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新しいタイプの商標審査に関連した 色彩に関する 調査研究報告書
平 成 27年 度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書 新しいタイプの商標審査に関連した 色彩に関する 調査研究報告書 平成28年2月 株式会社サンビジネス 要約 背景 「 色 彩 の み か ら な る 商 標 」が 商 標 法 の 保 護 対 象 に 追 加 さ れ た こ と に 伴 い 、審 査運用についてのさらなる検討と審査資料の充実を図る必要がある。 目的 色 彩 に 関 す る 一 般 需 要 者 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 に 関 す る 調 査 と 、業 界 の 色 彩 に 対 す る 認 識 実 態・事 例 の 収 集 を 行 う こ と で 、よ り 明 確 で 予 見 性 の 高 い 商 標審査基準とするための基礎資料を作成する。 公開情報調査 国内アンケート調査 国内ヒアリング調査 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 300 者から得たアンケート 国 内 企 業 30 者 か ら 、 の 判 断 、「 商 品 等 か ら 結果を基に、 「赤、ピンク、 業界における色彩の 自 然 発 生 す る 色 彩 」及 オレンジ、黄、緑、青、紫、 使用実態、及び、商 び「 商 品 等 の 機 能 を 確 茶、白、黒、グレー」の各 標法第 4 条第 1 項第 保するために不可欠 色名の範囲を示す区分図 18 号 に 該 当 す る 色 彩 な 色 彩 」に 関 す る 、文 と「赤、黄、緑、青、紫」 の事例の収集を行っ 献・先 行 研 究 等 の 整 理 の各色彩について一般需 た 。有 識 者 6 名 か ら 、 を行った。 要者が類似とする範囲を 調査結果に対する専 推定する図表を作成した。 門的な助言を受けた。 事業アドバイザーによる各調査の取りまとめ等についての助言 総合分析 ・国内アンケート調査の結果を用いて、色彩の類似範囲について推測す る方法を示す。 ・「 自 然 発 生 す る 色 彩 」 に 該 当 す る か は 、「 加 工 さ れ ず に 天 然 物 の ま ま 取 引 き さ れ る 」「 塗 装 の 必 要 性 が な い 」「 製 品 特 有 の 原 材 料 ・ 製 法 で 色 彩 が決定される」という観点を基に判断ができる。 ・「 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」 に 該 当 す る か は 、「 遮 光 性 、 視 認性、視覚的効果といった『色彩の特性』によって決定されるか」と い う 観 点 、及 び 、 「 原 材 料 の 色 彩 の 影 響 、天 然 物 の 色 彩 と の 調 和 、機 能 を 確 保 す る た め の 製 法 、色 彩 を 用 い た 識 別 と い っ た『 色 彩 以 外 の 特 性 』 によって決定されるか」という観点を基に判断ができる。 -i- Ⅰ. 序 1.本調査研究の背景・目的 我 が 国 に お い て は 、特 許 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 に よ り 、商 標 法 が 改 正 さ れ 、 平 成 27年 4月 1日 か ら 、「 色 彩 の み か ら な る 商 標 」な ど が 商 標 法 の 保 護 対 象 に 追 加 されることとなった。 「 色 彩 の み か ら な る 商 標 」を 含 め た 新 し い タ イ プ の 商 標 に つ い て は 、商 標 審 査 基 準 に お い て 、 識 別 性 ( 商 標 法 第 3条 ) や 他 人 の 先 行 商 標 と の 類 否 ( 商 標 法 第 4 条 第 1項 第 11号 な ど )及 び 商 品 等 が 当 然 に 備 え る 特 徴( 商 標 法 第 4条 第 1項 第 18号 ) 等の拒絶理由の該当性について、審査の判断基準を規定している。 と こ ろ で 、商 標 の 審 査 は 、商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 の 観 点 を 基 準 と し て 行 わ れ る も の で あ る 。他 人 の 先 行 商 標 に お け る 色 彩 の 類 否 の 基 準 を よ り 明 確 に す る た め には、各商品・役務に係る需要者の色彩の認識実態を明らかにする必要がある。 し か し な が ら 、各 商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 ご と に 調 査 を 行 う こ と は 効 率 的 で は な い の で 、本 調 査 研 究 で は 、一 般 需 要 者 に お け る 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 に つ いて国内アンケート調査を実施し、分析を行った。 ま た 、商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 や 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 の 実 態 に つ い て 国 内 企 業 を 対 象 と し た ヒ ア リ ン グ 調 査 を 実 施 し 、把 握・分 析 した。 本 調 査 研 究 は 、一 般 需 要 者 に お け る 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 及 び 業 界 の 認 識 実 態・事 例 の 収 集 を 行 う こ と で 、よ り 明 確 で 予 見 性 の 高 い 商 標 審 査 基 準 と す る ための基礎資料の作成を目的として実施したものである。 2.本調査研究の実施方法 本 調 査 研 究 で は 、公 開 情 報 調 査 、国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 、国 内 企 業 ヒ ア リ ン グ 調 査及び国内有識者ヒアリング調査を行った。 (1)公開情報調査 色 彩 に 関 す る 同 一・類 似 の 範 囲 、商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 及 び 機 能 を 確 保するために不可欠な色彩について、規格や先行研究等の調査を行った。 - ii - (2)国内アンケート調査 色 彩( 2 色 以 上 の 色 彩 の 組 合 せ も 含 む )に 関 す る 同 一 ・類 似 の 範 囲 に つ い て 把 握 す る た め 、国 内 の 一 般 需 要 者 に 対 し て 、色 彩 の 同 一・類 似 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 を 実 施 し 、 300 者 か ら 回 答 を 得 た 。 (3)国内ヒアリング調査 国 内 企 業 30 者 に 対 す る ヒ ア リ ン グ 調 査 を 実 施 し た 。 様 々 な 業 界 に お け る 商 品 や 役 務 で 使 用 す る 色 彩 の 選 択 及 び 使 用 方 法 、企 業 の 色 彩 を 用 い た ブ ラ ン ド 戦 略 等 の把握、 「商品等から自然発生する色彩」 「商品等の機能を確保するために不可欠 な色彩」 ( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 審 査 基 準 2.(2)に 該 当 す る 色 彩 )の 事 例 について、ヒアリング調査を行った。 ま た 、色 彩 及 び 色 彩 の み か ら な る 商 標 に 関 す る 専 門 的 な 知 見 を 有 す る 有 識 者 6 者にヒアリング調査を実施した。 Ⅱ.公開情報調査 1. 色彩に関する同一性・類似性の判断 色 彩 に 関 す る 同 一 性・類 似 性 の 判 断 に は 、色 彩 の 連 続 的 な 変 化 の 中 で の 知 覚 的 距 離 と 、色 名 に よ る 認 知 的 な カ テ ゴ リ ー の 分 類 の 両 方 が 、関 係 す る と 考 え ら れ る 。 そ こ で 、色 彩 の 知 覚 的 距 離 に 関 連 す る も の と し て 、定 量 的 に 色 彩 を 表 示 す る 表 色 系 の 中 か ら 、 本 調 査 研 究 に 関 係 の 深 い マ ン セ ル 表 色 系 、 PCCS、 L * a * b * 表 色 系 の 3 つ に つ い て 整 理 を 行 っ た 。ま た 、色 名 に よ る 認 知 的 な カ テ ゴ リ ー の 参 考 に な る も の と し て 、 JIS 系 統 色 名 、 ISCC-NBS 系 統 色 名 法 、 PCCS 系 統 色 名 に よ る 色 名 の 区 分について整理を行った。 2.「商品等から自然発生する色彩 」及び「機能を確保するために不可 欠な色彩」の整理 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 に お け る 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」に つ い て 、先 行 研 究 等 の 文 献 を 確 認 し 、 国内企業・国内有識者ヒアリング調査の参考となる情報を収集した。 ま た 、商 品 の 色 彩 が 規 格 で 決 ま る 事 例 に つ い て 、 『 JIS ハ ン ド ブ ッ ク 61 色 彩 』 - iii - を参考として整理を行った。 Ⅲ.国内アンケート調査 アンケート調査は 4 つの項目に分けて実施した。 調 査 項 目 ① は 、図 形 分 類 で 使 用 し て い る 色 名 と マ ン セ ル 色 票 上 の 色 彩 と の 対 応 を 明 確 に す る た め に 実 施 し た も の で あ る 。調 査 結 果 は「 資 料 Ⅰ -2」の と お り で あ り 、こ れ を 基 に 作 成 し た 、図 形 分 類 で 使 用 し て い る 色 名 と マ ン セ ル 色 票 の 対 応 を 示 す 区 分 図 は 、「 資 料 Ⅰ -4」 の と お り で あ る 。 調 査 項 目 ② 、③ 及 び ④ は 、一 般 需 要 者 の 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 に つ い て 調 査 し た も の で あ る 。調 査 結 果 は「 資 料 Ⅰ -3」の と お り で あ り 、調 査 結 果 を ま と め た も の が 図 表 23 と な る 。 2 色 以 上 を 組 み 合 わ せ た 配 色 の 場 合 に は 、「 配 色 の 順 番 の 変 化 」「 向 き の 変 化 」 「 面 積 比 の 変 化 」「 縞 模 様 の 数 の 変 化 」 等 が あ っ て も 、 同 一 ・ 類 似 と 判 断 さ れ る 割合が大きいことがわかった。 ま た 、同 時 観 察 と 離 隔 観 察 を 比 較 す る と 、離 隔 観 察 の 場 合 の 方 が 同 一 と 判 断 す る 割 合 が 大 き い が 、同 一・類 似 を 合 わ せ た 割 合 で み る と 差 異 は 限 定 的 で あ る こ と がわかった。 Ⅳ.国内ヒアリング調査 「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩」について、以下のとおり整理をした。また、有識者へのヒアリングにより、 調査結果について専門的な視点からの分析・助言を受けた。 - iv - 区分 判断の観点 事例 (1-1) 加 工 さ れ ず に 天 然 物 野菜等の食品・生花・観葉植物 のまま取引きされる 化学物質・金属原料 (1) 商 品 等 か ら 自 線路のレール(鉄の色) (1-2)塗 装 の 必 要 性 が な い 然発生する色彩 (2) 商 品 等 の 機 能 段ボール(黄土色) (1-3) 製 品 特 有 の 原 材 料 ・ 醤油(赤) 製法で色彩が決定される マヨネーズ(白) (2-1) 遮 光 性 の 観 点 で 決 定 薬剤の瓶(茶褐色) される レンズの鏡筒(黒) (2-2) 視 認 性 の 観 点 で 決 定 安全標識(黄) される ブレーキランプ(赤) (2-3) 視 覚 的 効 果 の 観 点 で 手術衣(青緑) 決定される トンネルの照明(オレンジ) (3-1) 原 材 料 の 色 彩 の 影 響 タイヤ(黒) で決定される ヨウ素のうがい薬(茶) (3-2) 天 然 物 の 色 彩 と の 調 絆創膏・塗り薬・ファンデーション(肌色) 和の観点で決定される 白髪染め(黒) を確保するために 不可欠な色彩(色 彩の特性によるも の) (3) 商 品 等 の 機 能 を確保するために 不可欠な色彩(色 彩以外の特性によ るもの) (3-3) 機 能 を 確 保 す る た め 乳液(白) の製法により決定される (3-4) 色 彩 を 用 い た 識 別 の 高 圧 ガ ス ボ ン ベ の 容 器( 黒 、赤 、緑 、白 、黄 、 観点で決定される かつ色、ねずみ色) -v- はじめに 近 年 、企 業 が 国 境 を 越 え て 経 済 活 動 し て い く 中 で ブ ラ ン ド 保 護 の 重 要 性 は 非 常 に 高 い も の と な っ て お り 、 そ の よ う な 状 況 を 受 け 、 我 が 国 に お い て は 、 平 成 27 年 4月 か ら 「 色 彩 の み か ら な る 商 標 」 な ど が 商 標 法 の 保 護 対 象 に 追 加 さ れ た 。 「 色 彩 の み か ら な る 商 標 」を 含 め た 新 し い タ イ プ の 商 標 に つ い て は 、商 標 審 査 基 準 に お い て 、識 別 性( 商 標 法 第 3 条 )や 他 人 の 先 行 商 標 と の 類 否( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 11 号 な ど ) 及 び 商 品 等 が 当 然 に 備 え る 特 徴 ( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 ) 等 の 拒 絶 理 由 の 該 当 性 に つ い て 、 審 査 の 判 断 基 準 を 規 定 し て い る 。 今 後 さ ら な る 検 討 を 進 め る こ と と し て 方 向 性 が 示 さ れ て お り 、審 査 基 準 を 補 足 す る よ うな審査資料の充実を図っているところである。 本 調 査 研 究 は 、 こ う し た 状 況 を 踏 ま え 、 1) 色 彩 に 関 す る 先 行 研 究 等 に つ い て ( 公 開 情 報 調 査 )、2)一 般 需 要 者 に お け る 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 に つ い て ( 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 )、3)企 業 の 色 彩 の 使 用 状 況 、企 業 の 色 彩 に よ る ブ ラ ン ド 戦 略 及 び「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 ・ 「商品等の機能を確保するために不可 欠 な 色 彩 」 に つ い て ( 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 )、 そ れ ぞ れ 調 査 を 行 っ た 。 ま た 、 調 査 の 方 針 、内 容 、進 め 方 及 び ま と め 方 に つ い て 、専 門 的 な 助 言 を 受 け る た め 、国 内有識者にヒアリングを行った。 本 報 告 書 は 、上 記 調 査 の 結 果 を 集 約 し た も の で あ る 。本 報 告 書 が 、今 後 、色 彩 のみからなる商標の審査基準の明確化のために活用されれば幸いである。 最 後 に 、国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 に ご 協 力 い た だ い た 皆 様 、国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 に ご 協 力 い た だ い た 企 業 の 皆 様 、調 査 研 究 に お い て 貴 重 な ご 意 見・ご 指 導 を 賜 っ た 有識者・事業アドバイザーの皆様に、この場を借りて深く感謝申し上げる。 平 成 28 年 2 月 株式会社サンビジネス 目 次 要約 はじめに 【本編】 I . 序 .............................................................. 1 1 . 本 調 査 研 究 の 背 景 ・ 目 的 ......................................... 1 2 . 本 調 査 研 究 の 実 施 内 容 ........................................... 2 ( 1 ) 公 開 情 報 調 査 ................................................. 2 ( 2 ) 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 ........................................... 2 ( 3 ) 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 ........................................... 2 ( 4 ) 国 内 有 識 者 ヒ ア リ ン グ ......................................... 2 II . 公 開 情 報 調 査 .................................................... 4 1 . 公 開 情 報 調 査 の 目 的 ............................................. 4 2 . 公 開 情 報 調 査 の 方 法 ............................................. 4 3 . 公 開 情 報 調 査 の 結 果 ............................................. 4 ( 1 ) 色 彩 の み か ら な る 商 標 に 関 す る 制 度 及 び 取 扱 い .................. 4 (i) 商標法 ........................................................... 4 (ii) 商標審査基準における取扱い ....................................... 6 (iii) その他、審査における取扱い ....................................... 9 ( 2 ) 色 彩 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 ................................. 11 (i) 色彩の同一性・類似性の判断と色差・色名区分との関係 ............. 11 (ii) 知覚的差異に基づく色彩の分類体系(カラーシステム) ............. 12 (iii) 色名による認知的なカテゴリー分類 ................................ 17 ( 3 ) 「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」及 び「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」 ..................................................... 18 (i) 商品等の色彩が機能的に定まる事例 ................................ 18 (ii) 商品等の色彩が規格で定まる事例 .................................. 20 III . 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 ............................................. 21 1 . 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 の 目 的 ...................................... 21 2 . 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 の 手 法 ...................................... 21 ( 1 ) ア ン ケ ー ト 調 査 対 象 の 設 定 .................................... 21 ( 2 ) ア ン ケ ー ト 調 査 項 目 の 設 定 .................................... 22 ( 3 ) ア ン ケ ー ト 調 査 シ ス テ ム の 設 定 ............................... 23 ( 4 ) 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 の 実 施 .................................... 24 3 . 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 の 分 析 ................................ 25 ( 1 ) 調 査 項 目 ① の 分 析 結 果 ........................................ 25 ( 2 ) 調 査 項 目 ② の 分 析 結 果 ........................................ 26 (i) 明度を変化させた場合の同一性・類似性の判断...................... 26 (ii) 彩度を変化させた場合の同一性・類似性の判断...................... 28 (iii) 色相を変化させた場合の同一性・類似性の判断(高彩度領域) ....... 30 (iv) 色相を変化させた場合の同一性・類似性の判断(低彩度領域) ....... 32 (v) 非類似の割合の大きいもの・小さいものの分析結果 ................. 36 (vi) 色相・明度・彩度の変化と同一性・類似性の判断との関係 ........... 37 ( 3 ) 調 査 項 目 ③ の 分 析 結 果 ........................................ 40 (i) 2 色の配置を変化させた場合の同一性・類似性の判断 ................ 40 (ii) 3 色の配置を変化させた場合の同一性・類似性の判断 ................ 42 (iii) 色数を変化させた場合に同一・類似と判断する割合 ................. 42 ( 4 ) 調 査 項 目 ④ の 分 析 結 果 ........................................ 44 ( 5 ) PCCS の 色 相 差 ・ ト ー ン 差 の 区 分 と ア ン ケ ー ト 結 果 ............... 46 IV . 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 ............................................. 48 1 . 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 の 目 的 ...................................... 48 2 . 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 の 手 法 ...................................... 48 ( 1 ) ヒ ア リ ン グ 調 査 対 象 の 選 定 .................................... 48 (i) 企業ヒアリング調査対象の選定(30 者) ........................... 48 (ii) 有識者ヒアリング調査対象の選定(6 者) .......................... 48 ( 2 ) ヒ ア リ ン グ 項 目 の 決 定 ........................................ 50 ( 3 ) ヒ ア リ ン グ 調 査 の 実 施 ........................................ 51 3 . 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 の 結 果 ...................................... 52 ( 1 ) 色 彩 の み か ら な る 商 標 へ の 対 応 に つ い て ....................... 52 (i) 制度の導入にあたっての検討状況・出願の有無...................... 52 (ii) 出願内容や出願目的 .............................................. 53 (iii) 他社の動向の印象、ウォッチングの有無等 .......................... 54 (iv) どのような企業にどのような色彩を登録されると困るか ............. 