6
切断位置を巻尺で測定し、記す
445.03
11.23
12.03
6.31
0.52
37
加工
取付け
全作業時間
作業時間の
平均値
に対する割合
合計(秒)
(秒/回)
(%)
安全眼鏡を掛ける
12.81
0.32
2.56
1.30
0.51
5
振れ止め材を円鋸にセットする
457.57
11.55
12.71
6.13
0.48
36
円鋸を回して、振れ止め材を切断する
261.68
6.61
6.89
2.47
0.36
38
鋏で振れ止め材を切断する
66.83
1.69
16.71
4.46
0.27
4
スタッドの上部穴に振れ止め材を引き通す
827.27
20.88
19.70
14.05
0.71
42
532.79
13.45
12.69
6.66
0.52
42
3961.59
100.00
ー
ー
ー
ー
スタッドの下部穴に振れ止め材を引き通す
合計
68
振れ止めの取付け作業の
単位作業の分類項目
0.00(0.00%)
安全帯
取付け
1360.06(34.33%)
加工
1348.99(34.05%)
計測
475.29(12.00%)
運搬
394.11(9.95%)
移動
383.14(9.67%)
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000
10000 11000 12000 13000
振れ止めの取付け作業に占める作業時間(秒)
図 .3.1.8
振れ止めの取付け作業における作業時間の割合
E. 方 立 て
方立ての取付け作業は移動、運搬、計測、加工、取付けの単位作業の分類項目に基づい
て 分 割 し た 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 集 計 を 行 っ た 。 表 .3.1.6 に は 方 立 て の 取 付 け 作 業 に お け
る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値 を 示 す 。 図 .3.1.9 に は 方 立 て の 取 付 け 作 業 に お け る 作 業 時 間
の 割 合 を 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 方 立 て の 取 付 け 作 業 の 取 付 け が 占 め る 作 業 時 間 は 821.25
秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 21.83%)、 加 工 は 1832.79 秒 (全 作 業 時 間 の 割 合 48.70%)、 計 測 は
77.90 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 2.07%)、 運 搬 は 658.16 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 17.50%)、 移
動 は 372.28 秒 ( 全 作 業 時 間 の 割 合 9.90%) で あ っ た 。 方 立 て の 取 付 け 作 業 は 他 の 部 材 に
比較して厚い断面を切断するための「円鋸を回して、方立て材を切断する」の要素作業を
含むため、全作業時間に対して加工が最も大きい割合を占める。
表 .3.1.6 方 立 て の 取 付 け 作 業 に お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値
取付け 単位作業の
の部位 分類項目
移動
運搬
計測
方立て
要素作業
全作業時間
作業時間の
平均値
に対する割合
合計(秒)
(秒/回)
(%)
発生回数
(回)
歩く
372.28
9.90
6.77
6.94
1.03
55
191.82
5.10
3.91
1.62
0.41
49
方立て材を手に持って歩く
352.16
9.36
7.19
7.24
1.01
49
方立て材を目的の位置に置く
114.18
3.04
2.44
1.04
0.43
47
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
55.38
1.47
13.84
3.41
0.25
4
測った寸法を紙に記入する
22.52
0.60
11.26
3.82
0.34
2
円鋸の位置に屈む
取付け
変動係数
方立て材を手に取る
切断位置を巻尺で測定し、記す
加工
標準偏差
(秒/回)
6.48
0.17
1.08
0.29
0.27
6
316.47
8.41
15.07
6.75
0.45
21
安全眼鏡を掛ける
43.32
1.15
2.41
1.87
0.78
18
方立て材を円鋸にセットする
539.34
14.34
20.74
16.16
0.78
26
円鋸を回して、方立て材を切断する
床ランナと上部ランナの位置に合わせてに方立
て材を差し込む
合計
926.18
24.62
37.05
21.19
0.57
25
821.25
21.83
15.21
6.82
0.45
54
3761.38
100.00
ー
ー
ー
ー
69
方立ての取付け作業の
単位作業の分類項目
0.00(0.00%)
安全帯
821.25(21.83%)
取付け
1832.79(48.70%)
加工
77.90(2.07%)
計測
658.16(17.50%)
運搬
372.28(9.90%)
移動
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000 10000 11000 12000 13000
方立ての取付け作業に占める作業時間(秒)
図 .3.1.9
方立ての取付け作業における作業時間の割合
F. ま ぐ さ
まぐさの取付け作業は移動、運搬、計測、加工、取付け、安全帯の単位作業の分類項目
に 基 づ い て 分 割 し た 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 集 計 を 行 っ た 。 表 .3.1.7 に は 方 立 て の 取 付 け 作
業 に お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値 を 示 す 。図 .3.1.10 に は ま ぐ さ の 取 付 け 作 業 に お け る
作業時間の割合を示す。図に示す如く、まぐさの取付け作業の安全帯が占める作業時間は
158.10 秒 (全 作 業 時 間 の 割 合 1.38%)、 取 付 け が 占 め る 作 業 時 間 は 6164.48 秒 ( 全 作 業 時 間
の 割 合 %53.96)、加 工 は 3556.90 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 31.13%)、計 測 は 893.66 秒( 全 作
業 時 間 の 割 合 7.82%)、運 搬 は 401.71 秒( 全 作 業 時 間 の 割 合 3.52%)、移 動 は 250.17 秒( 全
作 業 時 間 の 割 合 2.19%) で あ っ た 。 ま ぐ さ の 取 付 け 作 業 は 溶 接 の た め の 要 素 作 業 を 含 む た
め、全作業時間に対して取付けが最も大きい割合を占める
表 .3.1.7 ま ぐ さ の 取 付 け 作 業 に お け る 要 素 作 業 の 実 測 作 業 時 間 値
単位作業
取付け
の分類項
の部位
目
要素作業
移動
運搬
計測
作業時間 全作業時
の合計 間に対す
(秒)
る割合(%)
取付け
安全帯
変動係数
発生回数
(回)
歩く
250.17
2.19
9.26
10.12
1.09
27.00
122.14
1.07
5.31
4.08
0.77
23.00
まぐさ材を手に持って歩く
213.80
1.87
7.13
4.84
0.68
30.00
まぐさ材を目的の位置に置く
65.77
0.58
2.27
0.97
0.43
29.00
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測る
151.68
1.33
10.11
5.81
0.57
15.00
巻尺を用いて取付け位置の寸法を測り、チェックを入
れる
468.73
4.10
36.06
12.89
0.36
13.00
測った寸法を紙に記入する
70.08
0.61
5.39
2.50
0.46
13.00
取付け位置に差し金と鉛筆で線を引く
203.17
1.78
15.63
2.66
0.17
13.00
3.84
0.03
0.96
0.27
0.28
4.00
465.05
4.07
13.29
5.16
0.39
35.00
切断位置を巻尺で測定し、記す
加工
標準偏差
(秒/回)
まぐさ材を手に取る
円鋸の位置に屈む
まぐさ
平均値
(秒/回)
安全眼鏡を掛ける
36.57
0.32
3.05
1.78
0.58
12.00
まぐさ材を円鋸にセットする
613.01
5.37
16.57
9.71
0.59
37.00
円鋸を回して、まぐさ材を切断する
658.97
5.77
17.81
11.79
0.66
37.00
まぐさ上部スタッド材にスペーサを取付ける
622.36
5.45
56.58
22.06
0.39
11.00
溶接位置に錆び止め剤を刷毛で塗る
1157.10
10.13
12.72
8.75
0.69
91.00
床ランナに方立て材を合わせて、溶接する
1711.97
14.98
131.69
26.63
0.20
13.00
上部ランナに方立て材を合わせて、溶接する
1182.28
10.35
90.94
20.02
0.22
13.00
方立てにスタッド材を合わせて、溶接する
886.92
7.76
68.22
20.08
0.29
13.00
方立てにまぐさ材を合わせて、溶接する
1358.65
11.89
104.51
22.64
0.22
13.00
まぐさにランナ材を合わせて、溶接する
547.64
4.79
42.13
14.17
0.34
13.00
開口部ランナと上部ランナの間にスタッドを差し込む
477.02
4.18
8.09
2.34
0.29
59.00
インサートにボルトを取付ける
83.74
0.73
7.61
2.23
0.29
11.00
安全帯をボルトに掛ける
31.32
0.27
2.41
0.58
0.24
13.00
安全帯をボルトから外す
13.16
0.12
2.19
0.53
0.24
6.00
インサートからボルトを外す
29.88
0.26
5.98
1.25
0.21
5.00
11425.02
100.00
ー
ー
ー
ー
合計
70
まぐさの取付け作業の
単位作業の分類項目
安全帯
158.10(1.38%)
取付け
6164.48(53.96%)
加工
3556.90(31.13%)
計測
893.66(7.82%)
運搬
401.71(3.52%)
移動
250.17(2.19%)
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000 10000 11000 12000 13000
まぐさの取付け作業に占める作業時間(秒)
図 .3.1.10
まぐさの取付け作業における作業時間の割合
④単位作業別の作業時間
取付けの部位ごとに測定した要素作業の作業時間を合計し、単位作業の分類項目ごとに
合 計 を 行 っ た 。合 計 し た 作 業 時 間 の 割 合 を 取 付 け の 部 位 別 に 比 較 し た 結 果 を 図 3.1.11 に 示
す 。 図 に 示 す 如 く 、 上 部 ラ ン ナ は 床 の 芯 墨 を 天 井 に 映 す た め 45.95% と 計 測 の 割 合 が 大 き
い 。 ス タ ッ ド と 方 立 て は ス ペ ー サ の 取 付 け の た め 59.12% と 加 工 の 割 合 が 大 き い 。 ま ぐ さ
は 溶 接 を 行 う た め 53.96% と 取 付 け の 割 合 が 大 き い 。 以 上 の 結 果 か ら 、 各 部 位 の 作 業 時 間
は作業の内容によってその割合が異なることが判った。
鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 単 位 作 業 の 分 類 項 目 に お け る 作 業 時 間 の 割 合 を 図 .3.1.12 示 す 。
図 に 示 す 如 く 、鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 移 動 が 占 め る 作 業 時 間 は 77.38 分 (全 作 業 時 間 の 割
合 7.22%)、 運 搬 は 71.35 分 (全 作 業 時 間 の 割 合 6.66%)、 計 測 は 199.58 分 (全 作 業 時 間 の 割
合 18.62%)、 加 工 は 377.23 分 (全 作 業 時 間 の 割 合 35.2%)、 取 付 け は 311.10 分 (全 作 業 時 間
の 割 合 29.03%)、 安 全 帯 は 35.01 分 (全 作 業 時 間 の 割 合 3.27%)で あ っ た 。
移動
運搬
取付 け部 位
ま ぐ さ 2.19 3.52
方立 て
9.90
振 れ止め
9.67
計測
7.82
17.50
9.95
スタッド
7.73
床ランナ
8.49
3.75
上 部ランナ
8.26
3.48
0%
9.53
加工
取付け
31.13
53.96
2.07
1.38
48.70
12.00
21.83
34.05
5.56
60%
21.94
80%
作業時間 の割合(%)
取付けの部位における作業時間の割合
71
0.00
0.00
39.28
9.44
40%
0.00
18.06
30.78
45.93
図 .3.1.11
0.00
34.33
59.12
17.69
20%
安全帯
10.93
100%
鋼製壁下地取付け作業の
単位作業の分類項目
安全帯
35.01(3.27%)
取付け
311.10(29.03%)
377.23
(35.20%)
加工
計測
199.58(18.62%)
運搬
71.35(6.66%)
移動
77.38(7.22%)
0
50
100
150
200
250
300
350
400
鋼製壁下地取付け作業に占める作業時間(分)
図 .3.1.12
鋼製壁下地取付け作業における作業時間の割合
⑤取付け部位別の作業時間と施工量
鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 作 業 時 間 と 施 工 量 の 集 計 を 行 っ た 。 表 .3.1.8 に は 部 位 別 の 「 延
べ 作 業 時 間 」「 施 工 量 」「 作 業 時 間 当 り の 施 工 量 」 を 示 す 。 表 に 示 す 如 く 、 各 取 付 け 作 業 の
部位における単位作業の時間を合計して延べ作業時間を算出した。それを合計した作業時
間 は 17.86 時 間 で あ っ た 。 施 工 量 は 取 付 け 部 位 の 形 状 に よ っ て 、 壁 の 長 さ 方 向 に 部 材 を 繋
いで取付ける「ランナ」と「振れ止め」はその長さの寸法を測定し、壁の縦方向に1本づ
つ取付ける「スタッド」はその本数を測定し、開口部の補強のために取付ける「方立て」
と「まぐさ」は開口部の箇所を測定した。取付け作業を行った壁の面積は開口部を含めて
444.5m 2 で あ っ た 。 作 業 者 1 人 が 1 時 間 に 取 付 け た 壁 の 面 積 は 24.89m 2 で あ っ た 。
表 .3.1.8
鋼製壁下地取付け作業の部位別延べ作業時間と施工量と作業時間当りの施工量
取付けの部位
上部ランナ
床ランナ
スタット
振れ止め
方立て
まぐさ
合計
延べ作業時間(時間)
施工量
作業時間当りの作業量
4.94
取付け長さ:138.11m
22.98(m/人・時間)
1.93
取付け長さ:107.71m
55.76(m/人・時間)
5.67
取付け本数:304本
53.57(本/人・時間)
1.10
取付け長さ:215.42m
195.76(m/人・時間)
1.04
開口部の箇所:19ヶ所
18.18(ヶ所/人・時間)
3.17
開口部の箇所:13ヶ所
4.10(ヶ所/人・時間)
17.86
鋼製下地壁の面積:444.5m2 (開口部含む) 24.89(m2/人・時間)
⑥作業時間の特性値の算出
取 付 け 作 業 の 延 べ 作 業 時 間 と 施 工 量 を 用 い て 特 性 値 を 求 め た 。 表 .3.1.9 に は 取 付 け の 部
位別の特性値を示す。表に示す如く、上部ランナの取付け作業における単位作業の分類項
目 別 の 特 性 値 は 取 付 け た ラ ン ナ 1m の 施 工 量 に 対 し て 1 人 の 作 業 者 が 10.63 秒 /m の 移 動 の
作 業 時 間 、 4.06 秒 /m の 運 搬 の 作 業 時 間 、 59.09 秒 /m の 計 測 の 作 業 時 間 、 12.15 秒 /m の 加
工 の 作 業 時 間 、28.24 秒 /m の 取 付 け の 作 業 時 間 、14.07 秒 /m の 安 全 帯 の 作 業 時 間 を 必 要 と
し 、 合 計 128.23 秒 /m の 作 業 時 間 を 必 要 と す る 。
72
表 .3.1.9
単位作業の
分類項目
移動
運搬
計測
加工
取付け
安全帯
合計
取付けの部位別の特性値
取付けの部位の特性値
上部ランナ
(秒・人/m)
10.63
4.06
59.09
12.15
28.24
14.07
128.23
床ランナ
(秒・人/m)
5.48
2.42
11.42
19.88
25.37
―
64.57
スタッド
(秒・人/本)
5.20
6.40
3.74
39.73
12.14
―
67.20
触れ止め
(秒・人/m)
1.78
1.83
2.21
6.26
6.32
―
18.39
方立て
(秒・人/ヶ所)
19.60
34.66
4.10
96.41
43.23
―
198.00
まぐさ
(秒・人/ヶ所)
19.23
30.91
68.75
273.66
474.21
12.16
878.91
3.1.4.結
建 築 作 業 に お け る 既 存 の 特 性 値 の 問 題 点 を 述 べ( 表 .3.1.1 参 照 )、特 性 値 を 作 業 時 間 の 推
定 に 用 い る 場 合 、単 位 作 業 レ ベ ル に お け る 実 測 デ ー タ の 測 定 が 必 要 で あ る こ と を 指 摘 し た 。
そ れ に 基 づ い て 、 作 業 分 割 し た 「 ま と ま り 作 業 」「 単 位 作 業 」「 要 素 作 業 」 の 各 レ ベ ル の 実
測 デ ー タ の 測 定 と 特 性 値 の 算 定 方 法 を 提 案 し 、 そ の 手 順 を 示 し た 。( 図 .3.1.1 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業の実態調査に基づいて作
業 分 割 を 行 い 、要 素 作 業 レ ベ ル の 時 間 の 測 定 を 行 っ た 。( 図 .3.1.4 参 照 )測 定 し た 作 業 時 間
は取付け作業の部位別に分類して、集計した。
以下の項目における取付け作業の単位作業レベルの作業時間を集計して、取付け作業を
構成する単位作業の作業時間の割合を示した。
①
上 部 ラ ン ナ の 取 付 け は 「 計 測 」 の 時 間 が 45.93%と 高 い 割 合 を 示 し た 。( 図 .3.1.5 参 照 )
②
床 ラ ン ナ の 取 付 け は 「 取 付 け 」 の 時 間 が 39.28%と 高 い 割 合 を 示 し た 。( 図 .3.1.6 参 照 )
③
ス タ ッ ド の 取 付 け は 「 加 工 」 の 時 間 が 59.12%と 高 い 割 合 を 示 し た 。( 図 .3.1.7 参 照 )
④
振 れ 止 め の 取 付 け は 「 取 付 け 」 の 時 間 が 34.33%と 高 い 割 合 を 示 し た 。( 図 .3.1.8 参 照 )
⑤
方 立 て の 取 付 け は 「 加 工 」 の 時 間 が 48.70%と 高 い 割 合 を 示 し た 。( 図 .3.1.9 参 照 )
⑥
ま ぐ さ の 取 付 け は 「 取 付 け 」 の 時 間 が 53.96%と 高 い 割 合 を 示 し た 。( 図 .3.1.10 参 照 )
以上の結果、取付け作業に占める単位作業の作業時間の割合は、取付けの部位によって
異 な り (図 .3.1.11 参 照 )、 作 業 時 間 の 特 性 値 は 部 位 ご と の 単 位 作 業 の レ ベ ル で 算 定 す る 必 要
があることを明らかにした。
集 計 し た 取 付 け 作 業 の 部 位 別 に お け る 単 位 作 業 の 時 間 値 を 、積 算 し た 施 工 量 (表 .3.1.8 参
照 )で 除 し て 算 定 し た 特 性 値 を 示 し た 。( 表 .3.1.9 参 照 ) そ の 結 果 か ら 、 提 案 し た 算 定 方 法
による特性値は作業時間の推定に有効であることを確認した。
73
3.2.作 業 者 の 動 作 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定
3.2.1.動 作 と 作 業 時 間 の 関 係
作 業 は 「 手 を 伸 ば す 」「 脚 を 上 げ る 」「 胴 を 屈 む 」 な ど 作 業 者 の 身 体 部 位 の 動 き に よ っ て
構成される。作業者の動きを対象にした作業研究は、作業を構成する動作の内容を明らか
にするための動作分析、動作に予め定められた時間を与えて標準作業時間を作成するため
の 既 定 時 間 設 定 法 ( PTS 法 ) な ど が あ る 。 し か し 、 そ の よ う な 時 間 の 設 定 方 法 は 手 の 動 作
が 主 に 行 わ れ る 工 場 作 業 を 対 象 に 開 発 さ れ て い る た め 、「 取 付 け の 作 業 姿 勢 が 取 付 け 部 位
に よ っ て 異 な る 」「 道 具 の 使 い 方 が 部 材 の 大 き さ に よ っ て 異 な る 」な ど 作 業 の 条 件 が 一 定 で
はない建築作業における適用は、動作分析による時間設定の可能性は示しているものの、
構成する動作の内容が変化する場合は再び動作分析を必要とする問題点がある。
そ こ で 、作 業 に お け る 作 業 者 の 動 作 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 の た め に 、PTS 法 の 一 つ で
あ る MOST 手 法 を 用 い た 、作 業 を 構 成 す る 動 作 の 時 間 設 定 に よ る 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推
定及び、推定した作業時間値を用いた単位作業とまとまり作業レベルにおける作業時間の
算出方法の提案を目的とする
3.2.2.MOST 手 法 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法
① MOST 手 法 の 概 要
1920 年 頃 セ ガ ー (Segure 、 A 、 B) や ホ ル ム ズ (Homels 、 W 、 G) に よ っ て 開 発 さ れ た
PTS(Predetermined
Time
Standards)法 は 作 業 者 の 作 業 を 基 本 構 成 動 作 に 分 割 し 、そ の
基本動作の性質と条件に応じて予め定めておいた時間値を当てはめることによって標準時
間 を 設 定 す る 方 法 で あ る 。PTS 方 法 は 標 準 時 間 の 設 定 方 法 に よ っ て MTM( Methods
Measurement ) 手 法 、 WF ( Work
of
Predetermined
Time
Factor ) 手 法 、 MODAPTS ( Modula
Standards)手 法 、MOST( Maynard
Time
Arrangemen t
Operation
Sequence
Technique) 手 法 な ど が あ る 。
MOST 手 法 は 作 業 を 対 象 物 の 移 動 と 定 義 し 、対 象 物 を 移 動 す る た め に 行 う 一 連 の 動 作 を
シーケンス・モデルとして表して、そのシーケンス・モデルに予め設定した動作の時間イ
ン デ ッ ク ス 値 を 代 入 し て 作 業 の 標 準 時 間 を 推 定 す る 方 法 で あ る 。MOST 手 法 は 分 析 の 対 象
作 業 の 特 性 に よ っ て Maxi
MOST、 Basic
MOST、 Mini
MOST の シ ス テ ム を 用 い る 。
本 研 究 で は 、 推 定 対 象 作 業 の サ イ ク ル タ イ ム が 0.5 分 か ら 3 分 間 で あ り 、 手 作 業 の 分 析 に
適 し て い る Basic
MOST(以 下 に 示 す MOST 手 法 は Basic
MOST を 示 す )を 用 い た 。
作 業 時 間 の 推 定 に お け る MOST 手 法 の 特 徴 を 以 下 の 項 目 に 示 す 。
A. 作 業 動 作 の モ デ ル が 設 定 さ れ て い る た め 、 作 業 方 法 を 作 業 動 作 に 分 割 す る こ と が 容 易
74
である。
B. 作 業 方 法 の 変 更 に よ る 作 業 時 間 の 再 推 定 が 必 要 な 場 合 、 変 更 さ れ た 部 分 の 作 業 動 作 の
みを取り替えて推定することが容易である。
C. 作 業 動 作 の 内 容 の 範 囲 に お け る 時 間 の イ ン デ ッ ク ス 値 カ ー ド を 用 い る た め 、 作 業 動 作
の時間を選択することが容易である。
Basic
MOST の 作 業 時 間 の 推 定 は 、 作 業 者 の 一 連 の 動 作 を そ の 内 容 に よ っ て 普 通 移 動
シーケンス、制限移動シーケンス、工具使用シーケンスと三つのモデルに作成する。作成
されたシーケンス・モデルは決められたサブアクティビティによって構成される。作業時
間はサブアクティビティに作業方法毎に予め決められたインデックス値を与えて算出する。
表 .3.2.1 に は Basic
MOST の シ ー ケ ン ス ・ モ デ ル を 示 す 。 表 .3.2.2 に は 普 通 移 動 の シ ー
ケンス・モデルにおけるインデックス値のデータカードを示す。
表 .3.2.1
Basic
MOST の シ ー ケ ン ス ・ モ デ ル
作業内容
シーケンス・モデルの記号
普通移動
ABGABPA
制限移動
ABGMXIA
工具使用
ABGABP ABPA
サブアクティビィティ
A‐アクション距離
B‐胴の動作
G‐コントロール下におく
P‐位置ぎめ
M‐制限移動
X‐プロセス時間
I‐軸合わせ
F‐締める
L‐緩める
C‐切る
S‐表面処理
M‐測定
R‐記録
T‐考える
66)
適用作業
①身体を動かす場合
②ある対象物を空間で身体部位を用
いて運ぶ場合
①ある対象物を制限された経路に運
ぶ場合
②電動機械を用いる場合
①手工具を用いて作業を行う場合
②測定器具を用いて計測を行う場合
注)Basic MOSTのデータカードから引用
表 .3.2.2
普通移動のシーケンス・モデルにおけるインデックス値のデータカード
Basic−MOST
インデック
ス×10
Aアクション距離
ABGABPA
B胴の動作
内容
キーワード
0
≦2in
≦5cm
Close
1
手を伸ばせば
届く範囲
3
1−2歩
1step
2steps
かがむおよび
立ち上がる
(発生率50%)
Pbend
6
3−4歩
3steps
4steps
かがむおよび
立ち上がる
Bend
10
5−7歩
5steps
6steps
7steps
座るまたは立
つ
Sit/stand
8−10歩
8steps
9steps
10steps
Door
ドアを通りぬ
ける昇るまた Climb/descen
d
は降りる立つ
そしてかがむ Stand and
bend
かがむそして
Bend and sit
座る
16
内容
キーワード
普通移動
Gコントロール下におく
内容
キーワード
P位置決め
内容
手に持つ軽く
投げる
軽い対象物軽
い対象物(同
時)
軽い対象物
障害がある
(非同時)から
まった 重いま
たは集めるか
さばる
キーワード
Throw toss
Carry
pickup
インデック
ス×10
0
Grasp
(optional)
横に置くゆる
い組み合わせ
Move
Put
1
Get
Disengage
Free
Collect
調整軽く押す
2回調整
Place
Replace
3
注意 正確見
えない障害が
ある強く押す
途中での移動
Position
reposition
6
10
16
注)Basic MOSTのデータカードから引用
75
66)
② Basic
Basic
MOST 手 法 を 用 い た 推 定 方 法 の 手 順
MOST 手 法 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 の 手 順 を 図 .3.2.1 に 示 す 。推 定 の 対 象 と す る
作業の実態調査を行い、作業場の条件、部材の属性、使用する道具、作業方法などを把握
する。把握した内容に基づいて、まとまり作業を取付け・加工・運搬・計測・移動の単位
作業の分類項目に基づいて単位作業と要素作業に分割する。要素作業は適用する「普通移
動 」「 制 限 移 動 」「 工 具 使 用 」 の シ ー ケ ン ス ・ モ デ ル に 従 っ て 分 割 し 、 サ ブ ア ク テ ィ ビ テ ィ
の モ デ ル を 作 成 す る 。 作 成 し た 要 素 作 業 の モ デ ル は MOST− 計 算 用 紙 に 記 入 し 、 サ ブ ア ク
ティビティにインデックス値を与えて、インデックス値を合計することによって時間を決
め る 。イ ン デ ッ ク ス 値 は サ ブ ア ク テ ィ ビ テ ィ の ア ク シ ョ ン 距 離 、胴 の 動 作 、コ ン ト ロ ー ル 、
位 置 決 め な ど か ら MOST の デ ー タ カ ー ド を 参 照 し て 用 い る 。
要素作業のシーケンス・モデルは構成する各サブアクティビティが 1 回行う場合を前提
と し て 作 成 す る 。 そ の た め 、「 移 動 距 離 が 長 く な り 歩 く 歩 数 が 増 え る 」「 鋲 打 ち 銃 を 3 回 連
続 し て 打 つ 」「 巻 尺 で 計 る 距 離 が 4m 以 上 で あ る 」な ど 繰 り 返 し 行 う サ ブ ア ク テ ィ ビ テ ィ を
含む場合、その繰り返し行ったサブアクティビティの作業時間を追加する必要がある。そ
こで、シーケンス・モデルを内容が変化するサブアクティビティと変化しないサブアクテ
ィビティに分類し、繰り返す回数を変数とする推定式を作成する。
作成した要素作業の推定式を用いて単位作業の作業時間を算出するためには、まとまり
作業の作業フローを作成し、どのような作業条件で要素作業を選択するかを明確にする必
要がある。作業フローの作成は、作業条件と作業結果を用いて手順 2 で分割した単位作業
のレベルで行う。単位作業はさらに要素作業に置き換えて、なぜその要素作業が必要であ
るかを問い掛けて作業条件と連結することによって作業フローを作成する。最後に、まと
まり作業を構成する要素作業の内容を作業フローから推定し、推定した各要素作業の作業
時間を推定式から算出して合計することによって単位作業の作業時間を算出する。
手順1
対象作業の実態調査を行う
手順2
実態調査に基づいて単位作業・要素作業のレベルに作業分割を行う
手順3
要素作業のシーケンス・モデルを作成する
手順4
作成したシーケンス・モデルにインデックス値を与える
手順5
インデックス値を合計し、要素作業レベルの作業時間の推定式を作成する
手順6
まとまり作業における要素作業の作業フローを作成し、発生条件を決める
手順7
発生した要素作業の作業時間を合計し、単位作業の作業時間を推定する
図 .3.2.1
Basic
MOST 手 法 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 の 手 順
76
コード:6-A-3
日付:1998年7月6日
署名:蔡 成浩
ページ:1
MOST-計算用紙
JMAC
場所:6階B`タイプ
作業:部材を鋲打ち銃で打ち付ける
内容:間柱と土台・間柱と台輪の取付け作業
No
作業方法
no
1
1歩動いて手を伸ばせば届く距離にある
鋲打ち銃を取り、体を屈んで土台の釘
を打つ位置に鋲打ち銃を合わせる
1
3
5
2
鋲打ち銃を打つ
3
鋲打ち銃を台輪の釘を打つ位置に合わ
せる
4
鋲打ち銃を打つ
5
手が届く距離に鋲打ち銃を置く
シーケンス・モデル
2
4
シーケンスモデルに
合わせて作業方法を
分解する
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A3
A0
A0
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A0
A0
A
A
A
A
A
A
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B6
B0
B0
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B0
B0
B
B
B
B
B
B
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G1
G0
G0
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G
G0
G0
G
G
G
G
G
G
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A3
A0
A3
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
(M3)
(M3)
M
M
M
M
M
M
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B
P
B6
B3
B6
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
X0
X0
X
X
X
X
X
X
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
(P1)
P1
P1
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
I0
I0
I
I
I
I
I
I
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
頻度
TMU
1
1
1
200 (10)
40
100
1
1
30(30)
30(30)
A0
A0
A0
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A0
A0
A
A
A
A
A
A
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
P
インデックス値を
合計して
作業方法の
時間を算出する
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
作業時間=400TMU×0.036=14.4 秒(sec.)
繰り返し行う作業時間=40TMU×0.036=1.44 秒(sec.)
作業時間の推定式 Y=14.4+(x-1)1.44 , x:繰り返し行う作業の回数
400(40)
注)計算用紙とインデックス値は日本能率協会コンサルティングのBasic MOST教材から引用
①1歩動いて手を伸ばせば届く距離:鋲打ち銃が置いてある場所に移動する
アクション距離1-2歩(A3)
かがむおよび立ち上がる(B6)
②にある:床に置いてある鋲打ち銃を取りために屈む
軽い対象物(G1)
③鋲打ち銃を取り:床に置いてある鋲打ち銃を手で取る
④体を屈んで:釘を打つ位置まで屈む
かがむおよび立ち上がる(B6)
⑤釘を打つ位置に:鋲打ち銃を取った位置から屈む位置まで移動する
アクション距離1-2歩(A3)
⑥鋲打ち銃を合わせる:釘を打つ位置に鋲打ち銃を合わせる
横に置くゆるい組み合わせ(P1)
分割した作業方法の内容に
基づいて、データカードから
インデックス値を決める
インデック
ス×10
図 .3.2.2
Aアクション距離
B胴の動作
内容
キーワード
内容
0
≦2in
≦5cm
Close
1
手を伸ばせば
届く範囲
3
1−2歩
1step
2steps
かがむおよび
立ち上がる
(発生率50%)
Pbend
6
3−4歩
3steps
4steps
かがむおよび
立ち上がる
Bend
Gコントロール下におく
キーワード
内容
キーワード
P位置決め
内容
手に持つ軽く
投げる
軽い対象物軽
い対象物(同
時)
軽い対象物
障害がある
(非同時)から
まった 重いま
たは集めるか
さばる
キーワード
Throw toss
Carry
pickup
インデック
ス×10
0
Grasp
(optional)
横に置くゆる
い組み合わせ
Move
Put
1
Get
Disengage
Free
Collect
調整軽く押す
2回調整
Place
Replace
3
注意 正確見
えない障害が
ある強く押す
途中での移動
Position
reposition
6
MOST− 計 算 用 紙 に お け る イ ン デ ッ ク ス 値 の 計 算 方 法 と 作 業 時 間 の 推 定 値
66)
MOST− 計 算 用 紙 を 用 い た 、 要 素 作 業 に お け る シ ー ケ ン ス ・ モ デ ル の イ ン デ ッ ク ス 値 と
作 業 時 間 の 算 出 は 図 .3.2.2 の 事 例 に 示 す 如 く 行 う 。 要 素 作 業 で あ る 「 部 材 を 鋲 打 ち 銃 で 打
ち付ける」とその内容を記す。作業を時系列の作業者の動作に基づいて、シーケンス・モ
77
デ ル で あ る 「 普 通 移 動 」「 制 限 移 動 」「 工 具 使 用 」 に 分 解 す る 。 分 解 し た 各 シ ー ケ ン ス ・ モ
デ ル に お け る サ ブ ア ク テ ィ ビ テ ィ の「 ア ク シ ョ ン 距 離 」「 胴 の 動 作 」な ど を 測 定 す る 。測 定
し た 動 作 内 容 に 基 づ い て 、 表 .3.2.2.示 し た デ ー タ カ ー ド か ら イ ン デ ッ ク ス 値 を 決 め る 。
作業時間の算出は、サブアクティビティのインデックス値の合計がサブアクティビティ
の 時 間 と な り 、 そ れ を 合 計 し た 時 間 が 要 素 作 業 の 作 業 時 間 ( 14.4 秒 ) と な る 。 ま た 、 2 本
以上の釘を連続して打つ場合、要素作業の作業動作は「鋲打ち銃を打つ」のみを繰り返し
行 う 。 そ の 動 作 は 「( )」 を 用 い て 表 示 し 、 繰 り 返 し 行 う 作 業 時 間 ( 1.44 秒 ) と な る 。 作 業
時 間 の 推 定 式 は 、 繰 り 返 す 作 業 回 数 を 変 数 と す る 式 と し て 作 成 す る ( Y=14.4 秒 + ( X − 1 )
1.44 秒 )。
③作業フローの作成を用いたまとまり作業の時間算出
作業条件によって単位作業を構成する要素作業の内容が変化する場合、作業フローを用
いてその関係を示す。作業フローの作成は、それを構成する要素を作業条件と要素作業と
し、作業条件によって選択する要素作業を明確にして行う。
作 業 フ ロ ー の 作 成 に 用 い る 要 素 と そ の 関 係 を 図 .3.2.3 に 示 す 。 作 業 フ ロ ー は 、 判 断 と 選
択を行う「作業条件」の要素、選択した結果を実行する「要素作業」の要素、作業を開始
す る「 START」の 要 素 、作 業 を 終 了 す る「 END」要 素 を 用 い て 作 成 す る 。そ の 範 囲 は 、「 1
本 の ス タ ッ ド 材 の 取 付 け 」「 1 枚 の 石 膏 ボ ー ド の 取 付 け 」な ど 繰 り 返 し 行 う ま と ま り 作 業 の
1 サイクルを構成する要素作業とする。
作業条件に後続する要素は、実行する要素作業の選択、続く判断の作業条件の選択、実
行する作業条件と判断する要素作業の選択、作業終了の選択である。要素作業の実行後の
要素は、再び同じ要素作業の実行、別の要素作業の実行、作業条件の判断である。まとま
り作業の開始後の要素は、作業条件の判断、要素作業の実行、作業終了である。まとまり
作業の終了前の要素は、作業条件を判断、要素作業の実行である。以上で示した作業フロ
ーを用いることによって、推定の対象であるまとまり作業を構成する要素作業と作業条件
の関係を定義する。
まとまり作業の作業時間値は、作業フローにおける要素作業の推定式を用いて算出した
作 業 時 間 の 推 定 値 を 合 計 し て 算 出 す る 。 式 .3.2.1 は ま と ま り 作 業 の 作 業 時 間 値 の 算 出 式 を
示す。式に示す如く、まとまり作業の作業時間の推定値 Y は構成する要素作業の作業時間
の 推 定 値 y i を 合 計 し て 算 出 す る 。 式 .3.2.2 に は 要 素 作 業 の 作 業 時 間 値 の 算 出 式 を 示 す 。 式
に 示 す 如 く 、要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 値 y i は 要 素 作 業 が 1 回 行 っ た 場 合 の 時 間 値 a と 繰
り 返 し 行 う 作 業 時 間 値 b ( x − 1 )を 合 計 し て 算 出 す る 。
78
b)
a)
START
START
要素作業1
作業条件1
まとまり作業が開始され、作業条件1から判断を行う。
(例)スタッドを取付ける部位の寸法に対する情報が必
要であるかを判断する。石膏ボード加工場まで持って
運ぶ必要があるかを判断するなど。
まとまり作業が開始され、要素作業1を行う。
(例)壁の位置を図面で確認する、ランナ材を
選択する。スタッドの取付け部位まで歩くな
ど。
c)
d)
要素作業1
e)
要素作業1
要素作業1
要素作業1
要素作業2
要素作業1を行い、要素作業2を行う
(例)巻尺で壁の高さを測り、スタッドの置き場
まで歩く。石膏ボードの切断部位を記し、カッ
ターで切断するなど。
作業条件1
要素作業1を行い、作業条件1から判断を行うを行う
(例)巻尺で壁の高さを測り、スタッドを取付けに加工
場まで歩くかを判断する。石膏ボードの切断部位を
記し、切断するかを判断するなど。
要素作業1を行い、要素作業1を行う
(例)鋲打ち銃うち中で釘を打ち、再び釘を打つ。ス
タッド材を円カッターで切断し、再び切断する。
f)
g)
h)
作業条件1
作業条件1
いいえ
作業条件1
いいえ
いいえ
はい
要素作業2
はい
要素作業1
はい
要素作業1
作業条件2
作業条件1から判断を行い、要素作業2を選択する
(例)手に持ったスタッドの寸法から切断が必要であ
るかを判断し、スタッドを円鋸で切断する。石膏ボー
ドの切断形状からどの方法が適しているかを判断
し、鋸で切断するなど。
作業条件2
作業条件1から判断を行い、作業条件2の選択を行う
(例)手に持ったスタッドを切断するかまたは、運ぶか
を判断し、切断を選択し、円鋸を用いるか、またはは
さみを用いるかを判断する。壁の長さを測るかまた
は、部材置き場まで歩くかを判断し、測るを選択し、
巻尺を使用するか、または差し金を使用するかを判
断する。
j)
i)
k)
要素作業1
作業条件1
作業条件1
いいえ
いいえ
はい
はい
END
要素作業1
作業条件2
END
作業条件1から判断を行い、まとまり作業を終了する
(例)スタッドの取付けるかまたは、終了するかを判断
し、作業の終了を選択する。ボード置き場まで歩く
か、または終了するかを判断し、作業の終了を選択
する。
END
作業条件1から判断を行い、まとまり作業を終了する
(例)スタッドの取付けるかを判断するかまたは、終了
するかを判断し、作業の終了を選択する。ボード置き
場まで歩くを判断するか、または終了するかを判断
し、作業の終了を選択する。
要素作業1を行い、まとまり作業を終了する
(例)スタットの取付けを行ない、作業を終了する。石
膏ボードの取付けを行ない、作業を終了する。
START
いいえ
構成する
要素
はい
役割
作業条件3
作業条件1から判断を行い、作業条件3の選択を行う
(例)間柱を取付け部位に当てて取付けるか、または
切断するかを判断し、切断を選択し、手鋸を用いる
か、または円鋸を用いるかを判断する。壁石膏ボード
を取付けるか、または切断するかを判断し、取付けを
選択し、ビスを用いるか、またはタッカーを用いるかを
判断する。
END
作業条件の判断を行い、選択する
図 .3.2.3
Y =
要素作業を実行する
まとまり作業を開始する
まとまり作業を終了する
作業フローを構成する要素とその関係
n
∑ y ・ ・・・・(式.3.2.1.)
i
i =1
y i = a i + ( x i − 1) × bi ・・・・(式 .3.2.2.)
Y : まとまり作業の作業時 間の推定値
y i : まとまり作業を構成す るi番目の要素作業の 作業時間の推定値
n : まとまり作業を構成す る要素作業の数
i : 要素作業の実行順番
a
i
: 要素作業yiが1回行った場合の作 業時間の推定値
x : 要素作業yiの繰り返し行う回数
i
b : 要素作業yiの繰り返し行う作業時 間の推定値
i
79
3.2.3.木 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
①建物と作業の概要
作業時間の推定式の作成における作業者の動作データを求めるための実態調査を
表 .3.2.3 示 す 地 上 32 階 の 共 同 住 宅 の 新 築 工 事 ( 以 下 B 工 事 と 示 す ) の 1 住 戸 に お け る 木
製 下 地 取 付 け 作 業 を 対 象 に 実 施 し た .図 .3.2.4 に は 建 物 の 基 準 階 の 平 面 図 を 示 す 。 図 .3.2.5
に は B 工 事 の 建 物 の 北 側 立 面 図 を 示 す 。 図 .3.2.6 に は B 工 事 の 建 物 の 東 側 立 面 図 を 示 す 。
各 階 の 配 置 は 間 仕 切 り 壁 の 平 面 が 異 な る 7 住 戸 が 配 置 さ れ て い る 。デ ー タ の 収 集 は 5 階 に
おけるコーナー部分に接しない住戸を対象にして行った。
B 工事では 1 人の作業者が運搬車両から各住戸までの部材の搬入を除く 1 住戸分の木製
下地取付け作業の全工程を行った。調査の対象とした作業者は当現場において同じ形状を
持つ住戸の施工実績があり作業に習熟した状態であった。現場では作業者の全作業の動き
を連続してビデオカメラを用いて撮影し、撮影した録画画面を研究室に持ち帰って分析を
行った。分析は付帯作業、余裕、非作業を除く主体作業を対象に作業内容の把握と作業時
間の測定を行った。
表 .3.2.3
調査を行ったB工事の建物の概要
項目
用途
構造
敷地面積
建築面積
延べ床面積
建物高さ
階数
工事期間
内容
都民住宅208戸
鉄筋コンクリート造
5,672,720m 2
1,202,475m 2
22,783,867m 2
98,260m
地上1階、地上32階、搭屋1階
1996年11月15日−1999年9月15日
2,050
4,500
5,000
4,500
28,000
4,500
5,000
4,500
2,050
5,800
5,800
4,800
5,800
5,800
28,000
2,150
図 .3.2.4
2,050
B 工 事 の 建 物 の 平 面 (単 位 : mm)
80
120,000
98,260
図 .3.2.5B 工 事 の 建 物 の 北 側 立 面 図 ( 単 位 : m m )
図 .3.2.6B 工 事 の 建 物 の 東 側 立 面 図 ( 単 位 : m m )
コンクリート柱
ALC板壁
洗面・
脱衣室
5,000mm
クローゼット
便所
ホール
台所
木造軸組壁
乾式耐火遮音壁
4,500mm
洋室
洋室
居間
4,800mm
5,800mm
床
室名
壁
天井
広さ(m2)
下地
仕上げ
下地
仕上げ
下地
仕上げ
居間
食堂
洋室
ホール・廊下
乾式遮音置き床
複合フローリング12t
ALC125t
PB12.5t
乾式耐火遮音壁131t
ビニールクロス
PB9.5t
ビニールクロス
40.22
玄関
モルタル金ゴテ押し
硬質塩ビタイル
ビニールクロス
PB9.5t
ビニールクロス
1.55
便所
洗面・脱衣室
乾式遮音置き床
長尺塩ビシート1.8t
ビニールクロス
PB9.5t
ビニールクロス
4.08
台所
乾式遮音置き床
長尺塩ビシート1.8t
ビニールクロス
半磁器タイル
100×200
PB9.5t
ビニールクロス
5.3
クローゼット
乾式遮音置き床
複合フローリング12t
ビニールクロス
PB9.5t
ビニールクロス
2.65
図 .3.2.7
ALC100t
PB12.5t
乾式耐火遮音壁131t
ALC100t
PB12.5t
乾式耐火遮音壁131t
ALC100t
PB12.5t
乾式耐火遮音壁131t
ケイカル版6t
ALC125t
PB12.5t
乾式耐火遮音壁131t
調 査 の 対 象 に し た 住 戸 の 間 仕 切 り 平 面 図 と 各 室 の 仕 様 (単 位 : mm)
81
調 査 の 対 象 と し た 住 戸 に お け る 木 製 下 地 の 間 仕 切 り の 平 面 図 と 各 室 の 仕 様 を 図 .3.2.7 に
示 す 。 木 製 下 地 壁 の 面 積 は 83.38m 2 で あ り 、 床 の 面 積 は 53.8 ㎡ で あ る 。 床 ス ラ ブ か ら 天
井 ス ラ ブ ま で の 壁 の 高 さ は 3.08m で あ り 、梁 の 下 の 場 合 は 梁 の 高 さ に よ っ て 2.08m 、2.18m、
2.93m で あ る 。 床 の 下 地 の 場 合 は 置 き 床 工 法 を 使 用 し て い る た め 、 調 査 の 対 象 作 業 で は 壁
におけるきわ根太の取付けのみを行った。
天井スラブ
台輪
回り縁
きわ間柱
40mm
40mm
まぐさ
820mm
40mm
外壁ALC板
方立て
40mm
3,050mm
870mm 2710mm 間柱
20mm
40mm
20mm
開口部
940mm
30mm
門枠
土台
40mm
横胴縁
20mm
きわ根太
床スラブ
天井スラブ
台輪
コンクリートスラブ
インサートボルト
インサート
釣木
ボルト
ビス止め
金物
野縁
野縁受け
釣木
回り縁
3,050mm
間柱
2,200mm
釣木
野縁
野縁受け
きわ根太
きわ根太受け
40mm
横胴縁
きわ根太
きわ根太受け
40mm
土台
床スラブ
図 .3.2.8
木 製 下 地 の 構 造 と 各 部 位 の 名 称 (単 位 : mm)
82
使 用 さ れ た 各 部 材 の 仕 様 と 軸 組 の 構 造 を 図 .3.2.8 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 使 用 さ れ た 部
材 は 、 き わ 間 柱 ・ 方 立 て ・ ま ぐ さ ・ 釣 木 ・ 野 縁 ・ 根 太 の 取 付 け に 用 い た 40mm×40mm×
2710mm の 角 木 材 、間 柱 の 取 付 け に 用 い た 横 胴 縁 固 定 用 の 溝 (20mm×40mm)を 2 箇 所 設 け
た 30mm×40mm×2710mm の 角 木 材 、横 胴 縁 の 取 付 け に 用 い た 20mm×40mm×2710mm
の角木材である。
部 材 の 取 付 け は 、壁 下 地 に お け る 床 ス ラ ブ の 土 台 、天 井 ス ラ ブ の 台 輪 、き わ 間 柱 と 間 柱 、
方立てとまぐさ、振れ止め、天井下地における釣木、野縁受け、野縁、床下地におけるき
わ根太受け、きわ根太の順に行われた。
取付けは、コンクリート面と木材の取付けはエア鋲打ち銃を用いてコンクリート専用の
釘で打ち付けし、木材と木材の取付けはエア鋲打ち銃を用いて一般の釘で打ち付けした。
壁におけるせん断力を受ける間柱と横胴縁の取付けはエアインパクトドライバを用いて釘
より抜けにくいビスで締め付けを行った。天井下地の釣木のスラブに取付けは、釘で釣木
の先端にボルトが付いた金物を打ち付け、予めコンクリートに埋設したインサートにボル
トを回して取付けた。きわ根太受けは床根太の高さレベルの調整を必要とするため、ボン
ドを用いてスラブに貼り付けた。
加工は、鋸を用いた長さ方向の切断、蚤を用いた微調整、釘を用いた部材の接合、ボン
ドを用いた部材の接合を行った。切断は多くの場合、仮設の卓上に設置した電動円鋸を使
用して行い、卓上まで戻れない状態の簡単な場合は携帯の電動鋸を用いて行った。また、
取付けた後の長さの調整が必要であった天井の釣木・野縁などの切断は手鋸を用いて行っ
た。部材の接合は、間柱を重ねる必要がある場合、作業台の上で二つの部材を鋲打ち銃を
用いて接合した。根太受けは斜めに切断した二つの部材を長さの調整をしながらボンドを
用いて接合した。
計 測 は 、床 に 芯 墨 か ら 墨 出 し し た 間 仕 切 り の 位 置 の 墨 線 を 基 準 に 行 っ た 。寸 法 の 計 測 は 、
巻尺・差し金を用いて行い、壁の垂直の測定は下げ振りを用いて行った。また、間柱にお
ける取付け部位の高さの測定は、巻尺を用いて垂直距離を正確に採寸できなかったため、
適当に切断した部材を取付け位置に当てて切断部位を記入した。
運搬と移動は、取付けの部材と道具がすべて準備されていたため、住戸の中でのみ行っ
た。運搬の対象は手で持つ大きさである部材と道具であったため、台車など補助の器具は
使用しなかった。移動は主に床の上を歩いたが、天井部位の取付けと間柱の上部釘打ちの
場合は脚立と足場を用いた。足場の場合は、天井取付けの部位の下に同面積の仮設足場を
1m 高 さ に 設 置 し て 、 そ の 上 を 歩 い て 作 業 を 行 っ た 。 脚 立 の 場 合 は 、 高 さ 1m の 移 動 式 脚
立を必要な位置に運搬し、上って作業を行った。
83
木 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 単 位 作 業 の 分 類 項 目 に お け る 作 業 内 容 を 図 .3.2.9 に 示 す 。
単位作業の
分類項目
取付け
作業内容
手で部材の位置を調整する
ハンマで部材の位置を調整する
鋲打ち銃を打つ
ボンドで部材を貼りつける
インパクトドライバでネジを打つ
ボンドを部材に塗る
鋲打ち銃で部材を接合する
部材を揃える
鋸で切断する
卓上鋸で切断する
携帯丸鋸で切断する
部材を当てて寸法を測る
墨を打つ
メジャーで寸法を測る
鋲打ち銃を持って歩く
運ぶ部材を選択する
部材を持って歩く
歩く
脚立を乗る
加工
計測
下げ振りを見る
運搬
移動
図 .3.2.9
木製壁下地取付け作業の単位作業の分類項目別の作業内容
84
②作業分割
木製壁下地組取付け作業の作業分割は調査したデータに基づき要素作業のレベルまで
行 っ た 。 図 .3.2.10 に 示 す と お り 。 取 付 け 、 加 工 、 計 測 、 運 搬 、 移 動 の 単 位 作 業 の 分 類 項 目
と、それを構成する要素作業に分割した。各要素作業はシーケンス・モデルの分類に合わ
せて、さらにその内容を分割した。
まとまり作業
単位作業の
分類項目
単位作業
シーケンス・モデルの分類
要素作業
歩く
移動
手に部材持ったないで歩く
歩く
脚立を手に取り、位置を合わせる
脚立を乗る・降りる
脚立を乗る、脚立を降りる
運搬する部材を選択する
部材を手に取り、状態を確認する
部材を手に持って歩く
部材を手に持って歩き、部材を置く
脚立を手に取り、戻す
運搬
部材を手に持って運ぶ
図面を確認する
図面を読む
差し金を手に取り、寸法を測る
差し金で寸法を測り、チェックを入れる
鉛筆を取り、チェックを入れる
巻尺を用いて寸法を測る
ポケットからメジャーを取り出し、2m以下の寸法を測り、メ
ジャーをポケットに戻す
差し金と鉛筆を戻す
計測
部材の寸法を測る
ポケットからメジャーを取り出し、2m以下の寸法を測る
木製壁下
地取付け
作業
巻尺を用いて寸法を測り、チェックを入れる
鉛筆を取り、チェックを入れ、鉛筆とメジャーを戻す
部材を当てて寸法を測る
手に持った部材を取付け位置に当てて、寸法を確認する
寸法のチェックを入れる
鉛筆を取り、チェックを入れ、鉛筆を戻す
部材を手に取り、鋸の刃に合わせる
部材を卓上鋸で切断する
鋸の刃を押して、切断する
加工
部材を加工する
鋲打ち銃を手に取り、打つ位置に合わせる
部材を鋲打ち銃で接合する
鋲打ち銃を打つ
鋲打ち銃を置く
ハンマで取付け位置に部材を合わせる
ハンマをポケットから取り出し、部材を叩きながら位置を合わ
せ、ハンマを戻す
鋲打ち銃を手に取り、打つ位置に合わせる
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
鋲打ち銃を打つ
鋲打ち銃を置く
取付け
部材を取付ける
部材をインパクトドライバで打ち付ける
インパクトドライバを手に取り、ビスをドライバに合わせ、ビス
を打ち、インパクトドライバを置く
タッカ打ちを手に取り、打つ位置に合わせる
部材をタッカ打ちで打ち付ける
タッカ打ちを打つ
タッカ打ちを置く
図 .3.2.10
木製壁下地取付け作業の作業分割
③ MOST シ ー ケ ン ス ・ モ デ ル の 作 成
MOST 計 算 用 紙 を 用 い て 、 分 割 し た 各 要 素 作 業 に お け る シ ー ケ ン ス ・ モ デ ル の 分 類 に 基
づ い て 「 普 通 移 動 」「 制 限 移 動 」「 工 具 使 用 」 の 定 義 を 行 っ た 。 定 義 し た 各 内 容 に シ ー ケ ン
ス・モデルを与えて、各モデルのデータカードを参照して、サブアクティビティのインデ
ッ ク ス 値 を 決 め た 。 な お 、「 図 面 を 確 認 す る 」「 ハ ン マ で 取 付 け 部 位 に 部 材 を あ わ せ る 」 は
インデックス値が設定されてない動作であるため、実測した時間値を用いた。
85
④作業時間の推定式の作成
シーケンス・モデルの分類に基づいてシーケンス・モデルを作成し、インデックス値を
与 え て 、 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し た 。 要 素 作 業 別 に 算 出 し た 推 定 式 は 表 .3.2.4 に 示 す 如
く 、 繰 り 返 さ れ る 作 業 内 容 の 回 数 を 変 数 と し て 、 22 個 の 式 を 作 成 し た 。
表 .3.2.4
単位作業の
分類項目
移動
運搬
計測
加工
要 素 作 業 別 の MOST 作 業 時 間 の 推 定 式
要素作業
シーケンス・モデルの分類
シーケンス・モデル
作業時間推定式
(単位:秒)
歩く
①手に部材を持ったないで歩く(1−2歩 )
①A0 B0 G0 (A3) B0 P0 A0
Y1=1.08a
脚立を乗る・降りる
①脚立を手に取り、位置を合わせる
②脚立を乗る、脚立を降りる
③脚立を手に取り、戻す
①A3 B0 G1 A3 B0 P1 A0
②A6 B0 G0 A6 B0 P0 A0
③A1 B0 G1 A3 B0 P1 A0
Y4=9.63x
運搬する部材を選択する
①部材を手に取り、状態を確認する
①A1 B3 G1 A1 B0 P0 T3 A0 B0 P0 A0
Y2=3.24x
部材を手に持って歩く
①部材を手に持って歩き、部材を置く (1−2歩)
①A1 B3 G1 (A3) B0 P1 A0
Y3=1.8+1.08a
図面を確認する
①図面の読む
実測値(注)
実測値を用いる
差し金で寸法を測り、チェック
を入れる
①差し金を手に取り、寸法を測る
②鉛筆を取り、チェックを入れる
③差し金と鉛筆を戻す
①A3 B6 G1 (A3 B0 P1 M16) A0 B0 P0 A0
②A1 B0 G1 (A1 B0 P1 R3) A1 B0 P1 A0
③A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y5=16.92 +(x-1)*9
巻尺を用いて寸法を測る
①ポケットからメジャーを取り出し、2m以下の寸法を
測り、メジャーをポケットに戻す
①A1 B0 G1 (A1 B0 P1 M32) A1 B0 P1 A0
Y6=13.68+(x-1)*12.24
巻尺を用いて寸法を測り、
チェックを入れる
①ポケットからメジャーを取り出し、2m以下の寸法を
測る
②鉛筆を取り、チェックを入れ、鉛筆とメジャーを戻す
①A1 B0 G1 (A1 B0 P1 M32) A1 B0 P1 A0
②A1 B0 G1 (A1 B0 P1 R1) A1 B0 P1 A0
Y7=14.76+(x-1)*13.32
部材を当てて寸法を測る
①手に持った部材を取り付け場所に当てて、寸法を確
認する
①A0 B0 G0 A3 B0 P6 A0
Y8=3.24x
寸法のチェックを入れる(上部)
①鉛筆を取り、上部にチェックを入れ、鉛筆を戻す
①A1 B0 G1 A1 B0 (P1 R3) A1 B0 P1 A0
Y9=3.24+(x-1)*1.44
寸法のチェックを入れる(中部)
①鉛筆を取り、中部にチェックを入れ、鉛筆を戻す
①A1 B0 G1 A1 B0 (P1 R3) A1 B0 P1 A0
Y10=3.24+(x-1)*1.44
寸法のチェックを入れる(下部)
①鉛筆を取り、下部にチェックを入れ、鉛筆を戻す
①A1 B0 G1 A6 B0 (P1 R3) A1 B0 P1 A0
Y11=5.04+(x-1)*1.44
部材を卓上鋸で切断する(部
材を手に持ていない場合)
①部材を手に取り、鋸の刃に合わせる
②鋸の刃を押して、切断する
①A1 B0 G1 A3 B0 P3 A0
②A1 B0 G1 M3 X0 I0 A0
Y12=4.68x
部材を卓上鋸で切断する(部
材を手に持ている場合)
①鋸の刃に部材を合わせる
②鋸の刃を押して、切断する
①A0 B0 G0 A0 B0 P3 A0
②A1 B0 G1 M3 X0 I0 A0
Y13=2.88x
部材を鋲打ち銃で結合する
①鋲打ち銃を手に取り、打つ位置を合わせる
②鋲打ち銃を打つ
③鋲打ち銃を置く
①A3 B3 G1 A3 B0 (P1) A0
②(A1 B0 G0 M3) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A3 B3 P1 A0
Y14=7.92+(x-1)*1.8
実測値(注)
