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ボストーク6号

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ボストーク6号
ボストーク6(NPO法人ロシア極東研機関誌)
Association for Inter-Reginal Study Between
Hokkaido-Russian Far East
Vol.6:特集:中国・北東アジアの発展と中ロ関係
2011年7月10日発行
発行者 NPO法人ロシア極東研(創設1986年、会報創刊=89.5.15.)四半期発行
〒046-0261小樽市銭函2-14-2 望月(方)極東研:TEL.0134-62-2578 / FAX.0134-62-7498
ゆうちょ銀行:908-2131475 望月喜市
銀行口座:北洋銀行北7条支店 312-0750660 FES 事務局代表 K.望月
郵便振替:02730-9-39064 極東研
極東研 Home-Page:http://www.ne.jp/asahi/kyokutouken/sono2/
3.11の東日本大震災(M9の巨大地震・10㍍超の高波津波・広域被曝原発暴走)
の被債者に哀悼とお見舞を申し上げます。日本を国民的英知で再建しよう。
論説:中国東北3省における開発計画と北東アジアの地域連携
高田 喜博(北方圏センター上席研究員・北太平洋地域研究室長)………  (p.2)
中国関連ニュース
★金森俊樹氏の分析(p.4) ★中国に広がる電力不足(p.4)
★格差・腐敗に悩む中国(p.4) ★中国軍のスリム化加速(p.4)
★中国が抱える各国との摩擦(p.4) ★台頭する大国意識(p.5)
★中ロ会談の成果(p.5) ★中露の貿易20年までに3倍増に(p.5)
★中ロ結束に隙間風、ガス価格で交渉難航(p.5)
寄稿その1
私が思うロシア:
阿部 武士(ネオトレーヂングKK社長)………  (p.6)
寄稿その2
メルトダウンの後は日本のシステム・アップを
――沈む社会を浮揚に転じさせるために――
Japan and World Trends 代表 河東 哲夫 ……… 
(p.8)
寄稿その3
震災復興資金をどう調達すべきか
千葉 康弘(元秋田経済法科大学教授)………(p.13)
テーマ別月録
Ⅰ.ロシア国内政治(p.13),Ⅱ.ロシア経済・社会(p.15),Ⅲ.ロシアの外交・国際関係(p.17),
Ⅳ.極東・サハリン・千島(p.19),Ⅴ.日ロ経済社会関係(p.20),Ⅵ.領土問題(p.22),Ⅶ.エネル
ギー環境(p.25),Ⅷ.原発関連ニュース(p.26),Ⅸ.中国・アジア(p.29)
編集後記…………………………………………………………………………………………………………(p.30)
論説
中国東北3省における開発計画と北東アジアの地域連携
高田 喜博(北方圏センター上席研究員・北太平洋地域研究室長)
Ⅰ はじめに
先日(2010年5月18,19日)、蘇州市郊外で開かれた第1回太湖文化論壇(フォーラム)
という国際会議に出席した。地元政府は、観光地である太湖の畔に国際会議場を新築し、
パキスタン首相をはじめ、海外から42名、中国国内から277名の政治家、研究者、経済人
を招待した。スタッフやボランティアを含めると数百人規模という、まるで蘇州市や江蘇
省、さらには長江デルタ地帯の経済発展を誇示するかのような大きな会議であった。こう
した経済発展の一方で、経済格差は中国の最重要課題となっており、沿岸部と内陸部、都
市部と農村部など、さまざまな格差が問題となっている。こうした地域格差を是正するた
め、江沢民政権は「西部大開発計画」、胡錦涛政権は「東北振興政策」を開始した。本稿は、
北海道にとっても関係の深い「東北振興政策」とそれに関連する「図們江(トマンコウ)
地域開発計画」の概要を紹介し、北東アジアにおける地域連携について考える。
Ⅱ 「東北現象」と「東北振興政策」
東北3省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)には、戦前の「満州国」時代から産業基盤の集
積があり、中華人民共和国の建国当初は全国の重化学工業基地と位置づけられ、当時から
旧ソ連の技術による大型国有企業が発展してきた。すなわち、遼寧省には中心都市である
瀋陽の他、鉄鋼業で有名な鞍山や本渓の工業地帯が、吉林省の長春には中国初の国産トラ
ック「解放」と高級車「紅旗」を生産した第一自動車工場が、黒竜江省には建国後に発見
された大慶油田と石油関連の重化学工場があり、それらが東北地域のみならず中国の経済
を支えてきた。また、東北3省は、トウモロコシや米などを生産する農業地帯でもあり、
中国の食料生産基地の一つであった。
しかし、「改革・開放」後の市場経済体制への移行期に入ると、東北3省の大型国有企業
が有する旧ソ連時代の設備や企業体質は既に老朽化しており、技術的にも経営的にも新し
い時代のニーズに対応できず、深刻な経営難に陥った。さらに中国がWTOに加盟すると、
農業分野での国際競争力不足の問題も顕在化し、東北3省における経済の停滞、失業者の
増大などは「東北現象」と呼ばれた。
胡錦涛政権が誕生すると、2003年に「東北老(旧)工業基地振興戦略」、いわゆる「東
北振興政策」が決定された。以後、東北3省とこれに隣接する内モンゴル自治区東部地域
を対象に、「産業構造の調整と国有企業の改革、改組、改造を速める」という基本方針に
基づき、農業、工業の各方面で国家主導の地域振興政策が実施されている。例えば、交通
インフラとして、高速道路を含む幹線道路の整備、空港の整備拡張を含む航空路の整備は
既に進んでおり、今後はハルビンと大連や北京を結ぶ高速鉄道の建設が進められる。
中国政府の狙いは、東北3省の地域問題を改善することだけではなく、極東ロシア、北
朝鮮に隣接するこの地域の特性をいかして、環日本海あるいは北東アジアの発展センター
に成長させることにあると考えられている。その意味で、次に紹介する「図們江地域開発
計画」との連携を含め、東北3省のさらなる発展が期待されている。
Ⅲ 図們江(トマンコウ)地域開発計画
中国、ロシア、北朝鮮の三国を流れる国際河川である図們江(朝鮮名は豆満江)の河口
地域は、この三カ国の国境が接近し、多国間経済協力をするのに適した場所と考えられて
2
いた。そこで、冷戦が終わった1991年10月に、UNDP(国連開発計画)による「図們江地域
開発計画」が発表された。中国は港湾を持たない吉林省が図們江を利用して日本海に出る
ことを考え、北朝鮮は河口に位置する羅津・先鋒地区を自由貿易経済地帯として経済開発
をすることに期待し、ロシアはナホトカ自由経済区などの地域開発をしようとし、それぞ
れこの計画に参加した。また、UNDPは、この開発計画を新しい多国間協力のモデルとする
ため、関係する日本、韓国、モンゴルなどの周辺各国にも参加を呼びかけた。
しかし、この地域の複雑な政治状況もあって、ロシアと北朝鮮が土地の貸与を拒否し、
関係各国も巨額な開発資金の調達に疑問を持ち、日本も北朝鮮と国交がないことを理由に
慎重な態度を取った。その結果、この地域で多国間協力関係を構築することが時期尚早で
あることが明らかとなり、この計画は、その後しばらく停止状態に陥っていた。
2005年になって、中国がリーダーシップを取る形で、図們江地域開発計画を2015年まで
継続すること、対象地域を内モンゴル自治区や韓国の東部沿海都市に拡大することが決定
された(これを大図們江地域と呼ぶ)。中国の意図は、前述したように、隣接する東北振
興政策と図們江地域開発計画とをリンクさせることによって、この地域を環日本海あるい
は北東アジアの発展センターに成長させることにある。
具体的には、中国国務院は2009年11月に「中国図們江地域協力開発企画綱要-長吉図を
開発開放先導区に」の実施を許可し、同計画は国家プロジェクトに昇格した。これは、
「長
吉図」、すなわち長春市から吉林市を通って図們市(延辺朝鮮族自治区)までの地域経済
の一体化を推進し、琿春市を北東アジアの窓口に、図們市とその周辺(延吉市、龍井市)
を最前線に、長吉(長春市と吉林市)を牽引役とするもので、国家主導で行われる新たな
地域発展モデルとして期待されている。
権 哲 男・ 翟 舒 毅『 中 国 図 們 江 地 域 開 発 の 新 し い 動 き と 今 後 の 課 題 』ERINA REPORT
vol.98(2011年3月)45頁によると、以下のような新しい動きが見られる。すなわち、東
北地域の総合交通計画の一部として、琿春市から内モンゴルまでの高速道路など、高速道
路、高速鉄道の整備が進んでいる。また、琿春炭鉱で生産される石炭を利用した火力発電
所の建設など基礎インフラの整備もなされている。さらに、琿春から北朝鮮の羅津港を経
由して上海方面に至る越境輸送ルートが整備され、2010年12月から既に石炭の輸送が開始
された。現在、図們から北朝鮮の清津港を経由して長江デルタと結ぶルートも準備中であ
る(いわゆる「借港出海」)。また、中国とロシアの鉄道部門は、琿春とポシェット湾を結
ぶカムショーバヤ鉄道の国際連係輸送の回復について協定を結んだ。今後は、琿春の積み
替え駅の能力の拡大、ザンビノ港の整備などが進められ、東北からザンビノ港を経由して
日本の敦賀や新潟を結ぶ海運ルートが計画されている。また、この地域の琿春を起点とし
て中国、ロシア、北朝鮮に跨る観光コースも準備中である。
このように中国側の動きは活発であるが、韓国哨戒艇の爆沈や延坪島砲撃事件などによ
って朝鮮半島の緊張が高まる中、北朝鮮の羅津と韓国の釜山を結ぶルートをはじめとして、
韓国や日本に向かう人や物や資金の流れはストップないし停滞している。
Ⅳ まとめ
筆者は、2010年11月に韓国東岸の東海市で開催された、日本の北東アジア学会と韓国の
東北アジア経済学会の合同国際学術会議に参加した。「21世紀北東アジア地域の協力と展
望」を共通テーマとして、日韓だけでなく中国(特に東北地域)からも多くの研究者が参
加し、さまざまな分科会が設定された。筆者は「北東アジア地域の協力と豆満江プロジェ
クト」でコメントを、「北東アジア地域の平和体制と北朝鮮」で韓国の先生と共同司会を
担当したが、その両方の分科会で「東北振興政策」と「図們江地域開発計画」が取り上げ
3
られた。中国の研究者は、これらのプロジェクトを熱く語り、韓国の研究者はそれなりに
興味を示し、日本の研究者は多少冷ややかな態度であった。
このように、「図們江地域開発計画」に関して、日中韓にかなりの温度差があるのは、
その困難性に対する認識の相違に基づく。中国は、経済成長の真っ最中であり、自国の経
済力に自信を深めており、更なる成長を求めて積極的に困難に挑戦しようとしている。韓
国は、こうした隣接地域の活力を朝鮮半島に取り込みたいと考えているが、北朝鮮との緊
張関係が障害となって、どこか腰が引けている。日本は、これまでの困難性がトラウマと
なって、新しい状況の中にも、なお多くの困難を予想して消極的になっている。
しかし、日本は、特に北海道や日本海沿岸の府県は、中国東北3省の活力を取り込んで
いかなければ、世界経済のグローバル化に対応できないだろう。これらの府県は、中国、
韓国、極東ロシアとの地域間ネットワークを強化し、国境を越えた連携を深め、地域の課
題に積極的に対応すべきである。すなわち、交通・物流、エネルギー・環境・食料、防災・
減災など、具体的な課題を解決するための連携の枠組みの中で、新しい持続可能な発展戦
略を組み上げなければならない。
確かに、
「東北振興政策」や、長らく停滞していた「図們江地域開発計画」を進展させ、
この地域を環日本海あるいは北東アジアの発展センターとするためには、安全保障問題や
政治問題などの難問を解決し、日本を含む多くの参加国から資金と技術を集めなければな
らない。したがって、その実現までには、これまで以上に時間と労力が必要かもしれない。
しかし、中国の経済発展、ロシアの極東開発などは追い風であり、また、朝鮮半島の緊張
も永遠に続く訳ではない。北海道や各府県は、中長期的な戦略の中で、そうした困難に連
携して挑戦し続けることによって、周辺地域の活力を取り込むことが可能となる。
参考文献
「特集:吉林省経済と図們江地域開発の進展」ERINA REPORT 88(2009年7月)
「特集:吉林省経済と図們江地域開発の進展(2)」ERINA REPORT 90(2009年11月)
権哲男・翟舒毅「中国図們江地域開発の新しい動きと今後の課題」ERINA REPORT vol.98
(2011年3月)45~50頁
ジェトロ大連事務所「延辺朝鮮族自治州概況」
(2010年12月)
××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××
中国関連のニュース
金森俊樹氏の分析:
中国共産党の第17期中央委員会第5回全体会議が2010年10月15日に開かれ、「第12次五カ
年計画(2010年-15年)」が採択された。(1)量的成長から、質的GDP成長への移行、(2)
都市化により内需牽引、(3)ハイエンド分野の製造業の育成、(4)戦略的新興産業の成長
加速、
(5)所得分配構造の調整を進めることが第12次五カ年計画の5つの主要路線となる。
大和証券常務理事金森俊樹氏の分析を紹介する。「第12次五カ年計画(2010年~15年)」
での一般均衡モデル分析によれば、基本シナリオ(現在のトレンドに若干の基本的な構造
変動を考慮したもの)での成長率は7.9%、改革加速シナリオ(8.4%)、リスクシナリオ
(構造改革が遅れるシナリオ)では7.0%の成長が予測される。いずれの場合も、労働の
寄与度は0.2、資本2.5-5.7で3シナリオで大きな開きは認められないのに対し、技術進歩
(TFP)の貢献度は其々2.0、2.7,1.3と大きな開きをもたらす。この5カ年計画を特徴付け
4
るキーワードは、11次計画と同様に、「都市化」
「市場化」
「全球化」
「改革」を指摘できる。
観測者の視野には、都市化により、内需依存型成長に切り替えるべきだ、という考えが
ある、ちなみに中国の輸出依存度は36.6%(2006年)で日本14.8%よりかなり高い。リー
マンショックからの各国経済の復興過程で一様に保護貿易的政策をとる傾向があるためで
ある。中国の成長経済にとって、地球温暖化による地球環境問題へ対応、資源制約の壁、
高齢化社会に伴う生産労働力比率の縮小、貯蓄の減少、労働コストの上昇などの問題を抱
えている。さらに成長追及政策では、地域別、階層別所得格差が広がるおそれがあり、こ
れが、社会暴動に広がるリスクを抱えている。
★中国に広がる電力不足(A110518)
(要約)製造業の電力消費が伸び、ピーク時の不足は
3000万kwになるとの予測もある。広東省では3.11後世界で最初の原発稼働がはじまる
(100万kw発電能力)中国内では14基目(3.11以後原発新設の審査と承認を凍結して
いた)1〜4月の電力消費は前年同期比12.4%増加。4月の製造業の1日あたりの消費電力
は73億kwhで、同月では過去最高。中国では発電能力の7割は火力発電。石油や石炭など
燃料価格が上昇。一方で物価を抑えたい当局は電力の値上げを抑制、収益悪化を懸念す
る電力会社は稼働率を落とし気味である。内陸部でも経済活動が盛んになったので、内
陸からの調達も難しくなっている。
★格差・腐敗に悩む中国(N101205)
(要約)中国は08年11月に50兆円を超す景気対策を進め、
金融危機を克服した。この迅速な決定は1党支配がもたらしたもの。このモデルを「北
京コンセンサス」とも呼ぶが、一方で対策費の不透明な流れが、腐敗と格差を拡大した。
10-20代の出稼ぎ農民は推計で1億人弱。多くは農作業の経験がなく、都会で暮らした
いと考えている。そのため住宅価格が高騰。最近の物価高も加わって、社会的不安定を
増大する。選挙で政府を選べない中国では、不満のはけ口は2つだ。1つはデモによる
権利の主張。立ち退きの強制やインフレなどを理由に年間数万件の暴動が起きる。もう
1つが、共産党支配の見直しを求める動きだ。運動体の1つは、
「独立中文ペンクラブ」
で、独裁の廃止や3権分立を求める「08年憲章」の実現だ。平和賞の受賞が決まった服
役中の作家、劉暁波(54)はその中心メンバーである。
★中国軍のスリム化加速(N110514)
(要約)2011年4月、胡金涛国家主席(党中央軍軍事委
員会主席)は「2020年までの軍隊人材発展計画要綱」をまとめ、兵器の近代化と併行し
て、数十万人規模で兵員を削減して少数精鋭化を図る。「人材の質的向上とともに時間
をかければ、現行の230万人を150万の規模にまで縮小できる」
(解放軍元少将)。20年ま
でに最新鋭の兵器を使いこなせる人材や、IT専門家など「非伝統的分野」に対応できる
人材育成を急ぐ。陸海空3軍の連携強化に備え、合同作戦を指揮できる士官を養成。留
学生ら海外居住者の軍加入も初めて認める方針である。国防費の負担も深刻だ。公表の
国防費は前年比18.5%増の4951億元(約6.24兆円)。ミサイル開発など兵器の高度化へ
効率的に予算を配分したい。
というのも、医療費、年金など社会保障費の急増は不可避で、体制の波乱要因となりか
