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Ⅲ 長寿命化計画の策定

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Ⅲ 長寿命化計画の策定
Ⅲ
長寿命化計画の策定
1.計画期間と検討期間
国の定める指針では、長寿命化計画の計画期間は 10 年間とし、その間のライフサイクル
コストの縮減効果を算出することとなっている。
一方、本計画では国の指針を参考に、公園施設を設置してから更新するまでの期間は、短
いもので 10 年、長いものでは 60 年を見込んでいる。ライフサイクルコストは設置した施
設を更新するまでに要する修繕費、補修費等を使用した期間で除して単年度あたりで算出す
るため、国の計画期間最終年である 10 年目に施設を更新すると、次の更新年である 70 年
目までの費用を計上する必要がある。そのため、本計画の検討期間を平成 26 年度から 70
年間として、費用を算出し、国に提出する長寿命化計画はそのうち 10 年間を切り出して作
成する。
70 年目
計画初年度
10 年目
更新
更新
この期間に実施する修繕・補修等の
費用を元に更新後のライフサイクル
コストを算出する
検討期間
計画期間
図
計画期間のイメージ
13
2.基本方針の設定
2-1.公園施設の維持管理についての基本的な考え方
公園施設の維持管理は、予防保全型管理または事後保全型管理のどちらかによって行う。
事後保全型管理は施設の機能維持を主とする管理類型であり、予防保全型管理は施設の機能
維持に加え、施設の長寿命化を主とした維持管理を実施する管理類型である。それぞれの管
理類型における維持管理の実施手法の基本的な考え方は以下の図に示すとおりである。
事後保全型管理
予防保全型管理
公園施設の設置
修繕・補修する
再塗装
防水処理等
修繕する
劣化・損傷発生
消耗品・部材の
交換等
修繕しない
消耗品・部材の
交換等
施設の更新
再塗装
防水処理等
施設の更新
機能回復のための修繕であ
るが、副次的な効果として
延命される
施設の更新
長寿命化を目的として計画
的に補修を実施し、事後保
全型管理よりも長期間使用
する
図
維持管理手法の基本的な考え方
14
経過期間
補修
A
更新
更新
健全度
B
予防保全型施設は
C 判定の段階で更
新する
C
D
長寿命化対策をした場合
(予防保全型管理)の使用見込み期間
長寿命化対策をしない場合
(事後保全型管理)の使用見込み期間
高
補修
更新
更新
費 用
低
経過期間
長寿命化対策をした場合(予防保全型管理)
長寿命化対策をしない場合(事後保全型管理)
図
管理類型別の維持管理費用の累計イメージ
2-2.公園施設の維持管理の基本方針
(1)清掃、保守、修繕の考え方
ア.清掃
定期的に公園を巡回し、公園施設の清掃を行うとともに、施設の状態を把握する。なお、
鉄製の施設は水に濡れていると錆びやすいため、降雨等により施設が濡れている場合には水
分をできるだけ拭き取ることとする。
イ.保守・修繕(機能復旧)
公園施設の機能低下を防ぐため、点検・清掃時に確認した施設の劣化状況を踏まえ、保守・
修繕を行う。
保守・修繕は標準的なサイクルを設定して定期的に実施し、施設に破損が生じる前は破損
の予防として保守を、破損時には修繕を実施するが、本計画では便宜上双方を修繕として取
り扱う。また、標準サイクルの当該時期でなくとも、点検・清掃時に施設の異常が発見され
15
た場合には、速やかに修繕を行うものとする。なお、破損がひどく修繕を行っても機能を回
復できる期間が十分に得られない場合などは、長寿命化対策を前倒しで実施しコストの縮減
を図る。
ウ.保守・修繕(ハザード対策)
(ア)遊具のリスクとハザード
子供の遊びにおける危険性は、リスクと、ハザードに分けられる。リスクは事故の回避能
力をはぐくむ危険性あるいは子供が判断可能な危険性であり、ハザードは事故につながる危
