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社会薬学研究室
医療薬学科 社会薬学研究室 場所 教室コード 研究2号棟5階 36 教室構成 教授 北垣邦彦(博士(薬学)) 卒論生 5年生 2名 研究テーマ(詳細は右ページ) 薬剤師が関わる社会問題の研究 【教育目標】 薬剤師を取り巻く社会環境の変化に対応し、社会の要請に応えることができる人材(例 えば、将来、学校薬剤師になりたい人)の育成を目指しています。 【指導方針】 研究指導の第一歩としては、研究を進めるまでの準備について重点的に指導を行いた いと考えています。具体的には、研究したいテーマにおける適切な文献調査の実施を踏 まえて、何を新たに明らかにしたいのか、またそのために必要な方法は何かを考えるこ とができるように指導したいと考えています。 その実現には、個々の学生の興味関心について十分な協議が必要であり、関連する論 文の読書会や検討会を定期的に開催したいと考えています。 自己推薦方式(専願)募集の基準 物事に積極的に取り組む人。自分の考えを述べられる人。 特に、将来、学校薬剤師を目指す人を歓迎します。 備考 本研究室は、昨年度からスタートしたばかりです。人数も少ないことから、アットホー ムな感じの研究室を目指しています。 研究室には、気軽に随時訪問してください。なお、将来の展望が定まっていない人には、 国内外での研究経験や行政での実務経験についてお話しできることがあるかもしれませ ん。 社会薬学研究室 電話:042-676-4882 E-mail: [email protected] 薬剤師が関わる社会問題の研究 キーワード: 学校薬剤師、学校環境衛生、薬物乱用防止、医薬品の適正使用、健康教育 教 授 北垣 邦彦 (博士(薬学)) 本研究室では、薬剤師が関わる社会問題、特に学校教育を含む社会 ③ 飲酒・薬物乱用問題 貢献の在り方を研究対象としています。幅広い分野であるので卒論の 我が国では、政府が推し進める「薬物乱用防止対策五か年計画」に 主題については、卒論生各自の興味を基に実行可能性を協議しながら 基づき薬物乱用の根絶に向けた様々な施策が実施されおり、小・中・ 決定していきます。 学校における未然防止教育も重要な役割を果たしています。 以下に現在、本研究室で対応したり、取り上げようとしているテー 近年、危険ドラッグのようにこれまでの覚醒剤等の違法薬物とは異 マを示します。これらのテーマから波及して新たな研究課題として発 なる新たな脅威が生じていることから、薬学等の専門的な知識を生か 展していくことを期待しています。 した対策を検討し、実行していくことが必要です。例えば、危険ドラ ッグについては、指定薬物制度等を含む法規制や薬理作用などは小・ ① 学校薬剤師の活動状況 学校薬剤師は、学校保健安全法(昭和33年法律第56号、最終改正: 平成20年6月18日法律第73号)に基づき大学以外のすべての学校に置 くものとされる非常勤の学校職員です。その活動の中心は、学校にお 中・高等学校の教員だけでは子供たちへの指導は難しく、薬剤師等の 専門家の情報発信が必要です。薬剤師からの効果的な情報発信の在り 方について検討していきたいと考えています。 また、近年の薬物乱用の特徴として、捕まらない薬物の使用がある ける環境衛生の維持管理に従事することですが、健康教育の推進等 と言われています。特に一般用医薬品や医療用医薬品の乱用が問題と 様々な役割に期待が高まってきています。一方、薬剤師のこのような して浮かび上がってきています。これらの対策には、薬剤管理や医薬 公益性の高い活動への認知は極めて低い状況にあります。学校薬剤師 品の適正使用の周知徹底などが考えられます。しかし、乱用の実態な の活動状況を把握し、その活動内容等を広く周知を図っていくことは、 どの基礎情報が不十分です。このような問題も本研究室の研究テーマ 薬剤師の地位向上にもつながると考えています。 の一つとして考えています。 平成28年度からかかりつけ薬剤師制度が開始されており、薬剤師の さらに、未成年者の飲酒は、薬物乱用のきっかけとなり得ると指摘 地域貢献の観点からかかりつけ薬剤師、学校薬剤師さらにスポーツフ さています。飲酒問題は、薬物乱用と同様の依存の問題だけではなく、 ァーマシストの関連について調査を進めていく予定です。 イッキ飲み等による事故なども生じます。今年度は、公益財団法人日 また、公益社団法人日本薬剤師会の学校薬剤師部会では、学校薬剤 師の活動状況を調べる目的で全国学校保健調査を実施しています。こ 本学校保健会において大学生の意識等を調査し、どうすれば若者の飲 酒問題の解消につなげることができるかを考えていきます。 れらの調査結果の再解析などを考えています。 ④ ② 学校環境衛生 医薬品の適正使用 平成24年度から中学校において医薬品の適正使用の重要性につい 学校における環境衛生は、学校環境衛生基準(平成21年文部科学省 て学ぶようになり、高等学校では販売制度や承認制度なども適正使用 告示第60号)に基づき維持管理されています。特に学校薬剤師が従事 に必要な背景情報として学びます。しかし、新たな医薬品分類として する環境衛生検査は、衛生学や分析学で学んだ基礎を実践で生かした の要指導薬の追加、一般用医薬品のインターネット販売など中・高等 活動です。しかし、学校における環境衛生検査の実施は、必ずしも適 学校での教育内容より社会の変化が先に進んでいる状況です。学校に 切とはいえない状況があると言われています。上記の公益社団法人日 おける医薬品の適正使用に関する教育に薬剤師の関与が期待されて 本薬剤師会の学校薬剤師部会による全国学校保健調査の結果等を分 いますが、教育の専門家でない薬剤師がどのように関与していくこと 析し、改善に向けた提言等をまとめることは大切だと考えています。 が効果的であるのかについて検討を進めていきたいと考えています。 また、学校は、地域社会の施設の一つとして地域の環境に影響を受 学校教育では、医薬品には副作用があることを前提に適正使用が必 けます。近年、微小粒子状物質(PM2.5)や揮発性有機化合物などの 要であることを指導します。これまでの学校における健康教育は、一 健康影響について国民の関心が高まっています。薬剤師、特に学校薬 次予防に重きを置いており、リスクに関して指導があまり行われてき 剤師には、町の科学者として地域住民が正しく恐れることができるよ ませんでした。健康情報があふれている現在、リスク評価の必要性に うになるための情報発信者としての役割が期待されており、その方策 ついて情報発信できる薬剤師の育成も目指しています。 を検討していくことを考えています。 なお、本年度は、公益財団法人日本学校保健会において学校におけ る水泳プールの衛生管理に関して検討を進めています。 本研究室は、昨年度からスタートしたばかりです。卒論生各自の興 味関心も考慮し、研究テーマ等については可能な限り学内学外を問わ ず幅広く連携を進めていく予定です。