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シニア海外ボランティアに従事して
JSME関西支部シニア会 シニアーボランティアーに参加して 2006-4-27 期間 2004年4月8日~2006年4月7日 赴任地 マレーシア国コタ・キナバル市 ITI Kota Kinabalu 校 専門科目 CADD Mechanical 坂 戸 瑞根 マレーシア地図 マレーシア概況 位置 北緯0度54分~7度28分 東経99度44分~ 119度30分 西マレーシア(半島) 11州 東マレーシア(ボル ネオ島) 2州 合計 13州 気候 熱帯性気候 年間25~32℃ 面積 約33万平方キロ(日本の約90%) サバ州 73,711平方キロ 人口 25,990千人(2004年) 西マレーシアに80%居住 内 Kuala Lumpur 1,379千人 サバ州 2.862千人(他に15~20%の フ ィ リ ピ ン 人 、 イ ン ド ネ シ ア 人 が労働者として在住) コタキナバル市 約 23万人 マレーシア概況 人種構成 言語 中国語 マレー系、土着 中国人 インド人 その他 外国人 マレー語(国語) タミル語 61.4% 23.6% 7.1% 1.2% 6.7% 公用語は他に英語、 マレーシア概況 宗教 イスラム教(国教) 仏教 中国宗教 キリスト教 ヒンズー教 原始宗教他 無宗教 不明 天然資源 60.4% 19.2% 2.6% 9.1% 6.3%、 1.2% 0・8% 0.3% 錫、天然ゴム、原油、天然ガス、パーム油、木材 マレーシアの歴史(1) 1405年 マラッカ王国樹立 1511年 ポルトガル マラッカ占領 1786年 イギリス ペナン島租借 1819年 イギリス シンガポール 割譲獲得 1942~45年 日本占領期 1946年 マラヤ連合樹立 1948年 マラヤ連邦成立 1957年 マラヤ連邦独立 1963年 シンガポールを含めた マレーシア連邦成立 マレーシアの歴史(2) 1965年 シンガポール分離独立 1969年 人種暴動発生 1971年 新経済政策策定 1981年 マハティール政権誕生 1991年 Vision 2020 発表 1997年 アジア通貨危機 2001年 海外送金課金制度撤廃 2003年10月 アブドラ首相就任 2004年3月 総選挙 与党圧勝 マレーシアの憲法(1) 立憲君主制 元首は9州のスルタンから互選で選 ばれ たマレーシア国王で任期は5年 選挙権は21歳以上 上院 任期3年 70議席の内43名は国王が任命 被選挙権は31歳以上 下院 任期5年 219議席 小選挙区制 被選挙権は21歳以上 マレーシアの憲法(2) 特記事項 民族間対立をもたらすような事項 (センシティブ事項)への批判禁止 国語はマレー語 マレー人の特別地位 スルタンの地位 憲法改正は上下両院の3分の2以上 の賛 成が必要 マレーシアの貿易 貿易 総輸出(FOB) 製品 パーム油 原油 天然ガス 単位 金額 100万リンギ/伸び率 % 2004 2005(E) 2006(F) 金額 伸び率 金額 伸び率 金額 伸び率 480,740 20.8 532,816 10.8 592,115 11.1 395,127 19.6 436,282 10.4 484,182 11.0 20,047 -1.8 20,550 2.5 22,707 10.5 21,762 39.0 28,188 29.5 33,859 20.1 17,072 27.9 18,675 9.3 20,742 11.1 総輸入(CIF) 中間財 資本財 消費財 貿易収支 400,077 26.4 287,223 22.0 55,545 36.1 23,234 24.1 80,663 435,653 8.9 312,799 8.9 59,664 7.5 24,832 6.9 97,163 490,349 12.6 352,561 12.7 67,668 13.4 26,479 6.6 101,766 マレーシアの国際収支 国際収支 輸出 輸入 貿易収支 運輸 旅行 政府取引 その他サービス 貿易外収支 貿易・貿易外収支 所得収支 移転収支 経常収支 2004 481,240 376,760 104,474 -17,783 19,398 -721 -9,676 -8,780 95,695 -24,549 -14,633 56,511 単位 100万リンギ 2005(E) 2006(F) 533,380 592,741 409,312 