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2013年度版

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2013年度版
№ 14
2014 年 5 月発行(2013 年度版)
(社)日本建築構造技術者協会
埼玉
http: //www.jsca-saitama.com/
JSCA埼玉の運営にあたり、会員の皆様・賛助会員の皆様・行政並びに各団体の皆様に多
大なる御協力を頂いたことを、心より感謝申し上げます。
今後ともJSCA関東甲信越支部「JSCA埼玉」をよろしくお願い致します。
2013
2013 年はアルジェリア人質事件で幕を開け、日本のTPP参加、富士山の世界文化遺産登録、楽天田中 21
連勝のプロ野球新記録樹立などがあり、アベノミクスという言葉が語られ、期待と懐疑の中で日本経済の
立て直しの試みが始まりました。そして、現実に目を向けると紛争や災害そして大きな事故が世界を覆っ
ています。もちろん日本も例外ではないどころかその当事者として、その渦中にいます。そんな中での明
るい話題は 2013 年 9 月 8 日に 2020 年夏のオリンピックの東京開催が決定したことでしょうか。わたし的
には久しぶりに日本人に大きな明るい目標が出来たことを歓迎せずにはいられない出来事でした。
話しは急に変わりますが、広報委員会からやや大きめのお知らせがあります。あるはずのない巨費?を投
じ、この度JSCA埼玉のホームページが一新されました。この機会に是非何度でもJSCA埼玉のホー
ムページにアクセスして頂き、その内容をご確認頂けることを願う次第です。
上部にも記載がありますが改めてこちらへ。
http: //www.jsca-saitama.com/
1
恒例の地震の記録
地球上から全く地震がなくなってしまったら、私たちはちょっと困ることになりますが、2013 年も数々の
地震が発生しています。
日本(震度階 5 弱以上)
01 月 28 日
茨城県北部
M(マグニチュード) 4.9 震度階 5 弱
01 月 31 日
茨城県北部
M 4.7
震度階 5 弱
02 月 02 日
十勝地方中部
M 6.5
震度階 5 強
02 月 25 日
栃木県北部
M 6.2
震度階 5 強
04 月 13 日
淡路島付近
M 6.3
震度階 6 弱
04 月 17 日
三宅島近海
M 6.2
震度階 5 強
04 月 17 日
宮城県沖
M 5.8 震度階 5 弱
05 月 18 日
福島県沖
M 6.0 震度階 5 強
08 月 04 日
宮城県沖
M 6.0 震度階 5 強
09 月 20 日
福島県浜通り
M 5.9
震度階 5 強
11 月 10 日
茨城県南部
M 5.5
震度階 5 弱
12 月 31 日
茨城県北部
M 5.4
震度階 5 弱
世界(マグニチュード 7.0 以上)
01 月 05 日
アラスカ沖
M 7.5 アメリカ
02 月 06 日
ソロモン諸島
M 8.0 ソロモン
04 月 16 日
イラン南東部
M 7.8 イラン
04 月 20 日
中国四川省
M 7.0 中国
05 月 24 日
フィジー諸島付近
M 7.4
05 月 24 日
サハリン近海
M 8.2 ロシア
07 月 08 日
ニューギニア付近
M 7.3
ニューギニア
09 月 24 日
パキスタン南部
M 7.8
パキスタン
09 月 26 日
ペルー沿岸
M 7.2 ペルー
10 月 15 日
フィリピン付近
M 7.2
フィリピン
10 月 16 日
ニューギニア付近
M 7.1
ニューギニア
フィジー
2
2013年度(2013.04.01~2014.03.31)のJSCA埼玉の各委員会活動です。
【総務委員会】
1) 定例役員会の開催
2) 各委員会主催の講習会、セミナーの準備補助
3) JSCA埼玉総会の開催
4)JSCA埼玉総会後の講演会の開催
