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番組評価指標の開発研究
放送文化基金『研究報告』 平成 17 年度助成・援助分(人文社会・文化) 番組評価指標の開発研究 視聴者による番組評価の可能性 MMS 武蔵メディアと社会研究会(武蔵大学社会学部) 代表研究者 共同研究者 〃 〃 〃 〃 戸田 桂太 小玉美意子 山下 玲子 小保方恒雄 溝口 勲夫 中條 浩 武蔵大学社会学部 教授 武蔵大学社会学部 教授 武蔵大学社会学部 教授 MMS 研究会 幹事 MMS 研究会 副会長 MMS 研究会 幹事 目 的 本研究プロジェクトは視聴者の側から見たテレビ番組の普遍的な評価尺度を開発し、そ の尺度を用いて視聴者の番組評価を多角的に調査することで、真に視聴者の意識やニーズ を反映した具体的な評価を得る仕組みと評価指標を確立することを目的とした。 この研究はテレビ番組を評価する基準が「視聴率」のみに偏り、高い視聴率を獲得する ことが番組開発や番組制作の目的となっているような放送界の現状に対する批判的な問題 意識によって始められたものである。 視聴率はどれだけの人がその番組を見たかを数値で表す、判り易い基準ではあるが、そ れはテレビ CM のための媒体価値評価基準として機能しているのが実情である。その数値は スポンサー、代理店、放送局の商取引を進めるための尺度であり、視聴者の反応や番組の 質的な問題は置き去りにされている。また、視聴率には捉われない番組評価として、さま ざまな番組顕彰制度があるが、各局が特別に力を入れた、質の高い番組が専門的な目で評 価されることが多く(それ自体大切なことだが)、日常的な番組が日常的に見られ、視聴者 の関心に応えているという面で評価されるのとはまた別である。 これら放送界の番組評価に、共通して欠けているものは「視聴者の側からの視点」であ る。この研究が目的としているものは、市民としての放送利用者(視聴者)が日常生活のな かで必要としている娯楽や実用性や質の高さを、視聴者自らが評価する指標をつくり、視 聴者自らがその評価を発信する仕組みを構築することにある。そして、視聴者の日常的な 番組評価が豊かな番組制作を促す手がかりになることをめざし、このような視聴者と番組 制作者との新たな「関係」のなかから、視聴者の多様な関心に応える「文化」としての放 送番組向上の契機が生まれることを期待するものである。 方 法 上記の研究目的のために、先ず、次のような調査を実施した。 調査対象者:関東地方在住の 10 代∼80 代までの男女 374 名。学生、勤労者、主婦、子育て 中の親、高齢者を一定人数ずつ調査対象者に含めることを目標に、調査者 6 名が各々知り 合いを辿る形で調査対象者を募った。そのため、性別では 3:1 で女性が多く、年齢別では 男女とも 20 代∼30 代が約 60%を占めるなど、ややサンプル構成に歪みが生じた。 調査時期と調査方法:2006 年 8 月∼11 月の期間で、集合調査と個別調査を行った。集合調 査の場合、調査者立会いの下で調査対象番組を録画したビデオを視聴した後、質問紙にそ の場で回答してもらい回収。個別調査の場合、調査対象番組のビデオを各調査対象者に渡 し、個々に視聴したうえで質問紙に回答してもらい、後日郵送または手渡しで回収した。 なお、学生以外の調査対象者に対しては若干の謝礼を支払い、質問紙送付および回収の際 の送料も調査者負担とした。 調査対象番組:朝の情報番組 2 番組 ( 『朝は楽しく!』[テレビ東京:月∼金 8:00∼8:45 2006 年 7 月 10 日放送分]、『生活ほっとモーニング』[NHK 総合:月∼金 8:35∼9:25 2006 年 5 月 25 日放送分]) 。夜の情報番組 2 番組( 『ブロードキャスター』[TBS:土 22:00∼23:24 1 2006 年 7 月 8 日放送分]、『スタ☆メン』[フジテレビ:日 22:00∼23:15 2006 年 7 月 9 日放送分]) 。