険性あるいは子供が判断不可能な危険性である。
(イ)ハザードの内容
ハザードは、そのハザードが生じる要因が物的か人的かで、物的ハザードと人的ハザード
に分けられる。物的ハザードは遊具の構造や部材の損耗等が要因であり、人的ハザードは利
用者の服装や遊び方が要因となる。また、ハザードはその程度によって 0~3 の 4 段階に区
分される。
(ウ)ハザード対策
人的ハザードは利用方法の指導や啓発により対応すべきものであるため、本計画では物理
的な修繕等の対策を必要とする物理ハザードのみを計画の対象とする。
遊具利用者の安全確保のため、点検時に確認された既存施設のハザードへの対策として修
繕を行う。今後の更新時に新たに設置する遊具は安全規準に適合しているものとみなし、ハ
ザード対策は実施しない。
本計画では、ハザード対策は主として消耗部材の定期的な交換、劣化部材の交換、地盤調
整、側板・緩衝材設置等の応急的処置により対応するものとする。手摺の隙間間隔の変更等
は、構成部材の変更を伴い対策費用が高くなるため、応急的処置により対応し、劣化状況に
応じた施設更新によりハザード解消を図るものとする。
(2)日常・定期点検の考え方
ア.日常点検
日常業務の中で施設点検を行う。点検は、主に目視や触診により施設の劣化、破損の有無
を確認する。劣化等が認められた場合、その状態に応じて応急処置または使用中止の措置を
行う。また、外観から状態の判定が難しい場合は専門技術者等による精密点検を行う。
イ.定期点検
年に一度、公園内の施設の定期点検を実施する。そのうち、遊具及び設備類(電気工作物、
消防設備、浄化槽など、法令等で定められた施設)については専門技術者による安全点検を
実施する。
ウ.健全度調査
予防保全型管理施設に区分した施設については長寿命化計画の見直しに合わせ、概ね5年
16
に一度、健全度調査を実施するものとする。なお、健全度調査については、上記の定期点検
を実施している施設については、その点検結果や判定をもって、健全度調査・判定結果とす
ることができる。
(3)更新の考え方
ア.予防保全型管理施設
予防保全型管理施設については、日常の維持保全に加え、長寿命化対策を実施し、延命化
を図りながら、使用見込み期間を経過した時点で更新する。ただし、健全度調査の結果、使
用見込み期間を過ぎても健全度がAまたはBと判定された場合は、健全度判定Cになるまで
は使用する。
既存施設の更新時期は、原則として設置からの経過年数に応じて長寿命化対策を行い、一
定期間使用したうえで更新する。なお、既に設置からの経過年数が使用見込み期間を超えて
いる施設については、原則として計画初年度に更新を行うものとする。
イ.事後保全型管理施設
事後保全型管理施設は、原則として使用見込み期間を経過するか日常点検及び定期点検に
おいて劣化や損傷が発見され、安全性確保及び機能保全が困難だと判断された時点で更新す
る。なお、既存施設で既に使用見込み期間を超えている施設については、計画初年度に更新
を行うものとする。
(4)異常を発見した場合の措置方針
日常・定期点検や住民等からの指摘により異常が発見された場合、早急に職員により現場
を確認し、必要に応じて使用禁止措置を講じる。また、専門技術者による精密点検を実施し、
施設の撤去、修繕、更新等の対応方法を検討する。点検の結果及び実施した対策は一覧とし
て記録し、長寿命化計画の見直し時に反映する。
2-3.長寿命化対策の基本方針
予防保全型管理施設のうち、健全度調査の結果、健全度が A、B と判定された施設につい
ては、経過年数に応じ定期的に修繕・補修を行い機能の維持を図る。また、健全度Cと判定
された施設で、止むを得ず継続使用する場合は、長寿命化対策を行わず日常的な維持保全の
みを実施する。
公園施設の補修方法は、公園緑地維持管理マニュアル、公園管理ガイドブック等を参考に
対象施設の材質や構造等を勘案して、構造部材の交換、素地調整を伴う塗装等、施設の長寿
