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フレネルの表現

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フレネルの表現
Imagire Day 2009
Imagire Day
Imagire
Day
Imagire
Day 2009
このセッションは?
• リフレクタンスの基礎について
– GIもいいけど足元を固める
• Interreflectionがいい雰囲気や空気感を出しても
– オブジェクトはみんなプラスティック?
– 頑張って美麗なテクスチャを描いても…
• どれもこれもプラスティックな質感?
• 目指す質感設定を勘などに頼って時間の浪費?
– 効率と品質を両立しましょう!
Imagire Day
Imagire Day 2009
HDRとグレアエフェクト
• HDRといえばグレア?
– 実際の映像ではよほど強い光でないと
大きいグレアはでない
実写のHDR画像
物理的正確性に乏しいグレアの例
Imagire Day
Imagire Day 2009
グレアの量
明るさ(255で正規化)
グレア量のグラフ
青線 : 強度
赤線 : ガンマ補正(2.2)を考慮した強度
Imagire Day
Pixel数
35mmフィルム, 横幅1280pixel, 波長450nm, F2.8, 円形絞り
Imagire Day 2009
不自然なグレア
• なぜグレアのスレッショルドをさげるのか?
– 正しい質感設定がされていないため?
• スペキュラーなどの強さがエネルギー的に正しくない
– 結果的にレンダリング画像のダイナミックレンジ(DR)が
本来のDRに比べて充分でない
» ≠HDR
– スレッショルドを下げてグレアを出そうとしてしまう
» Diffuseの部分にもグレアが出る不自然な映像
• 絵作りの方向性でわざとそうしている場合もある
Imagire Day
Imagire Day 2009
HDRとブラー
• 美しくないブラー
– 物理的に正しいフォーカスブラーなどを実装しても
• レンダリング画像が正しいダイナミックレンジを
持っていないときれいなボケが表現されない
Imagire Day
正しいダイナミックレンジを持っている画像の例
Imagire Day 2009
本当のHDRとは?
• ポストエフェクトでフィルタをかけるのではなく
– 画像のダイナミックレンジが高いということ
• 正しい質感設定とレンダリングパイプラインがあれば
– リアリティのあるブラーやグレア
– リアリティのある質感とHDR感
Imagire Day
Imagire Day 2009
レンダリングとは?
• 光が眼に届くことによって「視えている」という
現象を再現すること
– 光源から眼へ
– 光源から何かの物質に当たって反射や
散乱などして眼へ
• このセッションではほとんどの物質を見るときに起こる
「反射」という現象を取り扱います
Imagire Day
Imagire Day 2009
リニア空間とガンマ補正
• リニア空間でレンダリングする
– せっかく正しいレンダリングで微妙な
反射特性などを再現できても
• ガンマ補正された色空間でレンダリングしてしまったら
その差よりも色空間による差のほうが大きい!
Imagire Day
Imagire Day 2009
リニア空間とガンマ補正
リニア空間で屈折率1.333における
フレネルの変化のグラフ
ガンマ2.2で補正された屈折率1.333に
おけるフレネルの変化のグラフ
出力の明るさ
視線角度
2つのデータの差のグラフ
入力の明るさ
2つのデータの差のグラフ
Imagire Day
リニア空間で屈折率1.5における
フレネルの変化のグラフ
Imagire Day 2009
スネル(屈折)の法則
屈折率nA
入射波
θA θA
反射波
θB
屈折波
sinA nA

