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07 - 山のトイレを考える会

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07 - 山のトイレを考える会
ROSと は何 か 一大雪山国立公園を事例 として 一
岩手大学
広 田純―
(山
岳 レク リエー シ ョン管理研究会世話人)
1.は じめに
あ る山域 で登 山客 が 増加 し、し尿 に よる汚染 が 問題 にな って くる と、当然 の こ となが ら、
トイ レの設置 が議 論 され るよ うにな る。 そ の さい 、 どの よ うな トイ レを設置す べ き か (あ
るい は設 置 で き るか )と い う議 論 と並んで 、そ もそ もそ の場所 に トイ レを設置 す べ きか と
い う議論 が 重 要 で あ る こ とは 言 うまで もな い。 トイ レの設 置 は、そ の 山域 の 景観や 雰 囲気
に大 きな影響 を与 える し、
設置 に よつて 一 層 の 登 山者 の増 加 を招 く側 面 が あ るか らで あ る。
あ る山域 に トイ レを設置す べ き か ど うか 、 あ るい は ど うい うタイ プ の トイ レを設置す べ
きか は、本来 な らば、そ の 山域 を どの よ うな場所 として利 用 ・ 管理 してい くか につ いての
計画 を立 てて 、それ に基 づい て 考 えるのが望 ま しい 。 た とえば、そ こ を原 生 的 な雰 囲気 を
大切 にす る場 所 として利 用 ・ 管理 してい くな ら、恒久 的 な トイ レを設置す る の は控 えるべ
きだ ろ う し
(こ
の場 合 、 トイ レ問題 が起 きな い よ うに入 山規制等 を含 む総合 的 な管 理対策
が 講 じ られ る こ とにな る)、 あ る い は誰 もが 軽装備 で気 軽 に訪 れ られ る場 所 とす るな ら、
景観 に配 慮 しつつ も設備 の整 っ た トイ レを設 置 すれ ば よい だ ろ う。
しか しなが ら、我 が 国 の 山岳地域 には 、今 の ところ、そ の よ うな利 用 ・ 管理 計画 は存在
しない。 した が って 、 トイ レの 問題 につ い て も、問題 を生 じて い る山域 ご とに 、 関係者 が
議論 を重 ねつ つ 、試 行錯 誤 を繰 り返 しなが ら対応 を考 えて行 か ざるを えない 状況 にあ る。
本 報告 で は、ア メ リカ で 開発 され 、森 林や 山岳地域 にお け る利用 ・ 管理 計画策 定 の た め
の有力 な手段 とな って い る ROS(Recreation
Opportunity Spectrum)の 考 え方 と手法
紹介 す る。 ROSと は、森林 や 山岳 地域 で想 定 され る多様 な レク リエ ー シ ョン体験 に対 し
て 、 それ ぞれ に とつ て最 も好 ま しい レク リエ ー シ ョン環境 を ゾー ニ ング を通 して提 供 しよ
うとい うもので あ り、我 が 国 の 山岳 国 立公 園 の利 用・ 管理 に対 して も大 きな示 唆 を与 えて
くれ る概 念 で ある。
我々
(山
岳 レ ク リエ ー シ ョン管 理研 究会 (注
1))は 、 こ う した ROSの
考 え方 と手法
に学 び 、それ を実際 に大 雪 山国 立公 園 に適用 して 、 同国 立公 園 の管理計画 の試 案 を作成す
るに至 っ た。 本報告 で は、本研 究会 での大 雪 山で の 計 画作成 の経験 を基 に して 、 ROSが
どの よ うな も ので あ るか 、それ が どの よ うに我 々 の 問題 に役 に立 ち うる のか を考 えてみ た
い。
報 告 の順序 として は、 まず ,ROSの 概 念 と枠組 み ,お よび そ の 意義 を述 べ る。 次 に
ROSに
,
基 づ い た大 雪 山国 立公 園 の 管理 計画 の 作成 プ ロセ ス を順 を追 つて 具体 的 に紹介す
る。 そ の 後 に ,山 岳 トイ レ問題 に ROSが どの よ うに使 え るか につ い て若 干 の 考 察 を行
い ,,最 後 に、 ROSの 概 念 と関 わ る最近 の トピ ンクス を い くつ か紹 介す る。
ROSの
手法 自体 は決 して 難 しい もので はな いが 、前提 とな る理 念 (考 え方 )を 共有す
る こ とに 、 あ るい は 時 間 がか か るか も しれ な い。 そ の こ とも含 めて 、本報 告 が 山岳 トイ レ
問題 に多 少 で も参考 とな る ところが あれ ば幸 い で あ る。
- 36 -
なお、本報告は山岳 レク リエー シ ョン管理研究会 の成果 (注 2)に 全面的に負 ってお り、
の
本稿 での見解 は同研究会 の ものであることを予めお断 りしておきたい。 ただ し,本 稿 文
責 は報告者 にある。
(五 十音順 ):小 野 理 (北 海道庁 )、
広
工大
田純 ― (岩 手大学 /世 話人 )、 人巻
学 )、
庄子 康 (学 術振興会PD)、 土屋俊幸 (東 京農
コ
一成 (独 立行政法人森林総合研究所北海道支所 )、 山 口和男 ((有 )自 然環境 ンサルタン ト)
公園管理 の あ り方に関
(注 2)山 岳 レク リエー シ ョン管理研究会 (1998):利 用者 の多様 性 に応 じた 自然
―
す る調査研究報告書 (そ の 1)一 大雪 山国立公園 を対象 とした ROS手 法 の 開発 、EnVisio
理のあ り
公
じた
園管
の
に応
自然
n.山 岳 レク リエ ー シ ョン管理研 究会 (2002):利 用者 多様性
の立
理計画
案―
方に関す る調査研究報告書 (そ の 2)― ROS手 法 による大雪 山国 立公 園管
(注
1)山 岳 レク リエ ー シ ヨン管理研究会 のメンバー は次 の通 り
.
2.ROS概
説
2.l ROSの 考 え方 とその枠組 み
ROSと は、 レク リエ ー シ ヨン体験 の 多様性 を考 慮 して レク リエ ー シ ヨン空 間 の プー ニ
ング を行 い 、それ ぞれ の空 間 にふ さわ しい利 用 ・ 管 理 を行 うた め の 考 え方 で あ り、手法 で
あ る。ROSは 1978年 に米 国 で提 唱 され 、国有 林や 自然公 園 の 管理 計画 に用 い られ て きた。
ROSの
考 え方 とは次 の よ うな も ので あ る。
レ ク リエ ー シ ョン地 域 にお いて利 用者 は、 自らが期 待す る レク リエー シ ヨン体験 を得 る
の に最 もふ さわ しい 求 めて 、レク リエ ー シ ヨン空 間 を選 び 、レク リエ ー シ ヨン行動 を とる。
レ
そ の 際 、利 用者 が求 め る レク リエ ー シ ヨン体験 の 内容 が異 なれ ば、 当然 、選択 され る ク
リエ ー シ ョン活動や レ ク リエ ー シ ヨン空 間 も異 な る。
エ ー シ ヨン
た とえば、人 間 の 痕跡 が少 な い 、 あ りのま ま の 自然 を体 験 した い (=レ ク リ
エー シ ヨ
体 験 )者 は、時 間 と手 間 をか けて も、人 為 的 な影 響 の 少 な い 山岳 地 域 (=レ ク リ
(=レ ク リエー シ ヨン活動 )こ とを欲 す るだ ろ う。 これ に対 して、手
どが
軽 に美 しい風 景 に接 した い (=レ ク リエ ー シ ヨン体験 )者 は、観 光道 路や利 便施設 な
ニ
整備 され た地域 (=レ ク リエ ー シ ヨン空 間 )を 選 んで 、 ドライ ブや ピク ック (=レ ク リ
ン空 間 )で 登 山す る
エ ー シ ョン活動 )に 行 くだ ろ う。
い (=レ
大 雪 山を例 に取 れ ば、大 自然 の 中 で 静 寂や 孤独感 、 ある いは 達成 感 を味わ い た
エー シ ヨン空 間)を
ク リエ ー シ ョン体 験 )登 山者 は 、 トム ラ ウシ 山や 高根 ヶ原 (=レ ク リ
エ
し、
目指 して 、テ ン トや 食 料 を背負 って 山旅 に出か け る (=レ ク リ ー シ ヨン活動 )だ ろ う
ロー プ ウェ
手軽 に大景観 を眺 めた い (=レ ク リエ ー シ ヨン体験 )観 光 客 は、普 段着 のまま
エ ー シ ヨン
イ にで姿見 (=レ ク リエ ー シ ヨン空 間 )に 登 り、遊歩 道 を散策す る (=レ ク リ
活 動 )こ とを選 ぶ だ ろ う。
々
む ろん、 これ 以外 に も、利 用者 が求 め る レク リエ ー シ ョン体験 に は様 な も のが あ り、
それ を実現 で き る レ ク リエー シ ヨン空 間や レク リエ ー シ ヨン活動 に も多様 な ものが あ るは
ず で あ る。
は、 こ う した多様 な レク リエ ー シ ョン体験 の存在 を前提 として、多様 な レク リ
エ ー シ ョン空 間 を確 保 す るた めに、レ ク リエ ー シ ョン地 域 の デー ニ ン グを行 うこ とで あ る。
ROSと
「
「
と こ ろで 、レク リエ ー シ ョン体験 の場 で あ る レ ク リエ ー シ ヨン空 間 は、 物 的環境」、 社
- 37 -
会 的乗 境 」、「管理 水 準 」 の 3種 類 の 要 素 に よ って 成 り立 っ てい る。 登 山や ア ウ トドアス
ポ ー ンの対 象 とな る山岳 地域 に つ い て言 えば 、「物 的環 境 」 とは、登 山 日か らの 距離や 登
山道 の整備 水準 、案 内設備 や休 憩 ・ 宿泊施設 の整備 状 況 、そ の他 人 工 物 の 有無 な どを指 し、
「社会 的環境 」 とは 、混雑度 な い し利用密 度や 、そ こ を訪れ る利 用者 の タイ プ な どが該 当
す る。 また 、「管理水 準 」 とは、 レ ク リエ ー シ ョン活 動 を行 う上 で の規 制や 規則 、 自然 に
つ い て の解 説や 、 レ ク リエ ー シ ョン活動 の イ ンス トラクシ ョンな どの こ とで ある。
レク ノエー シ ョン空 間 が これ らの 要素 の組 み合 わせ に よ っ て構 成 され てい る とい うこ と
は、 これ らの 要素 の 組 み合 わせ を管理す る こ とに よつて 、様 々 な レ ク リエ ー シ ョン空 間を
維 持 ・ 創 設 で き る とい うこ とで もあ る。
た とえば 、原 生 自然 的 な雰 囲気 が残 ってい る、 あ る山域 を考 える場合 、現在 の レク リエ
ー シ ョン空 間 の 特徴 を維 持 しよ う とすれ ば 、① 「物 的環境 」:登 山道 は現 状 のま ま (登 山
靴 が必 要 )と し、案 内設 備や休 憩 施 設 な どは 設 けな い 、② 「社 会 的環 境 」:訪 れ る の は登
山 の経 験者 の み 、③ 「管理 水準 」:シ ー ズ ン 中には入 山規制 を行 う、 とい つた 管理 が必 要
