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「JA1WBYのアンプ製作記⑳PDF版を公開」(NEW)

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「JA1WBYのアンプ製作記⑳PDF版を公開」(NEW)
 「3極管VT-137」手作りアンプの製作
(pdf版 R02)
概要(前書き)
最近はいろいろな情報が巷に溢れNET上でも沢山の情報取得が簡単に入手できます。
しかし、自分に必要なだけの情報収集も意外と難しいものです。
そこで、自分で得た事をもとに、これから初心者を対象に解りやすく簡単な「真空管アンプ」を
製作することを通して社会に還元したいと思います。
初心者と言っても各人の捕らえ方も千差万別ですが取り合えづ誰にも簡単にできるように
「物作り」を中心に解説していきます。ここでは取り回しの良い「PDF」にしました。
(今回ここで使用する1626(別名VT-137)真空管は昔懐かしいST管でルックスもgood、
発熱もすくない真空管で値段も安い為に最初の一台目の製作に最適です。)
技術的な解説が必要になった時(人)は他の文献を参照して戴きたいと思います。
(かならず最後までお読みになってから製作してください。)
1) まづ必要な知識と注意
A)一般的には初歩の電気知識
簡単なオームの法則、一般家庭用の電圧(高圧)の取扱い注意事項等
B)工作技術と注意
今回は電動工具を使用しますの一般的な工作の注意事項等
C)その他の一般の注意事項
製作時の騒音問題、危険物の廃棄処理等
2) ここで扱う真空管アンプでの注意事項です。(電圧に対する注意)
下記のような高い電圧を扱いますので「感電事故の危険性」がありますので十分に注意を。
1)一般家庭用の交流(ACと略記)100Vを扱います。
2)AC100Vを変圧器(トランス)でAC100V~400Vの高い電圧(+B電圧用)に変換します。
3)上記のAC100VをトランスでAC2V~12Vの低い電圧(ヒータ電圧)に変換します。
4)変換されたAC電圧を必要によって整流して直流(DC)にします。 (整流して直流(DC)にした高電圧は特に注意が必要。)
3) 部品には定格(規格)があります、規格に注意。
1)部品によってはDC電圧で使用するものには極性があります。
特に電解コンデンサは間違って使用すると破裂(爆発)する危険があります。
2)部品には発熱作用もあります。(特に抵抗の使用に注意)
3)真空管は特に発熱の大きな部品です。(火災などの危険性があります。)
とま~いろいろと堅苦しいことを並べましたが自作品に関しては「自己責任」が基本です。
(製作に関するいっさいのこと、使用中に関するいっさいのこと(事故等)に)
*)ここではキットを作るわけでは無いので特に工作中の工作機器による怪我の無いように
充分な注意をしながら作業してください。
*)また、半田付けや、電圧測定時には高圧の電気配線がありますので
感電による怪我の無いように充分な注意をしながら作業してください。
製作、著作:JA1WBY@(松崎)
下記にて情報公開
http://homepage3.nifty.com/ja1wby/
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
(概要)
01
1) 目 次
1) 目次
P2
2) 工具類
必要な工具類の写真を掲載
P03~P05
3) 部品一覧表
アンプの部品一覧表(写真付もあります)
P6、P6B
4) 回路図
製作するアンプの回路図
P7
5) コンデンサ類
主なコンデンサ部品の写真
P8
6) 部品類
真空管ソケット、TRM,トランス等の写真
P9
7) シャシー加工図
シャシーの加工図(YM-200使用)
P10
8) 加工について
加工についての注意事項
P11
9) シャシー完成
シャシーの穴明け後の完成写真
P12
10) 実装について
小物部品の実装について
P13
11) 部品実装図
組立て、保守用に部品実装図を作成
P14
12) テスター類
テスター類の取扱いをマスターしよう
P15
13) 火入れの前に
火入れの前のCHKと注意事項
P16
14) 完成CHK-1
チェツク(CHK)と火入れ
P17
15) アンプの諸元
16) 完成
17) 完成写真大
主なアンプの特性
P18
アンプの完成写真
P19
大きい写真(PDFでは写真の拡大は難しいので)P20
18) 資料
簡単な電気の初歩資料
P21~22
*)ここではキットを作るわけでは無いので工作中の工作機器による怪我の無いように
再度充分な注意をしながら作業してください。
(特に機械工作は慣れ(経験)が必要なものが多いものです。)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
-目次-
02
1)工具類
1)
今回使用した工具類の写真を簡単ではありますが掲載します。
(最初に全部揃えるのは大変なので腕?と懐?と相談しながらどうぞ)
ドライバー類 (必須品)
(写真は現用品なので使込み感が出ています。)
+ドライバの大と小の2本(写真)
-ドライバの大と小の2本
ミニドライバーセット(必須品)
5.5mm と7mmのボックスドライバー(必須品)
(右の写真のようなラチェツトツール(ドライバ)キットもあると便利)
2)
ピンセット (ステンレス製)(必須品)
3)
ストリッパー(必須品)
4)
ラジオペンチ(必須品)
5)
ニッパー(必須品)
6)
ラジオペンチ
7)
ヤスリ(必須品) (最低限 丸3、半丸8、平7mm位)
8)
シャシーパンチ(最初は必須品かな?)
