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REGULATORY SCIENCE 特集 特集 レギュラトリーサイエンス レドックスナビ研究拠点における レギュラトリーサイエンス 拠点長 の研究成果を実用化するため、これまで行っ Researchに主眼を置き要素技術開発研究を進め 指摘されるようになってきました。 てきた本拠点の取り組みを述べたいと思い てきました。絞り込み審査ではTranslational そこで、本拠点では、生活習慣病や癌、神経 ます。 Researchにターゲットを置き、臨床応用を 疾患などレドックスに関連する疾患の分析、 目指して研究を進め5年を迎えました。今後 早期診断、治療、創薬を一貫して推進するた は、出口を見据えた研究を推進することとし め、日本電子株式会社、株式会社島津製作所、 て お り、そ の た め に もRegulatory Science 田辺三菱製薬株式会社、大鵬薬品工業株式会 図2は医薬品開発の基礎段階から治験・申 は不可欠の科学です。この科学を実践するた 社、及びHOYA株式会社の5社と協働し、研究 請・上市・市販後対策までの流れと、研究・開 めには Regulatory Research こそが重要で を開始しました。本拠点は、総長直轄の組織 発の問題点を整理したものです。第一段階と あり、 「3R(Basic Research, Translational として、新施設を九州大学病院キャンパス内 し て、基 礎 研 究(Basic Research)で 対 象 疾 Research, Regulatory research)の勧め」を ウエストウイング棟5階(約1,000㎡)に設置 患の選択、シーズ探索、最適化が行われ品質・ 推進しています。 されました。また、九州大学病院、並びに医学 医薬品・医療機器開発の状況 内海 英雄 安定性などの評価を経て、実験動物を用いた 非臨床試験で毒性、薬理、動態が調べられま 部臨床研究棟と回廊を隔てて繋がっており、 本拠点の基礎研究(Basic Research) す。第二段階の治験ではヒトでの有効性と安 医療分野に関する基礎研究から臨床研究ま で一貫して進められる環境が整っています。 九州大学先端融合医療レドックスナビ 全性に関する評価を行い、承認審査の段階を 生物はタンパク質や脂質などの合成やエネ さらに、基礎研究の成果を実用化・産業化に 研究拠点の概要 経て市販されます。市販後は治験で認められ ルギーの産生を行うことで、その生命を維持 向けた知的財産権取得のため、すべての協働 なかった副作用の発現に対し市販後調査が し、子孫を残しています。これらの生命活動 機関が同意でき、実用化に向けて実施しやす 国民に安心で安全な医療を確保するには、 され安全性の向上が図られています。 を支える化学反応の反応過程で電子の授受が い知的財産の取扱い方法を、九州大学及び全 より有効で安全な医薬品・医療機器の開発は 候補化合物が医薬品になる確率は25,482 行われます。たとえば、白血球により、外部か ての協働機関の知財担当者から構成される 極めて重要な課題です。我が国では、第4期 分の一とされており、各段階間の厳しい状況 ら体内に侵入した細菌・ウイルスなど異物の 知的財産委員会で協議し整備してきました。 科学技術基本計画でのライフイノベーショ をそれぞれ「魔の川」、 「死の谷」、 「ダーヴィン 排除を行う際も、活性酸素・フリーラジカル 当初3年間の絞り込みのための期間(H19 ンや医療イノベーション等の施策において、 の海」と象徴的に呼ばれており、この難関を が産生され、同様の反応が起こります。この ∼21年度)においては、主に診断装置あるい この分野の産業は日本経済の牽引役として 克服する研究が注視されるようになり、魔の 電子の授受が、 レドックス反応 「レダクション は分析装置の要素技術開発、病態メカニズム 位置づけられており、その振興は最重要視さ 川に対してTranslational research(橋渡し (還元)とオキシデイション(酸化) 」と言われ 解明、治療シーズ探索を行ってきました。拠 れています。医薬品、医療機器の開発に向け 研究)が推進されてきました。最近では、死の るものです。しかしながら、私たち生命体の 点に所属する研究者のバックグラウンドは、 医、薬、歯、工、農、理学等の多くの学部におい 谷を対象にRegulatory Scienceの重要性が 恒常性維持に様々なレドックス反応が重要な 医学・薬学・農学・工学と様々ですが、 「電子 提唱されています。先端融合医療レドックス 役割を果たす一方で、 その破綻によって、 生活 スピンサイエンス」を共通のキーワードとし ナ ビ 研 究 拠 点 で は 当 初 の3年 間 はBasic 習慣病や心疾患等を引き起こす可能性が強く 研究を推進してきました。また、個別の研究 て研究や教育が行われていますが、きわめて 広い学術分野が関与しており、これらの科学 2 レギュラトリーサイエンス 図1 先端融合医療レドックスナビ研究拠点の10年後の目標とマイルストーン を適切に発展させ、得られた成果を社会に提 だけでなく、同じフロアーで研究を進めるこ 供するためには、従来の学部の枠を超えた融 とで自然に異分野が融合し、グループ間を横 合研究・教育が強く求められています。さら ビ研究拠点」構想を立ち上げ、平成18年に科 て採択され、現在に至っております。本プロ に、実用化や製品化のプロセスにおいて産業 学技術振興調整費「先端融合領域イノベー グラムの目的は、長期的な観点からイノベー 界の協働が不可欠であり、協働研究を強力に ション創出拠点の形成」プログラムに応募し、 ションの創出のために特に重要と考えられ 産と学が一体となったTranslational 推進するシステムが大学並びに企業に求め フィージビリティースタディーを経て、19 る先端的な融合領域において、産学官の協働 Researchの推進 られています。学部を越えた融合研究と産学 年より病院地区キャンパスに拠点研究棟を により、次世代を担う研究者・技術者の育成 の協働研究が適切かつ機動的に機能するこ 開設し医薬農工学部を母胎とした融合研究 を図りつつ、将来的な実用化を見据えた基礎 基礎研究段階だけでは、医薬品・医療機器 とではじめて最先端医療技術が医療現場で を5企業と協働研究する体制で、システム構 的段階からの研究開発を行う拠点を形成す の実用化にはつながらず、必ず臨床適応に向 利用可能となり、国民も先端医療を享受する 築と融合研究、若手人材育成を開始しました。 ることです。先端融合医療レドックスナビ研 けた段階が必要となります。その第一段階目 ことが出来ます。これらを背景にして医療の 本プログラムは当初から10年間継続して事 究拠点では、学(医学・薬学・農学・工学)の英 が、大学など研究機関が生み出すライフサイ みならず先端科学全体を対象として、文部科 業を進めることとなっており、本拠点におい 知と医療・製薬・分析機器の各工業界の創造 エンス研究の成果を、医薬・医療技術の臨床 学省は科学技術振興調整費「先端融合領域イ ても図1に示すようなマイルストーンを立て、 力を結集し、レドックスに関する疾患の分析、 研究につなげる「橋渡し段階」です。しかしな ノベーション創出拠点の形成」プログラムを 最終的には国民に安心できる医療を提供す 早期診断、治療、創薬に関する研究を一貫し がら、 「魔の川」に例えられるように、このプ 平成18年にスタートしました。 ることを目標としております。そして、平成 て推進しております。このプログラムは10 九州大学では「先端融合医療レドックスナ 21年度の絞り込み審査にて、継続課題とし 年間に亘るもので、図1に示すようにこれら 断した様々な融合研究を行ってきました。 図2 基礎研究から市販後を通した医薬品・医療機器開発プロセス ロセスが円滑に進まないことが問題点とし て挙げられています。 3 REGULATORY SCIENCE REGULATORY SCIENCE 特集 レギュラトリーサイエンス レギュラトリーサイエンス インタビュー 本拠点では、平成21年度の絞り込み審査 発を通して要素技術の確立を行ってきまし となります。私たちの拠点は、本年度で5年 を機会に研究室を6階まで拡張し約2,000㎡ た。さらに、これらの技術を発展させ、OMRI 目となり、これまで得られた基礎研究、臨床 としました。また、図3に示すように、これま 装置を臨床的に用いられる他の技術(内視鏡 開発研究の成果を実用化につなげる段階に での5企業に加え、より出口を見据えた研究 術)と組み合わせる等、臨床応用につながり なりつつあります。これからの段階では、レ への発展と、研究成果を臨床の場や国民へ速 うる新しいOMRI装置へむけて技術開発を進 ギュラトリーサイエンスの観点が重要であ やかに還元するネットワーク構築のため、富 めております。 ると考えております。 士電機株式会社、日油株式会社、九州電力株 基礎研究段階では、レドックスナビ研究拠 レギュラトリーサイエンスとは、 「科学技 レギュラトリーサイエンスは、医薬品・医療機器の安全性対策における評価科学として考えられていますが、基礎医学研究の応用による社会 式会社に協働機関として加わっていただき 点という「家」に、様々な学部や分野が同居す 術の成果を人と社会に役立てることを目的 への成果還元という観点を満たすことが重要です。大学、特に産学官連携プロジェクトにおける基礎研究においては、その出口(実用化)を明確 ました。また、本拠点で得られる機器や医薬 ることで、基礎研究や融合研究の進展が遂げ に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行 にし、出口を見据えた開発を可能とするために、レギュラトリーサイエンスの観点に立って研究を推進することが不可欠です。 品をより早く適切に臨床へ展開させるため、 られてきました。平成22年度からは、 「若手 い、科学技術の成果を人と社会との調和の上 我々は、自分自身の分野の基礎研究に邁進しつつも、研究開発の全貌に関与することで大学の研究がどのように社会で利用されていくかを学 外部の企業や治験センター等の機関との連 育成事業」として、学内研究者・大学院生(博 で最も望ましい姿に調整するための科学」で び、今後の研究の方向性に反映させることが大切です。今回、レギュラトリーサイエンスについて理解を深めるために、この分野におけるエキス 携を可能とする体制として「先端融合医療創 士後期課程)から研究テーマの募集を開始し、 あり、その重要性は日本だけでなく欧米等に 成センター」を設立しました。これにより、例 レドックスナビゲーションに関する基礎研 えば、九州大学にて採択された橋渡し研究支 究レベルの底上げと若手研究者のグループ 援推進プログラム「高度先端医療センター」 横断型融合研究の支援を行っております。さ 「科学技術を人間と社会に最適化させるため と連携し、早期に臨床研究を進められるよう らに、 「産」 と 「学」 が一体となりTranslational の科学」 「正しい根拠による正確な予測・判断 学・工学の4つの学部と8社の協働機関とで、 90年代頭まで、 もっと言えば、 80年代までは、 体制を整えております。 Researchを推進し、研究成果の国民への還 を行うための科学」といった視点が強くなっ レドックス関連疾患の早期診断・治療法の確 低分子化合物を作っていればよかったのです 上記の体制を基盤として、これまで得られ 元を目指しております。 ており、これら全てを総合しますと「合意科 立、治療薬の開発を指向した先端融合医療領 が、ところが今は剤形として、タンパク・ペプ 学」となります。ベネフィット・リスク・コス 域を創生すべく研究を進めています。その研 チド抗体、 アミノ酸そのもの、 糖鎖、 核酸、 遺伝 トなど全ての面から現在得られる科学情報 究成果の実用化に向けて、レギュラトリーサ 子、色々なものが剤形としてできるようにな をもとに国民の合意を得て最先端医療技術 イエンスの推進が重要と考えています。 りました。そうなると、低分子とは違った形 てきた研究成果について、医薬品や医療機器 開発の実績のある協働機関と「産・学連携」あ 実用化に向けたRegulatory Research るいは「産・学・産連携」の研究を展開するこ おいても注目されています。元々は規制的 京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学分野 川上 浩司 教授 パートである京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野、川上浩司教授に「大学におけるレギュラトリーサイエンス」について、お話をお聞きしま した。インタビューは、井口副拠点長が担当いたしました。 な意味合いの強い概念でしたが、近年では、 井口先生 私たちの拠点では、医学・薬学・農 薬、タンパク薬ができるようになりました。 とで、基礎研究を開発段階へと進めておりま 医療現場における医薬品・医療機器の使用 を活用することが求められます。科学の発 レギュラトリーサイエンスというのは、定 の作法、 つまり安全性、 有効性に関する評価法 す。例えば、レドックス画像解析装置の開発 は、規制要件を満たした治験、臨床研究等を 展 に は 研 究 が 不 可 欠 で あ り、Regulatory 義が色々あると思いますが、先生が考えられ を作らなければならなくなりました。 で は、小 動 物 測 定 用Overhauser enhanced 経てヒトでの有効性・安全性を検証し、審査 Scienceを推進するにはそれに向け必要な ているレギュラトリーサイエンスの概念から、 2つ目は、ヒューマンゲノムプロジェクト MRI(OMRI:造影剤ラジカルを介して生体レ 当局による審査を経て、薬事法に基づく製造 研 究、即 ちRegulatory Researchを 着 実 に ドックス動態を高感度に検出する手法)の開 販売承認を得ることによってはじめて可能 行う必要があります。 京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学分野 川上 浩司 教授 これまで、 本拠点では、 臨床応用の最終段階 医学博士、医師。2006年より、京都大学大学院医学研究 の審査に携わる行政機関 「官」 の方々の視点が 重要と考え、先端融合医療レドックスナビ研 究拠点では、医薬品や医療機器の審査につい ての理解を深めることを目的として、これま でPMDA (独立行政法人 医薬品医療機器総合 機構) の方を講師としシンポジウムを開催し て き ま し た。こ れ ら を 通 じ てRegulatory Scienceに求められるRegulatory Research 図3 4 特集 先端融合医療レドックスナビ研究拠点 体制図 科 薬剤疫学分野 教授、慶應義塾大学医学部 客員教授。 前職は東京大学大学院医学系研究科 先端臨床医学開発 講座 客員助教授、シンガポール国立大学薬学部 Adjunct Associate Professor。1999∼2004年、米 国 連 邦 政 府 食 品 医 薬 品 庁(FDA;Food and Drug Administration)生 物 製 剤 評 価 研 究 セ ン タ ー(CBER;Center for Biologics Evaluation & Research)においてポストドクター研究 員、細胞遺伝子治療部臨床試験(IND)審査官、研究官を歴 任。細胞・遺伝子治療、癌ワクチンに関する臨床試験の審 査業務および行政指導に従事した。2001年、横浜市立大 学大学院医学研究科頭頸部外科学卒。1997年、筑波大学 医学専門学群卒。1972年生まれ。神奈川県横浜市出身。 少しお話を聞かせていただきたいと思います。 です。これによって、人間の2万強個の遺伝 子の地図が分かってしまった。地図が分かっ 川上先生 概念というと難しいのですが、簡 て、尚且つ、そこに至るためのコンパスとし 単 に は 評 価 の 科 学 で す。評 価 と い う の は、 ての分子生物学ができてしまったので、分子 色々な段階があり、一番高いレベルからは政 標的薬や多様な剤形を持つ医薬品が開発さ 策、その次は、政策や政治の法整備の解釈と れるようになりました。 しての行政。そして、規制の中の枠組みの中 これが、規制側にしても、開発側にとって に法律があって、更にガイドライン、通知と もトピックとなり、レギュラトリーサイエン いうものがあります。ガイドライン、通知は スが取り上げられるようになったきっかけ 本来的には、当該領域における当局の考え方 だと思います。 を示すものを言います。レギュラトリーサイ を探ると共に、 今後も、 強力に推進していきた エンスがどこに位置するのかというと、 全部に 井口先生 そういった中で、欧米でのレギュ いと思っております。 なります。大事なことは、 科学をベースにしな ラトリーサイエンスというのは、どういった 先端融合レドックスナビ研究拠点では、 「産・ ければいけないということです。そもそも政 特徴がありますか。 学・官の連携」による Basic、Translational、 策は科学に基づくべきだと僕は思っています。 Regulatory Researchの3つ のResearchを 海外で、特にアメリカでレギュラトリーサ 川上先生 2011年度のアメリカFDAのレ 通して、その成果の国民への還元を目指して イエンスが取り上げられ始めたのは、 20世紀 ギュラトリーサイエンスの重要な研究領域、 研究を推進したいと考えております。今後と 終わりくらいからです。その理由の1つは、 モ 関 連 予 算 は4つ あ り ま す。1つ 目 がBio も関係の皆様方のご指導とご支援を賜りま レキュラーバイオロジーが出てきたこと。分 imaging、2つ目がBiomarkerです。これらは、 すよう、よろしくお願い申し上げます。 子生物学の進歩によって、 分子標的薬、 遺伝子 開発・発見だけではなく、Validation Study 5 REGULATORY SCIENCE 特集 も含めたものです。3つ目が統計学です。臨 生は、疫学epidemiology、統計学statistics、行 井口先生 日本における、医療機器の開発、 川上先生 大学の先生は、世間を知らないこ 床試験のデザイン、医療機器の臨床試験、何 動学behaviology、環境衛生学environmental 医薬品の開発についてどのように思われま と。それが強みになることもありますけどね。 仮説を立て、その仮説を検証する でやれば承認されるかは統計学ですから、こ medecine、倫理学ethicsの5領域から形成さ すか。 国立大学は社会貢献をしなければいけない。 