娯楽番組 2 番組( 『めちゃ×2 イケてるッ』[フジテレビ:土 19:57∼20:54 2006 年 7 月 8 日放送分]、 『笑点』[日本テレビ:日 17:30∼18:00 2006 年 7 月 9 日放送 分])。以上の 6 番組の各 1 コーナー(15∼20 分程度)を抜粋し、DVD(または VHS)1 本に まとめたものを調査対象の素材とした。番組ジャンルの選定に当たっては、短時間かつ 1 回だけの視聴で、ある程度評価可能であることを第一の選択基準とした。さらに個々の番 組の選定については、朝、夜の情報番組では、同様の時間帯に放送され、同一のコンセプ トを持つと思われる番組を2つずつ選択した。娯楽番組は週末の夕方からゴールデンタイ ムの番組で視聴率が高く、かつコンセプトが違うと思われるもの(近年人気の「お笑い系」 番組と伝統的な番組)をひとつずつ選択した。視聴率については(株)ビデオリサーチホ ームページ 2006 年 4 月 17 日∼23 日の関東地区視聴率を参考にした。 質問紙:今回の調査では次のような 34 項目(各々について、 「あてはまらない」∼「あて はまる」までの 5 件法で○をつける)の番組ごとの評価尺度を用いて質問した。 視聴者の感情面の反応に対する 12 項目→「笑える」 「明るい」 「軽い」 「リラックスでき る」「感動できる」「共感できる」「暖かい」 「出演者が好き」「映像がきれい」「音楽がよ い」 「テンポがよい」 「みんなが楽しめる」。 番組の演出面の評価に対する 15 項目→ 「社会性がある」「独創性がある」 「話題性がある」 「視聴者を無視した」「わかりやすい」 「公平な」 「品のよい」「残酷な」「くだらない」「お しつけがましい」「演出がよい」「騒々しい」「差別的表現がある」「過剰な性表現がある」 「繰り返し表現が多い」。 視聴者の実用面の反応に対する 7 項目→「役に立つ」 「教養が身につく」 「視野が広がる」 「人との話題になる」 「情報が早い」「世の中がわかる」「知りたい情報が得られる」 。 また、調査対象6番組の視聴体験(頻度: 「毎回見る」 「しばしば見る」「たまに見る」 「見 たことがない」の 4 件法)と平日、土曜日、日曜・休日の 1 日の平均テレビ視聴時間(6 択) 、 テレビ番組の12ジャンルのここ1週間の視聴時間、よく見るテレビ番組(3つまで)、性 別、年齢、職業、家族構成を尋ねた。 質問紙には、以上のような統計的結果を求める調査のほかに、質的評価を求める自由記 述欄を設けて、現在のテレビ放送についての感想や意見と今回の調査自体についての意見 を自由に書いてもらった。これについては、「結果」の項であらためて記す。 結 果 今回の研究は多様な視聴者層を調査対象とすることで、一般の視聴者が現在のテレビ番 組をどのように評価しているかを明らかにすると同時に、今回の調査で用いた尺度が多様 な番組の質を客観的に評価する指標としてどの程度有効であるかを確認し、「視聴者の番 組評価」の実用化に向けた指針を得ることも求められていた。 調査結果からは、3ジャンル・6本の番組の特徴がある程度明らかになったといえる。そ の多くは各番組に対する一般的な直感から大きく外れるものではなかったが、個々に見る と興味深い結果もかなり得られた。ここでは、先ず3つの番組ジャンルごとに評価尺度項 目への回答の分析(抜粋)を記しておく。 朝の情報番組(『朝は楽しく!』 『生活ほっとモーニング』 )について:朝の情報番組は「笑 える」が両者とも平均値(3.0)以下で、全体的に視聴者の感情面での反応(特に娯楽性)が 低い評価であった。その中で NHK と民放の違いというべきか、 『朝は楽しく!』は『生活ほ っとモーニング』よりも「軽い」と評価されている。また、話題性は民放、公平性や品の よさは NHK という差も見られ、情報の内容の評価では、民放は「世の中がわかる」NHK は「教 養」や「役に立つ」が評価されていた。 『朝は楽しく!』を視聴している人は少なかったが、 『生活ほっとモーニング』に比べて若い人がよく見ていた。しかし、その若い人の評価が 必ずしも高くなく、ターゲットの絞込みが成功しなかった例といえる。