54 (v) どのような影響が生じるか ........................................ 55 ( 2 ) 商 品 ・ サ ー ビ ス と 色 彩 に つ い て ............................... 56 (i) コーポレートカラー、ブランドカラー等の有無...................... 56 (ii) 商品等に使用する色彩の決定方法 .................................. 56 ( 3 ) 「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」及 び「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」 に つ い て ............................................. 59 (i) 「商品等から自然発生する色彩」の事例 ............................ 59 (ii) 「商品等から自然発生する色彩」の使用状況 ........................ 60 (iii) 「商品等の機能を確保するために不可欠な色彩」の事例 ............. 61 (iv) 代替的な色彩の使用について ...................................... 64 (v) 商品役務に関わる識別標識として色彩が用いられるケース ........... 65 ( 4 ) 業 界 と 色 彩 の 使 用 状 況 の 関 係 ................................. 66 (i) 業界ごとの特徴 .................................................. 66 (ii) 色彩の類似範囲と業界での色彩の使用状況との関係 ................. 67 V . 総 合 分 析 ....................................................... 68 1 . 色 彩 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 .................................... 68 (i) 色彩の同一性・類似性の判断に対する色名によるカテゴリー分類の影響 68 (ii) 色彩の同一性・類似性の判断に対する色彩の知覚的差異の影響 ....... 68 (iii) 色彩の同一性・類似性の判断の実例 ................................ 68 (iv) 2 色以上の色彩についての同一性・類似性の判断 .................... 70 (v) 同一性・類似性の判断における離隔観察の影響...................... 70 (vi) 業界での使用頻度による類似範囲の影響 ............................ 70 2. 「商品等から自然発生する色彩」及び「商品等の機能を確保するために 不 可 欠 な 色 彩 」 に 該 当 す る か の 判 断 ................................... 70 3 . ま と め ........................................................ 72 【資料編 】 資料Ⅰ 国内アンケート調査 資料Ⅰ-1 アンケート画面 資料Ⅰ-2 アンケート集計結果( 調査項目①) 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果( 調査項目②③④ ) 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果 に基づく 色名区分図(調査項目① ) I . 序 1. 本調査研究の背景・目的 近 年 、デ ジ タ ル 技 術 や 国 境 を 越 え た 多 様 な 経 済 活 動 の 急 速 な 進 展 に よ り 、ブ ラ ン ド 保 護 の 重 要 性 は 高 ま り 、各 企 業 の 活 動 に お い て は 、文 字 や 図 形 と い っ た 従 来 型 の 商 標 だ け で な く 、言 語 を 超 え て ブ ラ ン ド メ ッ セ ー ジ を 発 信 可 能 な 輪 郭 の な い 色 彩 や 音 等 を 保 護 す る「 新 し い タ イ プ の 商 標 」の 活 用 も 海 外 で は す で に 行 わ れ て いる。 こ の よ う な 状 況 を 受 け 、我 が 国 に お い て は 、特 許 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律( 平 成 26 年 5 月 14 日 法 律 第 36 号 ) に よ り 、 商 標 法 が 改 正 さ れ 、 平 成 27 年 4 月 1 日 か ら 、「 色 彩 の み か ら な る 商 標 」 や 「 音 商 標 」 な ど を 商 標 法 の 保 護 対 象 に 追 加 することとなった。 「 色 彩 の み か ら な る 商 標 」を 含 め た 新 し い タ イ プ の 商 標 に つ い て は 、商 標 審 査 基 準 に お い て 、識 別 性( 商 標 法 第 3 条 )や 他 人 の 先 行 商 標 と の 類 否( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 11 号 な ど ) 及 び 商 品 等 が 当 然 に 備 え る 特 徴 ( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 ) 等 の 拒 絶 理 由 の 該 当 性 に つ い て 、 審 査 の 判 断 基 準 を 規 定 し て い る 。 と こ ろ で 、商 標 の 審 査 は 、商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 の 観 点 を 基 準 と し て 行 わ れ る も の で あ る 。他 人 の 先 行 商 標 に お け る 色 彩 の 類 否 の 基 準 を よ り 明 確 に す る た め には、各商品・役務に係る需要者の色彩の認識実態を明らかにする必要がある。 し か し な が ら 、各 商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 ご と に 調 査 を す る の は 効 率 的・現 実 的 で は な い た め 、一 般 需 要 者 を 対 象 と し た 調 査 を 行 い 、そ れ を 基 に 各 商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 に お け る 判 断 を 推 測 す る こ と が 有 益 と 考 え る 。具 体 的 に は 、特 定 の 色 彩の事例を提示した上でその色彩と同一又は類似の色彩であると 一般需要者が 捉 え る 範 囲 に つ い て 調 査 し 、把 握 す る こ と が 重 要 と な る 。ま た 、商 品 等 が 当 然 に 備 え る 特 徴 と し て の 色 彩 、 す な わ ち 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 や 「 商 品 等の機能を確保するために不可欠な色彩」に該当するか否かの判断については、 事 業 者 が 、実 際 に ど の よ う な も の を そ う し た 色 彩 と し て 捉 え て い る か の 実 態 を 確 認し、把握することが重要となる。 本 調 査 研 究 は 、上 記 を 通 し て 、色 彩 に 関 す る 一 般 需 要 者 及 び 業 界 の 認 識 実 態 ・ 事 例 の 収 集 を 行 う こ と で 、よ り 明 確 で 予 見 性 の 高 い 商 標 審 査 基 準 と す る た め の 基 礎資料の作成を目的としている。 -1- 2. 本調査研究の実施内容 本 調 査 研 究 で は 、国 内 ア ン ケ ー ト 調 査( 一 般 需 要 者 を 対 象 )及 び 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査( 国 内 企 業 を 対 象 )を 実 施 し 、そ の 結 果 を 基 に 国 内 有 識 者 に ヒ ア リ ン グ を 行った。 (1) 公開情報調査 色 彩 に 関 す る 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 及 び 「機能を確保するために不可欠な色彩」に関する先行研究等の整理を行った。 (2) 国内アンケート調査 色 彩( 2 色 以 上 の 色 彩 の 組 合 せ も 含 む )に 関 し て 、一 般 需 要 者 が 同 一・類 似 と 判断する範囲について把握するため、国内の一般需要者に対して、色彩の同一 性 ・ 類 似 性 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 を 実 施 し 、 300 者 か ら 回 答 を 得 た 。 (3) 国内ヒアリング調査 国 内 企 業 30 者 に 対 す る ヒ ア リ ン グ 調 査 を 実 施 し た 。 様 々 な 業 界 に お け る 商 品 や 役 務 で 使 用 す る 色 彩 の 選 択 及 び 使 用 方 法 、企 業 の 色 彩 を 用 い た ブ ラ ン ド 戦 略 等 の把握、 「商品等から自然発生する色彩」 「商品等の機能を確保するために不可欠 な色彩」 ( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 審 査 基 準 2.(2)に 該 当 す る 色 彩 )の 事 例 について、ヒアリング調査を行った。 ・ 色彩の活用状況について ・ 色彩のみからなる商標の商標登録出願について ・ 「商品等から自然発生する色彩」 「商品等の機能を確保するために不可欠 な色彩」について (4) 国内有識者ヒアリング 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 結 果 に つ い て 、専 門 的 な 視 点 か ら の 分 析・助 言 を 得 る た め 、 色彩に関する専門的な知見を有する有識者 6 者にヒアリング調査を行った。 -2- な お 、ア ン ケ ー ト 調 査 内 容 の 検 討 、ヒ ア リ ン グ 調 査 内 容 の 検 討 、調 査 結 果 の 分 析・取 り ま と め 等 、本 調 査 研 究 の 実 施 を 通 し て 、以 下 の 団 体・学 識 経 験 者 の 方 々 に事業アドバイザーとしてご協力いただいた。 ○色彩に関する知見を有する団体 一般財団法人日本色彩研究所 DIC カ ラ ー デ ザ イ ン 株 式 会 社 ○色彩に関する知見を有する学識経験者 山本 早里(筑波大学 芸術系 准教授) 井口 博美(武蔵野美術大学 デザイン情報学科 教授) -3- II . 公 開 情 報 調 査 1. 公開情報調査の目的 色 彩 の み か ら な る 商 標 の 審 査 資 料 の 充 実 の た め に 、色 彩 に 関 す る 同 一・類 似 の 範 囲 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 及 び 「 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」に つ い て 、規 格 や 先 行 研 究 等 の 調 査 を 行 っ た 。ま た 、新 し い タ イ プ の 商標審査に関連した色彩に関する制度及び取扱いの整理を行った。 2. 公開情報調査の方法 書 籍 、論 文 、調 査 研 究 報 告 書 、審 議 会 報 告 書 、デ ー タ ベ ー ス 情 報 及 び イ ン タ ー ネ ッ ト 情 報 等 か ら 、 以 下 ( 1) ~ ( 3) に 関 す る 情 報 を 収 集 し 取 り ま と め た 。 (1)色 彩 の み か ら な る 商 標 に 関 す る 制 度 及 び 取 扱 い (2)色 彩 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 (3)「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 及 び 「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠な色彩」 3. 公開情報調査の結果 (1) 色彩のみからなる商標に関する制度及び取扱い ( i) 商標法 ① 商 標 法 第 2条 我 が 国 商 標 制 度 に お い て は 、 特 許 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 ( 平 成 26 年 5 月 14 日 法 律 第 36 号 )に よ り 、商 標 法 が 改 正 さ れ 、商 標 の 定 義 に 従 来 は 保 護 対 象 と されていない、色彩のみからなる商標が追加された。 商標法第 2 条 (定義等) 第二条 こ の 法 律 で「 商 標 」と は 、人 の 知 覚 に よ つ て 認 識 す る こ と が で き る も の -4- の う ち 、文 字 、図 形 、記 号 、立 体 的 形 状 若 し く は 色 彩 又 は こ れ ら の 結 合 、音 そ の 他 政 令 で 定 め る も の( 以 下「 標 章 」と い う 。)で あ つ て 、次 に 掲 げ る も の を い う 。 一・二 (略) 2~6 (略) ② 商 標 法 第 3条 商標の定義の見直しがされるとともに、商標の登録要件の見直しがなされた。 商 標 法 第 3 条 に お い て 、 自 他 商 品 等 の 識 別 力 が な い 商 標 と し て 、「 商 品 等 が 通 常 有 す る 色 彩 」等 を 含 め る た め 、商 標 法 第 3 条 第 1 項 第 3 号 の 対 象 と し て 、そ の 商 品又は役務の「その他の特徴」を追加することとした。 商標法第 3 条 (商標登録の要件) 第三条 自 己 の 業 務 に 係 る 商 品 又 は 役 務 に つ い て 使 用 を す る 商 標 に つ い て は 、次 に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。 一・二 三 (略) そ の 商 品 の 産 地 、販 売 地 、品 質 、原 材 料 、効 能 、用 途 、形 状( 包 装 の 形 状 を 含 む 。第 二 十 六 条 第 一 項 第 二 号 及 び 第 三 号 に お い て 同 じ 。)、生 産 若 し く は 使 用 の 方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、 質 、提 供 の 用 に 供 す る 物 、効 能 、用 途 、態 様 、提 供 の 方 法 若 し く は 時 期 そ の 他 の 特 徴 、数 量 若 し く は 価 格 を 普 通 に 用 い ら れ る 方 法 で 表 示 す る 標 章 の み か ら な る 商 標 四~六 2 (略) (略) ③ 商 標 法 第 4条 第 1 項 第 18号 商 品 が 当 然 に 備 え る 色 彩 の み か ら な る 商 標 等 に つ い て 、そ の 商 標 登 録 を 排 除 で き る よ う に す る た め 、 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 対 象 と し て 「 商 品 若 し く は 商 品 の 包 装 又 は 役 務 が 当 然 に 備 え る 特 徴 」を 規 定 し た 。ま た 、そ の 具 体 的 な 特 徴 については、政令に委任することとした。 -5- 商標法第 4 条 (商標登録を受けることができない商標) 第四条 次 に 掲 げ る 商 標 に つ い て は 、前 条 の 規 定 に か か わ ら ず 、商 標 登 録 を 受 け ることができない。 一~十七 十八 (略) 商 品 等( 商 品 若 し く は 商 品 の 包 装 又 は 役 務 を い う 。第 二 十 六 条 第 一 項 第 五 号 に お い て 同 じ 。) が 当 然 に 備 え る 特 徴 の う ち 政 令 で 定 め る も の の み か ら な る 商 標 十九 (略) 2・3 (略) 商標法施行令 第 1 条 (政令で定める特徴) 第一条 商標法第四条第一項第十八号及び第二十六条第一項第五号の政令で定め る 特 徴 は 、立 体 的 形 状 、色 彩 又 は 音( 役 務 に あ つ て は 、役 務 の 提 供 の 用 に 供 す る 物の立体的形状、色彩又は音)とする。 ( ii) 商 標 審 査 基 準 に お け る 取 扱 い ① 商 標 審 査 基 準 第 3条 第 1項 第 3号 に お け る 取 扱 い 商 標 審 査 基 準 〔 改 訂 第 11版 〕 第 1 五 、 第 3条 第 1項 第 3号 に お い て 、 商 品 等 が 通 常有する色彩のみからなる商標の取扱いについて規定されている。 商 標 審 査 基 準 〔 改 訂 第 11版 〕 第 1 3条 1項 (略) 五 、第 3 条 第 1 項 第 3 号( 商 品 の 産 地 、販 売 地 、品 質 そ の 他 の 特 徴 等 の 表 示 又 は 役務の提供の場所、質その他の特徴等の表示) その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状 を 含 む 。第 二 十 六 条 第 一 項 第 二 号 及 び 第 三 号 に お い て 同 じ 。)、生 産 若 し く は 使 用 の 方 法 若 し く は 時 期 そ の 他 の 特 徴 、数 量 若 し く は 価 格 又 は そ の 役 務 の 提 供 の 場 所 、質 、提 供 の 用 に 供 す る 物 、効 能 、用 途 、態 様 、提 供 の 方 法 若 し く は 時 期 そ の 他 の 特 徴 、数 量 若 し く は 価 格 を 普 通 に 用 い ら れ る 方 法 で 表 示 す る -6- 標章のみからなる商標 (略) 15. 商 品 又 は 役 務 の 特 徴 に 該 当 す る 色 彩 の み か ら な る 商 標 に つ い て 商 品 等 が 通 常 有 す る 色 彩 の み か ら な る 商 標 に つ い て は 、原 則 と し て 、本 号 の 規定に該当するものとする。 (1) 商 品 が 通 常 有 す る 色 彩 (イ) 商 品 の 性 質 上 、 自 然 発 生 的 な 色 彩 (例 ) 商 品 「 木 炭 」 に つ い て 、「 黒 色 」 (ロ) 商 品 の 機 能 を 確 保 す る た め に 通 常 使 用 さ れ る 又 は 不 可 欠 な 色 彩 (例 ) 商 品 「 自 動 車 用 タ イ ヤ 」 に つ い て 、「 黒 色 」 (ハ) そ の 市 場 に お い て 商 品 の 魅 力 の 向 上 に 通 常 使 用 さ れ る 色 彩 (例 ) 商 品 「 携 帯 電 話 機 」 に つ い て 、「 シ ル バ ー 」 (ニ) そ の 市 場 に お い て 商 品 に 通 常 使 用 さ れ て は い な い が 、 使 用 さ れ 得 る 色 彩 (例 ) 商 品 「 冷 蔵 庫 」 に つ い て 、「 黄 色 」 (ホ) 色 模 様 や 背 景 色 と し て 使 用 さ れ 得 る 色 彩 (例 ) 商 品 「 コ ッ プ 」 に つ い て 、「 縦 の ス ト ラ イ プ か ら な る 黄 色 、 緑 色 、 赤 色 」 (略) ② 商 標 法 第 4条 第 1 項 第 11号 に 関 す る 審 査 基 準 商 標 審 査 基 準〔 改 訂 第 11版 〕第 3 十 、第 4条 第 1項 第 11号 に お い て 、色 彩 の み か らなる商標の類否について規定されている。 商 標 審 査 基 準 〔 改 訂 第 11版 〕 第 3 4条 1項 (略) 十 、 第 4 条 第 1 項 第 11 号 ( 先 願 に 係 る 他 人 の 登 録 商 標 ) 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれ に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務 ( 第 六 条 第 一 項( 第 六 十 八 条 第 一 項 に お い て 準 用 す る 場 合 を 含 む 。 )の 規 定 に よ り 指 定 し た 商 品 又 は 役 務 を い う 。 以 下 同 じ 。) 又 は こ れ ら に 類 似 す る 商 品 若しくは役務について使用をするもの (略) 16. 色 彩 の み か ら な る 商 標 の 類 否 に つ い て (1) 色 彩 の み か ら な る 商 標 の 類 否 の 判 断 は 、 当 該 色 彩 が 有 す る 色 相 ( 色 合 い )、 -7- 彩 度 ( 色 の 鮮 や か さ )、 明 度 ( 色 の 明 る さ ) を 総 合 し て 、 商 標 全 体 と し て 考 察しなければならない。 (2) 色 彩 を 組 み 合 わ せ て な る 商 標 は 、 (1)に 加 え 、 色 彩 の 組 合 せ に よ り 構 成 さ れ る全体の外観を総合して、商標全体として考察しなければならない。 (3) 色 彩 を 組 み 合 わ せ て な る 商 標 と 単 色 の 商 標 と の 類 否 に つ い て 色 彩 を 組 み 合 わ せ て な る 商 標 を 構 成 す る 一 色 と 、そ の 一 色 と 同 色 の 色 彩 の み からなる商標とは、原則として、類似しないものとする。 (例) 原則として、類似しない場合 ≠ (色彩を組み合わせてなる商標) (単色の商標) (4) 「 単 色 の 商 標 」 と 「 文 字 と 色 彩 の 結 合 商 標 」 と の 類 否 に つ い て 「 単 色 の 商 標 」と「 文 字 と 色 彩 の 結 合 商 標 」と は 、原 則 と し て 、類 似 し な い ものとする。 (5) 「 単 色 の 商 標 」 と 「 文 字 商 標 」 と の 類 否 に つ い て 文 字 商 標 と の 類 否 判 断 に お い て は 、称 呼 及 び 観 念 に お い て 同 一 又 は 類 似 で あ る と し て も 、色 彩 の み か ら な る 商 標 は 、主 と し て 色 彩 の 外 観 が 重 要 な 判 断 要 素 となることから、原則として、類似しないものとする。 (例 ) 原 則 と し て 、 類 似 し な い 場 合 ≠ (単色の商標) 赤 (文字商標) (6) 「 図 形 と 色 彩 の 結 合 商 標 」と「 色 彩 を 組 み 合 わ せ て な る 登 録 商 標 」と の 類 否 「 図 形 と 色 彩 の 結 合 商 標 」を 本 願 と し た 場 合 の「 色 彩 を 組 み 合 わ せ て な る 登 録商標」との類否については、色彩の配置や割合等が同一又は類似であれ ば、原則として、類似するものとする。 (例 ) 原 則 と し て 、 類 似 す る 場 合 ≒ (図形商標) (色彩を組み合わせてなる登録商標) -8- ③ 商 標 審 査 基 準 第 4条 1項 18号 商 標 審 査 基 準〔 改 訂 第 11版 〕第 3 十 六 、第 4条 第 1項 第 18号 に お い て 、色 彩 の み からなる商標の商品等が当然に備える特徴について規定されている。 商 標 審 査 基 準 〔 改 訂 第 11版 〕 第 3 4条 1項 (略) 十 六 、 第 4 条 第 1 項 第 18 号 ( 商 品 等 が 当 然 に 備 え る 特 徴 ) 商 品 等( 商 品 若 し く は 商 品 の 包 装 又 は 役 務 を い う 。第 二 十 六 条 第 一 項 第 五 号 に お い て 同 じ 。) が 当 然 に 備 え る 特 徴 の う ち 政 令 で 定 め る も の の み か ら な る商標 (略) 2.商 品 等 が「 当 然 に 備 え る 特 徴 」に つ い て 、第 3 条 第 2 項 に 該 当 す る か 否 か の 判 断 に お い て 提 出 さ れ た 証 拠 方 法 等 か ら 、 次 の (1)、 (2)又 は (3)を 確 認 す る 。 (略) (2) 色 彩 の み か ら な る 商 標 に つ い て 次 の (イ)及 び (ロ)を 確 認 す る 。 (イ) 出 願 商 標 が 、 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 の み か ら な る も の で あ る こ と 。 (ロ) 出 願 商 標 が 、商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 の み か ら な る も の であること。 (略) ( iii) そ の 他 、 審 査 に お け る 取 扱 い 特 許 庁 で は 平 成 16 年 よ り 商 標 の 国 際 分 類 で あ る ウ ィ ー ン 協 定 に 基 づ く 図 形 分 類 1を 審 査 に 利 用 し て い る 。 色に関する細分化ウィーン分類表では、赤、ピンク、オレンジ、黄、緑、青、 紫 、 茶 、 白 、 黒 、 グ レ ー 、 金 、 銀 の 13 色 に 分 類 さ れ て い る 。 1 国 際 的 に 広 く 採 用 さ れ て い る「 標 章 の 図 形 的 要 素 の 国 際 分 類 を 制 定 す る ウ ィ ー ン 協 定 」に 基 づ く 図 形 分 類 で あ る 。日 本 は ウ ィ ー ン 協 定 に 加 入 し て い な い も の の 、ウ ィ ー ン 協 定 は 、パ リ 条 約 の 加 盟 国 に 開 放 し て い る た め 、 日 本 で は 2004 年 度 よ り 当 該 分 類 に 準 拠 し て 作 成 し た 「 細 分 化 ウ ィ ー ン 分 類 表 」 を 使 用 し て い る 。 