sinB nB
屈折率nB
波が屈折率の異なる2種類の媒質の境界面を通過するときに
その境界面となす角度(sin)の比が屈折率の比と等しくなるという法則
Imagire Day
Imagire Day 2009
ディフューズとスペキュラー
• 大雑把に言えば
– スペキュラーとは物質の表面で反射された光
• =反射
– ディフューズとは物質の表面で反射しなかった光が
物質内に透過してから放出されたもの
• =屈折
Imagire Day
正確な説明に関してはこのセッションの趣旨ではないので省きます…
Imagire Day 2009
スペキュラー
• スペキュラー(鏡面反射)の特徴
– 反射の色は光源の色
• 厳密には異なる
– 金属などでスペキュラー反射光に色が
付くものがある(選択反射)
(
)
• 実際にはスペキュラーで単純に特定の波長の光が
吸収されるわけではない
– ミクロなレベルでの分子形状(配列)を反映して
反射した光が拡散する(光沢,glossy)
• 反射の指向性
• 光を特定の方向に集中して反射する
Imagire Day
Imagire Day 2009
スペキュラーの例
Imagire Day
Imagire Day 2009
ディフューズ
• ディフューズ(拡散反射)の特徴
– 分子構造により特定の波長が吸収される
• 色がつく
– 反射(放射)に指向性が(基本的に)無い
• 分子配列などからの幾何学的影響はある
• 厳密にはエネルギー保存則などの影響を受けて
指向性を持つ
Imagire Day
Imagire Day 2009
スペキュラーの重要性
• なぜスペキュラーが重要か?
– 静止画においてのスペキュラーとディフューズが
持つ情報の差が動画においては拡大する
• つまりスペキュラーの変化において人間はより詳細な
物体の形および質感の情報を得ることが可能になる
Imagire Day
Imagire Day 2009
フレネル方程式
• 反射(スペキュラー)と屈折(ディフューズ)の
量はどうやって決まるのか?
– フレネル方程式
• フレネルとは反射という仕組みにつくエフェクト?
– 違います
• 反射と屈折量を決定しているのがフレネル
– フレネル効果がない物質は存在しない
Imagire Day
Imagire Day 2009
フレネルの例
Imagire Day
Imagire Day 2009
フレネル方程式
•フレネル方程式
rp 
tp 
rs 
n1 cos   n2 cos 
n1 cos   n2 cos 
n2 cos 
2n1 cos 
n1 cos  n2 cos   n1 cos 
n1 cos   n2 cos 
n1 cos   n2 cos 
n cos 
2n1 cos 
ts  2
n1 cos  n1 cos   n2 cos 
物体に光が入射したときの反射率および透過率
(屈折する光)に関する式
α:入射角
β:屈折角
n1:入射媒体の屈折率
n2:出射(屈折)媒体の屈折率
rp :p波の振幅反射率
tp :p波の振幅透過率
rs :s波の振幅反射率
rs :s波の振幅透過率
2
s
t  0.5t 2p  0.5t s2
- : p波の反射率
- : s波の反射率
- : 反射率
空気から屈折率1.333(水)に
光が入射する場合の反射率
r  0.5r  0.5r
2
p
反射率
r :位相を考慮しない場合の反射率
t :位相を考慮しない場合の透過率
Imagire Day
入射角度(rad)
Imagire Day 2009
フレネルによる効果
• 水による反射と屈折
強度
屈折率 1.33333
- : 反射率
- : 透過率
Imagire Day
入射角(rad)
Imagire Day 2009
フレネルによる効果
• 人間の肌による反射と屈折
強度
屈折率 1.45(ある計測によるもの)
- : 反射率
- : 透過率
Imagire Day
入射角(rad)
Imagire Day 2009
フレネルによる効果
• 銅による反射と屈折
強度
屈折率 0.6 – 3.6i
- : 反射率
- : 透過率
Imagire Day
入射角(rad)
Imagire Day 2009
Schlickの近似
• 計算量の少ないフレネル方程式の近似式
– 1/F0が全反射と垂直反射の比を表している
Fschlick  (1.0  F0 )(1  cos  )  F0
5
F0 : 垂直反射時の反射率
以下の式で求めることが出来る
1 n 
F0  

