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プラント・エンジニアリング産業の定義

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プラント・エンジニアリング産業の定義
資料1−9
プラント・エンジニアリング産業の定義
平成 14 年3月 19 日
第1回プラント・エンジニアリング産業懇談会
資料9 「プラント・エンジニアリングの定義」の要約
1. 定義の変遷
・ 「プラント」の定義については、従前は輸出機能または(静態的な)形態の視点から定義付けがなされてきた。
・ 「エンジニアリング」については年代による変動があるものの、主として工学的な最適化概念及びシステム機能面といっ
た生産効率を重視した視点から定義付けがなされてきた。
2. 新たな定義の検討の必要性
・ 従前はプラント及びエンジニアリングの範囲について形態を中心とし、かつ、その輪郭が必ずしも明確に定義されていな
かった。
・ 政策の効果的な実施と、その評価のためには的確な定義付けが必要。
・ ここではプラントには機能面、エンジニアリングにはプロジェクト創造と統合の視点に注目して定義を整理する。
3.新たな定義付けの方向性
・ 新たな定義としては、
①プラントとエンジニアリングの両産業分野を併せて定義する
②プラント産業には、プラントを構成する「機器及び部品」を含める。
③エンジニアリング産業には、従前の機能面に着目するのみならず、プロジェクトの創造と統合の視点で事業価値を向上
させる視点を加味する。
しかしながら、昭和 40 年代以降の「エンジニアリング」の定義では、
「機能の
1.定義の変遷
総合体」及び「システム」としての観念で捉えることが多くなり、若干の軌道修
プラント及びエンジニアリングについては字義的な定義がなされており、また
正を行っている。
(コスト、タイム等を明確にして確実に成果物を獲得するための
過去の通商白書等刊行物においても様々な説明ぶりで引用がなされている。
(別表
技術を重要視した概念。
)
1及び2参照。
)これまで用いられてきたプラント及びエンジニアリングのそれぞ
れの概念規定の傾向は以下のとおりである。
更に、今日の一般的な定義では、
「・・・、目的に最もあった最適の機能を実現する
ように行う一連の活動」としている。再び元来の「engineering」概念を踏まえつ
つも、
「物と物との組合せによって生まれる機能を追求するソフト技術」といった
(1)
「プラント」の定義
ように、システム機能面をも捉える傾向にある。すなわち、これまで変動があっ
「プラント」の定義については、年代による大きな変動はない。大別して輸出
た概念を総合的に纏める傾向になっている。(生産性やスピードを重要視した概
機能及び対象物の設定という2つの視点による定義付けがなされてきた。それら
念。
)
を整理すると以下の4つのカテゴリに分類される。
対象物から見た定義
狭義
広義
輸出機能面から見た定義
○工場施設(設備)、機械一式、 ○工場ぐるみ(設置から運転まで)
生産設備一式[ 2001 広 辞
の輸出 [ 現 代 用 語 基 礎 知 識
林、広辞苑、知恵蔵]
2001]
○一連の生産工程を担当する機 ○機械類の輸出に留まらず技術・
械、諸施設まで含んだ機械輸
ノウハウを加えた機械システム
出の大半[通商白書 S25]
の輸出[通商白書 S51]
○「…機械、装置又は工作物の
総体」
[プラント類輸出促進
臨時措置法第2条 S34]
※ 「「エンジニアリング」の定義は、我が国エンジニアリング産業の企業行動と密接に関
係しており、時代により広狭がある。我が国エンジニアリング企業がプラント業務に本
格的に携わり出してから、特に EPC を業務の中心とした時代には、必然とエンジニアリ
ングの定義も EPC 業務を示す内容となっていた。
」とも言われている。
<別表1>
広辞苑 第5版
[岩波書店]1998 年
(2)
「エンジニアリング」の定義
広辞苑 第3版
1983 年
「エンジニアリング」の定義については、年代とともに変動が生じている。す
広辞林 第5版
[三省堂] 1976 年
なわち、エンジニアリングの概念は元来、英語の engineering(技法、機関学)
Imidas2001
プラント
エンジニアリング
【plant】規模の大きな生産設備の
一式、工場施設。
【−輸出】工場設備・重機械などの
設備財の輸出
【plant】工場施設。
【−輸出】工場設備・重機械などの
ような設備財の輸出
<<plant(植える/備えつける) >>
工場設備。機械一式。
−プラント輸出 [−輸出]とくに後進
国に対して行なう、技術指導を含む
工場設備の輸出。
①.工場施設.生産設備一式.工場
②.植物.草木
【engineering】工学。工学技術。
に近い意味で定義されることが多く、工学的観念からのコスト概念や最適化概念
<<engineering>>工学。また、工学
技術。
工学.工学技術
【エンジニアリング・コントラクター】
建築業者が企画・設計から機材調達
や据え付け、さらに機能維持までの
すべての業務を行うこと.
