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と「技術」
特 集 :「 人 」と「技 術」を 未 来 へ
2011 年 3 月期
アニュアルレポート
特集 :「人」と「技術」を未来へ
2011 年、コマツは創立 90 周年を迎えました。コマツが創立された 1921 年、創業者の竹内明太郎( 1860
年∼ 1928 年)は、
「海外への雄飛」、
「品質第一」、
「技術革新」、
「人材の育成」を創業の精神として掲げました。そ
の精神は 90 年の歴史を経た今も受け継がれ、生 産拠 点数は世界 14 カ国 54 拠 点 *、海外での売上げが連 結売上高
の 80% 以上を占めるグローバル企業へと成長してきました。
この 90 年の成長を支え、また今後も支え続けていくのは、コマツグループの一人ひとりの社員の力であり、また
モノ作りの現場で人から人へと脈々と伝承されてきた技術や技能です。この特集では、コマツグループの人材育成の
取組みとともに、創業当時からコマツの「品質と信頼性」を支えて続けてきた「鋳造品」と、建設・鉱山機械の心臓
部である「エンジン」の開発・生産の現場で、次世代に向けて技術・技能の伝承に取り組む社員の姿をご紹介したい
と思います。
* 産業機械他部門の生産拠点 10 カ所のうち、5 カ所は建設機械・車両部門の生産拠点と同じ敷地内にあります。
創業の精 神
・海外 へ の雄 飛
・品 質第一
・技 術革 新
・人 材の育成
上段左 : 小松製作所創業者 竹内 明太郎 上段左より 3 番目 : 2011 年 5 月小松工場跡地にオープンした 「こまつの杜」に展示されている超大
型ダンプトラック「930E」 上段右 : 旧本社社屋を復元した「わくわくコマツ館」と竹内明太郎の銅像 下段 : 1930 年当時の本社工場(小松工場)全景
KOMATSU Annual Report 2011 14
特 集 :「 人 」と「技 術」を 未 来 へ
2011 年 3 月期
アニュアルレポート
コマツの目指すグローバル経営と人材育成
また、地域社会をはじめ、様々なステークホルダーから
信 頼され、 良 好な 関 係を築く上でも、 各地 域 の出 身 者に
トップを任せる方が良いのです。
「経営の現地化」は、コマツの社員、地域社会双方にとっ
て望ましい経営のあり方だと思います。
駐在員に求められる役割は何ですか。
コマツの場合、海外で働く日本人は限られた任期がある
コマツ
常務執行役員
コンプライアンス、法務、人事・教育、安全・健康管理管掌
日置 政克
駐在員です。日本人の役割は、
「ブリッジ人材」、つまり日本
と当該国との架け橋となることです。
「ブリッジ人材」はスーパーヒーローである必要はなく、
自分の専門とする技術・技能をしっかり持ち、それを伝えよ
うとする強い意欲・姿勢があることが重要です。英語をはじ
まず初めに「人を育てる」ということについて、
め「語学」が重要と思われがちですが、技術・技能をしっか
コマツの取組みを具体的に教えてください。
りと持っていれば、言葉はおのずとついてきます。
コマツでは、 1980 年代半ばから生 産の海外展開が本格
化しました。その過程で各地域出身の人材が増え、社員の
海外でのモノ作りを支える人材育成について
教えてください。
国際化が進みました。当時から在籍している社員の多くが
現在でも働き続けており、コマツの屋台骨を支えています。
コマツでは、各地域出身の社員にコマツで経験を積んで
モノ作りを担う工場では、現場で技能を高める取組みを
行っています。
もらい、地域のトップを任せるようにしています。これを「経
もともとコマツは日本国内で長く技能競技大会を行って
営の現地化」と呼んでいます。また、生産・販売・プロダク
いましたが、 2004 年からは海 外現 地法 人も本 格的に参加
トサポートなど各分野のプロフェッショナルを育てることに
し、グローバルな技能競技大会(オールコマツ技能競技大
も力を入れています。
会)を実施しています。このような競技大会を行うことで、
国内・海外を問わず、各地域の事業を担う社員を社内でしっ
かりと育て、そして任せることが、コマツ流の人材育成です。
モノ作りを担う社員が、自分たちの技能を高めようと切磋
琢磨し、大きなモチベーションにつながります。
プロダクトサポート部門では、以前は日本人が海外に出
「経営の現地化」とは、どのようなことですか。
張し、各地 域の 代 理 店のスタッフに教えていました。しか
し、これだけ世界中で配車台数が増え続けている現在、日
各地域のトップは、コマツで長く働き、キャリアを高めた
本人が代理店に行って教えるだけでは育成が追いつきませ
プロであること、そして、コマツの経営や価値観を深く理
