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Title フェルミ原子光格子系の基礎知識 - Kyoto University Research
Title Author(s) Citation Issue Date URL フェルミ原子光格子系の基礎知識(<シリーズ>超伝導・超 流動研究の接点) 奥村, 雅彦 物性研究 (2011), 96(6): 617-656 2011-09-05 http://hdl.handle.net/2433/169614 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 物性研究 96-6 ( 2 0 1 1-9 ) シリーズ「超伝導・超流動研究の接点」 フェルミ原子光格子系の基礎知識 日本原子力研究開発機構 奥村雅彦 1 ( 2 0 1 1年 7月 1 9日受理) 富次 1 はじめに 618 2 1体のフェルミ原子の制御 619 2 . 1 ハ ミ ル ト ニ ア ン . • • • .• • .• ...• • • .• • • ...• • • • • • • • ...• • • .6 1 9 2 . 2 超微細構造 .• ....• • .....• ..• ...• ......• • ..• ...• ..• 6 1 9 2 . 3 ラジオ波との相互存用 • • • .....• • • • • • • .• ...• .• • ...• .....6 2 1 2. 4 電場との相互作用.. .. . .. . ..・ー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. . . . . 6 2 4 3 2体のフェルミ中笠原子の欝衝I 627 3 . 1 散 乱 問 題 の 基 礎 の 復 習 . • • • ....• • .• • ...• ..• • • • • ...• ...• • 6 2 7 3 . 2 フエツシュバッハ共鳴. • • • • ...• • • • • • .....• • • • • • • • ...• • • • 6 2 9 4 光稽子系における八バード模型 634 4 . 1 周 期 ポ テ ン シ ャ ル の 影 響 . ........• • .....• ...• ......• • • ..635 4 . 2 謂和型トラップ・ポテンシャルの影響. .....• ..........• ...• .• • 6 3 7 5 観灘方法 639 6 光提子系実験 642 6 . 1 実験の涜れ .. ‘ ・ ・ ・ ・ ・ ー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . . . . . . . . 6 4 2 6 . 2 諜々な党格子. • • ..• ...• .....• ...• ......• ...• • .• • • • • 6 4 3 6 . 3 7エルミ原子光格子系の主な実験結果. .......• ...• ..• • ..• ...• • 6 4 4 6. 4 そ の 他 . ....• • • • • .• ...• .• .• • • ...• .• • • • • • ...• .• • • .6 4 6 7 まとめ 647 E m a i l :o k u m u r a . m a s a h i k o @ j a e a . g o . j p 1 。 円 i 円 奥村雅憲 1 はじめに 国体中の電子の振る舞いを記述するハバード模型 (Hubbardm odel)は、議性・超伝導等の様々 な物理現象を記述する最も単純な模型と考えられている [ 1, 2, 3, 4 ] 0 しかし、その単純さとは裏 腹に、ハバード模型の物理の全容は明らかになっているとは言い難い。特に、量子相関が強い“強 相関電子系"は解析的手法による扱いが難しいため、ノ、ノミード模型自体を何らかの方法で模擬的に 作り出す(シミュレート〉することが、その理解のための重要な方向の 1つであると考えられる。 それを可能にしたのが(古典)コンピューターを用いた数鐘シミュレーションである。その方法も、 厳密対角化法、量子モンテカルロ法、密度行列繰り込み群法など、色々なアルゴリズムが提案さ れ、それらを用いてこれまでに多くの計算が行われている。これらの数種シミュレーションの結 果によってハバード模型についての理解は深まっていったと言えよう向。しかし、提案されてい る数値シミュレーション法は万能ではなく、我々が知りたい無限系のノ、ノてード摸型の性賓を知る には何か本震的な発展が必要とされている。 このように難攻不落のハバード模型に対して、最近新しいシミュレーション方法が提案され、実 現しつつある。それがハバード模型の“量子シミュレーター刊としての“フェルミ原子光格子系"で ある。この系はレーザーで作ちれた“光格子"に中笠原子を蹟じ込め、国体中の電子をシミュレー トしようとする試みで、いわゆる量子シミュレータ [ 6, 7, 8 ]のー撞である。この試みは数値シミュ レーションとは全く異なるハバード模型へのアプローチであり、解析的手法、数値シミュレーシヨ ンと相補的に利用する事 i こより、ノ、ノ官ード模型の理解を深めちれると期待されている。 そもそも、量子多体系の数倍シミュレーションを菌難なものにしているの詰“量子性"であった。 なぜならば、古典系と異なり、量子系の計算は量子力学の“重ね合わせの原理"により取りうる全 ての状態を考慮しなければならないかちである。このために、例えば厳密対角化法などでは、扱 う系を大きくしていくと、 J必要となるメモリ量などが指数関数的に増えていき、あっという間に 計算機資源が足りなくなるのであるえ一方で、本積で取り上げる量子シミュレーター(フエルミ 原子光格子系)は「制御可能な量子系で他の量子系を模散する」ものであるが、この定義かちして 数値シミュレーシヨンでの問題点を克撮している。つまり、量子系によって量子系を模倣するた め、“量子性"は問題にならないのである。 このように、“量子シミュレーター"はこれまでの数値シミュレーシヨンの問題点を原理的に克 服しているという点で非常に興味深い。もちろん、量子シミュレーターにも様々な限界があると 考えられるが、数値シミュレーションの限界を超えた知見を我々に与えてくれるのは間違いない であろう。さらに、量子シミュレーターを使え話、我々が勝手に考えた“物理系"をも実現可能で ある。今後は、勝手にハミルトニアンを構築して勝手にその物性を研究しても、それを実験で検 証可能になるかもしれないのである。これは、未だ発見されていない新現象がこの系で発見され る可能性があることを示唆している。つまり仏、量子シミユレ一夕は なく仁、“自然現象を作り出す押可能性も秘めているのである。 本稿では、このような可能性を秘めた“量子シミュレーター"の一種である、フェルミ原子光格 2他の方法でもフェルミオン系には(なぜか)本糞的罰難が伴うようである。 ζυ 。 。 フェルミ原子光格子系の基礎知識 錦の方法を解説し、実験で行 子系の基礎知識について解説する。具体的には、フェルミ原子の事j われている操作を理解する事を自標とする。まず、第 2章では 1体のフェルミ原子の制調方法に こ、第 3章ではフェルミ原子同士の欝突について説明する。そして、第 4章で ついて述べる。次 i は、光格子系におけるハバード模型、特に周期ポテンシャルと調和型トラップ・ポテンシャルの 共存効果について述べる。第 5章では現在行われている模湖方法について欝単に述べ、第 6章で はこれまでに行われているフェルミ原子光格子系を中心に、実験結果などについて龍単に触れる。 本稿では、 6Liと40Kを中心に扱い、他の原子種にはあまり触れない。ボース系を含めた中性原 子気体系全般は文献 [ 9ぅ 10, 1 1ラ 1 2, 1 3 ]とその参考文献を、 y bに関しては本家本元の解説記事 [ 1 4 ] を参照されたい。また、フェルミ原子光格子系についても優れたレビューが数多くあるので、そ 9ラ 14,15,16ぅ 17,18,19, 2 0 ]0 ちらも参考にしていただきたい [ 2 1体のフェルミ原子の制御 まず、 1体の中性フェルミ原子について外場との相互作用を考え、中性原子に対して、外場に よってどのような操作が可能かを見てみよう(詳しくは文献 ( 1 0ヲ 21, 22ぅ 23, 24 25ヲ 26ぅ 27ぅ 2 8 ]な ラ どを参照のこと)。 2 . 1 ハミルトニアン 外部電場 E と外部磁場 B と相互作用する中性フェルミ原子は以下のハミルトニアンで近似的に 記述される [ 2 3, 24, 2 5 ] 0 H1(BE)= Ho+Hhf+Hz(B)+HED(E) う J う2 s2 Ho=一 一+ーァ十V ( x ) 2M 2in ( 2 ) r A f = 3 2 IS ( 3 ) fgeμB A Hz(B)=β B = \:7 e~D 8 J . l ~\ ーが).B HED(E)=-D.E ここで、た =h/2 πで hはプランク定数、長と ( 1 ) ( 4 ) ( 5 ) ρはそれぞれ最外殻電子とそれ以外(内殻重子と原 子核)の椙対運動量と重心運動量、 M と ? ねT はそれぞれそれらの重心質量と換算質量、£はそれら の椙対座標、長?はそれらの間のポテンシヤル、 ボーア磁子、 μは核磁気モーメント、 f i /2m αhfは各原子の超徴結構造定数、 μB =e eは D=exは電気双極子演算子であるいは素重荷、 meは電子 の賞量)。 では、順を追ってこのハミルトニアンの性質を見ていこう。 2 . 2 超微細構造 まず、外場がない場合 ( )を考えよう。 ここでは、原子の内部自由度としてスピン自 B=E=0 由度に焦点を当てるため、 Hoは無視する c Qd p o 奥村雅彦 一般に原子は核スピン Iと電子スピン Sを持つが、アルカリ原子は 1つの最外殻電子を持つ ので、 S=¥ ( S ) ¥ /I i=1 / 2として良い。また、基底状態を考えると、電子は角運動量を持たない ( ( L )=0 )。そして、電子スピンは核スピンの作る磁場による超微細相互作用を介して核スピンと 結合し、全角運動量 F は止 =I+Sとなる。ここで、 わかる ( F= I ( F ) I / 、 九 1= 1 ( 1 ) 1 / 的。これらの式と 仰 ヲ ト (Ihf)= s= 1/2より、 F=1土 1/2 となることが s= 1/2より、 ( 1 + ペ ] 写[ F山 )-1 ( 6 ) が得ちれる。これより、超微細相互作用に起因するエネルギー差ムE h f( F=1+1/2とF=1-1/2 のエネルギー差) 6 .Eh 1+ ~いhf f=hllhf=( ¥, 2 J が得られる(図 1も参照)。この式と Vrfの測定鐘から ( 7 ) α h fが求まる(表 1 )。ムEhfに関するさらな EE= 。 Mq= 3 3 1 1 9 2 1 4 -1.298 k=2 1i= M= iz nu= 内 L HM=n 1 / fい一一 QU 6 L i 40K Z N μ = ι“, 同位体 ii 1 0 ]を参照されたい。 る理論的考察は [ -1286 表 1 : 陽子数 Z、中性子数 N、核スピン I、核磁気モーメント μ、超徴縮分裂同f ( J . L n=e l i / 2 m p は核磯子 (m 1 0 ] )[ p は揚子の賞量) 手0、E=Oの場合を考えよう。 