が含まれる用語としての使用が一般的であった。
1
なし
2
知恵蔵 2001
現代用語の基礎知識
2001
通商白書
<<初掲載時点>>
①.植物.草木
②.工場,工場設備,生産設備一式
工学,工学技術.
なし
工学、工作。
(本編 経済 p268)
【プラント輸出】
プラント輸出とは、工場を設置し
関連機械を設備して運転できるまで
のすべてを含めた工場ぐるみの輸出
をいう。
付加価値の高い省資源、知識集約
型の輸出で相手方の雇用誘発効果も
大きく、輸出摩擦も少なくなる。
しかし、設計・調査(フィージビリティ
・スタディ)に多大な時間と費用を要す
るし、通常、長期の延払いとなるの
で、サプライヤーズ・クレジット、バイヤ-ズ・クレ
ジット、バンク・ローン などによる輸出金
融の問題、また政情不安による カン
トリー・リスク にそなえて、 輸出代金保
険、為替変動保険、輸出保証保険な
どの利用も必要となる。
(本編 科学技術 p873)
【エンジニアリング】
人材、材料、設備機械などの統合
されたシステムを対象にして その
設計、要素調達、工事、運用を行う
場合に、目的に最もあった最適の機
能を実現するように行う一連の活動
のこと。
モノをつくるハード技術に対し、
エンジニアリング は「物」と「物」との
組み合わせによって生まれる機能を
追求するソフト技術。
各種プラント類の建設や社会開発、
産業開発といった分野では、設計
からアフターサービスまでを引き受ける エン
ジニアリング企業が不可欠となっており
、ひとつの産業に育っている。
昭和 25 年版 二、商品構成から見
た貿易の概観
(一) 輸出品
2 主要商品
(2) 機械 :
『 ここで「プラント輸出」に関して
一言する。いわゆるプラント輸出と
いう場合、その範囲を、さきに述べ
た船舶、鉄道車両、発電機等の重工
業機器から、一連の生産工程を担当
する機械、たとえば、綿紡績機械、
製紙機械等の生産機械、あるいは紡
績、製紙、肥料、電球等の工場施設
及び放送施設、自動交換機その他通
信、鉄道、港湾等の諸施設まで含め
て、広く解すると昨年の機械類輸出
額の過半はこれに属する。
』
:
昭和 51 年版 第 3 節 プラント輸出の現状と問題点
第 3 章 貿易構造高度化の方向
第 3 節 プラント輸出の現状と問題点
通商白書
<貿易構造高度化の
観点から>
<別表2>
エンジニアリングとは
昭和 44 年版 結び 国際経済にお
ける新たな飛躍を
(2)輸出構造の中核をなす重化学
工業
:
『 今後技術水準の向上,専門生産
体制の 確立に努めて,国際競争力
の培養を図ることが必要である。ま
た機械輸出の一層の伸長のために
は,単体機械の輸出の促進と合わせ
て,プラント輸出の促進 に努める
べきである。プラント輸出の促進に
際しては,技術水準,価格はもと
より,支払条件の改善,コンサル
ティング・エンジニアリング企業の
充実等が重要であり,この点プラン
ト輸出独自の対策が必要である。
』
:
ECPD
(The Engineers Council
for Professional
Development) 1932 設立
日本産業機械工業会編
「プラントエンジニアリ
ング研究会報告書」
(昭和43年)
昭和 34 年版 総論
5 通商政第の推移
(1)輸出振興策
輸出金融,輸出保険および輸出所得控除制度については,57 年後半から諸
種 の施策が講じられていたが,さらに58 年以降においては,輸出前貸手形
金利は 同年 9 月および59 年2 月それぞれ 1 厘引き下げられ,輸出入銀行
の融資や延払 条件についても改善が加えられた。また,プラント類の設計
リスクに対する補償措置が講じられることとなり,
「プラント類輸出促進臨
時措置法」の制定をみた。
(1959.3公布∼1971.4失効)
『エンジニアリングとは、所期の機能、操業の経済性、生命や財産の安全性
を念頭におきつつ、科学的原理を創造的に適用して構造物、機械装置、生産
プロセス、そしてそれらを単独あるいは複合化してつくる工場などを設計し
若しくは開発すること、そして設計に基づいてそれらを建設し、操業するこ
とであり、特定の操業条件下における状況を予測すること』