ん。世界各地で機械のメンテナンスをしっかりとできる技能
解していることが求められます。このような社員が、周りか
を持った人材をどれだけ多く育成できるかが重要です。
ら認められてトップになることで、各地域の社員のモチベー
ションも高まります。
フィリピンの「コマツ人材開発センタ」では、大学の卒業
生向けにメカニック育成講座を開講していますし、中国で
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も山東省の大学と一緒にサービス員育成講座を開講するな
年 2 回自分の部下に対して会社の状況を説明しなさいと書
ど、様々な国でプロダクトサポートを担う人材の育成に取り
いてあります。日本だけでなく、海外のグループ会社でも社
組んでいます。戦略市場で人材育成を行うことにより、お
長が社員ミーティングを行っています。トップ自らがコマツ
客さまへのサービス提供力を強化するとともに、地域社会
ウェイを率先して実践することで、現場にもコマツウェイが
への貢献にも取り組んでいます。
浸透してきました。
オールコマツ技能競技大会
海外現地法人の経営幹部を対象とした研修
(グローバルマネジメントセミナー)
人材育成が地域社会への貢献にもつながる
コマツウェイの特長は、強制ではなく、自分の頭で考えて
ということですね。
理解し、良いと思うことを実行しなさいということです。そ
コマツの海外での事業は、地域社会に支えられて成り立っ
の前提にあるのは、社員の人格を尊重するという姿勢です。
ています。コマツで教育を受ける、あるいは働いていただく
コマツウェイを共有することによって、同じ会社で働いて
機会を提供することで、地域社会に貢献できますし、コマツ
いるという心地よさを感じ、コマツで長く頑張って働こうと
にとっても社員の採用につながります。たとえコマツで教育
いう気持ちにつながります。海外でも、社内で長く経 験を
を受けた方が他の会社に行ったとしても、地域社会のために
積んだ社員が増え、将来その地域の経営を担うマネジメン
なればよいと考えています。
ト層の育成につながるなど、コマツウェイには様々な効果
コマツでは、本業にきちんと取り組むことが CSR 活動そ
があります。
のものであると考えています。人材育成も含めて、一つひと
社員がコマツで長く働き、キャリアを高めてもらうための
つの事業活動に真摯に取り組むことが、企業として社会的
要素として、コマツに居てよかった、居る甲斐があると感じ
責任を果たすことにつながると思います。
ることが大切だと思います。私はそれを「居甲斐」と呼んで
います。
「居甲斐 」を構成する要素は 3 つあります。 1 つ目
「コマツウェイ」について教えてください。
は、人が大事にされ安全で安心して働ける環境が整ってい
ること、 2 つ目は、フェアなチャレンジの機会があること、
コマツウェイとは、 グローバ ルにここだけは守りたいこ
3 つ目は、きちんとした報酬が支払われることです。社員に
と、人が変わっても脈々と受け継いでいってほしいこと、先
対してこの 3 つの要素をきちんと整えていくことが大切であ
輩が築き上げてきたコマツを支える価値観、心構え、そし
ると考えています。
て行動様式のことで、これを全世界の社員で共有すること
を目指しています。
コマツウェイのマネジメント編には、トップは少なくとも
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日本に軸足を置いたグローバル経営を目指す
コマツの人材育成
当社の海外現地法人のトップならびにミドルマネジメントの育成を目的とした研修の企画・指導に携わって
いただいている、ハーバード・ビジネス・スクールの吉野洋太郎名誉教授(経営学博士)に、当社のグローバルな人
材育成の取組みに対する評価、課題等についてお話を伺いました。
コマツとの関わりについてお話ください。
私とコマツとの最初の関わりは 1996 年でしたが、 2006
年に主要な海外現地法人の幹部社員を対象とした研修の企
画と指導に招かれたことから本格的に始まりました。この研
修の対象である現地法人の幹部社員は日本人ではなく、多
くは現地法人に入社し社内で昇進されてきた社員でした。
私は、米国や欧州の企業において、幹部社員を対象とした
研修の開発に関わったことはありましたが、日本企業では
コマツが初めてでした。当時、代表取締役社長(兼) CEO
(現取締役会長)であった坂根さんが主導でこの研修を推進
ハーバード・ビジネス・スクール 名誉教授
経営学博士
し、
「グローバルマネジメントセミナー」と名づけられました。
吉野 洋太郎氏
「グローバルマネジメントセミナー」の目的と
内容についてお話ください。
現在コマツが直面している課題は
どのようなものでしょうか ?