B z= ( O, O , B )のように z軸方向に磁場をかけるとす 次;こ B m J, ms)の基震で、 ると、ハミルトニアンは I 川=事 (I S)÷geMms-pmI ( 8 ) (Ih(B と書ける (ms、mJはそれぞれ電子スピン、核スピンの磁気量子数)。ここで、ハミルトニアン ( 3 )、 ( 8 )は全角運動量を保存するので、量子数 mp=mJ+msごとにプヨック対角になる。それぞれ のハミルトニアン H m F ( B z )の期待僅は 1 1 ( H ) I +山I ( B z ) α h f ー μB , " ' /=ー 2u .1 - + ~geμBB 2 ( 9 ) ~ (~αhm+;geμBB-4BmI ( H ) m T + l / 2 ( B )=I,:l z . , : l 1 \~y'I(1 + 1 )-mJ(mI+ 1 ) α h f ゾ ;1(1+ 1 )- mI(mI+1 ) α h f ー ト 山I 1)-ige 十 拘 " 叶 B-iBhI+ ( 1 0 ) 1 1 ( H ) I l / 2 ( B )=一 h f1一 e μBB+μB z 一2g , " ' / 2α I~ ( 1 1 ) --u.- -620ー フェルミ原子党格子系の基礎知識 となる。そして、それぞれ の固有値 EmF は /2 十1 必I 1 1 ~ ~ 三 geμBD-zB 三 αhfl十 二 T . ( 一 EmfH/2=-jαhf m [十 12} 〈 j)2B 土 ~J[小 1) - m仇 十 川 +[(m[+~)αhf + (叫十 ?)Bj2 同 ーe M ÷ 2 B ト (吟 E一 山 =ihfI となることが分かる。 iと 40Kの超橡細分裂の磁場依存性 を描いたのが図 1である。図 1 L これらの式と表 lを基に 6 d l e i gf n o r t s )、負の状態を求強場状態 ( e t a t gs n i k e e ds l e i で額きが正の状態を求弱場 状態 (weakf )と呼ぶ。 e t a t gs n i k e e s ) 6 1 i L 6 140v )詰I 5 1 ) 4 1 ~ . . n . 沼 山 刷A1 B B iと 40Kの超微結構造。 L :6 国 1 こ、以下のようにエネルギーの低い穎に各状態に番号を名前と iの場合 i L また、今後のために、 7 して付けておこう。 ), 2 / 3 mJ=F=3/2, )=I 3 F=1/2mf=-1/2}, 1 }=I 2 }, 1 2 / mf=1 F=1/2, )=I 1 1 ラ ) 2 / F 3/2mf=3 )=I 6 ), 1 2 / mf=1 F=3/2, )=I 5 1 F=3/2mf=-1/2) )=I 4 1 二 ぅ ぅ 実際の実験では、このうち 2つの状態を選び、 ラ それぞれをスピン・アップ。スピン・ダウンの状 " と呼んだりもする。 ) n i p )。これらを“擬スピン (pseudos ) 2 )、!↓)= 1 1 )= 1 ↑ 態として扱う(椀:1 3 ラジオ波との相互作用 . 2 これまでは中性原子と外部 磁場との相互作用による静 的な性質を見てきたが、次 に、中性原子 ) との相互非用による、中性 原子の動的な制御につい d l e i d RFf l e i yf c n e u q e r of i d a r とラジオ波 ( ぅ v100μm)に誌ぼ一様に作尾する。 r てみてみよう。ラジオ波は 約数回の波長を持ち、中性 原子系 ( ここでは、以下のように、先ほど考えたハミルトニアンに、定常外部磁場 Boと周期的に変動す )を代入したものを考えてみよう。 t ( f r る外部磁場 B ) 5 1 ) ( t ( r r )=Ho+Hhf+Hz(Bo)+β.B ) t ( f r 言 +Hhf十 Hz(Bo十 B 。 丘1(Bo+Brf(t)0)ニ f ヲ ム ワ PO 奥村雅彦 、 ー 、 -1 、 . " " ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ; 品 ( 00B O ) ' Brf= (BrfCOS(ωt) 00 ) 民= ( 1 6 ) とする。前の章で、ハミルトニアン ( 1 5 )の最右辺の第 2項と第 3項の和を対角的にする状態 を得 たので、この状態を基に議論を進めよう。特に、ここからは、そのうちの 2つの状態(ここでは同 と仰を選ぶ)に着目しよう 。この 2つの準栓以外のエネルギー準位はこれから考える物理過程に 寄与しないとして省略し、ここでも丘。を省略すると、ハミルトニアン ( 1 5 )は Hl(Bo十 Bポt ), 0 )~ Hrf= Hrf, O+ V r f ( t ) ( 1 7 ) I l r f, o=LEili)(il ( 1 8 ) i=l V r f ( t )=μ1 2 B r fC O S ( ω t ) ( 1 1 ) ( 2 1+H . c . ) ( 1 9 ) と簡略化できる。ただし、 μij = ( i lん I j ) とした。さて、これからハミルトニアン宣' r f( 1 9 )に従う シユレーディンガ一方程式 ( S c h r o d i n g e re 弓u a t i o n ) i n 三 ψ │( t ) )=I l r f l ψ( t ) ) δ Z ( 2 0 ) ψ i(t)}=C1(t)11)+C2(t)12) ( 2 1 ) を解こう。 波動関数を と展開すると、 dC1 , . . . . . . , . . . . . i n-~._. d t =E1C1+船 rv ~.l~.l I ; .¥, . , dC2 ,i n-;.L~ d t =E2C1十 郎R cos(wt)C 1 . . . . . Rc oS(wt)C2 'v.w n. ~~~'_VJ~":;' ~.v ( 2 2 ) が得ちれる。ただし、 1 1 r /nで定義され、ラピ振動数 (Rabifrequency)と呼ばれ Rは 11R=μ12Br る。これらの方程式を近似を用いて解くために、 c i=Cie-Eit/iた ( i=1, 2 ) ( 2 3 ) を導入しよう。これらの満たす方程式は . d C 1 1 1ー I r ; ( . . _ . . ¥ . . 1f'~ I i=一旦 ei ( ω 2 1十ω) t+e i ( ω 2 1ω ) tI 1 • .¥.. d t ;(. ._. • ー 2 L r . d C 2 1 1 Rle_; ( ' , 'M_ . ¥ +..L _;(".~. , . L " , ¥ +1 i 1 一 一 三=一 三 ( ω 2 1ー" ω ) t i(ω21 + ω ) t Cl ‘ J. . . d t 7 零 2 L - ", I J_ . ( 2 4 ) となる。ただし、 ω 2 1= (E2-E1 ) / nとした。 これらの方程式を眺めてみると、 2つの時間スケール ( ω 2 1-W)-lと い2 1+ω)-1が内在してい る事がわかる。そこで、はやい運動を記述しているい2 1十 ω)-1に関係する項を落とす近似を採用 する(これは自転波近似 ( r o t a t i n gwaveapproximation)と呼ばれている)。すると、式 ( 2 4 )は 出 i 生 坐 1 d t i 2 1 生 1 1 主 丸 匂 ♂ e 勾 ( W 2~ ~..:; ,~ d t 2 となることがわかる。ここで、さらに -i. d .t C l= C le , ー 一 : _ __ iムt C 2= C 2 e 622- ( 2 6 ) フェルミ諒子光格子系の基礎知識 )は 5 2 という変数変換を行うと、 式 ( 唱え円 c c4 ¥11351/ ¥11321 ノ /f-ttt¥ 一 Rム Q ム リ 九 一 ムハ時 1i し q,,a /It--1¥ 一 一 ム ー ρ u p ¥1111/ /rszzE1¥ i -電 d一 占 ) 7 2 ( )より 6 2 )、 ( 3 2 となる。 ただし、ム =ω21-ω とした。 この微分方程式と式 ( 手)十 ) すベ半)} +会 ( 午 ( +i s o {c )= [ t ( C1 n i s ) 0 C1( C2( ) 8 2 ( te % i e 誌 sベ与)叩1 {cベ午)一会ベ与)}ら (0)刊 [ 二 ω) ) 9 2 ( を得る。ただし、 OgR= O J 凶 a r e n e g わ ム2 とした。これは一般化され たラピ振動数 ( Rabi )と呼ばれる量である。 y c n e u q e r f さて、この得られた解を用いて、ラジオ波による状態遷移を考えてみよう。時亥Ut=0から原子 )にいる確率は i にラジオ波を当て始め、時亥Utに状態 l )にあったとすると 1 で状態 1 )なので、初期時刻 t=O i=12 12 ( ) t ( C I i ぅ )にいる確率から状 1 )、時刻 tにおける状態 1 )= 0 0 )= L C2( 0 C ( 1( )W(のは n o i s r e v n i )を引いた反転量 ( 2 態1 ) 手 手) ( ) 0 3 ( となる。この反転量 W(t)は定義かち明らかなように、 -1三 W(t)三 lの誼を取り、 o<W(t) W(円 2 2 1 =ム JRsin2( ) t ( 1 -IC ) t ( 1 C 2 +cω2 )にいる割合の方が多く、 W 約二 0の時に半々の醤合、 W(t)二 1 ) 2 1 )( 1 0>W(t))の時は状態 1 ( )にいることがわかる。 ) 2 1 )( 1 )= -1)の時に完全に状態 1 t ( V l ( ):ムニ 0)は e c n a n o s e r さて、特に、外場の角振動数が 2準位のエネルギー差に等しい場合(共鳴 ( ) t R O ( S O )= C W(t ) 1 3 ( 吟はラピ振動数で -1と 1の間を振動することがわか る。この性震を用いると、 ラジ となり、 W( オ波を当てる詩間によって、(擬)スピン伸、 12)の重ね合わせ状態を作り出 すことができる。特 )が半分ず、つ重ね合わさっている状態にな 2 )と 1 1 に、時間 t=π/20Rだけ当てた場合は、状態 1 )と呼ぶ。また、時間 t=π/ORだけ当てた e s l u 2p / π る。この時のラジオ波の波束を π/2パルス ( )と呼ぶ。これら 2つ e s l u p π )になる。この時のラジオ波 の波束を πパルス ( 2 場合は状態が全て 1 )を重ね合わ 2 )と 1 1 の場合に限らず、ラジオ波 を当てる時間を調節する事 で、在意の比率で状態 1 せた状態を作り出すことができる。 ここで注意したいのは、ラ ジオ波を当てて出来る状態 はあくまで重ね合わせ状態 であるという 1で混ざり合った系や、スピ ン・インバランス系を作り 出す : 点である。それゆえ、(擬〉スピンが 1 には、適当な時開だけラジ オ波を当てた後、その重ね 合わせ状態がインコヒーレ ントになるまで 0 ] 6 2 こ注意しよう [ まつ必要がある事 i δ q FO つ 臼 奥村雅彦 2 . 4 電場との相互作用 ここでは、 B=O、E ヂ0の場合を考えよう。そのときのハミルトニアンは H1( O, E)= Ho+Hhf+H E D ( t ) ( 3 2 ) となる。ただし、ここでは、電場は E(r, t )=E(r)c o s ( ωt )=eE(r)c o s ( ωt ) ( 3 3 ) l e l=1)。さて、ここでも簡単化のため、 のように空間と時間に依存しているとしよう(ただし、 I g )と│めからなる 2準位系を考え、この時間に依存する外場項 H E D ( t )を摂動として扱って、それ による基窟状態のエネルギー変化を求めてみよう。