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Vol.29(2011年9月発行)

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Vol.29(2011年9月発行)
i-net Vol.29 2011年9月発行
2011
建設・環境技術レポート&トピックス
September
V o l . 2 9
Contents
新たな取り組み
02
東日本大震災後の復旧・復興に向けた当社の取り組み
特別
寄稿
Working Report
)
湿地の保全・再生に向けた取り組み ~戦場ヶ原湿原を例として~
12 10 08
中国農村地域における分散型排水処理モデル事業 第( 二報
日本人におけるダイオキシン類の蓄積量・摂取量について
子どもの健康と環境に関する全国調査 エ(コチル調査 に) ついて
14
04
食品・タンパク質関連の新しい業務と技術のご紹介
石西礁湖における移植サンゴの産卵
06
報告
Column
持続可能な社会への新たな取り組み
東日本大震災の被害は過去に例を見ない甚大なものとなり、人々の意識や生活ぶり、社会のあり方も
大きく変化しつつあります。復興へ向けての検討過程では、環境への配慮が当然求められますし、地域
の姿として「持続可能な社会」の意義が再び注目されています。
平成23年度環境白書は震災復興に関して『自然
への畏怖を新たにし、エネルギーや資源の希少性・
重要性を深く認識して、環境保全の観点からも望ま
しい、安全安心で持続可能な社会づくりにつなげて
いくことが求められています。』と記しました。また、環
境省は6月17日に「地域に存在しながら十分に活用
されていない再生可能エネルギー、廃棄物、美しい
自然環境といった資源を徹底活用する」という趣旨
の方策を取りまとめています。
現在も東日本大震災の地震・津波の被災地では、
瓦礫の処理や住宅をはじめとする各種施設の復旧・
復興、環境の緊急モニタリング等に懸命の努力が払
われています。
テンシャルの試算などが実施されています。
今後、温室効果ガス排出抑制やエネルギーの安
定供給のため、技術的にも社会経済的にも大きなイ
ノベーションが求められています。
さらに、本年5月、OECD(経済協力開発機構)は
「グリーン成長(Green Growth)に向けて」と題する報
告を取りまとめ公表しました。新たな成長の源と雇用
を創出するグリーン経済に向け、環境を保護しつつ
経済成長を高める実践的な枠組みを提示している
ことが特徴です。
持続可能な社会という考えは、すでに19年前の国
連地球環境サミット(リオ会議)で定着した概念ですが、
今回の復興のための長期的なプロジェクトの中で、わ
環境への影響は、当面、災害廃棄物の処理の推
進、被害にあった廃棄物処理施設の復旧、被災地
における有害化学物質や放射線の環境モニタリング
等が重要です。
環境モニタリング調査は、今回緊急的に国が実施
しており、大気、水質、地下水、土壌、海洋環境等が
対象となり順次実施され、放射線の調査も開始され
ました。このうち、被災地5県の公共用水域の水質、
地下水、放射線の調査に当社が協力しています。
また地球温暖化対策と密接に関連する電力につ
いては発電所が被害を受けた結果、電力需給バラ
が国が世界の先駆的な事例を提示する必要があり
ます。
ンスが極めて厳しい状況になりました。これをきっか
けにエネルギー問題の重要性が再認識されることに
なり、再生可能エネルギーについても日本国内のポ
環境と経済は両立する:
グリーン成長に向けて(OECD 2011年5月)のポイント
1,2種類の政策が実現すれば経済と環境の両立は可能
1)経済成長と自然資産の保全を相互に強化する政策
2)自然資源の効率的利用を促し、汚染の経済的負担
を増やす政策
2,グリーン成長は、環境面のみならず経済面での効果
も大きい(環境関連の投資を誘発)
3,水不足や汚染の増加など、自然資産が減少すると
その浄化や修復に膨大なコストを要する
(あらかじめグリーン成長の政策をとる必要)
4,この報告は、2012年開催予定の国連Rio+20に提
出される
(参考資料)
1)大量流通の見直しを通じた持続可能な社会づくりのための方策に関するとりまとめ(平成23年6月 環境省)
2)平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書(平成23年4月 環境省)
3)OECD Towards Green Growth; Summary in Japanese(2011年東京センターによる仮訳)に基づき、国立環境研究所海外ニュース(2011.05.25)を参考にまとめ
Vol.29
SEPTEMBER 2011
東日本大震災後の復旧・復興に向けた当社の取り組み
水圏事業本部 館山 晋哉、坂本 俊二、 陸圏事業本部 伊藤 茂也、 港湾AM事業本部 小島 富士夫
被災したインフラ施設の復旧や震災地域の復興に向けて全社一丸となって取り組んでいます。
※本業務は、国土交通省東北地方整備局・関東地方整備局、宮城県からの委託で実施しました。
はじめに
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震
や直後の津波により、道路、橋梁、堤防、港湾などのイン
フラ施設に甚大な被害が生じました。
当社は、震災直後からインフラ施設の復旧に向けて全
社一丸となって取り組んでいます。ここではその中から、
東北地方における橋梁、港湾・漁港についての具体的な
取り組みや居住地・幹線道路の浸水対策について紹介し
ます。さらに、関東地方の広域で被災した河川堤防の復
旧についての取り組みを紹介します。
新北上大橋の復旧設計
当社が設計した新北上大橋(宮城県石巻市)は、北上
川の河口近くに架かる1976年完成の橋梁(7連の鋼トラス
桁橋で橋長565.7m)ですが、今回の津波により2連の橋
桁が流失しました(写真1)。
津波による激甚な被災を受けた石巻市北上町や南三
陸町の復興には、輸送道路として新北上大橋の復旧が
必須であり、応急復旧として仮橋の設計のほか、流失を
免れた橋梁の点検や損傷部の補修設計を行いました。
が損傷していないかどうかを耐荷力照査により確認しました。
今後、流失部分の仮橋を従前の形に復旧するための
橋梁設計計画を検討する必要があります。さらに、流失
した橋梁部分の損傷の状況から落橋のメカニズムを解明
していきたいと考えています。
港湾・漁港における取り組み
国土交通省港湾局が主導する港湾分科会防災部会
等で、東日本大震災における、岩手県の釜石港湾口防
波堤などにおける被災メカニズムの検証が行われ、また
災害に強い港づくりが検討されているところです(写真4)。
当社もそれに沿って、釜石港での復旧設計業務を一
部担当しています。港湾AM事業本部内の耐震解析計
算センターも含めて、「ねばり強い構造」を実現できるよう
設計検討を行っています。
写真4 釜石港湾口防波堤の被災状況
写真1 2連の橋桁が流失した新北上大橋
仮橋の設計にあたり、地震後の河川地盤面の沈下や
地質を把握するために深浅測量やボーリング調査を行い
ました。仮橋の構造や施工方法等については、河川管理
者と協議を行い決定しました。
流失を免れた橋梁では、流木・船などのガレキが堆積して
いましたが、損傷部の点検・補修により車両を通行できるよう
にしました(写真2,3)。橋脚については、地中部の基礎杭
災害廃棄物の早期処理処分も緊急かつ重要な課題
のひとつで、海面処分場建設に必要な環境モニタリング
を提案していきます。
また、岩手県以外の被災各県の港湾、漁港施設の調
査、復旧設計業務にも取り組んでいます。港湾について
は、福島県相馬港の被災状況調査、漁港については、
宮城県鮎川漁港、茨城県平潟漁港などの被災状況調
査、復旧設計に取り組んでいます。
石巻低平地における浸水リスク情報の提供
仙台湾沿岸低平地は従来から浸水しやすい地形条件
でしたが、東日本大震災により排水機場の壊滅的な被害
や広範囲な地盤沈下が生じたため、従来にも増して降雨
等による浸水が起こりやすい状況になりました。
写真2 橋梁上のガレキ
2
IDEA Consultants, Inc.
