...

『平成21年度静岡市男女共同参画行動計画 進ちょく状況調査報告書

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

『平成21年度静岡市男女共同参画行動計画 進ちょく状況調査報告書
『平成21年度静岡市男女共同参画行動計画
進ちょく状況調査報告書』について
(意見書)
平成23年1月19日
静岡市男女共同参画審議会
1
総合意見
第2次静岡市男女共同参画行動計画に係る179事業については、平成21年度の実施済み事業
数が172事業に上っており(実施率96%)、一応の進捗状況と言えます。
しかしながら、検討中の2事業や、未着手の5事業を残していること、特に基本的施策8「女性
に対する暴力の根絶」においては、実施率が73%に留まっていることなど、計画初年度とはいえ、
実施状況の点検・反省が必要と思われる部分も見られました。
市民にも、まだまだ男女共同参画意識が浸透したと言える状況ではないと思われます。様々な担
当課で企画する180にも及ぶ事業の内容全てに、はたして本当に男女共同参画の視点が位置づけ
られているのか、再度検討する必要があると考えます。そのためには、行政職員に対する研修も不
可欠です。
また、「全部局対象事業」への取り組み所属数が少ないことから、増加を図ることを望みます。
男女共同参画課には、生活を総合的に捉え、
「男性の家事能力育成とワーク・ライフ・バランス」
や「育児教室の実施と性別役割分担意識の解消」など、各課が取り組んでいる諸事業の内容相互の
関連付けに、一層留意することを希望します。
男女共同参画やワーク・ライフ・バランスの理念が定着し、実践されるまでには、相当の時間を
要します。基本的には、現在の取り組み事業を粘り強く継続していくことが重要だと考えますが、
来年度の計画実施に向けて、これまでの意見書の指摘も踏まえ、更なる改善を図られることを期待
します。
今後は、進捗状況だけでなく、施策の実績や内容面の充実を図っていくことによって、男女共同
参画社会の実現を目指していきたいと考えます。
-1-
2
重点施策に係る事業
(1)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進について
ワーク・ライフ・バランスの推進には、家事・子育て・介護・仕事など生活のあらゆるステージでの
男女共同参画の視点が不可欠で、そのための更なる啓発が必要です。
例えば、地域とのつながりを持たない子育て中の若い親や、障害者・高齢者の家族などの介護者が孤
立しないよう、周りの意識作りを進めることも大切だと思われます。あわせて、基本的な人権意識の啓
発を地道に進めていくことを望みます。
子育て環境の充実として、放課後児童クラブの運営数、拡張数がともに計画を上回る進展を示し、整
備拡充が図られている点は評価できますが、共働き世帯が増加する傾向にもあるため、より一層の内容
の充実が必要だと考えます。各クラブでのプログラムの充実とともに、受入人数の拡大、それに伴う指
導者の人材確保、予算確保と設備面の充実をトータルで考えていくよう希望します。
一時保育と延長保育、ファミリー・サポート・センターの運営についても、計画が達成されている点
は評価できますが、多様な保育サービスの推進に向けて、更に充実した取り組みを継続していくことが
求められます。例えば、病後児保育や障害児保育の実施園を増やしていくことも課題となります。
子どもを安心して預けられる環境の整備に加え、男女が協力して家事・育児を担い、共に社会で活躍
できる環境を整えることが、健全な次世代を育成するためにも重要な施策の一つだと考えます。
そこで、以下の項目について要望します。
ア
病後児保育や障害児保育等の多様な保育サービスの拡充に努めること。
イ
介護者に対する支援事業について、より一層の推進を図ること。
ウ
家事・子育て・介護などについて、男性向けの意識啓発・実践講座の充実を図ること。
エ 事業主に対して、国や県との連携を含む実効性のある啓発に努めること。
【特に推進を要望する事業】
No. 71 ワーク・ライフ・バランスに関する啓発(子育て支援課、商業労政課、男女共同参画課)
