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資料2 第2回知的基盤整備特別委員会 議事録
資料2 産業構造審議会産業技術分科会・日本工業標準調査会合同会議 平成24年度第2回知的基盤整備特別委員会 1.日 時:平成24年6月5日(火) 2.場 所:経済産業省 議事録(案) 10:00~12:10 別館1120共用会議室 3.出席者委員:北澤委員長、青山委員、小野委員、小嶋委員、高橋委員、田野倉委 員 、 中 村 委 員 、 成 田 委 員 ( 土 屋 代 理 )、 松 田 委 員 、 松 本 委 員 ( 上 森 代 理)、 安 井 委 員 、 唯 根 委 員 4.議 題: (1)前回議事録の確認 (2)新たな対応の方向性(各論) (3)その他 5.配布資料: 資料1 委員名簿 資料2 第1回知的基盤整備特別委員会 資料3 知的基盤整備における新たな対応の方向性(案) 資料3-1 計量標準分野 資料3-2 微生物遺伝資源分野 資料3-3 地質情報分野 議事録(案) 資料3-4-1 情報技術への対応 資料3-4-2 公共データの開放・利活用の推進 資料4 今後のスケジュール(案) 参考資料1 参考資料集 -計量標準分野- 参考資料2 参考資料集 -微生物遺伝資源分野- - 1 - 参考資料3 参考資料集 -地質情報分野- 参考資料4 参考資料集 -情報技術への対応- 参考資料5 我が国の知的基盤の活用事例集 6.議 事: ○藪内知的基盤課長 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまよ り産業構造審議会産業技術分科会・日本工業標準調査会の合同会議、平成24年度第2回知 的基盤整備特別委員会を開催させていただきます。 ○北澤委員長 それでは、まず事務局より本日の委員の出欠状況、配布資料の確認をお 願いいたします。 ○藪内知的基盤課長 まず、委員の出欠状況について御説明いたします。 本日は、長我部委員と海堀委員が欠席でございます。また、成田委員も欠席でございま すが、代理として土屋様、それと松本委員も欠席でございますが、代理として上森様にお 越しいただいております。また、本日はオブザーバーとしまして、前回に続き、文部科学 省より柿田基盤研究課長にお越しいただいております。そのほかに産業技術総合研究所よ り、計測標準研究部門長の千葉様と、同じく産業技術総合研究所の地質分野の副研究統括 の矢野様、さらに製品評価技術基盤機構のバイオテクノロジーセンター所長の中川様にも オブザーバーとしてお越しいただいております。 次に、お手元にございます配布資料の確認をさせていただきます。 資料1「委員名簿」、資料2「第1回知的基盤整備特別委員会議事録(案)」、資料3 が 「 知 的 基 盤 整 備 に お け る 新 た な 対 応 の 方 向 性 ( 案 ) 」 と い た し ま し て 、 3 ― 1 、 3― 2、3―3、3―4―1、3―4―2、それと資料4が「今後のスケジュール(案)」。 そして参考資料1、2、3、4、5となっております。資料について過不足ございません でしょうか。 ○北澤委員長 よろしいでしょうか。 議題1:前回議事録の確認 ○北澤委員長 それでは、早速議事に入らせていただきます。 お 手 元 の 議 事 次 第 に 従 っ て 進 め さ せ て い た だ き ま す 。 ま ず 、 議 題 1 「 前 回 議 事 録 の確 認」につきまして、事務局からお願いいたします。 - 2 - ○藪内知的基盤課長 議事録の確認の前に、皆さん、ちょっと部屋が暑うございますの で、できましたら上着をおとりいただいて結構でございますので、暑い方はお脱ぎくださ いませ。 お手元に事務局にて作成いたしました前回の議事録の案を、資料2として配布させてい ただいております。内容を御確認いただきまして修正等ございましたら、後日、事務局ま で御連絡ください。 議題2:新たな対応の方向性(各論) ○北澤委員長 次 に 、 議 題 2 「 新 た な 対 応 の 方 向 性 ( 各 論 ) 」 に つ き ま し て 、 計 量標 準・標準物質、微生物遺伝資源、地質情報、情報化対応の4分野につきまして事務局から 説明をお願いいたします。 ○藪内知的基盤課長 今紹介がありましたように、「新たな対応の方向性(各論)」に ついてこれからご説明いたしますが、その前に、参考資料5というのをお手元にご用意い ただけますでしょうか。とかく知的基盤整備というのは、一体どんなふうに活用されてい るのか具体的によくわからないという声をいろいろなところで聞きますので、本日は、や やかき集めた感はあるのでございますけれども、知的基盤の活用事例集としまして100を 用意いたしました。この資料集の作成に当たりましては、産業技術総合研究所の計測標準 部門や地質部門、それとNITEのバイオテクノロジーセンターの方々に大変ご協力いた だきました次第でございます。 簡単に幾つか説明したいと思います。まず、計量標準のところですが、19番というのを お開きいただけますでしょうか。「19.計量標準の活用事例 ─次世代光源のためのLE D測光標準開発─」。LEDというのは、御存じのように、白色LEDの開発によって次 世代の代替省エネ光源として今脚光を浴びているわけですけれども、LEDからの光は従 来の光源と大きく異なりまして、分光分布、配光分布をもつため、従来養われてきた光を 測定する方法や標準がそのまま使用できないという問題がありました。これを産総研にお いてLEDの測光標準を確立し、LEDのための標準器の開発を行った結果、信頼の高い 明るさ、計測を通じたLEDの普及に貢献しているということでございます。 それと、飛び飛びでございますが、23番を御覧いただけますでしょうか。標準物質の活 用事例としましてEUにおけるRoHS指令、2006年に発効したわけですけど、これは、 電気電子機器中に特定の有害物質を含んでいるものについてはEUに輸出してはいけない - 3 - という指令でございます。この指令のおかげで、この指令をクリアしないと電気電子機器 の欧州への輸出ができないため、日本国内で大変大きな問題となりました。これを産業技 術総合研究所が、RoHS指令にあります化学物質の標準物質を開発し、整備し、供給す ることによって、電気電子製品の規制対象物質の含有量の把握が可能となり、我が国から EU向けの輸出が支障なく実施されたというものでございます。 次に、バイオテクノロジー分野でございますが、40番を御覧いただけますでしょうか。 微生物遺伝資源の活用事例としましては、ライフイノベーション創出の支援ということで ありますが、創薬においては、微生物が作り出す化学物質を利用した医薬品が昔から開発 されております。有名なところでいいますと、青カビから抗生物質のペニシリンができた り、最近では高脂血症薬のメバロチンだとか、免疫抑制剤としてのタクロリムスというの が放線菌などからつくられているところでございます。 また、42番を御覧いただけますでしょうか。最近は、抗菌グッズなどというのがちまた でたくさん出回っておりますが、国民の清潔志向によって抗菌加工製品の市場は近年大き く 拡 大 し て お り ま す 。 一 方 、 こ れ ら 製 品 に 対 す る 国 民 の 信 頼 を 得 る た め に は 、 抗 菌 の性 能、つまり効果を評価することが必要となってまいります。大腸菌や黄色ブドウ球菌を用 いた試験によって抗菌性能の評価が可能となり、それらの試験はJIS、日本工業規格化 されて企業等で実施されているわけであります。こういった検定菌をNITE等が供給し ているところでございます。 それと、やや駆け足で恐縮ですが、47番を御覧いただけますでしょうか。紅 麴菌という ものがいるのですけれども、紅 麴菌というのは、 古くから日本を始め中国、台湾とかで原 料や色素として利用されている麹菌なのでありますが、それが最近、モナコリンKという 化学物質を作ることがわかって、これは高コレステロール血症治療薬開発への貢献に役立 っているところでございます。 次に、駆け足でまた恐縮なのですけれども、71番を御覧いただけますでしょうか。今度 は地質情報でございます。71番の活断層データベースの活用事例でございますが、日本全 国でこれまでに知られている長さ10キロ以上の活断層のデータを収録し、産総研の地質部 門において、データベースとして作っているところでございます。このような活断層がど こにあるのか、それぞれの活断層がどのような性質をもっているか、このデータベースに よって調べることができます。こういったデータベースを自治体の防災計画の基礎情報や 耐震改修促進計画に採用し、防災とか耐震改修促進への情報提供としてさまざまな自治体 - 4 - において使われているところでございます。 それと、また飛んで恐縮です、79番でございますが地質地盤図の活用事例。地質地盤図 の活用によって、地盤特性からわかる地震動の特性を地図で示すことによって、地域の防 災に向けた高精度な地震動増幅率マップというのが作られるようになってきているところ でございます。 一番最後のページ、データベースでございます。100番目に「NGFガラスデータベー ス」というのがありますが、これはニューガラスフォーラムによって運営されております ガラスのデータベースであります。ガラスという非常に狭い範囲ではありますが、ガラス の 組 成 や 特 性 を 中 心 と し た 様 々 な ガ ラ ス 情 報 の デ ー タ ベ ー ス で あ り ま す が 、 こ れ は 年々 歳々アクセス数が増えていて、過去10年間に知的基盤整備において作ったデータベースの 中 で は 、 今 で も 使 わ れ て い る 非 常 に 数 少 な い デ ー タ ベ ー ス と な っ て い る 次 第 で ご ざ いま す。 大変駆け足でございましたが、一応知的基盤整備の活用事例集ということで用意させて いただきましたので、また後ほど御覧いただければありがたいと思っております。 (1)計量計測・標準物質 ○籔内知的基盤課長 それでは、新たな対応の方向性としまして、まず計量標準・計測 物質について御説明いたします。資料3―1をお手元にご用意いただけますでしょうか。 1ページ目でございます。我が国における計量標準整備プロジェクトの推進の現状でご ざいます。我が国の計量標準の開発・供給は、欧米に比べて整備が遅れていたため、科学 技術基本計画に基づいて、2001年から2010年までに計量標準、標準物質を目標設定し、そ れを整備してまいったわけであります。その結果、欧米並みの水準を達したところであり ます。 欧米の国家計量標準機関との比較においても、産総研は国際的にトップクラスの計量標 準の研究開発能力を有し、計量標準の質と品目は欧米とほぼ遜色ない規模まで整備できた のではないかというふうに考えております。 一方、その間欧米各国は、国家戦略上、計量標準整備をイノベーションのインフラとし て明確に位置づけ、特にアメリカ、イギリスにおいてはイノベーション創出のかなめとし て、計量・計測の研究や技術の高度化、計量標準の開発が国家戦略として、戦略プログラ ムとして今走らせているところでございます。 - 5 - 「問題点の整理」でございますが、現在、日本は計量標準の分野において、骨太の国家 戦略方針を早急に策定する必要があるのではないかと思っております。アメリカやイギリ スが計量・計測関係の骨太の国家戦略を今実施しようとしている中、ここで日本の対応が 遅れれば、これまでの10年と同じように欧米へのキャッチアップに終始し、イノベーショ ンやものづくり基盤の整備が立ち遅れ、国際競争力の低下につながるおそれがあるのでは ないかというふうに考えております。 それと、ユーザーニーズを踏まえた計量標準整備ということで、これまで産総研は、真 にエンドユーザーの声を反映した整備を行ってきたのでしょうかということ。それと、今 後は新たなユーザーニーズを的確に反映する仕組みを講ずることによって、適時かつ迅速 な計量標準整備を促進することが重要なのではないかというふうに考えております。 また、わかりやすく使いやすい計量標準の整備になっていたのかという懸念があるとこ ろでございます。ユーザーと整備側との間でコンサルテーション等の機会を設けて、より 使いやすい計量標準の整備を目指していくことが重要なのではないかということでござい ます。 さらにJCSS制度や計量トレーサビリティ、不確かさについては、依然として中堅・ 中小企業を初め多くの事業者に理解が浸透していない状況にあることから、利用者のメリ ットを具体的に情報提供したものを用意する必要があるのではないか。例えば先ほど御紹 介しました知的基盤整備の活用事例集なども、そういったものになると思います。 それと、新たな研究開発の体制整備。近年の計量標準においては、技術イノベーション を支援する技術的な基盤として、さらには社会の安心・安全を守るさまざまな取決めの実 効性や正確性を担保する役割も期待されているのではないか。 また、電気計測器の性能の複雑化や規制対象物質の急増によって、計量・計測のニーズ も複雑化・多様化しております。さらに中堅・中小企業を取り巻く産業構造の変化によっ て、中堅・中小が使える実用標準の必要性も高まりをみせているところでございます。 産総研には、これらすべての役割への貢献が求められておりますが、このようなニーズ の 多 様 化 に 産 総 研 一 機 関 で 対 応 す る こ と は 誠 に 困 難 で あ る と 思 っ て お り ま す 。 し た がっ て、新たな計量標準の整備に他の機関が積極的に関与するオールジャパンの研究開発の体 制が求められているのではないかということです。 また、多様なニーズに対応する計量標準の供給と活用ということでございますが、市場 ニーズに即応できるような標準の供給、校正範囲の拡大、種類の拡充、品質の向上など多 - 6 - 様な対応が求められております。 また、国内製造業の99%を占めます中堅・中小企業については、国内市場の縮小により 国際的な分業の構造を取り込むことが重要であります。また、今後は系列外取引が増加す ることが予想されていることから、中堅・中小企業が利用できる実効性ある計量標準の整 備が求められているのではないかというところが問題だと思っております。 