1 n 
2
厳密には誘電体にしか適用できないが
こだわらなければ非誘電体もそれなりに近似できる
(複素屈折率の場合は複素数のまま計算すること)
反射率
屈折率1.333
- : フレネル方程式
- : Schlickの近似
Imagire Day
入射角度(rad)
Imagire Day 2009
屈折率
• 反射量は屈折率で決まる
– 実際の反射率は見る角度で想像以上に変化する
鉄
2.36
酸化第二鉄
3.01
金
0.34-3.2i
銀
0.17-3.4i
銅
0.6-3.6i
石英
1.45
サファイヤ
1.76
水
1.33
酸化チタン
2.52
象牙
1.54
炭素
2.0–1.0i
ある波長での屈折率のサンプル
反射率
-
:
:
:
:
石英
金
酸化チタン
サファイヤ
反射率の比較
Imagire Day
入射角度(rad)
Imagire Day 2009
Schlickの近似の弊害
• 通常フレネルはSchlickの近似で実装される
– フレネルシェーダやBlinnシェーダなど
• 弊社エンジンではf0の値だけをツール上で直接入力
できるようになっていた
– たとえば平均的な屈折率1.5ではf0の値は0.04
» つまり垂直反射と水平反射の比は25倍
– 感覚的には角度によって25倍のスペキュラーの変化は
受け入れ難かった
25倍も明るさの差!
Imagire Day
Imagire Day 2009
Schlickの近似の弊害
• そこで感覚的に0.3とか0.5などを設定する
– 結果的に垂直反射率は大きくなる
• 物理的に正しい近さのスペキュラー強度を設定すると
スペキュラーが強く見えてしまう
– スペキュラー強度を下げてしまう
• エッジ(glazing
(glazing angle)
angle)でのスペキュラーが
弱くなってしまう
– バックライトなどでのスペキュラーによるエッジが表現されない
• 現在では複素屈折率の入力や材質の入力を
出来るように変更
Imagire Day
Imagire Day 2009
f0が大きすぎると
スペキュラーの強さを弱めると
エッジも弱くなってしまう
エッジを強くすると
垂直方向のスペキュラーが強すぎる
Imagire Day
Imagire Day 2009
レンダリングとは?
• レンダリング方程式(BRDF版)
– この式を解くことにより画像を得ることが出来る
Lo ( x, ω)  Le ( x, ω)   f r( x, ω' , ω) Li ( x, ω' )(ω'n)dω'

出射される光 自己放射
(放射輝度)
BRDF
入射する光 BRDFの
(放射輝度) コサイン成分
x : 出射が起こる座標
眼に届く光は
•その地点が自分で光っている分と
•その地点にあらゆる方向から入射して来た光が反射した
光をすべて足し合わせた光になるということ
ω : 出射方向
ω': 入射方向
n : xの位置における法線
Imagire Day
Imagire Day 2009
BRDFとは?
• Bidirectional Reflectance Distribution Function
(双方向反射分布関数)
–
–
–
–
ある物質上の一点(x)において
ある方向(ω’)から入射してきた光と
ある方向(ω)に出て行く光の
比(fr)を表す関数

 
dLr ( x,  )
f r ( x,  ,  ) 
   
Li ( x,  )(   n )d 

 
   
Lr ( x,  )   f r ( x,  ,  )Li ( x,  )(   n )d 

x : 反射が起こる座標

ω : 出射光の向き

ω' : 入射光の向き

n : xの位置における法線
f r : BRDF
dLr : 反射された放射輝度
Li : 入射する放射輝度
Imagire Day
Imagire Day 2009
BRDFの性質(1)
• エネルギー保存則
– ある一方向から入射した光のエネルギーは
その光が反射して出射した光の総量以上になる


    

f r ( x ,  ,  )(   n ) d   1,  
Imagire Day
Imagire Day 2009
BRDFの性質(2)
• ヘルムホルツの相反性(Reciprocity)
– BRDF関数は入射方向と出射方向を入れ替えても
値が変化しない
 
 
f r ( x,  ,  )  f r ( x,  ,  )
Imagire Day
Imagire Day 2009
BRDFモデル
• BRDFをいくつかのパラメータで近似した式
– たくさんのBRDFモデルが提唱されている
BRDFモデル
備考
Cook-Torrance
物理モデルを元に比較的正確なスペキュラーの再現を可能にしたモデル
Blinn-Phong
本来(Blinn)はCook-Torranceを元に、ハーフベクトルや利用して高速化を行った
簡略化モデル。ゲームではいろいろなBlinn-Phongと呼ばれるモデルが存在している
Ward
幾何減衰項はないが、それなりに物理的正確性を備えている。異方性もあり。
Normal Distribution Function(NDF)はBeckmann分布改
Ashikhmin
エネルギー保存則を満たす異方性つきBlinn-Phongといった感じのモデル。
幾何減衰はない
Kajiya-Kay
髪の毛の異方性を再現するモデル。現在ではMarschnerモデルが一般的
LaFortune
Measured BRDFのフィッティングに向いているBRDFモデル
Oren-Nayer
幾何減衰を考慮したディフューズモデル
BRDFモデルの一例
Imagire Day
Imagire Day 2009
BRDFモデルの利点
• (計測された)BRDFデータに比べて
– データ量が少ない
– パラメータで質感をコントロールできる
• フィッティング用モデルだと直感的コントロールが難しいものもある
D1  cos c1 
D2  e
(g  c)2  (c(g  c) 1)2  G  min(1.0,
1