460,213 124,068 132,528 -18,288 -20,922 20,481 22,675 -204 -342 -11,926 -11,239 -9,937 -9,828 114,131 122,700 -23,833 -24,622 -17,297 -17,776 73,001 80,302 マレーシアの経済成長推移 経済成長 GNP 消費支出 (公共部門) (民間部門) 固定資産形成 (公共部門) (民間部門) 単位 金額 100万リンギ/伸び率 % 2004 2005(E) 2006(F) 金額 伸び率 金額 伸び率 金額 伸び率 425,060 14.1 463,546 9.1 506,015 9.2 59,317 8.0 65,719 10.8 67,497 2.7 192,771 11.8 211,938 9.9 232,533 9.7 53,424 -6.7 56,491 5.7 57,911 2.6 38,394 28.6 42,417 10.5 49,003 15.5 財・サービス輸出 財・サービス輸入 GNP(1987年基準) 544,956 21.7 449,262 23.0 233,084 7.3 604,625 10.9 490,494 9.2 246,472 5.7 672,678 11.3 549,978 12.1 260,806 5.8 国民総貯蓄 一人当たりGNP 158,338 16.5 16,616 11.7 168,592 17,741 188,209 11.6 18,995 7.1 国民総生産 6.5 6.8 マレーシアの教育制度 就学率と統一テスト(学制 6-3-2-2-4 制) 6 7 8 9 初等教育 10 11 Primary School 0 1 2 3 4 5 6 12 13 14 15 16 17 中等教育 Upper Lower Secondary Secondary School School 1 2 3 1 2 83% 97% 20 21 22 高等教育 1 2 3.70% 50 60 学力テストSPM 70 80 学力テストPMR 90 学力テストUPSR 3 4 留学 教員養成専門学校 大学 専門学校 学力テストSTPM 40 (年齢) University/ College 55% 30 100 (就学率 %) 19 Post Secondary School 1 2 22% 10 20 18 派遣先の概要 教育: 技能教育機関 教育省 人的資源省 University (4-6 years) Degree CIAST-Instructer University/ College(2-3 years) Diploma Polytechnic (3 years) Diploma JMTI & ADTEC CIAST L3,L4&L5 High School 18-19 year old (2-4 years) SVS/STS(L1) 16-17 year old (2 years) ITI L1&L2 Middle School 13-15 year old (3 years) Primary School 7-12 year old (6 years) 注 Polytechnic 高等工業専門学校 SVS 中等職業学校 STS 中等技術学校 職能標準 Engineer(Degree) Asst.Engineer(Diploma) Technician(Certificate) Industrial Engineer(L5) Ind. Technologist(L4/Dip) Ind. Technologist(L2,L3/Cert) Half Skilled Worker Operator 他に 企業家育成省、 青年スポーツ省 管轄の技能訓練校もある 派遣先の概要 教育: 技能認証 マレーシア国家技能認証レベルの考え方 職務分類 管 理 監 督 要 素 管理者レベル (Management) 監督者レベル (Supervisory) 教育資格 技能資格 学士レベル (Degree) MSC L5 短大卒レベル (Diploma) MSC L4 知識要素 (関連・応用) MSC L3 製造ライン・ 一般作業 (Operation & Productin) 技能要素 注 MSC Malaysia Skill Certificte MSC L2 MSC L1 Industrial Training Institute Kota Kinabalu 校内に作られているモスク