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文 21世紀型 文理融合リベラルアーツ
女 子 大 生の袴は、 明 治の初め お茶の水 女 子 大 学の前 身 、 東 京 女 子 師 範 学 校 のころに 起 源 があり 、 大 正 時 代 に ブ ー ムに な り ま し た 。 いつ の 時 代 で も 、 ハイ カ ラ さ ん は 時 代 の 先 端 を 走 って い ま し た 。 21世紀型 文理融合リベラルアーツ 学生主体の新しい学士課程の創成 2 1 世 紀 のハイカラさんは 、あなたです 。 学 生 主 体 の 新しい 学 士 課 程 の 創 成 Fi n d i n g Yo u r O w n Way http://www.ocha.ac.jp/nsep/ 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1 http://www.ocha.ac.jp/ 2 1 世 紀 型 文 理 融 合リベラル アーツ http://www.ocha.ac.jp/la/ I l l u s t r a t i o n( 系 列テーマ、はいからさん)b y 横 山ふさ子 2013 ∼基 礎 力とともに知 的な自由 人を創る∼ 学際的、実践的な力を身につけることで専門力を活かした進路を開 拓するための教育プログラムです 基 礎 力とともに、知的な自由さを持った女性を創る 「 2 1 世 紀 型文理融合リベラルアーツ」 LA(リベラルアーツ) 専門教育 教養教育からリベラルアーツへ 文 理を融 合した 学 びを わたしたちを取り巻く世界は、 自然であれ技術であれ社会であれ、 さまざまな 教養教育 要素が複雑に絡みあっています。大学では、専門的な学術というナイフで、複 現象=テーマ 雑な現象を解析することを学びます。 しかし、全体を展望するには領域を横断し テーマを通して、LA科目のヨコの連関をつくる 専門とのバイパスができる た知識が必要になっています。文系の人にも科学技術の理解が、理系の人に お茶の水女子大学から世界に発信する文理を融合した学びで多様な進路を切り拓く。 21世紀は、知識や技術の専門化・多様化と社会のグローバル化が並行して進んでいます。 も人文社会の理解が不可欠になっています。文理融合リベラルアーツを学ぶ ことによって、教養教育 (リベラルアーツ) の科目と専門の科目との間に連関が 事象を科学の眼で見つめ直すこと、歴史(成り立ち) から理解すること、表現 の意味を考えること。それらは相互に結びついて、 わたしたちのものの考え方に 同時に国や文化が違う相手にも伝える必要があります。 イクルのさまざまな場面で遭遇する困難を突破する力を与えてくれます。ひとり リベラルアーツ キャリア 専門教育・専門科目 新しい光を投げかけてくれます。その知的発見の積み重ねは、女性がライフサ 発信・判断・実践力 リベラルアーツ (広義) ひとりが生涯にわたって活き活きと生きていくための「お茶大リベラルアーツ」 の誕生です。 専門 文理融合リベラルアーツ (テーマ別科目群) 基礎講義 (法学、 経済学、 政治学、 数学など) 現代は、高度な専門教育を支えこれを使いこなすために、発信・交渉能力、 外国語 情報 キャリア科 目 そこでは、私たちが学ぶ知識は、専門的でないと役にたちませんし、 これまで大学では、専門教育の前段階として、教養教育を行ってきました。 カリキュラムの3つの柱 生まれ、領域を横断した視野が獲得されます。 スポーツ健康 領域横断的な視野、変化に対応する判断力を養う必要があります。 知識そのものの基礎であり、生涯をとおして、 現 代 世 界 の カ ギ とな る 5 つ の テ ー マ 学ぶことが、 「21世紀型文理融合リベラルアーツ」の目的です。 新プログラム「文理融合リベラルアーツ」では、文系理系にまたがる5つの テーマ (生命と環境、色・音・香、生活世界の安全保障、 ことばと世界、 ジェン 生命と環境 ダー) に沿って、講義、討論、発表、演習・実験・実習を組み合わせた系列科目群 国際性・学際性・専門性 21世紀社会における必要性 知識・技術の専門化・ 多様化 (分散化) 発信・交渉能力 Communication 社会のグローバル化 (国際化と一元化) をつくり、 自然・人文・社会の3つの角度から多面的に学びます。 色・音・香 文系理系に またがる つのテーマ 5 高度な専門教育 Specific 相手に伝えないと 役にたたない 役にたたない 演習・実験・実習を通して、読み・聞き・書き・語り・作るという5つの能力を養成 します。演習では、 テーマに関連するテキスト (書物や論文) を読み、発表・討論 し、 レポートを書くことで、読解力や表現力を高めます。例えば「生命と環境」や 「色・音・香」 では、海の生物を採集し観察する実験やおいしさを作り出す実習 生活世界の 安全保障 専門的でないと ジェンダー ことばと世界 で、 自然の仕組みや生活技術を体感します。 「生活世界の安全保障」では、 NPOでのインターンシップなどを通して、実践力を養成します。 いずれも21世紀の世界の鍵となるテーマです。 どの系列でも文理双方から 問題を問いかけ、 ここを 「切り口」 として知識と経験を広げ、主題を根源から理解 することがゴールです。 領域横断的な視野 変化に対応する判断力 Trans-disciplinary Far-sighted 文理融合リベラルアーツ 学術的&国際的視野をもち リベラルアーツ コミュニケーションを通じて問題解決ができる実践力 専 門 力 を 活 かし た 多 様 な 進 路 を 切 り 拓 く このような教育プログラムは、 ひとつのキャンパスに人文学、社会科学、 自然科学の3つの系列の教員が 集うお茶の水女子大学だからこそ、可能なのです。