過程ですが、それには御作法がい ういった学問の振興が重要と考えられてい れますが、この5領域を学んで初めて、行政的 ます。4つ目は、薬剤疫学です。Bio imaging な観点や臨床試験が分かるようになってき やBiomarkerにおけるバリデーション・スタ ます。日本の大学においても、こういった分 ディも疫学分野と関連があります。 この4領域がレギュラトリーサイエンスの重 くつかあります。色々な研究を 川 上 先 生 日本の薬事行政は、何を一番の れだけではありません。 一通り知るということは、大変強 ミッションにしているかというと、 安全を守る 2002年に、国立大学は法人化しましたね。 力なツールを持つことであって、 野の発展および若手育成が重要と考えてい ことです。もう一つ重要な点は、 医学や薬学の 法人化することによって、 1つ追加された事項 世の中にある医学、医療、あるい ます。 研究は、 日々進歩しているということです。研 が、 社会貢献です。だから本当は社会貢献しな は社会学的な何らかの問題を解 究する時に何が起こるかというと、 何かを発見 いといけないのです。研究したものを最適化 決するために、あらゆることを提 案することができるようになります。 というのは何かというと、 ご存じのように、 診 井 口 先 生 Preemptive medicineみ た い な するわけです。発見したものがたまたま、 人類 するためにベンチャーを作ったり、 知っている 断の時のBiomarker、 臨床における治療効果を ものが、やはり日本でも今後必要だし、発展 のためになる、 薬になるという時に、 それを放 ことをきちんと発信しないといけない。これ 視るためのBiomarkerというのがありますが、 していくだろうということですね。 置して、 ただ論文を書くだけということではな はミッションだと思います。僕らの責任です。 多分これからのBiomarkerは、 先制医療的な考 く、 人類に還元するための努力をしなければな 向かって(左)井口登與志 副拠点長、 (右)川上 浩司 教授 何 を や っ て い る か、あ ま り 分 か り ま せ ん。 我々の研究室は色々な人がいるので、医者も 井口先生 私たちの拠点も医薬農工のアカデ いれば臨床薬剤師もいて、色々なアイデアが ミアから様々な分野の企業の方との協働研究、 出るのです。アイデアは自分一人でいても生 川上先生 はい。発展します。医学が人類に りません。 「先端研究の人類への還元」 という 井口先生 私たちの拠点も、 「レドックス」を 融合研究を行っているわけですが、先生の研 まれないのです。やっぱりリフレッシュして ますよね、 これは、2つの領域を持っています。 なせることというのは、病気になった人を救 ことが、 薬事行政のミッションであるべきなの 共通のキーワードとして、装置開発、医薬品 究室も、 様々な分野の方で構成されていて、 企 いるときや休憩のときが良いみたいですね。 1つ目が、診断、予測医療、もう1つの領域が うことだけではありません。そもそも、病気 です。なぜならば、 薬事行政は、 そもそも基礎 候補物質の探索、情報に関するネットワーク 業から来られている方も多いですよね。 Preemptive medicine (先制医療) という領域で にならないということですね。病気にならな 研究の成果、 研究の成果物というものを社会に 形成等様々な分野の研究を進めています。 す。Biomarker Studyを 行 っ た 結 果、病 気 に いということに関して、どういうインパクト 還元するためのフィルターなのです。だから 先 生 の 研 究 室 は、実 験 室 で の 基 礎 研 究 川上先生 実験系には、基礎研究をしている や医療機器開発においても、基礎的研究を なっていないけれども、 何かmarkerがあって、 をもたらすかということです。もし予防的な 審査しているのです。医薬品は完全な特許ビ (ウェット研究)と社会学的研究・疫学研究 うちに、安全性の評価に興味を持つとか、臨 やっている人たちが多いですよね。レドック (ドライ研究)で構成されていますが、そのこ 床試験に将来行った場合のプロトコル作り スナビ研究拠点においても「若手育成事業」 に興味を持つということで、疫学研究の方の という制度を導入して多分野の若手研究者 ラボミーティングにも出席するようになる が、融合出来るような体制作りを行っていま 研究員もいます。現在、抗体医薬の適正使用 す。そういった中で薬剤疫学やレギュラト 井口先生 つまり、規制や安全性の評価だけ していて、それから行政にも携わりました。 に関するデータベース、プロトコルを作って リーサイエンス等、そういう認識を持てるよ え方になります。予防医学という言葉があり そこに介入できるとすれば、 そこで薬が投薬で 薬がジェネリックのように安くなってきたら、 ジネスですが、 審査というハードルがあります。 き る こ と に な り ま す。そ う い っ た 分 野 の リスク・ベネフィットもありますが、 これを使 ここを、 きちんとしなければならないというこ Biomarkerが、 これから社会福祉上、 あるいは う方が、 医療経済的にも負担が少ないです。こ とが1つのポイントです。 人類の健康の維持の上で、 大変重要になってき のような考えが非常に重要なのです。 ます。あと、 相対的には医療費削減になります とについてお聞かせください。 川上先生 僕は、もともと基礎研究をずっと 井口先生 今の大学では、色々な医薬品開発 から。FDAはそこまで考えてレギュラトリー 井口先生 私たちが研究対象としている「レ でなく、育てるという部分も行政の重要な役 つまり、両方について土地勘があるのです。 います。実験系も疫学系も経験した人材を育 うになると、今まで、基礎研究だけの形で検 サイエンスの中におけるBiomarkerと言って ドックス変動」は、様々な疾患の原因となる 割ということですね。 論文も、両方の分野で書いています。両方の てることが出来ます。 証していたことが、疫学や社会的見地で検証 います。 と言われています。レドックス疾患に関する アクティビティを大事にしたいと思ってい ドライ研究から入って、 実験系をやりたがる ができるようになるという意味で、真に社会 NIH(National Institutes of Health)に は 診断・治療が可能になれば、予防的な効果が ます。僕は、FDAの生物学的製剤評価研究セ という人はあまりいません。私の研究室で、 ド に貢献出来る医薬品開発や医療機器開発が 27個ぐらいのセンターがあって、そのうち 大きいと考えています。 の 中 規 模 く ら い の 大 き さ で、老 人 研 究 所 一般的にも、薬の有効性だけでなく、医療 井口先生 そういう意味でPMDAが薬事戦 そ こ で は、Research Reviewer Modelと い 経験があります。社会に出て実際に自分の業 (NIA)が あ り ま す。NIAはFDAと 協 力 し て、 経済的にも有効であることを考慮していか 略相談を始めているということは、前向きの うものを標榜していて、50%のeffortで研究 務あるいは、医療、臨床上のリサーチクエス 川上先生 そういうことです。ありがとうご 良い方向に向かっているかもしれないです をやりながら、50%で行政官としての審査 チョンを持っているので、 それを解決するため ざいます。さらに、医薬品、医療機器開発だけ ね。では、次に日本の大学の研究者の問題点 業務をしていました。なぜならば、Cutting の研究をしたい、 あるいは手法を求めて我々の ではなく、社会における自分の役割を見るよ というのは、どうですか。 Edge Scienceを審査するためには、自分も ところにやってきます。皆さん、 自分の持って うになると僕は思います。 先ほどの3つ目にあった統計学をベースにし なければいけないということですね。 た臨床試験のデザインも研究しています。行 6 研究とは、自分の課題に対して 国立大学では、教育も重要な任務ですが、そ 点領域だとFDAは言っています。Biomarker レギュラトリーサイエンス 川上先生 そうですね。その通りです。 ンター(CBER)に所属していたことがあり、 ライ研究に携わっている人は半分以上、 社会人 できるようになるということですね。 うのは、完全な数学者、統計学者です。4つ目 川上先生 そのとおりです。そういったこと の薬剤疫学は、一応私の専門分野となってい をHealth Technology Assessment (HTA) と言 ある程度、先進的な基礎研究に携わらないと、 いる問題を解決するために研究をします。 ます。薬剤疫学といえば、昔は薬剤の適正使 い ま す。HTA分 野 の1つ が、Evidence-based 騙されるというか、データのトリックを見破 また、ドライ研究の半分は、企業の方です。 井口先生 あっという間に、時間がたってし 用だけでしたが、今では様々な領域で、副作 medicineで、 もう一つが費用対効果です。比較 ることができない、そういった観点です。そ それはすごくいいことだと思います。色々な 用だけでなく様々なデータを解析していま 効用分析、Comparative Effective Researchと のような、FDAでも特殊なCBERで育てられ 意味のインキュベーションになっています。 リーサイエンス、薬事行政の重要性、さらに す。例えば、この薬は糖尿病の薬だけれども、 言います。医療だけを比較しても、寿命や健康 てきたので、両方のアクティビティを維持し 大学でも企業にいてもそうですが、ずっと同 は大学における人材育成まで、幅広いお話を 実はリウマチに効いているじゃないか、患者 度というのは測れないので、本当は食事や生 ようと思っています。 じ文化でやるわけですよね。そもそも他社が ありがとうございました。 さんがよくなっているじゃないか等です。今 活スタイルでも勘案すべきです。そういう交 後は、規制や行政の観点やセンスも必要に 絡因子をちゃんと調整して、統計学的に処理 今回のインタビューにより、 真に社会に貢献できる医薬品や医療機器開発を達成するためには、 今後も基礎研究とともにレギュラトリーサイエ なってくる領域です。 して初めて、健康を計測するべきだと僕は ンスに関する知識を深め、 それを基盤として協働企業の方と連携して 「出口を見据えた研究」 を行っていくことの重要性を再認識することが出来 また、公衆衛生も重要な分野です。公衆衛 思っています。 ました。川上教授には、ご多忙中にもかかわらず、貴重なお時間とご意見を頂戴することができ、深謝いたします。 まいました。川上先生、本日は、レギュラト 文責:大和真由実 7 KY KYUS USH HUU UNI UNIVE VERSIT RSITY Y Innovation Innovation Center Center for for Medical Medical Redox Redox Navigation Navigation VOL.7 N EWS L ETTER VOL.7 研究紹介 ー 協働企業の視点から ー ■ 生 体レドックス画 像 解 析グル ープ K KYYU USSH HU UU UN NIIVE VERS RSIIT TYY Innovation Center for Medical Redox Navigation 生体レドックスイメージングシステムの開発 研究紹介 ー 研究紹介 ー 協働企業の視点から 協働企業の視点から ー ー 日本電子株式会社 杉沢 寿志 日本電子株式会社 日本電子株式会社 経営戦略室 経営戦略室 戦略企画グループ長 戦略企画グループ長 日本電子株式会社は、 日本電子株式会社は、 世界最高の分解能を持つ透過型電子顕 世界最高の分解能を持つ透過型電子顕 日本電子株式会社は、 日本電子株式会社は、 これまでの共同研究の実績を発展させ これまでの共同研究の実績を発展させ 先端融合医療レドックスナビ研究拠点は、 先端融合医療レドックスナビ研究拠点は、 2007年に、 2007年に、 科学技術振興調整費 科学技術振興調整費 「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」 「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」 事業に採択 事業に採択 微鏡や、 微鏡や、 世界最高速のスループットを持つ生化学自動分析装置 世界最高速のスループットを持つ生化学自動分析装置 て磁気共鳴法を中心に生体レドックスの画像化、 て磁気共鳴法を中心に生体レドックスの画像化、 高感度分析を 高感度分析を され、 され、 日本電子株式会社、 日本電子株式会社、 株式会社島津製作所、 株式会社島津製作所、 田辺三菱製薬株式会社、 田辺三菱製薬株式会社、 大鵬薬品工業株式会社、 大鵬薬品工業株式会社、 及びHOYA株式会社の協力を得て、 及びHOYA株式会社の協力を得て、 「 「レ レ など、 など、 最先端の技術を製品化し、 最先端の技術を製品化し、 市場に提供することで、 市場に提供することで、 科学の 科学の 通し、 通し、 生体レドックスナビゲーションの解析・分子イメージング 生体レドックスナビゲーションの解析・分子イメージング ドックスに関連する疾患の分析、 ドックスに関連する疾患の分析、 早期診断、 早期診断、 治療、 治療、 創薬」 創薬」 に関する研究をスタートさせました。 に関する研究をスタートさせました。また、 また、 2009年に行われた絞り込み審査後 2009年に行われた絞り込み審査後 進歩と社会の発展に貢献しております。 進歩と社会の発展に貢献しております。 に関わる技術開発に貢献し続けています。 に関わる技術開発に貢献し続けています。 には、 には、 より出口を見据えた研究への発展と、 より出口を見据えた研究への発展と、 研究成果を臨床の場や地域住民へ速やかに還元するネットワーク構築を目標とし、 研究成果を臨床の場や地域住民へ速やかに還元するネットワーク構築を目標とし、 富士電機 富士電機 分析機器事業においては、 分析機器事業においては、 磁気共鳴分光 磁気共鳴分光 (核磁気共鳴 (核磁気共鳴 (NMR) (NMR) 株式会社、 株式会社、 日油株式会社、 日油株式会社、 九州電力株式会社に協働機関として加わっていただきました 九州電力株式会社に協働機関として加わっていただきました (図1) (図1) 。 。 および電子スピン共鳴 および電子スピン共鳴 (ESR) (ESR) ) ) 装置の国内唯一の専門メーカー 装置の国内唯一の専門メーカー 日本電子株式会社は、 日本電子株式会社は、 事業群の中でもとりわけ特異な技術の 事業群の中でもとりわけ特異な技術の として、 として、 レドックス研究に関わる各種の機器開発に貢献してお レドックス研究に関わる各種の機器開発に貢献してお 結集が必要なNMR 結集が必要なNMR / / ESR事業を基盤事業として強化するため、 ESR事業を基盤事業として強化するため、 り、 り、 これまでにも九州大学との協働で、 これまでにも九州大学との協働で、 電子スピン共鳴画像化 電子スピン共鳴画像化 本年4月1日より株式会社産業革新機構からの出資を受けて、 本年4月1日より株式会社産業革新機構からの出資を受けて、 株 株 装置を初めとする生体ラジカル可視化装置の開発を行ってき 装置を初めとする生体ラジカル可視化装置の開発を行ってき 式会社JEOL 式会社JEOL RESONANCEとして分社化することとしました。 RESONANCEとして分社化することとしました。 ました。 ました。 日本電子グループは国内外の研究機関、 日本電子グループは国内外の研究機関、 企業、 企業、 大学等の研究開 大学等の研究開 発をサポートし、 発をサポートし、 その成果を新たなアプリケーション開発に活 その成果を新たなアプリケーション開発に活 先端計測機器開発プロジェクト 先端計測機器開発プロジェクト (研究代表者:内海英雄) (研究代表者:内海英雄) にお にお 用する技術革新の相乗サイクルを実現することが社会的責務で 用する技術革新の相乗サイクルを実現することが社会的責務で いては、 いては、 パルスESR技術を生かしてMRI観測前段階にESR励起 パルスESR技術を生かしてMRI観測前段階にESR励起 あると考えております。 あると考えております。 を行うことで、 を行うことで、 フリーラジカル周辺に存在する水素核のみ選択 フリーラジカル周辺に存在する水素核のみ選択 新会社は、 新会社は、 今般の分社化により経営面の機動性を高めると同 今般の分社化により経営面の機動性を高めると同 的にスピン分極を生じさせ、 的にスピン分極を生じさせ、 フリーラジカル存在位置を水素核 フリーラジカル存在位置を水素核 時に新技術およびハイエンド製品の開発とアプリケーションの 時に新技術およびハイエンド製品の開発とアプリケーションの MRIで検出するOMRI装置を試作し、 MRIで検出するOMRI装置を試作し、 従来のESRイメージング 従来のESRイメージング 拡充を加速いたします。 拡充を加速いたします。また、 また、 小回りの利く独立企業体制への 小回りの利く独立企業体制への では得られない高い空間分解能での可視化を実現しました。 では得られない高い空間分解能での可視化を実現しました。 移行により、 移行により、 スピード感を持ったソリューション提供型のビジ スピード感を持ったソリューション提供型のビジ 先端計測プロトタイプ実証・実用化プログラム 先端計測プロトタイプ実証・実用化プログラム (研究代表者: (研究代表者: ネスモデル構築および重点戦略部門への経営資源の先鋭的投入 ネスモデル構築および重点戦略部門への経営資源の先鋭的投入 澤田政久) 澤田政久) においては、 においては、 九州大学や他の参画機関とともにOMRI 九州大学や他の参画機関とともにOMRI を可能とし、 を可能とし、 加えて、 加えて、 間接コストを極小化・最適化することによ 間接コストを極小化・最適化することによ 装置の製品化を推進しており、 装置の製品化を推進しており、 弊社はNMR分光計をベースとし 弊社はNMR分光計をベースとし りグローバル競争力を培い、 りグローバル競争力を培い、 国内唯一の新世代NMR装置メー 国内唯一の新世代NMR装置メー たOMRI分光計の開発に取り組んでいます。 たOMRI分光計の開発に取り組んでいます。 