次に、4ページをお開きいただけますでしょうか。そういったことを踏まえて、「計量 標準整備における新たな対応の方向性」としましては、計量標準は、研究開発活動やイノ ベーションの創出、科学的知見、知的創造活動や社会経済活動を支える産業の基盤であっ て、国家として継続的な整備が必要不可欠であるということを再認識した上で取り組んで いく必要があります。今後は、ユーザーニーズの効率的な集約とそれに応じた戦略的な計 量標準開発及び供給体制の整備を図っていく必要があります。具体的には、以下の視点が 重要ではないかと考えているところでございます。 国が行う研究開発の方向と優先順位、ニーズの把握とインパクトの評価ですが、優先度 の高い測定のニーズを特定して、必要とされる計量標準を供給するため、政府、産業界、 学会からのニーズを定期的に把握する仕組みと、これはなかなか難しいのですけれども、 優先順位を調整して決定する機能を整備する必要があるというふうに考えております。 また、採択しました計量標準のプロジェクトの成果と社会へのインパクトを、ある意味 顧客満足度のような形で定量・定性的に評価して、計量標準の長期戦略に役立てていくと いうことが必要になってくると思っております。 また、国の優先課題を踏まえた選択と集中、ユーザーが有する共通課題の解決に短期的 に取り組むとともに、国として将来的なニーズに対する取組も並行して実施することが重 要であります。大ざっぱにいいますと、グリーンイノベーション関連、ライフイノベーシ ョン関連、さらには、5ページになりますが、新たな産業の創出の可能性も含めたものづ くり基盤の強化といったところです。それと、我が国の製品やサービスが国際通商におい て不利益を被ることのないよう、国際度量衡委員会や相互承認協定などの枠組みを利用し て計量標準の国際的な整合性を確立することによって、製品やサービスの国際的な規格や 規制への技術上の適合を確保していくといったことも重要になるのではないかと思ってお ります。 国内の革新的な標準供給体系の構築でございますが、計量標準の供給における官民の役 割分担というのは、今後ますます重要になってくると思っております。産総研は、必要と - 7 - する技術レベルが高く、民間では開発が困難であるコアとなる計量標準の供給を行うこと に特化し、産総研において蓄積した技術的知見や手順書、ガイドラインといった技術文書 を整備し、それらをワークショップや計測クラブを利用して民間へ技術移転機能の強化を 図っていって、民間に移転するということが大事だと思っております。それによって、民 間による校正範囲の拡張や計測器・標準物質の拡大を支援していくということが重要だっ たと思っております。 また、民間は産総研からの技術移転を活用しつつ、各々の持てるポテンシャルを最大限 に発揮して、競争力のある校正技術、標準物質の開発に努めることが重要であると思いま す。 その民間のポテンシャルの活用による標準供給体系の革新でございますが、物理標準に おきましては、民間の創意工夫によって供給範囲の拡大とか様々な標準を組み立てた標準 ─組み立て標準ですね、さらに実用計測器を対象とする標準の供給を加速するといった ことが重要でございます。また、不確かさのレベルでは若干劣るのですが、原理的に上位 の標準からの校正を必要としない参照標準を積極的にトレーサビリティ体系に組み込むこ とによって、民間がより安価で高品質な標準を提供することを可能とするということが重 要だと思っております。 また、標準物質につきましては、コアとなります標準物質をもとに、民間がそれに関連 づけられる一群の標準物質を迅速に供給する体系を構築するといったことが重要でござい ます。早急の標準供給が必要な場合には、民間による標準物質の製造と供給、産総研によ る標準物質の値づけと供給の役割分担を図り、最速で社会に供給することを検討したいと 思っております。 計量標準の成果の普及と利用の促進でございます。計量標準整備の成果の利用促進をし ないといけないのでございますが、国際規格や規制においてもトレーサビリティの確保を 最近ずっと要求されているところでございます。機会あることに計量標準の利用を促す必 要があるのですが、具体的には、JISの規格や各規制当局が定めている技術基準とか試 験方法を適宜見直していく中に、計量のトレーサビリティとか計量標準を使っていくよう な改正をしていくことで、半分強制的に使われていくのではないかと思っております。ま た、そういったことを他省庁の部分についても今後行っていきたいと思っております。 その一方で、計測の実施側にとっては、計量標準の利用が計測コストの増加につながら ないように、適正な価格で計量標準が供給されることが重要であると思っております。特 - 8 - に標準物質については、従来使用されてきた標準試薬と標準物質の違いをユーザーに啓発 して、合理的に選択するようユーザーに促し、価格競争力のある事業展開を支援すること が望ましいと考えております。 中堅・中小企業への普及でございますが、中堅・中小企業が必要とする校正では、「不 確かさ」が小さいことへの要求は強くないため、ある一定の範囲におさまっていればいい という考えも結構多うございまして、現場計測器を安価に校正できることが重要となって おります。高品質の校正を担う事業者の下に中堅・中小企業のニーズに対応できる、より 実用的な校正事業者の育成を図るとともに、JCSS校正対象である現場計測器に係る認 定を充実させていくことも重要だと思っております。 また、各都道府県に1つ以上あります、全国で60あるんですが、地方の公設試験研究機 関との連携というのが非常に大事になってきております。地方の公設試は、常日ごろから 中堅・中小企業との密接なつながりを活用して、ニーズの収集、計量のトレーサビリティ に関するコンサルティングの機能を産総研と連携して分担し、中堅・中小企業の技術力向 上に寄与していくということが重要でございます。 そのほかに工業会や国内の研究機関においても、産総研によってこれらと連携し、計量 標準のニーズの把握に努めるとともに、迅速に役割分担しながら計量標準の整備を行うこ とが重要だと思っております。とりわけ幾つかの標準については、産総研による整備供給 が困難であることも想定されるため、適切な機関に当該分野での国際的な代表として、国 際度量衡総会なり相互承認の枠組みへの参加を要請することも重要かと考えております。 また、情報技術による利便性の向上ということで、産総研が中核となって作成する校正 技術に関する技術文書やガイドライン、情報やデータの開放を積極的に進めて、標準物質 や物理定数のデータベースへの容易なアクセスが可能となるよう、適切な情報の管理を進 めるといったことが重要かと思っております。 また、ニーズへの対応を関係者で協議して、要望と対処の方針が示されたデータベース を整備して、また開示することも重要だと思っております。さらに、依然としてJCSS とか計量トレーサビリティが普及していないという指摘もありますが、今後とも啓発的な 最新の情報をユーザーに提供するといったことが重要かと思います。 8ページでございますが、ユーザーニーズを踏まえた統合的な基盤整備ということでご ざいますが、計量標準や標準物質、校正技術、測定器・分析器、それらを利用した試験・ 測定規格に関する情報が統合的に提供されることが必要であります。 - 9 - 具体的には、この資料3―1の一番最後のページのパワーポイントを参照していただき たいのでございますが、そこに次世代の薄膜デバイスの標準物質及び実用測定器の例があ りますが、まず、そこで薄膜デバイスの測定器を開発しておりました。測定器を開発した のですが、測定器の値が正しいかどうかということで標準物質を作らなければならなくな り、標準物質を作りました。そしていろいろなデータをとっているうちに、熱物性のデー タベースが整備されてきて、さらに測定技術の標準化をISOに提案したという、4位一 体による効果的な知的基盤の整備・提供の実例が1つございます。今後の計量標準及び標 準物質の開発・整備とともに、試験、評価方法の標準化、試験装置、データベースといっ たこれらの統合的な基盤整備を推進することが重要であると考えておるところでございま す。 また8ページにお戻りください。アジアへの対応でございます。アジア諸国への計量標 準を基盤とする技術支援等の推進。産総研と計測器メーカーは連携して、アジアの国々で の計測インフラの速やかな整備に一致団結して協力するということが重要だと思っており ます。これから所得の伸びるアジア諸国にとって、医療や食品は成長産業であり、これら の製品・サービスへの安心・安全の確保も切実な課題となっているところでございます。 アジア諸国が安全・安心にかかわる世界標準に迅速に適合し、さらには新たな標準や技術 基準を世界に発信するために、当地域の国際的に比較可能なデータ収集・整備を促す計測 インフラといったものの形成に、産総研や日本メーカーはこれから支援していくことが重 要かなと思っております。 それと同時に、今、計量の世界でもアメリカ、イギリスといったところがだんだんアジ アへ進出していっているわけですが、その中で、アジアの中でも日本と韓国、中国が一体 となってアジアの中心軸を形成することが望まれると思っております。相手とか対象をみ ながらなんですが、日中韓3国が互いの考え方の違いに注意しつつ、計量標準整備におけ るネットワーク関係を強化し、これから計量標準の開発、維持、供給のスキームを国の垣 根を越えて共有することを目指していきたいと思っております。 計量標準は以上でございます。 (2)微生物遺伝資源 ○籔内知的基盤課長 続きまして資料3―2「微生物遺伝資源における新たな対応の方 向性」でございます。 - 10 - 1ページを御覧ください。「現状」ですが、製品評価技術基盤機構(NITE)は、平 成21年度末で6万5,000の微生物遺伝資源を整備しております。これは2001年から2010年 まで、世界の最高であるアメリカ並み水準を目指すという目標をおおむね達成したという ことになるわけであります。しかしながら、日本国内における微生物遺伝資源の提供件数 というのは非常に低くて、頭打ちになっておりまして、整備された微生物遺伝資源が十分 に生かされているとはいえない状況となっております。 微生物遺伝資源をめぐる状況ですが、日本は古来、酒、みそ、しょうゆに代表される高 い発酵技術を有していて、現代においても発酵産業の伝統的な育種等の手法を基盤とした 技術によって、有用物質や酵素を作り出しているところでございます。また、いろいろな 論 文 に よ っ て 数 値 が 違 う の で す け れ ど も 、 地 球 上 に 存 在 す る と い わ れ て い る 微 生 物 が約 300万種であるのに対して、実際に知られているのは5%程度にすぎません。産業に利用 できる微生物は、さらにこの中からまたわずかでございます。というように、産業に利用 できる微生物がまだ多数存在している可能性があるわけでございます。 微生物遺伝資源に対する現在の規制の状況ですが、ヒトや動物、植物に対する病原性を 持つものについては、様々な法律によって、微生物そのものや微生物がつくり出す物質が それぞれ規制対象となっているところでございます。また、微生物の利用といったバイオ テクノロジーに関する技術につきましても、カルタヘナ法とかバイオレメディエーション の利用指針などによって、規制が現在行われているところでございます。 それと、遺伝子組換え技術の現状でございますが、日経バイオテクからの引用でござい ますが、日本のバイオ産業の市場規模は、平成22年で約2兆6,500億であります。このう ち6割ちょっとを遺伝子組換え技術応用製品が占めております。その大半は、洗剤用酵素 とか医薬品といった、外部から遊離されたプラント内で製造される製品又は海外から輸入 される作物であります。 ところが、世界では遺伝子組換え作物の栽培面積は急増しておりまして、日本にも多く の遺伝子組換え作物が輸入をされているという現状であります。しかしながら、日本では まだ国民の多くが遺伝子組換え技術に対する不安を抱いており、実際に国内での遺伝子組 換え作物の商業栽培であるとか遺伝子組換え生物等の環境中での実用はまだないというと ころが顕著でございます。 それと、世界的な枠組みですが、1993年に生物多様性条約というものが発効しました。 これによって、微生物を始めとする生物資源の位置付けが大きく変わってきております。 - 11 - 生物資源へのアクセスやその利用については、国家が直接管轄することとなったわけであ ります。 次、4ページをお開きください。そういった中で「問題点の整理」でございますが、微 生物のリスク評価、管理情報の整備といったことが問題になっております。リスク評価に おける課題としまして、微生物に関する各種の規制で、事業者が使用する微生物について それぞれリスク評価を行って、規制への該当や規制に遵守した利用であるかという確認を 行う必要があります。国内外とも研究・文献情報が分散・散逸しており、事業者自らが評 価に必要なデータを活用したいのですけれども、なかなか活用される形で十分に整備され ておりません。 このため、微生物を産業利用する事業者にとっては、様々なコストや時間を要して動物 実験のデータの収集とかを行ってリスク評価しなければならず、今大きな負担になってい るところでございます。また、国民がバイオテクノロジーに対して漠然とした不安を抱い ているため、事業者は例え有用であっても、少しでもリスクのある微生物の利用を避ける こととなり、選択肢が狭くなっているというところでございます。 このように、微生物のリスク評価方法の開発や必要な科学的知見の整備が必要とされて いるのではないか。 また、生物多様性条約に対応するため、特にNITEはインドネシアやベトナムといっ たアジア諸国の政府と様々な枠組みを構築して、微生物遺伝資源を利用できるような状態 としているのですが、一部の途上国は厳しい国内法令を制定し、自国の生物資源の囲い込 みを行っているところであります。 今 後 、 途 上 国 を 中 心 に 微 生 物 遺 伝 資 源 の 採 取 に 関 し て 規 制 強 化 が 行 わ れ る 可 能 性 もあ り、これまでのようなNITEが構築した枠組みも、安定的に運営できるかどうかは不透 明な状況でございます。