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SATS Ltd
投資戦略ウィークリー
“米大統領就任控え投資戦略は中長期の視点で!”
リサーチ部 庵原 浩樹 袁 鳴
DID:03-3666-2101 (内線 244)
E-mail: [email protected]
フィリップ証券株式会社
2017 年 1 月 16 日号(2017/1/13 作成)
Report type: ウィークリーストラテジー
ポイント
6,000
日経平均株価とNYダウ30種平均
ドル・円
22000
5,500
日経平均
20000
NYダウ
ジャカルタ総合指数とシンガポールST指数
ジャカルタ 総合指数
インドネシア
シンガポール ST指数
5,000
NYダウ
4,500
18000
4,000
16000
3,500
日経平均
14000
2,500
2013/1
12000
10000
2013/1
2013/9
2014/5
2015/1
2015/9
2016/5
2017/1
■“米大統領就任控え投資戦略は中長期の視点で!”

トランプ次期大統領の発言に世界が振り回されている。注
目された1/11の記者会見では、期待された経済政策への
言及はなく、マーケットに失望感が広がった。加えて、高す
ぎる薬価と海外生産を槍玉に挙げ医薬品業界を批判し、
世界の医薬品・バイオ企業の株価が下落。米国外で展開
する企業への国境税課税、中国などとの貿易不均衡による
貿易赤字への不満、米国内の雇用創出への注力など、改
めて保護主義政策の印象を強める会見内容となった。
経済政策は、1/20のトランプ次期大統領就任以降に持
ち越しとなったが、期待が残された面もあろう。具体的な政
策発表となれば、再び関連企業に資金が流入することが予
想されるため、関連企業の押し目は拾って行きたい。

2013/9
2014/5
2015/1
2015/9
2016/5
2017/1
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