カーとして、 カーとして、 科学技術の発展と日本の豊かな未来への貢献を理 科学技術の発展と日本の豊かな未来への貢献を理 先端融合レドックスナビ研究拠点では、 先端融合レドックスナビ研究拠点では、 大学と協働機関との産学連携や産学産連携、 大学と協働機関との産学連携や産学産連携、 あるいは協働機関間の産産連携を通し、 あるいは協働機関間の産産連携を通し、 レドック レドック さらに先端計測ソフトウェア開発プログラム さらに先端計測ソフトウェア開発プログラム (研究代表者:市 (研究代表者:市 念に事業を飛躍的に成長させるべく、 念に事業を飛躍的に成長させるべく、 新たなチャレンジを開始 新たなチャレンジを開始 スに関する疾患の分析、 スに関する疾患の分析、 早期診断、 早期診断、 治療、 治療、 創薬を一貫して推進する先端融合医療領域の創成を行っています 創薬を一貫して推進する先端融合医療領域の創成を行っています (図2) (図2) 。 。本号ニュースレター 本号ニュースレター 川和洋) 川和洋) では、 では、 OMRI計測に不慣れな研究者が適切な条件にて OMRI計測に不慣れな研究者が適切な条件にて いたします。 いたします。 では、 では、 協働機関の視点から拠点における研究を紹介いたします。 協働機関の視点から拠点における研究を紹介いたします。 OMRI測定することを可能とする撮像計画支援プログラムと、 OMRI測定することを可能とする撮像計画支援プログラムと、 図1 研究の発展を目指した体制の強化 図1 研究の発展を目指した体制の強化 一連のOMRI画像から生体機能画像 一連のOMRI画像から生体機能画像 (酸化還元画像、 (酸化還元画像、 組織酸素分 組織酸素分 圧画像、 圧画像、 組織pH画像) 組織pH画像) 情報を得るためのソフトウェア開発を行 情報を得るためのソフトウェア開発を行 いました。 いました。 図2 先端融合医療レドックスナビ研究拠点、 図2 先端融合医療レドックスナビ研究拠点、 研究体制 研究体制 市川 市川 和洋 生体レドックス画像解析グループ 和洋 生体レドックス画像解析グループ 教授 教授 8 8 9 9 KY KYUS USH HUU UNI UNIVE VERSIT RSITY Y Innovation Innovation Center Center for for Medical Medical Redox Redox Navigation Navigation VOL.7 N EWS L ETTER VOL.7 研究紹介 ー 協働企業の視点から ー ■ メタボリック・プ ロファイリング グル ープ ■ レドックス 疾 患 創 薬 グ ループ メタボリック・プロファイリンググループにおける島津製作所の役割と期待 グル ープ横断的な協働研究から糖尿病合併症治療薬を創製 株式会社島津製作所 村田 好行 井上 裕章 株式会社島津製作所 株式会社島津製作所 分析計測事業部 分析計測事業部 産学官・プロジェクト推進室 産学官・プロジェクト推進室 グループ長 グループ長 田辺三菱製薬株式会社 田辺三菱製薬株式会社 研究本部先端医療研究所 所長、 研究本部先端医療研究所 所長、理事 理事 1.会社概要 くの機関で行われており、 くの機関で行われており、 これらのほとんどはゲノミクス、 これらのほとんどはゲノミクス、 プロ プロ 1.会社概要 3.今後の展開 株式会社島津製作所の創業は1875年。 株式会社島津製作所の創業は1875年。創業の精神である社 創業の精神である社 テオミクス、 テオミクス、 グライコミクス、 グライコミクス、 メタボロミクスなどのオミックス メタボロミクスなどのオミックス 田辺三菱製薬社は2007年10月に田辺製薬社と三菱ウェル 田辺三菱製薬社は2007年10月に田辺製薬社と三菱ウェル 世界の製薬企業が抱える共通の悩みとして研究開発の生産性 世界の製薬企業が抱える共通の悩みとして研究開発の生産性 是 是 「科学技術で社会に貢献する」 「科学技術で社会に貢献する」 を基本に、 を基本に、 「 「人と地球の健康への 人と地球の健康への 研究が基盤となっています。 研究が基盤となっています。このため、 このため、 論文や学会等で種々の研 論文や学会等で種々の研 ファーマ社が合併して誕生した売上高4000億円強の製薬会社 ファーマ社が合併して誕生した売上高4000億円強の製薬会社 低下を招いている創薬ターゲットの枯渇と臨床試験の成功率低 低下を招いている創薬ターゲットの枯渇と臨床試験の成功率低 願いを実現する」 願いを実現する」 という経営理念の下、 という経営理念の下、 分析計測機器分野、 分析計測機器分野、 医用 医用 究成果について目にする機会が多くなってきたものの、 究成果について目にする機会が多くなってきたものの、 実際の 実際の です。 です。医療用医薬品を中心とする医薬品の製造・販売を行ってお 医療用医薬品を中心とする医薬品の製造・販売を行ってお 下の問題があります。 下の問題があります。前者の問題解決には、 前者の問題解決には、 アカデミアやバイオ アカデミアやバイオ 機器分野、 機器分野、 航空産業機器分野などの事業を展開しています。 航空産業機器分野などの事業を展開しています。さら さら 現場における質量分析装置の認知度はまだまだ高いとは言えま 現場における質量分析装置の認知度はまだまだ高いとは言えま り、 り、 抗体医薬のレミケード、 抗体医薬のレミケード、 脳保護剤のラジカットなど、 脳保護剤のラジカットなど、 循環器・ 循環器・ ベンチャーから新規なアイデアに基づくオリジナリティーの高 ベンチャーから新規なアイデアに基づくオリジナリティーの高 に、 に、 次世代医療分野 次世代医療分野 (分子イメージング等) (分子イメージング等) 、 、 産業計測分野、 産業計測分野、 環境・ 環境・ せん。 せん。 中枢・免疫・呼吸器・ワクチン・生物学的製剤の分野に主力製品 中枢・免疫・呼吸器・ワクチン・生物学的製剤の分野に主力製品 い創薬シーズの獲得 い創薬シーズの獲得 (オープンイノベーション) (オープンイノベーション) が必要です。 が必要です。本 本 エネルギー分野など新規事業分野の開拓も行っています。 エネルギー分野など新規事業分野の開拓も行っています。 しかしながら、 しかしながら、 オミックス研究を基盤とした質量分析装置の オミックス研究を基盤とした質量分析装置の があります。 があります。 「医薬品の創製を通じて、 「医薬品の創製を通じて、 世界の人々の健康に貢献 世界の人々の健康に貢献 拠点では、 拠点では、 糖尿病合併症を酸化ストレス疾患と捉えて、 糖尿病合併症を酸化ストレス疾患と捉えて、 新たな視 新たな視 臨床応用は、 臨床応用は、 統計学との併用により発症の前段階から診断・予測 統計学との併用により発症の前段階から診断・予測 します」 します」 という企業理念の下に、 という企業理念の下に、 「 「国際創薬企業として社会から 国際創薬企業として社会から 点から動物実験による標的臓器の病態解析を進めています。 点から動物実験による標的臓器の病態解析を進めています。本 本 2.レドックスナビ研究拠点における活動 を行うバイオマーカの開発や治療法の開発を行う上で非常に有 を行うバイオマーカの開発や治療法の開発を行う上で非常に有 信頼される企業」 信頼される企業」 をめざしています。 をめざしています。国内の研究拠点は戸田 国内の研究拠点は戸田 (埼 (埼 拠点の7年目までに糖尿病合併症の創薬標的候補 拠点の7年目までに糖尿病合併症の創薬標的候補 (シーズ) (シーズ) の検 の検 レドックスナビ研究拠点・メタボリック・プロファイリンググ レドックスナビ研究拠点・メタボリック・プロファイリンググ 用なツールになり得ると我々は考えています。 用なツールになり得ると我々は考えています。特に質量分析装 特に質量分析装 玉) 玉) 、 、 横浜 横浜 (神奈川) (神奈川) 、 、 かずさ かずさ (千葉) (千葉) 、 、 加島 加島 (大阪) (大阪) にあります。 にあります。戸田、 戸田、 証を終了し、 証を終了し、 10年目には臨床候補化合物の取得をめざします。 10年目には臨床候補化合物の取得をめざします。 ループ ループ (MPグループ) (MPグループ) では、 では、 マトリックス支援レーザー脱離イオ マトリックス支援レーザー脱離イオ 置の高感度分析能力は新たな早期診断手法の開発に貢献できる 置の高感度分析能力は新たな早期診断手法の開発に貢献できる 横浜では創薬シーズの探索、 横浜では創薬シーズの探索、 候補化合物の合成・スクリーニング 候補化合物の合成・スクリーニング 一方、 一方、 後者の問題解決にはヒトにおける臨床成績 後者の問題解決にはヒトにおける臨床成績 (薬理効果、 (薬理効果、 副 副 ン化飛行時間型質量分析計 ン化飛行時間型質量分析計 (MALDI-TOF (MALDI-TOF MS;図MS;図( (a) a) ) ) と高速液 と高速液 と期待しています。 と期待しています。しかし質量分析装置の臨床応用実現のため しかし質量分析装置の臨床応用実現のため および薬理研究、 および薬理研究、 かずさでは薬物動態および安全性研究、 かずさでは薬物動態および安全性研究、 加島で 加島で 作用) 作用) を予測するバイオマーカーの実用化が急務です。 を予測するバイオマーカーの実用化が急務です。本拠点で 本拠点で 体クロマトグラフ質量分析計 体クロマトグラフ質量分析計 (LCMS;図(LCMS;図( (b) b) ) ) を基軸に、 を基軸に、 医療現 医療現 には、 には、 ヒトのサンプルを用いた研究、 ヒトのサンプルを用いた研究、 およびデータベース整備や およびデータベース整備や はバイオロジクスの研究を行っています。 はバイオロジクスの研究を行っています。世界に通用する新薬 世界に通用する新薬 はOMRIによる酸化ストレスの可視化、 はOMRIによる酸化ストレスの可視化、 メタボロミックプロファ メタボロミックプロファ 場で用いるための疾病細胞診断質量分析システムを基盤とした 場で用いるための疾病細胞診断質量分析システムを基盤とした 分析機器の標準化が必要となります。 分析機器の標準化が必要となります。MPグループでは、 MPグループでは、 メタボ メタボ を一日でも早く、 を一日でも早く、 一人でも多くの患者さんにお届けできるよう 一人でも多くの患者さんにお届けできるよう イリングによる生体代謝物の網羅的な検索などの最先端技術の イリングによる生体代謝物の網羅的な検索などの最先端技術の 病態メタボロミクス新領域の確立を目指しておられます。 病態メタボロミクス新領域の確立を目指しておられます。この この ロミクス研究を基盤とした質量分析装置の臨床応用化に向けて、 ロミクス研究を基盤とした質量分析装置の臨床応用化に向けて、 に、 に、 全員が一丸となって創薬研究に邁進しています。 全員が一丸となって創薬研究に邁進しています。 利用が可能であり、 利用が可能であり、 これらの技術を用いて糖尿病合併症の動物 これらの技術を用いて糖尿病合併症の動物 中で、 中で、 当社は二つの役割を担っています。 当社は二つの役割を担っています。 医学部、 医学部、 製薬会社、 製薬会社、 分析機器メーカである当社との連携のもと研 分析機器メーカである当社との連携のもと研 第一は、 第一は、 ご使用いただいている装置の分析技術的フォローで ご使用いただいている装置の分析技術的フォローで 究を進めておられます。 究を進めておられます。このことは、 このことは、 MPグループが本目的を実 MPグループが本目的を実 す。 す。ここでは、 ここでは、 目的化合物の分析手法や得られたデータの解析法 目的化合物の分析手法や得られたデータの解析法 現するのに最も近い位置にある研究機関のひとつであることを 現するのに最も近い位置にある研究機関のひとつであることを 2.レドックスナビ研究拠点における活動 をめざします。 をめざします。 など、 など、 当社の分析技術スタッフが長年蓄積して参りましたノウ 当社の分析技術スタッフが長年蓄積して参りましたノウ 示唆しています。 示唆しています。ぜひ本プロジェクトを成功させ、 ぜひ本プロジェクトを成功させ、 医療の現場、 医療の現場、 「レドックス疾患創薬グループ」 「レドックス疾患創薬グループ」 では、 では、 糖尿病合併症治療薬の 糖尿病合併症治療薬の 「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」 「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」 事業の目的は、 事業の目的は、 ハウをベースに、 ハウをベースに、 先生方の研究目的に適した分析ソリューショ 先生方の研究目的に適した分析ソリューショ 臨床の現場での使用に耐えうるような早期診断手法の開発を実 臨床の現場での使用に耐えうるような早期診断手法の開発を実 創薬研究を行っています。 創薬研究を行っています。井口登與志先生が発見された糖尿病 井口登與志先生が発見された糖尿病 「先端的な融合領域のイノベーションの創製に向けて、 「先端的な融合領域のイノベーションの創製に向けて、 実用化を 実用化を ンを提案させていただいています。 ンを提案させていただいています。 現されることを期待しています。 現されることを期待しています。また、 また、 当社としてはプロジェク 当社としてはプロジェク における酸化ストレス亢進機序および髙栁涼一先生らの大規模 における酸化ストレス亢進機序および髙栁涼一先生らの大規模 見据えた研究開発を行う産官学連携拠点の形成をめざす」 見据えた研究開発を行う産官学連携拠点の形成をめざす」 とあ とあ 第二は、 第二は、 MALDI-TOF MALDI-TOF MS用代謝物データベースの開発です。 MS用代謝物データベースの開発です。疾 疾 トの成果をもとに新たな製品あるいはシステムを開発し、 トの成果をもとに新たな製品あるいはシステムを開発し、 お客 お客 コホート研究で明らかにされたビリルビンの糖尿病血管障害抑 コホート研究で明らかにされたビリルビンの糖尿病血管障害抑 ります。 ります。本拠点の特長は、 本拠点の特長は、 生体レドックス反応を 生体レドックス反応を 「見る、 「見る、 操る、 操る、 治 治 病細胞診断質量分析システムを構築するためには、 病細胞診断質量分析システムを構築するためには、 MALDI-TOF MALDI-TOF 様の満足が得られる分析ソリューションを提供していければと 様の満足が得られる分析ソリューションを提供していければと 制のヒトでのエビデンスに着目し、 制のヒトでのエビデンスに着目し、 糖尿病血管合併症における 糖尿病血管合併症における 療する」 療する」 を合言葉に、 を合言葉に、 グループ横断的な協働研究を促進するしく グループ横断的な協働研究を促進するしく MSを用いたMSイメージング技術が強力なツールとなります。 MSを用いたMSイメージング技術が強力なツールとなります。こ こ 考えています。 考えています。 酸化ストレスの重要性とその制御機序を創薬の視点から明らか 酸化ストレスの重要性とその制御機序を創薬の視点から明らか みが整備され、 みが整備され、 実際に研究成果が生み出されていることです。 実際に研究成果が生み出されていることです。大 大 のためには、 のためには、 MALDI-TOF MALDI-TOF MS測定により取得されたデータから網 MS測定により取得されたデータから網 にすることで、 にすることで、 糖尿病合併症治療薬のシーズ探索を行ってきま 糖尿病合併症治療薬のシーズ探索を行ってきま 学の優れた研究者と、 学の優れた研究者と、 有用な情報、 有用な情報、 最先端の技術を共有し、 最先端の技術を共有し、 実用 実用 羅的に迅速代謝物同定を行うためのデータベース開発が必須とな 羅的に迅速代謝物同定を行うためのデータベース開発が必須とな した。 した。これまでにビリルビン類縁体およびNAD これまでにビリルビン類縁体およびNAD (P) (P) Hオキシ Hオキシ 化に向けた協働体制が確立されたことは素晴らしいことです。 化に向けた協働体制が確立されたことは素晴らしいことです。 ダーゼ活性化機序であるキマーゼを標的とした創薬の可能性を ダーゼ活性化機序であるキマーゼを標的とした創薬の可能性を 残り5年間で実用化 残り5年間で実用化 (出口) (出口) に向けた成果を具現化するには、 に向けた成果を具現化するには、 参画 参画 編成し、 編成し、 MPグループより提供されたデータを用いて先生方のご要 MPグループより提供されたデータを用いて先生方のご要 追求するとともに、 追求するとともに、 弊社の糖尿病治療薬を創薬ツールとした薬 弊社の糖尿病治療薬を創薬ツールとした薬 企業の役割がますます重要になると認識し、 企業の役割がますます重要になると認識し、 身の引き締まる思 身の引き締まる思 望に適う性能をもったデータベースの開発に取り組んでいます。 望に適う性能をもったデータベースの開発に取り組んでいます。 理学的な研究を行っています。 理学的な研究を行っています。糖尿病合併症の病態解析では、 糖尿病合併症の病態解析では、 本 本 いです。 いです。イノベーティブな研究活動の成功確率は一般的に低い イノベーティブな研究活動の成功確率は一般的に低い ここでは、 ここでは、 田辺三菱製薬株式会社先端医療研究所の方々にも参画 田辺三菱製薬株式会社先端医療研究所の方々にも参画 拠点の強みであるグループ間の協働研究を活かして、 拠点の強みであるグループ間の協働研究を活かして、 OMRIを用 OMRIを用 ことから、 ことから、 できる限り多くの試行を行うことが肝要です。 できる限り多くの試行を行うことが肝要です。残り5 残り5 いただき、 いただき、 MPグループ、 MPグループ、 田辺三菱製薬株式会社、 田辺三菱製薬株式会社、 当社の3者で定期 当社の3者で定期 いた生体レドックスの画像化解析やメタボリックプロファイリ いた生体レドックスの画像化解析やメタボリックプロファイリ 年間で最大限の成果 年間で最大限の成果 (価値) (価値) を生み出すために、 を生み出すために、 糖尿病合併症治 糖尿病合併症治 的に技術ミーティングを開催し、 的に技術ミーティングを開催し、 それぞれの専門的視点や立場に それぞれの専門的視点や立場に ングによる生体代謝解析を取り入れています。 ングによる生体代謝解析を取り入れています。その他、 その他、 オープン オープン 療薬の創製、 療薬の創製、 新規の疾患診断技術の実用化のみならず、 新規の疾患診断技術の実用化のみならず、 未来のヘ 未来のヘ よる様々な意見の交換を行いながら、 よる様々な意見の交換を行いながら、 より良いデータベースの構 より良いデータベースの構 イノベーションの観点から拠点に蓄積されている知識・技術を イノベーションの観点から拠点に蓄積されている知識・技術を ルスケアを志向した医療ネットワークやレギュラトリーサイエ ルスケアを志向した医療ネットワークやレギュラトリーサイエ 築を目指して日々努力しています。 