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パソコンと携帯電話の画面サイズの違いが 文章の
パソコンと携帯電話の画面サイズの違いが 文章の読みやすさに与える影響 Influence of display size of PC and mobile phone for understanding of script 後藤 靖宏 Yasuhiro Goto 北星学園大学文学部 心理・応用コミュニケーション学科 Faculty of Psychology and Applied Communication, School of Humanities, Hokusei Gakuen University [email protected] Abstract Hass(1986)は文章の校正におけるパソコン画面 Keywords ― Display Size, PC, Mobile Phone, Script の影響を検討した[1].その結果,紙とパソコン画 面では,紙よりもパソコン画面の方が読み能率が 低下し,また,パソコン画面のサイズが小さくな 1. はじめに るにつれ読みにくくなることを報告した.後藤 本研究の目的は,携帯電話とパソコンの画面サ (2005)では Hass(1986)の手順に倣い日本語文章 イズの違いが,電子メールの理解の正確さや読み を使用して実験を行った結果,紙とパソコン画面 やすさ,理解時間に与える影響を検討することで で読み能率に差が見られなかった[2].後藤(2005) ある. によれば,Hass(1986)と異なる結果が得られた原 一般的に,電子メール(以下,単に「メール」 因の 1 つにはパソコン画面の質の向上と関係して と記す)のやりとりは携帯電話かパソコンを使っ いるとしている.さらに,清原・中山・木村・清 て行われている.携帯電話の場合は,一行に 15 水・清水(2003)は印刷物と CRT ディスプレイ,お 程度の文字が表示される.一方,パソコンの場合, よび液晶ディスプレイに文章を表示し,文章理解 40~100 程度の文字が一行に表示される.これら 度を測定する実験を行った.その結果,文章理解 はメールソフトやフォントサイズに左右されるも 度は CRT ディスプレイ,液晶ディスプレイ,印刷 のの,一行の文字数は両者の間に決定的な違いが 物の順に高くなる傾向にあった[3]. ある. 携帯電話でのメールとパソコンでのメールの比 こうした違いのために,携帯電話で読むことを 較においては,作成に用いたデバイスによってレ 想定して書かれたメールをパソコンで読むと,頻 ポートの文章と文脈についての印象が異なること 繁に改行されることになる.逆に,パソコンで読 が明らかになっている.佐々木・石川(2006)によ むことを想定して書かれたメールを携帯電話で読 ると,携帯電話でのレポートメールでは「つまっ むと,数行ごとに不規則に改行が起こることにつ ている」印象をより感じる傾向が見られ,パソコ ながる.こうしたことは,文章の読みにくさや稚 ンでのレポートメールでは「読みやすさ」,「空間 拙な印象につながり,ひいては文章理解にも影響 がある」印象をより感じる傾向が示されている[4]. があると考えられる.そこで,本研究では携帯電 この結果を踏まえると,パソコンでのメールは, 話とパソコンを用い,携帯電話とパソコンの文章 字下げの段落があり段落がはっきりするために読 理解に大きく関係していると考えられる改行位置 みやすさが増す一方,携帯電話でのメールは段落 に着目し,メールの文章理解について検討した. が作りにくいために文章が詰まった印象を受ける パソコンのディスプレイ上に表示された文章理 と言える.このことは眼球運動の観点からも支持 解の正確さについては多くの研究が行われている. される.行かえ直後の行の始めには,1 度読んだ 行に移る動きである逆行がしばしば見られること 件を設けた. が確認されている(邑本,1998)[5].一般的に,携 2-1-3. 材料 帯電話は紙面やパソコンよりも 1 行あたりの呈示 本実験に参加しない大学生に対して行った予備 文字数が少ないため,行かえが多くなり無意識な 調査により,約 800 字の文章を 3 種類使用するこ 逆行が増えると考えられる.こうした事実からは, ととした.内容は「アルコールについて」,「国旗 携帯電話ではスクロールの「疲労」に加えて視点 について」および「ショックについて」であった. 