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第3号 - 全知P連
全知 P 連 全知P連だより №3 発 行 全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会 所在地 〒105-0012 東京都港区芝大門 1-10-1 全国たばこビル6階 電 話 03-3433-7651 FAX 03-3433-7652 メール [email protected] 発行日 平成 27 年2月 20 日 第 15 回全国都道府県PTA連合会代表者連絡協議会 研修内容(ダ イジ ェスト 版) 日時:平成 26 年 11 月 29 日(土)・30 日(日) 会場:都市センターホテル 参加者:各都道府県PTA連合会代表者 私は、自他共に認める雨男です。 今日は、私の責任で皆さんをぬれさせてしまったことをお詫び申し上げます。・・・この協議 会に初めて出る方、いらっしゃいますか?はい、ほとんど、そうですね。私も初めてです。この 代表者連絡協議会をどんな会にしたいかと私なりに考えていたのですが、47 都道府県の連 合会の会長が、家族になれたらよいなぁと思います。PTA活動をしていると、他のお子さんを 見ても自分の子供と同じようにかわいいですよね。今日は我々が家族になる日、兄弟姉妹に なる日だととらえていただき、2日間どうぞよろしくお願いいたします。 全知P連会長 金成 祐行 ご 挨 拶 協議会1日目は全知長事務局次長の桑山校長先生 (都立王子第二特別支援学校)より、協議会2日目は全知 長会長明官校長先生(都立町田の丘学園)より、ご挨拶を 頂戴しました。 校長先生方の研究協議会のご報告や文部 科学省の最近の動向等をわかりやすくご説明いただきまし た。お忙しい中、ご協力を賜り誠にありがとうございました。 はじめまして、堀です。今日は、 よろしくお願いいたします。最初 に「ことば」というものが、どれだけ 大事なものなのかということを、 皆さんに体験していただきたいと 思います。 美和子 全知長事務局次長 桑山 一也 校長先生 テーマ:知的障害のある子供達の発達に向け、 「動きの習慣」から見た 身体へのアプローチ・可能性の探求 研修会1日目 【講師:堀 全知長会長 明官 茂 校長先生 堀 美和子 先生 プロフィール 【経 歴】 スポーツトータルコーディネーター ドイツ・ライプチヒ大学公認コオーディネーショントレーナー 国際フェルデンクライス連盟公認プラクティショナー 日本障害者スポーツ協会公認中級障害者スポーツ指導員 日本体育協会公認スポーツ上級指導員 日本体育協会公認ジュニアスポーツ指導員 日本トップリーグ連携機構公認ボールで遊ぼうマイスター 財団法人日本ハンドボール協会参事 大学を卒業後、1992 年より社団法人日本プロサッカーリーグ職員となりJリーグの立ち 上げに関わる。その後、横浜F・マリノス、国立スポーツ科学センター、国際試合の運営で は 2002 年日韓ワールドカップサッカー、2006 年バスケットボール世界選手権、2008 年 ハンドボール北京オリンピックアジア予選再試合などに運営スタッフとして関わる。現在は 主にコオーディネーショントレーニングやフェルデンクライスメソッドをベースに、乳幼児から 高齢者まで幅広く動きの学習指導を行っている。その他JOCオリンピック教室やボールで 遊ぼうの講習会などでアシスタントを務めたりしている。 先生】 P 1 以下、堀先生の研修内容の一部を掲載いたします。なお、堀先生の研修の詳細につきましては、「平成 23 年度 全知P連調査研究助成事業報告書」をご覧ください。 (全知P連ホームページでもご覧いただけます。) 【あなたのからだはことばで変わる】 ◆日頃、何気なく使っている【ことば】と【からだ】の結びつきを堀先生のご指導のもとで、参加者全員が体験してみました。 実技その1 ① 「まず、やっていただきたいのは、ふたり一組で組んで前屈をしてください。お互いにどれぐらい床から離れているのかを チェックして覚えておいてください。」 ② 「次に、相手の背中をポンポンとたたいてあげます。恨みつらみはなしで(笑)、 気持ちを込めて、背中の下から上へ数回ほどたたいてください。それからもう1 回前屈をしてみてください。