(リーマーも入っているし)
(写真のはENGINEERのTR-05 3500円)
9)
モンキースパナ(小型150mm)
(なかなか便利に使える)
03
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
工具類
10) ものさし(50CM 金属製が良い(100円の安いものでも充分)
11) キリ(ポンチの代用に。アルミシャシーの場合はポンチより使い勝手が良い)
(私はアルミシャシーにはポンチは打ちません)
12) ノギス(無くともどうにかなるが
一度手にすると便利さが解る)
13) 6角レンチ(必須品)
(つまみ類の止めネジは6角ネジが多い)
14) ハンドニブラ(必須品) (薄いアルミシャシー加工にはとても便利)
写真はHOZAN K-88
15) カッター(必須品)
16) はんだごて、半田、こて台(必須品)
(この一式は必ず必要、半田こては30W位と60W位の2本は揃えたい)
17)はんだ吸い取り線
(これも是非とも欲しいものの一つ)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
工具類
04
18) 19mmのホルソー
19) 30mmのホルソー
(シャシーパンチの代わりです。)
(でも沢山揃えるとコスト高に悩みます。)
(早くて、一度使うと病みつきになります。)
(19mmがMT管用にBEST)
20) 充電式電動ドリル(必須品)
(穴明けには必須の一台)
(特売品の3980円、できたら12V品を)
いまさら手回しドリルは薦められません。
21)ステップドリル
(高価なのだがこちらもコツを掴めば、
早くて一度使うと病みつきになります。)
22) ドリル(必須品)
(最初は10mmmまでのセット品を買い、
初心者は消耗品と思ってこまめに交換/補充を)
23) プライヤー
(何かとあると便利なもの)
注意)ここでのコストを抑えるには18,19,21番の工具を控えると良い。
今回は真空管用の穴は19mmと30mmのホルソーを使用しました。
24) その他にあると便利な道具類
1)万力、小型バイス
2)金切りのこぎり
3)木工用のこぎり、他の木工工作用道具類
4)トルクの大きい電気ドリル
5)電動ジグソー
6)ヤスリ、(荒目、中、仕上げ用)
7)その他
(その他はそのとき時の必要になった時にそろれましょう。)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
工具類
05
VT-137 真空管アンプ 部品表
項
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
部品記号
品名/型格
V1,V3
真空管 12AT7
V2,V4
真空管 VT-137(1626)
VR1
100KA 2連VR
MTソケット(9pin)タイト
USソケット(8pin)タイト
ケース
YM-200 /Takachi
T1
電源トランス H9-0901
T2,T3
出力トランス KA-5730
電源コード 黒
F1
ヒユーズソケット 小型
SW
電源スイッチ 小型
L-CH,R-CH 入力ジャック (赤、白)
C01,C11
220uF 16V 電解コンデンサー
C02,C12
0.47uF 400V フイルムコンデン
C03,C13
330uF 63V 電解コンデンサー
C04,C14
22uF 350V 電解コンデンサー
C5
47uF 350V 電解コンデンサー
C6
390uF 400V 電解コンデンサー
C7
0.01uF 400V フイルムコンデン
C8
0.1uF 400V フイルムコンデンサー
R01,R11
1KΩ 1/2W 抵抗
R02,R12
100KΩ 1/2W
R03,R13
51KΩ 2W
R04,R14
2KΩ 5W
R05,R15
270KΩ 1/2W
R06,R16
100Ω 1/2W
R07,R17
100KΩ 1W
R07B,R17B 200KΩ 1/2W
R08,R18
30KΩ 2W
R9
470Ω 5W
R10
100KΩ 3W
D1,D2
1000V 1A (1N4007)
その他
ラグ端子 7P,5P(大小)
その他
つまみ
その他
出力端子
その他
線材
その他
ネジ、他
小計
個数 価格(円)
その他
2
2000 アムトランス
2
2000 春日無線
1
350 2
800 サンエイ電気
2
900 サンエイ電気
1
1050
1
4100 春日無線
2
6000 春日無線
1
100 1
80 1
150 MSR9
2
120
2
30
2
280
2
280
2
360
1
350
1
400 又は220uF 400V
1
100
1
100
2
30
2
30
2
80
2
120