また、 Hhf は今考える物理に大きな影響を与 3 2 )は えないので、ここでは省略する。これらの簡略北により、ハミルトニアン ( H1( 0, E)~ Hed=Hed, o十九d ( rt ) ( 3 4 ) o= E g l g ) ( g l+E e l e ) ( e l Hed, ( 3 5 ) ヲ たd(E, t )=1 i nR( r )C O s ( ωt ) f ( t ) l e ) ( g l+H . c . ( 3 6 ) と表すことができる。ただし、時間ァだけかけて相互作用のスイッチを入れるような関数 f ( t )を 導入し(舗遺を参照)、 n R ( r )=一 (eID.E(めI g )/ 1 i(Eg<E e )とした。 このハミルトニアンに従うシュレーディンガ一方程式は i 1 i 立│ ψ )= H e d l ψ )= [ H e d, o+えd ( t ) ]I ψ ) δt ( 3 7 ) と書ける。相互作用描象 i こ移ると、次の方程式を得る。 出 会ψ│)r=弘州h ( 3 8 ) 、 ' 、 、 曹 、~ ~ヲ喝 │ψh=eHed,ot/T i i l' l tふ たdぷt )=e-Hed,ot/T i i えd( t)eHed,ot/T i i ( 3 9 ) である。これより、 ( t i ψ ( t )) r= I ψ ( O )) r+ 土 dt, えd, I( t ' )ψ I( t ' ) h i 1 iJ o ( 4 0 ) を得る。 ここで、同hを次のように展開しよう。 ! ψ ) 1=αg ( t )I g )+ α e ( t ) l e ) ( 4 1 ) この式を式 ( 3 8 ),こ代入すると 尚一 ( t ) V e --~\ー= . I 限 )e ( t ) a , l, g(まα d t - red 。 定 d αe ( t ) ) た 一d 一 一 =Ve g ( t ) d I t e a. , l, eg¥α j"" g r V ( 4 2 ) ( 4 3 ) 担 c o フェルミ諒子光格子系の基礎知識 )に代入すると 0 4 が、式 ( ) μ α う ' t め 凶 ( 凶 e ぷ ぷ 群 g 刈 J 凶 1 'dt'V'dω 0 占1 訂 )+ O ( )ニ αg t ( αg ) 4 4 ( f 約 ゲ が 〈 ,糾 t)=時)+ザ州国ぱ 州 叫吟 ω ) 5 4 ( が得られる。ここで、 ω ) t ( f t o 元nR(r)COs(ωt)e-i )= e )l t ( I lえd, g )= ( (t e g , I 九d, ) 6 4 ( ) t ( f t )ε-iωo t w ( S O nR(r)C i )= / g l ) t ( I lえd, e )= ( t ( g e , I 九d, ) 7 4 ( e-Eg)jたとした。 E である。ただし、 ω0 =( )を代入して、摂重きの 1次で問題を解くと、 6 4 )に式 ( 4 4 さて、式 ( )= t ( αe 。 1----!I " ¥ : t ) 0 ω ω ( i ) e r ( R ー I w 一 弘)0 L , I t ) o 叶 ω ( i e ーで一一 │αg(t) ) 8 4 ( ω 十 Wo I )に代入して、ここでもはやい運動を無視 2 4 )を式 ( 8 4 が得られる(補遺を参照)。そして、この式 ( する回転波近叡を用いると、 n 1 1 主(r) i 1 ) t ( g α d . g的 1一一一=一一一!一一一一一一~I α ω01 + ω w ω 4 I t d 。 ー ) 9 4 ( が得られる。ここで、相互作用表示の係数%からシユ レーデインガー表示の係数 αgの関係式 岱 ) t ( g )= eEgtjinα t ( g ) 0 5 ( を用いると、シユレーディンガー表示の係数 αgは下記の方程式を満たす。 1 1 1 . 主(r) f 1 Eg n )_ i t ( g α d ) t ( g α l = I +一一一〈一一一一一一一 r ω十 ωoJI 4 lω-ω In t d 5 1 : 。 I ) 1 5 ( これはつまり、相互作用によってエネルギーが )= r ( g E )i r ( 20主 一 1 1 1 1 ¥ ' ; t J ) g e-E E w-(Ee-Eg) ル +( n L 1 '1=.. 1:1¥ /;' = 1 ' , 1 : 1 ) 2 5 ( ω よりも十分 / π )1を、霊場の振幅の 2乗を 2 y t i s n e t n i だけずれた事を示している。ここで、強度 ( 長い時間 Tで平均したもの " 1 ft+T1 2t_..!¥ T.'! ) E2(γ 刷 = 吋 白 川 = 了 ) 3 5 ( )は 2 5 で定義しよう。これを用いると式 ( ムE(T)=ihiDelg)2I(T)i l-1l 五ω+ωo)J Ln(ω-ω0) 〈 )と呼ばれる。 t f i h ks r a t S と表す事ができる。これはシュタルクシフト ( ) 4 5 ( Fhu qL 6 奥村雅彦 さて、この結果について考えてみよう。まず、電場の角振動数 ωの値に注目しよう。まず、 ω0= ( E e-Eg)/nを基準として角振動数の高い側に ωが離謂している場合(膏方離調 ( b l u ed e t u n e ) )、 すなわち ω >woの場合はムE g ( r )>0である。これはつまり、正のポテンシヤルを感じるという 事を意味しており、原子は電場が強い場所で斥力を惑じるという事である。逆に、 ω。を基準とし て ωが角振動数の低い側に離課している場合(赤方離謂 ( r e dd e t u n e ) )、すなわち ω <仰の場合は ムE g( め <0となり、電場が強い場所で引力を感じる事になる。 つまり、この結果を利用す れば、レーザによって原子 を捕援する事ができるので ある。実際の 実験では、レンズを通した レーザー強度は以下のよう なガウシアン分布 2 2P I r ¥ I ( r, z )= 一 一 「 e x p i 2 一 一 = :) ¥) πW 2(z)_ . . _ t : '¥ -W2(Z } ( 5 5 ) を示す [ 2 8 ] 0 ただし、 z軸方向にレーザーを照射しているとした。ここで、 P は出力 ( p o w e r )、 I Z ¥ I W(z)=WO¥/1+( ~ V ) ( 5 6 ) ¥ZRJ で 、 WOはビーム・ウエストと呼ばれる量であり ( 1 / ε 2直径江戸2d i a m e t e r )とも呼ばれる)、 Z R = πw g /入L はレイリー長 (Rayleighlength)である(入L はレーザーの波長)。 2 P(eID. e l g ) 2_ _ _ _( n r ¥ TT w g_ _ _ _l (γ2 ¥ 」 A' 1 expl 2 一一一 )=V-J-exp 2一一一} ¥.-Jt.W2 ( z ) ) = VO ( z ) e X j J ¥ .-Jt.W2 ( z ) ) W2 日i p ( r )=ムEケ)= ( 5 7 ) という双極子トラップ・ポテンシャル ( d i p o l et r a pp o t e n t i a l )ができることになる。ここで、 P(eID.e j g ) 2 VO=Vd 以前= 、 ω ( 5 8 ) はポテンシャル深度 ( p o t e n t i a ld e p t h )と呼ばれる量である。 双極子トラップ・ポテンシ ャルの形は上記のようにガ ウシアンであるが、系の温 度 Tがポテン シャル深震に対して十分に低い場合、つまり VO > >kBTの場合 ( k Bはボルツマン定数 (Boltzmann c o n s t a n t ) )、調和型トラップ・ポテンシャル V d i p ( れ一 v oh 2 ( ニ 2_( 2 1=一%十九 V + 1 7 7 u b 2 I ¥ Wo) ) ¥斗 ZR) I . 2 "ω 2z V に近似できる。ここで、 r = J 高 ω ωZ --r' • 再 . m) ( 6 0 ) である。これはつまり、一方向からレーザーを照射すれば 3次元的な調和型トラップ・ポテンシヤ ルができる事を示している。 さて、ここまでで、レーザ ーを使って原子を捕獲でき る事がわかったが、このレ ーザーで定在 波を作ったらどうなるかを見てみよう。赤方離謂のレーザーを反射させて定在波を作ると、トラッ プ・ポテンシャルは 2 討 釦 注 d 一之 羊 詳 ト 均 ( 」 二 斗 斗) トい s i い n )" 山 ( Z )e _ . . _ t : '一 ¥ 2 -L W2 汽 ( Z 斗 ) } V げ い 町 凡 & 拭 , t =V o L / -J - • V --- " V L / -/ . 2 ( 6 1 ) FO FO “ っ フェルミ京子光格子系の基礎知識 k L=2π/入L となり、光格子と調和重トラップ・ポテンシャルの組合わさった“光格子系"ができる ( はレーザーの波数)。 最後に、光嵩子系で基準となるエネルギー・スケール、反跳エネルギー ( r e c o i le n e r g y )Erを定 義しておく。 丘一竺 i 2m ( 6 2 ) - 光格子系で問題となるエネルギーは、この Erで規格化されている事がほとんどである。 3 2体のフェルミ中性原子の鶴御 次に、光格子系が量子シミュレーターとして機能するために重要な働きをするフェッシュバッハ 共鳴 (Feshbachr e s o n a n c e )[ 2 9, 30 3 1, 3 2 Jについて述べる。フェッシュバッハ共鳴についての詳し ラ い考察は文献 [ 3 3ぅ 34うおう 36, 3 7 ] とその引用文献を参照。 3 . 1 散乱問題の基礎の復習 フェッシュバッハ共鳴を考える前に、まず、冷却原子の散乱について護習しよう [ 1 0うおう 3 9 J。そ れぞれ質量 m l . . . m2の 2粒子の梧対運動を記述する、自由ハミルトニアン I I o 二 戸/(2mr) とポ テンシャルす〈めの租で表されるハミルトニアンに従う位置表示のシュレーデインガ一方程式 ( ¥ 72+k2) u k ( r )=U(r)旬 以γ ) 2 k~ 2mE ( 6 3 ) 2m . . U(r)= 詰 工 V(r) __,, =-'~~-, 胡 を考えよう (m m2/(ml+m2)は換算質量、 r =ml の方程式を満たす散乱状態固有関数《〕(刊は γ は椙対座標、 ( 6 4 ) E は椙対運動のエネルギー)。こ f入射波十外向き球面、波 J 境界条件 V ¥V'川J ( r )+' 《片付ヱヱイ) out則 一 -Llw+lmo O I V J 九~ l r I .L ' T ' ' ( 6 5 ) を満たしているとしよう (γ=Irl 、 k= 向、 F(ß ,<p) は散乱援転。ここで、入射波 u~o) ( r )を kを 極軸に選んでレイリー(玩a y l e i g h )の公式を用いると、次式を得る(部分波展開)。 u~O\r) 二っ与す (2f 十 l)ljf(k明(∞s s) 陀¥1'(三 π). J 乞 : ここで、 、 j t ( X )は球ベツセル関数 (sphericalBesselfunction戸 o l y n o m i a l s ) 4である。この展開式 ( endrep 6 6 )の j t ( k r )は γ ( 6 6 ) F X )はルジャンドルの多項式 (Legを( =bf(bf=f/k)付近で第 1謡大値を 持つ。