実測値を用いる
ハンマで取付け位置に部材を ①ハンマをポケットから取り出し、部材を叩きながら位
合わせる
置を合わせ、ハンマを戻す
取付け
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
(間柱と台輪、きわ間柱と台
輪、方立てと台輪)
①鋲打ち銃を手に取り、位置を合わせる
②鋲打ち銃を打つ
③鋲打ち銃を置く
①A3 B6 G1 A3 B0 (P1) A0
②A0 B0 G0 (M3) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y15=9.72+(x-1)*1.44
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
(間柱と土台、きわ間柱と土
台、方立てと土台)
①鋲打ち銃を手に取り、屈んで位置を合わせる
②鋲打ち銃を打つ
③鋲打ち銃を置く
①A3 B6 G1 A3 B6 (P1) A0
②A0 B0 G0 (M3) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y16=11.88+(x-1)*1.44
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
(間柱と土台と台輪)
①鋲打ち銃を手に取り、屈んで位置に合わせる
②鋲打ち銃を打つ
③立ち上がって鋲打ち銃を位置に合わせる
④鋲打ち銃を打つ
⑤鋲打ち銃を置く
①A3 B6 G1 A3 B6 (P1) A0
②A0 B0 G0 (M3) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A0 B3 P1 A0
④A0 B0 G0 (M3) X0 I0 A0
⑤A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y17=14.4+(x-1)*1.44
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
(間柱ときわ間柱、きわ間柱
ときわ間柱、方立てときわ間
柱)
①鋲打ち銃を手に取り、屈んで位置を合わせる
②鋲打ち銃を打つ
③鋲打ち銃を置く
①A3 B6 G1 A3 B3 (P1) A0
②(A1 B0 G0 M3) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y18=11.16+(x-1)*1.8
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
(間柱と横胴縁、上段)
①鋲打ち銃を手に取り、位置を合わせる
②鋲打ち銃を打つ
③鋲打ち銃を置く
①A3 B3 G1 A3 B0 (P1) A0
②(A1 B0 G0 M3) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y19=9+(x-1)*1.8
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
(間柱と横胴縁、下段)
①鋲打ち銃を手に取り、屈んで位置を合わせる
②鋲打ち銃を打つ
③鋲打ち銃を置く
①A3 B6 G1 A3 B6 (P1) A0
②(A1 B0 G0 M3) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y20=12.24+(x-1)*1.8
①A3 B6 G1 (A3 B0 P3 F3) A3 B6 P1 A0
Y21=10.44+(x-1)*3.24
①A3 B6 G1 A3 B0 (P1) A0
②(A1 B0 G0 M1) X0 I0 A0
③A0 B0 G0 A3 B6 P1 A0
Y22=9+(x-1)*1.08
部材をインパクトドライバで打
①ドライバを手に取り、ビスをドライバを合わせ、位置
ち付ける
に合わせ、ビスを打ち、ドライバを置く
(間柱と横胴縁)
①タッカ打ちを手に取り、位置を合わせる
部材をタッカ打ちで打ち付ける
②タッカ打ちを打つ
③タッカ打ちを置く
(注)作業内容を適切に表すMOSTシーケンスモデルが存在しないた
め、実測作業時間値を用いて作業時間推定を行う
凡例)Yn:各要素作業のMOST作業時間値
a:作業者の歩数、作業状況によって増える
x:繰り返される作業動作の回数
( ):繰り返される作業動作
:重なる動作であるため作業時間に含まない作業動作
86
⑤作業フローの作成
対 象 と し た 作 業 は 部 材 の 1 本 ご と に 単 位 作 業 を 繰 り 返 し 行 っ た た め 、作 業 フ ロ ー は 1 本
の 部 材 の 取 付 け を ま と ま り 作 業 と し て 、要 素 作 業 の レ ベ ル で 作 成 し た 。図 .3.2.11 に は 作 成
した木製壁下地取付け作業の作業フローを示す。図に示す如く、作業フローを用いてまと
まり作業を構成する要素作業と作業条件を決める。
START
取付け場所まで歩く
加工寸法を確かめる必要があるか?
はい
図面を確認する
いいえ
取付け部位の寸法を測る必要があるか?
はい
巻尺を用いて寸法を測る
いいえ
部材が加工場所にあるか?
はい
加工場所まで歩く
運搬する部材を選択する
いいえ
部材置き場所まで歩く
部材の切断寸法を知っているか?
いいえ
はい
運搬する部材を選択する
はい
部材を正確に切断する必要があるか?
部材の加工寸法を正確に記す必要があるか?
いいえ
はい
はい
いいえ
巻尺を用いて寸法を測り、チェックを入れる
取付け場所に部材を手に持って歩く
部材を卓上鋸で切断する
加工場所まで部材を手に持って歩く
部材を卓上鋸で切断する
部材を取付け場所に当てて寸法を測る
取付け場所まで部材を手に持って歩く
部材が取り付け寸法に合ってるか?
はい
寸法のチェックを入れる
はい
加工場所まで部材を手に持って歩く
部材を結合させる必要があるか?
いいえ
いいえ
上部までに手が届くか?
いいえ
部材を正確に切断する必要があるか?
いいえ
脚立を乗る・降りる
部材を鋲打ち銃で接合する
位置調整が必要か?
はい
はい
いいえ
ハンマで取付け位置に部材を合わせる
いいえ
部材を卓上鋸で切断する
部材がきわ間柱、方立て、間柱、まぐさであるか?
取付け場所まで部材を手に
持って歩く
巻尺を用いて寸法を測り、
チェックを入れる
部材を卓上鋸で切断する
はい
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
いいえ
部材が横胴縁であるか?
はい
部材をインパクトドライバで打ち付ける
いいえ
部材をタッカ打ちで打ち付ける
きわ間柱取付けが終了したか?
はい
方立ての取付けが終了したか?
はい
間柱の取付けが終了したか?
はい
まぐさの取付けが終了したか?
はい
横胴縁の取付けが終了したか?
はい
(凡例)
:要素作業
:作業条件
END
図 .3.2.11
木製壁下地取付け作業の作業フロー
87
:作業の進行方向
⑥要素作業の発生回数の実測
1 本の部材の取付け作業における要素作業と繰り返し行った動作の発生回数を測定した.
測 定 対 象 は 図 3.2.12 に 示 す 如 く 、200 本 の 壁 下 地 の 部 材 を 対 象 に 行 っ た 。表 .3.2.5 と 表 3.2.6
には測定した要素作業の発生回数と作業時間の実測値を示す。
8.5cmcm
98,99
96
63cm
94
93
95
46.5cm
60cm
96
32.5cm
92
26cm
56.45cm
84,85
80,81,82
16.3cm
24.71cm
86
91
100
88
87
30cm
90
上部補強材101
109
145
16.25cm
146
32.8cm
89
83
118
124
117
122
67
119
109
123
66
116
120
121
34cm
110
69.75cm
70
79.25cm
24.4cm
343.75cm
111
126
129
179
108
71
4cm
106
上部補強材101
166
154
167
79
78
147
74
65
149
70cm
100.75cm
25.29cm
154
156
153
76
上部補強材151
16.25cm
148
150
22cm
29.25cm
66cm
61
62
60
上部補強材152
21.5cmcm
39.75cm
62
61
49
51
32cm
58、59
69
28.25cm
171
52
50
14.75cm
87.75cm
74.25 cm
171
155
77
75
168
180
175
174
178
18cm
61cm
64
下部補強材176
182
139
137
144
61cm
15.66cmcm
179
181
83cm
140.45cm
103
107
138
143
177
57.5cm
136
141
142
30.3cm
73
112
105
104
72
134
135
140
127
16.7cm
125
133
69
68
上部補強材102
113、114
115
128
130
131
132
60cm
6.75cm
91cm
91cm
91cm
70.75cm
93cm
54
53
169
57
173
79.25cm
172
84.5cm
272.6cm
30.3cm
45
46
48
30, 31
14.75cm
190
191
192
188
193
189
197,198,199,200
194,195
194,196
34,35,37
47
44
29
33
70cm
38,36
39,40,41
上部補強材55
144.25cm
57.2cm
30.86cm
32
33
22
43
はしら
56
34.12cm
31.31cm
198.1cm
26.6cm
3
19
41.4cm
6
30.4cm
上部補強材5
32.5cm
2
1
5
11
7
17
76.65cm
24,25,26
29.75cm
96.25cm
27、28
32.82cm
16
補強材18
17
21
14
20
13
15
10、12
77.5cm
31cm
20
9
104cm
8
22
9
42.3cm
31.3cm
23
(凡例)
:間柱
:きわ間柱
:開口部の上部間柱
:横胴縁
:方立て
:開口部
:縦補強材
:外壁
注)各部材に示されている番号は部材の取付け順番である。番号が示されてない部材は本調査では測定不能であっ
た部材である。
図 .3.2.12
各部材の取付け状態
88
表 .3.2.5
測 定 し た 要 素 作 業 の 発 生 回 数 と 作 業 時 間 の 実 測 値 (部 材 1 か ら 100 ま で )
移動
部材
番号
歩く
運搬
計測
差し金
運搬
で寸法
脚立 する 部材 図面
を測
を乗 部材 を手に を確
り、
る・降 を選 持って 認す
チェッ
る
りる 択す 歩く
クを入
る
れる
加工
メ
ジャー
部材
メ
をて寸
を当
ジャー
法を測
てて
を用い
り、
寸法
て寸法
チェッ
を測る
を測る
クを入
れる
寸法 寸法 寸法 部材を卓上鋸
で切断する
の
の
の
チェッ チェッ チェッ
部材を 部材を
クを入 クを入 クを入
手に 手に
れる れる れる
持って 持って
(下
(中
(上
いない いる場
部)
部)
部)
合
場合
取付け
部材を
鋲打ち
銃で接
合する
ハンマで取付け位置
に部材を合わせる
上段
下段
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
部材を
部材を
インパ
タッカ
クトドラ
打ちで 実測作業
間柱と 間柱と
方立て イバで
間柱と きわ間 きわ間 きわ間
間柱と
打ち付 時間(秒)
方立て 方立て
横胴
横胴
間柱と 間柱と
ときわ 打ち付
きわ 柱と台 柱と土 柱とき
土台と
ける
と台輪 と土台
縁、上 縁、下
台輪 土台
ける
間柱
わ間柱
台
輪
間柱
台輪
段
段
歩数
(歩)
回数
(回)
回数
(回)
歩数
(歩)
時間
(秒)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
1
7
1
3
13
0
0
0
0
2
0
0
1
1
0
本数
本数
時間(秒) 時間(秒)
(本)
(本)
0
5.7
6.65
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
本数
(本)
0
103.67
2
7
1
2
13
0
0
0
0
1
0
0
1
1
0
0
4.58
6.35
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
73.26
3
7
1
1
13
0
0
0
0
1
0
0
1
1
0
0
4.92
4.56
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
66.99
4
8
1
1
15
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
67.08
5
7
1
1
10
0
0
1
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
4
0
0
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4.28
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1
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1
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1
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1
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1
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0
1
1
0
0
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4
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0
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0
0
0
88
1
0
1
8
0
0
0
0
1
0
0
1
1
0
0
2.2
4.11
0
0
2
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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1
10
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2
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0
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1
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0
2
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1
0
1
0
2
0
0
10.99
5.26
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
132.79
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10
0
9
11
0
0
1
1
1
1
0
0
0
2
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0
5
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0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
113.76
92
1
0
1
7
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0
0
0
1
1
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0
0
1
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0
5.33
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0
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0
0
7
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0
0
0
0
0
0
0
41.59
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1
0
1
7
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0
0
0
1
1
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0
1
0
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0
0
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0
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
12.89
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5
0
1
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1.94
6.93
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
3
8
0
0
65.16
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1
8
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0
1
0
0
0
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0
0
0
0
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0
0
0
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0
0
0
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0
0
0
6
0
0
96
7
0
2
7
0
0
2
1
0
0
0
0
1
0
0
2.32
7.69
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
67.6
97
10
0
1
12
0
0
0
1
1
1
0
0
1
1
0
8.86
4.22
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
0
0
0
79.41
98
7
0
1
7
0
0
2
1
1
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
81.18
99
7
0
1
7
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
102.59
100
9
1
2
15
0
0
0
0
1
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
81.54
0
3
0
89
0
0
0
0
4
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
25.45
52.7
89.55
76.15
24.49
44.35
25.2
表 .3.2.6
測 定 し た 要 素 作 業 の 発 生 回 数 と 作 業 時 間 の 実 測 値 (部 材 101 か ら 200 ま で )
移動
部材
番号
運搬
加工
計測
歩く
差し金
運搬
で寸法
脚立 する 部材 図面
を測
を乗 部材 を手に を確
り、
る・降 を選 持って 認す
チェッ
る
りる 択す 歩く
クを入
る
れる
メ
寸法 寸法 寸法 部材を卓上鋸
ジャー
で切断する
メ
の
の
の
をて寸 部材を
ジャー
チェッ チェッ チェッ
法を測 当てて
部材を 部材を
を用い
クを入 クを入 クを入
り、 寸法を
手に 手に
て寸法
れる れる れる
チェッ 測る
持って 持って
を測る
(中
(上
(下
クを入
いない いる場
部)
部)
部)
れる
合
場合
取付け
ハンマで取付け位
置に部材を合わせ
部材を鋲打ち銃で打ち付ける
る
部材を
鋲打ち
間柱と 間柱と
銃で接
方立て
間柱と きわ間 きわ間 きわ間
間柱と
方立て 方立て
横胴
横胴
間柱と 間柱と
合する 上段
ときわ
きわ 柱と台 柱と土 柱とき
下段
土台と
と台輪 と土台
縁、上 縁、下
台輪 土台
間柱
わ間柱
台
輪
間柱
台輪
段
段
本数
本数
時間(秒) 時間(秒)
(本)
(本)
部材を
部材を
インパ
タッカ
クトドラ
打ちで 実測作業
イバで
打ち付 時間(秒)
打ち付
ける
ける
歩数
(歩)
回数
(回)
回数
(回)
歩数
(歩)
時間
(秒)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
回数
(回)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
本数
(本)
101
8
1
2
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
37.82
102
10
1
2
13
0
0
1
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
74.63
103
7
0
2
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11.69
104
9
0
3
2
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
105
0
1
1
7
0
0
0
0
1
1
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
8
3
4
0
0
0
0
0
0
96.61
106
5
1
1
10
0
0
2
0
1
1
0
0
1
0
0
3.95
5.96
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
94.33
107
5
0
1
11
0
0
0
0
1
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
47.65
108
5
0
1
11
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
0
3.63
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
54.03
109
5
1
1
9
0
0
0
0
1
1
0
0
0
1
0
7.96
0
0
0
0
0
0
8
3
4
0
0
0
0
0
0
81.76
110
5
1
1
11
0
0
0
0
1
1
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
111
5
1
1
11
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
9.47
0
4
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
65.96
112
5
0
1
9
0
0
1
1
0
0
0
0
1
0
0
15.31
16.49
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
18
0
161.99
113
6
0
1
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
29.69
114
3
0
1
9
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
29.82
115
5
0
1
9
0
0
1
1
1
1
0
0
0
2
0
0
7.69
0
0
0
0
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
116
10
1
2
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
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4.37
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
76.86
175
11
1
4
10
0
0
0
1
1
0
0
1
1
1
0
5.81
8.07
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
4
8
0
0
140.23
176
3
0
1
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
177
1
1
1
11
0
0
0
1
1
0
0
1
2
0
0
4.19
4.46
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
73.5
178
5
0
1
5
0
0
2
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
69.46
179
5
1
1
5
0
0
2
1
0
0
0
0
2
0
0
180
7
1
2
8
0
0
0
2
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
68.99
181
5
1
1
10
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
3.41
0
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
46.11
182
1
1
1
6
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
2.53
0
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
33.64
183
1
1
1
6
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
8.11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
25.49
184
7
1
1
7
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
185
7
1
1
10
0
0
0
2
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
58.31
186
6
1
1
12
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
4.58
0
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
50.65
187
1
1
1
7
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
7
0
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
43.31
188
4
0
1
7
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
5.06
4.43
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
38.94
189
4
0
1
7
0
0
0
0
2
1
0
0
2
0
0
6.58
10.23
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
190
2
0
1
5
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
3.93
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
27.89
191
2
0
1
5
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
3.06
1.18
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
27.89
192
3
0
1
6
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
4.48
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
193
2
0
1
5
0
0
0
0
2
2
0
0
2
0
0
7.25
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
32.3
194
3
0
2
3
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
41.56
195
3
0
1
6
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
2.73
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34.44
196
6
0
1
6
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
5.13
3.14
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
35.14
197
7
0
1
10
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
34.9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
123.36
198
1
0
1
4
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
7.52
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
46.5
199
1
0
1
4
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
31.27
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
103.23
200
1
0
1
4
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
11.5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
61.56
146
0
0
90
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
70.44
55.26
44.51
32.46
10.69
7.62
60.9
44.7
53.12
28.7
⑦作業時間の推定値の算出
各部材の取付け作業における要素作業の発生回数の実測値と作業時間の推定式を用い
て 作 業 時 間 の 推 定 値 を 算 出 し た 。 表 .3.2.7
に部材 1 本当りの作業時間の実測値と推定値
の平均、標準偏差、実測値に対する推定値の割合を示す。表に示す如く、実測した取付け
作 業 の 1 本 当 り の 平 均 作 業 時 間 は 69.7 秒 /本 で あ る 。 取 付 け の 部 位 別 に は 、 鋲 打 ち 銃 と タ
ッ カ ー を 用 い る 場 合 は 概 ね 59 秒 /本 か ら 66 秒 /本 の 平 均 値 を 示 し て い る 。 イ ン パ ク ト ド ラ
イバを用いる場合は、他の部位に比較して取付けのための位置会わせとビスを回す作業が
長 く な る た め 、 117.17 秒 /本 と 長 く な っ て い る 。
作業時間における推定値と実測値の平均を比較すると、全部材の場合は推定値が実測値
よ る 4.72%高 い 結 果 を 示 し て い る 。取 付 け の 部 位 別 は 、図 .3.2.13 に 示 す 如 く 、鋲 打 ち 銃 を
用いる場合は推定値が高い結果を示し、インパクトドライバを用いる場合は推定値が低い
結果を示している。その理由として、設定した機械使用のシーケンス・モデルのインデッ
ク ス 値 に 対 し て 実 際 の 作 業 者 の 鋲 打 ち 銃 を 使 用 す る た め の 準 備 で あ る「 位 置 あ わ せ 」「 機 械
の準備」に要する時間が短く、インパクトドライバを使用するための準備は長くなってい
ることが挙げられる。
表 .3.2.7
部材 1 本当りの作業時間の実測値と推定値の平均と標準偏差
取付け部位
部材本数
(本)
鋲打ち銃で間柱、きわ間柱、方立
てを台輪と土台に取付ける
実測値
推定値
実測値に対する推定値
の割合
a/b*100(%)
1本当りの平均時間値
(秒/本) b
標準偏差
(秒/本)
1本当り平均時間値
(秒/本) a
標準偏差
(秒/本)
65
61.64
26.79
71.91
24.89
116.66
鋲打ち銃で間柱、きわ間柱、方立
てをお互い取付ける
81
66.44
34.06
66.80
30.09
100.54
鋲打ち銃で横胴縁、まぐさを間柱と
方立てに取付ける
28
59.45
29.62
61.06
27.92
102.71
インパクトドライバで横胴縁を間柱
に取り付ける
23
117.17
45.36
111.74
34.19
95.37
タッカで横胴縁を間柱に取付ける
3
63.75
39.97
77.56
45.79
121.66
合計
200
69.70
36.89
72.99
32.08
104.72
タッカで横胴縁を
間柱に取付ける
121.66
取付け部位
インパクトドライバで
横胴縁を間柱に
取り付ける
95.37
鋲打ち銃で横胴縁、
まぐさを間柱と
方立てに取付ける
102.71
鋲打ち銃で間柱、
きわ間柱、方立てを
お互い取付ける
100.54
鋲打ち銃で間柱、
きわ間柱、方立てを
台輪と土台に取付ける
116.66
0
20
40
60
80
100
120
140
作業時間の実測値に対する推定値の割合(%)
図 .3.2.13
取付けの部位別の作業時間の実測値に対する推定値の割合
91
⑧推定値の有効性の検討
推定方法の有効性を検討するために、取付けの部位別に作業時間の実測値と推定値の相
関 関 係 を 求 め た 。全 部 材 に お け る 実 測 値 と 推 定 値 の 関 係 は 図 .3.2.14 に 示 す 如 く 、相 関 係 数
は 0.82 で あ る 。 間 柱 、 き わ 間 柱 、 方 立 て を 台 輪 と 土 台 に 鋲 打 ち 銃 で 取 付 け は 図 .3.2.15 に
示 す 如 く 、相 関 係 数 が 0.82 で あ る 。間 柱 、き わ 間 柱 、方 立 て を お 互 い 鋲 打 ち 銃 で 取 付 け は
図 .3.2.16 示 す 如 く 、 相 関 係 数 が 0.91 で あ る 。 横 胴 縁 、 ま ぐ さ を 間 柱 と 方 立 て に 鋲 打 ち 銃
で 取 付 け は 図 .3.2.17 に 示 す 如 く 、 相 関 係 数 が 0.79 で あ る 。 横 胴 縁 、 ま ぐ さ を 間 柱 と 方 立
て に イ ン パ ク ッ ト ド ラ イ バ で 取 付 け は 図 .3.2.18 に 示 す 如 く 、 相 関 係 数 は 0.83 で あ る 。
以 上 の 結 果 の 如 く 、 作 業 時 間 の 実 測 値 と 推 定 値 の 相 関 係 数 は 概 ね 0.8 以 上 で あ り 、 提 案
し た MOST 方 法 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法 は 有 効 で あ る と 考 え ら れ る 。
250
推定作業時間(秒)
200
150
100
50
相関係数:0.82
サンプル数:200個
0
0
50
100
150
200
250
実測作業時間(秒)
図 .3.2.14
全部材の取付けにおける作業時間の実測値と推定値の関係
250
推定作業時間(秒)
200
150
100
50
相関係数:0.82
サンプル数:65
0
0
50
100
150
200
250
実測作業時間(秒)
図 .3.2.15
鋲打ち銃で間柱、きわ間柱、方立てを台輪と土台に取付けにおける関係
92
250
推定作業時間(秒)
200
150
100
50
相関係数:0.91
サンプル数:81個
0
0
50
100
150
200
250
実測作業時間(秒)
図 .3.2.16
鋲打ち銃で間柱、きわ間柱、方立てをお互い取付けにおける関係
250
推定作業時間(秒)
200
150
100
50
相関係数:0.79
サンプル数:28個
0
0
50
100
150
200
250
実測作業時間(秒)
図 .3.2.17
鋲打ち銃で横胴縁、まぐさを間柱と方立てに取付けにおける関係
250
推定作業時間(秒)
200
150
100
50
相関係数:0.83
サンプル数:23個
0
0
50
100
150
200
250
実測作業時間(秒)
図 .3.2.18
インパクトドライバで横胴縁、まぐさを間柱と方立てに取付けにおける関係
93
3.2.4.結
作業を作業者の動作を用いて分析し、時間を推定する既存の方法と問題点を述べた。作
業者の動作を作業時間の推定に用いる場合、作業条件によって変化する作業の内容を推定
す る た め の 方 法 の 必 要 性 を 指 摘 し た 。 PTS 法 で あ る MOST 手 法 に お け る シ ー ケ ン ス ・ モ
デ ル を 用 い て 作 成 し た ( 図 .3.2.2 参 照 ) 作 業 時 間 の 推 定 式 に よ る 要 素 作 業 レ ベ ル の 作 業 時
間 の 推 定 方 法 を 提 案 し 、そ の 手 順 を 示 し た( 図 .3.2.1 参 照 )。推 定 式 の 作 成 に お け る MOST
− 計 算 用 紙 を 用 い た イ ン デ ッ ク ス 値 の 設 定 方 法 の 事 例 を 示 し た( 図 .3.2.2 参 照 )。ま た 、単
位作業レベルの時間値は、構成する要素作業の作業時間の推定値を合計して算出する方法
を提案した。作業条件による単位作業を構成する要素作業の内容を推定するために、要素
作 業 の 選 択 の 関 係 を 具 現 化 す る 作 業 フ ロ ー の 作 成 方 法 を 提 案 し た 。( 図 .3.2.3 参 照 )
提案した推定方法の適用を検討するために、木製壁下地取付け作業の実態調査に基づい
て 作 業 の 分 割 を 行 い ( 図 .3.2.10 参 照 )、 要 素 作 業 レ ベ ル の 作 業 時 間 の 測 定 を 行 っ た 。 要 素
作業における作業者の動作を分析し、シーケンス・モデル作成し、インデックス値を与え
作業時間の推定式を作成した。その結果、分類したシーケンス・モデルは単位動作のレベ
ル で あ る こ と を 確 認 し た 。( 表 .3.2.4 参 照 )
作 成 し た 推 定 式 に 実 測 し た 要 素 作 業 の 発 生 回 数 (表 .3.2.5、 表 .3.2.6 参 照 )を 代 入 し 、 1 本
の 部 材 の (表 .3.2.12 参 照 ) 取 付 け に お け る 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 を 行 っ た 。 ま た 、 要 素
作 業 レ ベ ル の 作 業 フ ロ ー を 作 成 し た 。( 図 .3.2.1 参 照 )
推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 取 付 け 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 0.82 で
あ っ た 。( 図 .3.2.14 参 照 ) そ の 結 果 、 作 業 者 の 動 作 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法 は 有 効
であることを確認した。また、取付けの部材別による作業時間の推定値の誤差への影響を
検 討 す る た め 、各 部 材 を 4 つ の カ テ ゴ リ ー に 分 類 し て 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 関
係を求めた。以下の項目に求めた相関係数を示す。
①
間 柱 、 き わ 間 柱 、 方 立 て を 台 輪 と 土 台 に 鋲 打 ち 銃 で 取 付 け る : 0.82( 図 .3.2.15 参 照 )
②
間 柱 、 き わ 間 柱 、 方 立 て を お 互 い 鋲 打 ち 銃 で 取 付 け る : 0.91( 図 .3.2.16 参 照 )
③
横 胴 縁 、 ま ぐ さ を 間 柱 と 方 立 て に 鋲 打 ち 銃 で 取 付 け る : 0.79(( 図 .3.2.17 参 照 )
④
横 胴 縁 、 ま ぐ さ を 間 柱 と 方 立 て に イ ン パ ク ト ド ラ イ バ で 取 付 け る : 0.83(図 .3.2.18 参
照)
そ の 結 果 、 位 置 の 合 わ せ の 精 度 が 要 求 さ れ る 取 付 け 場 合 は 「 戸 惑 い 」「 考 え る 」 な ど の
要素が多く含まれるため、推定の誤差が多く生じることを明らかにした。
以上の検討結果から、提案した推定方法を用いた作業時間の推定値は有効であることを
確認した。
94
3.3.作 業 の 条 件 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定
3.3.1.条 件 と 作 業 時 間 の 関 係
作業における条件とは、作業時間を決める様々な要因である。作業の条件は、その性質
に よ っ て「 数 量 的 条 件 」と「 質 的 条 件 」に 分 類 す る こ と が 出 来 る 。数 量 的 条 件 と は 、「 運 ぶ
ス タ ッ ド 材 の 本 数 」「 石 膏 ボ ー ド 取 付 け に 用 い た ビ ス の 本 数 」「 巻 尺 で 測 っ た 回 数 」 な ど 数
え る こ と が で き る デ ー タ で あ る 。質 的 条 件 と は 、「 電 動 ド リ ル で ビ ス を 打 つ た め 作 業 者 の 腰
の 曲 が り 程 度 」「 ス タ ッ ド を 運 ぶ た め に 、 選 択 を 行 う か 行 わ な い か の 有 無 」「 ボ ー ド 取 付 け
部位の平面の状態」など数えることができないデータである。
現在、重回帰分析を用いた作業の条件と作業時間に関する研究は多く行われているが、
作業における施工量と作業時間の関係の説明にととまり、作成した重回帰式を用いた作業
時 間 の 推 定 方 法 に 関 す る 事 例 は 少 な い 。そ の 理 由 と し て 、「 分 析 の 信 頼 性 を 得 る た め に 必 要
な 作 業 時 間 の 実 績 値 の 測 定 が 行 わ れ て い な い こ と 」「 作 業 の 条 件 と す る 項 目 が 多 く 存 在 し 、
その選択が難しいこと」を挙げられる。そのため、作業の条件を用いた作業時間の推定を
行うには、繰り返して作業時間の測定が可能な作業のレベルの設定と、適切な作業の条件
を設定するための方法が不可欠である。
そこで、作業の条件を数量的条件と質的条件に区分し、設定するための作業測定の方法
を提案する。また、数量的条件と作業時間を用いて重回帰分析を行い、作成した重回帰式
による単位作業レベルにおける作業時間の推定方法を提案し、その適用の検討を行う。更
に、数量的条件のみでは説明できない単位作業の作業時間に関しては、質的条件から数量
化Ⅰ類を用いた推定式を作成する作業時間の推定方法を提案し、その適用の検討を行うこ
とを目的とする。
3.3.2.数 量 的 ・ 質 的 条 件 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法
①数量的条件に基づいた作業時間の推定方法
単位作業の数量的条件と作業時間の因果関係は重回帰分析を用いて明らかにする。その
結果から作成した推定式を用いて単位作業の作業時間を推定する。また、作業の内容に基
づいて作業フローを作成して単位作業間の関係を明確にし、構成する単位作業を選択する
ことによってまとまり作業の作業時間の推定を行う。
数 量 的 条 件 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 の 手 順 を 図 3.3.1 に 示 す 。 図 に 示 す ご と く 、 手 順 1
では、推定の対象とする作業の実態調査を行い、作業場の条件、部材の属性、使用する道
具、作業方法などを把握する。手順 2 では、把握した作業内容に基づいて、まとまり作業
を取付け・加工・計測・移動・運搬の単位作業の分類項目に基づいて分割し、単位作業を
95
要素作業に分割する。要素作業に含まれる内容は単位動作を用いて定義する。
手順 3 では、定義した要素作業の内容に合わせて作業時間の実測値の測定を行い、単位
作業のレベルに纏める。手順 4 では、まとまり作業レベルで数量的条件である、数えるこ
と が で き る「 部 材 の 長 さ 」「 ビ ス の 個 数 」「 歩 く 歩 数 」「 切 断 回 数 」な ど の 実 測 値 を 測 定 す る 。
手 順 5 で は 、手 順 3 で 実 測 し た 単 位 作 業 の 作 業 時 間 を 説 明 す る 手 順 4 の 数 量 的 条 件 を 選 択
す る 。 数 量 的 条 件 は 作 業 内 容 に 基 づ い て 作 業 時 間 と 最 も 関 係 が あ る と 思 わ れ る 2− 3 個 を
選択する。しかし、その数が多い場合は数学的方法として変量減少法、変量増加法、総当
り法などを用いて選択する。
手 順 6 で は 、単 位 作 業 の 作 業 時 間 と 選 択 し た 数 量 的 条 件 の 実 測 値 を 用 い て 重 回 帰 分 析 を
行い、重回帰式を作成する。また、要素作業の内容によって単位作業の作業時間が変動す
る場合は、要素作業ごとに重回帰式を作成する。作成した重回帰式を用いて単位作業の作
業時間を算出するためには、要素作業の作業フローを作成し、実行する作業内容を明確に
する。手順 7 では、まとまり作業における単位作業の作業フローを用いて、構成する作業
内 容 を 推 定 す る 。 作 業 フ ロ ー の 作 成 は 3.2.2 項 の 方 法 を 用 い る 。 手 順 8 で は 、 作 成 し た 重
回帰式を用いて単位作業の作業時間を算出する。
手順1
対象作業の実態調査を行う
手順2
作業調査に基づいて単位作業・要素作業のレベルに作業分割を行う
手順3
要素作業レベルで作業時間を測定し、単位作業レベルで纏める
手順4
まとまり作業レベルで作業における数量的条件を測定する
手順5
単位作業の作業時間に影響する数量的条件を選択する
手順6
選択した条件と実測した作業時間を用いて重回帰式を作成する
手順7
要素作業の作業フローを作成し、発生条件を決める
手順8
発生する要素作業を含む、単位作業の作業時間を算出する
図 .3.3.1.数 量 的 条 件 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 の 手 順
まとまり作業の作業時間値は構成する単位作業の重回帰式を用いて算出した作業時間
の 推 定 値 を 合 計 し て 算 出 す る 。 式 .3.3.1 は ま と ま り 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 示 す 。 式 に
示 す 如 く 、ま と ま り 作 業 の 作 業 時 間 Y は 構 成 す る 単 位 作 業 y i を 合 計 し て 算 出 す る 。式 .3.3.2
に は 単 位 作 業 の 作 業 時 間 値 の 算 出 式 を 示 す 。 式 に 示 す 如 く 、単 位 時 間 の 作 業 時 間 yi は 重 回
帰 式 の 数 量 的 条 件 で あ る 説 明 変 数 xip と 係 数 aip の 乗 の 合 計 に 定 数 項 ai0 を 足 し て 算 出 す る 。
96
Y =
n
∑ y ・・・・ (式.3.3.1)
i
i =1
y i = a i1 x i + a i 2 x i 2 + ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ + a ip x ip + a i 0 ・・・・ (式 .3.3.2 )
Y:まとまり作業の作業時 間の推定値
y:
i まとまり作業を構成す る i番目の単位作業の作業 時間の推定値
n:まとまり作業を構成す る単位作業の数
i:単位作業の実行順番
a i1 , a i 2 ,⋅ ⋅ ⋅⋅, a ip:単位作業 y i の作業時間の推定式の 回帰係数
a i:
0 単位作業 y の作業時間の推定式の 定数項
i
x i1 , x i 2 ,⋅ ⋅ ⋅⋅, x ip:単位作業 y i の作業時間の推定式の 説明変数
p:単位作業 y の説明変数の数
i
②質的条件に基づいた作業時間の推定方法
単位作業の作業時間の推定に有効な数量的条件が特定できない場合、質的条件を用いて
推定を行う。質的条件による作業時間の推定は、対象とする単位作業において「作業者の
作 業 姿 勢 の 状 態 」「 部 材 を 扱 う 位 置 の 関 係 」「 使 用 す る 道 具 の 使 い 方 」 な ど を 測 定 し 、 測 定
したデータをカテゴリー化して 1 次式を作成し、数量化 I 類手法を用いて 1 次式の変数の
カテゴリースコアを求めて推定式を作成する。
数量化方法とは、程度・状態・有無といった質的なデータを用いて結果の解析を行う場
合、質的なデータのカテゴリーと結果の関係を 1 次式で作り、この式でデータと結果の関
係を説明する方法である。本研究では作業時間の推定を目的とするため、数量化方法の中
で数量的な結果の説明に適する数量化Ⅰ類方法を用いる。
数 量 的 条 件 と 質 的 条 件 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 の 手 順 を 図 .3.3.2 に 示 す 。図 に 示 す 如 く 、
手順 1 では、推定の対象とする作業の実態調査を行い、作業場の条件、部材の属性、使用
する道具、作業方法に加え、作業姿勢の程度、作業状態などを把握する。手順 2 では、調
査に基づいて単位作業レベルまで作業分割を行い、それに含まれる内容を定義する。手順
3 では、定義した内容に基づいて、単位作業のレベルで作業時間の測定を行う。
手順 4 では、まとまり作業レベルで数量的条件である、数えることができる「部材の長
さ 」「 ビ ス の 個 数 」 な ど の 実 測 値 を 測 定 す る 。 手 順 5 で は 、 重 回 帰 分 析 を 行 い 、 作 業 時 間
の実測値と数量的条件の相関関係を求める。手順 6 では、数量的条件から求めた相関関係
が 低 い 場 合 、単 位 作 業 の 作 業 時 間 に 関 係 す る 質 的 条 件 と し て「 作 業 姿 勢 の 程 度 」「 部 材 を 持
つ形態」などを採りあげる。手順 7 では、単位作業を数量的条件に関係する要素作業と質
的条件に関係する要素作業に分類する。
手順 8 では、測定した質的条件を説明変量とし、作業時間を目的変量として数量化方法
を用いて推定式を求める。手順 9 では、重回帰式を用いて算出した要素作業の作業時間と
97
数量化方法による推定式を用いて算出した要素作業の作業時間値を合計して単位作業の作
業時間を算出する。
手順1
対象作業の実態調査を行う
手順2
作業調査に基づいて単位作業レベルまで作業分割を行う
手順3
単位作業レベルで作業時間を測定する。
手順4
まとまり作業レベルで作業における数量的条件を測定する
手順5
重回帰分析を行ない、数量的条件と実測した単位時間の相関関係を求める
手順6
求めた相関関係が低い単位作業の場合、質的条件を測定する
手順7
単位作業を数量的条件における要素作業と質的条件における要素作業に分類する
手順8
質的条件と作業時間の関係式を数量化方法を用いて求める
手順9
分類した要素作業の作業時間の推定値を合計して、単位作業の作業時間を算出する
図 .3.3.2
数量化手法と回帰分析を用いた作業時間推定の手順
Y =
k
・・・・ (式.
3.
4.
1)
∑y j
j =1
yj =
n
m
・・・・(式.3.4.2 )
∑ A + ∑ B i
i =1
l
l =1
Ai = ai1 xi 2 + ai 2 xi 2 + ・・・・ + aiq xiq + ai 0 ・・・・(式.3.4.3)
Bl = bl1 + bl 2 + ・・・・ + blp + bl 0 ・・ ・・(式.3.4.4 )
Y:まとまり作業の作業 時間の推定値
y :まとまり作業を構成 する j番目の単位作業の作業 時間の推定値
j
k:まとまり作業を構成 する単位作業 y の数
j
j:単位作業 yの実行順番
A:単位作業を構成する
i番目の要素作業の作業 時間の推定値
i
B:単位作業を構成する
l番目の要素作業の作業 時間の推定値
l
n:単位作業を構成する 要素作業 Aiの数
m:単位作業を構成する 要素作業 Blの数
i:要素作業 Aの実行順番
l:要素作業 Bの実行順番
a , a , … , aiq:要素作業 Aiの推定式の回帰係数
i1 i 2
ai 0:要素作業 Aiの推定式の定数項
x , x , … , xiq:要素作業 Aiの推定値の説明変数
i1 i 2
bl1 , bl 2 , ・・・・, blp:要素作業 Blの推定式カテゴリーの スコア
bl 0:要素作業 Blの推定式の定数項
まとまり作業の作業時間値は構成する単位作業における重回帰式を用いて算出した要
素作業の時間値と数量化Ⅰ類方法の推定式を用いて算出した要素作業の時間値の合計であ
98
る 。 式 .3.4.1 は ま と ま り 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 示 す 。 式 に 示 す 如 く 、 ま と ま り 作 業 の
作 業 時 間 Y は 構 成 す る 単 位 作 業 の 作 業 時 間 y i を 合 計 し て 算 出 す る 。 式 .3.4.2 は 単 位 作 業 の
作 業 時 間 の 推 定 式 を 示 す 。式 に 示 す 如 く 、単 位 作 業 の 作 業 時 間 yi は 構 成 す る 要 素 作 業 の 作
業 時 間 A i と B j を 合 計 し て 算 出 す る 。式 .3.4.3 は 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 を 示 す 。式
に 示 す 如 く 、要 素 作 業 の 作 業 時 間 Ai は 数 量 的 条 件 で あ る 説 明 変 数 x i p と 係 数 a i p の 乗 の 合 計
に 定 数 項 a i 0 を 足 し て 算 出 す る 。式 .3.4.4 は 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 示 す 。式 に 示 す
如 く 、要 素 作 業 の 作 業 時 間 B j は カ テ ゴ リ ー の ス コ ア で あ る b j p の 合 計 に 定 数 項 b j 0 を 足 し て
算出する。
3.3.3.石 膏 ボ ー ド 張 り 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
①壁石膏ボード取付け作業における適用
A .壁 石 膏 ボ ー ド 取 付 け 作 業 の 実 態 調 査
本 論 文 の 2.3.章 の A 工 事 の 2 階 に お け る 壁 石 膏 ボ ー ド 取 付 け 作 業 を 対 象 に 作 業 時 間 推 定
の た め の 実 態 調 査 を 行 っ た 。 対 象 と し た 間 仕 切 り 壁 の 平 面 を 図 .3.3.3 に 示 す 。 実 態 調 査 の
対象は、壁石膏ボードの主体作業を対象として行った。現場での調査は作業者の全作業の
動きを連続してビデオカメラを用いて撮影し、撮影した録画画面を研究室に持ち帰って分
析を行った
Y6
Y5
Y4
7500
3935
Y2
Y3
7500
2000
7500
Y1
7500
7500
3560
3565
3940
X5
4080
暗室
学生実験室
電子物理
工学実験室(2)
電子物理
工学実験室(3)
8000
学生実験
準備室
3920
調査の対象壁
電子物理
工学実験室(1)
鉄筋コンクリート壁
鋼製壁下地
X4
8000
調査の対象壁
電気工学実験室
吹き抜け
X3
4550
女子便所
3450
8000
男子便所
X2
階段
X1
図 .3.3.3
調 査 の 対 象 と し た 間 仕 切 り 壁 の 平 面 図 (単 位 : mm)
壁 の 石 膏 ボ ー ド 取 付 け の 構 造 を 図 .3.3.4 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 壁 の 構 造 は 石 膏 ボ ー ド
の 2 枚重ね張り鋼製下地中空間間仕切りであった。本調査では、ビス留めによる下張り石
膏 ボ ー ド の 取 付 け 作 業 を 分 析 の 対 象 と し た 。 使 用 し た 石 膏 ボ ー ド の 寸 法 は 910mm ×
99
1820mm×12.5mm で あ っ た 。取 付 け る 部 位 の 壁 は 高 さ 3,620mm×長 さ 20,490mm と 高 さ
3,620mm×長 さ 30,00mm の 2 箇 所 の 片 面 と し た 。 た だ し 、 床 か ら 高 さ 700mm ま で の 取
付けは後続の作業のために仮留めを行ったため、調査の対象からは外した。
65mmスタッド
振れ止め
450mm
12.5mm下張り石膏ボード
φ3.5mm×25mmビス止め
9.5mm上張り石膏ボード
接着剤張り付け、タッカー止め
図 .3.3.4
調 査 の 対 象 と し た 壁 石 膏 ボ ー ド の 構 造 (単 位 : mm)
作業は 2 の作業者が運搬車両から各作業階におけるボードの加工保管場所までにおける
搬入を除く、取付け作業の全工程を行った。1 人の作業者は主にボードの加工と運搬を担
当 し 、他 の 1 人 の 作 業 者 は 取 付 け を 担 当 し た 。対 象 と し た 2 人 の 作 業 者 は 別 の 現 場 で の 作
業 経 験 は あ っ た が 、 本 現 場 に お け る 作 業 は 初 め て で あ っ た 。 そ の た め 、「 図 面 の 読 み 込 み 」
「ボードの割付」の作業を行った。
取 付 け は 、 電 気 ド リ ル を 用 い て 鋼 製 下 地 に 直 径 3.5mm、 長 さ 25mm の ビ ス 留 め を 行 っ
た 。 高 さ 2,000mm の 足 場 を 利 用 し て 上 段 の ボ ー ド の 取 付 け を 行 う 場 合 は 、 イ ン サ ー ト に
取付けたボルトに安全帯を掛けってから作業を行った。
加工は、鋸とカッターを用いて取付け位置の寸法に合わせてボードの切断を行った、カ
ッターは切断する形状が直線である場合に使用し、凹凸を含む場合は鋸を使用した。設備
の配管パイプが貫通する部分におけるボードは円形に切断する必要があるため、コンパス
形の円カッターで 1 度切を行い、鋸で切断を行った。切断した断面は鑢を用いて角を落と
し、隣のボード間に取り合いしやすいように処理を行った。
計測は、巻尺を用いて取付け部位の長さの寸法を測った。寸法の記入は、取付けを行う
作業者が測った寸法を紙に記入して加工を行う作業者に手渡しをする場合、取付けを行う
作業者が測った寸法を読み出すと加工を行う作業者が紙に記入する場合、加工する作業者
が寸法を測って記入する場合があった。
運搬は、加工に用いる足場、ボードの保管場所から取付け場所までボードを手に持って
運んだ。運搬したボードの置く場所は、足場を使用しない場所は床の上に置き、足場を使
用する場合は足場の上に置き、取付けする作業者の手が空いている場合は手渡しをした。
足場の運搬は、キャスタが付いていたため手で押しながら運び、固定した。移動は、平坦
な 床 の 上 を 歩 き 、 足 場 を 利 用 す る 場 合 は 、 上 り ・ 下 り を し た 。 図 .3.3.5 に は 壁 石 膏 ボ ー ド
100
取付け作業の単位作業の分類項目別の作業内容を示す。
単位作業の
分類項目
作業内容
歩く
移動
手で足場を押して歩く
手に部材を持って歩く
運搬
メジャーで寸法を測り、測った寸法を
記入する
ボードの加工部を記す
カッターで部材を切断する
鋸で部材を切断する
部材を取付け位置に合わせる
電気ドリルでビスを打つ
計測
鑢で切断部位を処理する
加工
取付け
安全帯ををボルトに掛ける
安全帯
図 .3.3.5
壁石膏ボード取付け作業の単位作業の分類項目別の作業内容
101
B .作 業 分 割 と 作 業 時 間 の 測 定 範 囲 の 設 定
作業時間を推定する対象は1枚の石膏ボード取付け作業を構成する単位作業とした。
図 .3.3.6 に は 1 枚 の 石 膏 ボ ー ド 取 付 け 作 業 の 単 位 作 業 と 作 業 時 間 の 測 定 範 囲 を 示 す 。 図 に
示す如く。壁石膏ボード取付け作業を移動、運搬、計測、加工、取付けの単位作業の分類
項目に基づいて分割し、推定する作業時間の測定範囲を設定した。
まとまり作業
単位作業の
分類項目
取付け
単位作業
要素作業