微生物遺伝資源の円滑な活用のために、国が施策を何か講じる必 要があるのではないかといったところも問題となっております。 さらに微生物遺伝資源への情報付加でございますが、NITEの微生物遺伝資源センタ ーは、NITEのみならずいろいろな機関に保存されているのですけれども、大体保存さ れている微生物は、分離場所や育成条件のほかに学名を決めるための分類学的な情報が付 加されるにとどまっており、微生物の機能に着目した検索ができない状態であります。で あるがゆえに、多くの微生物から必要なものを選ぶといったことができない状況になって います。 - 12 - ゲノムですけれども、ゲノムの解析技術がこの10年間で劇的に向上しておりまして、1 日に読める塩基数がこの10年で約10万倍になり、コストは1万分の1になっているという 状況にあります。したがって、ゲノム情報といったものも、こういう研究方法の多様化に よって、整備した微生物遺伝資源にどのような機能があるかといったことについて、ゲノ ム情報の付加が必要になってくるのではないかと考えております。 また、もう1つ大きな問題点が、微生物遺伝資源保存の在り方でございますが、民間の 研究機関なり大学の研究室とかでいろいろな先生がやめてしまったりしますと、そこにあ った貴重な微生物の遺伝資源の保管ができなくなるというケースが相次いでおります。微 生物を始めとする生物遺伝資源は、一度失われると二度と復元することができないのであ りまして、国として微生物遺伝資源の分散・散逸を防ぐ仕組みが何らか必要なのではない かというふうに考えております。 以上のことから、今後の新たな対応の方向性としまして、微生物のリスク評価を総合的 に行い、それらのリスクを評価・管理するための評価手法を開発することが必要だと思っ ております。開発したリスク評価手法をデータベースとして整備し、事業者に提供してい くことを目指したいと思います。今後10年程度をかけて、段階的にこれら微生物のリスク 評価・管理について整備していく必要があるのではないかというふうに考えております。 もう1つ、リスク評価を行うに当たって、国民の理解の促進ということで、評価手法の 開発や科学的知見の整備により、事業者による自主管理や行政における規制の基準等が新 たな科学的知見に照らして常に点検がなされることを通じて、バイオテクノロジーに関す る国民理解を促進させ、バイオ安全文化の社会的定着につなげていきたいというふうに考 えております。 次に、生物多様性条約への対応でございますが、アジア地域において、知的基盤である 微生物遺伝資源の円滑な活用に向けた活動を行うこととしたいと思います。まず1つは、 各国が整備するアクセスと利益配分に関するアジア各国の国内法などの規制情報を収集す るといったことが1つ。それと、日本企業のカウンターパートとなり得る現地研究機関へ の支援を通じた技術力の底上げを図ることによって、アジア地域の微生物遺伝資源を恒久 的 に 保 存 、 利 用 可 能 と す る こ と が で き る よ う に 関 係 強 化 を し て い き た い と 思 っ て お りま す。 また、3番目に微生物遺伝資源への情報付加でございますが、整備した微生物遺伝資源 をより使いやすく、わかりやすくするためには、ゲノム情報などの付加情報を整備するこ - 13 - とが重要と考えております。また、その整備しましたゲノム情報の2次利用が促進される よう、情報の信頼性確保と環境整備、また使いやすい、わかりやすいゲノム情報の提供と いうことを行っていきたいと思っている次第でございます。 4番目に、全体にかかわる新たな方向性でございますが、微生物遺伝資源の充実。微生 物を活用したものづくりや環境対応を実現するためには、よりすぐれた機能を有する微生 物遺伝資源の整備が不可欠であります。このため、ゲノム情報等とあわせて、質、量とも に世界一の整備を目指していきたいと考えているところでございます。 また、国の責務として、微生物遺伝資源の分散・散逸のリスクを回避するため、恒久的 に保存・管理できる体制を構築することが重要だと思っております。さらにユーザーへの 普及啓発等といったことも、特に国内の研究機関や地方公設試といった他機関との連携、 ユーザー側と整備側の情報共有や対話を進めることが普及啓発につながるのだと思ってお ります。 また、国では、中小企業庁のほうで中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律 というものがあるのですが、ある技術指針をクリアするといろいろな補助金が出たりする のですけど、これに基づいて現在、22の技術分野に特定ものづくり基盤技術の高度化に関 する指針というのを定めています。その中には発酵技術が含まれております。微生物の有 用機能を発酵技術に活用しようとする中堅・中小企業への支援を充実し、普及啓発を図っ ていきたいと思います。 また、さらにITの活用といったことも今後力を入れていきたいと思っております。 駆け足ではございましたが、微生物に関しては以上でございます。 (3)地質情報 ○籔内知的基盤課長 次に、資料3―3「地質情報整備における新たな対応の方向性」 でございます。 地質情報における取組でございますが、現状は、日本列島は世界有数の変動帯に位置し ておりまして、激しい地殻変動の蓄積によって、急峻な地形と脆弱で複雑な地質構造を有 しております。近年、地理空間情報活用推進基本法が2007年に制定され、これに基づき地 形情報とか地質情報との情報統合化による国土の保全・管理の高度化が進められていると ころでございます。 また、東日本大震災後は、復興の基本方針に基づいて地質や地殻変動などの複合的な調 - 14 - 査の要請に対応するとともに、新たな防災基本計画により、地震・津波対策の抜本的強化 及び最近の災害を踏まえた防災対策の見直しを反映させるための地質調査や活断層調査を 実施しているところでございます。 地質関連は結構充実しておりまして、地質図幅、海洋地質図、それから火山地質図、さ らに地下水といった水文環境図、地震活断層などのいろいろな調査をやっていて、現在、 地質においては20万分の1の地質図幅が全国をカバーしており、これから5万分の1の地 質図幅を完成させようとしているところであります。それら今まで蓄えてきましたデータ は、DVDとかインターネット、さらに印刷物として提供しております。海洋地質図にお いても、データの一部をインターネットで公開しております。火山については、印刷物と し、今まで整備したデータを提供しているところでございます。水文環境図につきまして も、CD―ROMとして提供しております。活断層のデータベースは、かなりアクセス数 が高いのですけれども、インターネット上で公開しているところでございます。 「問題点の整理」に移らせていただきますが、整備側の深刻なリソース不足、地質図幅 1区画の作成には4年から6年といった期間を要する地道な調査が必要であります。とこ ろが、独立行政法人化後、産総研は交付金をもらっているのですが、それらの削減に伴っ て、深刻なリソース不足により、詳細な地質情報の整備に遅れが生じているといった現状 がございます。また、大学においては、それぞれ論文発表での評価などの事情によって、 短期的な成果に結びつかない基礎研究や野外調査の指導が行き届かず、人材育成・確保が 困難となっているところでございます。 それと、防災の基礎となる地質情報の充実。東日本大震災を契機に国民全般において、 自分たちが立っている足元の地質とか地盤のリスクに関心が非常に高まっているわけであ りますが、より詳細なリスク評価を行うためには、もっともっとたくさんのボーリングデ ータの集積が必要となってくるわけであります。これらボーリングデータというのは、地 方自治体、都道府県、市町村、様々な企業などに点在しているのですが、とりわけ地方自 治体が持っているボーリングデータは、ところによって違うのですが、保存期間5年から 10年というふうになっていて、それを過ぎると破棄されているところでございます。現状 のままでは、散逸・消滅するおそれがあります。 それと、資源・エネルギーの確保に向けた地質情報の整備ということで、レアアースと か再生可能エネルギーの有力な一つであります地熱発電といったように、資源・エネルギ ー政策を支援する基盤としての地質情報整備が必要となっているのではないか。 - 15 - それと、利便性の向上ということで、東日本大震災を契機に一般市民の地質情報への関 心が高まっているものの、現在の公開の形式では、一般市民になかなかわかりにくい、使 いにくいといった指摘があるところでございます。 4ページでございますが、今後の新たな方向性としましては、防災の基礎となる地質情 報の充実が重要であると考えているところでございます。活断層、津波調査、火山調査、 沿岸域の調査、地質図幅といったところにおいても、今後ますます防災対策の見直しを反 映させるための地質調査や活断層調査、さらに津波浸水履歴図の整備を加速し、総合的な 地震被害予測に関するデータベースの構築、それから、火山地質図を整備することによっ て噴火発生過程などを明らかにするなど、中長期的な噴火シナリオなどの防災の基礎資料 を整備するといったことが、今後やっていかないといけないところでございます。 特に沿岸域の調査とか地質図幅となっておりますところは、5万分の1の地質図幅につ いて、防災の観点から産業立地・インフラ整備に重要な地域、特に関東~東海地域や地方 中核都市周辺などに重点化して行っていく必要があると思っております。海洋地質図につ き ま し て も 、 未 整 備 区 域 に 重 点 化 し 、 そ の 完 備 に 取 り 組 む こ と が 重 要 だ と 思 っ て お りま す。 ボーリングデータの一元化でございますが、我が国の基本情報として一元的に整備・提 供する仕組みが必要とされていることから、特に沿岸部、都市部などの人口の多い地域に お け る 減 災 へ の 貢 献 や 地 質 ・ 地 盤 リ ス ク を 評 価 で き る よ う に す る た め 、 放 っ て お く と散 逸・消滅するボーリングデータについて、産総研で整備・提供できるよう、自治体などの 有するデータを手始めにまず一元的に収集し、地質地盤図の整備を進め、社会に提供する 仕組みづくりに取り組むといったことが重要だと思っております。 また、資源・エネルギーの確保に向けた地質情報の整備でございますが、レアアースと いった鉱物資源の安定供給に資するため、アジア全域の鉱物資源図の作成、未開発地域で の資源評価を含めた資源情報収集に努め、最終的にはデータベースとして整備していきた いと思っております。 また、散逸している既存の地熱調査データについては、関係機関と連携を図り、収集・ 整備するとともに地熱資源情報データベースを整備し、地熱開発地域の選定とか評価に資 する情報を提供していきたいと思っております。 地下水といった水文環境図につきましても、人口密集地域について整備に取り組むこと が重要だと思っております。 - 16 - 次に、利便性の向上ですが、恐れ入りますが、この一番最後についておりますパワーポ イントを御覧いただきたいと思います。わかりやすく使いやすい地質情報のインターフェ ースの構築ということで、ユーザーや目的に応じて、解説など必要な情報が表示、閲覧で きるよう、わかりやすく使いやすい必要とする情報を簡便に取り出せるインターフェース を構築する必要があると思っております。現在でも見ることはできるのですけど、非常に アカデミアの人でないと理解できないような形になっていたりしますので、もう少しわか りやすいような解説をつけるとか、そういったことをしていきたいと思っております。 さらに、地質図や活断層データベースと地震の震源分布、衛星情報などを重ね合わせ、 閲覧可能なポータルサイトの構築によって、高度な地質情報の利用を可能とするような提 供・配信システムを構築していきたいと思っております。 また、地質情報の信頼性確保といったことで、岩石の資料、ボーリングコアなどの資料 のアーカイブ化を進め、基礎資料のトレーサビリティを確保し、地質情報の信頼性を確保 することが重要だと思っております。 7ページ、また本文に戻っていただきたいのですけれども、公共データの2次利用とい うことで、公共データの2次利用ルールについて明確なものは今現在国内ではございませ ん。したがって、データ形式、2次利用ルール、そういったものを整備することが必要で あると思っております。特に地質情報につきましては、新規産業の創出につながる分野と して早くから民間から大いに期待されている公共データの一つでありまして、この地質情 報をもとに、幾つかの企業が新たなサービスを提供しているといった現状があるところで ございます。 (4)情報化対応 ○籔内知的基盤課長 次 、 駆 け 足 で は ご ざ い ま す が 、 資 料 3 ― 4 ― 1 を ご ら ん く ださ い。「知的基盤整備における情報技術への対応」でございます。 情報技術の現状でございますが、これまで約10年間にわたって知的基盤整備を行ってき たのですけれども、整備機関ごとに分散、管理され、多様なユーザーニーズに対する情報 提供が十分行われてきませんでした。最近は、経産省、文部科学省などが連携して、研究 成果が研究者間で共有かつ活用されることを目的とした、利用者の視点に立ったデータベ ースの統合整備の取組が開始されている分野もあるところでございます。データベースと いうのは、何せ運営に結構お金がかかるもので、自己資金によるデータベースの運営が厳 - 17 - しい実態にあるのが現状でございます。 また、ヤフー、グーグルといった検索エンジンによって容易にフレッシュな情報を入手 することができるようになったのでありますが、しかしながら、取得した情報やデータの 信憑性とか正確性というのは、利用者みずからが検証、判断しなければならず、結果的に は、公的な機関のポータルサービスやデータベースに頼るユーザーというのが結構最近増 えてきているところでございます。 