写真3 点検作業
報 告
当面の緊急的なソフト対策として、常日頃から浸水リス
ク情報を共有するための「浸水リスクマップ」の作成を行う
とともに、さらなる安全性の確保のため、リアルタイムの浸
水情報を速やかに提供・配信するための「浸水センサー」
の設置を行いました。
浸水リスクマップは鳴瀬川~北上川の区間における沿
岸域において、排水機場等の現段階(2011.5末時点)の
排水量を基に、100mm/24hr、200mm/24hrの雨が降
関東地方の河川堤防の復旧
関東地方でも利根川、那珂川、久慈川の水系を中心
とする広域で堤防が被災しました。これらの被災の多くは
液状化現象によるもので、これまでの被災よりも大規模な
沈下、すべり破壊、亀裂等が発生しています(写真6)。
った際に想定される浸水状況を内水シミュレーションによ
り算定したものです(図1)。浸水への備えや、浸水時の対
応を検討する際の参考資料として活用されています。
写真6 堤防周辺の液状化状況
図1 浸水リスクマップ例
〔公開元URL〕
東北地整HP:http://www.thr.mlit.go.jp/
北上川下流河川事務所HP:http://www.thr.mlit.go.jp/karyuu/
浸水センサーについては、降雨や洪水による浸水の監
視の観点から設定位置を検討・決定しました。現在、当該
地区には8箇所にセンサーが設置されています(写真5)。
浸水センサーは10分間に1回観測し、浸水の発生が
想定される水位に達した場合には、(財)河川情報センタ
ーから「浸水情報メール」が発信されます。主要国道や
その沿線、水路周辺地区において、浸水に対する迅速
な対応、緊急水防活動、避
難情報等の参考として活用
されることが期待されます。
国土交通省では、「河川堤防耐震対策緊急検討委員
会」において、今回の地震による河川堤防の被災実態を
把握、分析するとともに、これまでの河川堤防の耐震に
関する取り組みを検証し、今後の堤防耐震技術について
検討を行っているところです。
当社では、利根川下流、霞ヶ浦、那珂川、久慈川にお
いて、被災状況の調査、被災要因の検討、対策工の検
討・設計に取り組んでいます。被災状況の調査では、被
災箇所の測量や、河川内の液状化範囲の把握、樋管等
の構造物の点検を行いました(写真7)。
写真7 河川堤防や樋管の被災状況
被災要因の検討では、現地での地質調査のほか、治
水地形分類図、迅速図(明治初期の地図)や河道の付替
えなどの河道変遷も踏まえ、被災要因と地形地質との関
係を検討しています。また、既に対策を行っている箇所に
おける対策工の有効性についても検討しています。
おわりに
浸水センサー
通信ユニット
接続ケーブル
2011.5.30 浸水状況
写真5 浸水センサー設置状況例
左:設置箇所(国道398号沿線) 右:降雨時の浸水状況
今回紹介した取り組みのほかに、青森県から茨城県ま
での5県を対象とした水質等の環境モニタリング調査や独
自の放射能モニタリングなどを行っています。今後も震災
地域の復旧・復興に向けた安全・安心のための取り組み
を“オールいであ”で進めていきます。
3
Vol.29
SEPTEMBER 2011
Point
食品は、栄養がある、おいしい、だけではなく、安全であることが求められています。当社では、長年、
さまざまな環境試料中の化学分析を実施してきました。培ってきたこれら分析のノウハウを食品分析に
応用し、残留農薬・有害化合物検査、遺伝子組み換え食品検査、細菌類検査、タンパク質など栄養成
分分析といった食品衛生検査を通して、食品のリスク評価、リスク管理のための技術提供を行います。
食品・タンパク質関連の新しい業務と技術のご紹介
生命ソリューション事業本部 小玉 一哉
はじめに
食肉偽装、うなぎ産地偽装、メタミドホス、メラミン、事
故米をはじめとする想定外の有害物質の混入・偽装など、
故意と考えられる事案に加え、O157, O111をはじめとす
る病原性大腸菌による食中毒から、これまで国内で発生
していなかったアジア条虫症、サルコシスチス症といった
新たな寄生虫や病原性微生物による食中毒まで、食の安
全を脅かすさまざまな事件・事故が多発しています。また、
食品の放射性物質汚染についても関心を集めています。
これらのさまざまな食の安全を脅かす原因に対応でき
る安全管理システムの構築と、健康を維持するための機
能性食品の開発が食品分野での大きな関心事となって
います。
分析装置からみた食品分析
これらさまざまな分析・測定に対応するための当社の
装置とその食品分析分野における分析対象、分析例を
定量分析機器、遺伝子分析機器、タンパク質分析機器、
その他の機器に分けてご紹介します。
表1に示した定量分析機器には、水あるいは有機溶媒
に溶解した状態の化学物質を測定するHPLC, LC-MSMS
と、ガスとして揮発させた化学物質を測定するGC-MSが
あります。
表1 定量分析機器とその分析対象物質
分析機器
分析対象
HPLC
高速液体クロマトグラフィ
・アミノ酸 ・ビタミン
・アルデヒド ・残留農薬
LC-MSMS
高速液体クロマトグラフ・
タンデム質量分析計
・抗生物質、薬物、毒素
・ATPなどのメタボローム解析
・メラニンなどの色素 ・残留農薬
GC
ガスクロマトグラフィ
GC-MS
ガスクロマトグラフ質量分析計
ICP-MS
誘導結合プラズマ質量分析計
・残留農薬 ・環境ホルモン
・フェノール類 ・多環芳香族
・残留農薬
・脂肪酸/トランス脂肪酸
・低濃度PCB ・カビ臭/カビ毒
・水銀(魚介類) ・カドミウム(コメ)
・ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)
・重金属
写真1 LC-MS
MS(質量分析計)は、対象物質のものであることを高精
度で確認できます。また、従来の検出器よりも高感度で
あることもMSを使用するメリットです。
ICP-MSは高温でプラズマイオン化した金属元素の質
量を測定することにより、高精度・高感度な定量的分析
を行うために用いられます。
当社では表1に示したとおり、多種多様な分析対象物
質の定性・定量分析を通して食の安全に寄与しています。
我々が口にする食品は、食塩などの無機塩類を除き、
殆どが生物に由来しています。当社では、有効なもの、お
いしいもの、そして害のあるものを、その食品の原材料と
なった生物組織に含まれる遺伝子を検査することにより、
高感度で判定することができます。
遺伝子分析機器を表2に示します。PCR(ポリメラーゼ
連鎖反応)によるDNA増幅を利用して微量なDNAを検出・
定量する装置です。このPCRの技術は、Kary B. Mullis博
士が発見した技術で、遺伝子解析・生命科学の潮流を
一変させる大発見でした。これにより博士は1993年にノ
ーベル化学賞を受賞しています。
この技術を利用した装置(写真2)は、研究開発のみな
らず、病気の診断、犯罪捜査、食品の検査に至るまで幅
広く応用され、社会のさまざまなところで使用されていま
す。また、遺伝子のDNAの塩基配列を決定するための
DNAシーケンサ(写真3)は、遺伝子組み換え作物や有害
微生物・不快昆虫等の遺伝子検査および生物種を確認
分析対象物の揮発しやすさや分子量によってHPLC、
するために用いられています。
当社でも食品をはじめとして、水道、環境などのさまざ
LC-MS(写真1)とGCを使い分けて、最適な分離条件を設
定します。
まな分野において、安全を確認するための重要な解析
技術として活用しています。
4
IDEA Consultants, Inc.