作業時間の測定範囲
取付け位置にボードを合わせる
ボードを電気ドリルで打ち付ける
ビスをドリルに合わせる
ボードを取付け部位に合わせて保持し、ポケットからビスを取り
出しドリルに合わせ、ビスをボードに打つ。
ビスを打つ
加工
壁石膏
ボード
取付け
作業
計測
ボードをカッターを用いて切断する
巻尺を用いて寸法を測る
切断するボードを選択する
ボード置き場で適切なボードを選択し、加工台の上に置く。
ボードの切断位置を測定し、記す。
ポケットから巻尺と鉛筆を取り出し、寸法を測りチェックする。
カッターでボードを切断する
定規を手に取り、切断位置にあわせ、カッターで切れ目を入れ
る。切れ目に沿ってボードを手で折る。
円カッターでボードを切断する
円カッターを手に取り、切れ目を入れる。
鋸でボードを切断する
鋸を手に取り、ボードを切断する。
鑢で切断部位の角を落とす
鑢を手に取り、ボードの切断部位の角を落とす。
巻尺を用いて寸法を測る
巻尺を取りだし、寸法を測る。
測った寸法を紙に記入する
測った寸法を紙と鉛筆を取り出し記入する
測った寸法を読み伝える
測った寸法を他の作業者に読み伝える
読まれた寸法を記入する
他の作業者が読み出す寸法を紙と鉛筆を取り出し記入する
ボードを手に取る
ボードを手に持って運ぶ
ボードを手に持って歩く
選択したボードを手に取り、持って歩き、目的の位置に置く。
ボードを目的の位置に置く
運搬
足場を手に掴む
足場を押しながら運ぶ
足場を押しながら歩く
足場を手に押しながら歩き、目的の位置に固定する
足場を目的の位置に置く
移動
図 .3.3.6
歩く
平坦な床の上を歩く
手にボードを持たないで歩く
足場に上る・下りる
足場のはしごを上り、下りる。
石膏ボード取付け作業の単位作業と作業時間の測定範囲
C .作 業 時 間 と 数 量 的 条 件 の 測 定
作 業 測 定 の 対 象 と し た 間 仕 切 壁 は 図 .3.3.3 に 示 す 如 く 、長 さ 20.49m と 30.00m の 2 箇 所
で あ っ た 。 間 仕 切 り 壁 の 石 膏 ボ ー ド の 取 付 け 状 態 を 図 .3.3.7 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 床 ス
ラブから天井スラブまでの取付けられた片面の石膏ボードを調査の対象とした。ただし、
下段の一列は後続の作業のために仮留めを行ったため、調査の対象から外した。
作 業 時 間 の 測 定 は ボ ー ド 1 枚 の 取 付 け 作 業 の 単 位 作 業 を 対 象 に 行 っ た 。数 量 的 条 件 の 測
定 は 、 ボ ー ド 1 枚 の 取 付 け 作 業 の 移 動 に お け る 「 歩 く 歩 数 」「 運 搬 に お け る 歩 く 歩 数 」「 手
に 持 っ た ボ ー ド の 数 量 」、 加 工 に お け る 「 直 線 切 断 の 回 数 」「 円 形 切 断 の 回 数 」「 歩 く 歩 数 」
「 工 具 を 拾 う 回 数 」「 切 り 取 る 半 円 の 枚 数 」、取 付 け に お け る「 ビ ス の 本 数 」「 分 割 し た ボ ー
ド の 枚 数 」「 取 付 け ら れ た ボ ー ド の 面 積 」を 対 象 に 行 っ た 。表 .3.3.1 と 表 .3.3.2 に は 取 付 け
られた 1 枚のボードに対する単位作業の分類項目における測定した作業時間の実測値の合
計および、数量的条件の実測値を示す。
102
103
3,800
Y5
12
8
4
6
10
9
開口部
7
3
2
1
5
3,800
X1
10
11
13
18
17
16
7,500
開口部
1
15
開口部
19
20
87
23
22
21
9
5
14
8
開口部
7
6
4
3
2
4,490
88
25
24
Y4
27
89
14
13
12
11
10
28
開
口
部
X2
開口部
26
29
90
33
32
30
31
19
18
17
34
91
36
35
37
25
92
40
39
41
30
29
28
27
42
開口部
26
33
93
46
45
94
48
47
44
49
Y1ーY5壁立面図
43
Y3
X1−X4軸壁立面図
35
34
51
開口部
50
開口部
37
32
開口部
36
31
X3
55
55
95
54
53
52
39
38
44
43
42
41
96
59
58
57
56
7,500
40
8,000
97
63
62
48
47
46
45
実 測 し た 石 膏 ボ ー ド の 取 付 け 状 態 (単 位 : mm)
38
7,500
24
23
22
21
20
図 .3.3.7
開口部
16
15
8,000
49
64
開口部
開口部
61
60
54
53
52
51
98
67
66
58
57
68
55
56
59
65
Y2
50
開口部
X4
70
69
99
72
71
100
76
75
74
73
7,500
101
80
79
78
77
開口部
82
81
102
86
85
83
84
Y1
表 .3.3.1
取付けられたボードにおける単位作業の作業時間の実測値と数量的条件の実測
値 (X1 か ら Y20 ま で )
作業時間の実測値
ボード
番号
x-1
x-2
x-3
x-4
x-6
x-7
x-8
x-10
x-11
x-12
x-13
x-15
x-16
x-17
x-18
x-20
x-21
x-22
x-23
x-25
x-26
x-27
x-28
x-29
x-31
x-32
x-33
x-34
x-36
x-37
x-38
x-39
x-40
x-41
x-42
x-43
x-45
x-46
x-47
x-49
x-50
x-51
x-52
x-53
x-55
x-56
x-57
x-58
y-1
y-2
y-3
y-5
y-7
y-8
y-9
y-10
y-11
y-13
y-14
y-15
y-16
y-17
y-19
y-20
数量的条件の実測値
移動
(秒)
運搬
(秒)
計測
(秒)
加工
(秒)
取付け
(秒)
合計
(秒)
7.20
15.50
12.37
24.57
9.47
12.43
15.50
8.60
26.30
19.77
22.60
64.53
10.47
0.00
0.00
8.80
7.33
20.33
0.00
0.00
30.66
8.73
8.27
16.03
8.87
11.60
9.00
0.00
15.03
9.07
7.97
0.00
7.67
13.13
28.97
16.84
13.10
0.00
0.00
36.47
17.17
12.80
13.80
0.00
17.50
17.40
0.00
10.83
66.04
44.76
16.03
0.00
0.00
0.00
20.10
19.27
36.46
3.23
10.50
11.00
19.57
0.00
7.80
7.60
21.73
18.43
9.03
12.10
21.80
15.63
17.83
10.70
13.73
12.60
11.33
31.77
25.47
0.00
19.77
0.00
21.30
40.67
0.00
18.97
12.23
25.63
0.00
26.37
14.13
37.80
0.00
47.63
23.47
32.93
0.00
21.70
24.83
54.97
39.10
34.30
34.70
0.00
0.00
24.33
18.07
40.80
0.00
25.23
19.87
22.90
44.60
20.23
57.93
4.60
0.00
22.23
15.67
0.00
20.30
16.97
17.27
13.37
10.17
15.73
0.00
16.13
9.20
14.23
242.40
161.67
29.33
41.81
365.74
34.39
58.04
86.36
34.64
52.06
20.13
222.07
280.07
7.40
6.33
103.03
115.10
0.00
0.00
34.54
110.50
0.00
0.00
0.00
169.42
281.91
10.27
8.23
113.90
576.04
205.98
64.83
210.60
177.97
0.00
0.00
45.50
0.00
0.00
82.83
99.08
321.49
29.47
0.00
82.54
272.81
66.89
12.47
435.62
42.47
18.23
127.83
21.96
0.00
0.00
193.24
216.73
158.48
40.80
274.48
50.60
0.00
48.73
81.42
187.20
152.10
36.03
27.33
187.91
41.93
27.36
67.60
35.80
60.87
27.60
268.94
228.71
40.40
37.30
56.27
46.89
0.00
0.00
45.06
192.24
0.00
0.00
0.00
101.87
202.05
25.83
34.63
84.76
524.75
82.86
104.80
124.60
176.68
0.00
0.00
84.77
0.00
0.00
72.90
78.33
184.37
49.40
11.03
38.90
161.59
29.30
36.93
435.74
35.33
26.16
94.73
49.81
0.00
0.00
109.11
118.66
130.97
48.97
76.74
34.33
24.47
35.07
54.14
196.17
161.17
135.33
70.23
302.13
164.16
77.67
71.80
104.83
120.94
56.36
279.40
342.11
48.43
37.94
88.50
167.44
189.03
119.60
65.14
189.64
183.60
165.40
134.67
112.16
277.10
109.47
94.30
152.06
335.20
55.34
94.20
122.37
162.36
145.31
119.27
203.60
195.07
119.83
121.46
134.47
188.07
63.07
55.40
59.96
96.90
122.30
87.50
363.21
138.80
81.03
141.77
62.13
191.73
133.97
190.37
139.70
70.14
48.80
139.95
55.40
52.10
121.60
56.06
654.70
508.87
222.09
176.04
887.05
268.54
196.40
245.06
215.30
266.24
138.02
866.71
886.83
96.23
101.34
256.60
358.06
250.03
119.60
163.71
535.27
217.96
173.67
177.07
406.45
810.46
154.57
184.79
389.22
1477.99
352.15
285.53
490.07
585.11
213.38
170.41
381.67
195.07
119.83
337.99
347.12
747.53
155.74
91.66
218.77
571.60
263.09
167.96
1358.54
265.96
141.45
386.56
149.57
191.73
174.37
528.96
528.82
376.19
159.24
517.90
159.90
92.70
222.40
213.45
手に持っ 直線
歩く 運ぶ て運ぶ 切断
歩数 歩数 ボードの 数
数
(歩) (歩)
(箇
(枚)
所)
13
28
22
37
18
24
31
17
51
38
42
107
23
0
0
14
16
29
0
0
58
17
13
21
15
23
18
0
30
17
17
0
16
24
43
32
25
0
0
64
32
28
26
0
34
34
0
20
122
80
30
0
0
0
40
34
71
6
20
21
34
0
16
16
15
16
20
15
14
20
20
14
20
20
20
38
24
0
27
0
27
30
0
18
21
27
0
27
17
35
0
45
30
39
0
17
22
48
39
32
36
0
0
34
34
43
0
41
35
37
55
35
86
5
0
24
28
0
31
22
23
21
19
23
0
27
18
17
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
0
2
0
1
2
0
2
2
1
0
1
1
1
0
2
1
2
0
2
1
2
2
2
1
0
0
1
1
1
0
2
1
1
3
1
6
1
0
1
1
0
1
1
1
1
1
1
0
2
1
1
104
4
4
1
4
5
4
2
2
0
0
0
1
6
1
0
3
3
0
0
0
1
0
0
0
2
4
1
1
2
4
5
0
5
2
0
0
0
0
0
2
2
3
2
0
2
4
2
0
4
1
1
4
0
0
0
2
3
4
0
8
2
0
2
2
円形 加工に 工具を
切り取
分割した 取付けた
切断 含まれ 拾う動
ビスの
る半円
ボードの ボードの
数 る歩く歩 作の回
本数
の個数
面積
枚数
(箇
数
数
(本)
(個)
(m2)
(枚)
所)
(歩)
(回)
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
3
0
0
0
0
0
0
1
1
1
0
0
0
0
0
0
22
28
12
17
18
5
4
10
15
13
3
3
16
4
0
19
8
0
0
3
6
0
0
0
22
21
12
4
9
24
3
19
8
14
0
0
6
0
0
17
0
34
3
3
0
32
2
17
25
0
9
11
8
0
0
18
20
0
5
8
6
6
3
6
6
6
2
2
6
3
2
3
2
5
2
2
5
3
3
3
4
0
0
3
2
0
0
0
4
8
2
1
3
6
4
5
2
2
0
0
3
0
0
2
4
4
1.5
0.5
2
10
2
3
12
2
2
5
3
0
0
4
4
3
2
5
2
3
2
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
2
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
1
1
2
0
0
0
0
0
0
30
18
20
21
39
34
20
13
22
20
16
29
36
8
10
12
29
29
26
6
25
30
31
30
14
27
19
20
20
36
6
13
16
26
25
25
33
34
30
19
17
28
8
11
7
15
20
20
42
22
19
15
12
37
36
25
26
8
4
22
9
11
20
4
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
2
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
5
1
1
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
1
1
1
1.128
1.009
0.971
0.971
1.191
1.555
1.057
0.267
0.409
0.477
0.438
0.800
1.470
0.314
0.314
0.579
1.602
1.656
1.656
0.092
0.800
1.656
1.656
1.656
0.598
1.231
0.752
0.752
0.717
1.360
0.198
0.402
0.731
1.314
1.656
1.656
1.602
1.656
1.656
0.759
0.625
1.198
0.133
0.133
0.193
0.967
1.152
1.152
1.106
1.114
1.114
0.745
0.083
1.656
1.656
0.671
1.204
0.138
0.096
0.695
0.200
0.200
0.083
0.773
表 .3.3.2
取付けられたボードにおける単位作業の作業時間の実測値と数量的条件の実測
値 (Y21 か ら Y89 ま で )
数量的条件の実測値
作業時間の実測値
ボード
番号
y-21
y-22
y-23
y-24
y-25
y-26
y-27
y-28
y-29
y-30
y-31
y-32
y-33
y-34
y-35
y-36
y-37
y-38
y-39
y-40
y-41
y-42
y-43
y-44
y-45
y-46
y-47
y-48
y-49
y-50
y-51
y-52
y-53
y-54
y-55
y-56
y-57
y-58
y-59
y-60
y-61
y-62
y-63
y-64
y-65
y-66
y-67
y-68
y-69
y-70
y-71
y-72
y-73
y-74
y-75
y-76
y-77
y-78
y-79
y-80
y-81
y-82
y-84
y-85
y-86
移動
(秒)
運搬
(秒)
計測
(秒)
加工
(秒)
取付け
(秒)
合計
(秒)
9.60
0.00
0.00
16.63
17.97
7.03
0.00
0.00
8.33
5.60
6.97
24.60
18.23
6.57
7.50
0.00
5.40
6.00
0.00
0.00
7.50
7.20
2.63
3.03
0.00
37.17
25.13
40.17
2.97
11.30
5.87
2.73
11.76
5.33
2.73
3.50
7.06
0.00
11.70
6.83
7.93
36.97
0.00
6.03
4.57
26.33
27.26
5.07
0.00
5.80
0.00
39.33
4.63
5.83
0.00
41.14
0.00
7.40
0.00
6.70
8.76
11.10
8.07
17.33
13.73
21.13
31.83
0.00
0.00
20.67
10.90
21.87
34.77
28.06
10.57
7.43
0.00
0.00
10.37
34.70
51.80
11.70
14.50
14.80
14.60
15.63
11.27
6.30
14.63
8.33
31.20
39.33
35.17
5.80
12.93
3.50
13.03
48.80
0.00
8.37
6.97
9.10
0.00
10.87
9.70
6.70
0.00
46.37
7.00
6.50
0.00
44.07
8.07
0.00
6.77
0.00
39.50
10.57
24.70
0.00
48.70
17.93
9.80
8.67
0.00
9.70
16.50
9.97
0.00
52.33
54.66
30.20
97.90
26.76
14.77
120.63
30.37
7.80
80.30
61.36
194.77
25.17
64.30
107.23
0.00
0.00
22.23
45.67
42.37
0.00
240.16
137.83
67.94
118.46
14.84
79.80
0.00
39.50
22.50
138.44
72.74
153.20
25.76
43.14
131.83
159.17
48.14
0.00
0.00
99.33
133.30
52.63
48.97
109.65
169.19
14.33
33.89
75.38
28.50
94.86
21.60
86.26
62.60
126.08
0.00
0.00
126.41
51.20
14.66
15.27
118.44
219.75
66.22
16.83
38.17
74.38
53.80
38.30
36.40
30.70
104.58
27.23
31.47
56.94
53.00
103.10
28.10
33.34
49.13
0.00
0.00
39.67
30.43
28.14
13.33
135.65
74.93
47.73
69.97
43.94
40.83
0.00
61.60
56.52
72.30
38.90
107.63
29.46
24.86
123.74
89.60
40.07
0.00
0.00
66.70
96.20
37.56
35.90
41.10
109.00
44.30
18.93
66.13
0.00
77.11
29.57
33.90
82.80
135.57
0.00
0.00
61.40
67.30
37.74
31.60
64.23
208.80
45.83
33.54
32.57
226.17
80.37
85.37
124.20
88.10
178.27
64.16
49.10
110.90
52.74
197.40
84.77
86.73
73.63
179.83
135.81
92.17
131.40
112.06
65.63
181.39
144.77
54.37
207.27
101.60
53.37
180.10
125.86
57.84
205.71
58.56
130.20
71.03
68.36
168.50
62.26
145.76
201.20
172.57
90.10
201.60
113.37
95.00
67.26
134.84
130.57
126.27
122.60
89.73
105.86
101.26
63.83
151.71
149.73
166.54
148.32
97.29
131.13
55.67
55.57
154.91
213.80
62.10
165.59
166.00
385.94
196.20
221.57
203.99
172.21
421.41
143.63
123.14
284.53
183.27
509.67
162.64
202.60
246.93
222.03
187.61
171.17
228.00
197.37
93.56
580.33
376.00
178.97
413.36
168.71
242.37
244.56
302.30
145.63
440.68
179.57
406.79
186.81
141.69
435.17
321.50
250.13
201.20
195.14
272.66
445.73
240.53
226.24
231.04
424.10
215.53
250.42
277.25
118.23
290.40
152.43
262.82
312.31
441.91
166.54
238.16
303.03
266.83
116.74
109.14
356.04
669.95
192.19
233.29
302.80
手に持っ 直線
歩く 運ぶ て運ぶ 切断
歩数 歩数 ボードの 数
(歩) (歩)
数
(箇
(枚)
所)
18
0
0
30
33
13
0
0
16
10
14
46
36
10
14
0
11
11
0
0
13
10
4
6
0
64
50
68
5
20
10
3
21
8
3
8
12
0
16
14
14
63
0
10
9
50
37
7
0
11
0
68
8
12
0
80
0
13
0
13
18
21
14
29
14
21
53
0
0
34
16
36
39
26
14
11
0
0
12
45
45
12
12
15
16
7
9
5
7
12
55
48
54
5
14
4
13
68
0
6
7
6
0
18
9
5
0
62
10
7
0
66
7
0
11
0
72
11
12
0
72
20
6
12
0
14
23
18
0
85
1
3
0
0
1
1
3
2
2
1
1
0
0
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
1
2
0
3
1
1
0
1
1
1
0
3
1
1
0
2
1
0
1
0
2
1
2
0
2
3
1
2
0
1
1
1
0
2
105
0
1
3
1
0
4
1
0
2
2
6
1
2
4
0
0
0
1
1
0
8
3
2
5
1
1
0
0
0
2
2
4
1
1
2
4
2
0
0
2
4
1
1
2
5
1
1
2
1
3
1
4
1
0
0
0
4
0
0
0
2
3
2
1
0
円形 加工に 工具を
切り取
分割した 取付けた
切断 含まれ 拾う動
ビスの
る半円
ボードの ボードの
数 る歩く歩 作の回
本数
の個数
枚数
面積
(箇
数
数
(本)
(個)
(枚)
(m2)
所)
(歩)
(回)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
26
6.5
9
9
11
21
0
8
17
10
20
0
15
0
0
0
15
13
2
9
11
21
4
11
5
0
0
23
3
19
10
29
0
5
20
19
13
0
0
14
30
10
4
7
23
17
11
5
18
0
0
7
31
0
0
0
3
13
10
18
17
22
14
13
7
6
1.5
2
3
2
6
2
2
2
3
8
3
2
2
0
0
3
2
2
1.5
8
5
3
3
3
3
0
3
5
5
3
6
2
2
9
4
3
0
0
4
6
2
1.5
2
6
2
1.5
3
5
0
2
2
2
0
0
0
2
4
2
2
3
8
2
3
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34
16
17
24
23
32
11
11
19
9
32
17
17
7
32
31
16
27
17
16
21
16
9
38
14
12
31
27
10
24
8
22
16
17
14
12
30
34
33
13
34
21
21
12
24
26
32
22
15
24
17
16
18
28
28
28
13
21
21
11
14
38
7
24
22
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1.543
0.704
0.704
0.790
0.790
1.250
0.219
0.219
0.736
0.161
1.208
0.562
0.562
0.179
1.656
1.656
0.779
1.528
0.714
0.714
0.883
1.100
0.271
1.370
0.095
0.095
1.656
1.656
0.267
1.224
0.325
0.900
0.781
0.781
0.332
0.642
1.636
1.636
1.636
0.616
1.440
0.495
0.495
0.293
0.673
0.999
0.999
0.666
0.648
1.230
0.571
0.571
0.800
1.656
1.656
1.656
0.337
0.859
0.333
0.333
0.773
1.488
0.211
1.304
1.304
START
取付け部位の位置に歩く
取付け部位が上部に位置するか?
はい
足場を押しながら歩く
いいえ
巻尺を用いて取付け部位の寸法を計測する
足場の上に上る
計測した寸法を他の作業者に読み伝える
準備されている部材があるか?
ボードの位置に歩く
いいえ
いいえ
いいえ
はい
いいえ
ボードを電気ドリルで打ち付ける
ボードを手に持って歩く
計測した取付け部位の取付けが終了であるか?
はい
手が届く範囲の取付け部位の計測が終了であるか?
はい
取り付け作業か終了であるか?
(凡例)
:要素作業
はい
:作業条件
:作業の進行方向
END
図 .3.3.8
石膏ボード取付け作業の取付けを担当する作業者の作業フロー
START
取付け部位の位置に歩く
取付け寸法が既知であるか?
いいえ
取付け寸法を計測できる位置であるか?
はい
いいえ
はい
メジャーを用いて取付け部位の寸法を測る
測った寸法を紙に記入する
ボード置き場に歩く
読まれた寸法の紙に記入する
切断するボードを選択する
ボードを切断する必要があるか?
いいえ
はい
ボードを加工場所まで手に持って歩く
ボードの切断位置を測定し、記す
カッターでボードを切断する
ボードの一面を除去する必要があるか?
はい
鋸でボードを切断する
はい
円カッターでボードを切断する
いいえ
いいえ
ボードに配管を通す必要があるか?
いいえ
鑢で切断部位の角を落とす
ボードを取付け場まで手に持って歩く
取り付け作業か終了であるか?
はい
(凡例)
:要素作業
:作業条件
END
図 .3.3.9
:作業の進行方向
石膏ボード取付け作業の加工を担当する作業者の作業フロー
106
D .作 業 フ ロ ー の 作 成
測定の対象作業は取付けを担当する作業者と加工を担当する作業者の 2 人がボード 1 枚
ごとに単位作業を繰り返し行った。作業測定の結果に基づいて各作業者における要素作業
レ ベ ル で 作 業 フ ロ ー を 作 成 し た 。図 .3.3.8 に は 加 工 を 担 当 す る 作 業 者 の 作 業 フ ロ ー を 示 す 。
図 .3.3.9 に は 取 付 け を 担 当 す る 作 業 者 の 作 業 フ ロ ー を 示 す 。
E .単 位 作 業 に お け る 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 の 作 成
測定した 1 枚のボードを取付けるために必要とする単位作業の作業時間を目的変量とし、
数量的条件を説明変量として重回帰式を作成した。以下の項目に単位作業の分類項目ごと
に作成した重回帰式および、作業時間の推定値と実測値の相関関係を示す。
a.移 動
移動は 1 枚の石膏ボードを取付けるために「平坦な床の上を歩く」と「足場に上る・下
りる」の作業時間の合計を目的変量とし、歩いた距離の長さを示す「歩く歩数」を説明変
量 に し て 重 回 帰 式 を 作 成 し た 。表 .3.3.3 に は 移 動 の 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 と 決 定 係 数 を 示 す 。
重 回 帰 式 を 用 い て 算 出 し た 移 動 の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.10 に 如
く 、 0.99 と 高 い 相 関 関 係 を 示 し て い る 。
表 .3.3.3
壁石膏ボード取付け作業の移動における作業時間の重回帰式と決定係数
単位作業
重回帰式
決定係数(R2)
変数
0.98
Y1:1枚のボードの取付け作業における移動の時間
x1:1枚のボードの取付け作業における作業者の歩く歩数
Y1 = 0.56 ** × x1 − 0.02
移動
( 注)各変数の信頼度を**:1%有意、*:5%有意として示す。
100
推定作業時間(秒)
80
60
40
20
相関係数:0.99
サンプル数:129個
0
0
20
40
60
80
100
実測作業時間(秒)
図 .3.3.10
壁石膏ボード取付け作業の移動における作業時間の実測値と推定値の関係
107
b.運 搬
運搬は 1 枚の石膏ボードを取付けるために「ボードを手に持て運ぶ」の作業時間を目的
変 量 と し 、歩 い た 距 離 の 長 さ を 示 す「 歩 く 歩 数 」、手 に 持 っ た ボ ー ド の 大 き さ を 示 す「 取 付
け ら れ た ボ ー ド の 面 積 」、ボ ー ド の 扱 い の 度 合 を 示 す「 運 ん だ ボ ー ド の 枚 数 」を 説 明 変 量 に
し て 重 回 帰 式 を 作 成 し た 。 表 .3.3.4 に は 運 搬 の 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 と 決 定 係 数 を 示 す 。 重
回 帰 式 を 用 い て 算 出 し た 運 搬 の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.11 に 示 す
如 く 、 0.94 と 高 い 相 関 関 係 を 示 し て い る 。
表 .3.3.4 壁 石 膏 ボ ー ド 取 付 け 作 業 の 運 搬 に お け る 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 と 決 定 係 数
単位作業
運搬
重回帰式
Y 2 = 0 .55
**
× x 2 + 4 .37
**
決定係数(R2)
変数
0.89
Y2:1枚のボードの取付け作業における運搬の時間
x2:1枚のボードの取付け作業における作業者の運ぶ歩数
x11:取付けたボードの面積
x3:手に持って運ぶボードの枚数
× x11 + 1 .11 × x 3 + 0 .21
( 注)各変数の信頼度を**:1%有意、*:5%有意として示す。
100
推定作業時間(秒)
80
60
40
20
相関係数:0.94
サンプル数:129個
0
0
20
40
60
80
100
実測作業時間(秒)
図 .3.3.11
壁石膏ボード取付け作業の運搬における作業時間の実測値と推定値の関係
c.計 測
計 測 は 1 枚 の 石 膏 ボ ー ド を 取 付 け る た め に 「 巻 尺 を 用 い て 寸 歩 を 測 る 」「 計 っ た 寸 法 を
紙 に 記 入 す る 」「 測 っ た 寸 法 を 読 み 伝 え る 」 及 び 、「 読 ま れ た 寸 法 を 記 入 す る 」 の 作 業 時 間
の合計を目的変量とし、巻尺の扱いの難易度を示す「直線切断の回数」と「円形切断の回
数 」、測 る 部 位 の 大 き さ を 示 す「 取 付 け た ボ ー ド の 面 積 」を 説 明 変 量 に し て 重 回 帰 式 を 作 成
し た 。 表 .3.3.5 に は 計 測 の 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 と 決 定 係 数 を 示 す 。 重 回 帰 式 を 用 い て 算 出
し た 計 測 の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 作 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.12 に 示 す 如 く 、 0.91 と 高 い
108
相関関係を示す。
表 .3.3.5 壁 石 膏 ボ ー ド 取 付 け 作 業 の 計 測 に お け る 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 と 決 定 係 数
単位作業
計測
決定係数(R2)
重回帰式
Y3 = 24 .28 × x 4 + 52 .82 × x 5 + 0.69 × x11 − 3.79
**
Y3:1枚のボードの取付け作業における計測の時間
x4:1枚のボードの取付け作業における直線切断の回数
x5:1枚のボードの取付け作業における円形切断の回数
x11:取付けたボードの面積
0.83
**
変数
( 注)各変数の信頼度を**:1%有意、*:5%有意として示す。
300
250
推定作業時間(秒)
200
150
100
50
相関係数:0.91
サンプル数:129個
0
0
50
100
150
200
250
300
実測作業時間(秒)
図 .3.3.12
壁石膏ボード取付け作業の計測における作業時間の実測値と推定値の関係
d.加 工
加工は石膏ボードを取付ける部位の形状によって異なる切断方法を用いる。そのため、
作 業 を ボ ー ド の 切 断 を 行 う た め の 要 素 作 業 で あ る「 切 断 す る ボ ー ド を 選 択 す る 」「ボ ー ド の
切 断 部 位 を 計 測 し 、 記 す 」と 「 カ ッ タ ー で ボ ー ド を 切 断 す る 」 「円 カ ッ タ ー で ボ ー ド を 切 断
す る 」「鋸 で ボ ー ド を 切 断 す る 」「鑢 で 切 断 部 位 の 角 を 落 と す 」に 分 割 し て 重 回 帰 式 の 作 成 を
行 っ た 。ま た 、切 断 を 含 む 要 素 作 業 は 、そ の 形 状 に よ っ て「 直 線 切 断 」「 外 L 字 型 切 断 」「 内
L 字 型 切 断 」「 凹 型 切 断 」「 凸 型 切 断 」 の 5 つ に 分 類 し て 、 重 回 帰 式 の 作 成 を 行 っ た 。
加 工 の 設 置 と 寸 法 チ ェ ッ ク で あ る 「 切 断 す る ボ ー ド を 選 択 す る 」 「ボ ー ド の 切 断 部 位 を
計 測 し 、 記 す 」に お け る 作 業 時 間 の 重 回 帰 式 と 決 定 回 数 を 表 .3.3.6 に 示 す 。 表 に 示 す 如 く 、
ボードを加工台の上に設置して切断部分の寸法を鉛筆でチェックする作業は、ボードを切
断するために「ボード置き場から適切なボードを選択し、加工台の上に置く」と「ポケッ
トから巻尺と鉛筆を取り出し、寸法を測りチェックする」の作業時間の合計を目的変量と
し 、 チ ェ ッ ク を 行 う 回 数 を 示 す 「 ボ ー ド の 直 線 切 断 回 数 」「 ボ ー ド の 円 形 切 断 回 数 」 及 び 、
109
取り扱うボードの大きさの程度を示す「取付けたボードの面積」を説明変量にして重回帰
式を作成した。
重回帰式を用いて求めた「設置と寸法チェック」の作業時間の推定値と
実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.13 に 示 す 如 く 、 0.84 と 相 関 関 係 で あ る 。
表 .3.3.6
壁石膏ボード取付け作業の加工の「設置と寸法チェック」における作業時間の
重回帰式と決定係数
要素作業
設置と寸
法チェッ
ク
重回帰式
決定係数(R2)
変数
0.68
Y4:1枚のボードの取付け作業における加工のための
ボードの設置と寸法のチェックにおける作業時間
x4:1枚のボードの取付け作業における直線切断の回数
x5:1枚のボードの取付け作業における円形切断の回数
x11:取付けたボードの面積
Y4 = 14.44** × x4 + 47.44** × x5 + 2.62 × x11 + 2.20
( 注)各変数の信頼度を**:1%有意、*:5%有意として示す。
600
500
推定作業時間(秒)
400
300
200
100
相関係数:0.82
サンプル数:129個
0
0
100
200
300
400
500
600
実測作業時間(秒)
図 .3.3.13
壁 石 膏 ボ ー ド 取 付 け 作 業 の 加 工 の「 設 置 と 寸 法 の チ ェ ッ ク 」に お け る 作 業 時 間
実測値と推定作値の関係
石膏ボード取付け作業における加工の切断を含む要素作業における切断の形状の分類
と 発 生 条 件 は 表 .3.3.7 に 示 す 如 く 、 1 枚 の ボ ー ド か ら 切 り 取 る 部 分 の 形 状 に よ っ て カ ッ タ
ーと鋸を選択し、作業を行う。
「直線切断」は、切断するボードの切れ目は直線の 1 箇所であり、カッターを用いて行
う。1 枚の石膏ボードの取付けにおける「カッターでボードを切断する」と「鑢で切断部
位 の 角 を 落 す 」の 作 業 時 間 の 合 計 を 目 的 変 量 と し 、作 業 者 の 移 動 す る 距 離 の 長 さ を 示 す「 加
工 の た め に 歩 く 歩 数 」、工 具 使 用 の 複 雑 さ を 示 す「 工 具 を 拾 う 回 数 」及 び 、取 り 扱 う ボ ー ド
の大きさを示す「取付けたボードの面積」を説明変量にして重回帰式を作成した。
「外 L 字型切断」は、ボードの切れ目は直線の 2 箇所であり、カッターを用いて行う。
1 枚の石膏ボードを取付けるために「カッターでボードを切断する」と「鑢で切断部位の
110
角 を 落 す 」の 作 業 時 間 の 合 計 を 目 的 変 量 と し 、「 加 工 の た め に 歩 く 歩 数 」「 工 具 を 拾 う 回 数 」
「取付けたボードの面積」を説明変量にして重回帰式を作成した。
「 内 L 字 型 切 断 」は 、ボ ー ド の 切 れ 目 は 相 互 に 連 結 し た 2 箇 所 で あ り 、鋸 を 用 い て 1 辺
を切断し、カッターを用いて 1 辺を切断する。1 枚の石膏ボードを取付けるために「鋸で
ボ ー ド を 切 断 す る 」「 カ ッ タ ー で ボ ー ド を 切 断 す る 」 及 び 、「 鑢 で 切 断 部 分 の 角 を 落 す 」 の
作 業 時 間 の 合 計 を 目 的 変 量 と し 、「 加 工 の た め に 歩 く 歩 数 」「 工 具 を 拾 う 回 数 」 及 び 、 切 断
す る 部 位 の 長 さ を 示 す「 切 り 捨 て る ボ ー ド の 面 積 」を 説 明 変 量 に し て 重 回 帰 式 を 作 成 し た 。
「凹字型切断」は、ボードの切れ目は相互に連結した 3 箇所であり、鋸を用いて 2 辺を
切断し、カッターを用いて 1 辺を切断する。1 枚の石膏ボードを取付けるために「鋸でボ
ー ド を 切 断 す る 」「 カ ッ タ ー で ボ ー ド を 切 断 す る 」 及 び 、「 鑢 で 角 を 落 す 」 の 作 業 時 間 の 合
計 を 目 的 変 量 と し 、「 加 工 の た め に 歩 く 歩 数 」「 工 具 を 拾 う 回 数 」及 び 、「 切 り 捨 て る ボ ー ド
の面積」を説明変量にして重回帰式を作成した。
「円型切断」は、ボードの切れ目は円型の 1 箇所であり、カッターを用いて円を中心に
ボードを半分に切断し、鋸を用いて 2 箇所の半円を切断する。1 枚の石膏ボードを取付け
る た め に「 鋸 で ボ ー ド を 切 断 す る 」「 カ ッ タ ー で ボ ー ド を 切 断 す る 」及 び 、「 鑢 で 角 を 落 す 」
の 作 業 時 間 の 合 計 を 目 的 変 量 と し 、「 加 工 の た め に 歩 く 歩 数 」「 工 具 を 拾 う 回 数 」及 び 、「 切
り捨てるボードの面積を」説明変量にして重回帰式を作成した。
加 工 の 切 断 を 含 む 要 素 作 業 に お け る 切 断 の 形 状 の 重 回 帰 式 と 決 定 係 数 を 表 .3.3.8 に 示 す 。
重 回 帰 式 を 用 い て 求 め た 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.14 に 示 す 如 く 、
0.94 と 高 い 相 関 関 係 で あ る 。
表 .3.3.6
加工の切断を含む要素作業における切断の形状の分類と発生条件
区分
説明図
切断方法
発生条件
直線切断
加工の対象となるボード
寸法が取付け位置の1辺
の長さと一致しない場合
カッターでボードに切り目を入れ
て手で折り、カッタで切り落とす。
切断部位を鑢で角を落す。
外L字型切断
加工の対象となるボード
寸法が取付け位置の2辺
の長さと一致しない場合
カッターでボードに切り目を入れ
て手で折り、カッタで切り落とす。
切断部位を鑢で角を落す作業を2
回行う。
内L字型切断
取付け位置に2辺に渡っ
て四角の面がある場合
鋸で1辺を切断する。残り1辺はカ
ッターでボードに切り目を入れて
手で折り、カッタで切り落とす。切
断部位を鑢で角を落す
凹型切断
取付け位置に1辺に渡っ
て四角の面がある場合
鋸で2辺を切断する。残り1辺はカ
ッターでボードに切り目を入れて
手で折り、カッタで切り落とす。切
断部位を鑢で角を落す
円形切断
取付け位置に貫通する物
がある場合
ボードを円の中心に2枚に分ける
。分けたボードの半円を鋸で切断
し、切断部位の角を鋸で落す作業
を2回行う。
(凡例)
111
:取付けるボードの部位
:切り捨てるボードの部位
:切断する位置
表 .3.3.8
壁石膏ボード取付け作業の加工の切断を含む要素作業における切断の形状別の
作業時間の重回帰式と決定係数
決定係数(R2)
変数
直線切断
Y5 = 0.63 * × x 6 + 11.91** × x 7 + 2.32 × x11 + 3.73
加工
0.31
外L字切
*
*
断加工 Y6 = 0.34 × x 6 + 6.39 × x 7 + 26.88 × x11 + 24.48
0.32
内L字切
*
**
断加工 Y7 = 1.06 × x6 + 6.70 × x7 + 74.04 × x12 + 14.19
0.43
凹型切断
*
*
加工 Y8 = 0.70 × x 6 + 5.77 × x 7 + 165.46 × x12 + 52.04
0.64
円形切断
加工
0.68
Y5:1枚のボードの取付け作業における直線切断におけ
る作業時間
Y6:1枚のボードの取付け作業における外L字切断におけ
る作業時間
Y7:1枚のボードの取付け作業における内L字切断におけ
る作業時間
Y8:1枚のボードの取付け作業における凹型切断におけ
る作業時間
Y9:1枚のボードの取付け作業における円型切断におけ
る作業時間
x6:加工のために歩く歩数
x7:加工のための工具を拾う回数
x8:切捨てる半円型ボードの枚数
x11:取付けたボードの面積
x12:切り捨てるボードの面積
要素作業
重回帰式
Y9 = 35 .75 × x11 + 50 .52 * * × x8 − 7 .81
( 注)各変数の信頼度を**:1%有意、*:5%有意として示す。
600
500
推定作業時間(秒)
400
300
200
100
相関係数:0.94
サンプル数:129個
0
0
100
200
300
400
500
600
実測作業時間(秒)
図 .3.3.14
壁石膏ボード取付け作業の加工の切断を含む要素作業における切断の形状別
の作業時間の実測値と推定値の関係
e.取 付 け
取付けは 1 枚の石膏ボードを取付けるために「ボードを電気ドリルで打ち付ける」の作
業 時 間 を 目 的 変 量 と し 、作 業 者 が ド リ ル を 扱 う 難 易 度 を 示 す「 打 ち 付 け た ビ ス の 本 数 」、取
り扱うボードの大きさを示す「分割して取付けたボードの枚数」と「取付けたボードの面
積 」 を 説 明 変 量 に し て 重 回 帰 式 を 作 成 し た 。 表 .3.3.9 に は 石 膏 ボ ー ド 取 付 け 作 業 に お け る
取付けの作業時間の重回帰式と決定係数を示す。重回帰式を用いて求めた取付けの作業時
間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.15 に 示 す 如 く 、 0.87 と 相 関 関 係 で あ る 。
112
表 .3.3.9
壁石膏ボード取付け作業の取付けにおける作業時間の重回帰式と決定係数
単位作業
取付け
決定係数(R2)
重回帰式
Y10 = 5 .16 ** × x9 + 42 .06 ** × x10 + 1 .63 × x11 − 29 .43**
0.76
変数
Y10:1枚のボードの取付け作業における取付けの時間
x9:1枚のボードの取付け作業におけるビスの本数
x10:分割して取付けたボードの枚数
x11:取付けたボードの面積
( 注)各変数の信頼度を**:1%有意、*:5%有意として示す。
500
推定作業時間(秒)
400
300
200
100
相関係数:0.87
サンプル数:129個
0
0
100
200
300
400
500
実測作業時間(秒)
図 .3.3.15
壁石膏ボード取付け作業の取付けにおける作業時間の実測値と推定値の関係
E.ま と ま り 作 業 に お け る 作 業 時 間 の 推 定
1 枚の石膏ボードを取付けるために行う単位作業の重回帰式を用いてまとまり作業の作
業時間の推定を行った。単位作業の作業時間を作成した重回帰式を用いて算出し、ボード
ごとに合計した。1 枚の石膏ボード取付けにおける作業時間の実測値と推定値の相関係数
は 図 .3.3.16 に 示 す 如 く 、 0.93 と 相 関 関 係 で あ る 。 以 上 の 結 果 か ら 提 案 し た 作 業 の 数 量 的
条件を用いた作業時間の推定方法は有効であることを確認した。
1600
1400
推定作業時間(秒)
1200
1000
800
600
400
相関係数:0.93
サンプル数:129個
200
0
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
実測作業時間(秒)
図 .3.3.16
壁石膏ボード取付け作業の 1 枚のボード取付けにおける作業時間の実測値と推
定値の関係
113
②鋼製壁下地取付け作業における適用
A .鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 実 態 調 査
本 論 文 の 2.3.章 の A 工 事 に お け る 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 を 対 象 に 作 業 時 間 の 推 定 の た め
の実態調査を行った。調査の対象は 2 の作業者の取付け作業におけるスタッド材の運搬、
床ランナの取付け、上部ランナの取付けとした。
B .作 業 分 割 と 作 業 時 間 の 測 定 範 囲 の 設 定
鋼製壁下地取付け作業における単位作業の分類項目の運搬、取付けに基づいて作業分割
を 行 っ た 。運 搬 は 質 的 条 件 を 持 つ「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 取 る 」「 ス タ ッ ト 材 を 目 的 の 位 置 に 置
く」および、数量的条件を持つ「手に取ったスタッドをもって歩き」の要素作業を推定の
対 象 と し た 。 取 付 け は 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 打 ち 銃 を 用 い て 打 ち 付 け る 」の 単 位 作 業 を 推 定
の 対 象 と し た 。 図 .3.3.17 は 運 搬 と 取 付 け の 要 素 作 業 の 分 割 と 作 業 時 間 の 測 定 範 囲 を 示 す 。
まとまり作業
単位作業の
分類項目
運搬
単位作業
スタッド材を手に持って運ぶ
要素作業
作業時間の
測定範囲
スタッ材を手
に取る
作業者がスタッド
材を取るために
体を動かしてか
ら手に取って歩
き出す。
スタッ材を手
に持って歩く
作業者がスタッド
材を手に持て歩
き出してから止
まる。
スタッ材を目
的の位置に
置く
作業者がスタッド
材を手に持って
歩きを止めてか
ら置く。
取付け位置
に上部ランナ
を合わせる
上部ランナの取
付け位置の墨に
ランナ材を合わ
せて保持する。
取付け位置
に床ランナを
合わせる
床ランナの取付
け位置の墨にラ
ンナ材を合わせ
て保持する。
腰ポケットか
ら鋲を取り出
し、鋲打ち銃
に合わせる
鋲打ち銃を取り
出し、火薬と鋲を
充填する。
鋲打ち銃を位
置に合わせ
て打つ
鋲打ち銃を打つ
位置に合わせて
打つまでの作
業。
作業写真
鋼製壁下
地取付け
作業
取付け
図 .3.3.17
ランナ材を鋲打ち銃を用いてコ
ンクリートスラブに打ち付ける
推定の対象にした運搬と取付けの要素作業と作業時間の測定範囲
114
C .作 業 時 間 と 質 的 条 件 の 測 定
作 業 の 測 定 は 「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ
ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」を 対 象 に 行 っ た 。 以 下 の 項 目 に 測 定 の 結 果 を 記 す 。
a. 「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」
スタッドの取付けにおける運搬は、材料置き場から切断場までの運搬、切断場からスペ
ーサを取付ける場までの運搬、スペーサの取付け場から取付け部位までの運搬を行った。
図 .3.3.18 に は 実 測 し た 作 業 者 の 運 搬 動 線 を 示 す 。測 定 し た 数 量 的 条 件 と 質 的 条 件 は 、2 人
作 業 者 に お け る 「 ス タ ッ ド の 本 数 」「 体 に 固 定 す る 方 法 」「 歩 く 歩 数 」「 置 く 方 法 」「 置 く 位
置 」 で あ っ た 。 表 .3.3.10 に 示 す 如 く 、 測 定 し た 各 要 素 作 業 の 平 均 作 業 時 間 は 「ス タ ッ ド 材
を 手 に 取 る 」が 2.89 秒 、 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 歩 く 」が 4.27 秒 、 「ス タ ッ ド 材 を 目 的 の
位 置 に 置 く 」が 1.73 秒 で あ っ た 。
Y6
Y5
Y4
7500
7500
2000
Y3
7500
3935
Y2
Y1
7500
7500
3560
3565
3940
4080
X4
8000
材
料
置き
場
3920
円カッタ
X3
円カッタ
8000
材料
置き場
吹き抜け
3450
8000
4550
X2
X1
(凡例)
:スタッドを持って歩いた作業者の動線
:取付けたスタッドの位置
図 .3.3.18
表 .3.3.10
「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」 の 作 業 者 の 動 線 (単 位 : mm)
「スタッド材を手に持って運ぶ」における要素作業の作業時間の測定結果
項目
要素作業
スタッド材を手に取る
スタッド材を手に持って歩く
スタッド材を目的の位置に置く
測定回数 合計作業時間 作業時間の割合 平均作業時間 標準偏差
(回)
(秒)
(%)
(秒/回)
(秒/回)
221
218
202
639.33
931.39
350.97
33.27
48.47
18.26
115
2.89
4.27
1.73
0.13
0.23
0.05
1本当りの作業時間 歩数の合計
(秒/本)
(歩)
2.09
3.04
1.15
0
1555
269
b. 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」− 上 部 ラ ン ナ
上部ランナの取付けを行う 2 人の作業者が鋲打ち銃を用いて打つ 1 本の釘ごとの質的条
件 で あ る「 部 位 に 対 す る 釘 の 打 つ 順 番 」を 対 象 に 実 測 を 行 っ た 。図 .3.3.19 に は 実 測 し た 上
部 ラ ン ナ の 取 付 け 状 態 を 示 す 。表 .3.3.11 に は 部 位 ご と に 測 定 し た 質 的 条 件 を 示 す 。測 定 し
た 釘 の 全 本 数 は 161 本 で あ り 、 釘 1 本 を 打 つ 平 均 時 間 は 17.52 秒 /本 、 標 準 偏 差 0.68 秒 /
本であった。
c. 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」− 床 ラ ン ナ
床ランナの取付けを行う 2 人の作業者が鋲打ち銃を用いて打つ 1 本の釘ごとの質的条件
で あ る 「 部 位 に 対 す る 釘 の 打 つ 順 番 」「 巻 尺 の 使 用 有 無 」「 釘 の 取 り 出 し 有 無 」 を 対 象 に 実
測 を 行 っ た 。 図 .3.3.20 に は 実 測 し た 床 ラ ン ナ の 取 付 け 状 態 を 示 す 。 表 .3.3.12 に は 部 位 ご
と に 測 定 し た 質 的 条 件 を 示 す 。測 定 し た 釘 の 全 本 数 は 198 本 で あ り 、釘 1 本 を 打 つ 平 均 時
間 は 12.82 秒 /本 、 標 準 偏 差 0.43 秒 /本 で あ っ た 。
Y6
Y5
Y4
7500
Y3
7500
2000
Y2
7500
3935
Y1
7500
7500
3560
3565
3940
X4
4080
A-37
A-39
A-38
A-36
A-27
教官室
8000
A-42
A-31
3920
A-40
A-41
資料室
A-28
A-43
A-29
A-30
教官室
A-35
A-33
A-32
A-34
A.B23
A.B-14
A-26
資料室
A.B-21
A.B-18
高速計算機室
高速サーバ室
画像解析室
A-9 A-4
A-25
A-6
A-24
B-5
B-4
A.B-19
A-22
A.B-15
B-3
鋼製壁下地
A-20
A-17
A.B-16
B-2 A.B-13
X3
A-45
A-46
A-44
鉄筋コンクリート壁
A-47
A-56
研究室
8000
研究室
A-48
A-55
A-49
A-58
A-57
吹き抜け
X2
4550
女子便所
A-50
A-51
A-53
8000
男子便所
光機能実験室
3450
A-52
A-54
X1
図 .3.3.19
A-7 A-2
教官室
実 測 し た 上 部 ラ ン ナ の 取 付 け の 状 態 (単 位 : mm)
116
A-8 A-3
A-10
A,B-1
A-5
A-12
B-1
A-11
表 .3.3.11
部位の
番号
A.B-1
A-2
A-3
A-4
A-5
A-6
A-7
A-8
A-9
A-10
A-11
A-12
A,B-13
A.B-14
A.B-15
A.B-16
A-17
A.B-18
A.B-19
A-20
A.B-21
A-22
A.B-23
A-24
A-25
A-26
A-27
A-28
A-29
A-30
A-31
A-32
上部ランナの質的条件の測定結果
長さ
(mm)
2600
3300
1800
200
400
100
3600
1800
400
4000
600
600
2700
4000
1570
4000
2700
4000
4000
600
4000
4000
2700
1800
400
3600
3300
1900
600
3300
600
100
釘の本数
が2本で1
回目に打
つ場合
0
0
0
1
1
1
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
1
1
釘の本数
が3本で1
回目に打
つ場合
0
1
1
0
0
0
0
1
1
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
0
0
0
1
1
0
1
0
1
0
1
0
0
Y6
打つ釘の本数
釘の本数 釘の本数
2回目以後
が4本で1 が5本で1
に打つ場
回目に打 回目に打
合(本)
つ場合
つ場合
0
1
4
0
0
2
0
0
2
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
1
4
0
0
2
0
0
2
0
1
4
0
0
1
0
0
1
0
0
2
1
0
3
0
0
2
0
1
4
0
0
2
1
0
3
0
1
4
0
0
1
0
1
4
1
0
3
0
0
2
0
0
2
0
0
1
0
0
2
1
0
3
0
0
2
0
0
1
0
0
2
0
0
1
0
0
1
Y5
長さ
(mm)
A-33
A-34
A-35
A-36
A-37
A-38
A-39
A-40
A-41
A-42
A-43
A-44
A-45
A-46
A-47
A-48
A-49
A-50
A-51
A-52
A-53
A-54
A-55
A-56
A-57
A-58
B-1
B-2
B-3
B-4
B-5
合計
400
1800
200
3600
600
4000
1400
4000
1800
400
3800
600
4000
1600
3200
400
3600
600
3500
700
4000
2800
4000
2800
4000
2700
1900
600
1570
2700
1570
138110
Y4
7500
打つ釘の本数
釘の本数 釘の本数
2回目以後
が4本で1 が5本で1
に打つ場
回目に打 回目に打
合(本)
つ場合
つ場合
0
0
1
0
0
2
0
0
1
1
0
3
0
0
1
1
0
3
0
0
1
1
0
3
0
0
2
0
0
1
1
0
3
0
0
1
1
0
3
0
0
1
1
0
3
0
0
1
1
0
3
0
0
1
1
0
3
0
0
1
1
0
3
0
0
2
0
1
4
1
0
3
0
1
4
0
0
2
0
0
2
0
0
1
0
0
2
0
0
2
0
0
2
14
8
135
Y2
7500
3935
釘の本数
が3本で1
回目に打
つ場合
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
1
0
1
1
1
20
釘の本数
が2本で1
回目に打
つ場合
1
0
1
0
1
0
1
0
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
21
Y3
7500
2000
部位の
番号
Y1
7500
7500
3560
3565
3940
X4
B-13
4080
B-17
A-13
教官室
教官室
8000
B-23
3920
A-14
B-9
A-12
資料室
高速サーバ室
高速計算機室
B-12
B-6
B-4
B-14
資料室
B-20
B-21
B-18
B-15
鋼製壁下地
B-11
B-10
X3
A-15
A-6
鉄筋コンクリート壁
研究室
8000
B-3
教官室
B-19
A-11
A-10
研究室
A-9
A-5
A-4
吹き抜け
X2
女子便所
A-8
A-1
4550
A-2
A-7
光機能実験室
8000
男子便所
3450
画像解析室
B-8
B-16
B-22
A-3
X1
図 .3.3.20
実 測 し た 床 ラ ン ナ の 取 付 け の 状 態 (単 位 : mm)
117
B-7
B-5
B-2
B-1
表 .3.3.12
床ランナの質的条件の測定結果
打つ釘の本数
取付ける部位 取付ける部位の両 取付ける部位の 取付ける部位の両 取付ける部位
部位の 長さ
の両端が障害 端が障害物と建物 両端が障害物と 端が開口部と建物 の両端が開口
番号 (mm)
物で、最初に打 の躯体で、最初に 開口部で、最初 の躯体で、最初に 部で、最初に
つ場合(本)
打つ場合(本) に打つ場合(本) 打つ場合(本) 打つ場合(本)
A-1
A-2
A-3
A-4
A-5
A-6
A-7
A-8
A-9
A-10
A-11
A-12
A-13
A-14
A-15
B‐1
B‐2
B‐3
B‐4
B‐5
B‐6
B‐7
B‐8
B‐9
B‐10
B‐11
B‐12
B‐13
B‐14
B‐15
B‐16
B‐17
B‐18
B‐19
B‐20
B‐21
B‐22
B‐23
合計
6400
2560
2560
1235
2225
930
1250
3820
1935
3410
2860
2130
4910
5380
4910
310
1980
5570
800
2890
5880
2000
4425
295
3200
1750
4425
295
3200
2457
4425
295
2820
5880
310
1620
5570
800
107712
3
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
1
1
0
0
1
0
1
2
2
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
2
0
17
2
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
2
2
0
0
1
0
0
2
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