ねない、「格差」問題を是正したいのだ。
★中国が抱える各国との摩擦[N110629](要約)中国は現在つぎの様な摩擦を各国との間
で抱えている。日本とは尖閣諸島、東シナ海ガス田開発、レアアース輸出制限;米国と
は人権問題、人民元問題、欧州とは人権問題、ASEAN諸国とは、南沙諸島領有権、など。
★台頭する大国意識:2011年6月25日北京で世界経済に関するシンポが開催されたが、中
国の基調演説では、「中国は世界最大の発展途上国として他国と発展のチャンスを分か
ち合う・・・」と述べ、発展途上国であるとの立場を崩そうとしなかった。この背後に
5
は鄧小平氏が打ち出した「とう光養晦:とうこうようかい(能力を隠して力を蓄える)」
と呼ばれる外交路線がある。」外資を導入し、安価な労働力と結びつけて輸出を増やす
ことに懸命であって、自国の事で精いっぱいだというものだ。しかし、この外交路線を
転換する動きが、共産党創立90周年を迎えて出てきた。中国は大連港で旧ソ連の航空母
艦「ワリャーク」の改修作業を進めている。資源確保を狙って大陸国家から海洋国家へ
の脱皮を図る中国。大国意識を次第に明確に打ち出しつつある。
★中ロ会談の成果
胡錦濤国家主席は6/15日から国賓としてロシアを公式訪問している。胡錦濤国家主席
は16日、ロシアのプーチン首相とモスクワで会談し、中ロ関係の深化や各分野の協力に
ついて率直かつ踏み込んで意見交換した。第15回サンクトペテルブルク国際経済フォー
ラムにも出席する。
胡主席は空港で書面による談話を発表。「21世紀が幕を開けた10年前、中ロ両国は『中
ロ善隣友好協力条約』を締結した。中ロの世々代々の平和理念を確立し、各分野の協力
の終始変わらぬ全面的な拡大の方針を確定し、対等・信頼・協力・ウィンウィンという
冷戦終結後の新しい国家関係の模範を樹立したこの条約は、21世紀における両国関係の
長期的発展を指導する綱領的文書だ。それから10年、条約の原則と指導の下、中ロ戦略
的協力パートナーシップはかつてない大発展を遂げた。双方は政治的相互信頼をたゆま
ず強化し、実務協力を全面的に推進し、人的・文化交流を勢いよく発展させ、世界や地
域の問題における協調や協力は顕著な成果を上げている。中ロ関係の発展は両国の発展・
振興を促し、世界の多極化を促し、地域および世界の平和・安定・繁栄に重要な役割を
発揮している」と指摘した。
また「私はメドベージェフ大統領やプーチン首相と会談し、今後10年間の中ロ関係の
発展計画および世界や地域の共通関心事について踏み込んで意見交換する。今回の訪問
における双方の合意が、中ロ戦略的協力パートナーシップの持続的で健全な安定した発
展への新たな原動力となることを信じている」と表明した。(編集NA)
「人民網日本語版」
2011年6月16日
胡主席は「過去10年間、プーチン首相が中ロ関係の発展に一貫して関心を払ってきた
ことを中国は高く評価している」と表明。今後10年間に双方が実務協力を強化すべき分
野として(1)相互貿易を引き続き拡大。2015年までに相互貿易額を1000億ドルに引き
上げるとの目標を実現し、2020年までに2000億ドルの達成を目指す(2)エネルギー協
力を全面的に強化。原子力、石炭、電力、新エネルギー、新技術分野の協力を拡大し、
エネルギー分野の戦略的協力パートナーシップの構築に努力する(3)投資協力を強化
(4)両国のイノベーションを結合し、ハイテク協力を強化(5)中ロ地域協力計画綱
要を積極的に実施。国境地帯のインフラ整備を加速し、友好協力の堅固な紐帯とし、そ
の経済発展を促進する----を挙げた。
プーチン首相は「両国の包括的・戦略的協力パートナーシップは重大な意義を持つ。
ロ中関係の発展は両国のみならず世界全体にとってプラスだ。近年来、両国は戦略的協
力を強化し続けている。経済貿易協力は順調に進展し、相互貿易は急成長し、相互投資
も日増しに拡大。ロシアにとって中国はすでに最大の貿易大国となっている。双方は国
連や上海協力機構など国際・地域組織で緊密な協調と意思疎通を保っている。ロ中善隣
友好協力条約締結10周年を祝うにあたり、中国側と共に各分野の実務協力を全面的に深
め、戦略的協力パートナーシップの継続的前進を促していきたい」と表明した。(編集
NA)
「人民網日本語版」2011年6月17日
6
★中露の貿易3倍増に20年までに両首脳が共同声明友好条約10年(Y110617)
(要約)メドベ
ージェフ大統領は中国の胡錦濤国家主席とクレムリンで会談し、2020年までに両国の貿
易額を2000億ドルに拡大する目標などを盛り込んだ共同声明を発表した。会談後の会見
でメドベージェフ大統領は、中露善隣友好条約の締結から7月で10年となることに触れ、
「中露の貿易額は10年前には80億ドルだった。現在は600億ドルで今年はさらに増える
だろう」と述べた。大統領は特に、エネルギー分野での中国との協力拡大に意欲を示した。
★中ロ結束に隙間風、ガス価格で交渉難航(D110618)
(要約)胡錦涛国家主席は、メドベ
ージェフ大統領、プーチン首相との会談に続き17日、サンクトペテルブルグでの国際経
済フォーラムに出席。両国はリビア情勢などをめぐって結束を誇示し、米国への対抗軸
を印象づけた。しかし一連の会議で最大の議題だった天然ガスの供給交渉は決裂。ロ側
には中国台頭への警戒感も強く、両国の間に微妙な隙間風が吹く。中ロ両国は、シベリ
アから中国へのパイプラインを新設し、毎年680億㎥のガスを供給することで合意。具
体化の交渉を10年にわたり続けてきた。最大の問題は価格。ロ側は欧州向け平均価格で
ある千㎥当たり352㌦を要求。中国側は150㌦を主張。一方で中国は、ロシアとの交渉が
難航する間にトルクメニスタンからのパイプラインや液化ガス受入れ態勢を確立。ロ側
では、勢力圏と位置付ける中央アジアへの中国の進出に警戒感も浮上する。モスクワ国
立国際関係大ルキン氏は「中央アジアでのロシアの影響力低下は問題。しかし原因は中
国ではなく、エネルギーしか武器がないロ側にある。中国脅威論はロシアの政権が失政
の原因を中国に押し付けているだけ」と指摘した。
寄稿その1
私が思うロシア
阿部 武士(ネオトレーヂングKK社長)
私の「ロシア」とのきっかけは、3年前の前職での輸出事業開設に始まります。その輸
出国がロシアだったわけです。その当時、ロシア連邦は究極の経済成長率を確保していま
した。それ故、ロシアを選択したのだと今も思います。
ロシア情報に無知だった私は、右も左も分からず、関連機関など色々な所へ駆け込みま
した。まずは情報収集です。貿易の「いろは」やヒントを頂いたのです。そして紹介を頂
いた著名なアドバイザーとの勉強会が続きました。更には貿易関連本を読み独学や数々の
ビジネスセミナー聴講も行いました。そして段々と今までの国内商売とは違う「国際商売」
に関心が高まって行きました。異国の地での商い、現地通貨または米ドルという外貨での
決済などと興味津々となったわけです。しかし経費は高額ではありますが、現地視察や企
業訪問も興味のひとつです。これまで全く縁がないロシア人との会話・商談もそうです。
私の職種は前職から、住宅建築資材販売を手にしています。ロシアへの興味の中にビジ
ネスマッチしている「住宅資材」という志向が重なったと思います。ロシア、特にサハリ
ン州を始めとする極東地域は戸建住宅の建築需要が高まっているという情報を得たからで
しょう。我々の商材をロシアへ販売しようというきっかけがここで芽生えたのです。
1年目の年、会社に直談判し、いきなりモスクワ出張の許しを得たのです。『どうせ行
くならまずは首都であるモスクワ』と決意し、ロシアの中心を見ることができました。事
7
前情報から先入観はありましたが、住宅事情は日本とは全くの別物でした。戸建住宅がな
く、集合住宅ばかり、そもそも建築構造が違う、朽ち果てたブロック・レンガ造りなどで
す。この国に日本製品の外壁材は使えるのか?と自問自答しました。その一方で、近代的
な高層ビルが乱立しているではないでしょうか。しかも建造中のビルもあちらこちらと活
況が見える。まさに進化しようと必死になっている姿を目の当たりにしました。先進技術
での建造物が目立ち、街中には日本やヨーロッパの高級車が普通に走っている。富裕層と
思われる人々も大勢見受けられる。そしてこの大都会の視察と敢えて並行させ、ユジノサ
ハリンスク市へも同じ時期に訪問しました。走行車両はモスクワと同様に所狭しと渋滞し
ている。ただ住宅は中低層の集合住宅がほとんどで、やや郊外に戸建住宅が建ち始めてい
るという時期でした。この地には先行して日本製品の建築資材が入り始めていることも承
知していました。そして私が求めているのはまずはこの地と直感したのです。
サハリン州は、
「サハリンプロジェクト」で住民の所得も平均的に向上しているようです。
それは見る目に良く理解できました。現地の企業訪問から近況も良く理解でき、需要と供
給のバランスも良く理解できました。
ロシアビジネス2年目(今から2年前)、本格的にビジネスパートナーを見つけるべく
活動を行いました。現地の企業リストからピックアップした数十社ほどへダイレクトメー
ルを送り、10社ほどから返答があり、その内数社との接点を維持しています。そしてそ
の年内に現地展示会視察を合わせ3度ほど企業訪問し、市場など状況の情報交換を行って
来ました。
3年目に入る頃、前職を退職し創業準備に入り、ロシアビジネスに特化したのです。接
点を持てている現地各企業とは情報交換を欠かさず、新設の立場を理解してもらい維持で
きたわけです。見積りや問い合わせなどを繰り返し比較的に早いタイミングでの初受注も
ありました。この受注タイミングから『毎月このペースの受注であれば・・・』と欲を抱
きました。ただ実際とは裏腹に、ロシアビジネスを狙っているのは私だけではなく、しか
も北海道の企業としても後発であり、先発の日本海側諸県の隙間に入るのは容易ではなか
ったのです。尚且つ中国製品など安価品も横行する市場と化してきています。
例えば、ユジノサハリンスク市内では現在、50~60年経ったと思われる5階建て集
合住宅の傍ら、10階建ての新築中低層アパートの建造も見かけるようになったのです。
大型重機やクレーン、コンクリートや建築資材、そして数多くの労働者たちが新しいモノ
を造っています。日本の技術レベルからは劣るが現場としては最新の技術が使われ、資材
は日本製やアメリカ製、中国製、韓国製などとより良い材料が選ばれ使われています。ま
た郊外地区には戸建住宅の新規着工の活況も見られます。そもそもサハリン州もロシアで
あり、100%日本の住宅建築工法ではないが、高品質を求めるユーザーからは日本の資
材が選ばれているのは確かなのです。特に外壁材は利用優先度が高いのです。それは北海
道との気候環境が似ており、寒冷地での住宅建築では断熱資材を優先的に考えるのは当然
のことです。ただどの新築住宅も日本製の外壁材を使用しているわけではありません。予
算の都合上、または日本製と遜色なく安価という観点から中国製外壁材の使用割合も意外
と高いのです。中国製品は日本製品と見分けできないほど精巧にできており、そこへきて
価格が30~40%安価です。ただ欠点もあるようです、見た目には日本製品と同様で精
巧ですが、品質技術が追い付いていないようです。それは長い目での経年劣化対策が施さ
れていないようなのです。そして日本製品は高額であっても高品質製法が対抗差別化され
ており、販売促進アピールの一つとして考えていくポイントなのです。
このようにサハリン州や極東地区では、所得の中間層の増加や一部富裕層の購買力は大
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きいのです。欲しい商材は価格に関係なくすぐに手に入れる傾向は感じられます。住宅だ
けではなく、自動車もそのようです。また他には電化製品や通信ツール、食料品や日用品、
幼児用品などは高品質を選ぶ傾向が感じられます。外食産業も発展しており、特に日本食
レストランはとても人気があり賑わっています。そこでは日本製のビール1杯が千円位と
いうのも普通なのです。そして日本食は日本で食べる価格よりも20~30%高い、それ
も極普通なのです。それほどに日本食人気があります。北海道からの物流や賞味期限など
の条件をクリアーできれば、このような食材もビジネスチャンスの一つだと思います。特
に北海道には野菜や魚介類など特産物が豊富であり、米だって北海道ブランドがあるので
す。
沿海州のウラジオストク地区も同様で所得中間層が増大しているという話は良く耳にし
ます。まして2012年にはルースキー島でAPEC(サミット)があり、そのためのインフ
ラ事業があちらこちらで活況に溢れています。ロシア国内でもビッグプロジェクトと位置
付けられているルースキー島までの2カ所の巨大な橋の建設と、その島内の国際大学(A
PEC中はサミット会場)の建設、また空港整備や空港から中心地までの道路整備、ホテ
ル新築、街並み整備など数え切れないほど見受けられます。ウラジオストク港近隣にはサ
ハリン州からのガスパイプラインが完成されていて、そのプラント計画もあります。日本
に近いウラジオストク市内もまさに様々な環境が大きく変わろうとしています。
私のロシアビジネスは、活況があるユジノサハリンスク市、ウラジオストク市へ日本ブ
ランドを提案すべく活動をして4年目に突入しました。住宅建築資材販売を主な柱として、
更には日常必需品などニーズに応じて提案提供を考えています。
サハリン、ウラジオストクにおいても現在取引している企業件数からは更に2~3社ず
つ増やし、平均してコンスタントな受注体制へ持って行きたいと考えています。そして当
社としては未開の地であるハバロフスク地区へのビジネス進出を早い時期に達成できるよ
うに今年は活動範囲を広めていきたいと考えています。これら拠点3地区にそれぞれ2~
3社との取引をベースに、数年内にはこの各2~3社から状況を踏まえ基幹店を見出し、
その基幹店を代理店扱いとし1地区1代理店制度を考えて行きたいと思っています。地区
代理店の守備範囲から「中央」への物流も当然可能になるわけです。イルクーツク、ノボ
シビルスク、オムスク、そしてウラル山脈を越え各都市へ、更には大都市のモスクワやサ
ンクトペテルブルグへも可能になるわけです。当社の建築部材などが、この大都市までへ
の物流が確立されることが希望でもあります。遠そうな希望のように感じますが、活動し
だいでは比較的近い時期に実現させることも可能なわけです。このように希望や夢が広が
ります。
さて、私が思うロシアとは、「経済成長顕著」の国と見えます。2年9カ月前に訪問し
たモスクワと、現在のモスクワは更に進化されていると推測できます。その最新、最先端
のモスクワの成長振りを見に近い内に再訪したいとも思っています。
ただ成長顕著な都市はモスクワだけではないはずです。私は他の都市への訪問経験はあ
りませんが、成長率の高い国は国を挙げての底上げとなりますので全ての都市が町が村が
進化しているのだろうと感じます。小さな町でも地下資源経済で大きな資力を保持してい
るという話も耳にします。ロシア国内の町は「大」も「小」もないのでしょう。ソビエト
時代の内向き姿勢から脱皮し、現在は国力も総じて貧しい町は一つもないように感じます。
私がビジネスで接してきたロシア人を思う限りでは、ロシアの人々は日本人と同様に社
交的であり、フレンドリーであります。更には気さくでもあり、義理人情もあります。ビ
ジネスにおいても、プライベートにおいても非常に友好関係を感じ受けています。ただ全
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ての人においてその友好感覚を抱いていると、痛い目もあり得るでしょう。幸い私はまだ
遭遇していませんが、日本人にも悪い人はいるようにロシア人にも悪い人はいると確信し
てロシアビジネスに日々前進しています。
ロシアビジネス4年目の今年は、ロシアビジネスを軌道に乗せられるように情報収集は
継続し、関連機関とも相互関係を保持し、立ち位置も考慮し、既存ユーザーとも情報交換
をし、サハリンやウラジオストク、ハバロフスクの各地区を重点に営業を図って参ります。
私はこの4月にはユジノサハリンスクのユーザー、ウラジオストクのパートナーのもとへ
再々訪問し、コミュニケーションも維持し、ビジネスにおいても有意義な商談ができてい
ます。面と向かい合い話し合うという行為こそが一番のコミュニケーションだと思ってい
ます。不定期であっても「会う」ことを心掛けています。そしてそれがビジネスの原点だ
と思います。
そして次の訪問はいつなのかは決まっていませんが、時期的繁忙期の夏場や追い込みの
秋口にもパートナーの元を訪問しコミュニケーションを図りたいと思っています。
また逆の発想からパートナーを北海道に呼び、数多くの商材紹介や現場視察見学、生産
ライン見学などを実施し、技術的視野や体験から能力拡大の助力ができます。日本製品を
目の当たりにすることによって購入意識力の向上と、地元へ帰ってからの販売促進力の助
長にも繋がります。目にする、耳に聞く、話す、現場の空気を嗅ぐ、モノに触れるという
五感で完全な体感ができることになるのです。
このようにビジネスコミュニケーションにも意識し、パートナーを大切にして行きたい