F
2( N  H )( N  E )
2
2
(g  c)  (c(g  c) 1) 
,
Blinn-Phong
 ( c 2 ) 2


c32


D3  
2
2
 cos  (c3  1)  1 
2
D項(NDF)は3種類の紹介されている
c  (E  H)
g  n2  c2 1
フレネル項(F)
EH
2( N  H )( N  L)
)
EH
幾何減衰項(G)
係数cについては論文をご覧ください
D  F G
Blinn 
N E
Imagire Day
ゲームで代表的なBRDFモデルであるBlinnモデル
Imagire Day 2009
BRDFモデルの欠点
• モデルによっては…
– 特定の質感のみを再現する
– 複雑な質感や高品質な質感を再現できるモデルは
計算負荷が高い
• リアルタイムレンダリングでは使いづらい?
shininessu ( H U ) 2  shininess v ( H V ) 2
1 ( H  N )
( shininessu  1)( shininess v 1) ( N  H )
specular ( L, E ) 
8
( H  E ) max( N  E , N  L)
2
F (E  H )
F ( E  H )  Rs  (1  Rs )1  ( E  H ) 
5
  N  L 5   N  E 5 
28 Rd
diffuse( L, E ) 
(1  Rs )1  1 
 1  1 
 
 
23
2
2
  
 

Ashikhmin-Shirleyモデル
Imagire Day
Imagire Day 2009
BRDFの実装
• BRDFモデルをシェーダとして実装する
– BRDFは微分方程式であることに注意!
– BRDFを利用してレンダリングするということ
(レンダリング方程式の解を求める)は
積分を行うということ
出射する光を求めるということは

 
   
Lr ( x,  )   f r ( x,  ,  )Li ( x,  )(   n )d 

微分方程式
 
BRDF f r ( x, , ) 

dLr ( x, )
   
Li ( x, )(  n)d
Imagire Day
Imagire Day 2009
よりよい質感を目指して
• 今までのBRDFモデルでは何が問題?
– 広く使用されているBlinn-Phongで検証
•
•
•
•
D項はPhongのNDFを利用(ハーフベクトルHを利用)
F項はSchlickの近似を利用
問題を単純化するためにG(幾何減衰)項は考慮しない
G項を省いたため(N・L)/(N・E)は考慮しない
– 詳しくは参考文献[1],[2]をご覧ください


Out  R d ( N  L)  Rs F0  (1  F0 )(1  E  H ) 5 ( N  H ) shininess
ディフューズ項
Schlickの近似
PhongのNDF
N : レンダリング対象の微小平面の平均法線ベクトル
L : 入射する光のベクトル
E : 視線ベクトル
H : LとEのハーフベクトル
BRDFBlinn
D  F G