2
0
0
1
0
20
0
1
1
0
0
0
0
2
0
2
2
1
0
0
0
0
0
1
0
2
0
2
1
0
2
0
1
0
2
2
1
0
2
0
0
0
1
0
26
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
1
9
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
6
取付ける部
位に関わら
ず2回目に打
つ場合(本)
取付ける部位 メジャーを ポケットから
に関わらず3 使用する回 釘を出す回
回目以後に打 数(回)
数(回)
つ場合(本)
5
2
2
1
1
1
1
3
1
2
2
2
3
3
3
1
1
3
1
3
4
4
2
1
2
1
2
1
2
3
3
1
2
2
1
1
4
1
78
2
1
1
0
1
0
0
1
1
2
2
1
2
2
2
0
1
3
0
0
3
0
3
0
1
1
2
0
1
0
2
0
1
3
0
1
3
0
43
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
1
3
1
4
1
3
2
3
2
0
1
2
0
29
4
1
1
0
0
1
1
1
1
2
0
0
4
5
1
2
3
9
2
6
9
6
6
2
5
3
6
1
5
4
3
0
5
7
2
2
10
2
122
D.作 業 時 間 の 推 定 式 の 作 成
測 定 し た 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス
ラ ブ に 打 ち 付 け る 」の 数 量 的 条 件 と 質 的 条 件 の 関 係 を 用 い て 推 定 式 を 作 成 し た 。以 下 の 項 目
に推定式と推定結果を記す。
a.
「ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」の 作 業 時 間 の 推 定 結 果
測 定 し た 結 果 、 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」を 構 成 す る 要 素 作 業 で あ る 「 ス タ ッ ド 材
を 手 に 取 る 」と「 ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」の 作 業 時 間 は 質 的 条 件 と 関 係 し 、「 ス タ
ッド材を手に持って歩く」の作業時間は数量的条件と関係するため、要素作業ごとに作業
時間の推定式を作成した。
「スタッド材を手に取る」は作業者がスタッド材を取るために体を動かしてから部材を
手 に 取 っ て 歩 き 出 す ま で の 作 業 時 間 を 目 的 変 量 と し 、ス タ ッ ド 材 の 扱 い の 難 易 度 を 示 す「 手
に 持 つ ス タ ッ ド 材 の 数 量 」、 作 業 姿 勢 の 程 度 を 示 す 「 ス タ ッ ド 材 を 取 る 位 置 」、 歩 く 準 備 の
程 度 を 示 す「 ス タ ッ ド 材 を 持 つ 形 態 」を 説 明 変 量 と し て 推 定 式 を 作 成 し た 。表 .3.3.13 に は 、
作 業 者 A に お け る 推 定 式 Y2 A と 作 業 者 B に お け る 推 定 式 Y2 B を 示 す 。
推定式の各変数のカテゴリーを決めて、数量化方法を用いて実測値からカテゴリースコ
118
ア を 算 出 し た 。 表 .3.3.14 に は 作 業 者 A に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア を 示
す 。推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.21 に 示 す 如 く 、
0.88 と 相 関 関 係 で あ る 。 表 .3.3.15 に は 作 業 者 B に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス
コ ア を 示 す 。推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.22 に
示 す 如 く 、 0.88 と 相 関 関 係 で あ る 。
表 .3.3.13
要素作業
「ス タ ッ ド 材 を 手 に 取 る 」に お け る 作 業 時 間 の 推 定 式 と 変 数
作業者
推定式
変数
Y 2 A = x1 A + x 2 A + x 3 A + a A
A
スタッド材を
手に取る
Y2 B = x1B + x2 B + x3B + aB
B
表 .3.3.14
作業者
A
Y2A:作業者Aの1回のスタッド材を手に取るにおける作業時間
x1A:作業者Aが手に持つスタッド材の数量
x2A:作業者Aがスタッド材を取る位置
x3A:作業者Aがスタッド材を持つ形態
aA:定数項
Y2B:作業者Bの1回のスタッド材を手に取るにおける作業時間
x1B:作業者Bが手に持つスタッド材の数量
x2B:作業者Bがスタッド材を取る位置
x3B:作業者Bがスタッド材を持つ形態
aB:定数項
作 業 者 A の 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 取 る 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア
変数
対象の状態
x1A
カテゴリー
スタッド材の数量が1本から2本の場合
スタッド材の数量が3本から4本の場合
スタッド材を取った位置を変更しない場合
スタッド材を取った位置を変更する場合
両手でスタッド材を持つ場合
腰と手で押えてスタッド材を持つ場合
肩の上に乗せてスタッド材を持つ場合
ー
取扱の方法
x2A
保持の形態
x3A
aA
カテゴリースコア
-0.62
0.15
-0.33
1.13
-0.82
-0.42
1.8
3.03
決定係数(R 2)
0.774
25
推定作業時間値(秒)
20
15
10
5
相関係数:0.88
サンプル数:89個
0
0
5
10
15
20
25
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.21
作 業 者 A の 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 取 る 」の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
119
表 .3.3.15
作 業 者 B の 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 取 る 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア
作業者
変数
カテゴリー
スタッド材の数量が1本から2本の場合
スタッド材の数量が3本から4本の場合
スタッド材の数量が5本以上の場合
スタッド材を取った位置を変更しない場合
スタッド材を取った位置を変更する場合
両手でスタッド材を持つ場合
腰と手で押えてスタッド材を持つ場合
肩の上に乗せてスタッド材を持つ場合
ー
対象の状態
x1B
B
取扱の方法
x2B
保持の形態
x3B
aB
カテゴリースコア
-0.99
-0.5
4.93
-0.14
1.32
-0.36
0.09
0.49
2.80
決定係数(R 2)
0.771
25
推定作業時間値(秒)
20
15
10
5
相関係数:0.88
サンプル数:132個
0
0
5
10
15
20
25
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.22
作 業 者 B の 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 取 る 」の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
「スタッド材を手に持って歩く」は作業者が手に部材を持って歩き出してから止まるま
で の 作 業 時 間 を 目 的 変 量 と し 、移 動 す る 距 離 の 長 さ を 示 す「 歩 く 歩 数 」を 説 明 変 量 と し た 。
「 歩 く 歩 数 」 は 数 量 的 条 件 で あ る た め 、 重 回 帰 分 析 を 用 い て 重 回 帰 式 を 求 め た 。 表 .3.3.16
には「スタッド材を手に持って歩く」における作業時間の重回帰式と変数を示す。
重回帰式を用いて算出した作業者Aの作業時間の実測値と推定値の相関係数は
図 .3.3.23 に 示 す 如 く 、 0.98 と 高 い 相 関 関 係 を 示 し て い る 。 重 回 帰 式 を 用 い て 算 出 し た 作
業 者 B 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.24 に 示 す 如 く 、 0.99 と 高 い 相 関 関
係を示している。
表 .3.3.16
要素作業
「ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 歩 く 」に お け る 作 業 時 間 の 推 定 式 と 変 数
作業者
決定係数(R )
A
Y3 A = 0 .54 × x1 + 0.37
B
Y3B = 0.52** × x1 + 0.62**
**
スタッド材を
手に持って歩
く
2
重回帰式
**
0.96
0.99
変数
Y3A:作業者Aの1回のスタッド材を手に持って歩
くにおける作業時間
Y3B:作業者Bの1回のスタッド材を手に持って歩
くにおける作業時間
x1:1回の運搬における作業者の歩く歩数
(注)推定式の係数の信頼度を**:1%有意、*:5%有意とする
120
25
推定作業時間値(秒)
20
15
10
5
相関係数:0.98
サンプル数:87個
0
0
5
10
15
20
25
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.23 作 業 者 A の 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 歩 く 」の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
25
推定作業時間値(秒)
20
15
10
5
相関係数:0.99
サンプル数:131個
0
0
5
10
15
20
25
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.24 作 業 者 B の 「ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 歩 く 」の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
「スタッド材を目的の位置に置く」は作業者がスタッド材を持って歩きを止めてから部
材を目的の位置に置き、手を離して次の作業を開始するまでの作業時間を目的変量とし、
ス タ ッ ド 材 の 位 置 決 め の 有 無 を 示 す「 ス タ ッ ド 材 の 置 く 位 置 の 調 整 」、ス タ ッ ド 材 の 扱 い の
難 易 度 を 示 す「 手 に 持 つ ス タ ッ ド 材 の 数 量 」、置 く 位 置 の 状 態 の 程 度 を 示 す「 ス タ ッ ド 材 を
置 き な が ら 歩 く 歩 数 」、作 業 姿 勢 の 程 度 を 示 す「 ス タ ッ ド 材 か ら 手 を 離 す 高 さ 」を 説 明 変 数
と し て 推 定 式 を 作 成 し た 。 表 .3.3.17 に は 、 作 業 者 A に お け る 推 定 式 Y 4 A と 作 業 者 B に お
け る 推 定 式 Y4B を 示 す 。
推定式の各変数のカテゴリーを決めて、数量化手法を用いて実測値からカテゴリースコ
ア を 算 出 し た 。表 .3.3.18 に は 作 業 者 A に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー ス コ ア を 示 す 。
推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.25 に 示 す 如 く 、
121
0.82 と 相 関 関 係 で あ る 。 表 .3.3.19 に は 作 業 者 B に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー ス コ
アを示す。推定式を用いて算出した作業者 B の作業時間の推定値と実測値の相関係数は
図 .3.3.26 に 示 す 如 く 、 0.84 と 相 関 関 係 で あ る 。
表 .3.3.17
要素作業
「ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」に お け る 作 業 時 間 の 推 定 式 と 変 数
作業者
A
推定式
変数
Y4 A = x1 A + x2 A + x3 A + x4 A + a A
Y4A:作業者Aの1回のスタッド材を目的の位置に置くにおけ
る作業時間
x1A:作業者Aが行うスタッド材の位置調整
x2A:作業者Aが手に持つスタッド材の数量
x3A:作業者Aがスタッド材を置きながら歩く歩数
x4A:作業者Aがスタッド材から手を離す高さ
aA:定数項
スタッド材を
目的の位置
に置く
B
表 .3.3.18
Y4B = x1B + x2B + x3B +
Y4B:作業者Bの1回のスタッド材を目的の位置に置くにおけ
る作業時間
x1B:作業者Bが行うスタッド材の位置調整
x4B + aB x2B:作業者Bが手に持つスタッド材の数量
x3B:作業者Bがスタッド材を置きながら歩く歩数
x4B:作業者Bがスタッド材から手を離す高さ
aB:定数項
作 業 者 A の 「ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と
スコア
作業者
変数
位置の調整
x1A
対象の状態
x2A
A
取扱の方法
x3A
カテゴリー
スタッド材の置く位置を調整しない場合
スタッドの置く位置を調整する場合
スタッド材の数量が1本から2本の場合
スタッド材の数量が3本から4本の場合
スタッド材を置きながら歩かない場合
スタッドを置きながら1歩歩いた場合
スタッドを置きながら2歩歩いた場合
スタッドから手を離す高さが腰より低い場合
スタッドから手を離す高さが腰より高い場合
ー
身体の状態
x4A
aA
カテゴリースコア
-0.19
0.93
-0.12
0.01
-0.12
0.27
0.64
0.14
-0.4
1.70
決定係数(R 2)
0.67
25
推定作業時間値(秒)
20
15
10
5
相関係数:0.82
サンプル数:78個
0
0
5
10
15
20
25
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.25 作 業 者 A 「ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
122
表 .3.3.19 作 業 者 B の 「ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス
コア
作業者
変数
位置の調整
x1B
カテゴリー
スタッド材の置く位置を調整しない場合
スタッドの置く位置を調整する場合
スタッド材の数量が1本から2本の場合
スタッド材の数量が3本から4本の場合
スタッド材の数量が5本以上の場合
スタッド材を置きながら歩かない場合
スタッドを置きながら1歩歩いた場合
スタッドを置きながら2歩歩いた場合
スタッドから手を離す高さが腰より低い場合
スタッドから手を離す高さが腰より高い場合
ー
対象の状態
x2B
B
取扱の方法
x3B
身体の状態
x4B
aB
カテゴリースコア
-0.17
1.07
-0.24
-0.13
1.32
-0.11
0.13
0.82
0.05
-0.08
1.76
決定係数(R 2)
0.705
25
推定作業時間値(秒)
20
15
10
5
相関係数:0.84
サンプル数:124個
0
0
5
10
15
20
25
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.26 作 業 者 B「ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
b. 「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る − 床 ラ ン ナ 」 の 作 業 時
間の結果
測 定 し た 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」を 構 成 す る 要
素 作 業 で あ る 「 取 付 け 位 置 に 床 ラ ン ナ を 合 わ せ る 」、「 腰 ポ ケ ッ ト か ら 鋲 を 取 り 出 し 、 鋲 打
ち 銃 に 合 わ せ る 」、「 鋲 打 ち 銃 を 位 置 に 合 わ せ て 打 つ 」 の 作 業 時 間 は 質 的 条 件 と 関 係 す る た
め、単位作業の作業時間を対象に推定式を作成した。
作 業 者 が 1 本 の 鋲 を ラ ン ナ 材 に 打 ち 付 け る た め に 鋲 打 ち 銃 に 火 薬 と 鋲 を 充 填 し て 、ラ ン
ナ材を床の取付け位置に正確に合わせて、鋲を打つまでの作業時間を目的変量とし、鋲の
準 備 状 態 の 有 無 を 示 す「 鋲 打 ち 銃 に 鋲 を 充 填 す る 方 法 」、位 置 合 わ せ に 用 い る 道 具 の 有 無 を
示 す「 ラ ン ナ 材 の 位 置 合 わ せ に メ ジ ャ ー の 使 用 」、ラ ン ナ 材 の 位 置 調 整 の 難 易 度 を 示 す「 取
付 け 部 位 と 鋲 打 ち 銃 を 打 つ 場 所 」を 説 明 変 量 と し て 推 定 式 を 作 成 し た 。表 .3.3.20 に は 、作
業 者 A に お け る 推 定 式 Y5A と 作 業 者 B に お け る 推 定 式 Y5 B を 示 す 。
推定式の説明変数のカテゴリーを決めて、数量化手法を用いて実測値からカテゴリース
コ ア を 算 出 し た 。 表 .3.3.21 に は 作 業 者 A に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア を
123
示 す 。 推 定 値 を 用 い て 算 出 し た 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.7 に 示 す 如
く 、 0.88 と 相 関 関 係 で あ る 。 表 .3.3.22 に は 作 業 者 B に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー
と ス コ ア を 示 す 。推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 作 業 者 B に お け る 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の
相 関 係 数 は 図 .3.3.28 に 示 す 如 く 、 0.87 と 相 関 関 係 で あ る 。
表 .3.3.20
「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る − 床 ラ ン ナ 」
における作業時間の推定式と変数
要素作業
作業者
A
推定式
変数
Y5 A = x1 A + x 2 A + x 3 A + a A
Y5A:作業者Aの鋲打ち銃を用いて1本の鋲をランナに打ち付ける
における作業時間
x1A:作業者Aが鋲打ち銃に鋲を充填する方法
x2A:作業者Aが位置調整にメジャーを使用
x3A:作業者Aが取付ける部位と鋲打ち銃を打つ場所
aA:定数項
Y5 B = x1B + x2 B + x3 B + aB
Y5B:作業者Bの鋲打ち銃を用いて1本の鋲をランナに打ち付ける
における作業時間
x1B:作業者Bが鋲打ち銃に鋲を充填する方法
x2B:作業者Bが位置調整にメジャーを使用
x3B:作業者Bが取付ける部位と鋲打ち銃を打つ場所
aB:定数項
床ランナの
取付け
B
表 .3.3.21
作 業 者 A の 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
床 ラ ン ナ 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア
作業者
A
変数
工具の状態
x1A
カテゴリー
カテゴリースコア
腰ポケットから取り出して鋲を充填する場合
3.05
手に持った鋲を充填する場合
-0.99
調整の方法
位置調整にメジャーを用いない場合
-0.39
x2A
位置調整にメジャーを用いる場合
7.54
取付ける部位の両端が配線で、固定されてないランナ材に打つ場合
3.71
取付ける部位の両端が障害物と躯体で、固定されてないランナ材を打つ場合
3.65
取付ける部位の両端が配線と開口部で、固定されてないランナ材を打つ場合
5.62
場所の状態
取付ける部位の両端が躯体と開口部で、固定されてないランナ材を打つ場合
1.11
x3A
取付ける部位の両端が開口部で、固定されてないランナ材を打つ場合
7.56
取付ける部位の状態に関らず、1点が固定されたランナ材を打つ場合
-2.43
取付ける部位の状態に関らず、2点以上が固定されたランナ材を打つ場合
-3.53
aA
ー
12.46
決定係数(R2)
0.78
45
40
推定作業時間値(秒)
35
30
25
20
15
10
相関係数:0.88
サンプル数:82個
5
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.27
作 業 者 A の 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
床 ラ ン ナ 」に お け る 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
124
表 .3.3.22
作 業 者 B の 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
床 ラ ン ナ 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア
作業者
B
変数
工具の状態
x1B
カテゴリー
カテゴリースコア
腰ポケットから取り出して鋲を充填する場合
0.35
手に持った鋲を充填する場合
-1.96
調整の方法
位置調整にメジャーを用いない場合
-1.61
x2B
位置調整にメジャーを用いる場合
6.00
取付ける部位の両端が配線で、固定されてないランナ材に打つ場合
2.80
取付ける部位の両端が障害物と躯体で、固定されてないランナ材を打つ場合
6.99
取付ける部位の両端が配線と開口部で、固定されてないランナ材を打つ場合
6.45
場所の状態
取付ける部位の両端が躯体と開口部で、固定されてないランナ材を打つ場合
4.85
x3B
取付ける部位の両端が開口部で、固定されてないランナ材を打つ場合
7.11
取付ける部位の状態に関らず、1点が固定されたランナ材を打つ場合
-3.02
取付ける部位の状態に関らず、2点以上が固定されたランナ材を打つ場合
-4.44
aB
ー
13.07
決定係数(R 2)
0.76
45
40
推定作業時間値(秒)
35
30
25
20
15
10
相関係数:0.87
サンプル数:118個
5
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.28
作 業 者 B の 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
床 ラ ン ナ 」に お け る 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
c. 「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る − 上 部 ラ ン ナ 」 の 作 業
時間の推定結果
測 定 し た 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」を 構 成 す
る 要 素 作 業 で あ る「 取 付 け 位 置 に 上 部 ラ ン ナ を 合 わ せ る 」、「 腰 ポ ケ ッ ト か ら 鋲 を 取 り 出 し 、
鋲 打 ち 銃 に 合 わ せ る 」、「 鋲 打 ち 銃 を 位 置 に 合 わ せ て 打 つ 」 の 作 業 時 間 は 質 的 条 件 と 関 係 す
るため、単位作業の作業時間を対象に推定式を作成した。
作 業 者 が 1 本 の 鋲 を ラ ン ナ 材 に 打 ち 付 け る た め に 鋲 打 ち 銃 に 火 薬 と 鋲 を 充 填 し て 、ラ ン
ナ材を天井の取付け位置に正確に合わせて、鋲を打つまでの作業時間を目的変量とし、ラ
ンナ材の位置調整における難易度を示す「1 本のランナ材に打ち付ける鋲の本数と打つ順
番 」、取 付 け の た め の 保 持 の 有 無 を 示 す「 ラ ン ナ 材 に お け る 鋲 を 打 つ 場 所 」を 説 明 変 数 と し
て 推 定 式 を 作 成 し た 。 表 .3.3.23 に は 、 作 業 者 A に お け る 推 定 式 Y 6 A と 作 業 者 B に お け る
推 定 式 Y6B を 示 す 。
125
推定式の説明変量のカテゴリーを決めて、数量化手法を用いて実測値からカテゴリース
コ ア を 算 出 し た 。 表 .3.3.24 に は 作 業 者 A に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア を
示 す 。推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 図 .3.3.29 に 示 す 如
く 、 0.89 と 相 関 関 係 で あ る 。 表 .3.3.25 に は 作 業 者 B に お け る 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー
と ス コ ア を 示 す 。推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 作 業 者 B の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係
数 は 図 .3.3.30 に 示 す 如 く 、 0.95 と 相 関 関 係 で あ る 。
表 .3.3.23
「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」− 上 部 ラ ン
ナにおける作業時間の推定式と変数
要素作業
作業者
A
推定式
変数
Y6A:作業者Aの鋲打ち銃を用いて1本の鋲をランナに打ち付ける
における作業時間
x1A:作業者Aが取付けに必要な鋲の本数と鋲を打つ順番
x2A:作業者Aがランナ材の鋲を打つ場所
aA:定数項
Y 6 A = x1 A + x 2 A + a A
床ランナの
取付け
B
Y6B:作業者Bの鋲打ち銃を用いて1本の鋲をランナに打ち付ける
における作業時間
x1B:作業者Bが取付けに必要な鋲の本数と鋲を打つ順番
x2B:作業者Bがランナ材の鋲を打つ場所
aB:定数項
Y6 B = x1 B + x 2 B + a B
表 .3.3.24 作 業 者 A の 「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
上 部 ラ ン ナ 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア
作業者
変数
対象の状態
x1A
A
場所の状態
x2A
aA
カテゴリー
取付けに必要な鋲が2本で、固定されてないランナ材を打つ場合
取付けに必要な鋲が3本で、固定されてないランナ材を打つ場合
取付けに必要な鋲が4本で、固定されてないランナ材を打つ場合
取付けに必要な鋲が5本で、固定されてないランナ材を打つ場合
取付けに必要な鋲の本数に関らず、固定されたランナ材を打つ場合
鋲を打つ場所がランナ材の両端である場合
鋲を打つ場所がランナ材の両端でない場合
ー
カテゴリースコア
6.76
9.96
11.12
23.9
-5.03
-0.39
0.78
17.77
決定係数(R 2)
0.79
55
50
45
推定作業時間値(秒)
40
35
30
25
20
15
10
相関係数:0.89
サンプル数:147個
5
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.29
作 業 者 A の 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
上 部 ラ ン ナ 」に お け る 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
126
表 .3.3.25 作 業 者 B の 「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
上 部 ラ ン ナ 」の 推 定 式 の 変 数 の カ テ ゴ リ ー と ス コ ア
作業者
変数
対象の状態
x1B
B
場所の状態
x2B
aB
カテゴリー
取付けに必要な鋲が2本で、固定されてないランナ材を打つ場合
取付けに必要な鋲が3本で、固定されてないランナ材を打つ場合
取付けに必要な鋲の本数に関らず、固定されたランナ材を打つ場合
鋲を打つ場所がランナ材の両端である場合
鋲を打つ場所がランナ材の両端でない場合
ー
カテゴリースコア
11.28
9.47
-5.46
-0.08
0.19
14.93
決定係数(R 2)
0.9
55
50
45
推定作業時間値(秒)
40
35
30
25
20
15
10
相関係数:0.95
サンプル数:14個
5
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
実測作業時間値(秒)
図 .3.3.30
作 業 者 B の 「ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る −
上 部 ラ ン ナ 」に お け る 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 関 係
3.3.4.結
作 業 の 条 件 を 作 業 時 間 の 推 定 に 用 い る 場 合 、「 数 量 的 条 件 」 と 「 質 的 条 件 」 に 分 類 す る
ことを述べ、その分類の概念について示した。
「数量的条件」を用いた作業時間の推定として、重回帰分析を用いた単位作業レベルに
お け る 作 業 時 間 の 推 定 方 法 を 提 案 し 、 そ の 手 順 を 示 し た 。( 図 .3.1.1 参 照 )
「質的条件」の用いた作業時間の推定として、数量化Ⅰ類手法を用いた単位作業レベル
に お け る 作 業 時 間 の 推 定 方 法 を 提 案 し 、 そ の 手 順 を 示 し た 。 (図 .3.3.2 参 照 )
提 案 し た 「数 量 的 条 件 」を 用 い る 推 定 方 法 の 適 用 を 検 討 す る た め に 、 壁 石 膏 ボ ー ド 取 付 け
作業の実態調査に基づいて作業の分割を行い、1 枚のボードの取付けにおける単位作業の
時 間 値 と 数 量 的 条 件 を 測 定 し た 。( 表 .3.3.1、 表 .3.3.2 参 照 ) 要 素 作 業 レ ベ ル の 作 業 フ ロ ー
を 作 成 し 、1 枚 の ボ ー ド 取 付 け 作 業 を 構 成 す る 作 業 の 内 容 を 明 確 に し た 。(図 .3.3.8、図 .3.3.9
参 照 )測 定 し た 作 業 時 間 の 実 測 値 と 数 量 的 条 件 を 用 い て 「 移 動 」「 運 搬 」「 計 測 」「 加 工 の 設
置 と 寸 法 チ ェ ッ ク 」「 加 工 の 切 断 」「 取 付 け 」 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し 、 推 定 時 間 値 を
求 め た 。( 表 .3.3.3∼ 表 .3.3.9 参 照 ) 以 下 の 項 目 に 作 業 時 間 の 実 測 値 と 推 定 値 の 相 関 係 数 を
127
示す。
①
「 移 動 」 の 相 関 係 数 は 0.99 で あ っ た 。( 図 .3.3.10 参 照 )
②
「 運 搬 」 の 相 関 係 数 は 0.94 で あ っ た 。( 図 .3.3.11 参 照 )
③
「 計 測 」 の 相 関 係 数 は 0.91 で あ っ た 。( 図 .3.3.12 参 照 )
④
「 加 工 の 設 置 と 寸 法 チ ェ ッ ク 」 の 相 関 係 数 は 0.82 で あ っ た 。( 図 .3.3.13 参 照 )
⑤
「 加 工 の 切 断 」 の 相 関 係 数 は 0.94 で あ っ た 。( 図 .3.3.14 参 照 )
⑥
「 取 付 け 」 の 相 関 係 数 は 0.87 で あ っ た 。( 図 .3.3.15 参 照 )
1 枚のボードの取付けにおけるまとまり作業の作業時間の実測値と推定値の相関係数は
0.93 で あ っ た 。( 図 .3.3.16 参 照 ) そ の 結 果 、 数 量 的 条 件 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法 は
有効であることを確認した。また、ボードの形という「質的条件」によって作業時間が変
化 す る 「 加 工 」「 計 測 」 は 、 要 素 作 業 レ ベ ル で 分 割 を 行 い 、「 数 量 的 条 件 」 に 適 用 で き る 要
素作業に対して推定式を作成する必要があることを明らかにした。
提 案 し た 「質 的 条 件 」を 用 い る 推 定 方 法 の 適 用 を 検 討 す る た め に 、 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業
の 実 態 調 査 に 基 づ い て「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン
クリートスラブに打ち付ける」の作業の分割を行い、要素作業の時間値と質的条件及び、
数 量 的 条 件 を 測 定 し た 。( 表 .3.3.10∼ 表 .3.3.12 参 照 ) 測 定 し た 作 業 時 間 の 実 測 値 と 作 業 の
条 件 を 用 い て 推 定 式 を 作 成 し 、 作 業 時 間 の 推 定 値 を 求 め た 。( 表 .3.3.13∼ 表 .3.3.25 参 照 )
作業時間の推定値と実測値の相関関係を以下の項目に示す。
①
「スタッド材を手に持って運ぶ」は数量的条件を用いて推定式を作成した「スタッド
材 を 手 に 持 て 歩 く 」の 相 関 関 係 は 0.98 で あ っ た 。質 的 条 件 を 用 い た「 ス タ ッ ド 材 を 手
に 取 る 」 と 「 ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」 の 相 関 係 数 は 0.88 と 0.83 で あ っ た 。
( 図 .3.3.21∼ 図 .3.3.26 参 照 )
②
「ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける−床ランナ」は質的
条 件 を 用 い て 単 位 作 業 の 作 業 時 間 を 推 定 し た 、 そ の 相 関 係 数 は 0.87 で あ っ た 。
(図 .3.3.27、 図 .3.3.28 参 照 )
③
「ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける−上部ランナ」は質
的 条 件 を 用 い て 単 位 作 業 の 作 業 時 間 を 推 定 し た 、 そ の 相 関 係 数 は 0.89 で あ っ た 。
(図 .3.3.29、 図 .3.3.30 参 照 )
以上の結果、質的条件に基づいた作業時間の推定方法は有効であることを確認した。
128
3.4.結 言
A.作 業 の 実 績 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定
作業の実績の特性値を作業時間の推定に用いる場合、現状における特性値の算出方法の
問 題 点 を 指 摘 し た 。( 表 .3.1.1 参 照 )そ れ に 基 づ い て 、単 位 作 業 レ ベ ル の 特 性 値 の 算 出 方 法
を 提 案 し 、 そ の 手 順 を 示 し た 。( 図 .3.1.1 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業の実態調査に基づいて作
業 分 割 と 作 業 時 間 の 測 定 を 行 っ た 。( 図 .3.1.4 参 照 )測 定 し た 作 業 時 間 は 取 付 け の 部 位 ご と
に、要素作業のレベルで集計した。
以下の項目における各要素作業の作業時間の統計値および、まとまり作業に対する単位
作業の分類項目別の作業時間の割合を求め、その結果を示した。
①
「 上 部 ラ ン ナ の 取 付 け 」( 表 .3.1.2 作 業 )( 図 .3.1.5 参 照 )
②
「 床 ラ ン ナ の 取 付 け 」( 表 .3.1.3 参 照 )( 図 .3.1.6 参 照 )
③
「 ス タ ッ ド の 取 付 け 」( 表 .3.1.4 参 照 )( 図 .3.1.7 参 照 )
④
「 振 れ 止 め の 取 付 け 」( 表 .3.1.5 参 照 )( 図 .3.1.8 参 照 )
⑤
「 方 立 て の 取 付 け 」( 表 .3.1.6 参 照 )( 図 .3.1.9 参 照 )
⑥
「 ま ぐ さ の 取 付 け 」( 表 .3.1.7 参 照 )( 図 .3.1.10 参 照 )
以上の取付けの部位における単位作業の作業時間の集計結果を、積算した施工量で除し
て 算 出 し た 特 性 値 を 示 し た 。( 表 .3.1.9 参 照 )
以上の検討の結果から、提案した算出方法を用いて求めた特性値は作業時間の推定に有
効であることを確認した。
B.作 業 者 の 動 作 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定
作業者の動作に基づいて作業時間の推定を行う場合、作業条件による単位動作の内容を
推 定 す る た め の 方 法 の 必 要 性 を 指 摘 し た 。単 位 動 作 の 時 間 設 定 を MOST 手 法 に お け る シ ー
ケ ン ス ・ モ デ ル を 用 い て 行 い( 図 .3.2.2 参 照 )、要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 す る た
め 手 順 を 示 し ( 図 .3.2.1 参 照 )、 MOST− 計 算 用 紙 を 用 い た 設 定 の 事 例 を 示 し た ( 図 .3.2.2
参 照 )。ま た 、作 業 条 件 に 対 す る 作 業 内 容 を 具 現 化 す る た め の 、作 業 フ ロ ー の 作 成 方 法 を 提
案 し た 。( 図 .3.2.3 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、木製壁下地取付け作業の実態調査に基づいて作
業 時 間 と 作 業 者 の 動 作 の 測 定 行 い 、 作 業 を 分 割 し た 。( 図 .3.2.10 参 照 )
推 定 式 の 作 成 は 、 1 本 の 部 材 の 取 付 け に お け る 要 素 作 業 ご と に 行 っ た 。( 表 .3.2.4 参 照 )
ま た 、 要 素 作 業 レ ベ ル の 作 業 フ ロ ー を 作 成 し た 。( 図 .3.2.1 参 照 )
129
作 成 し た 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 式 に 実 測 し た 動 作 の 発 生 回 数 ( 表 .3.2.5 、 表 .3.2.6
参 照 )を 代 入 し て 、単 位 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 値 を 算 出 し 、そ の 統 計 値 を 示 し た( 表 .3.2.7
参 照 )。
推 定 式 を 用 い て 算 出 し た 取 付 け の 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 0.82 で あ っ
た 。( 図 .3.2.13 参 照 ) そ の 結 果 、 作 業 者 の 動 作 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法 は 有 効 で あ る
ことを確認した。また、取付けの作業方法と作業時間の推定値の誤差の関係を検討するた
め 、各 部 位 を 4 つ の カ テ ゴ リ ー に 分 類 し て 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 を 求 め た
結 果 、0.79 か ら 0.91 ま で で あ っ た 。( 図 .3.2.14∼ 図 .3.2.17 参 照 )そ の 結 果 、「 取 付 け 部 位
の 寸 法 を 測 る 」「 部 材 を 取 付 け の 位 置 に 正 確 に 合 わ せ る 」な ど の よ う な「 戸 惑 い 」「 考 え る 」
といった予測出来ない作業者の動作が多く含まれる作業の場合、作業時間の実測値に対す
る推定値の誤差が多く生じることを明らかにした。
以上の検討の結果から、提案した推定方法は作業時間の推定に有効であることを確認し
た。
C.作 業 の 条 件 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定
作 業 の 条 件 を 作 業 時 間 の 推 定 に 用 い る 場 合 、「 数 量 的 条 件 」 と 「 質 的 条 件 」 に 分 類 す る
こ と を 示 し た 。「 数 量 的 条 件 」の 内 容 を 定 義 し 、重 回 帰 分 析 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法 の
手 順 を 示 し た 。( 図 .3.1.1 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、壁石膏ボード取付け作業の実態調査に基づいて
作業の分割を行い、1 枚のボードを取付けにおける単位作業の時間値と数量的条件を測定
し た 。( 表 .3.3.1、表 .3.3.2 参 照 )測 定 し た 実 測 値 を 用 い て「 移 動 」「 運 搬 」「 計 測 」「 加 工 の
設 置 と 寸 法 チ ェ ッ ク 」「 加 工 の 切 断 」「 取 付 け 」 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し 、 作 業 時 間 の
推 定 値 を 求 め た 。( 表 .3.3.3∼ 表 .3.3.8 参 照 )
「 移 動 」に お け る 作 業 時 間 の 実 測 値 と 推 定 値 の 相 関 係 数 は 0.99 で あ っ た 。( 図 .3.3.10 参
照 )「 運 搬 」に お け る 相 関 係 数 は 0.94 で あ っ た 。( 図 .3.3.11 参 照 )「 計 測 」に お け る 相 関 係
数 は 0.91 で あ っ た 。( 図 .3.3.12 参 照 )「 加 工 の 設 置 と 寸 法 チ ェ ッ ク 」 に お け る 相 関 係 数 は
0.82 で あ っ た 。( 図 .3.3.13 参 照 )「 加 工 の 切 断 」 に お け る 相 関 係 数 は 0.94 で あ っ た 。
( 図 .3.3.14 参 照 )「 取 付 け 」 に お け る 相 関 係 数 は 0.87 で あ っ た 。( 図 .3.3.15 参 照 )
1 枚のボードの取付けにおけるまとまり作業の作業時間の実測値と推定値の相関係数は
0.93 で あ っ た 。( 図 .3.3.16 参 照 ) そ の 結 果 、 数 量 的 条 件 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定 方 法 は
有効であることを確認した。
「質的条件」の内容を定義し、数量化Ⅰ類手法を用いた作業時間の推定方法の手順を示
130
し た 。 (図 .3.3.2 参 照 )
提案した方法の適用を検討するために、鋼製壁下地取付け作業の実態調査に基づいて
「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃 を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打
ち付ける」の作業の分割を行い、要素作業の時間値と質的条件及び、数量的条件を測定し
た 。( 表 .3.3.10∼ 表 .3.3.12 参 照 ) 測 定 し た 実 測 値 を 用 い て 推 定 式 を 作 成 し 、 作 業 時 間 の 推
定 値 を 求 め た 。( 表 .3.3.13∼ 表 .3.3.25 参 照 )
「スタッド材を手に持って運ぶ」は数量的条件と質的条件を用いて分割して要素作業別
の推定式を作成した。数量的条件を用いた「スタッド材を手に持て歩く」の作業時間の実
測 値 と 推 定 値 の 相 関 関 係 は 0.98 で あ っ た 。質 的 条 件 を 用 い た「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 取 る 」と
「 ス タ ッ ド 材 を 目 的 の 位 置 に 置 く 」 の 相 関 係 数 は 0.88 と 0.83 で あ っ た 。( 図 .3.3.21 ∼
図 .3.3.30 参 照 )
「ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける−床ランナ」は質的条
件 を 用 い て 単 作 業 時 間 を 推 定 し た 、 そ の 相 関 係 数 は 0.87 で あ っ た 。 ( 図 .3.3.27、 図 .3.3.28
参照)
「ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける−上部ランナ」は質的
条 件 を 用 い て 作 業 時 間 を 推 定 し た 、 そ の 相 関 係 数 は 0.89 で あ っ た 。 ( 図 .3.3.27、 図 .3.3.28
参照)
以上の結果、数量的条件と質的条件に基づいた作業時間の推定方法は有効であることを
確認した。
131
第4章
作業内容の推定方法に関する研究
第 4章
作業内容の推定方法に関する研究
4.1.作 業 者 の 姿 勢 の 特 性 値
4.1.1.姿 勢 の 測 定 方 法
作業者は与えられた部材の属性、作業方法、作業場の状況、使用する工具に合わせて身
体部位を動かしながら作業を行う。作業者が如何なる作業を実施しているかについて把握
するためのモニタリングは、腕、頭、脚などの身体部位の位置関係である作業者の姿勢を
数量のデータに変換し、そのデータから作業の内容を推定できれば容易になると考えられ
る。そこで、作業者の姿勢を数量のデータに変換して収集するために、作業者の身体部位
の「作業を行う空間における位置」と「移動する速さ」を 6 自由度データとして捉える方
法 を 提 案 す る 。 な お 、 6 自 由 度 デ ー タ と は 、 身 体 部 位 の 位 置 を 3 次 元 空 間 に お け る 座 標 (X
軸 、 Y 軸 、 Z 軸 の 3 軸 )、 傾 斜 角 度 (X 軸 、 Y 軸 、 Z 軸 回 り の 3 つ )の 計 6 つ の 値 を 時 系 列 で
収集したデータを意味する。
デ ー タ の 測 定 に 用 い る 機 器 は 、航 空 機 等 の 方 向 や 位 置 を 3 次 元 空 間 で 制 御 す る た め の デ
ー タ 収 集 用 に 開 発 さ れ た 6 自 由 度 セ ン サ ー で あ る 。 表 .4.1.1 に は 6 自 由 度 デ ー タ の 測 定 に
用いたセンサーの特性を示す。表に示す如く、センサーは X 軸、Y 軸、Z 軸それぞれの角
度データを測定するジャイロと加速度を測定する加速度計が入るセンサーユニットと測定
したデータをデジタル信号に変換するためのプロセッサーユニットによって構成される。
セ ン サ ー の 出 力 周 期 は 10HZ で あ り 、デ ー タ の 範 囲 は Ⅹ 軸 の 角 度 デ ー タ が ±180°、Y 軸 の
角 度 デ ー タ が ±90°、 Z 軸 の 角 度 デ ー タ が ±180°で あ り 、 Ⅹ 軸 の 加 速 度 デ ー タ が ±2G、 Y
軸 の 加 速 度 デ ー タ が ±2G、 Z 軸 の 加 速 度 デ ー タ が ±2G で あ る 。
表 .4.1.1
6 自由度データの測定に用いたセンサーの特性
項目
構成
重さ
大きさ
出力データ
出力周期
出力範囲
70)
内容
3 軸のジャイロと 3 軸の加速度計
プ ロ セ ッ サ ー ユ ニ ッ ト : 約 17 0 g
セ ン サ ー ユ ニ ッ ト : 約 40g
プ ロ セ ッ サ ー ユ ニ ッ ト 7 5× 85 . 5× 4 1 ( m m )
セ ン サ ー ユ ニ ッ ト : 3 5 .2× 37× 3 3. 2 ( m m )
3 軸角度と 3 軸加速度
10 H Z
X 軸 : ±180°
角度データ
Y 軸 : ± 9 0°
Z 軸 : ±180°
X 軸 : ±2G
加速度データ
Y 軸 : ±2G
Z 軸 : ±2G
注 1 )G は 重 力 加 速 度 9 . 8 m / s 2 を 示 す
注 2)日 本 航 空 電 子 工 業 株 式 会 社 の セ ン サ ー 取 扱 説 明 書 か ら 引 用
132
セ ン サ ー の 軸 と デ ー タ の 特 性 を 図 .4.1.1 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 セ ン サ ー ユ ニ ッ ト の 本
体 の 中 心 を 原 点 と す る X 軸 、 Y 軸 、 Z 軸 に お け る 角 度 デ ー タ は 回 転 の 方 向 に よ っ て +と −
の値を出力する。加速度データは重力の方向に対する軸の傾きと移動する方向によって+
と−の値を出力する。
Z軸の加速度データ
(+方向の加速)
X軸の角度データ
(+方向の回転)
Z軸の角度データ
(+方向の回転)
X軸の加速度データ
(+方向の加速)
Y軸の加速度データ
(+方向の加速)
Y軸の角度データ
(+方向の回転)
センサーユニット
出力ケーブル
注1)加速度データは各軸の矢印の反対方向に加速したときマイナスの値を示す
注2)角度データは各軸の矢印の反対方向に回転した場合マイナスの値を示す
図 .4.1.1
センサー軸とデータの特性
作業の実行中における作業者の姿勢を正確にデータ化するためには、作業者の身体各部
位に 6 自由度センサーを装着する必要がある。しかし、多くのセンサーを作業者に装着す
る と 作 業 に 支 障 を 来 た す と と も に 、セ ン サ ー か ら 出 力 さ れ る デ ー タ の 処 理 能 力 の 制 約 か ら 、
本研究では 3 つのセンサーを作業者に装着し、データを収集することとした。
センサーは以下に記す事項を考慮して、頭、腕、脚の 3 箇所に装着した。
①
実施する作業の特徴を 6 自由度データとして得られる位置
②
センサーの装着によって作業に支障を与えない位置
③
作業現場においてセンサーの装着・取外しが容易な位置
セ ン サ ー を 装 着 し た 作 業 者 の 状 態 を 図 .4.1.2 に 示 す 。 先 ず 、 身 体 の 上 下 、 前 後 、 左 右 の
位置、及び回転に関する姿勢のデータを収集するため、安全帽の上にボルトでセンサーを
固定した。次に作業者の利き腕における姿勢のデータを収集するために、右前腕部にテー
プでセンサーを固定した。また、脚の動きを捉えるため、右脚下腿部にテープでセンサー
を固定した。
各センサーから出力されるアナログデータをデジタルデータに変換するプロセッサー
ユニットと電池電源は作業者の腰ベルトに固定している。作業者に装着したプロセッサー
ユ ニ ッ ト か ら コ ン ピ ュ ー タ の 記 録 装 置 へ の デ ー タ の 伝 送 は R S − 232 C ケ ー ブ ル を 用 い た 。
なお、今回の研究では、センサーからのデータの送信は有線を使用したが、工事現場での
適用には無線による送信が考えられる。
133
頭のセンサー
RS−232cケーブル
腕のセンサー
プロセッサ-ユニット
腰ポケット
脚のセンサー
図 .4.1.2
センサーを装着した作業者の状態
作 業 者 の 身 体 部 位 の 動 き に 合 わ せ て 、 毎 秒 10 個 の 3 軸 の 角 度 デ ー タ と 3 軸 の 加 速 度 デ
ータを収集し、これを一旦コンピュータに記録し、測定データとした。頭、腕、脚のセン
サ ー を 用 い て 収 集 し た デ ー タ の 事 例 と し て 、 図 .4.1.3 に は 頭 を 前 後 に 動 か し て 収 集 し た 頭
のセンサーにおける出力データの例を示す。図に示す如く、頭の前後の移動を概ね 0 度か
ら 90 度 ま で の セ ン サ ー の Y 軸 回 転 と し て 角 度 デ ー タ を 出 力 し た 。 ま た 、 X 軸 と Z 軸 の 角
度データの変化は、センサーにおけるジャイロのジンバルロックの補正値である。加速度
デ ー タ は 、 Z 軸 方 向 は 概 ね 0G か ら − 1G ま で の デ ー タ を 出 力 し 、 X 軸 方 向 は 概 ね 0G か ら
− 1.5G ま で の デ ー タ を 出 力 し 、 Y 軸 は 微 妙 に 変 化 す る デ ー タ を 出 力 し た 。
図 .4.1.4 に は 腕 を 横 に 平 行 に 動 か し て 収 集 し た 腕 の セ ン サ ー に お け る 出 力 デ ー タ の 例 を
示 す 。図 に 示 す 如 く 、 横 方 向 の 手 の 移 動 を 右 方 向 の 場 合 は 概 ね 0 度 か ら +135°ま で 、左 方
向 の 場 合 は 概 ね 0 度 か ら − 90 度 ま で の セ ン サ ー の Z 軸 回 転 と し て 角 度 デ ー タ を 出 力 し た 。
ま た 、手 が ほ ぼ 平 行 に 移 動 し た た め 、X 軸 と Y 軸 は 微 妙 に 変 化 す る 角 度 デ ー タ を 出 力 し た 。
加 速 度 デ ー タ は 、X 軸 方 向 は 概 ね 0G か ら + 1.5G ま で の デ ー タ を 出 力 し 、Y 軸 と X 軸 は 微
妙に変化するデータを出力した。
図 .4.1.5 に は 脚 を 曲 げ 座 ら せ て 収 集 し た 脚 の セ ン サ ー に お け る 出 力 デ ー タ の 例 を 示 す 。
図 に 示 す 如 く 、脚 の 前 後 斜 め 方 向 の 移 動 を 概 ね 0 度 か ら + 90 度 ま で の サ ン サ ー の Z 軸 回 転
及 び 、概 ね 0 度 か ら +40 度 ま で の セ ン サ ー の X 軸 回 転 と し て 角 度 デ ー タ を 出 力 し た 。ま た 、
Y 軸 は 微 妙 に 変 化 す る 角 度 デ ー タ を 出 力 し た 。 加 速 度 デ ー タ は 、 X 軸 方 向 は 概 ね 0G か ら
− 1G ま で の デ ー タ を 出 力 し 、Y 軸 は 概 ね 0G か ら + 1.5G ま で の デ ー タ を 出 力 し 、Z 軸 は 微
妙に変化するデータを出力した。
134
体を前に屈む
体を元の位置に戻す
180
135
X軸
角 度(度 )
90
45
0
-45
Y軸
頭センサー
-90
-135
Z軸
-180
経過時 間(秒)
2
加 速度(G )
1
Z軸
Y軸
0
-1
X軸
-2
1.0
0.5
図 .4.1.3
1.5
経 過時間(秒)
2.5
2.0
頭 の セ ン サ ー の 出 力 事 例 (頭 を 前 後 に 動 か す )
腕を右に振って元に戻す
腕を左に振って元に戻す
180
135
角 度(度)
90
Z軸
Y軸
45
0
-45
X軸
腕センサー
-90
-135
-180
経 過時間 (秒)
2
加速度(G )
1
X軸
Z軸
0
Y軸
-1
-2
0.5
図 .4.1.4
1.0
1.5
経過時間(秒)
2.0
2.5
腕 の セ ン サ ー の 出 力 事 例 (腕 を 横 に 平 行 に 振 る )
135
脚を曲げて座る
脚を伸ばして立つ
180
135
角度(度)
90
Z軸
X軸
45
0
-45
Y軸
脚センサー
-90
-135
-180
経過時間(秒)
2
Y軸
加速 度(G )
1
Z軸
0
-1
X軸
-2
1.0
0.5
1.5
2.0
2.5
経過時間(秒)
図 .4.1.5
脚 の セ ン サ ー の 出 力 事 例 (座 っ て 立 ち 上 が る )
4.1.2.姿 勢 の 特 性 値 の 算 出 方 法
作業者に装着したセンサーから得られる 3 軸の角度データと 3 軸の加速度データに基づ
き推定を行うための特性値を算出した。本研究では、作業内容の推定を行う最小単位の時
間 幅 を 1 秒 と し 、最 小 単 位 を 1 秒 づ つ 増 や し た 長 さ の 時 間 幅 を 対 象 に 推 定 を 行 う 。こ の 推
定を行う時間幅を推定区間と呼ぶ。
収集したセンサーの角度データは、作業者の移動など身体の回転が発生すると、同じ姿
勢の作業であっても回転による変化量を含んだ結果を出力する。このため、測定したデー
タのままでは、同じ作業の種類であっても異なる角度データを持ち、正しく作業を推定す
ることは出来ない。そこで、測定データから算出した作業者の身体部位間の相対的関係を
推定に用いる特性値とし、回転による影響を排除する方法を提案する。
即ち、2 個のセンサーの相対的な位置関係を示す 3 次元位置ベクトル座標の距離を用い
て特性値を算出する。推定区間における 3 次元位置ベクトル座標の距離の平均値、標準偏
差 、 各 測 定 時 点 の デ ー タ の 変 化 量 ( 時 点 i と 時 点 i+1) の 2 乗 の 合 計 を 求 め 、 セ ン サ ー の
装着している身体部位の姿勢を表す特性値とした。
また、収集したセンサーの加速度データは、重力の方向に発生する重力加速度と移動の
方向に発生する運動加速度の合計値を出力する。このため、身体部位の移動を表す運動加
136
速度成分のデータのみを推定に用いることとし、推定区間における各測定時点のデータの
変 化 量 ( 時 点 i と 時 点 i+1) の 2 乗 の 合 計 を 求 め 、 セ ン サ ー を 装 着 し て い る 身 体 部 位 の 動
きの速さを表す特性値とした。
ここで、センサーA とセンサーB の出力データについて、特性値を求める算出過程を
図 .4.1.6 及 び (式 .4.1.1)か ら (式 .4.1.7)に 示 す 。 角 度 デ ー タ は 先 ず (式 .4.1.1 )を 用 い て 、 3 次
元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 に 変 換 す る 。次 に 変 換 し た セ ン サ ー A と セ ン サ ー B の 3 次 元 位 置 ベ ク
トル座標の距離を算出する。そして、推定区間における 3 次元位置ベクトル座標の距離の
平均値、標準偏差、変化量の 2 乗の合計を特性値として用いる。次に、1 つのセンサーに
お け る 加 速 度 デ ー タ は 、推 定 区 間 に お け る 3 軸 の 加 速 度 の 変 化 量 の 2 乗 の 合 計 を 特 性 値 と
して用いる。
センサーA
センサーB
データの出力
データの出力
3軸の
角度データ
3軸の
加速度データ
3軸の
角度データ
データの変換
3軸の
加速度データ
データの変換
3次元位置ベ
クトル座標
変化量の算出
3次元位置ベ
クトル座標
変化量の算出
関係の算出
3次元位置ベクト
ル座標の距離
特性値の算出
3軸の加速度デ
ータの変化量
3軸の加速度デ
ータの変化量
特性値の算出
特性値の算出
平均値 標準偏差 変化量の2乗の合計 変化量の2乗の合計 変化量の2乗の合計
凡例)
図 .4.1.6
:算出の方向を示す
特性値の算出過程
以下の項目に推定区間における 3 軸の角度データと 3 軸の加速度データを用いた特性値
の算出式を示す。
①
3 軸の角度データの 3 次元位置ベクトル座標への変換
デ ー タ の 出 力 時 点 i に お け る セ ン サ ー A の X 軸 の 角 度 デ ー タ を θ (A)xi、 Y 軸 の 角 度 デ ー
タ を θ ( A ) y i 、Z 軸 の 角 度 デ ー タ を θ ( A ) z i に し た 場 合 、基 本 ベ ク ト ル 座 標 (1,1,1)を 各 軸 の 角
度 デ ー タ に よ っ て 回 転 さ せ た 後 の 座 標 を 、図 .4.1.7 に 示 す 如 く 、終 点 の 座 標( x ( A ) i ,y ( A ) i ,
z(A )i) を 持 つ 3 次 元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 と す る 。 3 軸 の 角 度 デ ー タ を 用 い た 3 次 元 位 置 ベ ク
ト ル 座 標 の 計 算 式 は 式 .4.1.1 に 示 す 。 式 に 示 す 如 く 、 基 本 ベ ク ト ル を 出 力 時 点 i に お け る
137
セ ン サ ー A の X 軸 の 角 度 に よ っ て 回 転 さ せ 、再 び そ の 基 本 ベ ク ト ル を Y 軸 の 回 転 角 度 に よ
っ て 回 転 さ せ 、最 後 に Z 軸 の 回 転 角 度 に 回 転 さ せ た 基 本 ベ ク ト ル か ら 3 次 元 位 置 ベ ク ト ル
の 座 標 R(A)I を 算 出 す る 。
Z軸
(x(A)i,y(A)i,z(A)i)
センサーAの3次元位置ベクトル座標
角度データ(θ(A)xi)、(θ(A)yi)、(θ(A)zi)に
よる回転の量
X軸
(1,1,1)
基本ベクトル
Y軸
(0,0,0)
図 .4.1.7
R( A )

