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松江市学校図書館支援センターだより
2015.3.16
NO.63
松江市教育委員会学校教育課 松江市学校図書館支援センター TEL:55-5073 FAX:55-5251
http://www1.city.matsue.shimane.jp/k-b-k/gakkou/
今日の読書こそ、真の学問である。
吉田松陰 [著],川口雅昭 編(2006)
『吉田松陰一日一言 : 魂を鼓舞する感奮語録』,致知出版社
松江市学校図書館支援センター研究会議
開催(報告)
1 月 30 日(金)に、松江市学校図書館支援センター研究会議が開かれました。市庁舎にある
教育委員会室で、7 月の第 1 回会議に続き、今回は第 2 回の開催です。
この研究会議は、会長である島根県立大学の石井准教授をはじめ、市内の8ブロックから委嘱
した校長先生、司書教諭、学校司書から成る 10 人の委員と支援センター事務局あわせて 17 人
で構成されています。
今回の会議では、まず、支援センター事業の報告(運営説明会、松江市学校図書館活用司書教
諭サポート事業、全体研修会、ブロック別研修、支援センター研究会議、学校司書新規・異動対
象校訪問、計画訪問、申請訪問の状況)があり、続いて学校司書の業務報告から集計した授業回
数などのデータ報告、物流システムの利用実績、そして、市立図書館の学校図書館支援の状況に
ついて報告がありました。
さらに、松江市小中一貫基本カリキュラム「図書
館を活用する学び方指導体系表」の改善について、
検討も行いました。年度当初から各校に改善提案シ
ートの提出をお願いして、1 月末までに支援センタ
ーへ寄せられた改善提案を見ながら、それぞれの立
場で、いろいろな角度から細かに検討していただき
ました。現在、支援センターでとりまとめの作業を
しており、新年度には「H27 年度版」として公表す
る予定です。なお、今回の改訂は、小学校の教科書
を参考にして行いましたので、今後、中学校につい
ても見直しを行い、平成 28 年度には小中一貫教育
の指導体系表として改訂版の完成をめざしたいと考えています。この体系表をもとに、各校が年
間指導計画を見直して、図書館活用教育の授業実践がより充実していくことを願っています。
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松江市学校図書館支援センター
今月のデータ
図書館活用教育にかかる学校訪問
授業の指導計画や実践、読書指導、配架レイアウト等についての相談を受けて、指導講師と支
援スタッフが学校訪問により出かけました。
(1) 計画訪問 ①新規雇用および異動のあった学校司書配置校
14 回
(2) 計画訪問 ②松江市司書教諭サポート事業実施校
10 回
(3) 申請訪問 希望により申請があった学校への訪問
15 回
合計 39 回
7月申請訪問・雑賀小職員研修会
3月申請訪問・古志原小4年授業
その他、ブロック別研修会等で 25 回以上の図書館活用教育に関わる学校訪問をしました。
平成 26 年 11・12 月度の報告書より
紙面の都合により校名は学校(ボックス)番号で末尾に表記しています
●子供たちの姿からの気づき
・全校朝会で校長先生が「小惑星探査機はやぶさ」の話をされたので、図書館で関連記事や本を
紹介したところ、低学年が関心を示して、本を借りたり、記事のまわりで話したりしていた。
先生方がされる本の紹介や話が、子供たちへ及ぼす影響力の大きさを感じた。(13)
・図書委員会の「読書まつり」の中で、3~6年生対象に「辞書引きコン
テスト」があった。各学年でタイムが速かった上位3人を期間内の毎日、
図書館内に掲示した。何度でもチャレンジできるので、だんだんタイム
が速くなり、昼休みなどはやる気満々で何度も図書館へ来ていた。
(15)
・3、4年生に百科事典の利用指導があった。アニメや国のことなど、知
っているようで知らないことなどをいろいろ探して楽しそうに学習していた。別の日に社会の
授業でわからない言葉があると、国語辞典と百科事典の両方で調べると言って図書館に来た子
供がいた。また、授業の初めに「(公立)図書館や別の小学校から借りているので大切に使うよ
うに」とひと声かけたので、子供同士で注意し合って使う様子が見られうれしく思った。(23)
・薦めても巻冊記号のない本には手を伸ばさない子供たちに、理由をきいてみたところ、「1巻
から読んで最後まで読んだら、やったぁ!って思うから」と、子供たちが達成感を求めてシリ
ーズ本を読んでいることがわかった。そこで、消えかかっていた巻冊記号を新しくしてみたと
