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10章(田原出題)

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10章(田原出題)
平成 25 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(3)・田原担当(1 枚目/全 2 枚)
10.
2014.1.22 実施
解答と配点
膜輸送
1 .以 下 は 細 胞 膜 な ど の 輸 送 現 象 を 伴 う 細 胞 活 動 の 例 で あ る 。関 与 す る の が 仲 介 輸 送 な ら ( 1 ) 、
非 仲 介 輸 送 な ら (2)、 物 質 輸 送 の な い 情 報 の み の 伝 達 な ら (3)、 そ の い ず れ に も 該 当 し な け れ
ば (4)を 冒 頭 の カ ッ コ に 記 入 せ よ 。 た だ し 、 全 て 同 じ 番 号 は 零 点 と す る 。 【 16 点 : 2 点
8】
( 1 ) 水分子は、浸透圧にしたがって細胞膜を出入りする
( 2 ) 酸素分子は、酸素分圧に応じて赤血球膜を出入りする
( 2 ) 中鎖脂肪酸は、小腸内腔から上皮細胞内にとりこまれる
( 1 ) 細 胞 内 で 余 っ て い る コ レ ス テ ロ ー ル は 、 HDL に 与 え ら れ る
( 1 ) 薬剤耐性を獲得した細胞は、細胞膜から薬剤分子を排出する
( 4 ) LDL は 、 細 胞 表 面 の 受 容 体 を 介 し て エ ン ド サ イ ト ー シ ス さ れ る
( 3 ) ア ド レ ナ リ ン は 、 細 胞 表 面 の 受 容 体 に 結 合 し 細 胞 内 cAMP 濃 度 を 上 げ る
( 2 ) ステロイドホルモンは、細胞膜を通って細胞内受容体に結合し遺伝子調節する
2+
2 .細 胞 膜 表 面 に は C a / N a 交 換 輸 送 体 が あ り 、細 胞 内 C a を 1 m o l 排 出 す る の に 細 胞 外 N a
+
を 3 mol 取 り 込 む 。 ( Na 濃 度 勾 配 を 使 っ て Ca
+
+
2+
+
を排出する2次能動輸送体と言える)。
2+
[Na ]out=145 mM、 [Na ]in=10 mM、 [Ca ]out=1mM の と き 、 Ca/Na 交 換 輸 送 体 で 理 論 上 達 成
2+
で き る [ C a ] i n の 下 限 値 を 求 め る た め 、以 下 の 問 の 答 え を 解 答 欄 に 記 入 せ よ 。細 胞 の 膜 電 位 を
­60 mV、 温 度 を 37℃ と す る 。 ま た 、 0℃ = 273K、 フ ァ ラ デ ー 定 数 F= 96485 J/V・mol、 気
体 定 数 R=8.3145 J/mol・K を 用 い る こ と 。
問1
Na の 細 胞 外 か ら 細 胞 内 へ の 輸 送 に 伴 う 電 気 化 学 ポ テ ン シ ャ ル 差 ∆GNa を 求 め 、 Ca/Na
+
交 換 輸 送 体 に よ る 輸 送 の モ ル 数 を 考 慮 し て 輸 送 の 自 由 エ ネ ル ギ ー 変 化 ∆GNa を 求 め よ 。 【 15
点、
G ま で 10 点 、 G の 式 ま で 5 点 。 減 点 : 単 位 な し ・誤 り = 2 点 】
+
外 か ら 細 胞 内 へ の Na 輸 送 の 際 の 電 気 化 学 ポ テ ン シ ャ ル 差 ( 変 化 ) は 、
GNa= RTln([Na+]in/[Na+]out) + ZNa・F・ Ψ in­out
= 8.3145 (273+37) ln(10 10
­3
/145 10
­3
)+ (+1) 96485 (­60 10
­3
)
= ­6892.6・・・­5789.1= ­12681.7 (J/mol)
但 し 、 Ψ in­out は 細 胞 外 を 基 準 (=0)と し た と き の 電 位 差 、 つ ま り 膜 電 位 で あ る 。 Ca/Na 交 換
+
+
輸 送 体 は 1 回 転 で Na を 3 mol 排 出 ( 細 胞 内 か ら 細 胞 外 へ 輸 送 ) す る か ら 、 Na 輸 送 の 自 由
エネルギー変化は、方向とモル数を考慮して(ここまでくどく書く必要なし)
GNa= (+1) 3
GNa= ­38045.1(J)
­38.0 kJ
問 2 C a 2 + の 細 胞 外 か ら 細 胞 内 へ の 輸 送 に 伴 う 電 気 化 学 ポ テ ン シ ャ ル 差 ∆ G C a を 、 未 知 の
[Ca ]in を 含 む モ ル 比 [Ca ]in/ [Ca ]out= Q と し 、 計 算 で き る と こ ろ だ け 数 値 計 算 し 、 輸 送 の
2+
2+
2+
モ ル 数 と 方 向 を 考 慮 し て 輸 送 の 自 由 エ ネ ル ギ ー 変 化 ∆GCa を 求 め よ 。 【 15 点 。 同 上 】
+
細 胞 外 か ら 細 胞 内 へ の Ca 輸 送 の 際 の 電 気 化 学 ポ テ ン シ ャ ル 差 ( 変 化 ) は 、
GCa= RTln([Ca2+ ]in/[Ca2+ ]out) + ZNa・F・ Ψ in­out
= 8.3145 (273+37) lnQ+ (+2) 96485 (­60 10
­3
)
= 2577.495 lnQ­11578.2(J/mol)
Ca/Na 交 換 輸 送 体 は 1 回 転 で Ca
2+
を 1mol 細 胞 外 か ら 細 胞 内 へ 輸 送 す る か ら 、 Ca
自由エネルギー変化は、方向とモル数を考慮して(同上)
GCa= (­1) 1
GCa= ­2577.495lnQ+ 11578.2(J)・ ・ ・ (答 )
2+
輸送の
平成 25 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(3)・田原担当(2 枚目/全 2 枚)
10.