研究情報基盤の整備ですが、第4期科学技術基本計画で、研究成果の情報発信と流通体 制の一層の充実に向けて、研究情報基盤の強化に向けた取組を推進するということで、大 学とか公的研究機関における研究リポジトリーもかなり進んできているところでございま す。 また、インターネットの普及によって、デジタル化とネットワーク化の急速な進展は、 我々の国民生活、社会経済活動、学術研究等に大きな変化をもたらしてきました。それら 大量のデータの処理、情報解析の研究の段階から、現在は、それらビッグデータをいかに 使いこなすか、情報データの融合化によってどのような付加価値、イノベーションを創出 させるかといったインテグレーションの段階に突入しつつあるわけでございます。情報基 盤整備のルール、標準化、そして利用ガイドラインの策定等が現在まだ追いついていない という状況であります。 特に公共データの2次利用に関しましては、IT戦略推進本部では、オープンガバメン トの確立に向けて、行政が保有する情報を2次利用可能な形で公開できるように推進して いるところでございます。現在、経済産業省においても、経産省が保有している公共デー タの産業界ニーズを集約し、公共データの提供方法を順次改善し、民間利活用の促進を図 ることによるデータ開放を後押しすることが重要であるといったことから、指針とか体制 整備を検討中でございます。 欧米各国においても、新産業創出の起爆剤として、国や公共機関が保持している情報の 開放・活用の促進が注目されております。とりわけアメリカやイギリスにおいては、新た な政策の確立、特にアメリカなのですが、連邦政府が有する情報のうち製造事業者支援に 役立つものを情報プラットフォームとして構築する方針を打ち出しております。 「問題点の整理」でございますが、データベース、ポータルサービスに対する利用者の ニーズということで、ユーザーの視点に立って、使いやすい提供サービスなりシステムの 改良、改善を検討する必要があるのではないか。 - 18 - また、公共データの2次利用に関しましては、データ形式、2次利用のルール、データ 標準化を検討し、整備情報の2次利用を含めたデータの公開・利用のための環境整備を図 ることが必要なのではないかといった点がございます。 公共データ開放の2次利用でございますが、ばらばらとなっております知的基盤のデー タというのは、機械処理可能なデータフォーマットに転換、整備するとともに、2次利用 に向け、著作権の問題、有償か無償か、個人情報、利用規約といったルールの検討を行っ て、利用のためのガイドラインを策定していきたいと思っております。 さらに、ものづくり基盤プラットフォームの構築。分散・散逸している今まで10年かけ て作ってきました知的基盤の様々なデータベースの中から、今後まだまだ役に立つであろ うというものの集約化を図った上で、利用者に役立つ情報、データを整備し、2次利用を 含め、使いやすい、わかりやすいものづくり基盤プラットフォームというのを構築してい きたいと思います。具体的には、素材としてのデータを加工するツールの整備や異なるデ ータベースやポータルサイトを自動的につなぐ標準インターフェースの公開など、利用の すそ野を広げる取組を実施してまいりたいと思います。 また、中堅・中小企業のものづくりの基盤整備でございますが、なかなか中堅・中小に 対して知的基盤が普及・浸透せず、利用されていないという状況にかんがみ、2次利用を 含め、使いやすい、わかりやすい情報提供を行うとともに、様々な中小団体を通じて施策 の普及を行ってまいりたいと思っているところでございます。 続きまして、資料3―4―2につきましては、経産省で情報分野の取りまとめを担当し ております情報政策課長の三又課長より説明をお願いしますが、その前に、前回北澤委員 長からの御質問について一言申し上げておきたいと思います。 現在、例えば産業総合研究所の地質データにおいては、営利を目的とした利用について も許諾はしております。ただし、産総研が作ったデータを右から左に流す場合、全く加工 せずに営利を目的に使うといったものはだめというふうになっております。これは産総研 のみならず例えば国土地理院においても、全く加工せずに右から左にデータを流してお金 をとるというものに対しては、使用を制限するというふうになっていて、世の中、大半の ところが、何ら加工もせずに右から左に情報を流すだけでお金を得るといったことに対し ては、利用を制限しているものが多いように思います。 ただし、北澤委員長が前回おっしゃいましたけど、右から左に流すことですら、知らな い人にとって知らしめるというところで、知らない人がわかるのだから、そこでお金をと - 19 - ってもいいじゃないかとか、データは使われて何ぼなんだから、右から左でもいいではな いかといった問題意識を示されましたが、それについても、これから三又課長にご説明し ていただく資料の中に、各国の状況とかも踏まえていろいろな意見があるということがわ かると思いますので、三又課長よろしくお願いします。 ○三又情報政策課長 経済産業省の情報政策課長をしております三又と申します。 お手元の資料3―4―2、横長のパワーポイントの資料、「公共データの開放・利活用 の推進」という資料を御説明させていただこうと思います。この公共データの開放・利活 用の推進につきましては、国の成長戦略、IT戦略の一つの柱として、現在IT戦略本部 のもとで主として検討が行われております。その状況も御紹介をさせていただきながら、 背景としては諸外国の状況あるいは産業界のニーズといったことについて御説明をさせて いただこうと思います。 おめくりいただいて2ページ目、これは3月に枝野経産大臣から国家戦略会議あるいは IT戦略本部におきまして説明、提案をさせていただいたものでございますけれども、こ こ に 全 体 の 現 状 の 課 題 、 あ る い は 今 後 の 方 向 性 と い っ た こ と に つ い て ま と め て ご ざ いま す。左側のほうに貼ってあります絵は、昨年の震災直後、皆さんもごらんになっていると 思いますけれども、東京電力管内での5分ごとの電力使用量についてのデータを、これは 東京電力が開放したわけですけれども、まさに今日のテーマになっています2次利用が可 能な形で公開をし、それをスマートフォンや、あるいは駅の改札の隣にこういうデジタル サ イ ネ ー ジ が あ っ た と 思 い ま す け れ ど も 、 こ う い っ た と こ ろ で み ら れ る よ う な 形 に した と。もともと東京電力は当然こういうことは想定してなかったので、東京電力のホームペ ージをみればわかるといっても、それはこういう形にはならないわけですけれども、そこ は私どもが間に入る形で調整をして、いわゆるAPIの公開をして、一般のネット上のい ろいろな事業者、あるいはネットのベンチャーのようなところでも、すべて受け取ったデ ータを加工していろいろな形で提供することができるような形にしたことによって、こう いうことが可能になったということでございます。これは震災対応でございまして、かつ データの提供元は企業でございますけれども、これと同じような形で、政府あるいは政府 に近い公共機関がもっているデータを出すことによって、様々な、ある意味でデータを保 有している公的機関が想定してないようなビジネス上の付加価値を生んで、新しいビジネ スが出てくるのではないかということが基本的なコンセプトでございます。 左下のほうにその具体例として、公共データというのは当然様々なものがあるわけで、 - 20 - 気 象 や 環 境 汚 染 の セ ン サ ー の デ ー タ と か 、 公 共 施 設 あ る い は 許 認 可 を 通 じ て 民 間 事 業者 が、例えば飲食店を開業する、廃業するといったようなこともすべて行政機関のどこかに は情報が来ているわけでございます。それから調査・統計データ、あるいは公共交通機関 のデータ、当然知的基盤もこの中に入ってくるものだと思っております。 具体的には左下にありますように、公共機関が持っている公的施設の存在、配置の情報 とかバリアフリーの情報、あるいはそれに人や移動体、車両の位置情報、あるいは道路に 設置されたセンサーの情報といったものを組み合わせマッシュアップすることによって、 例えば高齢者の方の都市内の移動、あるいは物を買う購買活動の支援というようなビジネ スが生まれてくるのではないかというような、一つの例でございますが、様々な地域の活 性化につながるようなサービス、ビジネスも生まれてこようかと思います。 そのときの課題が右側でございますけれども、先ほど藪内課長から説明がありましたよ うに、現状、日本では、こういう公共データの開放についてのポリシーが明確化されてお りません。ルールもございません。そういう中で、1つは、まず公共データは原則開放、 開放するのだというようなことをまず決めること自体が非常に重要だと思います。そのと きに、ここに書いてありますけれども、機械処理可能なデータ形式、それから著作権の有 償無償といったことのルールをどうするか、もう1つ重要なこととして、個人情報あるい は企業の秘密情報をどうやって保護するかというようなことの検討を進める必要があると 思っております。 また、こういったことを進めるには、それぞれのデータをもっています各省庁あるいは 自治体を含めて考えれば、たくさんの行政機関にまたがりますけれども、そういったとこ ろが統一的な方針のもとに実行を進めていくためのドライビングフォースが必要だという ことで、これは現在日本には設置されておりませんけれども、政府のチーフ・インフォメ ーション・オフィサー、企業では当たり前になっていると思いますが、政府のCIOとい うものを設ける必要があるのではないか。そのCIOのリーダーシップの下に、こういっ た様々な実行に向けた取組を進める必要がある。公共データのカテゴリーに入るものとい うのはたくさんの種類のものがございますので、こういったものを順次可能なもの、そし て必要性の高いものから段階的に開放していくというようなことも必要になろうかと考え ております。 また我々、産業界のニーズということでは、公共データに限らずこういう様々なビッグ データの活用ということで、IT融合というような呼び方をしていますけど、ITと様々 - 21 - な産業の融合で新しいビジネスチャンスを生むというようなIT融合フォーラム、これは 第1回を先般6月1日金曜日に開催をしたのですが、そこでもこういう公共データの開放 に対する産業界のニーズを集約していきたいと思ってございます。 以下、簡単に背景等を補足させていただこうと思いますが、次の3ページ以下は各国の 状況でございます。3ページ目は日本以外のところ。EUでは、2003年に公共データの利 活用について原則公開をするというEU指令が出されております。これにのっとって各国 は進めております。特に取組の進んでいますイギリスにおきましては、著作権の処理につ いては、公共データの著作権処理を定めたオープンガバメントライセンスというひな形、 標準的な契約を策定いたしまして、基本的に国は、著作権は放棄しないけれども、出典の 明示などの条件を満たすものについては、商業利用を含めて幅広く無償での利用を認める と。一部有償のものもございます。そこは、こういうスペシャルなルールを決めておりま す。 他方アメリカの場合は、連邦政府の持っている公共データについては著作権の保護対象 外であるということが法律上定められておりまして、そういう意味では、はなから連邦政 府は権利を持たない、放棄しているというような形でございます。アメリカの場合は少し EUには遅れる形で、オバマ政権になった後にこういったオープンガバメントについての ポリシーというのを明確化して進めているところでございます。 次のページを御覧いただきますと、EUの取組、順次進められておりまして、先ほど申 しました2003年のPS I指令、Public Sector Informationに関する 指令というのがも う 間もなく10年経つところで、一巡して、次のというか、これまでの経験を踏まえた改定に 今取り組んでいるということで、日本は完全に1周遅れ、10年遅れというような状況にな っております。 その次のページで、一つの例でございますが、オランダのTOMTOM社というナビゲーショ ンシステムのベンチャー企業が2002年、指令が出る直前には800万ユーロの売り上げだっ たものが、たった6年間で200倍の売上げになったと。海外にも、国際的にも進出をして いるということでございまして、これはナビゲーションサービスといって、日本でもカー ナビがあるじゃないかということですけれども、右上の箱の中に書いてございますが、日 本 の 場 合 は 道 と か 店 舗 の 情 報 が 更 新 さ れ る の は 1 年 と か 2 年 、 道 路 工 事 の 情 報 と い うの は、基本的にはリアルタイムではだれも得られないというような状況でございます。です が、これがすべて、そういう店舗情報とか道路工事の情報といったものがリアルタイムで - 22 - 公開されれば、こういったものを組み合わせることによって、極めて付加価値が高い、精 度と鮮度の高いナビゲーションのサービスが可能になるということでございます。 その次のページは、先ほど御紹介がありました、アメリカの農務省の60年間の収穫デー タと、気象庁が持っている気象データを組み合わせることによって、3兆円規模の農業保 険の新しいビジネスが生まれたというようなことでございます。 その次の6ページでございますが、6ページ以下の3枚は、右上に書いてありますけれ ども、Gコンテンツ流通推進協議会、このGはジオフィカルですけれども、地理空間情報 の流通を推進しようとする業種横断的な事業者団体から、IT戦略本部のタスクフォース に提出された資料を活用させていただいております。 日 本 の 産 業 界 か ら の 声 、 日 本 の 実 態 で ご ざ い ま す が 、 7 ペ ー ジ の 「 バ ラ バ ラ な 利 用規 約」というところですけれども、航空写真を、国土地理院であるとか各自治体であるとか 海上保安庁であるとか、様々な行政機関がもっております。それの全体のポータルサイト を国土地理院が作っているわけですけれども、それを見てみると、この表にあるように、 右側に書いてあるのは、それぞれのサイトで規約というか条件をつけているのですが、こ れが全くバラバラです。