大学1∼2年生の段階で 「文理融合リベラルアーツ」に よって学際的で実践的な力をつけることによって、専門力を活かした多様な進路が切り拓かれます。 01 02 生 命と環 境 色・音・香 生 命を守るための 環 境 へ の 配 慮 (認識, 働きか け e t c . )を行うために必 要となる、 「 複 眼 」的 視 野 の 導 入を図ります 。 色・音・香という身 近な感 覚 、感 性を共 通 の 切り口とし、 自然 の 原 理と我 々の 文 化 、社 会について学 びます 。 前世紀、空前の環境ブームが起こり、生存の場としての環境の重要性が認識 色・音・香という身近な感覚、感性を共通の切り口とし、人間 (生物) は自然 され、人々は環境との良好な関わりを保つことこそが、生命活動の確保に欠かせな 界や社会的、文化的情報をいかに認識、受容し、利用していくのか、 また社会 いことを知りました。 的、文化的情報として蓄積していくかを探求し、広く人間と自然、 そして社会と 感性・人間 の相互作用についての理解の視点を養います。 生命と環境との関わりを深く理解し、 その上で新たなる共生の方法を創成する 自然・物質 演習 色・音・香とは ことが、21世紀を生きる我々に課せられた重大な使命であると考えられます。 「生命と環境」の科目群では、実体験を通して多くの知識に触れることを重視し 色・音・香の本体は物理学や化学を使って自然科学的に説明できるもので ています。学問の緒に着いた学生にとって重要なことは、 まずは経験と、体験で す。 また、人や生物がそれらを受容し、認識する最初の過程は生物学、生理学 す。 これらを通して、 「 知識の引き出し」 を増やし、知的好奇心を育むことだと考えま 的なものです。 実習 実験 物質・環境と人間生活 す。これをもとに、生命を守るための環境への配慮を行うために必要となる、 「複 しかし、 その作用や影響は自然科学的であるだけでなく、社会、文化的な分野に広く及びます。色・音・香は、服飾、住居、食物といった私たち 眼」的視野の導入を図ります。 の生活様式や文化に大きく関わっていることはいうまでもなく、音楽、美術などの芸術、 さらには宗教、心理、発達といった人間の内面や行動様 ■生命とは何か 式までにも大きな影響を与えています。 現代科学における生命像、生命倫理、生物としてのヒトとはどのようなものか、 という問題を取り上げ、 生命を多角的に捉えることを目指します。 科目名 担当教員 ここでは色・音・香を通じ、 自然現象とその法則を学ぶとともに、人間 (生物) は自然界の情報や社会的、文化的な情報をいかに認識、受容、 時間割 生命と環境1 生命の科学 理学部:生物学科 濱中 玄、廣瀬 慎美子、垣内 康孝 貞光 千春、吉村 和也 後期 金 3/4限 生命と環境2 生命倫理と法 生活科学部:人間生活学科 デ アウカンタラ マルセロ 後期 金 3/4限 生命と環境3 多様性生物学 理学部:生物学科 服田 昌之 後期 月 1/2限 生命と環境4 生物人類学 生活科学部:人間・環境科学科 松浦 秀治、近藤 恵 後期 水 1/2限 利用していくのか、 また人間と自然そして社会との相互作用についての理解を学びます。 科目群の構成としては、講義科目10科目、演習科目4科目よりなります。 講義科目は、 自然・物質としての色・音・香を取り扱う (自然科学系) 4科目、人間・感性・文化といった視点 (人文科学系) からの4科目、物質・ 環境と人間生活といった視点 (文理融合) からの2科目からなり、演習科目は、 「感覚の科学」、 「おいしさのサイエンス」 (実習を含む) 、 「音を読 む、創る」、 「感覚の歴史を読む」の4科目からなります。感性とモティベーションを高め、楽しく学んでいきましょう。 ■生命を取り巻く環境:自然環境 ヒトの営みとは無関係に存在する環境(自然環境) を取り上げ、天体としての地球とそこで繰り広げられる多様な環境の出現を扱います。 科目名 担当教員 科目名 時間割 生命と環境5 生命と環境の化学 理学部:化学科 近藤 敏啓、小川 温子 前期 金 3/4限 生命と環境6 惑星地球の科学 理学部:物理学科 竹内 拓 後期 水 3/4限 生命と環境7 大気と水 文教育学部:人文科学科 長谷川 直子 後期 金 3/4限 担当教員 色・音・香1 分子から見た色と香り 理学部:化学科 色・音・香2 生命と色・音・香 理学部:生物学科 益田 祐一 山田 眞二 H26年度開講 最上 善広 自然・物質 ■生命を取り巻く環境:文化環境 作田 正明 前期 水 1/2限 近藤 るみ ヒトとの関わりのもとで育まれる環境(文化環境) を取り上げ、 ヒトの文化の多様性とそれを育む環境の多様性、地域と風土、 さらにはそれらとの共生の問題を扱 います。 科目名 担当教員 生命と環境8 文化と環境 文教育学部:人間社会科学科 棚橋 訓 生命と環境9 地域と風土 文教育学部:グローバル文化学環 熊谷 圭知 生命と環境10 開発と共生 文教育学部:グローバル文化学環 荒木 美奈子 時間割 H26年度開講 H26年度開講 後期 水 3/4限 感性・人間 湾岸生物教育研究センター (千葉県館山市) での合宿実習を通し、生命誕生のリアルタイム体験、海浜生物環境のフィールドワーク等を経験します。あらかじめ大塚 キャンパスでの予備実習 (顕微鏡観察の基礎等) を行うことで、初心者でも実習に参加できます。 