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120KB - 日本総研

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120KB - 日本総研
(株)日本総合研究所『高齢化が日本経済に及ぼす影響』
第 2 章 マクロ経済に与える影響
本章では、人口高齢化がマクロの経済環境に与える影響について、フロー面、ストック
面に分けて分析したい。
1.フロー面での影響
人口高齢化は、供給、需要両面からフローの経済活動に大きく影響する。以下では、こ
うした変化を展望したうえで、成長力の押し上げや問題回避に必要な課題を整理する。
(1)供給面
(A)労働投入の減少
人口推計1によると、65 歳以上の「老年人口」は、2005 年の 2,560 万人から 2025 年に
3,620 万人に増加する。その一方、0∼14 歳の「年少人口」は同じ期間に 560 万人減って
1,200 万人、15∼64 歳の「生産年齢人口」は 1,350 万人減って 7,100 万人となる見通しで
ある。「生産年齢人口」は年平均 70 万人近く減少することになるが、これはこれまで経験
したことがないスピードである。
海外労働者の移入は、生産年齢人口の減少に伴う悪影響を緩和するための重要な選択肢
となるが、その効果は限定的である。在日外国人労働者は、不法就労者を含めても 100 万
人強2にとどまっており、20 年間で 1350 万人を移入させることは、受け入れ態勢の状況を
考慮すると現実的ではない。すでに経済連携協定(EPA)に基づきフィリピンやインドネ
シアから看護師等の受け入れが決まっているが、その規模は千人単位にとどまる。
生産年齢人口が減っても、労働力率が上昇すれば、労働投入は維持できるが、人口高齢
化は労働力率にも低下圧力となる。高齢者の労働力率は現役世代より低いため、年齢別の
労働力率が現在のまま推移すると、全体では現在の 60%が 55.1%に低下する(図表 2-1)。
①60∼65 歳の労働力率が 2020 年に現在対比 10%ポイント上昇するケース3、さらに、②今
後 10 年でアメリカ並みに女性の労働力率が高まり、年齢階層別労働力率の M 字カーブが
消滅するケースにおいても、全体の労働力率は、2020 年時点で①が 55.8%、②が 56.6%と
試算される。いずれのケースでも、低下幅は縮小するものの、低下自体は避けられないこ
とになる。
さらに、人口高齢化は、一人当たり労働時間の面でも下押し要因となる。労働時間が短
い 60 歳以上の労働者が増えるほか、高齢化が進んだ先進国では、経済的な豊かさ、あるい
1
2
3
国立社会保障・人口問題研究所の中位推計に基づく。
厚生労働省による 2002 年時点の推計値(不法就労者含む)を同省「外国人雇用状況報告」(不法就労者
除く)の増加率で延長すると 2005 年時点の不法就労者を含む外国人労働者数総数は概算 114 万人。
高齢者の雇用促進については、2006 年から施行された改正高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安
定等に関する法律の一部を改正する法律)により一応の環境整備が進みつつある。労働力率予測には、
清家・山田[2004]の定年退職制度が就業確率を約 18%低下させるとの実証分析結果を参考にした。
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(株)日本総合研究所『高齢化が日本経済に及ぼす影響』
は労働集約産業の海外移転や雇用の非正規化の結果として時短が進むためである。実際、
OECD 諸国では、65 歳以上人口比率が 1%ポイント上昇すると、年間労働時間が 36 時間減
るという傾向がみられる4。
以上を踏まえ、今後の労働投入の推移を展望すると、2000 年代後半には年平均▲0.1%、
2010 年代前半には同▲1.2%、後半には同▲0.9%の減少が続くと試算される(図表 2-2)。
(B)資本投入は減少するか
ライフサイクル・恒常所得仮説を前提とすると、人口高齢化は、現役時代の貯蓄を取り
崩す引退世代の増加を通じ、家計貯蓄率を低下させる。実際、日本でも家計貯蓄率は 80 年
代半ばをピークとして低下に転じ、2004 年には 3.1%と先進国の中では中程度の水準となっ
ている。
家計貯蓄率を低下させる要因としては、このほかに①実質所得の減少(貯蓄に回す余剰
が減る)、②物価上昇率の低下(実質購買力の不確実性が低下し、予備的貯蓄が減る)、③
財政赤字の縮小(家計貯蓄の代替となる社会保障給付の財源強化)が挙げられる。そこで
これらを説明変数とする家計貯蓄率関数を推定してみると、高齢化が最大の押し下げ要因
であることが確認できる(図表 2-3)。今後も、高齢者人口比率がピークを迎える 2050 年ご
ろまでこの押し下げ圧力が働き、家計貯蓄率は 2009 年にマイナスに転化する見通しである。
日本では、従来、高い家計貯蓄率が経済成長の源泉として評価されてきており、この低下
が国内投資の減少を招く場合には、成長率の下押し要因となりかねない。
そこで次に国内貯蓄率と国内投資の関係について検討してみた。この分析で有名な
Feldstein-Horioka の実証研究では、OECD 諸国のデータから両者の相関係数がほぼ 1、つ
まり国内貯蓄率が 1%低下すれば国内投資率は 1%低下するとの結果が得られている。国際
