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調査研究報告書Ⅲ グループワークによる協働コミュニケーション能力

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調査研究報告書Ⅲ グループワークによる協働コミュニケーション能力
文部科学省
2010 年 度「 社 会 教 育 に よ る 地 域 の 教 育 力 強 化 プ ロ ジ ェ ク ト 」に お け る 実 証 的 共 同 研 究
調査研究報告書Ⅲ
グループワークによる協働コミュニケーション能力
育成プログラムの開発・実施と評価に関する調査研究
2011 年 3 月
特定非営利活動法人ピアサポートネットしぶや
調査研究委員会
研究委託
青山学院ヒューマン・イノベーション・コンサルティング株式会社
研究協力
青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センター
目 次
序論
協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 塾 の 開 講 趣 旨 ……………………………………………1
第 1 章 子 ど も を 取 巻 く 学 習 環 境 …………………………………………………………4
1.1 子 ど も の 家 庭 学 習 環 境 変
1.2 子 ど も を と り ま く 社 会 環 境 の 変 化
1.3 子 ど も 達 の 社 会 性 を 育 む 協 働 的 な 学 び
第 2 章 協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 育 成 プ ロ グ ラ ム の 開 発 ………………………12
2.1
協働コミュニケーション能力育成プログラムの
「ロボティックス・ベーシック」コースのカリキュラム構成
2.2 協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 と コ ン ピ テ ン シ ー ・ ポ ー ト フ ォ リ オ の 策 定
2.3 レ ポ ー ト ラ イ テ ィ ン グ 能 力 育 成
第 3 章 第 1 回 研 修 で の 教 育 の 実 践 と 評 価 ……………………………………………37
3.1 第 1 回 研 修 実 施 要 項
3.2 ア ン ケ ー ト 結 果 の 分 析 ・ 評 価
3.3 第 1 回 研 修 総 括
第 4 章 第 2 回 研 修 で の 教 育 の 実 践 と 評 価 ……………………………………………49
4.1 第 2 回 研 修 実 施 要 項
4.2 ア ン ケ ー ト 結 果 の 分 析 ・ 評 価
4.3 第 2 回 研 修 総 括
第 5 章 2 回 の 実 践 研 修 を 受 け て の 総 括 的 評 価 ………………………………………58
5.1 2 回 の 研 修 か ら み た 総 括 的 評 価
5.2 今 後 へ の 課 題
資
料 ………………………………………………………………………………………Ⅰ
序論 協働コミュニケーション塾の開講趣旨
玉木欽也
かつての日本では、子ども達だけで遊ぶことも多く、遊びの中からチームワー
クの大切さを学び、コミュニケーション能力を養うことができた。しかし、学習
塾への通学や習いごとなどで子どもの生活に余裕がなくなり、子ども同士で自由
闊 達 に 遊 ぶ 機 会 が 激 減 し て き た 。 さ ら に TV ゲ ー ム や イ ン タ ー ネ ッ ト が 普 及 し た
現 代 で は 、友 達 と う ま く 会 話 が で き な い 、他 人 の 意 見 を 聞 く こ と が で き な い な ど 、
コミュニケーションを苦手としている子どもたちが増えているといわれ、以下の
ような社会問題にもなりつつある。
・ネット・コミュニケーションはできるが、対人では他人とうまくコミュニケー
ションを取ることができない子ども達、
・自分の意見が通らないとすぐに切れる子ども達、
・笑うことや感情表現が苦手な子ども達、
・相手の立場や気持ちが理解できず友達づくりが苦手な子ども達、
・自分一人のペースでは集中して努力することができるが集団行動で協働するこ
とが苦手な子ども達、
など、対人関係で問題を抱えた子ども達が多く生まれている。
こ の よ う な 問 題 を 抱 え る 現 代 社 会 の 中 で 、他 人 の 考 え 方 や 感 情 を 理 解 し な が ら 、
グループの中で相互にコミュニケーションを取り合い、問題解決することができ
る人材を育成するための教育は急務であり、特に幼少期の遊びの中から(本プロ
グ ラ ム で は グ ル ー プ ワ ー ク )、対 人 お よ び 集 団 に お け る 協 働 コ ミ ュ ン ケ ー シ ョ ン 能
力の養成が不可欠といえる。
そ こ で 2010 年 6 月 30 日 よ り 、青 山 学 院 大 学 e ラ ー ニ ン グ 人 材 育 成 研 究 セ ン タ
ー (以 下 、 eLPCO)お よ び 青 山 学 院 ヒ ュ ー マ ン ・ イ ノ ベ ー シ ョ ン ・ コ ン サ ル テ ィ ン
グ 株 式 会 社 (以 下 、Aogaku Hicon)に よ る 共 同 研 究 の 成 果 と し て 、小 学 生 に 向 け た
『グループワークで育むコミュニケーション塾』を開始した。
1
この『グループワークで育むコミュニケーション塾』のロボティックス・プロ
グラムの特色は、大学教育にも利用されているレゴ・ロボットづくりとその制御
プログラミングの専門的で複雑な作業を、小学生向けにアレンジした協働的なプ
ロジェクト活動と見たてて、グループワークによる集合研修と、生徒個人のレポ
ートライティングに対する学習指導をするものである。
学習活動を通じて、チームワーク/創造性/探究心/論理的思考/問題解決な
どの総合能力と、その基盤となるコミュニケ―ション能力を楽しみながら養成す
るのが特色といえる。具体的には次の 3 つを学習内容としている。
1.グループワークによる集合研修:教育用ロボットである
LEGOMINDSTORMS」 の 組 立 て と プ ロ グ ラ ミ ン グ と い う グ ル ー プ ワ ー ク を 通
して、仲間の相互理解をしたコミュニケーションの大切さや、チームで成果を
出す大切さ
2.パソコンゲーム、インターネットを使ったコミュニケーショントレーニング
と集団意思決定
3.レポートライティングとマイドマップ描写による学習活動の振り返り
前 述 し た eLPCO お よ び Aogaku Hicon と の 産 学 連 携 と 、1998 年 よ り 渋 谷 区 を
拠点として不登校・ひきこもりの児童・生徒の支援活動を行なってきた「特定非
営利活動法人ピアサポートネットしぶや」と提携し組織的な展開を実施すること
が可能になった。
そのような産学および地域連携の体制が整備されたことにより、この度、文部
科学省「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」の一環として、渋谷区
の公立小学校において受講者を募り、
『 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 塾 』の な か で「 ベ ー シ
ッ ク・ロ ボ テ ィ ッ ク ス 」コ ー ス の 育 成 プ ロ グ ラ ム を 開 発・実 施 す る こ と が で き た 。
本報告書では、子どもたちを取り巻く学習環境、育成プログラムにおける対面
研修(グループワーク)の教育内容、学習目標としたコミュニケーション能力を
規定するコンピテンシー・ポートフォリオの策定、その対面研修の振り返りを誘
発するレポートライティングについて、実践的なフィールドスタイルをふまえた
調査研究の成果をまとめた。
2
3
第 1 章 子どもを取巻く学習環境
齋藤長行
1.1 子どもの家庭学習環境の変化
現代の家庭環境は、核家族化が進展し、子どもたちが、父母以外の大人に接す
る機会が減少している。そのことは、特に子どもの教育に対する母親の負担が増
え て い る こ と を 意 味 し て い る 。図 1 の グ ラ フ は 、家 庭 に お い て 子 ど も の 勉 強 を 教
え る 家 族 に つ い て の 質 問 で あ る 。2010 年 に 東 京 渋 谷 区 立 の 小 学 校 に 通 学 す る 小 学
生 23 人 に 対 し 行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 で は 、 勉 強 を 教 え て く れ る 家 族 と し て 「 お
母 さ ん 」 と 答 え た 児 童 は 52%で あ り 、「 両 親 」 の 22%を 大 き く 上 回 っ て い る 。 こ
の結果から、母親が子どもの教育の任務を大きく背負っているとがわかる。子ど
もの発達を考えるのであれば、より多くの大人にふれあい、学ぶことが大切であ
るが、核家族化が進む現代社会はそれを困難にしている。
図 1: 家 族 の 人 で 勉 強 を 教 え て く れ る 人 は 誰 で す か ?
( 調 査 対 象 : 渋 谷 区 立 B 小 学 校 1 年 生 ~6 年 生 の 児 童 23 人 )
お母 さん
両親
12
家族全員
5
その他
1
5
かぞくの人で勉強を教えてくれる人は誰ですか?
その他
22%
お母さん
家族全員
4%
お母さん
52%
両親
家族全員
その他
両親
22%
4
核家族型の社会構造に対応すべく、自治体では学童保育サービスの充実化を図
っており、学童保育の充実により家庭の学習・養育負担を軽減することができる
ようになってきている。しかし、保護者の要望から、学童保育時間の延長や休日
の保育の実施などが行われ始めており、そのことは逆に保護者と子どもが家庭で
接する時間が減少していることを意味している。
ま た 、兄 弟 の 数 も 減 少 し て お り 、い わ ゆ る「 一 人 っ 子 」の 家 庭 も 増 加 し て い る 。
このことは、子どもが家庭の中で、自分と同じ子どもにふれあい、遊びや学びを
とおして、発達を遂げると言う機会が減少していることを意味している。そのよ
うな家族とのふれあいの減少は、子どもが他者と関わる過程において「他者を思
いやる気持ち」を育てるという環境の弱体化につながっていると言える。
1.2 子どもをとりまく社会環境の変化
子どもの家の周辺は、家から一歩踏み出した、身近な社会環境と言える。しか
し、現代社会においては、近所との関係が希薄化しており、子どもが近所の環境
から学ぶ機会が減少している。さらに、防犯の観点から、見知らぬ人と会話しな
いように教育している家庭が増え、そのことから家族以外の人との交流も減少し
ていると言える。
図 2 の グ ラ フ を 見 る と 、近 所 の 人 に 対 し い つ も 挨 拶 す る 子 ど も は 56% で あ る も
の の 、 一 方 で 「 挨 拶 し な い 」 と 答 え た 子 ど も が 35% と な っ て い る 。
5
図 2: 近 所 の 人 と 会 っ た と き に あ な た は 挨 拶 し て い ま す か ?
いつもあいさつ
ときどきあいさつする
めったにあいさつしない
あいさつしない
する
13
8
0
2
きんじょの人と会ったときにあなたは挨拶していますか?
あいさつしない
9%
めったにあいさつし
ない
0%
いつもあいさつ
する
ときどきあいさ
つする
ときどきあいさつする
35%
いつもあいさつする
56%
めったにあいさ
つしない
あいさつしない
図 3 のグラフでは、子どもの近所の人たちとの交流についての質問であるが、
「 近 所 の 人 は あ な た に 色 々 な こ と を 教 え て く れ ま す か 」と い う 質 問 に 対 し 、
「めっ
た に 教 え て く れ な い (13%)」、
「 教 え て く れ な い (48%)」と 、否 定 的 な 回 答 が 高 い 数
値を示しており、このことは現代社会において子どもが近隣の人とふれあい学ぶ
機会が非常に少ないことを表している。
6
図 3: 近 所 の 人 は あ な た に 色 々 な こ と を 教 え て く れ ま す か ?
いつも教 えてく
時 々教 えてくれる
めったに教 えてくれない
教 えてくれない
れる
5
4
3
11
きんじょの人はあなたに色々なことを教えてくれますか?
