Comments
Description
Transcript
グローバル技術プロジェクト マネジメント入門講座
連載 グローバル技術プロジェクト マネジメント入門講座 ∼海外派遣で活躍し、大いに羽ばたくための心得∼ 稲田技術士事務所 所長、工学博士 稲田明弘 Akihiro Inada 〒224-0029 横浜市都筑区南山田1-3-1-306 TEL(045)590-3485 第9 回 定期的な評価と計画改訂の進め方 これまで計画プロセス群でプロジェクトの計画、実 となる。他方で、修正にはすべてのステークホルダの 行プロセス群で成果品質を保証する活動をそれぞれ解 了解を必要とするため、頻繁な計画修正は好ましくな 説してきた。今回は監視・コントロールプロセス群の い。 テーマであるプロジェクト成果の品質管理について解 このため、計画書の修正を伴わない「短い期間の監 視とコントロール」 と、計画書の修正を前提とする 「長 説する。 監視・コントロールプロセス群とは プロジェクトマネジメントは一般に次の 5 つのプ ロセス群の構成で解説される。 い期間の監視とコントロール」の 2 種類を実施する ことで、プロジェクトの全期間を通じた「監視」と「コ ントロール」が可能となる。ここでは前者を「モニタ リング」 、後者を「評価」として区別する。企業での ① 立上げプロセス群:プロジェクトの立上げ 小集団グループによる進捗管理はモニタリング、製品 ② 計画プロセス群:プロジェクトの計画 や生産技術の開発プロセスにおけるデザインレビュー ③ 実行プロセス群:プロジェクト品質保証のため は評価のイベントに当たる。 サッカーで例えると、コーチがメンバーの日々の練 の活動 ④ 監視・コントロールプロセス群:プロジェクト 習による上達度合いを把握することがモニタリングで あり、リーグ戦の中間点での戦績から残る期間の戦略 の管理 ⑤ 終結プロセス群:プロジェクトの終結 と戦術の改良を行うための監視・コントロールが評価 ここで監視・コントロールプロセス群とは、プロジ に当たる。 ェクト計画書をバイブルとしてプロジェクト活動を監 モニタリングはプロジェクト活動にかかわるメンバ 視し、その活動の成果がプロジェクト計画書に沿った ー(例:リーダー)によって実施される一方、評価は 状態となるようにコントロールすることと言える。 プロジェクトに関与していない第三者とプロジェクト この連載では PCM(Project Cycle Management) /PDM(Project Design Matrix)システム設計手法 で多用される監視・コントロール手法を解説する。 モニタリングと評価 プロジェクトにおいては、プロジェクト計画書を基 本として全期間を通じて活動を監視し、その監視結果 メンバーの混成チームで実施されるのが一般的である (図 1) 。 モニタリングの監視インターバルをどの程度にする かは、プロジェクトマネージャーが判断しなければな らないが、そのインターバルである程度の進展実績が 必要のため、例えば 1 週間を単位とした進捗監視な どが採用できる。 に基づき逐次適切なコントロールがなされなければな 他方で、計画修正を伴う評価のインターバルは、プ らない。しかし、時間とともにいろいろな外部環境が ロジェクト全期間において中間点と終了前の 2 回程 変化するため、プロジェクト計画書自体の修正が必要 度の開催が適切であろう。 100