とな る。 これ に対 して 、 よ り手軽 に 自然 を楽 しめる レ ク リエ ー シ ョン空 間 に変 えてい こ う
とす るな ら、① 「物 的環 境」:で き るだ け歩 きやす い よ うに登 山道 を改 良 し、案 内設備や
休 憩 施 設 な どを 充実 させ る、② 「社 会 的環 境 」:登 山経 験 の 少 な い ハ イ カ ー の 入れ 込 み を
増 やす 、③ 「管理水 準 」:安 全 や 規 制 のた め に監視 員 を常駐 させ る、 とい うよ うな管理 が
考 え られ る。
ROSは
、 レク リエ ー シ ョン空 間 の配 置や設 計 を通 じて、 レク リエ ー シ ョン地域全 体 の
適切 な管理 に も役 立つ ので あ る。
2.2 ROSの 意義
ROSの よ うな考 え方
。手 法 が必 要 とされ る背景 と して、 レク リエ ー シ ョン地 域 にお い
て、 多様 な レ ク リエ ー シ ョン体験 (レ ク リエ ー シ ョン空 間 )へ の ニ ー ズ が 存在 し、それ ら
が場所 (空 間)的 に競 合す る とい う状況 が あ る。
た とえば 、大 雪 山目 立公 園 にお いて は、 困難 や努 力 を伴 うよ うな原 生 的 な 自然 体験 を求
め る よ うな登 山者 が い る一 方 で、で き るだ け手軽 に安 全 に原 生 的 な 自然景観 を楽 しみ た い
とい う登 山者 や観 光 客 もい る。 同 じ場所 に対 して、 相 反す る志 向性 を持 った ニ ー ズ が 存在
す る ので あ る。
我 が 国 の 山岳 レク リエ ー シ ョンの歴 史 を省 み る と、登 山者 の増 加 につ れ て 、登 山道や そ
の他 の施設 ・ 設備 が整 備 され 、原 生的 な 自然体験 の場 が、 い わば ,な し崩 し的 に損 なわれ
る とい うケ ー ス がほ とん どだ った 。 山岳観 光道 路 の 開通 とい つ た極 端 な場 合 には ,原 生的
な 自然 体験 の場 が消滅 す る こ とさえあ つた。
この よ うな状況 に対 処 す るには、少 な く とも、 レク リエ ー シ ョン体験 (レ ク リエ ー シ ョ
ン空 間 )の 多様性 を守 る こ とに対 す る共通認識 と、 レ ク リエ ー シ ョン体験 の多様性 の確保
を前提 とした レク リエ ー シ ョン地 域 の 管理 手法 の確 立 が必 要 で あ ろ う。 そ の どち らもが実
F兄
され て い な い我 が 国 の 現状 で 、 ROSは 、 そ の理念 にお いて 前者 の 共通認識 の 獲得 に寄
与 し、 そ の 手法 にお い て 後者 の 管 理 手法 の確 立 に役 に立 つ と考 え られ る ので あ る。
3.大 雪山目立公園 における ROSの 適用 ―管理計画の作成 一
- 38 -
3.l ROS分 類 の作 成
(1)目 的
エ
の に基
最 も基本 的 な部分 は、 レク リエ ー シ ョン地域 を レク リ ー シ ヨン体 験 質
づ い て複 数 の 区域 (レ ク リエ ー シ ョン空 間 )に 区分す る こ とで あ る。 そ のた め には、区分
「
「
す べ き 区域 (レ ク リエ ー シ ョン空 間 )の 種類 と属性 (前 述 の 物 的環境 」、 社会 的環境」
「管理水 準」)を 定 めな けれ ばな らな い 。
した も
あ る レク リエ ー シ ョン地域 に適用 す べ き レク リエ ー シ ヨン空 間 の 種類 と属性 を示
「
の を ROS分 類 と呼ぶ。 ア メ リカ の 国有林 で は 一 般 に、「原 生 区域 」、 原動機 未利 用型準
「 市
「
原 生 区域 」、「原 動機 利 用型 準原 生 区域 」、「 自動 車利 用型 自然 区域 」、 田園 区域 」、 都
ROSの
区域 」 の 6区 域分類 が用 い られ て い る。
ところが、 この 分類 は 自動 車利 用 を含 む広域 的 な レ ク リエ ー シ ヨン利用 を前提 とした も
ので あ り、 こ こで 対 象 とす る大雪 山国 立公 園 の よ うに、徒 歩 に よる登 山利 用 を前提 とす る
山岳 地域 にそ のま ま適 用 す るわ けには い か な い 。 つ ま り、徒歩利 用 を前提 とす る、
め細 か な ROS分 類 を新 た に作成 す る必要 が あ るわ けで あ る。
よ りき
の
そ こで 我 々 は、次 の よ うな 手順 に よ つて 、大 雪 山国 立公 園 に適 用 可能 な ROS分 類 開
レク リエ ー シ ヨン空 間
発 を試 み た。 まず は じめに、大雪 山国 立公 園 の利 用者 が どの よ うな
の
を期 待 して い るか を、 ア ンケー ト調査 に よ つて 把握 した。 次 に、 国 立公 園 の 管 理 視 点か
「
「
べ
ら、 それ ぞれ の レク リエ ー シ ヨン空 間 が満 たす き属性 (「 物 的環 境 」、 社会 的環境」 管
理水 準 」)を 検討 した 。
(2)大 雪 山日立 公園 の 利用者 の分類
11の 項 目を
利 用者 ア ン ケ ー トで は、 レク リエ ー シ ヨン空 間 の 質 に関係 す る と考 え られ る
んで も
用意 し、 3ま た は 5段 階 で示 した選択 肢 の 中か らも つ とも好 ま しい と思 う状況 を選
らった (表
表
1)。
1.ア ンケー
トに用 いた 評価項 目 と配 点
訂諫
訂 耐顎
蘇
lと
コ
シ
… ト
LyIE
嚇
弾
頻 鉤
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脳
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多く
卸
卸
卸
塚
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哲ンレ H誕
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革革や ヽ
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一
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ハ逹オ々i升 ―ラリレ
4点
3点
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1点
1す
日帰妬 可 る
ア ンケー ト調査 を実施 した のは、 1997年 8月 9∼ 11日 である。 アンケー ト調査票 の配布は
し、帰宅
国立公 園 内の主要登 山 日のす べてで行 つた。調査票は利 用者 が下山す るときに渡
- 39 -
後 に記入 して郵 送 で 送 り返 して も ら うよ うに依頼 した 。 各 登 山 口で配布 した ア ンケ ー ト票
の数 は、旭 岳 650、 黒 岳 491、 銀 泉 台 、愛 山渓 が ともに 100、 高原 温 泉 46、 沼 ノ原 24、 天人
峡 32の 合 計 1、 443部 で ある。各 地 点 の 回収数 は順 に285、
223、
14、
47、
31、
15、
23、
20で 、
合 計 658部 を回収 し、 回収率 は45,6%で あ つ た。
この うち無 回答 の標 本 を除 く493部 を対 象 に、前 述 の11項 目に つ い て の 主 成分分 析 を行
い 、第 5主 成 分 まで の主 成分得 点 を用 い て クラス ター 分析 を行 って 、利 用者 を 3つ の グル
ー プ に分類 した (図
1)。
各 グル ー プ の 標 本数 は 1群 が 246、
2群 が 131、 3群 が 116で あ
る。
歩道 の整 備状況
5
ベ ンチ・ テー ブル
目的地 ま での往 復 の歩行時間
クマ と遭遇す る可能性
道標
歩道 で人 と出会 う頻 度
自然解 説板
監視 員・ レンジ ャー
-1群‐
…‐
2群
ヽ
ヽ
ヽ
ヽ
ヽ
ヽ
単
ミ 3群
注意標 識
入禁止 の ロー プ
山小屋
注 :「 歩道で人 と出会 う頻度」、 「クマと道遇する可能性」は、
評価点を1点 と5点 、2点 と4点 についてそれぞれ入れ替えて表示 し
てある。
図 1,利 用者 グルー プの平 均点
図 1よ り、1群 に属 す る利 用者 は、施 設整備 や 人為 的影 響 を最 も好 まな い グルー プ 、 自
然度 の 高 い 環 境 を好 む グルー プで ある こ とがわか る。 これ に対 して 、 2群 と 3群 は、 1群
2群 は 3群 よ りも、歩
道 や ベ ンチ・ テ ー ブル 、 山小屋 の整備 、 目的地 へ の 到 達 時 間 の短 さを好み 、他 方 3群 は 2
よ りも相対 的 に施 設 整備 や利 便性 を好 む グルー プ で あ る。 しか し、
群 よ りも道標 や 自然 解 説板 、注意標識 、 立 ち入 り禁 止 ロー プ の設置 、監視 員 ・ レンジ ャー
の 配置 を好 む とい う特徴 が 見 られ る。 つ ま り、2群 は よ りI床 適 で 便利 な空 間 を望む傾 向 が
強 い の に対 して 、 3群 は 自然 らしさの保 全 へ の配慮 を志 向す るグル ー プで あ る と言 える。
(3)ROS分 類 の作 成
前項 では利 用者 グル ー プ を 3つ に分類 したが 、実 は クラス ター 分 析 に よって 3グ ルー プ
に大 括 りに した こ とに よ つて 、各 グル ー プ の特性 が 平均値 として統 計 的 に丸 め られ て しま
い 、結 果 と して統 計 的 には周縁 に分布 す る よ うな利 用者 グル ー プ (つ ま り、 よ り自然性 を
重視 す る利 用 者 と、 よ り利 便性 を重視 す る利用者 )を 抽 出 で きて い な い とい う問題 が あ つ
40
た。
そ こで 、利 用者 グル ー プに対応 した レク リエ ー シ ョン空 間 を設 定す るに当た つて は、 上
記 の 3グ ル ー プ に加 えて 、 よ り自然性 を重視 す るグル ープ と、 よ り利 便性 を重視 す るグル
ー プ とを想 定 し、 レ ク リエ ー シ ョン空 間 として は 5つ の 区域 に分類 す る こ とに した。 それ
が 、「原 生 区域 」、「 自然 区域 」、「準 自然 区域」、「準整備 区域 」、「整備 区域」 の 5区 域 で あ
「
る。利 用者 グル ー プ との対応 で は、「 自然 区域 」 が 1群 、「準 自然 区域 」 が 2群 、 準整備
区域」 が 3群 に当た る。
そ して、各 区域 (レ ク リエ ー シ ヨン空 間 )の 属性 を、前述 の利 用者 ア ンケー トの分析結
果 を基 に、管理 の視 点 も加 味 して 、表 2の よ うに定 めた。 これ が大 雪 山国 立公 園用 の RO
S分 類 で あ る。
表 2.大 雪 山国立 公 園 にお ける ROS分 類
進 整 備 区 1立
幕 情 区域
歩遭の整備状況