グローバルマネジメントセミナーには主に二つの狙いがあ
ります。一つはコマツグループの伝統、価値観そして将来の
長い 間、 日本企 業 の 経営手 法は、 社 員の勤 勉 性、 協 調
方向性に対して参加者に理解を深めてもらうことです。もう
性、集団に対する忠誠心など、日本の文化が持つ同質性の
一つは、本社の経営幹部と現地法人の幹部社員との間でオー
上に成り立っていました。しかし、今後ますますグローバル
プンな意見交換を促すことです。参加者の中には、既に現地
化が加速する中で、日本企業も異なる言語や文化を持つ社
法人で数十年間勤務されてきた、いわゆる「叩き上げ」の社
員のやる気や行動力をうまく活用していかなければなりま
員もいれば、比較的社歴の浅い社員も参加していました。
せん。現在、日本企業の管理職は、同一の価値観を持つ集
形式に捉われずオープンな意見交換ができるよう、参加者は
団の強みをベースとしたマネジメントから、一人ひとりが異
10 名程度に限定しました。研修の内容は開催時期により変
なる価値観を持つ集団の強みをうまく引き出すマネジメン
化はありましたが、坂根さんは代表取締役社長(兼)CEO と
トへの変化を求められ、対応すべく取り組んでいます。しか
して、毎回研修の冒頭でコマツグループの伝統、価値観、将
し、この変化に対応するためには、人に対するマネジメント
来の方向性等について、質疑応答を含めた 2 時間のプレゼン
の方法を根 底から変える必要があり、日本企業にとって容
テーションを必ずご自身で行いました。このプレゼンテーショ
易なことではありません。日本企業の将来は、この変化へ
ンに続き、主要事業・機能を担当する本社の役員がプレゼン
の対応をいかに円滑かつスピーディに実行できるかにかかっ
テーションを行いました。その後、参加者はグループに分か
ています。連結売上高の 80% 以上を海外で稼ぐコマツも、
れて、各自が現地で直面する課題を明確にした上で、課題を
もちろん例外ではありません。
解決するための実行計画をまとめて、提言を行いました。課
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題や提言の多くは評価・育成等、
「人」のマネジメントに関す
社員の中には、長年現地法人で勤務されている方々もいらっ
る内容で、提言の多くが実際に実行されています。
しゃるのですが、その方々をはじめとして、参加者が皆優秀
で高いモチベーションを持っていることも印象的でした。
「コマツウェイ」との関わりについてお話ください。
コマツのグローバル化への対応をどのように
評価されていますか ?
グ ローバ ル 化へ の 対応 は企 業にとって 重 要な 課 題 で す
が、コマツのグローバル化への取組み姿勢を見ていると、
トップのリーダーシップがいかに重要であるかを改めて実感
します。コマツでは、坂根さんご自身が、コマツウェイの普
及を含めグローバル化への対応を先頭に立って推進されて
きました。さらに、坂根さんの後を継いで社長に就任された
野路さんも同様にグローバル化への対応を強化し、積極的
に取り組まれています。その積極的な取組みは海外現地法
「コマツウェイリーダーシップディベロップメントプログラム」
人でも良く知られています。コマツウェイへの取組みを見て
(2010 年 11 月 中国で開催)
いると、コマツは重要であると判断したことに対して徹底的
グローバルマネジメントセミナーが始まって間もなく「コ
に取り組む力を持っていることがよく分かります。コマツウェ
マツウェイ」が完 成し、この 研 修 の内容もコマツウェイを
イの普及活動は、日本企業がグローバル化に対応する過程
中心として構成されるようになりました。坂根さんはコマ
において、社員の意識を変革し、能力をいかに引き出すか
ツウェイを既に完 成されたものとして扱うのではなく、 長
という「人」のマネジメントがとても重要であることを示し
い歴 史の中で日本 のコマツで 醸 成 された価 値 観を、 最初
ています。グローバル化への対応の成否は、突き詰めれば、
に明文化する試みとして導入を推 進しました。また、コマ
社員一人ひとりが変化に対応できるかにかかっています。
ツウェイに記載されている価値観が、グローバ ルマネジメ
ントセミナーの参加者や海外現地法人で普及活動を担当す
グローバル化への対応を加速するために、
る社員にも理解できるかどうか質問し、意見を求めました。
今コマツは何をすべきだと思われますか ?