『プラントエンジニアリングとは、プラントを建設するに必要な各個別工学
を含め、それらを統一的に運用してプラントをまとめ上げる活動の総体』
化学工業協会産業部門
委員会
<PE育成専門委員会>
(昭和48年)
「プロジェクトエンジニアリングとは、プラントまたは工場を建設するにあ
たって、企業化計画の調査から始まり、設計、調達、建設、試運転に至るま
でのすべての業務において各種の専門技術を有機的に結集し、それらを総合
して統一された思想のもとに予算、工程、品質などを合理的、能率的、組織
的かつ経済的に計画し、管理し、調整することを目的とする運営技術であ
る。
」
通商産業省 エンジニ
アリング懇談会中間報告
(昭和49年)
『人、材料、設備、機械などの統合されたシステムを対象とし、その設計、
調達要素、工事、運用を行う場合に生ずる結果が、与えられた諸目的に対し
て最適な形で実現するよう行う一連の活動』
産業構造審議会 機械
産業部会中間答申
(昭和50年)
(機械エンジニアリング)
『プロジェクトマネジメント機能を中核として、コンサルティング機能、シ
ステム機能、機器調達機能、メンテナンス機能、技術開発機能の複合体であ
り、一つの目的を達成するための機械システムを作り上げ、機能させてゆく
ためのソフトウエアの総体である』
<他、機械工業、宇宙開発、海洋開発の
節で言及あり>
通商白書
<輸出振興策として>
1.プラント輸出の意義
プラント輸出とは,一般機械,電気機械などのうちの重機械顆の輸出を
ベースにしたものであるが,単なる機器類の輸出にとどまらず,技術・ノウ
ハウを加えた機械システムの輸出である。プラント輸出は,機械システムを
輸出国から船積みする時点での引渡しで輸出が完了する機器売切り方式のも
の(輸出相手国においてプラントの組立て等の監督,指導を行う場合もあ
る)と,プラント輸出企業が輸入国におけるプラントのコンポーネントであ
る機械システムの供給,機械システムの組立及び技術指導等を一括して請負
うターン・キイ方式のものとに分かれる。このうち,ターン・キイ方式のプ
ラント輸出では,技術・ノウハウなどのいわゆるソフトの部分の占める割合
が輸出契約金額の 50%近くにまで達するものもある。
このため,プラント輸出は,単体中心の我が国のこれまでの輸出とはいく
つかの異なる特性を持っているが,この特性は,我が国貿易構造高度化の観
点からみても好ましく,国際的な立場からみても多くの点で優れていると言
えよう。
(財)エンジニアリング
振興協会の敷衍的解釈
(昭和53年設立)
『エンジニアリングとは、生産設備や社会施設のプロジェクトを一つのシス
テムとしてとらえ、形あるものとして完成させるために必要な技術開発、事
前コンサルティングから、見積もり、契約、基本設計、詳細設計、調達、検
査、輸送、建設、試運転、操業保全に至る一連の業務の全部、または一部を
提供することを意味する』
第二条 プラントとは、
「1つの機能を営むために配置され、又は組み合
わされた機械、装置又は工作物の総体をいう」
出典:
『エンジニアリング産業』若杉、高仲著:東京大学出版 '86
3
4
2.新たな定義の検討の必要性
3.新たな定義付けの方向性
このようにこれまでのプラント概念は輸出機能及び完成品物からみた表象で捉え
産業政策の対象を新たに定義付けるためには、その産業実態に併せた概念を踏ま
られ、また、エンジニアリング概念は時代により工学的視点やシステム機能として
えた検討が必要である。
の視点から軌道修正をしながら変遷してきた。
すなわち、プラント建設等に係る産業実態を踏まえるならば、コンサルティング
しかしながらプラント及びエンジニアリングについては、生産様式を正確に把握
業、商社、エンジニアリング企業、プラントメーカー等が合同して事業を行ってお
し、動態に併せた概念を確立するという意味での定義付けをこれまでのところ行い
り、
「モノ」に加えて、
「モノ」の組み合わせ方で商戦を行っているのが常態である。
きれていない。そのため、建設業、サービス業、産業機械業等との明確な区分がな
したがって、1つ1つの「モノ」そのものを如何に調達し、組み合わせ、建設に繋
されておらず、これら他産業との間で必要とされる政策上の区分も明瞭でない状態