的な資本移動の自由化の進展にもかかわらず、国内貯蓄の減少が国内投資を制約している
との「Feldstein-Horioka のパラドクス」の指摘である。もっとも、この分析は、1960∼74
年の国別のデータをプールして単一の回帰式を求めたものであった。その後のデータにつ
いて、国の違いを考慮したパネル推定を行うと、80 年代には 0.34、90 年代には 0.32、2000
年代では 0.04 とほぼ無相関となる(図表 2-4)。上記「パラドクス」の解消が示唆され、家
計貯蓄率の低下イコール国内投資率の低下と悲観する必要はないといえる。
しかし、これはあくまでも過去の OECD 諸国の平均的な傾向であり、今後日本への直接
投資を拡大させるには課題が多い。日本は、外資出資比率、原産地比率、外国人取締役比
率など基本的な外資参入条件では、2006 年に OECD29 カ国中、8 番目に平等であるとの評
価されている5。反面、外資系企業に対するアンケート調査では、対日投資阻害要因として
約半数が「日本市場の閉鎖性、特殊性」を、6 割以上が「人材確保の難しさ」を挙げている
4
5
1995 年、2000 年、2005 年のデータから回帰した結果。
OECD[2006]
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6。基本的なルールは整備されているものの、明文化しにくい商慣行の透明化、語学堪能で
専門技術を持つ人材の育成など、幅広い取組みが必要な分野に課題が残っているといえる。
安倍首相は、所信表明演説で、「ヒト・モノ・カネ・文化・情報の流れ」において「アジア
と世界の架け橋となる『アジア・ゲートウェイ構想』」を打ち出し、日本からの「情報発信
力」の強化、
「主要な国際会議開催回数の 5 割増」、
「日本の国際空港などの機能強化」など
に言及したが、方向性と目標の提示にとどまらず、具体策を着実に積み重ねていくことが
望まれる。
(C)課題となる TFP の向上
日本の経済成長における各生産要素の寄与度を、生産関数をもとにした「成長会計」か
らみると(図表 2-5)、1980 年代には、労働投入が安定的にプラス寄与したことに加え、資
本投入が増加し、労働者一人当たりの資本装備や教育投資へのプラス効果を通じた全要素
生産性(TFP)の上昇として顕在化した。しかし、90 年代には、週休二日制の導入と人員
削減の加速により、労働投入がマイナスに転じた。資本投入もバブル崩壊後の過剰債務、
過剰設備の処理に追われるなかで鈍化し、TFP が大きく落ち込んだ。90 年代の TFP 低迷
の要因の一つとして、需要の拡大を優先する財政政策が維持されるなかで、生産性の低い
産業から高い産業へのリソースの移転が進まなかったことが指摘されている7。
しかし、2000 年代前半には TFP は年率 0.9%に持ち直した8。この背景には、①企業が、
「選択と集中」を通じた「三つの過剰」問題の解消により、新たな投資に動き出したこと、
②新興国の高成長を取り込む国際的な業務再編が進展したこと、③規制緩和や官民の研究
開発費の増加などを背景としたイノベーション力の再建がみられたこと、が挙げられる。
今後の労働投入の減少による成長力の押し下げ圧力を緩和するには、TFP の上昇トレン
ドの定着が欠かせないが、とくに③のイノベーション力の強化には取り組むべき課題が多
い。
まず、研究開発費の確保には、民間部門については資本効率向上に向けた不断の努力が
必要となる。日本企業の資本効率をアメリカのそれと比較すると、とくに流通、エレクト
ロニクス、食品などで効率化の余地が示唆される。この場合、M&A の有効活用は重要な選
択肢となっていこう。政府部門でも、一層の歳出構造のリストラによる研究開発予算を確
保が求められる。
また、企業競争力強化の鍵となる人材育成力の構築も急務である。バブル崩壊後、人件
費の削減が優先され、企業内の人材育成機能が大幅に低下した。このため、学校に語学を
はじめ実際的な技能・能力の教育を求める声が高まっているが、教師、予算、運営体制の
6
7
8
日本貿易振興機構[2006]
宮川[2003]など
生産関数を用いた TFP の試算は、①生産額の計上方法(付加価値ベースかグロスベースか)
、②資本や
労働の質的変化の反映方法、③資本稼働率の反映方法、④分配率の違い(付加価値ベースかコストベ
ース)、等の前提によって水準がかなり異なるが、90 年代の低迷はほぼコンセンサスとなっている。
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整備ともにニーズに追いついていない。産学連携の強化などにより、効率的で実効性のあ
る人材育成システムを構築することは喫緊の課題である。
さらに、規制改革により、サービス業を中心に生産性向上の遅れた分野を活性化させる
ことも重要である。政府の「規制改革・民間開放推進会議」は、市場化テストの導入、農
業分野への株式会社参入などの一定の成果を出し、2006 年 12 月に最終答申を提出した。
しかし、民間参入の範囲が当初案から後退した分野もあり、積み残された課題は多い。2007
年 1 月に発足する新たな規制改革推進の組織では、医療、教育、農業、空港・港湾サービ
スなどの分野で、より踏み込んだ規制改革を進めていくことが望まれる。
こうした施策は、競争力の高い海外企業が対日直接投資を拡大する呼び水となり、一層
の TFP の向上の好循環を生むためにも不可欠である。
(2)需要面
(A)高齢者市場の拡大