2
30
2
30
2
60
2
30
2
80
1
60
1
50
2
20
少々
1
1
300
少々
少々
手持品
20470
注1)この部品表の値段は参考です。
この値段で販売されることを保障するものではありません。
敬称は省略。更新日 2006/02/05 ja1wby
注意2)
このほか(P-06B)にも写真付部品表②も参考に載せておきます。
この後に主な個別部品の写真を掲載いたしますが
この表又は回路図を見てわかる方はとばして下さい。
注意1)RNF1/RNF11(100K~220K)は各自の好みで最後に取り付けると良い。
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
部品表
06
VT-137 真空管アンプ 部品表②(写真付)
(この値段で販売されることを保障するものではありません。写真はイメージ写真です。)JA1WBY
項 部品記号
品名/型格
個数 価格(円) イメージ写真(参考)
その他
1 V1,V3
真空管 12AT7
2
2000 写真は本文参照
アムトランス
2 V2,V4
真空管 VT-137(1626)
2
2000 写真は本文参照
春日無線
3 VR1
100KA 2連VR
1
350
4
MTソケット(9pin)タイト
2
800
サンエイ電気
5
USソケット(8pin)タイト
2
900
サンエイ電気
6 ケース
YM-200 /Takachi
1
1050 写真は本文参照
7 T1
電源トランス H9-0901
1
4100
春日無線
8 T2,T3
出力トランス KA-5730
2
6000
春日無線
9
電源コード 黒
1
100
10 F1
ヒユーズソケット 小型
1
80
11 SW1
電源スイッチ 小型
1
150
12
13
14
15
16
17
18
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
RCA入力ジャック (赤、白)
220uF 16V 電解コンデンサー
330uF 63V 電解コンデンサー
22uF 350V 電解コンデンサー
47uF 350V 電解コンデンサー
390uF 400V 電解コンデンサー
0.47uF 400V フイルムコンデン
0.01uF 400V フイルムコンデン
0.1uF 400V フイルムコンデンサー
1KΩ 1/2W 抵抗
100KΩ 1/2W
270KΩ 1/2W
100Ω 1/2W
200KΩ 1/2W
100KΩ 1W
51KΩ 2W
30KΩ 2W
2KΩ 5W
470Ω 5W
2
2
2
2
1
1
2
1
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
120
30
280
360
350
400
280
100
100
30
30
30
30
30
60
80
80
120
60
30 R10
31 D1,D2
100KΩ 3W
1000V 1A (1N4007)
1
2
50
20
32 その他
ラグ端子 7P,5P(大小)
33 その他
つまみ
34 その他
35 その他
36 その他
出力端子
線材
ネジ、他(木材等)
小計
更新日 2006/02/05 ja1wby
L-CH,R-CH
C01,C11
C03,C13
C04,C14
C5
C6
C02,C12
C7
C8
R01,R11
R02,R12
R05,R15
R06,R16
R07B,R17B
R07,R17
R03,R13
R08,R18
R04,R14
R9
MSR9
又は220uF
少々
1
1
少々
少々
300
手持品
20470
注意1)RNF1/RNF11(100K~220K)は各自の好みで最後に取り付けると良い。
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
部品表②(写真付)
06B
VT-137(1626)真空管アンプ 回路図
アンプ回路を回路図として表現し内容を伝えるために基本的に次のような内容が表現されています。
1)使っている部品の種別 2)部品の定数
3)部品同士の接続関係等。
しかし、中に使われている部品や記号には基本的に約束事があります。
(定数を記入しない時もあります。そのときは部品表を別記します。)
これを機会に簡単な回路ですので理解できるようにする事がこれからの
アンプ作りに興味が増すものと思います。
4)部品同士の接続関係を表すには下記のようなA,B,C等があります。
(もっとも一般的)
(パソコンでは描き難い)
(三点法、私はこれを推奨)
黒丸を付けなくても良い
電圧測定例
回路図の赤字はデジタルテスター(MS8209)で測定した電圧値です。