実は統一ルールがないものですから、それぞれある意味勝手に決 めているというか、それぞれいろいろお考えになっているのだと思うのですけれども、各 市 町 村 に 連 絡 し て く だ さ い と か 、 閲 覧 目 的 以 外 の 目 的 に は 使 用 す る こ と は で き ま せ んと か、複製は禁止しますとか、あるいは記載がないとか、こういうような形になっていて、 これを一括して使おうとする民間事業者の立場に立つと、非常に不便な形になっておりま す。アメリカの場合はそうではなくて、2次利用可能なことを意識して全体が整備されて いるというのは、下の参考のところにございます。 次の8ページでございますが、公共の地図を利用しようとした場合にどういう問題点が あるか。これは一部認められた例もありますけれども、大体公共機関に断られた事例が並 んでございます。これも、自治体もありますし、国土地理院とか警察とか様々な行政機関 にまたがりますけれども、右側に書いてありますように、要は大もとの権利を持っている 複数の機関に許諾をとるのが非常に面倒であるというような理由であったり、それから、 先ほど議論にありましたように、商用利用というのを認めないというようなポリシーで認 めないというようなことだったり、認めるのだけど審査に非常に時間がかかって、余りビ ジネス上役に立たないとか、媒体、ウエブのデータを取るときと書籍として取るときとで 別々の許諾を取る必要があって、それを忘れると罰金が科されるとか、様々な問題がある - 23 - ということがまとめられております。 その次の「提言の概要」というところで、Gコンテンツ流通推進協議会が2月に提言を したものの抜粋でございますけれども、左下の提案という二重線のところを御覧いただき ますと、データ形式や表現方法の標準化、指針・ガイドラインの作成、データ利用条件の 明確化、標準化、それからデータ提供元の責任。これもよくいわれるのは、データ提供元 が自分の想定してないような形で民間利用されたときに、大もとの情報を出したことがけ しからんというような、例えば、どこかで交通事故が多いとか、人が犯罪に巻き込まれる ことが多いというような情報を出すと、そこの周辺の地価が下がってしまうと。地価が下 がったことによって損害を被った人が、そんな情報をそもそも出したのがけしからんとい うふうにいわれるというのが提供元責任の問題なのですが、こういう責任についてどうす るかということをはっきりさせる。あるいはデータの更新条件や修正条件を明確化する、 こういったことが大事ですよということで、国際的な動きもにらみながら標準化をする提 案をされております。 その次のページは、今まで申し上げたようなことを踏まえて、IT戦略本部でどんな議 論がされているかということでございますが、今月から7月にかけて、恐らくIT戦略本 部の決定、あるいは国家戦略会議での日本再生戦略というものが決定をされる運びになる と思いますけれども、その中でどういうことが決められる必要があるかということで今議 論されている状況を、臨時構成員の方の資料を拝借して御説明いたしますが、1つは公共 データの考え方、外縁でございますけど、(1)に書いてあるような行政機関というのが まず一番コアで、その後、独立行政法人あるいは自治体、それから公益性の高いような民 間企業というようなところに広げていく段階的な発想が必要じゃないか。 それから、(2)のところが大事でございますが、2次利用の促進に向けて、何よりも まずデータのカタログというのをちゃんと整備することが必要であると。その上で、「二 次利用環境整備」というところに書いてありますように、著作権等利用条件、有償無償な どのルールを整備すること、契約のひな形などを整備すること、機械可読な形でデータ形 式を定めて、これはPDFみたいなものじゃだめだということですけれども、APIの提 供・公開というようなことをするということ。それから標準化というところでは、データ 構造、言葉の意味とか同じことを指す用語を統一するとか、単位みたいなものを統一する とかいったこと、あるいはメタデータのつけ方というようなことを標準化していくという ことが重要でございます。 - 24 - ここで1点だけ付言させていただきますと、データベースの設計そのものを標準化した り 、 あ る い は あ ま た あ る 国 の デ ー タ を 全 部 1 つ の デ ー タ ベ ー ス に 集 約 化 す る と い う よう な、そういうことが必要なわけではありません。今、それぞれのところで、それぞれの形 で持っているデータがあるわけですけど、それをそのまま生かす形で、データとデータを つなぐような仕組みをちゃんと整備していくということが重要で、そこはデータ構造の標 準化とか、データ形式を機械可読なものにするというようなことであります。 最後のページは、今申し上げた検討状況のフローチャートでございますので省略をさせ ていただきますけれども、政府全体としては今こういう流れになっておりまして、経済産 業省の直接所管するデータはもちろんですけれども、それ以外のものも含めて、まさに産 業政策を所管している立場で、産業界のニーズを集約するというようなことでこの検討に 主導的に関与しているというような状況でございます。 以上でございます。 ○北澤委員長 どうもありがとうございました。 ○北澤委員長 膨大な分野につきまして御説明いただいたのですけれども、いろいろ御 意見もおありかと思いますので、皆様、御質問、御意見のある方は、名札をこういうふう に立てていただいて、それでお待ちいただけたらというふうに思います。 それでは、早速安井委員の方からお願いします。 ○安井委員 前回出席できませんで、議事録をいろいろ読ませていただきました。今、 NITEの理事長でございますが、バイオの応援をするわけじゃなく、そのほかのことを しゃべらせていただきたいと思います。 個人的には、先ほど活用事例集の一番最後にありましたニューガラスフォーラムのガラ スデータベースのバージョン3ぐらいまでは実行委員長だったり、あと、現時点では環境 エネルギー関係をやっておりますけれども、グリーンイノベーションをいかに推進するか ということで経産省と文科省の合同検討会の座長などをやっておりまして、ぜひいろいろ な枠組みを少し、大きな方針をぜひ決めていただきたいというふうに考えている次第でご ざいます。 そんな観点からきょうの課長のプレゼンを聞かせていただきまして、特に資料3―1の 計量標準でございますが、これは私の専門ではないわけでございますけど、そこで書かれ ております1ページの一番下の「骨太の国家計量標準戦略・方針の策定」云々です。特に - 25 - 3ページの上のほうにもありますように、オールジャパンでの体制とか、4ページの真ん 中辺というか1(1)の後のほうでございますが、課長もここで「難しい」とおっしゃい ましたが「優先順位を調整して決定する機能」、こういうところがどうも今の日本の最大 の弱点のような気がしてしようがないのですね。このあたりが、やはり知的基盤について も同じようなことがいえるのではないかと思っております。 私の分野ですと、例えばスマートグリットなどですと、オバマさんが大統領になってす ぐさま、NISTは相当なお金を突っ込んで検討をやりましたよね。ですけど日本は、御 存じのように、今年になってやっと、西日本は電力が足りないということで関西電力が、 ほかの電力会社の反対を押し切ってスマートメーターを設置するということになりました よね。そんなような状況で、いろいろなものがかなり動かないという、全体的に動かない というのがどうもこの国の特徴のような気がいたしますので、先ほどの御説明いただいた パブリックセクターインフォメーションなども似たようなところがあって、やはりいろい ろと─幸いにして、ちょっと今動くかなという気もしないでもないので、ぜひそういっ た骨太云々を、次回出てくるような、多分中間の骨子か何かが出てくるのじゃないかと思 いますが、そのあたりでぜひ強調していただきたいと思う次第でございます。 ちょっと一般論で失礼いたします。 ○北澤委員長 どうもありがとうございました。 プライオリティー付けというのは、どういう段階のプライオリティー付けかによります けれども、経産省の中でできるプライオリティー付けというのは当然ありますね。NIT Eを優先するのか産総研を優先するのかとか、そういうのも含めてのことでありますけれ ども、そこと財務省との間の調整みたいなものもあるのだと思いますけど、各レベルのプ ライオリティー付けというのは一応規則としては決まっているわけで、最近、それを担当 者が行使したがらないという。自分が責任逃れするのかもしれないのですけど。そういう 部分が大分日本では出てきているというのは、そういうこともあるのじゃないかと思われ るのですけれども、一応規則としては、それをよく読んでみると、できるようになってい る。 さらに独立行政法人化されたことによって、安井委員もそこの独立行政法人の長をやっ ておられると思うのですけど、その人が裁量を振るうということもできるようになってき ていますよね。徐々にそういう方式が方式上はできるようになってきているとは思うので すけれども、それがまだ生かされてないようなところがあるということかなと私は思うの - 26 - ですけれども、今回のこれは、それともかなり絡む面があるかと思います。 それでは、この4つの分野、計量標準、微生物、地質、情報化、それぞれに関連される 委員もおられますし、どちらからでも結構なのですけれども、総合的な議論あるいは各分 野。 小野委員、名札が上がりましたので。 ○小野委員 2点コメントをさせていただきたい。1点は計量標準で、もう1つは地質 及び情報に絡んでということでコメントさせていただきたいと思います。 計量標準の方は問題点を非常にクリアに書いていただいて、今後の方向性、重要な点は 網羅されて指摘されていると思います。私が重要と思いますのは、中小企業の関係です。 今回のレポートの中にも書いてございますけれども、大企業をヘッドとした系列が崩れ始 めてから相当な時間が日本は経っているわけですけれども、そういうときに中小企業が情 報とか技術仕様、試験方法あるいはトレーサビリティとか、そういうものを親会社から系 列の中で供給してもらって非常にうまく動いていたというのが、かつての日本の非常に効 率的な姿だったわけですけれども、今後は世界市場に向かって中小企業も多様な取引を拡 大していかなきゃいけないという時代に、親企業から提供されていたものに代わるものを 公的な仕組みの中で提供し、獲得し、利用していくという、そういうものが求められてい るのではないかと思います。 計量標準も一つの例でありますし、先ほど御説明ありましたデータの利用、これも同じ ことで、同じような問題があるのではないかというふうに思っております。特に計量標準 に関しましては、トレーサビリティ証明が国際通行手形というふうにほとんど世界の中で なっておりますので、それを日本の中小企業が速やかにとれるといったような状況が大事 だと思っております。 もう1つ、中小企業が便益を得なければいけないという面と、トレーサビリティ制度の 普及のために中小企業も貢献できるのではないかと思っています。ちょっとその視点をつ け加えていただけるとありがたいなと思うのですけれども、例えば、企業の中で計測器の 管理をしっかりしていくといったようなときに、各計測器の製造事業者ももちろんコンサ ルティングの機能があるわけですけれども、それぞれの計測器に関するその範囲でのコン サルティングになりがちでありまして、もっとトータルに、例えば火力発電所なんか随分 いい例だと思うのですけれども、そこで使われている計測器のすべてを適切に管理してト レーサビリティと関連付けていくためのコンサルティングを、数は少ないのですけど優秀 - 27 - な中小企業がやっているという事例もございまして、そういうのをぜひエンカレッジして いきたいなという感じがしておりますので、中小企業に便益を与えるだけでなくて、中小 企業がみずからそういう仕事に入っていくという局面があろうかというふうにも思ってい るところでございます。 もう1点、データの方ですけど、地質の方でボーリングデータの一元化というお話がご ざいました。前回の委員会でも民間の成田委員から大変力強い御発言がありまして、期待 したいと思っているところでございます。先ほど来のお話で、2次データの問題は大変大 きい問題で、これは進めるべきところでありますけど、知的基盤のことでいいますと、1 次データをどう集めるかという。ボーリングデータもその一つでありまして、1次データ のところは著作権がございませんで、非常に価値があるのですけれども、権利化されてい ない科学技術上の真理というのでしょうか、事実というのでしょうか、そういうところが あるものですから、そういう1次データを提供したところは、顕彰するとか名前を出す。 ちょっと卑近な例にはなりますけれども、やはりエンカレッジして、1次データを社会が 共有していくというのでしょうか、道のりは長いかとは思うのですけど、リテラシーの向 上、知的基盤は受けるだけではなくてみんなで作っていくものである、関係者が参加しな がら自ら作って、自らも利用する、そういう関係にあるということを徐々に浸透させてい きたいなというふうに、大きな長期的な課題の一つかとは思っているところであります。 以上でございます。 ○北澤委員長 ちょっと済みません、小野委員の今いわれたことに対する質問なのです が、アメリカの例えばNIHなんかの考え方では、税金を使って研究をやっている人は公 表するのが当たり前である。小野委員は、顕彰してあげて認めてあげることによってイン センティブをといわれた。その両面あると思うのですが、もう1つのNIHなどのアプロ ーチについてはどう思われますか。 ○小野委員 研究機関に関しましては、自ら発表し、公表するというインセンティブは 十分働いております。ただし、知的基盤に登録できるような形あるいは質、あるいは完成 度というのでしょうか、そこまではなかなかならないという問題点はございますね。ただ し情報は、論文という形でアクセスビリティーは非常にいい状態にはなっているかと思っ ております。 ○北澤委員長 両面あるかということを今すごく感じたのですけど。 