人口高齢化は需要面からをみると、さまざまな消費構造の変化をもたらす。第 1 に消費
者としての高齢者のシェアが高まるが、高齢者は人数だけでなく豊かさの面からも消費市
場におけるプレゼンスを高めると予想される。豊かさを支える要因としては、①年金給付
の抑制が小幅にとどまり、現役世代からの所得移転の構図が続くこと、②改正高年齢者雇
用安定法を背景に 60 歳代前半の就労者が増えること、③平均的な学歴の上昇を反映し賃
金・退職給付金の水準が向上すること、が挙げられる。加えて、資産を多く保有する高齢
者には、企業における株主重視の強まりに伴う配当収入増加、今後の金利正常化に伴う利
子収入の増加も追い風となろう。
ただし、世帯単位でみた消費額は、ライフサイクルに応じて変化し、平均的には 40 代、
50 代で最も膨らむ。このため、人口高齢化に伴いこの年齢層が減ると、マクロの消費にマ
イナスのインパクトを持つことを懸念する声がある。
そこで世帯主の年齢階層別の消費額を 2005 年の水準で固定し、世帯構成の高齢化の影響
を試算してみると、50 歳代世帯が団塊世代で膨らんだ 2000 年代前半には、年平均 0.7%ポ
イント程度の押し上げ効果があった。しかし、2000 年代後半には同 0.2%、2010 年代前半
には同 0.02%と徐々に低下し、2010 年代後半には同 0.2%の下押し圧力に転じる。0.2%程
度の下押し圧力であれば、所得の増大により消費市場の縮小を回避することは十分可能で
あるが、基調としてはマクロの個人消費の伸びは緩やかなものにとどまる。一方、シニア
マーケットの相対的な重要性が高まることにより、高齢者世帯の消費シェアは、第 3 章で
示される通り、2005 年の 32.4%から 10 年で 5.9%ポイント上昇する見通しである。
(B)所得構成の差異による消費行動の変化
第 2 に、人口高齢化により、所得の源泉を主に雇用者報酬に頼る現役世代のシェアが低
下する一方、年金、財産所得、資産の取り崩しに頼る高齢者のシェアが上昇すると、消費
行動のパターンにも変化が生じるとみられる。
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引退世帯(世帯主 60 歳以上の無職世帯)では、収入の約 7 割を年金に、約 2 割を資産の
取崩しに、残り 1 割を財産収入等に依存している(図表 2-6)。95%以上を仕事からの報酬
に頼る現役勤労者世帯に比べ、景気変動による影響を受けにくい。実際、近年の消費動向
を世帯タイプ別にみると、引退世帯では、勤労者世帯に比べ安定した動きを示している。
この安定層のシェア上昇は、景気変動による振れを小さくする効果が見込まれる。
一方で、人口高齢化は、これまでとは違う経路で景気変動を招く側面もある。資産価格
変動を通じた購買力への資産効果である。
日本では、金融資産の 7 割を世帯主 60 歳以上の世帯が保有しているため、高齢者層はそ
れだけ資産価格変動の影響を受けやすい。もちろん資産価格が上昇しても、長生きする可
能性等を考えると、高齢者がキャピタルゲインをすべて使うとは考えにくい。しかし、最
近の株価上昇を受けて活気付いた高額品消費市場では、海外長期クルーズなど高齢者が中
心となるものが少なくなかった。実際、マクロの個人消費と株価の相関は高まっている(図
表 2-7)。このため、個人消費拡大のタイミングが従来のパターンとずれる例がみられる。
従来は企業業績の回復から半期程度のタイムラグを持った賃金の上昇に沿っていたが、株
価は、企業業績の回復とほぼ同時かむしろ先行して動くためである。2000 年、2004 年に雇
用者報酬が伸び悩む一方で、消費の拡大がみられたのはこの典型である。
(C)高齢者世帯増加で成長する市場
高齢者世帯の消費行動は、内容的にも若年世帯とは異なるため、高齢者世帯の支出が多
い分野は、今後の成長分野となることが見込まれる(図表 2-8)。具体的には、
「リフォーム」
「医療・健康」「家事等代行」「冠婚葬祭」「ギフト」が挙げられる。また食費は、全体では
若年世帯を下回るものの、「和食」「くだもの」の分野では大きく上回るものが多い。個別
の商品、例えば食費についていえば、「和食」から「洋食」へ、「素材」から「加工品」へ
といった嗜好の変化を踏まえる必要があるものの、今後も基本的にはこうした分野への「年
齢効果」が期待できる。
引退後の時間的余裕を反映して、
「時間消費」型の趣味・娯楽活動への支出も多いが、こ
の分野はとくに有望である。睡眠・食事・仕事を除く余暇時間は、高齢者ほど長く、50 歳
代後半の有業男性が 1 日平均 5.7 時間であるのに対し、60 歳代前半の無業の男性では、11.2
時間と倍増する。現状では、テレビ視聴が大半を占めるが、余暇の充実を望む人は多く、
人口高齢化で日本人全体の「可処分時間」が増えると、余暇関連の潜在需要はますます大
きくなる。
さらに、人口高齢化は、個々の世帯のあり方の変化も加速させる。高齢化で労働力の減
少圧力が高まると、現役世代では女性の労働力化が一層進み、共働き世帯が増えよう。ま
た高齢者世帯では、とくに単身世帯が大きく増加する見通しである。こうした共働き世帯
と単身高齢者世帯の増加は、家事等の外注市場を拡大させる。
ニーズとしては、食事、通院などの送迎、防犯・見守りサービス、日常の細々した修理
や作業を行う「便利屋さん」などが挙げられる。外出が億劫な高齢者の自宅に話し相手と
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して出張するサービスも登場した。在宅サービスの場合、他人が自宅に入ることへの抵抗