(電圧値は部品のばらつき(誤差)、AC100Vラインの変動などによって変わる。)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
回路図
07
1)主な部品の写真
1)抵抗類
抵抗は左の写真の他にも沢山の種類がありますが、
ここでは真空管アンプに良く使用される主なものを
集めて見ました。
(真空管アンプには耐圧の関係で1/4W以下の
抵抗はあまり使用されません。)
上から
セメント抵抗 5W品
サンキン抵抗 3W品
サンキン抵抗 2W品
サンキン抵抗 1W品
炭素皮膜抵抗 1/2W品
A) 炭素皮膜抵抗 1/2W品は真空管アンプならば最初は「E-6」系列でストックしておくと便利
「E-6系列」の抵抗は(10、15、22、33、56、82) 勿論そのつどのバラ買でもOK
B) こちらの「E-12」系列は必要時に。
「E-12系列」の抵抗は(10、12、15、18、22、27、33、39、47、56、68、82)
2)フイルムコンデンサー類
容量と耐圧によって大きさはかなり変わります。
コンデンサは「E-6系列」のものが多い。
(そのつどのバラ買で充分です)
2B)メタライズコンデンサー類
容量と耐圧によって大きさはかなり変わります。
(おもにプリント板用例)
3)電解コンデンサー類
A)(有限商品 例 20℃ 3000時間等)
電解コンデンサには寿命があります。
容量と耐圧によって大きさはかなり変わります。
左の写真は主にプリント板用に使用されます。
(最近はこのタイプが主流(非常に多い)です。
下のチューブラタイプより安いので積極的に活用。
B)下の写真はチューブラタイプといいます。
最近はこのタイプは非常に少なく、
また、高価になりました。
C)また、最近はブロックコンデンサータイプ(一種の複合タイプ)は少なくなりました。
また、あっても大変に高価になりました。)
08
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
コンデンサ類
1)主な部品の写真
1)真空管ソケット類
真空管ソケットにも色々な形と色々な材質の
がありますがここでは代表的なタイトの物の写真です。
(変色しにくい?金メッキ品がgood)
左から
UXタイプ(4ピン)
USタイプ(8ピン)
MT管用タイプ(9ピン)
MT管用タイプ(7ピン)
2)ラグ端子類
ラグ端子にも色々な形と色々な材質のものがあありますが
ここでは代表的で安価なベークライト物の写真です。
(変色しにくい?金メッキ品があることにはあるが高価だし
半田付さえしっかりして置けば大丈夫です。)
電源SW
MSR9(黒)シーソSW
(メッキ部分が無いので良い)
3)スピーカ端子類
スピーカ端子にも色々な形と色々な材質のものがあありますが
ここでは代表的で安価な物の写真です。
(変色しにくい?金メッキ品がgood)
4)ACコードホルダ
これにも色々な形と色々な材質のものがあありますが
ここでは代表的で安価な物の写真です。
5)RCAピンジャック類
これにも色々な形と色々な材質のものがあありますが
ここでは代表的で安価な物の写真です。
(変色しにくい?金メッキ品がgood)
(基本的には接触部品?は金メッキ品がGood)
6)トランス類
左が電源トランス
右が出力トランスです。
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
部品類
09
1)シャシーの加工(工作)
まずシャシー選びですが見た目も綺麗で加工し易くとなると中々いい手ごろの
物が見当たりませんが、ここではTAKACHIの「YM-200」を使用します。
黒の焼付け塗装でシャシーの厚さが1mmで加工もし易く今回の目的にはピッタリです。
YM-200(200x150x40mm)ケースの加工図(一例)
本来は底になる、下の部分を裏返して黒の焼付け塗装の部分を使用します。
この図はYM-200の底板側を裏返して上から見た展開図になります。
CADの図ではありませんが誤差の出ない(無視できる)描き方です。
注意)出力トランスの穴は予定です。現物あわせをします。
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
シャシー加工図
10
1)まづはシャシー加工の注意を
注意1)アルミ工作がまったく初めての人は「DIY店」で安い1mmのアルミ板(200円位)を
購入して来て穴あけの練習をしましょう。
注意2)ケースは焼き付け塗装がしてありますので傷をつけないよう充分に注意を。
1)今回はYM-200のシャシーの底板部分を使用します。
底板を裏返してこちら側を(上にして)使用します。
2)YM-200のシャシーには薄いビニールが貼ってありますのでそのまま、