演題:「航空会社整備部門の活動を通じた安全・安心の顧客価値創造」
講師:全日本空輸株式会社(ANA)整備センター品質管理保証部
部長
黒木英昭氏
5) JSCA本部との連絡及び協議
6) 建築基準法改正に伴う各行政庁及び指定確認機関等との協議
7) 彩の国既存建築物地震対策協議会に参加
8)埼玉県と締結済みの「民間建築物の耐震化」についての支援及び協力体制の充実
9) 埼玉県住宅供給公社主催「戸建て住宅の液状化特別相談」の相談員派遣
【事業委員会】
1) DVD講習会の開催
日時
2014月1日31日(金)
場所
さいたま市大宮区中部公民館
「建築物における天井落下対策に係る技術基準の解説」
(一社)建築性能基準推進協会 作成 DVD
参加人数:16名
2) 技術講演会の開催
日時
2014月2日13日(木)
場所
川越市東上パールビルヂング
「今後の建築構造の向うところ」-過酷な地震動への備え-
講師:早稲田大学
創造理工学部
建築学科
曽田五月也
教授
参加人数:54名研修旅行の計画(全会員対象)
3) 研修旅行の開催
研修旅行の実施
日時
2014月3日28日(金)~3月29日(土)
仙台市~石巻市における耐震改修建物見学、被災建物と復興状況の視察
JSCA東北支部との交流会・懇親会
参加人数:12 名
3
【広報委員会】
1) JSCA 埼玉ホームページのリニューアル及びレンタルサーバーの移転と Facebook 等による広報の拡充
2) 会員に対するメールアドレス(ユーザー名@jsca-saitama.com)の作成及び発行
3) 会誌「JSCA 埼玉だより」の発行
(JSCA 埼玉ホームページよりダウンロード配布)
4) 会員のメールアドレス、リストメンバーの管理
5) 会員に対するメール連絡による情報提供
【渉外委員会】
1) 2013年 6月 7日(金) 総会後、賛助会員と懇親会を行う。
2) 2013年 6月14日(金) 賛助会年会費の納入案内。(請求書郵送)
3) 2013年11月01日(金) JSCA埼玉主催による工法・技術製品セミナーを開催
「JSCA埼玉賛助会員による各種工法及び構造解析ソフトの紹介・説明」
場所 川口市民ホールフレンディア
(参加人数45名)
その後、懇親会を行う。(参加人数34名)
4) 2014年 2月28日(金) JSCA埼玉会員と賛助会員との懇親会 (参加人数32名)
【耐震委員会】
1) 2013年
7月27日(土) 液状化の勉強会 第1回目
2) 2013年
9月21日(土) 液状化の勉強会 第2回目
3) 2013年 11月16日(土) 液状化の勉強会 第3回目
4) 2013年 11月30日(土) 委員会の開催
5) 耐震委員会ホームページの更新
6) 耐震委員会メーリングリストの開始
Vigo
4
2013 年度 JSCA埼玉 研修旅行 in 東北
2014 年3月28日~29 日
事業委員会
3月 28 日(金)晴れ
■耐震改修建物見学
①東北大学(星陵)医学部3号館~免震レトロフィット:1階柱に免震装置を設置
築 45 年 SRC造地上 12 階地下 1 階
【竹中工務店
現場所長の説明】
躯体以外は全面改修 完成も間近。
【1 階柱頭部
養生中の免震装置】
②東北大学(片平)材料・物性総合研究棟~制震レトロフィット:揺れ止めにダンパー
■建物見学
せんだいメディアテーク:鋼管トラス構造のチューブ柱で支える鉄骨フラットスラブ構造
■JSCA東北支部との交流会・懇親会
【尾田代表の挨拶】
【チューブ柱】
3月 29 日(土)晴れ
■被災建物と復興状況
①石巻市立大川小学校
②石巻市日和山公園
③女川町江島共済会館
④女川町旧女川交番
【大川小学校
【標高約 60mの日和山から、かつては住宅が立ち並ぶ市内を望む
5
】
渡り廊下】
【江島共済会館】
2014 年 4 月現在、会の活動主旨に賛同して頂いております法人の皆様は、下表の 30 社です。
お問い合わせの際には、「JSCA埼玉の〇〇です。」をお忘れなく!