ベンチ・テープル
道標
準 自然 区域
自然 区 域
革靴やハイヒールで 運動靴で歩行可能 登山靴を必要 とする 登山靴を必要 とする 登山靴を必要とする
にする
も歩行可能にする
ベンテ・テーブルの
ベンチを設置
ベンチを設置
設置 しない
設置しない
両方を設置
一定距離 ごと1こ 設置 ―定距離ごとに設置 一 定距離ごとに設置
分岐汽のみ設置
分岐点のみ設置
自然解説板
随所に設置
随所に設置
随所に設置
あまり設置しない
設置しない
注意標説
随所に設置
随所に設置
随所に設置
あまり設置しない
設置しない
立入禁上の ロープ
全ルートに設置
全ルー Hこ 設置
要所のみ設置
要所のみ設置
設置しない
自炊の山小屋を
整備
自炊の山小屋を
整備
整備しない
時 々巡回
時々巡回
配置しない
山小屋
食事が出る山小屋 を 食事が 出る山小屋
を整備
整備
監視員・レンジヤー
歩道で人と出会う頻度
クマと蓮遇する可能性
常駐
常駐
10分 間に数 回程度に 10分 間に数回程度 1時 間に数回程度 に 刊時間に数回程度に 1日 に数回程度にする
する
する
にする
する
全 く可能性がないよ 全く可能性がないよ 可能性をできるだけ 可能性をできるだけ 特別なコントロールは
行わない
低くする
低くする
うにする
うにする
目的地までの往復 の歩行時間
3時 間以内
可時間以内
半 日以内
日帰り
山の中で宿泊が必要
表 2に お い て、た とえば 「原 生 区域 」 は、歩道 の整備 水準 は登 山靴 を必要 と し、 山小屋
。キ ャ ンプ サ イ トは な く、ベ ンチ・ テ ー ブルや 自然観 察板 、注意標識 も設置 せ ず 、道標 も
分 岐点 のみ に 止 め る。 山中で 1泊 以 上 しなけれ ば到 達 で きな い ほ ど登 山 口が遠 くにあ り、
1日 に人 と会 う頻 度 は数 回程度 、 とい った属性 を持 つ 。
。
これ に対 して 「整備 区域」 で は、革靴 や ハ イ ヒール で も歩行 可能 で あ り、 ベ ンチ テ ー
ブル が 置 かれ 、 自然 観 察板 、注意標 識 は 随所 に設 置 され 、全 ル ー トに 立 ち入 り禁 止 ロー プ
が 張 られ て い る。食 事付 き の 山小屋 が認 め られ 、監視 員や レイ ンジ ャー も常駐 して い る。
また、登 山 口か ら 1時 間以 内で往 復 で き る ぐらい の 距離 にあ り、か な り頻 繁 に人 と出会 う。
「
そ して 、 これ ら 2つ の 区域 の 中 ]に あ る の が 「 自然 区域 」、「準 自然 区域 」、 準整備 区
F日
城 」 で あ る。
3.2 現況 ゾー ニ ング
前項で求 めた ROS分 類 (5区 域 区分 )を 実際 の大雪 山国立公 園に適用す るために、大
雪 山国立公 園 (表 大雪 )の 全登 山道 を踏査 し、利用者 アンケー ト調査 と同 じ項 目 (歩 道 の
-41 -
見地調 査 は、大 雪 山国 立公 園
整備 状況 、 ベ ンチ・ テ ー ブル 、道標 等 )に つ い て調査 した 。 テ
の利用者 が一番 多 い 夏 期 を中心 に、雪 の な い 7∼ 9月 に実施 した。
また 、登 山道 の評 価 のた めに 、登 山道 の 現地調査 の 結果 も踏 ま えなが ら、登 山道 を地形
・ 植 生 。歩道 の 状態 お よび登 山 口か らの 時 間距離 を勘案 して 、適 当な等 質 区間 に分 割 した 。
そ の さい 山頂や分 岐 は結節 点 とし、長 さを持 た な い 区間 として登 山道 と同等 に扱 うこ とに
した。 結節 点 を除 く一 区間 の長 さは短 い ところで300m、 長 い ところで4、 500m、 平均す
る と約 1、
500mで あ る。
こ う して定 めた登 山道 の 区間 (結 節 点 を含 む )ご とに 、利 用者 ア ンケー トと同 じ評価項
目 (表
1)に つ い て 1∼ 5の 評 点 をつ け、 これ らの デ ー タを統計処 理 して 、現 実 の 登 山道
の 各 区間 が ROS分 類 の どの 区域 に属す るか を判別 した 。 そ の結果 を示 した のが 、付録 に
載 せ た 現況 ゾー ニ ングマ ップで あ る (計 画案 Dの 図 )。
このマ ップか ら読 み とれ る の は次 の 点で ある。
第 一 に、全体 的 な傾 向 として 、当然 の 結果 では あ るが、登 山 口に近 い 方 か ら「整備 区域」
→ 「準整備 区域 」 → 「準 自然 区域」 → 「 自然 区域 」 → 「原 生 区域 」 の順 に分布 してい る。
第 二 に、た だ し一部 には例 外 が あ り、登 山 口に近 くて も 「原 生 区域 」 に区分 され る区問
が あ る。勇駒別 温 泉 か ら姿見 に 向か う登 山道 の上 部 区間、愛 山渓 温 泉近 くの 松仙 園付近 、
高原 温 泉 か ら緑 岳 へ の 区間な どで あ る。 これ は、登 山道 に悪 路 が含 まれ てい た り、道標や
案 内板 、 ベ ンチ・ イ ス 等 の設備 が なか っ た り、登 山客 が少 なか っ た りす るた めで あ る。 そ
の一 方 で、北海 岳 ∼ 白雲岳 の 区間 の よ うに、登 山 口か ら半 日程度離 れ て いて も、登 山道 が
去 内板 、 ベ ン チ ・ イ ス等 が整 備 され て い る (実 際 に は壊 れ てい
歩 きや す か っ た り、道標や木
る もの も含 む )た め、「準 自然 区域 」 に分類 され てい る区 間 もあ る。
第 二 に、山域 全 体 を見 る と、自雲 岳避 難 小屋 を境 に 、そ の南側 はほ とん どが 「原 生 区域 」
とな っ て い る の に対 して 、北側 は 「 自然 区域 」「準 自然 区域 」 が主 体 とな ってい る。 北側
は、 い わゆ る表 大雪 の核 心部 で あ り、大勢 の登 山者 が 日帰 りで訪れ る区域 で あ る。 また、
登 山道 は概 して歩 きや す く、施 設 ・ 設備 も相対 的 に整 ってい る。 一 方 、 白雲 小屋 以 南 は、
日帰 りが困難 な 山域 が含 まれ 、相対 的 に登 山客 も少 な く、人 工 的 な施設 ・ 設備 もあま りな
い 、原 生 的 な雰 囲気 が残 され て い る区域 で ある。
3.3
管理計 画 の構 成
管 理 計 画 は 「管 理 目標 」、「 レ ク リエ ー シ ョン空 間」、「ゾー ニ ン グ」 お よび 「ア クシ ョ
ンプ ラ ン」 の 4つ か ら構 成 され る。
こ こで 「管理 目標 」 とは、公 園管理 を行 う上 での基 本 的 な 目標 の こ とで、た とえば、現
状 よ りも 自然性 を重 視 した 管理 を行 う とか 、逆 に利 用 の利 便性 を重 視 した管理 を行 う とい
うよ うな表 現 を とる。
「 レク リエ ー シ ョン空 間」 とは、管理 目標 を具現化 した レク リエ ー シ ョン空 間 の あ り方
を示 した もので 、前述 の よ うに 、物 的環 境 、社会 的環 境 、管理水 準 の 3つ の要 素 か ら成 る。
「ゾー ニ ング」は、前述 の ROS分 類 の 5区 域 (原 生 自然 区域 、自然 区域 、準 自然 区域 、
準整 備 区域 、整備 区域 )を 「管理 目標 」 に適合す る形 に配 置 した も ので あ る。 た とえば 、
自然 性 を重視 した 「管理 目標 」 の 下 で は、原生 自然 区域 を広 く とった ゾー ニ ン グを採用 す
る し、利 便性 を重視 した 「管理 目標 」 の 場合 には、準整備 区域や整 備 区域 を広 く とった ゾ
- 42 -
― ニ ング とな る。
エ
「
最 後 に 「ア クシ ヨンプ ラ ン」 とは、「管理 目標 」 に沿 つ た レク リ ー シ ヨン空 間」 を
実現す るた めに必 要 な施 策 を示 した もので あ る。
3.4
管理 目標 の設定
こ こで は大 雪 山国 立公 園 の 将来 の 管理 目標 として、 よ り自然性 を重視 した管理 を行 うケ
ース を 3通 り、 よ り利便 性 を重視 した 管 理 を行 うケー ス を 3通 り、それ ぞれ 定 め、 これ に
現状 凍結 のケー ス を加 えて、全部 で 7通 りの 管 理 目標 を設 定 した 。
管 理 目標 の 設 定 に 当た つて は、それ ぞれ の 管理 目標 がで きるだ け具体 的で、誰 にで もイ
メー ジ しやす い もの とす る こ とを心 が けた。す なわ ち、 よ り自然性 を重視す る管理 目標 と
して は、現在 よ り開発 が進 ん でお らず 、利 用者数 も少 な くて、 自然性 が 高 か つた過 去 のあ
る時点 を 目標 に置 く こ とに した。 これ に対 し、 よ り利 便性 を重視す る管理 目標 としては、
整備 水準 と利 用水 準 の 2つ を段 階的 に引 き上 げた状態 を 目標 とす る こ とに した 。 具体 的 に
は、次 の 7つ の管理 目標 を設 定 した。
O計 画案 A:自 然性 最重 視
。人 手 の加 わ らな い 原 生 自然 との 一 体感 を重視 。
・ 1934年 の 国 立公 園指 定 当時 の 状 況 に近 づ け る
O計 画案 B:自 然性 重視
・ア
兄在 よ り整備 水 準 を下 げ る。
・ 層 雲峡 と旭 岳 ロー プ ウ ェイ設置 以前 (1965年 頃 )の 状況 に近 づ け る。
○計 画案 C:状 況 回復 (★ 推 奨案 )
。現在 よ り利 用 水準 を下 げ る (整 備 水準 はそ の まま )。
・ 現在 よ り利用 の イ ンパ ク トが小 さか つた1980年 代 前 半 の 状況 に近 づ け る
○計 画案 D:デ兄状凍 結
。現在 の 状況 をそ のま ま維持 す る。
。そ のた めに必 要 な対応 は取 る (現 在 の 趨勢 を容認 す るわ けで はな い )
○計 画案 E:現 状 追認
・ 現在 の利 用状 況 を追認 し、現状 の 問題 点 を解 消す るた め の整備 を行 な う
。現 状 よ り整備 水準 を少 し上 げ る (利 用水 準 はそ のま ま)。
○計 画案 F:利 便性 重視
・ 現状 よ り整備 水準 ・ 利 用水 準 とも上 げ る。
・ ア クセ ス を現在 よ り改 善す る
O計 画案 G:利 便性 最 重 視
・ 手 軽 に 自然 に触れ られ る こ と・ 眺 め られ る こ とを重視 。
・ 大 雪 山縦 貫 ・ 横 断道 路 を建 設 す る
上 記 の 7つ の 管理 目標 を定 め るに 当た つて は、 まず F兄 状凍結 (D)を 中心 に置 いて 、次
に 自然性 重視 と利便 性 重視 の それ ぞれ最 も極 端 なケ ー ス (Aお よび G)を 決 め、最後 に現
状維 持 と両極 端 との 間 に、それ ぞれ 2つ ず つ のケー ス を (B、
- 43 -
Cお よび E、
F)挿 入す る