新たな取り組み
表2 遺伝子分析機器とその分析対象
分析機器
ポリメラーゼ連鎖反応
によるDNA増幅装置
PCR
リアルタイム
PCR
DNA増幅蛍光
定量装置
食品分析分野における用途・分析対象項目
・O157, O111等腸管出血性大腸菌の毒素
遺伝子検出
・ノロウイルス遺伝子検出
・食肉寄生虫(条虫、サルコシスチス等)検出
・魚類寄生虫(Kudoaなど)検出
・原材料表示偽装の確認
・混入遺伝子組み換え作物(GMO)の検出
・品種同定(動植物・微生物)
・上記遺伝子DNA量の定量的検出
・RNAを逆転写して得た DNAの定量的検出
・蛍光基質を用いた酵素測定(DNase, RNase、等)
・DNA塩基配列解析
・原材料動植物・微生物の同定の確認
塩基配列解析装置/
シーケンサ
・品種同定の確認
メチル化DNA解析装置 ・遺伝子組み換え作物(GMO)の確認
・混入異物の由来生物の確認
また表4に示す機器は、菌の培養試験、クリプトスポリ
ジウム検査、放射線量と放射性物質の測定等に活躍し
ています。
表4 その他の分析機器とその分析対象
分析機器
食品分析分野における用途・分析対象項目
インキュベータ
恒温槽
蛍光顕微鏡
蛍光微分干渉
生物顕微鏡
倒立顕微鏡
倒立位相差顕微鏡
・培養細胞観察
サーベイメータ
NaIシンチレーション
サーベイメータ
・放射性ヨウ素測定
ガンマ線スペク
トロメータ
ゲルマニウム半導体
検出器による
ガンマ線スペクトロメータ
・細菌検査
・蛍光抗体法
クリプトスポリジウム,病原性微生物,
特定抗原の局在
・放射性元素測定/核種分析
分析項目からみた食品分析
続いて当社で実施している食品の安全や品質に関わ
る分析について、分析の項目別にご紹介します(表5)。
表5 食品の分析項目とその分析装置
種類
分析機器
食品分析分野における用途・分析対象項目
プレートリーダ
蛍光吸光プレートリーダ
・アレルゲン(抗原)検出定量
・毒素検出(抗体法)
・コレステロール測定
・ホルモン濃度測定
MALDI-tof/tof(写
真4)は、2002年の田
中耕一氏のノーベル
化学賞受賞につなが
った技術を応用した分
析装置で、従来よりも
微量のサンプルのタン 写真4 MALDI-tof/tof
パク質の同定・アミノ酸
配列の決定を行うことができます。プレートリーダは抗体を
利用して、抗原の解析、アレルギーの原因物質(アレルゲ
ン)の高感度分析が可能です。
当社では、これら装置を活用して製薬・医療関係に必
要なプロテオーム解析やアレルゲン分析を行っています。
GC, GC-MS
・ミネラル分析
ICP-MS
・O157, O111等腸管出血性大腸菌の毒素遺伝子検出
・ノロウイルス検出 ・クリプトスポリジウム検出
・食肉寄生虫(条虫、サルコシスチス等)検出
・魚類寄生虫(Kudoaなど)検出
・原材料表示偽装の確認
・混入遺伝子組み換え作物(GMO)の検出/確認
・生物種、品種同定(動物・植物・微生物)/確認
・混入異物の由来生物の確認
・作業者装着品汚染検査(コンタクトレンズ、靴下など)
・倉庫等の有害不快昆虫(ダニ、ノミ、ナンキンムシ)などの確認
PCR,
リアルタイムPCR,
シーケンサ,
プレートリーダ
・カビ毒分析 ・残留農薬分析
・残留動物薬/抗生物質分析
HPLC, LC-MSMS,
GC, GC-MS
・重金属分析
・トランス脂肪酸分析
ICP-MS
PCR, リアルタイムPCR,
MALDI-tof/tof, プレートリーダ
GC-MS
・放射性物質
サーベイメータ,ガンマ線スペクトロメータ
・異物検査
PCR, リアルタイムPCR,
シーケンサ、顕微鏡
・微生物検査
インキュベータ
・健康食品、特定保健用食品開発支援
・有用微生物選別支援/評価
・新規アレルゲン探索 ・遺伝的多型解析支援
・新規薬効マーカー探索支援
・新規疾病/病態/病勢マーカー探索支援
多種
有害成分関連
・疾病、薬効マーカータンパク質の解析
マトリックス支援レーザー
・アレルゲンタンパク質の1次構造決定
MALDI-tof/tof 脱離イオン化・飛行時間
・原材料のタンパク質の種同定
分析タンデム質量分析計
・天然、合成ポリマーの質量測定
HPLC, LC-MSMS
・脂肪酸分析
支援業務
表3 タンパク質・ペプチド分析機器とその分析対象
・アミノ酸分析 ・ビタミン分析
遺伝子・タンパク質関連
タンパク質は重要な3つの栄養素の一つであり、私たち
の体を作るためにたいへん重要な成分です。表3に示す
タンパク質・ペプチド分析機器は、タンパク質とペプチドの
分析を行うために用いられます。
代表的な分析装置
多種
衛生関連
写真3 DNAシーケンサ
成分関連
写真2 リアルタイムPCR装置
分析項目
・基準(熱量、タンパク質、脂質、炭水化物、Na、他)
・アレルゲン(アレルギー原因物質)分析
おわりに
食品に対する要望は、単に食べられるということだけで
はなく、おいしいこと、安全であることは言うまでもなく、最
近では健康を増進することも求められるなど年々大きくな
っています。
当社では多種多様な分析装置を保有しています。さらに、
これまでの幅広い経験により目的のものをどのように分析
するのかについての提案を含めて、ご提供してまいります。
5
Vol.29
SEPTEMBER 2011
Point
当社では、サンゴ幼生を着床基盤に着床させ、大量のサンゴ移植を可能にする種苗の生産
技術を開発しました。2006年2月、石西礁湖再生事業でこの種苗を移植したサンゴが今年も5
月に一斉産卵しました。この卵が礁湖のサンゴ礁に供給され、着床・成長し、再生に貢献するこ
とになります。
石西礁湖における移植サンゴの産卵
沖縄支社 藤原 秀一(常務執行役員)、毛塚 大輔
※本業務は、環境省那覇自然環境事務所からの委託で実施しました。
はじめに
石西礁湖は琉球列島南部に位置する八重山群島の
西表島と石垣島に挟まれた東西約20km、南北約15km
のわが国最大規模のサンゴ礁海域です(図1)。この海域
は沖合に張出した長い礁、島の周囲を取巻く礁、無数の
大小の孤立した礁が組み合わされて変化に富んだ浅瀬
地形を形成しています。そのため、波の静かな礁湖には
枝状サンゴが、波を受ける礁の外側には卓状サンゴなど
多様な種が生息し、豊かなサンゴ礁生態系を形成してお
り、遺伝子資源、観光資源、水産資源の場として重要な
役割を果たしています。
そのため、この海域は1972年に西表国立公園(現在
は西表石垣国立公園)に指定されています。
石垣島
西表島
石西礁湖
黒島
N
0
5
10
15
20km
図1 石西礁湖の位置
しかし、石西礁湖では、1998年夏季の長期にわたる
高水温のために大規模なサンゴの白化現象が起こり、多
くのサンゴが死滅しました。また、サンゴの病気やオニヒト
デの食害により、サンゴ礁の衰退が顕著となっていました
(写真1)。そのため、環境省は2002年の自然再生推進
法の成立とともに、石西礁湖のサンゴ礁再生へ取り組み、
サンゴの移植を開始することとしました。
当社では、再生プロジェクトの開始当初からこのプロジェ
クトに関わり、再生海域選定調査、移植種苗生産業務、
移植業務、移植サンゴのモニタリング業務等を行ってきま
した。本稿では、移植事業の目標である移植サンゴの産
卵が達成されましたので、その内容について紹介します。
6
IDEA Consultants, Inc.