では、お願いします。」 ⇒①で前屈した時よりも深く前屈できていることを体感 「少しは柔らかくなりました? 今、柔らかくなったからといっても、ずっと持続は しません。ほんの数秒の話です。」 ③ 「今度は、両耳の耳全体をいろんな方向に回したり引っ張ったりして、耳がぽわ っと温かくなたら前屈を行います。耳には様々なツボがあります。今から行うこと は、科学的な根拠があるわけでも何でもないのです。ただ、『あっ、そうなんだ ~』と知っていただくことが目的です。子供たちとの関わり合いで、何かあったと きに『耳に触れてごらん』という、アドバイスをすることが多々あります。では、ぐる ぐる回したり、ひっぱったりしてみてください。人それぞれ感覚が違いますが、ホ ワーと温かくなったりします。では前屈をしてみましょう。」 ⇒②では他者が、今回は自分で刺激を与えても体の動きが変わることを体感 ④ 「次に、ことばをつけていきます。『スー』と言いながら、地面に手を付けてくださ い。じゃあ、やってみましょう。」 ⑤ 「今まで行ってきた前屈の方法を一回忘れてみましょう。ことばで『あ!忘れた!』と実際に感情を込めて大きな声で 言ってから前屈をします。」 ⇒②~④で前屈した時と比較し、マイナスのことばかけで、体の動きが悪くなることを体感 ⑥ 「次に以前の動きを思い出してみます。ことばで『あ!思い出した!』と感情を込めて言ってみてから前屈をします。 ⇒先ほど(②~④)のようにできるようになり、ポジティブなことばかけで、からだの動きがよくなることを体感 「単に【ことば】ですが、されど【ことば】です。【ことば】ひとつでご自身の【からだ】の動きが変わることを体感してい ただけたでしょうか? このような日常の【ことば】は、【からだ】に対しては〈反応〉として出てきます。これが、自分だけ のことばでなくて、他者がかけても同じように〈反応〉し、関係します。」 実技その2 ① 「では、今度は一人の方が両手で握りこぶしを作り、たてに重ねてみてくだ さい。相手の方は、そのこぶしを上下に離そうとしてみてください。」 ⇒相手の方の力で簡単にこぶしが離れてしまうのを体感 ② 「次に、『右手のこぶしと左手のこぶしをピッタリとつけて離れないようにして くださいね』とことばをかけてから、こぶしを上下に離そうとしてみてくださ い。」 ⇒こぶしが簡単には離れなくなったことを体感 ③ 「このように、皆さんにやっていただきましたが、お子さんには、手を持ってあげて、このよ うにして(堀先生がモデルの両手の拳を持って、上下に動かす)こぶしをくっつけることで、 【つく】という感覚をからだに覚えさせてあげることができるわけです。 このことを一体、何につなげるのか・・・例えば、【つく】【つける】ということばでの理解が しにくいお子さんの場合、まず『ぴたっ』ということばを発し、『ぴたっ』ということばがこういう ことになる(こぶしをくっつける)ということをからだを通して何回も体験させてあげる。する と、『ぴたっ』ということばを関連付けたことからわかるようになります。さらに、この『ぴた っ』という感覚を理解できたら、日常生活にどう関連付けていくかということが大切です。 P 2 例えば、シールを貼るときに『ぴたっ』と言って貼ってみます。からだが体験した『ぴたっ』という動作が【シールを貼る】と いう経験につながっていくんですね。」 【からだのうごきを知ろう】 「ボール遊びは『ボールが当たると痛い・怖い』という気持ちを持たせてしまうと、苦手意識が生ま れることがあります。大事なことは、【ボールを託す(投げる)・受け入れる(キャッチ)】という【人と のやり取り】です。そこに、時間や空間の学習、リズムやバランス、方向の変化などの工夫を取り 入れると、さらに遊び感覚でボールに親しみやすくなり、からだの動きも多様化していきます。 ボール遊びが苦手な子供には、バランスボールのような大きなボールから始めるのは一つの 方法です。胸にバランスボールを当て指・腕を伸ばして抱えるように持たせるとらくに持てます。 幼児がやる動きですね。慣れてきたら、バランスボールの大きさが違うものをいくつか用意し、さま ざまな条件でバランスボールの動きを変えていきます。 例えば、バランスボールを抱えたまま腕を上下左右に動かすように誘導して みたり、上へ横へと移動をうながしてみます。