それでは、ほかにいかがでしょうか。 - 28 - 中村委員。 ○中村委員 細かいことで申しわけないのですが、まず計量標準整備について、3―1 の資料の6ページ目でございます。いろいろな整備されたものの利用を促す必要があると いうことで、具体的には、試験法を適宜見直しするときに、こういうトレーサビリティの 標準物質を入れていくとか、そういうことが望ましいというふうに書いてあるのですが、 ぜひそういうふうにしてほしいのですが、これを例えば経産省さんがどういう形で、もち ろんJISは経産省ですけれども、水道水質試験方法とか各いろいろな省庁の試験方法が ございますよね。そのときに、望ましいだけではなくて、もうちょっと具体的に標準物質 なりいろいろなものが、標準溶液をどういうふうに使っていくかというようなことをもう ち ょ っ と き ち ん と 書 い て い た だ け れ ば な と い う ふ う に 思 い ま す 。 そ れ が 1 点 で ご ざ いま す。 そ れ か ら 、 3 ― 3 の 地 質 の こ と で す が 、 3 ペ ー ジ 目 に 「 問 題 点 の 整 理 」 と い う こ とで 「整備側の深刻なリソース不足」と。これについては後ろ側に具体的なものがないような 気がするのですが、例えば、大学ではそういう人材の確保が非常に難しいというふうに書 いてあるのですが、これをどういうふうにしていくか。実質の情報は、前回、今回聞いて いますと非常に優れたものがあるということですが、それをメンテナンスしていくとか、 これを2次利用にしていくために、「人材育成・確保が困難。」と書いてあるのですが、 これをどうクリアしていくかということをどこかに入れてほしいなというふうに思いまし た。 以上でございます。 ○北澤委員長 よろしいでしょうか。では、事務局にそこのところは考えてもらうと。 今後の内容についてということでお伺いしております。ほかにいかがでしょうか。 小嶋委員、お願いします。 ○小嶋委員 小嶋でございます。 今、中村委員のほうから御発言ありましたけれども、私も全く同じことを感じていまし て、3―3の地質情報の問題の3ページのところです。「整備側の深刻なリソース不足」 ということが挙げられておりますが、それに対する今後の方向性が述べられていないとい うところは、同じように問題であるなというふうに感じておりました。 解決策といたしましては、私、大学におりますけど、確かに大学での人材育成というの は最近非常に難しくなってきております。この野外調査等ですと、その上に「4~6年間 - 29 - の期間を要する」というような文言がありますけれども、非常に地道な調査が必要で、そ ういうことをやっておりますと簡単には論文が書けません。そうしますと、大学院生はな かなか業績を上げられなくて就職できないという問題があって、人材育成は非常に難しい という状況がございます。 そうはいっていましても問題は解決しないので、この産総研だけではやはりリソース不 足という問題もございましょうから、産総研と各大学、あるいはそういうところのプロが 集まっている学会、オールジャパンでということが前回もありましたけれども、そういう ところがこの問題に向かって何らかの解決を考えていかないといけないのではないかなと いうふうにふだんから感じております。そのことをこの方向性の指針の中に書いていただ くかどうかは別にして、そういう問題があるということは、この委員会の中では共通した 認識としていただければ非常にありがたいなというふうに思います。 以上です。 ○北澤委員長 ありがとうございました。 今の件でもちょっとクリアにするために。産総研と大学の特に地質関連の調査とか、そ ういったことにおける協力関係というのは、現在はあるのでしょうか。 ○小嶋委員 ここに、例えば「地質図幅1区画の作成に4~6年間の期間を要する」と あ り ま す が 、 こ う い う 図 幅 を 作 成 す る と き に 、 産 総 研 の 方 が ヘ ッ ド に な る の で す け れど も、例えばある地域ですと、その地元の地質に詳しい大学の教員が共助者になって、その 図幅作成にかかわるというようなことはかなり昔から行われております。 ○北澤委員長 わかりました。 それでは、土屋委員お願いします。 ○成田委員(土屋代理) きょう、成田の代わりに出ております土屋と申します。 同じく3―3の地質のことに関してお話しさせてもらいます。3ページから4ページの ところにいろいろと書いてございますけれども、地質情報を活用する場合、プロの作った ものはプロが活用するやつ、資源だ、エネルギーだ、活断層だというのは多分そうだと思 うのですね。もう1つ、防災に代表されるハザードマップ、これはプロが作ったものを市 民が見るわけなのですよね。そこら辺で多分大きなギャップが出ているのが今現状で、こ こに書かれてあることだろうと思うのです。市民がわかりにくいというのは、多分そのこ とだと思います。 それをやるために何が必要なのかということで、こちらの方の一つの例としてお話しさ - 30 - せてもらいますと、去年の3月に総務省さんと一緒に、ユビキタスで高知を事例にやった の で す け れ ど も 、 そ の と き に 、 今 、 国 は ほ と ん ど ボ ー リ ン グ 情 報 を 開 示 し て お り ま すの で、それは全面的に利用させました。それから高知県も高知市も、今になってみたら、市 民から公共事業のものについて聞かれたら全部公開しなきゃだめだと。それだったら、い っそのこと公開したほうがいいよということで、データはもらいました。ただし、先ほど もちょっとこの資料に書いてありましたけれども、5年から10年で、下手すると工事が終 わって10年も経てば、要らないやという感じでなくなるデータがかなり多いことは事実で す。ただし、それを持っているのは地元とか、私どもの調査をやった会社は、すべてのデ ータをまだ残してあるのですね。そこに行って一個ずつ拾ってきて、足りないところは全 部私たちが補っていったわけなのです。 ですから、先ほど言いましたようにボーリングデータの一元化というときは、ただ県に 行って出そうと思ったときも、なかなかうまく集まらないでしょうから、そこら辺はお互 いにタイアップして、業界からみれば、ある意味ではビジネスチャンスかもしれないとい うふうに思ってはいるのです。というのは、ユビキタスを作ったときに、極端な話、避難 所、避難ビルというのをいっぱい造るわけですけれども、そこに標高データから液状化の データから全部入れて、その周辺が液状化して水没するということがわかれば、避難ビル の役目にならないわけですよね。近くの人はいいですけれども、ちょっと離れた人は来ら れない。それと、お互い行政が境をとって、行政から行政のところではハザードマップが 切れていますと、自分のところまではわかるのですけど、隣のところはどうなっているの だと。隣のところが安全なのに、自分の町のところだけは危険だという情報があって、避 難所まで行けないよというようなことがありますので、行政というのは、後から自然に対 して人間が決めた枠ですので、そういったことで地盤というのは非常に横のつながりが広 うございますので、そこら辺も含めて、ぜひ活用というか、自治体のデータなんかの活用 を進めてもらいたいと思います。 自治体のデータも最近は電子化していますので、こちらのほうでも産総研さんの協力を 仰いで電子納品は全部JIS化しておりますので、ほとんどのデータが共有のデータ構造 になっていますので、活用は非常に早いだろうと思いますので、ぜひそこら辺も一緒にな って、データの集約というのですか、デジタル化というものを進めていければなというふ うに思っています。ぜひそこら辺で、国としてある明確な指針、特に自治体のデータの1 次データ、ボーリングデータ、土質試験データ、いろいろなものがあるのですけれども、 - 31 - ここら辺についての2次利用の許可さえいただければ、こちらのほうとしてはすごく発展 するのではないかというふうに思っております。 ○北澤委員長 今、許可がもらいにくいということですね。 ○成田委員(土屋代理) そうなのです。何かでもらいに行ったとき、高知の場合はも うわかっているからオーケーだったのですけれども、普通に行きますと、ビジネスとして 使うなら許可しませんと。営業目的、一企業のとかいろいろなことをいうのですが、営利 目的には出せませんというのが1条、必ずそこで断わられるのですね。そこさえクリアに なれば、別にビジネスモデルで大もうけしようというわけじゃないのですけれども、デー タの活用という面では物すごく促進されると思うのですね。 以上です。 ○北澤委員長 ビジネスモデルで大もうけできるようにするのが一番の大事なことだと むしろ思うのですけれども。松田委員お願いします。 ○松田委員 私 の 方 か ら は 、 2 番 目 の 微 生 物 遺 伝 資 源 整 備 に 関 し て の コ メ ン ト 、 最後 に、全体を通じてのインフラ整備についての私の簡単なコメントを述べさせていただきた いと思います。 まず微生物遺伝資源整備は、これからインフラを整えて、より強化していこうというご 提案で、全体を通じては、現状の問題点の把握、それに対する対応というのは、よく整理 さ れ て 述 べ ら れ て い る と 思 い ま す 。 し か し 、 今 ひ と つ イ ン パ ク ト に 欠 け る 気 が し ま すの は、最初にも書いてございますように、現状で遺伝資源が十分に活用されていないという ところ、これに対してニーズに合った整備の方向とか、あるいは実績、そういうところを も う 少 し 強 力 に う た っ て 、 使 わ れ て 初 め て イ ン フ ラ の 価 値 と い う の は 上 が る わ け で すか ら、そこに対する手当てをもう少し強くうたってはどうかという気がいたします。 す な わ ち 、 米 国 並 み の 水 準 を 目 指 す と い っ て も 、 数 が 目 的 で は 決 し て な い わ け で すか ら、微生物の機能を活用する、力を利用するということでは、もちろん医薬品の話もあり ましたし、食料、伝統的な発酵食品、それから環境、エネルギー、こういったこれから日 本が抱えている大きな課題に対して、微生物の機能を大いに活用していくということは極 めて意義のあることですし、重要で、広く国民に理解を求めていかなきゃいけないわけで す。そういった課題に対してインフラを整えていくことがどれだけ価値があるか、また、 もっとそういう研究を普及して広めて、成果を出していくのだという力強さが今ひとつま だ欠けているのではないかなという気がいたしますので、ぜひそこに大きな太い柱を設け - 32 - て、インフラ整備とそれによってもたらされる成果、ここをがっちり歯車がかみ合うよう な文章にしていただきたいというのが1点でございます。 全体を通じての印象ですが、私は素人で申し訳ないのですが、計量標準整備にしても、 この中でいろいろな部署の連携、これがキーワードになっているというふうな話がござい ましたし、本当にど素人からみますと、こういう地質の情報というようなことは国土地理 院とかいろいろなところで、この間も新聞報道でいろいろな機関がそういうデータを整備 したというような話が出ていますので、インフラ整備は、まさにキーワードは連携、コラ ボレーションということじゃないのかなと。そういうことじゃないかなという気がいたし ますので、いろいろなインフラ整備の中で、いかに関連する部署、省庁間で連携をしてい くかというようなことが強くにじみ出てほしいなと、このように思いました。 以上でございます。 ○北澤委員長 ありがとうございます。 今の御発言でちょっと思い出したことが1つあるのですが、大学の産学連携を考えると きに、私、JSTの方におりまして、それをみるときに、大学の産学連携で今松田委員が いわれた1次情報が活用されるという、そこの活用部分というのをだれがやるかという問 題で、いわゆる公務員がやるのか、それとも、それが活用されることによってお金が入っ てきて、そのお金で雇われる人がそこの部分をやるのかという。アメリカでは大体、例え ば産学連携の部門というのは、産学連携をやったことで入ってくるお金で大学が雇ってい る と い う ケ ー ス が 多 い わ け で す 。 そ う す る と 、 そ こ が 頑 張 れ ば 、 そ こ の 部 門 は 大 き くな る。それで人もたくさん雇って、さらに活用を多くする、そういうポジティブなループが 働くのですけれども、日本はなかなかそうはいかなかった。 それが、大学にも知的部門というのは外から人が入ってくるようになって、大分活発に やるようになってきたかなというふうに思うのですが、今の具体的な例として出た、例え ば 微 生 物 の 活 用 と か そ う い っ た と こ ろ で は 、 そ こ の 間 を 、 接 点 を つ な ぐ 人 た ち と い うの は、自分たちで自分たちを雇うことができるようなメカニズムになっているかどうかとい うことなのですが、今のお話だと、ちょっとなっていないのでしょうかね。安井さんは、 その辺は何か御存じですか。 ○安井委員 うちの専門家が来ておりますので、後でしていただきたいと思うのですけ ど、結局ユーザーといいましても、実をいうと結構多種類ありまして、ある種の、例えば お得意先も結構いることはいるわけでございまして、そういうところは定常的に買ってく - 33 - れているのですけど、今ここでは余りちゃんと述べられてないのですけど、例えば途上国 あたりから持ってきて、まだ我々が未分類のところあたりに対する、そういった微生物に 対するニーズなんていうのは結構あって、国内企業のある意味で秘密裏といってはあれで すけど、一人で先行的に何か利益を得たいという感じの方々もおられて、本当にいろいろ な種類があります。 また、データベースなんかも、我々のところのデータベース、DOGANなんていうデ ータベース、割合とマニアックなのですけど、こういうあたりを使っている人たちが、実 をいうとユーザーとして十分把握し切れてないなんていうところもあって、一言でユーザ ーというキーワードだと、なかなかやりにくいのですね。