N Imagire
E Day
Imagire Day 2009
スペキュラーのSchlick近似
• 本来Schilickの近似に使うcosθは
入射ベクトルと法線の内積
– しかしここではハーフベクトルと視線
(または入射)ベクトルの内積になっている
Fspecular ( F0 )  F0  (1  F0 )(1  E  H )
5
なぜ?
Imagire Day
Imagire Day 2009
スペキュラーのSchlick近似
• 本来鏡面反射は法線に対して入射光と同じ
角度にしか反射しない
– しかし光沢(glossy)な鏡面反射ではそれ以外の
角度にも光が反射している
• 微小平面内での物体平面の凸凹が反射光を
拡散させている
– マイクロファセット
微小平面の平均法線(N)
マイクロファセット
Imagire Day
Imagire Day 2009
スペキュラーのSchlick近似
• 視線方向に反射している光はその方向に
鏡面反射させるマイクロファセットからの光の集合
– この時のマイクロファセットの法線は視線方向と入射光の
中間になっている
• ハーフベクトル(H)
• 結果としてハーフベクトルと視線ベクトルとの内積になっている
微小平面の平均法線(N)
マイクロファセットの法線
マイクロファセット
Imagire Day
Imagire Day 2009
前提
• 考察を簡単にするために
1.吸収を考慮しない
•入射した光はすべて(スペキュラーやディフューズなどで)で
反射すると考える
2.物理的性質の波長依存性を考慮しない
•物質には色が無いと考える
3.物質は一様な単一分子で構成されている
•複数物質のレイヤーや乱雑度の変化は考慮しない
Imagire Day
Imagire Day 2009
Blinn-Phongの問題
• 代表的な問題
– 各パラメータが物理的な意味をもたない
• 例)スペキュラー係数(Rs)が反射率を表しているわけではない
– エネルギー保存則および相反性を満たしていない
• 特にエネルギー保存則はビジュアルに差を及ぼす
(Rs)
Imagire Day
Imagire Day 2009
反射率
• フレネル方程式を考慮すると
– 物質の屈折率が与えられればその物質の反射率が求まる
• スペキュラのピーク(Rs)がわかるわけではない
屈折率
垂直反射率
(specular)
鉄(2.36)
0.164
金(0.34-3.2i)
0.887
石英(1.45)
0.034
サファイヤ(1.76)
0.076
炭素(2.0–1.0i)
0.2
=Rs
≠反射率
Imagire Day
Imagire Day 2009
反射率
• 反射率は入射した光がどのくらい反射されるかを表す
– 本来はスペキュラーもディフューズも含めた反射率だが
ここではスペキュラーの反射率のみを考える
• Blinn-Phongではshininessを動かしてもスペキュラーの
ピーク(Rs)は変化しない
– 反射率が変化している
 ( x) 

 
 
      
f r ( x,  ,  ) Li (x,  )(   n )d (  n )d
   
L
(
x
,

 i )(   n )d 

反射率の定義式
同じスペキュラー係数(Rs)
shininess
5
shininess
100
反射光と入射光の比
面積(反射率)は異なる
Imagire Day
Imagire Day 2009
スペキュラー反射率
• 反射率を一定にするということは
– 反射によって放射された光の総和が一定
• shininessが変化する=スペキュラー係数(Rs)が変化する


(N  H )
shininess
d =一定
異なるスペキュラー係数(Rs)
shininess
5
shininess
100
同じ面積(反射率)
Imagire Day
Imagire Day 2009
スペキュラー係数
• スペキュラーの係数をshininessから求める
– スペキュラー式を出射半球上で積分する
• ライトは垂直入射と考える(厳密ではない近似)



(H  N )
shininess
shininess
2
4 (2  2
)
d 
shininess  2
スペキュラーで反射した光の総量を表す
Imagire Day
この式の導出はこのpptスライドの最後の参考1をご覧ください
Imagire Day 2009
新しいスペキュラー係数
• スペキュラー総量で正規化する
– スペキュラー総量の逆数を乗算する
Specular  Rs
( shininess  2)
4 (2  2

shininess
2
Fschlick ( F0 )( N  H ) shininess
)
代入されたスペキュラーの式
ただし
Fschlick ( F0 )  F0  (1  F0 )(1  E  H ) 5
Imagire Day
Imagire Day 2009
エネルギー保存則
• 反射した光の総和が入射した光を超えない
– 前提から
• 入射した光 = ディフューズ + スペキュラー
– スペキュラーを先に求めたのであれば
• ディフューズ = 入射した光 – スペキュラー
Imagire Day
Imagire Day 2009
エネルギー保存則
• スペキュラーで反射した量の残りがディフューズになる
– ここでの「スペキュラー」は視線方向に発生している
スペキュラーではなく入射した光に対して発生した
スペキュラー反射の総量
Diffuse  1  R f  Fschlick ( F0 ) Rd ( N  L)
ディフューズとして
視えている反射光
入射光
入射光に対しての
スペキュラ
ただしRfは(フレネル項を除いた)
スペキュラで反射光の総量
スペキュラー反射量は正規化しているので
Rf=Rsになる
Imagire Day
Imagire Day 2009
エネルギー保存則
• 入射した光に対して発生しているスペキュラーの
総量なのでE・Hに対してのSchlickではなく
L・Nに対してのSchlickになる
– ただしこれはスペキュラー側のフレネルを考慮していない
近似式