感を考えると、担い手としては、一定のブランドをすでに確立している企業が関連分野に
進出する例が増えていくと予想される。見守りサービスなど、「外部性」の大きいものにつ
いては、行政によるアウトソーシングや NPO の活用といったかたちでの展開も予想される。
(D)需要面からみた課題
以上のような消費者の変化に対し、企業には、マクロの企業収益が悪化し、雇用者報酬
の伸びが期待できない場合に、いち早く高齢者向けの商品・サービスを強化することで、
売上の落ち込みを抑えるといった視点が重要となろう。また、人口高齢化で拡大が予想さ
れるモノやサービスは、最低限の住居修繕、医療を除けば選択的な支出であることに加え、
今後の高齢者は、すでに豊かな日本の消費社会を享受してきているだけに、売り上げ拡大
には顧客の満足度を高める工夫・差別化が欠かせない。衣服、家具などでは、高齢者の購
入単価が高いという傾向もみられ、質の向上、高付加価値化で量的減少を補う展開も重要
である。なお、当面は、団塊世代の引退で、年齢的にも「若い」高齢者が増えるため、嗜
好の面からも、従来以上に若さを意識した展開が重要となろう。
一方、政策課題としては、インフレの回避と社会保障制度の再建が挙げられる。高齢者
層は、平均的にみれば資産保有が多いものの格差も大きい。このため、インフレの昂進は、
預貯金など流動性は高いもののインフレで目減りする資産しか持たない者と、インフレの
影響を受けにくい株や土地を多く持つ者との格差を広げる。日本では、90 年代半ば以降、
長く物価の下落傾向が続き、今後も、新興国の生産能力拡大に伴うデフレ圧力は根強いと
予想されるが、一次産品価格の上昇、人手不足に伴う賃金上昇、財政赤字の放置による物
価や金利の上昇など、中長期的にみたインフレ昂進のリスクを軽視すべきではない。一方、
社会保障制度については、第 4 章で詳しく検討されるが、収入の多くを年金に依存する高
齢者が増えるだけに、制度自体への信頼回復が喫緊の課題である。
2.ストック面での影響
次に、ストック面に現れる影響について分析したい。一般的に、加齢するほど保有する
資産残高が増えていくため、人口の高齢化が進行するにしたがい、家計の資産残高は増加
すると予想されている。もっとも、家計部門が保有する資産には様々な形態があり、今後
の動向についても資産形態によって異なる展開が予想される。そこで以下では、家計の資
産を金融資産、実物資産(住宅、耐久消費財)などに細分化したうえ、人口動態の変化が
それぞれの資産残高や構成に与える影響を試算することによって、今後の動向を展望して
みた。
(1)試算の枠組み
まず、試算の枠組み・手順について説明しておく。試算の目的は、人口動態の変化が家
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計資産に与える影響を抽出することである。所得要因などの影響は分析の対象外とする。
そのため、試算の枠組みとしては、世帯主の年齢別に分けた一世帯当たり資産残高を基準
年で固定化したうえで、これに世帯数の将来予測値を掛け合わせることにより、家計全体
の資産残高・構成の変化を推計するという方法をとった。
具体的には、まず、国立社会保障・人口問題研究所の『日本の世帯数の将来推計』によ
り、2025 年までの世帯数を、世帯の種類別、世帯主の年齢別に集計した。世帯の種類は、
単身世帯と二人以上世帯の 2 分類である。世帯主の年齢は、次に述べる資産残高データに
合わせるために、29 歳以下、30∼39 歳、40∼49 歳、50∼59 歳、60∼69 歳、70 歳以上の
六つに分けた。次に、基準となる一世帯当たり資産残高の数値としては、総務省『全国消
費実態調査』2004 年を利用した。この資産残高統計は、大きく金融資産と実物資産とに分
かれている。金融資産は、貯蓄額から負債額を差し引いたネット残高であり、さらに貯蓄
については 5 形態に細分化されている。また、実物資産についても住宅、耐久消費財など
の内訳がある。これらの世帯数推計値と資産残高を掛け合わせ、各年齢層を積み上げるこ
とにより、全体の資産残高を算出した。
なお、この試算では、基準となる一世帯当たり資産残高と世帯数の変動を機械的に掛け
合わせて算出しているため、実績値とは必ずしも整合的ではないことに注意が必要である。
また、前述の通り、資産残高の変動に大きな影響を与えると考えられる所得環境や運用利
回りの改善、世帯人員の減少といった要因も無視されている。年齢ごとの資産保有形態が
基準年から変化しないという前提も置かれている。ここでの試算は、あくまで、人口動態
の変動が家計資産に及ぼす影響という一つの側面にスポットライトを当てたものである。
試算結果を概観すると、家計の資産残高は 2025 年まで増加を続けると予想される(図表
2-9)。その内訳をみると、とりわけ金融資産の伸び率が大きくなると見込まれる。住宅資産
は当面増加を続けるものの、2020 年以降は、世帯数がピークに達するため減少に転じる公
算が大きい。耐久消費財は足元ですでにピークにさしかかっており、今後は緩やかに減少
していくとみられる。以下では、それぞれについて試算結果を詳細にみていくことにする。
(2)金融資産への影響
まず、金融資産残高は今後も着実に増加していくと予想される。試算結果によれば、2005
年の金融資産残高は 441 兆円であったが、2025 年には 518 兆円と約 1.2 倍に増加すると見
