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事業原簿(公開) - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
研究開発項目 ②光導波ナノガラスデバイス用ガラスの開発 【日立電線株式会社】 (1)ガラス膜材料および膜形成方法の検討・開発 1.3μm帯から 1.5μm帯の広い波長域での低損失化を目標として、プラズマCVD法等を 用い、Ge等のドーパントの添加量と導波膜としての基本特性である損失、偏光依存性等と を相関付けて調べた。また、波長 1.383μm における損失の主要因である OH 基吸収の少ない 製造条件を検討した。 ガラス膜中に添加するドーパント濃度と伝搬損失の相関を明確化するため、電子ビーム蒸 着法やRFスパッタリング法、プラズマCVD法の3種類の手法により、比屈折率差Δが 2.0 ~4.0%の SiO2-GeO2 コアガラス膜を形成し、膜状態の損失を評価した。その結果、RFスパ ッタリング法およびプラズマCVD法により形成したコアガラス膜の損失は、膜中のGe濃 度に依存せずほぼ一定(0.01dB/cm)であることが確認された(図 2.2.1 参照)。一方、電子 ビーム蒸着法により形成したコアガラス膜においては、Ge濃度に依存して損失平均値およ び損失ばらつきが増加する結果を得た。さらに、各手法により形成したコアガラス膜中のド ーパント濃度と膜中異物(パーティクル)発生数との関係を調査した。その結果、膜損失は、 ドーパント濃度よりも膜中異物数に大きく依存していることを明らかにした。これにより、 低パーティクル化を図った CVD ガラス膜形成手法を適用することによって、ドーパント濃度 を増加しても 0.01dB/cm の低損失ガラス膜を達成できる見通しを得た。 比屈折率差Δ(%) 0.2 0 2.0 1.0 3.0 4.0 Δ(Ge濃度)に依存して 損失ばらつき大 損失ばらつき要因 EB蒸着 膜の損失 (dB/cm) RFスパッタ P-CVD 0.1 (異物のSEM観察像) 損失のΔ(Ge濃度)依存性小さい 損失:0.01dB/cm ・主要な損失は、導波路化 プロセス中に発生する。 0 0 20 10 30 40 GeO2濃度(mol %) 図 2.2.1 ガラス膜損失の GeO2 添加濃度依存性 61 次に、偏光依存性損失に影響を及ぼすと考えられる応力・歪を低減するため、CVD 法によ るコアガラス成膜中における基板の温度分布状態の改良を図った。その結果、ウェハ全体で ±2nm/cm の低い歪分布のコアガラス膜を得ることができた。偏光依存性損失低減の効果は、 実際にアレイ導波路型光合分波器を作製し、その光学特性により評価した。その結果、透過 光中心波長の偏光依存性を 0.02nm 以下(複屈折 B:10-4 以下)とできることを確認した(図 2.2.2 参照)。 さらに、OH 基低減の為のプロセス技術として、高温熱処理による OH 基低減の検討を行い、 その効果を長さ 1mの長尺導波路を試作し、波長 1.383μm における損失を評価することによ り確認した。その結果、1100℃以上の高温熱処理により、波長 1.383μm における OH 基によ る損失を実用上問題の無い 0.045dB/cm に低減できることを確認した(図 2.2.3)。 出力側 スラブ導波路 入力側 スラブ導波路 … 1 出力導波路 30 25 25 20 20 TM偏波 TE偏波 0.17nm 10 TM偏波 TE偏波 15 10 0.018nm 5 5 0 1548 損失 [dB] 損失 [dB] 入力導波路 30 15 N 1548.2 1548.4 1548.6 1548.8 1549 1549.2 1549.4 1548.2 1548.4 1548.6 1548.8 1549 1549.2 1549.4 波長 [nm] 波長 [nm] (b) 改善後 (a) 従来 図 2.2.2 0 1548 試作したアレイ導波路型光合分波器の偏光依存性損失 (2)光回路形成技術の検討・開発 屈折率差に比例した導波路損失要因を分析・解明し、その低減を図ると共にデバイス構造 パターンを形成する光回路加工技術をより高精度化する。また、従来デバイスの性能では無 視できた加工過程で生じるガラス異質層の低減、あるいは除去のため、下記の検討を実施し た。 コア側壁荒れの発生要因を明確にするため、エッチングマスク材料との相関およびドーパ ントであるGe添加濃度との相関について検討した。その結果、コア側壁荒れはエッチング マスク材料に依存せず Ge 添加濃度に依存することを明らかにした。このコア側壁荒れの低減 62 手段として、熱処理によるコア側面の平坦化について検討した。