いつも教えてくれる
22%
いつも教
えてくれる
時々教え
てくれる
教えてくれない
48%
時々教えてくれる
17%
めったに
教えてく
れない
教えてく
れない
めったに教えてくれ
ない
13%
また、子どもだけで集まって遊ぶ機会や場所もなくなっており、以前は子ども
たちだけで、即席チームを組織し、野球やサッカーをしていたのだが、現在はク
ラ ブ チ ー ム に 所 属 し て コ ー チ の 指 導 の も と で 行 う よ う に な っ て い る 。そ の こ と は 、
子どもたち同士で伝承していく遊びが消えて行くことを意味し、子どもたち同士
で遊びを創ることによる、協力や規範づくりが、大人から与えられるものとなっ
てしまっている。
図 4~ 図 7 は 子 ど も の 普 段 の 遊 び 相 手 お よ び 勉 強 相 手 に つ い て の 質 問 で あ る が 、
これらのグラフから分ることは、子ども達は近隣の子どもたちと遊ぶよりも、学
校の友達と遊んでいる傾向にあり、子ども達の普段の遊びが、近隣で構成されて
いるのではなく、学校を中心に構成されていることを意味している。言い換える
ならば、近所に住んでいて、違う学校に通学している子ども同士での遊びが少な
いということが言える。このことは、昭和の時代にあった「近所の友達と空き地
で遊ぶ」という、子ども同士のコミュニケーションが、学校単位に集約されてし
まっていることを意味している。
7
図 4: 近 所 の お 友 達 と 一 緒 に 遊 ん で い ま す か ?
遊 んでいる
たまに遊 んでいる
11
めったに遊 ばない
遊 ばない
5
3
4
きんじょのおともだちといっしょに遊んでいますか?
遊ばない
17%
遊んでいる 遊んでいる
48%
たまに遊んでいる
めったに遊ばない
めったに遊ばない
13%
遊ばない
たまに遊んでいる
22%
図 5: 近 所 の お 友 達 と 一 緒 に 勉 強 し て い ま す か ?
いつも勉 強 して
たまに勉 強 している
めったに勉 強 しない
勉 強 しない
い
4
2
4
きんじょのおともだちといっしょに勉強していますか?
いつも勉強してい
17%
たまに勉強している
9%
いつも勉強し
てい
たまに勉強し
ている
めったに勉
強しない
勉強しない
57%
めったに勉強しない
17%
8
勉強しない
13
図 6: 学 校 の お 友 達 と 一 緒 に 遊 ん で い ま す か ?
いつも遊 んでい
たまに遊 んでいる
めったに遊 ばない
遊 ばない
る
18
3
1
1
学校のおともだちといっしょに遊んでいますか?
めったに遊ばない
4%
遊ばない
4%
いつも遊んでいる たまに遊んでいる
13%
たまに遊んでいる
めったに遊ばない
遊ばない
いつも遊んでいる
79%
図 7: 学 校 の お 友 達 と 一 緒 に 勉 強 し て い ま す か ?
いつもいっしょ
たまにいっしょに勉 強 してい
めったにいっしょに勉 強 しな
いっしょに勉 強 しな
る
い
い
に勉 強 している
7
7
3
学校のおともだちといっしょに勉強していますか?
いっしょに勉強しな
い
26%
いつもいっしょに勉
強している
31%
いつもいっしょに
勉強している
たまにいっしょに
勉強している
めったにいっしょ
に勉強しない
めったにいっしょに
勉強しない
13%
いっしょに勉強し
ない
たまにいっしょに勉
強している
30%
9
6
さ ら に 、学 び 合 い に つ い て 見 て み て も 、
「近所の友達と一緒に勉強していますか」
の 質 問 に 対 し「 め っ た に 一 緒 に 勉 強 し な い (17%)」、
「 勉 強 し な い (57%)」と い う 結
果となっており、
「 学 校 の 友 達 と 一 緒 に 勉 強 し て い ま す か 」の 質 問 に 対 し て も「 め
っ た に 一 緒 に 勉 強 し な い (13%)」、
「 勉 強 し な い (26%)」と 、否 定 的 な 回 答 が 非 常 に
高い数値を示しており、学び合うことの楽しさや、学びをとおした助け合いが、
あまり行われていないことが、このデータからうかがい知ることができる。この
調査結果を受けて、学び合いの楽しさや、学び合うことで身に着く互恵的意識お
よび、学び合うことで身に着く社会性について体感できる環境を子ども達に提供
することの意義は高いと言える。
1.3
子ども達の社会性を育む協働的な学び
現代社会は「地域の教育力が低下している」という議論や、ご近所同士が疎遠
になり「社会関係資本が低下している」という問題が議論されている。一見関係
のなさそうな二つの議論であるが、先行研究を紐解くことでその関連性が明らか
に な っ て く る 。 新 井 (2002)は 、 教 育 が ど の よ う に 社 会 関 係 資 本 を 形 成 し て い く か
という研究を行っており、大規模アンケート調査の分析から、学生時代に「互い
に 勉 強 を 教 え 合 う 協 力 的 環 境 で あ っ た 」、「 デ ィ ス カ ッ シ ョ ン ・ 実 験 ・ 体 験 学 習 が
好きだった」という被験者は社会に対する互恵意識が強いという傾向にあること
を 主 張 し て い る 。ま た 、Langbein & Bess(2002)は 、課 外 活 動 が 協 力 心 を 育 成 し 、
学校における社会関係資本を形成することに寄与していることを指摘している。
これらの主張を踏まえると、学びをとおした協働的作業が、子ども達の社会性
を築きあげることと、身に付けた社会性が子ども達の将来に役立つこと、さらに
は社会に対する互恵的な意識を育むことに正の影響があると言える。これらのこ
とからも、子どもたちに協働的な学びの場を提供することの社会的意義はあると
言える。
10
参考文献
1) 新 井 一 博 ,松 塚 ゆ か り ,山 本 宏 樹 (2010)「 教 育 の 社 会 資 本 形 成 機 能:理 論 と 実
証」一橋社会科学 2
2) Collins, A., Brown, J.S. & Newman, S.E. (1989). Cognitive Apprenticeship:
Teaching the Craft of Reading, Writing and Matematics. In L.B. Resnick
(Ed.), Knowing, Learning and Instruction: Essays in Honor of Robert Glaser
(pp. 453-494). Hillsdale, N.J : Lawrence Erlbaum Associates,Puplishers.
3)Engestrom,Y.山 住 勝 弘 , 松 下 佳 代 , 百 合 草 禎 二 , 保 坂 裕 子 , 庄 井 良 信 , 手 取 義
宏 : 訳 (1999)『 拡 張 に よ る 学 習 』 新 曜 社
4)Langbein,L.&Bess,R.(2002)“ Sports in School: Source of Amity or
Antipathy?” Social Science Quarterly ,vol.83,issue 2,2002.
5)Lave,J.&Wenger,E.(1991) Situated learning:
legitimate peripheral
participation. Cambridge University Press.
6)Putnam,R.D,Leonardi,R.&Nanetti,R.(1992) Making Democracy Work: Civic
Traditions in Modern Italy. Princeton University Press.
11
第 2 章 協働コミュニケーション能力育成プログラムの
開発
玉木欽也
2.1 協働コミュニケーション能力育成プログラムの「ロボティ
ックス・ベーシック」コースのカリキュラム構成
1 .「 ベ ー シ ッ ク コ ー ス の 」 カ リ キ ュ ラ ム 概 要
青 山 学 院 ヒ ュ ー マ ン ・ イ ノ ベ ー シ ョ ン ・ コ ン サ ル テ ィ ン グ ㈱ ( Aogaku Hicon)
お よ び eLPCO に よ る 共 同 研 究 に 基 づ き 、
『 育 む コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 塾 』に お け る
小学生に向けたグループワークで育む「ロボティックス・プログラム」以下の 2
つのコース、すなわち、ベーシックコースおよびアドバンスコースを研究開発し
た 。 こ の う ち 「 ベ ー シ ク コ ー ス 」 を 本 事 業 に お い て 展 開 し た ( 図 2.1)。
図 2.1 「 ロ ボ テ ィ ッ ク ス ・ プ ロ グ ラ ム 」 に お け る 「 ベ ー シ ク コ ー ス 」 の 概 要 ①
ベーシックコース プログラム概要①
フェーズ
テーマ
講義の内容
Phase1
チームをつくる
・アイス・ブレイクゲーム
・マインドマップで自己紹介をする
・チームをつくる/ディスカッションと学びの振り返り
Phase2
相手にうまく伝える①
・コミュニケーション能力開発(数当てゲーム)
・相手に伝える/ルールをつくる/友達と協力する
・ディスカッションと学びの振り返り
Phase3
相手にうまく伝える②
・コミュニケーション能力開発(宝探しゲーム)
・状況認知/問題解決/チームで成果をだす
・ディスカッションと学びの振り返り
Phase4
リーダーシップの基本
・ロボット組立て
・リーダーとフォロアー/リーダーシップ/計画を立てる
・ディスカッションと学びの振り返り
Phase5
チームワークで成果を
出す
・ロボット組立てタイムトライアル
・役割分担と仕事の調整/早く正確に組み立てる
・ディスカッションと学びの振り返り
Phase6
チーム発表と相互評価
・成果発表/チームの特徴について話し合う
・新しいものの見方・考え方・感じたことを話し合う
・マインドマップで自己評価をする
3
Copyright 2009 Aoyama Gakuin Human‐Innovation Consulting Inc. All rights reserved.
12
図 2.2 「 ロ ボ テ ィ ッ ク ス ・ プ ロ グ ラ ム 」 に お け る 「 ベ ー シ ク コ ー ス 」 の 概 要 ②
ベーシックコース プログラム概要②
ロボットを組み立てるというグループワークを通してコミュニケーションの大切さ、友達と協力すること(協働)
の大切さを学ぶ:自己分析、相互理解の養成と、他者評価やチームワークの大切さへの気づき
ディスカションと相互評価
コミュニケーショントレーニング
チームで
成果を出す
メンバー1 メンバー2 メンバー3
マインドマップで自己紹介
ロボット組立て
✔役割分担をする
✔仕事の調整をする
✔ロボットを組み立てる
✔どうやったら早くできるかな?
相手にうまく伝える
チームを作る
✔相手はどんな情報が欲しいかな?
✔友達が困っていたらどうする?
✔リーダーは何をすればよいかな?
✔メンバーは何をすればよいかな?
✔チームで成果を出すにはどうすればよいかな?
✔メンバーを選ぶ
✔リーダーを決める
✔リーダーの仕事はなに?
✔役割分担し、調整する
4
Copyright 2009 Aoyama Gakuin Human‐Innovation Consulting Inc. All rights reserved.