問3
2014.1.22 実施
解答と配点
膜輸送
問 1 と 2 で 求 め た ∆GNa と ∆GCa の 和 ∆GCa/Na が ど の よ う な 条 件 を 満 た せ ば Ca2+の 排 出
は自発的に起こるか、その条件を一行の不等式で表せ。【9 点。等号つきは 2 点減】
GCa/Na< 0
問 4 問 3 の 不 等 式 を ま ず Q に つ い て 解 い て か ら 、 [ C a ] i n の 下 限 値 を 求 め よ 。 【 1 5 点 。 Q
2+
の 値 ま で 5 点 、 [Ca
2+
]in の 単 位 無 し 10 点 。 減 点 : 説 明 無 し = 2 点 】
GCa/Na が 負 な ら 輸 送 が 自 発 的 に 起 こ る と い う 条 件 か ら 、
全輸送に伴う自由エネルギー変化
GCa/Na= GNa+ GCa= ­38045.1­2577.495lnQ+ 11578.2
= ­2577.495lnQ­26466.9< 0
lnQ> ­26466.9/2577.495 = ­10.268・・・
Q> exp(­10.268)= 3.471・・・ 10
Q=[Ca
2+
]in/[Ca
2+
]out だ っ た か ら 、 こ の 不 等 式 は
る 。 こ の 式 に 細 胞 外 Ca
[Ca
2+
­5
]in> [Ca
2+
2+
濃 度 [Ca
2+
[Ca
]out= 1mM= 10
]out 3.471 10
­5
= 10
­3
­3
2+
]in/[Ca
2+
]out> 3.471 10
­5
とかけ
M を代入し整理すると
3.471 10
­5
= 3.471 10
­8
(M)
+
し た が っ て 、 細 胞 内 外 の Na 濃 度 が そ れ ぞ れ 10mM、 145mM( 標 準 的 な 値 ) の と き 、 細 胞
外 Ca
2+
濃 度 が 1 m M で あ れ ば 、C a / N a 交 換 輸 送 体 に よ る 細 胞 内 C a
2+
濃度の理論上の最低値
は お よ そ 35nM (答 )と 計 算 さ れ る 。
( 補 足 ) 輸 送 体 の 効 率 は 100% で は な い 上 に 、 現 実 に は 細 胞 活 動 で 絶 え ず Ca
こ れ ほ ど の 低 値 は あ り え な い 。 ま た 、 1 次 能 動 輸 送 体 で あ る Ca
胞 体 内 腔 へ の 貯 蔵 を 行 っ て お り 、 細 胞 質 か ら の Ca
2+
2+
2+
が動員されており、
ポンプが細胞外への排出および小
除 去 は ATP を 使 っ て 積 極 的 に 行 わ れ 、 お お よ
そ 100nM 程 度 に 保 た れ て い る 。 別 の 要 因 が 多 い と は い え 、 ま あ ま あ よ い 近 似 値 が 得 ら れ る 。
問5
2+
実 際 の [Ca ]in は 0.1 µM で 、 問 4 で 求 め た 値 よ り 遥 か に 低 い ( 逆 の 場 合 は 計 算 を 見 直
そう!)。実際の細胞はどのようにしてそれを実現しているか、簡単に一行で述べよ。
3 .以 下 は 代 表 的 な ト ラ ン ス ポ ー タ ー に 関 す る 記 述 で あ る 。正 し け れ ば ○ 、誤 り な ら ば X を
冒頭の(
) に 記 入 せ よ 。但 し 、全 て ○ 、全 て X 、○ X 交 互 は 零 点 と す る 。【 3 0 点 : 3 点
10】
(○ ) マ ル ト ポ リ ン は グ ル コ オ リ ゴ 糖 と 相 補 的 な 疎 水 的 な ら せ ん 型 の 内 溝 を 持 つ
+
+
+
(○ ) KcsA K チ ャ ネ ル は K と 近 い イ オ ン 半 径 と 同 配 位 数 を 持 つ Cs を 透 過 さ せ る
(X) Orai Ca チ ャ ネ ル は ホ モ 4 量 体 で あ る
2+
+
(○ ) AQP1 は 水 チ ャ ネ ル 内 部 の 水 分 子 間 の 水 素 結 合 を 切 断 し て H ジ ャ ン プ を 阻 止 す る
(X) GLUT4 は 内 ・外 向 き 2 状 態 を 往 復 し て グ ル コ ー ス を 輸 送 す る 能 動 輸 送 体 で あ る
(X) Na ,K ­ATPase は ATP の 自 由 エ ネ ル ギ ー で ゲ ー ト を 開 閉 す る チ ャ ネ ル で あ る
+
+
(X) Ca ­ポ ン プ の Ca 選 別 機 構 は 、 KcsA と は 違 い 水 和 イ オ ン に 対 す る も の で あ る
2+
2+
+
(○ ) LacY は H 濃 度 勾 配 を 利 用 し て ラ ク ト ー ス を 輸 送 す る
(X) Sav1866 ABC ト ラ ン ス ポ ー タ ー は 2 次 能 動 輸 送 体 で あ る 。
(○ ) SGLT-2 特 異 的 阻 害 剤 は グ ル コ ー ス 再 吸 収 を 妨 げ る の で 血 糖 値 を 下 げ る こ と が で き る
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