http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2006/honpen/2-2.pdf〔 最 終 ア ク セ ス : 2015 年 12 月 21 日 〕 -9- 色に関する細分化ウィーン分類表 29.色 追加注: 我 が 国 で は 、 商 標 ( 色 彩 の み か ら な る 商 標 を 除 く 。) の 色 彩 が 、 白 、 グ レー、黒のみからなる場合には、色の分類を付与しない。 29.1 色 *29.1.1 赤 、 ピ ン ク 、 オ レ ン ジ 29.1.1.1 赤 ( 文 字 ) 29.1.1.2 赤 ( 図 形 ) 29.1.1.3 ピ ン ク ( 文 字 ) 29.1.1.4 ピ ン ク ( 図 形 ) 29.1.1.5 オ レ ン ジ ( 文 字 ) 29.1.1.6 オ レ ン ジ ( 図 形 ) *29.1.2 黄 、 金 29.1.2.1 黄 ( 文 字 ) 29.1.2.2 黄 ( 図 形 ) 29.1.2.3 金 ( 文 字 ) 29.1.2.4 金 ( 図 形 ) *29.1.3 緑 29.1.3.1 緑 ( 文 字 ) 29.1.3.2 緑 ( 図 形 ) *29.1.4 青 29.1.4.1 青 ( 文 字 ) 29.1.4.2 青 ( 図 形 ) *29.1.5 紫 29.1.5.1 紫 ( 文 字 ) 29.1.5.2 紫 ( 図 形 ) *29.1.6 白 、 グ レ ー 、 銀 29.1.6.1 白 ( 文 字 ) 29.1.6.2 白 ( 図 形 ) 29.1.6.3 グ レ ー ( 文 字 ) 29.1.6.4 グ レ ー ( 図 形 ) 29.1.6.5 銀 ( 文 字 ) 29.1.6.6 銀 ( 図 形 ) *29.1.7 茶 - 10 - 29.1.7.1 茶 ( 文 字 ) 29.1.7.2 茶 ( 図 形 ) *29.1.8 黒 29.1.8.1 黒 ( 文 字 ) 29.1.8.2 黒 ( 図 形 ) 29.1.12 二 つ の 色 が 顕 著 な も の 29.1.13 三 つ の 色 が 顕 著 な も の *29.1.14 四 つ の 色 *29.1.15 五 つ 以 上 の 色 中 分 類 29.1 の 小 分 類 の 補 助 (小 分 類 29.1.1-8,14,15 に 付 属 す る ) A29.1.11 一 つ の 色 が 顕 著 な も の (略) 新しいタイプの商標等に関する細分化ウィーン分類表 (略) 44.1 色 彩 の み か ら な る 商 標 44.1.1 単 色 44.1.2 色 彩 の 組 み 合 わ せ (略) (2) 色彩の同一性・類似性の判断 ( i) 色彩の同一性・類似性の判断と色差・色名区分との関係 色 彩 は 、人 間 の 知 覚 の レ ベ ル で「 色 相 2 」「 明 度 3 」 「 彩 度 4 」の 三 属 性 を 持 ち 、こ れ ら は 連 続 量 と し て 扱 う こ と が で き る 。一 方 で 、人 間 は 認 知 の レ ベ ル で 、色 彩 を 色 名 に よ り カ テ ゴ リ カ ル に 区 分 し て 、区 別 す る こ と も 行 っ て い る 。色 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 に も 、連 続 的 な 変 化 の 中 で の 知 覚 的 距 離 と 、色 名 に よ る 認 知 的 な カ テゴリー分類の両方が、関係すると考えられる。 そ こ で 、知 覚 的 差 異( 見 た 目 の 違 い )に 基 づ く 色 彩 の 分 類 体 系( カ ラ ー シ ス テ 2 色相とは、赤・黄・緑・青・紫、等で区別される色合いのこと。 3 明度とは、色彩の明るさのこと。 4 彩度とは、色彩の鮮やかさのこと。 - 11 - ム ) と 、 色 名 に よ る 認 知 的 な カ テ ゴ リ ー 分 類 に つ い て 、 整 理 す る こ と と す る 5。 ( ii) 知 覚 的 差 異 に 基 づ く 色 彩 の 分 類 体 系 ( カ ラ ー シ ス テ ム ) 色の微妙な違いを数値や記号を用いて、正確に表現したものを表色系という。 世 界 中 で 様 々 な 種 類 の 表 色 系 が 考 案 さ れ て い る が 、そ の 中 か ら 本 調 査 に 関 係 の 深 い 3 つの表色系を選定した。 ① マンセル表色系 マ ン セ ル 表 色 系 は 、三 属 性( 色 相・明 度・彩 度 )を 軸 に 構 成 し た シ ス テ ム で あ り 、 日 本 で は JIS Z 8721( 三 属 性 に よ る 色 の 表 示 方 法 ) と し て 規 格 化 さ れ て い る。 色 相 に つ い て は 、「 R( 赤 )・ Y( 黄 )・ G( 緑 )・ B( 青 )・ P( 紫 )」 の 基 本 5 色 相 と 、 そ の 中 間 に 「 YR( 黄 赤 )・ GY( 黄 緑 )・ BG( 青 緑 )・ PB( 青 紫 )・ RP( 赤 紫 )」 を 合 わ せ た 、合 計 10 色 の 主 要 色 相 か ら 成 り 立 ち 、さ ら に そ れ ら の 色 相 を 10 で 分 割 し た 計 100 色 相 で 表 現 す る 。 明 度 に つ い て は 、 最 も 明 る い 白 を 明 度 10、 最 も 暗 い 黒 を 明 度 0 と し て 、 表 現 す る 。色 彩 に つ い て は 、色 の な い 無 彩 を 0 と し て 、色 の 鮮 や か さ の 度 合 い に よ り 、 数字を大きくすることで表現する。 マ ン セ ル 表 色 系 で は 、こ れ ら の 色 相・明 度・彩 度 の 値 を 元 に 、色 彩 を 表 記 す る 。 例 え ば 、 色 相 が 「 5R」、 明 度 が 「 7」 彩 度 が 「 6」 で あ れ ば 、「 5R 7/6」 と 表 記 す る 。ま た 、色 み を 持 た な い 白 、灰 、黒 の 場 合 に は 、無 彩 色 を 示 す N と 明 度 を 組 み 合 わ せ て 表 記 す る 。 例 え ば 、 明 度 が 7 の 明 る い 灰 色 は 「 N7」 と 表 記 す る 。 た だ し 、マ ン セ ル 表 色 系 は 、色 相・明 度・彩 度 か ら 色 彩 の 変 化 を 示 す こ と が 可 能 で あ る が 、そ の シ ス テ ム 自 体 が 、色 彩 の 知 覚 的 に 同 一 の 範 囲・類 似 の 範 囲 に つ 5 『 表 面 色 の カ テ ゴ リ カ ル 知 覚 』 内 川 惠 二 に お い て は 、 以 下 の よ う に 記 載 さ れ て い る 。「 色 は 明 る さ , 色 相,彩度の三属性をもち,3 次元空間内に表示することができる.このような色表示空間にはマンセル 空 間 , NCS(natural color system)空 間 や OSA (Optical Society of America)空 間 な ど そ れ ぞ れ 特 徴 の あ る 色 空 間 が 定 義 さ れ て い る が ,ど の 色 空 間 を 用 い て も 色 は 連 続 量 と し て 扱 わ れ て い る .こ れ は 色 の 見 え が 空 間 内 で 連 続 的 に 変 化 し ,決 し て 離 散 的 に は 変 化 し な い か ら で あ る .と こ ろ が 一 般 に わ れ わ れ は 色 を 色 名 に よ り カ テ ゴ リ カ ル に 区 分 し , 色 を あ た か も 離 散 的 な 量 の よ う に 扱 っ て い る . た と え ば ,“ 緑 ” と い う 一 つ の 色 名 で 呼 ば れ る 色 に は 薄 い 緑 ,濃 い 緑 ,黄 に 近 い 緑 ,青 に 近 い 緑 な ど 数 多 く の 連 続 的 に 変 化 す る“ 緑 ”が 含 ま れ て い る .し か し ,わ れ わ れ は こ れ ら の 連 続 し た 異 な る 色 を ,一 つ の“ 緑 ”と い う カ テ ゴ リ ー に ま と め ,他 の“ 黄 ”や“ 青 ”な ど の カ テ ゴ リ ー と 区 別 し て い る .こ の よ う な 色 空 間 内 の 領 域 の カ テ ゴ リ ー 化 が 存 在 す る こ と は 視 覚 系 に は 色 を 連 続 的 に 知 覚 す る だ け で な く ,離 散 的 に 知 覚 す る 機 能 が 備 わ っ て い る こ と を 表 わ し て い る .」 http://www.uchikawa.ip.titech.ac.jp/ACHIEVEMENT/PDF/uchikawa_1988.pdf〔 最 終 ア ク セ ス : 2016 年 1 月 22 日 〕 - 12 - いて、規定をするものではない。 図表 1 図表 2 マンセル色相環 マンセル色票 - 13 - ② PCCS PCCS 6 は 、 色 彩 の 調 和 に 関 す る 問 題 を 体 系 的 に 検 討 す る こ と を 主 な 目 的 と し て 開発されたものである。 色 相 に つ い て は 、 図 表 3 の と お り 24 色 相 が 設 定 さ れ て い る 。 明 度 に つ い て は 、最 も 明 る い 白 を 明 度 9.5、最 も 暗 い 黒 を 明 度 1.0 と し 、白 と 黒の間を、等しい間隔に見えるように細かく分割 したものである。 彩 度 に つ い て は 、 各 色 相 の 代 表 色 を 全 て 同 じ 彩 度 ( 10s) と し て 、 そ こ か ら 無 彩 色 ( 0s) ま で の 変 化 を 、 等 し い 間 隔 に 見 え る よ う に 分 割 し て い る 。 また、明度と彩度の複合したトーンの概念を有している。 図表 3 PCCS の 色 相 環 図表 4 PCCS の ト ー ン 図 PCCS に お い て は 、色 相 に 関 し て「 隣 接 色 相 」 「 類 似 色 相 」の 概 念 が あ り 、ま た 、 明 度 と 彩 度 を 組 み 合 わ せ た 概 念 で あ る ト ー ン に 関 し て も 「 同 一 ト ー ン 」「 類 似 ト ーン」の概念を有している。 6 日 本 色 研 配 色 体 系 ( Practical Color Co -ordinate System)。 日 本 色 彩 研 究 所 が 1964 年 に 発 表 し た カ ラーシステムである。 - 14 - 図表 5 図表 6 PCCS の 色 相 関 係 区 分 PCCS の 類 似 ト ー ン の 範 囲 図表 7 - 15 - PCCS の 対 照 ト ー ン の 範 囲 ③ L*a*b*表 色 系 L * a * b * 表 色 系 は 、国 際 照 明 委 員 会( CIE)が 1976 年 に 推 奨 し た 、色 差( 色 と 色 と の 僅 か な 違 い )を 表 す の に 適 し た 表 色 系 で 、日 本 で も JIS Z8781-4( 測 色 −第 4 部 : CIE1976 L * a * b * 色 空 間 ) と し て 規 格 化 さ れ て い る 。 L * a * b * 表 色 系 で は 、 明 度 を L * ( エ ル ス タ ー )、 色 相 と 彩 度 を 示 す 色 度 を a * ( エ ー ス タ ー )、 b * ( ビ ー ス タ ー ) に よ り 表 す 。 L * 値 は 明 る さ を 表 し 、 0 か ら 100 ま で で 数 値 が 大 き い ほ ど 明 る く な る 。ま た 、a * が プ ラ ス の 方 向 に な る ほ ど 赤 み が 強 く な り 、マ イ ナ ス の 方 向 に な る ほ ど 緑 み が 強 く な る 。b * が プ ラ ス の 方 向 に な る ほ ど黄みが強くなり、マイナスの方向になるほど青みが強くなる。 図表 8 L*a*b*表 色 系 の 3 属 性 図表 9 L*a*b*表 色 系 色 度 図 L * a * b * 表 色 系 は 、色 空 間 に お け る 2 点 間 の 距 離 と 、見 た 目 の 色 の ズ レ の 程 度( 色 差 ) と が 一 致 す る よ う に 開 発 さ れ た も の で あ る 。 色 差 は 、 L*a*b*表 色 系 の 色 空 間 に お け る 2 色 の 距 離 に よ り 表 さ れ 、Δ E * ab(デ ル タ・イ ー ス タ ー・エ ー・ビ ー )と 呼 ば れ る 7。 7 色 差 と は 、 色 の 知 覚 的 な 違 い を 定 量 的 に 表 し た も の で あ る 。 L*a*b*表 色 系 に お い て は 、 以 下 の 式 に よ り色差が計算される。 Δ E * ab=[(Δ L * ) 2 +(Δ a * ) 2 + (Δ b * ) 2 ] 1 / 2 - 16 - ( iii) 色 名 に よ る 認 知 的 な カ テ ゴ リ ー 分 類 図形分類の色彩コードは、赤、ピンク、オレンジ、黄、緑、青、紫、茶、白、 黒 、 グ レ ー 、 金 、 銀 の 13 色 に 分 類 さ れ て い る 。 こ れ ら は 色 彩 を 分 類 す る た め の 基 本 色 彩 語 と は 対 応 す る が 、日 常 的 に 用 い る 色 名 と 一 致 す る も の で は な い 。そ こ で 、図 形 分 類 に お け る 色 彩 コ ー ド と 比 較 す る 意 味で、3 つの系統的な色名の呼称法を紹介する。 ① JIS 系 統 色 名 「 JIS Z 8102: 2001 物 体 色 の 色 名 」 で は 、 物 体 色 の 色 名 に つ い て 規 定 さ れ て お り 、 明 度 及 び 彩 度 に 関 す る 修 飾 語 8と 、 基 本 色 名 を 組 み 合 わ せ る こ と で 、 色 を 系統的に表すことができる。 基 本 色 名 に つ い て は 、 以 下 の 13 種 が 定 め ら れ て い る 。 有彩色 赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫 無彩色 白、灰色、黒 ② ISCC-NBS 系統色名法 Inter-Society Color Council ( 全 米 色 彩 協 議 会 ) と National Bureau of Standards( 国 家 標 準 局 、現 在 は 改 称 し NIST)に よ り 作 成 さ れ た 、系 統 的 な 色 名 呼 称 方 法 で あ る 。マ ン セ ル 色 立 体 を 267 ブ ロ ッ ク に 分 割 し 、そ れ ぞ れ に 体 系 的 な 色名が付けられている。 基 本 的 な 骨 格 の レ ベ ル で は 、 以 下 の 13 種 類 の 基 本 色 彩 カ テ ゴ リ ー に 分 類 さ れ る。 有彩色 無彩色 pink、red、orange、brown、yellow、olive、yellow green、green、 blue、 purple white、 gray、 black 8 有 彩 色 の 明 度 ・ 彩 度 に つ い て の 修 飾 語 と し て は 、「 明 る い 」「 つ よ い 」「 こ い 」「 う す い 」「 や わ ら か い 」 「 く す ん だ 」等 が あ り 、色 名 と 組 み 合 わ せ て「 う す い 赤 」と い っ た 表 現 が な さ れ る 。色 相 に 関 し て は「 赤 み の 」「 黄 み の 」「 緑 み の 」 等 の 修 飾 語 を 用 い ら れ る 。 - 17 - ③ PCCS 系 統 色 名 色 彩 の 統 計・調 査 を 目 的 と し た 研 究 成 果 に よ る 系 統 色 名 法 で 、調 査 用 カ ラ ー コ ー ド の 別 称 も あ る 色 名 法 で あ る 。色 名 を 階 層 的 に 規 定 し て お り 、基 本 分 類・大 分 類 ・ 中 分 類 ・ 小 分 類 の 4 段 階 の 分 類 が あ る 。 基 本 分 類 と し て は 、 以 下 の 16 種 類 に分類されている。 有彩色 無彩色 ピ ン ク 、赤 、オ レ ン ジ 、ブ ラ ウ ン 、黄 、オ リ ー ブ 、黄 緑 、緑 、青 緑 、 青、青紫、紫、赤紫 白、グレー、黒 図 表 10 は 、 マ ン セ ル 色 空 間 の 中 を 、 PCCS 系 統 色 名 に 区 分 し た も の で あ る 。 図 表 10 PCCS 系 統 色 名 分 類 図 ( 色 相 圏 別 ・ 系 別 ) (3) 「商品等から自然発生する色彩」及び「商品等の機能を確保するために 不可欠な色彩」 ( i) 商品等の色彩が機能的に定まる事例 「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」の 事 例 と し て 、手 術 着 等 の 医 - 18 - 療 用 着 衣 や 手 術 室 に つ い て 、赤 い 血 の 色 の 補 色 で あ る 緑 が 機 能 的 な 色 と し て 使 用 されているという例がよく挙げられる。 宮 城 守 雄 「 一 般 医 用 ・ 介 護 用 繊 維 」( 繊 維 学 会 誌 「 医 療 ・ 介 護 用 繊 維 の 現 状 と 課 題 」 特 集 、 VOL.54、 No.10、 357 頁 、 1998 年 ) に お い て 、 血 液 の 色 と 補 色 に ついての解説がされている。 手 術 用 繊 維 製 品 の 色 は ,術 者 ら が 血 液 の 赤 を 凝 視 し し た 時 に 出 る 残 像 を 見 え な く す る た め に 青 緑 色 と な っ て い る .色 の 影 響・効 果 を 考 え た 繊 維 製 品 は ,術 時 の 新 衣 の み で な く 看 護 婦 の 自 衣 に ピ ン ク ,薄 ブ ル ー が 採 用 さ れ 始 め る な ど ,看 護・介 護 の領域にまで拡がっている. 安 原 青 兒「 絵 画 療 法 の 基 に な る 色 彩 解 釈 」 ( 九 州 保 健 福 祉 大 学 研 究 紀 要 、6 巻 、 5 頁 、 2005 年 ) で も 、 記 述 さ れ て い る 。 医 師 の 手 術 着 が 緑 な の は 、患 者 の 出 血 の 補 色 残 像 を 和 ら げ た り 、大 量 の 出 血 を 目にする際に心理的バランスをとる効果があるなどとも言われている。 し か し 、こ う し た 色 彩 の 機 能 的 性 質 に つ い て は 、懐 疑 的 な 意 見 も あ る 。伊 藤 誠 「 手 術 部 の 設 計 に み ら れ る 最 近 の 傾 向 」( BME、 Vol.1、 No.12、 924・ 926 頁 、 1987 年 ) に お い て は 、 以 下 の よ う に 記 載 が さ れ て い る 。 手術室の色といえば, 往年の白……に代わって壁面も手術衣も覆布もすべ て 緑 色 と い う の が 通 例 に な っ て い る . こ れ は 第 2次 大 戦 後 ア メ リ カ で 提 唱 さ れ たのがはじまりで, その後世界中に広まったものである. 趣旨は, いまさら 述 べ る ま で も な い で あ ろ う が , あ え て く り 返 せ ば ,血 の 色 の 補 色 と し て の 青 緑 色 (マ ン セ ル 記 号 で あ ら わ せ ば 5BG8/2) が 術 者 の 眼 の 疲 れ を い や す の に 最 適 だ と い う と こ ろ に あ る . 手 術 野 を 注 視 し て い た 眼 を ふ と あ げ た と き ,な る べ く 速 やかに残像を消し疲労を回復させるには, 術者を囲む環境がすべて血の色の 補 色 で あ る こ と が の ぞ ま し い . ま た 色 彩 に は ,赤 が 興 奮 性 で あ る の に 対 し て , 青 や 緑 の 系 統 に は 鎮 静 効 果 が あ る .と い っ た と こ ろ か ら , そ れ ま で 色 彩 計 画 に 客観的なよりどころをもっていなかった世界中の建築家にとりあげられ , 結 果 と し て そ の 後 の 手 術 室 を 緑 一 色 に 画 一 化 し て し ま っ た . し か し , や が て ,あ る部屋の色を決める条件としてこの程度の根拠で十分であろうか , それより - 19 - 前に青緑色が眼の疲労回復に実際上効果をあげているのだろうか , などとい った疑問がふくらみ, 一時期金科玉条とされた色彩指針も最近ではすっかり 色あせてしまった. 新しい手術室には, 環境色として使い方のむずかしい青 緑色に代わってクリーム色やベージュなど明るく温かみのある色が支配的に なりつつある. 他 の 商 品 等 に つ い て も 、機 能 的 な 色 彩 が 紹 介 さ れ る こ と は あ る が 、機 能 と 色 彩 の 結 び つ き の 必 然 性 に つ い て 、体 系 的 に 整 理 し た 論 文 等 は 発 見 で き な か っ た 。そ こ で 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 及 び 「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可欠な色彩」については、国内ヒアリング調査により補うこととした。 ( ii) 商 品 等 の 色 彩 が 規 格 で 定 ま る 事 例 JIS に お い て 、 製 品 の 色 彩 に 関 す る 規 格 に つ い て 定 め ら れ て い る も の が あ り 、 そ れ ら は 、『 JIS ハ ン ド ブ ッ ク 61 色 彩 9 』 に お い て ま と め ら れ て い る 。 例 え ば 、 以 下 の よ う な 製 品 の 色 彩 が JIS 規 格 に お い て 規 定 さ れ て い る 。 ・ 安 全 標 識 で 使 用 さ れ る 色 1 0 ( JIS Z 9104: 2005 安 全 標 識 ― 一 般 的 事 項 ) ・ 朱 肉 の 色 の 範 囲 1 1 ( JIS S 6020: 1992 朱 肉 ) ・ 電 線 に 使 用 さ れ る 色 1 2 ( JIS C 0446: 1999 色 又 は 数 字 に よ る 電 線 の 識 別 ) ・ 鉛 筆 ・ 色 鉛 筆 の 色 の 範 囲 1 3 ( JIS S 6006: 2007 鉛 筆 ,色 鉛 筆 及 び そ れ ら に 用 いるしん) 規 格 と し て 定 め ら れ て い る 色 彩 は 、何 ら か の 機 能 的 な 観 点 で 選 択 さ れ た も の も あ り 得 る 。例 え ば 、安 全 標 識 で 赤 や 黄 が 選 択 さ れ る の は 、誘 目 性 14 が 関 連 す る と 考 え ら れ る 。し か し 、JIS の 規 格 票 自 体 は 、そ れ ら の 機 能 的 な 観 点 に つ い て 解 説 をするものではない。 9 最 新 版 は 、『 JIS ハ ン ド ブ ッ ク 61 色 彩 2013』( 一 般 財 団 法 人 日 本 規 格 協 会 、 第 一 版 、 2013 年 ) で あ る。 10 例 え ば 、危 険 位 置 を 警 告 す る 安 全 マ ー キ ン グ は 、安 全 色 の 黄 色 と 対 比 色 の 黒 と の 組 合 せ と 規 定 さ れ て いる。 11 朱 肉 の 基 準 色 は 7.5R 5/14 で あ り 、 許 容 範 囲 は 色 相 ±2.5、 明 度 ±1、 彩 度 12 以 上 と さ れ て い る 。 12 電 線 の 識 別 に は 、 黒 、 茶 、 赤 、 黄 、 オ レ ン ジ 、 緑 、 青 ( ラ イ ト ブ ル ー も 含 む 。)、 紫 、 灰 色 、 白 、 ピ ン ク 、 青 緑 を 標 準 と し て 用 い る 。 緑 /黄 の 組 合 せ 及 び 緑 は 保 護 接 地 線 の 識 別 に 使 用 す る も の で あ っ て 、 そ の他の目的に使用してはならない。 13 例 え ば 、 色 鉛 筆 用 し ん の 「 あ か 」 の 基 準 色 は 5.5R 4.5/12.0 で あ り 、 許 容 範 囲 は 色 相 ± 1.0、 明 度 ± 0.5、 彩 度 12.0 以 上 と さ れ て い る 。 14 注意を向けていない対象の目立ちやすさのこと。 - 20 - III . 国 内 ア ン ケ ー ト 調 査 1. 国内アンケート調査の目的 色 彩 の み か ら な る 商 標 の 類 否 に 関 す る 基 準 の 明 確 化 の た め に は 、各 商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 の 色 彩 の 認 識 実 態 を 明 ら か に す る 必 要 が あ る 。し か し な が ら 、各 商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 ご と に 調 査 を す る の は 効 率 的・現 実 的 で は な い た め 、一 般 需 要 者 を 対 象 と し た 調 査 を 行 い 、そ れ を 基 に 各 商 品・役 務 に 係 る 需 要 者 に お け る 判 断 を 推 測 す る こ と が 有 益 と 考 え る 。そ こ で 、特 定 の 色 彩 の 事 例 を 提 示 し た 上 で その色彩と同一又は類似の色彩であると一般需要者が捉える範囲についてアン ケート調査を実施することとした。 2. 国内アンケート調査の手法 (1) アンケート調査対象の設定 ア ン ケ ー ト 調 査 対 象 者 は 、一 般 需 要 者 の 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 を 調 査 す る た め 、以 下 の 属 性 が な る べ く 均 等 に な る よ う に 選 定 し 、300 者 か ら 回 答 を 得 た 。 ① 年 代 ( 20代 以 下 、 30代 、 40代 、 50代 、 60代 以 上 ) ② 性別(男性、女性) ③ 居住地(都道府県) また、調査結果の有効性を高めるため、下記のスクリーニングを行った。 ① これまでに色覚異常と診断されたことがないこと ② 色を専門的に取り扱う仕事(デザイン・服飾・芸術等の分野)に従事し ていないこと ③ フ ル カ ラ ー 表 示 ( 1677万 色 表 示 ) 対 応 の デ ィ ス プ レ イ を 用 い て 調 査 を 行 うこと 上 記 ① は 、実 施 可 能 な 設 問 数 が 限 ら れ て お り 、色 覚 異 常 を 考 慮 し た 調 査 項 目 の 設 定 が 難 し い た め に 設 定 し た 。