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地域復興と 21 世紀型スキルの取得を目指した人材育成教育
OECD 東北スクール 地域復興と 21 世紀型スキルの取得を目指した人材育成教育で Windows 8 と Office 365 を活用 地域間コミュニケーションと効率的なチーム教育を実現 経済協力開発機構 (OECD) が文部科学省復興教育支援委託事業として推進している復興教育プ ソリューション概要 ○プロファイル OECD 東 北 ス ク ー ル は、 福 島 大 学 が 主 催 し、 OECD と文部科学省が協力して展開する、国際 的な教育復興支援事業です。2011 年 8 月から 2014 年 8 月までを一つのマイルストーンとして、 地域の復興を考え、自らの考えを実行に移し、イ ノベーションを生み出す力を育むプロジェクト学 習を行っています。人と人とのつながりが広がり 巡ることを願い、生徒は自らを " チーム環 " と名 付け、 「私たちは、過去を超えます。常識を超え ます。国境を超えます。」をキャッチフレーズに活 動を行っています。 ○導入ソフトウェアとサービス ・Microsoft® Office 365 Education ・Windows® 8 ・Microsoft® Office 2013 ○メリット ・Office 365 の Microsoft® SharePoint® Online ファイル共有することで、どこでもファイルを 閲覧でき、だれもが編集して再投稿できて、地 域間での作業をスムーズに行える ・地 域 間コミ ュニケーション のツールとして、 Microsoft® Exchange Online でメンバーのス ケジュールを管理し、Microsoft® Lync® Online を使って、複数の人とディスカッションする ・Windows 8 搭載のタッチ対応デタッチャブル 2 in 1、東芝「dynabook V713/27J 」であれば、 ノート PC としてのキーボード利用やタブレッ トとしてのタッチ操作も手軽にできるため、作 業効率が大幅に向上する ○ユーザー コメント 「県 域を越 えた東 北の 9 市町村の生徒たちが、 東 京や奈良、さらにはパリと一緒に作業するた めには、ICT の力が必要です。生徒たち自らが課 題を考え、プレゼンテーションして訴えることで Office 365 を使用できるように設定された iPad を無償貸与してもらい、作業効率やコミュニケー ションの密度を格段に向上させました。また、プ レゼンテーション資料作りにはキーボードが必要 と考え、Windows 8 搭載のタッチ対応デタッチャ ブル 2 in 1、東 芝「dynabook V713/27J 」を 無 償貸与してもらいました。これらの IT 機器があ ることで、OECD 東北スクールでの活動が非常に やりやすくなったと生徒たちは感じているようで す」 福島市立岳陽中学校 教諭 角田 直之 氏 ロジェクト「OECD 東北スクール」では、東北被災 3 県の 9 市町村から集められた 100 人の中高 生に対して、人材育成教育を行っています。各地に離れながら研究や学習を続ける生徒たちは、 Microsoft Office 365 や Windows 8 などの IT をフル活用しながら、 「フランス、パリのイベント で東北をアピールする」というプロジェクトの最終ゴールに向けて活動しています。 導入背景とねらい 東北 3 県の 9 市町村で行う 復興教育プロジェクト 東日本大震災直後の 2011 年 4 月に来日したアンヘル・グリア OECD 事務総長は、東北の復興に 協力することを約束し、文部科学省や、その後に運営事務局が置かれることになる福島大学との 協議を重ねて、OECD 東北スクールを設立しました。OECD 東北スクールには、岩手県大槌町、宮 城県気仙沼市、南三陸町、女川町、福島県相馬市、伊達市、二本松市、大熊町、いわき市の 9 市 町村から 約 100 名の中高生が参加。2 年半の活動期間の中で、全員参加の集中スクールを 5 回 と各地域ごとの地域スクールを行い、2014 年 8 月にパリで行われるイベントに向けてのテーマ別 チームの活動も行っています。 生徒たちの指導などを行っている福島市立岳陽中学校教諭の角田 直之 氏は、OECD 東北スクー ルの活動を次のように話します。 「地域復興が進まない中で、中高生が自分たちの力で地域を復興 するために何かできないかと考えて作られたのが、OECD 東北スクールです。