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岩沢章夫(PDF:478KB)

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岩沢章夫(PDF:478KB)
視 察 報 告 書
報告者氏名:岩沢章夫
委員会名:総務常任委員会
期
間:平成26年10月21日(火)~23日(木)
視察都市等及び視察項目:・東京都北区 味の素ナショナルトレーニン
グセンター
・岡山県総社市 多文化共生事業
・福岡県北九州市 北九州市観光振興プラン
所 感 等:
味の素ナショナルトレーニングセンター
10月21日(火)10時半、東京都北区にある味の素ナショナルトレーニング
センター(NTC)を視察した。ナショナルトレーニングセンターは国立スポーツ
科学センター、国立西が丘競技場と併設され、広大で効率的な施設になっている。
競技別の専用練習場である「屋内トレーニングセンター」「陸上トレーニング場」
「屋内テニスコート」及び宿泊施設の「アスリート・ヴィレッジ」から構成され、
競技者が同一拠点において集中的、継続的に強化活動を行うことが可能でトータル
サポートが出来るようになっている。またジュニア競技者の育成や長期的な強化事
業への活用も期待されている。冬季競技、海洋、水辺系競技等については、日本各
地の専用施設が「ナショ
ナルトレーニングセン
ター競技別強化拠点」に
指定され、ナショナルレ
ベルのトレーニング施
設の充実とネットワー
クが構築されている。
日本オリンピック委
員会強化部の工藤さん
から、施設の概要説明と
専用練習場の見学を通じ説明を受けた。
「より速く、より高く、より強く」を目標に
造られたこの施設の管理運営の仕組みについては、味の素トレセンの管理・運営は
隣接する国立スポーツ科学センター(JISS)を運営する独立行政法人日本スポ
ーツ振興センターが一体的に行い、これにより、選手や競技団体は、両センターの
トレーニング施設とJISSのスポーツ医学・科学・情報サポートを十分に利活用
しながら、硬質なトレーニングを実施するかとが可能である。味の素トレセン施設
の主体的運営は、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が行っている。
なお、施設の性格上、利用対象者は基本的にJOCの強化指定選手及び中央競技団
体の推薦を受けた強化選手に限られている。費用負担は国が2/3でJOCと協会
が1/3の負担となっている。
一方、JOCは2020年の東京オリンピックに向けたナショナルトレーニング
センターの拡充施設を都内近郊に設置することを希望しており、横須賀市が、都心
から約40㌔メートルの距離に位置し交通の利便性に優れた場所にあり、既設のN
TCでは対応していない屋外競技に適した丘陵地や、水上競技に適した自然海岸が
あるため、NTC拡充施設の候補地として有望な条件が整っていることから、誘致
候補地として「誘致委員会」を設定している。NTC拡充施設の横須賀への誘致は、
世界で活躍する日本選手の育成に大きく貢献するものであり、市民にとって元気を
呼び起こし、スポーツ振興への波及や次世代の夢を育み、地域の活性化に大きく寄
与することが期待されている。視察先で、数人のアスリートに接したが、身近に有
望なアスリートに接することにより多くの市民がスポーツ興隆への意識が変わるだ
ろうと期待する。
総社市における多文化共生施策
総社市の人口は約6万8千人。内、在留外国人は 723 人で、総人口に占める比率
は 1.07%。また在留外国人の
内 ブ ラ ジ ル 人 が 261 人 で
36.1 %を占めている。ブラジ
ル人が多いのは、総社市に進
出しているグローバル企業
(スズキ自動車等)が海外展
開の都合から外国人が多く
雇用されていることが理由
のようだ。こうした在留外国
人の方々も地域に定住するうえで文化の違いや習慣の違いなど生活上の多くの課題
を抱えられている。大企業に雇用される外国人はグローバル化が進むほど増えてい
くことは確実で、総社市では、こうした外国人が安心して地域に住み続けていける
ように「多文化共生施策」として具体的な事業を展開し行政が積極的に関わってい
ることが特徴である。
具体的な事業としては
1、外国人相談事業
2、コミュニティ相談事業
3、地域参加型生活サポート日本語教育事業
4、就労支援事業
5、医療・防災支援事業
6、多言語医療ガイドの作成・配布
7、外国人防災リーダー
等であるが、特徴的と思われることは、外国人のニーズを積極的に取り入れ行政と
して対応を図る努力をしていることである。日本人との交流を図り地域住民同士繋
がる場として、防災訓練でのバケツリレーの参加や、庁舎内での日本語教室の展示
を通じて外国人からのメッセージを掲示し、在日外国人との意識の距離を近づける
工夫をしている。また病気等での不安を解消するため多言語医療ガイドを作成し外
国人へ配布を行っている。2011年のブラジル災害(リオデジャネイロ)の折に
は嘱託として採用しているブラジル人を被災地に派遣も行った。こうした多文化共
生事業の中で、防災についてはより積極的で「支援される側」の外国人も「支援す
る側」へと、