逆に、『生活ほっと モーニング』は高齢主婦の視聴が多く、かつ評価も高いことから、番組のターゲットに合 2 致したアピールが番組全体の評価を高めているといえる。 朝の情報番組の評価尺度ごとの数値(34 項目からの抜粋) 5 4 3 2 生活ほっと 世 の中 わ か る 教養 役立 つ 朝は楽しく 品 のよ い 公平 話題性 み んな 楽 し む 軽い 笑える 1 夜の情報番組( 『ブロードキャスター』『スタ☆メン』について) :夜の情報番組は朝に比較 して「笑える」評価が高く、娯楽性にやや高い評価が得られている。またお笑いタレント の起用の成功で、 『スタ☆メン』では出演者に対する評価が高い。演出面では話題性が高く 評価される一方、公平性や品のよさへの低い評価が目立っている。この傾向は特に若年層 に顕著で、グラフでは示してないが、性表現や差別表現に対しても若年層の評価は厳しく なっている。2 番組とも人との話題が得られ、世の中の情勢がわかると評価される一方で、 教養的な要素が低いと評価された。 『スタ☆メン』は中堅層の男性によく見られ、娯楽性や 演出面での評価は高いものの、この層からの実用面での評価が低く、情報番組としてのあ り方が問われる結果になっている。 『ブロードキャスター』は女性、高齢層にも視聴者が多 く、また情報面での評価も高い。この差は番組の質の差として現れていると考えられる。 夜の情報番組の評価尺度ごとの数値(34 項目からの抜粋) 5 4 3 2 世 の中わ かる 人 と の話 題 スタメン 教養 ブロード 役立 つ 品 のよ い 公平 話 題性 出 演者好き 笑 える 1 娯楽番組(『めちゃ×2イケてるッ!』 『笑点』 )について:両番組とも娯楽性への評価は非 常に高く、実用面ではほとんど評価されていない(一般的な直感に等しい)。全体的には『笑 点』への評価が高いものの、『めちゃ×2イケてるッ!』は若年層と高齢層の差が大きく、 若年層では『笑点』よりも高い評価を得ている。しかし、それも感情面に限られており、 他は高齢層同様の低い評価である。ただ、「人との話題になる」のみ『笑点』より高い評価 となっており、この番組が若年層の間で少なからず話題になっていることがわかる。『笑 点』は長寿番組ゆえ、「見たことがない」という人はほとんどいないが、『めちゃ×2イケ てるッ!』は 10 代∼20 代ではほとんどの人が見たことがあるのに対し、70 代以上で見た ことがある人は一人もいない。この視聴頻度の差が評価の差とほぼ一致している。 3 娯楽番組の評価尺度ごとの数値(34 項目からの抜粋) 5 4 3 2 (− ) 人 との話題 騒々 し い 笑点 くだら な い めちゃイケ 品 のよ い 公平 (−)は反転項目で、得点が高いほど 表記 と逆の評価をしていたことを示す。 み んな 楽 し む 暖かい 軽い 笑える 1 (− ) 考察:今回の調査の回答の分析を通じて得られた幾つかの注目すべき結果について考察し ておきたい。第一は、類似のコンセプトによる番組であっても、ターゲットの絞込みの失 敗やターゲットとなるセグメントとのセンスの不一致のために視聴者の満足が得られてい ない可能性が示唆されたことである。朝の情報番組で対象とした『朝は楽しく!』と『生 活ほっとモーニング』との評価数値の差はこのことを示しているといえる。 また、 「お笑い」系娯楽番組は若者からの絶大な支持を得ている一方、当の若者からも「面 白いが良質ではない」番組として、冷静に捉えられていることも示された。 『めちゃ×2イ ケてるッ!』は土曜日のゴールデンタイムという皆がテレビを楽しむ時間帯に放送されて いるにも関わらず、一部の層にとっては、見るのさえも苦痛な番組であることも明らかに なった。この点は、質を伴わずに視聴率が得られる番組や過度にセグメント化された番組 のあり方が、公共性という観点から厳しく問われた結果だといえる。 第二に、視聴者がテレビ番組の「品性」に関わる点について、想像以上に厳しい評価を 下していたことである。特に 10 代、20 代の学生はどの番組ジャンルにおいても、公平性、 品のよさ、差別的表現や性表現などについて、ほかの属性の人びとよりも厳しい評価を行 っていた。