込まれる。
ここで使っている金融資産の定義は「貯蓄−負債」で計算したネットベースであるため、
金融資産残高の増加の背景も貯蓄・負債の両面から捉えることができる。まず、貯蓄面で
は、高齢者世帯は若年層に比べて貯蓄残高が大きいため、高齢者世帯数が増加することに
よって、全体の貯蓄残高が押し上げられる。例えば、二人以上世帯の貯蓄残高を比較する
と、30∼39 歳の世帯では 644 万円にとどまるのに対し、70 歳以上の世帯では 2,211 万円に
達している。一方、負債面でも、高齢者世帯は負債残高が相対的に少ないため、高齢者世
帯数の増加が総負債残高を減らすというルートを通じて、ネットの金融資産残高を押し上
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げる力が働く。二人以上世帯で負債残高を比較すると、30∼39 歳の世帯では 856 万円であ
るのに対し、70 歳以上の世帯では 185 万円と 4 分の 1 に満たない。金融負債の大半は住宅
ローンであるため、住宅の第一次取得期(30∼39 歳ごろ)に多額の住宅ローンを借り、そ
の後数十年にわたって返済していくというライフサイクルを反映したものといえる。この
結果、世帯主の年齢別のネット金融資産残高をみても、49 歳以下の世帯では、少額貯蓄と
多額の負債という特徴を反映して、金融資産残高はほぼゼロにとどまっている(図表 2-10)。
しかし、50 歳を超えると、負債残高が減少する一方、貯蓄が増加していくため、急速に金
融資産残高が増加していく。
また、貯蓄の内訳をみると、預貯金などの安全資産の方が増加幅が大きくなると予想さ
れる。確かに、有価証券も 2005 年の 76 兆円から 2025 年の 88 兆円へ増加すると試算され
るため、「貯蓄から投資への流れ」はある程度弾みがつくことが期待される。しかし、安全
資産の増加額は、有価証券の増加額をはるかに上回っている。すなわち、通貨性預貯金が
107 兆円から 115 兆円へ、定期性預貯金も 300 兆円から 332 兆円へ増加するなど、この2
項目だけで 40 兆円も増加すると見込まれる。相対的にリスク許容度が大きい高齢者世帯が
急増するからといって、株式などへの選好が急速に強まることにはならず、家計全体でみ
ればリスク回避的な姿勢が続くことが分かる。ただし、この試算では、家計の貯蓄・投資
行動が基準年から変わらないという仮定を設けているため、家計の貯蓄・投資選択行動が
今後変化していけば、株式などへの配分が大きくなる可能性もある。
(3)耐久消費財への影響
次に、実物資産に目を転じると、まず耐久消費財の資産残高は、今後徐々に減少してい
くと予想される。2005 年時点において、家計は 60 兆円の耐久消費財を保有していたが、
2025 年には 57 兆円に減少すると試算された。
これには、金融資産とは逆のメカニズムが働いている。すなわち、高齢者の耐久消費財
の保有額は若年世帯に比べて少ないため、若年世帯数の減少、高齢者世帯数の増加によっ
て、全体の耐久消費財の保有残高を押し下げる力が強まるのである。この点に関しては、
具体的な品目を挙げて考えると理解しやすい。例えば、耐久消費財の半分を占める自動車
については、高齢者層では自ら運転する機会が減少するため、若年世代に比べて保有率が
低くなる傾向がある。また、子育てを終えて家族構成が小さくなるため、大型の耐久消費
財を必要としないことも理由として挙げられる。パソコン、携帯電話、DVD レコーダーな
ど最新機能を搭載した教養娯楽耐久財でも、市場拡大を牽引しているのは若年層であり、
高齢者層には浸透しにくいという事情も指摘できる。
とりわけ、高齢者世帯の耐久消費財保有額が少ない様子は、単身世帯において顕著に現
れている(図表 2-11)。例えば、30∼39 歳の単身者は 82 万円の耐久消費財を保有している
のに対し、70 歳以上の単身者は 47 万円しか保有していない。一方、世帯数をみると、39
歳以下の単身世帯数は 2005 年の 602 万世帯から 2025 年には 454 万世帯へ減少するのに対
し、70 歳以上の単身世帯数は 2005 年の 295 万世帯から 2025 年には 560 万世帯へ 2 倍近
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(株)日本総合研究所『高齢化が日本経済に及ぼす影響』
くに増加するなど、対照的な動きになると予測されている。このように、耐久消費財の保
有額が少ない層のシェアが上昇する一方、耐久消費財の保有額が多い層のシェアが低下す
るため、全体の保有残高が減少するのである。
(4)住宅資産への影響
二つめの実物資産として住宅資産についてみると、当面は緩やかに増加を続けるものの、
2020 年ごろをピークに減少に転じていくとみられる。基本的に一世帯が一戸の住宅を所有
していることを踏まえれば、住宅資産の増減は、より直接的に世帯数の動きを反映したも
のといえる。
住宅資産については、さらに詳細に分析することができるため、もう一つ別の試算を行
った。試算の基本的な枠組みは同じであるが、基準となる住宅ストックデータとして総務
省『国勢調査』の住宅戸数を使用した。国勢調査では、年齢別、世帯構成別に加えて、「持
ち家、公営の借家、公団・公社の借家、民営の借家、給与住宅、間借り」の 6 分類に分け
た住宅形態別データも利用することができる。そこで、年齢別、世帯構成別の住宅形態比
率を基準年で固定したうえ、『日本の世帯数の将来推計』における年齢別・世帯構成別の予