移動の「疲労」が 2 重に重なることで,文章の読 改行あり条件においては,どちらのデバイスも み効率や文章理解の正確さが低下すると考えられ 呈示する文章を 30 字ごとに改行を行った.改行 る.以上のことから,携帯電話とパソコンの画面 なし条件においては,どちらのデバイスも呈示す サイズの違いと文章の改行は文章理解の正確さに る文章の改行を操作しなかった. 影響を与えている可能性があると考えられる. そこで本研究では,2 つの実験を通してパソコ 携帯電話やパソコンに呈示するフォントや文字 の大きさはすべて標準のものとした.画面の背景 ンと携帯電話のメールの読みの違いについて検討 はすべて白とし,フォントの色はすべて黒とした. した.具体的には,まず実験 1 で,パソコンの画 2-1-4. 装置 面サイズの違いと,それに伴って変化する文章の 携 帯 条 件 で は , 携 帯 電 話 (DoCoMo FOMA 改行が,文章理解の正確さにどのような影響を与 P902iS)を使用しメール受信 BOX で文章を呈示し えるのかを明らかにするための実験を行った.ま た.一方,パソコン条件では,ノート型パソコン た,実験 2 では,携帯電話とパソコンの画面サイ (TOSHIBA 製 dynabook TX/450DS)を使用し,フ ズの違いが,文章理解時間に与える影響を検討し リーソフトの AL-Mail32 のメール受信画面で文章 た. を呈示した. 2-1-5. 手続き 2. 実験1 実験は騒音のない静かな部屋にて個別に行った. 実験 1 では,携帯電話とパソコンの画面サイズ 被験者には携帯条件とパソコン条件と統制条件に の違いが文章理解の正確さにどのような影響を与 それぞれ割り当てて呈示した.3 セットの材料は えるのかを検討した.具体的には,実際の携帯電 携帯条件とパソコン条件と統制条件の間で重複さ 話とパソコン,および紙のそれぞれに改行の有無 せずにランダムで割り当て,それぞれの呈示順も を操作した文章を呈示して,文章理解の正確さを ランダムであった.問題材料は紙に呈示した. 調べた.文章理解の正確さの程度を測る指標とし 被験者への教示は実験開始時に行った.文章の て,文章理解テストとその回答に対する確信度を 読解時間を 4 分とし,4 分を超えた場合は文章を 用いることとした. 読むのを途中で止め,問題の回答に移ることを教 2-1. 方法 示した.4 分という時間は,予備調査によってほ 2-1-1 被験者 ぼ全文を読解し終えるということがわかっている 北星学園大学の学生 44 名(男性 5 名,女性 39 名)が実験に参加した. 2-1-2. 実験計画 2 要因 2 水準の混合計画を用いた.1 つ目の要 因はデバイス要因(携帯条件/パソコン条件)であり, 時間であった. 文章読解後,文章に関する問題を解かせ,回答 への確信度評定を 7 段階(1:絶対回答は間違って いる~7:絶対回答は合っている) で行わせた. 2-2. 結果と考察 被験者内要因とした.2 つ目の要因は改行要因(改 被験者 44 名のうち,制限時間内に文章を読み 行あり条件/改行なし条件)であり,被験者間要因 終えることの出来なかった被験者が 5 名いた.そ とした.統制条件として,紙における改行なし条 のためこの 5 名を分析の対象から除外し,計 39 7 名を本実験の分析対象とした. 改行あり 改行なし 6 被験者の回答結果を本実験に参加していない大 解度とした.その上で全 10 問中の理解度と確信 確信度 学生 3 名に採点させ,3 人の合計得点を文章の理 5 4 3.14 3 3.28 2.97 2.99 2.87 パソコン 携帯電話 2 度を分析対象とした. 1 まず,文章の理解度について,条件ごとの結果 紙 図 2 条件別平均確信度 を図 1 に示す.デバイス要因と改行要因を独立変 数とし,理解度を従属変数として繰り返しのない 件の改行あり条件(t[17] = 0.40, n.s.)および統制条 分散分析を行った.その結果,デバイス要因の主 件と携帯条件の改行なし条件の間に有意な差が見 効果(F[1,74] = 0.05, n.s.)および改行要因の主効果 られなかった(t[20] = 0.93, n.s.).また,統制条件 は見られなかった(F[1,74] = 0.17, n.s.).