その結果、Ge 添加濃度に対 応した熱処理を施すことにより、平坦化が可能であることがわかった。平坦化前後のコアを もとに長尺導波路を試作して、その損失を評価した結果、波長 1.3μm における伝搬損失を 0.105dB/cm から 0.085dB/cm に低減できることを確認した(図 2.2.3 参照)。 1.6 1.5 1.4 <1100℃アニ-ル 波長 λ (μm) 1.3 Δ2.0%コア 1.2 0.20 Δ2.0%コア OH吸収 荒れ:50nm~ 損失 (dB/cm) 0.07dB/cm <1100℃アニール 0.15 0.045dB/cm 1270℃アニール Δ2.0%コア 0.10 1270℃アニール 0.05 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 1/ λ4 (μm-4) 図 2.2.3 高温熱処理によるコア側壁荒れ低減の効果 さらに低損失化を図るため、損失要因がコアとクラッドの線膨張係数差に起因した微小歪 であると推定して、コア形状および熱処理条件の改善を図った。その結果、コア幅を広げ、 熱処理時の冷却速度を最適化することにより、伝搬損失を当初目標の 0.02dB/cm 以下(波長 1.260~1.360、1.460~1.626μm)に低減できることを確認した(図 2.2.4 参照)。この値 は、Ge添加ガラス導波路において世界最高の水準である。 コアガラス膜エッチングの面内分布低減に関して、光回路加工精度ばらつきの主要因であ るメタルマスク膜のエッチング手法の改善を実施するとともにコアガラス膜エッチング条件 の検討を実施し、コアガラス膜エッチング後の光回路コアパターン加工精度±0.02μm 以下 を実現した。 63 波長 λ (μm) 0.10 導波路長:95cm 導波路長:95cm 測定波長:1.30 測定波長:1.30μm 1.5 1.3 1.4 1.2 Δ2.0%コア W W 0.08 0.06 (導波路コア幅 4.5μm) 冷却速度検討 0.08 0.04 0.02 従来 0.10 4.3μm 損失 (dB/cm) 損失 (dB/cm) 1.6 0.12 目標 0.06 0.04 検討後 偏光依存性 0 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 損失目標 0.02 (導波路コア幅 6.5μm) 導波路コア幅 W (μm) 0.00 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 1/ λ4 (μm-4) 図 2.2.4 コア形状および熱処理条件検討による損失低減の効果 (3)デバイスの試作検討 上記(1)、(2)で開発した光導波路用ガラス膜の形成技術および光回路形成技術の有 効性を確認するために、多入力・多出力のアレイ導波路型周回性波長フイルタの設計・試作 を以下のとおり検討した。 導波路のΔ=0.8%, チャネル数 24×24、チャネル間隔 100GHz にて、原理確認のための多入 力・多出力アレイ導波路型周回性波長フィルタの予備試作を実施し、周回特性が得られるこ とを確認した。また、今後問題となる損失ばらつき低減のための対策構造案を考案し、シミ ュレーションにより損失低減効果を確認した。 一方、伝搬損失を低減するためには、(2)で検討した通りコア幅の拡大が必要であるが、 高次導波モードの発生がクロストーク等の特性に悪影響を及ぼす。そこで高次モード除去の ためのモードフィルタの検討を行った。その結果、比屈折率差Δ2.0、3.0、4.0%において、 それぞれモードフィルタ部コア幅を 1.5μm、1.5μm、1.0μm とすることにより、十分な特性 が得られることを確認した。 上記損失低減検討結果を取り入れ、多入力・多出力のアレイ導波路型周回性波長フイルタ の試作を行った。その結果、チャネル数 32x32、チャネル間隔 100GHz において、挿入損失 4.5dB 以下、クロストーク-25dB 以下を実現した(図 2.2.5 参照)。 また、フィルタ素子の実用化において重要な波長分散および偏波モード分散特性について は、評価系の立ち上げを図り、系が正常に動作することを確認した。また、試作した多入力・ 多出力のアレイ導波路型周回性波長フイルタの評価を行い、波長分散±5ps/nm 以下、偏波モ ード分散 0.3ps 以下が得られることを確認した(図 2.2.6 参照)。 