と思っています。そして微力ながら北海道企業として「ロシアの旋風」に乗り、ロシアが
大きく進化して行くのと並行して、当社も成長して行かなければと強く感じております。
行く行く北海道を代表する企業、更には日本を代表する企業へと成長したいと思っていま
す。このロシア旋風こそが「私が思うロシア」であり、私の夢であります。
寄稿その2
メルトダウンの後は日本のシステム・アップを
――沈む社会を浮揚に転じさせるために――
Japan and World Trends 代表 河東
哲夫
1)福島原発事故が見せたもの
今回福島原発事故とそれへの対処は、日本社会の本質を露わにした。まず上の方につい
て言えば、国とか東電とか大きな組織を動かしていく識見(原発についての技術的な知識
のことを言っているのではない。危機の際、現場に出かけて作業を阻害することは控える
とか、社会への説明の仕方を心得ているとか、リーダーとしての心得のことを言っている)
のある日本人が本当に少ないということがある。
日本が工業化、都市化、近代国家建設に踏み切ったのが僅か150年前だから、農耕共同
体の内部調整・協力を重んずるやり方がまだ社会の主流として残っている。米国では民主
主義は多数決の原則とのセットで運営されているから、重要な方向転換を迅速に成し得る。
ところが日本の民主主義は、徹底的な利害調整と平等性の確保という古来からのムラ社会
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の仕来たりで運営されているから、戦略的な決定を速やかに行えない。戦後、アメリカに
言われて「民主主義」という言葉を殊更使うようになったのに、内容をすり替えたのだ。
そして、徒競走で順位をつけることさえ控える極端な平等主義が学校教育で強調されたこ
とも、日本をリーダーの出て来にくい社会とした。
周囲の情勢をきちんと判断して正しい処方箋を社会に提示するより、ムードを読んでそ
れに乗っていくことが良いとされる学級委員のようなポピュリズムが良いとされ、それを
無責任なマスコミが煽っていく。これが今の日本社会である。リーダーに背骨が通ってい
ない。とならば、各省、各組織は相争い、問題が起これば責任の押し付け合いをするだけ
で、新しい大きなことは何も起こらない。そして各組織の中もいくつかの「たこつぼ集団」
に分かれている。たとえば東電内部では、東大の原子力工学出身者が閉鎖的なエリート集
団を作って部外からの干渉を許さないところがあるから、組織が組織として動かない。
外部を見ることなく、組織内の論理だけでしか行動しない社会は、自滅する。外部を見
ていないから、自分を守ろうとしても破滅するのだ。例えばドイツと組んでソ連に対抗し
ようとした戦前の平沼内閣は、その他ならぬドイツとソ連が手を結ぶという「想定外の」
展開に、「欧州の情勢は奇奇怪怪なり」という情けない声明を発して総辞職するしかなか
った。そして、陸軍は中国での既得権益を捨てようとはせず、海軍も多額の予算を費消し
ていた以上、開戦への動きを身を張って止めることはしなかった。
日本はこうして、強大な軍隊を持つ近代国民国家の取り扱いを間違え、かえってその軍
隊のために滅びた。今また原発という巨大な技術体系の扱いに失敗している。日本社会の
仕組みは、産業革命が生んだ巨大な生産力、「国民国家」という強力な集税装置が可能と
した軍事力、そして中産階級化して権利意識を具えた無数の選挙民をうまく調整していけ
るものになっていないのである。
2)自縄自縛・自滅の構造
原発の問題は、このような自縄自縛の構造が戦後も生きていることを示してくれた。
1970年代、原子力発電の普及をはかった人たちにとって、燃料が自己増殖するという原子
力発電は、
「エネルギー自立」や国際収支の赤字回避のためには唯一無二の選択肢だった。
その人たちの責任を今更云々してもしかたない。だが今の日本なら、原子力発電に代わっ
て天然ガス、石炭を追加輸入していけるだけの経済力はあるだろう。
ところが一旦原子力発電に発電の30%もを依存してしまうと、国内のベクトルは全部原
発維持の方に向いてしまう。経済界は原発に異存がないようだし、原発が立地する地方自
治体は膨大な助成金なしには予算が組めない。地元の雇用も、原発に大きく依存してしま
う。学界、マスコミには電力会社から多額の研究費や謝金、そして広告費が出るので、原
発廃止を唱えにくい。政府や電力会社は、「原発は絶対安全」という作り話を仕立てて現
地に受け入れを決めてもらった建前、「実はまだ大津波の危険が残っていた。堤防をかさ
上げしなければならない」とは言いだしにくい。
こうして責任体制が不明確なまま――電力会社は経済産業省に言われて原発を始めたと
言い、経済産業省はそれは民間企業である電力会社が自分の責任で決めたことだと言い張
って、責任をなすりつけあう――、(実際には主のない)原発だけが一つ、また一つと増
えて行く。無責任体制が、カネでなんとか一つにまとめられている。平時には、これはシ
ステムとしてちゃんと動いているように見えるが、今回のような非常時には馬脚を現すの
だ。だが非常事態が起きても、誰も一度作られた大枠を崩そうとは夢思わない。つまり原
発全廃を掲げることなど思いも浮かばない。日本人は古来、外国人が作り上げた国際的枠
組みのなかで生きてきたし、抽象的な思考が苦手だからシステムとか枠を自ら作ることも
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下手だ。枠を提供されると、それをベースに権益構造を作り上げてしまい、問題が起きる
と、その枠を改造しようとするよりは、運悪く責任者の地位にいる者に問題の責任を背負
わせて、すまそうとする。枠が同じままだから、同じ問題が繰り返される。
3)全ての権威が地に引き摺り下ろされた日本社会
明治政府は植民地主義・帝国主義時代に伍するため、中央政府に権力を集中したが、こ
こでも天皇は絶対君主ではなかった。江戸時代の将軍・老中体制が引き継がれたかのよう
に、天皇に指名されたり、国家試験に合格した高級官僚達が、天皇の威を借りて権力を行
使したのである。帝大、高等文官試験、陸軍・海軍士官学校を経たエリートが日本を統治
するという体制が作られた。
そして戦後、軍が消えた代わりに米軍・米国政府が日本の安全保障の根幹を支えること
になり、日本政府では米国との調整を行う外務省と、国内の資源配分を決定する大蔵省が
重要な部門となった。政治家は選挙と党内政治に忙しく、総理の座を狙う者以外は大体が
官僚の振り付けに従い、花だけ持たされていた。外交や金融政策の大元は米国から枠をは
められながらも、国民は限りない賃金の上昇に夢中になって、そのような社会の正当性を
あえて問おうとはしなかったのである。
バブル崩壊以降の日本で起きているのは、明治以来連綿と続いてきたこのような体制の
虚偽が露わにされてきたということである。1985年のプラザ合意で米国から経済的に突き
放された日本は6年後にはバブル経済を破裂させ、失われた20年に突入する。リストラが
吹き荒れる中、国民はこのような事態を招いた者は誰なのか、犯人探しを始めた。1991年
ソ連崩壊直後のロシアも同じような状態で、6000%ものインフレの中、大衆は全ての悪の
根源を、かつての共産党のお偉方、あるいはガイダール首相代行に求めたのである。日本
では、マスコミがこのような大衆の心情を一層あおり、ある時は政治家、ある時は大蔵官
僚、またある時には外務官僚、通産官僚を血祭りに上げては、減る一方の販売部数を何と
か下支えしようとした。マスコミは、実は戦後日本の統治メカニズムの一部でありながら、
そのメカニズムに致命傷を与えてでも自分だけは生き残ろうとしたのである。
その結果、日本では政策を作り上げ、実施するメカニズムが乱れに乱れてしまった。明
治以来、政策を作り上げては政治家に採用してもらってきた官僚は、政策を作ってはいけ
ないもののように罵られ、その権限は「政治家主導」というあやふやな言葉の下に政治家
に渡された。だが、多くの政治家にその能力と暇はなかった。戦後の権威というもの、つ
まり米国、日米関係を支えてきた日本のエリート、政治家、国会、官僚、「三権分立」、そ
の他全ての者、そして装置・制度の信用が地に落ち、国を動かせなくなっているのだ。
さりとて、大衆の意をそのまま政策にできるはずもない。複数政党を伴う代議制民主主
義に代わる統治メカニズムはまだない。いくらインターネットがあると言っても、国民の
すべてが四六時中画面にかじりついているわけではないから、インターネットを使っての
頻繁な国民投票など直接民主主義的な政体も絵に描いた餅でしかない。マスコミも、イン
ターネットのミニコミも「世論」に似たものを一時的に作り出すことはできても、それは
本当に社会の多数を代表するものなのかはわからない。それに、事実を伝えることよりも、
ニュースを「売る」ことに汲々としているマスコミに、世論形成の重責を委託していいも
のだろうか?
社会は星雲状態になっている。以前いわゆるインテリ階層の意見を形成するのに力のあ
った総合雑誌のいくつかは、もう店頭から消えた。店頭にあったとしても、その言説の弱
さは末期的症状を来たしている。世論形成の舞台はツウィッターとかフェースブックなど
に移ったかに見えるが、これとてまさに空中楼閣で、安定的な政治力にはならないのであ
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る。まさに五里霧中だ。この行き詰まり状況は、先進国の中では日本がいちばんひどい。
日本がともすれば上からの目線で見ようとするロシアと、それはいい勝負なのである。
4)いい芽はたくさんあるのに
地震の後、日本人は「やる気」になった。何か目標がある時ほど、日本人が強くなると
きはない。福島原発事故への対応をめぐってあら探しを延々と続けるよりも、目標の実現
に向けて邁進する方がよほど気持ちいい。
そして、そんなに悲観的になる必要はないのだ。一度稼いだ国富は、それほど簡単には
目減りしない。藻谷浩介が言うように、勤労世代人口が減っていることなどが国内の消費
を減らし、税収も減らしているが、富は国民の貯蓄という形で残っているのだから、国債
を出してその金を借り上げ、足りない消費に代わって社会の中に回してやれば、GDPは増
えるのだ。やり過ぎれば金利上昇やインフレを招きかねないが、要はバランスの問題で、
財政黒字の実現にばかりこだわると経済はどんどん縮小していくだろう。
人口が減少するのだからGDPも下がっていいと思う人がいるだろうが、人口が減少する
中で老年人口は大幅に増えるのだから、財政収入をかなり増やさないと医療を支えること
もできない。つまり中国やベトナムに生産が流出していく中でも、国内の富は維持して年
間1~2%程度は伸ばしていかないといけないのだ。
そして富の規模を維持するためには円のレートを維持しなければならず、そのためには
国際収支を大きな赤字にしない手立てが必要だ。今回の地震で明らかになったように、日
本は「生産財」――生産設備や部品――の輸出で、国際収支をバランスさせていけるだろ
う。そして日本国内の雇用、社会保障費用の負担はサービス業に大きく期待するのである。
日本では、国内の製造業について暗い見通しを言う者が多いが、エネルギーを中心に世
界の技術体系が大きく変わろうとしている今は、製造業についても大きな夢を描くことの
できる時代である。水素を安価に製造する技術を開発し、その水素を用いて発電する燃料
電池を各事業所と家庭に普及させ、太陽電池、風力発電、地熱発電などとともにスマート・
グリッドとして管理する。このような体系のために必要な機器の製造で、日本企業は体制
を整えつつあり、膨大な需要をものにしようとしている。
外国語能力で劣る日本人は、金融等のサービスで世界を席巻することはできない。性能
と価格で勝負できる製造業の地位を復活させよう。皆の生活を支えるものとしての製造業
への関心を復活させ、大学・専門学校の理科系・工学系の地位をまた引きあげよう。
そして、1776年アメリカが独立した当時、ジェファーソンやアダムス達があらゆる
シミュレーションを机上で行いながら共和制システムを作り上げ憲法に定着させた時のよ
うな議論を行い、統治のメカニズムを変えていくべきだ。そのための議論の場、決定への
メカニズムも考えないといけない。
ムードを変え、ムードだけではなく実行しよう。マイナスからプラスへ。「一人の優れ
た政治家が何でもやってくれる」という幼稚な幻想はもう捨てて、広く興論を起こしてい
こう。(2011、6.21記)
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寄稿その3
震災復興資金をどう調達すべきか
千葉 康弘(ちばやすひろ)元秋田経済法科大学教授
1.はじめに-ビジョンを踏まえた財源プログラムを-
東日本大震災の復興基本法が6月20日に成立した。復興庁の設置、復興債の発行、復興
特区の創設が盛り込まれた。続く25日には復興構想会議が復興債の発行と償還財源のため
の増税構想を打ち出した。更に、27日には復興基本法に基づき設置された「東日本大震災
復興対策本部」
(本部長・首相)の初会合が開かれ、復興基本方針の7月中策定を目指し提
言に盛り込まれた復興財源や特区制度などについて、2011年度第3次補正予算の中にどの
程度反映させることが出来るか、などの検討に入った。
まず、復興資金の調達の前提として、今回の大震災の総被害額の推計が必要だ。そのう
えで、復旧(震災前の水準)、復興(復旧に加え、震災前以上の水準)、そして復興作業を
通し、より豊かな経済水準を狙いとする振興レベルでのビジョンとそのビジョンを達成す
るための財源プログラムが必要となる。マクロビジョンは「豊かで平和な災害に強い地域
づくり」に置き、ミクロビジョンは各部門(例えば各産業部門、各市町村・地域など)が
自らマクロビジョンと整合性を取りながら作成する。本稿では震災復興の資金調達の基本
的考え方を示す。
2.被害総額算定-必要資金量の基点-
6月24日発表の内閣府(防災担当)の推計によると震災の被害額は16兆9000億円となった。
その中身は「建築物等」
(住宅・宅地、店舗・事務所など)が10兆4000億円で最も多く、「社
会基盤施設」
(河川、道路など)が2兆2000億円、「農林水産関係」
(農地・農業用施設、水産
関係施設など)が1兆9000億円、「ライフライン施設」
(水道、ガスなど)が1兆3000億円な
どとなっている。同項目での阪神大震災の被害額は9兆6000億円だった。推計値はストッ
クの被害額(建物、インフラ施設、社会基盤施設)である。フロー(災害に伴う諸経費な
ど)は含まれない。福島原発事故に伴う損害を含めると、被害総額はこれをかなり上回る
ことになる。試算された16.9兆円は原則としてストック被害を震災前の水準に復旧するた
めの資金ともいえる。新たなストックに組み替えての復興となるとそれ以上の資金が必要
となる。いわんや、日本全体の総合開発・グランドデザインの一環として東日本地域をモ
デルに総合開発発展地域とした場合には、前向きの“振興“の段階まで踏み込むことにな
り、その観点からのロードマップ・資金計画も必要となってくる。
3.財政的手段による復興財源の考え方
これまでの復興財源での議論は、復興のための財源をいかに確保するかであり、世間の
議論が分かれるのは、その財源をどこに求めるかの資金調達の方法にある。財源を“税か
国債か”の議論は政府の経済政策である財政政策の範疇でのこと、復興財源を「税」で徴
収する租税政策(増税政策)、国債で調達する公債管理政策(国債発行政策)で行うかの
議論である。社会保障と税の一体化改革と合わせ復興財源の調達方式が検討されねばなら
ない。
4.民間資金活用による復興財源の考え方
震災復興は長期に渡ることが予想される。財源を民間資金で調達する方式が各界から提
案されている。財源を日本の個人金融資産残高保有1500兆円、企業留保の200兆円、年金
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基金など機関投資家の資金に着目した考え方である。主たる提案を掲げておく。
(1)大和総研「未曾有の大震災からの復興へ『復興基金』と『復興連帯税』の創設を提
言する」を発表。(注1)
大震災からの復興事業という使途に限って被災地自治体、被災事業者及び被災個人への
投融資を行うことが提言されている。
復興基金と復興連帯税構想は、復興と財政規律を両立させながら、東日本の新たな発展
を目指して復興計画を推進しようとするもの。短期政策として国債発行で対処、中長期政
策に基金と増税政策で対処する考え方である。
図1は「東日本大震災復
興基金」構想の概念図であ
る。ポイントは①震災復興
目的に限定された“復興基
金”を政府管理の下に創設、
②基金の財源は、復興基金
債券(政府保証債)により、
機関投資家・個人より調達、
③被災した自治体等に投融
資し、効率的かつ計画的に
復興を展開、④償還財源と
して復興後の収入を想定す
る他、臨時の「復興連帯税
(仮称)」を創設し、財政
図1「東日本大震災復興基金」構想の概要
規律を維持、にある。発展
的な国策との連携が期待される構想である。
(2)経済同友会「新しい東北、新しい日本のための5つの視点」提言(注2)