また、 自然環境の計測法を学ぶことで、環境の成り立ちを理解する 「気 物質・環境と人間生活 色・音・香の物理学 理学部:物理学科 菅本 晶夫 色・音・香4 コンピュータが創る色と音 理学部:情報科学科 伊藤 貴之 前期 水 1/2限 色・音・香5 情緒と発達の心理学 生活科学部:人間生活学科 高濱 裕子 後期 水 1/2限 色・音・香6 色・音・香と生活文化 生活科学部:人間生活学科 徳井 淑子 前期 金 3/4限 色・音・香7 舞踊における色・音・香 文教育学部:芸術・表現行動学科 中村 美奈子 H26年度開講 色・音・香8 宗教と色・音・香 文教育学部:人文科学科 未定 H26年度開講 色・音・香9 おいしさと色・音・香 生活科学部:食物栄養学科 文教育学部:人文科学科 象観測 (演習) 」 も行われています。 この他に生命科学や環境問題、環境保護活動などを扱うディベート方式の演習も用意されています。 科目名 担当教員 時間割 生命と環境21 基礎生命科学 (実習) 理学部:生物学科 最上 善広、清本 正人、和田 祐子 生命と環境22 海洋環境学ダイビング (実習) 理学部:生物学科 清本 正人、服田 昌之、千葉 和義 生命と環境23 環境保護活動リサーチ (演習) 理学部:化学科 森 義仁 前期 月 3/4限 生命と環境24 生命科学と環境問題 (演習) 理学部:生物学科 古田 悦子、宮本 泰則 前期 水 3/4限 生命と環境25 気象観測 (演習) 文教育学部:人文科学科 長谷川 直子 生命と環境26 地図を読む (演習) 文教育学部:人文科学科 水野 勲 前・後期集中 夏季集中 演習・実習 月 3/4限 村田 容常 古瀬 奈津子 H26年度開講 安成 英樹 色・音・香10 知覚認知と環境デザイン 生活科学部:人間・環境科学科 松田 雄二 後期 月 1/2限 色・音・香21 感覚の科学(演習) 文教育学部:人間社会科学科 時田 みどり 前期 水 3/4限 色・音・香22 おいしさのサイエンス (演習) 生活科学部:食物栄養学科 福留 奈美 前期 月 3/4限 色・音・香23 音を読む、創る (演習) 文教育学部:芸術・表現行動学科 前期 水 3/4限 色・音・香24 感覚の歴史を読む (演習) 文教育学部:人文科学科 前期 月 3/4限 H26年度開講 前期 H26年度開講 色・音・香3 ■生命・環境を「体験する」 03 時間割 永原 恵三 小坂 圭太 神田 由築 04 生活世界の安全保障 こと ば と 世 界 私たちの生 活を脅かす 危 険 。そして、危 険を克 服し、安 全を回復・維 持 する努力。人間社会の営みを危険と安全の相克としてとらえ、私たちの 生き方や命のあり方を見つめ直します。 人間の取り巻く世界(人間社会や自然界) を、人間は、 どのようにして記述し、 どの ように伝えてきたのでしょうか。 自然言語、数学言語、 さらには、 コンピュータ言語な どの仕組みと働き、 および、記述された世界について、多面的に考えていきます。 人間の生活世界には、 日常の衣食住にまつわる事件・事故から、大 “ことば” は世界とどのような関わりを持つのでしょう。 “ことば” は何を表 災害や戦争のような脅威まで、多様な危険がひそんでいます。私たち し、我々はそれによって何を表現しているのでしょう。この系列では、次のよ は、 これらの多様な危険に対処し、安全に生活を送るために、 さまざま な社会的・技術的・文化的な装置を作り出してきました。 しかし、 そうし 日常生活の安全保障 安全の基礎条件 演習 読む うなカテゴリーから考えていきたいと思います。 演習 自然 安全とは た装置が、 かえって危険を増幅したり、抑圧や不平等を招いてしまうこ ともあります。また時代が進むにつれ、テクノロジーの発展によって克 実習 コトバとは 実験 服された危険がある一方で、 グローバリゼーションの中で新たな脅威 理論 が生まれたりもしています。この系列の科目では、安全を守るために何 ■ことばの 理 論 グローバリゼーションの中の安全 が必要なのか、 を考えることを通して、社会、技術、文化の相互関係を 言語そのものに関する議論です。言語の理論は高校で習う 「文法」 だけではありません。 より抽象化された論理学、言語の使われ方を通して社会を考える言語社会学、 乳幼児が言語を獲得していく過程を扱う発達言語学、 自分の言語ではない第二言語を習得していく過程を分析する言語習得論など、 いろいろなジャンルが存在します。 とらえ直し、同時に生命としての人間のあり方を考察します。 科目名 ■日常生活の安全保障 現代はリスク社会だと言われるように、 日々の暮らしの中にも、多くの危険がひそんでいます。労働、家族、情報社会などの観点から、生活の安全を維持・回復するしくみ について考察します。 また、 そうした社会的な取り組みが歴史的にどのように行われてきたのかについて、 振り返って考えます。 科目名 担当教員 時間割 生活世界の安全保障1 生活の中の危険と安全 生活科学部:人間生活学科 高梨 千恵 後期 水 3/4限 生活世界の安全保障2 情報社会の安全保障 文教育学部:人文科学科 中川 晋一 後期 金 3/4限 生活世界の安全保障3 リスクの社会史 文教育学部:人文科学科 新井 由紀夫・他 H26年度開講 担当教員 ■グローバリゼーションの中の安全 日本語論 文教育学部:言語文化学科 半沢 幹一 後期 月 ことばと世界2 言語の習得と発達 文教育学部:人間社会科学科 上原 泉 前期 水 1/2限 ことばと世界3 論理学 文教育学部:人文科学科 三浦 謙 後期 水 3/4限 ことばと世界11 文法と意味 理学部:情報科学科 戸次 大介 前期 金 3/4限 ことばと世界12 知能環境論 教育開発センター 半田 智久 後期 水 3/4限 ■ことばを読む 担当教員 時間割 文化の記号学 文教育学部:言語文化学科 大塚 常樹 グローバル化する現代世界では、 かつてとは異なる新たな危険が生じることがあり、 その対応にもグローバルな視点が求められています。