No. 83 家庭生活と職業生活の両立のための情報提供(各区戸籍住民課、男女共同参画課)
No. 87 多様な保育サービスの推進(保育課)
No. 88 ファミリー・サポート・センター(子育て支援課)
No. 89 子育て支援ヘルパー事業の実施(子育て支援課)
No. 90 ショートステイの実施(子育て支援課)
No. 91 地域に開かれた幼稚園づくり推進事業(教育総務課)
No. 99 放課後児童クラブの運営(子育て支援課)
No.100 放課後子ども教室事業の実施(教育総務課)
No.104 高齢者のための福祉サービスの実施(高齢者福祉課)
No.106 レスパイト事業の実施(障害者福祉課)
-2-
-3-
(2)政策・方針決定への女性の参画推進について
審議会等への女性登用率に関しては、平成22年4月に30.4%となり目標値の30%を達成し、
改善傾向にあることが認められます。しかしながら、政令市平均の32.2%には届いていないことか
ら、更なる努力が必要です。
女性委員のいない審議会についても、13.2%から9.1%へと縮小しており、改善の方向に進ん
でいますが、やはり政令市平均の7.5%には届いていないことから、登用率の低い部局への働きかけ
を積極的に行い、打開策を協議、提案することを要望します。あわせて、介護領域などで男性のいない
審議会があることも男女共同参画の視点にはそぐわないため、男女比の偏りの解消を期待します。
女性登用率向上のためには、引き続き女性の人材リストの拡充と活用を促進していくことが求められ
ます。女性の人材が少数で審議委員を得にくい領域においては、静岡県内に限定せず隣県などから委員
を迎えることも検討する必要があります。専門職業団体、関係学会への問合せや、委員経験者の持つネ
ットワークなどを活用し、静岡市に関係の深い人材の登用を検討するよう希望します。
市の女性職員の管理・監督者への登用促進については、行政の立場上、先導的な役割を果たすことが
求められますが、静岡市の実績は6.8%であり政令指定都市平均8.6%を下回っているため、改善
を望みます。また、女性職員の管理・監督者への積極的な登用や人材活用を実現可能とするためには、
ワーク・ライフ・バランスの追求が不可欠です。
女性の登用については、数値目標だけに捉われることなく、能力・適正を把握して登用を続けていく
ことが望まれます。まずは日頃から性別役割分担意識を取り除いて、協力して仕事を進めていく体制を
作り、各個人の適性により仕事が割り振られるようになれば、それぞれがより幅広い分野で活躍できる
環境が整うと考えます。
そこで、以下の項目について要望します。
ア 市の管理職への女性登用について、更に促進していくこと。
イ
審議会等委員については、女性の登用を一層推進するとともに、男性の割合が著しく低い
審議会等の改善を図ること。
ウ 女性の人材リストについては、広い地域や各方面のネットワークを活用した情報収集により、
拡充を図ること。
【特に推進を要望する事業】
No.30 市審議会等への女性の参画促進(全部局、男女共同参画課)
No.31 審議会等への女性の参画促進のための指針の実行(行政管理課、男女共同参画課)
No.34 女性職員の管理・監督者への登用促進(人事課)
No.35 女性教員の管理職への登用促進(教職員課)
No.41 民間企業・民間諸団体等への協力要請(商業労政課、男女共同参画課)
No.44 女性人材リストの更新・活用(男女共同参画課)
-4-
(3)女性に対する暴力の根絶に向けた取り組みについて
DV、セクハラ、児童虐待などが増加している中、特にDVや虐待は潜在化する傾向にあり、表面化
する際には既に大きな事件となっていることがあります。
まずは暴力に関する実態調査が不可欠であり、早急に調査方法を詰め、調査を実施する必要があると
考えます。実態を詳細に把握することは大変困難ですが、そのためにも相談窓口をより多く、そしてよ
り多様に用意することを望みます。あわせて、DV防止基本計画の策定によって相談支援センター機能
の整備も具体化していくものと思われますので、計画の策定に向けた取り組みを進めることを要望しま
す。
児童虐待の加害者や多重債務を抱えている女性がDV被害者であるケースも少なくないため、消費生