社員から出た提案・意見の多くはコマツウェイの内容に反映
されています。また、各職場でコマツウェイを定着させるた
めの取組みについても、参加者からの提言を求めました。
この数年間で、コマツは、日本に軸足を置くグローバル企
業へと着実に進化しています。グローバル化への対応という
コマツウェイを 明 文化した 時 期 は、
「戦略市場 * 」での
点では、日本のグローバル企業の中でも先進的な企業であ
事業規模が拡大し、新人社員の採用が増えた時期でしたの
ると思います。その一方で、まだ取り組むべき多くの課題が
で、コマツウェイの導入はまさに時宜を得ていました。コマ
残されています。特に「人」に関する課題として、 2 つの取
ツウェイにより、コマツグループに入社したばかりの社員を
組みを更に加速していただきたいと思います。一点目は、日
はじめとして、全世界のコマツグループ社員にグループの一
本人の管理職がグローバルな視点とマネジメント能力を更に
1
員としての自覚が深まります。また、コマツの事業展開がグ
磨くことです。二点目は、世界中で働いている有能な社員に
ローバル化し、各地域の相互の関係がより深まる中で、グ
対し、彼らが持つ潜在能力をコマツグループ内で最大限に発
ループ全体を統合する役割も果たします。
揮できるよう、より多くの機会を提供することです。世界中
2009 年には、グローバルマネジメントセミナーに加えて、
で働くコマツグループの社員一人ひとりが強い決意と熱意を
戦略市場を中心にシニア・マネージャー層を対象とした「コ
持って仕事に取り組むことにより、グローバル化で直面する
マツウェイリーダーシップディベロップメントプログラム」と
様々なハードルも乗り越えられるであろうと確信しています。
いう研修を開始し、初回は中国とインドネシアで実施しまし
た。私も講師として参加していますが、この二カ国ではコマ
ツウェイの普及が進み、既に多くの成功事例が出ていること
を知り、嬉しく思いました。また、この研修に参加している
*1: コマツグループにおける「市場」の位置付け
伝統市場 : 日本、北米、欧州
戦略市場 : 中国、中南米、アジア、オセアニア、アフリカ、中近東、CIS*2
*2: CIS(Commonwealth of Independent States、独立国家共同体):
1991 年、バルト諸国を除く旧ソビエト連邦諸国により設立された国家共同体
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鋳造は古くて新しい技術
コマツにおける鋳造の歴史は古く、 1921 年の創業当時に遡り、技術革新を通じて、建設・鉱山機械の「品
質と信頼性」を「縁の下の力持ち」として常に支えてきました。紀元前 4 千年頃から存在すると言われている、この
「古くて新しい技術」を未来に受け継いでいくために、社員一人ひとりが、自らの経験から培った技術・技能を、次
の世代に伝える努力を続けています。
自分の専門領域だけでなく、関連技術に対する幅広い知識
と経験が求められます。
コマツキャステックス株式会社
専務取締役
生産統括部長
岩黒 庄司
原 : 鉄は、私たちの生活に一番身近な金属で、どのような
形にも成形できますし、熱処理を行うと性質も変わる変幻
自在な素材です。私はそのような鉄の特性に興味があり、
大学時代には鉄をテーマとし、コマツ入社後も 30 年間以上
ずっと鋳造に携わってきました。私の専門は素材ですので、
コマツキャステックス株式会社
取締役
技術部長
長田 雅史
元素の含有率はあらかじめ計算するのですが、やってみな
いと分からないことも多く、まだまだ可能性が秘められて
いる技術だと感じます。必ずしも 1+1=2 とは限らないのが
鋳造の難しさであり、また魅力でもあります。
「自分たちがやるんだ」という強い気概を持つ
コマツキャステックス株式会社
技術部生産技術グループ 鋳造技術チーム
主幹技師
原 敬道
岩黒 : 1959 年以降、氷見(富山県)の鋳造工場はコマツ粟
津工場の一部門でしたが、ちょうど原が入社した 1978 年に
独立し、
「氷見工場」としてスタートしました(その後 1997
年 10 月、コマツより分社化し、コマツキャステックス(株)
を設立)。当時は私や原、長田をはじめとして若手が多く、
1+1=2 とは限らない世界
若い社員にも大きな仕事を任せてくれて、自由にやらせてく
長 田 : 溶かした金 属(溶湯)を鋳 型に入れて成形するとい
れました。私たちはいつか氷見工場をコマツグループの鋳造
う鋳造の技術は、紀元前 4 千年頃から存在するといわれて
を担う工場にしようという大きな志を抱いて、仕事に取り組
いますが、技術の基本にある原理は今も変わりません。そ
んでいました。
のため、一見すると成熟した技 術のように思われるかもし
建設・鉱山機械に使われる鋳造品は、高い耐久性・強 度
れませんが、実際は非常に奥深く、複雑な世界を持ってい
が必要で、かつ切削しやすく加工コストが低いことが求め
ます。一言で鋳造といっても、鉄や黒鉛など異なる金属材
られます。鋳鉄には、含まれる黒鉛の形状の違いにより、