1
= 0

0

i
3 次元ベクトル座標への変換の概念
= (x ( A ) ,y ( A ) ,z ( A ) )
i
i
i

  COS( θ (A)y i )
− SIN( θ (A)x ) 
0
i 
−
θ (A)y )
SIN(

COS( θ (A)x ) 
i
i  
0
0
COS( θ (A)x )
i
SIN( θ (A)x )
i
SIN( θ (A)z )
 COS( θ (A)z )
i
i

 − SIN( θ (A)z ) COS( θ (A)z )
i
i

0
0

0

0

1
R( A ) :出力時点 iにおけるセンサー
i
θ ( A ) x:出力時点 iにおけるセンサー
i
θ ( A ) y:出力時点 iにおけるセンサー
i
θ ( A ) z:出力時点 iにおけるセンサー
i
A :データを出力するセ ンサー
0
1
0
SIN( θ (A)y ) 
i 

0

COS( θ (A)y )
i 
・・・ (式 .4.1.1 )
A の 3次元位置ベクトル座標
A の x 軸の角度データ
A の y 軸の角度データ
A の z 軸の角度データ
i : データの出力時点
②
3 次元位置ベクトル座標の距離の算出
3 軸の角度データを用いて算出した出力時点 i におけるセンサーAとセンサーBの 3 次
元 位 置 ベ ク ト ル の 座 標 ( x ( A ) i , y ( A ) i , z ( A ) i ) と ( x ( B ) i , y ( B ) i , z ( B ) i ) の 関 係 は 図 .4.1.8
に示す如く、各座標間の距離を求めて用いる。図に示す如く、2 個のセンサーの関係は 2
つの 3 次元位置ベクトルの座標からなる最小値 0 から最大値 2 3までの実数値を用いて表
す 。 3 次 元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 の 距 離 の 算 出 式 は 式 .4.1.2 に 示 す 。 式 に 示 す 如 く 、 座 標 に お
け る X 軸 、 Y 軸 、 Z 軸 の 差 の 2 乗 の 合 計 の 平 方 根 か ら 距 離 H (A − B )i を 算 出 す る 。
138
Z軸
(x(A)i,y(A)i,z(A)i)
センサーAの3次元位置ベクトル座標
H(A-B)i
センサーAとセンサーBの3次元
位置ベクトル座標の距離
X軸
(x(B)i,y(B)i,z(B)i)
センサーBの3次元位置ベクトル座標
Y軸
(0,0,0)
図 .4.1.8
3 次元位置ベクトル座標の距離の概念
2
2
2






 x( B ) − x( A )  +  y ( B ) − y ( A )  +  z ( B ) − z ( A ) 
i
i
i
i
i
i
i



・・・ (式.4.1.2)
H ( A − B)
i
:出力時点 iにおけるセンサーAと センサーBの 3次元位置ベクトル座標 の距離
H ( A − B)
=


 x( A) , y( A) , z' A)  :出力時点 iにおけるセンサーAの 3次元位置ベクトル座標
i
i
i



 x( B ) , y( B ) , z( B )  :出力時点 iにおけるセンサーBの 3次元位置ベクトル座標
i
i
i

A, B:データを出力するセ ンサー
i:データの出力時点
③3 軸の加速度データの変化量の算出
セ ン サ ー A の 出 力 時 点 (i+ 1)に お け る 加 速 度 デ ー タ( α ( A ) x i + 1 ,α ( A ) y i + 1 ,α ( A ) z i + 1 )か
ら (i)に お け る ( α ( A ) x i , α ( A ) y i , α ( A ) z i ) 変 化 量 で あ る 。 3 軸 の 加 速 度 デ ー タ の 変 化 量 の
算 出 式 を 式 .4.1.3 に 示 す 。 式 に 示 す 如 く 、 加 速 度 デ ー タ の X 軸 、 Y 軸 、 Z 軸 の 差 の 2 乗 の
合 計 の 平 方 根 か ら 変 化 量 T(A) i を 算 出 す る 。
T(A)
i
=

α
−α
 ( A) x
( A) x
i +1
i

2 
 + α
−α

 ( A) y
( A) y
i +1
i


2 
 + α
−α

 ( A) z
( A) z
i +1
i


2



・・・(式.4.1.3)
T ( A ):
出力時点
i
i から i + 1におけるセンサーAの
加速度の変化量
α ( A ) xi:出力時点
i におけるセンサー A の x 軸の加速度データ
α ( A ) yi:出力時点
i におけるセンサー A の y 軸の加速度データ
α ( A ) zi:出力時点
i におけるセンサー A の z 軸の加速度データ
A :データを出力するセ
ンサー
i :データの出力時点
139
④特性値の算出
特性値は 3 軸の角度データからの 3 次元位置ベクトル座標の距離及び、3 軸の加速度デ
ー タ か ら の 変 化 量 を 用 い て 算 出 を 行 う 。 推 定 に 用 い る 4 種 類 の 特 性 値 の 算 出 式 を 表 .4.1.2
に示す。表に示す如く、推定区間のデータの数がn個であるセンサーA とセンサーB の 3
次 元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 の 距 離 H ( A − B ) i の 平 均 Avr(H ( A − B ) i )を 式 .4.1.4 に 示 す 。 出 力 し た デ
ー タ の 数 が n 個 で あ る セ ン サ ー A と セ ン サ ー B の 3 次 元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 の 距 離 H( A − B ) i
の 標 準 偏 差 Std(H ( A − B ) i )を 式 .4.1.5 に 示 す 。 出 力 し た デ ー タ の 数 が n 個 で あ る セ ン サ ー A と
セ ン サ ー B の 出 力 時 点 i に お け る 3 次 元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 の 距 離 H ( A − B ) i の 出 力 時 点 i+1 ま
で の 変 化 量 の 2 乗 の n 個 に お け る 合 計 Sy(H ( A - B ) i + 1 -H ( A − B ) i )を 式 .4.1.6 に 示 す 。ま た 、出 力
し た デ ー タ の 数 が n 個 で あ る セ ン サ ー A の 加 速 度 デ ー タ の 変 化 量 T(A)i の 2 乗 の n 個 に お け
る 合 計 Sy( T ( A ) i )を 式 .4.1.7 に 示 す 。
表 .4.1.2
単位動作の推定に用いる特性値と算出式
特性値
算出式
内容
i=n
∑ H(
A − B )i
i =1
Avr ( H ( A− B )i )
・・・(式.4.1.4)
n
2
i =n
 i =n