この点はテレビが若者に迎合してレベルを下げているとする通俗的な批判とは 一致しない結果である。当の若者たちは、レベルを下げすぎたテレビに対して半ば食傷気 味なのかもしれず、実際テレビの視聴時間もほかの属性の人びとに比べて短い傾向が示さ れている。この点を見過ごして番組制作を続けていけば、今後、深刻なテレビ離れが進行 することも想定される。さらに、いわゆる知識人が多く出演している夜の情報番組に対し て、全体的に「品がない」という評価がなされていたことや、いわゆる働き盛りの中堅層 から演出面で厳しい評価がなされていたことも特筆すべきであろう。情報番組の多くが専 門家や知識人をコメンテーターとして登場させ、番組の情報に「お墨付き」を与えようと する傾向が見られるが、テレビによく出る有名人が繰り返し出演したり、そのコメントが 的を射ていなかったりすれば、かえって番組の品質を落とすことになる。 第三に、今回の調査で、属性として特に設定した「子育て中の親」の回答結果に示され たものについてふれておきたい。現在子育て中の親とは主に 20 代後半から 40 代で、生ま れた時からテレビに親しみ、テレビの発展とともに成長してきた年代、いわば「テレビ世 代」 (NHK 放送文化研究所編、2005:179)ともいえる世代である。その父親は特に情報番組 に対する意識が高く、母親は若者向けの娯楽番組も高年層に人気の娯楽番組も楽しみなが ら、実用性の面では厳しく評価していることが今回の結果から示唆された。彼らは情報源 をテレビに依存する一方、熟練したテレビの見方をしているといわれる。つまり、テレビ を楽しむ一方で、現状のテレビに満足せず、しかも大きな期待を寄せているのである。し たがって彼らは、自分の子供にとっても自分自身にとっても、もっと「役に立つ」テレビ 番組を求めていると考えられる。しかし、この年代は仕事や子育てに忙しく、社会活動に 携わる時間もとりにくいのが現状である。彼らがテレビに対して容易に物申す機会を提供 できれば、今後のテレビ番組を良質なものに変えていく原動力となると考えられる。 これらの回答を総体として捉えるなら、視聴者は現在のテレビに対して多くの不満を感 4 じながら、かなり高い品質を求めていることが示唆されている。そして、このことは質問 紙に設けた自由記述欄でのテレビ放送についての意見、感想の内容とも合致している。回 答者が日頃テレビを見ていて感じていることの範囲は広く、自由記述欄への記入の基準は 多種多様だが、150 項目(類似・同意見は除く)に及ぶ意見や感想からは、現在のテレビ放 送の問題点が鋭く浮かび上がっているといえる(MMS 武蔵メディアと社会研究会編『2006 年度活動報告書』2007:49∼70)。 以上のように、各番組に対する注目すべき結果が示唆され、このような評価尺度を用い て番組の質を多面的に評価する仕組みが作れそうだという予測を得たことは、ある一定の 成果だと考える。 しかし、この番組評価システムを実用的なものにするには、多くの改善すべき問題点や 課題があることも判った。調査と分析の過程で明らかになった、主として方法論的な課題 を示し、その後に実施した改善策や変更点などについて記しておきたい。 調査対象者の選定:今回の調査は、調査者の知り合いを辿るという恣意的な形で行われ、 調査対象者の募集に際して、含めるべき属性についてかなりの配慮はしたものの、ランダ ムサンプリングではなかった。したがって、この結果をそのまま一般サンプルに応用して 解釈するのには注意が必要である。いかにしてランダムサンプリングに近い形の調査が可 能かは、今後検討しなければならない。 調査対象番組の選定・視聴方法:朝、夜の情報番組、娯楽番組を対象としたが、これはあ る程度の時間でコーナー分けが可能なものという基準で選定している。この観点ではドラ マなどを対象とするには支障が予測される。また、番組の一部分を録画したものを視聴す る(集合調査と個別調査の併用)やり方にも、家庭でテレビを見るという視聴環境とは違っ て、視聴動機が日常的とはいい難く、評価に及ぼす影響を考慮する必要が生じる。