料や、鋳型を作るための砂や粘土、粘結剤、鋳型を作るた
FC( Ferrous Casting: 片 状 黒 鉛 鋳 鉄 ) と FCD( Ferrous
めの模型、溶湯の湯流れや凝固のシミュレーションなど、
Casting Ductile: 球状黒鉛鋳鉄)という二つの種類があり
様々な技術・技能から成り立っており、これらすべての要素
ます。 FC は加工しやすいのですが、強度が弱いという欠点
や条件がうまく噛み合ってはじめて、品質の高い鋳造品を
があります。 一方、 FCD は FC と比べて強 度は高いのです
安定的に生産することができるのです。鋳造の技術者には、
が、切削加工が難しく、加工コストが 高くなるという欠 点
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があります。 そこで、 FC と FCD の 長 所を併せ 持つ新たな
えて、難しい課題を与えて自らチャレンジしてもらっていま
鋳鉄をコマツで開発しようということになり、 1982 年に、
す。その際に、自分が今やっている仕事が全体の工程の中
私や原、長田など当時の若手社員 10 数名で検討を開始し、
で、どのような目的、意味があるのかを良く考えながら取り
開発から試作、量産の立上げまで、どうすれば実現するこ
組むよう指導しています。自分の技術だけに目を向けるの
とができるのか、皆で知恵を出し合いました。
ではなく、視野を広げ、現場の技能者とのコミュニケーショ
しかし、経 験の浅い私たちにとって、今までにない鋳鉄
を作るという課題は非常にハードルが高く、苦労の連続でし
ンを大切にすること、チームワークで仕事を進めることの
大切さを伝えるようにしています。
た。 FC と FCD の中間的な性質を持つため、安定した品質
で量産するためには、素材の配合比率から、製造工程の設
原 : 最 近は FCV のような大きなプロジェクトが少なく、若
計、品質確認の方法等、課題は山積みで試行錯誤の連続で
手がチャレンジする機 会が少ないことが気掛かりです。私
した。一回の試験で 8 トンもの鉄を無駄にしてしまうことも
自身 の 会 社 人 生は残り僅 かですが、 自分 の 経 験をできる
ありました。失敗が続くと大きなプレッシャーを感じました
限り若い人に伝えようと取り組んでいます。最 近、従 来の
が、
「自分たちがやるんだ」という強い気概を持って、あらゆ
FCV、 FCD を製造する際に使用する希土類元素の含有量を
る工程で原因の究明を徹底的に行いました。その結果、 1 年
変更するプロジェクトを若手社員に立ち上げてもらい、そ
後の 1983 年には、日本ではじめて FC と FCD の中間の特性
のサポート役を務めています。実際に自分たちの目で材料
を持つ FCV( Ferrous Casting Vermicular: 擬球 状 黒 鉛鋳
の状態や黒鉛形状の変化を把握してもらい、量産ラインで
鉄)の量産化に成功したのです。現在、 FCV は、建設・鉱山
の試験を通じて、安定した品質で量産することの難しさを
機械の心臓部とも言える油圧コントロールバルブに欠かせな
実感してもらうなど、若手にとって良い経験になっていると
い素材として、コマツの「品質と信頼性」を支えています。
思います。
岩黒 : 私たちが若手だった当時に比べ、今はシミュレーショ
FCV(擬球状黒鉛鋳鉄)の特長
ン技術が大きく発達しましたが、シミュレーションと現物が
FCV(Ferrous Casting Vermicular)
一致しない等、鋳造は実際にやってみてはじめて分かる事
擬球状黒鉛鋳鉄
切削性の向上
(加工コストの低減)
強度の向上
(引張強度、耐力)
も多いため、 現 場で の OJT( On the Job Training ) はと
ても重要です。
現在、私たちはコマツグループの鋳造部門のマザー工場と
FC(Ferrous Casting)
片状黒鉛鋳鉄
FCD(Ferrous Casting Ductile)
球状黒鉛鋳鉄
して海外 5 カ国、8 工場をサポートしています。 1995 年に、
中国で小 松(常林)鋳 造 公司(現在の小 松(常州)鋳 造 公
司)を立ち上げた際には、現地社員はほぼ全員が鋳造未経
験者でした。そのため、原が指導者として工場に赴任した
のですが、鋳造には多くのプロセスがあるので、作業標準
書を読んでもらうだけでなく、彼が現場で実際に「やってみ
せて、やらせてみる」ことで技能や経 験を伝えました。時
間も手間もかかりますが、技能をしっかりと身につけてもら
油圧コントロールバルブ
うためには、自分の頭と身体を使って学んでもらうことが不
可欠です。
自分たちが学んできた技術・技能を OJT でしっかりと伝
自分でやってみせて、やらせてみる
えていくこと、それが私たちに与えられた使命です。
長田 : 現在当社では中堅層が少なく、若い社員に早く成長
してもらうため、 工程の 機械化・自動 化プロジェクトに加
KOMATSU Annual Report 2011 20