つまり、有効到達距離 αを持つ短距離力による散乱の場合、影響を受ける部分波は α < UZ7k 正 も LU 一 一 )宅2 (と 3 j e ( x )= ( x )ε まε ) e X 2_l 4pdz〉=EJE7王 寺( ( 6 7 ) ウ4 ム つハhU 奥村雅彦 を満たすものだけであるえ ここで、典型的な例として 謹度 l μ互の 40K原子がファンデルワール スカ ( v a nd e rWaalsf o r c e )(αrv1 0 0 α。)で相互作用する場合を考えると ( α oはボーア半径 (Bohr 3 r a d i u s ) )、e <k αrv5X 1 0- であるため、 e =o、つまり s波の散乱だけを考えれば十分であるこ とがわかる。よって、以降誌 e =oの場合のみを考えよう。その場合、低エネルギー散乱の外向き 球面波についても F ( B, i . p )は 9 と p どちらにも欽存しないので、単純な次元解析から以下の事が 言える。 ψout, k ( r )工二三 ,-" k→ 0 a ( 6 8 ) ここで、 αは r s波散乱長(s-waves c a t t e r i n gl e n g t h ) J と呼ばれる長さの次元を持った定数である。 このとき、全散乱断面積 σは 、 σ =f~吋18 叫F州i2=4m2 ( 6 9 ) となる。これは、半径 αの翻体球の散乱断面積と同じである。 一方で、式 ( 6 3 )のグリーン関数 (Greenf u n c t i o n )法 マ (2+k2)Gt(r-r')=_83ケ-r') ( 7 0 ) ム " e 土i k l r r ' I , n2 . . GE(T-TF)= =一一一 ( r l~ た 4πIr-r ' l 2mr 【 1 ; T " I r ' ) ( 7 1 ) であるので、 ぐ (r)=u~)(r) 一 Jd3 印 ~+)(r ーめU(r')uど) (r') lu~+)) = lu~)) 持 " " +~ ( 7 2 ) ;すlu~+)) Ek-Ho+ i ξ ( 7 3 ) ー と書く事ができる ε (は正の無限小実数)。これらの式はリップマン・シュウィンガ一方程式 (Lippmann- Schwingere q u a t i o n )と呼ばれる。 ここで、エネルギー殻上の ( o nt h ee n e r g ys h e l l )演算子 Tとエネルギー殻外 ( o f ft h ee n e r g y s h e l l )も含む演算子ナ( E k )を行列要素 (u~) ITlu~)) = -1T8(Ek-E,叫 (u~)IT(E,山~)) = -1T8(Ek-E k ')(u~~) IVÎu~+)) ( 7 4 ) で定義する。これを T行列 (T-m 抗r i x )と呼び、これを用いて定義された演算子 S=1+2iTの行 列要素作ジ ISlu~)) を S 行列 (S-m民rix) と呼ぶ。また、式 (73) より、エネルギー殻外も含む演算 子 ナ( E k )はリップマン・シュウィンガ一方程式 ナ(Ek)=合+す。;+〉ナ(Ek) ( 7 5 ) を満たす。 5biは物理的i こは古典粒子の散乱開題の衝突パラメータに対恋するものと考えることができる [ 3 8 ] 0 。 。 。 戸 円ノ白 フェルミ京子光格子系の基礎知識 さて、式 ( 7 2 )において、 I r-r'l竺 T γ- r 'c o s0( r→∞)という近似式を用いると(ただし、。は とr 'の間の角度)、この積分方程式は u どいこ三イ¥r)刊 ~l le伽-~竺 / d3r,'e i k ' . r ' u (叫 吋 め ' 4πγ J ' k ¥ . l J t , k ( r )= ~ out ,~\' J - V ¥ " ' ' ' J u. v ¥' JU ; J ( 7 6 ) と書くことができ ( k '=か/け、確かに境界条件 ( 6 5 )を満たすことがわかる。また、 式( 6 5 )と式 ( 7 6 )を比較して , 0 F ( O, <þ) ニー (2π)3竺乙 (u~~\Vlu~+))1 ~ ~ =-(2π)3 竺乙 u (u1~) T ( E k ) l I ~ ~ 4 7 τ h 2 k k i E K = E K F 4 7 τた 2 " ' U k 'I . 1¥ . . D k ) l ' U1 k)) 1I Ek=Ek 1 ( 7 7 ) ' を得る。これより、毎エネルギ一極摂 k→ 0で 、 l ! .(u~O) IT(Ek)lu~O)ì α =一(山I 手 m ( 持) ' kー → O' ' " ー " 2 r という関係が成り立つ事がわかる。 また、散乱がポテンシャルの詳結によらない事がわかったので、粒子需の禽突がデ、 1レタ関数型 有効接触相互作用 2 α 47rf i U(r)=三 五76(T) ( 7 9 ) ;こよって引き起こされるとしても良いので、後にこの相互作用を用いる事がある。また、この脊 効相互作用は擬ポテンシャル法 (pseudop o t e n t i a lmethod)によっても導く事ができることを付記 しておく [ 4 0 ] 0 3 . 2 フヱツシュパツ八共鳴 さて、ここまで辻、冷却原子の内部昌吉度を無視して散乱過程を考えてきたが、我々は{擬)ス ピン岳由度の存在に起因する物理にも(もちろん)興味があるので、この自由度が存在する場合の 散乱過程を考えよう。〈擬)スピン自畠度が存在する場合、散乱過程もこの喜由度を考慮、に入れな ければならない。以下で辻、文献 [ 9, 3 5, 4 1, 4 2 ]に沿って、スピン自由度がどのように冷却原子の 散乱過程をユニークなものにしているかを見てみよう。 スピン自由度が存在する場合、散乱する 2つの原子間のポテンシヤルはスピン状態に依存する。 重感的には、閉殻の外の電子のスピン状態が異なる原子同士が散乱する場合、それらは再じ状惑を 占有する事ができ、これが引力になる。一方で、それらの状態が同じであれば、そうはならない。 つまり、散乱する 2粒子のスピン状態がスピン 1重項 ( s p i ns i n g l e t )かスピン 3重項 ( s p i nt r i p l e t ) かでポテンシヤルが大きく異なるのである [ 1 0, 3 7 ]。前者を九、後者をちとしよう(図 2 )。これ らのポテンシャルを考慮し、 z軸方向への議場 Bz=(00B )をかけた 2体のハミルトニアン H2 は Bzρ)+H~2)(Bz ρ)+ ち (f(l)ーが2))台s 十ち(が 1) 22=2F〈 と書ける。ただし、右辺の添字 ーがお)タ'T ( 8 0 ) =1, 2 )は t番目の粒子を表し、 1 う sと骨T はそれぞれスピン . ( i )( i 1重項、スピン 3重項への封影演算子 1 1 ~(1 ¥ ~(')\ S 二一一寸志 1 ).8(2), 4 n'2 3 1 P c r=一 +一τ8(1).8(2) 4 .n _ : : : _ フ ム ' 2 ( 8 1 ) Qd ワU FO 奥村雅章 である。 きて、産標を重心座標と相対産擦に変換し、興味のある椙対座標示の部分だけを取り出すと、ハ ミルトニアンは u ¥. / I ~. J . ¥. / J . ¥. / I . u ¥. I ( 8 2 ) ( 8 3 ) B t b 川W M M 守山 + A FUM n u 丸 f一 =Hrel, O十 f h f , z」 )+3 ち( r ) い土 何千)-附)J I 8 ( 1 ). 8 ( 2 ) 4l L 'M J 4n2i L ' Hrel ( 8 4 ) となる。 ここで、生iを割にとって散乱の様子を考察しよう。実擦の実験に期して、エネルギーの低い 2 1 )と 1 2 )の散乱を考えよう。この 2粒子の状態を 1 1, 2 }と表そう。ハミルトニアン ( 8 2 )は全 状態 1 スピンを保存するが、最後の項は電子スピンを入れ替える動きがある事に注意すると、このハミ ルトニアンの行列要素は 1 1, 2 )だけで閉じず、一般には mF , tot=mT+mg)=0を満たす状態関 AU ミ 、 、 , , , 4ア 今自 ム ti 〆 、 ,e n ' E A S f § τ 、 宅 ・ a u 一 回 川 q δ f e - 1 A s の遷移行苑要素も存在する事がわかる。この鰐として 1 3, 6 )=1 3 )1 6 )との遷移を考えてみると、 ( 8 5 ) となる。つまり、散乱は 1つのチャンネル 1 1, 2 )だけでは閉じず、他のチャンネル(この場合は 1 3ヲ6 )) の影響も受ける事がわかる。そこで、ここでは 1 12 )と 1 36 )で m p主o t= 0の部分空間が張られて ヲ ヲ いると仮定して、更なる考察を続けてみようえそのために、この部分空間での単位演算子をそれ ぞれの状態への射影演算子で分解したもの , to =0=1 1,2 ) ( 1, 2 1+1 3, 6 ) ( 3, 6 1 1 mF ( 8 6 ) 主 を使って、 この部分空間での H hf.Z について考えよう。すると、 Hhf, Z=Hhf, z ( lラ2 )+Hhf, Z(l, 2 ) ( 8 7 ) Hhf, z ( lヲ2 )=E1, 2 ( B ) 1 1ヲ2 ) ( 1ぅ2 1 ( 8 8 ) Hhf, Z ( 3, 6 )=E3, 6 ( B ) 1 3, 6 )( 3, 6 1 ( 8 9 ) が得られる。 ここで、 苛 BEE--﹂ E 円必 ¥1I'/ B μ一 I B + n3 μe /eEst-、 g孟 ÷ n 、 α ﹁EBEESEESE﹄ 1一 2 FI + n F - α 2 2h ー トf ? B ; ーか附子) B E1, 2 ( B )= ( ( ん) B>>αhf) ( 9 0 ) E3, 6 ( B )= 0 ( 9 1 ) である。つまり、各チャンネルのエネルギーごとに異なる磁場依存性が現れるのである。 8本来は、 1 3, 6 ):だけではなく、 1 1, 4 )、 1 2, 5 )、 1 4, 5 )が mF , tot = 0を溝たすので、 -630ー 1 1, 2 ) と結合する。 フェルミ原子光格子系の基礎知識 同様にして、各哀を 12 )と 1 3,6 )で整理することができるが、ここから先は表記を少し 一般的 ぅ にして話を進めよう。具体的には、散乱を考える関チ ャンネル ( openc h a n n e l )を I P )( 先沼どまで の話では 12)に対応〉、中間状態を考える閉チャンネル (closedchannel)1 Q )( 先ほどまでの話で ヲ は1 36 )に対応7 )と書く事にしよう。関チャンネルと関チャンネルを含む部分空間への射影演算子 ぅ をそれぞれ ρ=I P ) ( P I、 金 =I Q ) ( Q Iとすると、企 +Q= i 、 FQ=Oを満たす。これらを用い て、状態ベクトル │ ψ )は ψ │p)=PI科、 ! ψ Q )ニ Q I ψ〉によって i ψ )ニ ψ │p)+I 7 t Q ) と書くことがで きる。上記の考察から、複数のチャンネルを含んだハ ミルトニアン辻 H r e l=(P+Q)Hrel(P十 Q) =HppIP)(PI+HQQ!Q)(QI+HpQ!P)(QI+HQPIQ)(PI = ( 土 : む ) ( 9 2 ) 長2 1r T^ n y^ 1 Hpp=Hpp.o+Vpp=一 丁 一 ÷τ 1(1-Spp)Vs(的 +( 3+Spp)~よr( 千) 1 1 . . . . L .mr r1 ' ¥ T / . . . . .