また,交 とパソコン条件の改行なし条件(t[19] = 0.59, n.s.) 互作用も見られなかった(F[1,74] = 0.27, n.s.). および統制条件とパソコン条件の改行なし条件の 次に,回答の確信度について,条件ごとの結果 を図 2 に示す.デバイス要因と改行要因を独立変 数とし,確信度を従属変数として繰り返しのない 間 に も 有意差 は 見 られな か っ た (t[18] = -0.42, n.s.). 以上のように, 文章理解の正確さについては, 分散分析を行った.その結果,デバイス要因の主 仮説に反して携帯電話とパソコンでの文章理解の 効果(F[1,74] = 0.37, n.s.)および改行要因の主効果 正確さに差が見られなかった.紙面での文章理解 は見られなかった(F[1,74] = 0.39, n.s.).また,交 の正確さと携帯電話とパソコンでの文章理解の正 互作用も見られなかった(F[1,74] = 0.13, n.s.). 確さにも差が見られず,後藤(2005)を肯定する結 最後に,統制条件と条件ごとに文章の理解度と 果が得られた.また,改行の有無についても,携 回答の確信度を比較した.統制条件と条件ごとの 帯電話とパソコンにおいて文章理解の正確さに差 理解度において対応のあるサンプルの t 検定を行 が見られなかった. った.その結果,統制条件と携帯条件の改行あり しかしこれらの結果が,即,デバイスの違いや 条件(t[18] = -0.03, n.s.)および携帯条件の改行な 改行の有無に関わらず,同様の文章理解がされて し条件に有意な差が見られなかった(t[20] = -0.18, いたとは考えにくい.たとえば,文章呈示時間の n.s.).また,統制条件とパソコン条件の改行なし 4 分を超えた被験者は携帯電話のみであったこと 条件(t[19] = 0.64, n.s.)および統制条件とパソコン は,携帯電話とパソコンの文章理解の正確さには 条件の改行なし条件に有意な差が見られなかった 何か別の違いがある可能性を示している.この可 (t[18] = -1.00, n.s.).回答の確信度についても同様 能性を検討するため,実験 2 を行うこととした. の分析を行なった.その結果,統制条件と携帯条 3. 実験2 6 改行あり 改行なし 5 点数 4 3 実験 2 では,読みやすさの指標として文章の理 解時間を用いた.まず,携帯電話とパソコンの画 面に文章を呈示し理解時間を測定した.次に,文 2.28 2.38 2.35 2.21 2.42 2 章の内容を問う文章理解テストとその回答に対す る確信度を測定した.それ以外は,基本的に実験 1 1 と同じであった. 0 紙 パソコン 携帯電話 図 1 条件別平均理解度 3-1. 方法 3-1-1. 被験者 図 3 使用した携帯条件の画面サンプル 北星学園大学の大学生および大学院生 47 名(男 図 4 使用したパソコン条件の画面サンプル 実験は騒音のない静かな部屋にて個別に行った. 性 11 名,女性 36 名)が実験に参加した. パソコンと被験者との距離はおおよそ 63cm であ 3-1-2. 実験計画 った.これは,画面上の文字を明確に読み取るこ 1 要因 3 水準の実験計画を用いた.要因は文章 とが出来る距離であった.3 セットの材料は携帯 呈示要因(携帯条件/パソコン条件/統制条件)であ 条件とパソコン条件と統制条件の間で重複させず った.統制条件とは紙面で文章を呈示する条件で にランダムに割り当てた.問題材料は紙面に呈示 あった.これらは被験者内要因とした. した. 3-1-3. 材料 実験 1 と同様の方法で決定した約 600 字の文章 被験者には画面あるいは紙面で文章を読み,そ の後その文章についての問題を解くことを伝えた. を使用した.文章は紙面かパソコン画面を用いて さらに,文章は 1 度しか読むことが出来ないこと, 呈示した.携帯条件ではパソコン画面上で携帯画 文章の読み時間や問題の回答時間には制限を設け 面を模した画面を用いて,パソコン条件ではパソ ていないことを教示した.練習試行後,紙面での コンの画面を用いて,それぞれ文章を呈示した(図 本試行を行い,続けて携帯条件とパソコン条件の 3,4).パソコン画面に呈示するフォントはすべて 本試行を開始した. MSP ゴシックとした.フォントサイズは準備画面 携帯条件では画面の中心のみに,パソコン条件 の文字を 80pt,開始画面および終了画面の文字を では画面全体に,それぞれ文章が呈示された.