2.ベーシクコースのカリキュラム体系の特色
後 述 す る よ う に 「 LEGO 社
教育用ロボット」を活用した「ロボティックス・
プログラム」は、社会人向けの研修や、大学生・大学院生向けのプロプログラミ
ングおよび制御系の授業や、中高生向けの体験的理科教育などで、数多くの実績
をあげている。
今回の「ロボティックス・プログラム」は、弊社の取締役であり名古屋工業大
学の教授でもあるプロジェクトマネジメント研究の越島教授が、そのプログラム
を 小 学 生 向 け に ア レ ン ジ し て 実 施 し て い た も の に 、Aogaku Hicon お よ び eLPCO
による共同研究に基づき、さらにグループワーク・コミュニケーションの新たな
観点を加えたことに特長がある。
「ベーシクコース」の研修内容の特色は、以下のようである。
① 大 き く 2 つ の グ ル ー プ ワ ー ク の 集 合 研 修 、 す な わ ち PC を 活 用 し た 「 ゲ ー ミ ン
13
グ・シミュレーション」と、後半の「レゴ・ロボット組立て」プロジェクトで
ある。
② 集 合 研 修 時 に は 、講 師 の 他 に 、4~ 5 名 で グ ル ー プ ワ ー ク を す る 際 に 、そ れ ぞ れ
のグループに、プロジェクトマネジメントのトレーニングを受けたティーチン
グ ア シ ス タ ン ト( 以 下 TA)を 配 置 し た 。こ の TA の 役 割 は 、グ ル ー プ ワ ー ク の
準備・運営、ファシリテート、さらに下記の④に示した個々の児童に対する学
習行動の観察である。
③ さ ら に 、各 回 の 集 合 研 修 の 終 了 時 に 、
「 振 り 返 り 学 習 」と し て 、学 ん だ こ と や 印
象に残ったことをマインドマップへの描写や、レポートライティングへとまと
めた。
④毎回の集合研修の受講児童に対する学習行動の観察、ならびに振り返り学習に
対して、それぞれコンピテンシー・ポートフォリオを策定し、それぞれの児童
に対して、習得したコンピテンシーを記録したことである。
前 記 ① の「 LEGO 社
教 育 用 ロ ボ ッ ト 」に つ い て 説 明 す る 。利 用 す る ロ ボ ッ ト
LEGO Mindstomrs は 、米 国 マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 工 科 大 学( MIT)が コ ン ピ ュ ー タ ・
サ イ エ ン ス 、 ソ フ ト ウ ェ ア 学 習 教 育 用 と し て 1960 年 代 初 め よ り 研 究 を 重 ね て 開
発 さ れ 、 1998 年 学 習 教 材 と し て 市 販 さ れ た 。 RCX 用 の プ ロ グ ラ ミ ン グ ・ ソ フ ト
ウ ェ ア ROBOLAB と 、NXT 用 の 教 育 用 NXT ソ フ ト ウ ェ ア は 、米 国 ナ シ ョ ナ ル ・
イ ン ス ツ ル メ ン ツ 社 の 計 測 制 御 ソ フ ト ウ ェ ア LabView を ベ ー ス と し て 、タ フ ス 大
学( 米 国 )、カ ー ネ ギ ー メ ロ ン 大 学( 米 国 )の 知 見 と 研 究 に よ り 教 育 用 と し て 市 販
化された。
ま た 、 教 育 用 LEGO Mindstomrs の 仕 様 は LEGO 社 に よ っ て 公 開 さ れ 、 フ ァ
ームウェア等がオープンソース化された。そのため、学習者のレベルに応じて選
択利用が可能であり、継続的、体系的な教育の実現が可能となる。この教育用ロ
ボットの特徴には以下のものがあげられる。
・ 成 型 さ れ た 安 全 性 の 高 い プ ラ ス チ ッ ク 部 品 で 、 繰 り 返 し 制 作 ・分 解 可 能
・工具不要で安全・安心
・ブロック、ギア等、豊富な部品で多様なロボットを制作が可能で課題作成に柔
軟対応可能
14
・部品の品質が高く、ロボットの性能面が均一
・世界中で数多くの実績
前 記 ④ の コ ン ピ テ ン シ ー・ポ ー ト フ ォ リ オ を 策 定 す る 際 に 、
「 ゲ ー ミ ン グ・シ ミ
ュ レ ー シ ョ ン 」と 、
「 レ ゴ・ロ ボ ッ ト の 組 立 て 」に 対 し て 、学 習 目 標 と し て 養 成 を
目指した能力を示す。
( 1 )「 ゲ ー ミ ン グ ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 」 に 関 す る 目 標 能 力
「 ゲ ー ミ ン グ ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 」 を 4~ 5 名 の グ ル ー プ ワ ー ク に よ る 集 合
研修で行うことにより、次にあげる目標能力の養成を目指す。
・状況認知能力
・論理的思考能力
・問題解決能力
・コミュニケーション能力
( 2 )「 レ ゴ ・ ロ ボ ッ ト 組 立 て 」 に 関 す る 目 標 能 力
LEGO 社 製 教 育 用 ロ ボ ッ ト を 使 用 し た「 ロ ボ ッ ト 組 立 て 」と い う グ ル ー プ ワ ー
クにより、次にあげる目標能力の養成を目指す。
・リーダーシップ能力
・協働力
・コミュニケーション能力
3.「ベーシックコース」の 6 単元の学習内容
1)第 1 回単元
集合研修「立体ブロック組立」
(1)学習目標:集団合意形成
(2)講義およびグループワーク
・開講にあたって
・教材の確認、スタッフ紹介
○自己紹介:各自の自己紹介を『マインドマップ』を用いて表現、相互紹介
○ ア イ ス ブ レ イ ク:
『 立 体 ブ ロ ッ ク 組 立( JOYPOD 考 案 )』
15
グループワークでの
協働的コミュニケーション、友だち同士で相互の情報交換のルールをつくる。
(3)振り返り学習
・レポートライティング:ワークシート用いて、グループワークの内容を振り
返る、学んだことの整理、感想、相互評価および自己評価(第 3 章で詳述)
2)第 2 回
集合研修
「数当てゲーム」
(1)学習目標:集団的意思決定とメンタルモデル
「 数 当 ゲ ー ム( 日 本 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 学 会 開 発 )」は 、原 子 力 発 電 所 中 央 制 御 室
の運転クルー向けの訓練用として、開発され電力会社などで用いられている。
ま た 、 (財 )千 葉 県 産 業 振 興 セ ン タ ー が 経 済 産 業 省 の 委 託 を 受 け て 行 う 「 京 葉 臨
海コンビナートの安全管理の確立とオペレーターの早期育成を図る中核人材育
成 事 業 」で も 実 施 さ れ て い る 。
高いプレッシャーのもとにおける集団的意思決定、特にリーダーに必要な能
力である状況認識とコミュニケーションを中心にテクニックを教えるのではな
く、新しい見方、考え方(メンタル・モデル)について考え、そして学習する
きっかけを与えることを目的としている。
図 2.3
「 数 当 て ゲ ー ム ( 日 本 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 学 会 開 発 )」 の 概 要
コミュニケーショントレーニング①
ゲーム理論に基づいた集団的意思決定、状況認知能力、チームワークの大切さを学習するきっかけを与え、
コミュニケーション能力を強化するためエクササイズです
ポリシーエクササイズ
(数当てゲーム)
「数式あて」は、原子力発電所中央制御室の運転クルー
向けに開発され電力会社などで用いられています。
また、(財)千葉県産業振興センターが経済産業省の委
託を受けて行う「京葉臨海コンビナートの安全管理の確
立とオペレーターの早期育成を図る中核人材育成事業」
でも実施されています。
高いプレッシャーのもとにおける集団的意思決定、特に
リーダーに必要な能力である状況認識とコミュニケー
ションを中心にテクニックを教えるのではなく、新しい見
方、考え方(メンタル・モデル)について考え、そして学習
するきっかけを与えることを目的としています。
この新しいメンタル・モデルを日常生活の中で生かし、集
団的意思決定について学習を深めます。
メンバー1
メンバー2
248?
ことばで伝える
(報告と指示)
メンバー3
リーダー、サブリーダー
243?
579?
ことばを記録する
数字を予測し、意思決定をする
Copyright 2009 Aoyama Gakuin Human‐Innovation Consulting Inc. All rights reserved.
16
(2)講義およびグループワーク
○ 「 数 当 て ゲ ー ム 」:
集団的意思決定およびメンタルモデル(新しい見方、考え方)に基づいたコ
ミュニケーション:ゲーム理論に基づいた集団的意思決定、状況認知能力、チ
ームワークの大切さ
(3)レポートライティング(第 3 章で詳述)
・「 数 当 て ゲ ー ム 」: 失 敗 し た 理 由 の 話 し 合 い 、 成 功 し た 理 由 の 話 し 合 い ( ワ ー
クシートへの記入)
○保護者へのお願い事項:一部のワークシートの記入を「家庭学習」とし、保
護者に前回のグループワークで学んだ内容をこのワークシートをもとに話し
合ってもらった。そして保護者からの意見や感想を、家庭も、ワークシート
の最後に記述してもらった。
3)第 3 単元
集合研修
「宝探しゲーム」
(1)学習目標:状況認知、相互理解、チームワーク(協働的リーダーシップ)
チームワークや協調性の大切さについてよく言われるが、厳しい状況に追い込
まれた時には、実際には個人の業績を上げることが第一という行動をとりがちに
なることがある。
宝 探 し ゲ ー ム [ト レ ジ ャ ー ハ ン テ ィ ン グ ] ( 日 本 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 学 会 開 発 )で
は、動的に変化する状況の中で宝探しを通じて、チーム全体で成果をあげるため
にはどのように行動したらよいかを考えさせる。
そのために情報格差がある状況では、リーダーはメンバーから情報を集め、的
確な指示を出す必要があり、また、メンバーは、情報格差を軽減するための双方
向コミュニケーションに協力しリーダーの指示を正しく解釈して行動しなければ
ならない。
特 に 、個 々 人 が 最 善 を 尽 く す と い う「 局 所 最 適 化 」の み に と ど ま ら ず 、
「チーム
全体の最適化」につなげるための「リーダーシップ」の重要性を学習することを
目標にしている。
17
図 2.4
「 宝 探 し ゲ ー ム ( 日 本 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 学 会 開 発 )」 の 概 要
コミュニケーショントレーニング②
ゲーム理論に基づいた集団的意思決定、状況認知能力、チームワークの大切さを学習するきっかけを与え、
コミュニケーション能力を強化するためエクササイズです
トレジャーハンティング
(宝探しゲーム)
チームでの成果
チーム優先とよく言われますが、実際には個人の
業績を上げることが第一という行動をとりがちです。
トレジャーハンティングでは、動的に変化する状況
の中で宝探しを通じて、チーム全体で成果をあげる
ためにはどのように行動したらよいかを考えさせま
す。
見かた・考えかた
そのために情報格差がある状況では、リーダーはメ
ンバーから情報を集め、的確な指示を出す必要が
あり、また、メンバーは、情報格差を軽減するため
の双方向コミュニケーションに協力しリーダーの指
示を正しく解釈して行動しなければなりません。
メンタルモデル
チームワーク
特に、個々人が最善を尽くすという「局所最適化」を
「チーム全体の最適化」につなげるためのリーダー
シップの重要性を学習します。
リーダシップを
とることができる
誰とでも
仲良くできる
コミュニケーション
変化や差に
適応できる
Copyright 2009 Aoyama Gakuin Human‐Innovation Consulting Inc. All rights reserved.
(2)講義およびグループワーク
・前回の復習と、本日の学習目標の確認
○宝探しゲーム:情報格差がある状況でのコミュニケーション、
・リーダーシップ:ゲームを実施するうえで、リーダーとフォロアー(メンバ
ー)それぞれの役割を協働的に果たす
・それぞれが得られる情報に違いがある環境で、相互の状況を認識しながらコ
ミュニケーションを通して協働することで、ゲーム理論に基づいた集団的意
思決定、状況認知、チームワークの能力を養成
(3)レポートライティング
・役 割 の 違 い を 認 識 し た チ ー ム ワ ー ク 成 功 の 話 し 合 い( ワ ー ク シ ー ト へ の 記 入 )
4 ) 第 4 単 元 「 ロ ボ ッ ト 組 立 ( 1 )」 リ ー ダ ー と フ ォ ロ ア ー
5 ) 第 5 単 元 「 ロ ボ ッ ト 組 立 ( 2 )」 タ イ ム ト ラ イ ア ル
18
6 ) 第 6 単 元 「 ロ ボ ッ ト 組 立 ( 3 )」 ロ ボ ッ ト ス ト ー リ
(1)学習目標とグループワーク
・役割分担と協働:レゴ・ロボット組み立ての作業を、プロジェクトマネジメ
ント視点から捉え、リーダーとフォロアーのそれぞれの役割を決定
・チームワーク:リーダーとフォロアーのそれぞれが協働して、レゴ・ロボッ
トを組立て、他チームとの組立て完了時間の競争
・創造力:ロボットがヒーローとして活躍する場面を想定した、物語をグルー
プで創作し、物語全体のそれぞれのシーンを役割分担して、イラストを模造
紙に描き、予めプログラミングされたロボットを稼働させながら、ストーリ
ーを発表
(2)レポートライティング(第 3 章で詳述)
図 2.5
第 4 単 元:LEGO Mindstomrs の ロ ボ ッ ト 組 立 て( 1 )( LEGO マ ニ ュ ア
ル)
マニュアル4ページを開けて下さい
用意する部品とその数
組立方法
組み立てる
順番
ものさし
19
図 2.6
第 5 単元:講師用教材
タイムトライアルのロボット組立て(2)
分担(ぶんたん)と調整(ちょうせい)
„
„
„
複数の人で作ったほうが、早く組み立てることができますか?