ころ、自然に読み始めた。子供たちが環境整備の大切さに気付かせてくれた。(24)
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松江市学校図書館支援センター
・図書館利用指導のひとつが「図書館クイズ」である。初回は担任、司書教諭、学校司書で指導
し、それ以後は、休み時間などに児童が自主的に取り組めるよう図書館で学校司書が対応して
いる。ゆっくりと一人ひとりの力にあった支援ができるのも司書ならではと考える。一緒に答
え合わせをしていると、こちらにもわくわく感が伝わってくる。問題を解いていくうちに自分
の力となり、少しずつ回答用紙の文字が丁寧になっていく児童もおり、自信の表れととらえた
い。(29)
・3 年 生 の 読 書 集 会 を 行 っ た 。「 昔 話 を 楽 し も う 」 と い う テ ー マ で 、
教員によって趣向を凝らした本の紹介を行った。楽しい集会を行う
ことで読書意欲が高まり、紹介された本は予約が集中している。お
気に入りの本を求めて休み時間になると多くの児童が図書館にやっ
て き て 、 友 達 と に ぎ や か に 本 の 話 を す る 姿 が 見 ら れ た 。( 33)
・人権に関する本の展示をした。今年は学校の人権教育のテーマである「いじめ」をテーマとす
る本を多く展示した。廊下に長机を並べて展示していることもあり、他のテーマ展示に比べて
借りる生徒が少ないと感じていたところ、貸出手続きをしないで本を持ち出していることがわ
かった。「いじめ」というテーマは、借りていることを人に知られたくないという気持ちを生
徒にもたせたのかもしれない。もしそうなら「いじめに負けないで」というその本のメッセー
ジが届いていたらいいなと思った。(36)
・1 年 生 に 11月 か ら 読 書 ビ ン ゴ を 始 め た 。本 が 足 り な い く ら い 意 欲
的に取り組んでいる。1年部の先生から、選書の偏りがなくてよ
かったと評価してもらったが、借りることができる本が少ないの
で増やしてほしいとの要望もあった。2年生とジャンルが重なっ
ており、十分な量の確保ができないので、今後、ジャンルの変更
など検討したい。保護者からも家や公共図書館にある本で取り組
ん で も よ い か と の 問 い 合 わ せ が あ る 等 、 意 欲 的 に 取 り 組 ん で も ら っ て い る 。( 12)
・読 書 集 会 を 行 っ た 。読 書 委 員 会 に よ る 読 み 聞 か せ の 他 に 、新 企 画 で 6 年 生 に よ る 読
み 聞 か せ も 行 わ れ た 。1 か ら 5 年 生 を 6 年 生 の 人 数 に あ わ せ て 縦 割 り に し た グ ル ー
プ を 作 り 、6 年 生 は そ の グ ル ー プ の メ ン バ ー を み て 選 書 を し 、練 習 し て 本 番 に 臨 ん
だ 。読 み 聞 か せ の 間 も 、終 わ っ て か ら も 、と て も 温 か い 気 持 ち に な れ た 。後 日 6 年
生 が 読 ん だ 本 を 図 書 館 に 展 示 し た と こ ろ 、次 々 と 借 り ら れ て い っ た 。友 達 同 士 で 読
み 聞 か せ を す る 姿 や 、読 ん で も ら っ た 本 を 人 に 薦 め る 姿 も 見 ら れ た 。6 年 生 は「 緊
張 し た け れ ど 人 に 気 持 ち を 伝 え る こ と が で き た 」 と 喜 ん で い た 。( 23)
●図書館活用教育に係る動き
・6年生が「伝記クイズ」を作った。「子供たちにもっと伝記を読んでもらいたい」という担任
の思いがあり、公共図書館から『よ ん で し ら べ て 時 代 が わ か る ミ ネ ル ヴ ァ 日 本 歴 史 人 物
伝 』(山 岸 良 二 ほ か 、 ミ ネ ル ヴ ァ 書 房 ) を 借 り て 授 業 が 行 わ れ た 。 ひ と り で 何 枚 も
ク イ ズ を 作 る 子 供 た ち も い た 。 ま た 、「 こ の 人 物 は 16* * 年 生 ま れ 」 と 西 暦 を 聞 い
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松江市学校図書館支援センター
た 子 供 た ち が「 そ れ は 江 戸 時 代 だ ! 」と 発 言 す る な ど 、こ の 伝 記 ク イ ズ を 作 っ た こ
と で 、 社 会 科 の 勉 強 の 復 習 に も な っ た そ う だ 。( 8)