その上に部品を並べて好みの部品配置を決めます。
3)部品配置が決定しましたらマジックペン(等)で印しをつけます。
4)マーキングしたところにキリで印しを(軽く挿す)つけます。
(ここではポンチを使用しません、理由はシャシーの下に当て木をしないとアルミ板が
凹ん(へこむ)でしまいますので作業性が悪くなります。もちろん「キリ」でも力加減は必要です。)
5)そしてキリの印しのところの穴あけですが最初は1.5mmのドリル(歯)で開けます。(下穴)
6)そして次に3mm位のドリルで開けます。それ以上大きな穴は2倍位づつ大きくしていきます。
(薄いアルミ板なのでいきなり5mmや10mmなどの大きなドリル(歯)は使用禁止です。)
(だんだんに大きくする方法は手間はかかりますが綺麗に仕上がります。)
(ここは個人の腕によるところも大です。ね)
7)真空管用の20mmや30mmのシャシーパンチ使用の時は10mmの下穴が必要です。
7B)ホルソーのときはまた、それ用の下穴が必要です。
8)角穴のPOWERトランス部分などは10mmの丸穴のあとにハンドニブラで加工します。
9)穴あけ後は「バリ」をていねいに取っておきます。
(バリ取りはヤスリが定番ですが、なれるとカッターが有効なツールになります。)
10)穴あけ後のアルミ地金部分には塗料を、そんな大げさなと言う方にはマジックインクの
黒で補修しておきます。
穴あけ直後のアルミ地金部分
黒に補修して完成
注意3) ハンドメイド(一品もの)の工作は「現物合わせ」が基本です。
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
加工について
11
1)加工の終わったYM-200シャシー
(上面図)
2)ウラ側からみたシャシー
(1mmのアルミ板なので慣れれば簡単にできます。)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
シャシーの完成
12
1)小物部品の取り付け
1)部品の取り付けを終わったシャシーの内部状態
部品は軽いものから先に取り付けて行きます。
(上に出るボルト類(3mm & 4mm)はDIY店に行くと黒い物が入手可能)
2)このときにはラグ端子なども取り付けます。
(ラグ端子などはできるだけ既存の穴(ネジ)を利用します。
(実装予想図を描いてから足の数を決定します。)
3)配線を終えた内部写真
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
実装について
13
1)部品実装を考える(部品実装図を作成する)
寸法図をコピーして何回かの思考錯誤を経てうまく実装ができるようにする。
これを作成すると後々の配線が楽にできるようになります、誤配線も無くなります。
(勿論 一番最初に大まかな部品配置と一緒に構想しておくことも必要)
(これは後々の保守用として是非とも必要です。)
(ここではメーカの有名キット付属のような完全な実態配線図で無くとも良い)
(いつもは手描きの図面ですが今回はパソコンでわかりやすいようにカラー図面です。)
1)AC100Vラインは省略しています。
2)ヒータ配線は省略しています。
3)出力トランスの2次側の配線は省略しています。
4)アースはここでは入力ジャックのところでシャシーにおとしています。(1点アース)
5)こうして描いて見るとラグ端子、真空管の足に付く部品やリード線数が把握できる。
14
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
部品実装図
1)テスター類
これから必ず必要になるテスターを紹介します。
(使い方を充分にマスターしておきましょう。)
今はデジタルテスターの方が安くて性能が良いのが沢山販売されていますが
基本的にはアナログテスターの基本の使いかたをマスターして、次に便利な
デジタルテスターを併用するのが良い。
1)アナログテスター (SANWA T-50BZ DC 20KΩ/V, う~む古いね。)
(みのむしクリップでこのようなテストリードの代替品を作っておくと便利です。)
これもアナログテスター
(SANWA CP-70 4000Ω/V AC,DC)
2)デジタルテスター
(このようなテストリードの代替品を作っておくと便利です。)
(MS8209 1MΩ/DC,AC)
3)テストクリップ
このようなものを作っておくととても便利です。
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
3)テストクリップの応用例
テスター類
15
火入れの前に電源回路のおさらいを
下の電源サンプル回路図をご覧下さい。
SW2がON、又はOFF、のときのB①、B②の予想電圧が判りますか。
(R09のW数は?)