財源を確保するために復興特別基金を創設して政府保証付きの復興基金債の発行を提言
している。個人金融資産等を活用する案、基金債の利子は非課税とすべきとする。それで
も足りない場合は基金債の償還時に不足が生じたときに初めて『復興税』を検討すべきだ
とする。復興財源の調達は政府保有株式の売却や外国為替資金特別会計の積立金の活用、
「ふるさと納税」
「指定寄付金」など寄付税制の拡充、民間資金も含め、あらゆる財源確保
の努力を講ずることの提案である。大和総研案との隣接提案として相乗効果が期待される。
(3)民間資金利用し官民でファンド設立を提案。(注3)
“出来るだけ財政負担を減らす形での復興“の観点
から官民ファンドを設立し政府保証で財政負担を軽くすることを柳川範行東大准教授は
提案する。その理由として、厳しい財政の一方で、民間部門には余剰資金があること、国
は政府保証を通じ、インフラ形成に責任をもつ必要があること、更に、期限付きの組織を
立ち上げ、民間の人材を活用すること、を主張している。改正NPO法(12年4月施行)が成
立しPFI事業の拡大が期待される。
図2はPFI事業(Private Finance Initiative=民間資金を活用した社会資本整備の事
業)の資金調達事例である。インフラファンドは民間から集めた資金をインフラ関連の
PFI事業の株式部分に投資し、そこから得られた収益を配当として投資家に配分する。
インフラファンドは図で示したようにPFI事業の株式部分に投資することで、事業運営
の権利を有する。ファンドから委託を受けたノウハウのあるデベロッパー、商社などの民
15
間事業者が実質的にインフ
ᖺ㔠ᇶ㔠䛺䛹
ラ事業を行う。民間事業者
೉ධ㔠
㔠⼥ᶵ㛵
がより専業のリスクをとる
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㓄ᙜ
形でファンドに出資する場
合も可能だ。官と民との柔
䜲䞁䝣䝷䝣䜯䞁䝗
ᰴᘧ
軟な連携が可能となる汎用
スキームである。
㻼㻲㻵஦ᴗ
ฟ㈨
(4)欧米で進められてい
るグリーンボンド(環境債)
ᨻᗓಖド
を応用した提案(注4)新
たなグリーンバンクや民間
ᨻᗓ
金融機関が共通債券を発行
し、年金基金など機関投資
家の資金を集めようという
図2 PFI事業の資金調達例
考え方。温暖化対策と両立
させ、排出枠削減分を利払いに活用。ポイントは温暖化対応の復興住宅からの収入に着目。
環境債市場の存立には政策的支援が必要。新債券は投資家の運用ニーズにも応えるとする。
藤井良広上智大学地球環境学研究科教授が民間資金の活用の一環としての提案である。グ
ローバル化のもとで新債券市場が整備されれば先行する海外資本市場からの資金をも呼び
込むことが可能となる。
5.おわりに-早期の財源処置を-
復興構想会議が復興債の発行と償還財源のための増税構想を打ち出した。本稿で紹介し
た民間資金を活用する財源調達構想とオーバーラップする部分も多々ある。民間シンクタ
ンク、被災各県の復興計画が出来上がっている。マーケットメカニズムを活用する資金調
達スキームが動きつつある。これらを含め復興構想会議の理念が政府、立法府を通じ法的
裏付けのある財源処置としての早期に実施される必要がある。
注1 株式会社大和総研2011年月18日発表、 http://www.dir.co.jp/release/2011031801.pdf
注2 公益社団法人経済同友会「新しい東北、新しい日本創生のための5つの視点」
【東日本大震災復興計画に関する第1次提言のポイント】2011年6月8日
注3 柳川範之「復興財源を考える2-民間の資金と智恵生かせ-」
「経済教室」日本経
済新聞2011.04.13
注4 藤井良広「復興財源を考える5-民間資金の活用環境債で-」
「経済教室」日本経
済新聞2011.04.16
××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××
テーマ別ニュース月録
Ⅰ.ロシア国内政治
再選出馬に意欲(D110413)
(要約)メドベージェフ大統領は12日、中国中央テレビのイン
タビューで来春の次期大統領選について「再選のため立候補する可能性を排除しない。近
く結論を示す」と述べ、出馬への強い意欲を示した。大統領はプーチン首相との関係につ
16
いて、ロシアの繁栄という共通の目的のため「過去10年から20年にわたり世界でもっとも
強力な体制を築いてきた」と強調。その上で「繁栄を目指す方法に違いがあるかもしれな
い」と述べ、プーチン氏に対抗して出馬する可能性を示唆した。
来春の大統領選(D110415)
(要約)次期大統領選をめぐりメドベージェフ大統領とプーチ
ン首相が相次いで出馬に言及。最終的に一本化されるとの声が強いが、両方が出馬すると
の見方も浮上。野党からは「2人に注目を引きつけ、他の勢力を排除する戦略」と冷やや
か。民間の調査機関レバダ・センターの世論調査結果では、大統領候補に「誰を望むか」
との問いに27%が首相を選び、大統領の18%を上回った。ただ半年前の調査と比べ、首相が
4㌽数字を落とし、大統領は4㌽支持を伸ばした。
露「2頭体制」終わり? メドベージェフ大統領とプーチン首相経済・外交で路線対立 来年3月大統領選 首相、影響力握る(Y110423)
(要約)
(2人の間での)一連の論争で目立
つのは、大統領が積極的に仕掛ける「動」で、首相は「静」の構えに徹している点だ。首
相が政治・経済で最大の影響力を握る現実がある。大統領は支持基盤となる政党や運動体
すらも持たない。再選には独自路線を打ち出し、世論の支持を獲得するしかないと踏んだ
可能性がある。結果として、大統領と首相の国家戦略の違いはこれまでになく明確になっ
た。大統領が欧米との協調に軸足を置き、経済や国家制度の近代化を推進する「リベラル
路線」を打ち出すのに対し、首相は安定成長で一層の強国化を図る「保守路線」をとる。
ただ、両首脳が政権運営で緊密に連携しているとの見方もある。露研究機関「政治情報セ
ンター」のムーヒン所長は、「重要政策のほとんどで2人は直接、調整している」と断言す
る。ムーヒン所長は、首相がその座にとどまり、次期大統領に「第3の候補」を据える可
能性を指摘した。首相は20日の政府活動報告で、大統領の近代化路線を念頭に「リベラリ
ズムに基づく無分別な実験」を切り捨てた。
出馬へ弱気発言?(D110426)
(要約)メドベージェフ大統領は25日、テレビ番組収録で、
「退
職後は教壇かメディアで仕事を-。」と述べた。次期大統領選への出馬をめぐり、プーチ
ン首相とのせめぎ合いが表面化する中、弱気をのぞかせたとの憶測を呼びそうだ。
ミンスク地下鉄テロ、2容疑者浮上か(D110413)
(要約)タス通信によると、ベラルーシの
首都ミンスクの地下鉄駅で11日発生した爆弾テロの死者は、12日までに12人に達した。治
安当局は、爆発物が無線で操作されたと推定。防犯ビデオから2人の男が容疑者として浮
上したとしているが、犯行の動機や背後関係はつかめていない。
ミンスクテロ、2容疑者を拘束(D110414)
(要約)ミンスクの地下鉄駅で12人が死亡した爆
弾テロで、同国最高検察庁のシベト次席検事は13日、容疑者の25歳男性と若い女性の2人
が拘束されたことを明らかにした。いずれもベラルーシ人。
女性記者射殺 終身刑の判決 露、背後は未解明(M110509)
(要約)モスクワで09年1月、
人権派弁護士スタニスラフ・マルケロフ(当時34歳)とリベラル紙「ノーバヤ・ガゼータ」
の記者アナスタシア・バブロワさん(同25歳)が射殺された事件で、同市裁判所は6日、
極右民族主義者ニキータ・チーホノフ被告(30)に終身刑の判決を出した。同被告は「注
目度の高い事件を解決したい捜査当局のスケープ・ゴートにされた」と無罪を主張し、上
訴する方針。
露記者殺害の実行犯を拘束(Y110602)
(要約)アンナ・ポリトコフスカヤさんが2006年10
月に射殺された事件で、露捜査当局は5月31日、実行犯として国際手配していたルスタム・
マフムドフ容疑者(37)をチェチェン共和国内で拘束したと明らかにした。
露で軍事行進2万人 対独戦勝利記念(Y110510)
(要約)モスクワの「赤の広場」で9日。
メドベージェフ大統領とプーチン首相がそろって観閲した。主力戦車T90や最新鋭の防空
17
システム「S400」、大陸間弾道弾「トーポリM」も登場。前年のほぼ倍の兵士らが参加し、
軍事大国の威容を示す狙いがうかがえた。
プーチン首相『南部ロシアの発展』地域会議で演説(JCAニュースレター、110630)
双頭政権、再び摩擦(D110514)
(要約)プーチン首相が、下院総選挙に向けた政治団体「全
ロ国民戦線」の創設をぶち上げた。自ら党首を務める統一ロシアを軸に、政権を支持する
勢力の結集を掲げるが、メドベージェフ大統領がこの戦略を暗に批判。次期大統領の座を
にらんだ双頭政権内の摩擦が、またもや表面化した。
元野党候補に有罪判決 ベラルーシ大統領選 暴動計画で(M110516)
(要約)ミンスクの
地区裁判所は14日、
(大統領選で)野党有力候補だったアンドレイ・サニコフ元外務次官(57)
が反政府暴動を計画した罪があると認定し、懲役5年の判決を下した。
露大統領 再選出馬 明言避ける 記者会見「近く態度を表明」
(Y&M110519)
(要約)ロシ
ア大統領の会見は通常、クレムリンで開かれるが、近代化を掲げるメドベージェフ氏は先
端技術産業などの誘致を進めるスコルコボを会場に選んだ。
再選出馬、明言避ける(D110519)
(要約)メドベージェフ大統領は5/18日、次期大統領選
への対応について「理想とする戦術に沿って表明する」と述べるにとどめ、再選出馬の判
断は明言を避けた。プーチン首相との関係については「国の発展についての戦略は極めて
近い」と説明。一方で「首相の考える近代化はゆっくりだ。私はより早く動けると思う」
と述べ、改革派としての自らの立場を強調した。ロ極東の人口流出対策として「職場の創
設と近代的な街づくりが必要、既存の発展計画に追加支出する」と述べたが、対日関係に
ついて言及しなかった。対中関係については「中国との善隣はロシアの長期的な優先事項
だ」と強調した。
ロシア 連邦上院議長が失職(M110520)
(要約)サンクトペテルブルクの市議会は18日、
市選出のミロノフ連邦上院議長(58、与党系「公正ロシア」所属)の罷免を賛成多数で可
決。ミロノフ氏は上院議員職を失い、議長職を解任された。政府と議会の与党「統一ロシ
ア」が今年12月の下院選を控え、不人気のミロノフ氏の解任を求めたと見られる
ロシア 武器庫爆発 2人死亡(M110604)
(要約)ウドムルト共和国の首都イジェフスク近
郊にあるロシア軍の武器庫が2日深夜に爆発。住民2人が死亡、約60人が負傷、約28000人
が一時避難した。たばこの不始末などが原因とみられる。隣接のバシコルトスタン共和国
の武器庫でも5月26日、作業のミスで爆発が起きたばかり。
露大統領 英紙インタビュー「プーチン氏と対決」否定的 再選には強い意欲(M110621)
(要約)メドベージェフ大統領は20日付の英フィナンシャル・タイムズ紙とのインタビュ
ーで、次期大統領選について、自らとプーチン首相がともに立候補して争うことは「最良
のシナリオではない」と否定的な考え方を強調した。大統領は「我々は同じ政治勢力を代
表している。争えば近年実現させてきた課題や目標に損害を与える」と述べた。自らの出
馬については「大統領のような立場にいる指導者は、誰でも立候補を目指す義務があるが、
その決定は本人の希望とは別のところにある」と説明。一方で、「もし2期目の大統領とな
れば、経済や社会、政治制度の近代化に全力を挙げる。目標のために働きたい」と政権運
営に意欲を見せた。プーチン氏との関係については、「目標達成に方法に違いがあるが、
亀裂が深まっていると見るのは全くの誤りだ」と良好ぶりをアピールした。米大統領選で
は「オバマ氏の再選を他の誰よりも強く望んでいる」と、エールを送った。
サハロフ博士の妻 エレーナ・ボンネルさん88歳(M&Y110620)
(要約)18日、米国ボスト
ンで死去。詳しい死因は不明だが、長く心臓病を患っていた。
『20歳のロシア』盲学校、極東に1か所だけ(D110623)
(要約)全ロ視覚障害者協会サハリ
18
ン支部によると、視覚障害者のほとんどは、ハバロフスクの盲学校に入学する。中には学
校教育を断念し、自宅などで通信教育を受ける子供もいる。同支部は州議会などに盲学校
の設置要望を続けているものの、「専門教員がいない」
「場所がない」などの理由で実現の
見込みはない。視覚障害者を街でみかけることも少ない。点字ブロック、音響式信号機は
ほとんどなく、道路も穴だらけ。目が不自由な人が出歩くのは命にかかわる。
野党勢力の政党申請拒否(D110624)
(要約)ロ法務省は22日、カシヤノフ元首相、ネムツ
ォフ元第一副首相らの政治団体「国民自由党」が12月の下院選に向けて提出した政党登録
の申請を拒否した。両氏によると国民自由党は、政党の成立要件とされる4万5千人を超す
4万6148人の党員名簿を添えて登録を申請。しかし法務省は死亡者や活動実績のない人物
が確認されたとして、認めなかった。
『20歳のロシア』国民、将来へ不安大きく(D110625)
(要約)ロ科学アカデミー社会学研
究所は、旧ソ連崩壊後20年間の改革への評価を聞いた世論調査結果をまとめた。この20年
で生活が「良くなった」との回答は全体の1割にとどまり、将来への不安を抱えている実
態が明らかになった。政治の民主化、資本主義導入という基本路線:
「正しかった」60%、
「間
違っていた」39%、残りは、改革当時に幼かったなどの理由で「応えられない」。現実の改
革への評価:
「肯定的」
「どちらかというと肯定的」34%、
「否定的」
「どちらかというと否定的」
43%。旧ソ連崩壊直後92年と比べて生活が良くなったか:
「悪くなった」26%、
「良くなった」
10%、「どちらともいえない」35%、「答えられない」29%。背景には社会保障制度が弱体化
したとの不満があり、「改革による最大の損失」を聞いた設問では「将来への信頼がなく
なった」
「安定感、安心感の喪失」との回答が多数。一方で「改革による最大の収穫」では「商
品豊かな市場」
「制限のない所得」等、経済自由化への肯定的な評価が目立った。これにつ
いて報告書は、経済自由化で「生活の水準自体は上がっても、不満を感じる市民が増えて
いる」と分析。90年代の改革派の流れをくむガイダル記念政治経済研究所ジャボロンコ上
級研究員は「93年の調査では国民の50%が改革を支持していた。現在の否定的な評価は(当
時の政権に対する)政府の批判的な宣伝の結果」と主張している。
Ⅱ.ロシア経済・社会
世界の投資家誘致なるか(N110507)M大統領の努力で、創設される100億ドルのプライ
ベイト・エクイテイ(PE)ファンドに注目が集まっている。ロシアを素通りして、中国、
印度にいっている大手PEFをロシア誘導する。ドボルコビッチ大統領補佐官はフィナン
シャル・タイムズ紙とのインタビューで、ファンド設立は「投資家らの要請に基づくもので、
ロシア進出の絶好のガイドになる」と語っている。市場関係者はファンド運営に難問が山
積と指摘する。世界の大手ファンドは、法の未整備と新興財閥との競争を嫌い、長年ロシ
アを避けてきた。米大手ファンドの元ロシア責任者は「最良の投資物件はロシア側が独占
すると疑っている」という。だが、ファンド設立宣言で投資家の関心は高まっている。米
ゴールドマン・サックスの最高経営責任者はM大統領を訪ね、ファンド設立に賛意を表した。
ロシア経済学院長のセルゲイ・グリエフ氏は、最大の不確実要因はM大統領が来年の選挙
後もダイとしてファンドを後押しできるかどうかだとし、「ファンドは契約に調印しても
投資開始は2012年以降」と予測している。
注:プライベート・エクイティ・ファンド(Private Equity Fund)は、複数の機関投資
家や個人投資家から集めた資金を事業会社や金融機関に投資し、同時にその企業の経営に
深く関与して「企業価値を高めた後に売却」することで高いIRR(内部収益率)を獲得す
ることを目的とした投資ファンドである。
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『20歳のロシア』孤児自立へ広がる理解(D110508)
(要約)児童養護施設や里親に育てら
れる孤児はロ全土で72万人。かつて、孤児は「ロシアの恥」とされ、児童養護施設が外部
に扉を閉ざした時代もあった。ユジノサハリンスクの隣村・トロイツコエの州立児童養護
施設「こどもの家」では、7〜18歳の95人が暮らす。1947年に設立。かつては戦災孤児が
中心だったが、旧ソ連崩壊と前後し、経済的に困窮して子供を手放す親が急増。現在はエ
ネルギー大国となり、貧困による「捨て子」は減る一方、虐待や育児放棄などの問題が浮
上、裁判所が親権を剥奪するケースが増えた。
ワールドビュー プラウダ通りの盛衰(Y110508)
(要約)モスクワのプラウダ通りに、「プ
ラウダ」や「ロシア新聞」など多くの新聞社が本社を構える。かつての活況を想像できな
いほど、プラウダ通りは元気をなくした。ネット普及などに伴う部数低迷は世界で見られ
