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日本公庫・農業経営の現場での女性活躍状況調査

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日本公庫・農業経営の現場での女性活躍状況調査
ニュースリリース
平成25年1月9日
株式会社日本政策金融公庫
女性役員・管理職がいる経営ほど売上・収益力が高まる傾向
短時間勤務など職場環境づくりに課題
- 日本公庫・農業経営の現場での女性活躍状況調査-
日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業では、6次産業化や大規模経営を展開す
る融資先農業者を対象に、女性活躍の推進にどう取組んでいるか調査しました。
その結果、女性役員・管理職がいる経営は、いない経営と比べて融資後 3 年間の売上
や収益力が高まる傾向のあることが明らかとなりました。一方で、短時間勤務制度の導
入など女性の働きやすい職場環境づくりに課題もあることがわかりました。
<調査結果のポイント>
○
6次産業化経営の6割で女性活躍を推進
女性従業員の能力を引き出し、活躍の場を広げることで経営の発展を図る「女性活
躍の推進」に関する取り組みについて聞いたところ、「取り組んでいる」との回答が
52.0%となった。(図 1-1)
「6次産業化に取り組んでいる」農業者のうち、62.5%が女性活躍の推進に取り組
んでいると回答した一方、「6次産業化に取り組んでいない」農業者では 39.4%にと
どまり、6次産業化を実践する農業者において、女性の能力を経営発展に活用しよう
とする姿勢が明らかとなった。(図 1-2)
また、「全役員・従業員に占める女性の割合」で見ても、「6次産業化に取り組ん
でいる」農業者ではその割合が平均で 46.3%に達した一方、「6次産業化に取り組ん
でいない」農業者では 31.9%となり、6 次産業化の現場でより女性の活躍の場が広が
っている数字となった。(図 1-3)
「6次産業化に取り組んでいる」農業者に、部門別の女性従業員の有無について聞
いたところ、農作業に従事する「生産部門(1 次産業)」59.2%、農産物の加工に従
事する「加工部門(2 次産業)」52.3%、農産物とその加工品の販売に従事する「販
売部門(3 次産業)」50.4%、総務や経理事務に従事する「総務・経理部門」59.7%と、
いずれの部門でも約半数の農業経営で女性が業務に携わっていると回答し、面談調査
でも女性は食品加工や接客・販売業務への適応能力が高いとの声が多く聞かれた。ま
た、37.4%の農業者においては女性が「役員・管理職」として経営を担っている実態
も明らかとなった。(図 1-4)
○
経営の細部に気配りする女性役員・管理職がプラスとの声
設備投資等で公庫資金を利用する前の売上高と3年後の売上高を比較し、その増加
した割合を示す売上高増加率を調べたところ、「女性の役員・管理職」が「いる」経
営では 3 年間で 23.0%増加したのに対し、「いない」経営では、9.4%の増加に留まっ
た。(図 2-1)
同様に経営の収益力を示す売上高経常利益率を融資前と3年後で比較したところ、
「女性の役員・管理職」の「いる」経営では2%上昇(0.9%→2.9%)したのに対し、
「いない」経営では、ほぼ横ばい(1.5%→1.4%)となった。(図 2-2)
面談調査でも、女性経営者の特徴として、経営の細部に気を配るきめ細やかさを指
摘する声があり、女性役員・管理職がいる経営において売上・収益力ともに高まる傾
向を示す結果となった。
○
働きやすい職場環境づくりで具体的な対応策が必要に
「女性の活躍推進に取り組んだ、又は取り組もうとしたきっかけ」について聞いた
ところ、「女性に向いた業務が多いため」65.3%、「女性の感性・経験を活かし事業を
活性化するため」58.6%、「女性の能力を活かせる機会が増えてきたため」42.7%が高
い回答となった。(図 3-1)
また、「仕事と育児・介護の両立支援として就業規則等に定めている、又は制度は
ないが柔軟に対応していること」については、一般の中小企業を対象に行った調査結
果(日本公庫総合研究所「企業経営と従業員の雇用に関するアンケート(2011 年)」)
と比較したところ、短時間勤務制度(農業者 58.0%、中小企業 83.9%)、子の看護休
暇(農業者 28.3%、中小企業 62.7%)、所定外労働時間(残業)の免除(農業者 25.2%、
中小企業 84.1%)、フレックスタイム制度(農業者 12.1%、中小企業 68.8%)など
すべての項目において農業者の仕事と育児・介護の両立支援への取り組み状況が一般
の中小企業を大きく下回った。(図 3-2)
農村では二世帯、三世帯で同居しているケースが多く、家庭内で育児や介護に融通