命化に寄与する内容を設定する。なお、タッチアップ塗装や消耗部材の交換等、施設の長寿
命化に寄与しないものは日常的に行う修繕として扱う。
公園施設の補修頻度は、公園緑地維持管理マニュアル、公園管理ガイドブック等を参考に
設定する。なお、設定にあたっては、実際の管理状況やライフサイクルコストの縮減額等を
踏まえて頻度を適宜調整する。
17
2-4.公園の管理体制に関するあり方
近年は公園における遊具や植栽の事故を背景とする安全性の確保を始め、防犯や防災、快
適な空間づくり等、公園利用者からのニーズが多様化するとともに、対応の迅速さが求めら
れる一方、維持管理に要するコストの縮減等にも配慮することが求められている。したがっ
て、公園の管理にあたってはこうした状況を踏まえ、効果的、合理的な管理体制を構築する
必要がある。
ア.情報活用の高度化
現在は公園施設等に関する調書、図面等の資料の大部分が紙資料であるため、資料に記載
された情報と現況が異なっているほか、管理に使用しているため他部署等での閲覧に時間的
な制約が生じる等の状況がある。維持管理を効率的に実施するため、公園台帳を電子化する
とともに、モバイル機器の活用、他部署への資料提供等を速やかに行える仕組みを検討する。
イ.指定管理者等の活用
目黒区では一部の区有施設を指定管理者制度により管理しており、駒場野公園のデイキャ
ンプ場等も指定管理者により管理を行っている。今後も大規模な公園を中心に、指定管理者
制度を活用することにより、利用者サービスの向上や管理コストの縮減等を図る。
ウ.住民参加型の維持管理体制の構築
本区の公園では、公園活動登録団体などの住民参加型の公園の維持管理に取り組んでいる。
住民が公園の維持管理活動を行うことによって、常日頃から公園内に人の目を増やし、施設
の故障、異常等の早期発見及び事故等の未然防止につながる。よって、今後もこれまでと同
様に、住民参加型による公園管理を推進し、常に人の目がある安全な公園管理体制を構築し
ていく。
18
3.公園施設の長寿命化対策の検討
3-1.使用見込み期間の設定
(1)新たに設置する施設の使用見込み期間
ア.予防保全型
公園施設をどの程度の期間使用できるかについては、実際の状況を踏まえて設定すること
が望ましいが、公園施設の劣化を進行させる要因である設置場所の土壌成分や水はけ、利用
の頻度、方法等により磨耗や腐食の進行速度が大きく変動するため、使用見込み期間を設定
するための方法が確立されていない。そのため、本計画では公園施設を新たに設置した場合
の標準的な使用見込み期間は、指針が示す設定例に従って以下のように定める。
なお、指針に示された設定例は、先行して長寿命化計画を作成した地方公共団体へのモニ
タリング調査結果で得られたデータに基づいて国が便宜的に定めたものである。
表
予防保全型管理施設の使用見込み期間
処分制限期間
使用見込み期間
20 年未満
処分制限期間の 2.4 倍
20 年以上~40 年未満
処分制限期間の 1.8 倍
40 年以上
処分制限期間の 1.2 倍
イ.事後保全型
公園施設を新たに設置した場合の標準的な使用見込み期間は、指針に沿って以下のように
定める。
表
事後保全型管理施設の使用見込み期間
処分制限期間
使用見込み期間
20 年未満
処分制限期間の 2 倍
20 年以上~40 年未満
処分制限期間の 1.5 倍
40 年以上
処分制限期間の 1 倍
(2)既存施設の使用見込み期間
予防保全型管理施設、事後保全型管理施設とも、既存施設の更新時期の判断に当たっては、
設置時から事後保全型管理を行った場合の使用見込み期間が経過した時点を基準とし、現在
既に使用見込み期間が過ぎている場合は計画初年度で更新を行う。ただし予防保全型の施設
で、使用見込み期間がまだ経過しておらず、かつ健全度判定 A または B の場合は、使用見
込み期間の残り年数の 1.2 倍(上記の指針における事後保全型管理と予防保全型管理の使用
見込み期間の比率を準用する)を乗じた期間が経過した時点を更新年度とする。