– なぜ早くなるの? なぜ遅くなるの?
分担
– 役割(やくわり)を決めて、仕事(しごと)を分担
– 例えば、
„ さがす人
„ 組み立てる人
調整
– 役割を分担した人が、仕事をしやすいように調整
– 例えば、
„ さがせない人の手伝い
„ 遅れている人の手伝い
仕事は、やり方次第で早く終わる
でも、人が必要!
„
直列
並列
直列(ちょくれつ)作業と並列(へいれつ)作業
作業1
作業2
作業3
作業2
作業5
作業4
作業6
作業1
作業3
作業4
20
作業5
作業6
図 2.7
第 6 単 元 : 講 師 用 教 材 「 ロ ボ ッ ト 組 立 ( 3 )」 ロ ボ ッ ト ス ト ー リ
ミッション:自分たちのチームのロボットが一番すぐれ
ていることをアピールせよ!
どんな動き?
なんのためのロボット?
どこがスゴイの?
ロボット:マインドストームNXT
【やり方】
紙の上でロボットを走らせ、自分のチームのロボットが
どのように優秀なのかをみんなで考えて話し合ってください。
そして、紙の上に自由に絵で表現してください。
プレゼンテーション(発表)
„
制限時間 各グループ 5分
„
自分のチームのロボットをコース上で動かし、
優秀なロボットであることをプレゼンテーション
してください。
21
図 2.8
第 6 単元:ロボットストーリの振り返りとレポートライティング
デブリーフィング(振り返り)
„
感じたことを話し合う。
„
自分のチームの特徴を話し合う。
„
お友達にしてもらって良かったことは何か?
„
お友達に協力してあげたことは何か?
22
2.2 協働コミュニケーション能力コンピテンシー・ポートフォ
リオの策定
1.コンピテンシーとコンピテンシー・ディクショナリ
(1)コンピテンシー
ス ペ ン サ ー ら ( 2001) に よ る と 、 コ ン ピ テ ン シ ー と は 、「 あ る 職 務 ま た は 状 況
に対して、基準に照らして効果的、あるいは卓越した業績を生む原因として関っ
ている個人の根源的特性」と定義される。コンピテンシーは人材に備わる「根源
的特性」であり、さまざまな状況を超えて、かなり長期間にわたり、一貫性をも
って示される行動や思考の方法である。このコンピテンシーの根源的特性には、
次の 5 つのタイプがあるとしている。
①動因:ある個人が行動を起こす際に考慮し、願望する、さまざまな要因。
②特性:身体的特徴、あるいはさまざまな状況や情報に対する一貫した反応。
③自己イメージ:個人の態度、価値観、自画像。
④知識:特定の内容領域で個人が保有する情報。
⑤スキル:身体的、心理的タスクを遂行する能力。
①の「動因」については、行動を起こそうとしたときにある目標が与えられて
い る 場 合 に 、そ の 目 標 が 個 人 の 行 動 を「 駆 り 立 て 、導 き 、実 行 を 選 択 す る か 」、逆
にその行動や目標を「回避」するように導くことである。また、目標を達成する
こ と に 強 い モ チ ベ ー シ ョ ン を 備 え て い る 人 材 は 、自 分 自 身 に 挑 戦 的 な 目 標 を 立 て 、
その達成に個人的に責任を担い、さらなる向上を求めてフィードバックを活用す
る。
②の「特性」について、例えば、戦闘機のパイロットにとって、反応時間と優
れた視力は、必要となる身体的なコンピテンシーといえる。
③の「自己イメージ」は、個人がほとんどの状況で効果的に機能できるという
信念、または自己確信は、その個人の自己イメージの一部に含まれる。例えば、
リーダーであることに価値を認める人材は、その職務は「リーダーシップ能力が
試 さ れ る 場 」な の だ と 告 げ ら れ る と 、一 生 懸 命 に リ ー ダ ー シ ッ プ を 取 ろ う と す る 。
23
(2)コンピテンシー(実践的能力)と職務遂行能力の違い
コンピテンシー(実践的能力)とよく比較されるものに「職務遂行能力」があ
る( 遠 藤
2000)。職 務 遂 行 能 力 は 、「 職 務 を 遂 行 す る た め の 能 力 」で あ り 、そ の
到 達 点 は 、「( そ の ) 仕 事 が で き る よ う に な る こ と 」 と い え る 。 一 方 、 コ ン ピ テ ン
シーは仕事ができるようなることも目的の一つといえるが次の 3 つの相違点があ
げられる。
①より高い業績を上げるためのもの
②より現実的なもので、具体的な行動・事実主体をベースとする
③職務能力が「潜在的」なものであるのに対し、コンピテンシーが行動で示され
る「顕在的」なもので、育成や教育によって養成できるものを示す
(3)コンピテンシンーの測定尺度とコンピテンシー・ディクショナリの構築
したがって、コンピテンシーを用いて後述する「コンピテンシー・ディクショ
ナリ」の測定尺度のスケールを作成する場合には、あくまで行動・事実主体の記
述を心がける必要がある。
「わかっている」
「知識がある」
「 理 解 し て い る 」と い っ
たことの判断基準はあいまいであり、これまでの職務遂行能力と同じように「潜
在 的 」な も の に 対 す る 評 価 と 近 い も の に な っ て し ま う 。つ ま り 、
「説明することが
で き る 」「 報 告 す る こ と が で き る 」「 記 述 す る こ と が で き る ( レ ポ ー ト が 書 け る )」
という具体的な行動ができることを通して、コンピテンシーの測定尺度の群(ク
ラ ス タ ー )と し て 、
「 コ ン ピ テ ン シ ー・デ ィ ク シ ョ ナ リ 」を 構 築 し て い く こ と が 必
要となる。
コ ン ピ テ ン シ ー は 、そ れ ぞ れ が 予 測 す る 職 務 上 の 業 績 に 応 じ て 、次 の 2 つ の レ
ベ ル に 分 類 さ れ る ( ス ペ ン サ ー 2001)。
①必要最低限レベルのコンピテンシー
例えば、セールス担当の必要最低限レベルのコンピテンシーとして、製品知識
や請求書の作成能力があげられる。
②卓越を峻別するコンピテンシー
例えば、組織から要求される以上の目標を立てる個人の行動に示される「達成
重視」の姿勢は、平均的なセールス担当から卓越したセールス担当を峻別するコ
24
ンピテンシーとして分類される。
効果的な業績評価、採用、選考、訓練、育成をするためには、それぞれ必要と
されるコンピテンシーごとに、必要最低レベルと卓越を峻別するコンピテンシー
を分析して、各職務の適切レベルを見出すことが大切である。高いレベルが必ず
しも、職場全体として高い業績を生むわけではないことを理解していかなければ
ならない。例えば、採用の際に、ある候補者をその職務で要求されるレベル以上
のコンピテンシー基準にもとづいて選考した場合、潜在的には十分に職務をこな
せるレベルの人材を不合格とし、その職務には明らかに能力過剰で、後に職務に
不満を感ずるような人材を選んでしまう結果を招くことがある。
2.本「ベーシックコース」に対するコンピテンシー・ディクショナリの構築
以 下 に 渋 谷 区 立 A 小 学 校 で の 集 合 学 習 の 実 践 を 経 て 、渋 谷 区 立 B 学 校 の 集 合 研
修に向けた各単元のグループワークに対応した、
「 コ ン ピ テ ン シ ー・デ ィ ク シ ョ ナ
リ」を構築したものを以下に示す。なお、各単元のコンピテンシー・ディクショ
ナリは、グループワークの実施における個々の児童に対するコンピテンシー(実
践的能力)の測定尺度として定めたものと、グループワーク修了に対して各児童
の「マインドマップの描写」および「ふりかえり作文の記述内」の成果物の出来
ばえに対する測定尺度という、2 段階によりディクショナリを構築した。
( 1 ) 第 1 回 単 元 「 立 体 ブ ロ ッ ク 組 立 ( ハ コ ノ リ ゲ ー ム )」 の コ ン ピ テ ン シ ー ・
ディクショナリ
なお、
「 具 体 的 な 行 動 」に 対 し て 個 々 の 児 童 の グ ル ー プ ワ ー ク 時 の 行 動 観 察 ま た
は 、成 果 物 の 出 来 ば え に 対 し て 、以 下 の「 評 価 レ ベ ル 」を 設 定 し た( 以 下 、同 様 )。
「 評 価 レ ベ ル:4
1
完 全 に 行 動 し た 、3
充 分 に 行 動 し た 、2
行動しなかった」
25
普通に行動した、
表 2.1
1・1
第 1 回単元のコンピテンシー・ディクショナリ
身につく能力
具体的な行動
ハコノ
1.1-1
自分の情報を理解でき、それを自らの言葉で、他者が
リゲー
コミュニケーション力
理 解 で き る よ う に 伝 え る こ と が で き た か [表 現 力 ]
ム
1.1-2
他のチームメンバーがもつ違うそれぞれの情報と、自
仲間の相互理解
分のもつ情報との違いを、共通目標に向けて相互に理
解し合うことができたか
1.1-3
協働力(チーム
ワーク力)
1・2
チームの共通目標のために、自分の役割を果たすこと
ができたか
身につく能力
具体的な行動
マイン
1.2-1
自分の特徴や性格を、うまくまとめて、マップに表現
ドマッ
自己分析力
することができたか
プ自己
1.2-2
他のチームメンバーにわかりやすく、作図したマップ
紹介
コミュニケーション力
に 基 づ い て 、 自 分 を 紹 介 で き た か [発 表 力 ]
1・3
気づき(態度変容)
具体的な行動
ふりか
1.3-1
ハコノリゲームで学んだことを振り返り、自分が感じ
えり作
コミュニケーション力
たことや、自分の考えを、文章で表現することができ
た か [作 文 力 ]
文
1.3-2
他のチームメンバーのさまざまな意見を受け止め、自
仲間の相互理解
分の意見を相手に伝え、共通目標に向けて相互に理解
し合うことの大切さに気づいた
1.3-3
協働力(チーム
ワーク力)
チームの共通目標のために、協力することの大切さに
気づいた
26
(2)第2回単元「数当てゲーム」のコンピテンシー・ディクショナリ
表 2.2
2・1
第 2 回単元のコンピテンシー・ディクショナリ
身につく能力
具体的な行動
数当て
2.1-1
ゲーム
ョン力(状況認知)
に主張内容を確認しあったか
2.1-2
どのようにすれば数当てができるのか、グループでル
コミュニケーシ
論理的な問題解
決(適切な対策検討)
相手の話す内容がはっきりと理解できない時、お互い
ールや対策を考え、自ら状況の変化に応じて対策を実
行できたか
2.1-3
協働力(役割の
明確化と協働行動)
リーダー、サブリーダー、オペレーターそれぞれの役
割を明確化し、チームの共通目標を重視するために、
自分の役割を果たす行動ができたか
2・2
気づき(態度変容)
ふりか
2.2-1
えり作
ョン力(状況認知)
コミュニケーシ
具体的な行動
数当てゲームで学んだことを振り返り、自分が感じた
ことや、自分の考えを、文章で表現することができた
か [作 文 力 ]
文
2.2-2
論理的な問題解
チームでルールや対策を考え、自ら状況の変化に応じ
決(適切な対策検討)
て対策を実行することの大切さに気づいた
2.2-3
チームの共通目標のために、それぞれの役割を明確化
協働力(役割の
明確化と協働行動)
し、グループの共通目標を重視するために、自分の役
割を果たす行動の大切さに気づいた
27
(3)第3回単元「宝探しゲーム」のコンピテンシー・ディクショナリ
表 2.3
3・1
第 3 回単元のコンピテンシー・ディクショナリ
身につく能力
具体的な行動
宝探し
3.1-1
ゲーム
ョン力(状況認知)
確認しあったか
3.1-2
どのようにすれば全員宝を見つける事が出来るのか、
コミュニケーシ
論理的な問題解
決(適切な対策検討)
相手の場所や状況が明確に理解できない時、お互いに
グループでルールや対策を考え、自ら状況の変化に応
じて対策を実行できたか
3.1-3
3・2
協働力
リーダー、メンバーそれぞれの役割を明確化し、チー
(役割の明確化と協働
ムの共通目標を重視するために、自分の役割を果たす
行動)
行動ができたか
気づき(態度変容)
ふりか
3.2-1
えり作
ョン力(状況認知)
コミュニケーシ
具体的な行動
宝探しゲームで学んだことを振り返り、自分が感じた
ことや、自分の考えを、文章で表現することができた
か [作 文 力 ]
文
3.2-2
論理的な問題解
チームでルールや対策を考え、自ら状況の変化に応じ
決(適切な対策検討)
て対策を実行することの大切さに気づいた
3.2-3
チームの共通目標のために、それぞれの役割を明確化
協働力
(役割の明確化と協働
し、グループの共通目標を重視するために、自分の役
行動)
割を果たす行動の大切さに気づいた
28
( 4 )第 4 回 単 元「 ロ ボ ッ ト 組 立 て( 1 )
(2)
( 3 )」の コ ン ピ テ ン シ ー・デ ィ ク
ショナリ
第 4 か ら 第 6 単 元 の 「 ロ ボ ッ ト 組 立 て ( 1 )( 2 )( 3 )」 に つ い て は 、 グ ル ー
プワークの実施における個々の児童に対するコンピテンシー(実践的能力)と、
グループワーク修了に対して各児童の「マインドマップの描写」および「ふりか
えり作文の記述内」の成果物の出来ばえに対して、学びの成長過程を見たかった
ために、コンピテンシー・ディクショナリを統一した。
表 2.4
第 4・ 5・ 6 回 単 元 の コ ン ピ テ ン シ ー ・ デ ィ ク シ ョ ナ リ
4-
身につく能力
具体的な行動
1
4-1.1
リーダーシップ
メンバーと信頼関係を築き、まとめる事ができる
ロ
関係
フォロワー
リ ー ダ ー を 信 頼 し 、チ ー ム で の 決 定 事 項 を 守 る 事 が で き る
ボ
構築力
シップ
ッ
ト
4-1.2
やるべき事の解決順序を決める事ができる
科学的思考力
進行具合と残り時間を考慮した上での予定を立てる事が
組
できる
立
て
やるべき事をメンバー全員で共有できる
チームで、自分に割り当てられた仕事が全うできる
4-1.3
ルールを守って行動する事ができる
協働力
互いに助け合い、協働する事ができる
個 人 目 標 の 達 成 だ け で な く 、全 体 を 視 野 に 入 れ た 活 動 が で
きる
4・2
気づき(態度変容)
具体的な行動
ふりか
4-2.1
講 師 や TA を 含 む 他 者 に 自 発 的 に 意 見 を 求 め る 事 が で
えり作
コミュニケーション力
きる
文
4-2.2
他者の感想・考えを聞き、理解・共感する事ができる
仲間の相互理解
4-2.3
今日自分が達成した事、できなかった事を説明できる
自己分析力