Industrial Training Institute Kota Kinabalu 全寮制の学生寮と教員の官舎 Industrial Training Institute Kota Kinabalu ORGANISATION CHART DIRECTOR PA FINANCE & ADMINISTRATION DIVISION ADMINISTRATION & FINANCE ELECTRICAL & ELECTRONIC DEPARTMENT ELECTRICAL SERVICES & ADMINISTRATION UNIT CHARGEMAN ADMINISTRATION & RECORD UNIT INDUSTRIAL ELECTRONIC FINANACE UNIT SENIOR VOLUNTEER COMPUTER & MULTIMEDIA DEPARTMENT CADD ARCHITECTURAL CADD MECHANICAL INFORMATION TECHNOLOGY MECHANICAL & MANUFACTURIN G DEPARTMENT INDUSTRIAL PRODUCT DESIGN RESOURCE CENTRE COMPUTER CENTRE LIBRARY CNC MACHINING ELECTRO MECAHNICAL ASS. DIRECTOR OF TECHNICAL CONTROL ASS. DIRECTOR OF SKILL DEVELOPMEN T ASS. DIRECTOR OF TRAINING MANAGEMEN T CADD MECHANICAL COURSE PROFILE COURSE CADD MECHANICAL DEPARMENT COMPUTER & MULTIMEDIA INSTITUTITION ILP KOTA KINABALU LECTURERS 3 PERSONS CAPACITY 60 TRAINEES LEVEL SKM LEVEL 1 & 2 DURATION 1 YEAR 3 MONTHS (2)CADD Mechanical コースの教育実態 1)NOSS(Natinal Occupation Skill Standard)は 大雑把、一部不適切。 2). NOSSには一部教科としての必要な項目がない。 3). NOSSによりシラバスが作られているが、 880時間中815時間が実技(Level1) 4). 教科書は系統立っていず,且つ見辛い。 5). 日本で使われているプリントなど 補助教材が全く無い 6). 製図に必要な規格、ハンドブック類が無い (2)CADD Mechanical コースの教育実態 7). CAD のコンピューターやソフトウェア-は 必要以上に高度なものが導入されている。 8). 製図に必要な機械の基礎知識が与えられ ていない。 9). 授業説明用図,表類が整備されていない 10). 参考用機械部品、実習用機械が無い。 11). 計測機器が無い。 教科書の実態(1) (3)活動内容と結果 (3)-1.カリキュラム改善 NOSS 改定権限 赴任地になし。 中央委員会が権限 実質的には改善されず NOSSに従って学生の教育をする 定まった教科書がない(日本の工業高校にあり) 英文で資料を渡した 教科書はマレー語にしなければならず 改訂されたのはごく一部に過ぎない。 (3)-2 教科書改訂、教材開発 教科書改訂 d)図面、説明図、表(英文、マレーシア 語)英文説明文作成 14種類(Total 254 Pages)の英文資料を 作成提出 この資料を元にマレー語の教科書や教師 用の参考書は十分に作成可能となった。 しかし、Kota Kinabalu 1校の教員では 質量共に無理である (3)-4 教材用機械部品入手 (3)-5 教材用計測機器入手と教育 (4)-1 Benchmark Tour ILPKKの教員(カウンターパート)や学部長は 卒業生が働く筈の工業の現場を実際に見た経 験が殆どない また見学しようとしても日系企業や大手の会 社ではその手続きさえ出来ない KL近傍、 Penang に見学をお願いできる会 社があったので2日間、合計6箇所を案内した 見学は彼らに良い経験となったはず 残念ながら報告書も作成されない 現状では、成果のほどは疑問である Benchmark Tour (4)-2 Morning Exercise Sep. 2004 から日本のラジオ体操を導入(CD Player は SV が提供)。 