シンガポール
3,000
一方で、米国では2016/12期4Q(10-12月)の決算発表シ
ーズンを迎え、業績動向がマーケットを左右することになろ
う。1/7現在、S&P500構成企業の EPS 増益率は、4Q が前
年同期比3.8%、2017/12通期は前期比12.3%と大幅増益
への転換見通し。短期的にはトランプ相場の反動からリスク
オフとなり、為替の円高基調から日本株の上値は重い展開
を予想するが、良好な米企業の業績見通しが支えとなり、
日本株は狭いレンジ内で比較的底堅い展開となろう。
近視眼的になりがちな足元の相場状況だが、中長期で
投資の好機になると見ている。鈍化が続いた世界景気が拡
大する転換期を迎える見通しであるためである。米国を中
心に緩やか金利上昇とインフレなど銀行、証券など金融セ
クターは収益環境の改善が進むと予想される。景気回復と
資源価格の堅調な推移などから化学、鉄鋼や商社、建機
などは業績改善が期待される。ロボット、AI、IoT など生産性
向上に寄与する企業のほか、深刻化する労働力不足に関
連した企業にも注目したい。人材関連では、ヒト・コミュニケ
ーションズ(3654)、学情(2301)などを取り上げたい(庵原)
1/16号では大林組(1802)、ジェイアイエヌ(3046)、ロー
ツェ(6323)、ファナック(6954)、NTTドコモ(9437)のほか、
アセアンはタイ・ユニオン・グループ(TU TB)を取り上げた。
※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます
MCI (P) 076/10/2015
Ref. No.:JPN2017_0003
1 of 4
ポイント
FTSEブルサマレーシアKLCIインデックスとタイSET指数
1,900
1,800
マレーシア
1,700
1,600
1,500
タイ
1,400
1,300
1,200
FTSEブルサマレーシアKLCIインデックス
1,100
1,000
2013/1
タイ SET指数
2013/9
2014/5
2015/1
2015/9
2016/5
2017/1
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
■主な企業決算 の予定
●1 月 17 日(火) :モルガン・スタンレー
●1 月 18 日(水) :シティグループ、ネットフリックス、ゴールドマン
●1 月 19 日(木) :IBM、アメリカン・エキスプレス
●1 月 20 日(金) :GE
■主要イベントの予定
●1 月 16 日(月) :
・黒田総裁の支店長会議でのあいさつ要旨
・2016/12 の工作機械受注
・米キング牧師生誕記念日の祝日で株式・債券市場は休場
・IMF は世界経済見通し(WEO)を公表
●17 日(火) :
・2016/12 と 2016 年の訪日外国人客数
・米 1 月の NY 連銀製造業景況指数
・独 1 月の ZEW 景況感指数
●18 日(水) :
・米 2016/12 の消費者物価指数
・米 2016/12 の鉱工業生産
・地区連銀経済報告(ベージュブック)
・イエレン FRB 議長がパネル討論会に出席
●19 日(木) :
・2016/12 の首都圏マンション発売
・米 2016/12 の住宅着工件数
・イエレン FRB 議長講演
・ECB が金融政策発表、ドラギ総裁が記者会見
●20 日(金) :
・2016/12 のコンビニエンスストア売上高
・米ドナルド・トランプ氏、第 45 代米大統領に就任
・中国 2016/10-12 期の GDP
(Bloomberg をもとにフィリップ証券作成)
投資戦略ウィークリー
2017 年 1 月 13 日号
■景気改善で世界経済への期待
経済協力開発機構(OECD)によれ
ば 、 2016/11 の 景 気 先 行 指 数 は
99.84 と長期平均の 100 を下回った
が、前月の 99.77 から改善した。主
要国では、日米の成長が堅調だった
ほか、ユーロ圏も小幅に伸びた。
世界銀行の世界 GDP 成長率見通
しでは、2017 年が 2.7%と 2016 年の
2.3%から回復に向かう。2017 年の
主要国別では、日本が 0.9%に上方