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技術屋はチャレンジしてこそ価値あり
コマツのエンジン開発は、 1930 年代にガソリンエンジンの開発からスタートしました。 1940 年にディーゼ
ルエンジンの生産を開始し、その後、米国の大手エンジンメーカーであるカミンズ社と提携し、エンジンの研究・開
発・生産すべてをコマツグループ内で行っています。高性能、低燃費、耐久性、環境負荷の低減と尽きることのない
ハードルを克服するために、コマツのエンジン技術者は、日々新たな挑戦を続けています。
排出ガス規制への対応
1990 年 を 境に、
「 環 境 負荷 の 低 減 」 がエンジン 開 発に
おける最も重要テーマとなりました。 1996 年に、米国、欧
州、日本において、NOx(窒素酸化物)や PM(粒子状物質)
の排出量削減を義務付ける第 1 次排出ガス規制の導入が予
定されており、コマツでは、1990 年から規制対応に向けて
本格的な開発に移行しました。
この 規 制 は 以後 5 年毎に強 化され、 2006 年 の 第 3 次 排
出ガス 規 制では、 第 1 次 規 制に比べて、 NOx、 PM の 排出
株式会社アイ・ピー・エー *
相談役
量を半分以下に、 2011 年より段階的に導入される第 4 次排
出ガス 規 制では、 2014 年以 降 の段 階で、 第 3 次 排 出ガス
岡崎 達
規制に対して、更に約 10 分の 1 に削減しなければなりませ
*(株)アイ・ピー・エー(IPA): 1998 年、ディーゼルエンジンの研究・開発を目的として、
コマツ 50% カミンズ社 50% の出資で設立された合弁会社
ん。この高い基準をクリアするため、コマツ独自の油圧技
術を用いた建設機械用可変ターボシステム( VGT:Variable
高出力、低燃費の追求
Geometry Turbo System)や、触媒を用いて PM を大幅に
除去する排出ガス後処理システム( DPF:Diesel Particulate
私は大学時代にエンジンの燃焼を研究しており、 1974 年
のコマツ入社後も、主に建設・鉱山機械のディーゼルエンジ
ンの要素技術である噴射系の開発に携わってきました。
建設・鉱山機械のエンジンに求められるのは高出力、低
Filter)等を新たに開発しました。
規制をクリアするのは容易ではありませんが、困難な課
題に挑戦することで、技術者は成長し、新しい技術も生ま
れるのだと思います。
燃 費、 耐久性で すが、 高出 力と低 燃 費を 両 立 するために
は、燃料を微細化して、密度を高めた空 気にタイミング良
真実はひとつしかない。
く噴射し、効率よく燃焼させる技術が必要です。そのため、
違いがあればどちらかに間違いがある
噴射系の開発では、高圧噴射と電子制御の開発が当時の主
要な開発テーマでした。
昔、私の上司から聞いた言葉で、今でも自分が仕事をする
1980 年代には、現在普及しているコモンレールのベース
上で大切にしている考え方があります。それは、
『真実はひ
となったコマツ独自の噴射系(電子制御式高圧噴射システム
とつしかない。違いがあればどちらかに間違いがある』と
「 KOMPICS」)の開発や、高圧噴射と電子制御による可変
いう考え方です。現実が理論や原理原則と合わない場合に、
噴射時期機能を備えた列型噴射ポンプ「 KP21」の開発に携
理論や原理原則通りにはならないのが現実、と決めつけて
わりました。この「 KP21」は 1988 年に量 産化され、大 型
しまうのは間違いである、ということを意味しています。
ダンプトラック「 HD785」に搭載されるようになりました。
開発の現場でも、試験結果が正しいはずの理論や原理原
KOMATSU Annual Report 2011 21
特 集 :「 人 」と「技 術」を 未 来 へ
2011 年 3 月期
アニュアルレポート
則と合わないことがあります。その時に実際は理論や原理
幸い、コマツでは、コマツウェイの中で「現場・現物・現
原則通りには必ずしもならないと考えてしまうことがありま
実を良く見よう」や「コンピューターを使う前にまず自分で
すが、試験のやり方やそもそもの自分の考え方に誤りがあ
考えよ」など、若い技術者にとって見習うべき行動の指針
る可能性もあるのです。技術者にとって、理論や原理原則
が示されており、自分の頭を整理する際に役に立ちます。
を用いて結果を論理的に説明できる力はとても大切です。
私はこの言 葉 を 胸 に刻 むとともに、 若 い 技 術 者に対して
背中を押すことが私たちの役目
も、常にこのような意識を持って仕事に臨むようアドバイス
しています。
技術者は開発を通じて新しいことに挑戦しないと成長し
ません。挑戦することに価値があり、その結果、技術革新
シンプルに考える
も生まれるのです。私の役割は、若い技術者が成長できる
環境を作ることです。その際、仕事を切り分けて部分的に
若い技術者にもう一つアドバイスしているのは「シンプル
に考える」ことです。私が 若い頃は、パソコンやインター