集団で行えるのであれば、バランス ボールを手渡すという動きを取り入れてみるとよいです。手渡す動きには、体を ねじる動きがあります。また、バランスボールを上から手渡す姿勢をとれば胸や 肋骨を開く動きもできます。その時に、「はい」などと声を発する(=息を吐き出さ せる)と自然とリズムよく呼吸ができ、より良い動きができるようになります。」 実技その3 ① 3人の協力者を決める。(堀先生が加わり、4人で行う。) ② バランスボールを使い、近い距離でコロコロとゆっくり転がして相手にパス する。 ③ ボールの扱いに慣れてきたらと、ワンバウンドさせて相手にパスする。 ④ 次に、相手との距離を変えずにツーバウンドで相手にパスする。 ⑤ さらに、投げるときに「ハイ」と声を出してみる。 ⇒リズムがついて、力加減なども変化し、ボールのやり取りがしやすくなっている状態を観察することできた。 【からだのかたちを知ろう】 「私たちは、日常のあわただしさから自分のことは後回しにすることが多く、からだが知らない間に緊張していることが多々あ ります。緊張(硬直)した状態で子供と接すると、子供にも緊張が伝わってしまいます。疲れているなあと思う時は特に、呼 吸を落ち着かせ、心にゆとりを持つことが大切です。ここでは、不必要な緊張から解放されたからだの動きをモデルの方を 観察することから学びます。特に呼吸をどのように行っているのかを観察します。(知的障害のある子供たちの中には浅い 呼吸をしていることが多く見受けられるようです。)」 実技その4 ① ② ③ ④ モデルが床に仰向けになり、力を抜きゆっくりと呼吸をします。 モデルに緊張があったためか、呼吸が早く浅い状態であることがわかります。 モデルの呼吸に合わせ、肋骨に(堀先生が)優しく手を置き呼吸を感じます。 モデルの呼吸が徐々に深くなっていくことが観察できます。 ⇒呼吸が深くなると、からだがリラックスする。 ◆モデルにからだの状況を尋ねてみると、「呼吸が楽になり、眠たくなった」との感想がありました。 ◆堀先生:「人により呼吸の仕方の習慣が異なるため、手を触れる箇所は対象者により異なります。」 ・・・・・ 終わりに ・・・・・ 参加者の皆さんは、2人1組となって【ことば】と【からだ】の関係を体験され、童心に返られたように楽しそ うに実技をされていらっしゃいました。そして、金成会長のお話のとおり、皆さんがひとつの「家族」になられ、 ≪堀先生ワールド≫にすっかり魅了されていました。あっという間の4時間で、たいへん名残惜しい終了とな りました。長時間にわたる研修をいただきました堀先生に、心より感謝申し上げます。 P 3 研修会2日目 講演:「防災教育の日常化」 & 演習: 「防災クロスロード」 山口 裕之 先生 プロフィール 大学3年時の実習で地質調査をした場所 に、現在家を建てて住んでいます。 1989 年3月 東北大学 理学部 地学科地学第二学科卒業 「大学では鉱床学を専攻。秋田県の黒鉱鉱床で卒論・修論を執筆」 1991 年3月 東北大学大学院 理学研究科 地学専攻修了 (理学修士) 「大学院生時代に、地質調査所が行った沖縄トラフの熱水鉱床調査に同行し、 白嶺丸に1ヶ月半乗船しました。」 1991 年4月~1995 年3月 宮城県仙台向山高等学校教諭 1995 年4月~2000 年3月 宮城県立光明養護学校教諭 2000 年4月~2002 年3月 宮城県立名取養護学校教諭 2002 年4月~2007 年3月 宮城県蔵王高等学校教諭 2007 年4月~現 在 宮城県立光明支援学校教諭 文部科学省「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」作成協力 文部科学省「『生きる力』を育む防災教育の展開」【平成 24 年度】作成協力 【講師:山口 裕之 先生】 ―以下、山口先生の研修内容の一部をご紹介します。― 講演:「防災教育の日常化」 1. 震災時の特別支援学校(※) 〔※の内容は、当日の研修では、時間の 関係上省略しているところがあります。〕 ① 震災直後 安否確認→避難所・家庭訪問で子供たちの安否を確認。また、保護 者からのSMSによる連絡で確認。 教職員も被災者→出勤できたのは2~3割 8校中4校が避難所開設→指定避難所は 1 校のみ。