・レ フ ァ レ ン ス の 研 修 で 、資 料 を 元 に し た 返 答 を す る こ と 、資 料 を 探 す と き は 棚 の 場
所 を 教 え る だ け で は な く 利 用 者 と 一 緒 に 棚 ま で 行 く こ と 、レ フ ァ レ ン ス の メ モ を 取
っ て お く こ と な ど を 教 え て い た だ き 、と て も 勉 強 に な っ た 。実 践 し て い き た い 。
( 10)
・戦 時 中 の 配 給 制 に つ い て 調 べ て い た 6 年 生 の 児 童 が 、資 料 の 記 述 に 誤 り が あ る と 指
摘 し た の で 、出 版 社 に 確 認 し た 。誤 り で は な く 説 明 不 足 だ っ た こ と が わ か っ た と 同
時 に 、自 分 た ち の 誤 解 も わ か り 、よ り 深 く 学 ぶ こ と が で き た 。書 い て あ る こ と を う
の み に し な い で 読 む こ と が で き る よ う に な る た め に も 、こ う し た 調 べ 学 習 の 積 み 重
ね は 必 要 だ と 思 っ た 。( 12)
・美 術 の 時 間 。各 自 で イ ラ ス ト を 探 す 時 に 小 説 の 表 紙 イ ラ ス ト を 数 作 品 紹 介 さ れ た こ
と で 、 今 ま で 手 に 取 ら れ な か っ た 資 料 が 使 わ れ た こ と に 喜 ん で い る 。( 41)
・ 4 年 社 会 で「 島 根 県 」の 学 習 が あ り 、あ わ せ て 年 鑑 の 使 い 方 指 導 が あ っ た 。市 立 図
書 館 の セ ッ ト 本 で『 朝 日 ジ ュ ニ ア 年 鑑 』を 借 り て 使 い 、年 鑑 と は ど う い う も の か を
重 点 に 行 っ た 。初 め て 年 鑑 を 手 に す る 子 供 た ち が ほ と ん ど だ っ た 。と て も 興 味 を 持
ち「 い ろ い ろ な こ と が わ か る の で 、自 学 で 使 い た い 」と の 感 想 を 書 い て い る 子 供 も
い た 。( 19)
・3 、4 年 で 司 書 教 諭 に よ る 図 書 館 の「 分 類 に つ い て 」の 授 業 が
あ っ た 。と て も 楽 し い 授 業 だ っ た 。た と え ば「 牛 」に つ い て 知
る に は 、 5 類 ( 牛 肉 )6 類( 家 畜 ) 8 類 ( 漢 字 や 国 語 辞 典 、 牛
に 関 す る 熟 語 、 こ と わ ざ ) 9 類 ( 物 語 )、 さ ら に 牛 が 出 て く る
絵 本 も あ る と い う よ う に 、4 類( 生 き も の )だ け で は な く 多 岐
に 渡 る こ と を 発 見 さ せ る 。資 料 検 索 の 広 が り や 新 た な 発 見 に 湧
き 、 活 気 の あ る 授 業 だ っ た 。( 29)
・自 分 か ら 進 ん で 学 び た い 人 に 向 け て 、英 検・漢 検・数 リ ン ピ ッ ク を 元 に 、教 科 の 先
生 と 連 携 し て 図 書 館 で で き る 支 援 が 可 能 に な っ た 。情 報 セ ン タ ー 機 能 の ひ と つ と 考
え て い る 。( 43)
●図書資料等について
・4年生国語「くらしの中の和と洋」で使う資料は、和についての資料は集めやすいが、洋に関
する資料は毎年苦労している。『調べてみよう!日本の職人伝統のワザ』(学研)は、洋との比
較も掲載されていて使いやすかった。(14)
・中学1年国語「竹取物語」の学習で、生徒から「蓬菜山」とはどんな山かとのレファレンスを
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受けた。なかなか資料が見つからず、生徒と話しながら探したところ、
『中国 世界遺産の旅<4>』の中に「黄山」の項目で「仙人伝説とあ
いまって、古くから山水画などの文化芸術の源泉ともなった」との記
述をみつけた。(38)
・読書集会でブックトークをした。「言葉は伝える」をテーマに『おり
の中の秘密』(ジーン・ウィリス著,あすなろ書房)『秘密の道をぬけ
て』(ロニー・ショッター著,あすなろ書房)『日本の文字のふしぎふしぎ』(古藤友子 著,
アリス館)『舟を編む』(三浦しをん 著,光文社)『目でみることば』(おかべたかし,山出
高士 著,東京書籍)『俳句甲子園』(有馬朗人,黛まどか 著,NTT出版)の6冊を紹介した。