築を目指して日々努力しています。この取り組みが、 この取り組みが、 最終的には実 最終的には実 創薬に最大限利用する取り組みとして、 創薬に最大限利用する取り組みとして、 インフォマティクスを インフォマティクスを ンスに関する情報を学び、 ンスに関する情報を学び、 世界と戦える新薬の効率的な創製を 世界と戦える新薬の効率的な創製を 際の医療現場で利用可能な信頼性の高い病態−代謝物相関データ 際の医療現場で利用可能な信頼性の高い病態−代謝物相関データ 活用した微生物・動物細胞による医薬品生産の効率化に関する 活用した微生物・動物細胞による医薬品生産の効率化に関する 実現することで、 実現することで、 参画企業としての責任を果たしたいと考えて 参画企業としての責任を果たしたいと考えて ベースの構築へつながればと期待しています。 ベースの構築へつながればと期待しています。 研究 研究 (培養シミュレーション) (培養シミュレーション) を開始しました。 を開始しました。企業と大学の研 企業と大学の研 います。 います。 ります。 ります。そこで、 そこで、 現在当社ではデータベース開発のためのチームを 現在当社ではデータベース開発のためのチームを 3.今後の展開 現在、 現在、 質量分析装置を医療の現場で活用するための研究は多 質量分析装置を医療の現場で活用するための研究は多 三浦 三浦 大典 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 大典 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 准教授 准教授 1 10 0 田辺三菱製薬株式会社 (a) (a) (b) (b) 図. 図. 質量分析装置 質量分析装置 (a) (a) マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行 マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行 時間型質量分析計 時間型質量分析計 (MALDI-TOF (MALDI-TOF MS) MS) (b) (b) ,, 高速液体クロマトグラフ 高速液体クロマトグラフ 質量分析計 質量分析計 (LCMS) (LCMS) モデルにおける病態解析を深化させて、 モデルにおける病態解析を深化させて、 創薬標的の発見と検証 創薬標的の発見と検証 を進めると共に、 を進めると共に、 臨床成績を予測するバイオマーカーの実用化 臨床成績を予測するバイオマーカーの実用化 究者間の交流も活発化しており、 究者間の交流も活発化しており、 グループ横断的な協働研究に グループ横断的な協働研究に より、 より、 画期的な糖尿病合併症治療薬の創製が具現化しつつあり 画期的な糖尿病合併症治療薬の創製が具現化しつつあり ます。 ます。 髙栁 髙栁 涼一 九州大学大学院医学研究院病態制御内科学 教授(理事) 涼一 九州大学大学院医学研究院病態制御内科学 教授(理事) 1 11 1 KY KYUS USH HUU UNI UNIVE VERSIT RSITY Y Innovation Innovation Center Center for for Medical Medical Redox Redox Navigation Navigation VOL.7 N EWS L ETTER VOL.7 研究紹介 ー 協働企業の視点から ー ■ 先 端 がん 診 断・創 薬 グル ープ ■ 生 体レドックス内 視 鏡 グ ループ 今ある抗がん剤を見つめなおし、新しいがん治療法の開発や創薬へ 内視鏡用磁気共鳴器を開発する 大鵬薬品工業株式会社 林 泰司 HOYA株式会社 湯川 博 大鵬薬品工業株式会社 大鵬薬品工業株式会社 徳島研究センター 徳島研究センター センター長 センター長 大鵬薬品は1963年の創業以来、 大鵬薬品は1963年の創業以来、 「 「私たちは 人びとの健康を 私たちは 人びとの健康を ます。 ます。厚生労働省や医薬品機構など当局への申請に必要なレ 厚生労働省や医薬品機構など当局への申請に必要なレ 1.会社概要 2.レドックスナビ研究拠点における活動 高め 心豊かな社会づくりに貢献します」 高め 心豊かな社会づくりに貢献します」 の企業理念のもと、 の企業理念のもと、 独 独 ギュラトリーサイエンスに基づいた非臨床試験、 ギュラトリーサイエンスに基づいた非臨床試験、 さらには医 さらには医 HOYAは1941年の設立以来、 HOYAは1941年の設立以来、 国内初の光学ガラス専門メー 国内初の光学ガラス専門メー 当社は、 当社は、 先端医療レドックスナビ研究拠点が発足した2007年 先端医療レドックスナビ研究拠点が発足した2007年 創的な医薬品の研究・開発に取り組んできました。 創的な医薬品の研究・開発に取り組んできました。医療用医薬品 医療用医薬品 療現場とタイアップを図りながら市販後の薬の効能拡大、 療現場とタイアップを図りながら市販後の薬の効能拡大、 適 適 カーとして、 カーとして、 高度なオプティクス技術をもとに多角化をすすめ 高度なオプティクス技術をもとに多角化をすすめ 7月より、 7月より、 本拠点に参画している。 本拠点に参画している。所属している、 所属している、 生体レドックス 生体レドックス では、 では、 「 「ユーエフティ」 ユーエフティ」 「 「ティーエスワン」 ティーエスワン」 を始めとする数多くの を始めとする数多くの 正使用のための研究を推進し、 正使用のための研究を推進し、 患者さん一人一人に合った、 患者さん一人一人に合った、 効 効 るグローバル企業である。 るグローバル企業である。 内視鏡グループでは、 内視鏡グループでは、 橋爪グループ長、 橋爪グループ長、 村田副グループ長のもと 村田副グループ長のもと がん領域の薬剤を送り出し、 がん領域の薬剤を送り出し、 がん治療薬のリーディングカンパ がん治療薬のリーディングカンパ 果が高く副作用が少ない治療法を確立するための研究を行っ 果が高く副作用が少ない治療法を確立するための研究を行っ 現在はエレクトロニクス、 現在はエレクトロニクス、 映像、 映像、 ヘルスケア、 ヘルスケア、 医療の4つの領域で 医療の4つの領域で で、 で、 レドックスナビゲーションによる超低侵襲治療機器の開発 レドックスナビゲーションによる超低侵襲治療機器の開発 ニーとして国内外から高く評価されています。 ニーとして国内外から高く評価されています。また、 また、 尿失禁・頻 尿失禁・頻 ています。 ています。また、 また、 新薬創製の段階から患者さんの手もとに届く 新薬創製の段階から患者さんの手もとに届く 事業を展開している。 事業を展開している。半導体用および液晶パネル用マスクブラン 半導体用および液晶パネル用マスクブラン に携わっている。 に携わっている。特に、 特に、 外科医手術支援ロボットの 外科医手術支援ロボットの 「目」 「目」 として、 として、 尿治療剤やアレルギー性疾患治療剤など、 尿治療剤やアレルギー性疾患治療剤など、 生活の質の向上に貢 生活の質の向上に貢 まで、 まで、 形状やパッケージなど細部にいたるまでクオリティを 形状やパッケージなど細部にいたるまでクオリティを クス クス・ ・フォトマスク、 フォトマスク、 HDD用ガラスメモリーディスクを扱うエレク HDD用ガラスメモリーディスクを扱うエレク 様々な疾患に関係する新しい生体情報であるレドックス反応を 様々な疾患に関係する新しい生体情報であるレドックス反応を 献できる特徴ある製品も上市してきました。 献できる特徴ある製品も上市してきました。さらに、 さらに、 OTC医薬 OTC医薬 追究、 追究、 グローバルな基準にも対応できる技術研究と効率的な グローバルな基準にも対応できる技術研究と効率的な トロニクス事業、 トロニクス事業、 光学レンズ、 光学レンズ、 PENTAXブランドのデジタルカメラ PENTAXブランドのデジタルカメラ 取り入れた世界初の生体レドックスナビ手術支援システムの開 取り入れた世界初の生体レドックスナビ手術支援システムの開 品では、 品では、 お客様志向を第一に お客様志向を第一に 「チオビタ」 「チオビタ」 「 、 「 、ソルマック」 ソルマック」 「 、 「 、ハルン ハルン 製造方法の確立を行っています。 製造方法の確立を行っています。 などを製造 などを製造・ ・販売する映像事業、 販売する映像事業、 メガネレンズ、 メガネレンズ、 コンタクトレンズ コンタクトレンズ 発を目標としている。 発を目標としている。 ■開発センターは、 ■開発センターは、 治験に協力していただく患者さんをモニター 治験に協力していただく患者さんをモニター を扱い、 を扱い、 コンタクトレンズ専門店 コンタクトレンズ専門店 「アイシティ」 「アイシティ」 を展開するヘルスケ を展開するヘルスケ 当社では、 当社では、 その核とな その核とな な暮らしを応援しています。 な暮らしを応援しています。 し、 し、 有効性と安全性に関するデータをまとめ、 有効性と安全性に関するデータをまとめ、 承認審査当局へ 承認審査当局へ ア事業、 ア事業、 内視鏡、 内視鏡、 白内障治療用眼内レンズ、 白内障治療用眼内レンズ、 人工骨などの医療事業に 人工骨などの医療事業に るレドックス内視鏡にお るレドックス内視鏡にお 新薬テーマは、 新薬テーマは、 がん領域を中心にアレルギーおよび泌尿器領 がん領域を中心にアレルギーおよび泌尿器領 申請する業務を担当しています。 申請する業務を担当しています。医師とディスカッションし 医師とディスカッションし おいてグローバルに事業展開する企業として発展を続けている。 おいてグローバルに事業展開する企業として発展を続けている。 いて、 いて、 生体レドックスを 生体レドックスを 域に特化しており、 域に特化しており、 がん領域では大きな柱である抗悪性腫瘍剤 がん領域では大きな柱である抗悪性腫瘍剤 た上で新たな治療法を定め、 た上で新たな治療法を定め、 さらに医療現場と良好なコミュニ さらに医療現場と良好なコミュニ 特に医用機器の分野では、 特に医用機器の分野では、 患者さんの苦痛や負担をへらす低 患者さんの苦痛や負担をへらす低 イ イメ メー ージ ジン ング グす する るた ため め ケーションを図りながら、 ケーションを図りながら、 新薬に希望を託す患者さんのため、 新薬に希望を託す患者さんのため、 侵襲化製品及びドクターが微小病変部を見逃すことなく観察す 侵襲化製品及びドクターが微小病変部を見逃すことなく観察す の の超 超小 小型 型 Electron Electron Spin Spin しいタイプの抗がん剤の研究開発を行っています。 しいタイプの抗がん剤の研究開発を行っています。現在、 現在、 がん細 がん細 一つ一つ慎重に臨床試験全体をマネジメントしています。 一つ一つ慎重に臨床試験全体をマネジメントしています。 ることの出来る要素技術及び製品開発を行っている。 ることの出来る要素技術及び製品開発を行っている。 Resonance Resonance ( (ESR) ESR) コイル コイル 胞が増殖する時に必要な酵素を阻害する抗がん剤や、 胞が増殖する時に必要な酵素を阻害する抗がん剤や、 がん細胞 がん細胞 大鵬薬品は、 大鵬薬品は、 これまで培ってきたキーオピニオンリーダーの これまで培ってきたキーオピニオンリーダーの 高 高解 解像 像度 度対 対応 応と とし して て の開発を行っている。 の開発を行っている。平 平 のDNAやRNAの合成を阻害する抗がん剤、 のDNAやRNAの合成を阻害する抗がん剤、 さらには血管新生を さらには血管新生を 医師や先生との強いパイプを活かし、 医師や先生との強いパイプを活かし、 常に創薬研究の質とス 常に創薬研究の質とス は、 は、 消 消化 化器 器分 分野 野 でMega でMega 成22年度は、 成22年度は、 磁場環境下 磁場環境下 阻害する抗がん剤などの開発に積極的に取り組んでいます。 阻害する抗がん剤などの開発に積極的に取り組んでいます。ア ア ピードを高めてきました。 ピードを高めてきました。先端融合医療レドックスナビ研究拠 先端融合医療レドックスナビ研究拠 Pixel Pixel CCDを内視鏡で初 CCDを内視鏡で初 で機能する生体レドックス対応内視鏡保持システムに装着する で機能する生体レドックス対応内視鏡保持システムに装着する レルギー領域では、 レルギー領域では、 Th2サイトカインの産生を抑制することに Th2サイトカインの産生を抑制することに 点では、 点では、 九州大学医学研究院消化器・総合外科 九州大学医学研究院消化器・総合外科 前原喜彦教授・グ 前原喜彦教授・グ めて採用し、 めて採用し、 粘膜の自然 粘膜の自然 ESRコイルを試作した。 ESRコイルを試作した。コイルは、 コイルは、 Overhauser-enhanced Overhauser-enhanced MRI MRI より抗アレルギー作用を示す より抗アレルギー作用を示す 「アイピーディ」 「アイピーディ」 の開発で、 の開発で、 また、 また、 泌 泌 ル ルー ープ プ長 長 (先 (先端 端が がん ん診 診断・創 断・創薬 薬グ グル ルー ープ) プ) の の協 協働 働機 機関 関と とし して、 て、 な色を忠実に再現し、 な色を忠実に再現し、 微 微 (OMRI) (OMRI) システムの共振周波数に応じて、 システムの共振周波数に応じて、 容量を可変可能にした。 容量を可変可能にした。 尿器領域では抗コリン作用により尿失禁・頻尿の改善を示す 尿器領域では抗コリン作用により尿失禁・頻尿の改善を示す 5-FUを始めとする、 5-FUを始めとする、 臨床の現場で投与されている抗がん剤の作 臨床の現場で投与されている抗がん剤の作 細な粘膜や血管の構造ま 細な粘膜や血管の構造ま 「バップフォー」 「バップフォー」 の開発で、 の開発で、 それぞれ蓄積した知見やノウハウを それぞれ蓄積した知見やノウハウを 用メカニズムを、 用メカニズムを、 最新の細胞生物学的、 最新の細胞生物学的、 分子生物学的手法を用い 分子生物学的手法を用い で抽出する高精細画像に で抽出する高精細画像に 生かした、 生かした、 新しいタイプの治療薬の研究開発を進めています。 新しいタイプの治療薬の研究開発を進めています。 て分子レベルで明らかにし、 て分子レベルで明らかにし、 新たな標的分子の発掘に取り組ん 新たな標的分子の発掘に取り組ん より、 より、 これまで以上に細 これまで以上に細 大鵬薬品の新薬開発は、 大鵬薬品の新薬開発は、 つくば研究センター、 つくば研究センター、 徳島研究セン 徳島研究セン でいます。 でいます。癌治療の最前線で蓄積されたノウハウと基礎医学研 癌治療の最前線で蓄積されたノウハウと基礎医学研 やかな検査・診断を可能 やかな検査・診断を可能 ター、 ター、 および開発センターが担っており、 および開発センターが担っており、 新しい医療の流れを見 新しい医療の流れを見 究との融合、 究との融合、 レドックスナビ研究拠点の各グループ・協働機関と レドックスナビ研究拠点の各グループ・協働機関と にした。 にした。 3.今後の展開 据えたイノベーションに取り組み、 据えたイノベーションに取り組み、 先進的な研究機関や他社と 先進的な研究機関や他社と の相互協力を通じて、 の相互協力を通じて、 癌患者さんが待ち望んでいる新薬や新規 癌患者さんが待ち望んでいる新薬や新規 また、 また、 耳鼻咽喉科分野 耳鼻咽喉科分野 ESRコイルは、 ESRコイルは、 さらな さらな も連携し、 も連携し、 社会的な価値の高い新薬を効率的に医療現場に届け 社会的な価値の高い新薬を効率的に医療現場に届け 治療法の開発を目指します。 治療法の開発を目指します。 では、 では、 ファイバースコー ファイバースコー る る小 小型 型化 化を を進 進 め、 め、 鉗 鉗止 止 ケア」 ケア」 ブランドなど、 ブランドなど、 ユニークで高品質な製品を通じて愛情豊か ユニークで高品質な製品を通じて愛情豊か 「ユーエフティ」 「ユーエフティ」 「 「ティーエスワン」 ティーエスワン」 の効果を増強しうる薬や、 の効果を増強しうる薬や、 新 新 ることを目標としています。 ることを目標としています。 プ プか から ら高 高画 画像 像ビ ビデ デオ オス ス ■つくば研究センターは2009年8月に開設され、 ■つくば研究センターは2009年8月に開設され、 新薬のシーズ 新薬のシーズ コ コー ープ プへ へと と転 転換 換が が進 進み、 み、 a) a) b) b) c) c) a) a)試作したESRコイル 試作したESRコイル b) b)ファントム上のESRコイル ファントム上のESRコイル c) c)OMRI画像 OMRI画像 さらに、 さらに、 コイル径を小さくすることにより、 コイル径を小さくすることにより、 感度上昇を達成した。 感度上昇を達成した。 ビデオプロセッサ ビデオプロセッサ EPK-i EPK-i また、 また、 ドライファントム実験において基礎データを収集し、 ドライファントム実験において基礎データを収集し、 内視 内視 鏡画像およびESRI/MRI画像データの両面から評価した。 鏡画像およびESRI/MRI画像データの両面から評価した。 耳鼻咽頭用超微細 耳鼻咽頭用超微細 ビデオスコープ ビデオスコープ VNL-90s VNL-90s チ チャ ャネ ネル ルか から ら出 出し し入 入れ れ 可 可能 能に にす する るこ こと とに によ より、 り、 探索を担当しています。 探索を担当しています。優れた薬効を持ち、 優れた薬効を持ち、 かつ安全な新薬と かつ安全な新薬と 従来の高画素は維持しながらも3㎜という細い先端外径を実現 従来の高画素は維持しながらも3㎜という細い先端外径を実現 必 必要 要に に応 応じ じて て簡 簡単 単に にin in なる可能性を秘めた化合物を絞り込むため、 なる可能性を秘めた化合物を絞り込むため、 計算化学を基に 計算化学を基に した製品も発売している。 した製品も発売している。 vivo vivo ESRイ ESRイメ メー ージ ジン ング グ した分子設計、 した分子設計、 シーズ化合物の化学修飾、 シーズ化合物の化学修飾、 最新のバイオテクノ 最新のバイオテクノ 気管支分野においては、 気管支分野においては、 超音波気管支内視鏡としては初めて 超音波気管支内視鏡としては初めて が行えるようにする。 が行えるようにする。 