写真1 白化したサンゴ礁(当社機から撮影)
サンゴ移植技術
(1)サンゴ幼生着床具
サンゴの移植は世界のサンゴ礁で行われていますが、
その方法は既存のサンゴから移植断片を作り、それを固
着するというものです。この方法では、サンゴにダメージを
与えるほか、種の多様性が得られないという問題点があ
りました。
近年、サンゴの成熟、産卵、発生、着床などサンゴの
生活史に関する知見が蓄積された結果、サンゴの幼生
を人工基盤に着床させ、移植種苗とする方法が東京海
洋大学の岡本峰雄教授らにより考案されました(写真2)。
この方法であれば、前述の問題点は解決されるため、当
社は岡本峰雄教授らとともに人工基盤である連結式サン
ゴ幼生着床具の実用化試験を進め、種苗の大量生産技
術の開発に成功しました。
写真2 サンゴ幼生着床具
新たな取り組み
(2)移植種苗の生産
着床具は直径約40㎜、高さ約40㎜のセラミック製で、
縦に連結した状態で、サンゴの産卵期前に着床が期待で
きる海底に設置し、着床を待ちます。着床後、約1.5年海
底で育成し、成長させます(図2)。サンゴ礁で優占して分
布するミドリイシ類では約30㎜の大きさに達し、移植可能
となります。
サンゴ産卵(春季満月付近の深夜)
海底に移植
海底に設置した
着床具に着床
海底で育成(1.5年)
移植サンゴのモニタリング
(1)移植サンゴの産卵
2006年2月に移植したサンゴのうち成長の良好なミドリ
イシ類は、4年後に長径20㎝ほどの成体に成長しました。
ミドリイシ類は3~5年で産卵するといわれていますので、
2010年の産卵期には産卵確認のため、海底に自動撮
影カメラを設置し、30分ごとに撮影しました。その結果、5
月7日22時30分に産卵の様子をとらえることができました。
ハナガサミドリイシという長径16㎝のサンゴで、着床具に
着床してからは6年目でした。
2011年の産卵は旧暦4月の満月の夜(5月17日)と予
想されましたので、その日、夜間潜水し、産卵の瞬間を
待ちました。その結果、2006年2月に移植した多くのミドリ
イシ類が22時30分頃、一斉産卵しました。その中には
2010年に産卵した上述のサンゴも含まれていました(写
真4)。これにより、数万個の卵が石西礁湖に供給された
と推定されます。
図2 着床具による移植種苗の生産
サンゴ移植事業
(1)移植海域の選定
石西礁湖では、サンゴ礁が健全であった沖縄の本土
復帰頃(1972年頃)の状態に回復させることを目標にサ
ンゴ移植事業が開始されました。
まず、サンゴの生息状況調査、回復阻害要因調査、
流動調査等を実施し、堆積物等の回復阻害要因がない
にもかかわらず、地形要因により加入が貧弱なために回
復の進まない黒島周辺を移植海域として選定しました。
(2)移植の実施
移植は、台風期後に着床具設置地点で選別を行い、
移植地点へ運搬後、エアドリルで岩盤を穿孔し、接着剤
とともに脚部を挿入し、固着させます。1m2に10個程度を
移植し、その10%にはモニタリング用としてタグを付けて
あります(写真3)。
着床具
写真4 産卵する移植サンゴ
(2)移植サンゴの生残、成長
2006年2月に移植したサンゴの4年後の生残率は約
40%で、管理目標の20%を上回っています。平均長径
はミドリイシ類で80㎜でした。2007年夏季の高水温により
生残、成長とも影響を受けましたが、その後は順調に生育
を続けています。長径が20㎝近いサンゴでは、魚類やカ
ニ類が棲みこみ、棲みかとしての機能を果たしています。
今後の展開
サンゴ
写真3 モニタリング種苗
石西礁湖での成功事例を基に、沖縄島での事業が
2011年から予定されているほか、インドネシア北スラウエ
シ州でも現地大学と協力して現在進行中であり、今後各
地での展開が期待されています。
7
Vol.29
SEPTEMBER 2011
湿地の保全・再生に向けた取り組み ~戦場ヶ原湿原を例として~
国土環境研究所 生態解析部 早坂 裕幸
近年、湿原や干潟等の湿地の重要性が国際的に評価されるようになり、その保全・再生に向けた取り組みの必要
性が高まっています。ここでは、日光国立公園の戦場ヶ原湿原における植生復元の対策概要と対策後初年度のモニ
タリング結果についてご紹介します。
※本業務は、環境省関東地方環境事務所からの委託で実施しました。
本稿は、i-net Vol.17(2008年1月発行)でご紹介した「湿原の保全・再生に向けた取り組み~戦場ヶ原湿原を例として~」の続報です。
はじめに
湿原や干潟等の湿地は、多様な動植物の生息・生育
の場として生物多様性の確保に大きく寄与するとともに、
食料供給・気候調節・水質浄化・洪水緩和など、我々の
生存基盤としての役割も担っています。
わが国の湿地の多くは、過去の開発等により減少・劣
化がみられましたが、近年はその重要性が見直され、保
全・再生の取り組みが進められています。
当社では、栃木県日光市に位置する日光国立公園戦
場ヶ原湿原において、湿原の保全・再生に向けた調査・
検討業務を2006年度より継続受注しており、i-net
Vol.17では保全計画の全体像をご紹介しました。
今回は、その中で優先課題として位置付けられた、人
工排水路周辺の植生復元についてご紹介します。
【湿原植生が維持されている場所】
【植生変化がみられた場所】
(人工排水路周辺)
水位は地表面レベルで安定
水位は地表面より低く不安定
湿原植生が生育
乾燥条件を好む植生が生育
泥炭層が維持(嫌気状態)
オオアゼスゲ等
泥炭層
泥炭層が分解(好気状態)
ススキ等
排水路
戦場ヶ原湿原は、本州有数の面積を誇る湿原で、ミズ
ゴケ類・スゲ類など350種類以上の植物が自生し、優れ
た湿原景観が大きな魅力となっています(写真1)。
このため、日光国立公園の特別保護地区やラムサー
ル条約湿地に指定・登録されるなど、その価値が広く認
められ、湿原の保全が図られています。
近年では、外来植物の侵入やシカの食圧・踏圧がみら
れており、環境省が中心となって、外来植物の除去やシ
カの侵入防止対策が講じられています。
写真2 人工排水路
と湿原植生が維持されている場所の環境条件を比較し
たところ、地表面より低いレベルで水位が大きく変動する
ことが、植生変化の主要因と考えられました(図1)。
比較
戦場ヶ原湿原の概要
数あり、その中には過去に植林のため
に、人工的に開削された延長80mに及
ぶ排水路もあります(写真2)。この人工
排水路周辺では、湿原植生(オオアゼ
スゲ等)が乾燥条件を好む植生(スス
キ等)に変化する傾向がみられました。
そこで、植生変化がみられた場所
降雨状況に
よる変動大
図1 人工排水路による影響
このまま放っておくと、湿原本来の特性が損なわれる
懸念があることから、湿原植生を保全するため、この人工
排水路への対策を講じることになりました。
保全対策の考え方
写真1 戦場ヶ原湿原(湿原西側を望む)
人工排水路による影響
湿原西側には、湿原内の水を排出する小排水路が多
8
IDEA Consultants, Inc.