る現象だが、1980年代後半にソ連全体で3億部を数えた総部数が、いまや2400万部まで激
減したロシアは特殊だ。ソ連崩壊に伴い、党や職場での購読義務がなくなり、新聞社が経
営難に陥ると、多くの人々は「新聞を読む習慣」を捨てた。業界の衰退は紙面の質を低下
させた。
北カフカス開発合意 仏露首脳 安定化狙い(M110528)
(要約)北カフカス地方を一大リ
ゾートとして開発する計画にフランスが協力することになった。仏ドービルで、メドベー
ジェフ大統領とサルコジ大統領とが26日、合意した。ロシアは14年のソチ五輪と連動させ、
北カフカスにスキー場などを建設し、雇用増や社会安定につなげたい考えで、リゾート先
進国のフランスに協力を求めていた。
穀物の禁輸 露が解除へ、小麦高騰歯止め期待(Y&M110529)
(要約)プーチン首相は28
日、昨年8月から実施してきた小麦など穀物の輸出禁輸を7月1日付で解除すると発表した。
昨年、干ばつで6100万トンに落ち込んだ穀物収穫高が、今年は8500万~9000万トンまで回
復する見通しとなったのを受けた措置
EU産の野菜 露が全面禁輸(Y110603)
(要約)ロシア消費者保護・健康管理省のオニシチ
ェンコ長官は2日、欧州でO104の感染が拡大していることをうけ、EU産の野菜を同日から
全面禁輸にしたと明らかにした。
ソユーズ存在感 米シャトル退役 ISSへ唯一の「足」バイコヌール ロシア国内新基地
計画 基地の役割変更も(Y110609)
(要約)8日、宇宙船ソユーズが飛び立ったバイコヌー
ルは、ロシアが誇る「宇宙への窓」だ。米スペースシャトルが7月の任務を最後に退役す
ると、地上とISS(国際宇宙ステーション)を結ぶ手段はソユーズだけとなる。ただしロ
シアは国内に新たな宇宙基地の建設を計画し、ロケットの開発、組み立てから打ち上げま
で国内で完結する態勢を整える。極東アムール州に最新のボストーチヌイ基地を建設す
る計画で、18年には新基地からの有人宇宙船打ち上げを目指す。ロシアはカザフに年間
11500万ドルを払いバイコヌールを賃借しており、ボストーチヌイ基地が完成すれば、宇
宙開発の拠点が国外の「飛び地」にある不都合を改善できる。ロシアはバイコヌールにつ
いて将来は有人宇宙船ではなく、商業衛星の打ち上げに特化するとの案も出ていて、今後
バイコヌールの役割が見直される可能性もある。
極東で乗用車生産、日産・ルノー検討(D110603)
(要約)仏自動車大手ルノーのロシアでの
生産、販売を統括するアンセレン・ルノー露代表は、ルノー・日産自動車連合がロ極東で年
間1万〜3万台の乗用車生産を検討していることを明らかにした
新世代、世界をかける(D110611)
(要約)旧ソ連が崩壊し、ロシアは世界に開かれた。サ
ハリン州では石油・天然ガス開発で生活水準も向上。子供を「国際人」に育てようと、外
国語を勉強させる親も多くなった。サハリン国立総合大では、ほぼ半数の学生が米国、日
20
本などに留学。海外旅行はほとんど全員が経験。こうした傾向は、ロ極東だけではない。
会計監査院ステパシン議長は2008年からの3年間で125万人が米国、欧州などに移住したと
公表。1917年ロ革命に匹敵する人数という、独立新聞ノーバヤ・ガゼータは特集記事で、
このブームをロ革命やスターリン時代、90年代の通貨危機などに続く「第6の移民」と分析。
「経済的に自立し、専門知識がある人が祖国を捨てることが特徴」とした。さらに、コネ
がないと出世できない硬直化したシステムや医療、教育体制の不備、テロの恐怖など「逃
亡」の理由を列挙。プーチン、メドベージェフ大統領の12年間を「自由で自立した人々に
とってこの国は息苦しい」と批判した。
「まちかど」ロシア人悩ませる綿毛(D110614)
(要約)トーポリはポプラの一種。旧ソ連時代、
盛んに植樹された。その綿毛は部屋に舞い込み、街角に吹き溜まりをつくり、アレルギー
を起こす人もいて評判が悪い。ソビャニン・モスクワ市長はチュメニ州知事時代、ポプラ
伐採で名を売った。首都でも構想が浮上したが、市当局は「大気浄化でポプラに勝る木は
ない」と消極姿勢を示した。モスクワでは交通渋滞による大気汚染が深刻。市は今年、昨
年の4倍の対策費を費やしており、街路樹植え替えの予算は乏しい。
露の旅客機 着陸失敗 44人死亡(Y110621)
(要約)ロシアのカレリア共和国の首都ペト
ロザボーツクの空港近くで20日午後11時40分ごろ、モスクワ発ペトロザボーツク行きのツ
ポレフ134型旅客機が着陸に失敗し、44人が死亡、8人が病院に搬送された。空港滑走路か
ら約2キロの場所で、農地を貫く幹線道路に緊急着陸しようとしたという。空港側のシス
テムにトラブルが発生していたとの情報もある。
Ⅲ.ロシアの外交・国際関係
北朝鮮大使館、敷地で違法カジノ(D110423)
(要約)ロ外務省は、モスクワの北朝鮮大使
館の敷地内で違法カジノが運営されていたとして、同大使館に閉鎖を求めた。同国の外貨
獲得手段となっていた可能性がある。
キルギス 衝突で報告書(Y110504)
(要約)2010年6月にキルギス南部で起きたキルギス系
とウズベク系の民族衝突について、国際調査委員会は3日、衝突に備えて対策を講じなか
った当時の政府に責任があるとする報告書を発表した。衝突の死者は計470人。
アル・カーイダの北カフカス幹部殺害 ロシア(Y110505)
(要約)ロシアの国家対テロ委
員会は4日、チェチェン南部の治安作戦で、アル・カーイダの同地方幹部でトルコ国籍の
アブドゥラ・クルド容疑者を殺害したと明らかにした。
米MD施設設置 ルーマニア合意(Y110505)
(要約)米国務省は3日、米国とルーマニアが、
MD施設をルーマニア南部カラカル近郊の旧空軍基地に建設することで合意したと発表し
た。2015年中の配備完了を予定。
ロシアは懸念表明(Y110505)
(要約)ロシア外務省は3日、米国とルーマニアの合意につい
て、ロシアの核兵器に向けられたものではないとする「法的保証」を米国に求める声明を
出した。MDが「ロシアの核抑止力に対するリスクになりうる」との懸念も表明した。
米・ルーマニア MD建設地で合意 ロシアは反発(M110505)
(要約)米とルーマニアは3日、
欧州版MD計画に基づくミサイル施設をルーマニア南部デベセルの旧空軍基地に建設するこ
とで合意した。建設されるのは、弾道ミサイル迎撃用のSM3型ミサイル施設。
中露 地上軍投入反対で一致(M110507)
(要約)ラブロフ外相は6日、訪露中の楊中国外相
と会談し、リビアに多国籍軍が地上軍を投入することに反対する立場で一致した。中露は
国連安保理が3月に対リビア武力行使容認決議を採択した際、拒否権は発動しなかったが、
多国籍軍によるリビア政府軍や軍施設への空爆を批判している。
21
サイル防衛 米露は平行線(Y&M110527)
(要約)オバマ大統領とメドベージェフ大統領
は26日、仏ドービルで会談した。両首脳はNATOによるMDシステムの欧州配備にロシアが反
発している問題を話しあったが、一致点は見出せず、議論は平行線をたどった。
ベラルーシに30億ドル(Y110606)
(要約)旧ソ連6カ国で構成するユーラシア経済共同体は
4日、経済危機に陥っているベラルーシに、今後3年間で計30億ドルの安定化融資を実施す
ることを決めた。国営企業の民営化などが条件。ただ危機は30億ドルでの資金では対応で
きないとの見方が圧倒的だ。
ベラルーシ向け送電を露が半減 代金を未払い(Y110610)
(要約)ロシア国営の電力輸出
独占企業は9日、代金未払いを理由に、ベラルーシへの送電を約半分に制限した。未払代
金は3~4月分の約15億ルーブル。ベラルーシは電力の10%強をロシアに依存している。
ロシア NATOと合同演習(M110607)
( 要約)9.11のような航空機によるテロを想定し、
NATOとロシアの合同軍事演習が6日から5日間の日程で始まった。乗っ取られた旅客機を連
携して追跡するもので双方の戦闘機が参加する演習は初めて。
クロアチア 13年にEU加盟(Y110611)
(要約)EUの欧州委員会は、クロアチアに2013年7月
のEU加盟を認めるとの提案を加盟27カ国政府に行った。今月23~24日のEU首脳会議で承認
されれば、EUは28カ国体制に拡大する。
街角 中国人を見ない「直轄領」カザフスタン(M110612)
(要約)カザフのバイコヌール
は中央アジアの草原の中にある。だが、市場で中国人の姿を見掛けない。多くの中国製品
が置かれているのに。タクシーの運転手が教えてくれた。ロシアの宇宙基地があるバイコ
ヌールは、ロシアが賃料を払って統治する「直轄領」。国家機密のロケット産業を抱えて
いるから中国人の入域を厳しく制限しているのだという。
中露の地域機構10年 中央アジアで存在感(Y110614)
(要約)中国、ロシアと中央アジア4
カ国で構成する上海協力機構首脳会議が15日、カザフスタンのアスタナで開かれる。今回
は発足10年の節目。経済面での協力に加え、米軍がアフガニスタンから7月に撤収を始め
るのをにらみ、アフガン情勢の安定化策を協議するなど、米欧と一線を画した地域機構と
して存在感をアピールする場となりそうだ。中露間には思惑の違いもうかがえる。中国が、
中東情勢の不安定化を受けて中央アジアでの石油など資源確保に一層力を入れているのに
対し、SCOを踏み台として中国が中央アジアで影響力を拡大することにロシアは警戒感を
強めているとされる。両国間で5年越しで行われているロシア産天然ガスの輸出交渉も、
価格を巡り主張は隔たっているとされる。
上海機構、域外関与を強化 宣言採択 欧米の中東介入けん制(Y110616)
(要約)上海機
構(SCO)の首脳会議が15日、アスタナで開かれた。「アスタナ宣言」は地球規模の課題や
生きがい問題への積極関与方針を打ち出す一方、欧米による中東地域への軍事介入をけん
制し、経済成長を背景に発言力を強めるSCOの自信を示した。今回、ロシアはアフガンの
オブザーバー入りを働きかけた。だが、SCOが「テロとの戦いの主要パートナー」となる
よう訴えたカルザイ大統領の期待にこたえる成果は今回はなかった。米国が進めるMD計画
についても、「一方的な配備は戦略的安定を損なう」との文言を盛り込んだ。
中露の貿易3倍増に20年までに両首脳が共同声明 友好条約10年(Y110617)→冒頭箇所を
見よ。
中露首脳が会談 貿易拡大で合意(M110617)
露、仏揚陸艦購入を契約 NATO側の兵器初導入 日露関係の影響か(M110618)
(要約)ロ
シアとフランスは17日、フランスのミストラル級強襲揚陸艦2隻をロシアが購入する契約
に調印した。契約はロシア国営武器輸出会社ロスオボロンエクスポルトとフランス造船大
22
手DCNSが、サンクトペテルブルクで調印。メドベージェフ大統領が立ち会った。ロシアは
12億ユーロで購入する。両国はさらに2隻をロシア国内で建造することでも合意した。ロ
シアは08年8月のグルジア紛争で、強襲揚陸艦の必要性を認識した。ロシア国防省高官は
17日、インタファクス通信に対し、この2隻が極東の安全保障のため、ウラジオストクを
拠点とする太平洋艦隊に配備され、南クリルの防衛を任務に含まれることを改めて確認し
た。日露関係への影響も予想される。
「6カ国」再開へ協力(D110617)
(要約)メドベージェフ大統領と胡錦涛国家主席は16日、
クレムリンで会談。北朝鮮の核問題について「6カ国協議の枠組みによる外交的な解決し
かあり得ない」として、協議再開への協力をうたった共同声明を発表。また、上海協力機
構や新興5ヶ国など両国を中心とする国際協力の強化で一致。米国への対抗軸としての連
携を打ち出した。両首脳は、両国間の貿易額を2015年に1千億㌦(約8兆円)、20年に2千億
㌦(約16億円)まで拡大する目標で合意。昨年の貿易額は約593億㌦(約4兆8千億円)。
中ロ結束に隙間風(D110618)
(要約)→冒頭部分を見よ
2隻の建造に調印(D110618)
(要約)ロシアとフランスの両政府が合意したミストラル級強
襲揚陸艦の共同建造について、両国の受注企業が17日、サンクトペテルブルグで2隻分の
契約に署名。ロ国防筋は「2隻ともクリール諸島の部隊支援を含む極東の防衛にあたる」
と述べ、北方領土の軍備強化の一環と言明した。
ウクライナ「親欧米」鮮明 黒海合同演習 米新鋭艦が参加 ロシア離れ政策 続々
(Y110623)
(要約)ウクライナと米国の合同演習「シーブリーズ2011」は、海賊対策を目
的に黒海で6~18日に実施され、兵員約1300人が参加した。英独などNATO加盟国の代表者
も招き、訓練を行った。今年、ロシアがことさら反発したのは、米海軍ミサイル巡洋艦「モ
ンテレー」の参加。同艦は欧州MDの一環で地中海に展開していた。露外務省は12日、黒海
への同艦進入に「安全保障に対する脅威」との声明を出し、激しく非難した。昨年2月に
発足したヤヌコビッチ政権は、前政権時代に悪化した対露関係の改善に取り組む姿勢を打
ち出した。だが、最近は露主導の関税同盟参加を見送り、EUとの自由貿易協定締結を推進。
天然ガス価格の見直しをロシアに求めて拒否されるなど、きしみばかりが目立っていた。
露政治学者のK・タナーエフ氏は「ヤヌコビッチ政権は当初から欧米志向だった」と述べる。
「親露派」のイメージは、実は対露関係が極端に悪化した状況で選挙戦術のために作られ
た側面もあるという。露コメルサント紙は21日、ウクライナが黒海艦隊の将来やMDを巡っ
てNATOと協議することをまとめた機密文書を入手し、「ヤヌコビッチ大統領はNATO接近に
舵を切った」と報じた。ウクライナは、黒海沿岸に液化天然ガス施設を建設して対露依存
脱却を図る構えで、今後、両国間に緊張が一層高まる可能性もある。
ロシア、北朝鮮 首脳会談準備(D110624)
(要約)メドベージェフ大統領と金正日総書記
の首脳会談が6月末から7月初めにかけてロ極東沿海地方で行われる方向で、準備が進めら
れていることが分かった。会談が実現すれば北朝鮮への経済援助や、北朝鮮も核問題をめ
ぐる6ヶ国協議再開などが協議されるとみられる。
Ⅳ.極東・サハリン・千島
「新・島だより」震災の影響ここにも(D110416)
(要約)東日本大震災は、色丹島にも影響
を及ぼした。建物の基礎がしっかりしていないため、
「体感震度」はかなりのものだった。
津波の高さは1m。海沿いの建設機械や小型漁船が凍りつき、使い物にならなくなった。
巨大なダイヤ原石(D110422)
(要約)ダイヤモンド採掘企業「アルロサ」は21日、サハ共
和国北西部で136・35㌌の巨大ダイヤモンド原石を、15日に採掘したと明らかにした。大き
23
さが3・3㌢×2・3㌢×1・7㌢。
「日本」題材に邦人招き授業(D110423)
(要約)ユジノサハリンスクの特別教育校「第1リ
ツェイ」で22日、在留日本人を招いた特別授業が行われた。リツェイは理系科目に特化し
た学校だが、国際感覚を身につけるため、中韓など特定の国をテーマにした特別授業を行
っている。多量の放射性物質による被害が出たとみられるが、当時のソ連政府が認めたの
は「死者10人、被爆者約300人」だが、「死者40人以上、被爆者は千人近い」と証言する軍
当局者も。事故後、原子炉はコンクリートで密封されドゥナイ近くの湾内で海上保管され
てきたが、昨年12月解体が完了。この間、放射性物質の放出が続いてきたとの専門家の指
摘もある。
ウラジオ近郊の惨事、国家機密で闇の中(D110425)
(要約)ウラジオストク近郊で1985年8月、
原子力潜水艦K431が爆発、多数の死者を出す大惨事が起きた。
「極東のチェルノブイリ事故」
とも呼ばれるが、国家機密とされ詳細は不明。多量の放射性物質による被害が出たとみら
れるが、当時のソ連政府が認めたのは「死者10人、被爆者約300人」だが、
「死者40人以上、
被爆者は千人近い」と証言する軍当局者も。K431は事故後に原子炉がコンクリートで密封
されウラジオ南東約60㌔の軍事閉鎖都市ドゥナイ近くの湾内で海上保管されてきたが、昨
年12月解体が完了。この間、放射性物質の放出が続いてきたとの専門家の指摘もある。
サハリン州50万人割れ(D110501)
(要約)ロ政府の2010年実施国勢調査によると、サハリ
ン州の人口は50万人を下回った。同州は「サハリン2」で急速に発展し、平均所得などの
経済指標は急激に改善したが、人口減に歯止めはかからなかった。同州人口は49万人7899
人。02年の調査から8・9%減。旧ソ連末期1989年には約71万人だった。生活レベルは向上し、
平均所得は2000年からの10年間で2・7倍、年金支給額2・9倍。千人当たりの自動車保有台数
1・4倍(277台)。人口減の理由について、サハリン国立総合大ボロフスコイ教授は「格差社会」
が原因と指摘。「所得倍増は一部の富裕層だけ。人口回復には旧ソ諸国から優秀な人材を
招き、ロシア国籍を与えるべき」。
「発展」看板倒れ(D110510)
(要約)ビザなし交流が今年で20年目を迎える。メドベージ
ェフ大統領が昨年11月に国後島を訪問するなど、四島への関与を強めるロシア政府の姿勢
を島民は歓迎しながらも、看板倒れの発展計画に不満をくすぶらせる。択捉島紗那に建設