ユーザーという言葉をもう少し 分析をしないといけないかなという気がしております。確かに今回のこの全体の報告書の トーンになるかと思います、ユーザーとつくる側とのコラボレーションというのは非常に 大 き な キ ー ワ ー ド な の で す け ど 、 意 外 と ユ ー ザ ー っ て 単 一 で な い と い う 感 じ で ご ざ いま す。 何か中川さん。 ○中川NITEバイオテクノロジーセンター所長 N I T E バ イ オ セ ン タ ー の 中 川で す。 御質問の点ですけれども、実態面で申し上げると、私どものすべてのポストをそこから 得られる収益で賄えるかという議論になりますと、とてもそんなことはないわけでありま して、ちょっと数字は明確ではないのですけれども、恐らく8割、9割は国からの何らか の支援に頼らざるを得ないという状況でございます。これは微生物の寄託・分譲事業につ いても特許寄託事業についても同様でございます。 一応参考までに。 ○北澤委員長 ちなみに、アメリカでも、知財部門がそこの大学で支援を受けないとや っていけないというところが8割以上ということですから、そういう意味では各国共通の 面はあるかなというふうに思います。 それでは、上森委員。 ○松本委員(上森代理) 資料3―1の「計量標準整備における新たな対応の方向性」 という課題についてでございますけれども、きょう、松本の代わりに出席しております和 光純薬の上森でございます。私たちは一応試薬メーカーでありますので、標準物質等々供 給しているメーカーとしての立場から、大局的ではございませんけれども、意見を述べさ - 34 - せていただきたいと思います。 まず、私どもがこの会合に出席して役に立てる、そういうふうな分野というのは、国策 としても進められていますライフイノベーション、ここの分野において標準物質等々を迅 速に提供する、そしてそれを広く使っていただける、それを通じて国民の安全とか安心に 貢献できる、そういうことだろうと思っております。この標準物質を供給するという仕事 に関しましては、産総研、今日いらっしゃっていますけれども、NMIJの方々との共同 研究でqNMRという新たな基盤技術を使いました標準物質、有機系の標準物質にはなり ますけれども、それらを迅速に供給する体制というのを構築してまいりました。今現在で 年間50ぐらいの品種の標準物質というのを供給できる体制まで来ております。 ただ、これでスピードアップが図れたのかどうかといわれますと、まだまだ疑問に思っ ております。これをより迅速に行っていくためには、産業技術総合研究所のNMIJ、非 常に高度な研究機関でありますけれども、その中に校正、サービスをする部門を充実させ ていただければ、非常に速いスピードで認証の標準物質というのは世の中に供給できるも のというふうに思っていますので、ぜひともその部分の充実をお願いしたいと思います。 それから、この成果を広く一般に浸透するという部分におきましても、我々としまして も各関係の機関につきまして、標準試薬というものと標準物質というものの違い、そうい うものについては十分に御説明なりして広めたいというふうに思いますけれども、先ほど 中村先生のほうからもありましたとおり、幾らつくった標準物質でも、それが世の中に使 ってもらえないような仕組みでは非常に困りますので、ぜひとも各省庁間でいろいろな分 析方法等つくられる際には、こういうふうなものを使いなさい、これはこういうふうに正 しい値が出るものです、ですからこれを使いなさいというふうな、規制等々にもぜひとも 織り込んでいただけたらいいなと思います。 それからまた、私ども標準物質だけ造っておりますけれども、試験方法なり評価方法、 分析機器、データベース、そういうふうなものが全部かみ合ったときに、国内、アジア、 いろいろなところに対して有用性というのが非常に発揮されてくるというふうに思います の で 、 ぜ ひ と も 4 つ の 関 連 す る も の を 全 体 で 進 め て い っ て い た だ き た い な と 思 っ て いま す。我々も微力ではございますけれども、標準物質というのは非常に重要なことだという 認識がありますので、ぜひとも今後とも一翼を担わせていただければというふうに考えて おります。 以上でございます。 - 35 - ○北澤委員長 ちょっと事情がわからないので、済みませんお聞きしたいのですけど、 標準物質で仮に、例えば産総研と標準物質を扱われるメーカーとの間を、2~3人ぐらい のコーディネーターするような人が活躍したとしたら、これは有力なことなのかどうか。 早くいえば、例えば上森さんみたいな方が仮に定年になられて、そういうコーディネータ ーみたいな人になられたとしますね、そういう人が3人ぐらいいたと、そういうことで非 常に大きく事は変わるような、そういうものでしょうか。つまり、どの程度のレベルのこ とを今言っておられるか。その部門をもう少し充実しろといったときに、コーディネータ ーが必要なのか、それとも、産総研のその部署そのもののアクティビティーがもっと上が ってもらいたいという、そういうことであるのか。 ○松本委員(上森代理) 後で千葉さんにもお話をと思いますけれども、私は、産総研 のほうにアクティビティーを上げていただくほうが、より早く物事は進むだろう。ただ、 全体的にこういうふうなものを認知活動も含めて広くやるためには、コーディネーターと いうものを私は今考えていたわけじゃないのですけれども、今、委員長の方からそういう お話を受けたときに、ああそうか、そういうふうな考えもあるのだなというふうには思い ました。ただ、まず最初はアクティビティーを上げていただきたいなというふうに思いま す。 ○北澤委員長 ○高橋委員 それでは、高橋委員お願いします。 全体的なことを1点、わからないところもあるので伺いたいのですけれど も、今までの皆さんのご意見を伺っていて思ったのは、計量、地質、微生物それぞれの分 野で、データを生む人と使う人がどのくらい、コアに、中心で1つだけいるのか、それと も か な り 散 在 し て い る の か と い う と こ ろ の ス タ イ ル が 、 3 つ の 分 野 で 違 う な と い う こと を、まずすごく思いました。 と同時に、計量に関していえば、例えば産総研さんが、かなり中核の機関として既にプ レゼンスがあるし、今後もそこを中核に、さっき委員長がおっしゃったような、コーディ ネーターを配置することによって利活用が進むのだろうというような、ある意味システム としての手の入れどころというのが明確な部分があるのか、それとも、例えば地質のよう に、いろいろなレイヤーでの民間企業さんが独自にとったデータを、クラウドのように集 約して使いやすくするところにポイントがあるのかという、その3つの分野ごとの我々今 議論している対応の方向性についての性格付けがあると、すごくわかりやすいな、という ことを思いました。 - 36 - というのは、それぞれの3―1、3―2、3―3に共通した文章のスタイルで「問題点 の整理」と書いてくださっているのですけれども、そもそも何を解決するための問題点の 整理なのかというところが、1つそこに入れるべきものかと思っています。もちろん大概 念としては、知的基盤の利活用というのが一番上位概念だと思うのですが、この文章のそ れぞれに書いてあるのは個別の具体な話だと思うのですけれども、その真ん中に、今我々 の現状は、例えば産総研というコアが計量についてはあるとか、地質については、民間の いろいろな質も違う情報を集めていくことが重要なのだとか、微生物に関しては、比較的 文科省や他省庁のいろいろな微生物関係のデータベースも含めて横の連携が必要なのだと か、そういう整理があるとわかりやすいというのが思ったところです。 ま ず 、 そ こ は 違 う の か な と い う と こ ろ が あ る の で す け れ ど も 、 ど な た か 御 意 見 が あれ ば。 ○藪内知的基盤課長 高橋委員のおっしゃるとおりで、例えば計量標準なんていうのは ほ と ん ど プ ロ 同 士 の 世 界 の 話 な の で 、 作 る 側 と ユ ー ザ ー 側 は ほ と ん ど 決 ま っ て い ま すの で、間に、確かに委員長がおっしゃったようにコーディネーターみたいなものを1つ配す ることによって、うまく機能する場合があるのかなというふうに思っております。 また、地質独自の世界はプロの世界なのでしょうけれども、地質は大震災以降、国民全 般が興味をもっている分野なので、またそういった観点から、産総研の地質データにアク セス数もすごく伸びているわけであります。国民全般が興味を示していて、アクセスして み ら れ る の で す け れ ど も 、 余 り に も 難 し す ぎ る と か 、 余 り に も 玄 人 相 手 と い う こ と なの で、そういう玄人相手とともに、もう少し一般の人でもわかるような形で、地質の情報は 何 と か 工 夫 し て わ か り や す い も の に で き た ら い い な と い う こ と が 1 つ あ る の だ と 思 いま す。 バイオに関しては、おっしゃるように微生物に関していえば、NITEは多分日本一の 微生物の捕獲、保存数を誇っているのだと思いますけど、そのほか至るところに似たよう なところがあるので、そういった横の連携みたいなところが実は重要になってくるような 分野もあるのだと思っております。そこは少し整理したいと思います。 ○高橋委員 あ り が と う ご ざ い ま す 。 そ れ に 関 し て ち ょ っ と コ メ ン ト な の で す け れど も、地質に関しては、やはり今国民の意識がすごく高まっていますよね。これをある意味 活用しない手はないと思うのです。どなたかも既におっしゃっていたのですけれども、こ う い う 知 的 な 情 報 だ っ た り 、 そ れ を 理 解 す る 国 民 の 力 と い う の は と て も 重 要 な の で 、今 - 37 - 我々は地質に関してある意味とりつきにくい情報であるにもかかわらず、それを使えるチ ャンスだと思うので、特に地質のところに関しては、ユーザーに関してもう少しプロ対プ ロではなくて、産業力強化のためだけではなくて、もうちょっと踏み込んだ、例えば小学 生とか、そういうところに関するユーザーまでも踏み込んで書いてもいい分野かなという ふうに思いました。 もう1点、別件です。もう1つ簡単なコメントなのですけれども、先日、政府のほうの 知的財産戦略本部の知的推進計画2012というのが発表されたかと思うのですけれども、そ こで国際標準化戦略というのがあって、例えば電気自動車の急速充電器のソケットを共通 化することがすごく重要なのだと、そんな話が出ていたのですね。そこに注力するという ことが書いてあるので、特に計量標準に関しては、標準の精度を高める、ユーザーに合わ せた使い方をするだけではなくて、もうちょっと大概念として、特に国際競争力に資する というところがイントロのところで入るべきだと思いました。 以上です。 ○藪内知的基盤課長 高橋委員の意見、ごもっともだと思っております。特に地質に関 しては、私自身もそうですけれども、地質のデータベースにアクセスしても、中身がよく わからないのですね。したがって、小学生までかどうかわかりませんけど、普通の人たち がみて、もっと理解しやすいようなものに作っていくのは重要だと思っておりますし、そ んなふうな方向でやっていきたいと思っております。 ○北澤委員長 ありがとうございました。 それでは、青山委員お願いいたします。 ○青山委員 商工会議所の青山と申します。 冒頭、課長のほうから、参考資料5ということで活用事例集を御披露いただきましたけ れども、こういう情報というのは、恐らく私どもの商工会議所の会員が対象であれば、中 堅・中小企業にとっては非常に新鮮で有力な情報になるのではないのかなというふうに思 いました。中堅・中小企業の中でこれに関与されている企業さん、当然あると思いますけ れども、大体法人税を申告されている250万といわれる会社のほとんどが、まだまだこの 分野、知的基盤という分野はなじみがないというのは前回の会議でも御披露いただいたと ころで、そのとおりだなというふうに思っております。 一方で、この分野をいかにして活用するかということは、各委員の皆様方から重要な御 指摘をいただいているわけですけれども、特に中堅・中小の現在の状況を若干報告させて - 38 - いただきますと、実はどんどん超円高で、発注している企業が1つは海外に出ていく、も う 1 つ は 海 外 か ら 調 達 す る 、 そ う い う 動 き が 物 す ご く 加 速 し て お り ま す 。 と 申 し ま すの は、今まで受注をされていた企業さんの仕事が、はっきりいってなくなっている、激減し て い る 、 要 は 次 の 仕 事 は ど う や っ て い く か と い う 状 況 に 置 か れ て い る の が 実 態 で は ない か。特に東京でいえば、例えば大田区とか、そういうところは顕著であるということがい えるかと思います。 こういうような中で新成長戦略を進めていこうということで、新成長戦略の工程表の中 に、100万社、起業を創業していこうというロードマップが出ております。一体どうやっ てやっていくのだろうとよく私どもも聞かれるのですけれども、こういうようなものをも っと活用するというような手法もどんどん取り入れていったらいいのではないかなという ふうに思っております。と申しますのは、先ほどデータベースのところで2次利用という ことが大分ご指摘をされ、ビジネスチャンスに結びつくというような指摘もございました けれども、こういうところは弾みをつけていく重要なポイントになっているのではないか なというふうに思っております。 もう一方で、海外に出る力のあるところは海外に出ていくわけですが、出ていったとき に、特にアジアでございますが、アジアの中で、1つは、やはり共通ルールの中で戦いた いなという気持ちが多分あると思います。共通ルールは、先ほどの3―1の資料にも、方 向性の中にも書かれておりましたけれども、こういうような共通ルールの整備というのは やはり急がれるべきであろうと思っております。