Diffuse  1  Rs F0  (1  F0 )(1  N  L) 5 Rd ( N  L)
エネルギー保存するために
この式の正規化係数はLambertのBRDFの1/π
Imagire Day
考慮した式に関してはこのpptの最後の参考2をご覧ください
Imagire Day 2009
変形されたディフューズ
• エネルギー保存則を満たすディフューズ
– 完全には満たしていない近似
• 特にglazing angleでの変化を正しく捉えられていない
• 相反性を満たしていない



1
Diffuse  1  Rs F0  (1  F0 )(1  N  L) 5 Rd ( N  L)

エネルギー保存を近似した式
Imagire Day
Imagire Day 2009
正規化Blinn-Phong
• 物理的正確性を増したBlinn-Phong
– すべてを代入すると
Out  Rd
1
 2)
shininess
1  Rs Fdiffuse ( F0 )( N  L)  Rs (shininess
F
(
F
)(
N

H
)
specular
0
shininess


4 (2  2 2 )
最終的に導出された正規化Blinn-Phong
ただし
Fspecular ( F0 )  F0  (1  F0 )(1  E  H ) 5
Fdiffuse ( F0 )  F0  (1  F0 )(1  N  L) 5
Imagire Day
Imagire Day 2009
高速化
• スペキュラーの正規化式の負荷が高い?
– 近似できないか?
正規化係数
( shininess  2)
4 (2  2

shininess
2
)
shininess
ほとんどリニア?
Imagire Day
Imagire Day 2009
近似による高速化
• リニアの式で近似してみる
( shininess  2)
4 (2  2

shininess
2

)
shininess  n
8
nの値は?
Imagire Day
Imagire Day 2009
近似による高速化
• nの値はshininessの定義域で変わってくる
– しかしほとんど誤差
• 今回は n = 2.04
正規化係数
((shininess
shininess  2)
4 (2  2

shininess
2
)
8πにこだわらないのであれば
shininess  2.04
8
0.0397436 shininess  0.0856832
というフィッティングもあります
Imagire Day
shininess
Imagire Day 2009
計算の簡略化
• 正規化処理をオフラインで計算する
– shininessとスペキュラー係数
• テクスチャで変動しないのなら同じマテリアル内で一定なので
シェーダで計算する必要がない
• shininessマップがあるならそのマップに各shininessに対応する
スペキュラー係数を埋め込んでおく
– ディフューズのエネルギー保存
• 定数部分(1/π)はアルベドテクスチャで代用できる
• Schlick部分は(1-F0)で近似する
shininessが定数なら
正規化係数も定数
(shininess  2)
4 (2  2

shininess
2
正規化係数
)
shininessとRsは Imagire Day
対応している
Imagire Day 2009
結果
Blinn-Phong
正規化Blinn-Phong
Imagire Day
Imagire Day 2009
結果
Blinn-Phong
正規化Blinn-Phong
Imagire Day
Imagire Day 2009
結果
Blinn
Blinn--Phong
正規化Blinn
正規化
Blinn--Phong
Imagire Day
Imagire Day 2009
考察
Blinn-Phongの式
Out  R d ( N  L)  Rs Fspecular ( F0 )( N  H ) shininess
Out  Rd
1
1  Rs Fdiffuse ( F0 )( N  L)  Rs (shininess  2.04) Fspecular ( F0 )( N  H ) shininess