表 3.大 雪山国立公国の管理計画 (管 理 目標とレクリエーション空間)
計画案
管理 目標
A自 然性最重視
B自 然性重視
C状 況回復
D現 状凍結
1934年 目立公 国指定当 層 雲 峡 E旭 岳 ロープ 1980年 前半 の 現状の維持
時にできる限り近 づける ウエイ設置以前 (1965 状況 (★ 推奨案)
年頃)に 近 づ ける
E現 状追盟
F利 便性重視
G利 便性最重視
現 状 追 認 (現 在 の 間 アクセスを現在より改 大雪山縦貫 B横 断道
題 点 を解 消 す るため 善する
路の建 設
の整 備を行う)
人手の加わらない自然と 現 状 より整備 水 準を 現 状 より利用 水 現 状 の 利 用 状 態 現 状 より整 備 水 準 を 現状 より整備水準・利 手軽に自然に触れ ら
の一体感を味わう
下 げる
のままに凍結する 少し上 げる
準を下げる
用水準ともに上 げる
れる・眺められる
レクリエーション空間
︵ヽ
層 雲 峡 と天 人 峡 までの
舗装路のアクセスあり
高 原温 泉 、銀 泉 台 、沼 ノ
原 回 はアクセスなし。国
道 から徒歩
アクセス
愛 山 渓 、トム ラ ウ シ 温
泉 、勇駒別までの砂 利道
アクセスあり。マイカー規
制でシャトル バス
三笠新道なし
層雲 峡・旭 岳 ロープ 層 雲 峡・旭 岳 ロ
ウェイなし
ープウェイあり
現 在 の 入 山 口 はい
ずれもあり
トム ラウシ短縮林道 トム ラウ シ 短 縮
なし。勇駒別およびト 林道なし
ムラウシ温泉へ の道
路 は未鈴装 =悪 路 マ
イカー規制なし
三笠新道なし
三笠 新道なし
山 小 屋・キ ャンプ場
の 位置・規模 は同じ
表大雪 の道標 が現在 よ 表 六 雪 の 道 標 が現
施設 日
登
り相 当少ない
在より相 当少ない
山道
登 山道の侵食・植生破壊 登 山道 の 侵 食・1直 生
小・裸地化も小
破壊小・裸地化も小
山小屋は黒岳小屋のみ
入込者
きわめて少数
数
現状よりもロープや 禁止
管理水 看板を少なくする。レンジ
ャー・監 視 員との 出会 い
準
も少ない
層 雲 峡 t旭 岳 ロー
プウェイあり
入 山 口ま で の 道
路 は現状維持
層雲峡・旭岳 ロープウ
ェイあり
入山 口までの 道路 は
現状維持 (今 後、林道
の 延長 は行 わず 、舗
装も行わない)
層雲峡・旭岳 ロープウ
ェイあり
ゲート開放、林道 の 延
長を行う
現在 の 砂利道 はアス
フアルト舗装にする
三笠 新道不利用
同左
三笠 新道利用
山小屋・キャンプ 山 小 屋・トイレ改 山小屋・キャンプ場 の
場 の 位 置・規 模 善 しない
増設 (質 は現 状で容量
は同じ
のみ 拡大 )、 トイレ設置
(南 沼、裏旭 、沼 ノ原 )
・
の
登 山 道 侵 食 登 山道 は現 状 維 悪 路 の 一 部 解 消 (木
植 生 破 壊 今 より 持 (補 修のみ )
道設置など)
軽度
小屋・キャンプ場 の 増
設 (質 は現状で容量 の
み 拡 大 )、 トイレ設 置
(南 沼、裏旭、沼 ノ原 )
悪路の完全解消
旭岳 7合 目から頂 上
まで ロー プ ウ ェイ新
設
ゲー ト開 放 、林 道 の
延長を行う
現在 の 砂 利道 はアス
フアル ト舗装 にする
大雪 山縦 貫道 と横 断
道 開設
小 屋・キ ャンプ場 の
増 設 および グレー ド
アップ (買・容 量 とも
向上 )+ホ テル新設
悪路 の完 全解 消 十
快適性追及
登 山 客 主 体 で 観 光 登 山者 数 につい 現 状 の まま (一 部 同 左
ては 現 状 の 2/3 季 節 的 入 込 者 数
客少
ぐらい
規制あり
増加傾向を容認 (入 込 増 加傾 向を容認 (入
者数規制せず)
込者数規制せず )
同左
現 状よりもロープや看 同 左
板を場所 によって増 や
す。監視 員等との出会
いも増える
同左
とい う手 順 を とつた。
の
自然性重視 の最極 端 を大 雪 山国 立公 園 の 開設 当初 (A)と したの は、それ が 国 立公 園
レク リエ ー シ ョン利 用 の 始 ま りの 時期 で あ つた とい う点 で 妥 当 と考 える。 また 、そ の後 の
大雪 山 の レク リエ ー シ ョン利 用 を大 き く変 えた のが 層 雲峡 と旭 岳 ロー プ ウエイ で あ つた こ
とを考慮 して、ロー プ ウ エイ設置 以前 と以後 の状況 を、それ ぞれ 管理 目標 の Bと Cと した。
次 に、利 便性 重視 の 最極 端 は、か つ て構 想 され た大雪 山横 断道 路 と縦 貫 道路 が完成 した状
べ
況 (G)に 置 い た。 これ は従 来型 の 山岳 レ ク リエ ー シ ョン 開発 の究極 の姿 とも言 う きも
ので あ り、現在 で は現 実性 に乏 しいが、手軽 に大 雪 山 の 自然 に触れ るた めに利 便性 を最重
エ
レ
視 す る とど うな るか を示す には格 好 の設 定 と考 える。 Dと Gの 中間 には、現在 の ク リ
ー シ ョン利 用 に伴 つて 既 に発 生 して い る問題 (オ ー バ ー ユ ー ス の 問題 )を 解 消す るた めの
必要 最小 限 の 整備 を行 な うケ ース (E)と 、 ア クセ ス を改善 して整備 水準・ 利 用水準 とも
に向上 させ るケ ー ス
(F)を 設定 した。
なお、 自然性 重視 の 極 で あ るAは 、人手 の加 わ らな い 自然 との一 体感 を求 め る こ とが レ
ク リエ ー シ ョン体験 の 目標 とな り、 これ に対 して利 便 性重視 の極 で ある Gは 、 で きるだ け
手軽 に 自然 に触 れ られ る こ と 。眺 め られ る こ とが レ ク リエ ー シ ョン体験 の 目標 とな る。
3.5
管理計 画案
こ こで は、管理 計画案 A∼ Gに つい て、「管理 目標 」「レク リエ ー シ ョン空 間」 (表 4)、
お ょび 「ゾー ニ ング」 の 具体 的な 内容 に つ いて解 説 を行 う (ゾ ー ニ ング 図は付録 を参 照 の
こ と)。
(1)計 画 案 A:自 然 性 最 重視案
「管 理 目標 」 は 「人 手 の加 わ らな い 原 生 自然 との 一 体感 を重視 」す る こ とで あ り、具体
ヘ
的 に は 「1934年 の 国 立公 園指 定 当時 にで き る限 り近 づ け る」 こ とを 目標 とす る。登 山 ロ
のア クセ ス を大幅 に後 退 させ る こ とに よつて、「原 生 区域 」 を広 く確保 しよ う とい うのが
計画 の骨 子 で あ る。
フ
現在 の 2大 登 山 口で あ る層 雲峡 と旭 岳 温 泉 (勇 駒別 )に つ いて は、 ロープ ウエイ と リ
トを撤去 し、入 山は 温 泉 か ら とな る。 しか も勇駒別 (旭 岳温泉 )へ は 自家用 車 の乗 り入 り
を規 制 し、志比 内か らシ ャ トル バ スで の送 迎 とす る。 国 立公 園指 定 当時 の状 況 を厳密 に適
用 しよ う とす れ ば志 比 内辺 りか ら徒歩 とな るが、す で に 自動 車道 路 が存在す る現状 を考 え
る と、そ こまで の後 戻 りは必 要 な い と考 え、 シ ャ トル バ ス に よる送迎 とした。 ちなみ に現
在 の道 路 は立派 に舗 装 され て い るが、計画案 Aで は これ を未舗 装化す る もの とす る。
シ ャ トル バ ス に よる送 迎方 式 は天人 峡 と愛 山渓 につ いて も同様 で、 どち らも 自家用 車 の
乗 り入れ は認 めず 、志 比 内 また は国道 39号 線 か らの シ ャ トル バ ス に よる送迎 の み とな る。
トム ラ ウン温 泉 に つ い て も、 同 じくシ ヤ トル バ ス で の 送迎 とす る (ど こか らの 送 迎 にす る
か は保 留 )。
兄在 の林道 を閉鎖 して 、国道 39号 線 か ら
銀 泉 台、高 原温 泉 、沼 ノ原 登 山 日に つ い て は、 デ
へ
ス
徒 歩 でアプ ロー チす る も の とす る。 これ に よつて 、 これ らの 登 山 口 のア クセ は大幅 に
低 下 し、 これ らの 登 山 口か らの入 山者 は激 減す る こ とが予想 され る。
また、山小屋 に つ い て も、残 る のは黒 岳石 室、旭 岳 石室 、白雲岳避難 小屋 の 3つ だ けで、
忠別 岳避 難 小屋 と ヒサ ゴ沼避難 小屋 、そ して銀 泉 台 の 小屋 の 3つ は撤去 す る。
- 45 -
表4.大 雪山国立公国の管理計画 (ア クションプラン)
計画案
A自 然性最重視
ロープウェイ撒去
一部登山道の廃道
アクセス道 路 の大 部分廃
止
インフラ アクセス整
備水準大幅引
き下げ
無用な道標・案内板・説明
板の撤去
山小屋の撤去
B自 然性重視
ロープウェイ撤去
一部登山道の廃道
ア クセス道 路 の 一 部 廃
止
ア クセス整 備 水 準 引き
C状 況回復
D現 状凍結
一部登山道の廃道
無 用 な 道 標・案 内
板・説明板の撤去
E現 状追認
登 山道・歩道 の 部
分 的整備 (木 道設
置)
トイレ新設・山小屋
の拡張
一部駐車場 の拡張
下げ
無用な道標・案内板・説
明板の撤去
F利 便性重視
II
︵ ⑤ !︱
アクシ ョンプ ラン
の規制の 保護規制の一部緩和
季節を問わず 一部 の地域 季節を問わず一部の地 季節を問わず全域 利用の集 中す る 現状レヘ〕♭
では入山者 数、グループ 域では入山者数、グル 的に入山者数、グル 季節には、一部の 維持
サイズに上限を設ける
ープサイズに上限を設 ープサイズに上限を
ける
設ける
一 部 の地域では入山料を
徴収
自家用車によるアクセスを
制限
登山経験による許可制
林道ゲートの 閉鎖
剛
築鞘貌 隈
梨展離
ついて
の情報
非常 に困難
意見 の対立が不可避
合意形成
保護規制の緩和
山鶏と
入
至
プ
抒
映
サ
扉
上限を
設ける
一部の地域では入山料 全域 で入山料を徴 全域で入山料を徴 監視体制の一部強 監視体制の一部強化
を徴収
J又
収
化
自家用車によるアクセ
スを制限
法的処罰の導入
林道ゲート開放
モラルキヤンペーン
インタープリテーションの インタープリテーション インタープリテーショ
インタープリテーシ インタープリテーション
の充実 (主 体的)
ンの 充実 (主 体的)
充実 (主 体的)
ョンの 充実 (受 動 の充実 (受 動的)
利用情報 の充実・利用の
利用情報の充実 =利
的)
利用情報の充実・利用
用 の 誘導・ガイダン
利用情報 の 充実・ の誘導・ガイダンスの
普及啓発 誘導の徹底
スの実施
施
利用の誘導・ガイ 実施
利 用規制 に つい て
ダンスの実施
規制
G利 便性最重視
大雪山横断・縦貫道路建
道・歩道の部分的 設
墓梓
登山道・歩道 の全 般的整
備
アクセス道路 の延長と
アクセス道路 の 延長と改
改良
良
トイレ新設・山小屋 の サ ー ビス施 設 (レ ストラ
ン・土産店・宿泊施設 )大
拡張
駐車場・トイレ等の 利 増設
便施設整備
駐車場・トイレ等 の 利便
施設大増設
監視体制の強化