19
3-2.長寿命化対策の内容及び費用の検討
(1)健全度調査
ア.実施時期
一般施設等の健全度調査は指針に基づき 5 年に 1 度行う。浄化槽、消防設備、電気設備等
法令により定められた施設及び遊具については年に 1 回、専門技術者による定期点検を実施
する。
イ.実施体制
健全度調査は施設の種別に応じ、専門技術者又は同程度の知識、経験を有する者が行う。
調査はランドスケープコンサルタンツ協会の定める仕様に基づき、触診、打診等により実施
する。
ウ.分類
健全度調査における公園施設の分類については、ランドスケープコンサルタンツ協会の定
める積算基準等を参考に以下のように設定した。
表
健全度調査における施設分類
種別
施設の内容
一般施設 A
バックネット・バスケットゴール等、照明施設・引込柱・時計(高価なもの)、
門・柵(高価なもの、転落防止目的等、柵は 200m 当りとする)
一般施設 B
ステージ、デッキ、記念碑等(鋼製のモニュメント等)、噴水等
一般施設 C
休憩所・四阿・パーゴラ・日陰だな等(面積 10 ㎡以上)
遊具 A
遊具 B
遊具 C
雲悌、太鼓梯子、鉄棒(3連)、動物置物、単体スプリング遊具、シーソー、境
界柵、プレイウォール、平均台、砂場、等これに類似した遊具
ジャングルジム、すべり台、2連ブランコ、はん登棒、全方向ブランコ、等こ
れに類似した遊具
チェーンネットジャングル、ロープウェイ、4連ブランコ、2方向すべり台、
回転すべり台、回転ジャングルジム、等これに類似した遊具
小型複合遊具
遊具の先端を直線で結んだ多角形の面積が 100 ㎡未満
中型複合遊具
上記の面積が 100 ㎡以上、300 ㎡未満
大型複合遊具
上記の面積が 300 ㎡以上のものは、100 ㎡刻みで求積
擁壁
RC 造で高さ 2.0m 以上のもの
橋梁
橋長 10m 以上のもの(ただし鋼橋はすべてが対象)
木橋
ウッドデッキは 20 ㎡を基準面積とする
建築物
面積 10 ㎡以上 100 ㎡未満
面積 100 ㎡以上 300 ㎡未満
面積 300 ㎡以上 500 ㎡未満
面積 500 ㎡以上 1,000 ㎡未満
各種設備
-
20
(2)補修(長寿命化対策)
ア.補修方法と標準的な実施サイクル
公園管理ガイドブック等を参考に、施設の構成部材およびその素材を勘案し、長寿命化対
策の内容及び実施時期を設定した。素材ごとの標準的な補修のサイクルは以下のとおりであ
る。
表
素材別の主な補修のサイクルの例
区分
補修内容
標準的なサイクル
コンクリート
表面保護・ひび割れ注入
10 年ごと
木材
防腐剤の塗布
5 年ごと
スチール
素地調整を伴う塗装
10 年ごと
また、施設の種類に応じて実施する標準的な補修のサイクルは以下のとおりである。
表
施設種類別の主な補修のサイクル
区分
パーゴラ
四阿
遊具全般
シーソー
複合遊具
補修内容
標準的なサイクル
支柱地際部の防水処理等
10 年ごと
支柱地際部の防水処理等
5 年ごと
屋根部の防水処理
15 年ごと
支柱地際部の防水処理等
10 年ごと
可動部の補修
7 年ごと
床材、壁パネル、スライダー等の部材
の交換
10 年目
鉄骨温室
屋根防水
10 年ごと
動物園事務所
屋根防水
10 年ごと
屋根防水、天井樹脂吹付け等
10 年ごと
躯体補修、タイル張替え等
20 年ごと
支柱地際部の防水処理等
10 年ごと
屋根防水、天井樹脂吹付け等
10 年ごと
躯体補修、タイル張替え等
20 年ごと
屋根防水、天井樹脂吹付け等
10 年ごと
躯体補修、タイル張替え等
20 年ごと
便所
照明灯
管理棟
倉庫
イ.費用
補修費については上記の内容を想定し、更新費に対し概ね 2~5%の範囲で単価を設定し
た。
21
3-3.ライフサイクルコスト縮減効果の検討
(1)基本的な考え方
予防保全型管理施設の補修時期等の設定に当たっては、ライフサイクルコストの縮減効果
が得られるように留意する。