② は 、色 彩 の 専 門 性 が あ る 者 の 回 答 率 が 上 が る と 、 一 般 需 要 者 の 判 断 と 乖 離 す る こ と を 避 け る た め に 設 定 し た 。③ は 調 査 の 正 確 性 を 高めるために設定した。 - 21 - (2) アンケート調査項目の設定 アンケート調査は、調査項目①~④に分け、以下に示す内容を設定した。 調査項目① 1.目 的 図 形 分 類 で 使 用 す る 色 名 と JIS 標 準 色 票 上 の 色 彩 の 対 応 関 係 の 明確化 調 査 対 象 者 に 対 し て 、100 色 の カ ラ ー チ ッ プ を 提 示 し 、 「赤」 「ピ 2.調 査 方 法 ンク」 「オレンジ」 「黄」 「緑」 「青」 「紫」 「茶」 「白」 「グレー」 「黒」 の 、 11 種 類 の 色 名 の カ テ ゴ リ ー に 分 類 さ せ た 。 100 色 は 、図 形 分 類 で 使 用 す る 色 名 と JIS 標 準 色 票 上 の 色 彩 の 対 応 関 係 を 明 確 に す る こ と を 目 的 と し て 、 以 下 に あ て は ま る JIS 3.調 査 項 目 標準色票上の色彩から選定をした。 ・図形分類で使用する色名の境界にあたる領域 ・ 図 形 分 類 で 使 用 す る 色 名 に な い JIS 基 本 色 名 の 領 域 ・無彩色の領域 4.設 問 数 100 問 調査項目② 1.目 的 2.調 査 方 法 色彩の同一性・類似性の判断の調査 調査対象者に対して、2 つの色彩を時間間隔を空けて提示し、 同一・類似にあてはまるか否かを回答させた。 R( 赤 )・ Y( 黄 )・ G( 緑 )・ B( 青 )・ P( 紫 ) の 基 本 5 色 相 に 関 し、以下の観点で調査項目を設定した。 ・明度を変化させた場合の同一性・類似性の判断 3.調 査 項 目 ・彩度を変化させた場合の同一性・類似性の判断 ・色相を変化させた場合の同一性・類似性の判断(高彩度領 域) ・色相を変化させた場合の同一性・類似性の判断(低彩度領 域) 4.設 問 数 62 問 - 22 - 調査項目③ 1.目 的 2.調 査 方 法 組合わせによる色彩の同一性・類似性の判断の調査 調 査 対 象 者 に 対 し て 、2 色 を 時 間 間 隔 を 空 け て 提 示 し 、同 一 ・ 類似にあてはまるか否かを回答させた。 2 色 又 は 3 色 の 色 彩 の 組 合 せ に つ い て 、以 下 の 観 点 で 調 査 項 目 を設定した。 ・配色の順番を変えた場合の同一性・類似性の判断 3.調 査 項 目 ・配色の向き(縦か横か)を変えた場合の同一性・類似性の 判断 ・配色の面積比率を変えた場合の同一性・類似性の判断 ・使用される色彩が類似色の場合とそうでない場合での同一 性・類似性の判断 4.設 問 数 26 問 調査項目④ 1.目 的 色彩の同一性・類似性の判断における対比観察・離隔観察の 影響の調査 調査対象者に対して、調査項目②において離隔観察で調査し 2.調 査 方 法 た 色 彩 を 、2 色 同 時 掲 示 し 対 比 観 察 を さ せ 、同 一・類 似 に あ て はまるか否かを回答させた。 ・ R( 赤 ) に つ い て の 明 度 変 化 、彩 度 変 化 、色 相 変 化 の 各 場 合 3.調 査 項 目 の同一性・類似性の判断 ・ B( 青 ) に つ い て の 明 度 変 化 、彩 度 変 化 、色 相 変 化 の 各 場 合 の同一性・類似性の判断 4.設 問 数 6問 (3) アンケート調査システムの設定 ア ン ケ ー ト 調 査 に つ い て の 調 査 画 面 は「 資 料 Ⅰ -1」の と お り で あ る 。ま た 、以 下の調整を行った。 調査項目①においては、調査画面の背景色によって、カラーチップの色彩 の 見 え 方 が 変 わ る の で 、背 景 色 を 影 響 の 少 な い ラ イ ト グ レ ー( マ ン セ ル 値: N7.5) に 設 定 し た 。 ま た 、 他 の カ ラ ー チ ッ プ と 比 較 し て 回 答 す る こ と を 避 - 23 - けるため、回答済みのカラーチップは消えるように設定した。 調 査 項 目 ① ~ ④ に お い て 提 示 す る 色 彩 に つ い て は 、面 積 効 果 1 5 の 影 響 を 考 慮 し、適切なサイズに設定をした。 調査項目②~④においては、「同一」「類似」の定義(基準)については 指定をせず、回答者の判断に委ねた。 調 査 項 目 ② 及 び ③ に お い て は 、「 最 初 の 色・配 色 を 表 示( 2秒 間 )」「 何 も 表 示 し な い( 3秒 間 )」「 2番 目 の 色・ 配 色 を 表 示( 2秒 間 )」と い う 時 間 設 定を行った。 調 査 項 目 ② ~ ④ の 設 問 に つ い て は 、ラ ン ダ ム で 表 示 さ れ る よ う に 設 定 し た 。 (4) 国内アンケート調査の実施 ア ン ケ ー ト 調 査 は 、 2015 年 11 月 17 日 に 開 始 し 、 2015 年 11 月 24 日 に 回 答 の 受 付 を 終 了 し た 。 回 答 を 得 た 300 者 の 内 訳 は 以 下 の と お り で あ る 。 図 表 11 回答状況 属性 性別 年代 地域 人数 男性 150 者 女性 150 者 20 代 以 下 男 性 30 者 20 代 以 下 女 性 30 者 30 代 男 性 30 者 30 代 女 性 30 者 40 代 男 性 30 者 40 代 女 性 30 者 50 代 男 性 30 者 50 代 女 性 30 者 60 代 以 上 男 性 30 者 60 代 以 上 女 性 30 者 各 都 道 府 県 5~ 13 者 調査項目 ①の 設 問及 び 結果 は 、「 資料Ⅰ -2」 のとおり となっ た 。調査 項目② ~ ④の 設問及び 結果は、「資料 Ⅰ-3」のとおり となった。 同 一 の 色 彩 で も 、面 積 が 大 き く な る と 一 般 に 明 度 と 彩 度 が 高 く 見 え る 現 象 。逆 に 小 さ く な る と 明 度 と 彩度が低く見える。 15 - 24 - 3. 国内アンケート調査の結果の分析 (1) 調査項目①の分析結果 「資料Ⅰ-2」の結果を基に、11 の 色 名 と マ ン セ ル 色 表 と の 対 応 を 分 析 し た 。ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 だ け で は 不 明 確 な 部 分 つ い て は 、 ISCC-NBS( 17 頁 参 照 ) 系 統 色 名 区 分 、 及 び 、 PCCS 系 統 色 名 区 分 ( 18 頁 参 照 ) に よ り 補 っ た 。 分 析 結 果 を 基 に 作 成 を し た 色 名 区 分 図 に つ い て 、「 資 料 Ⅰ -4」 に 掲 載 す る 1 6 。 ま た 、「 資 料 Ⅰ -4」 の 区 分 を 、 図 表 10 の PCCS 系 統 色 名 分 類 図 に 目 安 と し て 追 記 す る と 、 図 表 12 の と お り と な る 。 図 表 12 PCCS 系 統 色 名 と 図 形 分 類 で 使 用 す る 色 名 の 関 係 分 類 調 査 に 用 い た 色 彩 は 、ISCC-NBS と PCCS の 色 名 区 分 を 参 考 に 、重 要 な 100 色 を 選 定 し た も の で あ り 、区 分 線 の 境 界 付 近 に 位 置 す る 全 色 に 対 し て 行 っ て い な い 。ま た 、回 答 者 の デ ィ ス プ レ イ の 表 示 色 を 厳 密 に 設 定 す る こ と は 難 し か っ た た め 、こ の 基 本 色 名 区 分 は あ く ま で も 分 類 の 目 安 と し て 作 成 し た も の である。 16 - 25 - (2) 調査項目②の分析結果 ( i) 明度を変化させた場合の同一性・類似性の判断 ① 基準色・比較対象色の設定 各 色 相 の 基 準 色 と し て 、 R( 赤 ) は 「 5R 7/6」、 Y( 黄 ) は 「 5Y 8/6」、 G( 緑 ) は 「 5G 7/6」、 B( 青 ) は 「 5B 7/6」、 P( 紫 ) は 「 5P 7/6」 を 設 定 し た 1 7 。 比 較 対 象 の 色 彩 と し て 、基 準 色 か ら 明 度 を 1 ず つ 3 段 階 ず つ 下 げ た 色 彩( 明 度 を 下 げ る ほど基準色と比較すると暗く感じる)を設定した。 ② 調査結果 調 査 結 果 は 、 図 表 13 の と お り で あ る 。 明 度 差 が 1 の 場 合 に は 、同 一・類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 は 、90%以 上 と な っ た( R92%、 Y93% 、G93% 、B96% 、P96% )。ま た 、同 一 と 判 断 さ れ る 割 合 も 大 き か っ た( R26%、 Y32% 、 G32% 、 B29% 、 P37% )。 一 方 、同 一 で も 類 似 で も な い( 以 下 、 「 非 類 似 」と い う 。)と 判 断 さ れ る 割 合 は 8%以 下 で あ り 、 同 一 と 判 断 さ れ る 割 合 よ り も 小 さ か っ た 。 明 度 差 が 2 の 場 合 に は 、 同 一 ・ 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 は 、 72~ 88% と な っ た ( R72%、 Y77% 、 G85% 、 B78% 、 P88% )。 明 度 差 1 の 場 合 と 比 較 す る と 、 同 一 と 判 断 さ れ る 割 合 が 大 幅 に 小 さ く な り( R5%、Y6% 、G3% 、B4% 、P8% )、非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 大 き く な っ た ( R28%、 Y23% 、 G15% 、 B22% 、 P12% )。 明 度 差 が 3 の 場 合 に は 、R( 赤 )に お い て 、同 一・類 似 と 判 断 さ れ た 割 合 が 47% と 5 割 を 下 回 っ た ( Q6)。 そ れ 以 外 の 色 相 に お い て 同 一 ・ 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 は 、明 度 差 2 と 比 較 す る と 小 さ く な る も の の 、い ず れ も 5 割 以 上 と な っ た( Y63% 、 G68% 、 B65% 、 P79% )。 な お 、 同 一 と 判 断 さ れ た 割 合 は 0~ 2%と な っ た ( R1%、 Y2% 、 G1% 、 B0% 、 P1% )。 色 相 ご と に 比 較 す る と 、 R( 赤 ) や Y( 黄 ) が 、 他 の 色 相 に 比 べ て 、 明 度 差 が 17 マ ン セ ル 表 色 系 に お け る 、 色 彩 の 表 記 方 法 に つ い て は 、 12 頁 参 照 の こ と 。 - 26 - 色 彩 の 類 似 性 の 判 断 に 影 響 を 与 え る 影 響 が 大 き い と い え る 。色 名 に よ る 色 彩 の カ テ ゴ リ ー 分 類 に お い て 、こ れ ら の 色 相 で は 明 度 変 化 に よ り 別 の 色 カ テ ゴ リ ー に 移 行することが、影響しているのではないかと考えられる。 図 表 13 基 明度を変化させた場合の同一性・類似性の判断 R( 赤 ) Y( 黄 ) G( 緑 ) B( 青 ) P( 紫 ) 5R 7/6 5Y 8/6 5G 7/6 5B 7/6 5P 7/6 5R 6/6 Q10 5Y 7/6 Q16 5G 6/6 Q22 5B 6/6 Q28 5P 6/6 準 色 Q4 明 度 8 % 差 -1 7 % 7 % 26 % 32 % 5R 5/6 4 % 32 % 61 % 61 % Q11 5Y 6/6 Q17 5G 5/6 66 % Q5 4 % 67 % 29 % 59 % Q23 5B 5/6 37 % Q29 5P 5/6 明 度 差 5 % 28 % -2 23 % 4 % 22 % Q18 5G 4/6 8 % 12 % 74 % 82 % Q12 5Y 5/6 5R 4/6 3 % 15 % 71 % 67 % Q6 6 % 80 % Q30 5P 4/6 Q24 5B 4/6 明 度 1 % 差 -3 53 % 46 % 2 % 37 % 61 % 1 % 32 % 67 % 0 % 35 % 同一 - 27 - 1 % 21 % 65 % 78 % 類似 非類似 ( ii) 彩 度 を 変 化 さ せ た 場 合 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 ① 基準色・比較対象色の設定 各 色 相 の 基 準 色 と し て 、 R( 赤 ) は 「 5R 6/8」、 Y( 黄 ) は 「 5Y 7/8」、 G( 緑 ) は 「 5G 6/8」、 B( 青 ) は 「 5B 6/8」、 P( 紫 ) は 「 5P 6/8」 を 設 定 し た 。 比 較 対 象 の 色 彩 と し て 、基 準 色 か ら 彩 度 を 2 ず つ 、3 段 階 下 げ た 色 彩( 彩 度 を 下 げ る ほ ど 基準色と比較すると鮮やかさが落ちる)を設定した。 ② 調査結果 調 査 結 果 は 、 図 表 14 の と お り で あ る 。 彩 度 を 2下 げ た 場 合 に は 、す べ て の 色 相 で 非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 10%以 下 で あり、同一・類似と判断される割合が高い。 彩 度 を 4下 げ た 場 合 に は 、 彩 度 を 2下 げ た 場 合 と 比 較 す る と 非 類 似 の 割 合 は 10 ~ 35% と 大 き く な っ て は い る が 、 同 一 ・ 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 の 方 が 高 い 。 一 方 、彩 度 を 6下 げ た 場 合 に は 、す べ て の 色 相 で 非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 50% を超えている。 色 相 ご と に 比 較 す る と 、 Y( 黄 ) が 、 他 の 色 相 と 比 べ て 、 彩 度 の 変 化 が 類 似 性 の 判 断 に 影 響 を 与 え る 影 響 が 大 き い 、 と い う 結 果 と な っ た 。 Y( 黄 ) に つ い て 、 マ ン セ ル 値 で 彩 度 を 6下 げ た 場 合 に 、 非 類 似 と 答 え る 人 の 割 合 は 82% と な っ た 。 - 28 - 図 表 14 基 彩度を変化させた場合の同一性・類似性の判断 R( 赤 ) Y( 黄 ) G( 緑 ) B( 青 ) P( 紫 ) 5R 6/8 5Y 7/8 5G 6/8 5B 6/8 5P 6/8 5Y 7/6 Q13 5G 6/6 Q19 5B 6/6 Q25 5P 6/6 準 色 Q1 5R 6/6 Q7 彩 度 差 5 % -2 9 % 48 % Q2 47 % 54 % 5R 6/4 Q8 6 % 37 % 57 % 5Y 7/4 9 % 37 % 2 % 27 % 43 % 64 % Q14 5G 6/4 Q20 5B 6/4 55 % Q26 5P 6/4 彩 度 7 % 差 8 % 29 % -4 34 % 5R 6/2 Q9 22 % 1 % 11 % 35 % 58 % 72 % 5Y 7/2 Q15 5G 6/2 64 % Q3 6 % 20 % 69 % 64 % Q21 5B 6/2 Q27 5P 6/2 彩 度 0 % 差 -6 68 % 32 % 17 % 82 % 1 % 1 % 63 % 36 % 0 % 70 % 同一 - 29 - 30 % 2 % 50 % 類似 48 % 非類似 ( iii) 色 相 を 変 化 さ せ た 場 合 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 ( 高 彩 度 領 域 ) ① 基準色・比較対象色の設定 各 色 相 の 基 準 色 と し て 、R( 赤 )は「 5R 6/8」、Y( 黄 )は「 5Y 6/8」、G( 緑 ) は 「 5G 6/8」 、 B( 青 ) は 「 5B 6/8」 、 P( 紫 ) は 「 5P 6/8」 を 設 定 し た 。 比 較 対 象 の 色 彩 と し て 、 マ ン セ ル 色 相 環 ( 図 表 1( 13頁 ) 参 照 ) に お い て 、 基 準 色 の 色 相 か ら 、右 回 り( プ ラ ス 方 向 )に 5ず つ 2段 階 、左 回 り( マ イ ナ ス 方 向 )に 5ず つ 2 段 階 変 化 さ せ た 、 計 4色 ず つ を 設 定 し た 。 ② 調査結果 調 査 結 果 は 、 図 表 15 の と お り で あ る 。 R( 赤 ) の 基 準 色 を Y( 黄 ) 方 向 に 10 変 化 さ せ た 場 合 が ( 5YR 6/8)、 非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 77% と 高 か っ た ( Q34)。 Y( 黄 ) の 基 準 色 を R( 赤 ) 方 向 に 10 変 化 さ せ た 場 合 も ( 5YR 6/8)、 非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 73% と 高 か っ た ( Q36)。 G(緑 )の 基 準 色 を Y( 黄 ) 方 向 に 10 変 化 さ せ た 場 合 ( 5GY 6/8)、 同 一 ・ 類 似 は 52% 、 非 類 似 は 48% と ほ ぼ 同 じ で あ っ た ( Q40)。 B( 青 ) 方 向 に 10 変 化 さ せ た 場 合 は 、( 5BG 6/8) 同 一 ・ 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 72% と 高 か っ た ( Q42)。 B( 青 ) の 基 準 色 を P( 紫 ) 方 向 に 10変 化 さ せ た 場 合 に は ( 5PB 6/8) 、 非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 27%だ っ た ( Q46) 。 P( 紫 ) の 基 準 色 を B( 青 ) 方 向 に 10変 化 さ せ た 場 合 が ( 5PB 6/8) 、 非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 79% と 最 も 高 か っ た ( Q48) 。 こ れ ら を 元 に 考 察 す る と 、 R( 赤 ) と Y( 黄 ) の 間 の 色 相 の 変 化 は 、 類 似 性 の 判断に与える影響が大きいと考えられる。 ま た 、B( 青 )と P( 紫 )の 間 で は 、色 相 の 変 化 量 が 同 じ で あ っ て も 、非 類 似 と 回 答 す る 割 合 が 異 な る( Q46:27%、Q48:79%)。こ の こ と か ら 、近 い 色 相 で あ っ て も、変化量が類似性の判断に与える影響が異なることがあり得る。 - 30 - 図 表 15 色相を変化させた場合の同一性・類似性の判断(高彩度領域) R( 赤 ) Y( 黄 ) G( 緑 ) B( 青 ) P( 紫 ) Q32 5RP 6/8 Q36 5YR 6/8 Q40 5GY 6/8 Q44 5BG 6/8 Q48 5PB 6/8 色 相 差 -10 5 % 39 % 1 % 1 % 26 % 48 % 73 % 56 % Q31 10RP 6/8 Q35 10YR 6/8 6 % 45 % 51 % Q39 10GY 6/8 20 % 1 % 79 % 49 % Q43 10BG 6/8 Q47 10PB 6/8 10 % 11 % 色 相 12 % 差 21 % 33 % -5 55 % 基 14 % 18 13 % % 69 % 65 % 5R 6/8 46 % 5Y 6/8 5G 6/8 44 % 53 % 5B 6/8 36 % 5P 6/8 準 色 Q33 10R 6/8 Q37 10Y 6/8 Q41 10G 6/8 Q45 10B 6/8 Q49 10P 6/8 色 相 差 23 % 16 % 17 % +5 6 % 30 % Q34 5YR 6/8 46 % 48 % 54 % 60 % 7 % Q38 5GY 6/8 Q42 5BG 6/8 52 % 10 % 41 % 30 % 60 % Q46 5PB 6/8 Q50 5RP 6/8 色 相 22 % 差 + 10 77 % 1 % 2 % 33 % 28 % 65 % 11 % 6 % 27 % 同一 - 31 - 45 % 67 % 61 % 3 % 類似 52 % 非類似 ( iv) 色 相 を 変 化 さ せ た 場 合 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 ( 低 彩 度 領 域 ) ① 基準色・比較対象色の設定 基 準 色 と し て 、 R( 赤 ) は 「 5R 5/3」、 B( 青 ) は 「 5B 5/3」 を 設 定 し た 。 比 較 対 象 の 色 彩 と し て 、マ ン セ ル 色 相 環( 図 表 1( 13 頁 )参 照 )に お い て 、基 準 色 の 色 相 か ら 、右 回 り( プ ラ ス 方 向 )に 5 ず つ 3 段 階 、左 回 り( マ イ ナ ス 方 向 )に 5 ずつ 3 段階変化させた、計 6 色ずつを設定した。 ② - 1 基 準 色 : R( 赤 ) に 関 す る 調 査 結 果 基 準 色 が R( 赤 )の 場 合 の 調 査 結 果 と 、高 彩 度 領 域 の 結 果 と の 比 較 は 、図 表 16 のとおりである。 全 体 的 に 、低 彩 度 領 域 よ り も 、高 彩 度 領 域 の 方 が 非 類 似 の 割 合 が 大 き い 結 果 と な っ た 。高 彩 度 領 域 の 方 が 、色 相 の 変 化 が 類 似 性 の 判 断 に 及 ぼ す 影 響 が 大 き い と いえる。 具 体 的 に 見 る と 、 低 彩 度 領 域 に お い て は 、基 準 色 R( 赤 )を Y( 黄 )方 向 に 15 変 化 さ せ た 場 合 の み( 10YR 5/3)、非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 50% を 超 え た( Q56)。 一 方 、高 彩 度 の 領 域 に お い て は 、基 準 色 R( 赤 )を P( 紫 )方 向 に 10変 化 さ せ た 場 合 や ( 5RP 6/8) 、 Y( 紫 ) 方 向 に 10変 化 さ せ た 場 合 に ( 5YR 6/8) 、 非 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 高 く な っ た ( Q32、 Q34) 。 こ れ は 、 Q32に お い て は 色 名 が 「 赤 → ピ ン ク 」 と 変 化 す る と 感 じ ら れ 、 ま た 、 Q34に お い て は 「 赤 → オ レ ン ジ 」 と 変 化 す る と 感 じ ら れ た た め に 、 色 名 の 区 別 が 非類似の判断に繋がったとも考えられる。 - 32 - 図 表 16 色 相 を 変 化 さ せ た 場 合 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 の 比 較( 基 準 色:R( 赤 )) R( 低 彩 度 ) R( 高 彩 度 ) Q53 10P 5/3 色相差 19 % 30 % - 15 51 % Q52 5RP 5/3 9 % 色相差 - 10 39 % 36 % 56 % 55 % Q51 10RP 5/3 色相差 5 % Q31 10RP 6/8 36 % -5 基準色 59 % +5 Q33 10R 6/8 23 % 48 % 44 % 17 % 60 % Q55 5YR 5/3 Q34 5YR 6/8 28 % 色相差 33 % 5R 6/8 8 % 色相差 12 % 55 % 5R 5/3 Q54 10R 5/3 + 10 22 % 20 % 1 % 77 % 52 % 4 % Q56 10YR 5/3 色相差 + 15 5 % Q32 5RP 6/8 56 % 40 % 同一 - 33 - 類似 非類似 ② - 2 基 準 色 : B( 青 ) に 関 す る 調 査 結 果 基 準 色 が B( 青 ) の 場 合 の 調 査 結 果 と 、 高 彩 度 領 域 の 結 果 と の 比 較 は 、 図 表 17 のとおりである。 B( 青 )の 基 準 色 を G( 緑 )方 向 に 5 変 化 さ せ た 場 合 は( 10BG 5/3、10BG 6/8)、 低 彩 度 領 域 と 高 彩 度 領 域 で の 、 非 類 似 の 割 合 は 共 に 10%で あ っ た ( Q57、 Q43)。 B( 青 ) の 基 準 色 を G( 緑 )方 向 に 10 変 化 さ せ た 場 合 は( 5BG 5/3、5BG 6/8)、 低 彩 度 領 域 は 16%、高 彩 度 領 域 の 方 は 45% と 、高 彩 度 領 域 の 方 が 非 類 似 の 割 合 が 大 き く な っ た ( Q58、 Q44)。 B( 青 ) の 基 準 色 を G( 緑 ) 方 向 に 15 変 化 さ せ た 場 合 は ( 10G 5/3)、 同 一 ・ 類 似 の 割 合 が 大 き か っ た ( Q59)。 一 方 、B( 青 )の 基 準 色 を P( 紫 )方 向 に 5 変 化 さ せ た 場 合 は( 10B 5/3、10B 6/8)、 低 彩 度 領 域 、 高 彩 度 領 域 と も に 大 き な 差 は 見 ら れ な か っ た 。