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資料3 先端技術における弁理士の養成について

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資料3 先端技術における弁理士の養成について
資料3
先端技術分野における弁理士の養成について
1.背景
(1)平成13年3月30日に閣議決定された「科学技術基本計画」においては、①ラ
イフサイエンス分野、②情報通信分野、③環境分野、④ナノテクノロジー・材料
分野を研究開発の重点分野として位置づけ、戦略的に研究開発を推進することと
しており、これらの分野における研究開発成果を知的財産権として適切に保護・
活用することが重要な課題。
(2)また、大学の研究成果の流通・活用等を通じて、新規産業の創出及び産業技術の
高度化を図り、産業競争力の強化を進めることが喫緊の課題。このためには、ま
ず、大学の研究成果である先端技術が適切に特許権化されることが必要。
(3)以上のことから、先端技術分野における知的財産権の取得等に関し、弁理士の果
たすべき役割は極めて大きいと考えられる。
2.先端分野における弁理士の不足(別紙参照)
(1 )TLOや各大学の地域共同研究センター等に対してアンケート調査を行った結果、
「バイオテクノロジー分野」、「ソフトウエア分野」の順で弁理士が不足していると
の回答を得た。
(2)大企業、中小企業を対象としてアンケート調査を行った結果、
「ソフトウエア分野 」、
「バイオテクノロジー分野」の順で弁理士が不足しているとの回答を得た。
(3)特許事務所を対象としてアンケート調査を行った結果、「ソフトウエア分野」、「電
気分野」、
「バイオテクノロジー分野」の順で弁理士が不足しているとの回答を得た。
3.論点
昨年行われた弁理士試験制度改革により、平成14年の弁理士試験より、技術系の
選択科目に「バイオテクノロジー」、「情報通信工学」を設けるなど、先端分野を専攻
した者が弁理士試験を受験し易いような工夫がなされている。以上の措置により、今
-1-
後、これらの先端分野において多数の弁理士が輩出されることが期待される。
しかしながら、先端技術分野における弁理士の養成は喫緊の課題であることから、
弁理士試験制度改革以外にも、例えば、以下のような対策を講ずるべきではないか。
①先端技術分野の学生に対する知的財産制度、弁理士制度の啓蒙活動の一層の充実
【現状】国研・大学向けに工業所有権セミナーを開催(平成12年度は、全国各地の国研・大学
で62回開催 )。また、大学生に対して、工業所有権の標準テキスト等を無償配布。
②弁理士の自己研鑽に向けた、弁理士会の先端技術研修の充実
【現状】弁理士会においては、平成11年度、工場・研究所の見学会を2回実施。
③工業所有権研修所の技術研修の充実・強化
【現状 】工業所有権研修所では 、平成12年度 、先端技術に関する研修を24回開催し 、審査官・
審判官がのべ約840人参加。
④弁理士の技術研修受講に対するインセンティブの付与(研修受講歴の公表等)
【現状】弁理士会において、本年秋に全弁理士の専門分野に関する情報をホームページを通じて
提供すべく、現在作業を進めているところ。
-2-
別 紙
弁理士の専門分野に関するニーズ
平成 13 年 5 月
特
許
庁
1.TLO及び大学(地域共同研究センター)等のニーズ
(1)調査対象(全体数:129機関)
・TLO:20機関(回収率:90.0%)
・大学(地域共同研究センター)等:109機関(回収率:約56.9%)
(2)調査実施時期
平成 13 年 5 月 9 日∼5 月 17 日
(3)全体集計結果
TLO及び大学の地域共同センター等に対する調査結果を集計した結果、弁理士が不足
する分野として、「バイオテクノロジー」、「ソフトウェア」、「技術移転」、「ライセンス契
約」の順に回答が多かった。
弁理士が不足する分野【全体】(複数回答可)(回答数=80)
回答数(TLO及び大学数)
0
10
20
30
40
50
13
m. その他
5
l. 不正競争法
14
k. 著作権