2
n∑ (H ( A− B )i ) −  ∑ H ( A− B ) i 
i =1
 i =1
 ・・・(式.4.1.5 )
n2
Std ( H ( A− B )i )
2
i =n
∑ (H (
Sy( H ( A− B) i +1 − H ( A− B )i )
A − B )i + 1
− H ( A − B )i ) ・・・(式.4.1.6)
i =1
i =n
∑ (T ) ・・・(式 .4.1.7)
Sy(T( A )i )
2
( A)i
i =1
センサーA・
Bの位置関係
センサーA・
Bの位置関係
の標準偏差
センサーA・
Bの位置関係
の変化量
センサーAの
動きの速さ
Avr ( H ( A − B ) ) :H ( A − B ) の平均
i
i
Std ( H ( A− B ) ) :H ( A − B ) の標準偏差、
i
i
Sy( H ( A− B ) ) :( H ( A − B )
i
i +1
− H ( A − B ) )の2乗の合計
i
Sy(T( A) ) :T( A ) の2乗の合計
i
i
H ( A − B ) :出力時点iにおけるセンサーAとセンサーBの3次元位置ベクトル座標の距離
i
T( A ) :出力時点iからi + 1までにおけるセンサーAの加速度の変化量
i
n :センサAとセンサーBから出力したデータの数
i :データの出力時点
A, B:データを出力するセンサー
140
4.1.3.基 本 的 な 作 業 者 の 姿 勢 に お け る 適 用
移 動 に お け る 「 歩 き 」、 運 搬 に お け る 「 手 に 持 っ て 歩 く 」、 加 工 に お け る 「 手 鋸 を 用 い た
切 断 」、取 付 け に お け る「 ハ ン マ を 用 い た 釘 打 ち 」の 要 素 作 業 に 対 す る 作 業 実 験 を 行 い 、作
業 者 の 姿 勢 に お け る 提 案 し た 6 自 由 度 デ ー タ の 収 集 方 法 の 適 用 性 を 検 討 し 、特 性 値 の 算 出
方 法 の 有 効 性 を 検 証 し た 。 実 験 は 表 .4.1.3 に 示 す 如 く 、 早 稲 田 大 学 の ヒ ュ ー マ ン 実 験 室 で
行 っ た 。 作 業 を 行 っ た 作 業 者 は 表 .4.1.4 に 示 す 如 く 、 合 板 加 工 を 職 と す る 作 業 者 と 大 工 を
職とする作業者の 2 人であった。
実 験 の 対 象 と し た 各 要 素 作 業 の 作 業 条 件 を 表 .4.1.5 に 示 す 。 表 に 示 す 如 く 、 移 動 は 平 坦
な 床 の 上 を 3m 歩 く 作 業 で あ る 。 運 搬 は 平 坦 な 床 の 上 を 1 本 の 木 材 を 両 手 で 持 ち 、 運 ぶ 作
業である。加工は片刃丸鋸を用いて木材を切断する作業である。取付けは手ハンマを用い
て釘を合板に打つ作業である。
表 .4.1.3
実験場の状況
項目
内容
実験場所
早稲田大学ヒューマン実験室
実験日
20 0 1 年 8 月 2 7 日 か ら 2 8 日 ま で 2 日 間
天気
晴れ
実験室平均気温
約 22℃
表 .4.1.4
表 .4.1.5
作業者の概要
項目
作業者 A
作業者 B
職種
合板加工
大工
経歴
13 年
30 年
年齢
49 才
58 才
身長
15 4 c m
16 2 c m
両手巾
15 2 .5 c m
16 7 c m
股下長
80 c m
90 c m
体重
66 k g
65 k g
実験の作業条件
行為
移動
運搬
加工
取付け
詳細
移 動 距 離 : 3m
移動場所:平坦な床の上
運 搬 距 離 : 3m
運搬場所:平坦な床の上
運 搬 対 象 : 寸 法 30 ( 厚 み )× 45 ( 巾 )× 2 0 0 0 ( 長 さ ) m m の 1 本
の木材
加 工 対 象 : 寸 法 3 0 ( 厚 み )× 45 ( 巾 ) m m の 1 本 の 木 材
加 工 道 具 : 2 7 0 m m (長 さ )の 片 刃 手 鋸
釘 : 45 ( 長 さ ) m m 鉄 製
取付け道具:手ハンマ
打 ち 付 け 対 象 : 床 か ら 2 00 m m 高 さ の 合 板
141
①手に何も持ったないで歩く
①
180
頭センサー
角度(度)
頭センサー
の角度(度)
135
Z軸
90
Y軸
45
0
-45
X軸
-90
-135
加速度(G)
頭 センサ ー の 加速 度 (G)
-180
2 0
0.5
1
1.5
経過時間(秒)
2
2.5
1
1.5
経 過時 間(秒 )
2
2.5
2
2.5
2
2.5
2
2.5
2
2.5
Y軸
1
Z軸
0
-1
X軸
-2
0
0.5
180
角度(度)
腕センサー
の角度(度)
腕センサー
X軸
135
Z軸
90
45
0
-45
-90
Y軸
-135
加速度(G)
腕センサー の加速度(G)
-180
2 0
0.5
1
1.5
経過時 間(秒 )
1
X軸
0
Z軸
-1
Y軸
-2
0
0.5
1
1.5
経過時間(秒)
脚センサー
角度(度)
脚センサー
の角度(度 )
180
135
Z軸
90
Y軸
45
0
-45
X軸
-90
-135
-180
加速度(G)
脚加速度(G)
2 0
0.5
1
1.5
X軸
経過 時間(秒)
Z軸
1
0
Y軸
-1
-2
0
0.5
図 .4.1.9
1
1.5
経過時間(秒)
移動のセンサーデータ例と作業写真
142
②立つ状態からしゃがんで床
の上の木材を両手で掴み、
立ち上がる
④木材を両手で持つ状態から
しゃがんで床の上に木材を置
き、立ち上がる
③木材を両手で持つ状態から
歩く
②
③
④
135
頭センサー
X軸
90
Z軸
45
角度(度)
頭センサー の角度(度)
180
0
-45
-90
Y軸
-135
加速度(G)
頭センサー の加速度(G)
-180
2 0
1
2
3
4
5
6
4
5
6
3
経過時間(秒)
4
5
6
3
4
5
6
4
5
6
4
5
6
経過時間(秒)
Y軸
1
Z軸
0
-1
X軸
-2
0
1
2
3
経過時 間(秒)
135
腕センサー
X軸
90
角度(度)
腕センサー の角度(度)
180
Y軸
45
0
-45
-90
Z軸
-135
加速度(G)
腕センサ ー の加速 度(G)
-180
2 0
1
1
2
Z軸
X軸
0
-1
Y軸
-2
0
1
2
経過時間(秒)
135
X軸
45
0
-45
Y軸
-90
-135
加速度(G)
-180
脚センサー の加速 度(G)
脚センサー
Z軸
90
角度(度)
脚センサー の角度(度)
180
2 0
1
2
3
経過時間(秒)
Y軸
1
Z軸
0
-1
X軸
-2
0
1
図 .4.1.10
2
3
経 過時間(秒)
運搬のセンサーデータ例と作業写真
143
⑤立つ状態からしゃがんで床
の上の鋸を手に取り、切断位
置に運ぶ
⑥鋸を木材の切断の位置に合
わせる
⑤
⑧手に持つ鋸を床の上に置
き、立ち上がる
⑦鋸で木材を切断する
⑦
⑥
⑧
180
頭センサー
角度(度)
頭センサー
の角度(度)
135
Z軸
90
X軸
45
0
-45
-90
Y軸
-135
2 0
頭センサー の加速度(G)
加速度(G)
-180
1
2
4
Z軸
Y軸
6
8
10
12
14
16
18
経過時間(秒)
0
-1
X軸
-2
0
2
4
6
8
10
経 過時間(秒)
12
14
16
18
4
6
8
10
経過時間(秒)
12
14
16
18
4
6
8
10
経過時間(秒)
12
14
16
18
180
角度(度)
腕センサー
の角度(度)
135
X軸
90
45
0
Y軸
-45
-90
Z軸
腕センサー
-135
加速度(G)
腕センサー の加速度(G)
-180
20
2
X軸
1
Z軸
0
-1
Y軸
-2
0
2
180
脚センサー の角度(度)
135
90
Z軸
角度(度)
45
Y軸
0
-45
X軸
-90
脚センサー
-135
加速度(G)
脚センサー の加速度(G)
-180
2 0
2
Y軸
4
6
8
10
経過時間(秒)
12
14
16
18
4
6
8
10
経過時間(秒)
12
14
16
18
1
0
Z軸
-1
X軸
-2
0
2
図 .4.1.11
加工のセンサーデータ例と作業写真
144
⑨立つ状態からしゃがんで
腰ポケットから右手でハン
マを取り出し、左手に持ち
替える
⑩腰ポケットから右手で釘
を取り出し、ハンマと持ち替
える
⑨
⑫腰ポケットにハンマを戻
し、立ち上がる
⑪釘を床に打つ
⑩
⑪
⑫
135
頭センサー
X軸
90
Z軸
45
角度(度)
頭センサー の角度(度)
180
0
-45
-90
Y軸
-135
加速度(G)
頭センサー の加速度(G)
-180
2 0
2
4
6
8
経過時間(秒)
10
12
14
16
4
6
8
経過時間(秒)
10
12
14
16
4
6
8
経過時間(秒)
10
12
14
16
4
6
8
経過時間(秒)
10
12
14
16
4
6
8
経過時間(秒)
10
12
14
16
4
6
8
経過時間(秒)
10
12
14
16
Y軸
1
Z軸
0
-1
X軸
-2
0
2
X軸
135
90
45
角度(度)
腕センサーの角度(度)
180
0
Y軸
-45
-90
Z軸
-135
加速度(G)
腕センサー の加速度(G)
腕センサー
-180
2 0
2
X軸
1
0
-1
Y軸
-2
0
Z軸
2
135
90
Y軸
Z軸
45
0
角度(度)
脚センサーの角度(度)
180
-45
-90
X軸
-135
加速度(G)
脚センサー の加速度(G)
脚センサー
-180
2 0
2
Y軸
1
0
Z軸
-1
X軸
-2
0
2
図 .4.1.12
取付けのセンサーデータ例と作業写真
145
①6 自由度データの収集結果
デ ー タ の 収 集 は セ ン サ ー 装 置 を 装 着 し た 作 業 者 2 人 に 対 し て 単 位 作 業 ご と に 行 っ た 。デ
ー タ の 信 頼 性 を 確 認 す る た め 10 回 ず つ 繰 り 返 し 行 っ た 。 ま た 、 作 業 状 況 の ビ デ オ 撮 影 を
行い、映像を用いてデータと作業者の姿勢の関係を確認した。
図 .4.1.9 に は 移 動 の セ ン サ ー デ ー タ 例 と 作 業 写 真 を 示 す 。図 .4.1.10 に は 運 搬 の セ ン サ ー
デ ー タ 例 と 作 業 写 真 を 示 す 。 図 .4.1.11 に は 加 工 の セ ン サ ー デ ー タ 例 と 作 業 写 真 を 示 す 。
図 .4.1.12 に は 取 付 け の セ ン サ ー デ ー タ 例 と 作 業 写 真 を 示 す 。各 図 に 示 す 如 く 、頭 、腕 、脚
センサーにおける X 軸、Y 軸、Z 軸に対する角度と加速度データが、作業内容に特有の波
形を示していることがわかる。
以 上 結 果 か ら 、作 業 者 の 姿 勢 に 対 す る 6 自 由 度 デ ー タ の 測 定 に 本 装 置 は 有 効 で あ る と 考
えられる。
②特性値の算出結果
センサーデータの特性値は推定区間の時間幅を 1 秒、2 秒、3 秒に設定して算出した。
セ ン サ ー の 出 力 デ ー タ か ら 推 定 区 間 の 特 性 値 の 算 出 過 程 を 図 .4.1.13 に 示 す 。図 に 示 す 如 く 、
各 セ ン サ ー か ら 出 力 さ れ る 0.1 秒 間 隔 の 角 度 と 加 速 度 デ ー タ を 推 定 区 間 の 時 間 幅 に 纏 め る 。
角 度 デ ー タ は セ ン サ ー 毎 に 3 次 元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 に 変 換 す る 。変 換 し た 3 次 元 位 置 ベ ク
トル座標を用いて同じ出力時間の頭と腕、頭と脚、腕と脚のセンサー間における 3 次元位
置 ベ ク ト ル 座 標 の 距 離 を 算 出 す る 。算 出 し た 各 セ ン サ ー 間 の 3 次 元 位 置 ベ ク ト ル 座 標 の 距
離 は 推 定 区 間 毎 に 平 均 値 、標 準 偏 差 、変 化 量 の 2 乗 の 合 計 を 算 出 し て 特 性 値 と し て 用 い る 。
加 速 度 デ ー タ は セ ン サ ー 毎 に X 軸 、 Y 軸 、 Z 軸 の 0.1 秒 間 隔 の 出 力 デ ー タ の 変 化 量 の 2 乗
を推定区間毎に合計をして特性値として用いる。
加工の角度データを用いて算出したセンサー間の 3 次元位置ベクトル座標の距離を
図 .4.1.14 に 示 す 。図 に 示 す 如 く 、波 形 は 単 位 作 業 に 必 要 な 姿 勢 に 対 す る 測 定 し た 時 間 に お
ける頭のセンサーと腕のセンサー、頭のセンサーと脚のセンサー、腕のセンサーと脚のセ
ン サ ー の 位 置 関 係 で あ る 。「 し ゃ が む 」「 立 つ 」「 運 ぶ 」な ど の 動 作 を 含 む 単 位 動 作 (⑤ 、⑧ )
の 波 形 は 大 き な 変 化 を 表 し 、「 合 わ せ る 」の 動 作 を 含 む 単 位 動 作 (⑥ )の 波 形 は 小 さ い 変 化 を
表 し 、「 引 く 」 動 作 が 連 続 し て 含 ま れ る 単 位 動 作 ( ⑦ ) の 波 形 は 繰 り 返 す 小 さ い 変 化 を 表 す 。
加 工 の 加 速 度 デ ー タ を 用 い て 算 出 し た 各 セ ン サ ー の 変 化 量 を 図 .4.1.15 に 示 す 。図 に 示 す
如く、波形は測定した時間における単位作業の姿勢を維持するための身体部位の移動の速
さ を 示 す 。 手 に 持 っ た 鋸 を 引 い て 木 材 を 切 断 す る 動 き を 続 け る 単 位 動 作 (⑦ )に お け る 腕 の
セ ン サ ー の 波 形 は 頭 と 脚 の セ ン サ ー に 比 較 し て 移 動 が 速 い こ と を 表 す 。「 し ゃ が む 」「 立
つ 」「 運 ぶ 」「 合 わ せ る 」 の 動 作 を 含 む 単 位 動 作 の 波 形 は 各 セ ン サ ー 共 に 同 じ 程 度 の 移 動 の
146
速さを表す。
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
X軸
角度
-4.81
-6.26
-6.89
-6.11
-2.93
2.26
頭のセンサー
腕のセンサー
脚のセンサー
データの出力
データの出力
データの出力
Y軸
角度
-47.01
-49.54
-51.55
-52.77
-52.84
-51.89
Z軸
X軸
角度
加速度
-2.1
-0.81
-1.16
-0.9
-0.53
-0.97
-1.19
-0.97
-4.25
-0.92
-10.35
-0.93
以下省略
Y軸
加速度
0.11
0.17
0.17
0.12
-0.02
0.06
Z軸
加速度
-0.51
-0.38
-0.32
-0.4
-0.4
-0.3
X軸
角度
77.8
78.31
77.83
76.17
74.73
75.11
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
データの変換
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1.505
0.858
1.506
0.855
1.501
0.859
1.500
0.857
1.507
0.838
1.537
0.775
以下省略
0.005
-0.045
-0.091
-0.130
-0.163
-0.194
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
3次元位置ベクト
ル座標の距離
1.062
1.016
0.923
0.778
0.662
0.585
以下省略
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
変動量の算出
0.830
1.387
0.875
1.329
0.952
1.256
1.061
1.187
1.163
1.098
1.272
0.956
以下省略
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
3軸の加速度
データの変動量
0.000
0.029
0.008
0.009
0.022
0.017
以下省略
時間
2秒幅の
推定区間
3秒幅の
推定区間
Z軸
加速度
-0.92
-0.81
-0.7
-0.73
-0.8
-0.9
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.1−1.0
1.1−2.0
2.1−3.0
3.1−4.0
4.1−5.0
5.1−6.0
時間
-0.621
-0.685
-0.718
-0.682
-0.665
-0.684
時間
0.1−2.0
2.1−4.0
4.1−6.0
時間
0.1−3.0
3.1−6.0
平均値 標準偏差
0.952
1.147
0.709
0.291
0.135
0.082
平均値 標準偏差
1.054
0.818
0.282
0.174
図 .4.1.13
Y軸
角度
20.42
19.97
20.36
20.25
18.17
15.64
Z軸
X軸
角度
加速度
11.8
0.18
20.36
-0.45
25.52
-0.57
28.32
-0.48
32.33
-0.56
36.29
-0.68
以下省略
Y軸
加速度
-0.18
0.15
0.17
0.15
0.14
0.28
Z軸
加速度
-0.3
-0.04
-0.01
0.08
0.06
-0.05
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
変動量の算出
3次元位置ベクトル座標
0.409
1.289
0.224
1.363
0.095
1.384
0.029
1.380
-0.037
1.411
-0.102
1.442
以下省略
1.082
1.045
1.037
1.046
1.003
0.954
変動量の算出
関係の算出
3次元位置ベクト
ル座標の距離
1.595
1.758
1.878
1.955
2.018
2.109
以下省略
変動量の
平均値 標準偏差 2乗の合計
0.813
0.211
0.067
1.090
0.304
0.112
1.258
0.086
0.038
1.037
0.062
0.030
0.776
0.042
0.008
0.643
0.050
0.008
X軸
角度
11.43
13.06
13.71
13.18
14.02
14.85
データの変換
関係の算出
特性値の算出
1秒幅の
推定区間
Y軸
加速度
-0.74
-0.99
-1.12
-1.02
-1.06
-1
3次元位置ベクトル座標
時間
関係の算出
時間
Z軸
X軸
角度
加速度
11.77
-0.01
8.65
0.17
3.88
0.01
-1.26
0.04
-6.82
0.16
-13.3
0.02
以下省略
データの変換
3次元位置ベクトル座標
時間
Y軸
角度
7.9
5.08
2.72
2.83
2.06
1.47
特性値の算出
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
3軸の加速度
データの変動量
0.000
0.107
0.055
0.012
0.021
0.033
以下省略
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
特性値の算出
3次元位置ベクト
ル座標の距離
1.757
1.848
1.957
2.022
2.079
2.192
以下省略
特性値の算出
時間
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
3軸の加速度
データの変動量
0.000
0.573
0.016
0.017
0.007
0.046
以下省略
特性値の算出
特性値の算出
変動量の 変動量の 変動量の 変動量の
変動量の
平均値 標準偏差 2乗の合計 平均値 標準偏差
2乗の合計 2乗の合計2乗の合計2乗の合計
1.904
0.276
0.142
2.032
0.234
0.086
0.315
0.729
0.773
1.362
0.574
0.510
2.026
0.260
0.344
0.493
0.761
3.573
0.656
0.238
0.622
1.117
0.323
0.632
1.345
0.532
5.676
0.977
0.376
0.395
0.892
0.509
0.864
1.083
0.824
11.931
0.671
0.421
0.516
0.776
0.311
0.354
1.520
0.412
2.527
1.917
0.099
0.045
1.943
0.169
0.071
0.095
0.089
0.113
以下省略
変動量の 変動量の 変動量の 変動量の
変動量の
変動量の
2乗の合計 平均値 標準偏差 2乗の合計 平均値 標準偏差 2乗の合計 2乗の合計2乗の合計2乗の合計
0.666
0.181
1.633
0.519
2.029
0.241
0.433
0.408
0.767
2.177
0.073
0.816
0.348
1.026
1.004
0.431
1.716
1.228
0.682
12.145
0.019
1.294
0.705
0.605
1.360
0.646
0.460
0.845
0.257
1.430
以下省略
変動量の
変動量の
平均値 標準偏差
平均値 標準偏差
2乗の合計
2乗の合計
0.221
1.307
0.643
1.694
1.725
0.511
0.056
1.188
0.627
1.380
1.204
0.636
以下省略
変動量の 変動量の 変動量の 変動量の
2乗の合計 2乗の合計2乗の合計2乗の合計
1.085
0.725
0.694
4.323
1.838
0.930
0.450
5.235
推定区間の特性値の算出過程
加工における各センサーの角度データから算出した 3 次元ベクトル座標の距離を用いて、
推定区間として設定した 1 秒間隔、2 秒間隔、3 秒間隔の時間幅における平均値、標準偏
差 、変 化 量 の 2 乗 の 合 計 を 算 出 し た 。そ の 結 果 は 図 .4.1.16 に 示 す 如 く 、推 定 区 間 の 2 つ の
センサー間における動きの差の大きさを示す平均は、頭と脚センサーの関係及び、頭と腕
センサーの関係は概ね同じ傾向を示すが、腕と脚センサーの関係は座っている姿勢になる
と低い平均値を示した。標準偏差は「しゃがむ」と「立ち上がる」の姿勢を含む推定区間
147
が 高 い 値 を 示 し た 。 変 化 量 の 2 乗 の 合 計 は 「 し ゃ が む 」「 立 ち 上 が る 」「 鋸 を 引 く 」 の 姿 勢
を含む推定区間が高い値を示した。
加工における各センサーの加速度データから算出した3軸の加速度の変化量を用いて、
推定区間として設定した 1 秒間隔、2 秒間隔、3 秒間隔の時間幅における変化量の 2 乗の
合 計 を 算 出 し た 。そ の 結 果 は 図 .4.1.17 に 示 す 如 く 、鋸 を 引 く た め 比 較 的 に 速 い 移 動 を 行 う
腕のセンサーは大きい値を示した。また、推定区間の時間幅が長くなるに連れて波形の変
動は安定する傾向を示した。
以 上 の 検 討 の 結 果 か ら 、作 業 者 の 姿 勢 の 6 自 由 度 デ ー タ か ら 算 出 し た 特 性 値 は 単 位 作 業
の特徴を表し、推定に有効であると考えられる。また、推定区間の時間幅と特性値の関係
は、時間幅が短い場合は出力データの数が少なくなるため特性値の安定性を欠き、時間幅
が長い場合は複数の単位作業の出力データが混在するため特性値の正確性を欠く傾向があ
ることが判った。
3次元位置ベクトル座標の距離
⑤立つ状態からしゃがんで ⑥鋸を木材の切断の
床の上の鋸を手に取り、
位置に合わせる
切断位置に運ぶ
⑧手に持つ鋸を床の上に置き、
立ち上がる
⑦鋸で木材を切断する
3
頭センサーと脚センサー
2.5
2
1.5
頭センサーと腕センサー
1
腕センサーと脚センサー
0.5
0
0
2
4
図 .4.1.14
6
8
10
経過時間(秒)
12
14
16
18
3 次元位置ベクトル座標の距離(加工の事例)
⑤立つ状態からしゃがんで ⑥鋸を木材の切断の
床の上の鋸を手に取り、
位置に合わせる
切断位置に運ぶ
⑧手に持つ鋸を床の上に置き、
立ち上がる
⑦鋸で木材を切断する
3軸の加速度デ
ー タの変動量
3軸加速度データの変化量
12
腕センサー
10
8
6
頭センサー
4
脚センサー
2
0
0
2
4
図 .4.1.15
6
8
10
経過時間(秒)
12
14
3 軸 の 加 速 度 デ ー タ の 変 化 量 (加 工 の 事 例 )
148
16
18
1.4
1.2
0
図 .4.1.16
7.1秒から8秒
1
1
腕センサーと脚センサー
0.8
頭センサーと脚センサー
0.8
1
149
腕センサーと脚センサー
頭センサーと脚センサー
16.1秒か ら17秒
17.1秒から 18秒
17.1秒から18秒
18.1秒から19秒
16.1秒から17秒
17.1秒から 18秒
17.1秒から18秒
頭センサーと腕センサー
15.1秒から16秒
14.1秒から15秒
頭センサーと腕センサー
14.1秒 から 15秒
頭センサーと腕センサー
頭センサーと腕センサー
頭センサーと腕センサー
推定区間
角 度 デ ー タ に お け る 各 推 定 区 間 の 特 性 値 (加 工 の 事 例 )
18.1秒から19秒
17.1秒から 18秒
17.1秒から 18秒
14.1秒から 15秒
13.1秒から 14秒
16.1秒から 17秒
0.5
16.1秒から 17秒
頭センサーと腕センサー
15.1秒 から16秒
腕センサーと脚センサー
15.1秒から 16秒
14.1秒から 15秒
頭センサーと腕センサー
17.1秒から 18秒
17.1秒から18秒
推定区間
16.1秒から17秒
0.2
16.1秒から17秒
15.1秒から16秒
14.1秒から15秒
13.1秒から 14秒
12.1秒から 13秒
11.1秒から 12秒
10.1秒か ら11秒
9.1秒から10秒
18.1秒から19秒
17.1秒から18秒
16.1秒から17秒
15.1秒から16秒
14.1秒から15秒
13.1秒から14秒
12.1秒から13秒
11.1秒から12秒
10.1秒から11秒
⑦鋸で木材を切断する
15.1秒から16秒
14.1秒から15秒
13.1秒から14秒
12.1秒から 13秒
推定区 間
13.1秒から 14秒
12.1秒から13秒
11.1秒から 12秒
10.1秒から 11秒
1.5
13.1秒から14秒
12.1秒から 13秒
12.1秒か ら13秒
11.1秒から12秒
9.1秒 から 10秒
8.1秒から9秒
7.1秒から8秒
6.1秒から7秒
1.5
13.1秒から14秒
12.1秒から13秒
11.1秒から12秒
11.1秒から 12秒
頭センサーと脚センサー
10.1秒から11秒
頭センサーと脚センサー
9.1秒から 10秒
8.1秒か ら9秒
7.1秒から 8秒
6.1秒から 7秒
5.1秒から6秒
5.1秒から5秒
3.1秒から4秒
2.1秒から3秒
1.1秒から2秒
頭センサーと脚センサー
11.1秒から12秒
推定区間
10.1秒から11秒
0.2
10.1秒か ら11秒
16.1秒から17秒
0.2
15.1秒から 16秒
0.4
16.1秒から17秒
0.6
15.1秒から 16秒
推定区間
15.1秒から16秒
0.2
14.1秒から15秒
0.4
14.1秒から15秒
推定区間
13.1秒から14秒
0.6
13.1秒から14秒
0.2
12.1秒から13秒
0.4
12.1秒から13秒
0.6
11.1秒から12秒
推 定区間
頭センサーと脚センサー
11.1秒から12秒
10.1秒から11秒
0.8
9.1秒から10秒
2
10.1秒から11秒
頭センサーと脚センサー
9.1秒から10秒
腕センサーと脚センサー
8.1秒から 9秒
7.1秒から 8秒
6.1秒から 7秒
5.1秒 から6秒
5.1秒 から5秒
3.1秒か ら4秒
頭センサーと脚センサー
10.1秒から11秒
0.4
9.1秒から 10秒
腕センサーと脚センサー
8.1秒から9秒
7.1秒から8秒
0.4
9.1秒から10秒
腕センサーと脚センサー
8.1秒から 9秒
0.4
8.1秒 から 9秒
7.1秒から8秒
6.1秒から7秒
5.1秒 から6秒
5.1秒から 5秒
3.1秒から 4秒
2.1秒から 3秒
1.1秒から 2秒
2
9.1秒から 10秒
腕センサーと脚センサー
7.1秒か ら8秒
6.1秒から 7秒
5.1秒から6秒
5.1秒から5秒
3.1秒から4秒
2.1秒 から3秒
1
8.1秒から9秒
6.1秒 から 7秒
5.1秒から 6秒
5.1秒から5秒
3.1秒から 4秒
2.1秒から3秒
1.5
8.1秒から 9秒
7.1秒から8秒
6.1秒から7秒
5.1秒から 6秒
5.1秒 から 5秒
3.1秒から 4秒
2.1秒から3秒
1.1秒 から2秒
0.1秒から1秒
⑥鋸を木材の切断の
位置に合わせる
9.1秒から10秒
0
1.1秒から2秒
1
8.1秒から9秒
1.6
5.1秒から6秒
1秒間隔
1
7.1秒から8秒
1.2
6.1秒から 7秒
1.4
0.1秒 から1秒
2秒間隔
2.5
6.1秒から7秒
0
5.1秒から6秒
1.6
5.1秒から6秒
1.2
5.1秒から5秒
0
5.1秒から5秒
1.4
5.1秒から5秒
1.6
3.1秒から4秒
0.6
3.1秒から4秒
0.8
3.1秒から4秒
0
2.1秒 から 3秒
1
2.1秒から3秒
0.6
2.1秒から3秒
1
2.1秒から3秒
0.8
1.1秒から 2秒
0
1.1秒から 2秒
0.6
0.1秒か ら1秒
1
0.1秒から1秒
0.8
0.1秒から 1秒
0
1.1秒から2秒
3秒間隔
3
1.1秒から2秒
1秒間隔
2.5
0.1秒 から 1秒
2秒間隔
0
1.1秒から2秒
3秒間隔
3次元座標の距離の標準偏差
3次元位置ベクトル座標の距離の平均
3次座 標の距 離の標 準偏差
3次 元位置ベク トル座標の距 離の平均 3次元 位置ベク トル座標の 距離の平 均
ベク トル座標の距離の標準偏差
3
0.1秒から1秒
1秒間隔
変動量の2乗の合計
平均
2.5
0.1秒から1秒
2乗の合計
2秒間隔
標準偏差
0
00秒から1秒
3秒間隔
変動量の2乗の合計
変化量の2乗の合計
3次元位置ベクトル座標の距離
⑤立つ状態からしゃがんで
床の上の鋸を手に取り、
切断位置に運ぶ
⑧手に持つ鋸を床の上に置き、
立ち上がる
3
2
頭センサーと脚センサー
腕センサーと脚センサー
頭センサーと腕センサー
0.5
推定間隔
腕センサーと脚センサー
頭センサーと腕センサー
0.5
0.2
推定区 間
3軸の加速度デ
ー タの変動量の合計
1秒間隔
70
2秒間隔
3軸の加速度デー
タの変動量の合計
70
⑧手に持つ鋸を床の上に置き、
立ち上がる
⑦鋸で木材を切断する
60
腕センサー
50
40
30
20
脚センサー
頭センサー
18.1秒から19秒
17.1秒から18秒
16.1秒から17秒
15.1秒から16秒
14.1秒から15秒
13.1秒から14秒
12.1秒から13秒
11.1秒から12秒
10.1秒から11秒
9.1秒から10秒
8.1秒から9秒
7.1秒から8秒
6.1秒から7秒
5.1秒から6秒
5.1秒から5秒
腕センサー
推定区間
40
30
20
脚センサー
頭センサー
15.1秒から16秒
16.1秒から17秒
17.1秒から18秒
16.1秒か ら17秒
17.1秒から 18秒
14.1秒から15秒
13.1秒から14秒
12.1秒から13秒
11.1秒から12秒
15.1秒 から16秒
40
10.1秒から11秒
腕センサー
9.1秒から10秒
8.1秒から9秒
7.1秒から8秒
6.1秒から7秒
5.1秒から6秒
5.1秒から5秒
3.1秒から4秒
50
2.1秒から3秒
60
1.1秒から2秒
70
0.1秒から1秒
10
0
推定区間
30
脚センサー
頭センサー
20
14.1秒から 15秒
13.1秒から 14秒
12.1秒か ら13秒
11.1秒 から12秒
10.1秒から 11秒
9.1秒から 10秒
8.1秒 から9秒
7.1秒から 8秒
6.1秒から 7秒
5.1秒から 6秒
5.1秒か ら5秒
3.1秒から4秒
2.1秒から 3秒
0
1.1秒から 2秒
10
0秒 から1秒
3秒間隔
3.1秒から4秒
50
2.1秒から3秒
60
1.1秒から2秒
0
0.1秒から1秒
10
3軸 の加速度 デ ー タの変 動量の合計
3軸の加速度の変化量の2乗の合計
⑤立つ状態からしゃがんで
床の上の鋸を手に取り、 ⑥鋸を木材の切断の
位置に合わせる
切断位置に運ぶ
推 定区間
図 .4.1.17
加 速 度 デ ー タ に お け る 各 推 定 区 間 の 特 性 値 (加 工 の 事 例 )
4.1.4.結
作業内容を推定する方法として、作業者の姿勢を自動収集し、如何なる作業内容を実施
しているかを推定することを提案した。その具体的な内容として、先ず、姿勢を測定して
データ化するための 6 自由度センサーを選択し、その特性について述べ、センサー軸の出
力 デ ー タ の 特 性 に つ い て 説 明 し た 。( 図 .4.1.1 参 照 )セ ン サ ー を 作 業 者 に 取 付 け る た め の 考
慮 す べ き 点 を 示 し 、 そ れ に 従 っ て 作 業 者 の 「 頭 」「 右 の 腕 」「 右 の 脚 」 の 3 箇 所 に セ ン サ ー
を 取 付 け る 方 法 を 提 案 し た 。( 図 .4.1.2 参 照 )各 セ ン サ ー の 時 系 列 に お け る デ ー タ の 出 力 事
例を示し、センサーを取付けた身体の部位の動きと出力データの関係の特性を確認した。
( 図 .4.1.3∼ 図 .4.1.5 参 照 )
センサーから得る身体の 3 箇所の「3 軸の角度データ」と「3 軸の加速度データ」の 6
自由度データを作業内容の推定に用いるためには、特性値の算出が必要であることを示し
た 。そ の 特 性 値 と し て 12 個 の 値 を 提 案 し た 。6 自 由 度 デ ー タ を 用 い た 特 性 値 の 算 出 過 程 を
示 し 、( 図 。4.1.6 参 照 )算 出 式 を 示 し た 。( 表 .4.1.2 参 照 )以 下 の 項 目 に 2 つ の セ ン サ ー に
おける特性値の内容を示す
150
①
3 次元位置ベクトル座標の距離の平均:一定の時間幅における 2 箇所の身体部位の位
置関係を示す
②
3 次元位置ベクトル座標の距離の標準偏差:一定の時間幅における 2 箇所の身体部位
の位置関係の変動を示す
③
3 次元位置ベクトル座標の距離の変化量の 2 乗の合計:一定の時間幅における 2 箇所
の身体部位の位置関係の動きの速さを示す
④
3 軸の加速度データの変化量の 2 乗の合計:一定の時間幅における 1 箇所の身体部位
の動きの速さを示す
提 案 し た 特 性 値 の 算 出 方 法 の 適 用 を 検 討 す る た め に 、作 業 の 基 本 的 な 姿 勢 に お け る 6 自
由 度 デ ー タ の 測 定 の 実 験 を 行 い ( 表 .4.1.5 参 照 )、 測 定 し た 「 移 動 」 の デ ー タ ( 図 .4.1.9 参
照 )、「 運 搬 」 の デ ー タ ( 図 .4.1.10 参 照 )、「 加 工 」 の デ ー タ ( 図 .4.1.11 参 照 )、「 取 付 け 」
の デ ー タ( 図 .4.1.12 参 照 )の 時 系 列 の 波 形 と 単 位 動 作 の 関 係 を 確 認 し た 。そ の 結 果 、デ ー
タは作業者の姿勢に対する特有の波形を示していることを確認した。
「 加 工 」 の デ ー タ に 基 づ い た 特 性 値 の 算 出 の 過 程 を 示 し ( 図 .4.13 参 照 )、 算 出 し た 12
個 の 特 性 値 の 時 系 列 に お け る 波 形 を 示 し た 。( 図 .4.1.17、 図 .4.1.18 参 照 ) そ の 結 果 、 頭 ・
腕・脚に装着した 3 つのセンサーのデータが正確に姿勢の動きを示していることを確認し
た。また、測定したデータの時系列における特性値の波形が単位動作によって変動するこ
とを明らかにした。
以上の検討結果、提案した作業者の姿勢の測定方法とデータの特性値は作業内容の推定
において有効であることを確認した。
151
4.2.作 業 者 の 姿 勢 の 特 性 値 に 基 づ い た 作 業 内 容 の 推 定 方 法
4.2.1.推 定 区 間 の 多 段 階 の 設 定 方 法
作業者が行う作業について、本研究では作業を単位動作に分割して推定の対象とした。
単 位 動 作 は 、「 手 を 伸 ば す 」「 腰 を か が む 」「 鋸 を 引 く 」「 ハ ン マ を 打 つ 」 な ど 要 素 動 作 の ま
とまりを意味する。作業を単位作業の分類項目の移動、運搬、計測、加工、取付けなどに
分割し、それらを構成する要素作業を達成するために必要であり、なお且つ、部材の属性
や部位の位置などによって決まる要素動作を纏めて単位動作とした。
単位動作を推定するためには、対象となる単位動作の作業時間の幅に合わせて推定区間
の時間幅を設定し、特性値を算出する必要がある。推定区間の時間幅は、その長さによっ
て作業時間より大きい場合には、複数の単位動作が一つの時間幅の中に入ってしまうこと
になり正確な推定が難しくなる。また、時間幅の長さが作業時間より小さい場合には、平
均値や標準偏差などの特性値を求めるデータ数が少なくなるため、その値が作業内のそれ
ぞれの作業者の動きに大きく左右され安定性を欠くことになる。
本研究では推定の正確性と安定性を高めるため、推定区間の時間幅を複数に設定して推
定に利用することとした。即ち、作業を分割して求められる単位動作の最小の作業時間を
推定区間の最小の時間幅とし、この時間幅を整数倍した多段階による推定区間を用いるこ
と と し た 。そ し て 、こ れ ら の 推 定 区 間 に つ い て 、そ れ ぞ れ の 特 性 値 を 求 め て 推 定 を 行 っ た 。
以 上 の 多 段 階 に よ る 推 定 区 間 の 設 定 方 法 を 概 念 図 と し て 示 す と 、 図 .4.2.1 の 如 く な る 。
先ず、推定区間の最小時間幅を 1 秒とし、最大時間幅を3秒としている。このとき、2 秒
と 3 秒 の 時 間 幅 に お い て は 、推 定 区 間 を 1 秒 づ つ ず ら し て 設 定 す る こ と に よ っ て 、開 始 時
点の差異による推定区間と単位動作に発生する時間のずれを防いでいる。以上の多段階に
よる推定区間の設定方法によって、6 種類の推定区間における特性値を求め、実施された
単位動作を推定する。
経過時間 0秒
1秒幅の
推定区間
2秒幅の
推定区間
0秒ずらし
0秒ずらす
t1
2秒
t2
1秒ずらし
3秒
t3
4秒
t4
2t1
5秒
t5
2t3
t6
2t5
2t2
1秒ずらし
0秒ずらし
3秒幅の
推定区間
1秒
2t4
3t1
2t6
3t4
3t2
2秒ずらし
3t5
3t3
3t6
注) 1秒を推定区間の最小時間間隔、3秒を
推定区間の最大時間間隔にした場合
図 .4.2.1
多段階による推定区間の設定方法の概要
152
4.2.2.ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク 手 法 を 用 い た 推 定 方 法
推定区間の特性値を用いて単位動作を推定するために、本研究ではニューラルネットワ
ーク手法を用いた。使用したニューラルネットワークのアルゴリズムは誤差逆伝播法であ
る 。ネ ッ ト ワ ー ク の 構 造 は 完 全 結 合 し た 3 層 と し 、入 出 力 関 数 は シ グ モ イ ド 関 数 を 用 い る 。
ネットワークの学習は、入力値を推定区間の特性値とし、教師データを推定区間の実測し
た単位動作として行う。
推 定 に 用 い た ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 構 造 を 図 .4.2.2 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 ネ ッ ト
ワ ー ク の Input neurons の 入 力 は 頭 、腕 、脚 セ ン サ ー に お け る 6 自 由 度 デ ー タ を 用 い て 算
出 し た 推 定 区 間 の 特 性 値 (I 1 、 I 2 、・ ・ ・ 、 I 1 2 )で あ り 、 Output neurons と し て 、 実 施 す る
単 位 作 業 の 有 無 を 示 す 認 識 値 (O 1 、 O 2 、・ ・ ・ 、 O m )と し た 。 認 識 値 と は Output neurons
の 各 単 位 動 作 に 対 す る ネ ッ ト ワ ー ク の 計 算 結 果 を 示 す 0 か ら 1 ま で の 実 数 値 で あ り 、そ の
結 果 が 実 施 し て い る 場 合 は 1、 な い 場 合 は 0 を 取 る 。
学習に必要なデータは、作業者にセンサーを装着して作業を実施させ、そのデータから
求めた各推定区間の特性値を用いる。さらに、実施した作業をビデオで記録し、1 秒毎に
単 位 動 作 を 記 録 す る 。 そ れ に よ っ て 、 得 ら れ た 12 の 特 性 値 を Input neurons と し 、 単 位
動作を教師信号として推定区間毎に学習を行う。
Input
neurons
Hidden
neurons
Output
neurons
I1=Avr(H(頭-脚))
I2=Std(H(頭-脚))
H1
O1
I3=Sy(H(頭-脚))
I4=Avr(H(頭-腕))
H2
O2
I5=Std(H(頭-腕))
I6=Sy(H(頭-腕))
I7=Avr(H(腕-脚))
I8=Std(H(腕-脚))
I9=Sy(H(腕-脚))
I10=Sy(T頭)
Om
I11=Sy(T腕)
I12=Sy(T脚)
Hn
Layer
Neuronの数
Input
頭のセンサー、腕のセンサー、脚のセンサーにおける
12=
6自由度データの特性値
Hidden
n=
( Input Neuron の数 + Output Neuron の数 )
+ 学習データの数
2
Output
m=推定対象の構成動作の数
図 .4.2.2
ニューラルネットワークの構造
153
経過時間
1秒幅の推定
区間の特性
値におけ
ニューラル
ネットワーク
の各単位動
作に対する
認識値
2秒幅の推定
区間の特性
値における
ニューラル
ネットワーク
の各単位動
作に対する
認識値
0秒
2t秒
1t秒
3t秒
5秒
4t秒
6秒
7秒
8秒
9秒
O1(t1)
O1(t2)
O1(t3)
O1(t4)
O1(t5)
O1(t6)
O1(t7)
O1(t8)
O1(t9)
O1(t10)
O2(t1)
O2(t2)
O2(t3)
O2(t4)
O2(t5)
O2(t6)
O2(t7)
O2(t8)
O2(t9)
O2(t10)
Om(t1)
Om(t2)
Om(t3)
Om(t4)
Om(t5)
Om(t6)
Om(t7)
Om(t8)
Om(t9)
Om(t10)
O1(2t1)
O1(2t3)
O1(2t5)
O1(2t7)
O1(2t9)
O2(2t1)
O2(2t3)
O2(2t5)
O2(2t7)
O2(2t9)
Om(2t1)
Om(2t3)
Om(2t5)
Om(2t5)
Om(2t5)
O1(2t2)
O1(2t4)
O1(2t6)
O1(2t8)
02(2t10)
O2(2t2)
O2(2t4)
O2(2t6)
O2(2t8)
01(2t10)
Om(2t2)
Om(2t4)
Om(2t6)
Om(2t8)
0m(2t10)
O1(3t1)
O1(3t4)
O1(3t7)
01(3t10)
O2(3t1)
O2(3t4)
O2(3t7)
02(3t10)
Om(3t1)
Om(3t4)
Om(3t7)
0m(3t10)
3秒幅の推定
区間の特性
値における
ニューラル
ネットワーク
の各単位動
作に対する
認識値
O1(3t2)
O1(3t5)
O1(3t8)
O2(3t2)
O2(3t5)
O2(3t8)
Om(3t2)
Om(3t5)
Om(3t8)
O1(3t3)
O1(3t6)
01(3t9)
O2(3t3)
O2(3t6)
02(3t9)
Om(3t3)
Om(3t6)
0m(3t9)
1秒隔毎に各単位動作のニューラルネットワークの認識値を平均する
Avr(O1)1t Avr(O1)2t Avr(O1)3t Avr(O1)4t Avr(O1)5t Avr(O1)6t Avr(O 1)7t Avr(O1)8t Avr(O1)9t Avr(O1)10t
単位動作
の認識値
の平均
Avr(O2)1t Avr(O2)12t Avr(O2)3t Avr(O2)4t Avr(O2)5t Avr(O2)6t Avr(O 2)7t Avr(O2)8t Avr(O2)9t Avr(O2)10t
Avr(Om)1t Avr(Om)2t Avr(Om)3t Avr(Om)4t Avr(Om)5t Avr(Om)6t Avr(Om)7t Avr(Om)8t Avr(Om)9t Avr(Om)10t
認識値の平均が最大である単位動作を選択する
単位動作の
推定結果
Max
Avr(O)1t
Max
Avr(O)2t
Max
Avr(O)3t
Max
Avr(O)4t
Max
Avr(O)5t
Max
Avr(O)6t
Max
Avr(O)7t
Max
Avr(O)8t
Max
Avr(O)9t
Max
Avr(O)10t
(凡例)
Om(3t1)
図 .4.2.3
:3秒の推定区間の時間0秒から3秒までのニューラルネットワー
クの単位動作Omに対する認識値
Avr(Om)1
:時間0秒から1秒まで各推定区間におけるニューラルネット
ワークの単位動作Omに対する認識値の平均
Max
Avr(O)1
:時間0秒から1秒までのニューラルネットワークの認識値の平
均が最大である単位動作
推定結果の算出過程
154
学習したニューラルネットワークを用いた単位動作の推定の精度を向上させるために、
多段階の推定区間の推定結果を総合的に評価して選択する仕組みを提案した。即ち、推定
区間毎に求められた単位動作の認識値を各時点で合計してその平均値を求め、この値を各
時点における単位動作の推定結果の総合的な評価尺度とした。そして、この値が最大の単
位作業を、本推定方法における推定結果とした。
推 定 区 間 を 1 秒 、 2 秒 、 3 秒 間 隔 に 設 定 し 、 推 定 対 象 作 業 の 単 位 動 作 (O 1 ∼ O m )を m 個 に
分類した場合、ニューラルネットワークによって求めた各推定区間の認識値に基づいて、
各 時 点 に お け る 単 位 動 作 を 総 合 的 に 評 価 し て 選 択 す る 過 程 を 図 .4.2.3 に 示 す 。 図 に 示 す 如
く 、多 段 階 に お け る 推 定 区 間 の 設 定 方 法 を 用 い て 1 秒 幅 で ず ら し て 設 定 し た 各 推 定 区 間 に
つ い て 単 位 動 作 の 認 識 値 を 求 め る 。例 え ば 、経 過 時 間 3 秒 か ら 4 秒 ま で の 各 推 定 区 間 の 認
識 値 は 1 秒 幅 が O 1 (t 4 )か ら O m (t 4 )に な り 、 2 秒 幅 が O 1 (2t 3 )か ら O m (2t 3 )と O 1 (2t 4 )か ら
O m (2t 4 )に な り 、3 秒 幅 が O 1 (3t 2 )か ら O m (3t 2 )と O 1 (3t 3 )か ら O m (3t 3 )と O 1 (3t 4 )か ら O m (3t 4 )
になる。経過時間1秒間隔に単位動作毎の各推定区間の認識値を平均する。例えば、経過
時 間 3 秒 か ら 4 秒 ま で の 単 位 動 作 の 認 識 値 の 平 均 は Avr(O 1 ) 4 t か ら Avr(O m ) 4 t に な る 。 最
終的に各時点における認識値の平均を比較して、それが最大である単位動作をその時点に
おける推定 結果とする 。例えば 、経過時間 3 秒から 4 秒 までの推定 結果は、認 識値の平均
が 最 大 で あ る MaxSum(O) 4 t を 持 つ 単 位 動 作 で あ る 。
提 案 し た 作 業 内 容 の 推 定 方 法 の 手 順 は 図 .4.2.4 に 示 す 如 く 、 先 ず 、 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ
ークの学習を 6 自由度データの推定区間毎に算出した特性値と教師信号である単位動作を
用いて行う。学習を行ったニューラルネットワークに推定対象の特性値を代入して、推定
区間毎の認識値を求める。各時点の単位動作毎の認識値の平均を求めて、その平均が最大
である単位動作を推定結果とする。
手順1
ニューラルネットワークの学習に用いる作業の6自由度データを収集する
手順2
推定区間を設定し、12の特性値を求め、Input neuronsの入力値とする
手順3
作業ビデオを用いて1秒ごとに単位動作を記録し、教師信号とする
手順4
手順2と手順3のデータを用いてニューラルネットワークの学習を行う
手順5
学習したニューラルネットワークに推定対象の特性値を代入し、認識値を求める
手順6
各時点の単位動作毎に認識値の平均を求める
手順7
求めた平均を比較して最大である単位動作を推定結果とする
図 .4.2.4
作業内容の推定方法の手順
155
4.2.3.基 本 的 な 単 位 動 作 の お け る 適 用
①データの収集と特性値の算出
推 定 は 4.1.3 項 に お け る 実 験 に お い て 収 集 し た 移 動 、 運 搬 、 加 工 、 取 付 け の 6 自 由 度 デ
ー タ を 用 い た 。 推 定 の 対 象 と す る 分 割 し た 単 位 動 作 の 結 果 を 図 .4.2.5 に 示 す 。 図 に 示 す 如
く 、 推 定 の 対 象 と す る 単 位 動 作 は 「 歩 く 」 か ら 「 ハ ン マ を 戻 す 」 ま で の 12 個 と し た 。 特
性値の算出は、推定区間を 1 秒から 3 秒の幅とした 6 系列で行った。
単位作業の
分類項目
移動
単位作業
単位動作
平坦な床の上を歩く
motion1:歩く
motion2:木材の取り出し
運搬
加工
木材を両手で運ぶ
手に何も持った無いで歩く
立つ状態からしゃがんで床の木材を両手
で掴み、立ち上がる
motion3:木材の運搬
木材を両手で持つ状態から歩く
motion4:木材の調整
木材を両手で持つ状態からしゃがんで
床の上に木材を置き、立ち上がる
motion5:鋸の取り出し
立つ状態からしゃがんで床の上の鋸
を手に取り、切断位置に運ぶ。
motion6:鋸の調整
鋸を木材の切断の位置に合わせる
木材を手鋸で切断する
motion7:木材の切断
motion8:鋸の戻し
motion9:ハンマの取り出し
motion10:釘の取り出し
取付け
作業内容
手ハンマを用いて釘を打つ
図 .4.2.5
鋸で木材を切断する
手に持つ鋸を床の上に置き、立ち上がる
立つ状態からしゃがんで腰ポケットから右手
でハンマを取り出し、左手に持ちかえる
腰ポケットから釘を右手で取り出し、ハンマ
と持ち替える
motion11:釘の打ちつけ
釘を床に打つ
motion12:ハンマの戻し
腰ポケットにハンマを戻し、立ち上がる
推定の対象とする分割した単位動作の結果
②ニューラルネットワークの学習
実 測 し た 作 業 の 単 位 動 作 を ビ デ オ 画 像 か ら 0.1 秒 間 隔 に 記 録 し 、各 時 点 の 単 位 動 作 及 び 、
6 自 由 度 デ ー タ に 基 づ く 12 の 特 性 値 を 用 い て 、 1 秒 、 2 秒 、 3 秒 幅 の 推 定 区 間 に つ い て そ
れ ぞ れ 1 秒 づ つ ず ら せ て 、 6 系 列 の ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク で 学 習 を 行 っ た 。 表 .4.2.1 に