林道ゲート開放
モラルキャンペーン
インタープリテーションの
充実 (受 動的)
昼
裂
選
幅
甥
実施
9買 8
利用規制についての 情 の情報提供 の徹底
報提供の徹底
困難
意見 の対立が不可避
地域 の 反対運動 の激化・ 地域の反発大
先鋭化
やや困難
意見 の 対立 が 不可
避
それほど問題なし かなり困難
非常に困難
意見の対立はあり 自然保護運動 の盛 り 自然保護運動の激化・先
上がり
うる
鋭化
地域の三分化
地域の三分化
「
こ う した ア クセス と施 設 の整 備 水 準 の 大 幅 な引 き下 げに よ つて 、 原 生 区域 」 を大幅 に
D)で は、
増や し、登 山域 のほ とん どをカ バ ー す る よ うにす る。 た とえば、現状 (計 画案
「
お鉢 平 を囲む表 大雪 の主 要部 が 「 自然 区域 」 また は 準 自然 区域 」で あ る のに対 し、計画案
Aで はそ の ほ とん どが 「原 生 区域 」 とな る。「原 生 区域 」 で な い のは 、層雲峡 ∼ 黒 岳 、勇
「
駒別 ∼ 姿 見 ∼ 旭 岳・ 裾 合 平、愛 山渓 ∼ 沼 ノ平 の 3カ 所 の み で あ る (い ずれ も 自然 区域 」)。
(2)計 画案 B:自 然 性 重視
「管理 目標 」 は 「現在 よ り整備 水準 を下 げ る」 こ とで あ り、具体 的 には 「層 雲峡 と旭 岳
ロー プ ウ ェイ 設置 以 前 (1965年 頃 )の 状況 に近 づ け る」 こ とを 目標 とす る。 計 画案 Aほ ど
では な い が 、 山域 全 体 にわた つて 「原 生 区域 」 を広 めに確保 す る こ とが 目的 で ある。
い
整 備水 準 の 引き下 げは主 と して ア クセ スの 面 で ある。 現状 との最 も大 きな違 は、層雲
への
峡 と旭 岳 の ロー プ ウ ェイ ・ ヅフ トを撤 去す る こ とで、 これ に よ つて 各登 山 口か ら山岳
アプ ロー チが長 くな り、お鉢 平周 辺 に広 く 「原 生 区域 」 を確保 で き る。 また、 トム ラ ウシ
ム
シ温 泉 か
温 泉 か ら トム ラ タシ 山へ の短 縮 ル ー トとな ってい る林道 の廃 上 に よ り、 ト ラ ウ
ら トム ラ ツシ 山へ の 区問 も 「原 生 区域 」 に戻せ る。 この ほか登 山道 で は、高原 温泉 か ら高
「
とす
根 ヶ原 へ の 短縮 ル ー トで あ る三笠 新道 を廃 止 し、 白雲 岳避難 小屋 以南 を 原 生 区域 」
る。
一 方 、計画案 Aと は違 い 、各 登 山 口へ の 自家用 車 の乗 り入 れ は現在 とほぼ 同 じ程度 に認
「
め、 各登 山 口か ら 日帰 りで往 復 で き る範 囲は 「 自然 区域 」や 準 自然 区域」 を確 保す る。
これ に よ つて 、計画案 Aで は 自動 車 の乗 り入れ が不能 で あ った 東側 の 各登 山 口 (銀 泉台、
高原 温泉 、沼 ノ原入 日)周 辺 が 、計画案 Aと は違 つて くる。
が
なお、層雲 峡 と旭 岳 ロー プ ウエイ が な いた めに、層 雲峡 か ら黒岳 7合 目ま で の登 山道
テ
の い 「準
復活 す るほか 、勇駒 別 (旭 岳 温 泉 )か ら姿見 まで の 区間 が、 兄在 よ りも利便性 高
自然 区域 」 とな る。
「
目
チ
兄状 と比 べ る と、 全 体 と して 「原 生 区域 」 がか な り広 が り、 自然性 を重視 した 管理
標 」 を満 足す るゾー ニ ン グ とな ってい る。
(3)計 画案 C:状 況 回 復
「管理 目標 」 は、物 的環境 (ア クセ ス や施設 )の 整 備 水準 は現状 のままで 「F兄 在 よ り利
パ
つた 19
用 水 準 を下 げ る」 こ とで あ る。 具体 的 に は、「現在 よ り利 用 の イ ン ク トが小 さか
兄在 の約 2/3)こ とを 目標 とす る。
80年 代前 半 の 状況 に近 づ け る」 (登 山者 の入 り込み数 で チ
の
が必要
物 的環境 を現 状 とほ とん ど変 えな い で入 り込み数 を減 らす には、入 山制 限等 措置
とな る。
の
物 的環 境 の 水準 が 現 状 とほぼ 同 じだ けに、ゾー ニ ング も基本 的 に現 状 に近 い も にな る。
現状 と違 うの は次 の 3カ 所 で あ る。
ム
シ
第 一 は、現在 の 短 縮 ル ー トを廃 止 す る こ とに よつて 、 トム ラ ウシ温 泉 か ら ト ラ ウ 山
まで の 区間 を 「 自然 区域 」 か ら 「原 生 区域 」 に戻す 。 トム ラ ウシ 山は表 大雪 で も最 も奥深
い 所 にあ りなが ら、最 近 で は トム ラ タン温 泉 か らの 日帰 り登 山客 の 増 大 によ つて俗化 が進
安
80年 代 前 半
み つ つ あ り、植 生 の破 壊 や トイ レ問題 等 が発 生 してい る。 計画木 cで は これ を
の 状態 に戻す こ とをね ら うわ けで あ る。
「
「
よ
第 二 は、北海岳 か ら自雲小 屋 周 辺 に 原 生 区域 」 と 自然 区域 」 を増やす。 層雲 峡お
び銀 泉 台 か ら白雲 小屋 にか けて の 区域 に は、 シー ズ ン 中 か な りの入 り込み が 見 られ 、 白雲
- 47 -
小屋 も混み合 う。 この 状態 を何 らか の形 で 改善 して、 白雲小屋 周辺 で 自然性 を回復す る。
第 二 は、沼 ノ平周 辺 を 「準 自然 区域 」 か ら 「 自然 区域 」 に変 える。愛 山渓 か らの入 山者
は、 ロー プ ウェイ の あ る層雲 峡や 勇駒別 に比 べ れ ばは るか に少 な いが 、沼 ノ平周 辺 は木道
安 cで は、周辺 の 自然
や案 内板 が設 置 され 、都市公 園 の よ うな整備 が進 み つつ あ る。 計画木
景観 を考 えて、よ り自然性 を重視 した「 自然 区域」として再生 させ る こ とを意 図 して い る。
以 上 の よ うに、計 画案 Cは 、 オ ーバー ユ ー ス に よる登 山道 の破 壊 、屎尿汚染 、 あ るい は
俗化 とい つた 問題 を解 決す るた めに 、現状 よ り自然性 を重視 した ゾー ニ ン グを採 用 し、整
我 々 が推奨 す る計
備 水 準 は変 えず に入 り込み数 を減 らそ うとす るわ けで あ る。 この案 が 、
画案 で あ る。
(4)計 画案 D:現 状 凍結
現 状凍結 とは現在 の 状態 を維 持す る とい うこ とで あ り、現在 の 趨 勢 を放 置す る とい う意
味 ではない。 したが って、何 らか の 措置 を講ず る こ とが前提 とな る。
ア クセ ス に つ いて は現状 か らの変 更 は な い 。 山小屋 や トイ レ も現状 の ま まで 、 とくに改
善 は しない。 登 山道 も補修 の み で、木道等 の新設 は しない。入 り込 み も現状維 持 で あ り、
も しも増加傾 向にあ るな ら、増 や さな い た めの制 限は課す。 ゾー ニ ングは現状 のままであ
る ので 、説 明は略す。
(5)計 画案 E:現 状 追認
「管理 目標 」 は 「現在 の利 用 状況 を追認 し、現状 の 問題 点 を解 消す るた めの整備 を行 な
う」 こ とで あ る。換 言 すれ ば、現状 の利 用水 準 はそ の ままで、整備 水 準 を少 し上 げ る とい
うこ とで ある。 した が つて利便性 は現在 よ り高 ま る こ ととな る。
まず ア クセ ス に つ い ては 、 テ
兄状 と基本 的 に変 わ らな い 。 主 な変 更点 は、 トム ラ ウシ温 泉
か らの短縮 ル ー トの 登 山 口に あ る駐 車場 を現在 よ り少 し拡 張す る こ とと、三笠 新道 を下 り
専用 の エ ス ケ ー プル ー トとす る こ とで あ る。
そ の他 の物 的環境 で は、登 山道 の 整備 、 トイ レの設 置 、 山小屋 の 拡 張 の 3つ がポイ ン ト
で あ る。す なわ ち、登 山道 では 、松仙 園 の湿 地 に木道 を設 置す る こ と、 トイ レにつ い て は、
ア
兄在 キ ャ ンプ 地 の汚 染 が問題 視 され てい る トム ラ タシ 南沼、沼 ノ原 、 お よび 裏 旭 のキ ャ ン
プ 場 の 3カ 所 に新設 す る こ と、そ して 山小屋 に 関 して は、 白雲 岳避 難 小屋 と忠別 岳避難 小
屋 、お よび ヒサ ゴ沼避 難 小屋 を拡 張す る こ と (た だ し、 質的 な グ レー ドア ップ は行 わず 、
収容 人員 を増や す の み )で あ る。 い ずれ も現在 のオー バ ー ユ ー ス に よる問題 の 解決 を 目的
とした 措 置 で あ る。
ゾー ニ ング に つ い て は、整備 水 準 の 引 き上 げに伴 つて 、 よ り利 便性 の 高 い 区域 を少 し増
やす。 具体的 には、 第 一 に、木道 を設置 す る松仙 園周 辺 を 「原 生 区域 」 か ら 「 自然 区域 」
に変更す る。第 二 に、小泉 岳 と緑 岳 の 間 を同 じく 「原 生 区域」か ら「 自然 区域 」に変 える。
第 二 に、 白雲 岳避 難 小屋 以南 で少 し 「 自然 区域 」 を増 やす 、そ して 第 四に、沼 ノ原周 辺 を
「準 自然 区域 」 と し、 よ り手軽 に 自然体 験 がで き る場 とす る とともに、 五 色 ヶ原 まで の 区
間 を 「 自然 区域 」 に変 える。
計 画案 Eは 、現状 の 趨勢 を追認 して 、 よ り利便性 を高 める方 向に整備す る案 で あ るだ け
に、全 体 として 「原 生 区域 」 を縮小 す る よ うな ゾー ニ ング とな る。 現状 を以前 の状態 に戻
す こ とを 目標 とす る計 画案 Cと の 違 い に着 目 して ほ しい。
(6)計 画案 F:利 便 性重視
48
「管理 目標 」 は 「現状 よ り整備 水準・ 利 用水 準 とも上 げ る」 こ とで 、 山域 全 体 として レ
ク リエ ー シ ョン体 験 の利 便性 を向 上 させ る こ とが 目標 とな る。
「
物 的環 境 と して は、 ア クセ ス の 改 善 が 最 も大 きな特 徴 で あ る。 登 山 口ご とに、 レク リ
エー シ ョン空 間」 と 「デー ニ ング」 の設 定状況 を、現 状 と比較 しつ つ 述 べ れ ば次 の通 りで
あ る。
層 雲峡 で は、黒 岳 7合 ロ リフ ト終 点か ら黒岳 まで の 登 山道 を一 般 観 光客 で も歩 きやす い
よ うに 「準整備 区域 」 と して整備 す る (階 段 や 手す りな ども設置 す る)。 勇駒 別 で は、姿
「
見 の 遊歩道 を 「整備 区域 」 と しバ ヅア フ リー 化 す る。 また、裾 合 平 まで の 区間 を 準整備