ロジー技術を駆使した新規物質の探索、 ロジー技術を駆使した新規物質の探索、 有用性や安全性に関 有用性や安全性に関 内視鏡先端部にCCDを搭載した製品を発売し、 内視鏡先端部にCCDを搭載した製品を発売し、 気管支周辺のリ 気管支周辺のリ また、 また、 現在、 現在、 他の研究グループとの横断的な融合研究を展開し 他の研究グループとの横断的な融合研究を展開し する評価、 する評価、 作用機序の解明、 作用機序の解明、 シーズ化合物の物理化学的な性質 シーズ化合物の物理化学的な性質 ンパ節への癌の転移といった緻密な観察・診断が必要とされる ンパ節への癌の転移といった緻密な観察・診断が必要とされる ている。 ている。生体レドックス画像解析グループとは、 生体レドックス画像解析グループとは、 レドックス内視 レドックス内視 の評価および薬物動態試験を行っています。 の評価および薬物動態試験を行っています。また、 また、 分子標的薬 分子標的薬 領域で好評を得ている。 領域で好評を得ている。 鏡の開発、 鏡の開発、 メタボリックプロファイリンググループとは、 メタボリックプロファイリンググループとは、 高機能 高機能 研究に特化した部門の設立によって、 研究に特化した部門の設立によって、 がん分野のリーディン がん分野のリーディン 医師の正確でスピーディーな診断をサポートするため、 医師の正確でスピーディーな診断をサポートするため、 軟性 軟性 カメラによる癌の機能診断システムの開発、 カメラによる癌の機能診断システムの開発、 そして、 そして、 レドックス レドックス グカンパニーとしての基盤研究を強化しています。 グカンパニーとしての基盤研究を強化しています。 内視鏡には今後も高機能な画像処理技術と高い操作性が求めら 内視鏡には今後も高機能な画像処理技術と高い操作性が求めら イメージンググループとは、 イメージンググループとは、 内視鏡へのMEMS技術導入の基礎 内視鏡へのMEMS技術導入の基礎 れていくことが見込まれる。 れていくことが見込まれる。当社は医師との連携を強化し、 当社は医師との連携を強化し、 医療 医療 検討をそれぞれ共同で推進している。 検討をそれぞれ共同で推進している。今後も、 今後も、 各グループのコア 各グループのコア 現場のニーズに的確にお応えする製品の開発に注力していく。 現場のニーズに的確にお応えする製品の開発に注力していく。 技術を融合した研究を継続して進めていく。 技術を融合した研究を継続して進めていく。 ■徳島研究センターは、 ■徳島研究センターは、 新薬創製の入り口から製品化の技術研 新薬創製の入り口から製品化の技術研 究、 究、 上市以降の育薬までを含め、 上市以降の育薬までを含め、 多岐にわたる業務を担ってい 多岐にわたる業務を担ってい 前原 前原 喜彦 九州大学医学研究院 喜彦 九州大学医学研究院 消化器・総合外科 消化器・総合外科 教授 教授 1 12 2 HOYA株式会社 HOYA株式会社 PENTAX PENTAX ライフケア事業部 ライフケア事業部 開発統括部長 開発統括部長 本社ビル 本社ビル レドックス内視鏡イメージ レドックス内視鏡イメージ 橋爪 橋爪 誠 九州大学医学研究院 誠 九州大学医学研究院 教授 教授 1 13 3 KY KYUS USH HUU UNI UNIVE VERSIT RSITY Y Innovation Innovation Center Center for for Medical Medical Redox Redox Navigation Navigation VOL.7 N EWS L ETTER VOL.7 研究紹介 ー 協働企業の視点から ー ■ 薬 物 送 達 システム グ ループ ■ レドックス イメージング グ ループ レドックス関連疾患に対する新規治療・診断薬を創成するためのドラッグデリバリーシステムの開発 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点における富士電機の取り組み 日油株式会社 安河内 徹 富士電機株式会社 松添 雄二 日油株式会社 日油株式会社 DDS研究所長 DDS研究所長 富士電機株式会社 富士電機株式会社 技術開発本部 技術開発本部 技術統括センター 技術統括センター 技術戦略部 技術戦略部 担当課長 担当課長 日油株式会社は、 日油株式会社は、 「 「バイオから宇宙まで」 バイオから宇宙まで」 というキャッチフ というキャッチフ 中野教授を中心とする九州大学の先生方が実際の医療で応用す 中野教授を中心とする九州大学の先生方が実際の医療で応用す 1.会社概要 レーズに示されるように、 レーズに示されるように、 既存事業である油脂、 既存事業である油脂、 化成、 化成、 化薬、 化薬、 食品 食品 ることを前提とした各種スクリーニング評価、 ることを前提とした各種スクリーニング評価、 開発を行ってい 開発を行ってい 富士電機は、 富士電機は、 シーメンス シーメンス (独) (独) と古河電工との合弁企業として と古河電工との合弁企業として 飲料自動販売機のトップメーカーとして環境対応型自動販売機 飲料自動販売機のトップメーカーとして環境対応型自動販売機 に、 に、 新規事業であるライフサイエンス、 新規事業であるライフサイエンス、 DDS、 DDS、 フィルム、 フィルム、 電材を加 電材を加 ます。 ます。 1923年に設立された総合電機メーカです。 1923年に設立された総合電機メーカです。当社は、 当社は、 創業以来、 創業以来、 パ パ を提供しております。 を提供しております。また、 また、 工場の生産設備や各種機械向けに、 工場の生産設備や各種機械向けに、 電 電 えた非常に幅広い分野に製品を展開する素材・原料の総合メー えた非常に幅広い分野に製品を展開する素材・原料の総合メー タンパク質の修飾用を主とするDDS用のPEG誘導体について タンパク質の修飾用を主とするDDS用のPEG誘導体について ワー半導体や回路、 ワー半導体や回路、 制御システムなどを組み合わせた 制御システムなどを組み合わせた 「パワーエレ 「パワーエレ 磁開閉器 磁開閉器 (マグネットスイッチ) (マグネットスイッチ) 、 、 配線用遮断器などの受配電 配線用遮断器などの受配電・ ・制御 制御 カーです。 カーです。DDS事業部では、 DDS事業部では、 薬物の治療効果を最大限に発揮さ 薬物の治療効果を最大限に発揮さ は、 は、 すでに川崎事業所のDDS工場にて大スケールのGMP対応の すでに川崎事業所のDDS工場にて大スケールのGMP対応の クトロニクス技術」 クトロニクス技術」 を一貫して追究し続けてまいりました。 を一貫して追究し続けてまいりました。富士 富士 機器を提供しております。 機器を提供しております。 せる薬物送達システム せる薬物送達システム (DDS:Drug (DDS:Drug Delivery Delivery System) System) に用いる に用いる 製造を行っており製剤の上市品にも使用されています。 製造を行っており製剤の上市品にも使用されています。しかし しかし 電機は、 電機は、 “ “電気を自在にあやつる技術” 電気を自在にあやつる技術” をコア技術プラットフォー をコア技術プラットフォー ため、 ため、 これまでに培ってきた当社の固有技術である合成・精製・ これまでに培ってきた当社の固有技術である合成・精製・ ながら、 ながら、 より複雑な構造を持ち、 より複雑な構造を持ち、 合成上の検討も必要な本テーマ 合成上の検討も必要な本テーマ ムと位置づけ、 ムと位置づけ、 「 「エネルギー事業」 エネルギー事業」 「 、 「 、産業システム事業」 産業システム事業」 「 、 「 、社会シス 社会シス 2.レドックスナビ研究拠点における活動 品質制御技術によって高品質のポリエチレングリコール 品質制御技術によって高品質のポリエチレングリコール (PEG) (PEG) の高分子ミセルキャリア用のブロックポリマーについては、 の高分子ミセルキャリア用のブロックポリマーについては、 製 製 テム事業」 テム事業」 「 、 「 、パワエレ機器事業」 パワエレ機器事業」 「 、 「 、電子デバイス事業」 電子デバイス事業」 の5つの事 の5つの事 富士電機は、 富士電機は、 2010年度より九州大学先端融合医療レドックスナ 2010年度より九州大学先端融合医療レドックスナ 誘導体、 誘導体、 リン脂質、 リン脂質、 高純度不飽和脂肪酸等を開発し、 高純度不飽和脂肪酸等を開発し、 世界の製薬 世界の製薬 法のみならず分析法についてもGMPに対応できるよう詳細な検 法のみならず分析法についてもGMPに対応できるよう詳細な検 業分野を核にして、 業分野を核にして、 「 「エネルギー エネルギー・ ・環境」 環境」 分野の最先端企業を目指 分野の最先端企業を目指 ビ研究拠点 ビ研究拠点 (以下、 (以下、 拠点) 拠点) にてスムーズに共同研究を推進することを にてスムーズに共同研究を推進することを 企業に提供しています。 企業に提供しています。 討が必要です。 討が必要です。具体的には、 具体的には、 東京大学で開発された少量スケール 東京大学で開発された少量スケール しております。 しております。 目的に、 目的に、 2009年度から富士電機研究員を九州大学に常駐させ、 2009年度から富士電機研究員を九州大学に常駐させ、 富 富 での合成フローを見直し、 での合成フローを見直し、 高品質を維持したまま、 高品質を維持したまま、 工業的な大ス 工業的な大ス 【エネルギー事業】 【エネルギー事業】 士電機が保有するコア技術 士電機が保有するコア技術 (パワーエレクトロニクス技術、 (パワーエレクトロニクス技術、 センシ センシ ケールでも厳密に管理可能な工程を達成するために細かなアレ ケールでも厳密に管理可能な工程を達成するために細かなアレ 火力、 火力、 水力、 水力、 地熱発電等の設備設計から土木建築、 地熱発電等の設備設計から土木建築、 据付工事、 据付工事、 試運 試運 ング技術) ング技術) を応用したフィージビリティー を応用したフィージビリティー・ ・スタディを進めてまい スタディを進めてまい ンジを行っています。 ンジを行っています。また、 また、 開発のスピードアップに繋げられる 開発のスピードアップに繋げられる 転まで、 転まで、 総合的なプラント建設事業を展開しております。 総合的なプラント建設事業を展開しております。また、 また、 再 再 りました。 りました。また、 また、 2009年11月には九州大学 2009年11月には九州大学・ ・富士電機共催のシン 富士電機共催のシン よう頻繁にグループ内のディスカッションを行い、 よう頻繁にグループ内のディスカッションを行い、 九州大学で 九州大学で 生可能エネルギーを用いた太陽光発電、 生可能エネルギーを用いた太陽光発電、 燃料電池発電システム等の 燃料電池発電システム等の ポジウム ポジウム (以下、 (以下、 写真) 写真) を開催し、 を開催し、 お互いの理解が深まる取り組みを お互いの理解が深まる取り組みを の各種スクリーニング評価の結果を、 の各種スクリーニング評価の結果を、 当社のブロックポリマー 当社のブロックポリマー 新しい発電システムを提供し、 新しい発電システムを提供し、 エネルギーインフラ構築を担ってお エネルギーインフラ構築を担ってお 進めてまいりました。 進めてまいりました。 の製造品目の選定や品質改善にタイムリーに反映させています。 の製造品目の選定や品質改善にタイムリーに反映させています。 ります。 ります。 現在、 現在、 富士電機はレドックスイメージンググループに所属し、 富士電機はレドックスイメージンググループに所属し、 兵 兵 今後は九州大学でのスクリーニング、 今後は九州大学でのスクリーニング、 動物実験、 動物実験、 臨床など開発 臨床など開発 【産業システム事業】 【産業システム事業】 藤准教授のご指導のもと生体レドックス画像解析グループの市川 藤准教授のご指導のもと生体レドックス画像解析グループの市川 のステージに合わせて、 のステージに合わせて、 上記のような課題をクリアしながら必 上記のような課題をクリアしながら必 工場やプラント設備等のエネルギー需要の最適化と、 工場やプラント設備等のエネルギー需要の最適化と、 温室効果ガ 温室効果ガ 教授、 教授、 日本電子様と協働で、 日本電子様と協働で、 生体レドックスを非侵襲的に解析可能 生体レドックスを非侵襲的に解析可能 要な量、 要な量、 品質のブロックポリマーを供給していくと共に、 品質のブロックポリマーを供給していくと共に、 その他 その他 ス削減を目指し、 ス削減を目指し、 高効率インバータやモータによる駆動制御システ 高効率インバータやモータによる駆動制御システ なOverhauser-enhanced なOverhauser-enhanced MRI MRI (以下、 (以下、 OMRI) OMRI) の装置技術の研究開 の装置技術の研究開 のテーマについてもPEG誘導体を中心に素材供給を行っていく のテーマについてもPEG誘導体を中心に素材供給を行っていく ムを展開しております。 ムを展開しております。また、 また、 半導体 半導体・ ・液晶製造業界で用いられる 液晶製造業界で用いられる 発を行っております。 発を行っております。開発中のOMRIには、 開発中のOMRIには、 富士電機が得意とする 富士電機が得意とする 予定です。 予定です。 クリーンルームや、 クリーンルームや、 道路トンネルの換気設備等を提供し、 道路トンネルの換気設備等を提供し、 産業シス 産業シス 電力変換技術、 電力変換技術、 磁気制御技術、 磁気制御技術、 磁気計測技術を取り込み、 磁気計測技術を取り込み、 世界最高レ 世界最高レ テムインフラ構築を担っております。 テムインフラ構築を担っております。 ベルの高機能 ベルの高機能・ ・高性能化を実現すべく開発を進めております。 高性能化を実現すべく開発を進めております。また、 また、 【社会システム事業】 【社会システム事業】 再生可能エネルギーの普及に伴い拡大しつつある次世代電力網 再生可能エネルギーの普及に伴い拡大しつつある次世代電力網 生体レドックス内視鏡グループ、 生体レドックス内視鏡グループ、 HOYA様と協働で、 HOYA様と協働で、 物理 物理・ ・化学セ 化学セ ンシング技術を応用した低侵襲検診 ンシング技術を応用した低侵襲検診・ ・治療に貢献する内視鏡内蔵 治療に貢献する内視鏡内蔵 本レドックスナビにおける薬物送達シ 本レドックスナビにおける薬物送達シ (スマートグリッド) (スマートグリッド) 関連事業を展開しております。 関連事業を展開しております。また、 また、 冷凍 冷凍・ ・冷 冷 ステムグループの研究テーマはがん等の ステムグループの研究テーマはがん等の 蔵ショーケース機器からコンビニエンスストアーなどのユニット 蔵ショーケース機器からコンビニエンスストアーなどのユニット レドックス異常の関与が指摘されている レドックス異常の関与が指摘されている 組立型店舗システムを提供し、 組立型店舗システムを提供し、 社会システムインフラ構築を担って 社会システムインフラ構築を担って 3.今後の展開 疾患の遺伝子治療を初めとした治療法の 疾患の遺伝子治療を初めとした治療法の おります。 おります。 拠点と富士電機は、 拠点と富士電機は、 交互に技術交流を深め 交互に技術交流を深め (以下、 (以下、 写真) 写真) 、 、 技術課題 技術課題 探索であり、 探索であり、 グループでは高度なDDS技 グループでは高度なDDS技 【パワエレ機器事業】 【パワエレ機器事業】 センサの開発に取り組んでおります。 センサの開発に取り組んでおります。 の共有化、 の共有化、 新たなイノベーション創出に努めてまいります。 新たなイノベーション創出に努めてまいります。更に、 更に、 術を駆使した治療システムの開発に注力 術を駆使した治療システムの開発に注力 ハイブリッド車、 ハイブリッド車、 電気自動車の動力源になるモータ制御や充電イ 電気自動車の動力源になるモータ制御や充電イ レドックスナビ研究拠点を中心として、 レドックスナビ研究拠点を中心として、 産学産連携に取り組んでい 産学産連携に取り組んでい しています。 しています。 ンフラ設備、 ンフラ設備、 産業機械や工作機械の制御や駆動に欠かせない汎用イ 産業機械や工作機械の制御や駆動に欠かせない汎用イ きたいと考えております。 きたいと考えております。 特にがん治療については東京大学片岡 特にがん治療については東京大学片岡 ンバータ、 ンバータ、 サーボシステム機器事業を展開しております。 サーボシステム機器事業を展開しております。また、 また、 省 省 一則教授らの開発した最新のDDS技術 一則教授らの開発した最新のDDS技術 である遺伝子治療用高分子ミセル型キャ である遺伝子治療用高分子ミセル型キャ 1 14 4 【その他】 【その他】 エネと電気の安定供給に貢献する電源設備を提供しております。 エネと電気の安定供給に貢献する電源設備を提供しております。 【電子デバイス事業】 【電子デバイス事業】 リアの特許を取得し、 リアの特許を取得し、 臨床への展開を前 臨床への展開を前 産業 産業・ ・情報機器、 情報機器、 電気自動車や風力発電 電気自動車や風力発電・ ・太陽光発電などの新エ 太陽光発電などの新エ 提とした開発を進めています。 提とした開発を進めています。当社は高 当社は高 ネルギー分野で効率的な省エネ、 ネルギー分野で効率的な省エネ、 創エネ 創エネ (エネルギを創り出す) (エネルギを創り出す) を実 を実 分子ミセルの素材であるPEG誘導体や 分子ミセルの素材であるPEG誘導体や 現するパワー半導体事業を展開しております。 現するパワー半導体事業を展開しております。また、 また、 複写機 複写機・ ・プリ プリ ブロックポリマーの製造およびGMP生 ブロックポリマーの製造およびGMP生 ンタ用感光体デバイス、 ンタ用感光体デバイス、 パソコンやサーバに使用されるハードディ パソコンやサーバに使用されるハードディ 産に向けた製法確立を主として担当し、 産に向けた製法確立を主として担当し、 スクの記憶媒体 スクの記憶媒体 (ディスク媒体) (ディスク媒体) を提供しております。 を提供しております。 