ライフサイクルコスト縮減効果は、本来は事後保全型管理を行った場合と予防保全型管理
を行った場合の二通りについて、設置から更新までにかかる修繕、補修等の諸費用の合計を、
使用見込期間で割り戻して単年度当たりのライフサイクルコストを算出し、事後保全型管理
の単年度当たりライフサイクルコストから予防保全型管理の単年度当たりライフサイクル
コストを減じて算出する。
しかし既存施設はこれまでに実施した修繕、補修等の費用を計上することが困難である。
そのため本計画では便宜的に、予防保全型管理施設を事後保全型管理施設として取り扱った
場合に生じる修繕等の費用の差分によってライフサイクルコスト縮減効果を把握する。
(2)ライフサイクルコスト縮減額の算出方法
設置年度
計画初年度
更新
この期間のライフサイクル
コストは算出しない
計画最終年度
更新
更新
この期間のライフサイクル
コストを算出する
22
検討期間最終年度
4.長寿命化対策以外の維持管理の検討
(1)修繕
ア.修繕方法と標準的な実施サイクル
(ア)一般的な修繕の実施時期
事後保全型管理施設は、劣化や損傷が生じたことを確認してから修繕を実施するが、検討
期間内に生じる修繕の費用を算出するため、便宜的に定める修繕サイクルごとに修繕を行う
こととし、公園管理ガイドブック等を参考に、施設の構成部材およびその素材を勘案し、修
繕の内容及び実施時期を設定した。素材ごとの標準的な修繕のサイクルは以下のとおりであ
る。
表
素材別の主な修繕のサイクル
区分
修繕内容
標準的なサイクル
アスファルト
クラック等へのパッチ舗装
5 年ごと
コンクリート
割れ、欠け部へのモルタル充填等
4~5 年ごと
木材
割れ、欠け部のパテ充填等
4~5 年ごと
スチール
タッチアップ塗装、構造部材以外の局
ステンレス
所的な修繕等
アルミ
5 年ごと
ステンレス
もらい錆の除去、防錆処理
5 年ごと
FRP
磨耗、欠損部の再造形等
2~5 年ごと
(イ)遊具の消耗部材交換の実施時期
ぶらんこのチェーン等、遊具の消耗部材については、子どもの安全確保を優先するため、
事後保全型であっても予め定めるサイクルに従って定期的に消耗部材の交換を行うことと
した。
表
消耗部材の推奨交換サイクル
遊具
ぶらんこ
スプリング遊具
回転ジャングルジム
ローラーすべり台
ロープウェイ
ネットクライマー
ロープクライマー
消耗部材(部品)
吊り金具・チェーンなど
回転軸
スプリング
軸受け
ローラー
ケーブル
滑車部
握り部
ネット
ロープ
ワイヤー入りロープ
推奨交換サイクル
3~5年
3~5年
5~7年
5~7年
5~7年
5~7年
3~5年
3~5年
3~5年
3~5年
7~10年
出典:都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂版)
イ.費用
修繕については構造部以外の破損部材や消耗部品の交換、タッチアップ塗装等、ハザード
対策を想定し、更新費に対し概ね 1~10%の範囲で単価を設定した。
23
(2)更新
ア.更新時の仕様
本計画においては、施設の更新時の仕様は原則的に既存施設のものと同様とする。ただし、
求められる機能や施設の構造に関する技術的基準の変化等を踏まえ、同等の仕様で更新する
ことが適切でない施設については、仕様等を変更して更新する。本計画で更新時の仕様を指
定する物は下表のとおりである。なお、公園機能の見直しや施設の再配置については本計画
とは別途検討する。
表
施設更新時の仕様
施設名
トイレ
園内灯
遊具
スプリング遊具
管理柵
万年塀
車止め
水飲み
舗装
更新時の仕様
バリアフリー対応型だれでもトイレ
(公園敷地が狭小なもの等については、簡易型車いす使用者用便房)
LED 灯具、高さ 4.5m を標準とする
安全基準を満たした規格のもので、既存施設と同等の製品
リンク遊具とする
フェンス(金網柵)
フェンス(金網柵)
ステンレスや鋳物等、耐久性の高い素材とする(固定式、抜差式の仕様は既設
のものと同様)
