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マルチJTAGアダプタでCPUデバッグから FPGAコンフィグレーションまで
マルチJTAGアダプタでCPUデバッグから FPGAコンフィグレーションまで自由自在 第1回 マルチ JTAG アダプタの製作と ARM マイコンのデバッグ 熊谷 あき,細渕 憲行,上向井 毅 現在の組み込みシステム開発では,各社CPU用のJTAGデバッガや各社FPGA用のJTAGダウンロード・ケーブ ルなど,何本ものJTAGアダプタが必要になる.ここではオープン・ソース/フリー・ソフトウェアを活用しなが ら,1本のJTAGアダプタでプログラムのデバッグやFPGAのコンフィグレーションが可能なマルチJTAGアダプ タを実現する. (編集部) ● マルチ JTAG アダプタの必要性 JTAG(Joint Test Action Group)は,もともとは部品実 ラレル・ポートはほぼ絶滅(?)しています.使いたいとき にいつでも接続できるという取り回しのよさを考えると, 装後の基板検査のためのしくみでした.現在ではそれだけ やはりパソコンとの接続インターフェースは USB が一番 にととどまらず,CPU の JTAG 端子を使ってプログラム でしょう. のデバッグを行ったり,FPGA の JTAG 端子を使ってコン となると,USB と JTAG を変換する部分に何を使うか フィグレーションを行えるなど,さまざまな用途に使われ が問題になります.そこで候補に挙げられるのは,ARM ています. 系 CPU のデバッグで有名な OpenOCD が対応している しかし現実には,CPU や FPGA の種類に合わせて複数 英 国 Future Technology Devices International 社( 以 下 の JTAG アダプタを使い分ける必要があります.同一ベン FTDI 社)の FT2232 系のデバイスでしょう.このデバイ ダの CPU であれば,同じハードウェアを使いソフトウェ スはもともとは USB-シリアル変換 IC なのですが,さまざ アの差し替えだけで両対応になる場合もありますが,一般 まな動作モードを持っていて,JTAG 信号の制御にもよく 的には CPU それぞれに専用の JTAG デバッガが必要です. 使われています.図 1 に FT2232x 系デバイスを使った また CPLD/FPGA のプログラミング/コンフィグレーショ JTAG 制御システムの構成を示します. ンでも,ベンダ各社ごとに専用の JTAG ダウンロード・ ● FT2232x 変換モジュール基板を活用 ケーブルが必要です. FT2232 系デバイスには,いくつかの種類があります. 本連載では,これを何とか 1 本の JTAG アダプタで兼用 現在入手できるものとしては,USB のフル・スピード(12 する方法について紹介していきます.現在のところ,次の Mbps)に対応する FT2232C や FT2232D,そしてハイ・ス ような用途への対応を予定しています. ピード(480Mbps)に対応する FT2232H があります.いず ¡ARM マイコン向けデバッグ ¡米国 Altera 社製 FPGA 対応ダウンローダ ¡米国 Xilinx 社製 CPLD/FPGA/コンフィグレーション ROM 対応プログラマ/ダウンローダ USB接続 ¡バウンダリ・スキャン対応 CPU 向け NOR 型フラッ JTAG信号 シュ ROM 書き換え パソコン 1.FT2232 搭載 JTAG アダプタの 作成 ● システム構成 FT2232x + JTAG変換回路 一昔前までは,パソコンから JTAG を制御するのにパラ レル・ポート(LPT)をよく使いました.しかし現在ではパ Aug. 2010 ターゲット基板 図 1 FT2232x 系デバイスを使った JTAG 制御システムの構成 KEYWORD ―― JTAG,FT2232D,FT2232H,ARM,DAIICE for ARM 137