活センターなどの関係機関に女性相談員を配置していることは、よい取り組みだと考えます。今後も引
き続き、女性相談員の増加を図るとともに、研修機会等を確保し、相談員の質の向上、関係機関との連
携強化を図っていくことを期待します。また、被害者だけでなく加害者への対応も必要であると考えま
す。
現在、小中学校でのスクールカウンセラー、教育相談員の相談活動も増えつつありますが、充実する
までには至っていない状況です。ソーシャルワーカー等による支援も含め、組織的な相談及び対策を検
討するなど、更なる推進を希望します。家庭や地域でより開放的で親密な繋がりを持てるよう、日頃の
学校教育や地域活動を通じ協力して物事に取り組む意識を高め、お互いに思いやり、生活できる環境を
整えることが理想と考えます。
そこで、以下の項目について要望します。
ア 相談員の増員及び質の向上、関係機関との連携強化を推進し、相談機関の充実を図ること。
イ 相談機関の周知を徹底し、幅広い層へ届くようなPRに努めること。
ウ 若い世代に向けて、デートDV等の暴力の根絶について効果的に啓発を行うこと。
【特に推進を要望する事業】
No.140 女性への暴力に関する実態調査(男女共同参画課)
No.144 DV防止基本計画の策定及び実施(福祉総務課)
No.146 女性(婦人)相談員による女性相談・保護の実施(福祉総務課)
No.179 男性向け電話相談員の養成(男女共同参画課)
-5-
(4)市民との協働による男女共同参画の推進体制について
「市民との協働による男女共同参画の推進体制」における行政の役割としては、市民の側からの協働
に向けた要望を受け、それに沿う形で協力体制を整えていく形が望ましいと言えます。その点から、
「各
種事業の充実と対象別啓発プログラムの開発」や「市民等との協働による事業の企画や実施」を指定管
理者事業として委ね、市は後方支援をする現在の体制は健全であると考えます。
しかし、現状では市民との協働は未だ不充分であることから、一層の推進を図るためには、直接的な
働きかけを行っていくことも必要です。
例えば、男女共同参画に関する情報を発信していくグループの育成・支援なども重要だと思われます。
人材育成事業を進めることにより、男女共同参画の土台を強め、審議会等への女性の参画促進について
も効果が表れると期待します。
また、地域において、男女が協力して行う活動や親子が一緒に参加できる活動が増えれば、自ら周囲
に対し思いやりを持って行動する環境が育まれ、男女共同参画をより推し進めていけるのではないかと
考えます。身近な活動を通じて、より多くの市民が男女共同参画に参加できる環境作りに対し、支援し
ていくことを希望します。
市民との協働による事業の企画や実施において、指定管理者による女性会館の運営は大変充実してい
ると考えますが、更に、生涯学習センターや生涯学習交流館等の地域に密着した施設を活用した男女共
同参画啓発事業を、子育て・介護・防災・生涯学習等の担当課と協働で推進するよう希望します。
そこで、以下の項目について要望します。
ア 人材育成事業を推進し、地域の男女共同参画意識の底上げを図ること。
イ
女性会館指定管理者事業については、会館内に留まらず市内各所で積極的に推進すること。
ウ 世代や性別を問わず参加できる、生活技術を学ぶ実践講座を開催すること。
【特に推進を要望する事業】
No. 5 条例等についての普及啓発(男女共同参画課)
No. 8 男女共同参画に関する情報発信をするグループの育成・支援(男女共同参画課)
No.42 人材育成事業の充実(生涯学習推進課、男女共同参画課)
No.56 市民団体等との協働による講座等の開催、交流の促進(男女共同参画課)
-6-
3
その他の意見
(1)男性の家事・子育て・介護などの家庭生活への参画意識と実践力を高めていくこと。
(2)男性のための相談事業について、相談時間や相談方法の充実に向け検討すること。
(3)男女共同参画の視点を持った防災の取り組みを更に進めること。
(4)市職員の意識調査については、効果的に実施し、結果の活用に努めること。
(5)育児休業について、取得要件を拡大するなどの静岡市独自の制度導入を検討すること。
-7-
Fly UP