は学習に用いたニューラルネットワークの概要を示す。学習は作業毎に繰り返し行った 8
回分の作業者Aと作業者Bのデータを用いた。
推 定 区 間 に お け る ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 の 結 果 を 表 .4.2.2 に 示 す 。 表 に 示 す 如
く 、1 秒 幅 の 推 定 区 間 に お け る 全 単 位 動 作 に 対 す る 的 中 率 は 95.61%で あ り 、2 秒 幅 の 推 定
区 間 に お け る 全 単 位 動 作 に 対 す る 的 中 率 は 96.86%で あ り 、3 秒 幅 の 推 定 区 間 に お け る 全 単
位 動 作 に 対 す る 的 中 率 は 98.31% で あ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら 各 推 定 区 間 に 対 し て ニ ュ ー ラ
ルネットワークの学習は有効であると考えられる。
156
表 .4.2.1
推定に用いてニューラルネットワークの概要
項目
内容
学習データ
作業者Aの 8 回分の作業と作業者Bの 8
回分の作業のデータ
Hidden
1 秒間隔の推定区間
2 秒間隔の推定区間
3 秒間隔の推定区間
N e u r o ns の 数
Sc a li n g
f ( x )= 1 / ( 1+ e x p (− ( x − 平 均 値 ) /標 準 偏 差 ) )
た だ し 、 x ≦ 最 小 値 f ( x )= 0,
x ≧ 最 大 値 f(x)=1
F u n ct io n
f ( x )= 1 / ( 1+ e x p ( − x )
入出力関数
表 .4.2.2
推定
区間
1秒
2秒
3秒
38 個
37 個
36 個
推定区間におけるニューラルネットワークの学習の結果
項目
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
単位動作
motion2 motion3 motion4 motion5 motion6 motion7 motion8 motion9 motion10 motion11 motion12 全単位
motion1
木材の 木材の 木材の 鋸の取 鋸の調 木材の 鋸の戻 ハンマの 釘の取り 釘の打ち ハッマの 動作
歩く
取り出し 運搬
調整 り出し
整
切断
し
取り出し
出し
つけ
戻し
48
20
52
26
50
20
157
42
37
57
90
62
661
48
19
47
23
47
18
153
42
35
56
88
56
632
100.00
95.00
90.38
88.46
94.00
90.00
97.45 100.00
94.59
98.25
97.78
90.32
95.61
48
16
48
26
38
21
159
40
29
61
84
66
636
48
16
48
26
35
17
156
36
27
58
84
65
616
100.00
100.00
100.00
100.00
92.11
80.95
98.11
90.00
93.10
95.08
100.00
98.48
96.86
32
2
55
25
35
19
157
42
21
57
92
62
599
32
1
55
25
35
18
155
42
19
57
91
62
592
100.00
50.00
100.00
100.00
100.00
94.74
98.73 100.00
90.48
100.00
98.91
100.00
98.83
表 .4.2.3 に は デ ー タ を 実 測 し た 時 間 間 隔 で あ る 0.1 秒 毎 に 学 習 し た 結 果 の 的 中 率 を 求 め
た結果である。表に示す如く、1 秒幅の推定区間における全単位動作に対する的中率は
91.04%で あ り 、2 秒 幅 の 推 定 区 間 に お け る 全 単 位 動 作 に 対 す る 的 中 率 は 86.86%で あ り 、3
秒 間 隔 の 推 定 区 間 に お け る 全 単 位 動 作 に 対 す る 的 中 率 は 82.96 で あ り 、 表 .4.2.2 に 示 し た
的中率より低い結果である。それは、設定した推定区間の時間幅に含まれる単位動作の特
性値が複数である場合、その特性値は含まれる時間の割合が多い単位動作として学習を行
ったためである。
運 搬 に お け る 推 定 区 間 と 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率 の 関 係 を 図 .4.2.6 に 示 す 。 図
に示す如く 、的中率は 概ね 1 秒幅 と 2 秒幅で 最大値を示 している。また、比較 的に長い時
間を要する「木材の運搬」は推定区間が 3 秒幅に長くなっても的中率の変化はあまり見ら
れ な い が 、短 い 作 業 時 間 で あ る「 木 材 の 取 り 出 し 」と「 木 材 の 調 整 」の 的 中 率 は 低 下 す る 。
これは、推定区間が長くなると、複数の単位動作が 1 つの推定区間の特性値に含まれるた
め、作業時間が短い単位動作は特有な傾向が出難くなるためであると考えられる。
157
加 工 に お け る 推 定 区 間 と 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率 の 関 係 を 図 .4.2.7 に 示 す 。 図
に 示 す 如 く 、的 中 率 は 1 秒 幅 と 3 秒 幅 の 推 定 区 間 に お い て 最 大 値 を 示 し て い る 。ま た 、「 鋸
の 調 整 」は 比 較 的 短 い 作 業 時 間 で あ っ た た め 、他 の 単 位 動 作 に 比 較 し て 概 ね 20− 30% 低 い
的中率を示している。
取 付 け に お け る 推 定 区 間 と 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率 の 関 係 を 図 4.2.8 に 示 す 。
図 に 示 す 如 く 、 的 中 率 1 秒 幅 と 2 秒 幅 で 最 大 値 を 示 し て い る 。 ま た 、「 釘 の 取 り 出 し 」 と
「ハンマの取り出し」は比較的短い作業時間であったため、推定区間が 3 秒幅になると的
中率が低下している。
表 .4.2.3
21.70
48.10
28.20
47.10
21.30 157.40
43.20
37.70
57.50
87.80
63.00
613.00
30.00
18.30
42.00
22.30
44.30
16.20 150.10
40.50
34.00
52.60
83.10
54.70
558.10
100.00
84.33
87.32
79.08
94.06
76.06
95.36
93.75
90.19
91.48
94.65
86.83
91.04
60.00
27.40
96.20
48.40
78.20
42.60 314.80
75.40
59.40
115.00
175.60
120.00 1153.00
60.00
21.70
80.10
38.20
63.50
23.60 297.50
61.20
47.40
99.90
157.50
110.90 1001.50
100.00
79.20
83.26
78.93
81.20
55.40
81.17
79.80
86.87
89.69
90.00
27.40
134.00
68.60
93.90
63.30 472.20 112.60
65.40
172.20
263.40
175.00 1648.00
90.00
1.50
119.00
45.50
82.60
28.90 432.00
92.70
42.10
137.30
231.90
153.70 1367.20
100.00
5.47
88.81
66.33
87.97
45.66
82.33
64.37
79.73
88.04
94.50
91.49
92.42
87.83
100
90
80
Motion3:木材の運搬
70
60
Motion2:木材の取り出し
Motion4:木材の調整
50
40
30
20
10
0
3秒
3秒
30.00
2秒
2秒
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
1秒
1秒
単位動作
motion2 motion3 motion4 motion5 motion6 motion7 motion8 motion9 motion10 motion11 motion12 全単位
motion1
木材の 木材の 木材の 鋸の取 鋸の調 木材の 鋸の戻 ハンマの 釘の取り 釘の打ち ハッマの 動作
歩く
戻し
つけ
出し
取り出し
し
切断
整
り出し
調整
取り出し 運搬
項目
的中率(%)
推定
区間
推 定 区 間 別 の 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率
推定区間
図 .4.2.6
運 搬 に お け る 推 定 区 間 と 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率 の 関 係
158
86.86
82.96
100
90
80
Motion7:木材の切断
的中率(%)
70
Motion8:鋸の戻し
60
Motion5:鋸の取り出し
50
40
Motion6:鋸の調整
30
20
10
3秒
2秒
1秒
0
推定区間
図 .4.2.7
加 工 に お け る 推 定 区 間 と 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率 の 関 係
100
90
80
的中率(%)
70
60
Motion12:ハンマの戻し
50
Motion10:釘の取り出し
40
Motion9:ハンマの取り出し
30
Motion11:釘の打ちつけ
20
10
3秒
2秒
1秒
0
推定区間
図 .4.2.8
取 付 け に お け る 推 定 区 間 と 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率 の 関 係
③認識値の平均を用いた推定結果の算出
各推定区間における単位動作の認識値の平均を求め、それが最大の単位動作を総合的な
推 定 結 果 と し た 。 図 .4.2.9 に は ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク に お け る 単 位 動 作 の 認 識 値 を 用 い
た推定結果の算出過程を示す。図に示す如く、推定区間の 1 秒幅、2 秒幅、3 秒幅のニュ
ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 認 識 値 を 経 過 時 間 の 1 秒 間 隔 に 合 わ せ て 分 類 す る 。分 類 し た 各 時 間
間隔における認識値を単位動作毎に平均する。求めた平均値を 1 秒間隔に比較し、最大で
ある平均値を持つ単位動作をその時点における推定結果とする。例えば、0 秒から 1 秒ま
で の 時 間 に お け る 認 識 値 の 平 均 値 は 0.416 が 最 大 値 で あ り 、 そ れ を 持 つ 「 鋸 の 取 り 出 し 」
を 0 秒から 1 秒までの時間における推定結果とする。
159
経過時間
0秒
単位動作
構成動作
1秒幅の推定
区間の特性
値におけ
ニューラル
ネットワーク
の各単位動
作に対する
認識値
Motion1:歩く
Motion2:木材の取り出し
Motion3:木材の運搬
Motion4:木材の調整
Motion5:鋸の取り出し
Motion6:鋸の調整
Motion7:木材の切断
Motion8:鋸の戻し
Motion9:ハンマの取り出し
Motion10:釘の取り出し
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
構成動作
単位動作
2秒幅の推定
区間の特性
値における
ニューラル
ネットワーク
の各単位動
作に対する
認識値
Motion1:歩く
Motion2:木材の取り出し
Motion3:木材の運搬
Motion4:木材の調整
Motion5:鋸の取り出し
Motion6:鋸の調整
Motion7:木材の切断
Motion8:鋸の戻し
Motion9:ハンマの取り出し
Motion10:釘の取り出し
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
1秒
0
0.1-1.0
0.007
0.006
0.000
0.000
0.871
0.001
0.000
0.000
0.046
0.000
0.000
0.109
1.1-2.0
0.000
0.000
0.000
0.005
0.728
0.147
0.000
0.174
0.000
0.189
0.000
0.020
構成動作
単位動作
0
0.1-1.0
Motion1:歩く
Motion2:木材の取り出し
Motion3:木材の運搬
Motion4:木材の調整
Motion5:鋸の取り出し
Motion6:鋸の調整
1秒ずらし
Motion7:木材の切断
Motion8:鋸の戻し
Motion9:ハンマの取り出し
Motion10:釘の取り出し
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
構成動作
単位動作
3秒
2,1-3.0
0.000
0.000
0.000
0.065
0.871
0.000
0.003
0.042
0.000
0.077
0.000
0.000
0.1-2.0
0
0.030
0.000
0.000
0.001
0.630
0.000
0.000
0.000
0.129
0.000
0.044
0.145
0
0.1-1.0
Motion1:歩く
Motion2:木材の取り出し
Motion3:木材の運搬
Motion4:木材の調整
Motion5:鋸の取り出し
Motion6:鋸の調整
1秒ずらし
Motion7:木材の切断
Motion8:鋸の戻し
Motion9:ハンマの取り出し
Motion10:釘の取り出し
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
単位動作
構成動作
0.1-2.0
0
Motion1:歩く
Motion2:木材の取り出し
Motion3:木材の運搬
Motion4:木材の調整
Motion5:鋸の取り出し
Motion6:鋸の調整
2秒ずらし
Motion7:木材の切断
5秒
推定区間の認識値
4.1-6.0
0.010
0.000
0.001
0.000
0.000
0.547
0.177
0.014
0.003
0.091
0.167
0.000
推定区間の認識値
3.1-5.0
5.1-7.0
0.020
0.001
0.000
0.015
0.000
0.010
0.000
0.000
0.058
0.000
0.278
0.948
0.226
0.010
0.129
0.038
0.017
0.017
0.000
0.109
0.210
0.000
0.000
0.000
7秒
2.1-5.0
0.000
0.000
0.004
0.028
0.000
0.833
0.140
0.000
0.000
0.034
0.000
0.250
8秒
7.1-8.0
0.000
0.000
0.000
0.012
0.035
0.000
0.858
0.043
0.000
0.000
0.046
0.000
9秒
8.1-9.0 9.1-10.0
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.012
0.013
以下
0.000
0.022
省略
0.041
0.006
0.945
0.998
0.049
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.002
0.000
0.008
6.1-8.0
0.028
0.000
0.000
0.013
0.000
0.062
0.289
0.326
0.036
0.000
0.370
0.000
推定区間の認識値
3.1-6.0
0.000
0.000
0.007
0.026
0.000
0.842
0.232
0.100
0.003
0.000
0.000
0.078
推定区間の認識値
4.1-7.0
0.000
0.000
0.013
0.016
0.000
0.342
0.445
0.000
0.000
0.000
0.000
0.071
推定区間の認識値
1.1-4.0
0.006
0.000
0.001
0.010
0.881
0.208
0.036
0.000
0.000
0.158
0.000
0.000
Motion8:鋸の戻し
Motion9:ハンマの取り出し
Motion10:釘の取り出し
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
6秒
推定区間の認識値
3.1-4.0 4.1-5.0 5.1-6.0 6.1-7.0
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.050
0.052
0.025
0.045
0.000
0.038
0.000
0.000
0.669
0.953
0.189
0.367
0.132
0.224
0.474
0.385
0.071
0.000
0.000
0.000
0.053
0.000
0.000
0.066
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.249
0.000
0.065
0.000
0.019
0.162
2.1-4.0
0.000
0.000
0.012
0.000
0.000
0.838
0.000
0.212
0.026
0.225
0.000
0.000
1.1-3.0
0.014
0.000
0.000
0.002
0.625
0.013
0.112
0.107
0.000
0.058
0.000
0.077
4秒
0.1-3.0
0
0.000
0.006
0.000
0.000
0.994
0.001
0.081
0.000
0.025
0.000
0.000
0.000
Motion1:歩く
Motion2:木材の取り出し
Motion3:木材の運搬
Motion4:木材の調整
Motion5:鋸の取り出し
Motion6:鋸の調整
Motion7:木材の切断
Motion8:鋸の戻し
Motion9:ハンマの取り出し
Motion10:釘の取り出し
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
単位動作
構成動作
3秒幅の推定
区間の特性
値における
ニューラル
ネットワーク
の各単位動
作に対する
認識値
2秒
8.1-10.0
0.009
0.000
0.001
0.023
0.000
0.000
0.908
0.049
0.000
0.035
0.017
0.000
7.1-9.0
0.015
0.000
0.000
0.019
0.000
0.013
0.886
0.057
0.000
0.028
0.000
0.000
0.010
0.000
0.000
0.020
0.000
0.000
0.828
0.062
0.000
0.045
0.073
0.000
6.1-9.0
0.005
0.000
0.016
0.005
0.000
0.116
0.740
0.043
0.007
0.097
0.000
0.000
以下
省略
以下
省略
7.1-10.0
0.005
0.002
0.009
0.004
0.000
0.023
0.969
0.000
0.000
0.011
0.000
0.125
5.1-8.0
0.000
0.000
0.015
0.001
0.000
0.089
0.689
0.000
0.000
0.049
0.361
0.000
以下
省略
以下
省略
8.1-11.0
以下
省略
1秒隔毎に各単位動作のニューラルネットワークの認識値を平均する
単位動作
構成動作
単位動作
の認識値
の平均
Motion1:歩く
Motion2:木材の取り出し
Motion3:木材の運搬
Motion4:木材の調整
Motion5:鋸の取り出し
Motion6:鋸の調整
Motion7:木材の切断
Motion8:鋸の戻し
Motion9:ハンマの取り出し
Motion10:釘の取り出し
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
0
0.1-1.0
0.006
0.002
0.000
0.000
0.416
0.000
0.013
0.000
0.033
0.000
0.007
0.042
1.1-2.0
0.008
0.001
0.000
0.003
0.643
0.061
0.038
0.047
0.026
0.067
0.007
0.040
2,1-3.0
0.003
0.001
0.003
0.017
0.562
0.315
0.062
0.060
0.008
0.092
0.000
0.054
3.1-4.0
0.001
0.003
0.006
0.019
0.147
0.723
0.092
0.070
0.016
0.088
0.000
0.065
経過時間
4.1-5.0 5.1-6.0
0.002
0.005
0.003
0.000
0.006
0.006
0.020
0.011
0.006
0.010
0.744
0.381
0.205
0.374
0.025
0.040
0.004
0.004
0.039
0.023
0.028
0.164
0.067
0.028
6.1-7.0
0.009
0.000
0.007
0.013
0.010
0.209
0.462
0.083
0.021
0.024
0.157
0.039
7.1-8.0
0.009
0.000
0.007
0.009
0.006
0.051
0.739
0.078
0.007
0.031
0.130
0.021
8.1-9.0 9.1-10.0
0.006
0.004
0.000
0.000
0.004
0.002
0.011
0.010
以下
0.000
0.004
省略
0.032
0.005
0.741
0.617
0.033
0.019
0.001
0.000
0.028
0.015
0.003
0.015
0.021
0.022
認識値の平均が最大である単位動作を選択する
推定区間
単位動作の
推定結果
図 .4.2.9
推定値
0
0.1-1.0
1.1-2.0 2,1-3.0 3.1-4.0 4.1-5.0 5.1-6.0 6.1-7.0 7.1-8.0 8.1-9.0 9.1-10.0
Motion5 Motion5 Motion5 Motion6 Motion6 Motion6 Motion7 Motion7 Motion7 Motion7 以下
鋸の取り 鋸の取り 鋸の取り 鋸の調 鋸の調 鋸の調 木材の 木材の 木材の 木材の 省略
整
整
整
出し
出し
出し
切断
切断
切断
切断
ニューラルネットワークの認識値を用いた推定結果の算出過程の事例
160
以 上 の 認 識 値 の 平 均 値 か ら 求 め た 単 位 動 作 の 推 定 結 果 の 的 中 率 を 表 .4.2.4 に 示 す 。 表 に
示す如く、各推定区間におけるニューラルネットワークの学習した結果の的中率は概ね
85 % で あ る の に 比 較 し て 、 提 案 し た 総 合 的 評 価 の 方 法 を 用 い た 推 定 結 果 の 的 中 率 は
93.56%で あ り 、作 業 者 の 特 異 な 姿 勢 の 発 生 ま た は 、特 性 値 に 単 位 動 作 が 複 数 含 ま れ る こ と
によって起こり得る推定の誤差が少なくなっていることが判った。
全 作 業 時 間 に 対 す る 単 位 動 作 時 間 の 割 合 と 推 定 結 果 の 的 中 率 の 関 係 を 図 .4.2.10 に 示 す 。
図 に 示 す 如 く 、全 作 業 時 間 に 対 す る 時 間 の 割 合 が 高 い 単 位 動 作 が 高 い 的 中 率 を 示 し て い る 。
ま た 、時 間 の 割 合 が 5% 以 上 の 単 位 動 作 の 的 中 率 は 概 ね 90% 以 上 を 得 て い る 。こ の こ と か
ら、本推定方法は、全作業に占める時間の割合が少ない単位動作でもほぼ正確に推定して
いることが判った。
表 .4.2.5 に は 実 測 し た 単 位 動 作 の 作 業 時 間 に 対 す る 推 定 結 果 の 作 業 時 間 の 割 合 を 示 す 。
実測値と異なる推定結果は、同じ作業を構成する単位動作間に多く発生する。このことか
ら、推定の誤差は、推定区間の時間幅に複数の単位動作の特性値が含まれる場合に発生す
る確率が高いことが判った。
表 .4.2.4
項目
学 習 デ ー タ に お け る 0.1 秒 毎 の 推 定 結 果 の 的 中 率
単位動作
motion2 motion3 motion4 motion5 motion6 motion7 motion8 motion9 motion10 motion11 motion12 全単位
motion1
木材の 木材の 木材の 鋸の取 鋸の調 木材の 鋸の戻 ハンマの 釘の取り 釘の打ち ハッマの 動作
歩く
取り出し 運搬
調整
り出し
整
切断
し
取り出し
出し
つけ
戻し
作業時間
(秒)
48.00
21.70
48.10
28.20
47.10
21.30
157.40
43.20
37.70
57.50
87.80
63.00
661.00
的中時間
(秒)
48.00
14.50
46.90
24.30
45.30
14.10
151.50
40.50
34.90
53.80
84.60
60.20
618.60
的中率
(%)
100.00
66.82
97.51
86.17
96.18
66.20
96.25
93.75
92.57
93.57
96.36
95.56
93.59
100.00
Motion7:木
材の切断
Motion11:釘の打ちつけ
Motion12:ハンマの戻し
80.00
Motion10:釘の取り出し
的中率(%)
Motion1:歩く
Motion3:木材の運搬
60.00
Motion5:鋸の取り出し
Motion8:鋸の戻し
40.00
Motion9ハンマの取り出し
Motion4木材の調整
20.00
Motion2:木材の取り出し
Motion6:鋸の調整
0.00
0.00
5.00
10.00
15.00
20.00
25.00
30.00
全作業時間に対する単位動作時間の割合(%)
図 .4.2.10
全作業時間に対する単位動作時間の割合と推定結果の的中率の関係
161
表 .4.2.5
単位動作の実測値の作業時間と推定結果の作業時間の関係
単位動作の実測値
単位動作の推定値
motion2 motion3 motion4 motion5 motion6 motion7 motion8 motion9 motion10 motion11 motion12
motion1
全単位
木材の 木材の 木材の 鋸の取 鋸の調 木材の 鋸の戻 ハンマの 釘の取り 釘の打 ハッマの
歩く
動作
取り出し 運搬
調整
り出し
整
切断
し
取り出し
出し
ちつけ
戻し
実測値に対する
motion1
推定結果の割合 100.00
歩く
(%)
motion2 実測値に対する
木材の 推定結果の割合 0.00
取り出し
(%)
motion3 実測値に対する
木材の 推定結果の割合 0.00
運搬
(%)
motion4 実測値に対する
木材の 推定結果の割合 0.00
調整
(%)
motion5 実測値に対する
鋸の取り 推定結果の割合 0.00
出し
(%)
motion6 実測値に対する
鋸の調 推定結果の割合 0.00
整
(%)
motion7 実測値に対する
木材の 推定結果の割合 0.00
切断
(%)
実測値に対する
motion8
推定結果の割合 0.00
鋸の戻し
(%)
motion9 実測値に対する
ハンマの 推定結果の割合 0.00
取り出し
(%)
motion10 実測値に対する
釘の取り 推定結果の割合 0.00
出し
(%)
motion11 実測値に対する
釘の打 推定結果の割合 0.00
ちつけ
(%)
motion12 実測値に対する
ハッマの 推定結果の割合 0.00
戻し
(%)
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
66.82
33.18
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
1.04
97.51
1.46
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
13.83
86.17
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
96.18
3.82
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
20.66
66.20
13.15
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
0.19
2.60
96.25
0.95
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
6.25
93.75
0.00
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
92.57
7.43
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
1.91
93.57
4.52
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
1.59
96.36
2.05
100.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
4.44
95.56
100.00
④検証データを用いた推定結果
学習データに基づいて構築したニューラルネットワークを用いて、検証データについて
推 定 を 行 っ た 。 表 .4.2.6 に 検 証 デ ー タ に お け る 単 位 動 作 の 推 定 結 果 の 的 中 率 を 示 す 。 表 に
示 す 如 く 、 検 証 デ ー タ に つ い て の 的 中 率 は 全 単 位 動 作 に つ い て 76.34% で あ っ た 。 そ の 結
果、検証データについても提案した方法は有効であることを確認した。
表 .4.2.6
項目
検証データによる単位動作の推定結果の的中率
単位動作
motion2 motion3 motion4 motion5 motion6 motion7 motion8 motion9 motion10 motion11 motion12 全単位
motion1
木材の 木材の 木材の 鋸の取 鋸の調 木材の 鋸の戻 ハンマの 釘の取り 釘の打ち ハッマの 動作
歩く
戻し
つけ
出し
取り出し
し
切断
整
り出し
調整
取り出し 運搬
作業時間
(秒)
12.00
5.80
11.70
6.50
8.70
6.00
43.50
9.80
8.50
12.90
23.10
15.50
164.00
的中時間
(秒)
12.00
1.00
10.30
2.60
3.00
2.60
42.20
5.60
8.00
10.70
21.20
6.00
125.20
的中率
(%)
100.00
17.24
88.03
40.00
34.48
43.33
97.01
57.14
94.12
82.95
91.77
38.71
76.34
162
4.2.4.結
作 業 者 の 姿 勢 か ら 収 集 し た 6 自 由 度 デ ー タ か ら 算 出 し た 12 個 の 特 性 値 を 用 い た 単 位 動
作の推定方法の提案を行った。先ず、推定の対象である作業のレベルは単位動作とするこ
と を 述 べ 、そ の 定 義 を 行 っ た 。推 定 は 作 業 を 実 行 す る 時 間 幅 に 合 わ せ て 行 う 必 要 性 を 述 べ 、
その時間幅を推定区間とすることを提案した。また、作業の時系列における単位動作の開
始時間によって推定区間の特性値がずれることによる推定の誤差を減少する方法として、
多 段 階 に よ る 推 定 区 間 の 設 定 方 法 を 提 案 し た 。( 図 .4.2.1 参 照 )
特性値から単位動作を推定するアルゴリズムとして誤差逆伝播法を持つニューラルネ
ットワークを採りあげ、推定区間における単位動作の認識値の算出方法を提案した。
( 図 .4.2.2 参 照 )そ の 構 造 は 、12 個 の 特 性 値 を Input neurons と し 、実 施 す る 単 位 動 作 の
有 無 を 示 す 認 識 値 を Output neurons と し た 。
また、推定区間毎に求めた認識値の各時点における単位動作の平均を求め、この平均が
最大である単位作業を推定結果とすることにより、推定の精度を向上させる総合的な評価
方 法 を 提 案 し た 。( 図 .4.2.3 参 照 )
提 案 し た 推 定 方 法 の 適 用 を 検 討 す る た め に 、 基 本 的 な 12 個 の 単 位 動 作 ( 図 .4.2.5 参 照 )
における作業実験を行い、収集したデータに基づいて推定を行った。以下の項目にその結
果を示す。
①
推 定 区 間 の ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 結 果 の 的 中 率 : 1 秒 間 隔 − 95.61%、 2 秒 間
隔 − 96.86%、 3 秒 間 隔 − 98.83% (表 .4.2.2 参 照 )
②
測 定 間 隔 0.1 秒 に お け る ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 結 果 の 的 中 率 : 1 秒 間 隔 −
91.04%、 2 秒 間 隔 − 86.86%、 3 秒 間 隔 − 82.96%(表 .4.2.3 参 照 )
③
測 定 間 隔 0.1 秒 に お け る 学 習 デ ー タ の 推 定 結 果 の 的 中 率 : 93.59%( 表 .4.2.4 参 照 )
④
測 定 間 隔 0.1 秒 に お け る 検 証 デ ー タ の 推 定 結 果 の 的 中 率 : 76.34%( 表 .4.2.6 参 照 )
本実験では、6 自由度センサーやコンピュータの制約のため 3 つのセンサーを使用した
が、センサーの数を増やすことによって、さらに推定の精度を高めることが出来ると考え
られる。また、単位動作の的中率は推定区間の幅に関係していることを明らかにし、多段
階の推定区間を用いて総合的に評価する方法が有効であることを確認した。
以上の検討の結果、提案した推定方法は単位動作の推定において有効であることを確認
した。
163
4.3.パ ネ ル 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
4.3.1.作 業 実 験 の 概 要
建築作業における推定方法の有効性を検証するために、実験室において、パネル取付け
作業を実施し、作業者の姿勢の 6 自由度データを収集した。そのデータを用いて単位動作
の推定を行った。作業の実験は、先ず予備実験を行い、作業者を習熟させるとともに作業
の内容を把握した。そして、6 自由度センサーを頭、右腕、及び右脚に装着して実験を行
う こ と と し た 。 な お 、 作 業 状 況 は ビ デ オ で 撮 影 し 、 0.1 秒 間 隔 で 単 位 動 作 を 記 録 し た 。
表 .4.3.1 に は 作 業 を 行 っ た 実 験 場 の 状 況 を 示 す 。 作 業 を 行 っ た 作 業 者 は 表 .4.3.2 に 示 す 如
く、大工と合板加工の 2 人とした。
表 .4.3.1
実験場の状況
項目
実験場所
実験日
天気
実験室平均気温
表 .4.3.2
内容
早稲田大学ヒューマン実験室
20 0 1 年 1 2 月 1 7 日 の 1 日 間
晴れ
約 18℃
作業者の概要
項目
職種
経歴
年齢
身長
両手巾
股下長
体重
作業者 A
合板加工
13 年
49 才
15 4 c m
15 2 .5 c m
80 c m
66 k g
作業者 B
大工
30 年
58 才
16 2 c m
16 7 c m
90 c m
65 k g
実 験 に 用 い た パ ネ ル は 特 殊 製 作 し た 重 さ 約 4.5Kg の 発 砲 ス チ レ ン 樹 脂 を 埋 め 込 ん だ 木
製 の も の で あ っ た 。 作 業 に 用 い た パ ネ ル の 詳 細 を 図 .4.3.1 に 示 す 。 パ ネ ル は 壁 に 予 め 設 置
し た 木 軸 下 地 に ボ ル ト を 用 い て 取 付 け る 。 図 .4.3.2 に は パ ネ ル の 取 付 け 方 法 を 示 す 。 図 に
示す如く、パネルの 4 ヶ所の穴を木軸下地の埋め込みナットに合わせて、穴にボルトを通
し 、 ボ ル ト を 手 で 締 め っ て パ ネ ル を 取 付 け る 。 図 .4.3.3 に は 実 験 を 行 っ た 作 業 場 に お け る
パネルの配置、運搬の動線、取付けの位置の平面図を示す。図に示す如く、パネルが置か
れ て い る 位 置 は 常 に 同 じ で あ り 、取 付 け 位 置 は 同 図 上 部 の 左 隅 か ら 右 隅 ま で 7 箇 所 で あ る 。
運搬と移動は点線に示す作業者の動線上に限定した。
取付け作業の順序はパネルが置かれている場所から 2 人の作業者が 1 枚のパネルを手に
取 り 、作 業 動 線 上 を 持 ち 歩 き 、取 付 け 位 置 ま で 運 搬 す る 。取 付 け 位 置 に パ ネ ル を 合 わ せ て 、
1 名の作業者が 4 本のボルトの締め付け、その間他の作業者がパネルを保持する。パネル
164
の取付けが完了するとパネルが置かれている場所まで作業動線上を歩いて戻る。以上の作
業を 7 枚のパネルに対して繰り返し行う。
発砲スチレン樹
脂板埋め込み
W
R:11mm
20mm
t
20mm
L
寸法(mm):W×L×t=600×1800×22
重さ(g):4,500
図 .4.3.1
作 業 実 験 に 用 い た パ ネ ル の 詳 細 ( 単 位 : mm)
6640mm
30 mm
20 mm
12mm
38 mm
1800mm
座金
埋め込みナット
木軸下地材
210mm
図 .4.3.2
パ ネ ル の 取 付 け 方 法 ( 単 位 : mm)
木軸下地
実験室壁
6640
2000
600
B
A
作業者B初期位置
B
取付け用パネル
パネル保持担当作業者
2000
ボード
1800
4480
作業者の動線
パネル置
置き場
き場
600
1300
作業撮影用ビデオカメラ
A
ボルト締め付け担当作業者
(姿勢データの収集対象)
データ収集用PC
作業者A初期位置
1450
7470
図 4.3.3
実 験 場 の 状 況 ( 単 位 : mm)
165
ボルト:M10×40mm
パネル
パ ネ ル 取 付 け 作 業 を 単 位 動 作 に 分 割 し た 結 果 を 図 .4.3.4 に 示 す 。 図 に 示 す 如 く 、 パ ネ ル
取 付 け 作 業 を 、「 運 搬 」、「 取 付 け 」、「 移 動 」の 3 つ の 単 位 作 業 の 分 類 項 目 に 基 づ き 、8 つ の
単位動作に分割した。
まとまり作業
単位作業の
分類項目
単位動作
単位作業
作業写真
Motion1
作業内容
立つ状態からしゃ
がんで床のパネル
を両手で掴んで立
ち上がる
パネルの
取出し
パネルを両手で持
つ状態で歩く
運搬
パネルを手に持て歩く
Motion2
パネルの
運搬
Motion3
パネルの
調整
Motion4
上部ボル
トの準備
パネルを持つ状態
からしゃがんでパネ
ルの位置を合わせ
て立ち上がる
立つ状態から右手を
腰ポケットに入れてボ
ルトを取り出し、左手
に持ち直す。腰ポケッ
トに右手を入れてナッ
トをと取り出し、左手の
ボルトに合わせる
パネル取付け作業
Motion5
上部ボルト
の取付け
取付け
立つ状態で手を上部
ボルトの穴に伸ばし
て、ボルトを回し締め
て、手を戻す
パネルをボルトで締め付ける
Motion6
下部ボル
トの準備
Motion7
下部ボルト
の取付け
座った状態から右手を
腰ポケットに入れてボル
トを取り出し、左手に持
ち直す。腰ポケットに右
手を入れてナットをと取
り出し、左手のボルトに
合わせる
座った状態で手を上
部ボルトの穴に伸ば
して、ボルトを回し締
めて、手を戻す
手に何も持たない
で歩く
移動
平坦な床の上を歩く
Motion8
歩き
図 .4.3.4
パネル取付け作業の単位動作と作業写真
166
作 業 実 験 は 、作 業 者 が 作 業 と 装 着 し た セ ン サ ー 装 置 に 慣 れ る ま で 、4・ 5 回 に 亘 っ て 作 業
を繰り返し実施し、作業内容に習熟した状態で本実験を行った。
実験では、7 枚のパネルを取付ける一連の作業を合計 5 回行った。作業内容をビデオ撮
影した結果に基づいて、1 枚のパネルを取付けるために必要な各作業の所用時間を求めた
結 果 を 表 .4.3.3 に 示 す 。 1 枚 の パ ネ ル を 取 付 け る 単 位 動 作 の 比 率 は 下 部 ボ ル ト の 取 付 け
(Motion7)が 23.11% 、上 部 ボ ル ト の 取 付 け (Motion5)が 22.30% と 高 く 、そ の 次 に 下 部 ボ ル
ト の 準 備 (Motion6)が 15.25% 、 上 部 ボ ル ト の 準 備 (Motion4)が 14.10% と な っ て い る 。
な お 、 パ ネ ル の 運 搬 (Motion2)及 び 、 帰 り の 歩 き (Motion8)は 、 取 付 け 位 置 に よ っ て パ ネ
ル の 置 き 場 か ら の 距 離 が 変 化 す る 。 そ の た め 、 パ ネ ル の 運 搬 は 平 均 の 時 間 値 が 4.82 秒 /枚
で あ る が 、 近 い パ ネ ル で は 最 小 値 3.6 秒 、 遠 い パ ネ ル で は 最 大 値 6.1 秒 と 変 化 し て い る 。
ま た 帰 り の 歩 き も 同 様 に 取 付 け 位 置 に よ っ て 最 大 値 10.5 秒 、最 小 値 5.6 秒 と 変 化 し て い る 。
パネル取付け作業において、ボルトの取付けは木軸の埋め込みナットとボルトの合わせ
が 取 付 け 場 所 に よ っ て 手 直 す 場 合 が 生 じ た た め 、変 動 係 数 が 上 部 の 場 合 0.22、下 部 の 場 合
0.29 と 比 較 的 高 い 数 値 を 示 し て い る 。
表 .4.3.3
1 枚のパネル取付けにおける単位動作の平均時間と比率
構成動作
パネルの取 パネルの運 パネルの調 上部ボルト
出し
搬
整
の準備
上部ボルト
の取付け
下部ボルト
の準備
下部ボルト
の取付け
歩き
合計
Motion1
Motion2
Motion3
Motion4
Motion5
Motion6
Motion7
Motion8
1枚当たり平均時間
(秒/枚)
2.38
4.82
6.63
11.80
18.66
12.76
19.34
7.29
83.67
標準偏差(秒/枚)
0.36
0.79
0.69
1.41
4.10
1.88
5.62
1.07
7.57
変動係数
0.15
0.16
0.10
0.12
0.22
0.15
0.29
0.15
0.09
最大値(秒)
3.10
6.10
8.50
15.50
30.70
20.10
39.30
10.50
104.60
最小値(秒)
1.30
3.60
5.80
9.60
12.70
10.40
14.00
5.60
73.30
比率(%)
2.84
5.76
7.92
14.10
22.30
15.25
23.11
8.71
100.00
4.3.2.姿 勢 の 測 定 と 特 性 値 の 算 出
パネル取付け作業における 6 自由度データの収集はボルトを取付ける作業者に対して行
っ た 。実 験 に お い て は セ ン サ ー に よ っ て 測 定 さ れ る 6 自 由 度 デ ー タ の 値 を 全 て の 施 行 で 統
一 す る た め 、作 業 者 が 同 じ 姿 勢 か ら 作 業 を 開 始 す る よ う に し 、セ ン サ ー の ゼ ロ 点 調 整 (キ ャ
ー リ ブ レ ー シ ョ ン )を 行 っ た 。
図 .4.3.5 に は 事 例 と し て 、 1 枚 の パ ネ ル の 取 付 け に お け る 6 自 由 度 デ ー タ の 時 系 列 的 な
動きを示したものである。同図において、頭、腕、脚センサーにおける X 軸、Y 軸、Z 軸
に対する角度と加速度データが、単位動作の特有の波形を示していることが判る。
167
パネルの取出し
(Motion1)
パネルの調整
(Motion3)
パネルの運搬
(Motion2)
上部ボルトの取付け
(Motion5)
上部ボルトの準備
(Motion4)
上部ボルトの取付け
(Motion5)
上部ボルトの準備
(Motion4)
下部ボルトの取付け
(Motion7)
下部ボルトの準備
(Motion6)
下部ボルトの取付け
(Motion7)
下部ボルトの準備
(Motion6)
歩き
(Motion8)
1 80
頭セン角度(度)
サー の角度(度)
1 35
X軸
90
45
0
- 45
0 .1
20.1
30.1
4 0.1
50 .1
6 0.1
70 .1
80.1
9 0.1
20.1
30.1
4 0.1
50 .1
6 0.1
7 0.1
80.1
9 0.1
Z軸
-1 35
頭センサー
1 0.1
Y軸
- 90
-1 80
2
加速度(G)
頭センサーの角度(度)
X軸
1
0
0.1
10.1
-1
Z軸
Y軸
-2
経過時間
18 0
Z軸
角度(度)
腕センサーの角度(度)
13 5
90
45
0
-4 5
0.1
2 0.1
30.1
40.1
50 .1
6 0.1
7 0.1
80.1
90.1
20.1
30.1
40.1
5 0.1
60.1
70.1
80.1
90.1
X軸
-9 0
Y軸
-13 5
腕センサー
1 0.1
-18 0
2
加速度(G)
腕センサー の角度(度)
Y軸
X軸
1
0
0.1
10.1
-1
Z軸
-2
経過時間
1 80
Z軸
X軸
角度(度)の角度(度)
脚センサー
1 35
90
45
0
- 45
0.1
10.1
30 .1
40 .1
50.1
60.1
70.1
8 0.1
90.1
30 .1
40 .1
5 0.1
6 0.1
7 0.1
8 0.1
90.1
- 90
Y軸
-1 35
-1 80
2
加速度(G)
脚センサ ー の角度(度)
脚センサー
2 0.1
1
X軸
0
0.1
10.1
20 .1
-1
Y軸
Z軸
-2
経過時間
図 .4.3.5
1 枚のパネル取付け作業の 6 自由度データの時系列変化
168
収 集 し た 6 自 由 度 デ ー タ を 用 い た 特 性 値 の 算 出 は 、推 定 区 間 を 1 秒 幅 、2 秒 幅 、3 秒 幅 、
4 秒 幅 、 5 秒 幅 に し 、 1 秒 づ つ ず ら し な が ら 15 系 列 に 行 っ た 。 設 定 し た 各 推 定 区 間 は 0.1
秒単位で測定した実測値に基づいて単位動作の定義を行った。
算 出 し た 各 単 位 動 作 の 12 の 特 性 値 に つ い て 、 そ の 類 似 度 を 調 べ る た め に ク ラ ス タ 分 析
を 行 っ た 。 図 .4.3.6 に は 、 単 位 動 作 間 の 特 性 値 の ク ラ ス タ 分 析 の 結 果 を 示 す 。 図 に 示 す 如
く 、作 業 者 の 腰 の 高 さ が 異 な り 作 業 内 容 が 同 じ で あ る 、「 上 部 ボ ル ト の 準 備 」と「 下 部 ボ ル
ト の 準 備 」、及 び「 上 部 ボ ル ト の 取 付 け 」と「 下 部 ボ ル ト の 取 付 け 」は 類 似 度 が 高 い こ と が
判 る 。「 パ ネ ル の 運 搬 」と 最 初 の 作 業 位 置 に 戻 る「 歩 き 」に つ い て も 、歩 行 を 伴 う 作 業 と し
て 類 似 度 が 高 い 結 果 と な っ て い る 。ま た 、「 パ ネ ル の 取 出 し 」と「 パ ネ ル の 調 整 」は 座 っ た
姿勢で腕を若干動かす作業であるため、特性値の類似度が高くなっている。全般的には、
腕を主に動かす単位動作と足を主に動かす単位動作に区分されている。この結果から、特
構成動作
性値は概ね各単位動作の特性を表していると考えることが出来る。
上部ボルトの準備
(Motion4)
下部ボルトの準備
(Motion6)
上部ボルトの取付け
(Motion5)
下部ボルトの取付け
(Motion7)
パネルの取出し
(Motion1)
パネルの調整
(Motion3)
パネルの運搬
(Motion2)
歩き
(Motion8)
0
5
10
15
20
25
正規化したユークリッド平均距離
(注)クラスタ化方法:グルプ間平均連結法
間隔の測定;ユークリッド平均距離法
図 .4.3.6
単位動作間の特性値の類似度
4.3.3.ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 と 作 業 内 容 の 推 定 結 果
①ニューラルネットワークの学習と結果
実 測 し た パ ネ ル 取 付 け 作 業 の 単 位 作 業 を 0.1 間 隔 に 記 録 し た 各 時 点 の 単 位 動 作 の 実 測 結
果 及 び 、6 自 由 度 デ ー タ に 基 づ く 12 の 特 性 値 を 用 い て 、1 秒 か ら 5 秒 幅 の 推 定 区 間 に そ れ
ぞ れ 1 秒 づ つ ず ら せ て 、図 .4.3.7 に 示 す よ う に 15 系 列 の ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 を
行 っ た 。表 4.3.4 に は 推 定 に 用 い た ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 条 件 を 示 す 。表 に 示 す 如 く 、
ネ ッ ト ワ ー ク の 構 造 は 完 全 結 合 の 逆 伝 播 ネ ッ ト ワ ー ク で あ り 、Hidden
169
Neurons
の数は
59 個 で あ っ た 。 学 習 デ ー タ は 28 枚 の パ ネ ル 取 付 け 作 業 と し 、 7 枚 の パ ネ ル 取 付 け 作 業 を
検証データとして用いた。
表 .4.3.4
推定に用いたニューラルネットワークの概要
項目
内容
ネットワーク構造
完全結合の逆伝播ネットワーク
学習データ
28 枚 の パ ネ ル 取 付 け 作 業 ( 作 業 時 間 3 9. 4 5 分 ) に お け る
6 自由度データの特性値
Hidden Neurons の 数
59 個
Sc a li n g F u nc tio n 数
f ( x )= 1 / ( 1+ e x p (− ( − x − 平 均 値 ) / 標 準 偏 差 ) )
た だ し 、 x ≦ 最 小 値 f ( x )= 0
x ≧ 最 大 値 f ( x )= 1
入出力関数
f ( x )= 1 / ( 1+ e x p (− x )
経過時間
0秒
単位動作の実測結果
推定
区間
にお
ける
認識
値の
平均
が最
大で
ある
単位
動作
10秒
m1
(1.7秒)
1秒幅の
推定区間
0秒ずらし m8
2秒幅の
推定区間
0秒ずらし
1秒ずらし
3秒幅の
推定区間
0秒ずらし
1秒ずらし
2秒ずらし
4秒幅の
推定区間
0秒ずらし
1秒ずらし
2秒ずらし
3秒ずらし
5秒幅の
推定区間
0秒ずらし
1秒ずらし
2秒ずらし
3秒ずらし
4秒ずらし
各時点の認識値の平均が最