区域 」 と して 一 般 観 光客 に も アプ ロー チ しや す く整備 す る。 さ らに、 ロー プ ウ ェイ の付 け
替 え (実 際 に は既 に完 了済 み )に よ つて 、勇駒別 ∼ 姿 見 間 の入 り込 み が増 え る と予想 され
るた め、 ここを 「準 自然 区域 」 と して登 山道や 案 内板 の整 備 を行 う。
愛 山渓 では 、登 山 口まで の 現在 の道 路 をア ス フ ァル ト舗 装 にす る とともに、西側 に延 び
る林 道 を改修 す る。 また松仙 園周 辺 に木 道 を設 置す る。 現在 の松仙 園 一 帯 は整備 の 手が加
わ らず 自然性 の 高 い 雰 囲気 が残 つてい るが、 こ う した整備 を通 じて沼 ノ平 の よ うな遊歩 道
準整備 区域 」)に 変 えて い こ う とい うわ けで あ る。
銀 泉 台 につ いて は、登 山 口まで のア ク セス 道 路 をア ス フ ァル ト舗 装 とし、利 便性 を高 め
的 な空 間
(「
るが、 プー ニ ン グは と くに現状 か ら変 更 は しな い。
「
高原温 泉 も、 ア クセ ス 道 路 を アス フ ァル ト舗 装す る とともに、高原 沼 一 帯 を 準整備 区
域 」 と して遊 歩 道化 す る。 なお 、高原 沼 付近 は ヒグマ の生 息域 で あ るが、監視 人 を増や し
て ヒ グマ が人 間 と接 触す る危 険 を少 な くす る こ とに よ り、人 々 が立 ち入 りやす くす るよ う
にす る。 また 、高根 ヶ原 に通 じる三笠新 道 は、計画案 Eと 同 じくエ ス ケー プル ー トとして
下 りの み の使 用 に制 限す る もの とす る。
沼 ノ原 登 山 口に つ いて は、現在 の 林道 を舗装 した上 で、 五 色 の水場付近 ま で延長 し、沼
ノ原 へ の アプ ロー チ を大 幅 に 改善す る。 沼 ノ原 一 帯 は 「準整備 区域 」 として遊 歩道化 し、
トイ レや休 憩 所 も設 け て 、 一 般 客 が気軽 に立 ち寄れ る場所 とす る。 また 、 ア クセ ス の改 善
に よ り、 五 色 ヶ原 か ら忠別 岳 ・ 化 雲 岳 へ のアプ ロー チ も大幅 に 向上 す るので 、 この周 辺 一
帯 を 「 自然 区域 」 として登 山道 の整備 を行 う (木 道 の 設置や 刈 り払 い の 徹底 な ど)。 また 、
忠別 岳避 難 小屋 に つ いて は、入 り込み の 増加 に備 えて増築 を行 うも の とす る (た だ し、サ
ー ビス レベ ル は現状 の ま ま とし、寝 具や食事 の 提 供 は しな い )。
最後 に トム ラ ウ シ温 泉 日で あ るが、現在 の短 縮 ル ー トとな つてい る林道 を延 長・ 舗装 し、
「
トム ラ タシ 山へ のア クセ ス を さ らに改善す る。 また 、 トム ラ ウシ 山周 辺 を 自然 区域」 な
い しは「準 自然 区域 」 と して整備 して い くた め に、 トム ラ ウシ南沼 に は トイ レを設 置す る。
さ らに、 ヒサ ゴ沼避 難 小屋 に つ いて も、 忠別 岳避 難 小屋 と同様 、入 り込み客 の 増 加 に備 え
て 増築 を行 う。
計 画案 Fで は、 と りわ け 白雲 岳避難 小 屋 以南 の 「原 生 区域」 の縮 小 が 顕著 で あ る。 これ
らの 山域 は、現在 で は ア クセ ス の 不便 か ら山中宿 泊 を前提 とした登 山者 のみ に限 られ るが、
計 画案 Fで は、沼 ノ原 と トム ラ ウシ温 泉 か らのア クセ ス を改善す る こ とに よ つて 、 日帰 り
客 を も呼 び込 め る よ うにす るた めで ある。
(7)計 画案 G:利 便 性最 重視
「管 理 目標 」 は 「手軽 に 自然 に触 れ られ る こ と・ 眺 め られ る こ とを重視 す る」 こ とで あ
- 49 -
る。 ここで は、か つ て構 想 され た大雪 山横 断道 路 と縦 貫道路 の建 設 を前提 とした計画案 を
考 え る。計画案 Gに お け る 「 レク リエ ー シ ョン空 間」 と 「ゾー ニ ング」 の設 定状況 を、 山
域 ご とに述 べ れ ば次 の通 りで あ る。
ま ず 、表大 雪 の核 心 部 であ るお鉢 平周 辺 で あ るが、横 断道 路 の建 設 は この 山域 の レク リ
エ ー シ ョン利 用 に根 本 的 な変化 を もた らす。横 断道 路 の 路線 につ い て は不 明な部分 が ある
が 、 ここで は と りあ えず 、姿 見 か ら裾 合 平 を通 つて 中岳分 岐 に至 り、間宮岳 、 北海 岳 の近
くを かす めて 、小泉 岳 、赤岳 の周辺 を通 り、銀 泉 台 に抜 けるルー トを想 定 した 。 また横 断
道 路 の建 設 に合 わせ て 、層雲 峡か ら黒岳 へ のア クセ ス を改善す るた めに、現在 の リフ ト終
点で あ る 7合 日か ら黒 岳 山頂 まで を ロー プ ウェ イ で結 ぶ こ ととした。
この道 路 の 開通 に よ つて 、 沿道 の 山域 は 一 気 に観 光 地化 され る。道 路沿 い に は展 望台や
休憩所 が設 け られ るで あ ろ う し、起 点 とな る姿見や銀 泉 台 にはホテ ル の建 設 も予想 され る。
それ らを考慮 して 、計画案 Gで は、勇 駒別 ∼ 銀 泉 台 間 の主 要 な結 節 点で あ る裾 合 平 、 中
岳分 岐、間宮 岳 、北海 岳 、小 泉岳 、赤岳 、駒 草平等 はす べ て 「整備 区域 」 とした。 また、
お 鉢 平周辺 と白雲岳避 難 小屋 周辺 は 「準整備 区域」 と し、運動靴 程度 で気軽 に歩 け る整備
を行 うもの とす る。 要所 要所 には トイ レを配置 し、黒岳石 室や 白雲 岳避難 小屋 も寝 具 と食
事付 き の 山小屋 に グ レー ドア ップ す る。
横 断道 路 の建 設 に よつて、 北鎮岳 か ら永 山岳 にか けて の 山域や 、沼 ノ平、愛 山渓 に至 る
区間 も様変 わ りす る。 これ らの 区域 は基本 的 に 「準 自然 区域 」 と し、運動靴 で ハ イ キ ング
がで き る程度 の 登 山道 の 整備 を行 う。難 所 には木道 や 階段 を設 け、刈 り払 い を徹 底す る。
ただ し、比布 岳 か ら永 山岳 にか けて と当麻尾根 は、横 断道 路 か らの 距離や標 高差 な どを考
えて 、 よ り自然性 の 高 い 「自然 区域 」 として残 す もの とす る。
次 に、 トム ラ ウシ 山 と十 勝 連 峰 の 間を通 る縦 貫道 路 の影響 で あ るが、縦貫道 路 か ら トム
ラ ウ シ 山へ の 新 規登 山道 をつ くる ので な けれ ば、横 断道 路 の よ うな直接 的影響 は小 さい と
考 え られ る。 そ こで 計 画案 Gで は、 トム ラ クシ 山 の 自然性 を ある程 度保存す るた め に、縦
安
貫道 路 か らの新 規 登 山道 は設 けな い こ とと した 。 た だ し、前述 の 計画木 Fと 同様 、現在 の
トム ラ ウシ温 泉 か らの短縮 ル ー トに つ い て は、林道 の延 長 と舗 装 に よ リ トム ラ ウシ 山へ の
ア クセ ス を改 善す る も の とした。 ゾー ニ ング に つ い て 言 えば 、 トム ラ ウシ温 泉 か ら トム ラ
クシ 山へ の 区間 は 「準 自然 区域」 として利 便性 の 向 上 をはか るが、 トム ラ ウシ 山頂 一 帯 は
「自然 区域 」 と して 保 全 を図 りた い 。
高原温泉 と沼 ノ原 の 登 山 口につ いて は、前述 の 計 画案 Fと 同様 、登 山 口まで の道 路 の舗
装 と延 長 に よつて 、山域 へ の ア クセ ス を改善 し、これ らの 登 山 口か らの 日帰 リコー ス を「準
自然 区域 」 と 「準整 備 区域」 として整備す る。 高原 沼お よび沼 ノ原 一 帯 は、一 般 観 光客 が
靴 を汚 さず に歩 け る水 準 まで遊歩 道 を整備 す る。 また 高原 温 泉 で は現在 のホテ ル を グ レー
ドア ップ し、収容 人数 と内容 の 充 実 を図 る。
他 方 、天人 峡 か らのル ー トに関 しては、 第 一公 園 か ら小化 雲 岳 に至 る悪 路 を解 消す る程
度 の 整備 に止 め る。 これ は天 人峡温 泉 か ら滝見 台まで の 区間が急傾 斜 の崖 を登 らね ばな ら
な い た め、他 の 登 山 口の よ うに、 ア クセ ス の改 善や 登 山道 の遊歩道化 が困難 で あ るた めで
あ る。
最 後 に、 山 中 の 山小屋 で あ るが、 白雲 、忠別 、 ヒサ ゴ沼 の 各避 難 小屋 は、 い ず れ も食 事
と寝 具付 き の本 格 的 な 山小屋 として改築す る。横 断道 路や縦貫道 路 が通 るよ うな段 階 では
- 50 -
山域 全体 が観 光的 な性 格 を帯び る の で 、 山小屋 につ いて も食事
・ 寝 具 の な い避 難小 屋 では
不釣 り合 い と考 えるか らで ある。
し、そ
以 上 の よ うな整備 に よつて 、計 画案 Gで は 「原 生 区域 」 が 存在 しな くな る。 ただ
「
の段 階 で も化 雲 岳 を 中心 とす る一 帯 は 「原 生 区域 」 の 次 の ラ ン クで あ る 自然 区域 」 とし
て残 して い く。これ らの 山域 で も、ア クセ ス の全 般 的改善 に よ つて 日帰 りが可能 とな るが、
自然性 の 高 い 雰 囲気 だ けは残す 必 要 が あ る と判 断 され るた めで あ る。
3.6 ア ク シ ョンプラ ン
し
表 4に 、各 管理 目標 を達成す るた めに必 要 な方策 、す なわ ち ア ク シ ョンプ ラ ンを整理
て示す 。 方策 は 「イ ン フ ラ」、「規制 」、「普 及啓発 」、「合 意形成 」 の 4つ か らな る。
「イ ンフ ラ」 とは、 ロー プ ウ エイ 。リフ ト、 ア クセ ス 道路 、道標 や案 内板 、 山小屋 や キ
の
ャ ンプ 場 な どの施設 ・ 設備 を い う。 現状 凍結 の計画案 Dか ら計 画案 Aに 行 くほ ど、 当然
こ となが ら、イ ン フラが少 な くな り、 自然性 が 増す 。 一 方 、計 画案 Gに 行 くほ ど、イ ンフ
ラが充実 し、利 便性 が高 ま る。
「規制 」 は利 用者 の 人数 を コ ン トロール す るた めに行 な うも ので あ る。計画案 Aへ 向 か
うほ ど規 制 が厳 しくな り、逆 に計画案 Gに 向 か うほ ど規制 は緩 くな る。規 制 方法 としては、
エ リア の 限定 、総 人数 の 規制 、 グル ー プ 規模 の制 限、入 山料 の 徴収 、 ア クセ ス の制 限 (自
じた入
家用 車 の乗 り入 れ禁 止 、林 道 の ゲ ー ト閉鎖 な ど)、 入 山 の許 可 制 (登 山経験等 に応
コ
ン トロー