暴力、戦争、貧困と開 ことばと世界5 日本文学 文教育学部:言語文化学科 大塚 常樹 発、公害、化学物質、資源など、国境を超えた諸問題を、安全保障の文脈で学びます。 ことばと世界6 海外の文学 文教育学部:言語文化学科 佐藤 普美子 担当教員 時間割 生活世界の安全保障4 平和と暴力 文教育学部:グロ−バル文化学環 小林 誠 生活世界の安全保障5 開発と共生 文教育学部:グロ−バル文化学環 荒木 美奈子 後期 水 3/4限 生活世界の安全保障6 社会技術革新学概論 ライフワールド・ウオッチセンター 増田 優 前期 隔週 水 5/6限 7/8限 H26年度開講 人間の生活を守る基礎的な条件は、 そもそも何なのでしょうか。人間が存在する物質世界の性質、生命体としての人間、健康維持、生活環境といった問題点から、危険 と安全を考察します。 また、社会の中で脅威を受けやすい存在である弱者に注目し、 人間生活の安全を再考します。 科目名 担当教員 3/4限 文学作品を中心とした、言語による表現を解読します。 しかし必ずしも対象は 「文学」 に限定される必要はありません。新聞記事であれマンガであれ、言葉で表現されたも のは、 時に著者本人も意図しないような何かを表してしまっているものだからです。高校「国語」 とは違った流儀の「読み方」 が展開されていきます。 ことばと世界4 ■ 安全の基礎条件 後期 水 3/4限 H26年度開講 後期 月 3/4限 ■自然を記 述することば 科学とは、実は “ことば” で自然を記述する行為のことです。 そこでは我々の日常会話とはもちろん違ったレベルの “ことば” が必要となります。数学、物理学、化学などが いったいどのような語り方を考案することによって自然に迫っていくのか、具体例を通して考えて行きます。文系の人も、 「自分は理系ではないから…」 と尻込みせずに、 日 常的感覚が大きく更新される体験を味わってください。 科目名 担当教員 時間割 ことばと世界7 数理のことば 理学部:数学科 真島 秀行 後期 水 3/4限 ことばと世界8 自然のことば 理学部:物理学科 曺 基哲 前期 水 3/4限 ■ 情 報としてのことば 情報とは現実世界をあらわす “ことば” のことです。 ヒトは情報を介して世界を知る生物です。膨大な情報を処理しなくては、世界の実像を知ることはできません。 その意味で、情 報学は諸科学の知の基礎をなしています。 また、情報化時代における生活の基礎をなす 「作法」 としての情報能力を養うことも、 このカテゴリーの目的の一つとなっています。 時間割 科目名 担当教員 時間割 生活世界の安全保障7 現代物質文明の履歴 理学部:化学科 森 義仁 生活世界の安全保障8 ゲノム時代の健康管理 遺伝カウンセリングコース 未定 ことばと世界9 コンピュータの言語 理学部:情報科学科 淺井 健一 後期 月 3/4限 生活世界の安全保障9 水の安全保障 生活科学部:人間・環境科学科 大瀧 雅寛 前期 水 3/4限 ことばと世界10 グローバル化社会を生きる 文教育学部:言語文化学科 加納 なおみ 後期 金 3/4限 生活世界の安全保障10 社会的弱者の存在論 文教育学部:人間社会科学科 宝月 理恵 前期 水 1/2限 ◆ 演 習・実 習 前期 月 1/2限 H26年度開講 科目名 ◆演習・実習 科目名 05 時間割 ことばと世界1 科目名 科目名 情報 実習 担当教員 時間割 生活世界の安全保障21 歴史のなかの危機とその克服 (演習) 文教育学部:人文科学科 安田 次郎 前期 水 3/4限 生活世界の安全保障22 教育における危機 (演習) 文教育学部:人間社会科学科 池田 全之 前期 水 3/4限 生活世界の安全保障23 NPOインターンシップ (実習) グローバル協力センター 福井 美穂 生活世界の安全保障24 リスク管理 (演習) ライフワールド・ウオッチセンター 増田 優 生活世界の安全保障25 地図を読む (演習) 文教育学部:人文科学科 水野 勲 通年不定期 前期・後期 水 11/12限 前期 月 3/4限 担当教員 時間割 ことばと世界21 情報科学 (演習) 理学部:情報科学科 冨樫 雅文 前期 水 3/4限 ことばと世界22 数理のことば (演習) 理学部:情報科学科 萩田 真理子 前期 水 3/4限 ことばと世界23 自然のことば (演習) 理学部:物理学科 菅本 晶夫 前期 水 3/4限 ことばと世界24 ことばを探る (演習) 文教育学部:言語文化学科 伊藤 さとみ 前期 月 3/4限 ことばと世界25 ことばを読む (演習) 文教育学部:言語文化学科 谷口 幸代 前期 水 3/4限 ことばと世界26 計算機のことば (演習) 理学部:情報科学科 未定 ことばと世界27 手話学入門 (演習) 生活科学部:人間生活学科 下城 史江 ことばと世界28 日本語の方言 (演習) 文教育学部:言語文化学科 吉田 雅子 H26年度開講 前期 月 3/4限 H26年度開講 06 履修方法 ジ ェンダ ー 性別に関係なく充実した幸福な生活を営める社会にするために、何を考え、 どう研究すればよいかを学ぶ、 ジェンダー視点の導入です。それによって在 学中の専門分野の研究に新しい視野を吹き込み、卒業後の進路において は新しい知の担い手として、 イキイキと活躍する国際人になりましょう。 演習・実習・実験 科目を選ぶ 初回ガイダンス Web履修抽選! 履 修 登 録 1~2年生を 中心に 計画的に受講 講義科目を選ぶ 「人は女に生まれない、女になる」とシモーヌ・ド・ボーヴォワールが語っ 系 列 履 修 認 定 政治経済と人間 てから半世紀以上たっていますが、まだまだ世界の仕組みは「女」になった り「男」になったりするように人々を誘導しています。