j. 技術移転
31
23
i. ライセンス契約
14
h. 訴訟
g. 商標権
2
f. 意匠権
2
45
e. バイオテクノロジー
43
d. ソフトウェア
c. 機械
b. 化学
a. 電気
10
11
12
1
(4)TLO向け調査結果
TLOを対象に結果を集計した結果、弁理士が不足している分野としては、「バイオテ
クノロジー」、「ソフトウェア」、「技術移転」、「ライセンス契約」の順に回答が多かった。
また、「その他」として、「半導体」、「コンピューター(ハード)」、「医学系」があげら
れた。
弁理士が不足する分野【TLO】(複数回答可)(回答数=18)
回 答 数 (TLO)
0
a. 電気
2
6
8
10
14
16
1
0
d. ソフトウェア
12
e. バイオテクノロジー
15
f. 意匠権
0
g. 商標権
0
h. 訴訟
4
i. ライセンス契約
8
j. 技術移転
9
k. 著作権
3
l. 不正競争法
3
m. その他
12
0
b. 化学
c. 機械
4
1
(5)大学の地域共同研究センター等向け調査結果
大学の地域共同研究センター等の調査結果を集計したところ、弁理士が不足する分野と
して、「ソフトウェア」、「バイオテクノロジー」、「技術移転」、「ライセンス契約」の順に
回答が多かった。
また、「その他」として、「金属材料」、「建設(2件)」、「ビジネスモデル(2件)」「新
材料」、「外国特許」、「医療技術」等があげられた。
2
弁理士が不足する分野【大学等】(複数回答可)(回答数=62)
回 答 数 (TLO)
0
a. 電気
2
6
8
10
14
16
1
0
d. ソフトウェア
12
e. バイオテクノロジー
15
f. 意匠権
0
g. 商標権
0
h. 訴訟
4
i. ライセンス契約
8
j. 技術移転
9
k. 著作権
3
l. 不正競争法
3
m. その他
12
0
b. 化学
c. 機械
4
1
(6)弁理士に関する意見
本調査において聴取した、弁理士の専門分野に関する主な意見は以下の通りである。
・技術移転活動の活発化が予想されるため、弁理士には、契約、紛争処理、特許評価、マー
ケティング等に関する高度な知識を期待。
・当県では機械関係の弁理士は多いものの電気関係が不足。
・TLOを運営していくに当り、研究者が持っているシーズをどのように権利化していく
かが、特にハイテク分野において今後重要。研究者とのインタビューを通じて権利化へ
の適切なアドバイスができるような弁理士が望ましい。
・弁理士にはビジネス戦略をサポートするための特許戦略を作り上げることを期待。この
ため、自社特許の活用や他者特許対策での成功失敗を経験した弁理士が必要。
・TLOでは大学におけるその分野の最新の研究成果を出願対象としているが、特にバイ
オ関係などにおいてこのレベルの技術を理解している弁理士が不足。
・特に IT 分野に関するいわゆる「ビジネスモデル特許」に対応できる弁理士が不足。
・専門分野毎の弁理士情報や弁理士の過去の実績についての情報が入手しにくい。特に、
TLOや地域共同研究センターの活動に協力してくれる弁理士のリストがあれば有用。
・最初の相談段階で、地元の弁理士とタイアップした専門的弁理士の意見が聞けるシステ
ムの導入を期待。
・ライセンス契約に関して無料で相談できる窓口があれば有用。
3
2.企業・特許事務所のニーズ
平成12年度に、
(財)知的財産研究所が特許庁からの委託研究「知的財産専門サービ
スにおける能力評価制度に関する調査研究」において、大企業、中小企業、及び特許事務
所に対し、求められる弁理士の専門分野についてアンケート調査を実施しており、その結
果は以下の通り(以下、「知的財産専門サービスにおける能力評価制度に関する調査研究
報告書」より抜粋)。
(1)調査対象
日本知的財産協会会員企業:759社(回収率43.5%)
中小企業:609社(注1)(回収率19.9%)
特許事務所:586事務所(注2)(回収率17.6%)
(注1)「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」認定企業より、平成7年∼平成1