中野 中野 賢二 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 賢二 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 教授 教授 兵藤 兵藤 文紀 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 文紀 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 准教授 准教授 九大・富士電機共催シンポ 九大・富士電機共催シンポ (09年11月) (09年11月) 月例技術検討会 月例技術検討会 1 15 5 KY KYUS USH HUU UNI UNIVE VERSIT RSITY Y Innovation Innovation Center Center for for Medical Medical Redox Redox Navigation Navigation VOL.7 N EWS L ETTER VOL.7 研究紹介 ー 協働企業の視点から ー / 研究成果の公開に向けて ■ ネット 医 療 グ ループ 各種センサーを活用した健康支援システムの開発 研究成果の公開に向けて 九州電力株式会社 高田 和馬 オープン実験室の設置 九州電力株式会社 九州電力株式会社 事業推進本部 事業推進本部 部長 部長 (情報通信事業担当) (情報通信事業担当) 当拠点では、 当拠点では、 民間企業との協働研究を推進し、 民間企業との協働研究を推進し、 レドックスナビ研究に関する基盤計測技 レドックスナビ研究に関する基盤計測技 術開発を行っています。 術開発を行っています。その一環として、 その一環として、 様々な先端計測機器をウエストウイング棟内 様々な先端計測機器をウエストウイング棟内 に設置しています。 に設置しています。これら先端機器を学内の先生方にご利用いただき、 これら先端機器を学内の先生方にご利用いただき、 また共同研究を また共同研究を 弊社は、 弊社は、 電力事業を営んでおりますが、 電力事業を営んでおりますが、 我々が所属する事業推 我々が所属する事業推 た事業を立ち上げ、 た事業を立ち上げ、 サービスとして地域社会へ還元することによ サービスとして地域社会へ還元することによ 進本部は、 進本部は、 九州電力グループ会社へグループとして一体感のある 九州電力グループ会社へグループとして一体感のある り、 り、 安心 安心・ ・安全社会の実現を目指します。 安全社会の実現を目指します。 事業運営を行うためのサポートを行うと共に、 事業運営を行うためのサポートを行うと共に、 弊社とグループ企 弊社とグループ企 ネット医療グループにおいて、 ネット医療グループにおいて、 具体的にどのような研究を行っ 具体的にどのような研究を行っ する予定です。 する予定です。これら機器の運用のために、 これら機器の運用のために、 当拠点 当拠点 業の経営資源を活用した事業の展開を行っています。 業の経営資源を活用した事業の展開を行っています。中でも情 中でも情 ていくかについては、 ていくかについては、 ネット医療グループ内で議論を重ねた結果、 ネット医療グループ内で議論を重ねた結果、 では新たにOMRI装置オペレータ2名を採用いたし では新たにOMRI装置オペレータ2名を採用いたし 報通信事業担当は、 報通信事業担当は、 情報通信事業に関するグループ会社のサポー 情報通信事業に関するグループ会社のサポー 長期的に取り組む内容と中期で取り組む内容とに分けて進めて 長期的に取り組む内容と中期で取り組む内容とに分けて進めて ました。 ました。オペレータの計測研修後、 オペレータの計測研修後、 8月より本格的 8月より本格的 トや弊社とグループ会社が保有する情報通信基盤を活用した事 トや弊社とグループ会社が保有する情報通信基盤を活用した事 いくこととなりました。 いくこととなりました。長期的な取り組みとしては、 長期的な取り組みとしては、 レドックス レドックス に測定受付けを始める予定です。 に測定受付けを始める予定です。共同研究等の詳 共同研究等の詳 業の展開等に取り組んでいます。 業の展開等に取り組んでいます。 ナビ研究拠点の研究成果を活用するサービスの開発であり、 ナビ研究拠点の研究成果を活用するサービスの開発であり、 細については、 細については、 下記担当者までメールにてご相談く 下記担当者までメールにてご相談く 情報通信事業グループ会社が提供している主な情報通信サー 情報通信事業グループ会社が提供している主な情報通信サー OMRIなどによる遠隔画像診断システムの開発を目指します。 OMRIなどによる遠隔画像診断システムの開発を目指します。ま ま ださい。 ださい。 ビスとしては、 ビスとしては、 ㈱キューデンインフォコムが提供しているデータ ㈱キューデンインフォコムが提供しているデータ た、 た、 中期的な取り組みとしては、 中期的な取り組みとしては、 健康支援システムの開発を行い 健康支援システムの開発を行い センターや九州通信ネットワーク㈱によるブロードバンドサー センターや九州通信ネットワーク㈱によるブロードバンドサー ます。 ます。健康支援システムとは、 健康支援システムとは、 利用者の家庭に各種バイタルセン 利用者の家庭に各種バイタルセン ビスなどがあります。 ビスなどがあります。データセンターの特徴は、 データセンターの特徴は、 強固なファシリ 強固なファシリ サー等を設置し、 サー等を設置し、 それらから得られた情報を基に分析を行い、 それらから得られた情報を基に分析を行い、 利 利 ティと厳重なセキュリティです。 ティと厳重なセキュリティです。福岡西方沖地震の時には、 福岡西方沖地震の時には、 デー デー 用者の現在の健康状況について情報を提供し、 用者の現在の健康状況について情報を提供し、 利用者の行動変容 利用者の行動変容 タセンターの免震構造がその機能を発揮し、 タセンターの免震構造がその機能を発揮し、 データセンター内に データセンター内に を促すことによって健康の手助けを行うものです。 を促すことによって健康の手助けを行うものです。さらには得 さらには得 飾ってあった一輪挿しの花瓶が倒れなかったという逸話が残っ 飾ってあった一輪挿しの花瓶が倒れなかったという逸話が残っ られたバイタルデータを基に現在の健康状況だけでなく、 られたバイタルデータを基に現在の健康状況だけでなく、 近い将 近い将 ています。 ています。またブロードバンドサービスは、 またブロードバンドサービスは、 九州域内に張り巡ら 九州域内に張り巡ら 来における健康情報 来における健康情報 (病気になる可能性やその病名) (病気になる可能性やその病名) についても、 についても、 レドックスナビ研究拠点セミナーは、 レドックスナビ研究拠点セミナーは、 レドックスナビ研究拠点の研究成果に関する知識の共有化と、 レドックスナビ研究拠点の研究成果に関する知識の共有化と、 学内の先生方に対しては、 学内の先生方に対しては、 した光ファイバーネットワークによる高速インターネット回線 した光ファイバーネットワークによる高速インターネット回線 それを自動で推測し、 それを自動で推測し、 情報提供を行うことを考えています。 情報提供を行うことを考えています。その その 本拠点の研究成果を広く知ってもらい、 本拠点の研究成果を広く知ってもらい、 利用して頂くことを目的に開催するものです。 利用して頂くことを目的に開催するものです。 や専用線を提供しています。 や専用線を提供しています。なお、 なお、 当グループの研究におけるシ 当グループの研究におけるシ ためには各種バイタルセンサーからの情報と健康情報との相関 ためには各種バイタルセンサーからの情報と健康情報との相関 第一回目は、 第一回目は、 平成23年5月12日レドックスナビ研究拠点会議室にて行いました。 平成23年5月12日レドックスナビ研究拠点会議室にて行いました。はじめに、 はじめに、 井口登與志副拠点長からセミナー 井口登與志副拠点長からセミナー ステム開発は、 ステム開発は、 弊社グループである九電ビジネスソリューション 弊社グループである九電ビジネスソリューション 関係を把握する必要があり、 関係を把握する必要があり、 今後は実証試験などを行いながら、 今後は実証試験などを行いながら、 開催の趣旨が紹介され、 開催の趣旨が紹介され、 引き続きメタボリック・プロファイリンググループの三浦大典グループ長が 引き続きメタボリック・プロファイリンググループの三浦大典グループ長が 「質量分析を用いた代謝動態 「質量分析を用いた代謝動態 ズ㈱が行っています。 ズ㈱が行っています。そして弊社は、 そして弊社は、 これらの情報通信基盤を活 これらの情報通信基盤を活 その相関関係を見出す研究を進めていくこととしています。 その相関関係を見出す研究を進めていくこととしています。 用した新規事業展開を行うために、 用した新規事業展開を行うために、 様々な新しいサービスについ 様々な新しいサービスについ 研究初年度は、 研究初年度は、 健康支援システムにおけるバイタルデータの収 健康支援システムにおけるバイタルデータの収 て検討をしています。 て検討をしています。 集システムについて試験的に構築を行いました。 集システムについて試験的に構築を行いました。今後は、 今後は、 この収 この収 このように我々の部署は事業化の推進を図るところであり、 このように我々の部署は事業化の推進を図るところであり、 本 本 集システムの利便性の向上や実証試験を行い、 集システムの利便性の向上や実証試験を行い、 健康支援システム 健康支援システム 拠点でも、 拠点でも、 拠点における研究成果と弊社の情報通信基盤を活用し 拠点における研究成果と弊社の情報通信基盤を活用し の開発に向けてグループ一丸となり研究に取り組んでまいります。 の開発に向けてグループ一丸となり研究に取り組んでまいります。 進めていくために、 進めていくために、 現在オープン実験室の準備を進めています。 現在オープン実験室の準備を進めています。オープン実験室には、 オープン実験室には、 OMRI装置、 OMRI装置、 MS装置等の先端機器を設置し、 MS装置等の先端機器を設置し、 学内の先生方にもご利用いただけるように 学内の先生方にもご利用いただけるように 磁場循環型高磁場OMRI装置 磁場循環型高磁場OMRI装置 向かって 向かって (左) (左) 加藤、 加藤、 (右) (右) 角田 角田 連絡先:市川和洋 連絡先:市川和洋 (副拠点長 (副拠点長 (研究担当) (研究担当) ) ) メールアドレス:[email protected] メールアドレス:[email protected] 核偏極装置 核偏極装置 レドックスナビ研究拠点セミナー の時空間分解可視化」 の時空間分解可視化」 と題し、 と題し、 新しい生体分子可視化技術である質量分析イメージングについて、 新しい生体分子可視化技術である質量分析イメージングについて、 原理から細胞系、 原理から細胞系、 病態モデルラッ 病態モデルラッ トを用いた応用までを含む、 トを用いた応用までを含む、 幅広い内容で約45分の講演を行いました。 幅広い内容で約45分の講演を行いました。講演後の質疑応答では、 講演後の質疑応答では、 具体的な実験方法についての質 具体的な実験方法についての質 問が相次ぎ、 問が相次ぎ、 多くの先生方が 多くの先生方が 「この技術を利用したい」 「この技術を利用したい」 とご興味を持っていらっしゃるように感じました。 とご興味を持っていらっしゃるように感じました。 第二回目は、 第二回目は、 7月7日に生体レドックス画像解析グループの市川和洋グループ長が 7月7日に生体レドックス画像解析グループの市川和洋グループ長が 「生理機能の磁気共鳴イメージング」 「生理機能の磁気共鳴イメージング」 について について 講演をし、 講演をし、 磁気共鳴装置の原理から、 磁気共鳴装置の原理から、 実際にレドックスナビ研究拠点で計測可能な様々な装置について説明を行いました。 実際にレドックスナビ研究拠点で計測可能な様々な装置について説明を行いました。質疑応 質疑応 答では、 答では、 臨床を見据えた開発戦略について、 臨床を見据えた開発戦略について、 活発な議論がなされました。 活発な議論がなされました。 両日ともに、 両日ともに、 予想以上に多くの方々に来て頂き、 予想以上に多くの方々に来て頂き、 廊下で立ったまま聞く先生がいらっしゃるほど、 廊下で立ったまま聞く先生がいらっしゃるほど、 盛況のうちに会を終了するこ 盛況のうちに会を終了するこ 健康支援システム概要図 とが出来ました。 とが出来ました。 今後とも定期的にセミナーを開催していく予定としております。 今後とも定期的にセミナーを開催していく予定としております。多くの皆様のご来聴をお願い申し上げます。 多くの皆様のご来聴をお願い申し上げます。 三浦大典 三浦大典 グループ長による講演風景 グループ長による講演風景 今後の予定 市川和洋 市川和洋 グループ長による講演風景 グループ長による講演風景 9月 「OMRIを用いた生体レドックスイメージング(仮題)」 レドックスイメージンググループ・グループ長 兵藤文紀 レドックスイメージンググループ・グループ長 兵藤文紀 * * 隔月の第2木曜日16:00-17:00を予定しております。 隔月の第2木曜日16:00-17:00を予定しております。 * * 場所:ウエストウイング6F 場所:ウエストウイング6F 「レドックスナビ研究拠点会議室 「レドックスナビ研究拠点会議室 (613) (613) 」 」 安川 安川 圭司 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 圭司 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 准教授 准教授 1 16 6 1 17 7 KY KYUS USH HUU UNI UNIVE VERSIT RSITY Y Innovation Innovation Center Center for for Medical Medical Redox Redox Navigation Navigation VOL.7 N EWS L ETTER VOL.7 グループ間融合若手研究 グループ間融合若手研究 レドックスナビ研究拠点では、 レドックスナビ研究拠点では、 基礎研究レベルの底上げとグループ間融合研究の促進を目指し、 基礎研究レベルの底上げとグループ間融合研究の促進を目指し、 様々な取り組みを行っています。 様々な取り組みを行っています。これまでに これまでに も、 も、 拠点に所属する若手研究員の間で融合研究が生まれており、 拠点に所属する若手研究員の間で融合研究が生まれており、 脳虚血再灌流後の代謝状態について可視化することに成功しました 脳虚血再灌流後の代謝状態について可視化することに成功しました (Anal (Anal Chem. Chem. 2010;82(23):9789-96) 2010;82(23):9789-96) 。 。また、 また、 タイ王国マヒドール大学教授のDr. タイ王国マヒドール大学教授のDr. Noppawan Noppawan Phumala Phumala Moralesを訪問研究員としてお迎えし、 Moralesを訪問研究員としてお迎えし、 サラセミア サラセミア (地中 (地中 海性貧血) 海性貧血) におけるレドックス変動について、 におけるレドックス変動について、 生体レドックス画像解析グループ及びレドックスイメージンググループと共同研究を進めており 生体レドックス画像解析グループ及びレドックスイメージンググループと共同研究を進めており ます。 ます。 Free radical production in iron overload and development of iron chelator Noppawan Phumala Morales Department Department of of Pharmacology, Pharmacology, Faculty Faculty of of Science, Science, Mahidol Mahidol University, University, Bangkok, Bangkok, Thailand Thailand Dr. Dr. Morales Morales is is aa professor professor at at Department Department of of Pharmacology, Pharmacology, Faculty Faculty of of Science, Science, Mahidol Mahidol University, University, Bangkok, Bangkok, Thailand. Thailand. Her Her research research has has been been focused focused on on oxidative oxidative stress stress in in iron iron overload-associated overload-associated diseases diseases such such as as thalassemia. thalassemia. She She will will visit visit our our center center 平 平成22年 成22年度 度か から らは、 は、 「 「若 若手 手育 育成 成事 事業」 業」 と とし して、 て、 レ レド ドッ ック クス スナ ナビ ビ as as aa guest guest professor professor to to work work research research using using Overhauser-enhanced Overhauser-enhanced MRI MRI(OMRI) (OMRI).. With With the the advantage advantage of of OMRI OMRI as as aa novel novel real-time real-time ゲーションに関する若手研究者のグループ横断型の人材育成に向 ゲーションに関する若手研究者のグループ横断型の人材育成に向 and and non-invasive non-invasive imaging imaging modality, modality, her her research research attempts attempts to to clarify clarify the the site site of of iron-induced iron-induced free free radical radical generation generation and and target target け融合研究を支援するために、 け融合研究を支援するために、 学内研究者・大学院生 学内研究者・大学院生 (博士後期課 (博士後期課 organs organs of of iron iron chelators chelators in in living living animals animals(兵藤グループ長による紹介) (兵藤グループ長による紹介) .. 