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エネルギートークサロン in とうきょう 「低炭素社会とわたしたちの暮らし」

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エネルギートークサロン in とうきょう 「低炭素社会とわたしたちの暮らし」
40
2011.3.31
Vol.
エネルギートークサロン in とうきょう
講演・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
テーブルトーク、火力発電所見学 ・・ 2
団体交流会、
東電中央給電指令所見学 ・・・・・・・ 3
六ヶ所村交流会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
団体支援(石川、御前崎) ・・・・・・・ 4
編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
理事長
あすかエネルギーフォーラムに集う皆様へ
中野
和江
一緒に進みましょう!!
2011 年3月 11 日の東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方のご冥福をお祈り致しますと共に、
被災された方にお見舞い申し上げます。
余震が続き、ライフラインの復旧が十分でなく、多くの方が苦しい避難生活を余儀なくされています。
また、福島原子力発電所の津波による深刻な事態を世界中が心配しています。
東北・関東では、大規模停電を避けるため計画停電(輪番停電)が行われ、交通機関の制限・生産や流通
の減少などが起き、日常生活そのものへ影響が出て、電気が社会の基盤であることを再認識しました。
被災された方を応援すると共に、この大震災からの復興に力を合わせていきましょう。
※あすかエネルギーフォーラムでは、日本赤十字社を通じて被災地への義援金として
十万円の寄付をいたしました。
エ ネ ル ギ ー ト ー ク サ ロ ン in と う き ょ う
2011 年 2 月 4 日(金)・5 日(土)東京ステーションコンファレンスにて
1日目は東京電力品川火力発電所および中央給電指令所の見学、懇親会、2日目は講演(井川陽次郎氏、
秋庭悦子氏)、テーブルトーク、団体交流会・活動報告、意見交換会と盛りだくさんの内容でした。47
名の参加のもと、エネルギー最前線の情報交換と交流を行いました。
講演「ジャーナリストから見た低炭素社会」
プロフィール:1982 年読
売新聞社入社。2003 年よ
り現職。産業構造審議会知
的財産政策部会委員,総合
資源エネルギー調査会原子
力安全・保安部会・廃棄物
安全小委員会委員。
まず今国会の様子を挙げられ、政治が選挙目当てに傾
き、腰を据えた政策の遂行が難しくなっている事、民主
主義がその時々の空気や感情に流されかねないことを指
摘されました。
COP16 で日本の方針に批判が噴出した、と日本のメ
ディアも報道しています。一般市民はマスコミ報道から
情報を得るので、本当に日本の主張は不可解なのかを判
断することは難しいと思いました。
京都議定書について成立から現状の説明がありまし
た。排出量取引も合理的な手法と見えますが、シカゴ気
候取引所が本年1月末で市場取引を廃止するなど世界的
にはうまく行っていないとのお話でした。
日本では疑う人のいない温暖化ですが、世界では懐疑
派が増えていることにも驚きました。火山噴出物、海水
温度の広域変動、人間活動の影響、太陽活動の強弱など
様々なデータに基づく計算の結果と観測データは似通っ
ていますが人間の活動とは似通っていません。
読売新聞東京本社論説委員 井川 陽次郎氏
また、CO2 排出量は景気と連動しているので、極端
な対策は経済縮小につながります。京都議定書でCO2
排出量削減目標の合計55%とされた国々が、27%し
か削減できていない現状で、途上国対策なしに CO2 削
減は無いと思います。
「日本は天災の多い国だから世界にお金をバラまくの
ではなく、日本を強くすることに力を注ぐべき。それに
よって社会インフラを整備することで、仕事も増えるし
高齢者も住みやすい社会になる」という話が強く印象に
残りました。
「空気を読む」という言葉があるように、日本人はそ
の場の空気を大事にしますが、空気は議論を拒み賛否を
冷静に話し合う場ができにくいので、私たちで対話ので
きる場を作っていかなければならないと思いました。低
炭素社会に向けて社会のシステムを変える必要がありま
す。私たちは国の動きにも関心を持って見守らないとい
けないと思います。
温暖化防止が緊急を要すなら、地球規模で取り組まない
といけないはずなのにおかしい、と今まで疑問に感じてい
たことがすっきりしたと感じました。一方的な情報を鵜呑
みになるのではなく、多面的に考えることが必要だと再確
認した講演でした。 えひめエネルギーの会 藤井宣恵
ほどほどに えねるぎっしゅ Vol. 40
p.1
エネルギートークサロン in とうきょう
2011 年 2 月 5 日(土)東京ステーションコンファレンスにて
テーブルトーク
井川氏の講演後、全体を6グループにわけたテーブル毎に、講演についての感想を話し合いました。
地球温暖化は本当なのか?と言った今までの常識とは違った視点の内容に「戸惑った」「どう消化して
いいのか」といった意見も多かったようでしたが、驚きながらも多面的に視野を広められたようでした。
今のまま、京都議定書を
延長しても意味がない
のでは?