大である単位動作の推定結果
m2
(5.4秒)
m3
m8
m1
m8
m2
m2
m2
m3
(8.6秒)
m8
m3
m2
m2
m2
m3
m3
m3
m2
m3
m2
m3
m3
m2
m4
m5
m5
m5
m5
m5
m5
m5
m5
m5
m5
m5
m5
m4
m5
m4
m3
m5
m4
m5
m5
m4
m3
m5
m5
m5
m5
m4
m5
m5
m5
m4
m4
m5
m5
m5
m4
m4
m5
m5
m4
m3
m5
m5
m5
m4
m4
m3
m5
m5
m4
m4
m3
m3
(9秒)
m4
m4
m4
m4
m3
m3
m4
m4
m4
m3
m3
m2
m4
m4
m3
m3
m4
m5
m4
m3
m3
m4
m5
(7秒)
m4
m3
m3
m3
m2
m4
m4
m3
m3
m2
m4
m4
m3
m3
m2
m1
m3
m3
m3
m2
m3
m3
m3
m2
m2
m2
(7秒)
m3
m3
m3
m3
m2
m2
m7
m3
m2
m2
m3
30秒
m4
(6.5秒)
m3
m3
m2
m3
m3
m3
m2
m2
20秒
m5
m4
m4
(7秒)
m5
m5
(7秒)
(注)mは単位動作のMotionを示す
図 .4.3.7
単位動作の実測結果に対する各推定区間の認識値
各 推 定 区 間 に お け る ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 の 結 果 を 表 .4.3.5 示 す 。 表 に 示 す 如
く 、1 秒 幅 の 推 定 区 間 に お け る 全 単 位 動 作 に 対 す る 的 中 率 は 83.06%、2 秒 幅 で は 91.51%、
3 秒 幅 で は 93.49%、 4 秒 幅 で は 94.17%、 5 秒 幅 で は 93.20%と な っ た 。 そ れ を 比 較 し た 結
果、推定区間が短い場合、的中率は低くなる傾向があり、1 秒幅ではその誤差が大きいこ
とが判った。これは、1 秒幅と言う短い時間で、単位動作を特性値から推定するため、誤
差が大きいと考えられる。
図 .4.3.8 に は 推 定 区 間 の 各 時 間 幅 と ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 の 結 果 と の 関 係 を 示
す 。 図 に 示 す 如 く 、 パ ネ ル 取 付 け 作 業 の 各 単 位 動 作 は 概 ね 3− 4 秒 幅 の 推 定 区 間 に お い て
最大の的中率を示した。また、推定区間の時間幅が長くなると含まれる単位動作の特性値
が 多 く な る た め 5 秒 幅 は 低 い 的 中 率 を 示 し た 。 単 位 動 作 別 で は 、「 パ ネ ル の 運 搬 」「 パ ネ ル
の 取 出 し 」「 パ ネ ル の 調 整 」「 下 部 ボ ル ト の 準 備 」が 1 秒 幅 か ら 3 秒 幅 ま で 比 較 的 低 い 的 中
170
率を示した。これは、その単位動作に作業者の姿勢の変化が短い時間で起こる「座る」ま
た は 、「 立 つ 」の 動 作 が 含 ま れ て い る た め 、設 定 し た 推 定 区 間 が 単 位 動 作 の 時 間 幅 よ り 短 く
なった場合、短い時間の動作のデータを含む特性値が少なくなったことが原因であると考
えられる。
表 .4.3.5
各推定区間におけるニューラルネットワークの学習の結果
単位 動作
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
Motion1 Motion2 Motion3 Motion4
Motion5
Motion6
Motion7
Motion8
パネルの パネルの パネルの 上部ボル 上部ボルト 下部ボル 下部ボルト
歩き
取り出し
運搬
調整
トの準備 の取付け トの準備 の取付け
項目
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
全体件数
(件)
的中件数
(件)
的中率
(%)
全単位
動作
71
132
191
339
515
366
548
205
2367
43
56
125
324
467
252
517
182
1966
60.56
42.42
65.45
95.58
90.68
68.85
94.34
88.78
83.06
69
135
188
334
522
367
548
204
2367
58
109
152
288
500
341
526
192
2166
84.06
80.74
80.85
86.23
95.79
92.92
95.99
94.12
91.51
69
132
191
339
515
366
548
207
2367
62
115
176
310
493
345
525
187
2213
89.86
87.12
92.15
91.45
95.73
94.26
95.80
90.34
93.49
67
135
188
334
522
367
548
206
2367
62
127
176
312
488
351
522
191
2229
92.54
94.07
93.62
93.41
93.49
95.64
95.26
92.72
94.17
61
136
191
339
515
366
548
211
2367
48
131
175
308
501
301
539
203
2206
78.69
96.32
91.62
90.86
97.28
82.24
98.36
96.21
93.20
100
推定区間の構成動作に対する推定結果の的中率(%)
的中率(%)
推定
区間
90
80
70
上部ボルトの準備(Motion4)
60
下部ボルトの取付け(Motion7)
上部ボルトの取付け(Motion5)
50
歩き(Motion8)
40
下部ボルトの準備(Motion6)
30
パネルの調整(Motion3)
パネルの取出し(Motion1)
20
パネルの運搬(Motion2)
10
0
1秒
1秒間隔
2秒
2秒間隔
3秒
3秒間隔
4秒
4秒間隔
5秒
5秒間隔
推定区間
図 .4.3.8
推定区間とニューラルネットワークの学習の結果との関係
171
ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 の 結 果 を 単 位 動 作 の 実 測 時 間 で あ る 0.1 秒 毎 に 的 中 率 を
求 め た 結 果 を 表 .4.3.6 に 示 す 。 表 に 示 す 如 く 、 1 秒 幅 の 推 定 区 間 に お け る 全 単 位 作 業 に 対
す る 的 中 率 は 81.97%、2 秒 幅 で は 87.48%、3 秒 幅 で は 86.32%、4 秒 幅 で は 83.58%、5 秒
幅 で は 80.34%と な っ た 。そ の 結 果 は 、表 .4.3.5 に お け る 的 中 率 の 最 大 値 が 4 秒 幅 で あ る の
に 対 し て 、 2 秒 幅 で 最 大 の 的 中 率 を 示 し た 。 ま た 、 的 中 率 の 平 均 は 表 .4.3.5 の 的 中 率 に 比
較 し て 約 8% 低 い 結 果 と な っ た 。 そ の 理 由 を 以 下 の 項 目 に 記 す 。
a.
単 位 動 作 の 実 測 は 0.1 秒 幅 で 行 い 、 推 定 区 間 の 設 定 は 1 秒 幅 を 最 小 単 位 と し て 1 秒 づ
つずらして行ったため生じる誤差。
b.
推 定 区 間 の 幅 が 長 く な る に つ れ 、1 つ の 推 定 区 間 に 含 ま れ る 単 位 動 作 の 特 性 値 が 複 数 に
なることによる誤差。
図 4.3.9 に は 推 定 区 間 の 各 時 間 幅 に つ い て 、 単 位 動 作 の 実 測 し た 時 間 幅 で あ る 0.1 秒 毎
の実測結果に対する推定結果の的中率を示す。図に示す如く、パネル取付け作業の各単位
動 作 は 概 ね 2− 3 秒 幅 の 推 定 区 間 に お い て 最 大 の 的 中 率 を 示 す 。 ま た 、 パ ネ ル 取 付 け 作 業
を 構 成 す る 作 業 時 間 の 比 率 が 2.84% と 最 も 少 な い 「 パ ネ ル 取 出 し 」 は 、 平 均 時 間 が 2.38
秒 で あ る た め 、 推 定 区 間 が 3 秒 幅 以 下 に な る 場 合 、 平 均 時 間 が 10 秒 以 上 で あ る 単 位 作 業
に 比 較 し て 約 40% 低 い 的 中 率 を 示 す 。
表 .4.3.6
推 定 区 間 別 の 0.1 秒 毎 の 学 習 し た 結 果 の 的 中 率
単位 動作
推定区間
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
項目
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
作業時間
(秒)
的中時間
(秒)
的中率
(%)
Motion1
Motion2 Motion3 Motion4
Motion5
Motion6
Motion7
パネルの取 パネルの パネルの 上部ボルト 上部ボルト 下部ボルト 下部ボルト
り出し
運搬
調整
の準備
の取付け
の準備
の取付け
Motion8
歩き
全単位動
作
68.70
133.30
187.80
335.20
520.40
364.80
550.10
206.70
2367.00
40.90
55.60
120.90
315.70
463.60
248.40
512.90
182.30
1940.30
59.53
41.71
64.38
94.18
89.09
68.09
93.24
88.20
81.97
136.40
266.60
375.60
670.40
1040.80
729.60
1100.20
413.40
4733.00
95.50
204.90
292.50
545.50
970.50
644.70
1017.90
368.70
4140.20
70.01
76.86
77.88
81.37
93.25
88.36
92.52
89.19
87.48
203.40
399.60
563.40
1005.60
1561.20
1094.40
1650.30
620.10
7098.00
142.50
308.80
479.80
844.70
1400.60
947.50
1485.90
517.30
6127.10
70.06
77.28
85.16
84.00
89.71
86.58
90.04
83.42
86.32
270.40
531.60
751.20
1340.80
2081.60
1459.20
2200.40
826.80
9462.00
159.60
413.20
613.40
1087.20
1800.80
1232.30
1921.70
679.70 79079.00
59.02
77.73
81.66
81.09
86.51
84.45
87.33
337.40
662.60
939.00
1676.00
2602.00
1824.00
2750.50
134.20
504.30
723.30
1261.30
2262.40
1281.60
2462.20
871.00
9500.30
39.77
76.11
77.03
75.26
86.95
70.26
89.52
84.28
80.34
172
82.21
83.58
1033.50 11825.00
的中率(%)
推定結果0.1秒ごとの的中率(%)
推定区間の構成動作に対す
る 推定結果の的中率(%)
100
90
80
70
60
上部ボルトの準備(Motion4)
50
下部ボルトの取付け(Motion7)
40
上部ボルトの取付け(Motion5)
歩き(Motion8)
30
下部ボルトの準備(Motion6)
20
パネルの調整(Motion3)
パネルの取出し(Motion1)
パネルの運搬(Motion2)
10
0
1秒
1秒間隔
2秒
2秒間隔
3秒
3秒間隔
4秒
4秒間隔
5秒
5秒間隔
推定区間
図 .4.3.9
推 定 区 間 と 0.1 秒 毎 に 学 習 し た 結 果 の 関 係
②認識値の平均を用いた推定結果の算出
学習したニューラルネットワークを用いて求めた各推定区間における認識値を用いて
単 位 動 作 毎 に 算 出 し た 平 均 を 経 過 時 間 1 秒 毎 に 比 較 し 、そ れ が 最 大 で あ る 単 位 動 作 を 推 定
結 果 と し た 。 表 .4.3.7 に は 学 習 デ ー タ に お け る 認 識 値 を 用 い て 算 出 し た 推 定 結 果 の 的 中 率
を示す。表に示す如く、各推定区間におけるニューラルネットワークの学習の結果は概ね
85% の 的 中 率 で あ る の に 比 較 し て 、 認 識 値 の 平 均 を 用 い た 推 定 結 果 の 的 中 率 は 93.77% で
あ っ た 。 そ の 結 果 、 推 定 の 誤 差 が 約 9% 少 な く な っ て い る こ と が 判 る 。
図 .4.3.10 に は 、実 測 し た 経 過 時 間 に お け る 単 位 動 作 に 対 し て 、推 定 結 果 を 比 較 し て 時 系
列に示した事例である。図に示す如く、推定は概ね正確に行っている。また、単位動作が
開始する時点と終了する時点に誤差が生じる確率が高いことを確認した。
図 .4.3.11 に は 、全 作 業 時 間 に 対 す る 単 位 動 作 時 間 の 割 合 と 推 定 結 果 の 的 中 率 の 関 係 を 示
す 。図 に 示 す 如 く 、全 作 業 に 対 す る 割 合 が 5% 以 上 で あ る 場 合 は 90% 以 上 の 的 中 率 で 推 定
で き る こ と と 、 5% 以 下 で も 約 70% の 的 中 率 で 推 定 で き る こ と を 確 認 し た 。
表 .4.3.7
学 習 デ ー タ に お け る 推 定 結 果 の 0.1 秒 毎 の 的 中 率
単位動作
項目
Motion1 Motion2 Motion3 Motion4
Motion5
Motion6
Motion7
Motion8
パネルの パネルの パネルの 上部ボル 上部ボルト 下部ボル 下部ボルト
歩き
取り出し
運搬
調整
トの準備 の取付け トの準備 の取付け
全単位
動作
作業時間
(秒)
68.70
133.30
187.80
335.10
520.40
364.70
550.10
206.70 2366.80
的中時間
(秒)
48.90
124.40
173.80
312.90
496.70
333.50
534.30
194.90 2219.40
的中率
(%)
71.18
93.32
92.55
93.38
95.45
91.45
97.13
173
94.29
93.77
174
9
10分
分
8
分
7
分
6
分
5
分
4
分
3
分
2
分
1
分
0
分
経過時間
推定値
推定結果
(学習データ)
実測値
実測結果
(学習データ)
推定値
推定結果
実測値
実測結果
推定値
推定結果
(学習データ)
実測値
実測結果
推定値
推定結果
(学習データ)
実測結果
実測値
推定値
推定結果
(学習データ)
m2
図 .4.3.10
m5
m5
m4
m4
m2
m2
m7
m7
m2
m3
m3
m7
m7
m6
m6
m7
推定値
推定結果
(学習データ)
実測値
実測結果
m7
実測値
実測結果
推定値
推定結果
(学習データ)
m1
m5
実測値
実測結果
m5
推定値
推定結果
(学習データ)
m1
m1
実測値
実測結果
推定値
推定結果
(学習データ)
実測値
実測結果
推定値
推定結果
(学習データ)
実測値
実測結果
0
秒
m4
m4
m7
m6
m3
m7
m7
m6
m5
m5
m6
m6
m3
m8
m8
m4
m4
m4
m5
m8
m4
m5
m5
m5
m8
m1
m7
m4
m4
20
秒
m7
m7
m7
m7
m1
m2
m2
m7
m5
m5
m6
m6
m5
m5
m2
m2
m4
m4
m6
m6
m3
m8
m3
30
秒
m5
m5
m3
m3
m7
m7
m4
m4
m8
m4
m4
m4
m7
m7
m4
m1
m1
m5
m5
m4
m6
m4
m8
m5
m5
m2
m6
m2
40
秒
m8
m5
m5
m5
m8
m5
m6
m5
m5
m8
m6
m1
m7
m7
m3
m3
m2
m2
m6
m6
m7
m3
m4
m4
m2
m2
m7
m7
m3
m8
m8
m4
m4
m4
m4
m6
m7
m6
m6
m5
m5
m7
m7
m4
m5
m5
m6
60
秒
m5
m5
m7
m7
(注)mは単位動作のMotionを示す
m6
m6
m1
m1
m8
50
秒
経 過 時 間 の 時 系 列 に お け る 実 測 結 果 と 推 定 結 果 の 比 較 ( 作 業 開 始 時 間 か ら 10 分 ま で )
m6
m6
m7
m6
m6
m3
m3
m4
m4
10
秒
100
上部ボルトの取付け
(Motion5)
的中率(%)
80
下部ボルトの取付け
(Motion7)
下部ボルトの準備(Motion6)
60
上部ボルトの準備(Motion4)
40
歩き(Motion8)
パネルの運搬(Motion2)
20
パネルの調整(Motion3)
パネルの取出し(Motion1)
0
0
5
10
15
20
25
全作業時間に対す る構成動作時間の割合(%)
全作業時間に対する単位動作時間の割合(%)
図 .4.3.11
全作業時間に対する単位動作時間の割合と推定結果の的中率の関係
表 4.3.8 に は 実 測 し た 単 位 作 業 の 作 業 時 間 に 対 す る 推 定 結 果 の 作 業 時 間 の 割 合 を 示 す 。
表に示す如く、単位動作の推定結果は以上で示した通り、誤差は前後に実施される単位動
作間に割合が高い、このことから、推定の誤差は推定区間の時間幅に 2 つ以上の単位作業
の特性値が含まれる場合に発生する確率が多いことが判った。
表 .4.3.8
単位動作の実測値の作業時間と推定結果の作業時間の関係
単位動作の推定値
単位動作の実測値
Motion1
パネルの取り出し
Motion2
パネルの運搬
Motion3
パネルの調整
Motion4
上部ボルトの準備
Motion5
上部ボルトの取付け
Motion6
下部ボルトの準備
Motion7
下部ボルトの取付け
Motion8
歩き
実測した作業時間
に対する割合(%)
実測した作業時間
に対する割合(%)
実測した作業時間
に対する割合(%)
実測した作業時間
に対する割合(%)
実測した作業時間
に対する割合(%)
実測した作業時間
に対する割合(%)
実測した作業時間
に対する割合(%)
実測した作業時間
に対する割合(%)
Motion7
Motion6
Motion5
Motion4
Motion3
Motion2
Motion1
Motion8
パネルの パネルの パネルの 上部ボル 上部ボルト 下部ボル 下部ボルト
歩き
トの準備 の取付け トの準備 の取付け
調整
運搬
取り出し
全単位
動作
72.20
10.04
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
17.76
100.00
2.03
93.17
4.05
0.00
0.00
0.00
0.00
0.75
100.00
0.00
3.67
92.71
2.56
1.06
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
2.27
93.68
4.06
0.00
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
3.86
95.66
0.48
0.00
0.00
100.00
0.00
0.00
0.00
0.00
1.84
91.17
6.99
0.00
100.00
0.00
0.00
0.05
0.00
0.00
2.51
96.98
0.45
100.00
0.82
0.00
0.82
0.00
0.00
0.00
3.39
94.97
100.00
③検証データを用いた推定結果
学習デーに基づいて構築したニューラルネットワークを用いて、検証データについて単
位 動 作 の 推 定 を 行 っ た 。 表 .4.3.9 は 検 証 デ ー タ に お け る 単 位 動 作 の 推 定 結 果 の 的 中 率 を 示
す 。 表 に 示 す 如 く 、 検 証 デ ー タ に つ い て の 的 中 率 は 全 単 位 動 作 に つ い て は 87.31% で あ っ
た。その結果、検証データについても高い的中率を達成出来たことを確認した。
図 .4.3.12 は 検 証 デ ー タ の 全 作 業 時 間 に 対 す る 単 位 動 作 時 間 の 割 合 と そ の 的 中 率 の 関 係
175
を 示 す 。図 に 示 す 如 く 、全 作 業 時 間 に 占 め る 割 合 が 高 い 単 位 動 作 が 高 い 的 中 率 を 得 て い る 。
ま た 、時 間 割 合 が 5− 10% 以 下 で あ る 、「 歩 き 」「 パ ネ ル の 調 整 」「 パ ネ ル の 運 搬 」に つ い て
も 、的 中 率 は 概 ね 80% 以 上 を 得 て い る 。こ の こ と か ら 、本 手 法 は 、作 業 に お い て 時 間 の 割
合が少ない単位動作についてもほぼ正確に推定し得ることが判った。
表 .4.3.9
検 証 デ ー タ に お け る 推 定 結 果 の 0.1 秒 毎 の 的 中 率
単位動作
項目
Motion1 Motion2 Motion3 Motion4
Motion5
Motion6
Motion7
パネルの パネルの パネルの 上部ボル 上部ボルト 下部ボル 下部ボルト
取り出し
運搬
調整
トの準備 の取付け トの準備 の取付け
全単位
動作
Motion8
歩き
作業時間
(秒)
14.50
35.50
44.30
77.40
132.60
81.70
126.90
48.80
561.70
的中時間
(秒)
2.40
29.70
35.20
67.70
120.60
63.90
122.80
48.10
490.40
的中率
(%)
16.55
83.66
79.46
87.47
90.95
78.21
96.77
98.57
87.31
100
上部ボルトの取付け
(Motion5)
的中率(%)
80
下部ボルトの取付け
(Motion7)
60
下部ボルトの準備(Motion6)
上部ボルトの準備(Motion4)
40
歩き(Motion8)
パネルの運搬(Motion2)
20
パネルの調整(Motion3)
パネルの取出し(Motion1)
0
0
図 .4.3.12
5
10
15
20
全作業時間に対する単位動作時間の割合(%)
全作業時間に対する構成動作時間の割合(%)
25
検証データの全作業時間に対する単位動作時間の割合と的中率の関係
4.3.4.結
建築作業における推定方法の適用を検討するために、実験室においてパネル取付け作業
の 作 業 実 験 ( 図 .4.3.4 参 照 ) を 行 い 、 0.1 秒 間 隔 で 作 業 者 の 姿 勢 の 6 自 由 度 デ ー タ を 収 集
し た ( 図 .4.3.5 参 照 )。 そ の デ ー タ に 基 づ い て 単 位 動 作 の 推 定 を 行 っ た 。
パ ネ ル 取 付 け 作 業 を 推 定 の 対 象 で あ る 8 つ の 単 位 動 作 に 分 割 し た 。( 図 .4.3.4 参 照 )分 割
し た 各 単 位 動 作 の 実 測 し た 0.1 秒 単 位 の 作 業 時 間 (表 .4.3.3 参 照 )と 収 集 し た 6 自 由 度 デ ー
タを用いて 1 秒幅から 5 秒幅までの推定区間における特性値を算出した。
算出した特性値の類似度を調べるために、単位動作間のクラスタ分析を行った。その結
果 、 特 性 値 は 概 ね 各 単 位 動 作 の 特 性 を 示 し て い る こ と を 確 認 し た 。 (図 .4.3.6 参 照 )
176
ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク ( 表 .4.3.4 参 照 ) を 用 い て 実 施 し た 単 位 動 作 の 推 定 結 果 を 以 下
の項目に示す。
①
推 定 区 間 の ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 結 果 の 的 中 率 : 1 秒 間 隔 − 83.06%、 2 秒 間
隔 − 91.51%、 3 秒 間 隔 ー − 93.49% 、 4 秒 間 隔 − 94.17%、 5 秒 間 隔 − 93.20%(表 .4.3.5
参照)
②
測 定 間 隔 0.1 秒 に お け る ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 結 果 の 的 中 率 : 1 秒 間 隔 −
81.97%、 2 秒 間 隔 − 87.48%、 3 秒 間 隔 ー − 86.32% 、 4 秒 間 隔 − 83.58%、 5 秒 間 隔 −
80.34%(表 .4.3.6 参 照 )
③
測 定 間 隔 0.1 秒 に お け る 学 習 デ ー タ の 推 定 結 果 の 的 中 率 : 93.77%( 表 .4.3.7 参 照 )
④
測 定 間 隔 0.1 秒 に お け る 検 証 デ ー タ の 推 定 結 果 の 的 中 率 : 87.31%( 表 .4.3.9 参 照 )
以 上 の 結 果 、全 作 業 時 間 に 占 め る 割 合 が 高 い 単 位 動 作 は 90% 以 上 の 的 中 率 を 得 て い る し 、
そ の 割 合 が 5∼ 10% 以 下 で あ る 「 歩 き 」「 パ ネ ル の 調 整 」「 パ ネ ル の 運 搬 」 に つ い て も ほ ぼ
80% 以 上 の 的 中 率 を 得 て い る こ と か ら 、時 間 割 が 少 な い 単 位 動 作 に つ い て も ほ ぼ 正 確 に 推
定 す る こ と が 可 能 で あ る こ と が 判 っ た 。 (図 .4.3.12 参 照 )な お 、 推 定 の 誤 差 は 作 業 者 の 姿 勢
が 短 い 時 間 に 垂 直 の 方 向 に 伸 び・縮 み す る「 座 る 」「 立 つ 」の 動 作 が 含 ま れ る 単 位 動 作 に 対
し て 多 く 生 じ る こ と を 明 ら か に し た 。 さ ら に 、 誤 差 の 発 生 要 因 は 、 単 位 動 作 の 実 測 は 0.1
秒幅であるのに対して推定区間の設定は 1 秒幅を最小単位として 1 秒づつずらして行った
た め に 生 じ る 誤 差 及 び 、推 定 区 間 の 幅 が 長 く な る に つ れ て 1 つ の 推 定 区 間 に 含 ま れ る 単 位
動作の特性値が複数になるために生じる誤差であることを明確にした。
以上の検討の結果、提案した推定方法は作業内容の推定において有効であることを確認
した。
177
4.4.結 言
A.作 業 者 の 姿 勢 の 特 性 値
作業内容を推定方法として、作業者の姿勢データを自動収集し、如何なる作業内容を実
施しているかを推定することを提案した。その具体的な内容として、姿勢を測定してデー
タ 化 す る た め の 6 自 由 度 セ ン サ ー を 選 択 し 、そ の 特 性 を 説 明 し( 図 .4.1.1 参 照 )、測 定 方 法
( 図 .4.1.2 参 照 ) に つ い て 提 案 し た 。 作 業 者 に 取 付 け た 「 頭 の セ ン サ ー 」「 腕 の セ ン サ ー 」
「脚のセンサー」の時系列におけるデータの出力事例を示して、センサーの出力データの
特 性 を 明 ら か に し た 。( 図 .4.1.3∼ 図 .4.1.5 参 照 )
センサーから得られる 3 軸の角度データと 3 軸の加速度データを作業内容の推定に用い
る た め に 必 要 な 12 個 の 特 性 値 を 提 案 し た 。各 特 性 値 の 6 自 由 度 デ ー タ か ら の 算 出 過 程( 図 。
4.1.6 参 照 ) 及 び 、 そ の 算 出 式 を 示 し た 。( 表 .4.1.2 参 照 )
提 案 し た 姿 勢 デ ー タ の 特 性 値 の 適 用 を 検 討 す る た め に 、基 本 的 な 作 業 に お け る 6 自 由 度
デ ー タ の 測 定 の 実 験 を 行 い( 表 .4.1.5 参 照 )、測 定 し た「 移 動 」の デ ー タ( 図 .4.1.9 参 照 )、
「 運 搬 」 の デ ー タ ( 図 .4.1.10 参 照 )、「 加 工 」 の デ ー タ ( 図 .4.1.11 参 照 )、「 取 付 け 」 の デ
ー タ ( 図 .4.1.12 参 照 ) の 時 系 列 の 波 形 を 示 し た 。「 加 工 」 の デ ー タ に 基 づ い て 特 性 値 の 算
出 の 過 程 を 示 し( 図 .4.13 参 照 )、算 出 し た 12 個 の 特 性 値 の 時 系 列 に お け る 波 形 を 示 し た 。
( 図 .4.1.17、 図 .4.1.18 参 照 ) そ の 結 果 、 作 業 者 の 頭 ・ 腕 ・ 脚 に 装 着 し た 3 つ の セ ン サ ー
のデータから算出した特性値は作業者の姿勢を表していることを確認した。また、測定し
たデータの時系列における特性値の波形は単位動作ごとに変化していることを確認した。
以上の検討結果、提案した作業者の姿勢の測定方法とデータの特性値は作業内容の推定
において有効であることを確認した。
B.作 業 者 の 姿 勢 の 特 性 値 に 基 づ い た 作 業 内 容 の 推 定 方 法
収 集 し た 作 業 者 の 姿 勢 の 6 自 由 度 デ ー タ か ら 算 出 し た 12 個 の 特 性 値 を 用 い た 単 位 動 作
の推定方法の提案を行った。まず、実行する単位作業の時間幅のばらつきによる推定誤差
を 無 く す た め の 、 多 段 階 に よ る 推 定 区 間 の 設 定 方 法 を 提 案 し た 。( 図 .4.2.1 参 照 )
ニューラルネットワークを用いて、特性値に基づいた推定区間における単位動作の認識
値 の 算 出 方 法 を 提 案 し た 。( 図 .4.2.2 参 照 )推 定 区 間 毎 に 各 時 点 に お い て 求 め ら れ た 認 識 値
の平均を求め、この平均が最大の単位動作を推定結果とすることによる、推定の精度を向
上 さ せ る 方 法 を 提 案 し た 。( 図 .4.2.3 参 照 )
提 案 し た 推 定 方 法 の 適 用 を 検 討 す る た め に 、 基 本 的 な 作 業 ( 図 .4.2.5 参 照 ) に お け る 実
験 を 行 い 、収 集 し た デ ー タ に 基 づ い て 推 定 を 実 施 し た 結 果 、学 習 デ ー タ の 的 中 率 は 93.59%
178
で あ り ( 表 .4.2.4 参 照 )、 検 証 デ ー タ の 的 中 率 は 76.34%で あ っ た 。( 表 .4.2.6 参 照 ) こ の 結
果、推定方法による単位動作の的中率は推定区間の幅に関係していることを明らかにし、
複数の推定区間を用いた総合的評価による推定方法が有効であることを確認した。
以上の検討の結果、提案した推定方法は単位動作の推定において有効であることを確認
した。
C.パ ネ ル 取 付 け 作 業 に お け る 適 用
建築作業における推定方法の適用を検討するために、パネル取付け作業の作業実験
( 図 .4.3.4 参 照 ) を 行 い 、 作 業 者 の 姿 勢 の 6 自 由 度 デ ー タ を 収 集 し た ( 図 .4.3.5 参 照 )。 そ
のデータに基づいて単位動作の推定を行った。
パ ネ ル 取 付 け 作 業 を 推 定 の 対 象 で あ る 単 位 動 作 に 分 割 し た 。( 図 .4.3.4 参 照 )分 割 し た 各
単 位 動 作 の 作 業 時 間 の 実 測 値 ( 表 .4.3.3 参 照 ) と 収 集 し た 6 自 由 度 デ ー タ を 用 い て 1 秒 幅
から 5 秒幅までの推定区間における特性値を算出した。
ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク ( 表 .4.3.4 参 照 ) で 単 位 動 作 の 学 習 を 行 っ た 結 果 、 的 中 率 が ほ
ぼ 80% 以 上 を 達 し 得 る こ と が 出 来 た ( 表 .4.3.5、 表 .4.3.6 参 照 )。 そ こ で 、 推 定 方 法 に お け
る 誤 差 の 発 生 要 因 と 単 位 動 作 の 関 係 を 明 ら か に し た 。( 図 .4.3.8、 図 .4.3.9 参 照 )
ニューラルネットワークの認識値の平均による推定結果の学習データの的中率は
93.77%で あ り ( 表 .4.3.7 参 照 )、 検 証 デ ー タ の 的 中 率 は 87.31%で あ っ た ( 表 .4.3.9 参 照 )。
この結果、本推定方法で単位動作をほぼ正確に推定することが可能であることを明らかに
し た 。な お 、推 定 の 誤 差 は 作 業 者 の 姿 勢 が 短 い 時 間 で 垂 直 の 方 向 に 伸 び ・ 縮 み す る「 座 る 」
「立つ」の動作が含まれる単位動作に多く生じることを明らかにした。
以上の検討の結果、提案した推定方法は作業内容の推定において有効であることを確認
した。
179
第5章
結論
第 5章
結論
A.作 業 方 法 の 選 定 方 法 に 関 す る 研 究 に つ い て ( 第 2 章 )
①作業プロセスの作成を用いた作業のモデル化(2 章 1 節)
作 業 の 要 素 を 「 作 業 者 」「 部 材 」「 部 位 」「 情 報 」 と 定 義 し 、 作 業 間 の 順 序 関 係 を 「 作 業
条 件 」「 作 業 方 法 」「 作 業 結 果 」を 用 い て 定 義 し た 。( 図 .2.1.2 参 照 )さ ら に 、作 業 条 件 の 検
討 に よ る 達 成 さ せ る 先 行 の 作 業 の 設 定 、作 業 方 法 の 選 択 に お け る 評 価 項 目 と 代 替 案 の 設 定 、
作業結果の検討による後続の作業条件に必要とする後行の作業の設定による作業のモデル
の 具 現 化 方 法 を 提 案 し た 。( 図 .2.1.3 参 照 )
なお、鋼製壁下地取付け作業における実態調査結果に基づいて、単位作業の分類項目で
あ る 「 取 付 け 」「 加 工 」「 運 搬 」「 計 測 」「 移 動 」「 取 外 し 」 の 作 業 の モ デ ル を 作 成 し
( 図 .2.1.10∼ 図 .2.1.15 参 照 )、 提 案 し た 方 法 が 作 業 間 の 順 序 関 係 を 明 確 に し 、 作 業 方 法 の
選定に必要な評価項目の表現が有効であることを確認した。
②機能抽出と機能展開を用いた作業方法の発想(2 章 2 節)
作業を機能として捉え、網羅的に機能を抽出するための方法として「作業結果に基づく
機能抽出」と「付随的作業結果の問題点に基づく機能抽出」を提案し、その手順と表現方
法 を 示 し た 。( 図 .2.2.1∼ 図 .2.2.4 参 照 ) さ ら に 、 抽 出 し た 機 能 か ら 新 た な 作 業 方 法 を 発 想
す る た め の 上 位 機 能 へ の 展 開 方 法 と し て「 作 業 に 対 す る 上 位 機 能 の 追 求 」「 表 現 文 に 対 す る
上 位 機 能 の 追 及 」「 部 材 に 対 す る 形 状 の 抽 象 化 」「 部 材 に 対 す る 材 質 の 抽 象 化 」「 構 文 に 対
する類似構文の検索」の 5 つを提案し、その内容を示した。
な お 、 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 実 態 調 査 結 果 に 基 づ い て 、「 ラ ン ナ 材 を 鋲 打 ち 銃
を 用 い て コ ン ク リ ー ト ス ラ ブ に 打 ち 付 け る 」 に 対 す る 機 能 抽 出 を 行 っ た 。( 図 .2.2.8 、
図 .2.2.9 参 照 ) ま た 、 5 つ の 機 能 展 開 の 方 法 を 用 い て 「ラ ン ナ 材 を ス ラ ブ に 取 付 け る 」対 す
る機能展開と作業方法の発想を行い、提案した方法が体系的な発想に有効であることを確
認 し た 。( 図 .2.2.10∼ 図 .2.2.14 参 照 )
③一対比較を用いた作業方法の選択(2 章 3 節)
作 業 方 法 の 代 替 案 を 選 択 す る 方 法 と し て 一 対 比 較 に よ る AHP 手 法 を 採 り 上 げ 、 評 価 項
目 間 の 階 層 構 造 の 作 成 ( 図 .2.3.2 参 照 ) と 比 較 に 用 い る 評 価 項 目 の 内 容 ( 図 .2.3.3 参 照 )
を提案した。
な お 、 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 に お け る 「 ラ ン ナ 取 付 け 」「 ス タ ッ ド 取 付 け 」「 振 れ 止 め 取
180
付け」の作業方法の代替案に対する評価及び、選択を行い、実測した作業方法に対する選
択 し た 結 果 の 比 較 を 行 っ た 。( 表 .2.3.19、 表 .2.3.21、 表 .2.3.23 参 照 ) そ の 結 果 、 計 画 者 が
作業の実施において重要視する差異によって選択する作業方法の結果が異なり、提案した
方法が作業方法の選択に有効であることを確認した。
B.作 業 時 間 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究 に つ い て ( 第 3 章 )
①作業の実績に基づいた作業時間の推定(3 章 1 節)
作 業 時 間 の 推 定 に 使 用 し て い る 特 性 値 ( 表 .3.1.1 参 照 ) の 問 題 点 を 述 べ た 。 そ れ に 基 づ
いて、作業時間の推定における特性値は、取付けの部位ごとに単位作業のレベルで作業の
実 績 を 測 定 す る 必 要 が あ る こ と を 示 し 、 そ の 算 出 方 法 と 手 順 を 提 案 し た 。( 図 .3.1.1 参 照 )
な お 、鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 実 態 調 査 に 基 づ い て 、作 業 時 間 と 施 工 量 の 測 定 を 行 っ た 。
作業時間を要素作業レベルで測定し、単位作業とまとまり作業で合計した結果を示した。
取 付 け の 部 位 ご と に 測 定 し た 作 業 時 間 の 統 計 値( 表 .3.1.2∼ 表 .3.1.7 参 照 )と ま と ま り 作 業
に 占 め る 単 位 作 業 の 作 業 時 間 の 割 合 ( 図 .3.1.5∼ 図 .3.1.12 参 照 ) を 示 し た 。 施 工 量 を 取 付
け の 部 位 の 形 状 別 に 測 定 し 、部 位 毎 に 合 計 し た 結 果 を 示 し た 。( 表 .3.1.8 参 照 )各 取 付 け の
部位における測定した作業時間と施工量を用いて特性値の算出し、その結果を示した。
( 表 .3.1.9 参 照 ) そ の 分 析 結 果 、 取 付 け の 部 材 の 長 さ ・ 面 積 等 の 積 算 し た 施 工 量 を 用 い て
作業時間を推定し得ることを確認した。
②作業者の動作に基づいた作業時間の推定(3 章 2 節)
作業者の動作を作業時間の推定に用いる場合、単位動作レベルの作業分割が必要である
こ と を 示 し た 。 MOST 手 法 に お け る シ ー ケ ン ス ・ モ デ ル を 用 い て 単 位 動 作 の 時 間 設 定 を 行
い( 図 .3.2.2 参 照 )、要 素 作 業 レ ベ ル の 作 業 時 間 を 推 定 す る 手 順 を 示 し た( 図 .3.2.1 参 照 )。
なお、木製壁下地取付け作業の実態調査に基づいて、1 本の部材の取付け作業における
要 素 作 業 レ ベ ル の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し た 。( 表 .3.2.4)作 成 し た 推 定 式 と 実 測 し た 要
素 作 業 の 発 生 の 回 数 ( 表 .3.2.5、 表 .3.2.6) を 用 い て 作 業 時 間 の 推 定 値 を 算 出 し た 。 算 出 し
た 作 業 時 間 の 推 定 値 と 実 測 値 の 相 関 係 数 は 0.82 で あ っ た 。( 図 .3.2.14 参 照 )そ の 結 果 、作
業者の動作に基づいた作業時間の推定は有効であることを確認した。更に、取付けの部位
別 の 相 関 関 係 を 調 べ た 結 果 、 相 関 係 数 が 0.79∼ 0.91 で あ り ( 図 .3.2.15∼ 図 .3.2.18)、 相 関
係数が低くなる作業も存在することが判った。即ち、部材の取付けに高い精度が要求され
る ほ ど 、寸 法 の 計 測 と 取 付 け 位 置 の 調 整 に お け る「 戸 惑 い 」「 考 え る 」の 発 生 率 が 高 く な る
ため、相関係数が低くなることを明らかにした。
181
③作業の条件に基づいた作業時間の推定(3 章 3 節)
作 業 の 条 件 を 作 業 時 間 の 推 定 に 用 い る 場 合 、「 数 量 的 条 件 」 と 「 質 的 条 件 」 に 分 類 す る
こ と を 示 し た 。「 数 量 的 条 件 」の 内 容 を 定 義 し 、重 回 帰 分 析 を 用 い た 作 業 時 間 の 推 定 手 順 を
示 し た 。( 図 .3.1.1 参 照 ) ま た 、「 質 的 な 条 件 」 の 内 容 を 定 義 し 、 数 量 化 Ⅰ 類 手 法 を 用 い た
作 業 時 間 の 推 定 手 順 を 示 し た 。 (図 .3.3.2 参 照 )
なお、壁石膏ボード取付け作業の実態調査に基づいて、取付け作業における単位作業レ
ベ ル の 時 間 値 と 数 量 的 条 件 を 測 定 し た 。( 表 .3.3.1、 表 .3.3.2 参 照 ) 測 定 し た 実 測 値 を 用 い
て 単 位 作 業 の 分 類 項 目 に お け る 「 移 動 」「 運 搬 」「 計 測 」「 加 工 」「 取 付 け 」 の 作 業 時 間 の 推
定 式 を 作 成 し( 表 .3.3.3∼ 表 .3.3.8 参 照 )、推 定 式 の 信 頼 度 を 示 し た 。( 表 .3.3.3∼ 3.3.9)推
定 式 を 用 い て 算 出 し た 作 業 時 間 の 実 測 値 と 推 定 値 の 相 関 係 数 は 0.82 ∼ 0.99 で あ っ た 。
( 図 .3.3.10∼ 図 .3.3.15 参 照 ) そ の 結 果 、「 数 量 的 条 件 」 に 基 づ い た 作 業 時 間 の 推 定 は 有 効
で あ る こ と を 確 認 し た 。ま た 、「 加 工 」と「 計 測 」は 取 付 け る ボ ー ド の 形 に よ る 影 響 が 大 き
いことを明らかにした。
な お 、 鋼 製 壁 下 地 取 付 け 作 業 の 実 態 調 査 に 基 づ い て 、「 ス タ ッ ド 材 を 手 に 持 っ て 運 ぶ 」
「ランナ材を鋲打ち銃を用いてコンクリートスラブに打ち付ける」における要素作業レベ
ル の 時 間 値 と 質 的 条 件 及 び 、数 量 的 条 件 を 測 定 し た 。( 表 .3.3.9∼ 表 .3.3.11 参 照 )測 定 し た
実 測 値 を 用 い て 要 素 作 業 の 作 業 時 間 の 推 定 式 を 作 成 し ( 表 .3.3.13∼ 表 .3.3.25 参 照 )、 推 定
式のとカテゴリースコアを示した。推定式を用いて算出した作業時間の実測値と推定値の
相 関 係 数 は 0.82∼ 0.98 で あ っ た 。( 図 .3.3.21∼ 図 .3.3.30 参 照 )そ の 結 果 、質 的 条 件 に 基 づ
いた作業時間の推定は有効であることを確認した。
C.作 業 内 容 の 推 定 方 法 に 関 す る 研 究 に つ い て ( 第 4 章 )
①作業者の姿勢の特性値(4 章 1 節)
作 業 者 の 姿 勢 を 測 定 し て デ ー タ 化 す る た め の 機 器 と し て 6 自 由 度 セ ン サ ー を 選 択 し 、そ
の 特 性 を 説 明 し ( 図 .4.1.1 参 照 )、 装 着 方 法 ( 図 .4.1.2 参 照 ) に つ い て 提 案 し た 。 さ ら に 、
センサーから得る「3 軸の角度データ」と「3 軸の角度データ」の特性と姿勢の動きの相
関関係を分析し、推定を行う時間幅である推定区間について、2 箇所の身体部位間の「位
置 関 係 」「 位 置 関 係 の 変 動 」「 位 置 関 係 の 動 き の 速 さ 」及 び 、「 身 体 部 位 の 動 き の 速 さ 」を 表
す 12 個 の 特 性 値 を 提 案 し た 。( 表 .4.1.2 参 照 )
な お 、基 本 的 な 姿 勢 に お け る 6 自 由 度 デ ー タ の 測 定 の 実 験 を 行 い( 表 .4.1.5 参 照 )、測 定
し た デ ー タ が 正 確 に 姿 勢 の 変 化 を 表 し て い る こ と を 確 認 し た ( 図 .4.1.9∼ 図 .4.1.12 参 照 )。
測 定 し た デ ー タ に 基 づ い て 特 性 値 の 算 出 の 過 程 を 示 し ( 図 .4.13 参 照 )、「 加 工 」 の 作 業 を
182
事 例 と し て 時 系 列 に お け る 算 出 し た 12 個 の 特 性 値 の 変 動 を 示 し た 。( 図 .4.1.17、図 .4.1.18
参照)その結果、センサーデータは頭・腕・脚の動きを正確に表し得ることを確認した。
②作業者の姿勢の特性値に基づいた作業内容の推定方法(4 章 2 節)
作 業 者 の 姿 勢 の 6 自 由 度 デ ー タ か ら 算 出 し た 12 個 の 特 性 値 を 用 い た 作 業 内 容 の 推 定 方
法として、特性値を安定させるために多段階による推定区間の設定方法を提案した。
( 図 .4.2.1 参 照 ) ま た 、 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 用 い て 特 性 値 か ら 単 位 動 作 の 認 識 値 を
算出し、各時点において認識値の平均を求め、この値が最大の単位動作を推定結果とする
方 法 を 提 案 し た 。( 図 .4.2.3 参 照 )
な お 、 基 本 的 な 作 業 動 作 ( 図 .4.2.5 参 照 ) に お け る 作 業 実 験 を 行 い 、 収 集 し た デ ー タ に
基 づ い て 推 定 を 行 っ た 結 果 、 学 習 デ ー タ に よ る 推 定 の 的 中 率 は 93.59 % で あ り ( 表 .4.2. 4
参 照 )、検 証 デ ー タ の 的 中 率 は 76.34%で あ っ た 。( 表 .4.2.6 参 照 )そ の 結 果 、単 位 動 作 の 的
中率は推定区間の長さに関係していることを明らかにし、複数の推定区間の認識値を総合
的に評価する方法は有効であることを確認した。
③パネル取付け作業における適用(4 章 3 節)
パ ネ ル 取 付 け 作 業 の 作 業 実 験 ( 図 .4.3.4 参 照 ) を 行 い 、 作 業 者 の 姿 勢 の 6 自 由 度 デ ー タ
を 収 集 し た( 図 .4.3.5 参 照 )。そ の デ ー タ に 基 づ い て 、提 案 し た 推 定 方 法 を 用 い た 単 位 動 作
の推定を行った。
ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク ( 表 .4.3.4 参 照 ) で 単 位 動 作 の 推 定 を 行 っ た 結 果 、 検 証 デ ー タ
で 的 中 率 が ほ ぼ 80% 以 上 を 達 し 得 る こ と が 出 来 た ( 表 .4.3.5 参 照 )。 認 識 値 の 総 合 的 な 評
価 方 法 を 用 い た 学 習 デ ー タ の 的 中 率 は 93.77%で あ り ( 表 .4.3.7 参 照 )、 検 証 デ ー タ の 的 中
率 は 87.31%で あ っ た ( 表 .4.3.9 参 照 )。 こ の 結 果 、 本 方 法 で 作 業 を ほ ぼ 正 確 に 推 定 す る こ
とが可能であることを明らかにした。
183
本研究に関する筆者の研究
研究業績
種 類 別
題名
発表・発行掲載誌名
発表・発行年月日
連名者
論文○
建築工事における作業内容の推定方法
に関する研究−6 自由度データに基づく
構成動作の推定方法―
日本建築学会計画系
論文集
2003 年 2 月
蔡、嘉納
論文○
建築工事における作業推定システ
ムに関する研究
日本建築学会建築
生産シンポジウム
論文集
2002 年 7 月
蔡、嘉納
論文○
建築工事における生産性に関する
研究−作業方法の選択プロセスの
開発−
日本建築学会建築
生産シンポジウム
論文集
2001 年 7 月
蔡、嘉納
講演○
建築工事における生産性に関する
研究−6 自由度データを用いた作
業内容の推定方法の提案と検証−
日本建築学会学術
講演梗概集
2002 年 8 月
蔡、嘉納
講演○
建築工事における生産性に関する
研究−生産プロセスの具現化−
日本建築学会学術
講演梗概集
2001 年 9 月
蔡、嘉納
講演
内装仕上げ工事の壁ボード張り工
事に関する研究―壁ボード取り付
けの作業時間に関する研究―
日本建築学会関東
支部研究報告集
2001 年 3 月
末弘、蔡、
嘉納
講演○
建築工事における生産性に関する
研究―鋼製壁下地工事の運搬作業
の数量化による時間推定―
日本建築学会学術
講演梗概集
2000 年 9 月
蔡、嘉納
講演○
建築工事における生産性に関する
研 究 − MOST 手 法 の 有 効 性 に 関 す
る研究−
日本建築学会学術
講演梗概集
1999 年 8 月
蔡、嘉納
講演○
建築工事における生産性分析に関
す る 研 究 − BASIC MOST 手 法 を
用いた木造間仕切り壁の軸組工事
の調査分析−
日本建築学会関東
支部研究報告集
1999 年 3 月
蔡、嘉納
講演○
工事現場におけるシステムシミュ
レーションに関する研究−逆打ち
工法における掘削工事のシミュレ
ーション−
日本建築学会関東
支部研究報告集
1998 年 3 月
蔡、嘉納
謝
辞
本論文は、筆者が早稲田大学建築学科嘉納研究室において、修士
課程から行って来た建築工事における作業内容の推定方法に関する
研 究 を 取 り 纏 め た も の で あ る 。本 研 究 の 完 成 に 当 っ て は 、下 記 の 方 々
の厚意あるご指導と多大な御協力を頂いたことを記し、ここに改め
て深甚なる感謝の意を表したい。
恩師である早稲田大学嘉納成男教授には、修士課程以来、日本語
の使い方を初め、研究に対する姿勢までの全般にわたり終始懇切な
る 御 指 導 と 御 鞭 撻 を 賜 っ た 。更 に 、本 論 文 を 纏 め る こ と の 御 勧 め と 、
論文全般に亙る数多くの貴重な御示唆を頂いた。
同大学の小松幸夫教授、輿石直幸助教授には、論文審査の労を煩
わし、数々の貴重な御助言を頂いた。
北九州市立大学の三根直人教授には、数々の貴重な御助言を頂い
た。
本研究の調査・方法の適用を進める上で、嘉納研究室における諸
先輩方、同期、及び後輩の皆さんには、日本での生活を含め、多く
の御助言と御協力を頂いた。
最後に、私が論文を纏めている長い間、心の支えになってくれた
母国の両親と兄弟、傍らから見守っていてくれた妻孫貞民、1 月に
生まれた息子旭に心から感謝する。
2003 年 3 月
筆者
Fly UP