程) 程) から研究テーマの募集を開始いたしました。 から研究テーマの募集を開始いたしました。採択研究者・課題 採択研究者・課題 Systemic Systemic iron iron overload overload is is an an important important clinical clinical manifestation manifestation in in genetic genetic hemochromatosis hemochromatosis and and hemoglobinopathy hemoglobinopathy such such as as に対しては、 に対しては、 研究費と必要に応じて人件費が支給されます。 研究費と必要に応じて人件費が支給されます。また、 また、 thalassemia. thalassemia. Iron Iron accumulates accumulates in in various various tissues tissues in in the the different different forms, forms, high high and and low low molecular molecular weight weight iron iron forms. forms. The The most most concern concern is is the the low low molecular molecular weight weight iron iron forms, forms, since since they they are are believed believed to to be be“active “active iron” iron”that that capable capable to to induce induce free free radical radical 拠点内に研究スペースとデスクが与えられ、 拠点内に研究スペースとデスクが与えられ、 拠点にある最先端の 拠点にある最先端の reactions reactions via via Fenton Fenton and and Harber-Weiss Harber-Weiss reaction reaction and and consequently consequently oxidative oxidative organ organ damages. damages. Therefore, Therefore, the the ultimate ultimate goal goal of of the the 機器の利用が出来ます。 機器の利用が出来ます。平成22年度の若手育成事業にて採用され 平成22年度の若手育成事業にて採用され treatment treatment is is removing removing the the excess excess iron iron and and reduction reduction of of oxidative oxidative stress stress by by iron iron chelation. chelation. However, However, the the distribution distribution of of the the low low た課題では、 た課題では、 「 「脳疾患」 脳疾患」 をターゲットとする研究が多く、 をターゲットとする研究が多く、 精神科、 精神科、 糖 糖 molecular molecular weight weight iron iron in in the the organs organs is is diverse, diverse, depending depending on on several several factors factors including including source source of of the the excess excess iron iron and and individual individual iron iron 尿病、 尿病、 脳循環、 脳循環、 そして薬学の全く異なった分野の若手研究の融合研 そして薬学の全く異なった分野の若手研究の融合研 metabolism. metabolism. Hence, Hence, it it is is aa factor factor that that limit limit of of success success rate rate of of iron iron chelation chelation therapy. therapy. 究が起こり、 究が起こり、 日常的に活発にディスカッションを行う環境が形成 日常的に活発にディスカッションを行う環境が形成 This This research research attempts attempts to to localize localize the the site site of of iron-induced iron-induced free free radical radical reaction reaction and and target target site site of of iron iron chelator chelator in in iron iron overload overload されています されています (図1) (図1) 。 。さらには、 さらには、 「 「脳とレドックス」 脳とレドックス」 と題し若手研究 と題し若手研究 mice mice models models by by aa novel novel real real time time and and non-invasive non-invasive technique technique of of Overhauser Overhauser Enhanced Enhanced Magnetic Magnetic Resonance Resonance Imaging Imaging(OMRI) (OMRI).. The The 者による研究発表会を開催するまでに発展しました 者による研究発表会を開催するまでに発展しました (平成22年11 (平成22年11 whole whole body body images images of of aa nitroxyl nitroxyl probes, probes, carbamoyl-PROXYL carbamoyl-PROXYL were were obtained obtained and and rate rate of of signal signal decay decay was was used used to to estimate estimate free free 月28日@二日市市、 月28日@二日市市、 大丸別荘) 大丸別荘) 。 。 radical radical reactions reactions in in the the individual individual organs organs simultaneously, simultaneously, including including liver, liver, heart heart and and kidney. kidney. The The results results revealed revealed the the discrepancy discrepancy in in kinetics kinetics of of free free radical radical production production in in each each organ. organ. In In addition, addition, the the preliminary preliminary data data demonstrated demonstrated that that treatment treatment of of an an iron iron chelator, chelator, deferiprone deferiprone delayed delayed the the rate rate of of nitroxyl nitroxyl signal signal decay. decay. Furthermore, Furthermore, the the three three iron iron chelators chelators with with difference difference in in chemical chemical properties properties 本事業は、 本事業は、 書類による審査、 書類による審査、 拠点内の研究員による評価、 拠点内の研究員による評価、 そして そして 選考委員会 選考委員会 (審査委員長:井上圭三) (審査委員長:井上圭三) による審査を経て決定されま による審査を経て決定されま す す (図2) (図2) 。 。今年度も6課題が採択され、 今年度も6課題が採択され、 研究が進められています。 研究が進められています。 will will be be investigated. investigated. We We expected expected that that whole whole body body imaging imaging of of nitroxyl nitroxyl probes probes by by OMRI OMRI may may provide provide aa new new approach approach to to investigate investigate 図1 様々な分野の融合による研究展開 図1 様々な分野の融合による研究展開 free free radical radical in in iron iron overload. overload. The The valuable valuable results results could could be be key key information information for for development development of of iron iron chlator chlator for for various various specific specific iron iron overload overload conditions. conditions. レドックス反応を介した脳疾患の病態機序解明 大和 真由実 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 私は、 私は、 レドックスナビ研究拠点において、 レドックスナビ研究拠点において、 Overhauser効果MRI Overhauser効果MRI(OMRI) (OMRI)を用い、 を用い、 脳疾患モデル動物の病態メカニズム解析を行っています。 脳疾患モデル動物の病態メカニズム解析を行っています。そ そ の一例として、 の一例として、 レドックス反応を介した覚せい剤精神病のメカニズム解明を行いましたので、 レドックス反応を介した覚せい剤精神病のメカニズム解明を行いましたので、 ご報告いたします。 ご報告いたします。 覚せい剤メタンフェタミンの乱用は、 覚せい剤メタンフェタミンの乱用は、 日本だけでなく、 日本だけでなく、 世界的な問題となっております。 世界的な問題となっております。長期的なメタンフェタミンの使用により、 長期的なメタンフェタミンの使用により、 自発運動量 自発運動量 増加作用や常同行動誘発作用が増強され 増加作用や常同行動誘発作用が増強され (逆耐性現象) (逆耐性現象) 、 、 この逆耐性現象は一旦成立すると長期の断薬後でも持続するという特徴があります。 この逆耐性現象は一旦成立すると長期の断薬後でも持続するという特徴があります。メ メ タンフェタミンによる逆耐性現象は、 タンフェタミンによる逆耐性現象は、 再燃のしやすさから、 再燃のしやすさから、 覚せい剤精神病や統合失調症の病態の一面を示す、 覚せい剤精神病や統合失調症の病態の一面を示す、 脳神経可塑的変化の動物モデル 脳神経可塑的変化の動物モデル と考えられています。 と考えられています。病態形成のメカニズムとしては、 病態形成のメカニズムとしては、 メタンフェタミン投与動物の脳内において、 メタンフェタミン投与動物の脳内において、 脂質過酸化物の蓄積が認められることから、 脂質過酸化物の蓄積が認められることから、 酸化ストレスの関与が示唆されていますが、 酸化ストレスの関与が示唆されていますが、 未だ不明な点が多くあります。 未だ不明な点が多くあります。 Wistar系雄性ラットにメタンフェタミンを投与したところ、 Wistar系雄性ラットにメタンフェタミンを投与したところ、 これまでの報告と一致して、 これまでの報告と一致して、 自発運動量及びドーパミン遊離量が亢進しました。 自発運動量及びドーパミン遊離量が亢進しました。 この神経活動亢進に伴い、 この神経活動亢進に伴い、 脳内ATPの減少、 脳内ATPの減少、 酸素消費増加が観察されました。 酸素消費増加が観察されました。生体内では酸素の大部分が、 生体内では酸素の大部分が、 ミトコンドリア電子伝達系で消費され ミトコンドリア電子伝達系で消費され ることから、 ることから、 メタンフェタミン投与後には、 メタンフェタミン投与後には、 その活性化が起こっていることが示唆されました。 その活性化が起こっていることが示唆されました。一方、 一方、 OMRIを用いることで、 OMRIを用いることで、 レドックス反応を レドックス反応を 指標として、 指標として、 ミトコンドリア機能を非侵襲的に視覚化することが出来ます。 ミトコンドリア機能を非侵襲的に視覚化することが出来ます。メタンフェタミン投与ラットについてOMRI画像解析を行ったとこ メタンフェタミン投与ラットについてOMRI画像解析を行ったとこ ろ、 ろ、 脳全体において、 脳全体において、 レドックス反応の亢進が明らかとなりました。 レドックス反応の亢進が明らかとなりました。 メタンフェタミン投与時に観察された脳内酸素濃度の低下、 メタンフェタミン投与時に観察された脳内酸素濃度の低下、 および脳内レドックス状態の変化は、 および脳内レドックス状態の変化は、 神経活動で消費されたATPを補うためのミ 神経活動で消費されたATPを補うためのミ トコンドリア活動亢進を示唆しているものと考えられます。 トコンドリア活動亢進を示唆しているものと考えられます。また、 また、 ミトコンドリア電子伝達系の反応では、 ミトコンドリア電子伝達系の反応では、 ATP産生の過程でスーパーオキサイ ATP産生の過程でスーパーオキサイ 図2 図2 「若手育成事業」 「若手育成事業」 審査・決定までの流れ 審査・決定までの流れ ドアニオンラジカルが生成し、 ドアニオンラジカルが生成し、 酸化ストレスを惹起することが知られています。 酸化ストレスを惹起することが知られています。以上の結果から、 以上の結果から、 メタンフェタミン投与時の酸化ストレスのメ メタンフェタミン投与時の酸化ストレスのメ カニズムの一つとして、 カニズムの一つとして、 神経活動に伴うミトコンドリア活性化の関与が明らかとなりました 神経活動に伴うミトコンドリア活性化の関与が明らかとなりました (Neuroimage. (Neuroimage. 2011;57(3):866-72) 2011;57(3):866-72) 。 。 これまでにも拠点内において様々な共同研究の機会に恵まれてきました。 これまでにも拠点内において様々な共同研究の機会に恵まれてきました。その際のキーワードは、 その際のキーワードは、 「 「脳虚血」 脳虚血」 であったり、 であったり、 「 「レドックスイメージ レドックスイメージ 1 18 8 これらの取り組みによって、 これらの取り組みによって、 グループ間の融合研究が促進し、 グループ間の融合研究が促進し、 レドックスに関する疾患の分析、 レドックスに関する疾患の分析、 早期診断、 早期診断、 治療、 治療、 創薬を一貫して推進する先端 創薬を一貫して推進する先端 ング」 ング」 であったり、 であったり、 「 「神経疾患」 神経疾患」 であったり様々です。 であったり様々です。今後も拠点内外の方々との研究を通して、 今後も拠点内外の方々との研究を通して、 脳疾患のメカニズム解明に携わっていきたいと考 脳疾患のメカニズム解明に携わっていきたいと考 融合医療領域の創成が進むと考えております。 融合医療領域の創成が進むと考えております。 えています。 えています。 1 19 9 KY KYUS USH HUU UNI UNIVE VERSIT RSITY Y Innovation Innovation Center Center for for Medical Medical Redox Redox Navigation Navigation VOL.7 N EWS L ETTER VOL.7 2011年度 若手育成事業の研究紹介 2011年度 若手育成事業の研究紹介 脳梗塞機能回復過程におけるペリサイトの役割と レドックスによる制御 微量金属輸送体の発現量制御により維持される 細胞内レドックス環境に関する研究 九州大学大学院薬学研究院細胞生物薬学分野 藤 田 英 明 九州大学大学院薬学研究院細胞生物薬学分野 九州大学病院 吾 郷 哲 朗 九州大学病院 腎・高血圧・脳血管内科 腎・高血圧・脳血管内科(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学) (九州大学大学院医学研究院病態機能内科学) 脳血管では、 脳血管では、 内皮細胞間の接着が強固であり、 内皮細胞間の接着が強固であり、 物質の透過を厳密に制限する血液脳関門 物質の透過を厳密に制限する血液脳関門 (Blood-Brain (Blood-Brain Barrier=BBB) Barrier=BBB) が存在する。 が存在する。脳では内皮 脳では内皮 細胞を取り巻くペリサイトの存在比率が他臓器に比し特に高いことが知られ、 細胞を取り巻くペリサイトの存在比率が他臓器に比し特に高いことが知られ、 ペリサイトのBBB形成維持における重要性が示唆される。 ペリサイトのBBB形成維持における重要性が示唆される。