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1.目的 実際に無線 LAN

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1.目的 実際に無線 LAN
参考資料 1-3:柳井市における市街地通信実験(ルート株式会社担当)
1. 目的
実際に無線 LAN を避難所間通信に使用する際の問題点を抽出するため、山口県柳井市に
おいて無線 LAN による広域通信実験を行った。
2.実験内容
z
日程:
2009 年 12 月 24・25 日
z
場所:
山口県柳井市
避難所下見の結果から無線 LAN ネットワークは図 1 に示すように構成した。
アクアヒルやない
柳井グランドホテル
柳井西中学校
余田小学校
柳井市保健センター
柳井市福祉センター
柳東文化会館
柳東小学校
柳井商工高等学校
図 1. 無線 LAN ネットワーク
図中の赤線は幹線ネットワークを、青線は視線ネットワークを示す。当初はこの図に示す
ように 9 箇所を接続する予定だったが、機器の不調があり、図中の太線で結んだ 5 箇所(ア
クアヒルやない、柳井グランドホテル、柳井商工高等学校、柳東小学校、柳東文化会館)の
みとなった。
上記 5 箇所の各拠点に PC と無線 LAN 通信機を設置し、スイッチングハブで接続した。ア
ンテナは 6dBi のパッチアンテナを使用し各拠点間に対向するように設置した。無線 LAN は
IEEE802.11g の OFDM6Mbps モードで使用した。各拠点の PC 間で ping によるパケットロス、
RTT 測定、および iperf によるスループット測定を行った。
3.実験結果
Ping によるパケットロスと RTT の測定結果を図 2 に示す。
64byte
アクアヒル
Packet Loss
7%
グランド
4.5ms
RTT
500byte
アクアヒル
1,000byte
アクアヒル
4.6ms
RTT
アクアヒル
ホテル
2.5%
ホテル
4.5%
17%
商工高校
24.5%
商工高校
ホテル
6%
柳東小
65%
30ms
文化会館
0%
文化会館
5.3ms
柳東小
9.5ms
商工高校
0%
3.1ms
7.2ms
14ms
Packet Loss
53.5% グランド
柳東小
4.6ms
11ms
Packet Loss
37% グランド
17ms
RTT
11%
商工高校
11ms
Packet Loss
18.5% グランド
8.6ms
RTT
1,480byte
ホテル
1.5%
0%
文化会館
7.8ms
柳東小
23ms
0%
文化会館
12ms
図 2. パケットロス、RTT 測定結果
ペイロードの大きさを 64byte、500byte、1000byte、1480byte に変えて測定を行った。図
中の拠点間の線の太さがパケットロスを、色が RTT を大まかに示している。この結果から、
グランドホテル-商工高校間および柳東小-文化会館間は良好な通信状態であるが、アク
アヒル-グランドホテル間、商工高校-柳東小間はペイロードが大きくなるにしたがって
パケットロスが顕著に大きくなったことがわかる。
図 3 に iperf によるスループット測定の結果を示す。
1.2Mbps
34kbps
グランド
アクアヒル
商工高校
ホテル
927kbps
94kbps
920kbps
2.6Mbps
柳東小
69kbps
文化会館
3.0Mbps
図 3. スループット測定結果
図中の矢印の太さがスループットを大まかに示す。この結果からもグランドホテル-商工
高校間、柳東小-文化会館間は比較的良好であり、アクアヒル-グランドホテル間、商工
高校-柳東小間はスループットが大きく低下していることがわかる。OFDM6Mbps の実効スル
ープットは約 3Mbps なので、柳東小-文化会館間はほぼ限界性能を引き出している。
4.実験結果からの考察
実験結果から柳東小-文化会館間を除き、スループットの低下が確認された。これは実
験に関係の無い周辺の無線 LAN 機器による干渉によるものと考えられる。実際、現地でチ
ャンネル設定をする際に各チャンネルをモニターし、比較的空いているチャンネルを選択
したが、その際に多数の無線 LAN 機器が観測された。IEEE802.11 無線 LAN は CSMA/CA を使
用してマルチアクセスを実現しているため、高利得アンテナで不必要に無線 LAN 信号を受
信してしまい、送信待ちやエラーパケットが多発し、その結果パケットロスやスループッ
トの低下が発生したと考えられる。無線 LAN 機器は予想以上に普及しており、住宅地を含
む市街地の屋外で無線 LAN による長距離通信を行う際には同様の問題が発生すると考えら
れる。対策としては、
z
別周波数帯の利用
z
アンテナに対する工夫
z
パケットサイズを小さくする
などが考えられる。来年度はこれらを念頭に計画を実行していく。
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