¥ I rt ¥ T 1"'"¥ J 告し 一 三 : ÷ ムE制 B)+~ [ ( 1-SQQ)九(千)+(3 HQQ= 十 SQQ)相 手)] ( 9 3 ) ( 9 4 ) ~ [鳥羽)一附)]SPQ ( 9 5 ) ~ [附)一肘)]SQP ( 9 6 ) HPQ= HQp= となる。ただし、 告 は18(1).8 IB) SAB = ( 9 7 ) ¥1Et-ノ g p 22' P、 Q ミ 、、,, 的 Y め wr /Ifs-1¥ とし、式 ( 9 2 )の行列表示はベクトル に作用する表示を選んだ、。また、 山 二 P, Q ) 伺 ( 9 8 ) T →∞における関チャンネルのポテンシャルの値が 0となるよ うにエネルギーの原点、を移し、 ムEQP(B)=EQ(B)-Ep(B) ( 9 9 ) とした。この表記を用いて、シュレーディンガ一方程式を書き下すと、次の連立方程式が得られる。 QP ︽ 仏 日 ア 山V ︽ QP PQ H H J' 山V 一一一一 PQ めY P Q, 、 、 PQ 、1/ 一一 J g a z 、 、 ・ AHAH EE 〆 ' a 、 毛 ‘ ( 1 0 0 ) ( 1 0 1 ) 式( 1 0 1 )の外向き散乱波を表す形式解は ( E-HQQ+u:) i ψ Q )= 7脚 注 6でも述べたが、本来、 I Q )は HQゆ 〉 -1 1,司、 1 2,5 )、 1 36)、 1 45)が張る空間である。 ヲ ぅ -631- ( 1 0 2 ) 奥村雅彦 となる。この形式解を式 ( 1 0 0 )に代入すると、次式が得られる。 (E-H e f f ) 1ψp )=0 ( 1 0 3 ) ここで、 1 H e f f= Hpp十 万PQ_ ~^.... • H Qp= Hpp , o+Vpp+りp ~ E-HQQ+ iE ~ ( 1 0 4 ) である。この式から、散乱状態 ψ │p)は仮想的な中問状態を経ていることがわかる。 さて、ここからは、この有効ハミルトニアン丘d と s波散乱長との関係について考えよう。ハ ミルトニアン ( 1 0 4 )は 2種類の相互作用すppと ちpを持つが、このような問題は歪形波ボルン近 似( d i s t u r b e dwaveBorna p p r o x i m a t i o n )を用いて解く事ができる [ 3 8 ]。まず、立ppに対するリッ プマン・シュウィンガ一方程式 Id~土)) =lu~O)) +_ ~'";1.9ppic(町 時 を満たす左ppの散乱状態 Ek-H p p . o土 一 ( 1 0 5 ) 託 時 I ( l :f:))がわかっているとしよう。なお、 lç~土))=14))+) が成立する。このとき、全ハミルトニアン ( 1 0 6 ) . H e f fの散乱状態富有関数の式 干 仰とう= . . . . . すpplu~)) Ek-Hpp土 i E 同 一 ξ A . 1uf) Ek-Hpp-~トp ( 1 0 7 ) ー から歪形リップマン・シュウィンガ一方程式 i 込町=I ( k 土 ) ) ÷ ) ち p lu~:f:)) ( 1 0 8 ) Ek-Hpp土 lE が得ちれる(詳しくは文献 [ 3 8 ]を参照)。 さて、ハミルトニアン H e f fに対する T行苑は定義 ( 7 5 ) より (必)ITlu~O)) =-7rd(Ek-E k ')(u~~) I V p P+ ちplu~+)) ( 1 0 9 ) となるが、ここで、右辺第 2項について考えてみよう。式 (106)より (必)Iちplu~+)) =((i~)1作plu~+)) - (u~~)1 ちp 1 E k '- Hppj ャ注 キplu~+)) ( 1 1 0 ) となるが、第 2項の E k 'は式 (109)のデルタ関数部分より Ek としてよい。さらに、式 ( 1 0 8 )を用 いると、式 (109)は (uFiTid))=-d(EK-Ar)[(uFbpld})+(G7)| ちplu~+))] = ー が (Ek-Ek , )[(必)ITpplu~O)) +((i~)1 ちpl(どう] ( 山) (叫 円台U FO 臼 つ フェルミ原子光格子系の基礎知識 となる。ここで、ちp は ちp=oのときのエネルギー殻外も含む T行苑の演算子で、あり、最後の 近似式は式 ( 1 0 8 )の第 0次の項を代入したものである(歪形波ボルン近似〉。この結果より、 Q チャ ンネルの束縛状態ψ i心とそのエネルギ -Enを用いると、 k→ 0で、 2 2 2 41rn 41rn 1"""" I Q p l ( o )1 2 吋¥:3 γ (仇EIH》 α =一一 αpp-( 一一 2m 2m E n r r ケ 10 ( 1 1 3 ) が得られる α 弘)<土)の差は無視 (PPは ちp=oの時の s波散乱長)。ただし、 k→ G の極限で、 i できることを利用し、陥 )=lim ト 0 1ぐりとした[叫ここで、 Q チャンネルの束縛状態のうち、 今考えている磁場強震では Er 田が E に近いとしよう。さらに、閉チャンネルのポテンシャルの原 点、は磁場に依存することを思い出すと、 ( 1 1 4 ) E r e s=ムEQP(B)-8E r e s と書く事ができる(図 2参照)。ここで、磁場が B=Boの碍に入射エネルギー E と共鳴エネルギー Er 田が一致すると仮定すると、 E -E r e s=-geμB(B-B o ) ( 1 1 5 ) となる事がわかる。 よって、式 ( 1 1 3 )は / ムB ¥ ( 1 1 6 ) α--'α ., .十一一一一一一一- I " o g ¥_ _ B -Bo) I ムB = (2π)32mr I ( ψ η IHQpl(0)12 2α bg 4 1 τn g eμB ( 1 1 7 ) と近似できる(図 2参照)。ただし、ここでは αPPを通常黒いられる表記 αbgに変えた。 6 L iと 40五のフェッシュバッハ共鳴の各ノ号ラメータを表 2,こ示す。ただし、 6 L iの s波散乱長に関 するより正確な理解のためには開チャンネルの共鳴についても考える必要がある [ 4 3 ]。 k 内 総EH 同 m 。 向 h M w l z a 。 凶 V : r ( γ )-¥もか) r γ 密 2 : ブエツシュバッハ共鳴 , n J q u c o 奥村雄彦 原子種 チャンネル 6Li ( 1, 2 ) ( 1, 3 ) ( 2, 3 ) ( 1, 2 ) ( 1, 2 ) ( 1, 3 ) 40K 。 Bo[G] α b g / α -1405 8 3 4 . 1 4 9 -1727 690. 4 3 11 .2 2 -1490 8 6 0 * 5 4 3 . 2 5 1 7 4 * 2 0 2 . 1 1 7 4 2 2 4 . 2 ムB[G] 文献 300 1 2 2 . 3 2 2 2 . 3 0 . 1 8 . 0 * 9 . 7 [ 4 4 ] [ 4 4 ] [ 4 4 ] [ 4 5 ] [ 4 6 ] [ 4 7 ] 表2 :6Li と40Kの s波散乱長に対するフエツシユバッハ共鳴の各パラメータ。*は文献 [ 3 3 ]による。 4 光格子系における八パード模型 さて、この章では光格子系におけるノ、ノ fード模型について考えよう。後に見るように、光務子 はまず調和型(正確にはガウシアン型)の光トラップ・ポテンシャルで、捕獲されたフェルミ原子気 体に、断熱的に周期ポテンシャル(定在波)を入れていくという段階を経て作られる。 そこで、まず、絶対零度の場合に、次のような謂和型の光トラップ・ポテンシヤル%。ケ)中の フェルミ原子気体について考察しよう。 山 ) = ; m ω 3 2 2 + j m d u 2十 j m d z 2 ( 1 1 8 ) さて、このトラップ・ポテンシヤル中のエネルギー準位は 仇 z n y,n ) =( n x+~)恥x+(ny+~) ルけ (nz +~)ルz である。この系において、あるエネルギー てみよう。 ξ 》 花 山 必zを満たす ξ ο よりも小さいエネルギーを持つ状態の数 G (りを求め εの場合、スペクトルは連続で、ゼ、ロ点運動は無視してよいので、 y z -弘x ) , y , z n xzを導入して G(ε)を求める事を考える。すると、式 (119)の表面は 連続変数ら ,, 品 E= Ex+匂十むの表面でるるので、 古 fofdε G ( ε)= X f o f fdイ-E241εz=~(会 )3 X ( 1 2 0 ) が得ちれる。今は絶対零度なので、フェルミ・エネルギー ( F e r m ie n e r g y )EFと粒子数 N に対して G(EF)= N ( 1 2 1 ) が得られる。以上の考察より、光トラップ系における重要なエネルギースケールであるフェルミ・ エネルギー EF=kBTF=(6N)き恥 が得られる(号はフエルミ、温度)。より詳しい考察は [ 1 0, 4 8 ]などを参照されたい。 ( 1 2 2 ) お p o フェルミ京子光搭子系の基礎知識 1 居期ポテンシャルの影響 . 4 さて、次に、一旦トラップ・ポテンシャルを忘れて、馬期ポテンシャルの影響について復習しよ う。馬期が R である周期ポテンシャル中 の波動関数はハミルトニア ンの量子数 n と、並進変換の 量子数 kを用いて、 )ニ eihFunh(T) r ( k ψn, と書くことができる。ただし、 ) 3 2 1 ( )は r ( k U n, ( k U n, γ ) r ( k +R)=U n, ) 4 2 1 ( )はプロッホ (Bloch)の定理 r ( k n, を溝たす。この ψ k. i ηぷγ〉 ψ R r十 R)=e ( k ψn, ) 5 2 1 ( を満たすことが確認できる。 この波動関数によって与えられるエネルギーはバンド講造を持つ事が知られており、もちろん、 光格子中のフェルミ原子気体も(トラップ・ポテンシャルを無視すれば)例外ではない。そこで、 )で規務化した周期ポテンシ ャル強度九二 2 6 反跳エネルギー ( o/Erを変化させた習を見てみよ V う。まず、九 ~1 の場合には、罵期ポテンシヤルによる各サイトの閉じ込めが大変きつくなるた めに、波動関数がポテンシ ャルに寸断され、周期ポテ ンシャルのある谷間に局在 する波動関数の 成分とその隣の会開に局在 する波動関数の成分の関の 椙闘が小さくなってくる。 すると、周期ポ テンシャルの谷詩は講和型トラッ 0・ポテンシャルと考える事ができるようになり、実擦、その場 7 合のエネルギースペクトル と一致する。次に、九を徐 々に小さくしていくと、エ ネルギーが高い バンドから頓にポテンシャ ルの惑じ方が弱くなってい くため、平坦なバンド構造 からずれを生じ 始める。そして、最終的に は九 =0で自由粒子のエネルギーの 運動量依存性を折り畳んだ 構造を 示す(図針。 光格子系ではレーザー強度 を断熱的に変化させる事に より、実擦に図 3のようにバンド構造を )を運動量空間に g n i l l i f 変化させる事ができる。そ して、これを利用して、バ ンドのフイリング ( tmethod)を用いて実空間の象として h g i l ff eo m i t マップし、後に議論する飛行時間法 ( CCDカメ bandmapping)悼と ラで観測する事が可能である。この実験テクニックは“バンド・マッピング ( 呼ばれ、様々な現象の観溺に使われている。 )を定義しよう。 n o i t c n u Wannierf 次に、次式でワニエ関数 ( 切符 地 re TJ'-" J-ム kRtψk(T)i e デd f (T-R4)=」ーム JN 凡 ) (r k o)Un, (r-R n, ) 6 2 1 ( L4J た た )で和を取る事を表しており、 Riはポテン e n o nz i u o l l i r B ここで、2:.:'は第 1ブリルアン・ゾーン ( /ゾN は規格化因子である。