やらせていては成長しません。仕事全体を与え、頭と身体
を全て使って仕事をすることによって成長するのです。
ネットなどありませんでしたが、今の若い技 術者は学生時
今の若い技術者たちは、スマートで頭は良くなっていると
代から使い慣れています。インターネットから多種多様な情
思いますが、
「自分はこれをやりたい」ということがあまり
報が簡単に入手できますし、データを用いてグラフを作成
なく、挑戦する姿勢が弱いように感じます。私たち上司にも
するのも簡単に出来ます。しかし、逆に情報が多すぎて、
責任の一端があるのかもしれません。心配する余り「あれ
何が本当に重要な問題なのか、見えづらくなっているように
はだめ、これはだめ」と言ってしまうと、若手もリスクばか
思います。多くの情報を得ることや、データをグラフ化する
りを気にして萎縮してしまいます。若い技術者が新しいこと
だけでは本当の「見える化」にはなりません。問題を整理
に挑戦できるよう、余計な口出しはせず背中を押してやる
するために、まず考えるための軸を決めて、自分の頭で論
ように心がけています。
理を組み立ててシンプルに考えてみることが大事です。
日、米、欧の新排出ガス規制に対応したエンジン技術の開発
PM(粒子状物質)と騒音を大幅に低減
スーツフィルタ
酸化触媒
建設機械用排出ガス後処理システム<新規開発>
フィルタ内に堆積した PM を、特殊な触媒と燃料噴射の
組み合わせにより燃焼させて除去し、排出ガスを浄化
排出ガスの浄化と低燃費を両立
吸気
排気
可変ノズル
建設機械用可変ターボシステム<新規開発>
独自の油圧技術によって空気の流量を可変させ、負荷の
状況に応じて空気を最適に供給し、排出ガスの浄化と低
燃費を両立
日・米・欧の新排出ガス規制に対応した新型エンジン
※写真は CG により作成したものです。
KOMATSU Annual Report 2011 22
特 集 :「 人 」と「技 術」を 未 来 へ
2011 年 3 月期
アニュアルレポート
世界で活躍するフィールドエンジニアを
フィリピンで育成
2008 年、フィリピン・マニラ市に「コマツ人材開発センタ」( KHRDC)を開設し、 3 年が経過しました。おも
に世界の鉱山で活躍するフィールドエンジニアを育成するために設立したこの人材開発センタでは、現在 52 名のフィリ
ピン人訓練生が、日々、コマツウェイの考え方や、技術・知識の習得に励んでいます。
鉱山現場で活躍するスペシャリスト養成の急務
す。フィールドエンジニアとしての配属にとどまらず、アプ
リケーションエンジニア、サービス IT エンジニア、オペレー
活況が続く鉱山の現場では、大型の鉱山機械を安定して
タートレーナーとしても活躍できるよう育成を行う方針です。
稼働させるために、優れたプロダクトサポート力を持った優
秀なフィールドエンジニアの存在が不可欠です。
これまでもコマツでは、日本国内にプロダクトサポート専
門のカレッジを設立し、日本人フィールドエンジニアの養成
《研修カリキュラム》
3
に力を入れてきました。これをさらに強化し、グローバル化
の研修後、複数の海外鉱山現場で実務研修
に対応するため、 2008 年に設立したのが、フィリピン人材
2
開発センタです。
フィリピン人材開発センタでは、大学で機械工学などを
専攻したフィリピン人新卒者を毎年 20 名採用。 4 年間をか
けて、コマツの方針・価値観である「コマツウェイ」や、技
術、知識を習得してもらっています。
フィリピンに設立した理由は、高い英語力、諸文化への
第 3 ステージ( 3 年)
建設機械に関する最高レベルの技術を持ったフィー
ルドエンジニアに育成するため、日本で、 1 カ月間
1
第 2 ステージ( 6 カ月)
建 設機械に関するより高度な知 識・技 術をトレー
ニングセンタおよびフィリピン国内の鉱山現場実
習で習得
第 1 ステージ( 6 カ月)
建設・鉱山機械に関する構造・機能など基礎知識・
技術をトレーニングセンタで習得
適応力、チームワークに優れ、これまでもコマツの海外事
業発展の歴史の中で、大きな貢献をしてきた実績を考慮し
大学生に OJT の場を提供
たものです。
また訓練生とは別に、大学生を対象にした OJT(職場で
の訓練)の受け入れを行っています。フィリピンの国立 大
4 年間の研修の後グローバルな舞台へ
学では、卒業単位として、企業での OJT を義務づけている
人材開発センタでは、 4 年間のカリキュラムでフィールド
エンジニアを育成します。
ケースが多くあり、 2011 年度は、 20 名の学生を受け入れ、
設備の整った人材開発センタで、3 週間の実習を経験しても
4 年 間 の 研 修 後、 訓 練 生 たちはグ ロ ーバ ル に活 躍 で き
る人材として、 世界 のコマツグル ープ会 社に配 属になりま
らいました。今後も社会貢献活動として、このような要請
にも応えていきたいと考えています。
KOMATSU Annual Report 2011 23
特 集 :「 人 」と「技 術」を 未 来 へ
2011 年 3 月期