修正されたほか、米国が 2.2%、中
国が 6.5%と何れも堅調な数字を維
持する見通し。主要国の良好な景気
動向から、世界経済は 2016 年を底
に回復へ向かう見通しである。(袁)
■5G 進展が電波産業の商機に
総務省によれば、日本ではモバイ
ル通信を中心とする電波関連産業の
市場規模は 2020 年が 2013 年に比
べて 76.4%増の 60.5 兆円、2030 年
が同 2.4 倍の 84.0 兆円と大幅に増
加する見通し。分野別で 5G(第 5 世
代高速通信システム)に代表される
モバイルネットワークの進展で移動
通信、放送業、情報サービス、映像・
音声・文字情報制作など電波コア産
業は好調に伸びる見通し。また、IoT
を利用する技術の進展や創出によ
り、情報通信機器、サービスプラット
フォームなどの電波利用産業も、今
後、大きく拡大すると想定される。
5G は、端末の最高転送速度が現
行 LTE(4G を含む)の 100 倍となる
10Gbps、遅延が 1 ミリ秒以下、接続
機器数が現行 LTE の 100 倍と進化
する想 定。 世 界家 電見 本 市「 CES」
で、モバイルチップ最大手の米クア
ルコム(QCOM)の CEO は「ザ・5G 経
済」を発表、2035 年までに 12 兆
USD(約 1,400 兆円)の経済効果と
2,200 万人の雇用が創出されると述
べた。日本では、通信トラヒックの急
増から高速通信技術の需要が高ま
り、国内市場でも大きな成長とし雇用
の創出があると期待できよう。
AI、ロボット、モバイル、VR/AR や
自動運転など最先端技術の普及や
機能拡張に対し 5G は不可欠なイン
フラで巨大な商機をもたらすこととな
ろう。NTT ドコモ(9437)、構造計画研
究所(4748)、サイバーコム(3852)
やアルチザネットワークス(6778)な
ど関連銘柄に注目したい。(袁)
【OECD 景気先行指数~主要国景気の改善で世界経済の好循環へ】
OECD景気先行指数の推移
100.60 100.47
100.40
100.20
100.00
99.80
99.60
15/1
15/4
99.84
99.77
15/7
15/10
16/1
16/4
16/7
16/10
OECD主要国・地域の11月の景気先行指数
国・地域
2016/10
2016/11
前月比
日本
99.75
99.87
0.12
米国
99.19
99.33
0.14
ユーロ圏
100.32
100.40
0.08
1
2
3
(出所:OECDの公表資料をもとにフィリップ証券作成)
【「ザ 5G 経済」~日本電波関連産業の市場規模が大きく拡大する見通し】
(兆円)
日本電波関連産業の市場規模の推移
90
80
70
84.0
通信・放送インフラ
デバイス
コンテンツ・アプリ
ICT関連PF・機器
応用機器・製造
コマース・金融
その他応用
60
60.5
(※)Fは予想値
50
34.3
37.0
2013年
2014年
40
41.2
30
20
10
0
2015年(F)
2020年(F)
2030年(F)
5Gの利用シナリオと主要性能
モバイルブロードバンドの高度化
最高伝送速度 10Gbps、現行LTEの100 倍
大量のマシーンタイプ通信
100 万台/km²の接続機器数、現行LTEの 100 倍
超高信頼・低遅延通信
1ミリ秒程度の遅延、現行LTEの1/10
(出所:総務省の公表資料をもとにフィリップ証券作成)
日本の月間平均トラヒック(※)の推移
(Gbps)
(千人)
1,400
1,300
トラヒック(※):通信回線やネッ
トワークに流れる情報の流量
1,329
1,000
800
主要国の電気通信事業に従事する従業者数
2009年
2010年
2012年
2013年
2011年
1,217
1,200
1,182
600
1,100
1,032
1,000
400
969
900
822
200
871
800
700
0
730
14/6
14/9
14/12
15/3
15/6
15/9
15/12
16/3
(出所:総務省の公表資料をもとにフィリップ証券作成)
2 of 4
(出所:総務省の公表資料をもとにフィリップ証券作成)
投資戦略ウィークリー
2017 年 1 月 13 日号