この ワニエ関数を用いる シャルの 4番自の底の位霞を表しており、 1 と、波動関数は 写 表 )= r 山 ( 日 e rー 仇( Ri) ) 7 2 1 ( Fhd FO qU 奥村雅彦 c ; q Vo/Er= 1 0 ーたk nk , nk ーも訟 -nk nk 寸 I I I L _ Timeo fF1 i g h t 2 ; t k n k ーたk 2 n k 国3 :バンド・マッピング と表す事ができる。 さて、このワニエ関数を用いて光格子系を記述する有効ハミルトニアンを導いてみよう。連続 系のハミルトニアン H =Hkin+Hint ( 1 2 8 ) ι 九 丘 イ Jd 針 ぺ イ [ 芸 r 玉 P ? 戸 ρ i y F d ( r ) )伴 {K { K K ( 1 2 9 ) a 丸 九 ( 1 3 0 ) k 記i 泊 n- 一 r [ ト W 叫州長 ( f 叫州 Jd ケ n 叫t = K一 弘 似 恥 伽 川 山 ; 吋 以 片 削 刷 川 仰 〈 ) ケ 例 パ 州 巾叫叫叩(ケ 吋 T 例 川 ) 附 乃 } T T 1 昆 が 許 i 2マ 2 ( 1 3 1 ) ( 1 3 2 ) から始めよう。ただし、前 i こ考察したように、抵エネルギー散乱のみを考愚し、デルタ関数型原 子間相互作用 ( 7 9 )を採用した。場の演算子手 ( r )はフエルミオンの溝減演算子を用いて 九(r)=玄σ C,n,k' I / J n , k ( r )=l :ea,n,iWn(r-Ri) n, k と表す事が出来る。ただし、 い ( 1 3 3 ) n,'l. = z 先 d k町 ( 1 3 4 ) σ事情 である。また、フェルミオンの生成消滅演算子はそれぞれ反交換関努 {cmn, k?cd爪 k ' }=8 σ, σ, s n, n , skr, { とσ《むとσ '爪 =8σ ,, σ, 8 n, 8 , i n, i ' i ' } ( 1 3 5 ) を満たす。ここで、最も下のバンド以外は考える物理にほとんど影響しないと仮定し、 1番目のバ ンドだけ考えよう。そのバンドのワニエ関数の添字を省略すると、場の演算子は 九(γ)竺 l :σe,iw(r-Ri) -636ー ( 1 3 6 ) フェルミ原子光格子系の基礎知識 と近叡できる。 この近骸を採用すると、ハミルトニアン ( 1 2 8 )の各項は Hkin=玄 J u t ; ρ,j ( 1 3 7 ) ! e 〆i , A,dM 主nt =u乞 J u=J ( 1 3 8 ) みj = d3rw(r一 島 問 r-Rj) 4 d3rw( r-Ri) ( 1 3 9 ) ( 1 4 0 ) となる。 このハミルトニアンは 1バンド・ハバード模型と呼ばれる 80 以降では隣よりも遠いサイ トへのホッピング辻無謀できるとして、 九 =J L ê~ρ,j ( 1 4 1 ) 3 J=Jdr吋 -Ri)Kw(rー 九+1) ( 1 4 2 ) とする。ただし、七.)は再近接サイトのみを考慮に入れる記号とする。 光格子系系では、このホッピング・パラメータ Jは、九 / E r> >1の近似もとで 1次元のマシュ一 方程式から導いたもの [ 4 99 ] ぅ J= 会ι(~)! 均[ベ~~) ~] ( 1 4 3 ) を用いるか、バンド構造を求めてそれをフイツティングすれば不定性なく決める事ができる。一 E rが大きい場合に、ワニエ関数をガウシアンとして近似 方、オンサイトの相互作用強度 U は 九 / しでも十分精度が良いので、 品 目 削 u= が良く用いられる [ 9 ] 9 0 ( 1 4 4 ) E τ また、 J と U では Vo/Erに対する依存性がかなり違う事に注意しよう。 このように、光格子系では実験で用いるパラメータからほぼ不定性なくノ、ノミード模型のパラメー タが決められる点が(量子シミュレーターという観点かちは)非堂に榎れた点であると言えよう。 これにより、ノ、ノてード模型の相図を不定性なく求める事ができると期待されている。 4 . 2 調和型トラップ・ポテンシャルの影響 次に、周期ポテンシャルに調和型トラップ・ポテンシャルが加わった系について考えてみよう。 • 1体系 まずは l体のアエノレミ原子について考える。波動関数の広がりを考えると、調和型トラッ 8光格子系ではホッピング・パラメータを tではなく、 J と書く事が多いようである。 9もちろん、最居在ワニエ関数などを求めれば、より良い{直が得られる いちれるようである。 [ 5 0 J。また、文献 [ 5 1 Jの郵注 2の式もよく用 円 i qU FO 奥村雅章 プ・ポテンシャル中の波動関数のような振る舞いが期待できる。しかし、光格子ポテンシャル の存在により、波動関数の振る舞いは、高エネルギー測で劇的に変化するのである [ 5 2, 5 3 ] 0 まず、低エネルギー側の波動関数の振る舞いを見てみよう。光格子ポテンシャルが十分に 高い場合、抵エネルギー側のエネルギー酉有値は下記の有効角振動数 J と有効質量 m*で 5 3 ]。 記述される謂和型トラップ・ポテンシャル中の自由粒子のスペクトルと一致する [ 存 , w*=ω £ ( 1 4 5 ) d= これは、格子系の立場かち見たとき、ブロッホ・バンドの低エネルギーの分散関係が有効雲 量 m*を持つ自由粒子と同一である事と対応している。 次に、高エネルギー側を見てみよう。謂和型トラップ・ポテンシャル中の波動関数はエネ n o d e )が増えていくが、その振動の周期は ルギーに比例して空間的な援動が激しくなり、節 ( 空間的に一様ではない。大雑把に表すならば、波動関数は、トラップ・ポテンシャルの中心 付近では短い波長で振動し、端の方では長い波長で振動する。調和型トラップ・ポテンシヤ ルしか存在しない場合は、この振る舞いがと事のエネルギー準位でも見る事ができる。しか し、光啓子ポテンシャルが穿在する場合、あるエネルギーで、トラップ・ポテンシャルの中心 B r a g gr e f l e c t i o n )が起こるの 付近での波長が格子関婦と同じくらいになり、プラッグ反封 ( である。その結果、波動関数はトラップ・ポテンシャルとプラッグ反射によりトラップ・ポ 5 2ヲ 5 3 ] 0 また、この振る舞いによ テンシャルの中心から外れたところで局在する事になる [ り、状態密度にも変化があらわれ、トラップ・ポテンシャルの強さを o,こした極限における 状態密裏は一様系の状態密度と異なる事が指摘されている ( 5 2, 5 4 ] 0 ・多体系 次に、多体の場合について考えてみよう。まず、トラップ・ポテンシャルの存在により、 フィリングが位置に依存することになる。これがこの系の最大の特徴の lつである。ノ、ノてー ド模型はフィリングによって現れる相が異なる事がるるため、党務子系の基底状態は相共存 であるモット ( M o t t )絶縁相と金麗棺の共存についてみてみよう。 する事がある。この典型例j ここでは欝単のために 1次元系を考えよう [ 5 5, 5 6 ]。光格子系におけるハバード模型のハ ミルトニアンは、調和型トラップ・ポテンシャルを考慮して 立 = 2 J J d , ムj+乞只rap(zt-zc)24,ん+乞 U8[461ん υ e ( 1 4 6 ) と書ける。ここで、 Jはホッピング・パラメー夕、民r a p、Xcはそれぞれトラップ・ポテンシヤ ルの強さと中心位置、 Xi = i α Lで αL=入L/2は格子間関、 U は椙互作用の強さを表す。 図 4tまトラップ・ポテンシャルの強さ只rapa~/ Jを固定して、椙互作用の強さ U/Jを変 位させた際の粒子数密度分布向を示したものである c この図を見ると、 U/Jが小さい時に はトラップ効果が強く効いており、 U/Jを徐々に大きくしていくと全体が金属相のまま粒子 数密度分布が広がっていく事が見て取れる。ところが、 U/J三 5になると劇的な変化が訪 れる。トラップ・ポテンシャルの真ん中を中心 i こして、同 = 1の領域が広がり始めるのであ -638ー フェルミ原子光格子系の基礎知識 )と呼ばれるモット絶縁椙である。図をよく見る u a e t a l る。この部分はモット台地 (Mottp 、 U/J=5、6の場合にはモット台地を挟むようにして同 <1の金属相が存在する事がわ と かる。これが光格子系に特接的な、トラップ・ポテン シャルに起冒するフィリングの変化に 0 この計算は 1次元絶対零度であるが、 ) 6 5 5, 5 よる橿共存した基憲状態の典型的な例である [ 0 ] 8 5 7, 5 後に紹介するように、この椙共存構造は 3次元有限温度系で観測された [ 立 、 晴 .6 1 40 /αL i X 40 40 2、トラッ : モット絶縁相と金属担の共害。系の大きさ L =40サイト、粒子数 Nj=Nl=1 図 4 3 と中心 lαL=20.50 c x )J=2.63x 10f プ・ポテンシャルの強さ vtrapα' 5 観測方法 ここでは、フェルミ原子光格子系における観測方法について述べる。なお、*印がついているも のは、現時点、で、はフェルミ原子光格子系で使用されていない方法であるが、将来使用される可能 性のある観測方法である。 tmethod) h g i l ff eo m i t -飛行時間法 ( まず、中性原子気体における最も標準的な翠澱方法で ある飛行時間法について述べる。基 本的な手順は、次のようなものである。 1.閉じ込められている原子気体をトラップ・ポテンシャルから解放する。すると、原子は 元々持っていた運動量によって誌がりながら落下する。 . 十分に広がったら、電子の準位に共鳴する罵波数のレ ーザーを落ちてくる京子気持に 2 当てる。 . すると、原子が光を吸収した部分の影ができるので、その影を CCDカメラで記録する。 3 象化法との比較のために、最後の CCDカメラで撮影する部分につ ここで、後の位相差画f )のように各機器を設置する。ここ a ( いて少しだけ詳しく考察しよう。飛行時間法では、函 5 、 Eoを非散乱光の振幅、ムE を原子気体による散乱光の振幅とすると、共鳴光が京 子に で 散乱された後の全捧の電場の振幅 E は φ E=Eo+ムE =TEoei ) 7 4 1 ( l、共鳴散乱断面 o c と表すことができる。ここで、透過{系数 T、位椙シフトやは、柱状密度 n 積 句 、 離 調 6を用いて 8 ncolσQ~lφncolσo _ r T=eXD 一 一 一 一 一 … +82 2 1 ぅ'f'82 I 2 1+ 'I 1 " ' - ' ) 8 4 1 ( Qd U q 6 奥村雅彦 と書ける [ 2 7 ]。図 5 ( a )の実験設定から、スクリーンにあたるレーザーの強震 IToFは IToF<x I E I 2= ' I ' 2 となる。このようにして、広がった原子雲が作る影を ( 1 4 9 ) CCDカメラで撮影する事によって、 トラップ・ポテンシャル内で原子気体が持っていた運動量分布を観測する事ができるのであ る。なお、 CCDで観瀕する直前の粒子分布(合σ(X))expと、トラップ・ポテンシャル内の運 動量分布(えバk ))trapの関係は 会 (σ間 ( 1 5 0 ) と表される。ここで、 dは次元、 X は広がった後の桂聾を表し、 W 落下して広がったワニエ関数の輯である ニ ntjwomは時間 tだけ ( w oはトラップ・ポテンシャル内でのワニエ関数の 幅)。また、トラップ・ポテンシャルを切った後は弾道的に原子が飛んでいると仮定すると、 トラップ・ポテンシャル内の擬運動量 kは k= mXjntと表される。 