一見エコに見えて、実はエ
コではない製品や行動が多
いように感じました。生活
を見直したいと思います。
高齢化社会を考えると、
生活の基盤を固めないと
いけないように思う。
廃棄を考えたモノづく
り、同感です。
蓄電池の技術だけでなく、
日本だからできる技術は他
にもあると思います。
温暖化について、改めて
よく知識を得た上で考え
たい。
CO2削減には新しい
機器が必要な現状は、
納得できません。
講演「 暮 ら し の 視 点 で エ ネ ル ギ ー 問 題 を 考 え る ~ 欧 州 の 事 例 か ら ~ 」
内閣府原子力委員会委員
原子力大綱などについてのご説
明の後、2010 年夏の欧州視察に
ついて伺いました。
秋庭氏が「
『世界の車窓から』さ
ながら」とおっしゃっていた、ス
イス~フランスの列車の旅の風景
が機器の都合で見られなかったの
は残念でしたが、スイス、フランス、スウェーデン、ドイ
ツなどでの処分場候補地選定の経緯は大変興味深いもの
でした。
東京電力
品川火力発電所見学
秋庭
悦子氏
直接民主主義の国・スイスでは、処分場候補地選定を含
む、政策決定の多くが国民投票によって行われるそうで、
国民投票についてタクシーの運転手さんの
「国民の権利で
もあり、義務でもあるので無関心ではいられない」という
言葉に意識の高さを感じました。
スウェーデンでは、候補地決定にあたって、
”Kitchen
table meeting”と呼ばれる、主婦向けの顔の見える話し
合いが行われたそうで、
「理解、納得には顔の見えるとこ
ろで信頼関係を築くことが時間はかかるけど早道」
という
秋庭氏の結論に大きく同感しました。
あすかエネルギーフォーラム 安井久美子
2 月 4 日(金)
東京電力品川火力発電所は、品川駅から程近い東京湾岸にあり、大井火力発電
所と一体となって運営されていました。大井火力発電所では硫黄の含有量が最も
少ないミナス原油を燃料としています。品川火力発電所の特徴は、硫黄酸化物や
煤塵を排出しない、都市ガスを燃料とする改良型コンバインドサイクルで、
熱効率は 55%と富津の火力発電所や川崎火力発電所の MACC(More
Advanced Combined Cycle)の 59%に次いで高いということでした。
飯山副所長
品川火力発電所では東京都の約 10%の電力をまかなっているそうです。
副所長の飯山氏からお話とビデオによる概要をうかがった後、本館と中央操作室、そしてバスにて外周
を見学しました。太陽光をはじめとした自然エネルギーによる発電の増加等を考えた時、発電量の増減
が容易な品川火力発電所は調整役として今後ますます重要になってくると実感しました。
あすかエネルギーフォーラム 小林知子
ほどほどに えねるぎっしゅ Vol. 40
p.2
エネルギートークサロン in とうきょう
2011 年 2 月 5 日(土)東京ステーションコンファレンスにて
団体活動報告・交流会
全国から、あすかのエネルギーネットワークに参加している14の団体がそれぞれの活動報告を行
いました。まず、会の発足年月と会員数の紹介があり、その後に会として今までにどんな活動をして
きたのか、今年1年どのような活動してきたのかを報告しました。そして今回のテーマである「あす
か エネルギーフォーラムに期待する事」と所属する団体で「今後していきたい事」を発表しました。
皆さんと共に活発な意見交換会が繰り広げられ、実り多き交流会となりました。
あすかエネルギーフォーラム 石井明子
これからの課題
●Ene Female21・・・幅広い世代の女性層の参加を期待
●函館の環境を考える会・・・新エネルギーへの啓蒙啓発
●はまなすくらぶ
有職の方々も考慮した内容を企画し、より多くの会員
に参加して頂く(欠席・資料でご参加いただきました)
●弘前スカーフクラブ・遙
広報活動を行っていく上での話し方、伝え方を考えたい
●スカーフクラブ「あおもりサロン」
勉強会の講師や施設見学選定の情報の収集方法
●六ヶ所村読書愛好会・・・新会員を増やしたい
(欠席・資料でご参加いただきました)
●フリータイム・・・企画と運営方法について
●くらしをみつめる・・・柏桃の輪
地元及び県内の他団体への情報発信と交流の必要性
(継続)
●石川エネの会
今後も学習会、施設見学を開催しエネルギーへの理解
を深める
●環境とエネルギーを考えるとやま女性の会
若い世代が活動参加できる学習会や見学会を目指す
●Ene☆Eco Wing
毎年の勉強会の内容の充実と新規会員の獲得。
●えひめエネルギーの会・・・魅力ある会の活動と新会員の募集
●松江エネルギー研究会
原子力発電所は地域の宝になりうるのか?