「外国人防災リーダー」の養成も行っている。こうした取り組みは、外
国人とのこれからの地域共生には必要なことではないかと思われる。
横須賀市は基地を抱え、米軍軍属含め2万人ほどと聞いているが、在日外国人と
なるとフィリピン、韓国が多く、全体では 4,500 人ほどで市の人口の 10.9%に及ぶ。
本市の場合、日本語教室など市の委託事業も含め在日外国人の対応はNPO法人の
国際交流協会が中心に対応しており、交流の窓口になっている。今回の総社市の多
文化共生事業を参考に、在日の人たちが地域で共生できるよう、課題を探る必要を
感じている。
北九州市観光振興プラン
1、観光振興プラン策定の背景について
「北九州市観光振興プラン」は市の基本構想・基本計画である「元気発信!九州」
プランの産業面の取組を推進する「北九州市新成長戦略」のうち、観光分野につい
ての分野別計画に位置付けられている。
全国的な観光動向は、人口の減少、国民1人あたりの国内宿泊旅行回数、宿泊数
の減少傾向など下げトレンドである。また、近年の旅行者のニーズはかつての物見
遊山的な観光から地域らしさを求める傾向に移っており、今後のリピーターを増や
すためには、その地域ならではの「食」や「ふれあい」が重要である。新プランで
は「門司」「小倉」「若松」「八幡」「戸畑」の5つの歴史や文化、各エリアに数多く
ある知名度の高い地域資源「門司港レトロ」
「小倉城」
「若戸大橋」
「旧官営八幡製作
所」
「旧松本家住宅」などに「ひと・ものがたり」を吹き込むことで、付加価値の高
い観光資源に磨きをかけ、市ならではの観光を演出することが宿泊数を中心とした
交流人口の増加・地域活性化に非常に重要であると考えている。北九州市は今回、
各種調査に基づく現状把握や産学官民の意見を踏まえ本市ならではの観光振興プラ
ンを策定することとした。
2、観光振興プラン策定の手法について
観光振興プラン策定にあたって、客観的な現状把握と官民共同による北九州らしい
観光振興プランの策定を徹底した。そのため、観光関連データーを豊富に保有する
観光専門コンサルタント(じゃらん)に会議の運営や現状把握調査を委託し下記の
手順で観光振興プランを策定した。
① 前回の観光振興プランの振り返り(課題の明確化)
② 市の観光の現状や観光のニーズ等を把握するため各種現状調査を実施し結果を
分析
③ 市及び全国的な観光動向等に見識のある観光アドバイザーや学識経験者で組織
する「観光振興プラン方向性検討会議」にて方向性及び戦略について検討
④ 地元の観光関連団体・企業の実務を担う部・課長クラスで組織する「アクション
検討ワーキンググループ」を開催
⑤ ①~④を踏まえた上で、市役所内部での調整及び意見の集約
まず、①の振り返りについては、目標値は将来予測を踏まえて設定することが必要
とした。②個別施策の評価は定量評価が必要とした。③調査不足が不十分であった
ことから、実施者の満足ではなく、顧客満足度を視点に取組を行うとした。
こうした反省を踏まえ、新たに策定したプランには「ありたい姿」を明確にして「近
い将来「北九州市に観光にいこう!」と言われる観光都市になる」という目指すべ
き姿を決定した。
また、コンセプトとして観光振興に取り組む根本的な考え方として「歴史と文化の
ある 5 つの伝統を活かした観光テーマづくり」
。キーワードとして①産業観光②近代
化産業遺産③環境観光④サブカルチャー等とした。
また、コンセプトを具体的にマネジメントしていくための「戦略」及び「組織」の
あり方を具体化していった。
3、
「ありたい姿」を実現するための基本戦略とアクションプランについて
基本計画の考え方と方向性については「計画期間の6年間は日本において北九州市
が観光都市であることを目指し、次の計画では東京五輪を見据えながら、国際観光
都市を目指す」とある。
そのための基本戦略の着手順は
①観光都市としてのブランディング<都市イメージ>
②北九州市ならではの地位資源の
観光資源化<資源の発掘・磨き上
げ>
③セールスプロモーション戦略<
情報発信>
④おもてなしの充実
⑤MICE戦略<コンベンション
誘致など都市型集約>
⑥インバウンド戦略<東アジアか
らの誘致>
となっており、観光振興プランのアクションプランが具体的な個々の実施事業とし
て期間や実施主体がスケジュールとして一覧で示されている。
今回の視察は、本市でも「
(仮称)横
須賀市観光立市推進条例」を議会条
例として策定中のタイミングであり、
条例に基づき実施主体となる行政が
策定する観光推進計画のイメージが
具体的に想定されたことは、大変有
意義であった。本市の目指す「観光
立市」という名称は、
「観光を産業と
して雇用を生み出し横須賀経済の
柱」として育てようとする意図から考えられた「仮称」であるが、北九州市の反省
に示された「現状分析」の必要性や、新たに策定された「基本戦略の手順」や「推
進体制」を具体に落とし込む作業はこれからである。
人口減少や産業の停滞を抱える本市として、活性化のあるまちづくりとして、豊か
な歴史と文化を持つ本市ならではの歴史遺産や観光資源を「観光立市推進条例」を
掲げ力強く推進していかなければならない、と痛感した。
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