調査対 象番組を指定して対象者に伝え、各家庭で視聴後、評価してもらうような方法(例えばイ ンターネットのメーリングリスト上で回答するなど)を考える必要がある。 評価方法・尺度:自由記述欄の「調査に対する意見」には、今回の 34 項目の評価尺度につ いて、番組の内容とは関係のないものがあり、「靴に足を合わせる感あり」などの意見があ った。改善策として、番組ジャンルに合わせて尺度項目を変更する方法があるが、これは、 どのジャンルも同一の尺度で評価を測定するという当初の目標から外れてしまう。しかし、 これによって項目数の削減(調査対象者の負担の軽減)が可能となり、特定ジャンルに絞 った評価も可能である。もうひとつは項目への回答方式を「あてはまる∼あてはまらない」 の 5 件法から「あり/なし」の 2 択に変更するという方法である。今後、これらの方法の有 効性を検証しながら、実用可能な測定指標の開発につなげていきたい。 4 軸評価の検討:今回の調査では 34 の評価項目は「感情面」「演出面」 「実用面」の3つの 評価軸に分類して分析を行ったが、ひとつの試みとして、その同じ 34 の項目を次の4つに 再編成する「4 軸評価」も新たに検討した。すなわち、 「品質評価」 「慰安評価」「実用評価」 「倫理評価」である。この4つの評価軸を原点から上下左右に伸ばしたグラフ上で示す。 品 質評価 笑点 めちゃイケ ±0 慰安評 価 実用評価 お笑い番組同 士を比 較する と、 『笑点 』が質 的に高 く評価 され ているのが 分かる。 倫 理評価 グラフに示されたとおり、4 軸評価は評価の内容や傾向が一目で判るというメリットがあ る。娯楽番組ならば、評価点が左に伸びて慰安的に評価されていることを表し、情報番組 5 など実用的なものならば、右に伸びる。その番組の質が高いと上に伸び、倫理的な問題が 少ないと下に伸びる。四辺で囲む面積が大きいほど、総合的に良い番組といえる。 また、尺度項目の数を削減して調査対象者の負担を軽減することも大きな課題である。 調査の有効性を保ちつつ実用的な形にしていくためには、内容の重複していると思われる 項目を整理し、34 の評価尺度項目をできるだけ少なくすることが望ましい。研究プロジェ クトでは 2007 年 7 月以降、少ない評価項目での試行的調査(学生対象)を含めた項目削減 の検討を続けており、およそ 20 項目前後の評価尺度に整理できるのではないかと考えてい るところである。 今後、この結果をさらに精査し、視聴者による番組評価の可能性に向けて実用的な調査 票の完成と集計・結果表現・発信に繋がる研究を継続していきたい。 視聴者参加型の番組評価の仕組みは、今、放送界で最も求められているものではないだ ろうか。普通の番組が普通に見られているところでの評価こそ、文化としての放送番組を 向上させると考えるからである。 参考文献 1)武蔵メディアと社会研究会編、 「『視聴者によるテレビ番組評価』調査報告∼2006 年度 活動報告書」2007、武蔵大学総合研究所 武蔵メディアと社会研究会。 2)NHK 放送文化研究所編『テレビ視聴の 50 年』2005、NHK 出版。 3)(株)ビデオリサーチ HP(2007 年 3 月 14 日最終確認) (http://www.videor.co.jp/data/ratedata/backnum/2006/vol17.htm) 研究発表 1)MMS 武蔵メディアと社会研究会─調査の分析結果報告と調査参加者によるトーク集 会の実施(2007 年 3 月 24 日/武蔵大学 8504 教室) 2)2006 年度 MMS 武蔵メディアと社会研究会「活動報告書『視聴者によるテレビ番組評 価』調査」の発行(2007 年 3 月 30 日) 3)日本マス・コミュニケーション学会 2007 年度秋季研究発表会 ワークショップ6「視聴者による番組評価の可能性─視聴率以外の評価をめぐって」 司会:戸田桂太、問題提起者:小玉美意子(10 月 27日 開催予定 日本大学三崎校舎) 連 絡 先 〒1768534 東京都練馬区豊玉上 1261 武蔵大学社会学部 武蔵メディアと社会研究会 研究代表戸田桂太 6