■銘柄ピックアップ
円
1,200
1,120
1,040
960
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
880
16/1
16/4
16/7
16/10
17/1

円
6,100
ジェイアイエヌ(3046)
4,700
4,000
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
16/1
16/4
円
2,500
16/7
16/10
17/1

ローツェ(6323)
1,700
1,300
900
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
16/1
円
22,000
16/4
16/7
16/10
17/1

ファナック(6954)52週株価・日足
19,000
17,500
16,000
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
16/1
16/4
16/7
16/10
17/1

円
3,000
NTTドコモ(9437)52週株価・日足
2,600
2,400
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
16/1
THB
23
16/4
16/7
16/10
17/1
タイ・ユニオン・グループ(TU TB)52週株価・日足

21
19
17
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
15
16/1
16/4
16/7
16/10
17/1
NTTドコモ(9437)
・1991年設立の通信大手。携帯電話、衛星通信、無線 LAN サービスなどを提供するほか、その他
関連機器なども手掛ける。米国、ドイツ、中国など世界5ヵ国に拠点を有する。
・2017/3期1H(4-9月)は売上高に当たる営業収益が前年同期比3.3%増の2兆2,883.44億円、純利
益が同27.8%増の4,054.07億円と過去最高益を更新した。スマホやタブレットなど端末の複数保有
が増加し、大容量のデータプランに乗り換える動きが加速して携帯電話の通信料収入が増えた。
また、減価償却方法を定額法に変更した影響で500億円の利益押し上げ効果も出た。
・2017/3通期の会社計画は営業収益が前期比1.8%増の4兆6,100億円、純利益が同19.4%増の
6,550億円と従来予想の6,400億円から上方修正した。新聞報道によれば、同社は携帯電話網の
高速通信「LTE」を活用した業務用の無線サービスを開始する。災害対策やアナログ無線からの移
行需要を狙い、サービス開始3年で累計20万台超の販売を目指している。(袁)
2,800
2,200
ファナック(6954)
・1927年設立の電気機器メーカー、工作機械用 CNC システムで世界首位。主に数値制御装置、
サーボモーター、レーザーシステム、ワイヤーカット放電加工機、産業用ロボットなどを製造する。
・2017/3期1H(4-9月)は売上高が前年同期比26.5%減の2,571.08億円、営業利益が同38.4%減の
784億円、純利益が同34.5%減の601.74億円となった。円高進行に伴い、海外収益が目減りした。
また、前期にスマホの金属加工に使用する「ロボドリル」の販売が急増した反動もあった。
・2017/3通期の会社計画は売上高が前期比19.5%減の5,019億円、営業利益が同37.5%減の
1,347億円、純利益が同34.8%減の1,041億円と従来予想から上方修正した。新聞報道によれば、
同社は産業用ロボットを3割増産する計画。好調な自動車分野に加え、工場自動化を追い風にグ
ローバルで需要が急増していることに対応。産業用ロボット分野の動向に注目したい。(袁)
20,500
14,500
ローツェ(6323)
・1985年設立、電子機器や半導体・液晶ガラス基板製造用搬送装置を製造する会社。ウエハ搬送
機の製造を中心に、ガラス基板搬送機、ライフサイエンス関連装置や制御機器なども製造する。
・2017/2期3Q(3-11月)は売上高が前年同期比28.3%増の162.96億円、営業利益が同2倍の35.17
億円、純利益が同73.0%増の24.35億円となった。主力の半導体ウエハ装置は台湾や中国での販
売が好調に伸びた。また、ベトナム工場は稼働率が向上し、採算性が改善した。
・2017/2通期の会社計画は売上高が前期比3.9%増の207.11億円、営業利益が同35.0%増の
39.66億円、純利益が同27.7%増の27.61億円と従来予想を据え置いた。同社はウエハ搬送用ロボ
ット生産の新棟を建設し、生産能力は現在の1.6倍へ。今年の夏に稼働する予定。(袁)
2,100
500
ジェイアイエヌ(3046)
・1988年設立、主にメガネ販売チェーン店の経営を行っている。メガネフレーム、サングラス、その
他のメガネ周辺商品の企画、輸入、卸売を行い、バック、帽子などのファッション雑貨も手掛ける。
・2017/8期1Q(9-11月)は売上高が前年同期比11.9%増の111.35億円、営業利益が同2.6倍の7.79
億円、純利益が3.74億円と前年同期の2,600万円から大幅に増益。国内と海外のアイウエア事業
は何れも前年同期比2桁増収と好調で、雑貨事業も同7.3%増収と堅調に伸びた。また、1Q の国
内の既存店売上高が同4.9%増と堅調。世界の直営店の出店純増数は16店舗である。
・2017/8通期の会社計画は売上高が前期比10.4%増の510億円、営業利益が同30.3%増の48億
円、純利益が同31.3%増の26億円である。通期の配当は前期より8円増の33円とする方針。同社
はセンサー付きメガネを使用し従業員の集中度合いを可視化するサービスを4月に開始すると発
表。同製品は社員の状況を把握でき、生産性を高められるとして企業に売り込む計画。(袁)
5,400
3,300
大林組(1802)
・1892年に創業した大手総合建設会社、スーパーゼネコン5社の一角。商業・住宅・公共建築、鉄
道など総合建設業の請負、子会社を通してゴルフ場管理や金融事業なども行っている。
・2017/3期1H(4-9月)は売上高は前年同期比2.9%増の8,589.96億円と従来予想を下回った。海
外の完成工事高の減少が影響。ただ、営業利益は同39.0%増の591.48億円、純利益が同49.1%
増の415.72億円となった。国内工事の採算が改善し、従来の減益予想から一転し増益となった。
・同社は2017/3期1H(4-9月)の業績見通しを修正した。海外子会社の完成工事高は減少したた
め、売上高が同3.0%増の8,600億円と従来予想を630億円下回った。ただ、国内工事の採算改善
などから営業利益が同38.7%増の590億円、純利益が同47.0%増の410億円と何れも従来予想を
大幅に上振れた。2017/3通期の会社計画は売上高が前期比4.9%増の1兆8,650億円、営業利益
が同7.2%増の1,140億円、純利益が同26.1%増の800億円と従来予想から上方修正した。(袁)
大林組(1802)52週株価・日足
タイ・ユニオン・グループ(TU TB)
・タイの水産加工会社大手。海産物の冷凍食品、缶詰を製造し輸出をする。主な製品は冷凍ツ
ナ、海老、タコ、イカ、加工食品、ベーカリー、ペットフードなど。ツナ缶では世界最大規模を誇る。
・2016/12期3Q(7-9月)は売上高が前年同期比7.7%増の351.28億 THB、純利益が同2.0%減の
15.94億 THB となった。主力のツナ加工食品が堅調、買収した欧米企業の業績も寄与した。
・同社は米シーフードレストランチェーン「レッドロブスター」に5.75億 USD を出資し、外食事業への
参入が狙っている模様。海外で新事業の参入を通じて新収益源の拡大が期待される。(袁)
3 of 4
投資戦略ウィークリー
2017 年 1 月 13 日号
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本レポートの発行元:フィリッ プ証券株式会社 〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町4番2号
TEL:03-3666-2101 URL: http://www.phillip.co.jp/
本レポートの作成者:公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 庵原浩樹
フィリップ証券 リサーチ部 アナリスト 袁 鳴
当資料は、情報提供を目的としており、 金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリッ プ証券は、レポートを提
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4 of 4
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