Comments
Description
Transcript
資料4 公共建築物のライフサイクルコスト試算について
資 料 4 公共建築物のライフサイクルコスト試算について ① 1 LCCの試算方式について 参考 公共施設等の種類ごとに、耐用年数経過後に更新し、毎年均等に改修すると仮定 延床面積の数量に更新・改修・施設管理単価を乗じることによりLCCを試算 (延床面積)×(施設管理・更新・改修単価)=(施設管理・更新・改修費用) 平成23年3月「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書」 〔公共施設及びインフラ資産の更新に係る費用を簡便に推計する方法に関する調査研究〕 (財団法人自治総合センター) ○ 更新費用の試算方式について 2 公共建築物の更新・改修単価の設定の考え方 更新期間を60年とする場合(長寿命化) 公共施設等の種類ごとに、耐用年数経過後に現在と同じ延床面積で更新すると仮定 延床面積の数量に更新単価を乗じることにより、40年度分の更新費用を試算 (単位:千円/㎡) 施設区分 更新(建替え) 60年に1回 改修単価 年あたり 備 考 市民文化系、社会教育系、 行政系施設 400 4.2 250(千円/㎡)÷60(年) スポーツ・レクリエーション系 等施設 360 3.3 200(千円/㎡)÷60(年) 学校教育系、子育て支援施 設 330 2.8 170(千円/㎡)÷60(年) 公営住宅 280 2.8 170(千円/㎡)÷60(年) (整備年度ごとの延床面積)×(更新単価)=(更新費用) ○ 耐用年数・更新の考え方 建築物の耐用年数を60年と仮定し、建物附属設備(電気設備、昇降機設備等) 及び配管の耐用年数が概ね15年であることから2回目の改修である建設後30年 で建築物の大規模改修を行い、その後30年で建て替えると仮定 ○ 公共施設等の建築物の更新単価の設定の考え方 更新期間を35年とする場合 (単位:千円/㎡) (単位:千円/㎡) 更新(建替え) 60年に1回 大規模改修 30年に1回 市民文化系、社会教育系、 行政系施設 400 250 200(千円/㎡)÷60(年)×35/60 スポーツ・レクリエーション系 等施設 360 200 1.7 170(千円/㎡)÷60(年)×35/60 学校教育系、子育て支援施 設 330 170 1.7 170(千円/㎡)÷60(年)×35/60 公営住宅 280 170 施設区分 更新(建替え) 35年に1回 改修単価 年あたり 備 考 市民文化系、社会教育系、 行政系施設 400 2.4 250(千円/㎡)÷60(年)×35/60 スポーツ・レクリエーション系 等施設 360 1.9 学校教育系、子育て支援施 設 330 公営住宅 280 ※ 改修単価は、更新期間60年の場合を基準として更新期間に比例して算出 施設区分 ※建築コストの地域差については考慮しない。 ※建替えに伴う解体、仮移転費用、設計料等については含むものとする。 1 公共建築物のライフサイクルコスト試算について ② 3 整備パターンの設定 パターンA :施設X、Yを解体し、同跡地に施設X、Yを建て替え、35年間使用した後、同様に建て替え パターンB :施設X、Yを60年まで使用した後、同跡地に施設X、Yを建て替え、その後60年間使用 パターンC :施設X、Yを解体し、施設X跡地にコンパクト化して建て替え、その後60年間使用 パターンC’:施設X、Yを解体し、施設Y跡地にコンパクト化して建て替え、その後60年間使用 パターンD :施設X、Yを60年まで使用した後、解体し、施設X跡地にコンパクト化して建て替え、その後60年間使用 パターンD’:施設X、Yを60年まで使用した後、解体し、施設Y跡地にコンパクト化して建て替え、その後60年間使用 パターンA 施設X 建替 施設X 施設Y 建替 パターンC’ パターンC パターンB 施設Y 施設X 施設Y 施設X コンパクト 化 耐用年数まで 使用 施設Y パターンD’ パターンD 施設X 施設Y コンパクト 化 施設X 耐用年数まで 使用 耐用年数まで 使用 コンパクト化 35年 使用 施設Y コンパクト化 35年 使用 6 長 0 寿 年 命 使 化 用 ) ( 6 長 0 寿 年 命 使 化 用 ) ( 6 長 0 寿 年 命 使 化 用 ) 6 長 0 寿 年 命 使 化 用 ) ( ( ) 6 長 0 寿 年 命 使 化 用 ( ( 6 長 0 寿 年 命 使 化 用 ) 35年 使用 35年 使用 4 前提条件の設定 前提条件 パターンA 従来手法(事後保全) パターンB 長寿命化(計画保全) ※ 2施設とも建替えし、長寿命化しない 施設区分 延床面積(更新前)(㎡) 築年数 更新サイクル(更新前) 更新までの残存期間 延床面積(更新後)(㎡) 施設管理単価(千円/㎡/年) 更新サイクル(更新後) 改築面積(㎡/40年間) 更新単価(千円/㎡) 改修単価(千円/㎡/年) 長寿命化使用年数(年) 長寿命化改修単価(千円/㎡/年) 貸付収入(百万円/年) パターンC コンパクト化+長寿命化 ※ 2施設とも長寿命化 ※ 施設X跡地に建替え パターンC’ コンパクト化+長寿命化 ※ 施設Y跡地に建替え パターンD 長寿命化+コンパクト化 ※ 施設X跡地に建替え パターンD’ 長寿命化+コンパクト化 ※ 施設Y跡地に建替え 施設X 施設Y 2施設計 施設X 施設Y 2施設計 施設X 施設Y 2施設計 施設X 施設Y 2施設計 施設X 施設Y 2施設計 施設X 施設Y 2施設計 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 行政系施設 3,337 43 35 -8 3,337 7.4 35 6,674 