64 15 7 入力6 入力21 入力37 6 入力ポート21 5 損失 [dB] 損失 [dB] 10 4 3 5 2 42 1 … 出力23 0 1295 … 37 … 6 1 … 22 0 1305 1315 1325 0 4 8 12 16 波長 [nm] 28 32 36 多入力・多出力(32×32)アレイ導波路型周回性波長フイルタ試作結果(1) 偏波モード分散 波長分散 10 20 3dB帯域幅 10 2 5 0 -5 -10 相対損失 [dB] 5 波長分散 [ps/nm] 15 10 相対損失 [dB] 24 1.5 3dB帯域幅 5 1 0.5 偏波モード分散 [ps] 図 2.2.5 20 出力ポート番号 -15 0 -0.3 -20 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0 -0.3 0.3 相対波長 [nm] 0 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 相対波長 [nm] 複屈折低減効果 帯域内波長分散-1.2~-4.1ps/nm (目標≦±5ps/nm) 図 2.2.6 帯域内偏波モード分散0.13ps (目標≦0.3ps) 多入力・多出力(32×32)アレイ導波路型周回性波長フイルタ試作結果(2) 65 40 44 研究開発項目 ③高波長分散ナノガラスデバイス用ガラスの開発 【日本板硝子】 実施項目毎に成果を説明する。 1)ガラス膜材料作製技術 ナノガラス膜の成膜法として、蒸着法、イオンプレーティング法の検討を行った。通常の蒸着 法で成膜したナノガラス膜では、屈折率、消衰係数、膜厚等の長期信頼性が不十分であった。イ オンプレーティング法を用いることにより、長期信頼性に加えて、損失の低減、表面荒れの低減 等を図ることができた。 上記誘電体材料を用いて、波長 1.5μm 帯の高波長分散ナノガラスデバイス用の成膜条件の最適 化を行った。最適化に使用したナノガラス膜構成は、格子部多層膜と位相制御膜を持つ構造とし た。 シミュレーション結果と実測結果を図 2.(3).1).1 に示す。図よりシミュレーションと実測結果 はよく一致しており、設計通りの成膜ができていることが確認された。 次に、各層の膜厚を TEM により評価した。図 2.(3).1).2 に TEM 写真を示す。第 2 層から第 24 層までは、膜厚を固定した 2 層膜の繰り返しという設計になっている。TEM 写真からの膜厚評価 により、低屈折率膜の各層間の膜厚ばらつきが±3nm 以下、高屈折率膜の各層間の膜厚ばらつき が±2nm 以下であることが確認できた。なお、このナノガラス膜の合計膜厚は、3.2μm 以上であ る。 透過率(%) 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 LWPF/Ta2O5/SiO2測 定結果 LWPF/Ta2O5/SiO2シ ミュレーション 20.0 10.0 0.0 300 800 図 2.(3).1).1 1300 波長(nm) ナノガラス膜の透過率 66 1800 反射低減膜 高屈折層 率 ゙ LWPF 図 2.(3).1).2 ナノガラス膜の TEM 写真 2)微細加工技術 高波長分散ナノガラスデバイスは、基本構造としては深溝の透過型回折格子の形態をとってお り、ナノオーダーのリソグラフィ技術とナノガラスへの高アスペクト深溝加工が必要である。高 波長分散ナノガラスデバイス作製の具体的なプロセスフローを図 2.(3).2).1 に示す。石英ガラス 基板上にナノガラス各材料を成膜した後、電子線リソグラフィを用いたパターニングプロセスに より金属マスクを作製する。その後ドライエッチングによって所定深さまでの溝加工を行い、金 属マスクを剥離して、所望の溝格子形状を得る。このように作製工程を大きく分けると、成膜、 金属マスクパターニング、ドライエッチングから構成される。このような各工程を詳細に検討す ることで、溝深さと溝形状の制御性向上、散乱光の少ない加工面の実現、マクロな形状ばらつき (ピッチばらつきなど)の低減を図った。 ナノオーダーのリソグラフィとしては、電子線描画を選定した。電子線に感光する材料(電子線 レジスト)の選定、基板の洗浄方法、スピンコート条件や電子線描画条件あるいは現像条件を検討 することで、所定の周期でかつ欠陥の少ないパターニングを行なうことができるようになった。 ドライエッチング用の装置としては、高密度プラズマエッチング装置を選定した。プロセスガ ス、アンテナパワー、バイアスパワーの最適化により、側壁の垂直度が高く(90±2°以内)、か つアスペクト比の高い加工が行えるようになった。 以上のような検討を行った結果、目標とする周期でかつアスペクト比 5 以上の加工が安定して 行えるようになった。最終的に得られた加工形状を図 2.(3).2).2 に示す。 67 石英基板にナノガラス材 料を成膜 金属マスクのパターニング ドライエッチング 金属マスクの剥離により素子作製 図 2.