湿原は、地下水と微地形との微妙な関係により形成さ
れる特殊な環境であるため、対策後の環境変化が予測
困難なうえに、一度失われると修復に長い年月を要する
など、柔軟かつ慎重な対応が求められます。
従って、手を加えるのを最小限に抑え、水位回復のた
めの施設は設置しますが、植生復元は自然の復元力に
委ねる方針としました。
また、対策施設は設置後の現地状況に応じて柔軟に
変更・修復が可能な構造と材料を採用しました。
Working Report
対策施設の概要
排水路上流側の植生復元を目的として、排水路上流
端付近に水位回復のための遮水堰を設置しました。
また、排水路の侵食防止・地形修復を目的として、排
水路下流側に勾配を緩やかにするための侵食防止工
(床固め)を設置しました。
1,391.0
0
対策施設の設置後
1,390.5
100
(T.P.m) 1,390.0
遮水板
200
降水量
湿原植生が維持された場所の水位
地点Aの水位
1,389.5
4
【遮水堰設置前】
降水量
対策施設の設置前
水位
▼遮水板は難透水層の
深さまで打ち込む
水位回復がみられた地点Aの水位変動は、湿原植生
が維持された場所と比較すると、水位が高いレベルで安
定する傾向がみられました(図3)。ただし、対策前後で降
雨条件が異なるため、今後の継続的なモニタリングをもと
に評価していく必要があります。
6
8
10
2009年
12
2
4
6
8
2010年
10
(mm)
300
12 (月)
※冬季は気温低下(凍結)による機器の劣化を防ぐために機器を一時回収した
【遮水堰の断面構造】
ふとんカゴ
図3 対策実施による水位回復効果(水位変動)
遮水堰
土のう
▲透水性の急変部を極力なくし、
洗掘・侵食を防ぐ構造
【遮水堰設置後】
▲排水路内水位は地表付近まで上昇
遮水板
写真3 設置した遮水堰(2009年11月)
植生は、水位回復のみられた範囲でススキ被度の減
少もみられますが、まだ対策後初年度であることから、今
後の継続的なモニタリングをもとに評価していく必要があ
ります。排水路地形は、修復に長い年月を必要とすること
が想定されますが、現状で侵食防止工の上流・上部に
枯葉等の堆積がみられています。
対策前後のモニタリング
対策施設の設置により生じる影響と効果の両面を想定
し、排水路周辺の水位・植生、排水路地形について5ヶ
年のモニタリング計画を作成しました。
水位は、定点に機器を設置して水位変動を連続観測す
るとともに、季節別に水位一斉観測を実施して水位の平面
分布を把握する計画としました。植生は、方形区(2m四方)
で詳細に種組成を比較するとともに、数年毎に植生図を作
成して植生の平面分布を概略比較する計画としました。
施設設置後の点検・補修
対策施設の設置から約1年が経過し、遮水堰直下流
で、出水が原因とみられる盛土部の一部崩落が確認さ
れたことから、速やかに補修を行いました。今後も引き続
き、出水時など注意深く監視していく必要があります。
補修箇所
対策による影響・効果の評価(対策後初年度)
対策前後の水位差(対策後-対策前)の平面分布を
みると、排水路の湿原側で最大20~30cmの水位回復
がみられました(図2)。
【水位安定期(6月)】
【水位低下期(8月)】
対策後水位
-対策前水位
30cm~
25~30cm
20~25cm
15~20cm
10~15cm
5~10cm
0~5cm
-5~0cm
-5~-10cm
-10~-15cm
遮水堰
人工排水路
人工排水路
侵食
防止工
N
0
25m
▲遮水堰の上流では水位が上昇、下流では水位が低下し、
遮水堰設置による水位回復効果がみられる。
図2 対策実施による水位回復効果(水位差の平面分布)
水位上昇 水位低下
地点A
写真4 遮水堰周辺の補修状況(2010年12月)
おわりに
戦場ヶ原湿原における取り組みは、自然環境を保全・
再生するうえで貴重な知見・経験となります。
自然の復元力を活かした自然環境の保全・再生手法
は、柔軟な対応と長い目で取り組む姿勢が必要で、その
ためには、我々コンサルタントには、確かな目と現場に対
する誠実かつきめ細やかな対応が求められます。
今後も、戦場ヶ原湿原で培われたノウハウと当社の総
合力を駆使して、自然環境の保全・再生、生物多様性の
保全に寄与できるよう努めていきます。
9
Vol.29
SEPTEMBER 2011
中国農村地域における分散型排水処理モデル事業(第二報)
管理本部企画部 佐藤 修二
2008年から環境省は「中国農村地域等における分散型排水処理モデル事業」を開始しました。日中両国政府の
環境保護を目的とした共同声明に基づくもので、ここでは、2年目に行った新疆ウイグル自治区ウルムチ市と雲南省
大理市での事業の概要を紹介します。 ※当社は、(財)地球環境戦略研究機関からの委託業務として、このプロジェクトの技術面の業務を担当しました。
汚水処理施設建設の概要
本事業では、1年目は中国重慶市と江蘇省泰州市に
おいて、2年目は新疆ウイグル自治区ウルムチ市と雲南
省大理市(図1)においてプロジェクトを実施しました(1年
目の事業はi-net Vol.25をご参照ください)。
2年目のプロジェクトは、ウルムチ市と大理市の農村地
域において、日本の汚水処理技術を導入し、処理性能
を評価し普及を目指すものです。日本側は、処理施設の
設計、施工、施工監理、維持管理指導、水質モニタリン
グまでの汚水処理に係わる一連の業務を担当し、中国
側は、下水道管渠の敷設、建設用地の提供、土質調査、
維持管理などを担当し、日中協力により推進しました。中
国が自ら普及を進められるよう、資材や施工技術は地元
でも調達可能なことをコンセプトとしました。ウルムチ市と
大理市の処理方式と規模は表1のとおりです。
(5)新疆ウイグル自治区ウルムチ市
ウルムチ県水西溝鎮閘灘村
(3)重慶市万州区白羊鎮
(4)重慶市忠県馬灌鎮
(1)泰州市趙家新村
(2)泰州市董北村
施設計画に当たり、寒冷地対策として、凍結深度より下の
地下式構造とし、施設全体を覆うビニルハウスを設置し、風
雪防止や維持管理面に配慮しました。処理方式は、汎用化
されたもので、接触曝気槽の滞留時間は10時間を確保し、
充填材は球形ろ材を採用し固定床式としました。(写真1~4)
雲南省大理市分散型排水処理施設の建設
湾橋鎮は、西の蒼山と東の洱海の間の平地に位置し、
処理施設は洱海のほとりにあり標高は約2000mの高地で
す。年間平均気温は15℃、夏の7月の平均気温は20.1
℃、冬の1月の平均気温は8.7℃と1年を通して快適な気
候です。放流先となる洱海は、国家クラスの大理風景名
勝区と蒼洱自然保護区に属する湖で、自然保護を最優
先に管理されており、処理水質は最も厳しい一級A標準
(CODcr 50㎎/l、BOD 10㎎/l、SS 10㎎/l、T-N 15㎎/l、
T-P 0.5㎎/l)を目標にしています。
処理方式は、沈殿分離槽を1次処理とし、接触爆気槽と
生物濾過槽で2次処理を行い、8段の多段土壌処理槽に
より高度処理を行います。流入から放流までの平均処理時
間は約20時間となり、特徴的な土壌処理槽は、まさ土、腐
葉土、木炭、軽石、鉄片で構成されています。(写真5~8)
(6)雲南省大理白族自治州
大理市湾橋鎮向陽渓村
まとめ
図1 モデル事業実施箇所(2008年-2010年)
表1 汚水の処理方式と処理規模
場所
処理規模 処理人口
処 理 方式
(m3/日)
(人)
新疆ウイグル自治区
ウルムチ市ウルムチ県
水西溝鎮閘灘村
300
4,200
接触曝気方式
(固定床式)
雲南省大理白族
自治州大理市
湾橋鎮向陽渓村
200
2,600
接触曝気方式+
多段土壌処理方式
(+人工湿地方式)
新疆ウルムチ市分散型排水処理施設の建設
水西溝鎮の1月の平均気温は-16℃で、4月上旬ま
で氷点下は続きます。冬季の半年間は工事は中断され、
処理にも影響を与え、処理効率は大きく低下します。目
標水質は、中国基準の二級標準(CODcr 100mg/l、BOD
30mg/l、SS 30mg/l)です。
10
IDEA Consultants, Inc.