29
以上、単元ごとのコンピテンシー・ディクショナリを示した。特に、全段階
のグループワークの実施における個々の児童に対するコンピテンシー(実践的
能 力 ) に つ い て は 、 各 グ ル ー プ を 担 当 し て い る TA に 個 々 の 児 童 ( 1 グ ル ー プ
は 、 4~ 5 名 の 児 童 ) に 対 し て 学 習 行 動 の 観 察 を さ せ て 、「 評 価 レ ベ ル 」 の チ ェ
ッ ク を さ せ た 。小 集 団 の 児 童 の 学 習 指 導 を し な が ら 、
「 評 価 レ ベ ル 」を 測 定 す る
の は 、 か な り の TA の 養 成 を し て お か な け れ ば 、 容 易 に で き る も の で は な か っ
た。
また、それぞれのグループの学習観察のための記録として、ビデオ撮影も同
時に行った。しかし、固定位置からの撮影であったために、それぞれの児童の
学 習 行 動 や 、双 方 向 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 状 況 を 分 析 す る の は 困 難 で あ っ た 。
今後、コンピテンシー・ディクショナリの測定尺度の改良を試みるとともに、
グループワーク実施および成果物に対する「評価レベル」の測定方法に改良を加
えていく必要がある。
な お 、 B 小 学 校 か ら は 、 協 力 し て い た だ い た PTA か ら も 保 護 者 へ 、 自 由 に 授 業
参 観 し て よ い こ と を 呼 び か け て い た だ い た 。25 名 の 受 講 児 童 の う ち 、複 数 の 集 合
研 修 時 に 参 観 さ れ た 保 護 者 を 含 め て 延 べ 18 名 の 方 が 、 グ ル ー プ ワ ー ク を 行 っ て
いる子どもたちの様子を観察された。参観した保護者に対する簡易アンケートを
と っ た 結 果 、 育 成 さ れ て い る 能 力 と し て 感 じ た も の は 、「 協 働 力 」「 リ ー ダ ー シ ッ
プとフォロアーシップ」がどの単元でも高く評価されており、本コースが目標と
した「協働コミュニケーション力」をグループワークで育むという本コースの有
効性を認識していただけものと思われる。
30
2.3 レポートライティング能力育成
書くことは、論理的思考、コミュニケーション力、メディリテラシー、創造性
など、社会人にとっても、これから活躍する学生にとって必要な多様な能力が含
まれている。これほど大事なのだからきちんと教育がなされているかというと、
初 中 等 教 育 の み な ら ず 、大 学 教 育 に お い て も そ う で は な い 。一 部 の 例 外 を 除 け ば 、
一般の学生に対して文章の書き方を体系的に教えることは十分な形では行われて
いないのが現状といえる。
1.大学における「レポートライティング」教育の必要性
鈴 木( 鈴 木 2009)は 、大 学 の 正 規 の カ リ キ ュ ラ ム の の な か で 、「 レ ポ ー ト ラ イ
ティング」教育を取り上げるべき理由を 3 つの観点から指摘している。
①大学におけるライティングの重要性
②学生の書くレポートの質
③社会において必要とされる能力
①について、大学ではまとまった量の文章の執筆を求められることが多い。こ
の中には、刊行される学会論文・単行本や、卒業論文、レジュメ、実験や授業の
レポート、試験における論述など様々なものがある。近年では、大学の初年次を
対 象 に し た 基 礎 科 目 の な か の 一 つ と し て や 、3・4 年 次 に ゼ ミ ナ ー ル に 所 属 し た 際
に 、「 レ ポ ー ト 、 論 文 の 書 き 方 な ど 文 書 作 法 」 を 授 業 内 容 に 取 り 込 ま れ て い る 。
次 に ② に つ い て 、 ま ず 、 書 く こ と に と っ て 重 要 な こ と は 「 何 を ( テ ー マ 選 定 )」
書くかということ、つまり自らの「問題」を発見、設定すること、自分の取り上
げる問題自体を考え抜くことが、学習のポイントとなる。次に、自分の考えや意
見を、妥当性を検討したうえで主張することが求められる。そして、それらの考
えや意見を裏付ける根拠を、題材や資料をもとに、筋道が通ったストーリを組立
てて論理的に述べる必要がある。最後に、自分の考えや意見だけでなく、客観的
な立場から、結論を述べなければならない。
最後に③について、ライティングには、社会の中で、特に情報が氾濫する社会
に お い て 、必 要 と さ れ る 様 々 な 能 力 が 関 っ て い る 。例 え ば 、前 述 し た 論 理 的 思 考 、
31
コミュニケーション力、メディリテラシー、創造性などである。
2 .「 ベ ー シ ッ ク コ ー ス 」 で 実 施 し た レ ポ ー ト ラ イ テ ィ ン グ
中 高 生 の 立 場 を 想 定 し て 、作 文 と 小 論 文 の 違 い を 述 べ て い き た い( 第 一 学 習 社 、
2000 年 )。
「 小 論 文 」と は 、前 述 の 1 .の「 レ ポ ー ト ラ イ テ ィ ン グ 」に 記 述 し た こ
とが関連しており、あることがらについて考察し、その考えや自分の意見を、筋
道を立てて説明することが条件として求められる。客観的(=だれにでもわかり
やすい)で、論理的(=道筋が通っていること)であることが求められる。
一方、
「 作 文 」は 、そ う し た 考 察 や 筋 道 を 立 て た 説 明 が 条 件 と な ら な い 場 合 も あ
る。自分の考えや体験を思いのままに(=主観的に)述べていても、相手に伝わ
る内容であれば成り立つ文章である。
大学教育としてレポートライティングが体系的になされていないことは前述し
たが、初等教育においても「作文」の授業が充実していない実態があると思われ
る。読書感想文、運動会などの行事のあとに書く作文、その他どんな作文でも、
学校で重視されているのは、
「 本 を 読 ん で い か に 感 動 し た か 。」
「 運 動 会 で 、い か に
団 結 し 、 い か に 頑 張 っ た か 。」 と い っ た 「 内 容 」 が 重 視 さ れ て い る 。 し か し 、「 ど
の よ う に 書 く か 」 と い っ た 「 形 式 」 は ほ と ん ど 教 え ら れ て い な い ( 福 嶋 、 2009
年 )。
こ の 度 の「 ベ ー シ ッ ク コ ー ス 」で 対 象 と し た 児 童 は 1 年 生 か ら 6 年 生 と 学 年 の
幅が広く、上記のように「作文」の文章作成能力は充分養成されていないと推測
した。このコースにおけるレポートライティングでは、それぞれの単元に応じた
ワークグループの実習内容に対応させた「ワークシート」形式にして、項目ごと
に児童それぞれの学習内容の確認、感想、友だちとの協力の大切さ、協働コミュ
ニ ケ ー シ ョ ン の 工 夫 、 新 た な 気 づ き 、 自 己 評 価 、 相 互 評 価 な ど 、「 振 り 返 り 学 習 」
を 主 眼 と し て お く こ と に し た 。な お 、児 童 に は 、
「 ふ り か え り 作 文 」と し て 説 明 し
た。
この「ふりかえり作文」のワークシートへの記入は、グループワークの最中、
グループワークの単元終了時、そして家庭で宿題として持ち帰ることもあった。
特に、宿題としてワークシートを持ち帰らせた意図は、保護者との「家庭学習」
32
を 誘 導 す る こ と に あ っ た 。そ の 際 、ワ ー ク シ ー ト の 末 尾 に 、
「先週のコミュニケー
ション塾について家族とはどのようなお話しをしましたか?」などの記述欄をあ
えて設けて、家族とグループワークで学んだことを話し合い、保護者にもっと子
どもたちが協働コミュニケーションの大切さを体感していることを共感してほし
かったねらいがあった。
そして、それぞれの児童の「ふりかえり作文」の提出内容に対して、グループ
を 担 当 し た TA か ら の コ メ ン ト 欄 に 、 励 ま し の 言 葉 を 記 す こ と に し た 。
後 述 す る が 、こ の「 ふ り か え り 作 文 」を 個 々 の 児 童 に 記 述 さ せ る の に 先 立 っ て 、
マインドマップを描かせて「振り返り学習」の促進させる試みをグループワーク
中に何度か試みた。
3.マインドマップを活用した「振り返り学習」の促進
前述したように、各児童が「ふりかえり作文」を書き始める前に、グループワ
ークで学んだことについて、もう一度体系的に整理したり、新たな気づきを誘発
するために、マインドマップを活用した。
マ イ ン ド マ ッ プ と は (プ ザ ン 教 育 協 会 )、 英 国 の 教 育 者 ト ニ ー ・ プ ザ ン が 開 発 し
た「脳に自然な思考技術」といわれる。白い画用紙の中心に描いたテーマイメー
ジから、放射状にカラフルな曲線の枝を展開して、頭の中に浮かぶイメージやキ
ーワードを枝の上に置いてゆくものである。こうすることによって、イメージ・
連想・空間・リズムなど、人間の脳の機能を最大限に活用し、記憶力、想像力、
発想力、集中力、考える技術を飛躍的に高めることができる。
な お 、A 小 学 校 な ら び に B 小 学 校 に お け る「 ベ ー シ ッ ク コ ー ス 」の 第 一 単 元 で 、
「自己紹介」という学習項目に対して、このマインドマップを描く実習をした。
その後、各自のマインドマップをグループの友だちに見せながら、自己紹介を発
表すると、発表する児童の発言が誘発され、さらに聞いている児童も非常に関心
をもって耳を傾けることができた。参加した児童のマインドマップを個人情報の
関係上そのまま報告書へ掲載することはできないので、以下に別の児童が描いた
例を紹介する。
33
以下のマインドマップは、小学校 3 年生(9 歳)の男子が描いたものである。
図 2.5
自分の好きなものについてのマンドマップ
34
図 2.6
絵本「てぶくろ」の物語をマインドマップ化
各 マ イ ン ド マ ッ プ の 作 成 時 間 は 、30 分 で あ る 。子 ど も た ち は 絵 を 書 く こ と 自 体
を 楽 し ん で い た が 、そ れ だ け で な く 、自 分 の 中 で 絵 と し て 思 い 出 す こ と に よ っ て 、
なぜ好きなのか、どこが好きなのかなども一緒に考え、整理することができてい
た。
この整理によって、描いた対象への理解が深まり、再確認をすることがでたよ
うである。
35
参考文献
1 ) ラ イ ル M. ス ペ ン サ ー 、 シ グ ネ M. ス ペ ン サ ー 、 梅 津 裕 良 他 訳 『 コ ン ピ テ ン
シ ー ・ マ ネ ジ メ ン ト の 展 開 - 導 入 ・ 構 築 ・ 活 用 』 生 産 性 出 版 、 2001 年
2 ) 遠 藤 仁 『 コ ン ピ テ ン シ ー 戦 略 の 導 入 と 実 践 』 か ん き 出 版 、 2000 年
3)鈴木宏昭編著『学びあいが生みだす書く力-大学におけるレポートライティ
ン グ 教 育 の 試 み 』 青 山 学 院 総 合 研 究 所 叢 書 、 丸 善 プ ラ ネ ッ ト 、 2009 年
4 ) 福 嶋 隆 史 『「 本 当 の 国 語 力 」 が 驚 く ほ ど 伸 び る 本 』 大 和 出 版 、 2009 年
5 )『 小 論 文 チ ャ レ ン ジ ノ ー ト
6)プザン公認
責任中間法人
No.1』 第 一 学 習 社 、 2000 年
マ イ ン ド マ ッ プ 講 座 『 Mind Map
PLAY BOOK Ver1.0』 有 限
プザン教育協会、
7 ) ト ニ ー ・ ブ ザ ン 著 神 田 昌 典 訳 『 マ イ ン ド マ ッ プ for Kids 勉 強 が 楽 し く な る
ノ ー ト 術 』 ダ イ ヤ モ ン ド 社 、 2006 年
36
第 3 章 第 1 回研修での教育の実践と評価
齋藤長行
3.1 第 1 回研修実施要項
第 1 回 協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン・ワ ー ク シ ョ ッ プ は 、渋 谷 区 立 A 小 学 校 の 協 力
の も と 、2010 年 7 月 ~ 8 月 の 夏 休 み の 間 に お い て 、学 童 保 育 に 登 録 し て い る 児 童
25 名 を 対 象 に 実 施 し た 。
表 3-1:第 1 回 研 修 実 施 要 項
実施場所
渋谷区 A 小学校
実施期間
2010 年 7 月 ~ 8 月
参加人数
25 名 ( 1 年 生 ~ 6 年 生 の 児 童 )
具 体 的 な 研 修 プ ロ グ ラ ム 内 容 を 以 下 の 表 に ま と め る 。第 1 回 の テ ー マ は「 チ ー
ムづくり」で、アイスブレイクとチーム編成を中心に実施した。第 2 回のテーマ
は「相手にうまく伝える①」として、コミュニケーション能力開発のための伝達
ゲ ー ム の 中 か ら 、「 相 手 に 伝 え る 」、「 チ ー ム の ル ー ル づ く り 」、 「 友 達 と 協 力 す
る 」 こ と を テ ー マ に 学 習 を 行 っ た 。 第 3 回 の テ ー マ は 、「 相 手 に う ま く 伝 え る ② 」
と し て 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 開 発 の た め の 迷 路 ゲ ー ム を と お し て「 状 況 認 知 」、
「 問 題 解 決 」に つ い て 学 び 、
「 チ ー ム ワ ー ク で 成 果 を 出 す 」こ と を 目 標 と し た 。第
4 回のテーマはプロジェクトマネジメントであり、「リーダーシップ」、「リー
ダーとフォロアーシップ」について学んだ。第 5 回のテーマは、「チームで成果
を出す」をテーマに、役割分担について学んだ。第 6 回のテーマは、「チームの
発表と相互評価」として、自己評価と相互評価を行った。
37
表 3-2:第 1 回 研 修 プ ロ グ ラ ム 内 容
回
テーマ
家庭学習内容
アイスブレイク
第
1
対面研修内容
チームづくり
チーム編成
回
児童によるレポート提出と
家庭学習①
TA に よ る 添 削
コミュニケーション能力開
発のための伝達ゲーム