(3).2).1 作製工程 5.7μm 図 2.(3).2).2 サブミクロンパターンの高アスペクトエチング結果 3)評価技術 ナノガラスデバイスの積層構造および表面形状は、断面TEMならびに干渉計により評価を行 なった。すでに1)節で示したとおり、ガラス膜積層構造を構成する各層を膜厚測定精度≦15n mで評価できている。また、フィゾー干渉計により、表面形状測定精度≦λ/10で評価できる ことを確認した。 回折効率、波長分散、偏波依存性、波長依存性等の光学特性評価方法について検討した。 デバイス評価系の基本構成を図 2.(3).3).1 に示す。チューナブルレーザーからの、所定の波長 の光をアッテネータ、偏波コントローラを介して、高波長分散ナノガラスデバイスに入射させる。 高波長分散ナノガラスデバイスからの回折光をディテクタにて検出する。このときナノガラスデ バイスに入射するビームの直径を約 2mm とすることで、直径 2.5mm 以下の微小な領域の光学特性 を評価できるような構成とした。 回折効率は、サンプルがないときに直接ディテクタに入射する光量に対する回折光の光量の比 68 として測定することができる。また、回折光の角度からは波長分散が求められる。 偏波コントローラを操作し、ディテクタ受光量の最大値、最小値より、TM、TE 波の光強度を求 め、偏光依存性を求める。 以上の測定をチューナブルレーザーの波長を変えながら繰り返し測定することで、各特性の波 長依存性を測定することができる。 可変 アッテネータ チューナブル レーザ -1次 回折角 β ディテ クタ 偏波 コントローラ レンズ 入射角 α サンプル 0次 図 2.(3).3).1 光学特性評価系(手動)の基本構成 4)高波長分散光学素子の試作・評価 高波長分散ナノガラスデバイスを設計するためには、構成要素である深溝回折格子、位相制御 膜、裏面反射防止構造のそれぞれの素子設計およびデバイス全体の光学系設計が必要である。 設計としては、構造がシンプルな(基板/回折格子/減反射層)を用いて、動作の実証を行っ た。試作サンプルの光学特性を図 2.(3).4).1 に示す。波長帯域 1460~1640nmに亘って回折効 率 85%以上を得た。また、波長帯域 1530~1640nmの偏光依存損失(PDL)0.2dB 以下を得た。 これにより、広帯域に渡り従来の反射型回折格子では得られない良好な特性が得られることが実 証された。 さらに、波長帯域を限定し、回折効率の向上を目的に設計、試作を行った。膜構成を変更する ことで回折効率のピーク波長を波長帯域の中心にシフトさせ、さらにプロセス面では格子部誘電 体膜の屈折率変動まで考慮した設計を行うことにより、波長帯域全域で回折効率 96%超(最大回 折効率 98%)かつ PDL<0.05dB の特性を持つ回折格子を作製することができた。 (図 2.(3).4).2) 超小型分光器の設計および原理確認から、光学系部分(レンズと回折格子)が 9×9×4mm以 内に収まる分解能 5nmの超小型分光器の設計が可能であることが分かった。 ベンチテストによりモジュールが設計どおりに動作することを確認した上で、実際に分光器の 作製し評価を行なった。 超小型分光器の概念図を図 2.(3).4).3 に示す。光ファイバー、コリメータレンズ、高波長分散 ナノガラスデバイス(透過型回折格子)、集光レンズ、フォトディテクタアレイ(PDA)から構成 69 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1440 1 0.8 0.6 0.4 PDL(dB) 回折効率(%) される。 実際に試作した分光器では、筺体が必要となるので、外形サイズ 36×18×10mmとなった。作 製した超小型分光モジュールのフィルタ特性、隣接 ch クロストーク、PDL を測定し、波長分解能 5nm、隣接 ch クロストーク約 8-10dB であることが分かった。 (図 2.(3).4).4) またモジュー ルの光電変換効率は計算から求められる効率より 40-60%ほど悪く、コリメータとPDAの調芯 ずれ、及び反射・散乱ロス等が原因と推測されるが、詳細の解明は今後の課題である。 max min PDL 0.2 1490 1540 波長(nm) 0 1640 1590 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1500 1520 1540 1560 波長(nm) 1580 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 1600 図 2.(3).4).2 高効率化を狙った場合の試作結果 70 PDL(dB) 回折効率(%) 図 2.