8 月に行われるパリ でのイベントで、東北のよさを世界に PR することが目標ですが、イベントを成功させることだけ でなく、自分たちでしっかり考える力を付け、地元での課題を見つけ、地元の人と交渉できる人材 になってほしいと思って指導しています。今後 20 年経って、生徒たちがどのように成長していき、 地域で活躍できる大人となることが、OECD や文部科学省、参加している教師たちが期待してい ることです」。 「21 世紀型スキル」がテーマとして設定されて いることも、OECD 東北スクール の大きな特 長です。これは、OECD が考えるキー コンピ 岩手県 テンシー ( 主要能力 ) で、リーダーシップ、企 画力、創造 力、建設的批判思考力、実 行力、 交 渉力、協 調 性、国 際 性 などが含 まれ、グ 気仙沼市 ローバルで多様性があり、知識基盤型社会で 宮城県 ある 21 世紀に必要な能力を身に付けることが 「21 OECD 東北スクールの課題となっています。 世紀型スキルをひと言で言えば、従来の社会 に適応するための教育ではなく、社会を活用 して創り出す教育だと私は考えています。変化 が激しく、覚えた知識が役に立つとは限らな い今後の世の中では、新たな仕事を創出した り、自ら課題を見つけて、解決するために交 渉するということが必要で、そのための力を付 大槌町 伊達市 二本松市 大熊町 福島県 南三陸町 女川町 相馬市 大熊町 いわき市 9 つの地域に分かれている OECD 東北スクールでは、Office 365 を、各地域間の情報共有やファイル共有、コミュニケーション の手段として役立てている OECD 東北スクール 2013 年 2 月 17 日に 2 年ぶりに再開した「気仙沼天旗まつり」をテーマ にし、 「再開までにたくさんの人たちの協力があったので、伝統のある気 仙沼の天旗を通して感謝の気持ちを伝えることが恩返しになると考えて います」と話します。 OECD 東北スクールの活動を行っていくうえで IT の力が必要だと最初に 感じたのは、生徒たちだったと言います。地域スクールでは同じ市町村 内の生徒でチームを組んで活動していますが、大槌町と大熊町のコラボ 福島市立岳陽中学校 教諭 角田 直之 氏 OECD 教育局 OECD シニア政策アナリスト 田熊 美保 氏 レーションで写真展を行うなど、地域チームどうしの共同作業を行う場 合もあります。また、テーマ別スクールでは、イベントの基本的な構想 を立てる「シナリオ チーム 」、企業、行政、大学との連携や資金調達を 行う「産官学連携チーム 」、" チーム環 " (OECD 東北スクール 100 名全員 ける必要があります」と角田 氏は話します。 のチーム名 ) のコミュニケーションや宣伝活動を行う「コミュニケーショ ン チーム 」、活動記録を行う「セルフ ドキュメンタリーチーム 」の 4 つ そのため OECD 東北スクールでは、パリのイベントに対しても、テーマ のチームが組まれ、地域に限定されないメンバーが選ばれています。こ 別チームによって生徒たち自身が資金を調達したり、企業や官公庁、地 れらの活動を行うには、PC やタブレットなどのデバイスや遠隔地間で 域に協力を働きかけたり、広報活動や活動記録などを行っています。 コミュニケーションを行うしくみが必要となります。 導入の経緯 生徒自らが課題を見つけ プレゼンテーションで IT 導入を決める 2012 年の第 2 回集中スクールのときには、ほとんどの生徒が PC など を持っていませんでした。しかし、プレゼン資料作りや資料のやり取り、 コミュニケーションなどで IT の必要性を感じた生徒が自分で PC を購 入し始める中、2013 年 3 月に気仙沼で行われた第 3 回集中スクールで 2014 年 3 月 22 日から 25 日まで、OECD 東北スクールの第 5 回集中ス は、代表生徒が IT の必要性に関するプレゼンテーションを行いました。 クールが岩手県で行われました。その活動内容や、IT 導入の経緯を生 その結果、8 月に協力企業の 1 社から Office 365 を利用できるように 徒たちに直接うかがいました。 設定された iPad が無償貸与され、生徒全員がタブレットと Office 365 を使ってコミュニケーションや活動を行える体制が整いました。 「もとも 地域スクールでは、地域ごとに産業の課題や食文化などのテーマを決 と、ファイルをオンラインで共有してペーパーレスで活動したいという思 め、パリのイベントに向けたプレゼンテーション作りなどが行われてい いがありました。