中の空港は、クリール経済社会発展計画の目玉の一つ。しかし、ターミナルの外郭こそ完
成したが資金が途絶え、滑走路は手付かず。昨年予定の開港のメドは立っていない。ロシ
ア政府は06年、15年までに179億㍔(約520億円)の予算投入を発表。サハリン州ホロシャ
ビン知事は、さらに134億㍔が上乗せされると自信を示した。しかし建物の多くは旧ソ時
代の建物を化粧直ししただけ。昨年の国勢調査によると、南クリール地区の人口は9502人
で、2002年の調査から225人減った。一方、島民の日本への期待はなお強い。東日本大震
災への支援も広がる。択捉島ではこれまでに15万㍔(約43万円)の寄付金が集まった。
[1994
年は日本が島を助けてくれた。今度は助ける番]。
ロシア 千島駐留の軍再編承認(M110512)
(要約)ロシア軍のマカロフ参謀総長は11日、
北方領土を含む千島列島に駐留する軍の再編計画が政府に承認されたことを明らかにし
た。今後4~5年で最新の兵器や機器を配備して軍事力増強を図るもの。
露、北方領土の軍備増強 大統領承認へ2拠点新設、最新鋭兵器(Y110512)
(要約)ロシア
国防省は11日、北方領土に駐留する部隊の増強計画を近く国家指導部に提出する方針を明
らかにした。メドベージェフ大統領は承認する見通し。国後、択捉の両島に新たに2か所
の軍事拠点を構築し、移動式対艦ミサイルシステムなど最新鋭兵器を配備する内容。
極東で乗用車生産、日産・ルノー検討(D110603)
(要約)仏自動車大手ルノーのロシアでの
24
生産、販売を統括するアンセレン・ルノー露代表は、ルノー・日産自動車連合がロ極東で年
間1万〜3万台の乗用車生産を検討していることを明らかにした
「新・島便り」清掃や植樹、進美化(D110604)
(要約)クリール地区行政府が町中のゴミ
を肩つきけたほか、道路の「近代化」が進められている。清掃担当の公営事業者と小中学
生が「清掃部隊」を結成。ごみは2週間でトラック10台分にもなった。地区行政府は古釜
布郊外にアスファルト工場を建設中。幹線道路の舗装を始める。
「新・島だより」養殖やっと戦前並み(D110618)
(要約)択捉島では、19世紀後半、日本人
が初めてふ化場を造り。1945年には10か所のふ化場が操業していた。だが、旧ソ連は「日
本製」ふ化場を閉鎖。2か所の国営ふ化場でサケの養殖を行ったが、十分に需要を満たす
ことはできなかった。旧ソ連崩壊後、民間企業がサケ・マスの生態を研究し、相次いでふ
化場を建設。養殖業はやっと戦前の水準になった。
Ⅴ.日ロ経済社会関係
モデルハウス6月ハバロに(D110413)
(要約)住宅建設のロゴスホームは6月、ハバロフス
クに木造住宅のモデルハウスを建設する。経済成長で増加した富裕層を狙って、2012年度
からの3年間で一戸建て住宅50棟の販売につなげる。業務提携している建設会社アカデム
レソルスが1030万㍔(3100万円)で受注活動を行う。
漁獲超過、3社の停泊処分終了(D110414)
(要約)ロシアのEEZでスケソウダラ漁を行う漁
業4社による漁獲超過問題で、稚内海洋、子会社の大林漁業と道外2社の北転船計3隻に水
産庁が科していた停泊処分が13日、終了した。
稚内-コルサコフ1便の旅客数増加(D110415)
(要約)道は、稚内-コルサコフ航路フェリー
の2010年度輸送実績をまとめた。便数が前年度より26・3%減ったため旅客数で同7・9%減、
貨物量同18・9%減。1便当たりの利用はともに増えた。
サハリンへ初のビザなしツアー(D110519)サハリン州コルサコフ-稚内定期国際フェリ
ー航路を使ったビザなしのサハリンツアーを、近畿日本ツーリスト旭川支店が初めて企画
した。今季初便となる6月7日稚内発2泊3日、半日観光を含め3万8400円の格安料金。
ロシアは2009年、フェリー利用の団体観光客が72時間ビザなしで滞在できる制度を導入し、
コルサコフを拠点の一つとした。集客に悩む稚内との航路利用促進になると期待されたが、
日本側は「観光客のリストの事前提出が必要など、使い勝手が悪い」として利用していな
かった。今回のツアーは制度運用を探る試みとの位置付け。旅行会社と運航会社のハート
ランドフェリーの営業努力で、通常往復フェリー運賃とターミナル使用料だけで4万円な
のを格安に設定した。募集人員30人、最小催行人員は10人。
漁獲超過、3社の停泊処分終了(D110414)
(要約)ロシアのEEZでスケソウダラ漁を行う漁
業4社による漁獲超過問題で、稚内海洋、子会社の大林漁業と道外2社の北転船計3隻に水
産庁が科していた停泊処分が13日、終了した。
サケ・マス漁の漁獲割当4割削減(Y110423)
(要約)ロシアの排他的経済水域内で日本漁船
が操業するサケ・マス漁に関する日露政府間協議が22日、妥結した。震災で、操業できる
漁船が大幅に減ったため(昨年は36隻操業したが、気仙沼市の漁港などで12隻が使えなく
なった)、漁獲割当量は5264トンで、昨年の8447トンから4割近く減った。ロシアに支払っ
た入漁料も、昨年より約10億円少ない15億9000万円
世界フィギュアで日本へ連帯表明を(D110415)
(要約)プーチン首相は14日、モスクワで
24日から開かれるフィギュア世界選手権の開会式で、東日本大震災に直面する日本への連
帯を示すべきだとして、関係部署に検討を指示。今回の大会は当初、東京で予定されてい
25
たが、震災や原発事故を受け開催を返上した。
震災救援根拠に政経分離は可能(D110416)
(要約)国営ラジオ局「ロシアの声」
(電子版)は、
東日本大震災でのロシアによる救援隊派遣など日本との協力について「政経分離が可能で
あることを示した」として、領土問題とは切り離して経済協力を推進するよう、日本側に
求めた。日本が中国や韓国とは領土をめぐる対立を抱えながらも経済関係を発展させてい
るのに対し、対ロ外交では「政治と経済の不可分性を主張している」と批判。「ロシアは
政治と経済を分けて考えることを提案している」と強調。一方、「最近では日本の立場に
一定の前向きな動きがみられる」と指摘。また、ロシアの日本研究者の談話として、震災
により「ロシアの経済的役割は高まっている」と主張。日本の原子力計画の見直しで、ロ
シアのガスや石炭への依存度が増すとの見方を伝えた。
LNG年産倍増1000万トン 日露共同建設 ウラジオストク 17年稼働へ(Y110426)
(要約)
日露は25日、モスクワで事業化調査を行う詳細合意書を締結する。2013年にも建設に着手
し、17年に稼働する計画。日露は1月末に年500万トンの生産で合意していたが、それを倍
増する。総事業費は1兆円規模に膨らむ。伊藤忠商事と丸紅などの日本勢と、ガスプロム
が調査会社を設立しており、日本向けには年500万トン以上供給できる見通し。世界的に
原発見直しの動きが広がり、今後はLNG需要の急増が予想され、日本側は安定確保が課題
となっている。日本は、「サハリン2」から年600万トン以上のLNGを輸入している。基地が
完成すれば日本はLNG輸入のうち約20%をロシアから調達できるようになる。
日露合意 LNG安定確保図る 原発逆風で需要増も(Y110426)
(要約)日本勢がウラジオス
トクのLNGプラントについて、生産能力を倍増することで合意したのは、埋蔵量が豊富な
ロシアの天然ガスを安定的に確保する狙いがある。LNGの国内輸入量は昨年まで7000万ト
ン弱でほぼ横ばいに推移していたが、原子力発電に対する逆風が強まる中で、今後は増え
る可能性が強い。今年1月に日本政府は「極東ロシアガス事業調査」を設立し、伊藤忠商
事グループ37.5%、国際石油開発帝石が10%を出資した。ただ、実際に着手した場合、ガ
スプロムが過半数を出資する可能性が高い。日本のLNG輸入量は09年度にインドネシア、
マレーシア、オーストラリアの3国で57%を占めていた。日本側は「ウラジオストクから
の調達量を増やすのはエネルギー安全保障の向上につながる」
(経済産業省幹部)と期待す
る。
ガスプロムと共同調査 LNG事業 伊藤忠など合意(M110427)
「まちかど」罰金『これがロシアだ』
(D110426)
(要約)連邦移民局の監督官が、外国人登
録証に虚偽記載があるため、罰金を払えという。法律ではアパートの持ち主が移民局で外
国人登録をしなければならないが、手続きは難しい。事情を説明し、助手の住所で了解を
得ていたはず。無理なシステムを押し付け、捜査令状なしにやってくる。
「これがロシアだ」。
ロシア艦海難、犠牲者悼む(D110503)
(要約)サプリン駐札総領事ら道内在住ロシア人が2
日、檜山郡せたな町瀬棚区の「露国軍艦アレウト号乗組員遭難慰霊碑」で、1878年に起き
た海難事故犠牲者の慰霊式を行った。ロ側が慰霊式を行うのは初。
日露戦争捕虜 日本で死亡 37人はポーランド人 大学教授調査(Y110607)
(要約)ワル
シャワ大学のエバ・ルトコフスカ教授(日本近代史)は2008年から、稲葉・名城大教授ら
とともに各地の外国人墓地などを巡り、15都道府県で94人のポーランド人の墓を確認した。
このうち37人は「ロシア兵」として埋葬されていた。ポーランドは18年に独立するまで帝
政ロシアなどに分割支配され、多くの男性が日露戦争の前線に送られた。捕虜として日本
に連れてこられたポーランド人は4600人以上いた。教授は「独立以前のポーランドと日本
のかかわりを、両国の若い世代に伝えていきたい」と話す。
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ロシア人の9%「日本は敵対国」
(D110603)
(要約)民間調査機関レバダ・センターが発表した
5月の世論調査結果によると、ロシアに対して「最も敵対的な国」として日本を挙げるロ
シア人が9%に達し、昨年調査の3%から悪化。メドベージェフ大統領の北方領土訪問などに
よる、両国関係の冷え込みが影響したとみられる。調査は5/13〜16、ロ全土の1600人を対
象に行われた。
準備万端、いざ宇宙へ(D110607)
(要約)国際宇宙ステーションへの出発を前に、古川聡
さんら3人の宇宙飛行士が6日午前、コスモノートホテルで記者会見に臨んだ。古川さんは、
ISSの日本実験棟での医学実験について説明。また、東日本大震災の被災地に向け、エー
ルを送った。
サハリンツアー出足上々(D110609)
(要約)観光ビザがなくてもサハリンに3日間滞在でき
る制度を利用した初のツアー客73人が8日、ユジノサハリンスクを訪問。心配された入国
手続きもスムーズで、ツアー客の評判は上々。ツアーには稚内商工会議所の今村副会頭、
横田・前稚内市長も同行、8日に州政府を訪問。今村副会頭は「冬期間も交流できれば」と
提案。州政府幹部は「日本も72時間滞在できるようにして」と要望した。
放射線検出バス小樽港へ(D110614)
(要約)サハリン州コルサコフ港に北海道から貨物船
で運ばれた車1台から微量の放射線が検出された問題で、通関させずに小樽港に積み戻す
ことになった。
「小樽港に積み戻し」ロ税関が発言訂正(D110617&21)
(要約)カムチャツカ税関当局者
は16日、小樽港から貨物船でカムチャツカに運び込まれた重機などから微量の放射線を検
出し、近く同港に積み戻すとした15日の発言内容を全面的に訂正した。正しくは、貨物船
は5月下旬に新潟港からペトロパブロフスクカムチャツキー港に入港。検査で放射線が検
出された4台の車などを通関させず、貨物船は同月中にこれらの車を積載し横浜港に向か
ったという。出荷元の輸出業者は、契約が成立した時点で、車の所有権は輸入車に移転し
たので引き取る義務はない、としている。
小樽港からは道内では、ロシアむけ中古車輸出をほぼ独占。昨年(2010年)1年間で道
内からロシアに輸出された6222台のうち、6175台は小樽港から輸出された。輸出金額約
48.28億円になる。
残留邦人、祖国で笑顔(D110617)
(要約)サハリンで終戦を迎え、現地にとどまった邦人
や子息らで構成する第41次集団一時帰国団が17日稚内港に到着した。残留邦人25人と付添
18人。
ロ船員逮捕(D110615)
(要約)小樽海保は14日、銃刀法違反の疑いで、石狩湾新港樽川埠
頭に入港中のロ船籍の貨物船「TAMARA」の機関長で、ロシア人のカリニチェンコ・レオニ
ード容疑者を逮捕した。
雪崩の仕組み解説(D110616)
(要約)国際雪氷学会のシンポジウム「雪の物理学、化学、
そして力学」が13〜15日、ユジノサハリンスクで初めて開催された。日本からは北大名誉
教授の前野紀一・元会長が招待され、雪崩のメカニズムを解説した。サハリン州は石油・
天然ガス開発の一大拠点だが、これまで雪、流氷からの安全確保などの研究は遅れていた
Ⅵ.北方領土問題
ビザ取得渡航を外務省厳重注意(D110429)
(要約)国後島に4月上旬、日本人男性2人がロ
シアの査証を取得して渡航した問題で、日本外務省は2人のうち1人の根室市の男性に厳重
注意を行った。2人は商用で北方領土に2週間以上滞在。根室市の男性は渡航自粛要請を知
りながらロシアのビザを取得し国後島に渡航していた。
27
日本の北方領土交渉 酷評 09年当時 米公文書暴露「計画もなければ…指導者もいな
い」
(M&D110511)
(要約)麻生首相は09年2月、メドベージェフ大統領と会談したが、在日
米大使館が米国務省などに宛てた09年4月19日付の機密文書は「日本には交渉のための計
画もなければ、交渉に力を注ぎ、最後までやりとおす指導者もいない」と酷評していたこ
とが、「ウィキリークス」が10日公表した米公電で明らかになった。(また)
「麻生氏は北方
政策に関し、信頼できる補佐官がほとんどいない」と指摘。外務省をはじめ、同氏に政策
上の指針を示す組織はほとんどなく、最大野党の民主党も「政策上の真空状態」に陥って
いると批判した。公電はその理由として「彼(麻生氏)の指導者としてのスタイルが、こ
の問題に関する他人の助言に耳を傾けることを妨げている」と説明している。北方領土交
渉に深く関与した鈴木宗男衆院議員が02年、あっせん収賄の疑いで逮捕された事件の後遺
症も背景に挙げた。
露副首相が北方領訪問 択捉、国後島 震災後、要人で初 日本政府は抗議(Y&M110516)
(要約)ロシアのイワノフ副首相率いる政府視察団が15日、両島を訪問した。副首相には
ナビウリナ経済発展相ら4閣僚(運輸相、経済発展相、天然資源相、地域発展相)が参加。
訪問は「クリル諸島社会経済発展計画(07~15年)」の進捗状況視察が目的。空港や港湾
を訪れ、開発計画の進行状況を確認した。副首相は、新空港が建設中の択捉島で「空港や
道路の整備なしに発展はない」と述べ、地熱発電所の必要性も指摘した。サハリン州のホ
ロシャビン知事は、2015年までの開発予算が現行の倍以上の310億ルーブルに増加するこ
とを明らかにした。トルトネフ天然資源相は14日、金やレニウムの探鉱、開発計画策定を
同州政府に指示した。
日露関係再び対立含み 露副首相北方領訪問「震災休戦」一転(M110516)
(要約)震災か
ら2カ月にあたる11日、ロシア軍のマカロフ参謀総長は、国後、択捉両島に駐留する第18
機関重砲兵師団の再編計画について、今後4~5年で兵器や装備を更新していく工程を明ら
かにし、沿岸防衛用の移動式ミサイル「バスティオン」を配備する見通しを示した。同師
団の計画では、攻撃ヘリ「ミル28N」や対艦巡航ミサイル「ヤホント」の配備も検討され
ている。
20年目、交流深化に期待(D110512)
(要約)ビザなし交流の本年度第一陣が13日、国後島
に向け出発する。当初予定していた民間チャーター船が使えず急遽訪問団の人数を大幅に
絞り込んだが、現地の交流日程などに変更はなし。ロ政府要人の相次ぐ四島訪問や、チャ
ーター船をめぐるトラブルなど懸案を抱えながら、元島民らは20年目の節目となる交流に
期待をつないでいる。
ロシアに見直し論(D110512)
(要約)ロ側の国内法に基づく手続き要求などで混乱が続く
ビザなし交流。ロ側には枠組み見直し論がくすぶり交流は曲がり角を迎えている。ロ側は
訪問団の人数絞り込みを主張。サハリン州では、今年の交流終了後に事業の見直しを検討
するべきだとの意見も浮上している。ビザなし支持で日本側と足並みをそろえてきたロ外
務省も、ここにきて消極姿勢に転じつつある。日本側は新たな対応を迫られている。
「友好」生活に根付く根室(D110512)
(要約)ビザなし交流が20年目を迎えた。根室を訪
問するロシア人島民が中心商店街で買い物をする光景は「日常」となった。この20年間で
日本から9962人、四島から7336人が海峡を越えた相互交流は、根室の市民生活に変化をも
たらした。電器店「イズミ電機」は、ビザなし訪問団員や貨物船員などのロシア人が年間
約千人も訪れる。ロンド靴店は、ロシア人向けに30㌢サイズの靴を取り揃える。
5閣僚1長官も北方領土訪問へ(D110513)
(要約)イワノフ副首相が近く予定している北方
領土の視察に、クドリン財務相ら5閣僚とクライニー漁業庁長官が同行することが12日分
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かった。昨年11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問から、閣僚の四島入りが相次いで
