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博士(栄養学)学位論文要旨 ラクチュロースのミネラル吸収促進効果

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博士(栄養学)学位論文要旨 ラクチュロースのミネラル吸収促進効果
博士(栄養学)学位論文要旨
論文題目
ラクチュロースのミネラル吸収促進効果および
体組成に対する影響に関する研究
A Study of the Impact of Lactulose on Enhancement of
Mineral Absorption and the Effect on Body Composition
2014 年
指導教員
上西
氏 名
関
一弘
信夫
SEKI, Nobuo
女子栄養大学
教授
ラク チ ュ ロー ス は、 乳糖 を 原 料と す る 難 消化 性 の オリ ゴ 糖 で あり 、 整
腸作 用 な ど を 有 す る 。ラ ク チ ュロ ー ス の カル シ ウ ムお よ び マ グネ シ ウム
吸収 促 進 効果 と ラ ク チュ ロ ー ス、 カ ル シ ウム 、 マ グネ シ ウ ム 含有 顆 粒の
長期 摂 取 によ る 体 組 成へ の 影 響を ヒ ト 臨 床試 験 に より 検 討 し たの で 以下
の通 り 報 告す る 。
カルシウムとマグネシウムは、体内に多く含まれるミネラルであり、
体内 に お いて 重 要 な 役割 を 果 たし て い る 。し か し なが ら 、 日 本人 に おけ
るカ ル シ ウム 、 マ グ ネシ ウ ム の摂 取 量 は 十分 で は ない 。 ま た 、カ ル シウ
ムと マ グ ネシ ウ ム は 、そ の 吸 収率 が 低 く 、摂 取 量 と共 に そ の 吸収 率 も考
慮す る 必 要が あ る と 考え ら れ てい る 。
ラク チ ュ ロー ス に よ るカ ル シ ウム 、 マグ ネシ ウ ム の吸 収 促 進 効果 に 関
する 動 物 実験 の 報 告 は複 数 あ った が 、 ヒ ト臨 床 試 験の 報 告 は 、閉 経 後の
オラ ン ダ 人女 性 に 対 する カ ル シウ ム の 吸 収促 進 の みを 評 価 し たも の しか
なか っ た 。そ こ で 、 日本 人 に 対す る ラ ク チュ ロ ー スの カ ル シ ウム 、 マグ
ネシ ウ ム 吸収 促 進 効 果を 確 認 する た め に 、臨 床 試 験を 実 施 し た。 カ ルシ
ウム の 吸 収促 進 に 関 して は 、 日本 人 を 対 象と し た 初の ヒ ト 臨 床試 験 であ
り、マ グネ シ ウム の 吸収 促 進 につ い て は 、世 界 初の ヒ ト臨 床 試験 で あ る。
第 2 章 で は、尿中 へ のカ ル シ ウム 、マ グ ネシ ウ ム 排泄 量 を 指 標と し て 、
ラク チ ュ ロー ス の カ ルシ ウ ム およ び マ グ ネシ ウ ム 吸収 促 進 効 果を 検 討し
た。試 験 デザ イ ンは 、24 名 の成 人 健 常男 性を 被 験 者と した 3 剤 3 期 のク
ロス オ ー バー・シ ン グル ブ ラ イン ド 試 験 とし た 。ラ ク チュ ロ ース 0g(プ
ラセ ボ )、2g( 低 用 量 )ま た は 5g( 高 用量 )と カ ルシ ウム 300mg、マ グ
ネシ ウ ム 150mg 含 有す る 試 験食 品 を 調 製し 、 朝 食と 共 に 試 験食 品 を摂
取さ せ 、以後 2 時 間 毎に 8 時間 後 まで 尿 を採 取 し 、尿中 に 含 まれ る カ ル
シウ ム お よび マ グ ネ シウ ム 量 を測 定 し た 。摂取 8 時間 後 ま で の尿 中 カル
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シウ ム 、 マグ ネ シ ウ ム総 排 泄 量は 、 ラ ク チュ ロ ー ス摂 取 量 と とも に 用量