●おまえざき・エネの会
学びそして実際に目で見て確かめる機会の充実
●あすかエネルギーフォーラム
首都圏での活動活性化、主体的に参加する会員の拡大
東京電力
中央給電指令所見学
あすかエネルギーフォーラムに期待する事
★あすかエネルギーフォーラムの活動に参
加すると、情報が早いので刺激がある。紹
介された内容で学習会が開かれるので、今
後も続けてほしい。
★新しいリーダーを育てる講座をしてほしい。
★企画の大切さをあすかエネルギーフォー
ラムから学びたい。
★団体交流のきっかけ作りとして今回の様
なサロンを継続して欲しい。
今後していきたい事
★会の高齢化が進んでいる為、若いメンバー
を取り込みたいが、なかなか上手くいかない。
若いメンバーを取り込むために親子で出
席できるイベントや子供向けのセミナー
を考えていきたい。
★他団体との交流を深めたい。
★自己満足な広報紙では無く、色々な年代層
の方々が読みたくなる様な魅力的な広報
誌になる様に努力したい。
どの会も若いメンバーを仲間に入れて幅を
広げたい、と考えが共通していましたが、き
っかけが考えられず模索している様子でし
た。又、広報誌のブラッシュアップの重要性
を挙げている団体が目立ちました。
今回の様な団体交流を通してお互いの良い
部分をどんどん取り入れ、悩みを解決出来れ
ば非常に有意義な事だと思いました。
2 月 4 日(金)
最初に給電指令所の紹介ビデオを見て、東京電力中央給電指令所の黒澤氏より
電気の使われ方の特徴・電力系統の運用の仕組み・コンピューターシステム
ELDAC などについて説明を伺いました。平日の9時から 10 時頃は1分間に火
力発電 1 基分にも相当する 50 万 kW も需要が増加するため、周波数 50Hz を保
てるよう発電量を上げる信号をひたすら送り続けるとのことでした。中央給電指
壁のモニター
令室は本社の一室にあり厳重にセキュリティーが確保されていました。
発電所の中央操作室より狭いところに、壁一面にモニターが並び、常時5人体制で 365 日 24 時間 3 交代
にて勤務されています。ちょうど夕方で、気象のデータ等に基づいて翌日の発電計画を話し合われているよう
でした。今まで、どうして電気の需要と供給のバランスがとれているのか不思議でなりませんでしたが、百聞
は一見にしかず、
“納得”です!!