法
人
名
担当者名
岡部㈱
上手
清秀
㈱三誠
北関東営業所
㈱テノックス
営業第二部営業課建築一課
千代田工営㈱
技術営業部
宮川
浩昌
一木
大介
㈱北雄産業
小川
幹彦
ユニオンシステム㈱
田之上
川越
㈱アーバンソイルリサーチ
昇
泰彦
服部
㈱角籐
さいたま営業所
㈱トーヨーアサノ
埼玉営業所
隆
渡辺 芳博
山本
ジャパンパイル㈱
林
三谷セキサン㈱
埼玉営業所
㈱アイ・イー・エル
埼玉営業所
雄昌
裕司
山下
厚裕
宮本
忠興
千代田ソイルテック㈱
福田
隆之
サイシン基業㈱
傳田
卓生
前田商事(有)
前田 涼
日鐵住金建材㈱
床商品営業部
赤丸
日立機材㈱
村上
生和テクノス㈱
㈱
建築構造センター
ムツミ産業(株)
一郎
賢一朗
向原
誠一
鈴木
宏夫
斉藤 和夫
アースプラン(株)
菅原
敏康
ISエンジニアリング(株)
猪股
稔孝
6
TEL
FAX
03-3624-5336
03-3624-5237
048-813-6612
048-813-6615
03-3455-7790
03-3455-7683
048-642-5252
048-648-0899
03-3636-1811
03-3636-9555
03-3352-6121
03-3352-6310
048-810-1151
048-810-1152
048-642-6808
048-642-6807
048-644-7431
048-644-0609
048-796-7770
048-710-6255
048-866-7300
048-866-1706
048-994-2755
048-994-2766
048-995-9876
048-995-9803
048-688-9660
048-688-9670
042-352-8228
042-352-8229
03-3630-2149
03-3630-2159
03-3615-5435
03-3615-6081
048-864-1731
048-864-2365
03-6413-5777
03-3350-1261
048-831-3032
048-824-1775
048-767-1555
048-767-1557
03-5614-5883
03-5614-5886
法
人
名
担当者名
伊田テクノス(株)
西田
仁
㈱袋内興業
小嶋
直樹
㈱リアス
木村
匡秀
㈱鹿島技研
斉藤
正憲
斉藤
広樹
㈱サムシング
埼玉支店
(有)ユニード
岩崎 和仁
ブリヂストン化工品東日本㈱
免震・制振営業部1課
鈴木
重邦
矢作建設工業㈱
太田
恭央
TEL
FAX
048-720-4888
048-720-4880
048-290-4777
048-290-4778
03-5959-0102
03-5959-0103
0475-80-8221
0475-80-8222
048-956-3649
048-956-1148
048-085-2177
048-085-2177
03-4590-7001
03-4590-7021
048-642-3287
048-642-3288
(順不同にて敬称は略させて頂きました)
★
ホームページに関して
この度リニューアル致しましたホームページですが、たくさんの方々がアクセスして頂けるホームページ
にしたいと思っていますで、ご要望等ありましたら遠慮なくお知らせください。連絡先はホームページ担
当の広報委員会(メールアドレス
★
[email protected])まで、よろしくお願い致します。
メールアドレス無料取得に関して
JSCA埼玉ドメイン名取得にともなって希望者(JSCA埼玉会員限定)には無料でメールアドレスを
発行いたします。アドレスは
[email protected]
となります。「user」の部分を自由に設定が出来
ます。(但し、希望者から同じアドレスが出てきた場合は先に取得した方が優先となります)取得希望の方
は希望アドレスを明記の上メールにてお知らせ下さい。
問い合わせメールアドレスは[email protected]となります。
★
賛助会員の皆様へお願い
JSCA埼玉のホームページに賛助会員のみなさんのホームページをリンクしたいと思っています。つき