March 2005 からJICA作成のマレー語のCD を使用して現在にいたる。 遅刻減少、居眠り防止などに成果があると の事 教員の参加がない 他のSVの参加がない 私の帰国後も続行すると言うが? (4)-3 5S Activity August 2005 に ILPKKのManagementで 5S活動 を実施したいので指導して欲しいとの要望が 出された。日本では大変ポピュラーな活動故、 引き受けたが、英語で日本語のニュアンスを 判らせることは難しい。 JICA Malaysia Office からも資料を送って 貰い、準備に1ヶ月あまり要した。東京のア ジア生産性本部発行の英文書籍やVIDEO の購入が役に立った。 Staff全員の教育から開始して5ヶ月あまり経過 したが、まだまだ軌道に乗るところまでは行かな い 課題1(マレーシアー2020年先進国入りを目指 す) ASEAN諸国の中でシンガポール、タイにつぎ優良 な経済発展を遂げた フィリッピン、インドネシアに比べて政情安定、豊か になった 天然資源、観光など国際競争の少ないない分野と 低賃金の時代では外国投資により成長が出来た 米国、日本の投資による工業発展の恩恵大きい GDP の安定的な成長には工業生産が必要 中国、ベトナムの変化により、マレーシアの賃金水 準は低くなくなった 課題2(マレーシアー2020年先進国入りを目指 す) 工業製品では製品性能、品質、価格、納期の競争に 勝たねばならぬ ブミプトラを中心とした政府系役人の働き? 政府優遇措置を受けるブミプトラの意識は? インフラストラクチャは先進国並み意識はマダマダ 中国系、インド系マレー人とブミプトラの努力の差 ブミプトラ政策によってもマレー系のシェアは上がら ない 実態は格差の再生産 中国系が中心 努力し、働き、豊かになる事が良しとはされない社会 日本は逆の意味で極端 ルックイーストの勤勉思想? 宗教上の制約と国際競争力の関係は? 展望(マレーシアー2020年先進国入りを目指す) 天然資源の恩恵享受 生活容易 衣食住に贅沢しなければ 穏やかな気質と隣国よりも良いと言う優越感 あまり体を動かさない生活習慣:暑さのため動けない 物質文明は中国系インド系の働きにより享受 安定的な発展が期待できる 何を以って先進国とするか? 雑感1(JICAの技術援助) JICAは政府の技術援助を担当すると定義されて いる 援助対象は相手国の政府機関に限られ、民間は 対象外 政府機関を通じての工業技術の移転は可能か? 努力をしなくても過去生活水準が向上した社会に 何を援助するか 援助が援助を生み出す構造 自助努力を促す援助の有り方 雑感2(シニアーボランティアー制度)ーマレーシア マレーシアは援助対象として適切か 派遣先にお金がないのではない 過去マレーシアに相当な援助金を投入してきた。 そのため豊かになった今でもマレーシアの関係者 はJICAが金のなる木と思っている。 SVもJICAのお金で派遣先に良い顔をしたがる SVの費用を日本が丸抱えしているので現場に活 用の意識が沸きにくい 何のためのSV派遣か再検討の時期ではないか 雑感3 (ITI教員) 資格社会、学歴社会の上で教員は低賃金でも官 舎、その他の優遇措置でその地位に安住 卒業生の就職先にも関心がない 政府主導でタイムカードを導入しても授業時間中 にカフェテリアで朝食を取る教員 学生の遅刻に無関心 学生に体操をさせても教員は絶対に参加しない 教員は学生と別の人種か? 学生は教員のだらしなさにより入学時より悪くなる 社会慣習は変らない 雑感4 コタ・キナバル市(マレー人気質) 時間にルーズ 開始時間は30分以上遅れる 愛想が良い 親切である 善意にしても約束は守らない 忘れていたと 予定通りに事が運ばなくても気にしない 計画を立てるのが苦手なのでは 上位職の意向は絶対 モスレム教信者、キリスト教信者はそれぞれ の集団を作り最小限の交流しかしない 雑感5 学校内状況 教員が始業時刻(7:30)に来ない 学生の遅刻常習化 学生寄宿舎、教職員の官舎完備 退勤時には小さな子供が事務所内をチョロチョロ マレーシア大学卒業生は女性でもすぐに学部長 共働きが普通 7人の子持ち女性が学科長 同じ校内に夫婦で勤務し、転勤も時をおかず 配慮される 教員の給料は民間に比べてかなり安い 総括 70歳にして初めての海外勤務を無事終了 健康であること 生活習慣病がない 規則正しい生活 食事に注意と運動量の確保 節酒、禁煙 精神衛生に注意 現地の人たちとの交流(現地人、日本人) 赴任地に恵まれ、幸運を信じて疑わない楽天性が あれば年齢に関係ない