(3).4).1 高波長分散ナノガラスデバイス試作品光学特性 TM TE PDL 9mm ナノガラスデバイス ファイバ 9mm コリメータレンズ 集光レンズ 4mm PDアレイ 図 2.(3).4).3 超小型分光器の概念図 0.40 0.35 光電変換効率(A/W) 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00 1460 1480 図 2.(3).4).4 1500 1520 1540 波長(nm) 1560 1580 超小型分光モジュールの光電変換効率 71 1600 ch1 ch2 ch3 ch4 ch5 ch6 ch7 ch8 ch9 ch10 ch11 ch12 ch13 ch14 ch15 ch16 ch17 ch18 ch19 ch20 ch21 ch22 Ⅳ.実用化、事業化の見通しについて 1.実用化、事業化の見通し 詳細内容は非公開とする。事業原簿 非公開版を参照 研究開発項目①: 高密度DVDについては、日立社は、取り組み 2 年目以降、社内組織を見直・実用化に向 けた各部署の役割を明確化し、実用化推進のため、主担当研究員の中央研究所への長期出張 研究等を実施した。現在開発サンプルを自社他事業部及び他社に提供し、性能チェック等を 受けているところである。 実用化するに当たっては、社内における技術開発の他、他社との連携を視野に入れた規格 制定が必要である。ドライブ、媒体技術を含めた技術セットを完成させ、規格化を推進する。 さらに将来の光ディスクはアプリケーションが重要になるので、同時に検討を進める。 研究開発項目②: 光導波ナノガラスデバイスについては、研究開発で得られたノウハウを実生産ラインに取 り入れ、品質の改善、コストダウンにも取り組み、既に大きな実績を上げている。また、開 発した多入力・多出力のAWG試作品をメーカーにサンプル提供しており、これが採用され れば、事業化を大きく推進できる。 研究開発項目③: 高波長分散光学素子については、日板社は、曖昧であった商品化の具体的イメージを明確 にし、ユーザーの模索を 2 年目から積極的に行い、3 年目には、実用化を目指した組織に改 定し、実用化の体制を整えた。現在 nanotech2005,2006 展示会等を有効活用し、積極的にユ ーザーへのサンプル提供を展開し、性能チェック等を受けているところである。これが採用 されれば、事業化を大きく推進できる。 72 Ⅴ.成果資料 1.nanotech2006 におけるデバイス用高機能化ナノガラスプロジェクト(ナノガラス技術と の合同)展示結果 (1)NEDOホームページ NEDOのホームページに平成18年2月21日~23日に東京ビックサイトで開催された nanotech2006 総合展示会の開催報告が以下のように公開されている。 nano tech 2006 ~国際ナノテクノロジー総合展・技術会議開催~ 1.nano tech 2006 NEDO 技術開発機構(以下、NEDO)は、2006 年 2 月 21 日(火)から 2 月 23 日(水)まで 3 日間、東京ビッグサイト東 4・5・6 ホール及び会議棟において開催された「nano tech 2006 国 際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(以下 nano tech 2006)においてナノテクノロジー 関連のプロジェクトを出展しました。 また、同時開催された「nano week 2006」において、「NEDO サンプルマッチングミーティ ング事業」と「NEDO シンポジウム:ここまできた!ナノ計測の世界」を NEDO の主催で開催 しました。 本年で 5 回目を迎える nano tech 2006 は、国内 265 社、海外 120 社(韓国、台湾、ドイツ、 イギリス、フランス、アメリカ等 17 カ国と諸地域)が出展し、 「ナノバイオ Expo 2006」 、 「新 機能性材料展 2006」、「ASTEC2006」が同時に開催されたこともあり、来場者数は過去最高の 45,868 名で世界最大級の展示及び商談会の場となりました。本会議の国内外における関心度 は非常に高く、新聞、テレビなどマスコミ関係者も多数見られました。 2.nano tech 2006 における NEDO の展示と「NEDO 賞」の表彰 今回の展示会では、NEDO ゾーンとして 22 ブース(60 小間)をナノテクノロジー・材料技 術開発部(以後、ナノテク部)及び機械システム技術開発部で運営しているナノテクノロジ ー関連のプロジェクトについて出展しました。ナノテク部での平成 17 年度終了の全プロジェ クト(9 案件)も含め、プロジェクトの出口へ向けての成果の発表の場として活用しました。 