(解る方は飛ばしてください。)
ではおさらいを始めますが概略ですのであしからず。
図のアース記号のGND(0V)を基準に電圧を測定します。
1)B①の電圧(+B電圧と言う)は整流後の直流電圧です。324.3V(ピーク電圧と言う。)
この+B電圧はAC230Vの約1.41倍の電圧になります。(無負荷=SW2がOFF時)
(厳密には300Kオームの負荷がありますが簡単には無視できる電流です。)
2)B②もSW2=OFFの時は1)と同じの約324Vとなります。
SW2=OFFの時とはRXが接続されないので真空管のヒーターがまだ温まる前と同じです。
(使用する電解コンデンサーはこの時以上の耐圧が無ければなりません。)
(厳密にはAC100Vラインの電圧変動分も加味します。)
3)SW2=ONの時はB①、B②の電圧はちょっと変わってきます。
T1が理想の電源ならばB①も負荷が約10510オームなので約30.8mA流れて約324Vになります、が
理想のT1はありません。
T1(電源トランス)にはそれぞれの巻線の太さが違います。巻線の太さが違うということは巻線抵抗も違い
流せる電流も違います。また負荷電流が多くなるほど電圧降下も大きくなります。
(種々の条件によりますが)電圧降下がありますのでAC電圧の約1.28~1.41倍になります。
ここでのB①電圧は約+294Vから+324V以内になります。
(電源トランスなどに余裕が無いともっと低下します。)
B②にはB①より14.5V~15.3V低い電圧になります。
4)負荷がかかった3項のSW2=ONの条件下では色々の推測(計算)ができます。
A)D1及びD2の耐圧、電流容量 ここでは1000V 1Aを使用
B)R09の抵抗値は電圧降下機能を利用する。電圧調整、リップルフイルター機能等。)
抵抗値=510オーム、消費電力=0.459W。(実際には余裕を見て5W位を使用する。
5)RX(10Kオーム)にも約30mAが流れます。
6)オームの法則(参考に) 電流(I)=電圧(E)/抵抗(R)。 電力(P)=電流(I)x電圧(E)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
火入れの前に
16
1)全部品の実装をおえた内部写真(右の写真)
** まだすぐに電気を入れ(通電し)てはいけません。**
1)配線がおわったら一息(30分以上)おいてから次の点検をします。
2)配線図とよ~く間違いが無いか照合します。
3)実装配線図ともよ~く間違いが無いかを照合します。
4)誤配線などがなかったら次に進みます。
** アアナログテスターを使用して基本的(ショートの)チェック( CHKと略記 )をします。
1)まだ、すべての真空管は外しておくこと。
2)フューズッソケットに2Aのガラス管フューズを入れます。
3)テスターのオームレンジ(x1)にてテスター棒をアンプのAC100Vコードの両端につないで
A)SW1(電源SW)=OFFで無限大を示すこと。
B)SW1(電源SW)=ONで数オームを示すこと。(今回は約10オーム前後)
4)テスターのオームレンジ(x10)にてテスター棒をアンプのアース(GND)に接続、
もう片方のテスター棒をアンプのAC100Vコードの両端につないでショートしていないこと。(無限大)
(AC100Vラインがシャシーにショートしてないこと。ショートしていると感電しますから。)
5)テスターのオームレンジにてテスター棒をアンプのアース(GND)に接続、
もう片方のテスター棒をアンプのヒータ巻線に接続してショートしていないこと。(各6.3VをCHK)
(回路図では6.3Vの片側がGNDにおとしてありますが。CHK後におとす方が安心)
6)同じくオームレンジ(x10)で次にテスター棒のマイナス(黒)をアンプのマイナス(GND)に接続して
テスター棒のプラス側を+B高圧(R31、C34+)につないでショート(していないこと)の確認。
(アナログ、デジタルテスターによっては無限大にならないこともある。)
** 次にシャシー(GND)対+B電圧の電圧チェックに進みます。(感電に注意)
(注意:次にテスターをDC電圧レンジ(500V)にします。)
1)次にテスター棒のマイナス(黒)をアンプのマイナス(GND)に接続して
テスター棒のプラス側を+B高圧(C34+)につないでおきます。
SW1=ONしてみます、1~3秒ぐらいでテスターが315V(DC)位を示します。
(+-10Vくらいの誤差はあるとおもいますが、大きく違うときは直ぐに電源をきります。
ACコードをコンセントから抜いて、そして+B電圧(高電圧)が10Vくらいになるまで
放置しておきます。ブリーダ抵抗の自然放電なので時間がかかります。(2分~30分間)
(配線ミスがあるとこの時間でも電圧が落ちないかも知れません)
(テスターで電圧が10V以下になるまで待ちましょう。)
そして間違いがないか再度総点検をします。
** 最終的なCHKです。
1項)がOKなら(正常のとき)はつぎのCHKをします。
2)次に下記の(対-GNDとの)電圧を確認(CHK)します。
A)V2、V4(1626)のP(3ピン)の電圧を確認(CHK)します。(DC約315V前後)