今回のプロジェクトは、極寒のウルムチ市と厳しい排水基
準の大理市という難しい条件のモデル地区となりました。
広大な中国ですが、農村地域の財政事情は同じで、建
設投資額は少なく、維持管理は簡便で運転コストの安い
処理技術が求められます。
中国では、今年から「第12次5カ年計画」がスタートし、
農村環境整備の推進に関して、“農村の飲用水水源地
保護、農村の河川水路の総合整備及び水汚染総合対
策を強化する”ことが謳われています1)。ウルムチでは着
々と建設される多数の住宅を見て、社会主義新農村建
設事業のスピードを実感しました。次は水環境の改善が
実感できることを期待します。
〔参考文献〕
1) 小柳秀明「高度経済成長下の中国環境問題」
((独)科学技術振興機構中国総合研究センター第41回研究会)
Working Report
<新疆ウルムチ市>
写真1 ビニルハウス内の作業状況
写真3 新農村建設事業による処理区域内の新しい住宅
写真2 処理施設の横を羊の群れが通る
写真4 処理施設の外観
<雲南省大理市>
写真5 土壌処理用土壌ブロックを敷き詰める
写真7 白族の建築様式を取り入れた処理施設の外観
写真6 処理施設から洱海を眺める
写真8 中国側の設計施工による人工湿地
11
Vol.29
SEPTEMBER 2011
日本人におけるダイオキシン類の蓄積量・摂取量について
環境創造研究所 リスク評価部 泥谷 真樹
2002年度から2010年度まで、日本人におけるダイオキシン類の蓄積量・摂取量を把握するために、日本全国の
一般環境住民2,264人に対するダイオキシン類調査を行いました(一部既報:i-net Vol.22)。 調査の結果について
紹介します。
※本業務は、環境省環境保健部環境安全課環境リスク評価室からの委託で実施しました。
はじめに
これまで、ダイオキシン類による人体への蓄積量や摂
取量については、発生源周辺地区の住民に対して行った
調査などはあるものの、一般環境住民を対象とした事例
は多くありませんでした。当社では、2002年度から環境
省環境保健部環境安全課環境リスク評価室の委託を受
け、住民に負担がかからない少量での血液中ダイオキシ
各地区5人については、血液調査に加えて、食事調査
も行い、3日分の食事を全て回収し(陰膳方式)、ダイオキ
シン類濃度を測定して、食事経由の摂取量を計算しまし
た。2002~2010年度の9年間で44都道府県の計2,264
人(平均年齢44.5歳 15~76歳)の対象者に血液調査を
行い、そのうち625人に食事調査を行いました。(図1,写
真1,2)
ン類測定法(当社開発)を用いて、わが国の一般環境住
民の体内中にどの程度のダイオキシン類が蓄積されてい
るかについて調査を行いました。
調査方法
日本を北海道東北/関東甲信越/東海北陸近畿/
中国四国/九州沖縄の5ブロックに分け、毎年それぞれ
のブロックで1つの都道府県を選定しました。都道府県で
は、都市地区、農村地区、漁村地区の市町村を選定し、
それぞれの市町村内で15人を目処に公募を行い、調査
対象者を募集しました。
対象者については各地区ごとに説明会を行い、調査
への同意を得た後30mL程度の採血を行い、ダイオキシ
ン類をはじめとする化学物質の分析を行いました。また、
対象者の生活状況を把握するため、保健師や栄養士に
よる聞きとりも行いました。
対象者の選定
市報、新聞折り込み広告などによる公募
説明会
調査目的や内容の説明
同意書の授受
インフォームドコンセント
血液調査(採血)
30mL程度の採血
写真1 説明会(左)、同意書の授受(右)
写真2 採血(左)、結果説明会(右)
調査結果の概要
(1)血液中ダイオキシン類濃度
2002~2010年度の9年間の全対象者2,264人の血
液中ダイオキシン類濃度の平均値は19pg-TEQ/g-fat、
範囲は0.10~130pg-TEQ/g-fatでした。また、地区間
の濃度を比較すると、漁村地区の濃度が都市地区及び
農村地区の濃度を上回っていました(表1)。
表1 血液中ダイオキシン類濃度の統計値(地区別)
食事調査
3日分すべての食事を回収(陰膳方式)
地 区
ダイオキシン類分析
結果説明会
図1 調査のフロー
12
IDEA Consultants, Inc.
結果返却と説明(リスクコミュニケーション)
統計値
都市地区
(n=938)
農村地区
(n=675)
漁村地区
(n=651)
全国
(n=2,264)
17±11
18±12
24±17
19±14
(15, 0.11~77) (15, 0.10~97) (19, 0.43~130) (16, 0.10~130)
単位:pg-TEQ/g-fat
上段:平均値±標準偏差
下段:中央値、最小値~最大値
Working Report
新たな調査と当社の取り組み
(2)食事経由のダイオキシン類摂取量
2002~2010年度の9年間の食事調査の全対象者
625人の食事経由のダイオキシン類摂取量の平均値は
本調査の内容については、パンフレットとしてまとめら
れ、環境省のホームページにも掲載されています
(http://www.env.go.jp/chemi/dioxin/pamph.html)。
本調査は、日本の広い範囲をカバーしたこともあり(44
都道府県)、昨年度で終了となりました。
しかし、環境省では今年度より新たな調査として、調査
項目にPOPs(残留性有機汚染物質)や重金属、農薬由
来の代謝物等を加えるとともに、調査媒体に新しく尿を加
えて、「曝露量モニタリング調査」を開始することになりま
した。
この新しい調査では、環境省環境保健部環境安全課
環境リスク評価室が行っているエコチル調査(子どもの健
康と環境に関する全国調査:本号p14-15参照)を補完
するような内容にもなっています。
これまでの調査からの変更点を表3に示します。
0.82pg-TEQ/kg体重/日、範囲は0.031~6.2
pg-TEQ/kg体重/日でした。
また、国で定められている耐容一日摂取量の
4pg-TEQ/kg体重/日を超過した対象者は、9年間で11
人でした(1.8%)。
地区間の摂取量を比較すると、血液中ダイオキシン類
濃度同様に、漁村地区の摂取量が都市地区及び農村
地区の摂取量を上回っていました(表2)。
表2 食事経由のダイオキシン類摂取量の統計値(地区別)
都市地区
(n=229)
地 区
農村地区
(n=201)
漁村地区
(n=195)
全国
(n=625)
0.66±0.65
0.82±0.86
1.0±1.0
0.82±0.86
(0.46, 0.031~6.2) (0.53, 0.080~5.6) (0.71, 0.054~6.2) (0.56, 0.031~6.2)
統計値
単位:pg-TEQ/kg体重/日
上段:平均値±標準偏差
下段:中央値、最小値~最大値
表3 新旧の調査内容
(3)年次推移
各調査年度の血液中ダイオキシン類濃度平均値と食
事経由のダイオキシン類摂取量平均値の推移を図2に
示します。血液中ダイオキシン類濃度と食事経由のダイ
オキシン類摂取量ともに減少傾向にありました。
2000年1月に施行された「ダイオキシン類対策特別措
置法」により、環境へのダイオキシン類の排出量は大きく
減少し、環境中(大気や土壌)のダイオキシン類濃度や、
食品中のダイオキシン類濃度についても減少していること
が国や自治体の調査で報告されています。
今回の調査はダイオキシン類の環境への排出量の減
少に伴って、人体の蓄積量も減少していることを示してい
ます。
全国の一般環境地域
高濃度曝露地区
(過去の調査で高いレベル
の濃度、摂取量の地区)
対象者
15~69歳の住民
40~59歳の住民
媒体
血液、食事
血液、食事、尿
項目
ダイオキシン類、
PFOS、PFOA
ダイオキシン類、
PFOS、PFOA、POPs、
重金属、農薬系代謝物等
今年度の調査については当社に委託されることが決ま
り、現在、新しい測定項目の分析法の確立や、調査候補
地の調整を行っており、今年秋には現地調査が始まる予
定です。
調査の結果については、またご報告いたします。