ここで、原子気体は 3次元に広がっているが、この観測方法は 1方向からレーザーを当 て、その影を撮影しているため、 CCDに垂直な方向の粒子数が積分された柱状密度 ( c o l u m n d e n s i t y ) nCCD, 17(X, Y)= J dZ品 川 Z))叫 ( 1 5 1 ) が観測量だということに注意しよう。 5針 。 フェッシュバッハ共鳴と組み合わせて反強磁性状態を観灘する方法も提案されている [ -ノイズ裡関 次に、ショット・ノイズをうまく利用して、 2体の担関を誕る方法を紹介しよう [ 6 0 ]。 2体の相関関数 G σラゲ (XX ' )は ラ G σ〆(XX')=( 九 (X)九 , (X'))exp一 ( 会σ(X))exp(九 , (X'))exp ( 1 5 2 ) ヲ ~(:先σ (k)九σ, ( k) ) t r a p-(~れσ(k) )trap(nσぺk) )trap 2 4 E7 Ld 互 ( 1 5 3 ) 4 4 1勺 凶 却 ,侍 呉 川 向 刊 〕 引 と き 十九σ, 8(X-X')( 合σ ( X ) ) e x p一伶σ ( X ) ) e x p ( えが ( X ' ) ) e x p ( 1 5 4 ) となる。この式が意味するところは、 I回の飛行時間法で得られた実験データから相関と粒 子密度を読み取り、それを多数毘繰り返す事して期待値を求める事によって、トラップ・ポ テンシャル内の棺関関数が得られるということである。また、ハーフ・フィリングの場合は 低 X ワ= j長( 2 p ) 2 5 6 ( x X F f G ) ? h W ) ( 民叩 i.Sj)trap ( 1 5 5 ) となり、スピン相関を灘る事ができる。 この方法により、光搭子フェルミ原子系において、 プェルミオンのアンチ・パンチングが -640- フェルミ原子光格子系の基礎知識 0 また、光格子が入っていない中性原子フェルミ気体系で辻、ベアリン ] 1 6 観測されている [ ]が観灘されている。 3 6 ]や、局所的なフェルミオンのアンチ・パンチング [ 2 6 グの相関 [ また、この方法は、フェルミ原子光格子系の様々な相を再定するために利男できると期待 ]0 2 1ラ7 67ラ68ラ69ラ70ラ7 4ラ65 66, 6 されている [ ヲ timagingmethod) s a r t n o ・位椙差画像化法 (phasec 中性原子系では、トラップ・ポテンシャル中の原子気体の密度分布を亘接観測する位相差 画復化法という方法も良く用いちれる。この方法は、 原子気体にレーザーを当てて CCDで 観瀕するのであるが、飛行時間法と異まるのは、トラ ップ・ポテンシャル中の原子に非共鳴 光の散乱による位椙差を画像化していることである。以下で簡単に原理を説明しよう(詳し ]を参照)。 7 2 くは文献 [ (めのよう /2だけ変える位相板、レンズ、スクリーンを図 5 位相差画象化法では位椙を π 層、ムE を原子 に設置する。ここで、飛行時間法の時の考察と同様に、 Eoを非散乱光の振 i )の実験設定から、スクリーンにあたるレーザー b ( 気体による散乱光の振幅とすると、図 5 の強度 IpCIは位相板によって ムE+品 eき │ ま I IpCI 2 1 羽 田6) 2' + φ 'cos( 1 ' 2 2十 2-2V ' 1 品1[ =I となる。ここで離謂 6を十分大きく取ると、争は小さくなるので、 IpCI ~ l . ...rn TσOd ¥ . . 2 , i T r 2( 1 1 n 2ncol) ; '-;:U 1 2-2' + 2 ' 1 Eo2 ' '+的)=I 1 2+2-2' ' 1 ' 2( l o E I i¥ 1 : " 1 1 与57) が成り立つ。この結果より、位相差によって柱状密度 ηcolを観灘できる事がわる。また、こ の方法は飛行時間法と異なり、トラップ・ポテンシャルから原子を解放したり、原子に光を 吸収させたりしないので、粒子密裏分脊を非破壊的に観測する事が可能である。この特徴を n i 活かし、非平衡通翠の援測などにも用いる事が可能である。この特徴かち“その場観察法 ( uimagingmethod)'ラとも呼ばれる。なお、この方法は、離謂をうまく調節する事により、 t i s 0 ] 3 7 アップ・スピンとダウン・スゼンの差を観測する事も 可能である [ ) b ( ) a ( t h g i el b o r p t h g i el b o r p e t a l ep s a h p CCD CCD )位相差画象化法 b )飛行時間法、 ( a :( 図5 -格子振動による線形応答 )で晃たように、光格子系ではレーザー強度によって格 子の高さを制御でき 1 6 )、 ( 8 5 式 ( nhv A 叫.. 奥祥雅彦 るため、これを持間的に変 化させる事もできる。これ を利用して、線形応答を実 行し、超 流動状態のベアリングのエ ネルギーやモット絶縁椙で の相互作用の大きさ [ 7 4 J、スピン栢関 [ 7 47 5 ]やカレントの自己椙関関数 [ 7 6 ]の灘定を行う事が提案されている。 ヲ ・ラジオ波分光 ( r fspectroscopy)* 第2 . 3章でラジオ波を使って 2つの状態聞を遷移させるこ とが可能でるることをみた が、 さらに、そのうちの lつの状態から新たに 3つ目の状態への遷移を考え る事によって 1粒 子 スペクトル関数を濁る事ができる(角慶穫分型 [ 7 7, 7 8 ]、角慶分解型 [ 7 9, 8 0 ] )。これは、個体 系で行われる光電子分光 ( a n g l e -r e s o l v e dp h o t o e m i s s i o ns p e c t r o s c o p ヲ . y ARPES)[ 8 1 ] に対応 するもので¥光格子なしの フェルミ原子系では擬ギャ ップが観灘されており [ 8 0 ]、理論的解 析も行われている [ 8 2ラ 8 3 ]。 ・プラッグ分光 ( Braggs p e c t r o s c o p y ) * プラッグ分光によって静的・動的構造因子 ( s t a t i c, dynamics t r u c t u r ef a c t o r )[ 1 1 ]を測定す る事ができる [ 8 4 ] 0 ・高分解能蛍光顕微鏡によ る観測* 高分解能蛍光顕微鏡により 、ボース京子光格子系にお ける 1サイトごとの原子の振る舞 い を観測する事が可能になっ た [ 8 5, 8 6 ] 0 日本語の解説 [ 8司も参照のこと。 8 光格子系実験 この章では光格子系の実験 について述べる。まず最初 に実験でどのように党格子 が作られるか を概観し、次に、アェルミ 原子光格子系でこれまで得 られている実験結果を詔介 する。そして、最 後にまだフェルミ原子党格 子系での実験は行われてい ないが、関連の深い実験結 果や理論的考察 をいくつか紹介する。 6 . 1 実験の涜れ これまでの章で、フェルミ 原子気体を捕捉、冷却し、 光格子を入れるための基礎 的な知識がそ ろったので、フェルミ面を 観測した実験 [ 8 8 ]を倒に、実験の手1 1 贋を見ていこう(詳しい冷却の手願 などは [ 2可などを参照)。 -磁気トラップ i こボース原子とフェルミ原 子を同時に揚獲 共同冷却 ( s y m p a t h e t i cc o o l i n g )をするために、ボース原子(例: 87Rb) とフエルミ原子 ( 倒: 4 0 K )を同時に議気光学トラップに入れる。ボース原子、フェルミ原子は求弱場状態(例: それぞれ I F=2, m F=2 )と I F=9/2, m F=9 / 2 ) )に用意しておく。 ・ボース原子について蒸発 冷却 ( e v a p o r a t i v ec o o l i n g )を行う。 (1μK、T/TF~ 0 . 3 ) 空間に不均一に分布している磁場のために、ラジオ波の共鳴角振動数が空閣の各点、で異な る。これを利用して、トラップ・ポテンシャルの中心から離れたところにいる、エネルギーの 高い原子に求弱場状態から 求強場状態の関の共鳴角振 動数を担ってラジオ波を当 てる。その “ ヮ創出 フェルミ原子光格子系の基礎知識 結果、高いエネルギーを持った原子を選択的にトラップ ・ポテンシャルから追い出す事がで 0 きる。その後は原子関相互作用により熱平傷状態、への緩和が起こり、系の温度が下がる(蒸 発冷却)。共同格却はこれを利用し、ボース原子の温度を下げ、ボース原子集団をフェルミ 原子の冷却剤とし て扱い、ボソンフ ェルミオン関の相 互作用を介してフ ェルミオンを冷や す。冷えたら再びラジオ波を当ててボース京子の状態を遷移させ、トラップ ・ポテンシャル 0 からボース原子を全て追い出す。 ) 5 0 . 2 0 . :0 : 0 200nK、T/TFc 5 ・光トラップ。へ移行 ( f"V t'V 次に、フェッシユ バッハ共鳴を利用 するために、光ト ラップにアェルミ 原子を移す 100 そ Fニ 9/2ぅm Fニ -9/2)と の後、ラジオ波を当てて、 2つの擬スピン状態を混在させる(例: I 7/2)11)。そして、光トラ ップを浅くしてい く事で、高いエネ ルギーを持 m F=F=9/2, I つフェルミ原子を トラップから追い 出し、相互作用に よる緩和によって 系の温度を下げる 0 ) ? : : : : T/T .光格子系の完成 ( Fc 最後に定在波を断熱的に入れていき、光格子系が完成する。 期 - 観i 2 様々な光格子 . 6 光格子系では、レ ーザーの設霊の仕 方などを工夫する 事により、様々な 格子系を作る事が でき る。以下でその例を見てみよう c • 1次元・ 2次元格子列 ]を構成するレーザーのうち、 1方向のレーザーの強度を強くすることによっ 9 8 3次元格子 [ て、その方向のホ ッゼングを無視で きるほど小さくす れば 2次元格子系の層が 重なった系が ]。また、同様にして、 2方向のレーザー強 度を強くすれば 1次元格子列を作る 1 0ぅ 9 9 できる [ 0 ] 0 2ぅ 9 9 事ができる [ ・リング格子 0 ] 4 9 3, 9 ]、それを回転させ る事もできる [ 3 9 リング型の光格子も実現しており [ .超格子 (粒 ] 7 96 9 5, 9 波長の違うレーザーを同じ方向に 2本入れる事により、超慈子が実現している [ ぅ 子はボース涼子〉。これを利用すれば、梯子洛子、プラケット格子、チェッカーボード格子も 。 9針 作成可能である。 また、偏光を利用 したプラケット格 子も実現されてい る [ ・三角格子、ハニ カム搭子 ]。 0 0 9,1 9 3本のレーザーを 1200の角愛で交わらせることにより三角格子が実現している [ ]の実験では、ボー ス原子を尾いた実 験であるが、三角 格子上の基底状態 が 0 0 1 特に、文献 [ 0 ] 1 0 91 9 求まった。また、 福光をかえる事に よりハニカム搭子 が実現している [ ぅ こより、求弱場状態を初用できるようになる。 10これ i 11再者とも求弱場状態で あるので、光トラップ である事が必要。 リ ミ 4 υ ぷ 奥村雅彦 -カゴメ格子 1 0 2 )。 時様にして、 3本のレーザーによるカゴメ格子も提案されている [ ・リープ格子 L i e bl a t t i c e )が提案されている [ 1 0 3ラ 104, 平垣バンド強磁性を実現するためのリープ格子 ( 1 0 5 ]。この格子を実現するためには最低でも 5本のレーザーが必要である。 ・不規則格子 s p e c k l el a s e r )を用いる事によ号、光格子ポテンシャル、謂和型トラップ・ 斑点、レーザー ( ポテンシヤルに、不規則ポテンシヤルを加える事ができる { 1 0 6 )(ただし、粒子はボース原子。 ボース系のアンダーソン局在については [ 1 0 7, 108, 1 0 9 )を参顛)。ただし、斑点ポテンシヤ ルはいくつかの格子点にまたがるスケールで変化しており、また、周期ポテンシャルの振幅 を変化させるために、ホッピングだけでなく、相互作用の強さも同時に変えてしまう事に注 意。これに関連して、斑点レーザーを加えたフェルミ原子光格子系の、動的平均場理論を用 いた解析も行われている [ 1 1 0 ]。 ・ホログラフィック光格子 本ログラフ位栢板 [ 1 1 1, 1 1 2 ]やマイクロレンズ列 [ 1 1 3 ]を用いた光格子も実現している。こ れらの技術を用いれば、より自由な形状の党格子を実現する事ができると期待される。 ・スピン依穿光搭子 本稿ではレーザーが直線偏光している場合を取り上げているが、円舗光したレーザーを用 1 1 4 ) 0 この光格子系でのノ、ノてード模型が いて(擬)スピン依容した光稽子系が実現している [ 考えられており [ 1 1 5 ]、さらに、モット椙で実現するであろうスピン模型の交換相互作用の 1 4 9 )。 髄御も提案されている [ ・回転光椙子 光格子を自転させ、ボース原子光格子系において、渦のピンニング [ 1 1 7 ]や渦の生成に成 1 1 8 ] 0 功している [ 6 . 3 フェルミ原子光稽子系の主な実験結果 この章ではこれまでに行われた中性フェルミ原子気体系での代表的な実験結果を列挙する。 -フェルミ縮退 フェ y レミ縮退は 40K(1999年 ) [ 1 1唱 、 6 L i(2001年 ) [ 1 2 0 ]、3He( 2 0 0 6年 ) ( 1 2 1 )、171Y b 、 173Yb ( 2 0 0 7年 ) [ 1 2 2 J、87Sr(2010年 ) [ 1 2 3 ]という多数の原子種で実現している。 ・フェルミ面の観灘 2005 年に ETH のグルーフP~こより 3 次元光格子系において、フェルミ面が観測された [8針。 ここでは、第 4 . 1章で紹介したバンド・マッピングのテクニックが使われ、九 / E rを大きく X))CCDが徐々に四角くなっていき、バ していくと、飛行時間法で撮影された粒子分布伶 ( ンド絶縁体に到達すると 1辺の長さが 2肢の正方形になるのが確認されている。 -644- フェルミ累子光格子系の基礎知識 -波束の重心運動 光格子系は調和型トラップ・ポテンシャルのために系が一様でないので、輸送問題を考え る場合は波束の重心運動を扱う場合が多い。また、重力の影響を利用して輸送現象を観測す る事もできる。 -相互作尾なし スピン嬬極したフェルミ京子(スピンレス・フェルミ原子)の 1次元光絡子系におい て、重力の影響によってブ ロッホ振動が起こる事が観 測された [ 1 2 4 ] 0 また、再じくス ピン短極したフェルミ原子の 1次元光格子系において、調和型トラップ・ポテンシャル の中心を急激にずちすこと によって波束の重心運動を 引き起こした。その結果、 極端 に重心運動が抑制する事がわかった [ 1 2 5ラ 1 2 6 ] 0 これは、先に論じた調和型トラップに よって引き起こされる局在状態 [ 5 2ラ 5 3 ]に多くのフェルミ原子が入ってしまったために 起こった現象であるが、古 典的な解析でも理解する事 ができる [ 1 2 6ヲ 127, 1 2 8 ] 0 また、 量子論的なシミュレーショ ンによる解析も行われてい る [ 5 4, 5 3 ] 0 ーボース原子との相互作用 あり スピン需極したフェルミオ ンと同時にボース原子を捕 捉した系で同様の実験が行 わ れたが、この場合にはポース原子との相互作用によって、局在状態から振動状態への遷 移が引き起こされ、減衰振 動もしくは過減衰すること が観測された [ 1 2 9 ] 0 また、この 現象に関する理論的解析も 行われている [ 1 3 0, 1 3 1 } 0 - フェルミ原子関の相互作用あり その後、 3次元光搭子系において、 2成分フェルミ景子が引力相互作用する場合に、ト ラップ・ポテンシャルの中心を急激にず、らす実験が行われた [ 1 3 2 ]。この実験では UjJ を調整し、減衰振動領域かち過減衰領域までを制御する事に成功している。 -超流動 フヱツシュバッハ共鳴を用いて、共鳴点付近での超流動-絶縁体転移が観測された [ 1 3 3 ] 0 しかし、相互作用が非常に強い領域なので、複数バンドのハバード模型による記述が妥当で あると指摘されている [ 1 3 4 ] 0 ・モット絶縁体 2008年に ETHのグループ [ 5 7 ] と、同時期に、マインヅの グループ [ 5 8 ]によってモット 絶縁棺と金属相の共存状態 が観瀕された。これらの実 験では、圧縮率の測定 [ 5 7 ]、格子振動 による線形応答 [ 5 7 ]、位椙差彊橡化法 [ 5 7 ]による粒子数分奇の確認によりモット絶縁体の生 成が確認された。 ・ダブロンの崩壊 その後、二重占有状態(ダブロン ( d o u b l o n ) )を作り出し、その崩壊のダイナミクスが翠測 された [ 1 3 5,1 3 6 ]。この現象辻ダイアグラム の再加算法を用いて解析さ れた [ 1 3 6 ] 0 ・引力フェルミ原子の異常 膨張 -645- 奥村雅彦 3次元引力フェルミ原子光格子系において、フェッシュバッハ共鳴を用いて相互作用の強 さを変えていった場合の、自力相互作用の強さの極大点と原子集団の大きさの極小点のずれ 。 3句 1 が観瀕された [ ・高い対称性を持ったハバード模型 0 ] 8 3 1 Yb系で SU(2)xSU(6)という高い対称性を持ったノ、ノ守一ド模型が実現した [ .格子振動線形応答による再近接スピン椙関の観灘 格子振動線形/ie;答により、隣のサイトとのスピン相関が誕られ、理論計糞の結果と良い一 0 ) 9 3 1 致を見た [ 4 その他 . 6 .バンド制御 本積では最もエネルギーの低いバンドに限って定式化を進めてきたが、最近、ボース原子 ],こ選択的に粒子を用意する事ができるよ 2 4 1 ]や fバンド [ 1 4 0ラ 1 4 1 光格子系では、 pバンド [ うになった。 -仮想的な外場との相互作用 ]と坂想的な電場(ゲージ 4 4 3ラ 1 4 1 こ結合する仮想的な磁場 [ ボース原子系では、中性漂子 i ]も参照。 7 4 1 ]。文献 [ 6 4 1 ]が実現しており、スピンー軌道相互作罵も実現している [ 5 4 1 [ 場) ・ハバード模型以外の格子模型について 0ま ] 9 4 1 8, 4 1 フェルミ原子光格子系では、ノ、ノ fード模型の弛に、 t-J模型も提案されている [ g r e b n e s i e H た、スピン・インバランス系におけるモット台地で、磁場中のハイゼンベルグ模型 ( ]。 0 5 1 model)が実現することが予瀕されている [ -磁性について )が観瀕されたという報 y t i l i b a t s n ri e n o t S 光格子が入っていない系でストーナー不安定生 ( ]。 2 5 1 )、その後の解析でベアリングの不安定生との競合が論じられている [ 1 5 1 告があったが [ ) n o i t c a r e t n ei g n a h c x e r e p u s また、ボース原子光格子系では党超搭子中で超交換 相互作用 ( )が実現している 出n gch n i s cI i t e n g a m o r r e f i t n a が観測され、磁場中の反強議性イジング鎖 ( ]、有限ホール 6 5 1 ]、長田強磁性 [ 5 5 1 4, 5 1 0 一方、フェルミ原子光格子系での反強磁性 [ ] 3 5 1 [ ]、三角格子系に特徴的なスピ 0 6 1 9, 5 1 8, 5 1 ]、フラット・バンド強議性 [ 7 5 1 密度長岡強磁性 [ )の実現方法が論じられている。 1 6 1 ン配置 ( ・超流動について フェルミ原子光格子系における超流動転移についても 多くの理論的研究がなされている 0 また、アエルミ原子光格子系の制御性の高さを活かした引力系から斥力系を ] 3 6 1 67, 2, 6 1 [ ]。フエルミ原子光梅子系における FFLO状 6 6 1 5, 6 1 4, 6 1 探るアプローチも提案されている [ ]を参照。 7 6 1 )については文献 [ e t a t vs o k i n n i h c v O n i k r a L l e r r e F ed l 態(Fu -646- フェルミ京子光格子系の基礎知識 -温度、冷却法について 今、フェルミ京子光格子実験の一番の壁が“温度"である。磁性や超流動などの興味深い 物理を見るためにはさらに温度を下げる必要があるが、そのためには新たな冷却方法が必要 であると考えられている。フェルミ原子光格子系の温度の灘定方法や、更なる冷却のための 新手法に関しては文献 [ 1 5 )とその主用文献を参照していただきたい。 7 まとめ 本稿では、現在発展中のフェルミ原子光啓子系についての制舗の基礎部分を解説し、実験の現 状と理論の進展について触れた。ブエルミ原子光格子系は環在も実験・理論共に急速に発展し続 けているが、なんと言ってもさらに握度を下げるプレークスルーが待ち望まれている。磁性や超 流動の転移温度以下に下がったとき、我々はフェルミ京子光格子系からどのような知見を得るの か、楽しみである。 補遺 第2 . 4章、式性的を導く際に用いた近似について解説する [ 2 3 ] 0 そこで用いる時間ァだけかけ ( t )の概形を図 6に示す。 て電場を入れる関数 f 第2 . 4章、式 ( 4 8 )を導く擦には、電場をかける時間 t 、f ( t )を特徴f ずける時間スケールァ、電場 と系の特徴的時間スケール 1 / ( ω o土 叫 の 関 に t>>ア>>1 / ( ω o土 ω )が或り立つ事を仮定した。つ まり、電場は 2準位系の共鳴周波数から遠い罵波数を用いて長い時間照射するという仮定である。 これは実験状況から十分に良い近似で成り立っていると考えてよい。この仮定を用いると、 f石 川 f . l (ず )=A ( t ) f ( t )+ t 'dA f F F d d t ' A ( t ' )否f( t ' )~ A ( t ) f ( t )~ A ( t ) 但5 8 ) が得られる。 f ( t ) . . f '( t ) 図6 : 関数 f ( t )とその微分 謝辞 本稿は普段議論していただ、いている方々による情報が多く含まれております。この場を借りて、 青木秀夫氏、五十嵐亮氏、小林恵太氏、田家慎太郎氏、高構義朗氏、段下一平氏、町田昌章氏、山 本篤史氏、山時壁舟氏、柏木清司氏に惑諜いたします。また、本稿の執筆の機会を与えてくださっ た水島健氏に感謝いたします。 -647- 奥村雅彦 参考文献 [ 1 ]J .Hubbard, “E l e c t r o nc o r r e l a t i o ni nnarrowe n e r g ybands ぺProc.Roy.8oc.(London)A 276, 238-257( 1 9 6 3 ) ;i ti b i d .277ヲ 237-259( 1 9 6 4 ) . 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