( Q60、 Q45)。 B( 青 )の 基 準 色 を P( 紫 ) 方 向 に 10 変 化 さ せ た 場 合 は ( 5PB 5/3、 5PB 6/8)、 低 彩 度 領 域 の 方 が( 34% )、高 彩 度 領 域 よ り も( 27% )、非 類 似 の 割 合 が 大 き く な っ た ( Q61、 Q46)。 な お 、 B( 青 ) の 基 準 色 を 、 P( 紫 ) 方 向 に 15 変 化 さ せ た 場 合 は ( 10PB 5/3)、 非 類 似 の 割 合 が 58% と な り 、 低 彩 度 領 域 の 中 で 非 類 似 と 判 断 さ れ た 割 合 は 一 番 大 き か っ た ( Q62)。 B( 青 ) に お い て も 、 R( 赤 ) と 同 様 に 、 提 示 し た 2色 に つ い て 、 異 な る 色 名 と して区別される場合に、非類似の割合が多くなるのではないかと考えられる。 Q44に お い て は 色 名 が 「 青 → 緑 」 と 変 化 す る と 感 じ ら れ た た め に 、 非 類 似 の 判 断 に 繋 が っ た と も 考 え ら れ る 。 ま た 、 Q62に お い て は 色 名 が 「 青 → 紫 」 と 変 化 す ると感じられたため、非類似の判断に繋がったとも考えられる。 - 34 - 図 表 17 色 相 を 変 化 さ せ た 場 合 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 の 比 較( 基 準 色:B( 青 )) B( 低 彩 度 ) B( 高 彩 度 ) Q59 10G 5/3 18 % 26 % 色 相 差 - 15 56 % Q58 5BG 5/3 6 % Q44 5BG 6/8 16 % 25 % 色 相 差 - 10 45 % 49 % 59 % Q57 10BG5/3 色相差-5 46 % 5B 5/3 Q60 10B 5/3 色相差+5 12 % 41 % Q45 10B 6/8 47 % 7 % 52 % 41 % 6 % Q46 5PB 6/8 34 % 18 % 27 % 67 % 48 % 5 % Q62 10PB 5/3 色 相 差 + 15 44 % 5B 6/8 Q61 5PB 5/3 色 相 差 + 10 10 % 49 % 41 % 基準色 Q43 10BG 6/8 10 % 58 % 37 % 同一 - 35 - 類似 非類似 ( v) 非 類 似 の 割 合 の 大 き い も の ・ 小 さ い も の の 分 析 結 果 調 査 項 目 ② に お い て 、非 類 似 と 判 断 さ れ た 割 合 の 大 き い も の・小 さ い も の に つ い て の 分 析 結 果 は 、 図 表 18 の と お り で あ る 。 同 一・類 似 の 割 合 が 大 き い も の は 、色 相・明 度・彩 度 と も に 変 化 量 の 幅 が 最 も 小さいところである。 非 類 似 の 割 合 が 大 き い も の は 、色 相・彩 度 の 変 化 量 が 大 き い こ と に 加 え て 、色 名 と し て 区 別 で き る こ と で 非 類 似 と 判 断 さ れ た の で は な い か と 考 え ら れ る 18。 また、明度の変化については、色名としての区別に結び付きにくいことから、 色相・彩度と比較すると大きな影響を与えていないとも考えられる。 調 査 項 目 ① に よ る 色 名 区 分 に あ て は め る と 、 Q9 は 「 黄 → グ レ ー 」、 Q48 は 「 紫 → 青 」、 Q34 は 「 ピ ン ク → 茶 」、 Q36 は 「 黄 → 茶 」 と な っ て い る 。 18 - 36 - 図 表 18 非類似の割合が大きいもの、小さいもの 同一・類似の割合が大きい順 Q25 5P 6/8 5P 6/6 P( 紫 ) Q22 Q9 2 % 5B 7/6 5B 6/6 B( 青 ) 5P 7/6 5P 6/6 5R 6/6 G( 緑 ) 色相+5 37 % 5P 6/8 5PB 6/8 20 % 色 相 -10 5R 6/8 5YR 6/8 22 % 48 % 5Y 6/8 5YR 6/8 色 相 -10 Q21 6 % 1 % 73 % 5B 6/8 48 % 26 % 5B 6/2 0 % B( 青 ) 46 % 1 % 77 % Y( 黄 ) 47 % 1 % 79 % 色 相 +10 Q36 1 % 82 % R( 赤 ) 5 % 彩 度 -1 5G 6/8 10G 6/8 17 % P( 紫 ) Q34 59 % R( 赤 ) Q41 29 % 4 % 明 度 -1 5R 6/8 5Y 7/2 彩 度 -6 Q48 67 % P( 紫 ) Q1 55 % 4 % 明 度 -1 Q28 5Y 7/8 Y( 黄 ) 43 % 彩 度 -2 非類似の割合が大きい順 彩 度 -6 70 % 同一 類似 30 % 非類似 ( vi) 色 相 ・ 明 度 ・ 彩 度 の 変 化 と 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 と の 関 係 色相・明度・彩度の変化に関し、一般需要者が同一・類似と判断する割合が5 割以上を占めると推定される範囲について、検討を行った。 明 度 に つ い て は 、R( 赤 )は 、明 度 差 2ま で で 、同 一・類 似 が 5割 以 上 で あ っ た 。 そ れ 以 外 の Y( 黄 ) 、 G( 緑 ) 、 B( 青 ) 、 P( 紫 ) は 、 明 度 差 が 3で も 同 一 ・ 類 似 が 6割 を 超 え た 。P( 紫 )は 明 度 が 3変 化 し て も 非 類 似 の 割 合 は 2割 で あ り 、明 度 が - 37 - 4変 化 す れ ば 同 一 ・ 類 似 が 5割 を 超 え る と 推 定 さ れ る 。 図 表 19 5 割以上が同一・類似と判断する明度差(推定値) R( 赤 ) Y( 黄 ) G( 緑 ) B( 青 ) P( 紫 ) 2 3 3 3 4 明度差 彩 度 に つ い て は 、 R( 赤 ) 、 Y( 黄 ) 、 G( 緑 ) 、 B( 青 ) は 、 彩 度 差 4の と こ ろ で は 、 同 一 ・ 類 似 が 6割 を 超 え て い る が 、 彩 度 差 6に な る と 同 一 ・ 類 似 の 割 合 が 4 割 を 下 回 っ た 。P( 紫 )は 、彩 度 を 6変 化 さ せ た と こ ろ で 、同 一・類 似 の 割 合 が ち ょ う ど 5割 と な っ た 。 ま た 、 R( 赤 )と G( 緑 ) は 、 彩 度 を 5変 化 さ せ た 場 合 で も 、 同 一 ・ 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 は 5割 を 超 え る と 推 定 さ れ る 。 図 表 20 5 割以上が同一・類似と判断する彩度差(推定値) R( 赤 ) Y( 黄 ) G( 緑 ) B( 青 ) P( 紫 ) 5 4 5 4 5 彩度差 調 査 結 果 か ら 推 定 し た 、色 相 の 変 化 に 関 す る 類 似 範 囲 は 、高 彩 度 領 域 に つ い て は 図 表 21、低 彩 度 領 域 に つ い て は 図 表 22の と お り で あ る 。高 彩 度 領 域 と 比 較 す る と 、低 彩 度 領 域 は 範 囲 が 広 く な っ た 。低 彩 度 領 域 の 色 は 、色 味 よ り も 鈍 い 色 と し ての共通性があると判断されるため範囲が広くなるのではないかと考えられる。 図 表 21 R~RP 5 割以上が同一・類似と判断する色相差(高彩度領域) R~YR Y~YR Y~GY G~GY G~BG B~BG B~PB P~PB P~RP 赤~赤紫 赤~黄赤 黄~黄赤 黄~黄緑 緑~黄緑 緑~青緑 青~青緑 青~青紫 紫~青紫 紫~赤紫 色相差 11 図 表 22 色相差 7 7 8 10 15 10 15 7 10 5 割以上が同一・類似と判断する色相差(低彩度領域) R~(RP)~P R~(YR)~Y B~(BG)~G B~(PB)~P 赤~(赤紫)~紫 赤~(黄赤)~黄 青~(青緑)~緑 青~(青紫)~紫 19 13 20 以 上 13 こ れ ら の 結 果 に 基 づ き 、 色 彩 の 類 似 範 囲 を 図 示 し た も の が 、 図 表 23 で あ る 。 黒い太線は、その範囲に含まれる色彩が類似することを示すものである。 - 38 - 図 表 23 色彩の類似範囲 ※ 図 中 の 黒 い 太 枠 は 、範 囲 内 の 色 彩 が 同 一・類 似 と 判 断 さ れ た 割 合 が 50%以 上 で あ っ た こ と を 示 す ○明度の変化に対する類似範囲 5R 明度 9 5Y 5G 明度 9 明度差:2以内 明度 9 8 8 8 7 7 7 6 6 6 5 5 4 4 3 3 2 2 N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 彩度 5B 5 4 明度差:3以内 3 2 N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 彩度 N 明度 9 明度差:3以内 8 8 7 7 6 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 ○彩度の変化に対する類似範囲 5R 明度 9 14 彩度 N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 彩度 14 彩度 5Y 5G 明度 9 8 8 7 7 7 6 6 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 彩度 5B 彩度差:5以内 5 彩度差:4以内 4 3 2 N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 彩度 13 14 彩度 N 1 2 3 4 5 6 7 8 5P 明度 9 明度 9 彩度差:4以内 8 7 6 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 彩度差:5以内 8 7 N 2 明度差:4以内 明度 9 彩度差:5以内 8 N 1 5P 明度 9 N 明度差:3以内 14 彩度 N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ○色相の変化に対する類似範囲 【高彩度領域】 【低彩度領域】 - 39 - 9 10 11 12 13 14 彩度 (3) 調査項目③の分析結果 ( i) 2 色の配置を変化させた場合の同一性・類似性の判断 赤 と 青 、 赤 と オ レ ン ジ の そ れ ぞ れ 2色 の 配 置 を 変 化 さ せ た 場 合 に 同 一 ・ 類 似 と 判 断 す る 割 合 は 図 表 24の と お り で あ る 。 ど の 組 合 せ も 、同 一 の 割 合 が 、45% 以 上 で あ る 。ま た 、非 類 似 の 割 合 は 20% 以 下である。 「 上 下 を 入 れ 替 え た も の( Q63、Q69)」「 左 右 を 入 れ 替 え た も の( Q64、Q70)」 や 、 「 向 き を 変 え た も の ( Q65、 Q71) 」 な ど 、 2色 の 面 積 が 同 じ 場 合 に は 、 同 一 だ と 判 断 す る 割 合 が 60% 以 上 と 非 常 に 高 い 。 同 一・類 似 と 判 断 さ れ た 割 合 が 最 も 高 か っ た の は 、 「 左 右 を 入 れ 替 え た も の( Q64、 Q70) 」 で あ っ た 。 「 赤 ・ 青 」 と 「 赤 ・ オ レ ン ジ 」 の 場 合 ど ち ら も 、 非 類 似 と 判 断 さ れ た 割 合 は 9% で あ っ た 。 「 左 右 を 入 れ 替 え た も の ( Q64、 Q70) 」 が 、 「 上 下 を 入 れ 替 え た も の ( Q63、 Q69) 」 と 比 較 し て 類 似 と 判 断 さ れ る 割 合 が 大 き い の は 、 左 右 の 入 れ 替 え が 配 色 の 安 定 度 に 影 響 を 及 ぼ さ な い た め と 考 え ら れ る( 上 下 が 変 更 さ れ る と 、安 定 度 が 変化する)。 な お 、「 赤・青 」の 場 合 と 、「 赤・オ レ ン ジ 」の 場 合 の 結 果 に 、大 き な 差 は 見 られなかった。 - 40 - 図 表 24 2 色の配置を変化させた場合の同一性・類似性の判断 赤・青 赤・オレンジ Q63 上下を入れ替えた もの 25 % 28 % 向きを変えたもの Q71 15 % 30 % 54 % 33 % 18 % 49 % Q68 内側と外側を入れ 替えたもの 31 % Q73 18 % 中央と上下を入れ 替えたもの 63 % 15 % 57 % Q67 64 % 24 % Q72 13 % 9 % 13 % 61 % Q66 60 % 27 % 63 % 24 % 割合を変えたもの 28 % Q70 9 % Q65 12 % 61 % Q64 左右を入れ替えた もの Q69 14 % 45 % 37 % Q74 17 % 19 % 27 % 54 % 35 % 同一 - 41 - 類似 48 % 非類似 ( ii) 3 色 の 配 置 を 変 化 さ せ た 場 合 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 赤 と 黄 と 青 、 赤 と 黄 と オ レ ン ジ の そ れ ぞ れ 3色 の 配 置 を 変 化 さ せ た 場 合 に 同 一 ・ 類 似 と 判 断 す る 割 合 は 図 表 25の と お り で あ る 。 ど の 項 目 も 非 類 似 の 割 合 が 20% 以 下 で あ り 、す べ て 同 一・類 似 の 割 合 が 大 き い 。 赤・黄・青 の 場 合 も 、赤・黄・ オ レ ン ジ の 場 合 と も に 、同 一 が 65% を 超 え て 最 も 多 か っ た も の は 、 向 き を 変 え た も の ( Q77、 Q81) で あ る 。 赤・黄・青 の 場 合 と 赤・黄・オ レ ン ジ の 場 合 の 結 果 に 大 き な 差 は 見 ら れ な か っ た。 2色 の 場 合 、3色 の 場 合 と も に 、回 転 を さ せ る と 同 じ に な る 場 合 に は 、同 一 と 判 断 さ れ る 割 合 が 高 い こ と が わ か る( Q63、Q64、Q65、Q69、Q70、Q71、Q77、Q81)。 ( iii) 色 数 を 変 化 さ せ た 場 合 に 同 一 ・ 類 似 と 判 断 す る 割 合 赤 と 青 、赤 と オ レ ン ジ の 色 数 を 変 化 さ せ た 場 合 に 同 一・類 似 と 判 断 す る 割 合 は 、 図 表 26の と お り で あ る 。 色 数 が 2色 と 1色 で 異 な る 場 合( Q83、Q84、Q86、Q87)、面 積 比 に 関 わ ら ず 、66% 以上が非類似と判断した。 縞 模 様 の 数 が 変 化 し た 場 合( Q85、Q88)に は 、同 一・類 似 と 判 断 す る 割 合 が 75% を 超 え た 。 特 に 、 同 一 と い う 判 断 が 50%以 上 で あ り 、 縞 模 様 の 数 の 違 い が あ っ て も非類似とは判断されにくい。 赤・青の場合と赤・オレンジの場合の結果に、大きな差は見られなかった。 - 42 - 図 表 25 3 色の配置を変化させた場合に同一・類似と判断する割合 赤・黄・青 赤・黄・オレンジ Q79 Q75 16 % 色の順番を入れ替 えたもの 16 % 52 % 32 % 37 % Q76 Q80 17 % 色の順番を入れ替 えたもの Q77 51 % 22 % 割合を変えたもの 20 % 15 % 52 % 30 % 55 % 色数を変化させた場合に同一・類似と判断する割合 赤・オレンジ Q83 15 % 色数が異なるもの 69 % 2 色 ( 1:1)と 1 色 Q84 14 % 色数が異なるもの 67 % 2 色 ( 2: 1) と 1 色 Q86 11 % 16 % 21 % 68 % Q87 16 % 19 % 66 % 18 % Q88 Q85 たもの 65 % Q82 14 % 赤・青 縞模様の数を変え 15 % 65 % 34 % 53 % 33 % Q81 13 % Q78 図 表 26 14 % 32 % 向きを変えたもの 47 % 22 % 24 % 21 % 54 % 24 % 同一 - 43 - 類似 55 % 非類似 (4) 調査項目④の分析結果 対 比 観 察( 調 査 項 目 ④ に お け る 同 時 提 示 )と 、離 隔 観 察( 調 査 項 目 ② の 3 秒 間 隔 の 提 示 ) の 場 合 の 調 査 結 果 の 比 較 は 、 図 表 27 の と お り で あ る 。 対 比 観 察 と 離 隔 観 察 で 顕 著 な 差 と し て 表 れ た の は 、同 一 と 回 答 す る 割 合 で あ る 。 対 比 観 察 で は 、 R( 赤 )・ B( 青 ) の 全 て の 調 査 結 果 に お い て 、 同 一 と い う 回 答 は 0~ 2% と な っ た 。い ず れ の 結 果 に お い て も 、離 隔 観 察 の 場 合 と 比 べ る と 、同 一 と 判断される割合は低い。 同 一 と 類 似 を 合 わ せ た 割 合 に つ い て 見 る と 、ま ず 、色 相 の 変 化 に お い て は 、対 比 観 察 の 方 が 調 査 項 目 ② と 比 べ て 、非 類 似 の 割 合 が 若 干 大 き く 、対 比 観 察 の 方 が 、 非 類 似 と 判 断 し や す い と も い え そ う で あ る ( Q91、 Q94)。 一 方 、明 度・彩 度 の 変 化 に お い て は 、対 比 観 察・離 隔 観 察 の 結 果 に 大 き な 差 が な く 、 影 響 は 限 定 的 で あ る と い え る ( Q89、 Q92、 Q90、 Q93)。 - 44 - 図 表 27 対比観察と離隔観察の比較 提示色 Q89 5R 6/8 対比観察 離隔観察 1 % 5R 6/4 29 % 32 % 彩度差 4 7 % 67 % Q92 5B 6/8 64 % 0 % 5B 6/4 1 % 31 % 彩度差 4 35 % 64 % 69 % Q90 5R 7/6 1 % 5R 5/6 26 % 明度差 2 5 % 28 % 73 % Q93 5B 7/6 67 % 1 % 5B 5/6 18 % 明度差 2 22 % 81 % Q91 5R 6/8 色 相 差 10 51 % Q94 5B 6/8 色 相 差 10 74 % 0 % 5RP 6/8 4 % 49 % 5 % 39 % 56 % 2 % 5PB 6/8 6 % 27 % 31 % 67 % 67 % 同一 - 45 - 類似 非類似 ( 5 ) PCCS の 色 相 差 ・ ト ー ン 差 の 区 分 と ア ン ケ ー ト 結 果 調 査 ② の 設 問 に 用 い た 色 彩 の マ ン セ ル 値 を PCCS に 変 換 し た 上 で 、 対 比 し た 2 色 の PCCS に お け る 色 相 ・ ト ー ン の 関 係 区 分 を 表 し た 。 PCCS の 色 相 差・ト ー ン 差 の 区 分 と ア ン ケ ー ト 結 果 の 比 較 は 、 図 表 28 の と お り である。 PCCS の 色 相 差 ・ ト ー ン 差 の 区 分 で は 同 一 で あ っ て も 、 ア ン ケ ー ト 調 査 で は 類 似 の 割 合 が 高 く な る も の が あ っ た 。 ま た PCCS の 色 相 差 ・ ト ー ン 差 の 区 分 で は 類 似 で あ っ て も 、ア ン ケ ー ト 調 査 で は 非 類 似 と い う 結 果 に な っ て い る も の な ど も あ る 。 し た が っ て 、 PCCS の 色 相 差 ・ ト ー ン 差 の 区 分 に よ っ て 色 の 同 一 性 ・ 類 似 性 を判断するのは困難である。 図 表 28 PCCS の 色 相 差 ・ ト ー ン 差 の 区 分 と ア ン ケ ー ト 結 果 の 比 較 アンケート結果 設問 PCCS 番号 同一 類似 非類似 1 47% 48% 5% 7 37% 54% 9% 8 8% 58% 34% 10 32% 61% 7% 25 55% 43% 2% 2 7% 64% 29% 3 0% 32% 68% 4 26% 66% 8% 5 5% 67% 28% 9 1% 17% 82% 11 6% 71% 23% 13 37% 57% 6% 14 6% 72% 22% 16 32% 61% 7% 19 27% 64% 9% 20 1% 64% 35% 22 29% 67% 4% 26 20% 69% 11% 27 2% 48% 50% 28 37% 59% 4% 29 8% 80% 12% 6 1% 46% 53% 12 2% 61% 37% 15 1% 36% 63% - 46 - 色相の区分 トーンの区分 同一色相 同一トーン 同一色相 類似トーン 同一色相 非類似トーン 17 3% 82% 15% 18 1% 67% 32% 21 0% 30% 70% 23 4% 74% 22% 24 0% 65% 35% 30 1% 78% 21% 31 33% 55% 12% 39 13% 69% 18% 43 44% 46% 10% 45 41% 52% 7% 49 30% 60% 10% 51 59% 36% 5% 60 47% 41% 12% 32 5% 56% 39% 33 17% 60% 23% 37 30% 54% 16% 40 1% 51% 48% 44 6% 49% 45% 47 36% 53% 11% 48 1% 20% 79% 50 3% 52% 45% 52 36% 55% 9% 53 19% 51% 30% 54 48% 44% 8% 55 20% 52% 28% 61 18% 48% 34% 56 4% 40% 56% 62 5% 37% 58% 35 14% 65% 21% 41 46% 48% 6% 57 49% 41% 10% 34 1% 22% 77% 36 1% 26% 73% 38 2% 33% 65% 42 11% 61% 28% 46 6% 67% 27% 58 25% 59% 16% 59 18% 56% 26% 同一色相 非類似トーン 隣接色相 同一トーン 隣接色相 同一トーン 類似色相 同一トーン 中差色相 同一トーン 隣接色相 類似トーン 類似色相 類似トーン 類似色相 類似トーン 同一・類似・非類似のうち一番割合の高いもの - 47 - IV . 国 内 ヒ ア リ ン グ 調 査 1. 国内ヒアリング調査の目的 商 品 等 が 当 然 に 備 え る 特 徴 と し て の 色 彩 、 す な わ ち 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」や「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」に 該 当 す る か 否 か の 判 断 に つ い て は 、事 業 者 が 、実 際 に ど の よ う な も の を そ う し た 色 彩 と し て 捉 え て い る か の 実 態 を 確 認 し 、把 握 す る こ と が 重 要 と な る 。そ こ で 、多 岐 に 渡 る 業 種 の 企 業 30者 に ヒ ア リ ン グ 調 査 を 実 施 し 、 情 報 を 収 集 し た 。 ま た 、本 事 業 に お け る 各 調 査 結 果 に つ い て 、専 門 的 な 視 点 か ら の 分 析・助 言 を 得 る た め 、 色 彩 に 関 す る 専 門 的 な 知 見 を 有 す る 国 内 有 識 者 6者 に ヒ ア リ ン グ 調 査 を実施し、情報を収集した。 2. 国内ヒアリング調査の手法 (1) ヒアリング調査対象の選定 ( i) 企 業 ヒ ア リ ン グ 調 査 対 象 の 選 定 ( 30 者 ) 商 標 登 録 出 願 件 数 の 上 位 の 企 業 、色 彩 の み か ら な る 商 標 の 出 願 を し て い る 企 業 等 か ら 選 定 し た 国 内 企 業 30 者 に ヒ ア リ ン グ 調 査 を 行 っ た 。 ヒ ア リ ン グ 調 査 対 象 企 業 の 選 定 に あ た っ て は 、「 化 学 」、「 食 品 」、「 機 械 」、「 雑 貨 」、「 繊 維 」、「 役 務 」 等 の 分 野 の バ ラ ン ス や BtoB 1 9 、 BtoC 2 0 の バ ラ ン ス に も 考 慮 し た ( 図 表 29)。 ( ii) 有 識 者 ヒ ア リ ン グ 調 査 対 象 の 選 定 ( 6 者 ) 色 彩 に 関 す る 研 究 分 野 の 中 で も 商 標 と の 関 係 性 が 高 い と 考 え ら れ る「 ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス・ユ ー ザ ビ リ テ ィ 分 野 」、 「 カ ラ ー ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 分 野 」、 「色 彩 の 画 像 処 理 分 野 」、 「 JIS 等 の 規 格 の 分 野 」等 に つ い て 専 門 的 知 見 を 有 す る 有 識 者 、及 び 、色 彩 の み か ら な る 商 標 に 関 し 専 門 的 知 見 を 有 す る 有 識 者 、合 わ せ て 6 者 を 選 定 し た ( 図 表 30)。 19 20 BtoB と は 企 業 間 取 引 の こ と を 意 味 す る 。 BtoC と は 企 業 と 消 費 者 間 の 取 引 の こ と を 意 味 す る 。 - 48 - 図 表 29 主な分野 化学 食品 機械 雑貨 繊維 役務 企業ヒアリング対象一覧 記載名 主な業種 A社 化粧品製造業 B社 化粧品製造業 C社 医薬品製造業 D社 医薬品製造業 E社 農薬化学品製造業 F社 住宅建材製造業 G社 化学品製造業 H社 食品製造業 I社 食品製造業 J社 食品製造業 K社 飲料製造業 L社 光学機器製造業 M社 自動車製造業 N社 自動車部品製造業 O社 電気機器製造業 P社 非鉄金属製造業 Q社 高圧ガス容器製造業 R社 文具製造業 S社 楽器・音響機器製造業 T社 装飾用シート製造業 U社 教育関連用品製造業 V社 合成繊維・合成樹脂製造業 W社 スポーツ用品製造業 X社 繊維製品製造業 Y社 旅客鉄道事業 Z社 インターネット関連業 α社 広告業 β社 総合小売業 γ社 総合小売業 Ω社 情報通信機器販売業 - 49 - 図 表 30 有識者ヒアリング対象一覧 氏名 青木 博通 黒須 正明 所属等 ユアサハラ法律特許事務所 パートナー弁理士 人間中心設計推進機構 名誉理事長 放送大学 情報コース 教授 小松原 仁 一般財団法人日本色彩研究所 理事長 市原 恭代 工学院大学 情報学部 情報デザイン学科 准教授 国 立 研 究 開 発 法 人 産 業 技 術 総 合 研 究 所 情 報・人 間 工 学 領 域 坂本 隆 人間情報研究部門 ニューロテクノロジー研究グループ 主任研究員 竹下 友美 DIC カ ラ ー デ ザ イ ン 株 式 会 社 カ ラ ー プ ラ ン ナ ー (敬称略 ヒアリング実施順) (2) ヒアリング項目の決定 ヒアリング項目は、 「色彩のみからなる商標への対応について」 「 商 品・サ ー ビ ス と 色 彩 に つ い て 」「 商 品 ・ サ ー ビ ス ( サ ー ビ ス の 提 供 に 用 い る も の ) の 、 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 、 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 審 査 基 準 2.(2)に 該 当 す る 色 彩 ) に は 、 ど の よ う な も のがあるか、という 3 つの観点を大項目として策定した。 「 色 彩 の み か ら な る 商 標 へ の 対 応 に つ い て 」の 項 目 は 、企 業 の 色 彩 の み か ら な る 商 標 登 録 出 願 に 関 す る 基 準 や 考 え 方 を 通 じ て 、審 査 基 準 へ の 要 望 を 引 き 出 す こ とを目的としたものである。 「 商 品・サ ー ビ ス と 色 彩 に つ い て 」の 項 目 は 、企 業 の 事 業 活 動 に お け る 、色 彩 の重要性を把握することを目的としたものである。 ま た 、「 商 品 ・ サ ー ビ ス ( サ ー ビ ス の 提 供 に 用 い る も の ) の 、 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 、 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」( 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 審 査 基 準 2.(2)に 該 当 す る 色 彩 )に は 、ど の よ う な も の が あ る か の 項 目 は 、 商 標 法 第 4 条 第 1 項 18 号 に 該 当 す る 色 彩 に つ い て の 事 例 を 収 集 す る こ とを目的としたものである。 - 50 - 図 表 31 企業ヒアリング項目 大項目 小項目 1) 色 彩 の み か ら な る 制度の導入にあたっての検討状況・出願の有無 商 標 へ の 対 応 に つ い 出願内容や出願目的 て 他社の動向の印象、ウォッチングの有無等 どのような企業にどのような色彩を登録されると困るか 2) 商 品 ・ サ ー ビ ス と 色彩について どのような影響が生じるか 企業活動における「色彩」の使用状況 商 品・サ ー ビ ス( サ ー ビ ス の 提 供 に 用 い る も の )に 使 用 す る色彩の決定方法 3) 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 審 査 基 準 2.(2) に 該 当 す る 色 彩 について 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩( 素 材 と そ の 色 彩 、代 替 的 な 素材の有無とその場合の色彩) 商品等の機能を確保するために不可欠な色彩(機能と色 彩 、機 能 を 確 保 す る た め の 代 替 的 な 手 段 の 有 無 と そ の 場 合 の色彩) 図 表 32 有識者ヒアリング項目 大項目 1) 色 彩 の 同 一 性 ・ 類 似性の判断について 2) 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 審 査 基 準 2.(2) に 該 当 す る 色 彩 について 3) そ の 他 小項目 色彩の同一性・類似性の判断についての先行研究等 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 に つ い て( 画 像 処 理 の 観 点 で の 類 似 /人の感覚の観点での類似) カ ラ ー ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン の 観 点 で 、製 品・サ ー ビ ス に 使用する色彩・配色/使用されない色彩・配色 ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス・ユ ー ザ ビ リ テ ィ の 観 点 で 、製 品 ・ サ ー ビ ス に 使 用 す る 色 彩・配 色 / 使 用 さ れ な い 色 彩・配 色 JIS 等 の 規 格 で 決 ま る 色 彩 調査結果の取りまとめについて (3) ヒアリング調査の実施 ヒ ア リ ン グ の 趣 旨 を 明 確 に す る た め 、対 象 企 業 に 対 し て 事 前 に ヒ ア リ ン グ 依 頼 書を送付した。調査は、対象企業の施設等において、1 時間程度で実施をした。 企 業 の 対 応 者 は 、知 的 財 産 部 門 や 法 務 部 門 の 商 標 担 当 者 、宣 伝・マ ー ケ テ ィ ン グ 担 当 者 、 デ ザ イ ン ・ 製 品 開 発 担 当 者 等 、 1~ 4 人 で あ っ た 。 - 51 - 3. 国内ヒアリング調査の結果 (1) 色彩のみからなる商標への対応について ( i) 制度の導入にあたっての検討状況・出願の有無 色 彩 の み か ら な る 商 標 に つ い て は 、関 心 の 高 い 企 業 が 多 く 、制 度 導 入 時 の 特 許 庁の説明会にも出席したという企業も多かった。 色 彩 の み か ら な る 商 標 の 出 願 を し た か ど う か に つ い て は 、ブ ラ ン ド 保 護 の た め に 出 願 し た 企 業 と 、色 彩 の み か ら な る 商 標 は 登 録 が 認 め ら れ 難 い と 考 え 、出 願 に は至らなかった企業に分かれた。 出願した企業 ○ 具体的な審査基準の動きと他社の動向を見ながら準備を進め、一番インパ ク ト が 強 く 自 社 が 重 点 的 に 守 る べ き も の を 絞 り 込 ん で 出 願 し た 。( Y 社 ・ 旅 客鉄道事業) ○ 色彩のみからなる商標は、かなり周知されていなければならないと考え、 国外の商標登録状況を調査した。その結果、店舗デザインの商標登録が多 く、また単色よりも複数色の組合せの方が創作性もあり、独自色が出て需 要 者 に 認 知 さ れ て い る の で は な い か と 考 え 、複 数 色 の 組 合 せ で 出 願 し た 。 (N 社・自動車部品製造業) ○ 出願に相応しい、価値のあるブランドかつ商品を出願した。デザイン面で の評価も高く、他社から似たデザインのものが販売されていないことも出 願 理 由 の 一 つ で あ る 。( K 社 ・ 飲 料 製 造 業 ) ○ 他社から色だけを真似た模倣品が販売されたことがあり、今までは不正競 争防止法でしか対処できなかった。販売額の低い製品のため、裁判等の費 用対効果がよくない。色彩のみからなる商標は、登録されれば立証が容易 に な る と 考 え 出 願 し た 。( R 社 ・ 文 具 製 造 業 ) 出願していない企業 ○ 色彩のみからなる商標の登録はハードルが高いと思われるため、先に位置 商 標 、 動 き 商 標 、 音 商 標 を 出 願 し た 。( X 社 ・ 繊 維 製 品 製 造 業 ) ○ 社内で協議したが、登録されるのは難しいと考えており、現段階で色だけ で 周 知 性 を 獲 得 で き る も の が な い た め 出 願 し な か っ た 。( W 社 ・ ス ポ ー ツ 用 - 52 - 品製造業) ○ 色彩のみからなる商標は、長く展開している商品や、今後伸ばしていきた い商品の出願を検討したが出願には至らなかった。マーケティング的な意 味合いで、商品と色彩が強く結びつくような商品があれば、出願にトライ し た い と 思 っ て い る 。 (I 社 ・ 食 品 製 造 業 ) ○ 色の嗜好性はあるかもしれないが、車は基本的に色では売っていないし、 商標としては機能していないと理解している。赤い車を見て、そのメーカ ー の 車 だ と 思 う 人 は い な い 。( M 社 ・ 自 動 車 製 造 業 ) ○ 基本的に色彩は、独占されるべきものでないと考えている。 他社の出願状 況 や 審 判 例 、 訴 訟 例 等 の 動 向 を 見 て 方 針 を 決 め て い く 予 定 で あ る 。( B 社 ・ 化粧品製造業) ○ 商標法第 3 条第 2 項の適用が必要な色彩のみからなる商標は、登録が認め ら れ 難 い と 考 え 、 出 願 は し な か っ た 。( H 社 ・ 食 品 製 造 業 ) 出 願 の 際 に 、色 彩 の み か ら な る 商 標 と 、図 形 商 標 、位 置 商 標 と の 区 別 に 迷 っ た という意見があった。 ○ 2 色 以 上 を 使 用 し た 色 彩 の 出 願 は 、 図 形 商 標 と の 区 別 に 迷 う 。( C 社 ・ 医 薬 品製造業) ○ 競合他社が色彩の組合せにおいて、位置商標で登録が認められているのを 知 り 、出 願 に つ い て は し っ か り 検 討 す べ き だ と 思 っ た 。 ( γ 社・総 合 小 売 業 ) ( ii) 出 願 内 容 や 出 願 目 的 出 願 内 容 は 、企 業 の コ ー ポ レ ー ト カ ラ ー や 、企 業 の 中 で も 著 名 な 商 品 や 役 務 で 使用されている色彩の出願が多かった。 出願目的としては、保護や牽制のために出願したという意見があった。 ○ 社内で確認したところ、同一サービス内で統一して使用している色彩が意 外と少なかった。その中でも、統一して色彩を使用しているものを出願 し た 。( Z 社 ・ イ ン タ ー ネ ッ ト 関 連 業 ) ○ 出 願 の 目 的 は 、 自 社 使 用 確 保 と 模 倣 防 止 。( L 社 ・ 光 学 機 器 製 造 業 ) ○ ブ ラ ン ド イ メ ー ジ の 汚 染 化・希 釈 化 対 策 、模 倣 対 策 で あ る 。( β 社・総 合 小 売業) - 53 - ○ 他社から制限をかけられるのを防ぐために出願に至った。 ( γ 社・総 合 小 売 業) ( iii) 他 社 の 動 向 の 印 象 、 ウ ォ ッ チ ン グ の 有 無 等 他 社 の 動 向 や ウ ォ ッ チ ン グ に つ い て は 、ど の 企 業 も 行 っ て お り 、競 合 他 社 や 自 社 の 中 で も 力 を 入 れ て い る 事 業 分 野 に お い て は 、特 に 意 識 し て 登 録 状 況 を 確 認 し ている様子だった。 ○ 他社のウォッチングを行っており、必要があれば情報提供や異議申立て等 を 行 う こ と を 考 え て い る 。( A 社 ・ 化 粧 品 製 造 業 ) ○ 出願した色と同じ色については、特に気にして他社の出願状況を確認して いる(D 社・医薬品製造業) 色 彩 の み か ら な る 商 標 と 、不 正 競 争 防 止 法 と の 関 係 で た め ら っ た と い う 意 見 も あった。 ○ 仮 に 色 彩 の み か ら な る 商 標 登 録 出 願 し 、特 許 庁 か ら 拒 絶 査 定 を 受 け た 場 合 、 相手からの抗弁で、その色彩に識別性がないという悪い証拠として提出さ れる可能性がある。商標登録出願については、コーポレートカラーに限ら ず 、 ブ ラ ン ド で 使 用 し て い る 色 彩 に つ い て も 慎 重 に な っ て い る 。( B 社 ・ 化 粧品製造業) ○ 色 ×パ ッ ケ ー ジ 、 色 ×店 舗 デ ザ イ ン の 組 合 せ で 模 倣 さ れ た 場 合 、 各 企 業 、 不 正 競 争 防 止 法 で 争 っ て い る 。( α 社 ・ 広 告 業 ) ○ 不正競争防止法で、色彩のみが争点となったものはほとんどないと思う。 争いがないところに、わざわざ利害関係を作るような制度になると、当事 者 と し て は 困 る 。( S 社 ・ 楽 器 ・ 音 響 機 器 製 造 業 ) ○ 不正競争防止法では、そもそも色彩は独占すべきものでない、という判決 が あ る 。( O 社 ・ 電 気 機 器 製 造 業 ) ( iv) ど の よ う な 企 業 に ど の よ う な 色 彩 を 登 録 さ れ る と 困 る か 単 色 の 登 録 は 、ど の 色 か に 関 わ ら ず 困 る と 回 答 し た 企 業 が ほ と ん ど で あ っ た 。 色 彩 の 選 択 の 幅 が 広 い 商 品( ス ポ ー ツ 用 品 、ア パ レ ル 製 品 、ネ イ ル 用 品 、食 品 ) - 54 - については、特に困るといった意見があった。 ○ どの色が登録されても困る。時代によって使用する色は変わるので、色が 権 利 化 さ れ る と 日 本 全 体 の 産 業 に と っ て 足 枷 に な る の で は な い か 。( K 社 ・ 飲料製造業) ○ 色彩のみからなる商標の制度が始まる前から、同じ売り場で並んできた商 品が、他社の色彩が登録された影響で、その色彩が急に使用できなくなる の は 困 る 。( I 社 ・ 食 品 製 造 業 ) ○ アパレルやスポーツ用品は使用する色が多く、どの色が登録されてもサー ビ ス に 支 障 が 出 る の で 困 る 。( W 社 ・ ス ポ ー ツ 用 品 製 造 業 ) ○ す べ て の 色 に 対 し て 独 占 さ れ る こ と は 困 る 。ネ イ ル な ど で 使 用 す る 色 彩 は 、 すべての色が対象となる。単色や 2 色で登録されることはまずないと考え ている。3 色であっても、化粧品の色として使用する場合があるので困る。 単 純 な 模 様 で あ る ス ト ラ イ プ や 市 松 模 様 等 も 困 る 。( A 社 ・ 化 粧 品 製 造 業 ) ○ 商 標 法 第 4 条 第 1 項 第 18 号 の 拒 絶 理 由 に 該 当 す る よ う な 、醤 油 や ワ イ ン の 色が商標登録されると困る。ただし、色彩のみからなる商標として権利化 されても、色彩だけで識別できているという使い方があまり想定できない の で 、 困 る こ と は そ う 多 く な い と 考 え て い る 。( J 社 ・ 食 品 製 造 業 ) ( v) ど の よ う な 影 響 が 生 じ る か 登 録 が 認 め ら れ た 色 彩 に よ っ て は 、自 社 の 業 務 に 支 障 が 出 る の で は な い か と 心 配する声もあった。 ○ コーポレートカラーは他社に登録されて使用できなくなると、すべてを一 新 し な け れ ば い け な い の で 厳 し い 。( Y 社 ・ 旅 客 鉄 道 事 業 ) ○ 万が一、競合他社に登録が認められた場合、業務に支障が出ることが予想 さ れ る の で 厳 し い 。( T 社 ・ 装 飾 用 シ ー ト 製 造 業 ) ○ 他社の登録が困るというより、自社商品の色彩を模倣されると、当社商品 と 出 所 混 同 さ れ 販 売 活 動 に 影 響 を 生 じ る と 思 わ れ る 。( L 社 ・ 光 学 機 器 製 造 業) ○ ブランドカラーを育てようと思っている色彩が他社に登録された場合、ダ メ ー ジ は 大 き い 。( Z 社 ・ イ ン タ ー ネ ッ ト 関 連 業 ) - 55 - (2) 商品・サービスと色彩について ( i) コーポレートカラー、ブランドカラー等の有無 企業のコーポレートカラーの使用のレベルについては、以下の段階がある。 ロゴマークの色として用いている(コーポレートカラーと呼んでいない場 合 も あ る )。 コーポレートカラーと定めて、ロゴマークだけでなく、商品パッケージ・ 看板・広告等に、積極的に使用している。 今回ヒアリングした企業において、コーポレートカラーを用いている企業は 17 社 、 コ ー ポ レ ー ト カ ラ ー の 定 義 は な い が 、 ロ ゴ 色 等 で よ く 使 用 す る 色 が あ る 企 業 は 12 社 で あ っ た 。 ○ コーポレートカラーは、企業のロゴ、看板車、持ち帰り用のシューズの箱 等 で 使 用 し て い る 。( W 社 ・ ス ポ ー ツ 用 品 製 造 業 ) ○ コーポレートカラーは、ロゴや会社案内・商品一覧のパンフレット等、会 社 を 標 章 す る も の で 使 用 し て い る 。( K 社 ・ 飲 料 製 造 業 ) ○ コーポレートカラーは、 「企業らしさ」 「コンペチターとの差」 「自社の思い」 で 色 彩 を 決 定 し て い る 。( T 社 ・ 装 飾 用 シ ー ト 製 造 業 ) ○ 同じ業界でそのような色彩が使用されているのかを調査し、 他社との差別 化 を 意 識 し て 、 あ ま り 使 用 さ れ て い な い 色 を ブ ラ ン ド カ ラ ー に 用 い た 。( J 社・食品製造業) ( ii) 商 品 等 に 使 用 す る 色 彩 の 決 定 方 法 商 品・サ ー ビ ス に 使 用 す る 色 彩 の 決 定 者 に つ い て は 、商 品 開 発 部 門 や 、企 画 部 門、デザイン部門、という回答が多かった。 ○ 事 業 部 と デ ザ イ ン セ ン タ ー で 色 を 決 定 し て い る 。 BtoC の 製 品 で は 、 商 品 を 使用する年齢層、使用する場面、商品のコンセプトやブランドイメージを 考 え て 色 の 候 補 を 挙 げ て い る 。( G 社 ・ 化 学 品 製 造 業 ) ○ 製品のデザイン(色彩の選択を含む)は、技術統括部 設計支援部 デザイ ン課が素案を作りこれを基に技術部門と企画部門を含めた三者で検討し、 - 56 - 決定する。しかし、製品のテーマカラーは決まっているので、それを大幅 に 外 れ る こ と は な い 。( L 社 ・ 光 学 機 器 製 造 業 ) ○ 機 能 面 は 開 発 部 門 が 決 め る が 、色 彩 に つ い て は デ ザ イ ナ ー が 決 め る 。 ( R 社・ 文具製造業) ○ 商 品 の パ ッ ケ ー ジ に 使 用 す る 色 彩 は 、商 品 部 と メ ー カ ー が 相 談 し て 決 め る 。 商 標 や 表 示 に 関 し て は 、 法 務 部 や 関 連 部 署 と 相 談 の 上 、 決 定 す る 。( β 社 ・ 総合小売業) ○ BtoB の 製 品 で は 、 マ ー ケ テ ィ ン グ の 観 点 で 色 彩 や パ ッ ケ ー ジ を 決 め る こ と は し て い な い 。( V 社 ・ 合 成 繊 維 ・ 合 成 樹 脂 製 造 業 ) ○ 商品は、お客様に受け入れてもらいやすい色や、中身を容易に想起しやす い 色 を 選 ん で い る 。( K 社 ・ 飲 料 製 造 業 ) 広告代理店等の意見を参考にしている企業もあった。 ○ マーケティングの観点から、広告代理店の意見を考慮し色 彩を決定してい る 。( Z 社 ・ イ ン タ ー ネ ッ ト 関 連 業 ) ○ 商 品 に 使 用 す る 色 彩 に つ い て は 、商 品 担 当 者 が 決 定 す る 。決 定 に 際 し て は 、 広告代理店からの提案、自社・他社の動向、車種、需要者(性別、年齢、 使 用 形 態 ) 等 か ら 、 ブ ラ ン ド イ メ ー ジ に 合 っ て い る か を 判 断 し て い る 。( N 社・自動車部品製造業) ○ 商品のパッケージは、社内のデザイナーがデザイン(形状や色彩)し、広 告代理店の意見を聞きながら、マーケティング部門が決 めている。商品に よ っ て は 、 パ ッ ケ ー ジ を 外 注 す る こ と も あ る 。( B 社 ・ 化 粧 品 製 造 業 ) 海 外 へ 事 業 展 開 す る 場 合 は 、事 前 に そ の 国 に 受 け 入 れ ら れ や す い 色 を リ サ ー チ している企業もあった。 ○ 国によって好みの色が違うので、分析したうえでマーケティングに活用し て い る 。( Y 社 ・ 旅 客 鉄 道 事 業 ) ○ 海 外 は 各 国 好 み の 色 が あ り 、マ ー ケ テ ィ ン グ の た め に リ サ ー チ し て い る 。 (W 社・スポーツ用品製造業) 商 品 に 用 い る 色 彩 は 、時 代 性 に 合 っ た も の や 、流 行 色 を 取 り 入 れ て い る と い う 回 答 が あ っ た 。特 に ア パ レ ル や 化 粧 品 製 造 業 の 企 業 は 、流 行 色 を 気 に し て い る 様 - 57 - 子が伺えた。 ○ 来 年 の ト レ ン ド に ア ン テ ナ を 張 っ た り 、 リ サ ー チ を 行 っ て い る 。( A 社 ・ 化 粧品製造業) ○ 流 行 色 協 会 の ト レ ン ド 予 想 を 参 考 に し て い る 。( B 社 ・ 化 粧 品 製 造 業 ) ○ 売 れ る 流 行 色 と ト レ ン ド カ ラ ー を 参 考 に し て 、 カ ラ ー を 決 定 し て い る 。( W 社・スポーツ用品製造業) ○ 色はその時代に合ったものや、先を見越したものを取り込んで使用してい る 。 コ ー ポ レ ー ト カ ラ ー も 時 代 に 合 っ た 色 に 少 し ず つ 変 化 さ せ て い る 。( G 社・化学品製造業) 以 前 は そ の 業 界 に お い て 、あ ま り い い イ メ ー ジ が な く 避 け ら れ て い た 色 が 、現 在は使用頻度が高くなってきていることもわかった。 ○ 最 近 は 、黒 を 基 調 と し た 高 級 感 の あ る ス ー パ ー も 出 て き た 。 ( γ 社・総 合 小 売業) ○ 業界的に、食品に黒を使用することはネガティブなイメージを持たれてお り、あまり使用されていなかったが、黒ゴマや黒豆等の健康に よいとされ て い る も の が 黒 で あ っ た た め 、敢 え て 黒 を 使 用 し た 商 品 を 発 売 し た 。 ( K 社・ 飲料製造業) ○ ブランドごとにテーマカラーを設けており、高級ラインは金・黒を用いる こ と が 多 い 。( X 社 ・ 繊 維 製 品 製 造 業 ) ○ 食欲の軽減等の理由で以前は食品コーナーに青を使用することはなかった が 、 食 品 コ ー ナ ー に 青 を 用 い て い る 企 業 も あ る 。( γ 社 ・ 総 合 小 売 業 ) 規 定 さ れ て い る わ け で は な い が 、商 品 を 設 置 す る 場 所 に 合 わ せ た 色 を 選 ぶ こ と があることもわかった。 ○ 医療用機器は、各社白をベースにし、部分的に色彩を付与している。病院 に マ ッ チ す る 色 と 考 え ら れ る 。( L 社 ・ 光 学 機 器 製 造 業 ) ○ 商品の設置場所に制約された色を使用する場合がある。例えば、医療機関 では、清潔感があり、カラーの強くない色、尚且つ淡いながらも汚れがつ か な い よ う な 色 を 選 ん で い る( ク リ ー ム 色 、白 に 近 い 色 が 多 い )。 ( G 社・化 学品製造業) - 58 - (3) 「商品等から自然発生する色彩」及び「商品等の機能を確保するために 不可欠な色彩」について ( i) ① 「商品等から自然発生する色彩」の事例 天然物の色彩 天 然 物 た る 商 品 等 の 素 材 そ の も の の 色 は 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 に 該当すると考えられる。 ヒアリングでは、野菜等の食品、花、観葉植物が挙げられた。 ○ 天然のものは素材そのものの色である。ただし、生育具合によって色が変 わるため、必ずしも同じ色のものができるとは限らず、色の特定はできな い 。( K 社 ・ 飲 料 製 造 業 ) 食 品 分 野 に お い て は 、 原 材 料 や 製 法 に よ り 生 じ る 色 彩 や 、 商 品 の 性 質 上 、「 商 品等から自然発生する色彩」に該当するものと考えられる。 ○ マヨネーズは、無添加という観点だと原材料が限られてくるので、必然と 類 似 し た 色 に な っ て く る 。( H 社 ・ 食 品 製 造 業 ) ○ 醤 油 そ の も の の 色 は 、 「し ょ う ゆ レ ッ ド 」と 呼 ば れ る 鮮 や か な 赤 色 で 、 酸 化 することにより、どんどん黒くなっていく。加熱の仕方によって、醤油の 色 彩 は 変 わ っ て く る ( 火 入 れ す る と 色 は 濃 く な る )。( J 社 ・ 食 品 製 造 業 ) ま た 、化 学 物 質 、金 属 な ど 、原 材 料 と し て 企 業 間 取 引 で 取 り 扱 わ れ る 商 品 の 素 材そのものの色彩は「商品等から自然発生する色彩」に該当すると考えられる。 ○ 自社で取扱いのある化学物質は素材そのままの色彩で販売される。色の多 く は 白 で あ る 。液 体 で は 透 明 、薄 い 黄 色 が あ る 。 ( E 社・農 薬 化 学 品 製 造 業 ) ○ 金属を精製すると金属らしい色になる。金は黄金色、銅は銅色であり、素 材 そ の ま ま の 色 で 取 引 し て い る 。