第
相手にうまく伝
相手に伝える
2
える①
チームのルールづくり
回
友達と協力する
児童によるレポート提出と
家庭学習②
TA に よ る 添 削
コミュニケーション能力開
発のための迷路ゲーム
第
相手にうまく伝
状況認知
3
える②
問題解決
回
チームワークで成果を出す
児童によるレポート提出と
家庭学習③
TA に よ る 添 削
ロボット組立てプロジェク
ト
第
プロジェクトマ
リーダーシップとは?
ネジメント
リーダーとフォロアーの役
4
回
割
計画を立てる
児童によるレポート提出と
家庭学習④
TA に よ る 添 削
38
ロボット組立タイムトライ
第
チームで成果を
アル
出す
役割分担と仕事の調整
5
回
早く正確に組み立てる
児童によるレポート提出と
家庭学習⑤
TA に よ る 添 削
ロボットプログラミングと
稼動
チームの特徴について話し
第
チームの発表と
合う
6
相互評価
新しいものの見方・考え方
回
マインドマップで自己評価
をする
さらに、各回の間に家庭学習として児童によるレポート作成と、そのレポート
に 対 し て TA に よ る 添 削 指 導 を 行 っ た 。
3.2 アンケート結果の分析・評価
本研修は、体験型の学習を通じて、児童の協働力、コミュニケーション能力、
レポートライティング力を育成する目的で行ったものであったことから、学習成
果を客観テストによる評価は行わずに、アンケートによる追跡調査を行うことに
より、評価を行うことにした。
表 3-3:ア ン ケ ー ト 実 施 要 項
実施時期
2010 年 12 月
対象
第 1 回 研 修 受 講 修 了 児 童 25 名
実施方法
郵送法によるアンケート調査
アンケート回収数
4 件 /( 25 人 中 )
回収率
16%
39
ア ン ケ ー ト に よ る 追 跡 調 査 は 4 ヶ 月 後 の 、児 童 の 協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、 レ
ポートライティングに対する態度変容を評価した。
3-2-1:コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 塾 で の 学 習 を と お し て 変 わ っ た 点
1 以 前 よ り お 友 達 を 信 頼 す る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
2.75
2 以 前 よ り グ ル ー プ の 決 定 事 項 を 守 る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
3
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
0
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
3.25
3 以 前 よ り や る べ き 事 を 皆 で 話 し あ う よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
40
平均
3.00
4 以 前 よ り や る べ き 事 の 解 決 順 序 を 考 え る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
3.00
5 以 前 よ り 残 り の 時 間 を 考 え て 予 定 を た て る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
3.00
6 以 前 よ り グ ル ー プ の 中 で 自 分 の 役 割 を は た す よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
1
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
2.50
7 以 前 よ り ル ー ル を 守 っ て 行 動 す る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
41
平均
3.00
8 以 前 よ り お 互 い に 助 け 合 い 協 力 す る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
1
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
2.50
9 以 前 よ り み ん な と の 目 標 達 成 を 考 え る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
2
平均
2.25
10 以 前 よ り グ ル ー プ の メ ン バ ー の 役 割 を 決 め て あ げ る よ う に な っ た
(N=4)
合計
そ う 思 う (4)
3
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
0
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
3.25
11 以 前 よ り 進 行 状 況 を 考 え て 計 画 を 変 更 す る こ と が で き る よ う に な
っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
42
平均
2.75
12 以 前 よ り 計 画 的 に 行 動 す る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
2
平均
2.25
13 以 前 よ り う ま く 行 か な か っ た と き に お 友 達 に 相 談 で き る よ う に な
っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
3.00
14 以 前 よ り 先 生 に 積 極 的 に 相 談 で き る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
1
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
2.50
15 以 前 よ り お 友 達 の お は な し を ち ゃ ん と 聞 い て あ げ ら れ る よ う に な
っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
0
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
2
そ う 思 わ な い (1)
1
43
平均
2.25
16 以 前 よ り 今 日 自 分 が 達 成 で き た こ と 、 で き な か っ た こ と を 説 明 で
き る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
0
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
2
平均
1.67
17 以 前 よ り 文 章 を 書 く よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
1
そ う 思 わ な い (1)
1
平均
2.50
18 以 前 よ り 家 庭 で の 学 習 時 間 が 増 え た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
0
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
2
平均
2.50
19 以 前 よ り 親 子 で 勉 強 す る よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
2
44
平均
2.25
20 以 前 よ り 親 子 で 話 し 合 う よ う に な っ た (N=4)
合計
そ う 思 う (4)
2
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
1
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
45
平均
3.00
表 3-4:児 童 の 研 修 後 の 態 度 変 容 の 集 計
コミュニケーション塾を通じて変わった点 1
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
以前よりお友達を
信頼するようになった
2.75
以前よりグループの決定事項を
守るようになった
3.25
以前よりやるべき事を皆で
話しあうようになった
3.00
以前よりやるべき事を
解決順序を考えるようになった
3.00
以前より残りの時間を
考えて予定をたてるようになった
2.50
そう思う(4)
以前よりグループの中で
自分の役割をはたすようになった
どちらかといえば
そう思う(3)
2.50
どちらかといえば
そう思わない(2)
以前よりルールを守って
行動するようになった
そう思わない(1)
3.00
平均
以前よりお互いに助け合い
協力するようになった
2.50
以前よりみんなとの目標達成を
考えるようになった
2.25
以前よりグループのメンバーの
役割を決めてあげるようになった
3.25
46
コミュニケーション塾を通じて変わった点 2
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
以前より進行状況を考えて計画を
変更することができるようになった
2.75
以前より計画的に
行動するようになった
2.25
以前よりうまく行かなかったときに
お友達に相談できるようになった
3.00
以前より先生に積極的に
相談できるようになった
2.50
以前よりお友達のおはなしをちゃんと
聞いてあげられるようになった
2.25
そう思う(4)
以前より今日自分が達成できたこと、
できなかったことを説明できるようになった
どちらかといえば
そう思う(3)
1.67
どちらかといえば
そう思わない(2)
そう思わない(1)
以前より文章を書くようになった
2.50
平均
以前より過程での学習時間が増えた
2.50
以前より親子で勉強するようになった
2.25
以前より親子で話し合うようになった
3.00
47
3-2-2:児 童 の 感 想 ( 自 由 記 述 )
・レゴのパーツを探すのが楽しかった。
・レゴを作ったり、車を動かしたりするのが面白かった。
・役割分担などがよくなり、楽しかった。
3.3 第 1 回研修総括
アンケート調査により、以下の事項に対して自分の行動や態度が変容したこと
を 感 じ て い る と の 回 答 が あ っ た 。「 グ ル ー プ の 決 定 事 項 を 守 る よ う に な っ た
(3.25)」、
「 や る べ き 事 を 皆 で 話 し あ う よ う に な っ た (3.00)」、
「やるべき事を解決順
序 を 考 え る よ う に な っ た (3.00)」、
「 ル ー ル を 守 っ て 行 動 す る よ う に な っ た (3.00)」、
「 グ ル ー プ の メ ン バ ー の 役 割 を 決 め て あ げ る よ う に な っ た (3.25)」 な ど の プ ロ ジ
ェクトマネジメントに関する事項について、自分の行動や態度に変化を感じたと
の回答が合った。
ま た 、「 う ま く 行 か な か っ た と き は お 友 達 に 相 談 で き る よ う に な っ た (3.00)」、
というコミュニケーションに関する事項についても変化を感じているようである。
しかし、レポートライティングに関してはこの研修によって自信がついたと感
じ て い る 児 童 数 は 少 な い こ と か ら 1 、レ ポ ー ト ラ イ テ ィ ン グ 能 力 の 育 成 に つ い て は
改善の余地があると言える。
さ ら に 、こ の 研 修 プ ロ グ ラ ム を と お し て 、「 親 子 の 会 話 が 増 え た と (3.00)」回 答
する児童数が多かったことから、親子のコミュニケーションに間接的に寄与でき
たことは、評価できることである。
1
「 以 前 よ り 文 章 を 書 く よ う に な っ た 」 の 平 均 は 2.50 で あ っ た 。
48
第 4 章 第 2 回研修での教育の実践と評価
齋藤長行
4.1 第 2 回研修実施要項
第 2 回 協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン・ワ ー ク シ ョ ッ プ は 、渋 谷 区 立 B 小 学 校 の 協 力
の も と 、 2010 年 11 月 ~ 12 月 の 期 間 に お い て 、 学 童 保 育 に 登 録 し て い る 児 童 25
名を対象に実施した。
表 4-1:第 1 回 研 修 実 施 要 項
実施場所
渋谷区 B 小学校
実施期間
2010 年 11 月 ~ 12 月
参加人数
25 名 ( 1 年 生 ~ 6 年 生 の 児 童 )
第 2 回研修においても、6 回構成の研修を実施した。変更点としては、児童の
レポートライティング・シートを児童の書きやすさを考慮して改変したことと、
コンピテンシーリストをより具体的な行動を記載したものにし、本研修の評価軸
とした。
4.2 アンケート結果の分析・評価
第 2 回 研 修 に お い て は 、協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・ プ ロ グ ラ ム を 通 じ て 身 に つ
けることが望まれるコンピテンシーについて、児童がそのコンピテンシーを身に
つけたことを感じているかについて、評価を行った。評価の方法としては、研修
終了後のアンケート調査によって行った。
表 4-2:ア ン ケ ー ト 実 施 要 項
実施時期
2010 年 12 月
対象
第 1 回 研 修 受 講 修 了 児 童 25 名
実施方法
研修受講後のアンケート調査
アンケート回収数
21 件 /( 25 人 中 )
回収率
84%
49
4-2-1: 研 修 プ ロ グ ラ ム で 自 分 が 達 成 で き た こ と に つ い て
1 積 極 的 に 発 言 す る こ と が で き た (N=21)
合計
平均
