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2013 Vol.16
2013
Vol.16
表紙写真
瀬戸内町立池地小中学校・中学3年生英語の授業の様子から
- 目 次 -
■ 随
想
「3CプラスCで幸せに」
ページ
1~2
鹿児島大学男女共同参画推進センターコーディネータ 山口眞理
■ かごしま教育NOW
■ 南 北 600㎞ の 教 育
■ 私の実践紹介
■ 人権同和教育情報
■ すぐに使える
学校情報
■ 夏トライ!グレードアップ・ゼミ
∼県立高校学力向上推進プログラム∼
なん し ゆ ん
■ 公 立 で は 全 国 初 ! 全 寮 制 男 子 校 の 中 高 一 貫 教 育 校 「楠 隼 」
が 平 成 27年 4月 に 誕 生 し ま す 。
■「教職員のためのスキルアップ講座」
∼学級経営等におけるコミュニケーションづくり∼
■ チ ャ レ ン ジ 霧 島 in Winter
∼冬景色の霧島山縦走とスケート体験∼
■ 学校ネットパトロール事業について
■ 不祥事の根絶をめざして
■ 小規模集合学習と読書活動日本一を目指す出水の教育
■ 市来農芸高校における寮教育の効果
県立市来農芸高等学校 教諭 前田陽市
■「言葉」を大事にできる子どもの育成を目指して
いちき串木野市立荒川小学校 教諭 中村すみれ
■ 共に生きる社会を目指して ∼障害者の人権∼
■ 生徒指導ワンポイント情報/平成24年度児童生徒の問題
行動等の概要 (鹿児島県公立学校分)
■ 学力向上ワンポイント情報/思考力・表現力の育成(算数
・数学)
∼平成25年度全国学力・学習状況調査の結果から∼
■ 体力向上ワンポイント情報/
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14~15
16
「 た く ま し い “ か ご し ま っ 子 ”」 育 成 推 進 事 業
■ 若いこだま
■ 学校づくりへの思い
■ 郷土の文化財
体 力 向 上 プ ロ グ ラ ム に 基 づ い た 体 力 向 上 の 取 組 N o .2
■ 生徒と共に
鹿児島市立桜島中学校 教諭 有田雄介
■ アニマシオン効果を活用した学校経営の充実
日置市立東市来中
学校 校長 隈元浩二郎
おお すみ し よ う はち まん ぐう
しや け あと
■ 国指定史跡 大隅 正 八幡宮及び社家跡
( 平 成 25年 10月 17日 指 定 )
■ 教職員の福利厚生についてのお知らせ
■ くらしに役立つ
福利厚生情報
■ 表紙写真紹介
■ 瀬戸内町立池地小中学校紹介
17
17
18
19
20
随
想
3CプラスCで幸せに
鹿児島大学男女共同参画推進センター
コーディネータ
山口眞理
私は,出産を機に教職を退職しました。 るだけ少なくしていくことが,多様な個人
育児は女性の自分がするものというgender や性差への対応やより安心安全な社会つく
(固定的性別役割分担意識)にとらわれて りおいては必要だということを意味してい
いたと思います。しかしながら,その後, ます。
期限付き教員として多様な校種での経験が
私は,鹿児島県男女共同参画基礎講座で
支えとなって,今につながっているように 出会ったH先生から ,「3C」という言葉を
思います。
教えていただきました。 自分の価値観や考
鹿児島大学は,
「 一人ひとりが伸びやかに , え方に向き合う機 会を得る(Chance ),gend
自分らしく輝くために」をモットーに,男 er意識に気づき,問題解決やよりよい人間
女共同参画の意識啓発や広報,ワーク・ラ 関係つくりのための言動をする(Challeng
イフ・バランス支援,女性研究者支援を推 e ),それが自分や社会を良い方向に変える
進しています。今は,女性研究者支援に特 (Change),というものです。そして,今の
化しており,育児や介護などのライフイベ 立場になって,多くの方との出会いを通し
ント支援や次世代育成支援としての科学体 て,人と人のよりよいつながりを作る(Cir
験塾などの中高校生向けのイベントも実施 cle)こと,3CプラスCで男女共同参画を
しています。それらのことが,学内外の男 推進していきたいと思います。
女共同参画意識醸成の契機となって,世代
人とのよいつながりは心地よいやりとり。
や性別,障がいや国籍等に柔軟に対応でき 人の言動そのものがつながりを作ります。