そう、ジェンダーは社会 演習 や文化によって形づくられた性別です。そして少子高齢化社会に突入してい る日本では、また人やモノやカネが国境を越えて移動しているグローバル化の 文化メディア 時代には、ジェンダーは以前よりもっと巧妙にわたしたちの人生や生活のなか ジェンダーとは 実習 テクノロジー 実験 に入り込んでいます。他方で「 、愛する」 かたち (セクシュアリティ) の多様性や、 「産む」ことにまつわるテクノロジーの進展は、自由や解放とともに、反発や グローバル化 問題の複雑さももたらしています。今を生きるジェンダー学を学びましょう。 ◆文理融合リベラルアーツ科目群は、 コア科目のなかのグループとして設定され、 コア科目の単位として認定されます。 ◆各系列の授業科目には、 「講義」 と 「演習・実習・実験」の2種類があり、双方を組み合わせて、知識と実践力を高めます。 ◆「講義」 は隔年で、 「演習・実習・実験」 は毎年同じ科目が開講されます。 ◆各系列の科目のうち、任意の5科目 (10単位) 以上を履修した場合に、 申請に基づき、成績証明書に 「系列履修認定」 が明記されます。 ◆演習・実習・実験科目については、履修者数に制限がありますので、初回ガイダンスのあとに履修抽選を行います。 抽選では、1年生の希望者を優先します。 する 科目履修に関 ■政治経済と人間 市場経済の進展がジェンダーにまつわってケアや福祉や消費や家庭経済をどのように変容させているのか、 また家庭や社会のなかの暴力がジェンダーの視点でどう法 制化されているかを考えます。 科目名 担当教員 ジェンダー1 政策とジェンダー ジェンダー研究センター 未定 H26年度開講 ジェンダー2 グローバル経済とジェンダー 文教育学部:グローバル文化学環 足立 眞理子 H26年度開講 ジェンダー8 政治・政策とジェンダー ジェンダー研究センター 申 琪榮 後期 水 3/4限 理系の授業 文 系 学 生でも Q 映画や美術や文学やマンガやミュージックなどのポップカルチャーが、 ジェンダーやセクシュアリティをどう描いているのかを考えます。 『タイタニック』や『冬ソナ』 で泣いているあなたは誰? 時間割 ジェンダー3 映画とセクシュアリティ 文教育学部:言語文化学科 未定 ジェンダー4 アートとジェンダー 文教育学部:人文科学科 天野 知香 H26年度開講 後期 水 ひとつ Q A か? できるのです としていま 、自 由に履 修 は 目 科 義 門は15 名 ) 講 名 、手 話 学 入 ルアーツの 30 ラ は ベ 。た プ リ ッ 合 シ ー 融 文理 をしてください NP Oインタ ■グローバル化 意味をもつことになるかを考えます。 科目名 担当教員 Q ジェンダー5 宗教文化とジェンダー 文教育学部:グローバル文化学環 三浦 徹 グローバル化/ローカル性とジェンダー 文教育学部:人間社会科学科 棚橋 訓 録 上 限を20 名( 出 席し、履 修 登 は、履 修 者 数の 望する講 義に 目 希 科 の 験 分 実 自 ・ 。 習 せん 演 習・実 。 の 制 限はありま 意してください には履 修 者 数 、開 講 年 度に注 で の す ま り すが 、講 義 科目 な 年 開 講に のほとんどは隔 ですか? だし、講 義 科目 が、内容は同じ A 時間割 ジェンダー6 H26年度開講 前期 金 3/4限 生命と環境21 A 生殖科学はわたしたちに何をもたらすのでしょう、 また従来の科学の枠組にはどんな前提があったのでしょう、 そして一見、無関係に見えるインターネットとジェン ダーの関係などを考えます。 科目名 担当教員 時間割 ジェンダー7 テクノサイエンスとジェンダー ジェンダー研究センター 高橋 さきの ジェンダー9 生殖テクノロジーとジェンダー ジェンダー研究センター 柘植 あづみ 後期 月 3/4限 H26年度開講 生 命と環 境 22 Q 科目名 07 担当教員 時間割 生活科学部:人間生活学科 藤崎 宏子 前期 月 3/4限 ジェンダー22 文化メディアとジェンダー (演習) 文教育学部:言語文化学科 武内 佳代 前期 月 3/4限 ジェンダー23 開発・社会変動とジェンダー (演習) 文教育学部:グローバル文化学環 平野 恵子 前期 月 水 3/4限 ジェンダー24 テクノロジーとジェンダー (演習) ジェンダー研究センター 舘 かおる 前期 水 3/4限 は、どうすれ 、抽 多い場 合には 選を行います。 プ」 インターンシッ ザイン科目の「 デ ア リ ャ キ 、 」と ンターンシップ アーツの「NP Oイ ル ラ ベ 卒業単 リ 合 文理融 学 共 通 科目で ? アデザインは全 か リ ャ す キ で 、 の が も す は同じ 科目で2単 位で ◆演習・実習 福祉・エコノミーとジェンダー (演習) 海 望する場 合 グ( 実 習 )を希 ン ビ イ ダ 学 洋環境 さい。受 講 者が に出 席してくだ ) 示 指 途 別 は (日時 ガイダンス A ジェンダー21 す 講されるようで 期に集中で開 後 ・ 期 、海 浜 生 物 の 前 、 は ) 実習 宿 実 習を行い 基礎生命科学( ンターでの 合 で クラスを選ん 物 教 育 研 究セ の 都 合 の良い 本 学の湾 岸 生 分 る 自 あ 。 に す 市 で 山 習 ークな実 す。千 葉 県 館 するというユニ 内 容は同じで リアル 体 験を の 生 誕 命 生 クや フィールドワー 。 う ょ し ? 履 修しま ばいいですか Q ■テクノロジー か? 利になります けると何に有 う 修し を 定 認 て 修し 5科目以 上を履 指しています。 