そ う 思 う (4)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
11
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
2
そ う 思 わ な い (1)
2
3.00
2 他 の 人 が 話 し て い る の を さ え ぎ っ た り し な か っ た (N=21)
合計
平均
そ う 思 う (4)
7
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
4
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
7
そ う 思 わ な い (1)
3
2.71
3 自 分 の 言 葉 で 表 現 す る こ と が で き た (N=21)
合計
平均
そ う 思 う (4)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
3
そ う 思 わ な い (1)
6
2.57
4 正 確 に 伝 え る こ と が で き た (N=21)
合計
平均
そ う 思 う (4)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
7
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
7
そ う 思 わ な い (1)
1
50
2.86
5 決 め た ル ー ル を 守 っ て 行 動 で き た (N=20)
合計
平均
そ う 思 う (4)
7
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
3
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
7
そ う 思 わ な い (1)
3
2.70
6 先 生 や TA の 注 意 を 理 解 で き た (N=21)
合計
平均
そ う 思 う (4)
7
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
10
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
3
そ う 思 わ な い (1)
1
3.10
7 ロ ボ ッ ト ス ト ー リ の ル ー ル を 理 解 で き た (N=21)
合計
平均
そ う 思 う (4)
12
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
4
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
2
そ う 思 わ な い (1)
3
3.19
8 作 戦 会 議 で 周 り の 話 を 聞 い て 行 動 で き た (N=20)
合計
平均
そ う 思 う (4)
5
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
9
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
4
そ う 思 わ な い (1)
2
51
3.19
9 チ ー ム で 協 力 し て 、 ロ ボ ッ ト を 完 成 さ せ る こ と が で き た (N=21)
合計
平均
そ う 思 う (4)
13
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
7
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
0
そ う 思 わ な い (1)
1
3.52
10 恥 ず か し が ら ず に 発 表 し た (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
9
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
3
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
2
そ う 思 わ な い (1)
5
2.84
11 お 友 達 が 理 解 で き る よ う に 分 か り や す く 発 表 し た (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
4
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
8
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
3
そ う 思 わ な い (1)
4
2.63
12 適 切 な 声 の 大 き さ で 発 表 し た (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
5
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
8
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
2
そ う 思 わ な い (1)
4
52
2.74
13 ロ ボ ッ ト 組 み 立 て に つ い て 説 明 で き る 自 信 が あ る (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
5
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
4
そ う 思 わ な い (1)
4
2.63
14 他 の 人 の 発 表 を 静 か に 聞 け た (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
5
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
3
そ う 思 わ な い (1)
5
2.58
15 「 な し ・ 特 に な し 」 の こ と ば を 使 わ ず に 振 り 返 り 作 文 を か く こ と
が で き た (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
7
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
4
そ う 思 わ な い (1)
2
2.95
16 お 友 達 に 「 一 緒 に 頑 張 ろ う 」 や 「 み ん な で 頑 張 ろ う 」 と 声 を か け
て あ げ た (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
5
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
6
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
3
そ う 思 わ な い (1)
5
53
2.58
17 チ ー ム の お 友 達 全 員 と 仲 良 く で き た (N=19)
合計
平均
そ う 思 う (4)
8
ど ち ら か と い え ば そ う 思 う (3)
4
ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い (2)
4
そ う 思 わ な い (1)
3
54
2.89
表 4-3:児 童 の 研 修 後 の コ ン ピ テ ン シ ー 修 得 実 感 の 集 計
質問
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
積極的に発言することができた
3.00
他の人が話しているのを
さえぎったりしなかった
2.71
自分の言葉で表現することができた
2.57
正確に伝えることができた
2.86
決めたルールを守って行動できた
2.70
そう思う(4)
どちらかといえば
そう思う(3)
先生やTAの注意を理解できた
どちらかといえば
そう思わない(2)
3.10
そう思わない(1)
平均
ロボットストーリーのルールを
理解できた
3.19
作戦会議で回りの話を聞いて
行動できた
2.85
チームで協力して、ロボットを
完成させることができた
3.52
55
質問
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
恥ずかしがらずに発表した
2.84
お友達が利害できるように
分かりやすく発表した
2.63
適切な声の大きさで発表した
2.74
ロボット組み立てについて
説明できる自信がある
2.63
そう思う(4)
他の人の発表を静かに聞けた
どちらかといえば
そう思う(3)
2.58
どちらかといえば
そう思わない(2)
そう思わない(1)
「なし・特になし」のことばを
使わずに振り返り作文を
かくことができた
平均
2.95
お友達に「一緒に頑張ろう」や
「みんなで頑張ろう」と
声をかけてあげた
2.58
チームのお友達全員と仲良くできた
2.89
56
4-2-2:児 童 の 感 想 ( 自 由 記 述 )
・数あてゲームがたのしかった。
・最初はコミュニケーションはいらいらしたけど、今では楽にできる。
・すっごく、心が一つになるというのは大切なんだなど思いました。
・あたまがよくなったと思った。
・おもったよりすごく楽しかった。
・ロボットを作ったことが思い出になりました。
・マインドマップ、ロボットの組み立てが楽しかった。
・コ ミ ュ ケ ー シ ョ ン を と る の は 、と て も 難 し い と い う こ と が 分 か っ て よ か っ た 。
4.3 第 2 回研修総括
児童の研修受講後アンケートから、以下の事項について児童が自己効力を感じ
て い る こ と が 分 っ た 。そ れ は 、「 積 極 的 に 発 言 す る こ と が で き た (3.00)」と い う 積
極 性 に 関 す る 事 項 、「 先 生 や TA の 注 意 を 理 解 で き た (3.10)」、「 ロ ボ ッ ト ス ト ー リ
の ル ー ル を 理 解 で き た (3.19)」 と い う 研 修 内 容 の 認 知 ・ 理 解 に 関 す る 事 項 、 お よ
び 「 作 戦 会 議 で 周 り の 話 を 聞 い て 行 動 で き た (3.19)」 と い う 協 働 コ ミ ュ ニ ケ ー シ
ョ ン に 関 す る 事 項 な ど の 自 己 効 力 感 が 高 か っ た 。特 に 、
「 チ ー ム で 協 力 し て 、ロ ボ
ッ ト を 完 成 さ せ る こ と が で き た 」で は 、3.25 と 平 均 値 が 高 く 、児 童 が 協 働 作 業 に
より課題を達成するという体験ができたことを自ら評価しているという結果とな
った。
57
第 5 章 二回の実践研修を受けての総括的評価
齋藤長行
5.1
二回の研修からみた総括的評価
本 研 修 は 、渋 谷 区 立 の 2 校 の 小 学 校 の 協 力 を 得 て 実 施 す る こ と が で き た 。こ の
研修においては、協働作業の中からコミュニケーション能力を身につけて行くこ
とを主眼としているのだが、実践的な協働作業を遂行する上で必要となるプロジ
ェクトマネジメントの概念を用いて、教育プログラムを策定している。そのこと
か ら 、児 童 に お い て も「 決 定 事 項 を 守 る 」、
「 話 し あ う 」、
「 解 決 順 序 を 考 え る 」、
「予
定 を た て る 」、「 ル ー ル を 守 る 」 な ど の 事 項 に た い し て 自 分 の 行 動 や 態 度 に 変 化 を
感じていた。
しかし、レポートライティングに関してはこの研修によって自信がついたと感
じている児童数は少なかった。今後本プログラムを実践する際には、レポートラ
イティング能力のプログラムを改良していく必要があると言えるであろう。
また、本研修をとおして児童自身が積極的になっていること、他者の話をよく
聞き、判断すると言う状況認知ができていること、さらに「チームで協力して、
ロボットを完成させることができた」という本研修が目指す、協働コミュニケー
ションの意図を児童が強く感じていることが評価できることと言える。
さらに、本研修において他者と話し合うという行為が、家庭においても実践さ
れ、親子の会話が増えたというアンケート結果は、本研修の教育が教室を離れ家
庭にまで及んだことを意味していると言える。
5.2
今後への課題
今後の課題としては、コンピテンシー・マネジメントによる、能力評価法にお
い て 、 コ ン ピ テ ン シ ー の 評 価 が TA に よ っ て 差 異 が で る た め 、 評 価 者 で あ る TA
の事前研修を十分に行う必要があることがあげられる。
また、実施した教育プログラムに学習項目が多くあり、全ての児童がその学習
量を消化できたとは言えなかった。今後の研修では学習項目を減らして、全ての
58
児童が学習項目を達成できることが望まれる。
レポートライティングについては、本研修においてはレポートライティングを
行う意義を保護者に十分に説明する時間をとることができなかった。今後の研修
においては、保護者の十分な理解を得て、レポートライティングを実施し、教育
スタッフと保護者と協力し合って、児童のレポートライティング能力向上に努め
て行きたい。さらに今後の課題として、家庭学習の支援の方策について研究を進
め、家庭と地域を結ぶ地域教育ネットワークづくりに取組んでいきたい。
59
資料編
60
資料 1:地域・家庭の教育状況アンケート調査
B 小 学 校 で実 施 した地 域 ・家 庭 の教 育 状 況 アンケート調 査 の質 問 紙 は以 下
である。
問 1 つぎの質 問 にお答 えください。
1
き ん じ ょ の お と も だ ち と い っ し ょ に 遊 ん で い ま す か ? --------------------遊んでいる
2
3
たまに遊んでいる
めったに遊ばない
遊ばない
き ん じ ょ の お と も だ ち と い っ し ょ に 勉 強 し て い ま す か ? ----------------いつも勉強している
たまに勉強している
めったに勉強しない
勉強しない
学校のおともだちといっしょに遊んでいますか?