14 日間で最大 100 名を受け入れた学校。59 日間で 89 名を受け入れた学校(高齢 者、在校生・卒業生の受け入れ)。他2校は、自校の児童・生徒・保護者を1~2週間受け入れた。(宮城県) 障害のある子の避難所問題→指定避難所での門前払いがあった。配給食が食べられない問題。壊れた家や車中の 生活を選択した家族もあった。 障害のある子のがんばり→子供たちは状況を察して頑張っていた。 障害のある子の生活問題→吸引等の医療的ケアの必要な子供には命の問題になる。薬がない。給水や配給を取りに 行けない。(長時間並ぶことがたいへん) ② 長い春休み 障害のある子のストレス症状→自傷・他害行為の増加、不安・不眠、食欲不振・過食、失禁・夜尿 NPO等の支援での登校日→リラクゼーション講座、子供の遊び場、演奏会 学校再開に向けた仕事→給食業者との契約、送迎バス路線の設定、看護師の確保 ③ 学校再開 ストレス症状の激減→日常の学校生活が一番の心のケア ストレスマネジメント→教師の関わり、友人の死を受け入れる支援、支援者としての役割 次の災害に向けた準備→マニュアルの見直し、災害用備蓄の整理、避難所運営の準備 2. 防災教育は「生きる力」の教育 ① しわ寄せは弱い所に→障害者の死亡率は全体の2倍(東北沿岸部では、過疎・ 少子高齢化・貧困が加速)=「生きる力」の問題 ② 被災して感じたこと→緊急時にできることは日常いつもしていることだけ。震災で 求められたのは「生きる力」の全ての要素。 ③ 生きる力の概念→「確かな学力」「健康・体力」「豊かな人間性」 ④ 普段の学習の中の防災教育→朝のランニング、給食、着替え、早足散歩(野田 村保育所) 3. 日常化とは習慣化 ① 毎日の生活は習慣の羅列→洗顔、食事、通勤、入浴、テレビ等→防災を日常生活の中に習慣として埋め込む。 ② いつも「している」「使っている」から、災害時も「できる」「使える」 P 4 →いつも「している」防災の例:速足散歩(野田村保育所での実践例)、週末のガソリン満タン。宮古島での祭り「ナーパイ」 →いつも「使っている」防災の例:緊急メールを日常メールに・防災カレンダー(石巻西高校)、防災かまどベンチ(彦根工業高校) 4. 学校における防災の位置づけ 防災の内容は各教科・特別活動に分散、総合的な学習の時間を活用する学校もある。 防災を専門にする教員はいない。 ② 学校保健安全法→第三章 学校安全 第 27 条【学校安全計画の策定等】にて 各学校で学校安全計画を策定することを明記。 ③ 学校安全計画の策定→三つの活動(安全教育・安全管理・組織活動) 三つの領域(災害安全(防災)、交通安全、生活安全) ① 5. ここの中に防災教育の計画が明記される。 光明支援学校における防災 ① 学校安全計画をしっかり作ることがスタート ② 普段の授業の中の見えない防災教育→集団行動、歩行・移動、健康な生活・ 体力、身支度、自己肯定感、自己効力感、コミュニケーション ③ いつものあたりまえの授業を丁寧にしていくことが、そのまま防災教育になる。 →iPod touch による意思表示の学習、感情認知とコントロールの学習、日々の 授業の中での達成感、人の役に立つ体験 ④ 防災をテーマにした防災教育(防災知識、災害時の行動スキル)【高等部中心】 6. 家庭での日常防災 ① 大前提=地震で自宅が倒壊しないこと→耐震診断 ② 災害時も日常使っているもので→ローリングストック、キャンプ道具、身に付ける防災グッズ ③ 災害時の知識とスキルを持つ・使う→知識は全ての前提、自分が暮らしている 地域の特性・起こる可能性のある災害を知る。 ④ どこに住むか、何処に家を建てるか、どんな地域で暮らすか←防災はここから 始まっている。 ⑤ 防災情報を得る→防災関係のアプリの例:Yahoo!防災速報、GO 雨!探知機、 ナウキャスト、ゆれくるコール等 ⑥ 日常からの近所づきあい→「受援力」と「支援力」(ちょこっと・ねっと)地域の人 と交流する、知ってもらう場を作る。(ちょっとした近所の支援が救い)ヘルプカ ード、緊急時サポートブック、「これだけは準備しておきたい!」 7. PTAの枠組みで ① 備蓄リュックの協力→三食分の水・食料、安心グッズ ② 備蓄食料出食訓練 ③ ヘルプカード、緊急時サポートブック ④ 今後やってみたいこと PTA秋祭りに防災をからめる。 