から5科 目を履 解することを目 の 系 列 テーマ 明として、 ーマを深く理 たことの証 的に学んでい 、同 時にそのテ て し に 口 り に沿って体 系 切 マ を マ ー ー テ テ の 、 つ は 一 ほかに、 系列履修 自分の専 門の 定を得れば、 できます。 て系 列 履 修 認 と ールするこ が どの際に、アピ な 学 留 や 職 就 3/4限 グローバル化はどのように国境を超えてジェンダーの仕組みを変えるのか、 またローカルな文化(たとえばイスラムのヴェール) はどのように国境を越えて政治的 場 合は、個々の ません。不 安な り あ 配 心 、 で ていますの ことを前 提にし 生が 受 講する ますか? についていけ 系と理 系 の 学 どの 授 業も文 い。 相 談してくださ 授 業で教員に A 担当教員 A 科目履 修して い。 一 系 列 内で何 同 、 が ん せ 満たしてくださ ま 必 要 単 位 数を 必 修ではあり の て し と 目 科 コア に沿って、 部の履 修 規 程 A ■文化メディア 科目名 & 各学 のですか? てもいいです。 いといけない な し 修 履 ず たがって履 修し ら ま を な 列 か 系 を 、 列 し す どれか系 もいいで Q 時間割 Q Q A ア ラルアーツはコ 文 理 融 合リベ 違うものです。 ません。 位には算 入され 08 授 業 紹 介 授 業 紹 介 生 命と環 境 Life and Environm e n t s 1 0 開発と共生 荒木 美奈子 [ 文 教 育 学 部 グローバル文 化 学環] 色・音・香 Color,sound and aroma 4 コンピュータが創る色と音 伊藤 貴之 [理学部 情報科学科] ※この科目は「生命と環境10」 と 「生活世界の安全保障5」の両方から履修が可能です。 □授業内容 □授業内容 本講義は次の3本の柱から構成されており、 「開発と共生」 というテーマについて多面的 僕の専門は 「色 (データの可視化:見えにくいものを擬似的に、 より分かりやすく見えるよう に学んでいきます。1) 1∼2年生が中心であり、文系・理系の双方からの受講生を対象とし にする) 」 なんですが、 趣味で 「音楽」 もやってまして。 この二つを組み合わせたり、 実演なども ているため、 まず初めにODA(政府開発援助)、JICA(国際協力機構)、 「 人間の安全保 取り入れたりして、 詳しくない人にもわかりやすいことを目指した授業を展開しているんです。 障」、 「ミレニアム開発目標」 など基本的な概念について概説します。2) 国際協力の第一線 難しいのは、興味のある学生には易しすぎ、興味のない学生には難しい、 そのバランスで で活躍されているゲスト講師 (JICA、外務省、NGO等) を数名お招きし、具体的な事例を織 すね。高校での情報教育が義務化されたにもかかわらず、 その内容に各校で偏りやバラツキ り交ぜながら、平和構築、環境、農村開発など各分野における活動や課題、理念と現状と があるのも一つの要因かもしれません。 ただ、 理系・文系の差異でないところは面白いですね。 のギャップ、他機関との連携や協働など、実務経験に基づくリアリティある講義を行ってい 情報学には2つの側面があるんです。 コンピュータやソフトウェアを作るために必要な学 ただきます。ゲスト講師の方々の歩んでこられた道筋や人柄からも多くを学ぶことができるで 問と、 それらをさまざまな分野に実用するのに必要な学問ということですね。 この二つは分け しょう。3) 「 JICA地球ひろば」 を訪問することにより、JICAの活動や「開発」 を巡る国内外 て考える必要があって、 この授業は後者に当たるんですが、 ここではそういう授業が少ない の諸課題を体験的に学ぶとともに、私達にできる国際協力を模索していきます。 ので、 そういった意味でも面白い授業だと思います。 □学生の皆さんへ □学生の皆さんへ グローバル化が進む世界において、 や平和、環境問題などについて考えていくことは、 とても重要なことです。 まずは、 「関心を持つこ 「開発」 最終日の講義でまとめてやるつもりなのですが、 コンピュータを使うことにより便利になった部分とその弊害についてや、 デジタル化された と」、 「知ること」 が第一歩だと思います。 その上で、地球市民としてどのようなことができるのかを共に模索し、小さなアクションに結び付けていく 情報と、 アナログの情報 (アコースティックの楽器の音やフィルムの写真や映画) との違い、 そういったことを考えるようにしてもらえたらいいと ことができるような授業を目指しています。日常生活のなかで、 「 開発」や平和などについて考えていきたいと思っている人、国際協力を専門的 考えています。 に学び、将来、関連の仕事に携わりたいという夢をいだいている人など、多くの皆さんの積極的な参加を歓迎します。 2 3 環境保護活動リサーチ (演習) 森 義仁 [ 理 学 部 化 学科] 6 色・音・香と生 活 文 化 徳井 淑子 □授業内容 □授業内容 この環境保護リサーチ演習と言うのは、自らも身の回りに行われている環境 この科目は、 ヨーロッパの色彩文化史について、中世から近代の服飾の色を中心に 保護活動を調査し、 さらに外部から関係者もお呼びして、お話を聞きながら、授 述べ、今日の色彩イメージの原点を探るものです。染織技術史は古くからありますが、文 業の主テーマである、 「せめぎあいを見つける」ことなのです。環境保護活動と 化によって異なる色のイメージを歴史のなかで読み解く研究は始まったばかりです。わた いうのには開発と保護のせめぎあいがあります。 