気持ちを伝えあえること、本を読めることなど言葉の大切さが伝わればと思う。(48)
・12月の人権週間には図書館でも人権に関係する展示をすることが多い。また、担任から読み聞
かせや授業で使う本のリクエストを受けることもある。昨年は『あの子』(ひぐちともこ著,
解放出版社)が好評だったが、今年は自己肯定感を持てる本ということで提供したところ、
『え
えところ』(くすのきしげのり,ふるしょうようこ著,学研教育出版)がよかったとのコメン
トをもらった。このような毎年使う可能性のある本はリストにするとよいと感じた。(3)
・6年国語「伝えよう、大切にしたい名言」で、児童が持っている副読本『わたしたちの道徳』
にも名言が載っており活用できる。(7)
・6年国語「子供句会を開こう」の学習で、俳句に入れる季語を調べるとき、歳時記や季語辞典
のほかに、朝日小学生新聞に紹介されている季語の記事をスクラップして使っているが、子ど
もに合った解説や例も紹介されているので使いやすいようだ。(9)
・人権に関する本の展示をしたら、子どもたちはノンフィクションに関心が多くあるようだった。
物語では『ハードル』(青木和雄,吉富多美 著,金の星社)のような、いじめや家族を描い
た物語が心に響いたという子もいた。(10)
・3年総合で「ホーランエンヤ」について調べる学習があったので、フ
ァイル資料を作成した。ホーランエンヤは、大人向けの資料や写真集は
あるが、子供向けの本はほとんどない。そこで、平成21年3月発行の「子
ども広報まつえ」のホーランエンヤ特集の記事をコピーした。また、ホ
ーランエンヤ伝承館のパンフレットと地元の方からもらった資料のコピ
ーでファイリングして30セット作成した。今回の学習でよく使われた資
料となった。(11)
・3年総合「松江の良さを見つけよう」の調べ学習で、『宍道湖・中海とラムサール条約』など
島根県環境生活部発行の資料が大変役に立った。(14)
・高学年でギリシア神話に興味を持つ子供に次の3冊を薦めている。『ギリシア神話』(石井桃
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子訳,のら書房)、『ホメーロスのオデュッセイア物語』『ホメーロスのイーリアス』(バー
バラ・レオ二・ピカード作,岩波書店)(24)
・5年で図書館活用教育研究授業があり、関西大学初等部で教えてもらったピラミッドチャート
が役立った。『思考力・構成力・表現力をきたえる はじめてのロジカルシンキング全4巻』
(偕成社)は、いくつかのチャートが紹介され、どんな場面での利用の仕方があるかがわかり
やすく解説してあり、子供向けだが教員の研究図書としておすすめである。(34)
・人権週間に読み聞かせを行うため、職員室に本を展示した。すると、思った以上に先生方が手
に取り読んで本を中心に話がはずんでいた。図書館から職員室へ展開したことで、日ごろなか
なか来館できない先生方にも資料に触れてもらうことができた。(39)
・1年学活「職業調べ」があった。タブレット端末を用意し、本で対応でき
ない部分を補うこととした。生徒はタブレット端末に興味津々で、とても
喜んでいた。原則は本で調べることで、本にないものは許可を得てタブレ
ットを使うことにしたので、混乱はなかったが順番待ちの列ができた。Web
サイトには、中学生対象の職業調べサイトがたくさんあった。(45)
・3年理科「宇宙」があった。調べ活動はパソコン教室と併用だったが、図書館のタブレット端
末を提供した。生徒は、本を見て調べたり、足りないところをタブレット端末で調べたりして
いた。(46)
●学園(中学校区)の連携、地域連携など
・親子読書の取組は、家庭から多くの反響があったようだ。子供たちからも「お母さんに読んで
もらったよ」「お母さんが読みたい本を借りてもいいですか」などの声を聞くことがある。家
庭での読書が広がることを期待したい。(31)
・中学校はそれぞれの学校で選書など迷いながら取り組んでいる。小学校と話し合う機会はある
ので、中学校で集まって図書館の運営や資料内容など情報交換する機会をもっと作らなければ
と思った。(36)
・保護者と地域の方にも貸出をしている。保護者面談の控室として図書館が
利用された。冬休みの貸出案内を伝えていたので、生徒を通じて借りたり、
館内を見学したりされ、よい機会になった。親子の会話に本が話題に出れば
と願う。(41)
【おしらせ】
今年度の RAINBOW は今号が最終です。ありがとうございました。来年度は、広報内容について
情報共有の方法を含めて見直し、4月の運営説明会でお願いする予定です。
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