るダイバーシティへと進んでいくのではな 言動は意識そのもの。意識は見えません。
いかと思います。
自分の意識さえ,見つめなければ分からな
さまざまな人権課題に横串を通している い,気づくことができないということを,
男女共同参画は,個人や社会に対して,gen 私は特別支援校で経験しました 。 個別の支
derに気づくことができるか,ということを 援が必要な子どもとの1対1の授業では,
問いかけています。また,環境や意思決定 自分の言葉かけや行動そのものが授業を作
過程の現状を表している男女の比率差等の ります。困り感への対応を常に意識してか
男女共同参画データからは,その差をでき かわることの大切さ,命の重さを教えてく
1
プロフィール
れたのは,子供たちでした。そっと寄り添
う際にも相手を思う心を込めること,そん
な当たり前のことさえも。
国立大学法人
1年前に父を看取り,母が独居となり
鹿児島大学男女共同参画推進
センターコーディネータ
ました。介護も始まり,人は人が支える
ものと,更に思うようになりました。20
鹿児島県霧島市生まれ
20年には東京オリンピック・パラリンピ
鹿児島大学教育学部特別教員養成課程(保健
ック,鹿児島県においては国体が開催さ
体育科)卒業
れます 。「90歳だけど行ってみたい」と
言う母と,男女共同参画の視点が活かさ
これまでの勤務校(着任順)
れた大会を観戦できるのを楽しみにして
鹿児島市立伊敷中学校
います。ランニングを始めて15年ほど ,
鹿児島市立坂元小学校
私にとって,走ることは自分を見つめる
鹿児島県立串木野養護学校
よい時間となっています。マラソンへも
金峰町立金峰中学校
挑戦しており,ゴールしたときはいつも ,
鹿児島県立皆与志養護学校
達成感とともに,大会関係者のサポート
鹿児島県立加治木養護学校
や声援への感謝が感動となり,一人では
平成24年4月より現職
生きられないことを思い知らされます。
とはいえ,独居となった母との会話はか
〈モットー〉
み合わない,家族にかける言葉には反省
〈大切にしていること〉
の日々。それでも,マイモットーである
自分を見つめる時間
「人が人を支える」ことを大切にし,
「3
CプラスCで幸せに」と日々過ごしてい
きたいと思います。
2
人は人が支える
名前
かごしま教育NOW
夏トライ!グレードアップ・ゼミ
~県立高校学力向上推進プログラム~
高校教育課
夏トライ!グレードアップ・ゼミ
心理学の見地から,
「成功につながる体験をする」
,
「現在の力で到達可能な目標をつくる 」,「欲求不
満体質をなくす」など,高校生が日頃学習に集中で
きずに悩んでいることに対して,指針となるような
話をうかがうことができました。
有倉先生のユーモアを交えた講演を聞き,参加し
た高校生は本ゼミに臨む意欲を更に高めたことと思
います。
平成25年度の「夏トライ!グレードアップ・ゼ
ミ」を8月4日∼6日の3日間,鹿児島中央高校
を会場として開催しました。
本ゼミは県内の公立高校2年生を対象に行われ
ており,進学について同じような意識を持った高
校生が一堂に会し,切磋琢磨しながら学習するこ
とで進学意識を明確にすることを目的としていま
す。
講 座
平成25年度は県内25校から326人の高校生が参加
し,普段の授業とは異なる雰囲気の中,各教科の
1コマ80分の密度の濃い講座が国語・数学・英語
授業に取り組みました。
それぞれ2コマ,地理歴史・理科それぞれ1コマの
合計8コマで実施されました。異なる制服が隣り合
わせで授業を受ける適度な緊張感の中,普段の学習
の方法など丁寧な指導を受ける姿が見られました。
また,第1日目最後の生徒交流会では,自己紹介
等を通して他校の生徒との交流を深めました。
講
演
会
開会式に引き続き,進路意識を向上させるため
の講演会が行われました。
本年度は鹿児島大学教育学部附属教育実践総合
センターの有倉巳幸教授をお迎えし ,「夢をかな
えるために」と題して,動機づけの大切さについ
て話していただきました。
感
想
参加した高校生の感想を一部紹介します。
・他の高校の生徒との会話がとても良い刺激にな
った。
・狭かった自分の世界観や価値観が広くなった気
がする。
・今まで知らなかった解き方などを知る事ができ
た。
この体験を自分の学校へ戻って周りの友人に伝
えてほしいと思います。
3
かごしま教育NOW
なんしゅん
公立では全国初!全寮制男子校の中高一貫教育校「楠 隼」が
平成27年4月に誕生します。
高校教育課
「楠隼」はどんな学校?