したちも共有している西洋の色彩感情が歴史のなかでどのように育まれてきたのかを ただ、 それはすぐ分からないので、今、 「せめぎあい」の中で活動している人を、市 知ってほしいと思います。 民団体や財団、行政、企業から来て頂いて、話を聞き、授業を作っています。僕 文系・理系のさまざまな学科の学生の皆さんに話ができる楽しい授業です。授業後 は、 この授業では、 グローバルなものではない、 ローカルな価値観を取り上げて に、 コメントや質問を少なからず受け、時に私のミスの指摘をもらいます。画像の説明を ほしいと思っています。そのほうが「せめぎあい」の現実をより実感して捉えるこ 忘れると催促されますし、受講生の皆さんはたいへん熱心です。 [生活科学部 人間生活科学科 生活文化学] とができると思うのです。 □学生の皆さんへ □学生の皆さんへ 文系・理系にかかわらず、小説や名著と呼ばれるものに幅広く親しんでください。こ 環境問題のその妥協点は、科学・技術と法律、 コストの中で決まるんです。科学・技術を目指す人たちの多くは科学・技術の前進に向 の授業で話す色彩文化論も、実は文学作品をかなり使っています。物語のなかであ かうけれど、法律とコストを考えた上での科学・技術でないと、今の世の中には受け入れられない。科学・技術の人たちも、 それを知るべき ればこそ色のイメージがわかるのです。衣服や色のイメージを作品のなかに読みなが 時代が来たと思っているんです。科学・技術はあまりにも大きくなりすぎて、社会の状況を考えて開発していかないと、好きな研究もでき ら、文学を楽しんでみてください。 なくなってきている。この授業で特に科学・技術について話しているわけではないけれど、僕の中でこういった想いがあって、 この授業に なってるような気がしますね。環境は大切だということは知っていても、実際には自分の知っているものしか知らない。それは、色々なもの を含めて考えていかなければいけない。文理融合の授業を通して、学生に考えてほしいことです。 09 10 授 業 紹 介 授 業 紹 介 生活世界の安全保障 4 平 和と暴 力 Everyday Life Se c u r i t y 小林 誠 [ 文 教 育 学 部グローバル文 化学環] こと ば と 世 界 4 文 化の記 号 学 Language in the world 大 塚 常 樹 [文教育学部 言語文化学科 日本文学] □授業内容 □授業内容 自分の回りの狭い生活の私的な領域に、関心を閉じ込める傾向が大学生に強まってい この授業は、準備も含めて楽しいです。専門は日本文学ですが、今まで培ってきた ると言われることがあります。 グローバル化の時代と呼ばれて、国境を越えたさまざまな社会 文学はもちろん、 「 文学以外」の様々な「記号」 を題材に授業を構成しています。 関係が増大しているのに、 自分の生き方を内向きにしかイメージできないとすると、 これから 「記号」 とは 「誰かが決めた」 ことによって意味が生じるもののことです。 「文化における の生き方の指針をうまく構想することができません。 記号」 は、巧妙にメッセージを送ることによって、受け手を動かす(感動させる・考えさせる・言 この科目では、 自分のあり方、 これからの生き方を世界の中に置き直して考えてみることを うことを聞かせる・ほしいと思わせる・規範をすりこむ)ことを目的とした戦略的な記号のこと 試みます。 ここで言う世界とは、文字通りの世界各地域、世界に住む人々のことです。 そう です。 この「戦略的記号」 を発信者の目論見という視点から分析すれば、漫然と受け手と すると現代世界には、戦争や大規模人権侵害、著しい経済の格差、差別や排除などの著 してありつづける我々は目覚め、物事の見え方も大きく変わります。授業は身近でとっつき しい暴力が広がっていることにまず気づくでしょう。他方でそれらを克服しようとする平和へ やすいもの、例えばアニメやお金、 キャッチコピー、 キャラクター造形などを題材にして、隠さ の努力がさまざまに行われてきたことも事実です。 れているイデオロギーを暴き出す、 という挑戦的な授業です。 平和と暴力の問題を、改めて現代世界の中での自分のあり方と絡めて考え直してみたい □学生の皆さんへ と思います。 世の中で見えているものはすべて誰かが決めた 「記号」 で、 「誰かが決めた」以上、 そこには隠された意図やイデオロギーがあります。毎日何気な □学生の皆さんへ 大学を出た後、 それぞれ様々な社会生活をしますよね。 その時に、 自分の生き方の問題として、平和というものを大切にし、意識することがで く暮らしている私たちを支配している 「背後にある力」 に気がつき、 それを考えることが、 個人の意見を持つことであり、 個人の自立もここにあります。 きるようになるといいなと思っています。 日常の生活でいろいろな脅威や危険に直面するでしょうが、 それが世界規模で構成される暴力の一部だと考える発想を身につけることで、 平和の構築に何らかの意味で役立てることができるかもしれません。世界から戦争、貧困、差別はいつまでたってもなくなりそうにないですが、 そ れを自分の生活とは別の遠い問題とはとらえず、 自分たちが解決すべき問題だと考えるということです。 1 1 文 法と意 味 9 水の安 全 保 障 戸次 大介 [理学部 情報科学科] □授業内容 大瀧 雅寛 [ 生 活 科 学 部 人 間・環 境 科学科] □授業内容 学校の国語・外国語の授業では 「文法」 を規範的な規則として学びますが、実は私たち はそのような規則を学ばないうちから母語を使用することができます。 それでいて母語によ るコミュニケーションが可能であることは、母語には私たちが意識していない内在的な法則 性があることを示唆しています。 