げていくのかという知の体系による付加価値作業を産業政策対象の範疇に入れ込む
が継続してきたと考えられる。
必要がある。
(従来のプラントの定義は完成品のみに着目。
)
このプラント建設等に係る産業に構造的・恒常的な活力を呼び戻し、産業基盤の
すなわち、プラント建設等に係る産業を定義付けるならば、プラント建設等の用
整備や成長力強化への経済産業政策を図るためには、その前提として産業政策対象
途とされる機器及び部品にまで踏み込んだ検討が必要である。ただし、機器及び部
の正確な把握を行う必要性があり、本懇談会ではこの政策対象の定義を明確化する。
品そのものについての振興等については個々の産業政策にて行われていること及び
各業種による取組がなされていることから、これをそのままプラントとして取り扱
うことは適切でなく、プラント構成物としてプラントの定義に連関させることが妥
当である。
(→(1)
)
また、エンジニアリングについては、価値軸や要請が飛躍的に多様化した国際競
争の最前線に立たされている。そのため、業務実態がこれまでのような契約規定を
確実に遵守する思想や生産性・スピードを重視する思想といった内部環境重視の段
階を過ぎ、「環境変化を意識し、複雑な使命に問題解決の道を拓き、事業価値を向
上する」といったプロジェクトの創造と統合の段階に差し掛かっている。したがっ
て、これら外部環境の変化を意識した上でのプロジェクトの創造と統合の視点を従
5
6
<検討内容>
前の定義に加えることが必要である。
(→(2)
)
更に、プラントは各種機械・設備等の組み合わせ、全体としての機能を発揮させ
る総合技術の結晶でもあることから、数百社が協同して取り組むプロジェクトとな
ることもあり、エンジニアリングというオーガニゼーション機能が極めて重要とさ
れる分野である。このようなことから、プラント建設等に係る産業を定義付けるに
際しては、プラントという対象物とエンジニアリング機能を一体的に捉えることが
適切。両者を不可分の産業政策対象とする「プラント・エンジニアリング産業」と
して定義付けることが必要である。
《プラント・エンジニアリング産業の領域》
例えば、見積作業を行う場合に使用するコストブレイクダウンシートでは、以下の①
及び②が関係する機器及び部品である。
①プラント構成品として使用が予定される機器及び部品
ex. 機器(回転機、圧力容器、出荷設備)
電気(受・配電設備、モーター、照明設備、通信設備)
配管(管、弁、継ぎ手、保温・保冷材)
計装(制御設備、DCS、流量計、温度計、調節弁)
土建材料(セメント、砂利、鉄骨材)
付帯施設(用役設備、消防設備)
②プラント建設・運転等の手段として活用される機器及び部品
ex. プラント設計段階(CAD コンピュータ及び各種ソフトウェア)
調達段階(輸送車両、X-Ray などの検査機器)
建設段階(測量機器、建機、コンクリートミキサー)
ex. 溶液、化学品(防食材、潤滑油等)などの原材料
単
一
物
複
合
体
(1)
「
「プラント」にはプラント建設等に供される単一物が含まれる」か否か。
Øプラント建設等に係る一連の作業工程を政策対象として捉える必要性があるならば、
その定義においてプラント構成品たる機器及び部品もその範疇に含まれると解され
る。
Øただし、プラント用途に供される機器及び部品であってもプラント建設・運転等の手
段として活用される設備器具等はこれに含まれないとすべきである。
このうち「①」に係る機器及び部品が「プラント」建設等に供される機器及び部品として
プラント産業に含まれることになるが、②に係る機器及び部品は手段として使用されるもので
あり、構成品としての機器及び部品にはあたらない。
なお、
「①」についてはプラント建設をターンキー契約にて受注した場合には当然に業務範
囲となり受注高として考えられてきているものである。
これまでの成
約実績調査対
象
また、ある化学系のプラント設備の場合、
プラント エンジニアリング
元請け(EPC 等)
[1次下請:100 数社]
主装置、付帯設備、配管系統、充填物、計器、予
備品、電気、空調等
[2次下請:約 300 社]
メーンコンプレッサー、タービン、リアク
ター、クーリングタワー、各種バルブ、触媒、