あすかエネルギーフォーラム 小林知子
ほどほどに えねるぎっしゅ Vol. 40
p.3
「六ヶ所村と首都圏等の住民間による交流会」(六ヶ所村・資源エネルギー庁主催)
2011 年 2 月 18 日(金)・19 日(土)
消費地からは5団体 23 名、あすかエネルギーフォーラムからは中野理事長と会員3名の参加。六ヶ
所村読書愛好会をはじめ 14 団体からなる六ヶ所女性団体連絡協議会メンバー27名活発に交流・意見
交換をして相互理解を深めました。
18 日は核燃料サイクル施設を見学。広々とした美しい雪景色が青空に映える中、バスで移動し、車
中では女性科学者の会のメンバーによる「放射線とくらし」の講義と日本原燃㈱の概要説明をうけまし
た。2012 年8月の本格稼動に向けての作業が進められている再処理工場の中央制御室をガラス越しに
見学。若い社員が多く、女性も目に入りました。2人の子育てをしながら放射線の分析を担当している
女性社員にも話を聞くことができました。
19 日は三沢市の会場で、原子力委員の秋庭悦子氏による講演「原子力のこれから」に続いてテーブルトーク。
六ヶ所の参加者から、
「エネルギーの町として誇りを持てるようになったが、最終処分地が決まらない
のが気がかり。政策としてもっと国が積極的になって欲しい」という意見が出ました。消費地からの参
加者は六ヶ所の人が消費地と変わらない生活をしていることに新鮮な驚きを感じ、
「エネルギーについて
一般の人になかなか関心を持ってもらえない」という意見でした。
漁業・畜産・農業に携わって、日々 食の安全と向き合っている六ヶ所
の女性達。疑問・不安に思ったことは学んで理解・納得しているとのこと
でした。油かれいのみぞれ煮・長いものジュース・牛乳もちなど手作りの
暖かいおもてなしとパワー溢れる六ヶ所の女性たちに感動!彼女たちの美
肌は「地産地消」の証でしょうか?
「エネルギーを自分のこととして考え、発信することが大切」と共通認
識した交流会でした。
あすかエネルギーフォーラム
溝邊民子
仲よく調理実習
団体支援
石川エネの会のと ワークショップ
2011 年 2 月 14 日(月)
石川県和倉温泉のと楽にて
「暮らしとエネルギー」とい
うタイトルで、62 名が参加。
テーブルごとの結束を高め
るために能登地方の特産物の
グループ名に。
「陽気な・なま
和やかに話がはずみました
こ」
「情熱的な・さくらだい」
などのユニークな名前を付けたので参加者同士が
リラックスして楽しく話せるようになりました。グ
ループ対抗エネルギークイズをして賞品をゲッ
ト!!その後、原子力発電について知っているこ
と・心配なことをテーブルごとにまとめました。
午後は北陸電力から「原子力発電の特徴」の情報
提供をして頂き、活発な質疑応答に進みました。最
後に参加者が各自で感想とエネルギーや原子力につ
いて感じていることを自由に書いて終了しました。
参加者からは「他地域の方と本音で話せて良かった」
「楽しかった」
「もっと知りたい」という感想が挙げられ
ました。
あすかエネルギーフォーラム 中野和江
団体支援 おまえざき・エネの会学習会
2011 年 2 月 20 日(日)
御前崎市観光協会にて
駿河湾が一望できる会場で、講師に東京大学大学
院の岡本孝司教授をお招きし、「原子力発電所の地
震対策、余裕、リスクの考え方」と題して学習会を
実施しました。
東海大震災が想定されている中で、地震時の安全
確保について不安を払しょくしたいと思い、新しい
会員も数名誘いました。難しいテーマでしたが、参
加者24名は真剣に聞き入っていました。
会場からは活発に質問が出され、それを受けて
岡本教授から「現在の原子力発電所の耐震設計は、
数倍から週十倍の余裕が存在している。重要なシス
テムは、多重防護、多重独立の考え方である。地震
が発生しても、放射線災害を起こさないことが重要
である。」と説明がありました。
終了後、参加者数名から「とても良かった」との
声が寄せられ、今後も一人でも多くの人を誘って情
報を共有し、輪を広げていきたいと思いました。
おまえざきエネの会代表 澤入節子
お知らせ
■あすかエネルギーフォーラム総会
ニューオータニイン東京にて
2011 年5月 20 日(金) 14:00~15:00 総会
15:30~17:30 (仮)基調講演「原子力発電の海外進出」
国際原子力開発株式会社 武黒一郎氏
2011 年5月 21 日(土) エネルギー研修会
① (仮)「原子力と対話」東北大学教授 北村正晴氏
② (仮)「全量買取制度について」資源エネルギー庁
★講演は変更になる場合があります。
お問い合わせは あすかエネルギーフォーラム
TEL:03-5640-0777 FAX:03-5640-2636
e-mail : i n f o @ a s c a - e f . o r g
ほどほどに えねるぎっしゅ Vol. 40
p.4
~編集後記~
3.11
東日本巨大地震発生
失って初めて知る、今までの何
気ない日常の大切さ。
一歩ずつ、自分に出来ることか
ら復興のお手伝いをしたい。
そんな気持ちでいっぱいです。
文
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