( P 社 ・ 非 鉄 金 属 製 造 業 ) - 59 - ② 素材感を重要視して原材料がそのまま用いられる色彩 商 品 に 着 色 等 を せ ず に 、自 然 の 素 材 感 が 持 つ 雰 囲 気 の よ さ を 商 品 に 生 か し て い るケースもある。 ○ 鉛筆には、素材そのものの色や木目は、温かみがあるというデザインの観 点 で 用 い ら れ て い る 。( R 社 ・ 文 具 製 造 業 ) ○ 木 の 風 合 い を 生 か し た い 教 材 に つ い て は 着 色 し な い 。( U 社 ・ 教 育 関 連 用 品 製造業) ○ 駅舎は、煉瓦・木材・ガラス等のイメージにあった素材を用いるため、そ れ ぞ れ の 素 材 色 が そ の ま ま 使 用 さ れ て い る 。( Y 社 ・ 旅 客 鉄 道 事 業 ) 家具等で木材が着色されずに用いられるのも同様の理由と考えられる。 ③ 塗装や着色のメリットがない場合 商 品 に 塗 装 や 着 色 を し て も 色 が 剥 が れ や す い も の や 、 BtoB の 企 業 相 手 へ の 商 品 で パ ッ ケ ー ジ に 着 色 す る 必 要 性 が 感 じ ら れ な い 場 合 は 、コ ス ト 面 の 観 点 で 素 材 そのままの色を使用するケースがあることがわかった。 ○ 鉄 道 車 両 に は 塗 装 で き る が( ア ル ミ は 塗 装 し に く い )、素 材 そ の も の の 色 で 使 用 す る 場 合 も 多 い 。( Y 社 ・ 旅 客 鉄 道 事 業 ) ○ 線路のレールは塗装することは可能であるが、コスト面の観点で考えると 塗 装 す る メ リ ッ ト は な い 。( Y 社 ・ 旅 客 鉄 道 事 業 ) ○ こ れ ま で BtoB の 商 品 パ ッ ケ ー ジ( ダ ン ボ ー ル )に 、コ ー ポ レ ー ト カ ラ ー を 着色して出荷していたが、エコやコストの観点で考えた結果、現在は一部 商 品 は 着 色 せ ず に 、 必 要 な 表 示 の み を 記 載 し て 出 荷 し て い る 。( G 社 ・ 化 学 品製造業) ( ii) 「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 の 使 用 状 況 一 方 で 、商 品 等 に 素 材 色 を そ の ま ま 用 い ら れ る ケ ー ス は 少 な い と い う 意 見 も 聞 かれた。 - 60 - ○ プ ラ ス チ ッ ク 等 の 樹 脂 製 品 は 、 着 色 す る の が 通 常 で あ る 。( L 社 ・ 光 学 機 器 製造業) ○ アパレル製品は、天然素材そのままの色を用いようとすると、商品ごとに 色 が 違 っ て し ま う 。( X 社 ・ 繊 維 製 品 製 造 業 ) ○ 薬剤は白や透明のままだと、少しの変色でも目立つため、消費者への不安 を軽減させるためにも着色した方がよい場合がある。 ( C 社・医 薬 品 製 造 業 ) ○ パッケージに入れて販売される場合は、購入時に素材色が見えるとは限ら な い 。( G 社 ・ 化 学 品 製 造 業 ) ま た 、需 要 者 が 自 然 な 色 彩 だ と イ メ ー ジ す る 色 彩 に 合 わ せ て 、敢 え て 商 品 等 を 着色するケースもあることがわかった。 ○ 栄養ドリンクは透明な瓶でも中身に影響はないが、需要者には「栄養ドリ ンク=茶褐色の瓶」というイメージが定着しているため、他の色は使用し 難 い 。( C 社 ・ 医 薬 品 製 造 業 ) ○ 野球のグラブの素材となる牛革はグレーであり、着色せずそのまま使用し ても機能的には問題はない。しかし、牛の毛が残っていることや、牛の傷 が目立つ場合があり、それらを隠すために加工して、一般的に革の色をイ メ ー ジ さ せ る 色 ( 茶 、 黒 ) を 使 用 し て い る 。( W 社 ・ ス ポ ー ツ 用 品 製 造 業 ) ○ アイアン(ゴルフクラブ)は、元々シルバーではなく、素材自体の色は黒 っぽい。そのままでは、見た目が悪く、錆びてしまうため、コーティング ( メ ッ キ ) を し て い る 。( W 社 ・ ス ポ ー ツ 用 品 製 造 業 ) ( iii) 「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」 の 事 例 ① 原材料の影響の観点 商 品 の 機 能 を 確 保 す る た め に 用 い ら れ る 原 材 料 が 、特 定 の 色 彩 を 有 し て い る こ と に よ り 、商 品 の 色 彩 が 決 ま る こ と が あ る 。ヒ ア リ ン グ に お い て は 、タ イ ヤ や 免 震 ゴ ム( 黒 )、ヨ ウ 素 を 成 分 と す る う が い 薬( 茶 褐 色 )、ビ タ ミ ン B12 を 配 合 し た 目薬(赤)等が挙げられた。 ○ タ イ ヤ に 関 し て は 、 補 強 材 で あ る 「カ ー ボ ン ブ ラ ッ ク 」の 配 合 に よ り 、 必 然 的に黒色になる。タイヤに着色することは技術的に可能とは思うが、強度 - 61 - 的に問題がある。また、免震ゴムについては、タイヤと同様の理由で黒色 で あ る 。ま た 、目 に つ く と こ ろ に 使 用 さ れ て お ら ず 、着 色 す る 必 要 も な い 。 (N 社・自動車部品製造業) ○ ヨウ素を配合したうがい薬は、成分であるヨウ素そのものの色の茶褐色と な る 。( C 社 ・ 医 薬 品 製 造 業 ) ② 遮光の観点 商 品 等 の パ ッ ケ ー ジ に つ い て 、内 容 物 の 機 能 や 成 分 を 維 持 す る 目 的 で 、遮 光 の ための着色がされるケースがあることがわかった。 ○ 鏡 筒 や レ ン ズ の 枠 の 部 分 は 、 遮 光 の た め 黒 色 を 使 用 し て い る 。( L 社 ・ 光 学 機器製造業) ○ ビタミン C を壊さないようにするため、茶色の遮光瓶を使用している。 (D 社・医薬品製造業) こ の 他 に も 、点 滴 薬 用 カ バ ー は 、遮 光 の た め 、オ レ ン ジ 色 に 着 色 し て 紫 外 線 カ ットをしつつ中身が見えるように工夫されている 。 ③ 天然物の色に近づけて目立たせない観点 商品を天然物の色に近づけて、自然に見えるような色を用いるケースがある。 ○ 絆創膏やニキビ治療薬は、肌につけていることが目立たないように、皮膚 に 近 い 色 を 用 い る 場 合 が 多 い 。( C 社 ・ 医 薬 品 製 造 業 ) ○ 芝 生 の 色 と な じ ま せ る た め 、 芝 押 さ え は 緑 色 で あ る 。( F 社 ・ 住 宅 建 材 製 造 業) 白 髪 染 め の 黒 も 同 様 で あ る と 考 え ら れ る 。ま た 、天 然 物 の 色 に 合 わ せ る こ と で 、 カラーチャートとしての機能を持たせたものもある。 ○ 果物の収穫用の手袋で、手袋の一部に適切な収穫時期の熟れ具合に合わせ た色彩を付したものがある。色彩がカラーチャートの役目をして、適切な 収 穫 時 期 の 果 物 か ど う か を 判 別 で き る 。( 有 識 者 ) - 62 - ④ 視認性・バリアフリーの観点 商 品 等 を 視 認 性 や バ リ ア フ リ ー の 観 点 で 色 を 選 択 す る と 、使 用 で き る 色 が 限 定 される場合がある。 ○ 駅の案内板は、色弱の方や高齢者の方でも見やすい黄色を使用している。 ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン の 観 点( バ リ ア フ リ ー 法 )も あ り 、JIS の 規 格 で 使 用 す る 色 が 決 ま っ て い る 。( Y 社 ・ 旅 客 鉄 道 事 業 ) ○ マ ー ケ テ ィ ン グ の 観 点 か ら 、 セ ー ル 用 の POP は 、 赤 地 に 白 抜 き の 文 字 で 表 示 す る こ と が 多 い 。( β 社 ・ 総 合 小 売 業 ) ⑤ 機能を確保するための製法の観点 商品の機能を確保するために製法上、決まった色になることがある。 ○ 乳 液 は 、 乳 化 す る こ と で 白 濁 化 す る 。( A 社 ・ 化 粧 品 製 造 業 ) ⑥ 視覚的効果の観点 色彩の視覚的効果の観点で、使用される色彩が決定されることもある。 ○ トンネル内の照明は、排気ガス等が充満しても光が通りやすいオレンジ色 が 採 用 さ れ て い る 。( 有 識 者 ) ⑦ 法令、規則、ルール等の観点 法 令 、規 則 及 び 業 界 の ル ー ル 等 に よ っ て 、商 品 等 に 使 用 す る 色 彩 が 決 め ら れ て い る ケ ー ス が あ る こ と が わ か っ た 。こ れ ら に つ い て は 、視 認 性 な ど 、他 の 観 点 と も関連していると考えられる。 - 63 - 法令・規則等による色彩が決まるケース ○ 高 圧 ガ ス 容 器 は 、内 容 物 の 誤 認 を 防 ぐ た め 、容 器 保 安 規 則 第 10 条 に お い て 、 高 圧 ガ ス の 種 類 に よ り 、容 器 で 使 用 す る 色 や 表 示 方 法 が 定 め ら れ て い る 。 (Q 社・高圧ガス容器製造業) 高圧ガスの種類 塗色の区分 酸素ガス 黒色 水素ガス 赤色 液化炭酸ガス 緑色 液化アンモニア 白色 液化塩素 黄色 アセチレンガス か つ 色 21 その他の種類の高圧ガス ねずみ色 ○ 京都や那須高原では、周りの景観を損なわないために、京都市屋外広告物 等に関する条例施行規則や那須塩原市景観計画において、色彩の使用に制 限 が か け ら れ て い る 。( T 社 ・ 装 飾 用 シ ー ト 製 造 業 ) 同 様 の 例 と し て は 、自 動 車 の ブ レ ー キ ラ ン プ に つ い て も 、道 路 運 送 車 両 法 に 基 づく保安基準により赤色と決まっている。 業界等のルールによる色彩が決まるケース ○ ソフトボールの球の色は、協会団体(日本ソフトボール協会)のルールに よ り 、2010 年 か ら 公 式 試 合 で は 黄 色 を 使 用 す る よ う に な っ た 。 ( W 社・ス ポ ーツ用品製造業) ○ ペットボトルは加熱に対応していないものを温めると破裂する危険性があ り、誤認を防ぐためにキャップの色で識別できるようにしている。飲料会 社 各 社 共 通 で オ レ ン ジ 色 を 使 用 し て い る 。( K 社 ・ 飲 料 製 造 業 ) ○ USB3.0 の ポ ー ト と コ ネ ク タ の 内 部 は 、規 格 に よ り 青 色 に 統 一 さ れ て い る( O 社・電気機器製造業) ( iv) 代 替 的 な 色 彩 の 使 用 に つ い て 機 能 的 な 色 彩 に つ い て は 、代 替 可 能 な 色 彩 が 全 く な い わ け で は な い が 、品 質 や コストの面で代替するメリットが少ないという意見があった。 21 かつ色とは褐色のこと。 - 64 - ○ タ イ ヤ に 着 色 す る こ と は 技 術 的 に 不 可 能 で は な い が 、強 度 的 に 問 題 が あ る 。 ま た 、 費 用 面 で も メ リ ッ ト が な い 。( N 社 ・ 自 動 車 部 品 製 造 業 ) 他にも、代替的な色彩を使用しない理由として、 ・品質の維持の観点(塗装をしても剥げてしまう) ・添加物をなるべく減らす観点(食品) ・素材感を出す観点(木の自然なぬくもり、シンプルさ) 等が挙げられた。 ( v) 商 品 役 務 に 関 わ る 識 別 標 識 と し て 色 彩 が 用 い ら れ る ケ ー ス 商 品 役 務 に 関 わ る 識 別 性 の 観 点 で 、複 数 の 色 彩 が 用 い ら れ る こ と が あ る こ と が わ か っ た 。こ う し た 事 例 に つ い て は 、特 定 の 色 彩 を 指 定 す る も の で は な い が 、色 彩の識別機能という意味で意識すべきと考えられる。 ○ 電 車 の ラ イ ン カ ラ ー は 、路 線 を 間 違 え な い た め の 案 内 サ イ ン で あ る 。 ( Y 社・ 旅客鉄道事業) ○ 瓶ビールのケースは、大手メーカーごとに色が分かれている。配送業者が 間 違 え て 配 送 し な い よ う に 、 識 別 し や す く し て い る と 思 わ れ る 。( K 社 ・ 飲 料製造業) ○ 商品(調味料)の種類ごとに、キャップの色を分けている。販売状態では キャップは見えにくいが、消費者が商品を使用する際には、内容を区別す る 標 識 と な る 。( H 社 ・ 食 品 製 造 業 ) ○ 通 信 用 ケ ー ブ ル の 外 装 に 使 用 さ れ る 色 は 、灰 色 、緑 色 、赤 色 、青 色 、黄 色 、 黒色、白色、紫色などで、業界内では各社だいたい同じである。規格があ るわけではなく、業界内で自然と決まったものである。配線時の誤りを減 ら す 意 味 で 、 機 能 的 に 働 く 。( Ω 社 ・ 情 報 通 信 機 器 販 売 業 ) ○ 機械の操作ボタンの色彩は、機能や意味と色彩を関連付けるため、いつも 同 色 か 同 系 統 の 色 彩 を 使 用 し て い る 。( L 社 ・ 光 学 機 器 製 造 業 ) - 65 - (4) 業界と色彩の使用状況の関係 ( i) 業界ごとの特徴 ①一般役務(看板における色彩の使用に特徴がある業界) 一 般 役 務 の 業 界 に お い て は 、企 業 の 提 供 看 板 等 で 色 彩 が 商 標 的 に 機 能 し て い る と い う 意 見 が あ っ た 。コ ン ビ ニ 、銀 行 、飲 食 店 等 で は 、店 舗 を 遠 く か ら 探 す 場 合 に 色 彩 を 目 印 に 認 識 す る こ と が 多 く 、色 彩 が 商 標 的 に 機 能 し て い る と も 考 え ら れ る。 ②化粧品・アパレル・自動車(使用する色彩のバリエーションが多い業界) 使 用 す る 色 彩 の バ リ エ ー シ ョ ン が 豊 富 な 業 界 で は 、商 標 的 な 色 彩 の 活 用 が 難 し い と い う 意 見 が あ っ た 。化 粧 品 業 界 や ア パ レ ル 業 界 で は 、使 用 さ れ る 色 彩 の バ リ エーションが非常に多く、独占に適さないのではないかという意見があった。 ま た 、自 動 車 業 界 で は 、色 彩 の み か ら な る 商 標 の 登 録 を 受 け る と 、逆 に そ の 色 か ら 動 け な く な り 、イ メ ー ジ が 固 定 さ れ て し ま う と い う デ メ リ ッ ト も あ る と い う 意見があった。 ③医療機器(色彩の棲み分けがなされる業界) 医 療 機 器 は 、各 社 白 を ベ ー ス に し 、部 分 的 に コ ー ポ レ ー ト カ ラ ー・ブ ラ ン ド カ ラ ー 等 の 色 彩 を 付 与 し て い る 。他 の 業 種 と 比 較 す る と 企 業 数 も 多 く は な い た め 、各 社 の コ ー ポ レ ー ト カ ラ ー や ブ ラ ン ド カ ラ ー は 自 然 と 棲 み 分 け さ れ て い る 。 ④通信機器(色彩の統一がなされる業界) 製 品 単 位 で は 、自 然 と 色 彩 の「 統 一 」が な さ れ る 、と い う 話 も 聞 か れ た 。通 信 用 ケ ー ブ ル と し て 販 売 さ れ て い る 色 彩 は 、各 社 同 じ で あ る が 、規 格 が 業 界 内 で 自 然と決まったものである。 - 66 - ( ii) 色 彩 の 類 似 範 囲 と 業 界 で の 色 彩 の 使 用 状 況 と の 関 係 有 識 者 か ら は 、色 彩 の み か ら な る 商 標 の 類 似 範 囲 は 、業 界 ご と に 差 異 が あ る と いう意見もあった。 ○ 色彩のみからなる商標の類似範囲は、業界での使われやすさも影響を与え る。業界でよく使われる色であれば類似範囲が狭いが、その業界でほとん ど 使 わ れ な い 色 に つ い て は 、 類 似 範 囲 が 広 く な る と 考 え ら れ る 。( 有 識 者 ) ○ 業界によって商品や役務に使用する色の種類が違い、使用する色数が少な い企業と多い企業とでは、色の類似性の範囲が違うのではないか。各業界 でどのような色が使用されているのかを調査して、マッピングを行うべき であると考える。業界ごとの色彩マップを作ることで、色差の範囲が見え て く る と 思 う 。( 有 識 者 ) な お 、色 彩 が 商 品・役 務 に ど の よ う に 使 用 さ れ る か も 、類 似 性 の 判 断 に 影 響 を 与えるという指摘もあった。 ○ テレビやモニターで見る色と、実物の色は違って見えることがある。モニ ターや照明を変えると、色が違って見えるためである。また、看板で見る 色 と CM で 使 用 す る 色 も 違 っ て 見 え て い る 。 光 源 色 に お い て は RGB、 物 体 色 に お い て は マ ン セ ル 等 で 指 定 し て 出 願 す る 方 が 適 切 と 考 え る 。( 有 識 者 ) - 67 - V . 総合分析 1. 色彩の同一性・類似性の判断 ( i) 色彩の同一性・類似性の判断に対する色名によるカテゴリー分類の影響 色 彩 の 色 名 に よ る カ テ ゴ リ ー 分 類 は 、色 彩 の 類 似 範 囲 と 関 連 す る 。色 名 と 色 彩 の 類 似 範 囲 と 関 係 性 に つ い て は 、「 資 料 Ⅰ -4」 の 色 名 区 分 図 を 参 考 と し 得 る 。 ま た 、図 形 分 類 で は 使 用 さ れ な い が 、多 く の 人 が 色 彩 を 分 類 す る 際 に 使 用 す る「 黄 緑 」等 の 色 名 も 、同 一 性・類 似 性 の 判 断 へ の 影 響 が 考 え ら れ る の で 、こ の 点 に は 留意が必要である。 ( ii) 色 彩 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 に 対 す る 色 彩 の 知 覚 的 差 異 の 影 響 色 相・明 度・彩 度 の 知 覚 的 差 異 に つ い て も 、同 一 性・類 似 性 の 判 断 に 影 響 を 与 え る 。 38~ 39 頁 に 掲 載 し た 、 色 彩 の 類 似 範 囲 に 関 す る 図 表 ( 図 表 19~ 図 表 23) を参考にし得る。 ( iii) 色 彩 の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 の 実 例 5R 6/6 の 色 彩 の 類 似 と 推 定 さ れ る 範 囲 に つ い て 検 討 を す る 。 ア ン ケ ー ト 調 査 項 目 ② の 結 果 か ら 作 成 し た 、図 表 33~ 図 表 35 に 基 づ い て 検 討 す る と 、5R 6/6 と 類 似 す る と い う 回 答 が 5 割 以 上 を 占 め る と 推 定 さ れ る 範 囲 は 、 明 度 は ±2、彩 度 は ±5、色 相( RP 方 向 )は - 11、色 相( YR 方 向 )は + 7 と な る 。 こ の 範 囲 に つ い て 、調 査 項 目 ① の 結 果 に 基 づ き 作 成 し た 図 表 36 と 照 ら し た 場 合 、 5R 6/6 の 色 名 は「 ピ ン ク 」で あ る が 、彩 度 を 4 下 げ た 5R 6/2 の 色 名 は「 グ レ ー 」 と な る 。無 彩 色 と 有 彩 色 の 違 い は 類 似 性 の 判 断 へ の 影 響 が 大 き い と 考 え 、こ こ で は 同 一 色 名 で 表 さ れ る 5R 6/3 ま で を 、 類 似 と 推 定 さ れ る 範 囲 と 判 断 す る こ と と し た 。 図 表 37 は 、 上 記 の 推 定 の 範 囲 を 図 示 し た も の で あ る 。 な お 、 5R 4/6 の 色 名 は「 茶 」で あ る た め 、色 名 に よ る カ テ ゴ リ ー 分 類 の 差 異 に よ り 、非 類 似 と 判 断 されることもあり得る。 こ の 図 は 、本 調 査 で 実 施 を し た 限 定 的 な 結 果 を 基 に 、推 定 を し た も の に す ぎ ず 、 同 一 性・類 似 性 の 判 断 に 関 す る 精 度 の 高 い 基 準 を 検 討 す る 場 合 は 、本 調 査 研 究 の 結 果 を 踏 ま え て 、よ り 詳 細 な 調 査 が 必 要 で あ る 。ま た 、同 一・類 似 と 判 断 す る 割 合が何割であれば、類似の範囲と認定できるかについても検討の余地がある。 - 68 - 図 表 33 明 度 を 変 化 さ せ た 場 合 に 図 表 34 彩 度 を 変 化 さ せ た 場 合 に 5 割以上が類似と判断した範囲 5 割以上が類似と判断した範囲 5R 5R 明度 9 明度 9 明度差:2以内 8 8 7 7 6 6 5 5 4 4 3 3 2 2 N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 彩度 図 表 35 色 相 を 変 化 さ せ た 場 合 に 5 割 以 上 が 類 似 と 判 断 し た 範 囲 (高 彩 度 領 域 ) 図 表 37 N 彩度差:5以内 1 2 図 表 36 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 彩度 5R の マ ン セ ル 色 票 に お け る色名の区分線 5R 6/6 の 色 彩 と 類 似 す る と 推 定 さ れ た 範 囲 ※グレーの枠は囲まれた範囲内の色彩が 類似と推定されたことを示す - 69 - ( iv) 2 色 以 上 の 色 彩 に つ い て の 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 2 色以上の色彩の組合せについて、 「 配 色 の 順 番 の 変 更 」、 「 配 色 の 向 き の 変 更 」、 「 配 色 の 面 積 比 率 の 変 更 」等 が あ っ た 場 合 で も 、同 一・類 似 と 判 断 さ れ る と い え る 。特 に 、回 転 を す る と 全 く 同 じ 配 列 と な る 場 合 に は 、同 一・類 似 と 判 断 さ れ る 割合が非常に高い。 ( v) 同 一 性 ・ 類 似 性 の 判 断 に お け る 離 隔 観 察 の 影 響 2 つの色彩について、離隔観察する場合と対比観察をする場合とを比べると、 離 隔 観 察 す る 場 合 の 方 が 、色 彩 を 同 一 と 判 断 す る 割 合 が 高 く な る 。こ れ は 、離 隔 観 察 の 場 合 は 2 色 を 同 時 に 比 較 す る こ と が で き な い た め 、厳 密 な 色 彩 の 差 異 を 区 別 し 難 い か ら と 考 え ら れ る 。し か し 、同 一・類 似 を 合 わ せ た 割 合 で み る と 、離 隔 観察であるか対比観察であるかによる差異は限定的であるといえる。 ( vi) 業 界 で の 使 用 頻 度 に よ る 類 似 範 囲 の 影 響 有 識 者 ヒ ア リ ン グ に お い て 、色 彩 の み か ら な る 商 標 の 類 似 範 囲 は 、業 界 で の 色 彩 の 使 わ れ 方 の 傾 向 も 影 響 を 与 え る と の 意 見 が あ っ た 。そ の 業 界 で よ く 使 わ れ る 色 彩 で あ れ ば 類 似 範 囲 が 狭 い が 、そ の 業 界 で ほ と ん ど 使 わ れ な い 色 彩 に つ い て は 、 類似範囲が広くなると考えられる。 2 . 「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」及 び「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す るために不可欠な色彩」に該当するかの判断 色 彩 の み か ら な る 商 標 が 、「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」 や 「 商 品 等 の 機 能 を確保するために不可欠な色彩」に該当するかについての判断の観点について、 図 表 38 に ま と め た 。 - 70 - 図 表 38 自然発生する色彩・機能を確保するために不可欠な色彩の分類と事例 区分 (1) 商 品 等 か ら 自 判断の観点 事例 (1-1) 加 工 さ れ ず に 天 然 物 野菜等の食品・生花・観葉植物 のまま取引きされる 化学物質・金属原料 (1-2)塗 装 の 必 要 性 が な い 然発生する色彩 (2) 商 品 等 の 機 能 を確保するために 線路のレール(鉄の色) 段ボール(黄土色) (1-3) 製 品 特 有 の 原 材 料 ・ 醤油(赤) 製法で色彩が決定される マヨネーズ(白) (2-1) 遮 光 性 の 観 点 で 決 定 薬剤の瓶(茶褐色) される レンズの鏡筒(黒) (2-2) 視 認 性 の 観 点 で 決 定 安全標識(黄) される ブレーキランプ(赤) (2-3) 視 覚 的 効 果 の 観 点 で 手術衣(青緑) 決定される トンネルの照明(オレンジ) (3-1) 原 材 料 の 色 彩 の 影 響 タイヤ(黒) で決定される ヨウ素のうがい薬(茶) (3-2) 天 然 物 の 色 彩 と の 調 絆創膏・塗り薬・ファンデーション(肌色) 和の観点で決定される 白髪染め(黒) 不可欠な色彩(色 彩の特性によるも の) (3) 商 品 等 の 機 能 を確保するために 不可欠な色彩(色 彩以外の特性によ るもの) (3-3) 機 能 を 確 保 す る た め 乳液(白) の製法により決定される (3-4) 色 彩 を 用 い た 識 別 の 高 圧 ガ ス ボ ン ベ の 容 器( 黒 、赤 、緑 、白 、黄 、 観点で決定される かつ色、ねずみ色) 色彩のみからなる商標が、 「 商 品 等 か ら 自 然 発 生 す る 色 彩 」に 該 当 す る か は 、 「天然物そのままで取引きされるか」 「塗装の 必要性があるか」 「製品特有の原 材料・製法で色彩が決まるか」という観点を基に判断することができる。 