B)V1,V3のP(6ピン)の電圧を確認(CHK)します。(DC約315V前後)
C)V1,V3のP(1ピン)の電圧を確認(CHK)します。(DC約210V前後)
D)V1,V2,V3,V4のヒータの電圧を確認(CHK)します。(AC約13V前後)
3)アンプの電源を切ります。充分な放電を。(2分~10分間)おいてから、
4)アンプにすべての真空管を挿します。
5)次に(対-GND)との電圧を確認(CHK)します。
今度は回路図に記入してある記入値に大体なると思います。
(大きくかけはなれるときは部品、配線の再CHKをしましょう。)
(いったん電源を切りましょう。)(準備できたらまた、電源=ONします。)
6)アンプのVR1を左に絞ってスピーカーを接続してアンプにCDプレイヤーの
出力をつないでVR1を少しづつ右に回していくと音が聞こえると思います。
これで無事に完成です。(おめでとうございま~す。)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
完成CHK-1
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** 最終的な特性測定(CHK)です。
注意1)今回のアンプではブリーダ抵抗(R10)100Kオーム(+@)なので真空管がないときにでも
わりと早く+B電圧が落ちますが+B電圧にはくれぐれも感電しないように注意を。
注意2)テスターの取扱いにも充分な注意を。
(特に抵抗測定レンジでの電圧測定はテスターの破壊につながります。)
1)今回は詳細を省略します。
1)回路図に記入の電圧測定値であれば十分と思います。
2)測定にはまた、それなりの機器とノウハウが必要になります。
(機会と機械があったら測定して下さい。)
参考までに測定値を下記に示します。
2)主な規格(参考、L-CH,R-CH共 取得データ)
1)入力インピーダンス:約100KΩ
2)入力感度:約220mV(0.1W出力時)/歪率 0.7%
2)入力感度:約410mV(0.5W出力時)/歪率 4.0%
2)入力感度:約670mV(1.0W出力時)/歪率 8.0%
3)定格出力:約1.0Wrmsx2
4)周波数特性(別図を参照)
5)DF:2
6)残留ノイズ(リップル):0.5mV以下
7)消費電力:100V 0.3A
8)寸法:200mm(W)x140mm(H)x150mm(D) (突起物は除く)
9)重量:2.8Kg
周波数特性(参考)
今回のアンプで使用している真空管
(左がST管のVT-137(1626)
(右がMT管の12AT7)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
アンプの諸元
18
1)完成の写真
(後面)
(手作りの側板)
今回の側板
何種類かを作成するとまた、変わった雰囲気に。
底蓋について。
下記に一例を記載します。
A)今回は自分用と言うことで底板はつけていません。
B)また、残りの上蓋のアルミ板に放熱穴を明けて使用しても良い。
C)市販品では黒のパンチングボードがGood
2)完成の写真(側板をつけれるとグット豪華に)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
完成
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アンプの完成(大きい写真)
シャシー内部(大きい詳細写真)
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
AMP完成写真
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** 参考資料 01**
(別の目的の資料の一環として作成したものですが添付資料として流用します。)
電気(electricity)の基礎知識 (超簡単な概略)
(1)電気力・電気伝導など、種々の電気現象のもととなるもの。電荷・電流または電気エネルギーをさしていう。
1 電気の種類
1) 直流(direct current)(記号はDC、電圧の単位=V)
時間的に流れる方向が変わらない電流。また、方向と同時に大きさも変化しない電流。
一定の電圧で供給されるもの。 (例)乾電池、バッテリー等
模式図で書くと右記
(GND=0V)の意味
時間(t)
時間(t)
2) 交流(alternating current)(記号はAC、電圧の単位=V)
時間とともにその大きさと方向が周期的に変化する電流。
ある周期で電位(電圧)が変化するもの。 (一般家庭用の100V等)
(交流の電圧値(V)は実効値(直流とほぼ同じ仕事率)で表示する)
(このほかにピーク電圧値、平均電圧値などの表示方法がある)
模式図で書くと右記
時間(t)
2 電気(電圧)の区分け、ここでは弱電部門(電子機器)を対象。
1) 直流の低圧とは一般には0~500V位までの弱電であるが、
しかし、電子機器の中でもテレビのブラン管用の15000V前後の高圧電気もあるので注意。