脳虚 脳虚 血時、 血時、 BBBの構築を維持することは、 BBBの構築を維持することは、 脳浮腫抑制や神経細胞機能維持の観点からも極めて重要である。 脳浮腫抑制や神経細胞機能維持の観点からも極めて重要である。また、 また、 脳虚血後に生じる組織修復・再生過 脳虚血後に生じる組織修復・再生過 細胞内レドックス環境は鉄を含めた様々な微量金属の濃度に影響される事が知られている。 細胞内レドックス環境は鉄を含めた様々な微量金属の濃度に影響される事が知られている。細胞内微量金属の濃度は主に細胞膜上に存在する輸送体の 細胞内微量金属の濃度は主に細胞膜上に存在する輸送体の 発現量により調節されている。 発現量により調節されている。この輸送体の発現量調節機構として転写 この輸送体の発現量調節機構として転写・ ・翻訳レベルでの制御が良く知られているが、 翻訳レベルでの制御が良く知られているが、 同時にすでに発現している輸送体蛋 同時にすでに発現している輸送体蛋 白質自身を速やかに分解 白質自身を速やかに分解・ ・排除する機構の存在も重要である。 排除する機構の存在も重要である。私はこれまでに、 私はこれまでに、 鉄の取り込みに関与するトランスフェリン受容体 鉄の取り込みに関与するトランスフェリン受容体 (TfR) (TfR) が鉄濃度依存的に が鉄濃度依存的に ユビキチン化を受けリソソームで分解を受けていることを見出した。 ユビキチン化を受けリソソームで分解を受けていることを見出した。さらに平成22年度本若手事業において、 さらに平成22年度本若手事業において、 TfRのユビキチンリガーゼ候補分子を複数 TfRのユビキチンリガーゼ候補分子を複数 同定することに成功した。 同定することに成功した。 平成23年度は同定されたユビキチンリガーゼがどのようにして細胞内外の金属濃度や細胞内レドックス環境の変化を検知してTfRのユビキチン化 平成23年度は同定されたユビキチンリガーゼがどのようにして細胞内外の金属濃度や細胞内レドックス環境の変化を検知してTfRのユビキチン化・ ・ダ ダ ウンレギュレーションを引き起こしているのかを分子 ウンレギュレーションを引き起こしているのかを分子・ ・細胞生物学的手法を用いて明らかにする。 細胞生物学的手法を用いて明らかにする。さらに、 さらに、 TfRの発現量制御により維持される細胞内レ TfRの発現量制御により維持される細胞内レ ドックス環境に関する研究を、 ドックス環境に関する研究を、 脳血管内皮細胞およびその周辺細胞 脳血管内皮細胞およびその周辺細胞 (ペリサイト) (ペリサイト) を用いて解析を行う。 を用いて解析を行う。生後初期ラット脳において血液脳関門の形成時に 生後初期ラット脳において血液脳関門の形成時に は血管内皮細胞およびペリサイトの増殖を促進するために、 は血管内皮細胞およびペリサイトの増殖を促進するために、 TfRの発現が一過性に上昇し、 TfRの発現が一過性に上昇し、 その後血液脳関門の成熟に伴いTfRの発現量が減少する。 その後血液脳関門の成熟に伴いTfRの発現量が減少する。血液 血液 脳関門の形成 脳関門の形成・ ・再生時のTfR発現量変化が同定したユビキチンリガーゼによる制御を受けているかについて解析を行う。 再生時のTfR発現量変化が同定したユビキチンリガーゼによる制御を受けているかについて解析を行う。ユビキチンリガーゼによるTfR発 ユビキチンリガーゼによるTfR発 現量制御は、 現量制御は、 脳機能障害 脳機能障害・ ・長期輸血 長期輸血・ ・アスベストによる悪性中皮腫発がん アスベストによる悪性中皮腫発がん・ ・感染症を含めた様々な鉄過剰障害からの回復治療法の一助になる事が期待される。 感染症を含めた様々な鉄過剰障害からの回復治療法の一助になる事が期待される。 程においても、 程においても、 ペリサイトは重要な役割を果たすと考えられる。 ペリサイトは重要な役割を果たすと考えられる。 我々は、 我々は、 とくにペリサイト機能に注目し、 とくにペリサイト機能に注目し、 脳梗塞発症後の修復・再生促進の分子メカニズムについて、 脳梗塞発症後の修復・再生促進の分子メカニズムについて、 マウス脳梗塞モデルを用いた個体レベル、 マウス脳梗塞モデルを用いた個体レベル、 ペリサイトを含む各種培養細胞を用いた細胞レベルでの検討を行っている。 ペリサイトを含む各種培養細胞を用いた細胞レベルでの検討を行っている。これまでに、 これまでに、 脳梗塞周囲のペナンブラ領域に限局して、 脳梗塞周囲のペナンブラ領域に限局して、 PDGF受容 PDGF受容 体の発現が上昇したペリサイトが集簇することを見出している。 体の発現が上昇したペリサイトが集簇することを見出している。さらに、 さらに、 ペリサイトにおけるPDGF受容体の発現制御機構、 ペリサイトにおけるPDGF受容体の発現制御機構、 PDGF受容体を介 PDGF受容体を介 したシグナル伝達が周囲組織に及ぼす効果について興味深い知見を得ている。 したシグナル伝達が周囲組織に及ぼす効果について興味深い知見を得ている。また、 また、 これら脳梗塞修復・再生過程において、 これら脳梗塞修復・再生過程において、 心血管系細胞の主た 心血管系細胞の主た る活性酸素種産生酵素である る活性酸素種産生酵素である Nox4 Nox4 がどのような影響を及ぼすかについての検討も行っている。 がどのような影響を及ぼすかについての検討も行っている。 ペリサイトはBBBの機能維持のみならず、 ペリサイトはBBBの機能維持のみならず、 脳梗塞後の組織修復・再生においても重要な役割を果たしていると考えられる。 脳梗塞後の組織修復・再生においても重要な役割を果たしていると考えられる。その詳細なメカニ その詳細なメカニ ズムを明らかにすることは、 ズムを明らかにすることは、 神経機能回復促進という新たな立場からの脳梗塞治療の手がかりとなると考えている。 神経機能回復促進という新たな立場からの脳梗塞治療の手がかりとなると考えている。 レドックス反応と炎症反応に関与する 腫瘍関連マクロファージ(Tumor associated macrophage; TAM) を標的とする新しいがん治療創薬研究 糖尿病性認知症(脳機能障害)の疾患概念の確立と 分子機序・治療法の探索 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 園 田 紀 之 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 九州大学大学院薬学研究院創薬腫瘍科学講座 渡 公 佑 九州大学大学院薬学研究院創薬腫瘍科学講座 がんの発症や進展に炎症や感染が深く関与することはよく知られている。 がんの発症や進展に炎症や感染が深く関与することはよく知られている。我々は炎症応答のがんの悪性進展への関与が、 我々は炎症応答のがんの悪性進展への関与が、 がんの増大や転移と がんの増大や転移と 関連する血管新生誘導によることに注目し研究を進めてきた。 関連する血管新生誘導によることに注目し研究を進めてきた。またこの炎症応答としてがんに浸潤してくるマクロファージは腫瘍関連マクロ またこの炎症応答としてがんに浸潤してくるマクロファージは腫瘍関連マクロ 早いもので、 早いもので、 レドックスナビ拠点で研究を開始させて頂き、 レドックスナビ拠点で研究を開始させて頂き、 約1年が過ぎました。 約1年が過ぎました。現在私は研究留学から帰国後、 現在私は研究留学から帰国後、 病院勤務を経て糖尿病に合併 病院勤務を経て糖尿病に合併 した認知症の発症機構とその治療法についての研究をすすめております。 した認知症の発症機構とその治療法についての研究をすすめております。私の専門とする糖尿病は近年の疫学研究より高率に認知症を合併す 私の専門とする糖尿病は近年の疫学研究より高率に認知症を合併す ることが明らかとなってきました。 ることが明らかとなってきました。これは急増する糖尿病患者と今後我々が迎える超高齢化社会を考えると重要な問題でありますが、 これは急増する糖尿病患者と今後我々が迎える超高齢化社会を考えると重要な問題でありますが、 これまで これまで その発症メカニズムなどがあまり理解されていない新しい分野です。 その発症メカニズムなどがあまり理解されていない新しい分野です。拠点内外の多くの研究者の方々のご協力のもと複数の糖尿病モデル動物 拠点内外の多くの研究者の方々のご協力のもと複数の糖尿病モデル動物 や培養細胞を用いて脳の高次機能、 や培養細胞を用いて脳の高次機能、 脳内の酸化ストレス、 脳内の酸化ストレス、 分子生物学的解析や組織学的解析をすすめているところであります。 分子生物学的解析や組織学的解析をすすめているところであります。初めて立ち上げ 初めて立ち上げ るような実験系も多く、 るような実験系も多く、 この1年は試行錯誤を繰り返しながら無我夢中で取り組んで参りました。 この1年は試行錯誤を繰り返しながら無我夢中で取り組んで参りました。これまでに糖尿病から脳の高次機能障害へ至 これまでに糖尿病から脳の高次機能障害へ至 る過程には様々な経路があることを見出すことができました。 る過程には様々な経路があることを見出すことができました。未発表のため詳細を書くことはできませんがそのメカニズムについても興味深 未発表のため詳細を書くことはできませんがそのメカニズムについても興味深 い研究結果が得られつつあります。 い研究結果が得られつつあります。2年目はこの成果をさらに発展させ、 2年目はこの成果をさらに発展させ、 外へ発信していくとともに、 外へ発信していくとともに、 これが人への診断や治療へいかに応用で これが人への診断や治療へいかに応用で きるかを意識しながら、 きるかを意識しながら、 微力ながら頑張っていきたいと思っております。 微力ながら頑張っていきたいと思っております。今後ともどうか宜しくお願い致します。 今後ともどうか宜しくお願い致します。 脳内酸化ストレス反応を介した精神疾患の 病態・治療機序の解明 加藤 隆弘 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 (九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野) (九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野) 昨年4月より本拠点に着任させていただいております加藤隆弘と申します。 昨年4月より本拠点に着任させていただいております加藤隆弘と申します。私は現在12年目の精神科医です。 私は現在12年目の精神科医です。精神科医としては、 精神科医としては、 無意識の存在を認め、 無意識の存在を認め、 無 無 意識を扱う精神分析に関して修行中です。 意識を扱う精神分析に関して修行中です。同時に、 同時に、 ミクログリアという脳内免疫細胞に着目し、 ミクログリアという脳内免疫細胞に着目し、 精神神経免疫学の視点から統合失調症の基礎研究に取り組ん 精神神経免疫学の視点から統合失調症の基礎研究に取り組ん でいます。 でいます。こうして、 こうして、 心と脳の関係を常に考えざるを得ない立場を歩んでいます。 心と脳の関係を常に考えざるを得ない立場を歩んでいます。私のような精神科医は稀であり、 私のような精神科医は稀であり、 多くの精神科医は 多くの精神科医は 「心は心の専門家に、 「心は心の専門家に、 脳 脳 は脳の専門家に」 は脳の専門家に」 という具合に心と脳を別々に切り離して扱いがちです。 という具合に心と脳を別々に切り離して扱いがちです。それは仕方ありません、 それは仕方ありません、 心と脳の接点は未だにほとんど見出されていないからです。 心と脳の接点は未だにほとんど見出されていないからです。 私は、 私は、 本拠点に着任し、 本拠点に着任し、 様々な専門性を有する多くの気鋭の研究者と交流することで、 様々な専門性を有する多くの気鋭の研究者と交流することで、 「 「脳内レドックス反応こそが、 脳内レドックス反応こそが、 脳と心の接点を繋ぐ鍵ではないか?」 脳と心の接点を繋ぐ鍵ではないか?」 と考 と考 えるようになりました。 えるようになりました。微細な心の動きは脳内の微細なレドックス反応によって動かされているのかもしれません。 微細な心の動きは脳内の微細なレドックス反応によって動かされているのかもしれません。もしそうなら、 もしそうなら、 レドックス反応の制御に レドックス反応の制御に よって精神疾患の治療が可能になるかもしれません。 よって精神疾患の治療が可能になるかもしれません。こんな夢 こんな夢 (仮説) (仮説) を持って研究に取り組んでいます。 を持って研究に取り組んでいます。本拠点の各グループのみなさんと連携し、 本拠点の各グループのみなさんと連携し、 現在は主 現在は主 に、 に、 精神疾患動物モデルを用いた脳内レドックス反応や脳内代謝動態の解析を行っています。 精神疾患動物モデルを用いた脳内レドックス反応や脳内代謝動態の解析を行っています。同時に、 同時に、 心理学者の協力を得て、 心理学者の協力を得て、 人間の心の動きをレドックス 人間の心の動きをレドックス 反応の視点から捉える研究も始めています。 反応の視点から捉える研究も始めています。心というのは目に見えないだけに扱いづらいのです。 心というのは目に見えないだけに扱いづらいのです。だからこそ、 だからこそ、 本拠点のレドックス反応を可視化するという 本拠点のレドックス反応を可視化するという 技術こそが、 技術こそが、 心と脳の接点の解明に重要な役割を果たすであろうと期待しています。 心と脳の接点の解明に重要な役割を果たすであろうと期待しています。これからも、 これからも、 本拠点のみなさまとともに、 本拠点のみなさまとともに、 細胞レベルから人間レベルに 細胞レベルから人間レベルに 至る 至る 「心と脳」 「心と脳」 のトランスレーショナルリサーチを推進してゆきたいと願っております。 のトランスレーショナルリサーチを推進してゆきたいと願っております。みなさま、 みなさま、 今後とも、 今後とも、 御指導御鞭撻の程、 御指導御鞭撻の程、 よろしくお願いいたします。 よろしくお願いいたします。 20 20 ファージ ファージ (TAM) (TAM) として知られ、 として知られ、 活性酸素の産生をはじめ、 活性酸素の産生をはじめ、 非常にレドックス反応性が高いことが知られている。 非常にレドックス反応性が高いことが知られている。そこで本研究計画では、 そこで本研究計画では、 TAMを TAMを 標的とした新しいがん治療戦略を構築するために、 標的とした新しいがん治療戦略を構築するために、 TAMに特異性の高いレドックスバイオマーカーを見出し、 TAMに特異性の高いレドックスバイオマーカーを見出し、 その妥当性を検証することを目的 その妥当性を検証することを目的 とする。 とする。 レドックス反応性が高く、 レドックス反応性が高く、 がんの発症と進展に関与する炎症反応に関連するTAMは、 がんの発症と進展に関与する炎症反応に関連するTAMは、 がんの増大や血管新生や浸潤・転移を促進し、 がんの増大や血管新生や浸潤・転移を促進し、 がん患者 がん患者 の予後不良を規定する因子である。 の予後不良を規定する因子である。本研究によりTAMに特異性の高いレドックスマーカーを提示しその妥当性を検証することは、 本研究によりTAMに特異性の高いレドックスマーカーを提示しその妥当性を検証することは、 TAMを標的 TAMを標的 とした新しいがん治療戦略の構築に有用である。 とした新しいがん治療戦略の構築に有用である。そしてTAMを標的とした新しいがん治療戦略は、 そしてTAMを標的とした新しいがん治療戦略は、 将来的にはベッドサイドのがん治療へ大き 将来的にはベッドサイドのがん治療へ大き く貢献できると確信している。 く貢献できると確信している。 Aryl hydrocarbon receptor(AhR)を介したNrf2 及び S I RT1の活性化についての解析 九州大学病院皮膚科 辻 学 九州大学病院皮膚科 私達のグループは、 私達のグループは、 ダイオキシン類の受容体であるaryl ダイオキシン類の受容体であるaryl hydrocarbon hydrocarbon receptor receptor(AhR) (AhR) の働きについて研究を行っています。 の働きについて研究を行っています。これまで私達は、 これまで私達は、 タバコに含まれるpoly タバコに含まれるpoly aromatic aromatic hydrocarbonであるベンゾピレンをヒト表皮細胞に投与するモデルを用いて、 hydrocarbonであるベンゾピレンをヒト表皮細胞に投与するモデルを用いて、 ベンゾピレンはAhRを介して ベンゾピレンはAhRを介して 酸化ストレスを生じ、 酸化ストレスを生じ、 炎症性サイトカインを産生することを報告しました。 炎症性サイトカインを産生することを報告しました。これは、 これは、 AhRが酸化ストレスの調節因子となりうる可能性を示した AhRが酸化ストレスの調節因子となりうる可能性を示した ものです。 ものです。次に、 次に、 抗真菌薬であるケトコナゾールをヒト表皮細胞に投与するモデルを用いて、 抗真菌薬であるケトコナゾールをヒト表皮細胞に投与するモデルを用いて、 ケトコナゾールはAhRを介してNrf2を活性化する ケトコナゾールはAhRを介してNrf2を活性化する ことで、 ことで、 TNF-α TNF-α (非AhRリガンド) (非AhRリガンド) 及びベンゾピレン 及びベンゾピレン (AhRリガンド) (AhRリガンド) による酸化ストレスを抑制することを報告しました。 による酸化ストレスを抑制することを報告しました。 これらの研究成果から、 これらの研究成果から、 レドックス機構に重要なNrf2の発現をAhRを介して制御するという新しい機序が考えられました。 レドックス機構に重要なNrf2の発現をAhRを介して制御するという新しい機序が考えられました。そこで、 そこで、今年度 今年度 よりレドックスナビ若手育成事業として、 よりレドックスナビ若手育成事業として、 AhRがNrf2を活性化するメカニズムを解明する実験計画をすすめております。 AhRがNrf2を活性化するメカニズムを解明する実験計画をすすめております。また、 また、 最近レドックス 最近レドックス 機構で注目されているSIRT1についても、 機構で注目されているSIRT1についても、 SIRT1誘導物質 SIRT1誘導物質 (Resveratrol、 (Resveratrol、 Quercetin) Quercetin) がAhRリガンドであることに注目し、 がAhRリガンドであることに注目し、 AhRを介したSIRT1 AhRを介したSIRT1 誘導の可能性についても検討を行っております。 誘導の可能性についても検討を行っております。 21 21