アニュアルレポート
VOICE
世界中のお客さまから評価されるエンジニアをめざして
人材育成のグローバルパートナーシップ
コマツ人材開発センタ(フィリピン)
KHRDC フィールドエンジニア訓練生
コマツ人材開発センタ(フィリピン)
Bicol 大学工学部学部長
エンジニア
Ever Dave Vinatero Buyan
Edgardo O. Aguilar 氏
私は KHRDC の第一期訓練生です。研修の第 1 ステージで
環境保護への取り組みは、コマツの経営の最重要課題の一
は、日本やシンガポール、また地元の講師から、非常に沢山
つであり、優れた技術を結集し環境保護に取り組むことは、
の有益な考え方や知識、情報を得ることができました。第 2
社会の持続可能な発展に貢献します。
ステージでは、座学や実技、さらに地元代理店の鉱山現場に
Bicol 大 学 は、 向こう 10 年以 内 に「 グリーン・ユ ニ バーシ
おける実機を使った OJT を通じて、建設・鉱山機械に対する
ティ」になることを目指しており、人と環境に優しい工場運営
視野を広げ、理解を深めることが出来ました。
や、従業員だけでなくステークホルダーも安心できる安 全な
現在私は、プロダクトサポートの技術員として、チリで勤務
職場環境を実現しているコマツを尊敬しています。
しています。最初に配属されたコマツリマンセンタでは、再
Bicol 大学と KHRDC は、フィールドエンジニアの育成につ
生コンポーネントの解体や組立、また油圧や電子機器、品質
いて同じビジョンを持っています。 Bicol 大学が卒業生に期待
保証といった、これまでと異なる部門で働くことを通じて、リ
し、身につけて欲しいのは次のようなことです。
マンビジネスについて深く学ぶことが出来ました。その次に配
属されたチュキカマタ鉱山に隣接するラドミロ・トミック鉱山
で、私は、コマツのエレキダンプ 930E の修理・保守技術や、
・技 能に優れ、技 術への 情 熱とグローバルな視 野を持ち、仕事を
遂行する上で品質の重要性を認識していること。
機械を最良の状態に保つためのオーバーホール計画について
・専門領域の先端技術を進歩させるための創造性と革新性。
も学びました。
・結果を重視するとともに、多国籍・多文化の環境の中でも協調性
を持ち、物事を決断しそれを伝達してゆくノウハウ。
現在 勤務しているのは、チリとアルゼンチンをまたぐ、世
界初の二国間プロジェクトとなるパスクア・ラマ鉱山です。こ
・倫理や理念を重んじ、社会的責任を持つこと。
こでは 930E を初めとした約 60 台の鉱山機械が導入されてい
ます。当面は機械の組立に従事し、標高 5200 メートル、零下
Bicol 大学を卒業し、コマツでフィールドエンジニアとなっ
40 度に達する過酷な現場でも、機械が本来のパフォーマンス
た若者たちは、基礎教育を超えた、実業界における得がたい
を発揮できるよう、品質保持に努めていきます。
経験が出来ています。
私の夢は、コマツ社内だけではなく、世界中のお客さまか
KHRDC とのパートナーシップを通じて、Bicol 大学は 2020
らも高い評価を頂けるようなフィールドエンジニアになること
年までに優 秀なエンジニアを育成するというビジョンに向け
で、それを実現するためにこれまで一 生 懸命努力をしてきま
て、工学部のプログラムの質とその国際的優位性を高めてい
した。世界を股に掛けるエンジニアとして、少なくとも 5 ヶ国
きます。 KHRDC とのパートナーシップは、 Bicol 大学が高度
語は話せるようになりたいです。そしてチャンスがあれば、会
な顧客満足と品質基準の順守により、
「優れた指導・研究・公
社の経営トップになり、私の知識や考えを活かしたいと思って
開講座に向けて継続的に努力する」という ISO9001:2008
います。
の要求を満たしていることを証明してくれるでしょう。
コマツによる KHRDC のプロジェクトは、この世界に進も
また、Bicol 大学等で学んだ優秀な訓練生を受け入れること
うとしている私のような若いフィールドエンジニアにとって、
により、 KHRDC は最高の顧客満足を得られるフィールドエン
素晴らしいスタートだと思います。私たちが懸命に学び、優れ
ジニアを育成することができ、新興市場で顧客とより永続的
たフィールドエンジニアになるためのモチベーションを持ち続
な関係を構築することができるでしょう。
けられるよう、 継 続した 支 援をお願いします。 KHRDC は、
Bicol 大学は、多くの経済と人々の発展に貢献し続けること
若いフィールドエンジニアが将来を見据えるための素晴らしい
により、平和と国際理解のための教育を通じて気候変動への
仕組みです。今後もトレーニングのプロセスが進化、改善し、
対応、軽減を図りながら、コマツとの互 恵関係を築くことを
継続されていくことを望みます。
目指しています。
KOMATSU Annual Report 2011 24
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