測値に住宅形態比率を掛け合わせて、住宅ストック(戸数)の将来推計を行った。
この試算の結果、住宅ストックの内訳に大きな変動が起きることが分かる(図表 2-12)。
すなわち、70 歳以上の住宅数が大きく増加する一方、39 歳以下の住宅数は大きく減少する
など、高齢者世帯と若年世帯で大きく変化する。そして、この若年世帯の減少が高齢者世
帯の増加を上回ることが、2020 年ごろから住宅ストックが緩やかに減少する原因として働
く。そこで、若年世帯と高齢者世帯の動向をより詳細にみてみた。
まず、世帯主が 39 歳以下の若年世帯の住宅戸数は、少子化を主因として、急速に減少す
るとみられる。住居の形態別に分けてみると、民営借家、給与住宅(社宅)の減少幅が最
も大きい。この 2 形態の減少数は 20 年間で 263 万戸と予測され、減少する住宅数の 3 分の
2 を占める。とりわけ、29 歳以下の民営借家は、2005 年の 403 万戸から 2025 年には 292
万戸に急減すると試算された。したがって、現在、若年層をターゲットとしている、ワン
ルーム・マンション、アパートなどの民営借家の需給バランスは、大きく崩れる可能性が
高い。民営・公営を合わせた借家の空室率は、2003 年時点で 17.6%に達しているが、今後
さらに上昇する公算が大きく、とりわけ、地方や都市中心部から離れた地域での空室率が
急上昇すると予想される。また、民営借家ほど減少数は多くないものの、39 歳以下の世帯
では、持ち家も 2025 年までの 20 年間で 109 万戸減少する見通しである。以上のように、
39 歳以下の若年世帯では、人口減少を主因として、すべての形態にわたって住宅ストック
が減少に向かうと予想される。
次に、世帯主が 70 歳以上の高齢者世帯の住宅戸数は、2005 年の 920 万戸から 2025 年に
は 1,456 万戸へ大きく増加する見通しである。住居形態別にみると、持ち家の伸びが際立
っている。2025 年までの 20 年間で 70 歳以上の住宅数は 536 万戸増加するが、このうち
415 万戸(77%)は持ち家に住む世帯によるものである。これは、高齢化するほど持ち家率
− 20 −
(株)日本総合研究所『高齢化が日本経済に及ぼす影響』
が高くなるため、増加する住宅の大半が持ち家に集中することが背景にある。また、若年
世帯では減少が見込まれる民営借家も高齢者世帯では若干増加する見通しで、若年世帯で
の減少をある程度相殺すると見込まれる。もっとも、若年層とは借家に対するニーズが異
なると思われるため、若年人口の減少が原因で発生した空室が、高齢者によって再利用さ
れるという展開は考えにくい。むしろ、若年層向け借家の空室率が上昇するのと並行して、
新たに高齢者対応の借家需要が盛り上がってくるというシナリオが考えられる。
(5)ストックを裏付けとする新たな市場
以上のように、少子高齢化の進行に伴い、家計の資産面においては、高齢者世帯の影響
が徐々に強まってくると予想される。高齢者世帯の保有残高が大きい金融資産や住宅資産
は、高齢者世帯の増加を通じて全体の規模も大きくなり、また全体に占める高齢者世帯の
シェアも急上昇する。一方、高齢者世帯の保有残高が小さい耐久消費財は、全体の残高が
減少していくと予想される。
以上を踏まえれば、今後の少子高齢化社会のなかで、家計資産の増加を裏付けとする新
たな市場拡大の可能性も見えてくる。とりわけ、今後、有望な市場として期待できるのは、
以下の 3 分野であろう。
第 1 に、豊かな金融資産の運用ニーズである。世帯主が 60 歳以上の世帯が持つ貯蓄残高
は、2005 年の 360 兆円から 2025 年に 437 兆円へ増加することが見込まれるため、資産運
用ニーズが一段と強まることが予想される。現在のところ、家計貯蓄の運用では預貯金の
シェアが高くなっているが、家計の資産運用ニーズにマッチした魅力ある金融サービスを
提供することができれば、家計の資産運用行動にも大きな変化が現れる可能性がある。な
お、今後の貯蓄増加は高齢者世帯の間で一様に起こるわけではないことには注意が必要で
ある。金融資産の世帯別分布をみると、高齢者になるほど資産格差が拡大する傾向にある。
したがって、今後の金融資産拡大局面でも、より裕福な高齢者世帯へ集中する可能性が高
い。その結果、運用ニーズが強まるのも、裕福な高齢者世帯が中心になると考えられる。
第 2 は実物資産の分野で、住宅の補修・維持・更新需要の拡大である。少子高齢化の進
行で新築需要は減少する可能性があるものの、①持ち家に住む高齢者世帯が急増すること、
②高齢者は居住地の移動に消極的で、現住居に住み続ける傾向がみられること、などを背
景に、リフォーム需要が急拡大していくと見込まれる。実際、総務省『住宅・土地統計調
査報告』で最近の増改築工事の状況をみると、居住室の増改築や水回り補修などに加えて、
階段や廊下の手すり設置や屋内の段差解消など、高齢者向けの設備工事を行う世帯が増加
していることが注目される。住宅リフォーム・紛争処理支援センターによれば、すでに住
宅リフォームの市場規模は 5 兆円(住宅投資の 3 割の規模)を超えていると推計されてお
り、今後、住宅市場での牽引力が強まっていくことが期待される。
第 3 は、リバースモーゲージの普及である。リバースモーゲージとは、自己所有の不動
産(持ち家)を担保にして、その不動産に住み続けながら生活に必要な資金を融資のかた
ちで定期的に受け取り、死後に不動産を処分して借入金を返済する仕組みである。これま