ましては、会社のホームページアドレスをメールにてお知らせ頂きたいと思います。連絡頂いた賛助会員
の方から、随時、載せさせていきたいと思います。また、商品紹介などありましたら、掲示板があります
ので書き込み等もお願いしたいと思います。
連絡先メールアドレスは[email protected]となります。
7
念願の仙台研修旅行
尾田
2011 年 3 月 11 日
金曜日
文雄
午後 2 時 46 分
それは私にとって一生忘れられない時となった。東日本大震災の発生である。
川越の事務所兼自宅で週末の昼下がりの幾分気だるさの中で仕事をしながら過ごしていた。
突然激しい揺れに襲われた。近年にない相当激しい揺れだが木造 2 階建ての家は幸い悲鳴を上げてはいな
いしちょうど築 20 年になる新耐震設計の木造でもあるしいつものように間も無く収まるだろうと高をく
くっていたら、予想を超えて更に激しい揺れが始まった。
そうすると居ても立ってもいられなくなり 2 階の仕事場から 1 階に降りて玄関のドアを開け外に出てみた。
隣近所の皆さんも全員外に出ていた。更に揺れは激しくなり恐らく 3 分以上経過したと思うが、そのうち
地面がグルグルと回り始めた。この経験は生まれて初めてだったので、言いようのない恐怖が襲ってきた。
それから更に 1 分以上経過したところでようやく揺れが収まった。
あれだけの揺れにも拘わらず我が家には全く被害が無かったのが摩訶不思議な出来事であった。積んで置
いた本が崩れたりはしたがその程度である。
一頻り近所の方とお互いの無事と家の無事を確認し合ってから我家に戻ったが仕事どころではなかった。
早速テレビをつけ、震源が仙台東方沖の太平洋プレートもぐりこみ部分であることを確認しテレビの画面
に映し出されたマグニチュードの数字を見て暁天した。M9 である。
息子は都内の会社から帰れなくなるし本震のような余震が夜中じゅう起きていたので朝まで眠った気がし
なかったことを覚えている。
それから以降は多くの日本人の方と同時体験のことである。結局、3.11 の震災・津波・何万という悲劇を
世界中の人が見て、感じて、悲しんで、同時体験したのである。
あれから 3 年以上の時間が経過した。私も東北、特に仙台は事務所を独立する前に何回となく訪れた町だ
ったので人事ではなかったが、3 年間、訪れる機会が来ず、恥ずかしながら、なかなか視察と称して気楽
にカメラを持って私は行けなかったのである。
3 年の間に様々な事実を知り、自分なりに理解して情報を整理し、頭の中だけは準備万端になってやっと
カメラを持って訪れることが出来るようになった。
前置きが長くなったが、そして今年の 3 月末の仙台研修旅行である。その伏線として、JSCA 東北支部の加
藤支部長に私から直々に連絡して、2012 年の暮れに埼玉にお越しいただき、同支部の会員の方々が必死の
思いで纏め上げられた震災被害調査報告の講演をお願いした経緯がある。この時、加藤支部長から是非仙
台に来て実際に色々見てくださいとのお誘いを頂き 2013 年の 3 月の研修旅行で訪れようかと考えたがこの
時は時機かなわず、2 年越しの思いがこの 3 月に実った。3 月 28 日、29 日の二日間で仙台・石巻・女川の
町を見、地元の人の話を聞き、思いに耽りつつ巡礼の様に回ったのである。
一日目の夜に加藤支部長を初めとして 12 名もの仙台支部会員の方々から仙台の町で心の篭ったもてなし
を受け、夜多くまで同業に携わる者同士で仕事上の悩みや JSCA の活動を続けていく上での課題等、諸々に
ついて互いに熱く語らせて頂いた。とても感謝しております。
8
私にとって収穫だったのは、埼玉と仙台で活動の歴史も抱える問題も異なるものの、一致する点があった。
加藤支部長、井戸川副支部長を初めとする仙台支部の方々は皆さん一様に今後の行く末をお考えになって
いるということである。後継者養成問題である。
日々の構造設計(=仕事)は勿論一番大事なことであるが、構造設計に携わる優秀な若き人材をしっかり
と見つけていくこと。そして僭越な言い方だが、その人材に我々のスキルと経験と失敗をきめ細かく伝え
て我々を凌駕する立派なプロの構造設計者になってもらうように努力していく事も一方の大事な柱である。