が利くといった要因も考えられるものの、「女性が働きやすい職場環境づくり」のた
め、より具体的な対応策が必要と考えられる。
調査時期・方法
調査対象
平成 24 年9月~11 月・郵送アンケート及び面談による調査
6次産業化・大規模経営に取り組む農業者(日本公庫融資先)2,078 先
(1)6次産業化の事業展開にあたって公庫資金を利用した農業者 385 先
(2)売上高が以下の基準を満たす農業者(大規模農業経営体)1,693 先
1 億円以上
稲作、畑作、露地野菜、施設野菜、花き類、工芸作物、その他
3億円以上
きのこ、酪農、肉用牛、養豚、採卵鶏、ブロイラー
※果樹は 5 千万円以上
回収数
1,003 先(回収率 48.3%)
図1-1:女性活躍推進に対する取り組みの割合
女性活躍に
取り組んでいない
女性活躍に
取り組んで 女性活躍に
いない
取り組んでいる
女性活躍に
取り組んでいる
48.0%
(522)
図1-2:女性活躍推進に対する取り組みの割合
(6次産業化の取り組みの有無別)
52.0%
37.5%
(385)
(343)
62.5%
60.4%
(133)
(179)
6次産業化に取り組んでいる
n=476
n=907
女性活躍に
女性活躍に
取り組んでいる
取り組んで
39.4%
いない
(252)
6次産業化に取り組んでいない
n=431
図1-3:全役員・従業員に占める女性の割合
女性
女性
男性
31.9%
46.3%
53.7%
男性
68.1%
6次産業化に取り組んでいる n=491
6次産業化に取り組んでいない n=441
図1-4:部門別の女性従業員の有無(複数回答) n=486
59.2%
生産部門
(282)
52.3%
加工部門
(249)
50.4%
販売部門
(240)
59.7%
総務・経理部門
(284)
37.4%
役員・管理職
(178)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
図2-1:融資後3年間の売上高増加率(女性役員・管理職の有無別) n=234
0%
5%
10%
15%
20%
25%
女性役員・管理職がいる
23.0%
(n=70)
13.6ポイントの乖離
女性役員・管理職がいない
9.4%
(n=164)
図2-2:融資後3年間の売上高経常利益率の推移(女性役員・管理職の有無別) n=234
0.0%
0.5%
融資前
1.0%
1.5%
0.9%
2.0%
2.5%
3.0%
2.0ポイントの上昇
女性役員・管理職がいる
(n=70)
融資後
融資前
1.5%
ほぼ横這い
女性役員・管理職がいない
(n=164)
2.9%
融資後
1.4%
3.5%
図3-1:女性の活躍推進に取り組んだ、又は取り組もうとしたきっかけ(3つまで選択) n=553
65.3%
女性に向いた業務が多いため
(341)
58.6%
女性の感性・経験を活かし事業を活性化するため
(306)
42.7%
女性の能力を活かせる機会が増えてきたため
(223)
27.2%
男女の能力に差はないため
(142)
19.7%
地域に就労可能な女性が多いため
(103)
11.1%
顧客のニーズに対応するため
(58)
9.4%
社会貢献・地域経済貢献のため
(52)
5.0%
企業イメージ向上のため
(26)
1.1%
その他
(6)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
図3-2:仕事と育児・介護の両立支援として就業規則等に定めている、又は制度はないが柔軟に対応して
いること(複数回答) n=755
58.0% (438)
短時間勤務制度
54.2%(409)
終業時刻の繰上げ・繰下げ
28.3%(214)
子の看護休暇
83.9%
80.2%
62.7%
25.2%(190)
所定外労働時間(残業)の免除
84.1%
14.8% (112)
親の介護休暇
12.1% (91)
フレックスタイム制度※1
68.8%
6.4%(48)
勤務先への子の同行
在宅勤務制度
2.4%(18)
育児に要する経費の援助措置
2.3%(17)
26.8%
20.2%
0.7% (5)
事業所内託児制度
農業者
一般の中小企業※2
25.6%
19.2%
7.2% (54)
その他
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
※1 「フレックスタイム制度」とは、労働者自身が一定の 定められた時間帯の中で、始業及び終業の時刻を決定することができる変形労働時間制の一つ
※2 「一般の中小企業」は、日本政策金融公庫総合研究所「企業経営と従業員の雇用に関するアンケート」(2011年) n=2,951
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