各プロジェクトのブースでは多くの来場者を迎え、多種多様な質問への対応に大わらわでし た。それぞれの成果はユーザーサイド企業の海外ナノテク関係者から高い評価を受け、事業 化へ繋げるための有意義な意見交換を行うことができました。また、会場のメインシアター や NEDO ナノテク部ブースではプロジェクト成果の広報ビデオ等を放映し、プロジェクトの成 果を紹介するとともに NEDO の活動や意義についても多くの方々に知っていただくことがで きました。 また、展示会の最終日には「NEDO 賞」の表彰が「nano tech 大賞 2006」に引き続き、メイ ンシアターで行われました。この NEDO 賞は、2 月 21 日および 22 日の NEDO ゾーンへの来場 者のアンケートに基づき、独創性・新規性の観点から高い評価を受けた独創技術賞、実用化 可能性の観点から高い評価を受けた有望技術賞、また、新規性・独創性・実用化可能性の観 点から最もインパクトの強いものであると認められた最優秀技術賞の 3 賞を NEDO ゾーンに出 展している技術の中から選出するものです。本展示会では、独創技術賞として「ナノ粒子の 合成と機能化技術」、有望技術賞として「ナノコーティング技術」、最優秀技術賞として「ナ ノガラス技術」の 3 つのプロジェクトがそれぞれ受賞され、NEDO 技術開発機構 本城理事か ら代表者に表彰盾が授与されました。 注) 1.上記文章はNEDOの下記ホームページより抜粋、転記した。 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/focus/22/1-1.pdf 2.上記本文中の最優秀技術賞は、ナノガラス技術でもらっているが、ナノガラス3プロジ 73 ェクト(ナノガラス技術、デバイス用ナノガラス、ディスプレイ用高強度ナノガラス) の合同展示の結果として受賞した。 (2)展示会写真 2.ナノガラス展示(高密度 DVD、周回性 AWG) 1.ナノガラス展示 3.ナノガラス展示(高波長分散) 5.表彰盾(最優秀技術賞) 4.最優秀技術賞授与式 表彰盾 賞状内容 2.論文、口頭発表 発 表年月 日 2003年10月10日 発 表媒体 日経ナノテクフェア 2003 (招待講演) 発 表タイ トル 発 表者 ナノテクノロジーへの取り組み(新技術の開発、 三輪崇夫(日立) 産官学連携状況等) 2003年11月5日 ISOM’03 (International Nanolinear change of optical properties Symposium on Optical and super resolution effects on optical Memory) disks of Co3O4 thin films 2003年11月17日 Nano-Technology Seminar (米国) 2003年11月20日 2003年12月4日 山本浩貴(日立) The greatest change of refractive 鍛示和利(日立) index in the world (Nano Glass Thin Film) 無機高分子クローズドセミナー ナノガラス技術と大容量光ディスクへの 山本浩貴(日立) 応用 MRS2003 Fall Meeting Nanolinear change of optical 山本浩貴(日立) (Material Research properties of Co3O4 films induced by nanosecond laser irradiation Society) 74 NONLINEAR OPTICAL PROPERTIES OF 山本浩貴(日立) COBALT OXIDE THIN FILMS 平尾一之(京大) 2004年9月26日 XX International Congress on Glass 2004年9月 映像情報メディア学会 光超解像による光ディスクの大容量化 誌 2004 年 9 月号 田中修平(NGF) 2004年11月3日 2005年3月発刊 (提出:8月30日) 2005年11月10日 Journal of the CERAMIC SOCIETY of Japan これだけは知っておき たいファインセラミッ クスのすべて 改訂第 2版 未来材料 (提出:10月19日) 2005年11月18日 2005年1月13日 (提出:10月7日) 2005年3月31日 (提出:1月10日) 東京工業大学学位(博 士)論文 山本浩貴(日立) Epitaxial growth of Co3O4 thin films on 山本浩貴(日立) MgO(100)single crystal