と改めて確信した。
色々な感慨に耽った 2 日間であった。誠に充実し、発見に溢れた最高の研修旅行であったと思っている。
仙台は酒と肴と・・に恵まれた土地であり私にとってはその意味でも忘れがたき研修旅行となった。
最後にこの旅行を半年前から計画して実現していただいた事業委員会の皆様及び仙台でお世話になった東
北支部の方々、竹中工務店、コンステックの方々など全ての方々に心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。
女川での記念写真
9
石巻の日和山から石巻港を臨む
大川小学校の鉄筋の渡り廊下破壊状況
10
JSCA埼玉会員のみなさんこんにちは。
今回は 2011 年に構造設計を完了し 2012 年に現場監理で現地を訪れた Pakistan 国の Punjab 州立技術短期
大学建築学科棟及び機械室棟の建設工事現場監理業務を通して知り得た Pakistan 国の治安事情を含む体
験談を書いて見ようと思います。建設地となった Lahore (ラフォール)は、かつては Mughal 帝国の首都で
あり現在は Islamabad へ遷都したものの、Pakistan 国では Karachi に次ぐ第 2 の都市として約 1000 万人
の人口をかかえる東部インド国境沿いに位置する歴史ある古都です。
Islamic Republic of Pakistan
現場は Lahore の中心地にあり、Lahore 駅は現場から東に約 300m の位置にあります。駅に近いこともあっ
て現場の前の通りは多くの Pakistan 人が行き交います。このゾーンは昼夜問わず治安があまり良くないら
しく私の滞在中は歩くことは禁じられましたので、大学研究室訪問やコンクリート圧縮試験の立会いや食
事等、近くても全て運転手付きの車移動でした。日本でも新聞記事となりましたが 2012 年 4 月 24 日には
Lahore 駅で無差別爆弾テロが発生し死傷者が出ました。その時の爆発音は現場にも聞こえて来たそうです。
常駐監理者の宿舎(民間の借家の地下室)の客間を間借りして 1 週間程過ごしましたが、昼は現場で不在で
したので不明ですが夜の停電は不規則な時間に毎日あり、建物には非常ベルが備わっていました。この宿
舎は現場から車で 30 分程離れた Pakistan 軍施設の近くにあり、治安の関係でこの場所が選ばれました。
また、外に出たら写真撮影も被写体には注意を払う必要が生じ、女性や空港や軍関連施設(不明なものもあ
り)は写せません。大きなスーパーやレストランへ入る時もセキュリティチェックがありました。街中には
モスクがたくさんあり、現場にて業務中もアザーンと呼ばれる礼拝への誘いが街中に備え付けられた拡張
器から間断なく流れていました。
これまでの記述からは危険な国との印象を持つ方もいるかと思いますが、一般の Pakistan 人はもちろん普
通に生活をしています。また、滞在中に私は具体的な危険を感じたことはありませんでした。
Pakistan 国には宮崎駿監督作品の「風の谷のナウシカ」のモデルとなったフンザ村があり、日本人観光客
も訪れているようです。また、世界最高峰のトップ 10 の半分は Pakistan 国にあるそうです。
ここで建設工事に関して少し触れてみます。
建築学科棟は耐震壁付き鉄筋コンクリート造ラーメン構造 3 階建(PH1 階)、機械室棟は鉄筋コンクリート
造ラーメン構造 1 階建としています。耐震壁を除けば日本国と同様に現地でも一般的な構造です。
建築学科棟は地盤改良を柱状改良にて施工しましたが、この試みは Pakistan 国初だったようです。関連機
材は日本から海路で運び、関係人員は日本から派遣されました。現地は 5 月から 9 月末頃までは日中の最
高気温が 40 度を超える暑さとなる為、ワーカーの健康管理を考慮し 12 時から 15 時までは昼休みとし、コ
ンクリート打設等の時間を空けることの出来ない大掛かりな作業は夜から朝までの間に行われました。ま
た、この国は石細工と左官の技量はとても高いとの話を聞きましたが、その辺りがコンクリート斫りの技
量にも確かに表れています。日本の設計監理及び現場管理手法は大学関係者等に少なからず興味を持たれ