携 50pt とした.また,携帯条件の文章を 10pt,パソ 帯条件については,1 画面分の文章を読み終え, コン条件の文章を 12pt で呈示した.文章を呈示す 被験者がスペースキーを押すことによって次の画 る範囲は携帯条件を縦 6.4cm 横 4.2cm,パソコン 面へ進むように設定した.すべての文章を読み終 条件を縦 20.2cm 横 27.3cm とした.画面の背景 えた後に,被験者に文章に関する問題を解かせ, はすべて白とし,フォントの色はすべて黒とした. 回答への確信度評定も行わせた.携帯条件とパソ 統制条件では紙面を用いた. コン条件の順序はランダムであった.また,材料 3-1-4. 装置 の呈示順序もランダムであった. Cedrus 社 の 心 理 学 実 験 用 ソ フ ト ウ ェ ア 3-2. 結果と考察 SuperLab Pro ver.2.04 をインストールしたパソ 被験者 47 名のうち,以前に文章を読んだこと コン(TOSHIBA 製 dynabook TX/450DS,画面サ があるという被験者,回答に不備のあった被験者 イズ: 15 インチ)を用いた.試行の際には被験者に が 14 名いた.そのためこの 14 名を分析の対象か スペースキーのみを使用させた ら除外し,計 33 名を本実験の分析対象とした. 3-1-5. 手続き 文章呈示要因を独立変数とし,文章の理解度と回 答の確信度および文章の理解時間を従属変数とし 7 て,それぞれ繰り返しのある分散分析を行った. 6 文章の理解度については,実験 1 と同様の方法で 採点した.理解時間については,携帯条件とパソ 5 確 信4 度 3 コン条件では,開始画面の後被験者がスペースキ 2 ーを押してからすべての文章を読み終えるまでの 1 4.6 統制 時間を理解時間とした.統制条件では,文章の書 4.2 4.4 パソコン 携帯 図 6 文章呈示別平均確信度 かれた紙面を呈示されてから被験者が読み終わる までの時間を理解時間とした. 90 文章の理解度については,文章呈示要因を独立 変数とし,理解度を従属変数として繰り返しのあ 時 間 80 る分散分析を行った.その結果,文章呈示要因の 秒 75 主効果は見られなかった(F[2, 64] = 1.3, n.s.,図 ) 5).また,回答の確信度については,文章呈示要 65 ( 示要因の主効果見られたため(F[2, 64] = 7.8, p < .001,図 7),Bonferroni 法による多重比較を行 った.多重比較の結果,携帯条件と統制条件間(p < .001),パソコン条件および統制条件間(p < .01) において有意差が見られた.携帯条件とパソコン 条件において有意差は見られなかった. このように,文章理解の正確さについては,理 解度および回答の確信度のいずれにおいても,携 帯電話とパソコン,携帯電話と紙面およびパソコ ンと紙面すべてに差が見られなかった.一方,文 章の読みやすさについては,携帯電話での理解時 間とパソコンでの理解時間に差が見られなかった のに対し,紙面での理解時間は,携帯電話やパソ コンでの理解時間よりも短くなった.このことは, 携帯電話とパソコンは,紙面には劣るものの,画 面サイズに関わらず同様に文章を理解することが 85.8 72.5 70 統制 因の主効果は見られなかった(F[2, 64] = 2.7, n.s., 図 6). 一方,文章の理解時間については文章呈 84 85 パソコン 携帯 図 7 文章呈示別平均理解時間 できることを示している. 実験 2 は実験 1 と携帯電話での文章の呈示方法 が異なっており,その違いが理解時間の差異につ ながったと考えられる.この原因として,携帯電 話の文章の読解処理には画面サイズだけではなく 携帯電話の操作性が関わっている可能性が考えら れる. 携帯電話とパソコンでは正確さと読みやすさに 差が見られなかったのは,携帯電話の質の向上に 因るところが大きいと考えられる.あるいは,本 研究の被験者である大学生や大学院生は,パソコ ンよりも携帯電話の方が使い慣れており,結果的 に携帯電話での文章理解とパソコンでの文章理解 が同程度だったということも考えられる. いずれにしても,実験 2 の結果からは,総じて 携帯電話とパソコンでは文章の理解度と読みやす さには違いはなく,パソコンよりも携帯電話の方 が読みにくいという一般的な印象は必ずしも正し 20 くないと結論づけてよいであろう. 