バリアフリー対応型
既存施設のものと同様
表
公園機能の見直しや施設再配置の例(参考)
区分
検討項目の例
・個別更新時に既存遊具を地域のニーズに即した健康
施設の種別の見直し
遊具等に転換
・既存遊具をまとめて更新し、1 つの大型遊具に集約
・個別更新時に遊具を撤去し、多機能な利用が図れる
施設の撤去や機能の再配置
芝生広場等に転換
・トイレの更新用地等に活用
ゾーンとしての大きな機能更新
公共施設との一体利用
・フットサルコートの設置等、地域のニーズへの対応
や、収益施設への転換を図る
・公園に隣接する公共施設との一体利用を図るための
空間を創出する
イ.費用
更新に係る経費については、これまで区で実施した工事の実績額を基に設定した。また、
これまで更新した実績のない施設についてはメーカーカタログ等から設定した。
24
5.年次計画の作成
(1)年次計画作成の考え方
年次計画の作成にあたっては、前項までに設定した考え方に基づいて公園施設の設置から更新までの修繕、補修のタイミングを標準的なシナリオとして整理した。その後、標準的なシナリオを基に個別施設の劣化状
況、使用見込み期間に応じて修繕、補修の年度を定め、維持保全費、健全度調査費、補修費、更新費を計上した。
(2)年次計画の作成
予備調査及び健全度調査の結果、約 5 割の施設は使用見込み期間を大幅に超過して使用されており、早急に施設の更新が必要なため、計画初年度に更新費が集中する結果となった。そのため、費用の殆どは更新費で
あり、修繕費及び補修費は非常に少ない。10 年間の維持管理費用は約 36 億円である。
(千円)
3,000,000
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
400,000
更新費
300,000
健全度
調査
補修費
200,000
修繕費
100,000
H2
6(
1)
H2
8(
3)
H3
0(
5)
H3
2(
7
H3 )
4(
9
H3 )
6(
11
H3 )
8(
13
H4 )
0(
15
H4 )
2(
17
H4 )
4(
19
H4 )
6(
2
H4 1)
8(
23
H5 )
0(
25
H5 )
2(
27
H5 )
4(
29
H5 )
6(
31
H5 )
8(
33
H6 )
0(
3
H6 5)
2(
37
H6 )
4(
39
H6 )
6(
41
H6 )
8(
43
H7 )
0(
45
H7 )
2(
47
H7 )
4(
4
H7 9)
6(
51
H7 )
8(
53
H8 )
0(
55
H8 )
2(
57
H8 )
4(
59
H8 )
6(
61
H8 )
8(
6
H9 3)
0(
65
H9 )
2(
67
H9 )
4(
69
)
0
図
年次計画(平準化前)
25
6.年次計画の平準化
(1)平準化の考え方
年次計画で算出した維持管理費用は、計画初年度に更新年度が集中して更新費が非常に高
額となっており、確保が見込まれる予算を踏まえると計画通りの実行が極めて困難である。
そのため、施設の健全度調査結果(健全度判定A~C)や使用見込み期間を超過した年数等
を勘案しながら、施設の安全性確保が可能な範囲で更新時期を先送りし、各年の維持管理費
用が概ね同じ額となるよう平準化を行った。平準化作業の流れは以下に示すとおりである。
設定条件に応じて算出した年次計画
C 判定や使用見込み
期間を過ぎた施設が
多い
C 判定や使用見込み
期間を過ぎた施設が
少ない
全体的な改修が望ましい公園に設定
全体的な改修を必要としない公園に設定
・公園内の施設を集約して更新
・劣化状況に応じて更新時期を設定
A 判定施設
C 判定施設
B 判定施設
概ね 10 年以内に更新
概ね 10~25 年で更新
概ね 15~30 年で更新
施設の種別に応じて個別施設単位の平準化を行う
平準化によって年間の維持管理費を概ね一定とした年次計画
図
平準化作業の流れ
26
(2)平準化に当たっての基準
ア.全体的な平準化