その思いを大人の人たちが汲んでくれて Office 365 を ます。たとえば、大槌町の生徒は「今を失う可能性を伝えたい」と話し、 用意してくれ、すごく助かっています。たとえば、集中スクールには 100 「いきなりの津波でさまざまなものを失い、後悔なども感じました。自 人が参加しているので、資料をすべて紙にしてしまうと、ものすごい量 分が感じた後悔を、他の人たちに味わって欲しくありません。今を失う の資源が無駄になります。ファイルがオンラインにあれば、全員が閲覧 可能性があり、今を大切に生きてほしいということを伝えたいと思いま でき、資源の無駄も省けます」と生徒たちは話します。 す」と説明してくれました。また、気仙沼市の生徒は、震災により中断し、 OECD 東北スクールの第 5 回 集中スクールでは、パリでの発表に向けたプレゼンテーション制 作やスピーチの練習が行われていた 各チームでは、震災被害、地域産業、食文化といったテーマで研究を行い、その結果を発表して、 東北を世界に PR する OECD 東北スクール iPad を使えるようになって、次に課題となったのが資料作りでの文字入 メンバーの日程を確認して、作業分担やミーティングの予定を組んだり、 力やファイル操作、ファイル管理でした。これらの作業は、タブレット 発表の際にも SharePoint Online 上に保存したデータを使ってプレゼ よりもキーボード付きの「タブレット PC 」のほうが向いていると生徒た ンテーションするなど、OECD 東北スクールの活動の利便性が格段に上 ちは考えました。これにより、2014 年 1 月に Windows 8 搭載のタッ がったことを生徒たちは実感しています。 チ対応デタッチャブル 2 in 1、東芝「dynabook V713/27J 」が 9 つの地 域と事務局に無償貸与されました。 Microsoft Lync Online も、地域間のコミュニケーションに役立ってい 導入効果 ないから声を聞いて話がしたい、と思うときがあります。そのようなと ます。 「Facebook やメールだけでやり取りしていると、文章ではわから 資料の作成には、キーボードを使って効率的に入力 プレゼンや描画には、画面を取り外して便利なタブレット として活用 話すようにしています。最近は Lync を多用していて、最大 12 人くらい 最も大きな課題だった地域間のコラボレーションでは、Office 365 が に資料を添削してもらったり、相談することも容易になりました。遠隔 大いに役立っていると言います。 「Office 365 では、オンラインでファイ 地と通話するときに電話代がかさんでしまうことを避けるという意味で ルを共有できます。これまでは紙で配っていた資料や文書をどこでも見 も、Lync Online は有効であると説明します。 きには、スケジュールを確認して会議の予定を立て、Lync を使って皆で でディスカッションすることもありますね 」と生徒たちは Office 365 を 使いこなしています。また、生徒どうしだけでなく、遠隔地にいる教員 ることができ、だれもが編集して再投稿できるのはすごくいいな、と思 いました 」と生徒たちは話します。また、Exchange Online の予定表で 資料の作成にはマウスやキーボードも使えるほうが便利だと言う生徒 100 名の生徒の活動を、OECD のスタッフ、教師や教育委員会指導主事、福島大学の学生、 NPO スタッフ、企業から参加しているボランティアなどが支えている OECD 東北スクールの生徒たちが集まり、活動内容や IT の必要性についてグループ ディスカッ ションした デタッチャブル型の V713/27J は、タブレットとしても利用でき、指で操作したり、絵を描くこ とが可能 タブレットで画面を人に見せて話し合ったり、キーボードで文字入力して資料作りにも役立てら れる OECD 東北スクール は、 「タブレットで資料を作っていてタッチ操作をミスすると、図版やレ イアウトがズレてしまって修正が大変です。マウスのほうが操作しやす い作業もあるし、キーボードのほうが楽に文字入力できます」と話しま す。また、画面を取り外してタブレットとして利用できるデタッチャブル 型の V713/27J のメリットも生徒たちは感じています。 「OECD 東北スクー ルだけでなく、生徒会やさまざまなところでも役に立っています。キー ボードで文書を作ったり、画面だけ取り外して見せ合って作業を確認し たりできるので便利です。画面をタッチしたり、タッチパッドを使ったり と、操作によってやりやすい方法を選べるのもいいと思います」。 