期限切れ間近の備蓄食料を使った試食会 防災講演会(保護者・教員向け) 学校安全計画やマニュアルに保護者の視点を入れていく。 防災をテーマとした地域交流 例:千葉県立東金特別支援学校の炊き出しと避難所開設訓練、地域の長寿会との交流会 他 演習:「防災クロスロード」 クロスロードとは【災害の中でせまられる究極の選択を体験するアクティビティ】 クロスロードの意味:①十字路・交差点 ②岐路・重大な決定をくだすべき時 クロスロードにはいくつかの種類があります。 「最初にできたのは神戸編。阪神大震災のときに災害対応に当たった神戸市 職員の体験が素材になっています。その後、いろんなバリエーションができて、 東日本大震災が題材になったのは、宮城野編と大洗編。ここでは、元祖とも言 える、神戸編、その続編の市民編、それから東日本大震災が元になっている P 5 宮城野編、そして、やはり皆さん興味があるだろう要援護者編からいくつか選んでやっていきましょう。」 5人ぐらいのグループで活動するとよい。 自己紹介:最初に、グループごとに自己紹介をしましょう。 「こんなふうにパッと集められたメンバーでチームワークを作っていく力も、防災力につながっていますよ!あまり長々とお 話すると時間がなくなりますので、5分ぐらいで自分以外の全員と自己紹介してみてください。では、立ち上がってグルー プごとに集まってください。」 実践 共通理解 イエス(Y)/ノー(N) どちらかに決めてください。(真ん中はなし) 正しい答えや間違っている答えはありません。 自分がイエス(Y)or ノー(N)を選んだ理由について話をしましょう。 お互いの違いを積極的に楽しみましょう! 例1 1 例2 2 あなたは… 小学1年生の母親です 被災翌日、職場から「できれば出勤 してほしい」と言われた。子どもを 一人留守番させて、職場に行く? Y N 行 く 行かない あなたは… 避難所担当者です ペット連れの避難者が避難所のそば に車を停めて車中にいる。「支援物資 がほしい」と言われたが、配る? Y N 配 る 配らない こちらを立てればあちらが立たず…というジレンマ状況は,被災地では本当によくあることです。 このゲームは参加者に多様性があればあるほど深まります。たとえば・・・ 【実際の震災体験者と震災未体験者】 【国籍…タイの学生と宮城の高校生との交流で実施。英語版も使って】 【年齢】 【性別】 etc 同じ問題でも,グループが異なると違った話を聞くことができます。何度やっても新鮮です。 最近は,動画を使ったクロスロードもあります。 ・・・・・ 終わりに ・・・・・ 山口先生のプレゼンが素晴らしく、参加者の皆さんの視線はスクリーンにくぎ付けでした。 防災クロスロードも、たいへんな盛りあがりでした!自分の意見も他の方の意見もみんな正解。そして、 解決に向けてのジレンマ。共有し共感し合いました。 山口先生、愉しく学び合う研修をご提供くださり誠に ありがとうございました。また、ご協力くださいました片岡先生、瀧川先生には、心より感謝申し上げます。 山口裕之先生の講演のプレゼンテーションは、 「防災主任の学習室」の 学習机 で公開されています。 〔http://hiroy.kir.jp/bosai/index.html〕 (当日のお話も山口先生が原稿にしてくださっています。ぜひご覧ください。) ・・・・・「全知 P 連だより№2号(平成 26 年 10 月6日発行) 」内掲載文のお詫び・・・・・ 平成26年度 第33回全国研究協議大会 北海道大会(札幌大会) 第三分科会で発表された大阪府立堺支援学校PTA 副会長 櫃田 法子氏の「周辺地域(自治会等)と連携したPTA活動」の集約文の掲載に誤りがありましたことを深くお詫び申 し上げます。正しい文章は、次のとおりです。 「1977 年からPTAや同窓会等で実行委員会をつくり、毎年「福祉盆踊り大会」を開催、今年の夏で 36 回をかぞ えます。第 28 回より実行委員会に自治会が参加するようになり、より活性化し、来場者数が大きく増えて、地域 全体の行事へと発展していきました。」 P 6 「いま、発信したいこと!」 平成 27 年1月 23 日、東京都立矢口特別支援学校は東京消防庁 大江消防総監より 「第 11 回 地域の防火防災功労賞最優秀賞(消防総監賞)」を授与されました。