400 2.4 60 4.2 0.0 3,752 38 35 -3 3,752 16.3 35 7,504 400 2.4 60 4.2 0.0 7,089 7,089 14,179 3,337 43 60 17 3,337 7.4 60 3,337 400 2.4 60 4.2 0.0 3,752 38 60 22 3,752 16.3 60 3,752 400 2.4 60 4.2 0.0 7,089 7,089 7,089 3,337 43 43 0 6,171 7.4 60 6,171 400 2.4 60 4.2 0.0 3,752 38 0 0 0 16.3 0 0 400 2.4 60 4.2 23.7 7,089 6,171 6,171 3,337 43 0 0 0 7.4 0 0 400 2.4 60 4.2 18.5 3,752 38 38 0 6,171 16.3 60 6,171 400 2.4 60 4.2 0.0 7,089 6,171 6,171 3,337 43 60 17 6,171 7.4 60 6,171 400 2.4 60 4.2 0.0 3,752 38 55 17 0 16.3 0 0 400 2.4 60 4.2 23.7 7,089 6,171 6,171 3,337 43 60 17 0 7.4 0 0 400 2.4 60 4.2 18.5 3,752 38 55 17 6,171 16.3 60 6,171 400 2.4 60 4.2 0.0 7,089 6,171 6,171 (注1)施設管理単価は、施設ごとの年間費用から1㎡あたりの単価を算出し、コンパクト化する場合は、両施設の施設管理単価の平均を使用 (注2)更新単価、改修単価は財団法人自治総合センターの単価設定を参考に算出 (注3)60年で更新(長寿命化する)場合の改修単価を基準とし、35年で更新する(長寿命化しない)場合は更新サイクルに比例して算出 (例)35年で建て替える場合 4.2千円×35年/60年=2.4千円 2 公共建築物のライフサイクルコスト試算について ③ 5 整備パターンの比較検証 (図3) LCCの将来予測 パターン別 LCC予測(総計) 総計 パターンA :両施設35年サイクルで建て替え パターンB :両施設60年サイクルで建て替え パターンC :施設X跡地にコンパクト化し、その後60年間使用 パターンC’:施設Y跡地にコンパクト化し、その後60年間使用 パターンD :両施設を60年まで使用後、施設X跡地にコンパクト化し、その後60年間使用 パターンD’:両施設を60年まで使用後、施設Y跡地にコンパクト化し、その後60年間使用 (百万円) 10年後 30年後 20年後 40年後 50年後 60年後 パターンA (従来手法) 14,000 パターンB (長寿命化) 12,000 パターンC (X跡地集約+長寿命化) (図1) LCC比較 10,000 年平均 パターンC’ (Y跡地集約+長寿命化) パターン別 LCC比較(年平均・40年間) (千円) パターンD (長寿命化+X跡地集約) 8,000 3 00,0 00 パターンB 2 4 4 ,7 2 1 パターンC、C’ パターンD’ (長寿命化+Y跡地集約) 6,000 2 50,0 00 1 8 6 ,1 6 4 管理費 85,780 2 00,0 00 1 60 ,44 6 1 6 0 ,4 4 6 1 67 ,47 3 パターンA 4,000 1 6 7 ,4 7 3 パターンD、D’ 1 50,0 00 更新費 85,780 73,065 78,469 73,065 78,469 1 00,0 00 改修費 141,785 70,893 50,0 00 29,491 17,156 0 パターンA パター ンB 61,710 61,710 61,710 61,710 25,671 25,671 27,295 27,295 パターンC’ パターンD パターンC パターンD’ (図2) 純コスト比較 パターン別 純コスト(支出-収入)比較 年平均 (千円) 300,000 244 ,72 1 (支出)施設管理費、更新費、改修費の合計 (収入)コンパクト化に伴い、跡地から得られる貸付収入 ※ 貸付収入は、相続税路線価から求めた土地価格の3%とする 2,000 0 H25 H30 H35 H40 H45 H50 H55 H60 H65 H70 H75 H80 結果の考察 ●パターンC、Dは2施設をコンパクト化するため、パターンA、Bよりも パターンC、DのLCCが低廉(優位)となる(図1) ※パターンAは2施設を2回、パターンBは2施設を1回ずつ建て替えることから、 パターンC、D(コンパクト化により延床面積が小さくなる)と比べて、40年間 の総額で見た更新費は高くなる。 ●パターンC、Dの更新費は同額であるが、管理費、改修費はパターンCが低い ことから、LCCはパターンC(C’)が低廉(優位)となる(図1、図3) 250,000 186,164 200,000 15 6,8 12 1 36,737 141 ,90 4 153 ,84 1 150,000 100,000 ※パターンCとDとの比較において、パターンCはDに比べ早期に更新する (コンパクト化により延床面積合計が早期に小さくなる)ことから、40年間の 総額で見た改修費はパターンDより低廉となる。 ●パターンC、Dにおいて、パターンCはDよりも早く土地が空くことから、 貸付収入を加味した純コストでは、パターンCが低廉(優位)となる(図2) 50,000 0 パター ンA パター ンB パター ンC パターンC’ パターンD パターンD’ ※パターンCとC’との比較において、Cの方が貸付収入が上回ることから、 純コストではCが最も低廉(優位)となる。 3