− 21 −
(株)日本総合研究所『高齢化が日本経済に及ぼす影響』
で日本ではあまり普及していないが、その最大の要因として、不動産価格が下落を続け、
担保割れリスクが極めて大きかったことが挙げられる。しかし、大都市圏を中心に、不動
産価格が緩やかな上昇に転じてきたため、リバースモーゲージを巡る環境は好転しつつあ
る。今後、持ち家に住む高齢者が急増することを勘案すれば、地価下落に歯止めがかかっ
た大都市圏を中心に、リバースモーゲージに対する需要が顕在化していくと予想される。
こうしたなか、リバースモーゲージ市場の拡大を実現するためには、金融機関による商品
設計面の工夫だけにとどまらず、普及の制約要因となる不動産価格下落リスク、金利上昇
リスク、長寿化リスクなどを政策面からサポートする制度を整えることも重要である。
【参考文献】
北村・藤木[1995]「国際比較研究へのパネルデータ分析の応用―Feldstein-Horioka パラ
ドックスの再検討」『金融研究』第 14 巻第 1 号(平成7年3月)
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成 18 年 12 月推計)
清家篤・山田篤裕[2004]『高齢者就業の経済学』日本経済新聞社
日本銀行[2003]「GDPギャップと潜在成長率」『日本銀行調査月報』2003 年 2 月号
日本貿易振興機構[2006]「平成 18 年度
対日直接投資に関する外資系企業の意識調査」
2006 年 12 月
宮川努[2003]「『失われた 10 年』と産業構造の転換--なぜ新しい成長産業が生まれないの
か」『失われた 10 年の真因は何か』東洋経済新報社
United Nations Population Division[2000] “Replacement migration: Is it a solution to
declining and aging population?”
OECD[2006]"OECD FDI Regulatory Restrictiveness Index: Revision and Extention to
More Economies" OECD Economics Departiment Working Papers No.525, 2006/12
− 22 −
(図表2-1)労働力率の推移(試算)
(%)
64
63
62
61
60
59
58
57
56
55
54
労働力率実績値
①年齢別労働力率不変
②60-64歳労働力率上昇
③M字型カーブ消滅
80
85
90
95
00
05
10
15
20
(資料)総務省「労働力調査」、国立社会保障・人口問題研究所
(年度)
「日本の将来推計人口」をもとに日本総合研究所試算
(注)②60∼64歳の労働力率が2013年までに18%上昇するケース。
③30∼44歳女性の労働力率が上昇し、2015年までにM字カーブ
が消滅するケース。
(図表2-2)労働投入の推移(試算)
年間実労働時間
(%)
2.0
就業者
労働投入
1.5
1.0
予測
0.5
0.0
▲ 0.5
▲ 1.0
▲ 1.5
前半
後半
80年代
前半
後半
90年代
前半
後半
2000年代
前半
後半
2010年
(資料)労働省、総務省資料をもとに日本総合研究所試算
(図表2-3)家計貯蓄率の推移(試算)
(%)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
▲5
▲ 10
▲ 15
▲ 20
▲ 25
▲ 30
▲ 35
▲ 40
▲ 45
1980
85
90
95
2000
(資料)内閣府ほかから日本総合研究所試算
財政
物価
所得
高齢化
その他
貯蓄率
予測
05
10
15
(年)
(図表2-4)OECD諸国の粗貯蓄率と粗投資率
90年代の傾向線
y = 0.32x + 14.67
(粗投資率、%)
80年代の傾向線
27
y = 0.35x + 15.37
24
21
18
2000∼2004年の傾向線
y = 0.04x + 20.51
15
15
18
21
24
27
(粗貯蓄率、%)
(資料)OECD "OECD Factbook"
(注)ドットは、2000∼2004年のOECD各国の平均値。
ハウスマン検定の結果、80年代と2000年代は固定効果
モデル、90年代はランダム効果モデルを採用。
(図表2-5)実質経済成長率の要因分解
(%)
6
年平均実質GDP成長率
5
労働投入寄与
資本投入寄与
TFP寄与
4
3
2
1
0
▲1
1981∼85
1986∼1990
1991∼95
1996∼2000
(資料)内閣府「国民経済計算」ほかから日本総研試算
2001∼05
(年)
(図表2-6)引退世帯と現役世帯の収入支出構造
【収入】
引退世帯
現役世帯
【支出】
受贈金・仕送
引退世帯
現役世帯
税・社会
保険料
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
(資料)総務省「家計調査報告」
(注1)引退世帯は世帯主が無職60歳以上、現役世帯は勤労者60歳未満の世帯。
(注2)引退世帯の勤め先収入は、世帯主以外の世帯員のもの。
100%
(図表2-7)1割の株価上昇が個人消費を変動させる度合い
(%)
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
▲ 0.2
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