依 存 的 に 上 昇 し た 。 カ ル シ ウ ム は 低 用 量 ( 2g) と 高 用 量 ( 5g)、 マ グ ネ
シウ ム は 高用 量( 5g)に おい て プラ セ ボ と比 べ て 尿中 総 排 泄 量は 有 意 に
増加 し た 。ラ ク チ ュ ロー ス に よる カ ル シ ウム お よ びマ グ ネ シ ウム 吸 収促
進効 果 が 示唆 さ れ た 。
尿中 へ の カル シ ウ ム およ び マ グネ シ ウ ム 排泄 量 の 上昇 は 、ラ クチ ュ ロ
ース に よ る腸 管 吸 収 促進 効 果 に起 因 し た もの で は なく 、 骨 吸 収の 促 進効
果や 腎 臓 への 影 響 に 起因 し て いる 可 能 性 を否 定 す るこ と は 出 来な い 。そ
こで 、第 3 章 で は 特 定の 安 定 同位 体 比 を 高め た 試 験食 品 摂 取 後の 尿 中安
定同 位 体 比を 指 標 と する こ と で、 ラ ク チ ュロ ー ス のミ ネ ラ ル 吸収 促 進効
果を 検 討 した 。 試 験 食品 中 の 存在 比 が 高 い安 定 同 位体 が 尿 中 に多 く 排出
され れ ば 、尿 中 に 排 泄さ れ た カル シ ウ ム およ び マ グネ シ ウ ム が試 験 食品
由来 で あ るこ と を 証 明す る こ とが 可 能 で ある 。試 験 デザ イ ン は 、第 2 章
と同 様 の デザ イ ン と した が 、シ ン グル ブ ライ ン ド をダ ブ ル ブ ライ ン ド に、
ラク チ ュ ロー ス 高 用 量を 5g か ら 4g に 変 更し た 。尿 中 の安 定 同位 体 比 は、
ラク チ ュ ロー ス 摂 取 量に 対 し て用 量 依 存 的に 高 ま り、プラ セ ボに 比 べ て、
カル シ ウ ムで は 高 用 量( 4g)で、マ グ ネ シウ ム で は、低 用量( 2g)と 高
用量( 4g)で 安定 同 位体 比 の 有意 な 上 昇 を示 し た。以 上の 結 果よ り 、ラ
クチ ュ ロ ース は カ ル シウ ム 、 マグ ネ シ ウ ム吸 収 促 進効 果 を 有 する こ とを
確認 で き た。
第 4 章 では 、ラ クチ ュロ ー ス 、カ ル シ ウ ム 、マ グ ネシ ウ ム 含 有顆 粒 の
長期 摂 取 によ る 体 組 成へ の 影 響を 検 討 し た 。35 歳 以上 の 日 本 人女 性 を被
験者 と し て 、1 日 あ たり 、ラ ク チュ ロ ー ス 4g、カ ル シウ ム 300mg、マ グ
ネシ ウ ム 150mg を 摂取 さ せ 、摂 取 前 、 6 ヶ 月後 、12 ヶ 月 後に 体 組 成測
定、 血 液 検査 な ど を 実施 し た 。試 験 デ ザ イン は 、 オー プ ン 並 行群 間 試験
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とし た。12 ヶ 月後 に おけ る 摂 取群 の 体 脂 肪量 は、対 照 群 に 比 べて 有 意 に
低 い 値 を 示し た 。 ラ クチ ュ ロ ース 、 カ ル シウ ム 、 マグ ネ シ ウ ム含 有 顆粒
が、 体 脂 肪低 減 効 果 を持 つ 可 能性 が 示 唆 され た 。
ラク チ ュ ロー ス の カ ルシ ウ ム 、マ グ ネシ ウム 吸 収 促進 効 果 を 安定 同 位
体を 用 い た方 法 で 確 認し 、 ラ クチ ュ ロ ー ス、 カ ル シウ ム 、 マ グネ シ ウム
含有 顆 粒 の長 期 間 摂 取に よ り、体 脂肪 量 が低 減 す る可 能 性 が 示唆 さ れ た。
本研 究 を 通じ て 、ラ クチ ュ ロ ース が 、人 々の 健 康 に寄 与 す る 可能 性 を
示せ た と 考え る 。
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