これは、 日頃の防災教育はもとより、管轄の矢口消防署をはじめとした関係機関・地域の方々・PTA とが一体となった「総合防災訓練」、全国に先駆けた「地域と繋がる福祉避難所の取り組み」、 「守られる側から守る側へ」という学校が地域貢献していく方向性が評価されたことによるもの です。そこで、「いま、発信したいこと」と題して、東京都立矢口特別支援学校の早川智博校長 先生にインタビューさせていただきました。 ◆災害時、貴校はどのような役割がありますか? 早川 智博 校長先生 早川校長先生:本校は住宅や工場が密集する地域の中にあり、地形的には低地部のため津波がくる可能性も考えられま す。まず地域性を念頭に置き、「子供の安全を確保し、障害のある子供たちが安心して学校に居られる状況を作る」ことを 考え、対応することが第一優先です。2つ目に、幹線道路である第二京浜や環状八号線が付近を通っているため、帰宅 困難者が多く発生することが予想されます。東京都の「帰宅支援ステーション」の役割も担うため、その対応をしなくてはな りません。3っ目ですが、地域の「福祉避難所」(大田区との協定による要援護者の方の避難所)としての役割があります。 4っ目に、地域の小・中学校までは少し距離があるため、集合する場所がないという地域住民の方のための「いっときの集 合場所」の対応も考えておく必要があると思っています。 ◆「福祉避難所開設準備訓練」を実施しようと思われた動機を教えてください。 早川校長先生:着任1年目(平成24年度)に総合防災訓練を子供たち、PTAと地域の方と一緒に行いました。先ほどお話 しした役割を学校が担うとしたら、教職員はどう動いてよいか不安だらけでわからないということが大きな課題でした。そこで、 子供たちが居ない時間帯を想定し、「学校が福祉避難所となった時、自分たちに何ができて何ができないのかを知るため に、とにかくやってみよう!」と教職員に呼びかけました。初めから100%の仕上 がりにはならないので徐々にバージョンアップさせ、常に変化のある訓練にして いこうと思いました。そのようなことで、25年度に福祉避難所開設準備訓練を 試みました。また、訓練の数日前に、全知P連の鹿児島大会に参加していたの ですが、会場に展示された「防災ベスト」や「100円で購入できる防災グッズ」を 拝見し、PTAの防災対策へのニーズと意識の高さを感じました。『学校でできる ことを始めたい!』と思う気持ちがさらに強くなり、「MY防災ベスト」も帰宅後すぐ 早川校長先生のMY防災ベスト に作成し、士気を上げて訓練に臨みました。 ◆「福祉避難所開設準備訓練」を実施するにあたって、事前に工夫された点はどのようなところでしょうか? 早川校長先生:25年度に東京都安全教育推進校の指定を受けた際に、子供たちにわかりやすい避難の仕方を検討しま した。子供たちが自分で自分の身を守るために「お・は・な・し」という標語(「おちついてまつ」「はなしをきく」「ならんであるく」 「しずかにする」)を肯定語で作り、行動の目的をわかりやすくしました。さらに、実際に避難所になった場合をイメージし、何 が必要かを班ごとに事前に確認しました。たとえば、水道が使えなくなり備蓄用の水もなく なった時にはどうしようか・・・。プールの水をろ過器で飲み水にできるが、ろ過機も実際に 使っていないと動かせないですね。事前に確認したところ、マニュアル通りには動きませ んでした。そこで、誰が見てもわかり動かせるように、写真と文字で手順表(子供たちの教 育で行っていることですが)を作りました。また、トイレが使えなくなったときを考え、マンホ ール直結型のトイレを購入しました。これも事前に組みたててみたらマンホールの方が大 きくてトイレが落ちてしまうことがわかり、ジョイントを作りました。 「情報」も初回の訓練では ホワイトボード上に記入していましたが、時間・情報の変化が一目瞭然になるように模造 紙に記載するよう変更しました。班ごとにのぼり旗を立て、誰が見ても活動がわかるように プールの水をろ過(ろ過機班) P 7 しました。また、避難所は体育館になっていますが、障害種別の対応も必要と考え、入り口を分けました。肢体不自由の方 用の避難ブースには、ビールケースとベニヤ板・体育用マットを利用し、簡易なベッドを用意しました。