日本でやっていることと同じようなやり 方でアジアへ出ていっても通用するのだということであれば、その分は中堅・中小企業に とっては、事業化と申しますか、そういう事業活動にとってはプラスの面が働いてくると いうふうに思っています。そのためにも、先ほどどなたかおっしゃっておりましたけれど も、省庁間の横串と申しますか、そういうことが必須ではないかなというふうに思ってい ます。 これと関連して、使いたくでも使えない企業というのが恐らく世の中にはあるのではな いかなと思っています。方向性の中でも指摘されておりますが、特にそういうところに対 するアドバイザー、簡便に利用できるというようなことをアドバイスしていく方々、そう いうような制度というものも、既存の制度の中に加えるのか、新たに作るのかは別にしま して、そういうものが必要になってくるのではないかなというふうに思われます。 最後ですが、お話を聞いておりますと、早くやった方がいいのではないかなという印象 - 39 - を持っています。やはり急がれるべきだと。全体像を早く固め、できるところはどんどん やっていかれたほうがいいのではないかなと思っておりますし、それが恐らく今の日本の 成長戦略にとっての一つの大きな起爆剤になってくるのではないかなというふうに思いま す。 以上でございます。 ○北澤委員長 ありがとうございます。 唯根委員から手が挙がっていますね。 ○唯根委員 NACSの唯根と申します。 本当にエンドユーザーで、この専門会議という位置づけの中で、私、伺って、今回3― 1で方向性について書いていただいているのですが、2ページの「ユーザーニーズを踏ま えた計量標準整備」の中に「エンドユーザー」という名前が出てくるのですが、先ほど安 井委員からも出たようにユーザーという立ち位置が、この委員会では、どちらかというと 中小企業とか、こういうデータを使われる方々だったり、作る方々というか、我々一般市 民というのでしょうか、消費者まで下りてきていないのではないか。その辺で、今回のこ の、皆様のというか資料をたくさん拝見して、これは国民の知的財産であり、最終的に安 心・安全な社会をつくって、それを私たちが使うことで非常に生活が安定しているのだと いうところまで広めていただくために、今回のこの活用事例集のようなものを作っていた だくのは非常にありがたいですし、先ほど高橋委員からも出たように、小学生とはいわず とも、こういう分野について関心をもっていただくためにも─ですから、これは学校教 育だけではなくて、一般的な消費者教育の中で、啓発の中でも使えるところがたくさんあ るのですね。 本当に微生物の問題でも、製品に生かされていくということも含めて、非常に私たちの 身近なところにかかわっているのだということをもう一歩踏み込んで書き込んでいただき たいのと、それから、そういうニーズがわかれば、私たち消費者もこういうものを、今あ る、それこそできている基準ですとか微生物の標本ですとか、そういうものは守っていか なくちゃいけないのだとか、そういうものについてきちっと予算を立てなきゃ、それこそ 国が守らなくちゃいけないのだというようなところも理解しやすいと思うのです。方向性 について書いていただくところに、「骨太の」とか「オールジャパン」というふうにお書 きいただいているのですが、もう少しエンドユーザー、要は国民のためにというところを 加えていただきたいなというふうに思いました。 - 40 - ○北澤委員長 ありがとうございました。 国民代表としてちょっと1つお伺いしたいのですけど、ある情報を産総研なりどこなり が得たとして、その情報をそのまま国民が知れるようにすると、国民がパニックを起すの ではないかというような考えがございます。例えば、ここの土地のここの家は、放射能が 特別今高くなっているというようなことをそのままダイレクトに情報として出すと、そこ の家の値段が落ちたりとか、そういったたぐいのことがいろいろ起きるのじゃないか、だ から秘密に保つのだというような、そういう論理で多くの情報が秘匿されてしまうという ことが、現実に今回の原子力の事故なんかでもそういったたぐいのことがたくさん起きま した。これに関しては、唯根さんのところではどんな見解を現在お持ちですか。 ○唯根委員 これは本当に個人的な意見ですけれども、そういうふうに日本が隠そうと しても、今インターネットで海外から、それこそ簡単にいえばYouTubeのようなものや何 かも使ってあっという間に、ツイッターや何かで、今起きていることがどんな情報源でも とれるような時代になってきていますから、それよりは逆に、そういう危険情報が出るの であれば、それに対しての対処情報も当然、限界はあるのかもしれませんけれども、公開 されるというか、そこのコーディネートというか、リンクというのですか、そういうとこ ろの工夫なのではないかなと。一方的に一面だけが全部出るのではなくて、それが総合的 にみられるように。今、国民という言い方よりは消費者も、関心さえ持てば、いろいろな 情報を集めることで自分で判断できるように随分なってきていますし、逆にそれで惑わさ れてしまうような情報もたくさんあるので、精査しなくちゃいけない方法については最初 の教育ありきだというふうには思うのですけれども、情報はできるだけ公開するなり、き ちんとした基準なりの情報提供をしていただければ、選択できる─日本の方々はそのぐ らいの知識は十分おもちだと思うのですけど。 ○北澤委員長 この点に関しては、恐らくこれからこの全体の報告をしていく上で非常 に大きなベースになる考え方の面かと思いますので、ありがとうございました。 それでは、田野倉委員と松田委員から上がっておりますので、それでは、最初に田野倉 委員。 ○田野倉委員 今 日 、 い ろ い ろ お 話 を お 伺 い し て 思 っ た の が 、 非 常 に も っ た い な いな と。もったいないというのは、日本には多分いろいろなデータがあると思うのですけれど も、それがいろいろなところに散らばってしまっていて、だれがどういうデータをどこで どのぐらいもっているのかというのがはっきりしていないということと、あと、この100 - 41 - 選ですか、これをみて非常に面白かったのですけど、これも多分氷山の一角で、いろいろ な活用の仕方みたいなのもあるので、そういったものを一元化して、ここに行けば、とに かくどのデータがどれだけあって、それはだれがもっていて、どんな活用をされているの かというふうな、簡単なものでもいいので、何かポータルサイトみたいなものを、それこ そ官庁全部縦割りを超えて、とにかく我々がわからないところがあれば、そこに行けば、 とりあえずどこに何があるかわかるみたいなものをまず整備するのが1つあるかなと。 ただ、その中でも、ここにも書かれているのですけれども、データベースを運営するに はお金がなくて厳しい状況にあるということで、今私が申し上げたようなデータベースの 整備は多分お金がかかると思うので、そこらあたりも、それをどうやっていくのかという ことも書かれていないので、予算がどのくらいかかるのかというのは私よくわからないの で す け れ ど も 、 青 写 真 は わ か る と 思 う ん で す け れ ど も 、 実 際 そ れ を 実 行 す る に 当 た って は 、 お 金 を ど う や っ て 確 保 す る の か と い う の は す ご く 重 要 だ と 思 う の で 、 そ こ ら あ たり も、どうやってやっていくのかというようなことが具体的にわかればいいかなというふう に思っております。 そのためには、多分この今やられていることが、日本のものづくり、製造業を強化する ためには非常に重要だということを多くの方にわかっていただかないと、理解してもらわ ないと、やっていくのは難しいと思うので、そこら辺もう少し、先ほど委員の方がおっし ゃっていましたけど、力強くやっていかないとやばい、やっていくことが日本の道だとい うふうなことをもう少し強く出すことが重要かなと思います。 それと、青山委員が先ほどおっしゃっていましたけど、これは早くやらないと。データ ベースの整備なんかも、やろうとすると多分5年とか10年とかすぐかかってしまうので、 ただでさえ─私もちょっと衝撃的だったのですけど、いろいろな整備で、オープン化の ところで日本はヨーロッパとかアメリカに比べても非常に遅れているということで、ただ でさえ今こういった日本のものづくり、ピンチな状況なので、この辺のものづくりをする に当たっての足腰の部分だと思いますので、ぜひこのあたりは早急にいいものを、理想な のですけれども、作っていただくような方向にもっていっていただければなというように 思います。 ○北澤委員長 ありがとうございました。 それでは、松田委員、中村委員で終わりにしたいと思います。 ○松田委員 時間も押しておりますので、手短に確認をさせてもらいたいことが1点ご - 42 - ざいまして、それはデータベースのIT活用です。これについてなんですが、私、医療関 係 の 会 議 等 に た く さ ん 出 る 機 会 が あ る の で ご ざ い ま す が 、 そ の 中 で 、 特 に 電 子 カ ル テと か、あるいは患者さんのデータベースとか、そういうものでITの技術を活用するという ことに関しては、これは日本を代表するIT企業のトップの方がおっしゃるので間違いな いのですけれども、韓国に3~4周おくれで、とても追いつかない、かなわない、それぐ らい差が開いてしまっていると。その理由としては、日本人が個人情報に対して非常にナ ーバスであるとか、あるいは省庁間の連携がうまくいってないとかいろいろな理由が挙げ られるのですが、いずれにしましても、決定的に水をあけられてしまっているということ だと。これはどの会議に出ても共通認識です。 そこで私、確認したいのですが、今回御説明のあった公共データのIT活用、これにつ いては、少なくとも日本はどのくらいのレベルにあるのか。私の期待としては、そんなに 遅れていませんよ、1周遅れぐらいですよとかいう答えであればいいのですけれども、そ の辺の認識はいかがなものかということを確認したいのですが、いかがでしょう。 ○北澤委員長 難しいお答えになりますけど、その辺、課長いかがですか。 ○三又情報政策課長 韓国についておっしゃったことは、まさにそのとおりだと思いま す。おっしゃられたことに加えて、韓国は1997年から8年のアジア金融危機のときにIM Fに入って、韓国は倒産しそうになったので、そのときにそういう制度改革を全部一気に 進めたということが、まさにレセプトのオンライン化か何かはそのときに進んだというと ころは大きいと思いますけれども、日本は逆にそういうことがないままずっと過ごしてき たので、ゆでガエルになっているというところがあると思います。 公共データも実は同じような、3周、4周という比喩が正しいかどうかわからないので すが、さっき申し上げたように、ヨーロッパは10年前。ただ、私がご説明したようなこと は、これだけビッグデータといわれるようになったのは、インターネットにつながる端末 の数が飛躍的にふえて、通信コストが劇的に下がったという、この変化というのは、イン ターネットの歴史は20年ぐらいありますけれども、実はこの5年ないしせいぜい7~8年 ぐらいで物すごく大きな変化が起きていますので、まだ今すぐに手をつけていけば間に合 うというか、1周遅れを、周回を追いつくのはそんなにまだ難しくないと思うので、とに かく早く、今申し上げたように政府全体としてのポリシーを決めて、ちゃんと手順を決め て着実に実行していくというところに今手をつければ、まだまだ間に合うと思います。 ○北澤委員長 中村委員どうぞ。 - 43 - ○中村委員 簡単に事実だけお知らせしようと思っています。ユーザーというのは、先 ほどいろいろな階層があるという話だったのですが、私、大学で第1回の会議が終わった 後に50人ぐらいの地球環境を学ぶ学生の講義で、「知的基盤」という言葉を知っています かと聞きました。だれも知りませんでした。こういう状況と、私の大学には産学連携本部 があって、知的基盤の部署もございます。知的基盤の部署が今月に学内のシンポジウムみ たいのを開くのですが、その中のタイトルが「特許をどうとるか」という話なのですね。 知 的 基 盤 と は 何 ぞ や と い う こ と を 、 ど こ で ど う い う ふ う に 知 ら せ て い く の か な と い うの で、そのシンポジウムにはこの100選を配ろうかな、配らせていただこうかなと思います けれども、ほかの大学がどういう状況かわかりませんけれども、私の大学ではそういう状 況だということで、やはり人材とかどうやって育てていくのかというのをどこかで触れて いただきたいということでございます。 ○北澤委員長 ありがとうございました。 確かにこの100選というのは、こうやってみると非常にインパクトのある冊子だと思い ますので、これ、活用してもよろしいのでしょうか。 それでは、今日皆様からいろいろな御意見をいただいたのですが、それ全体をまとめる という状況ではまだありませんので、皆様から御意見をいただいたということで、次にさ せていただきたいと思います。 議題3:その他 ○北澤委員長 それでは、所定の時間が今日はまいりましたので、本日のところはこの 辺で議論を終了させていただければというふうに思います。次回、これを反映させていた だくわけでありますけれども、これからのことにつきまして事務局から説明をお願いしま す。 ○藪内知的基盤課長 本日は、非常に貴重な意見を活発にいただきまして、ありがとう ございました。今後のスケジュールでございますが、資料4に書いてありますとおり、次 回第3回は7月4日水曜日10時から12時、各論点の集中審議と中間報告の骨子(案)をか けたいと思っております。 また、本日の議事につきましては、無記名の議事概要を、事務局にご一任いただきまし て速やかに公開させていただきます。また、詳細な議事録につきましても、1か月以内を めどに委員の皆様に確認をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 - 44 - ○北澤委員長 それでは、これをもちまして第2回の知的基盤整備特別委員会を終了さ せていただきます。どうもありがとうございました。 ─了─ - 45 -