いつも遊んでいる
たまに遊んでいる
めったに遊ばない
遊ばない
4
5
学 校 の お と も だ ち と い っ し ょ に 勉 強 し て い ま す か ? -----------------------いつもいっしょに勉強している
たまにいっしょに勉強している
めったにいっしょに勉強しない
いっしょに勉強しない
ふだん作文などの文章を書いていますか?
いつも書いている
ときどき書いている
めったに書かない
書かない
6
作文などの文章を書くことは好きですか?
好き
どちらかといえば好き
II
どちらかといえば嫌い
嫌い
7
お父さんやお母さんなどのかぞくの人といっしょに勉強したりします
か?
8
いつもいっしょに勉強する
時々いっしょに勉強する
めったにいっしょに勉強しない
いっしょに勉強しない
お父さんやお母さんなどのかぞくの人は勉強を教えてくれたりします
か?
いつも教えてくれる
時々教えてくれる
めったに教えてくれない
教えてくれない
9 かぞくの人で勉強を教えてくれる人は誰ですか?
10
あなたは朝ごはんをだれと食べていますか?
11
あなたは夕ごはんをだれと食べていますか?
12
きんじょの人と会ったときにあなたは挨拶していますか?
13
いつもあいさつする
ときどきあいさつする
めったにあいさつしない
あいさつしない
きんじょの人はあなたに色々なことを教えてくれますか?
いつも教えてくれる
ときどき教えてくれる
めったに教えてくれない
教えてくれない
ご協 力 ありがとうございました。
III
資料 2:第 1 回研修 A 小学校追跡アンケート調査
A 小 学 校 で実 施 した第 1 回 研 修 追 跡 アンケート調 査 の質 問 紙 は以 下 である。
問 1
コミュニケーション塾を受講してなにかあなたに変化はありましたか?
そう思わない
そう思わない
どちらかといえば
そう思う
どちらかといえば
1
以 前 よ り お と も だ ち を 信 頼 す る よ う に な っ た ............ 4 ----3 ---- 2 --- 1
2
以 前 よ り グ ル ー プ の 決 め ご と を 守 る よ う に な っ た ..... 4 ----3 ---- 2 --- 1
3
以前よりやるべきことをみんなで話し合うように
な っ た .......................................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
4
以 前 よ り や る べ き こ と の 順 序 を 考 え る よ う に な っ た ... 4 ----3 ---- 2 --- 1
5
以前より残りの時間を考えて予定を立てるように
な っ た ........................................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
6
以前よりグループのなかで自分の役割をするように
な っ た ........................................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
7
以 前 よ り ル ー ル を 守 っ て 行 動 す る よ う に な っ た ......... 4 ----3 ---- 2 --- 1
8
以 前 よ り 互 い に 助 け 合 い 協 力 す る よ う に な っ た ......... 4 ----3 ---- 2 --- 1
9
以 前 よ り み ん な と の 目 標 達 成 を 考 え る よ う に な っ た ... 4 ----3 ---- 2 --- 1
10 以 前 よ り グ ル ー プ の メ ン バ ー の 役 割 を 決 め て あ げ る
よ う に な っ た .......................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
11 以 前 よ り 進 行 状 況 を 考 え て 計 画 を 変 更 す る こ と が で き る
よ う に な っ た ......................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
12 以 前 よ り 計 画 的 に 行 動 す る よ う に な っ た .................. 4 ----3 ---- 2 --- 1
13 以 前 よ り う ま く 行 か な か っ た と き に お 友 達 に 相 談 で き る
よ う に な っ た ......................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
14 以 前 よ り 先 生 に 積 極 的 に 相 談 で き る よ う に な っ た ..... 4 ----3 ---- 2 --- 1
15 以 前 よ り お と も だ ち の お 話 を ち ゃ ん と 聞 い て あ げ ら れ る
IV
よ う に な っ た .......................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
16 以 前 よ り 今 日 自 分 が 達 成 で き た こ と 、 で き な か っ た 事 を
説 明 で き る よ う に な っ た ......................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
17 以 前 よ り 文 章 を 書 く よ う に な っ た ............................. 4 ----3 ---- 2 --- 1
18 以 前 よ り お 家 で の 学 習 時 間 が 増 え た .......................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
19 以 前 よ り 母 さ ん や お 父 さ ん と 勉 強 す る よ う に な っ た .. 4 ----3 ---- 2 --- 1
20 以 前 よ り 親 子 で 話 し 合 う よ う に な っ た ....................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
問 2
コミュニケーション塾の感想を書いてください。
ご協 力 ありがとうございました。
V
資料 3:第 2 回研修 B 小学校受講後アンケート調査
B 小 学 校 で実 施 した第 2 回 研 修 受 講 後 アンケート調 査 の質 問 紙 は以 下 である。
じゅく
問 1
じゅこう
コミュニケーション 塾 を受講してなにかあなたに変化はありましたか?
そう思わない
そう思わない
どちらかといえば
そう思う
どちらかといえば
せっきょくてき
1
積 極 的 に 発 言 す る こ と が で き た 。 ............................. 4 ----3 ---- 2 --- 1
2
他 の 人 が 話 し て い る の を さ え ぎ っ た り し な か っ た 。 .. 4 ----3 ---- 2 --- 1
3
自 分 の 言 葉 で 表 現 す る こ と が で き た 。 ...................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
4
正 確 に 、 伝 え る こ と が で き た 。 ................................. 4 ----3 ---- 2 --- 1
5
決 め た ル ー ル を ま も っ て 行 動 で き た 。 ....................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
6
先 生 や TA の 注 意 を 理 解 で き た 。 .............................. 4 ----3 ---- 2 --- 1
7
ロ ボ ッ ト ス ト ー リ の ル ー ル を 理 解 で き た 。 ................ 4 ----3 ---- 2 --- 1
8
作 戦 会 議 で 、 周 り の 話 し を 聞 い て 行 動 で き た 。 ......... 4 ----3 ---- 2 --- 1
9
チームで 協 力 して、ロボットを完成させることが
た
ひと
じ ぶ ん
は
な
こ と ば
ひょうげん
せいかく
き
め
た
こうどう
せんせい
ちゅうい
り か い
り か い
さくせん か い ぎ
ま わ り
は
な
き
い
きょうりょく
こうどう
かんせい
で き た 。 ....................................................................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
は
はっぴょう
10 恥 ず か し が ら ず に 発 表 で き た 。 ................................ 4 ----3 ---- 2 --- 1
ともだち
り か い
はっぴょう
11 お 友 達 が 理 解 で き る よ う に わ か り や す く 発 表 し た 。 .. 4 ----3 ---- 2 --- 1
てきせつ
こえ
12 適 切 な 声 の 大 き さ で 発 表 で き た 。 ............................ 4 ----3 ---- 2 --- 1
く
み
た
て
せつめい
じ し ん
13 ロ ボ ッ ト 組 み 立 て に つ い て 説 明 で き る 自 信 が あ る 。 .. 4 ----3 ---- 2 --- 1
しず
き
14 他 の 人 の 発 表 を 静 か に 聞 け た 。 ................................ 4 ----3 ---- 2 --- 1
とく
こ と ば
つか
15 「 な し ・ 特 に な し 」 の 言 葉 を 使 わ ず に 、
ふ り か え り さくぶん
振 り 返 り 作 文 を 書 く こ と が で き た 。 ..................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
いっしょ
が ん ば
が ん ば
16 お 友 達 に 「 一 緒 に 頑 張 ろ う 」 や 「 み ん な で 頑 張 ろ う 」 と 、
声 を か け て あ げ た 。 ............................................. 4 ----3 ---- 2 --- 1
ともだちぜんいん
な か よ
17 チ ー ム の お 友 達 全 員 と 仲 良 く で き た 。 ...................... 4 ----3 ---- 2 --- 1
VI
問 2
じゅく
かんそう
コミュニケーション 塾 の感想を書いてください。
きょうりょく
ご協 力 ありがとうございました。
VII
資料 4:会議・研修開催録
■運 営 会 議
2010 年
4 月 8 日 :事 業 計 画 の立 案
4 月 23 日 :シンポジウム(5/22)についての議 論
5 月 13 日 :文 科 省 の『社 会 教 育 による地 域 の教 育 力 強 化 プロジェクト』における
実 証 的 共 同 研 究 の実 施 における企 画 申 請 について
6 月 2 日 :シンポジウム(5/22)の報 告
6 月 14 日 :教 材 ・資 料 準 備 について
6 月 22 日 :夏 期 講 座 、A 小 学 校 について
7 月 8 日 :夏 期 講 座 、A 小 学 校 、B 小 学 校 について検 討
7 月 19 日 :staff/TA 合 同 キックオミーティング
9 月 17 日 :A 小 学 校 の振 り返 り、資 料 整 理 、アンケートについて
■TA 会 議 ・研 修
2010 年
5 月 5 日 :TA 集 合 研 修
6 月 5 日 :TA 集 合 研 修
6 月 14 日 :TA 集 合 研 修
6 月 23 日 :TA 集 合 研 修
7 月 8 日 :夏 期 講 座 、A 小 学 校 、B 小 学 校 について検 討
7 月 19 日 :staff/TA 合 同 キックオミーティング
8 月 10 日 :TA 集 合 研 修
9 月 13 日 :TA 集 合 研 修
11 月 4 日 :渋 谷 区 立 B 小 学 校 に向 けての TA の研 修 ・会 議
11 月 19 日 :TA 教 育 研 修 (ロボット
VIII
報告書執筆者
玉木欽也
青山学院大学経営学部 教授
青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センター センター長
青山学院ヒューマンイノベーション・コンサルティング株式会社 社長
担当章:序論、第 2 章
齋藤長行
青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センター 客員研究員
担当章:第 1 章、第 3 章、第 4 章、第 5 章
執筆協力者
越島一郎
名古屋工業大学大学院 教授
西田絢子
青 山 学 院 大 学 ヒューマンイノベーション研 究 センター 特 別 研 究 員
野口新司
青山学院大学経営学部
ハン・ソクジュ
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科
齋藤美穂
青山学院ヒューマンイノベーション・コンサルティング株式会社
西本朝子
青山学院ヒューマンイノベーション・コンサルティング株式会社
謝辞
本研究は文部科学省「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」の支援と、
特定非営利活動法人ピアサポートネットしぶやの協力を得て研究を行うことができた。
文部科学省
2010 年 度「 社 会 教 育 に よ る 地 域 の 教 育 力 強 化 プ ロ ジ ェ ク ト 」に お け る 実 証 的 共 同 研 究
グループワークによる協働コミュニケーション能力
育成プログラムの開発・実施と評価に関する調査研究
調査研究報告書Ⅲ
青山学院ヒューマンイノベーション・コンサルティング株式会社
青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センター
2011 年 3 月
〒 150-8366
渋 谷 区 渋 谷 4-4-25
青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センター
発
発
行 : 2011 年 3 月
行
者:特定非営利活動法人ピアサポートネットしぶや
調査研究委員会
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