ところが、誰もが言語を無意識に使いこなしているにも関 理系・文系が混在していますし、文系の学生には高校で十分に理系科目を履修して わらず、 これまで誰もその法則性の全体を記述することには成功していません。考えてみれ いない学生もいることに注意しながら行っています。 ばこれは大変不思議なことです。 SSH(Super Science High School:高校生向けの特別授業) の経験がありますの この科目で学ぶ「数理言語学」 という分野では、 日本語や英語といった自然言語の文 で、 そのイメージで、基礎的な用語をきちんと説明したり、身近な問題を取り上げるなど、 法と意味に関わる法則を、数式を用いて解明していきます。中学高校の英文法でも できるだけ理系・文系に係わらず興味を持ってもらえるように工夫してすすめています。 「SVO」等の記号が登場しますが、 それにはあまり納得できなかった人も多いと思います。 講義は基本的に時間10分前に終わらせて、残りの10分でコメントを書いてもらって 数理言語学では、記号論理学やプログラミング理論の近年の成果を用いて、 それらを遥 います。これを利用して次の授業にフィードバックしていますが、 これがなかなかいいん かに精緻化した理論を展開します。 このように、言語や哲学の問題も数学的な構造として です。1週間のタイムラグはあるものの、講義だけだとどうしても学生の反応が分かりに 記述し、数学の定理を活かして解く、 ということが可能になってきています。 くいので、 このコメントはその後の授業を組み立てるのにとても役に立っています。 11 □学生の皆さんへ □学生の皆さんへ 日本では「水」 というものは蛇口をひねればすぐに出てきますし、 しかもきれい (衛生的) です。あまりにも身近なこの「水」 というものは、 日本では、学問分野は大きく 「文系」 と 「理系」に分けられていますが、 それぞれ 「世界を見る人間」 と 「人間が見る世界」 を対象としていること 実は見えていない部分が非常に多いものでもあります。この授業を通して、 この「見えていない部分」 「見えていないモノ」に想いを馳せ を考えると、本来は渾然一体としたものです。 しかし、文系で育った学生と理系で育った学生では、知識だけではなく、 ものの見方自体が異なるこ てほしいと思っています。 とがあります。 この「文理の壁」 を乗り越えるにはどうしたら良いか、皆さんと一緒に考えていければと思っています。 12 授 業 紹 介 Memo ジ ェンダ ー Gender 4 アートとジェンダ ー 天野 知香 [ 文 教 育 学 部 人 文 科 学 科 美術史] □授業内容 この科目では、 いわゆる美術作品を取り上げています。大衆文化と共通する、視覚イ メージの社会や制度との関わりを歴史的に深く掘り下げて考えるためですが、一年生 の履修者も多いこの授業では、美術の制度や歴史など、理解のための背景も含めて ゆっくりとお話をすすめてゆくようにしました。 また、 コア科目の芸術IIから移行した科目で、新たに「ジェンダー」 という切り口でどう お話していくかというところは手探りなのですが、 「ジェンダー」の視点は、視覚イメージ と深く結びついている現代社会のあらゆる問題を考察する手段となり得るため、多くの 学生が受講してくれて嬉しく思っています。 □学生の皆さんへ 芸術は美しいものであり、感動するためのものというこれまでの通念に縛られず、芸術のあり方や概念は社会がつくるものであり、視覚イメー ジは社会の考え方を伝える情報メディアでもあるということ。 それは、 自覚的に捉え直し、見て感じる対象でもあること、 またそういった社会的なあ り方を意識し、作品と対話し、考えた上で芸術をどう見るかということを決めるのは自分自身の判断であるということも学んでほしいと思っていま す。 それに、美術の歴史では制度上、女性芸術家の活躍の幅はそう広くなかったのですが、鑑賞する側にアートにおける女性の体験を受けとめ る土壌ができるといいですね。 21 福祉・エコノミーとジェンダー 藤崎 宏子 [生活科学部 人間生活学科 生活社会科学] □授業内容 LAの演習の特徴は、理系の学生も含めて多様なバックグラウンドの学生が参加す ること、 そして1年生が中心であること。このことを前提として、決められたテーマのもと で私自身の関心も活かし、 「ケア」 と 「家族」 をジェンダー視点から考えることを目標に、 文献講読を中心に進めています。 演習科目なので、はじめに受講生にいうのは、 「主役は学生」だということです。教 員がほとんど口を挟む余地がなかった、 しゃべらないうちに終わってしまった、 という日 は、 うまくいった証拠なのだと。全員が、 「自分がいなければこの演習は成り立たない!」 くらいの気概を持って、主体的に学ぶという姿勢で臨んでほしいと思っています。 主体的に学ぶということは、お膳立てが整えられ、与えられた知識や情報をそのまま 受け入れるということではなく、自ら問題意識をもって課題を設定し、 これをとことん探 求するということです。また、社会科学の場合、 ただ一つの「正解」 というものはなく、解 を求めるための方程式もありません。簡単にどこかに着地してしまわないで、視点を少しずつずらしながら、複眼的にものごとを考える習慣 を身につけてください。多様な意見や見解が交錯する演習という場の醍醐味を、ぜひ味わってもらいたいですね。 □学生の皆さんへ 他の誰とも同じでない、独自の知の体系を身につけてください。でも、 それは “独り善がり” ということではありません。 まずは課題を自分なりに考 える。 そして、他者の意見を聞く。見解が異なる場合は、 ディスカッションをして、 自らの知識や見解を相対化する。 そうした作業を繰り返すことで、 独自の知の体系が鍛え上げられていくことでしょう。 13