8
改良されたBlinn-Phongの式
Imagire Day
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Blinn-Phongの調整法
• 典型的(だと思われる)Blinn-Phongの調整
–
–
–
–
–
–
スペキュラー係数(Rs)をいい感じに調整
shininessをいい感じに調整
フレネル係数をいい感じに調整
カラー系パラメータをいい感じに調整
各種テクスチャが必要な場合にはそれを描く
レンダリングしてみていい感じになるまで上記の
作業を繰り返す
Imagire Day
正規化Blinn-Phongでは?
Imagire Day 2009
正規化Blinn-Phongの調整法
• 物理的正確性がシェーダ内で保証されるので
– テクスチャによる変化における正確性
• 目的の物質の屈折率を求める
– 屈折率を入力
• shininessで表面の光沢を調整
– shininessマップでもRsは自動調整
• スペキュラー係数Rsは金属など選択反射が起きない
物質では調整の必要は基本的にない
• (ディフューズ)カラーマップも純粋にアルベドを描きこむ
– 明るさとしての調整はエネルギー保存しているので必要ない
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テクスチャマップの検証
• Blinn-Phongにおいて各種テクスチャの
意味を検証してみる
• 検証する正規化Blinn-Phongに関してはこのスライドで
導出したものを利用する
フレネルマップ
スペキュラーマップ
アルベドマップ
Imagire Day
Shininessマップ
ノーマルマップ
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スペキュラーマップ
• スペキュラーにおける反射能を定義する
Blinn-Phong
正規化Blinn-Phong
•波長(色)におけるスペキュラー
反射のピークの定義
•物理的な意味はあまりない
•波長(色)におけるスペキュラー
反射能を定義する
•物理的には正しくない
Imagire Day
(余談)
スペキュラーを反射した(分子構造体にはじかれた)光であること(選択反射)を考慮すると、スペキュラーについている色は光の吸収によって
起きているというよりも、波長における屈折率の違いにより起きているので、色が付くだけでなく波長においてスペキュラの形状にも違いがでる。
これが金属独特の光沢を生んでいる。また正確なレンダリングのためにはRGBだけの3スペクトルだけでは不充分である。
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Shininessマップ
• スペキュラー拡散度を定義する
– マイクロスケールにおける表面形状の乱雑差を表す
Blinn-Phong
正規化Blinn-Phong
•スペキュラーの拡散度を決定する •スペキュラーの拡散度を決定する
•反射率を一定に保つにはスペキュ •スペキュラーマップを利用せずとも
ラーマップを調整する必要がある
反射率が一定に保たれる
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フレネルマップ
• フレネル計算に影響を与えるテクスチャ
Blinn-Phong
正規化Blinn-Phong
•フレネル計算における単なる係数
•物理的正確性はない
•結果的に屈折率を意味する
•物質の種類を定義する
•エネルギー保存をする
Imagire Day
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アルベドマップ
• ディフューズにおける反射能を定義する
Blinn-Phong
正規化Blinn-Phong
•ディフューズ計算の色を定義する
•物理的正確性はない
•ディフューズにおいて各波長(色)の
反射率の比を定義する
•スペキュラーとの比において
エネルギー保存する
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ノーマルマップ
• Shininessマップより大きなスケールでの物質の
表面の形状を法線の摂動を利用して定義する
– 正規化されることによりノーマルマップに関しての挙動の
差はないがビジュアルとしては法線の摂動による
物理的正確性が知覚できる場合がある
Imagire Day
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テクスチャの重要性の違い
• Blinn-Phongにおけるテクスチャの重要性
1.アルベドマップ
2.ノーマルマップ
3.スペキュラマップ
スペキュラの強度指定やマスク
場合によってはノーマルマップよりも重要
4.shininessマップ
素材感を指定する
5.フレネルマップ
Blinn-Phongではあまり重要ではない
Imagire
番外. Ambient Occlusion
MapDay
Translucency Mapなど
必要に応じて使用
Imagire Day 2009
テクスチャの重要性の違い
• 正規化Blinn-Phongにおけるテクスチャの重要性
1.アルベドマップ
2.ノーマルマップ
ある程度のスケールの大きい
(mesoscale)表面の粗さを定義する
3.shininessマップ
ノーマルマップより細かい(microscale)
での表面の粗さを定義する
4.フレネルマップ
物質の違い(屈折率)を定義する
5.スペキュラマップ
正規化Blinn-Phongでは重要度が低い
Imagire
番外. Ambient Occlusion
MapDay
Translucency Mapなど
必要に応じて使用
Imagire Day 2009
まとめ
• プログラマーにとってのリフレクタンスの重要性
– 計算負荷と品質のコントロール
• 仕組みを知ることによりどこを省くかを
物理的に判断できる
• すでにある有名なBRDFモデルを改良または
簡略化する場合に勘に頼る必要がない
Imagire Day
Imagire Day 2009
まとめ
• アーティストにとってのリフレクタンスの重要性
– 物理的に正確性の高いBRDFモデルを
利用すれば少ないパラメータでリアリティのある
質感を実現できる
• パラメータを調整する手間を省ける
• テクスチャを利用した質感の正確性
– 物理的なパラメータであれば目的のパラメータを
短時間で調整することができる
• 屈折率など
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さらなる表現へ
• スペキュラーの拡張
– 異方性
• AshikhminやWardなどたくさんのモデルがある
– スペクトルシェーディング
• 金属など(可視光内)波長によって大きく屈折率の異なる物質の再現
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さらなる表現へ
• ディフューズ、スペキュラー以外の再現
– 再帰性反射(retroreflection)
• LaFortuneやEdwardsなどサポートしている
BRDFモデルを利用
– 構造色
• 光の波長近傍の微細構造による反射現象
– CD
– 蝶や鳥
– 薄膜干渉
– 特殊塗装
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さらなる表現へ
• 複数レイヤー(物質)への対応
– サブサーフェーススキャッタリング(BSSRDF)
• 肌、髪
• 濡れた物質
– 濡れた石
– 濡れた服
– 濡れた肌
• 関与媒体(Participating Media)
– 均一(Homogeneous)
– 不均一(Inhomogeneous)
• その他
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さらなる表現へ
• 測定(Measured)BRDFへの対応
– BRDFデータベース
– BRDFモデルへのパラメータフィッティング
– BTF
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謝辞
• 敬称略
– 庄子達哉, 石井聡 : 研究開発部
– 藤田将洋 : ライトトランスポートエンタテイメント株式会社
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参考文献
• K. E. Torrance et al. “Theory for Off-Specular Reflection
From Roughened Surfaces” JOSA 1966
• James F. Blinn “Models of Light Reflection for Computer
Synthesized Pictures” Proceedings of the 4th annual
conference on Computer graphics and interactive tchniques,
1977
• Robert R. Lewis “ Making Shaders More Physically Plausible”
WCGS 1993
• Eric P. Lafortune et al. “Using the Modified Phong
Reflectance Model for Physically Based Modeling” Technical
Report CW 197, 1994
• [1] Peter Shirley et al. “A Paractitioners’ Assesment of Light
Reflection Models” Pacific Graphics, 1997
• [2] Laszlo Neumann et al. “Compact Metallic Reflectance
Models” Computer Graphics Forum, 1999
• Michael Ashikhmin et al. “An Anisotropic Phong Light
Reflection Model “ UUCS-00-014, 2000
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• Michael Ashikhmin et al. “An Anisotropic Phong BRDF Model
“ Journal of Graphics Tools, 2000
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参考1(スペキュラー積分)
以下の式を出射方向(E)半球上で積分する