血液中ダイオキシン類濃度
1.2
1.0
20
0.8
15
0.6
10
0.4
0
調査地域
(pg-TEQ/kg体重/日)
25
5
今年度からの調査
血液中ダイオキシン類濃度
食事経由のダイオキシン類摂取量
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
(年度)
0.2
食事経由のダイオキシン類摂取量
(pg-TEQ/g-fat)
2002~2010年度調査
〔参考資料〕
1) 環境省パンフレット
「日本人におけるダイオキシン類の蓄積量について」
(http://www.env.go.jp/chemi/dioxin/pamph.html)
0
図2 血液中ダイオキシン類濃度と食事経由のダイオキシン類摂取量の年次推移
13
Vol.29
SEPTEMBER 2011
特別寄稿
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について
環境省環境保健部環境リスク評価室 戸田 英作
環境省は、環境中の化学物質などが子どもの成長や発達に与える影響を明らかにするため、
平成22年度より「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を開始しました。全国
10万組の親子の協力を得て、子どもが13歳に達するまで追跡する大規模かつ長期のコホート調査です。
調査内容
はじめに
環境省は、平成22年度より「子どもの健康と環境に関
エコチル調査では、妊婦初診時や母子健康手帳交付
する全国調査(エコチル調査)」を開始しました。エコチル
時に調査参加者(妊婦)を募集・登録し、母体血や臍帯
調査は、環境中の化学物質などが子どもの成長や発達
血、母乳などの生体試料を採取保存、分析するとともに、
に与える影響を明らかにするため、全国の10万組の親子
子どもが13歳になるまで質問票等による追跡調査を行い
の協力を得て、血液や尿、母乳などの分析を行うとともに、
ます(図1)。得られた生体試料の分析結果やデータは、
生まれてくる子どもの健康状態を13歳に達するまで追跡
アウトカム及び曝露の相関など、統計学的な解析を用い
する大規模かつ長期のコホート調査です。
て評価を行います。
エコチル調査の背景
近年、子どもたちの間で、ぜん息などのアレ
調査内容
10万組の参加登録
ルギー疾患、先天異常、小児肥満、自閉症
など、心身の異常が年々増加していることが
報告されています 。これらの異常の原因とし
1)
て、子ども自身の生まれ持った特性や生活習
・インフォームドコンセント
・質問票調査
・妊婦血液、尿の採取
・環境試料の採取 ※1
妊娠初期
妊娠中期
出産時
・出生児の健康状態を確認
・臍帯血の採取
・母親・父親 ※2 血液の採取
・ろ紙血(出生児)の採取
化学物質等の測定
1ヶ月時
・母乳、毛髪の採取
・赤ちゃんの毛髪の採取 ※3
分析結果
慣ばかりでなく、化学物質など、環境中の要因
が関与していることが懸念されています2)。
そのような中、我が国では、平成17年から
「小児の環境保健に関する懇談会」において
子どもの健康と環境に関する議論が進められ、
6ヶ月から
13歳になるまで
「小児を取り巻く環境と健康との関連性に関する
・質問票調査(半年ごと)
・面接調査(数年ごと)
・環境試料の採取 ※1
統計学的解析
子どもの成長発達に影響を与える環境要因を解明
疫学調査」の推進を図るよう提言されました3)。
平成20年度から、約450名の参加者(妊婦)
長期保存
(バンキング)
※1 一部の方 ※2 ご協力いただける方のみ ※3 ハサミで2つまみほどカット
図1 エコチル調査の内容
によるパイロット調査を開始し、平成22年3月、
エコチル調査基本計画をとりまとめました。
子どもの健康と環境の問題については、国際的にも重
視されており、デンマーク、ノルウェー、米国等で10万人規
エコチル調査は、環境省の企画・立案のもと、国立環
模の疫学調査が国家プロジェクトとして進められる一方、
境研究所がコアセンターとして、データの収集管理や試
平成21年のG8環境大臣会合においても、参加各国及び
料の分析、調査全体の取りまとめを行い、国立成育医療
途上国が連携・協力して子どもの健康と環境に関する調
研究センターがメディカルサポートセンターとして、医学的
査・研究を進めていくことが確認されました。我が国にお
な支援を行いつつ、公募により選定された全国15地域の
いても、各国の調査と連携しつつ、調査・研究を進め、子
大学等によるユニットセンターが、自治体や医療機関と
どもの脆弱性を考慮した適正な環境リスク評価を実施し、
協力して、3年間の参加者募集と13年間の追跡調査を
次世代育成の子どもたちが健やかに育つ環境の実現を
実施します(図2、図3)。
図ることが求められています。
14
実施体制
IDEA Consultants, Inc.
特別寄稿
調査の目標
実施体制
コアセンター(国立環境研究所)
厚生労働省
文部科学省
国際機関(WHO等)、
●調査の企画立案
米国等
●予算の確保
環境省
連携
●調査の実施
●データシステムの運営
●試料の保存、精度管理
●ユニットセンター管理・支援
える化学物質等の環境要因が明らかになり、
子どもの健康を守るためのリスク管理体制構
メディカルサポートセンター
(国立成育医療研究センター)
地方自治体
●地方住民への普及啓発・広報
●母子健康手帳発行窓口等による
リクルートへの協力
●法律に基づいて行政データの提供
公募
連携
協力医療機関
●ユニットセンターが地域の医療機関(大学病院、
一般病院、診療所等)に協力を呼びかける
●調査対象者(妊産婦)の登録、生体試料の採取
本調査によって、子どもの発育に影響を与
●調査における医学的支援
●アウトカムの測定に関する
プロトコール作成支援
●調査に関わる医療関係者への指導
および支援
ユニットセンター
(大学等、全国15か所)
●調査参加者のリクルートおよび13歳に達する
までのフォローアップ
●生体試料の採取、質問票調査の実施
●個別相談窓口など参加者とのコミュニケーション
築を通じて、次世代育成の子どもたちが健や
かに育つ環境の実現を図ることができます。
また、本調査は、10万組の生体試料とデー
タの組み合わせを保管することにより、環境要
因に限らず、幅広い視点から子どもの健康に
関する研究の共通基盤を提供することから、
我が国におけるライフサイエンス分野の技術
開発・国際競争力の確保に資することが期待
されています。
図2 エコチル調査の実施体制
なお、平成20年度より開始したパイロット
調査や本調査において、生体試料にかかる
ユニットセンター及び調査地区一覧
(平成23年5月9日現在)
NO ユニットセンター名 調査地区
大学名(共同研究機関)
北海道大学
札幌医科大学
札幌市北区・豊平区・旭川市の一部・北見市の一部・置戸町・訓子府町・
1 北海道
旭川医科大学
津別町・美幌町
日本赤十字北海道看護大学
2
宮城 気仙沼市・南三陸町・石巻市・女川町・大崎市・涌谷町・美里町・加美町・色麻町・栗原市・登米市・岩沼市・亘理町・山元町 東北大学
3
福島 福島市・南相馬市・伊達市・浪江町・双葉町・大熊町・葛尾村・富岡町・楢葉町・広野町・桑折町・国見町・川俣町・川内村 福島県立医科大学
4
千葉 鴨川市・南房総市・館山市・鋸南町・勝浦市・いすみ市・御宿町・大多喜町・木更津市・袖ヶ浦市・富津市・君津市・千葉市緑区 千葉大学
横浜市立大学
5 神奈川 横浜市金沢区・大和市・小田原市
山梨大学
甲府市・中央市・甲州市・山梨市・富士吉田市・
6
甲信
信州大学
伊那市・駒ヶ根市・辰野町・箕輪町・飯島町・南箕輪村・中川村・宮田村
富山大学
7
富山 富山市・黒部市・朝日町・入善町
名古屋市立大学
8
愛知 一宮市・名古屋市北区
京都大学
9
京都 京都市左京区・北区・木津川市・長浜市
同志社大学
大阪大学
10 大阪 岸和田市・貝塚市・熊取町・泉佐野市・田尻町・泉南市・阪南市・岬町
大阪府立母子保健総合医療センター
兵庫医科大学
11 兵庫 尼崎市