7
8
ゲージ、ケーブル等
[3次下請:400 社超]
ガスコンプレッサー、ポンプ、各種熱交換機、
各種ドラム、水処理設備、各種フィルター、エア
ドライヤー、真空装置、各種パイプ等
といった下請階層となっており、無数のプラント用途の機器及び部品によって1つのプラ
ント施設が完工している。
→これら1つ1つの機器及び部品についてプラントか否かを検討することは実態にそぐわ
ない。
4.プラント・エンジニアリング産業の新定義案
○以上より、プラント、エンジニアリング及びプラント・エンジニアリング産業の定義を定
性的に書き下すと、以下のようなとり纏め方が可能。
(1)
「プラント」及び「プラント産業」の新定義案
「プラントとは、何らかの人為的作用により、将来に亘って継続的に付加価値を生
み出す機能を発揮するために配置され又は組み合わされた装置、工作物その他機械
※ なお、上記概念を踏まえれば、エンジニアリングサービスにより新たな付加価値が加わり、一定のサー
ビス機能を有する施設はプラント施設といえることとなる。
ex. 無菌状態の機械施設、医薬製造プラント、食品製造プラント、病院施設、研究所、レジャー施
設、果樹生産・貯蔵設備等
類の複合体をいう。また、プラント産業とは、これらの業に携わる事業者及びそれ
Ø このように、プラント完成品とプラントを構成する機器及び部品とは切り離せない関係にあ
る。しかしながら、これら機器及び部品は裾野の広い分野で様々な他の用途においても活用さ
れており、これを全て「プラント」であるとすることには無理があるため、プラントの定義そ
のもには含めないものの、
「プラント産業」といった定義による位置づけが必要ではないか。
らに用いられる機器及び部品を取り扱う事業者が行う経済産業活動をいう。
」
(2)
「エンジニアリング」及び「エンジニアリング産業」の新定義案
「エンジニアリングとは、外部環境の変化を意識し、プロジェクトの創造と統合の
視点で、複雑な使命に問題解決の道を拓き、事業価値を向上させる「仕組みづく
(2)工学的概念やシステム機能ではなく、
「外部環境の変化への人的技術を駆使する業としてのエ
ンジニアリング」の定義
Ø エンジニアリング業に要求される顧客ニーズの変化は、
① コスト、タイム、品質、範囲などの目標を明確にして確実に成果物を獲得する技術への
ニーズ(ex. テネシー川流域開発計画、マンハッタン計画等)
② 業務プロセスを重視しながら、ステークホルダーの要求に合致する成果技術へのニーズ
(ex. アポロ計画、ヤングレポート等)
り」を目指し、事前コンサルティングから操業保全に至る一連の業務の全部、また
は一部を提供する実践知識業務のことをいう。また、エンジニアリング産業とは、
これらの業に携わる事業者が行う経済産業活動のことをいう。
」
(3)
「プラント・エンジニアリング産業」の新定義案
Command & Control の視点が重視された時代
「プラント・エンジニアリング産業とは、プラント産業に携わる事業者及びエンジ
ニアリング産業に携わる事業者が行う経済産業活動のことをいう。
」
③事業環境変化を意識し、複雑な使命に問題解決の道を拓き、事業価値を向上させることへの
ニーズ
すなわち、Produce & Program の視点が求められる時代
へと変化しており、それらの形態は、New Public Management プロジェクト(いわゆ
る民活案件)と総称される BOT、BOO、BTO、BMT、BLT の増加や、O&M 事業、
Training 事業の拡大で証明されている。
したがって、エンジニアリングの定義をこれら実状を踏まえた定義とすることが必要であ
る。
9
※これまでの概念との大きな相違点
① エンジニアリング機能をプラント産業と一体としたことにより、知的付加価
値が当産業の特徴であることと対応づけたこと。
② プラント産業に、プラント用途の機器及び部品を含めたこと。
③ エンジニアリングについては従前の機能面に着目するのみならず、プロジェ
クトの創造と統合の視点で事業価値を向上させる発想を加味したこと。
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