パリのイベントで大規模なドミノを作るといういわき市の生徒は、ペン タブレット代わりに V713/27 を使えることにも魅力を感じていると言い ます。 「これまでのパソコンは、描きづらいマウスで絵を描かなければ なりませんでした。ドミノのプロジェクトでは図で説明することが多いの グループ ディスカッションに参加してくれた OECD 東北スクールの皆さん ですが、高価なペン タブレットを買わなくても、画面を外して指で簡単 な絵を描けるのは便利だと思います。従来の PC の良さとタブレットの OECD 教育局 OECD シニア政策アナリストの田熊 美保 氏は、OECD 東 良さの両方を持っているので、個人的にすごく好きです」。 北スクールでの生徒たちの成長を次のように話し、生徒たちにエールを 送ります。 「OECD 東北スクールの中で、生徒たちは OECD が望んだ力 今後の展望 イノベーターとして地域を世界に PR する やスキルを付けてくれています。アンケートを取ってみると、問題解決 力などは高くなっている一方、もっとグローバル力を付けなければなら ないと自ら答えています。しかし、一部の生徒は既に現地調査でパリに 2014 年 8 月のパリでの発表の抱負を生徒たちに聞くと、Windows 8 や 渡っており、現地の中高生と出会っています。たとえば、いわき市のチー Office 365 などをフル活用して資料作りや作業のまとめを行い、最高で ムはドミノがフランスでどのように受け入れられるかを不安に思っていま 完璧なプレゼンを行って世界にアピールしていきたいという答えが多く すが、Skype や Lync を使ってフランスの中高生と話して見せ方を考える 返ってきました。 こともできるはずです。自分たちのキャッチフレーズとして " 国境を越え る " を掲げているのでその意識ができれば、もっと IT を活用できると思 これまでの 2 年間の活動の中で、生徒たちはさまざまなスキルを身に います。被災した自分たちがかわいそうだとかではなく、イノベーターと 付けてきました。 「周りを見る力を学んだ 」と話す生徒は、活動の中で して世界に知られたいというビジョンが生まれてきているので、次に必 自分や地域だけでなく、チーム「環」全体を見る必要を感じ、人への気 要なのは " 行動 " であることは、生徒たちはわかっています。後は、行 遣いもできるようになったと話します。また、被災状況や現状を学ぶ中 動に移すだけなので、頑張ってほしいですね 」。 で視野が広くなり、自己中心的ではなくなったという生徒や、引っ込み 思案な性格だったが人の顔を見て話さないと気持ちが伝わらず、話さな OECD 東北スクールで学んだ生徒たちがどのような大人になり、地域で ければ自分の意見を通せないことに気付き、自分に自信が持てるように 活躍していくのか。震災のことを忘れることなく、被災地だけでなく社 なったと話す生徒もいました。 会全体で見守っていく必要があります。 導入についてのお問い合わせ 本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/ 本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2014 年 5 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。 ■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/ ■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755 (9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く ) ※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。 * Microsoft、Lync、SharePoint、Windows は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。 *その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。 *製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。 〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー 5639-SE1