(ア)全体的改修が望ましい公園の設定
現地調査の結果から著しく老朽化している施設が集中している公園(健全度が C 判定の
予防保全型管理施設および使用見込み期間を経過した事後保全型管理施設の施設数、更新費
用等を基に判定)を抽出し、比較的早期に全体的な改修を行うことが望ましい公園として
16 公園を設定した。これらの公園については、施設の更新を単年度で実施することとし、
更新年度を公園単位で調整した。なお、老朽化が進み改修想定年度以前に使用できなくなっ
た施設については一旦撤去し、改修時に再設置することを想定する。
表
全面的な改修が望ましい公園一覧および C 判定・老朽化施設の数
No
公園名
予防保全
(C判定/総数)
事後保全
(使用見込み期間
経過/総数)
合計
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
東根公園
自由が丘公園
衾町公園
田切公園
衾町公園(交通施設)
大塚山公園
宮前公園
油面公園
富士見台公園
不動公園
中央緑地公園
大岡山公園
大鳥公園
三角山公園
三田丘の上公園
田道広場公園
11/15
6/8
10/16
4/8
2/6
10/13
5/9
4/9
5/8
4/10
3/6
1/3
2/5
4/5
3/6
6/7
13/16
19/22
26/26
17/17
17/17
22/23
23/23
23/23
18/19
19/20
22/24
13/14
13/14
18/18
5/22
2/15
24/31
25/30
36/42
21/25
19/23
32/36
28/32
27/32
23/27
23/30
25/30
14/17
15/19
22/23
8/28
8/22
(イ)全体的な改修を必要としない公園の施設
各公園・緑道には計算上の使用見込み期間を過ぎていても劣化が進んでおらず、まだ使用
が可能な施設も散見される。そのため、平準化の第 1 段階として、計算上計画初年度に更新
を行うことになる施設を中心に、管理類型および劣化状況に応じて一定期間使用を続け、設
定した目標期間を経過した後に施設を更新するものとした。
目標期間は、劣化が進行した C 判定の施設を概ね 10 年以内、やや劣化が見られる B 判定
の施設を概ね 10~25 年以内、まだあまり劣化が見られない A 判定の施設を概ね 15~30 年
以内に更新するよう設定し、劣化が進んだ施設から順次更新されるようにした。
表
処分制限期間
予防保全型管理施設の目標期間
劣化状況(健全度調査及び定期点検)
A
B
C
D
20 年未満
20 年
15 年
3年
-
20 年以上~40 年未満
25 年
20 年
6年
-
40 年以上
30 年
25 年
9年
-
27
表
事後保全型管理施設の目標期間
劣化状況(定期点検)
処分制限期間
A
B
C
D
20 年未満
15 年
10 年
0年
0年
20 年以上~40 年未満
20 年
15 年
2年
0年
40 年以上
25 年
20 年
4年
0年
イ.施設個別の平準化
全体的な平準化により、概ね 5 年間隔で維持管理費用が平準化される。その後に、平準化
の第 2 段階として個々の施設ごとに更新および修繕、補修のタイミングを調整し 5 年間の維
持管理費用が平準化されるよう調整する。調整の際には、安全確保の観点から施設の種類に
応じ優先度の高い施設を先に処置し、優先度の低い施設の処置を先送りする。
表
優先度
優先度の判断の視点
判断の視点
主な施設
利用者が子どもで危険性を判断しにくい
遊具
破損により利用者が転倒、落下する恐れがある
木橋、デッキ
水面や崖への転落防止機能を有する
柵(安全確保のためのもの)
中
利用者の頭上に部品等が落下する危険性がある
四阿、パーゴラ、照明灯
低
その他の施設
車止め、ベンチ等
高
28
■設定条件に基づき費用を算出した結果
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