substrates 「家電とセラミックス・DVDメディア」 山本浩貴(日立) 高密度光ディスク用集光機能性ナノガラ 百生秀人(日立) ス薄膜 山本浩貴(日立) 内藤 孝(日立) Nanostructure and optical properties of cobalt 山本浩貴(日立) oxide thin films with super resolution effect on optical disk with high recording density Large angular disppersion nano-glass 引地奈緒子(日板) device for optical measurement 仲間健一(同) 池内一智(同) 有馬靖智(同) Eighth International Symposium on Contemporary Photonics Technology (CPT2005) 第 52 回応用物理学関係 広帯域・高角度分散回折光学素子の作製 連合講演会 池内一智(日板) 仲間健一(同) 引地奈緒子(同) 有馬靖智(同) 小山正(同) 2005年3月 (提出:1月19日) 2005年6月発刊 (提出:2月28日) 2005 年 9 月 8 日 2006 年 3 月 8 日 村山明宏(東北大) Relation between Nanostructure and Optical 山本浩貴(日立) Nonlinearity of Co3O4 Thin 平尾一之(京大) Films 田中修平(NGF) ナノマテリアル技術大 大容量光ディスク用コバルト酸化物系超 山本浩貴(日立) 系「第1巻ニューセラミ 解像薄膜のナノ構造と光学的特性 ックス・ガラス編」 2005 年応用物理学会 高Δ石英系 PLC の低損失化 駒野 晴保(電線) Jpn. J. Appl. Phys. OFC/NFOEC 2006 Fabrication and investigation of fast response 田中 variable optical attenuator on silica substrate 康太郎(電線) 3.その他成果普及(展示会、プレス発表等) H15 年 10 月 28 日 NHK 「おはよう日本」で放映 「高密度DVDについて」 H16 年 1 月 5 日 産経新聞 記事「DVD容量 14 倍に」 H16 年 1 月 8 日 ダイヤモンド社 『月刊ダイヤモンドLOOP』2004 年 2 月号に掲 載「高密度DVDのナノガラス薄膜」 H16 年 3 月 17 日~19 日 nano tech2004 国際ナノテクノロジー総合展に出展 「高密度DVD」 H16 年 6 月 19 日~20 日 第3回産学官連携推進会議の展示会に出展 経済産業大臣賞を受賞 75 高密度DVD用集光機能ナノガラス薄膜の開発(日立):「高密度DVD」 H17 年 2 月 23 日~25 日 nano tech2005 総合展示会に出展 ①高密度DVD用集光機能ナノガラス薄膜の開発(日立):「高密度DVD」 ②光導波ナノガラスデバイス用ガラスの開発(電線):「周回性WDMフイルタ」 ③高波長分散ナノガラスデバイス用ガラスの開発(日板):「超小型分光器」 H17 年 5 月 12 日~22 日 愛知万博「モリゾー・キッコロメッセ<光未来展>」出展 「高密度DVD」 H17 年 9 月 9 日~25 日 愛知万博「NEDO パビリオン」出展: 「高密度DVD」 (下記写 真参照) H18 年 1 月 30 日 日本経済新聞社 日経ナノビジネス 2006.1.30(No.30 号)に掲載 「特集 デバイス用ナノガラスプロジェクト」 H18 年 2 月 21 日~23 日 nano tech2006 総合展示会にナノガラス3プロジェクト(ナ ノガラス技術、デバイス用ナノガラス、ディスプレイ用高 強度ナノガラス)で出展し、NEDO ゾーン「最優秀技術賞」 受賞 ①高密度DVD用集光機能ナノガラス薄膜の開発(日立):「高密度DVD」 ②光導波ナノガラスデバイス用ガラスの開発(電線):「周回性WDMフイルタ」 ③高波長分散ナノガラスデバイス用ガラスの開発(日板):「超小型分光器」 H18 年 1 月 17 日~7 月 21 日 TEPIA 第 18 回展示「最先端技術展」出展 「高密度DVD」 愛知万博 NEDO 展示館展示物(高密度DVD) 4.特許リスト 詳細内容は非公開とする。事業原簿非公開版を参照。 (特許出願件数) ①高密度DVD用集光機能ナノガラス薄膜の開発(日立製作所):5件(うち外国1件) ②光導波ナノガラスデバイス用ガラスの開発(日立電線):7件 ③高波長分散ナノガラスデバイス用ガラスの開発(日本板硝子):8件(うち外国2件) 76