いるが、複数の閣僚級の視察団は初めて。クリール社会経済発展計画の進行状況の視察が
目的とみられる。
*択捉*インフラ整備着々と(D110514)
(要約)
「クリール経済社会発展計画」では幼稚園、
病院の新設、港湾、水産加工場の改修工事などが相次ぎ、生活水準は向上した。目玉は紗
那-別飛の間に建設中の新空港。07年着工、10年完成予定だったが、建設費が不足し工事
は停止。ロ政府は新たに5億㍔(約14億8千万円)を投入し、14年までに1400㍍の滑走路を
建設し、その後延長する見込み。もう1つ関心が高いのが、紗那-別飛間の幹線道路の拡
張工事。
ロ副首相、択捉・国後入り(D110516)
(要約)イワノフ副首相ら閣僚5人が15日、択捉、国
後両島を訪問、空港や港湾、地熱発電所などを視察。ビザなし交流の日本側訪問団も国後
島入りしていたが、副首相ら一行が施設視察中は音楽学校コンサートに参加しており、接
触はなかったもよう。副首相は、島民の生活水準の低さを指摘した上で「予算を迅速かつ
効果的に使い、人間的な生活を実現させなければならない」と、インフラ整備の必要性を
強調。トルトネフ天然資源相は14日、四島で金や希少金属レニウムの採掘計画を策定する
ことを関係機関に同州内で指示した。
ある。
北方領土開発、新たに460億円(D110517)
(要約)サハリン州のホロシャビン知事は16日ま
でに、クリール社会経済発展計画について、新たに160億㍔(約460億円)を追加支出する
ことを明らかにした。投資額はほぼ倍増することになる。インタファクス通信によると、
追加支出の内訳は連邦予算から130億㍔、地方予算から30億㍔。
原田駐ロ大使が就任会見(D110520)
(要約)原田親仁駐ロ大使が19日、着任後初めて記者
会見した。今後の対ロ外交について「領土問題では基本的立場を堅持しつつ、幅広く関係
を進展させ局面を打開したい」と述べ、経済協力を含めた総合的な関係改善を目指す姿勢
を示した。
日ロ関係の展望は〜国際政治学者サルキソフ氏〜(D110520)
(要約)Q:震災後の副首相
の国後、択捉島訪問の理由? A:訪問は以前から予定されていた。震災を機に日本に配
慮して訪問を見送ったら、領土問題で日本に譲歩したという印象を与えかねない。 Q:
LNG400万㌧提供を表明するなど、エネルギー協力が進んでいるが、A:利用が増えること
は経済関係の拡大、さらには政治的対話につながる可能性がある。だがロシアに対する日
本のエネルギー依存率は、2010年で石油7%、LNG9%とごくわずか。Q:北方領土での軍備
の近代化が進む?A:ロシアにとって、日本は軍事的な脅威ではない。近代化の念頭にあ
るのは中国。中国は将来、米国以上の国力を持つと予測されている。Q:サミットで日ロ
首脳会談が開かれた場合、領土問題に進展はあるか?A:中国を牽制するためにもロシア
は日本と領土問題を早く解決したい。だが、トップがめまぐるしく交代する日本で、誰と
本音で話し合えるのか、ロシアは探しあぐねている。国内基盤が弱い民主党政権では領土
問題の進展は難しい。
韓国議員、午後国後島入り(Y110524)
(要約)韓国国会「独島領土守護対策委員会」所属
の国会議員3人が24日午後、サハリンから空路、国後島入りする。現地時間の24日午後、
ユジノサハリンスクを出発。国後島に約50分間、滞在し、現地視察する。
韓国国会議員 国後島へ 竹島対策委員長ら 政府は「無関係」
(M110525)
(要約)韓国国
会議員の北方領土訪問は初めて。日露間の領土問題におけるロシアの対応を視察するのが
目的としている。韓国政府は「無関係」との立場だが、日本政府はすでに懸念を伝達。今
29
回の訪問が、日韓、日露関係に波紋を呼ぶ可能性が出ている。モスクワの外交筋は「ロシ
アは『来るものは拒まず』のスタンス。これをもって領土問題で韓国と共に対日けん制を
強めることにはならないだろう。ただ、北方領土の実効支配を正当化する材料の一つとし
て利用する可能性はある」と指摘する。
クローズアップ2011 北方領土ビザなし交流20年 止まらぬロシア化 ベビーブームの色
丹、育児・教育に力(M110606)
(要約)
「ビザなし交流」が20周年を迎えた。4島へのロシア
の実効支配が進み、日本が求める「返還」への道筋は見えない。5月30日まで日本側訪問
団に同行して訪れた色丹島の現状を報告する。色丹島で最大のマロクリリスクに今年3月
オープンした公立ロマーシカ幼稚園で2~7歳の園児80人が学んでいた。音楽教師は教材や
施設の充実ぶりに胸を張った。島は今、空前のベビーブームに沸き、小学校や幼稚園の整
備が着実に進められている。本土から送り込まれた若い兵士が次々と結婚。子供が生まれ、
島の平均年齢が若返っている。一般島民も、国家プロジェクト「母親基金」による財政支
援を受け、昨年の新生児数は50人。今年もこれまでに15人が生まれた。国後、択捉島では
大型インフラ整備を進めているが、色丹島では、教育施設など民生面の整備が優先のよう
だ。日本側訪問団の得能団長(77)は、「日本よりはるかに高い出生率で、人口が定着し
ている。色丹も返さないという方向に進んでいるのではないか」と懸念する。経済背景に
強気露政府北方領土の実効支配を進めるロシアは、ビザなし交流で「領土問題抜き」の事
業に限定させる動きを強めている。露政府は中央主導の開発を前面に押し出している。日
本政府の自粛要請にもかかわらず、ロシアのビザで北方領土入りする日本のビジネスマン
が後を絶たないことも、ロシア側を強気にさせている。対象拡大17000人が往来北方領土
当初は4島の元住民らに限定された日本側参加者は、学術分野などの専門家にも拡大。19
年間で日露の延べ17298人が参加。相互理解は深まりつつある。
日露平和条約は「不要」ロシア副首相 異例の言及(M110606)
(要約)シンガポールでロ
シアのイワノフ副首相は5日、日本との関係強化について「第2次大戦の古い本を閉じて平
和条約を締結するのもよいが、条約なしでもやっていける」
『サンデー討論』20年目のビザなし交流の在り方(D110605)
(要約)
〜東郷和彦・京都産業大世界問題研究所長〜ビザなし交流は毎年開催される保証はない。
だが、長年続くうちに日本側は既得権だとみなし、マンネリ化が進んでしまった。交流内
容などは早急に見直すべき。ただ、今必要なのは「小手先の改善」ではなく、四島の日ロ
共同開発で夢のあるビジョンを大胆に示すべきだと思う。ロ側はロシア正教を活用し、外
資も導入しながら「四島のロシア化」を急いでいる。放置すれば領土交渉は一段と難しく
なる。一方で、交流の窓口を完全に閉じてはいない。台頭する中国への牽制や、日本の技
術力を活用したい-という意味からも対日関係は重要。大統領選後をにらみ、ビザなし交
流を維持しながら、夢のビジョンを提示することは、領土交渉の重要な布石になる。
〜長谷川俊輔・根室市長〜ロシア人との友好は深まったが、目に見える成果は皆無。今こ
そ人的交流に限らない新しく柔軟なアプローチが必要。その核として、根室と北方四島圏
域に「ビザなし特区」を創設し、四島との経済交流を推進することを提言する。日本とロ
シアの主権を害さない形で四島を実質的に同じ経済圏に組み込むのが「特区」。経済交流
を起爆剤に、根室の活性化と同時に、四島での日本の存在感を高め、領土問題の解決につ
なげる。ビザなし交流を本来の目的のために進化させるべき。
ロシア、四島で攻勢(D110608)
(要約)日本の政局の混迷を受け、ロ政府は北方領土問題
の棚上げと実効支配強化の姿勢をさらに明確にした。イワノフ副首相が平和条約不要論に
踏み込んだのと前後して、国後島の港湾を管理する国営企業の新設や、択捉島の漁業開発
30
への多額の投資計画も浮上、攻勢を強めている。中国の台頭をにらみアジア太平洋地域で
の存在感確保を狙うロシアにとって、日本の存在は無視できない。しかし四島を実効支配
している立場から「領土交渉は動かなくても困らない」
(ロ側外交筋)。日本とは、経済を
中心に安定した関係が構築できれば十分というのが本音。国営放送ロシアの声は菅内閣へ
の不信任決議案の否決を受け「現在の日本の政党には、国民的支持を集め、かつ国民を団
結させることができる指導者は見当たらない」と論評。日本の政権の先行きを見越して、
ロ側がさらに攻勢を強める恐れもある。サハリン州ホロシャビン知事は6日、四島への物
資供給安定のため、国後島の港湾を管理する国営企業が新設されると述べた。インタファ
クス通信は4日、択捉島の漁業関連産業に、2015年までに50億㍔(約145億円)が投じられ
るとの同州の構想を報じた。一連の動きは、看板倒れとの批判も強いクリール経済社会発
展計画を推進する姿勢を示す狙いとみられる。ただ、領土問題棚上げと並行して四島の「ロ
シア化」が進めば、実効支配の固定化が進む懸念も否定できない。
「国後-根室航路も」
(D110615)
(要約)ビザなし交流でロ側訪問団に同行していたロシア・
日本市民ビザなし交流委員会のポノマリョフ委員長は、今後のビザなし交流をめぐり、国
後・古釜布と根室との航路開設の可能性に言及。これに対し、根室の領土返還運動関係者
からは、経済交流に期待する声とともに、主権問題が棚上げされることを警戒する声も上
がった。
北方領土の患者4人受入れ(D110624)
(要約)外務省は23日、北方四島住民支援事業の一環
として、国後島と択捉島の患者4人を6月24日から7月20まで道内に受け入れると発表した。
北方領土で原油ガス共同開発の提案(N110629)
国後島沖にある原油・天然ガスの共同開発を日本に提案。2月の日ロ外相会談で議論する
ことが決まった共同経済活動の具体策として示したもの。ロシア科学アカデミー極東支部
海洋地質学・地球物理研究所によると、埋蔵量は石油換算で推定3.5億㌧。日本経済新聞
の書面インタビューでロシア極東連邦管区イシャエフ大統領全権代表は、日本が応じなけ
れば、他国との共同開発もありうるとしている。Q:極東ロシアとの経済関係。A:日本と
の貿易額は前年より7割多い69億$(約5500億円)であった。管区全体の貿易額に占める
日本の割合は26.4%であった。しかし管区への日本の投資は2010年に8.09億$で前年の
1/3の水準だった。木材と資源分野が中心であり、満足していない。Q:共同経済活動。A:
クリール諸島はロシアの管轄下にあり、我々の領土だ。ロシアと協力したい日本の企業を
多く知っている。極東ロシアも日本と心から協力したい。もし日本の企業や投資が来なけ
れば、米国や中国、ブルネイやシンガポールなどが結局来ることになる。1カ月前韓国の
議員代表団も初めて訪問した。Q:アジア太平洋地域との経済統合。A:ここは、極東地域
の発展に必要な技術力と投資の大きな潜在力を持つ。メドベージェフ大統領からアジア太
平洋におけるロシアの戦略と50年までの極東社会発展予測を策定する作業部会を主催する
よう指示を受けた、12年のウラジオAPEC首脳会議で公表する。
Ⅶ.エネルギー・環境
露石油大手と英BP提携白紙(M110518)
(要約)BPとロスネフチが1月に合意していた資本業
務提携が17日白紙に戻された。提携の差し止めを求めたBPのロシア合弁企業側の主張が認
められたことから、3社が和解案を探していたが、16日の期限までに合意できなかったため。
日本へLNG供給 露「大幅追加可能」
(Y110622)
(要約)ガスプロムのA・アナニェンコフ副
社長は21日の記者会見で、日本へのLNG供給について、「震災から100日間で400万トンの追
加が可能だったし、300日間なら1200万トンを追加できる」と述べ、大幅な積み増しの用
31
意があることを表明した。プーチン首相が出した指示を受けたもので、1200万トンは日本
の年間輸入量の6分の1に相当する。ガスプロムは天然ガスの需要増をにらみ、
「サハリン3」
事業開始を前倒しする方針も明らかにした。最初となるキリンスキー鉱区での生産開始は、
当初予定の2014年から2年前倒しとなる。
ツイスター情報(110502)
S3は天然ガス埋蔵量1.4兆㎥と評価されているが、そのうち、キリンスキ鉱区では1兆㎥
あるという。ロシアは中国とガスの供給長期契約の話合いを行っているが、今年7月には
合意出来るものと期待されている。
2009年ガスプロムは最初のLNG工場を造り、太平洋地域向けに輸出を開始した。ガスプ
ロムはS3鉱区からの生産を今年開始する。2011年5月2日
★メタンハイドレートの開発実験開始(D1100628)
(要約)独立行政法人・産業技術総合研
究所は7月、同研究所内のMH研究センターで、次世代エネルギー資源として期待されてい
るメタンハイドレートの産出実験を本格化させる。大型実験装置でMHが含まれる砂の層の
状態を再現して効率的に取り出す方法を探り、2012年度に日本近海で行う産出試験に役立
てる。日高沖や十勝沖などにも、東部南海トラフ海域ヲ含め、日本近海全体で国内使用量
の100年以上あるとされている。
Ⅷ.原発関連記事
痛ましい記録:死者は今でも増えつづけている、行方不明者は半減したものの、まだ7000
超が未発見である。(警視庁まとめ)
4/2 死亡11,938, 行方不明15,78 5/22死亡15,170,行方不明8857
6/2 死亡15,310,行方不明8404 6/26死亡15,506,行方不明7297
「まちかど」原発事故、注視される対応(D110412)
(要約)
「チェルノブイリ原発事故への
対応」。ウクライナは、電力の半分近くを15基の原子炉に依存する。「原発防止を論議でき
るのは、金持ちの国だけ」とアザロフ首相。09年の1人当たりの国民総所得が2800㌦と、
日本の10分の1に満たない現状が、背景にある。
「危険な原発」止められぬ アルメニア 電力の45%依存 大地震多発地帯 化石燃料は
確保困難(Y110514)
(要約)アルメニアのメツァモール原発が国際的関心を集めている。
ソ連時代に運転を開始し30年を超えた原発は、過去に何度も大地震が起きた危険地帯に位
置する。「陸の孤島」のエネルギー事情から、止めたくても止められない状況だ。メツァ
モール原発は1980年完成。チェルノブイリ原発とは構造が違うが、格納容器がないのが弱
点。「世界で最も危険な原発」
(米紙)ともいわれている。
日本中古車から「放射能を検出」ウラジオストク(M110416)
(要約)ウラジオストクに船
で輸入された日本の中古車から通常を上回る放射線が相次いで検出されている。ロシア側
は「汚染車」を日本に送還することを検討している。今月4日からこれまでに乗用車やマ
イクロバスなど計49台から通常の2.3~6倍の放射線が確認された。ウラジオストクには日
本から中古車を運搬する船が毎日2,3隻入港しており、当局は監視態勢を強化している。
震災ニッポン 特派員の目 ロシア「タス通信」ゴロブニン東京支局長 冷静さ、協調性
に驚き(Y110416)
(要約)暴動が起きるどころか大声を出す人さえいない。世界が尊敬を
こめて日本の闘いを見守っている。一方、外国人の国外脱出を招いたのは情報不足が原因
だ。その後、原発事故に関する英語サイトが開設されるなど外国人向けの情報提供が改善
されたことでパニックは収まった。
32
BRICSが原発推進宣言(Y110416)
(要約)BRICS(新興5カ国、ブラジル、ロシア、インド、
中国、南アフリカ)は14日、首脳会議で採択した「三亜宣言」
(三亜:中国海南省)の中で、
今後とも原子力発電所の利用を推進していく方針を確認した。平和利用を目的とし、原子
力は引き続き、BRICSの将来のエネルギー構成の中で温暖化対策として重要な位置を
占めるとした。中国では2015年までに、発電量計4000万KW規模の原発建設を目標に掲げて
いる。
ロシアから支援のガス(Y110416)
(要約)ロシアが追加供給するLNGを運ぶ第1船が16日朝、
千葉県冨津市の東京電力冨津火力発電所LNG基地に到着した。専用運搬船「グランド・ア
バニ」。サハリンでLNG65000トンを積み込み、1週間かけて輸送した。
チェルノブイリ25年 今日から国際会議(M&Y110419&20)
(要約)キエフで19~22日に開
かれる。
リトアニア、隣国ロシアの原発計画に異議。「国際安全基準に違反」
(M110420)
(要約)キエ
フで19日開かれた原子力エネルギーの安全利用に関する首脳級会議で、リトアニアのクビ
リウス首相が、ベラルーシとロシアの飛び地カリーニングラード州の2か所で建設が計画
されている原子力発電所について安全上の懸念を表明した。いずれもリトアニアの国境寄
りに、ロシアの技術で建設されるもの。
★原発は廃止の方向で対処せよ(D110420)福島型原発6基(米国GE製:マークⅠ)は
欠陥ありと70年代に警告されていた。この型の原発は世界で20基ある。元GE技術者は。
その稼働停止を進言したが、GEの上司は「停止すれば、GEの原発事業は終わる」とし
て聞き入れなかったという。その後、小さな格納容器の欠陥を補完するため、容器内の圧
力を逃がすための「ベント」の取り付けなどの改良が施された。日本の事故は、地震地帯
に立地されていたこと、非常用電源が低地に設置されていたこと、「マークⅠ」に欠陥が
あったことなど複合要因が重なって起きたと元GE技師は語っている。「世界には今、あま