2) 交流の低圧(弱電)とは一般家庭用の100V,200V、電子機器用。
高圧(強電)とは電柱等の3300V、6600Vの送電線、鉄塔等の送電線の1万V~100万V等。
3 電気物理の記号と単位(抜粋、補助単位もごく一部、ローマ字とギリシャ文字を使用)
1) 電圧V(ボルト) :単位V(ボルト)補助単位でuV,mV,KV
(1000uV=1mV ,1000mV=1V ,1000V=1KV)
電流I(アイ) :単位A(アンペア)補助単位でuA,mA,KA
(1000uA=1mA ,1000mA=1A ,1000A=1KA)
電気抵抗R(アール):単位Ω( オーム)補助単位でmΩ,KΩ,MΩ (1000mΩ=1Ω ,1000Ω=1KΩ ,1000KΩ=1MΩ)
周波数f(エフ) :単位Hz(ヘルツ)補助単位でKHz,MHz,GHz (1000Hz=1KHz ,1000KHz=1MHz ,1000MHz=1GHz)
静電容量C(シー) :単位F(ファラット)補助単位でpF,nF,uF (1000PF=1nF ,1000nF=1uF ,1000000uF=1F)
電力P(ピー) :単位W(ワット)補助単位でmW,KW
(1000mV=1W ,1000W=1KW)
他に、
電気量・電荷(Q):単位C(クーロン)
コンダクタンス(G):単位S(シーメンス)
起電力(E):単位V(ボルト)
導電率(σ シグマ):単位S/m(シーメンス毎メートル)
インピーダンス(Z):単位Ω(オーム)
インダクタンス(L):単位H(ヘンリー)
リアクタンス(X):単位Ω(オーム)
電界(E):単位V/mボルト(毎メートル)など他。
SI単位系の単位と記号
単位
読み方 記号
長さ メートル m
質量 キログラム kg
時間 秒
s
電流 アンペア A
温度 ケルビン K
物質量 モル
mol
光度 カンデラ cd
角
ラジアン sr
SI接頭語(ややこしい言葉だが10のべき乗の言い方)
18
-18
10
E (exa)
10
a (atto)
15
-15
10
P (peta)
10
f (femto)
12
-12
10
T (tera)
10
p (pico)
9
-9
10
G (giga)
10
n (nano)
6
-6
10
M (mega) 10
u (micro)
3
-3
10
k (kilo)
10
m (milli)
2
-2
10
h (hecto) 10
c (centi)
-1
10
da (deca)
10
d (deci)
1
1
資料1
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
21
4 オームの法則 1) E=IxR :1V(電圧)=1A(電流)x1Ω(抵抗) :電圧(E)、電流(I)、抵抗(R)で表す。
I=E/R :I(電流)=E(電圧)/R(抵抗) :注 /は割り算を表す。
R=E/I :R(抵抗)=E(電圧)/I(電流)
P=IxE :100W(電力)=1A(電流)x100V(電圧)
2
P=E /R :P(電力)=E(電圧)xE(電圧)/R(抵抗)
2
P=I /R :電力(P)=電流(I)x電流(I)x抵抗(Ω)
2) 抵抗の直列接続 R=R1+R2 (例)10Ω+10Ω=20Ω
抵抗の並列接続 R=(R1xR2)/(R1+R2) (例) (10Ωx10Ω)/(10Ω+10Ω=5Ω
3) コンデンサの直列接続 C=(C1xC2)/(C1+C2) (例)(10uFx10uF)/(10uF+10uF)=5uF
コンデンサの並列接続 C=C1+C2 (例)10uF+10uF=20uF
5 キルヒホッフの法則
オームの法則とキルヒホッフの法則の組み合わせですべての直流回路の
解析ができますがこの詳細は別の機会にします。
6 増幅度 単位(db)
2
比を表す単位でk倍の電圧がかかると電力はk 倍になる。
電圧と電力のdbは下記のようになる。
Gv=20log(Vo/Vi)
(Po出力電圧、Pi入力電圧)
Gp=10log(Po/Pi)
(Po出力電力、Pi入力電力)
およその電圧、電流の倍率
0db=1倍、3db=1.4倍、6db=2倍(約)、10db=3.16倍(約)、20db=10倍、40db=100倍
およその電力の倍率
0db=1倍 、3db=2倍(約) 、6db=4倍(約) 、10db=10倍、20db=100倍
参考文献:
1)トランジスタ技術 (CQ出版社)
2)実用真空管ハンドブック (誠分堂新光社)
3)56LUXKITのすべて LUX㈱
4)大辞林、EXCEED 和英辞典、他
5)手作り真空管アンプのページ(WEB)
6)そのたのWEBページ
製作: JA1WBY@
著作: JA1WBY@
(初版:2006-01-28 pdf版 R01)
(初版:2006-02-05 pdf版 R02)
JA1WBY@(松崎):下記にて情報公開
http://homepage3.nifty.com/ja1wby/
JA1WBYのVT137手作りAMP-R2
資料2
22
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