15 点 10 数 8.9 9.8 8.9 4. 総合的考察 本研究の目的は,携帯電話とパソコンというデ 5 バイスの違いが,文章理解の正確さにどのような 0 統制 パソコン 携帯 図 5 文章呈示別平均理解度 影響を与えるのかを検討することであった. 2 つの実験の結果,基本的には,携帯電話でも パソコンでも,文章は正確に理解することができ 今後は,文章読解とともに,文章入力の作業に るということが明らかになった.本研究のまとめ ついて詳細に検討することも必要であろう.例え として,今後の展望を述べる. ば,携帯電話とパソコンの画面サイズの違いが文 まず,実験 1 を佐々木・石川(2006)と比較する 章入力や文章作成の入力時間,さらには誤入力数 と,理解の程度を測る指標が異なっており,その に与える影響を検討することは,携帯電話をより 違いが結果の差異につながったと考えられる.す 使いやすくするために,いわば認知科学的視点か なわち,佐々木・石川(2006)では携帯電話でのメ らの改良につなげることが出来ると考えられる. ールとパソコンでのメールの「印象」や「感性」 を評価させており,文章理解の正確さの程度は検 参考文献 討されていない.それに対し,本研究では,文章 でのメールよりも携帯電話でのメールの方が読み [1] Haas, C., & Hayes, J.R., (1986) “What Did I Just Say? Reading Ploblems in Writing with the Machine”, Researvh in Teaching of English, Vol 20, No 1, pp. 22-35. [2] 後藤靖宏 (2005) “PC 画面と紙面の違いが文 やすいという主観的評価がなされている一方で, 章校正の正確さに与える影響”. 日本心理学 理解テストを使い,文章理解度を数値化する形に なっていた.このように,先行研究ではパソコン 本研究では文章理解の正確さという客観的評価を 検討していた.このことから,まず主観的評価と 学会第 22 回総会論文集, p.84. [3] 清原一暁・中山実・木村博茂・清水英夫・清 水康敬 (2003)., “文章の表示メディアと表示 客観的評価の整合性を適切に評価することが必要 形式が文章理解に与える影響”, 日本教育工 であると考えられる. 学会論文誌, Vol 27, No. 2, pp. 117-126. また,実験 2 において実験 1 と異なる結果が得 [4] 佐々木真理・石川久美子 (2006) “パソコンメ られたことは,携帯電話の文章理解には,携帯電 ールと携帯メールで作成されたレポートの文 話そのものに対する操作が関わっている可能性を 示している.今後は携帯電話のキー操作など,他 の操作性に着目して文章理解の正確さと理解時間 章 の 比 較 ”, 京 都 教 育 大 学 紀 要 , 109, pp. 99-110. [5] 邑本俊亮 (1998) “文章理解についての認知心 を測定することによって,携帯電話での文章理解 理学的研究―記憶と要約に関する実験と理解 過程のモデル化―”, 東京: 風間書房. の正確さと読みやすさにどのような操作が影響し [6] 株式会社ネプロジャパン (2004) “モバイルレ ているのかを検討することが必要であろう. ポート 「モバイルレポート issue16: 携帯電話の液晶 issue16: 携 帯 電 話 の 液 晶 画 面 ”, Available: 画面」(株式会社ネプロジャパン,2004)によれば, http://www.nepro.co.jp/mr/contents/2004/16/2004 「あなたの液晶画面の大きさは満足している?」 _16.pdf. という設問には全体の約 50%が「丁度よい」と回 答し,「液晶画面に不便を感じることは何です か?」という設問については,10 代~20 代の約 95%が「字が小さくて見づらい」とは感じていな かった[6].現在の携帯電話と 10 年前の携帯電話 を比較すると,おおよそ,縦横が約 10mm ずつも 大きくなっている.こうした質の向上が,携帯電 話とパソコンの文章理解に差が見られなかった理 由となったと同時に,携帯電話でもパソコンと同 様の文章伝達が可能であることを強く示している と言えよう.