(年
(資料)内閣府「国民経済計算」、日本経済新聞
(注)以下の消費関数の株価弾性値(α)*10。推計は、各年末までの5年間の四半期データを用いた最小二
乗法による。■は5%水準で有意、■は同10%水準、□は有意でない。
ln(名目個人消費)=定数項+α*ln(日経平均株価)+β*ln(名目雇用者報酬)
(図表2-8)世帯主60歳以上世帯と60歳未満世帯の消費支出の比較 分野
リフォーム
医療・健康
家事等代行
冠婚葬祭
ギフト
和食
くだもの
時間消費
その他
品目(世帯主60歳未満=100とした60歳以上世帯消費額)
外壁・塀等工事費、植木・庭手入れ代、畳替え、設備器具、工事費(注1)、給排水関係工事費、室内装
飾品、修繕材料、炊事用ガス器具、火災保険料、深夜電力電気代
保健医療用品・器具(注2)、出産を除く入院料、健康保持用摂取品、整骨(接骨)・鍼灸院治療代、栄養
剤、他の医薬品、医科診療代、胃腸薬
介護サービス、パーマネント代 、家事使用人給料、タクシー代、身の回り用品関連サービス
信仰・祭祀費、祭具・墓石、婚礼、葬儀を除く冠婚葬祭費、葬儀関係費
贈与金、 寄付金、子供用和服
豆類、魚介のつくだ煮、煮干し、干しいわし、緑茶、たい、牡蛎、昆布、干ししいたけ、かんしょ、餅、よう
かん、いわし、昆布つくだ煮を除く野菜・海藻のつくだ煮、清酒、昆布つくだ煮、まんじゅう、食塩、乾うど
ん・そば、豆腐、油揚げ・がんもどき、納豆を除く大豆製品、あじ、しじみ、さといも、砂糖、他の和生菓
子、かれい、鮮魚(注3)、ぶり、かつお節・削り節、さやまめ、乾物・海藻、塩鮭
りんご、柑橘類(注4)、メロン、みかん、もも、すいか、ぶどう、なし、オレンジ、グレープフルーツ、バナナ
外国パック旅行費、温泉・銭湯入浴料、園芸品・同用品、諸会費、国内パック旅行費、ペットフード、音楽
以外の教養的月謝、切り花、着尺地を除く生地・糸類
地代、着尺地、仕立代、男子用和服
(資料)総務省「家計調査報告」(農家含む二人以上世帯)
(注1)給排水工事、外壁・塀等工事を除く。
(注2)紙おむつ、保健用消耗品、眼鏡、コンタクトレンズを除く。
(注3)まぐろ、あじ、いわし、かつお、かれい、さけ、さば、さんま、たい、ぶり、いか、たこ、えび、かにを除く。
(注4)みかん、グレープフルーツ、オレンジを除く。
(注5)2001∼2005年平均。世帯主60歳以上世帯の消費額が60歳未満世帯の1.5倍以上あるもの。分類は日本総合研究所
による。
(図表2-9)家計の資産残高の推計
資産総額
金融資産(純)
貯蓄
通貨性預貯金
定期性預貯金
生命保険など
有価証券
その他
負債
住宅・土地のため
実物資産
住宅・宅地
現住居
宅地
住宅
現住居以外
宅地
住宅
耐久消費財
自動車
ゴルフ会員権等
2005
1,671
441
655
107
300
159
76
12
214
184
1,230
1,164
911
723
188
253
199
54
60
29
6
2010
1,756
475
687
112
317
164
82
12
212
182
1,281
1,215
951
760
191
264
208
56
60
29
6
2015
1,806
496
705
115
327
166
85
12
209
179
1,310
1,244
975
783
192
269
213
57
60
28
6
2020
1,824
508
710
115
331
165
87
12
203
173
1,317
1,253
981
793
189
271
215
57
58
27
6
(兆円)
2025
1,826
518
710
115
332
164
88
11
192
164
1,309
1,246
975
792
183
271
215
56
57
26
6
(資料)総務省「全国消費実態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」
(万円)
(図表2-10)一世帯当たりの金融資産残高(純)
2,000
単身世帯
1,500
二人以上の世帯
1,000
500
0
▲500
∼30
30∼39
40∼49
50∼59
60∼69
(資料)総務省「全国消費実態調査」2004年
70∼
(歳)
(図表2-11)一人当たりの耐久消費財保有額
(万円)
単身世帯
80
二人以上の世帯
60
40
20
∼30
30∼39
40∼49
(資料)総務省「全国消費実態調査」2004年
50∼59
60∼69
70∼
(歳)
(図表2-12)世帯主の年齢、住宅の形態別にみた住宅ストックの増減予測(2005年→2025年)
(万戸)
総数
持ち家
総数
0∼29歳
30∼39歳
40∼49歳
50∼59歳
60∼69歳
70∼79歳
80歳∼
60
▲152
▲261
33
▲15
▲80
209
327
158
▲14
▲95
▲18
26
▲57
157
257
公営の借家 公団・公社 民営の借家 給与住宅
の借家
22
▲1
▲91
▲29
▲6
▲3
▲112
▲13
▲15
▲8
▲114
▲24
▲1
▲0
▲1
▲1
5
2
27
4
1
▲0
7
0
15
4
29
1
20
4
40
1
(資料)総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」
間借り
1
▲4
▲5
▲0
1
0
2
5
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