詳しくは、本校ホーム ページの「福祉避難所開設訓練」をご覧いただけると幸いです。 ◆さまざまな気づきや工夫を凝らされ、教職員の皆さんが主体的に動かれていると感じます。どうしたら主体的 に動けるのでしょうか?また、今後の訓練に必要なリソース(資源)をどのようにお考えですか? 早川校長先生:教職員のチームワークや連絡ラインが大事ですので、福祉避難所開設準備訓練のために新たな班を組 織するのではなく、学校の分掌(生活指導部、教務部、進路指導部等)をもとに13班を割り当てました。それぞれの班を 主幹教員が束ね、それを副校長が束ね、最終的には校長となるかと思います。今ある組織を使っての活動でしたので 、 動きやすかったと思います。初めて福祉避難所開設準備訓練を行った25年度は、学校の教員だけ の参加でしたが、PTA・消防署・消防団・警察・区役所の方・親の会等の関係者に見学に来ていただ き、気づかれたことやご意見を頂戴しました。26年度の訓練では、大田区役所の障害福祉課職員の 方に受付を担当していただき、さらに前進することができました。また、PTAから「私達も積極的に参 加したい」とのご意見をいただきましたので、27年度はさらなる発展を考えていきたいと思います。 ◆PTAも地域の方と一緒に取り組んでいきたいという姿勢が素晴らしいですね。 早川校長先生:そうですね。谷村PTA会長はじめ、PTAの方は子供たちのために何ができるかということをいつも考えてい ます。子供たちが学校で学んだことを家庭で生かしたいという保護者の願いや思いが強いPTAでもあります。学校がPTA と一緒に考えていけるベースがあることは、とてもありがたいことです。 ◆今後の防災への取り組みや子供たちの防災教育において大事にされたいことを教えてください。 早川校長先生:東京都立の特別支援学校として、東京都教育委員会の方針に基づいて防災教育を進めています。子供 たちには、どのようにしたら災害から自分自身を守れるかを育てることが大切です。本校では、防災ずきんではなく、折りた たみ式ヘルメットを保護者に買っていただくよう勧めています。訓練の時は、子供たちが自分でかぶれるよう練習し、校外 学習や修学旅行などでも折りたたみ式ヘルメットを持参し、非常時に使えるようにしています。日常の生活の中で、どれだ け身を守れるかを考えさせていくことも指導の一環だと思います。また、矢口消防署から「防炎製品」理解啓発のために、 地域の方に配布する「防炎アームカバー」の作成についての話がありました。高等部の生徒たちは、高齢者の方の中には コンロを使う際に衣服の袖口に火がついてしまい、命を落とされる方もいらっし ゃるということを知り、「アームホルダーを作ることで人の役に立ちたい」「地域 貢献をしたい」と消防署への協力を主体的に取り組みました。その姿を見て、と ても頼もしく感じました。福祉避難所の開設については、大田区の所管になる ため、できることとできないことがありますが、地域の方と共に細かく詰めていく 必要があります。子供たちと教職員の必要な物品は東京都から支給されてい ますが、福祉避難所としての物品について区から支給されていませんので、協 議をしていきます。今後も「できるところから、はじめる」ことを大事に していきたいと思います。 谷村PTA会長 早川校長先生 早川校長先生、お忙しい中、誠にありがとうございました。ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 【編集後記】 本号は、第 15 回全国都道府県PTA連合会代表者連絡協議会での研修内容のダイジェスト版と 特集「いま発信したいこと!」を掲載しました。ご意見・ご感想など全知 P 連事務局にお寄せいただければ幸いです。 ◆平成 27 年度総会は、6月 25 日(木)10 時 30 分~世界貿易センタービル 38 階にて開催いたします。 午後の研修会は会員の方でしたらどなたでもご参加できます。ご案内は4月上旬に発送いたします。 ◆ご卒業を迎えられる会員の皆様へ・・・長年にわたる本会の活動へのご理解・ご協力を賜り、誠にありがとうござ いました。皆様のますますのご活躍とご家族皆様のご清栄を心よりお祈りいたしております。 ≪Y・I&Y・T≫ P 8