12 鳥取 米子市・境港市・大山町・伯耆町・南部町・江府町・日野町・日南町・日吉津村 鳥取大学
高知大学
13 高知 高知市・南国市・四万十市・梼原町
産業医科大学
14 福岡 北九州市八幡西区・福岡市東区
九州大学
水俣市・津奈木町・芦北町・天草市・苓北町・上天草市・人吉市・錦町・
熊本大学
南九州・ あさぎり町・多良木町・湯前町・水上村・相良村・五木村・山江村・球磨村・ 宮崎大学
15
沖縄 延岡市・宮古島市
琉球大学
図3 ユニットセンター及び調査地区
分析手法の開発や検証に取り組んでおり、
いであ株式会社にも協力いただいております。
おわりに
将来を担う子どもたちの健康と安心な環境
を確保するため、エコチル調査に大きな期待
が寄せられるとともに、調査の着実な実施が
求められています。参加者や調査関係者はも
ちろんのこと、我が国全体の理解と応援が重
要です。
エコチル調査の詳細については、環境省「子ど
もの健康と環境に関する全国調査」ホームページ
(http://www.env.go.jp/chemi/ceh/)をご参
平成22年度は、最初の年として、研究計画書やマニュ
照ください。この調査の趣旨にご賛同いただける方は、上
アルの作成、リサーチコーディネーターの研修、地域運
記ホームページからサポーターにぜひご登録ください。調
営協議会の設置など、実施体制の整備を進め、平成23
査の進捗状況など、詳しい情報をお届けします。
年1月末より、参加者の募集・登録を開始しました。
エコチル調査の実施にあたり、環境省では、平成23年
度予算として約46億円を計上しています。総合科学技
術会議においても「S」評価を受けるなど、行政的にも科
学的にも大きな期待が寄せられています。環境省は、国
連環境計画(UNEP)、世界保健機関(WHO)、米国環境庁
〔参考文献〕
1) 子どもの健康と環境に関する統計集 2) エコチルWGほか 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
仮説集 2010
3) 環境省 小児の環境保健に関する懇談会 報告書 2006
4) エコチルWG基本設計班ほか 子どもの健康と環境に関する全国調査
(エコチル調査)基本計画 2010
(USEPA)等のメンバーからなるステアリンググループを設
置し、本調査と各国の出生コホート調査との連携のあり方、
発展途上国へのアウトリーチのあり方等について検討する
とともに、国際連携会議やシンポジウムを開催し、国内外
への情報発信を図っているところです。
15
CORPORATE DATA
社会基盤の形成と環境保全の総合コンサルタント
商
号
創
業
本社所在地
資 本 金
役
員
従 業 員 数
いであ株式会社
昭和28年5月
東京都世田谷区駒沢3-15-1
31億7,323万円
代表取締役会長 田畑 日出男
代表取締役社長 小島 伸一
845名 ( 2 0 1 1 年 4 月 1 日 現 在 )
事業内容
■社会基盤整備に係る企画、調査、計画、設計、管理、評価
-河川計画、海岸保全計画、河川・海岸構造物・ダムの設計・維持管理、道路・交通・都市計画、橋梁の設計・維持管理
(要素技術一例)・現地調査(波浪観測、漂砂調査、測量、道路環境・交通量調査等)
・シミュレーション(氾濫・土砂動態・水理解析、波浪変形・海浜地形変化予測、高潮・津波解析、各種構造解析等)
・交通需要予測・解析、交通事故対策、社会実験、PI、景観予測評価、構造物劣化予測等
■社会基盤整備に係る環境アセスメント(調査計画立案、現地調査、予測評価、対策検討、事後調査)、環境計画
-港湾、埋立、空港、ダム、発電所、河口堰、道路、新交通システム、清掃工場、住宅・工業団地、下水処理場等
(要素技術一例)・環境調査(水域・陸域・大気域、動植物の分布・生態、景観、航空・リモートセンシング調査、気象観測等)
・理化学分析(水質、底質、大気質、生物、土壌、廃棄物等)
・シミュレーション(水質、底質、大気質、悪臭、騒音・振動、波浪、気候変化、汀線・地形変化、漂流物等)
・自然再生技術、環境保全対策技術、生態系評価(生活史・生息環境・干潟生態系モデル等)、PI
・地球温暖化対策調査、再生資源利用調査、アメニティ環境調査、自然環境DB構築、地域特性の可視化、LCA
■環境リスクの評価・管理
-ダイオキシン類・PCB類・POPs・残留農薬・重金属類・環境ホルモン・VOC等の分析、土壌汚染評価、化審法GLP対応の生
態影響試験、各種毒性試験・有害性評価、化学物質の環境実態・曝露量の解析及び評価、汚染メカニズムの解明
■自然環境の調査・解析、生物生息環境の保全・再生・創造
-動植物調査、サンゴ礁・藻場・干潟・海浜の保全・再生・創造、河川・湿地・ヨシ帯の自然再生、魚道・多自然型水辺空
間・ワンド・淵の計画・設計、アオコ・赤潮発生対策、生物の移植・増殖
(要素技術一例)・生物同定・分析技術(DNA分析、アイソザイム分析、細菌・ウィルス検査、データ集計・解析処理システム等)
・解析(営巣・行動圏・採餌環境解析、生態系・生活史モデル、統計解析、漁業資源解析、アオコ・赤潮発生予測等)
・生物飼育実験設備における飼育・増殖試験、希少生物の保護・育成技術開発、埋土種子による植生の復元
■情報システムの構築、情報発信
-河川水位計測システム、衛星画像解析、GISアプリケーション開発、基幹系システム開発、気象・海象・防災情報配信
■災害危機管理、災害復旧計画
-危機管理支援(危機管理計画、災害時対処マニュアル作成、災害訓練企画・運営)、災害査定・被害状況調査、災害復旧・
改良復旧事業支援、人命・資産の安全確保
-災害情報支援システム、降雨・洪水予測システム、氾濫解析・予測システム、洪水・津波浸水ハザードマップ
■海外事業
-環境に配慮したインフラ整備(地域総合開発、水資源開発、上水道、港湾、海岸、道路、橋梁、下水・廃水・廃棄物処理)
-災害マネジメント(治水・砂防)、環境保全・創出(環境社会配慮、環境アセスメント、環境保全計画、公害対策等)
-アメニティ(観光開発、都市計画、水辺の再生、地域コミュニティ創成等)、技術者受け入れ、専門家派遣
本
国 土 環 境 研 究
環 境 創 造 研 究
大
阪
支
沖 縄 支 社 / 沖 縄 支
札
幌
支
東
北
支
名
古
屋
支
中
国
支
四
国
支
九
州
支
シ ス テ ム 開 発 セ ン タ
北
陸
事
務
営
業
社
所
所
社
店
店
店
店
店
店
店
ー
所
所
海
所
外
事
務
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SEPTEMBER 2011 Vol.
〒154-8585 東京都世田谷区駒沢 3-15-1
電話:03-4544-7600
〒224-0025 神奈川県横浜市都筑区早渕 2-2-2
電話:045-593-7600
〒421-0212 静岡県焼津市利右衛門 1334-5
電話:054-622-9551
〒559-8519 大阪府大阪市住之江区南港北 1-24-22
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〒900-0003 沖縄県那覇市安謝 2-6-19
電話:098-868-8884
〒060-0062 北海道札幌市中央区南二条西 9-1-2(サンケン札幌ビル)
電話:011-272-2882
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青森、盛岡、秋田、山形、福島、茨城、北関東、千葉、神奈川、相模原、新潟、富山、金沢、山梨、福井、伊那、長野、岐阜、恵那、静岡、伊豆、
菊川、安八、三重、滋賀、神戸、奈良、和歌山、山陰、岡山、下関、山口、徳島、高松、高知、北九州、佐賀、長崎、熊本、奄美、沖縄北部
北京(中国)、ジャカルタ(インドネシア)、マニラ(フィリピン)
人と地球の未来のために
(2011年9月発行)
編集・発行:いであ株式会社 管理本部企画部
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