70
■全面的な改修が望ましい公園の平準化
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
70
25
30
35
40
45
50
55
60
65
70
30
35
40
45
50
55
60
65
70
■使用見込み期間による平準化
0
5
10
15
20
15
20
■個別施設の平準化
0
5
10
25
図
平準化のイメージ
(3)既存施設の更新までの維持管理について
本計画では前項のとおり、平準化のために使用見込み期間を超過して各公園施設を継続使
用する場合があるが、この時、更新するまでの施設の安全確保および機能維持が必要である。
そのため、平準化にあたっては、施設更新を先送りしている期間に必要な修繕、補修を実
施し、安全性確保及び機能保全を図ることとして、必要な費用を計上した。
29
H2
6(
1)
H2
8(
3)
H3
0(
5)
H3
2(
7)
H3
4(
9
H3 )
6(
11
H3 )
8(
13
H4 )
0(
15
H4 )
2(
17
H4 )
4(
19
H4 )
6(
21
H4 )
8(
23
H5 )
0(
25
H5 )
2(
27
H5 )
4(
29
H5 )
6(
31
H5 )
8(
33
H6 )
0(
35
H6 )
2(
37
H6 )
4(
39
H6 )
6(
41
H6 )
8(
43
H7 )
0(
45
H7 )
2(
47
H7 )
4(
49
H7 )
6(
51
H7 )
8(
53
H8 )
0(
55
H8 )
2(
57
H8 )
4(
59
H8 )
6(
61
H8 )
8(
63
H9 )
0(
65
H9 )
2(
67
H9 )
4(
69
)
(3)平準化後の結果
平準化作業により、年間の維持管理費用は約 2 億円となった。10 年間の維持管理費用は約 20 億円である。
(千円)
500,000
450,000
400,000
350,000
更新費
300,000
健全度
調査
補修費
250,000
修繕費
200,000
150,000
100,000
50,000
0
図
年次計画(平準化後)
30
(4)計画期間内に発生するライフサイクルコスト縮減額の算出
現在設置されている施設の約半数は、使用見込み期間を超過して使用されており、現状で
の維持管理では、今後、さらに使用見込み期間を超過する施設が増え、安全性、快適性、利
便性に支障をきたす恐れがある。
※現状での更新、補修費用見込み額 116,950 千円/年×10 年=1,169,500 千円
公園の機能を維持し、安全性を確保していくためには、集中する更新費用を平準化し、計
画的な維持管理を行う必要がある。その中で、なるべく財政負担を軽減できるよう、ライフ
サイクルコストの縮減の観点から、予防保全型管理を取り入れ、かつ、単年度あたりの更新
費用の平準化を行い、下記のような縮減効果が得られた。
ア.予防保全型管理の実施による縮減効果
予防保全型管理を行うことによる計画期間 10 年間のライフサイクルコスト縮減効果を確
認するため、公園施設の維持管理をすべて事後保全型管理で行った場合の費用を算出し、予
防保全型管理を行う場合(年次計画)と比較した。
その結果、予防保全型管理を行った場合は、すべての公園施設に対して事後保全型管理を
行った場合にくらべ、計画期間 10 年間で 7,414 千円のコストを縮減することが見込まれる。
イ.維持管理費用平準化の実施による縮減効果
計画期間 10 年間における平準化前の維持管理費用は総額で 3,584,046 千円であった。こ
れに対し平準化後の維持管理費用は総額で 2,017,699 千円であり、計画期間 10 年間に必要
な額を 1,566,347 千円縮減することが見込まれる。
31
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