1年までの間に特許出願を2件以上行った企業を抽出。
(注2)弁理士が2名以上所属する特許事務所を抽出
(2)調査実施時期
平成12年11月1日∼平成12年12月31日
(3)企業向け調査結果
① 全体集計結果
企業向けアンケートの全体を集計した結果、現在弁理士が不足している分野として、
「訴
訟」、「ソフトウエア」、「ライセンス契約」の順に回答が多かった。
4
弁理士が不足する分野【 全 体 】(複数回答可)(回答数=381)
回答数(企業)
0
20
40
a.電気
60
100
120
140
160
30
23
c.機械
152
d.ソフトウェア
e.バイオテクノロジー
74
f.意匠権
16
9
161
h.訴訟
142
I.ライセンス契約
j.技術移転
86
68
k.著作権
92
l.不正競争法
m.その他
180
50
b.化学
g.商標権
80
57
「m.その他」の記載
回答数
・
ビジネスモデル 11
・
不足していない 9
・
わからない 9
・
その他 29
② 大企業/中小企業比較
弁理士の不足する分野について、大企業(知財協会員企業)と中小企業との比較を行っ
たところ、技術分野に関し、大企業(知財協会員企業)では、「ソフトウェア」が突出し
ているのに対して、中小企業では、
「ソフトウエア」分野の不足感が強いものの、全体的
に不足感がある。
また、法律分野に関しては、大企業(知財協会員企業)では「訴訟」「ライセンス契約」
の順に不足感が強いのに対し、中小企業では「ライセンス契約」に突出して不足感が現れ
ている。
5
②―1 弁理士が不足する分野【 大 企 業 ( 知 的 財 産 協 会 会 員 企 業 )】(複数回答可)(回答
数=288)
回答数(企業)
0
20
40
60
80
100
120
140
160
39
a.電気
b.化学
c.機械
d.ソフトウェア
e.バイオテクノロジー
f.意匠権
g.商標権
h.訴訟
I.ライセンス契約
j.技術移転
k.著作権
l.不正競争法
m.その他
13
10
125
57
14
4
144
114
71
59
79
37
②―2 弁理士が不足する分野【 中 小 企 業 】(複数回答可)(回答数=93)
回答数(企業)
0
a.電気
b.化学
c.機械
d.ソフトウェア
e.バイオテクノロジー
f.意匠権
g.商標権
h.訴訟
I.ライセンス契約
j.技術移転
k.著作権
l.不正競争法
m.その他
5
10
15
20
25
30
11
17
13
27
17
2
5
17
28
15
9
13
20
6
(4)特許事務所向け調査結果
①弁理士の採用を考えている分野
特許事務所に対し、現在、どのような分野に詳しい弁理士を採用/増員しようと考えて
いるか質問したところ、技術分野では「電気」、「ソフトウェア」の順で回答が多かった。
弁理士の採用を考えている分野(複数回答可)(回答数=93)
回答数(事務所)
0
10
20
30
40
50
60
67
a.電気
b.化学
25
c.機械
36
56
d.ソフトウェア
28
e.バイオテクノロジー
f.意匠権
1
9
g.商標権
h.訴訟
18
I.ライセンス契約
6
j.技術移転
2
k.著作権
2
l.不正競争法
m.その他
70
5
7
7
80
② 知財業界一般で、弁理士が不足している分野
現在、知財業界において一般的に、どのような分野に詳しい弁理士が不足していると考
えているか質問したところ、技術分野では「ソフトウェア」、「電気」、「バイオテクノロ
ジー」が挙げられた。
知財業界一般で、弁理士が不足している分野(複数回答可)(回答数=95)
回答数(事務所)
0
10
20
30
40
a.電気
60
38
b.化学
3
c.機械
4
d.ソフトウェア
51
e.バイオテクノロジー
33
f.意匠権
1
g.商標権
1
23
h.訴訟
27
I.ライセンス契約
26
j.技術移転
22
k.著作権
20
l.不正競争法
m.その他
50
6
8
70
80
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