山規 制 )な どが考 え られ る。 計 画案 Aや 計画案 Bで は、 これ らを組 み合 わせ た
ル が必 要 とな る。 また、計画案 E∼ Gに お い て も、高 山植 物 の保護 のた めに監視体制 の強
化 は必 要 とな る。
「普 及啓発 」 は利 用者 が 自発 的 に適 正 な公 園利 用 を行 な うこ とを促 す。 そ の 具体 的な内
の
容 は、計画案 A∼ Gに 共通す る もの と して、イ ンター プ リテ ー シ ョンの 充実 、利用情報
充 実や利 用 の 誘 導 、 ガイ グ ンス の 実施 な ど、 とくに計 画案 A∼ Cに 必 要 な措置 として、利
の 全
用 規制 につ いて の 情 報 提供 の徹 底 、 また計画案 Fや Gに 必 要 な措置 として、利 用者 安
確 保 の 徹 底や モ ラル キ ャ ンペ ー ンが あ る。
ど合意
最 後 に、 関係者 の 合 意形成 で あ るが 、現状凍結 (計 画案 D)か ら両極 に向 か うほ
へ の悪
形 成 は 困難 に な る。 ロー プ ウ ェイ の 撤 去 を前提 とす る計画案 Aや Bで は 、地域 経済
Fや
皮壊 に つ なが る計画案
影 響 を懸念 して地域 か らの 反発 が非 常 に強 いで あ ろ う し、 自然 石
Gは 、猛 烈 な 自然保護 運 動 を引 き起 こす だ ろ う。お 鉢 平 に 自動 車道 を通す 計 画案 Gな どは、
ス ムー ズ と考 え ら
現在 の 社会 情 勢 で は実現不 可能 で あ る。 一 方 、合意形 成 の 面 で も つ とも
れ る の は、現状 の 問題 点 の解 消 を め ざす 計画案 Eで あ る。
3.7 各計 画 案 の得 失 の比較
「レ
表 5は 、各 管理 目標 の 持 つ 長所 と短 所 を整 理 した もので あ る。評 価 の視 点 として は、
ク リエ ー シ ヨン 体 験 」、「 自然 環 境 」、「地域 経 済 」、「地域 社 会 」 の 4つ の側 面 が考 え られ
る。
(1)レ ク リエー シ ヨン体験
一
現 状 凍結 (計 画案 D)か ら計 画案 Aに 向 か うほ ど、 よ り自然 的 な体験 がで き る 方 、そ
う した体験 が で き る人 が限 られ る。 これ に対 して、逆 に計 画案 Gに 向 か うほ ど、 よ り手軽
- 51 -
表 5.大 雪 山国立公国の管理計画 (各 案の長所と短所 )
計 画案
A自 然性最重視
B自 然性重視
C状 況回復
レ ク リ エ 完 全 な原 生 体 験 の より自然 的な体 験・より現状より混雑緩和
ー ン ヨン 実現
体験
原 生的な体験 の実現
遠隔性 が増すことによる 自然派 の 満足度 向上
D現 状
E現 状追認
凍結
とくに
なし
長所
られる
る(旭 岳 '黒 岳 )
施設での混雑緩和
より多くの弱者 が利用
可能
とくに
なし
部分 的にはインパ クトが 長所なし
とくに
なし
部分 的 (限 定 的 )に 収 入 既存 施 設 において 収 全 般 的 に観 光 収 入 は 大
とくに
なし
良くも悪くも変化が少な 多様な利用者 の 増加 身体 的弱者 が便 利 に利
い (現 状が維持される) によりにぎわいが増す 用できる(世 界 が広がる)
とくに
なし
結果として入 込者数増加 入込 者 数 が 増 加 し、原 生 体験 の場 が喪 失 し、
で俗化する
混雑と俗化が生じる 混雑と俗 化が著 しい
とくに
なし
改善 箇所も時間とともに 主として利用段 階での 建設 および利 用 の 各 段
インパ クトが大になる
インパ クト大
階でインパ クト非常 に大
長所なし
改善
持続 的な利用が可能
地域経済 エコツーリズム型 観 エコツー リズム型 観 光収 エコツー リズ ム 型 観 光 収
光収入の増加
入の増加
・
Jレ ハ ス
シャト
の収 入あ
G利 便性最 重視
利便性の向上 (ト イレ・小 多くの人が高 山帯 のウ手軽 に高 山帯に行 ける
・
ーキンク
屋について)
ォ
を楽しめる
身体的弱者の利用促進
原 生 体験 の増 大
°
自然環境 全 体的 に 自然環境 場 所 によつて 自然 環 境 将 来にわたリインハクト
増大
の 回復 が 大 きく図 の 回復 が 大 幅 に図 られ が なく、現 整 備 水 準 での
F利 便性重視
入の可能性あり
増大
入増大
幅増 大
り
Il O N II
地域社会 自然 遺 産 (生 物 多 自然遺産 (生 物 多様性を 自然環境 へ の理 解 が進む
様性 を含 む )と して 含む )と して価 値 が上 が
直が上がる
る
価イ
エ
レ ク リ ごく一 部 の 人 に限 一 部 の 人 に利 用 が 限 定 利用者を制 限する (技 術・
ー シ ョン 定される (技 術・能 される (技 術・能 力のある 能 力による選別なし)
人)
力のある人)
体験
体験 の 機 会 が制 限される
危険度増大
(時 間的・金銭的に)
自然 環 境 な し
なし
なし
短所
自然環 境 に与 える全 体 希少な 生 物種 が 絶 減 希 少な生物 種 が 絶 減 す
的インパクトが増
する可能性がある
る可能性がある
地域経済 従来型観 光収 入 の 一 部 地 域 (ロ ープウエイ 従来型観光収入 の減 少
激 減 (地 域 経 済 に 存在 地 )の 従 来 型 観 光
甚大な影響 )
とくに
なし
管 理 コス トが や や 増 大 管 理 コス トが 増 大 (ゴ 管 理 コストが 非 常 に 増 六
・屎尿処理 費用 の 増
・屎 尿 処 ミ
・屎尿 処 理 費 用 の 増 (ゴ ミ
(部 分 的 な ゴミ
理費用の増大 )
大)
大)
既存観光施設 の表 退
とくに
なし
大きな変化なし
収入の激減
地域社会 同辺地域 の定住 人 同辺 の一 部 地域 の 定住 利 用者 減 少 により地域 が
口の 激 減 (雇 用 機 人 口の 減 少 (雇 用 機 会 停滞
会激減 のため )
減少のため )
大雪山の特徴が失わ 自然遺 産 としての価 値 が
れる
喪失
自然遺 産 としての 価 一 般 観 光 地 に関 わ る間
値が減少
題 点の頭在 化 (治 安・交
通事故・風紀 )
に快適 に、また誰 で もが高 山体 験 を味わ うこ とが で き るが、そ の反 面、混雑 がひ どくな り、
環 境 全 体 が 俗化 して 、原 生体 験 が味 わ えな くな る。 それ ぞれ の 管 理 目標 に応 じて体験 の質
が 異 な るるわけで あ る。
(2)自 然 環境 へ の影 響
手
兄状凍結 (計 画案 D)か ら計 画案 Aに 向か うほ ど、 自然環 境 の 回復 が図 られ 、好影響 が
へ
期 待 で き る。 これ に対 して、計 画案 Gに 向 か うほ ど 自然秦境 の イ ンパ ク トが強 ま り、逆
皮壊 を引き起 こ
に マ イナ ス の影 響 が 出 る。 と く計画案 に Gで は、建 設段 階 で も大 きな 自然石
す 。 特 に大 雪 山には 固有種 が 多 く、 これ ら動植 物 の 絶滅 の 危 険性 もある。
(3)地 域 経済 へ の影 響
計 画案 A∼
Cで は将来 的 には北海 道 らしい 雄大 な 自然 を売 り物 に したエ コ ンー リズ ム型
の観 光 が 伸 び る可能 性 を有 して い る もの の 、従来型 の観 光収 入 は減 少す る こ とが予想 され
コ
る。 逆 に、計画案 E∼ Gで は従 来型 の観 光収入 は増加 す るが 、 同時 に全般 的 な管理 ス ト
(ゴ ミ 。し尿 処 理 な ど)の 増大 も見込 まれ る。
(4)地 域 社会 へ の影 響
計 画案 A∼ Cで は雄 大 な原 生 地域 を擁 す る大雪 山 の 自然遺 産
(生 物 多様性 を含 む )と し
て の 価 値 が 高 ま り、 自然乗 境 へ の社 会 の 理解 が進 む とい つた 効果 が 見込 める一 方 、従 来型
観 光収 入 の 減少 に よ つて 周辺 地域 の 人 口減少 が予想 され る。 他方 、計画案 E∼ Gで は、多
様 な利 用者 が訪 れ る こ とを通 じて地域 に賑 わ いが 増す 点で は利 益 が あるが、大 雪 山 らしい
特 徴 が失 われ 、 自然 遺 産 として の価 値 が損 なわれ る。
3.8推 奨 案
本報 告 で は 7つ の 管 理 計画案 を紹介 したが、我 々 が この 中 で推 奨 した い のは計画案 C(状
兄在 よ りも利 用者数 が少 な く、 した が つて植 生 の破 壊 や キャ ンプ
況 回復 )で あ る。 これ は テ
地 周辺 の 荒廃 、屎 尿 に よる汚染 な どの 問題 が小 さか つた 時代 の 状態 に戻す とい う案 で ある。
安 が望 ま しい理 由は以 下 の 通 りで あ る。
この木
第 一 は、 日本 全体 と して 原 生 自然 的雰 囲気 が味 わ え る山域 が 減少 して い る ので 、大雪 山
の よ うにそれ がまだ残 され て い る山域 は 、 で き るだ け これ を守 る必 要 が あ る と考 えるか ら
で あ る。 とくに大雪 山は 比 較 的 アプ ロー チが良 い に もかか わ らず 、原 生 的 自然 が よく残 さ
れ て い る点 で 貴重 で あ る。
第 二 は、大 雪 山 で は現在す で に過剰利 用 の 問題 が生 じてお り、それ に対 して現状 で は対
症 療 法 的 な措 置 が講 じ られ て い るが (入 山者 の 増 加 に対応 した登 山道や 施設 の整 備 等 )、
それ で はな し崩 し的 に整備 が進 む こ とを 防 げず 、結 果 として大雪 山 の持 ち味 で あ る原 生 自
へ
然性 を損 な って しま う恐れ が あ る。過剰 利用 の解 決 には計画案 Cの よ うに、 当該 山域 の
入 山者 数 の 制 限等 の 措 置 が必 要 と考 える。
第 二 は、近年 の 国 立公 園管 理 の 考 え方 は、全体 と して規 制 強化 の 方 向に向 か つてい るの
べ
だ か ら (特 別 保 護 地 区 が 増 えて い る)、 利 用 計画 も同 じく規 制 強化 の 方 向に向 か う き と
考 えるた めで あ る。大 雪 山国 立公 園 にお いて も、高原 温 泉 の 入 山時 間規制や マ イカ ー 規制 、
あ る い は世 界 遺産 登録 に 向けて の動 きが あ り、大雪 山 の現 状 の 自然性 を守 るた めに規制 が
必 要 とい う考 え方 の 浸 透 が 見 て取れ る。
安
エ
第 四は、 この案 が十 分 に現 実性 が あ るか らで あ る。 計画木 Aや Bは 既存 の ロー プ ウ イ
- 53 -
や リフ トの徹 去 を前提 として い るため、地域経 済へ の影響 を考 えれば合意形成はきわめて
難 しい と言 わねばな らない。 そ の点で計画案 Cは 、 アクセスや施設 な どの物的環境 はほぼ
現状 のまま とす るた め、比較的多 くの人に受 け入れ らやす い と考 え られ るのである。 もつ