りにも多くの原発がある。これほどの原発をすべて制御できる力は、人間にはないだろう」
(元GE技師プライデンパウ氏)。
《社説》チェルノブイリ(D110422)
(要約)チェルノブイリの教訓は、残念ながら日本で
生かされなかった。直視しなければならないのは、影響が何十年も残るという原発事故の
深刻な事実だ。チェルノブイリの「石棺」は老朽化し、ひび割れを起こしている。このた
めさらに巨大シェルターで包み込む工事が来年始まる。膨大な資金が必要なため着工が遅
れていたが、支援国会合で各国の資金拠出が決まった。福島の事故によって、放射能汚染
への懸念が高まったためだ。福島についても今後、長期にわたって放射性物質を閉じ込め、
管理していく態勢が必要となろう。また、人々の健康被害を最小限とするよう、検診体制
や予防策に万全を期すべきだ。
原発職員の町、森に返る(D110422)
(要約)チェルノブイリから約4㌔北西にあり、原発職
員が暮らしていた町プリピャチ。原発事故で激しく汚染され、住民5万人全員が事故の翌日、
3時間で退去させられた。プリピャチは冷戦期、原子力という国家機密を扱う人々が暮ら
すため、立ち入りが規制されたいたといわれる。事故後は汚染を理由に立ち入り制限が続
き元住民すら容易に戻ることはできない。
ありがとうロシア 在露日本大使館 支援感謝の集い(M110421)
(要約)19日、モスクワ
の在露日本大使館で。在外公館で震災支援の対する大規模な感謝の集いを開くのは初めて
という。シュワロフ第1副首相らロシア政府要人も出席した。
追加支援645億円 チェルノブイリ シェルター新設(M110420)
(要約)国際会議が19日、
キエフであり、爆発した4号機を覆う新たなシェルター建設など安全対策費として参加国、
33
国際機関から計約5.5億€の追加資金拠出が表明された。ただ、ウクライナ政府が求めてい
た7.4億€には届かなかった。
チェルノブイリに660億円 米露、EUなど拠出「石棺」鋼鉄で覆う費用(Y110421)
(要約)
キエフで19日に開かれた国際会議で、チェルノブイリ原発からの放射性物質拡散を防ぐた
め米露やEUなどが総額5.5億ユーロの拠出を表明した。ウクライナ政府は石棺を高さ110メ
ートル、幅260メートル、重さ3万トンの鋼鉄ですっぽり囲み、少なくとも今後100年の安
全を確保するとしている。2012年にも着工し15年の完成を目指す。
★チェルノブイリ原発4号基の爆発事故(1986年4月26日発生)の事後処理のためにかかっ
た作業と、経費は次の通り(D110420):
放射能漏れを防ぐコンクリートの「石棺」。この老朽化対策としてこれをさらに覆う「鉄棺」
を2015年までに完成させる計画。そのための費用:建設費9.8億€ヲ含む15.4億€、さらに1
〜3号機の使用済み核燃料を貯蔵する施設に2.55億€が必要で資金あつめが続けられたが、
前者は6億€、後者は1.4億€が不足していた(合計不足額は7.4億€)。支援国会議では、E
U1.1億€、米国1.23億(約100億円)、仏4700万€、ロシア4500万€、合計3.25億€、で必要
額7.4億€に4.15億€不足している。上記の報道(総額5.5億€の拠出表明)と食い違いがある。
30㌔圏封鎖、13万人退去(D110423)
(要約)チェルノブイリ原発事故では、半径30㌔圏が
立ち入り制限区域となり、約13万5千人の住民が立ち退きを強いられた。事故後直ちに死
者が出るほど放射性物質の汚染が深刻だったため、ソ連政府は発生翌日86年4月27日、北
西4㌔にあるプリピャチの住民約5万人を3時間で退避させた。全体主義の機密漏えいなど
を恐れ、発生2日後の28日まで事故を認めていなかったため避難は極秘の作業だった。ソ
連政府は全域に「監視体制」を敷き、家畜はすべて殺処分に。汚染度が高い場所では、家々
の上から砂を掛けて村ごと埋めるなど強権を振るった。政府は放射性物質の拡散を抑える
ため、30㌔圏内の経済活動を原則禁じたが、高齢者を中心に「2千人が勝手に戻ってきた」。
汚染は、30㌔圏内をはるかに超えて広がり、ウクライナ、ベラルーシを中心とする広い範
囲に放射線量の高い「ホットスポット」が散在した。そのため事故後数年間で汚染度の高
い地域から移住した人は数十万人に上るとされる。30㌔圏内は今も常時居住は禁じられて
いるが、ウクライナのバロガ非常事態省は18日、一部は除染などを通じ安全になったとし
て、同区域を縮小、居住や経済活動を再開させることを検討していると明らかにした。
日産は5日間 ロシア工場休止(M110426)
(要約)日産自動車のロシア現地法人は25日、大
震災による部品不足のため、5月30日から6月3日までの5日間、サンクトペテルブルクの組
み立て工場での生産を休止すると発表した。
日本、旧ソ連より閉鎖的(D110426)
(要約)ロシアの代表的な核研究機関、クルチャトフ
研究所のベリホフ総裁は福島第一原発事故をめくり、「日本の対応はチェルノブイリの際
の旧ソ連政府より閉鎖的」と述べ、情報公開の遅れを批判した。同総裁は、チェルノブイ
リ原発事故処理の経験を持つロシアの核専門家が日本入りしたものの、事故処理の当局者
と接触できなかったと指摘。東電が企業防衛を優先していることも閉鎖性の背景にあると
の見方を示した。チェルノブイリ事故と同様の大惨事が日本の福島原発で3月11日に起き
た。広島・長崎では原爆で一度に数十万人が犠牲になった歴史の教訓を忘れられない。チ
ェルノブイリの事後処理には、軍隊や消防士が動員された。全国にアピールが発せられ、
多数のボランチアが駆け付けた。そして新聞はこうした勇気ある人々を称賛した。・・・
以下省略(By KM)
原発安全利用 ロシア提案概要▼事故迅速対応の責任厳格化▼地震地帯などでの新設基準
の厳格化▼情報公開基準の設定(M110427)
(要約)ロシア大統領府は26日、大統領が国際
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社会に対して呼びかけた原発の安全利用に関する提案の概要を明らかにした。同府は安全
利用に関する国際協定の締結や、IAEAにおける規則の追加を呼びかけている。ロスアトム
によると、ロシアは国内で10基、国外で7基の原発を建設中。国内のインフラ整備のため
に原発建設を進めるとともに、原発輸出を経済外交の柱に据えている。このため福島原発
事故の影響を受けて、国内外で反原発の機運が拡大する前に、安全利用の厳格化をアピー
ルする狙いがありそうだ。
ロ大統領、法的文書で原発安全強化(D110427)
(要約)メドベージェフ大統領は26日、5月
下旬に仏・ドービルでのG8首脳会議で、原発事故発生時の十分な対応を当事国に義務付け
ることなど、原発の安全性向上に関する具体的提案をする意向を明らかにした。1986年チ
ェルノブイリ原発事故発生から25年にあたって発表したメッセージで表明した。
原発安全強化、露が提案 G8などに 建設や情報公開要件で(Y110428)
(要約)メドベー
ジェフ大統領は26日、原発の国際的な安全基準強化策をG8メンバーや、中国やインドなど
で構成するBRICS、IAEAなどに提案した。5月にフランスで開かれるG8で議論の土台にした
い考えだ。提案は、自然災害の恐れがある場所に原発を建設する要件の厳格化、など6項目。
原発輸出に力を入れるロシアは、安全強化に関する国際ルール作りで主導権を握ることで、
輸出拡大につなげたい思惑もあるとみられる。
被災児童500人保養受入れ(D110507)
(要約)ロシア保健社会発展省オニシェンコ消費監視
局長は6日、
「東日本大震災で被災した児童500人が、6,7月にロシアで保養する」と述べた。
在ロ日本大使館は「検討中」としている。滞在先はロ極東沿海地方の保養施設「オケアン」。
しかし、ロシアでの保養を希望する児童がどの程度いるのかなど調査が必要で、実現性は
不透明とみられる。
領土 激論避ける 日露首脳会談 石油共同開発協議へ(M110528)
(要約)菅首相は27日、
メドベージェフ大統領と約50分間会談。両首脳は領土問題について「静かな環境下で協議
を継続する」との方針で一致。原発事故でのロシアの知見、経験を活かした専門家間の協
議や、ロシアの石油、天然ガス共同開発の中長期的な協力へ向けた協議を始めることを確
認した。菅首相は当面、ロシアからの震災復旧、復興支援で生まれた友好ムードを活用し
ながら、日露間の「静かな環境」整備を優先し、「大統領戦後をにらんで領土交渉の土壌
作り」
(外務省幹部)につなげたい考えだ。
原発 日露専門家協議へ 首脳一致 北方領、交渉継続を確認(Y110528)
(要約)両首脳
は、福島原発事故の終息を目指し、チェルノブイリ原発事故の知識などを持つロシアの原
子力専門家と日本の専門家の協議の場を設けることで一致。震災の被災地の青少年のロシ
ア訪問と、ロシア国民の日本の観光地への訪問を促進することで合意。ロシアの石油、天
然ガスの共同開発に向けた中長期的な協議を始めることも決めた。
(領土問題については)
両首脳は、静かな環境で協議を継続することを確認した。
露大統領、積極外交「強い指導者」アピール(Y110528)
(要約)メドベージェフ大統領はG8で、
原子力安全に関しても、自然災害の恐れがある地域での原発建設の要件厳格化などを事前
に提案するなど積極的な外交を展開した。下院選や大統領選を前に外交舞台で自らの「指
導者」像を打ち出すことも狙ったとみられる。27日の日露会談後の記者会見で、日本との
領土問題について「努力すれば解決できる」とする一方、「国益に基づいて考える必要が
ある。露日が良き友人であり続けるよう願う」と述べ、譲歩しない姿勢を強調した
リトアニア原発日立GEが応札(D110602)
(要約)日立製作所は1日、米ゼネラル・エレクト
リックとの合弁会社日立GEニュークリア・エナジーがリトアニア政府による原子力発電所
の建設計画に応札したことを明らかにした。東京電力の福島第一原発事故後、日本メーカ
35
ーが世界の原発建設に応札するのは初のケースだという。原発一基の新設で事業規模は約
4千億円を想定。今年夏頃に落札企業が選定される。
3.11後のロシア原発事情(N1100621)メドベージェフ大統領は「人類が近い将来原発の利
用を止めることはあり得ない。求められるのは安全強化だ」と述べ、原子力機関(IAEA)
の権限強化など6項目の安全基準策を提案した。
ロシアは6月9日に「世界環境会議」
(ニジニノブゴロド)を開催した。ロシアは現在32基の
原発が稼働、10基の新設計画を持つ。ロシアにとって原油・ガスに次ぐ輸出の目玉なのだ。
ベラルーシに対し、原発建設資金として60億$(約4800億円)の融資を付けて、建設合意
を取り付けた(3/15日、プーチンのミンスク訪問)。さらに現在ブルガリア、トルコ、印
度などと原発輸出交渉を進めている。ロシアは2015年までに海外で30基超の原発新設を計
画し、世界シェアの20%を狙う。
セールスポイントは2つ。日本・欧米の原発建設コストの5~7割安いこと、「パッケージ戦
略」として、武器供与やエネルギー開発支援などを組み合わせて売り込んでいる。実行部
隊となる「ロスアトム」社は、国内外でウランの権益獲得を急ぎ「原料となるウラン生産
から、原発の建設・運営まで手掛ける垂直一貫体制が強み」としている。
Ⅸ.北東アジア・中国・その他
★中国関連ニュースは巻頭部分に収録した。
金総書記、胡金涛主席と会談、経済協力と核などを協議(D110526)5/20日に中国に入っ
た金総書記は、吉林省などでハイテク企業などを視察した。金総書記は25日、北京入りし、
人民大講堂で約4時間にわたり胡金涛国家主席ら中国側指導部と会談後、歓迎宴に臨んだ。
経済協力では、中国の北東振興策と連動した開発構想の具体化につながる進展があったか
注目される。国境に工業団地
中朝協力が始動(A110609)鴨緑江に浮かぶ北朝鮮領の黄金坪島(ファングムピョン)と
威化島(ウィファド)の開発権を中国が取得し、工業団地などを建設する中朝経済協力事
業の着工式が6/8日、黄金坪島で開催された。この事業をきっかっけに国境地帯での中朝
協力事業が本格的に動き出す。5月下旬の金正日総書記の訪中時に合意があったようだ。
北朝鮮は、「強盛大国の大門を開く」とした来年に向け、中国資本を利用して、経済を立
て直す姿勢を鮮明にし
た。黄金坪島は面積約
11平方キロ。関係筋に
よると、中国が数億$
で50年間の開発権を得
て、北朝鮮の安い労働
力を活用した、IT関連
企業や食品、服飾など
の加工工場を集めた工
業団地を造成する。こ
こを保税区として、中
国人のビザを免除す
る。 中 国 起 用 約300社
を目標に誘致する。
36
編集後記
★この号では、中国経済の諸問題を多角的に取り上げた。
論説では、「東北振興政策」とそれに関連する「図們江(トマンコウ)地域開発計画」
の概要を紹介しているが、この両者の開発が連携し相乗効果を出すようになると、ロシ
ア極東の開発や、環日本海の物流が活性化される効果を期待できる。計画の復活を一時
的なものにしない努力が必要だ。最近、北朝鮮の経済支援を中国が「経済特区」の創出
で取り組む姿勢を見せているだけでなく、北朝鮮の無煙炭の輸入量を飛躍的に増やして
いる.中朝間の貿易統計によると、無煙炭の4月対中輸出は約115万㌧(1.1億$=約88億
円)で昨年同期の約8倍。対中貿易は全体の57%を占める。ロシアとの関係も深めている。
5/17日、対外情報局のフラトコフ長官が平壌で金総書記と会談し、鉄道建設やエネル
ギー問題を協議した。今後、穀物5万㌧の食糧支援を行う見通し。(Y110603)
★北方領土問題では、ロシア側が、国後沖の油田開発を共同でやろう、というメーッセー
ジを送っていた。日本政府は。日本の主権を侵さない形で受け入れる、という態度だが、
おそらくこれはロシア側が受け入れないであろう。共同開発のパートナーは、日本以外
に米国、中国、ブルネイやシンガポールなど、いくらでもいるのだから、最も近い油田
からの石油買い付けという、日本にとって絶好の機会をミスすることになる。根室では
「『ビザなし特区』を創設し4島と積極的に経済交流をすべきだ」。と長谷川俊輔根室市
長(66)は強調する。「特区」指定で、両国の主権を損なわず4島を実質的に根室と同じ
経済圏に囲い込み、ビザなしを経済協力の分野にもひろげられないかー。貝殻島コンブ
漁や4島周辺水域の安全操業など漁業分野でロシア側と協力関係を築いたように。
★北極圏LNG開発加速(A110523)
(要約)ノルウェーのエネルギー大手スタトオイルが操業
しているのは、ノルウェー最北部の漁港ハンメルフェスト沿岸、メルケア島だ。殆ど無
人のこの島に、炎を上げる煙突やガスタンク、冷却施設が立ち並ぶ。この島から約140
キロ、バレンツ海にガス田スノビットがある。「真冬の2カ月余りは暗い極夜。気温は零
下20度以下。潜水して船に上がると、瞬間に体がいてついて呼吸も難しい」という極地
である。海上にはプラットホームはない。水深約350米の海底ガス井に採掘装置を据え、
パイプラインで島にガスを送る。2007年に稼働開始。2010年の生産量は50億m3と前年
比約2割増加した。
日本企業も一角を担う。川崎汽船はLNGを米国やスペインにピストン輸送。特殊なタン
カーは三井造船が開発した。ノルウェー側は、採掘を近隣のガス田に広げる。輸入実績
がある東京ガスは新たなLNG輸入基地を、予定を2年前倒しして、2015年度に茨城県日立
市に作り稼働させる。ノルウェー政府は日本市場を視野に入れる。「北極航路が立ち上
がれば、アジアも近くなり、日本などとの経済関係がさらに強まる」という。北極海ル
ートなら、横浜―オランダ・ロッテルダム間が、スエズ運河経由より約4割近くなる。
公開実験はすでに始まっている。昨年以降、鉄鉱石や軽油を中国などに運航する成功例
が相次いだ。氷面積は70年代と比較して3割近く減少した。2100年にはバレンツ海の氷
がなくなるとの予測もある。世界で発見されていないガスの内約3割は北極圏に眠って
いるという。ロシアはノルウェーに近い大型ガス田のシュトックマン、ルサフなどの開
発を計画している。地球温暖化は困った問題だが、そうなる事が避けられないのなら、
それに適応した準備が必要だ。北極海ガス田の距離的メリットを最もよく利用できるの
は、北海道の港湾である。
★言論規制を強める中国(A110605)
(要約)天安門事件から6月4日で22周年になる。劉暁
波(リウシアオポー)氏のノーベル平和賞受賞や、中東の民主化の動きを受けた「中国
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ジャスミン改革」の呼びかけを経て、胡金涛(フーチンタオ)政権は言論への規制をさ
らに務めており、人権状況は「事件以来最悪」との声もある。都市開発に伴う強制立ち
退きで家を失ったので、補償を求めて上海から北京にやってきた陳情者300人は、全員
連行され、上海(居住地)に、何の根拠もなく強制的に送り返されたという事例がある。
最近では民主活動家や人権派弁護士が相次いで拘束されている。
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