( H  N ) shininess d
…(1)
積分範囲をVのZ+軸半球上とすると
N  (0,0,1)
E  (sin  cos  , sin  sin  , cos  )
前提から L = N になるので
LE
NE
H

LE
NE
…(2)
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参考1(スペキュラー積分)
また
N  E  sin 2  cos 2   sin 2  sin 2   (cos   1) 2
 sin 2   cos 2   2 cos   1
 2(cos   1)
…(3)
式(2),(3)を利用すると
N  (N  E)
1  cos 

H N 

 cos
NE
2
2
…(4)
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参考1(スペキュラー積分)
式(1)に変数変換を行うと

2
 0



( H  N ) shininess sin dd
式(4)を代入すると

2
 0



 shininess
(cos )
sin dd
2

shininess
2
4 (2  2
)

2  shininess
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参考2
• ディフューズのエネルギー保存でスペキュラーの
フレネルを考慮した式は以下のようになります


21
diffuse  Rd
1  (1  N  L) 5 1  (1  N  E ) 5
20 (1  F0 )

この式の導出に関しては参考文献[1]
“A Practitioners’ Assesment of Light Reflection Models”
の5.1で解説されています
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質問
• 質問はメールでも受け付けています
– [email protected]
– このスライドは以下のページでダウンロードできます
• http://research.tri-ace.com/
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著作権表記
• Star Ocean The Last Hopeの
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