とも入 り込み規制の実施へ の抵抗を考 えると、対症療法的対応である計画案 Eの 方が受け
入れ られやす い面があるのは事実である。
最後に、第五 として、現状 で様 々な楽 しみ方 を している大雪 山の利用客 の大半は、計画
案 Cの 下で多少 の不便 さは伴 うものの、そ うした体験 を継続できる ことを挙げてお きたい。
4.山 の トイ レ問題 に 関連 して
今 回作成 した大 雪 山国 立公 園 の 管理 計画 に 関 わ る ROS分 類 (表
2)で は ,元 々の ア ン
ケ ー ト調査 の項 目に トイ レの 整備 水準 を独 立 して入れ て い なか っ た こ ともあ つ て , トイ レ
の整 備 水準 に 関す る項 目が入 つてい な い 。 しか し,本 来 な らば 当然含 めな けれ ばな らな い
こ とは言 うまで もな い 。
山岳 トイ レの 整備 水 準 に つ い ては ,北 大 の愛 甲氏 が 既 に次 の よ うな 「段 階 的 トイ レ整備
水準 の提案 」 を され て い る (山 の トイ レを考 え る会 HP http://village.infoweb.ne.jp/∼
yoshio49/mtclean.htm)。
O山 岳
トイ レ整備水 準 (案 )
レベ ル
1初 級者 もお とず れ 、 あ る程 度 の快 適性 も提 供 す るエ リア。 自然 景観 に影 響 が少
な い 範 囲で 処理機 能 も し くは搬 出 が容 易 な タイ プ の トイ レ施設 を設 置 し、定期
的な巡視 、維持 管理 を行 う。
レベ ル
2登 山者 が 自己責任 で利 用 す るエ リア 、 レベ ル 1よ
りも利 用数 が 少 な くな る こと
も想 定 され る。 周 辺 の 自然 景観 に影 響 が な い トイ レ施設 を設置 す る。 巡視 ・ 維
持 管理 は、 シー ズ ン前後 、最 盛期 に数 回 の み行 われ る。 トイ レ施 設 は、周 辺 に
影 響 の 出な い 最 小 限 の も の とし、尿 と便 を分 離 で き る完 全 貯 留式 と し、数 年 に
1回 搬 出す る。利 用者 に は使 用 済み の紙 の持 ち帰 りを基 本 と し、携 帯 トイ レの
使用 も推 奨 す る。
レベ ル
3登 山者 が 自己 の 経験 や 技術 に従 い 自己責任 で利 用す るエ リアで 、巡視 ・ 維 持管
理 も定期 的 には行 われ な い 。 トイ レ施 設 は設 置 せ ず 、登 山者 に よ る持 ち帰 り、
また は土 に埋 め る こ とを基本 とし、携 帯 トイ レを使 用す るた めのブ ー ス を景観
に影 響 の 出 な い 範 囲 で宿 泊地 、休 憩 地 点等 に最 小 限整備 す る と と もに、利 用者
に携 帯 トイ レの使 用 や 上 に埋 め る場所 な どの マ ナ ー の徹 底 を図 る。
我 々の ROS分 類 に当てはめる と, レベ ル 1が 「整備 区域」 もしくは 「準整備 区域」
レベ ル 2が 「準 自然 区域」 もしくは 「自然 区域」,レ ベ ル 3が 「原 生 区域」 に概 ね相 当す
,
るだ ろ う。
た とえば, トム ラ ウシ南沼は予
兄況 では 「原生区域」 であるか ら, トイ レ施設は設置 しな
いのが適 当とい うことになる。 これに対 して,も しも将来 にお いて計画案 D(現 状凍結)
や計画案 C(状 況回復 )を 採用す る場合 にも,や は りここは 「原生 区域」であるか ら, ト
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イ レは設置 しない方針 を採 るべ きである。 これ に対 して,計 画案 E(現 状追認 )を 採用す
る場合 には, トム ラタシ南沼は 「自然区域」 とな るか ら,「 周 辺 の 自然景観 に影響 がない
トイ レ施設」 を設置す るのが適 当 とい うことになる。
あ るい は,次 のよ うな対応 を考 えることもできる。す なわち,計 画案 Dや Cを 採用す る
場合 にも,緊 急避難的 に仮設的 トイ レを設置 し,利 用者 を制限す る他 の方法 (入 山制限や
ベ
トム ラ短縮道 の廃 上 な ど)が 効果 を発揮 しは じめた時点で トイ レを撤 去 して,上 記 の レ
ル 3の よ うな対応 を採 るとい う方法 である。
いずれ に しても,国 立公 園全体 を対象 とした ROSに よる管理計画 (ゾ ー ニ ング)が あ
って こそ ,こ のよ うな対 処法 を検討 できるので ある。
5.ROSに
かかわる トピックス
最 後 に ,ROSに かか わ る い くつか の トピ ックス を紹介 して ,本 報告 の締 め とした い。
パ
自然 公 園 の利 用 と管理 をめ ぐつて の従 来 か らの主 な議 論 は、利用 に伴 う生態 的イ ン ク
トの 観 点 か ら論 じられ て きた も ので あ つ た。 しか し自然公 園 を め ぐる多様 な利 用 が行 われ
つつ ある昨今 で は、 あ る利 用 形態 が 他 の利用 者 に与 え るイ ンパ ク トの観 点か らも論 じられ
つつ ある。
に起 こつた尾瀬 地 区 で の携 帯 電話基 地 局設 置 に関す る議論 では、
山 の 中 で も携 帯電 話 を利 用 す る こ とが適 切 な利 用 で あ る のか とい つた 、 自然保護 団体 と
例 えば平成
13年 6月
NTTド コモ 側 の公 園 内で の携 帯 電話利 用 の 考 え方 そ の もの に対す る対 立が 現れ た。 この
問題 に関 して は、特別 保護 地 区に かか る部分 の 基 地設 置 は見送 られ たが 、そ の 周 辺 での基
地局 の設 置 は行 われ て い る。
へ バ
また、 同年 10月 に 山形市 か ら提案 され た 、蔵 王 国定 公 園 の 最 高 峰・ 熊野 岳 山頂 の
。
イオ トイ レ設 置 に関 して は、利 便性 向上 生態 的イ ンパ ク ト低減 とい う設置 推進派 と景観
悪化 を懸 念す る慎重派 が 対 立 して い る。
最 近 で は大 雪 山国 立公 園 の トム ラ ウシ 山登 山道 の 沢 沿 いル ー トの一 部 を、 出水 の危 険 が
あ る とい う理 由か ら迂 回路新 設 の 計画 が 地元 の 要 望 で 検討 され てい る。 ここで の議論 は迂
回路 新設 に よる生態 的イ ンパ ク トよ りも、登 山 とい う利 用形態 を ど こま で安 全 を確保 しつ
つ 提 供す るか とい う大 雪 山に お け る登 山利 用 そ の ものの議 論 にな つてい る。
これ らの議 論 は、 い ず れ もそ の 場所 を ど う利 用 しつ つかつ 保護 を してい くか とい う、場
所 ご との 明確 な利 用 と保 護 の 目標 が決 ま ってい な いた めに起 こる問題 で ある。 従来 か ら議
論 され て い る利 用 に伴 う生態 的イ ンパ ク トの議 論 もま た、 この 目標 設 定 を行 つて こなか っ
た こ とが原 因 で あ る こ とは明 白で あ る。
ROSの 概 念 は、「利 用 と利 用 」 の 問題 ばか りだ けで な く、「利 用 と保 護 」 の 問題 を考 え
て い く上 で も、 1つ の 分 か りやす い 枠組 み を与 えて くれ る。
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話題 1】
【
(8月 17日
尾瀬 。大清水入 日 携帯電話サー ビス開始
付の上毛新聞 :群 馬 のニ ュースHPよ り抜粋)
大清 水入 山 口に設 置 された携 帯 電話 基 地 局 NTTド コモ (本 社 。東京 )は 十 六 日、尾
瀬 の 大清 水入 山 口に設 置 した 携 帯電話基 地局 のサー ビス を開始 した 。午前十時 に開局す る
と、付近 で は さつ そ く携 帯電話 を使 って連絡 を取 る人 の姿 が 見 られ た。
基 地 局 は片 品村 戸倉 の 尾瀬林 業大清 水休 憩所 の裏 に設 置 され 、 ア ンテナ の 高 さは遊 雷針 を
含 め 一三・五 メー トル 。通話 エ リアは大清水 入 山 日の半径 ― キ ロ と狭 く、 山中や尾瀬 沼 な
どへ 電波 が届 く こ とは な い。
尾瀬 地 区 の携 帯 電話 基 地 局 設 置 問題 は 自然 保 護 か利 便 性 か で論 議 を 呼 ん で い た が 、 県 、 N
TTド
コ モ 、 片 品 村 な どが 大 清 フ
k、
帰 待 峠 の 来 抽 局 計 画 は 継 続 し、 件
山 ノ鼻 と尾 瀬 沼 へ の 基 地局
保諮
1+伯
区 に か んゝる
は 白紙 に戻 す こ とで合 意 ∩ 六 月 中旬 か ら建 設 が進 め られ て
いた 。鳩 待 峠 は九月 下旬 に開局予 定。
トム ラクシ登 山道 に新ルー ト 新年度内 に設 置
話題 2】
【
HP
2002/11/2310:37よ り抜粋 )
(北 海道新聞
キユ夢今予 言
曳│=
:;∼
藩癬蕩
井ふギ
危険個所 を迂回
新得】大雪 山系 トム ラウシ 山 (二 、一 四― メー トル )へ の
【
十勝管内新得 町側 か らの登 山道 をめ ぐり、危険個所 を迂 回 (う
かい)す る一部新ルー トが 、来年度 中に設置 され ることが二十
二 日までに決ま った。
山 首 入 り 口か ら山 頂 ま で 人 キ
「
││を 七
口。 新 ル ー トイ
ま、 カ ム イ 天 上 」 んヽらカ ム イサ ンケナ イサ
塀.在 の 一 般 的 苓 山首 は 、 短 縮
躍漸み櫛
同 湾 る
塀`コ ー ス を洋 け 、南 イ
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汗 同十 る
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キ ロ^
】 回 路 だ と渡 る の は 一 回 で 済 すo^
同 山は登 山者 の 人気 が 高 ま ってい るが、 同川 付近 は危 険個所
として知 られ 、昨年 七月 には神 奈川 県 の公 務 員 一 人が下 山中、
川 に流 され 死 亡 して い る。 このた め、新 得 山岳会 が 関係機 関 に新 ル ー ト設置 を働 き か けて
いた 。
岳
これ を受 けて環境省 上士 幌保護 管事務 所や 林野庁 十勝西部森 林 管理署東 大雪 支署 、道 、
町が 二 十 一 日、「大雪 山国 立公 園新得 地 区登 山道等 維 持 管理 連 絡 協議 会 」 を発 足 させ 、新
ルー トの 来年 度 内設 置 へ 向け、法的手続 きを早期 に済 ませ る こ とを 申 し合 わせ た 。
話題3】
景観 か観光か、蔵王最高峰の トイ レ設置 で論争
【
(読 売新聞/1月 9日 )
<内 容 は 94ペ ー ジ参 照 >
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