また、 「 商 品 等 の 機 能 を 確 保 す る た め に 不 可 欠 な 色 彩 」に 該 当 す る か は 、 「遮 光 性 、 視 認 性 、 視 覚 的 効 果 と い っ た 『 色 彩 の 特 性 』 に よ っ て 決 定 さ れ る か 」、 「原材料の色彩の影響、天然物の色彩との調和、機能を確保するための製法、 色 彩 を 用 い た 識 別 と い っ た『 色 彩 以 外 の 特 性 』に よ っ て 決 定 さ れ る か 」と い う 観点を基に判断できる。 ま た 、こ れ ら の 観 点 に 基 づ い て 選 択 さ れ る 色 彩 が 、法 令 や 規 格 と し て も 定 め ら れ る こ と が あ る 。 図 表 38 に 関 し て い え ば 、「 (2-2)視 認 性 の 観 点 で 決 定 さ れ る 」も の 、 「 (3-4)色 彩 を 用 い た 識 別 の 観 点 で 決 定 さ れ る 」も の が 、該 当 す る と - 71 - 考 え ら れ る 。こ の よ う な 、商 品 等 の 色 彩 に 関 連 す る 法 令 や 規 格 に つ い て も 留 意 すべきである。 3. まとめ 以 上 の よ う に 、本 調 査 研 究 で は 、色 彩 に 関 す る 文 献 の 調 査 と 、一 般 需 要 者 へ の ア ン ケ ー ト 調 査 に よ る 色 彩 の 同 一 性・類 似 性 の 判 断 の 分 析 、企 業 へ の ヒ ア リ ン グ に よ る 現 状 把 握 と 情 報 収 集 を 行 っ た 。さ ら に 、こ れ ら の 結 果 に 基 づ き 、有 識 者 へ ヒ ア リ ン グ を 実 施 し 、専 門 的 な 視 点 か ら の 分 析・助 言 を い た だ い た 。本 調 査 結 果 を 基 に 、色 彩 の み か ら な る 商 標 に 関 す る 商 標 審 査 が よ り 明 確 で 安 定 性 の高いものになることを期待するものである。 - 72 - 資料編 資料Ⅰ 資料Ⅰ-1 アンケート画面 -77- 資料Ⅰ-1 アンケート画面 -78- 資料Ⅰ-1 アンケート画面 -79- 資料Ⅰ-1 アンケート画面 -80- 資料Ⅰ-2 アンケート集計結果(調査項目①) 選択した色彩の割合(%) NO チップ 色相 明度 彩度 50%以上が選 択した色名 R 赤 PI O ピンク オレンジ BR Y G B P W GY BK 茶 黄 緑 青 紫 白 グレー 黒 1 10P 7 6 ピンク 2 10P 4 12 紫 3 2.5RP 7 6 ピンク 91.3 4 5RP 7 6 ピンク 97.3 5 5RP 6 10 ピンク 0.3 96.0 6 5RP 5 10 ピンク 3.7 51.0 7 5RP 4 10 紫 11.7 13.0 8 10RP 4 12 赤 52.3 21.7 9 5R 9 2 ピンク 0.3 56.7 10 5R 6 2 0.7 13.7 11 5R 3 2 茶 0.7 12 5R 7 6 ピンク 1.0 96.7 1.3 13 5R 6 6 ピンク 3.3 88.3 1.7 4.3 14 5R 5 6 16.0 44.3 1.3 24.0 15 5R 3 6 茶 17.3 16 5R 6 10 ピンク 9.7 81.7 8.3 17 5R 5 10 赤 51.3 38.7 6.3 18 5R 4 14 赤 97.3 1.7 19 7.5R 5 6 11.7 38.7 20 7.5R 3 3 11.3 0.7 茶 71.3 28.7 0.7 99.3 0.3 8.3 0.7 0.3 2.0 3.3 45.3 0.3 75.0 26.0 0.7 0.7 41.0 14.0 57.0 0.3 0.3 33.3 37.3 0.3 0.3 28.7 6.0 7.0 0.3 0.3 2.0 0.3 13.7 0.3 28.3 0.3 2.0 1.7 0.3 0.7 40.0 66.0 -81- 0.7 0.3 54.3 2.3 0.7 0.3 6.3 0.3 0.3 22.0 50%以上が選択した色名についてグレーで示す 資料Ⅰ-2 アンケート集計結果(調査項目①) 選択した色彩の割合(%) NO チップ 色相 明度 彩度 50%以上が選 択した色名 21 10R 6 3 22 10R 7 6 ピンク 23 10R 5 14 オレンジ 24 2.5YR 7 3 25 2.5YR 7 6 26 2.5YR 6 6 27 2.5YR 5 6 茶 28 5YR 9 2 ピンク 29 5YR 6 2 30 5YR 3 2 茶 31 5YR 3 6 茶 32 5YR 5 8 茶 33 5YR 4 8 茶 34 5YR 5 10 茶 35 5YR 6 14 オレンジ 36 7.5YR 5 10 茶 37 10YR 7 6 38 10YR 6 6 茶 39 10YR 4 6 茶 40 10YR 6 10 オレンジ R 赤 2.7 PI O ピンク オレンジ BR Y G B P W GY BK 茶 黄 緑 青 紫 白 グレー 黒 41.3 1.7 27.7 82.0 13.3 3.0 29.7 0.3 68.7 1.3 ピンク 1.0 76.7 3.7 11.0 ピンク 0.3 64.3 31.0 4.3 3.7 40.0 23.3 31.7 1.7 7.0 6.7 82.7 55.7 3.7 3.0 10.7 0.3 38.3 0.3 0.3 16.7 0.7 0.3 0.3 15.7 83.7 0.3 0.3 0.3 99.0 1.3 38.7 58.3 1.0 96.0 1.3 2.0 20.7 76.0 2.0 5.7 45.0 28.7 19.7 1.0 16.3 75.3 7.0 0.3 -82- 25.0 0.3 4.3 0.3 1.7 35.0 0.7 7.0 43.3 7.0 5.3 3.7 0.3 9.7 0.3 0.3 99.7 60.3 1.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 1.7 95.3 0.3 1.7 0.3 77.0 0.3 0.7 10.0 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.7 0.3 0.3 0.3 0.3 14.0 0.3 0.3 50%以上が選択した色名についてグレーで示す 資料Ⅰ-2 アンケート集計結果(調査項目①) 選択した色彩の割合(%) NO チップ 色相 明度 彩度 50%以上が選 択した色名 41 10YR 7 14 オレンジ 42 2.5Y 6 6 茶 43 2.5Y 4 6 茶 44 5Y 9 2 白 45 5Y 6 2 グレー 46 5Y 3 2 47 5Y 8 14 黄 48 7.5Y 8 12 黄 49 10Y 3 4 緑 50 10Y 5 6 緑 51 10Y 8 12 黄 52 2.5GY 9 6 黄 53 2.5GY 7 6 緑 54 2.5GY 4 6 55 5GY 7 56 10GY 57 R 赤 PI O ピンク オレンジ 0.7 BR Y G B P W GY BK 茶 黄 緑 青 紫 白 グレー 黒 71.0 1.0 27.7 8.3 73.7 15.0 92.7 0.3 5.0 0.7 2.0 24.7 25.7 0.7 25.3 0.7 0.3 0.3 0.3 1.0 1.0 0.3 5.3 0.7 0.7 0.3 5.7 0.7 0.3 17.3 0.3 2.0 98.3 0.3 99.0 0.7 23.3 0.3 50.3 1.3 9.3 2.3 85.0 0.7 2.0 73.3 23.0 94.3 1.7 2.7 18.3 76.7 緑 2.0 0.3 95.0 10 緑 0.7 0.7 98.3 6 12 緑 5G 9 2 58 5G 6 2 59 5G 3 2 緑 60 5G 8 6 緑 0.3 1.0 2.0 0.3 66.7 21.7 33.3 4.0 20.0 2.3 0.3 0.3 0.7 0.3 3.7 0.3 0.3 2.0 0.3 1.0 1.3 0.3 99.3 0.3 0.3 0.7 25.3 44.3 0.3 0.3 48.7 15.3 0.3 35.0 0.3 51.7 9.3 0.3 15.7 22.7 76.3 22.3 0.3 1.0 -83- 65.0 0.7 26.7 2.7 0.3 50%以上が選択した色名についてグレーで示す 資料Ⅰ-2 アンケート集計結果(調査項目①) 選択した色彩の割合(%) NO チップ 色相 明度 彩度 50%以上が選 択した色名 R 赤 PI O ピンク オレンジ BR Y G B P W GY BK 茶 黄 緑 青 紫 白 グレー 黒 61 5G 6 6 緑 95.3 4.7 62 5G 3 6 緑 97.3 1.0 63 5G 5 10 緑 0.3 98.7 1.0 64 10G 6 10 緑 0.3 96.0 3.0 65 5BG 9 2 青 8.0 68.0 66 5BG 6 2 27.3 35.3 67 5BG 3 2 49.0 19.7 68 5BG 8 6 青 19.0 79.3 69 5BG 6 6 緑 62.3 37.3 70 5BG 3 6 47.3 40.7 71 5BG 5 8 緑 50.7 49.3 72 10BG 4 8 青 16.3 83.7 73 5B 4 8 青 3.0 96.7 74 10B 9 2 1.3 40.0 0.3 75 10B 6 2 グレー 0.3 19.0 0.7 80.0 76 10B 3 2 青 0.3 9.7 52.0 2.3 18.0 17.7 77 10B 7 6 青 0.3 0.3 98.7 78 10B 5 6 青 0.3 99.7 79 10B 2 6 青 0.3 0.3 88.7 4.3 0.7 5.7 80 10B 4 10 青 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 -84- 0.3 0.3 0.3 22.0 1.7 0.3 37.0 0.7 13.0 1.0 1.3 1.0 17.3 0.7 0.7 10.0 0.3 48.0 10.0 99.7 50%以上が選択した色名についてグレーで示す 資料Ⅰ-2 アンケート集計結果(調査項目①) 選択した色彩の割合(%) NO チップ 色相 明度 彩度 50%以上が選 択した色名 81 5PB 4 10 青 82 7.5PB 7 6 青 83 7.5PB 5 6 84 7.5PB 3 85 10PB 86 R 赤 PI O ピンク オレンジ BR Y G B P W GY BK 茶 黄 緑 青 紫 白 グレー 黒 0.3 99.3 0.3 59.3 36.3 青 0.3 54.0 43.7 2.0 6 青 0.7 73.3 24.7 0.7 7 6 紫 25.7 69.3 10PB 5 6 20.0 78.0 0.7 87 10PB 3 23.0 75.3 0.3 0.7 88 10PB 21.7 78.3 89 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 紫 0.3 0.3 6 紫 0.7 4 10 紫 5P 4 10 紫 90 7.5P 7 6 紫 91 7.5P 5 6 紫 1.0 99.0 92 7.5P 3 6 紫 0.3 99.0 93 N 9 白 1.0 94 N 8 グレー 0.3 95 N 7 グレー 96 N 6 グレー 97 N 5 グレー 98 N 4 グレー 99 N 3 100 N 2 0.7 1.7 0.7 2.0 0.7 3.3 100.0 37.7 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 黒 -85- 61.0 0.7 0.3 1.3 0.3 1.0 0.7 1.7 2.3 2.3 0.7 2.0 0.7 90.3 8.7 15.7 83.3 1.0 99.0 0.3 98.7 97.0 1.0 88.7 7.3 3.0 48.3 43.7 0.7 3.3 93.3 0.3 50%以上が選択した色名についてグレーで示す 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 彩度:-2 色相:±0 明度:±0 1 5R 6/8 47.0% 彩度:-4 色相:±0 明度:±0 7.3% 彩度:-6 色相:±0 明度:±0 4.7% 明度:-3 色相:±0 彩度:±0 7.7% 67.0% 28.3% 0.7% 46.3% 53.0% 5R 4/6 彩度:-2 色相:±0 明度:±0 7 37.0% 54.3% 8.7% 5Y 7/6 彩度:-4 色相:±0 明度:±0 8 8.0% 58.0% 34.0% 5Y 7/4 彩度:-6 色相:±0 明度:±0 9 5Y 7/8 66.0% 5R 5/6 6 5Y 7/8 28.7% 67.7% 26.3% 明度:-2 色相:±0 彩度:±0 5Y 7/8 5.0% 5R 6/6 5 5R 7/6 64.0% 0.3% 32.0% 明度:-1 色相:±0 彩度:±0 5R 7/6 48.0% 5R 6/2 4 5R 7/6 100% 5R 6/4 3 5R 6/8 非類似 5R 6/6 2 5R 6/8 類似 50% 1.3% 17.0% 5Y 7/2 -86- 81.7% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 明度:-1 色相:±0 彩度:±0 10 5Y 8/6 32.0% 明度:-2 色相:±0 彩度:±0 5.7% 明度:-3 色相:±0 彩度:±0 6.0% 彩度:-6 色相:±0 明度:±0 56.3% 6.3% 71.7% 22.3% 0.7% 36.0% 63.3% 5G 6/2 明度:-1 色相:±0 彩度:±0 16 32.3% 60.7% 7.0% 5G 6/6 17 明度:-2 色相:±0 彩度:±0 3.3% 明度:-3 色相:±0 彩度:±0 1.3% 81.7% 15.0% 5G 5/6 18 5G 7/6 36.7% 5G 6/4 15 5G 7/6 61.3% 37.3% 彩度:-4 色相:±0 明度:±0 5G 7/6 22.7% 5G 6/6 14 5G 6/8 7.3% 71.7% 2.0% 彩度:-2 色相:±0 明度:±0 5G 6/8 60.7% 5Y 5/6 13 5G 6/8 100% 5Y 6/6 12 5Y 8/6 非類似 5Y 7/6 11 5Y 8/6 類似 50% 5G 4/6 -87- 66.7% 32.0% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 彩度:-2 色相:±0 明度:±0 19 5B 6/8 彩度:-4 色相:±0 明度:±0 1.3% 彩度:-6 色相:±0 明度:±0 0.3% 29.7% 明度:-1 色相:±0 彩度:±0 29.0% 明度:-2 色相:±0 彩度:±0 63.7% 0.3% 彩度:-2 色相:±0 明度:±0 4.0% 74.7% 21.7% 65.0% 34.7% 55.0% 42.7% 2.3% 5P 6/6 彩度:-4 色相:±0 明度:±0 26 20.0% 69.3% 10.7% 5P 6/4 彩度:-6 色相:±0 明度:±0 27 5P 6/8 67.0% 5B 4/6 25 5P 6/8 70.0% 3.7% 明度:-3 色相:±0 彩度:±0 5P 6/8 35.0% 5B 5/6 24 5B 7/6 8.7% 5B 6/6 23 5B 7/6 64.3% 5B 6/2 22 5B 7/6 100% 5B 6/4 21 5B 6/8 27.0% 非類似 5B 6/6 20 5B 6/8 類似 50% 2.3% 5P 6/2 -88- 48.0% 49.7% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 類似 50% 0% 明度:-1 色相:±0 彩度:±0 28 5P 7/6 37.0% 明度:-2 色相:±0 彩度:±0 7.7% 明度:-3 色相:±0 彩度:±0 55.0 11.7 5.0% 55.7% 39.3% 色相:+5 明度:±0 彩度:±0 17.3% 色相:+10 明度:±0 彩度:±0 0.7% 22.0% 色相:-5 明度:±0 彩度:±0 13.7% 色相:-10 明度:±0 彩度:±0 0.7% 25.7% 59.7% 23.0% 10R 6/8 34 77.3% 5YR 6/8 35 65.0% 21.3% 10YR 6/8 36 5Y 6/8 20.7% 5RP 6/8 33 5Y 6/8 78.7% 33.3% 色相:-10 明度:±0 彩度:±0 5R 6/8 11.7% 10RP 6/8 32 5R 6/8 80.7% 0.7% 色相:-5 明度:±0 彩度:±0 5R 6/8 4.3% 5P 4/6 31 5R 6/8 58.7% 5P 5/6 30 5P 7/6 100% 5P 6/6 29 5P 7/6 非類似 5YR 6/8 -89- 73.7% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 色相:+5 明度:±0 彩度:±0 37 5Y 6/8 30.0% 色相:+10 明度:±0 彩度:±0 1.0% 色相:+5 明度:±0 彩度:±0 51.3% 47.7% 46.0% 色相:+10 明度:±0 彩度:±0 48.0% 6.0% 11.3% 61.0% 27.7% 5BG 6/8 色相:-5 明度:±0 彩度:±0 43 43.7% 46.7% 9.7% 10BG 6/8 色相:-10 明度:±0 彩度:±0 44 6.0% 49.0% 45.0% 5BG 6/8 色相:+5 明度:±0 彩度:±0 45 5B 6/8 18.3% 10G 6/8 42 5B 6/8 68.7% 5GY 6/8 41 5B 6/8 65.7% 13.0% 色相:-10 明度:±0 彩度:±0 5G 6/8 15.7% 10GY6/8 40 5G 6/8 54.3% 1.7% 32.7% 色相:-5 明度:±0 彩度:±0 5G 6/8 100% 5GY 6/8 39 5G 6/8 非類似 10Y 6/8 38 5Y 6/8 類似 50% 41.3% 10B 6/8 -90- 51.3% 7.3% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 色相:+10 明度:±0 彩度:±0 46 5B 6/8 6.0% 色相:-5 明度:±0 彩度:±0 36.0% 1.0% 20.3% 78.7% 色相:+5 明度:±0 彩度:±0 30.3% 59.3% 3.0% 色相:-5 明度:±0 彩度:±0 色相:-10 明度:±0 彩度:±0 52.0% 45.0% 59.7% 35.7% 4.7% 36.3% 54.3% 9.3% 5RP 5/3 色相:-15 明度:±0 彩度:±0 53 19.0% 50.7% 30.3% 10P 5/3 色相:+5 明度:±0 彩度:±0 54 5R 5/3 10.3% 10RP 5/3 52 5R 5/3 11.3% 5RP 6/8 51 5R 5/3 52.7% 色相:-10 明度:±0 彩度:±0 色相:+10 明度:±0 彩度:±0 5R 5/3 26.7% 10P 6/8 50 5P 6/8 67.3% 5PB 6/8 49 5P 6/8 100% 10PB 6/8 48 5P 6/8 非類似 5PB 6/8 47 5P 6/8 類似 50% 48.0% 10R 5/3 -91- 44.0% 8.0% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 色相:+10 明度:±0 彩度:±0 55 5R 5/3 色相:+15 明度:±0 彩度:±0 5R 5/3 3.7% 色相:-5 明度:±0 彩度:±0 41.0% 9.7% 58.7% 16.3% 17.7% 56.7% 25.7% 10G 5/3 色相:+5 明度:±0 彩度:±0 60 47.0% 40.7% 12.3% 10B 5/3 色相:+10 明度:±0 彩度:±0 61 17.7% 48.7% 33.7% 5PB 5/3 色相:+15 明度:±0 彩度:±0 62 5B 5/3 56.0% 25.0% 色相:-15 明度:±0 彩度:±0 5B 5/3 40.3% 5BG 5/3 59 5B 5/3 28.0% 49.3% 色相:-10 明度:±0 彩度:±0 5B 5/3 52.3% 10BG 5/3 58 5B 5/3 100% 10YR 5/3 57 5B 5/3 非類似 5YR 5/3 56 63 19.7% 類似 50% 4.7% 37.0% 58.3% 10PB 5/3 上下を入れ替えたもの (赤・青) -92- 60.3% 25.3% 14.3% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 類似 50% 非類似 100% 64 左右を入れ替えたもの (赤・青) 63.0% 65 向きを変えたもの (赤・青) 61.7% 66 割合を変えたもの (赤・青) 赤:青 1:1/3:1 67 中央と上下を入れ替え たもの(赤・青) 68 内側と外側を入れ替え たもの(赤・青) 69 上下を入れ替えたもの (赤・オレンジ) 70 左右を入れ替えたもの (赤・オレンジ) 64.0% 27.0% 9.0% 71 向きを変えたもの (赤・オレンジ) 63.3% 24.0% 12.7% 72 割合を変えたもの (赤・オレンジ) 赤:オレンジ 1:1/3:1 -93- 57.0% 49.3% 54.3% 59.7% 54.7% 27.7% 9.3% 23.7% 14.7% 30.3% 32.7% 27.0% 28.3% 30.7% 12.7% 18.0% 18.7% 12.0% 14.7% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 類似 50% 非類似 100% 73 中央と上下を入れ替え たもの(赤・オレンジ) 45.3% 37.0% 17.7% 74 内側と外側を入れ替え たもの(赤・オレンジ) 47.7% 35.0% 17.3% 75 色の順番を入れ替えた もの(赤・黄・青/横縞 3色) 52.3% 31.7% 16.0% 76 色の順番を入れ替えた もの(赤・黄・青/縦縞 3色) 50.7% 32.0% 17.3% 77 向きを変えたもの (赤・黄・青) 78 割合を変えたもの (赤・黄・青) 赤:黄:青 1:1:1/6:1:1 79 色の順番を入れ替えた もの(赤・黄・オレン ジ/横縞3色) 80 色の順番を入れ替えた もの(赤・黄・オレン ジ/縦縞3色) 81 向きを変えたもの (赤・黄・オレンジ) -94- 65.7% 51.3% 47.3% 53.0% 65.0% 21.7% 12.7% 34.3% 36.7% 33.3% 14.3% 16.0% 13.7% 20.0% 15.0% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 類似 50% 非類似 100% 82 割合を変えたもの (赤・黄・オレンジ) 赤:黄:オレンジ 1:1:1/6:1:1 83 色数が異なるもの 2色(赤1:青1)と1色 (赤) 15.3% 16.3% 68.3% 色数が異なるもの 2色(赤2:青1)と1色 (赤) 13.7% 19.0% 67.3% 84 54.3% 85 縞模様の数を変えたも の 2本と4本 (赤・青) 86 色数が異なるもの 2色(赤1:オレンジ1)と 1色(赤) 87 色数が異なるもの 2色(赤2:オレンジ1)と 1色(赤) 88 縞模様の数を変えたも の 2本と4本(赤・オレン ジ) 89 設問2の同時提示 1.0% 設問5の同時提示 1.3% 5R 6/8 11.0% 21.3% 23.7% 15.3% 22.0% 67.7% 15.7% 18.0% 54.3% 67.0% 66.3% 24.3% 21.3% 32.0% 5R 6/4 90 5R 7/6 54.3% 30.3% 5R 5/6 -95- 72.3% 26.3% 資料Ⅰ-3 アンケート集計結果(調査項目②③④) 番号 提示色A 提示色B 同一 備考 0% 91 5R 6/8 0.0% 設問23の同時提示 0.7% 設問46の同時提示 1.7% 50.3% 68.7% 31.3% 81.3% 18.0% 5B 5/6 94 5B 6/8 設問20の同時提示 49.3% 100% 5B 6/4 93 5B 7/6 0.3% 非類似 5RP 6/8 92 5B 6/8 設問32の同時提示 類似 50% 5PB 6/8 -96- 67.3% 31.0% 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果に基づく色名区分図(調査項目①) 色名区分図 黒い太線で囲まれた領域が、同じ色名と認識される範囲を示す。各色名につい ては以下の記号で示すものとする。 有彩色 赤:R 黄:Y 紫:P ピンク:PI 緑:G 茶:BR オレンジ:O 青:B 無彩色 白:W 黒:BK グレー:GY -97- 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果に基づく色名区分図(調査項目①) -98- 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果に基づく色名区分図(調査項目①) -99- 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果に基づく色名区分図(調査項目①) -100- 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果に基づく色名区分図(調査項目①) -101- 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果に基づく色名区分図(調査項目①) -102- 資料Ⅰ-4 アンケート分析結果に基づく色名区分図(調査項目①) -103- 禁 無 断 転 載 平成 27 年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書 新しいタイプの商標審査に関連した色彩に関する 調査研究報告書 平成 28 年 2 月 請負先 株式会社 サンビジネス 〒105-0014 東京都港区芝一丁目 10 番 11 号 URL 電話 0 3-3 455- 529 4 FAX 0 3-3 455- 890 9 http://www.sunbi.co .jp/ E- ma il info @sunbi .co .jp