たようです。大学の建築学科機械学科学生の課外授業としての現場見学会が延べ 13 回約 1000 人に対して
行われ、Lahore 建築家協会等への現場説明会も開催されました。いずれも熱心な態度で話に聞き入り質疑
11
も活発だったようです。建設工事関連写真を後項に添付します。
短期滞在でしたので Lahore の現場付近以外は Pakistan 国を知りません。帰国日に世界遺産である Lahore
Fort という古城を VIP 待遇で案内して頂きましたが、その規模は広大で、大理石に埋め込まれた宝石が輝
く柱や屋根を支える動物装飾が帝国の栄華を今に伝えています。ささやかな緊張感を持った滞在と単身渡
航でしたので帰国日の深夜に Lahore 空港を離陸した時は少しほっとしました。
帰国後、国際交流協会日本語教室の生徒に偶然 Lahore 出身の女子留学生がいましたので、「Pakistan 人は
何故爆弾テロを恐れないのですか?」と尋ねたところ、「日本にも交通事故はありますよね。運が悪ければ
事故に遭います。爆弾テロは交通事故と同じです。」との答えが笑顔で返ってきました。
この場をお借りして Pakistan 国への現場監理に導いて頂いたプジェクトマネージャーW氏、現地で大変お
世話になった常駐監理者のK氏に厚く御礼申し上げます。
(広報委員/笠原雄次)
Lahore の通勤風景
Lahore の朝
12
夜の地盤改良 関連機器と材料は全て海路日本から運搬
Pakistan 国初めての地盤改良
夜のコンクリート打設(機械室棟) 日中の気温は 5 月から 9 月末頃までは 40 度を超える日も
13
ユニークな形状のスペーサー
圧接というものが存在しないため太物鉄筋も重ね継手
これぞプロの「斫り」 すばらしい!
遠景 ワーカーは全員 Pakistan 人
14
建築学科学生課外授業としての現場説明会
全景 2013 年 3 月末に無事竣工
15
早いものでJSCAさいたま便りも 14 号目となります。「建築構造士の雑コラム」等のパーツは時々担当
していましたが、編集後記は 3 年ぶり、全体編集に携わるのは 10 年ぶりです。
14 年の間に私たちを取り巻く環境は業務はもちろんのこと社会的にも大きく変わり、2007 年以降の法改正
による新制度の発足と共に私たちは構造設計者としての認知度の向上と責任のさらなる重さを手に入れま
した。
クライアントとの対話の機会も一層増え、建築業と無関係な一般の人々や法人の人々が自ら建てようとし
ている建物の構造設計というものについて、どのように考え何を期待しているのかを教えられることがあ
ります。機会があれば私は「JSCAってご存知ですか?」とクライアントに尋ねるようにしていますが、
「JICA」と良く間違われ苦笑します。時としてご存じの方がいた時などは、本部や各支部及び各サテ
ライトの代表や副代表を初めとする中枢執行部の方々と各役員の方々、そして、会員や準会員の方々の地
道な壮大なるボランティア活動の結果が少しずつ歩を進めていることを実感しています。
未曽有の東日本大震災を経験し、首都圏直下型地震や東南海地震の到来がめずらしくなくニュースになっ
ている今、
「建築構造」に一般の人々は関心を持っています。日本国唯一の建築構造設計監理技術者集団の
構成員として、より高みを見据え、社会の要求に答えていくことのバッターボックスに立つことが出来る
という特権が許されているのはどの人々?ということを忘れないようにしたいと思います。
なお、本稿を通して一部記述に年と年度が混在していますことをご容赦頂けると幸いです。
(文責/笠原雄次)
「JSCA埼玉」の活動・会員の交流活発化の一貫としてNETを通じ、このような「JSCA埼玉だよ
り」を発行しています。
内容の充実には皆様の参加が強い味方となります。
各種情報をお持ちの方や興味のある方はご協力をお願い致します。
広報委員会
矢沢秀周(委員長)・上原寛明・笠原雄次
Bilbao
高橋達夫・土屋明・山﨑光夫
会誌編集委員
上原寛明・尾田文雄・土屋明・笠原雄次
16
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