「楠隼」にはどんな寮ができるの?
併設型の中高一貫教育校で,通学区域は定めず
に県内外から生徒を募集し,平成27年4月に,現在
の高山高校の敷地に開校します。
「楠隼」が育てる人間像
1
2
3
高い志をもち,節義ある行動のとれる人
豊かな人間性をもつ人
世界・日本の様々な分野でリーダーシップを
発揮できる人
具体的な教育内容
【校舎と寮のイメージ】
1
中学校・高校ともに7限授業を実施し,学力
向上に努め,難関大学への道を拓きます。
2 実践的な「国語」や「外国語」の言語能力の育成
を図り,思考力や表現力を育成します。
3 ロケット発射場がある立地を生かし,JAXA(宇
宙航空研究開発機構)と連携した宇宙教育をし
ます。
4 地元大隅をはじめとした,かごしまの良さを
学ぶ様々な体験活動をします。
5 産業界や国内外の大学と連携したキャリア教
育を実施します。
6 寮に学習指導員を配置し,学校だけでなく寮
でも学習指導を充実させます。
7 仲間とともに規則正しい寮生活を送ること
で,自立心を育てます。
寮生活について
寮内の各居室は,全室個室で空調を完備します。
安全を見守るスタッフとして,舎監や寮監,ケア
サポーターを配置し,保健室も設置します。
農業や畜産業が盛んな大隅の地の利を生かした,
安心・安全な食材による食事を提供し,あわせて
食育も推進します。
各寮棟には学習室を設置し,学習指導員による
講座を行うほか,個別指導や予習・復習の指導も
行います。さらにパソコンを複数配備したメディ
アスペース(パソコン付き図書室)も設置し,総
合的な学習の時間や進路学習に必要な情報検索も
できるようにします。
中高一貫の利点を生かした教育
「楠隼」の生徒募集はどうするの?
「楠隼」のような中高一貫教育校においては,特
色ある教育課程を編成することができるよう,教
育課程の基準の特例を設けられています。その一
つが高校の学習内容を,中学校で先取りできるこ
とです。これを生かして,国語・数学・英語は,
中3の段階で高校の学習内容に入ります。
もう一つの特例が,中学校の各教科の授業時数
を70時間まで減らし,その代わりの内容の選択教
科の授業時数に充てられることです。これを生か
して,思考力や表現力を育成できるよう「ことば探
究」や「数学探究」という「楠隼」独自の教科を開設し
ます。
さらに,中学生と高校生が同じ校舎内で生活す
ることから,中高一体の校時表や行事予定に基づ
いて,学校生活を送るとともに,中高双方の教員
による交流授業を行い,中学から高校への円滑な
接続と高校での見届けを行います。
詳細は「入学者選抜実施要項」が完成してからに
なりますが,おおよそのイメージは下図のとおり
です。
4
かごしま教育NOW
「教職員のためのスキルアップ講座」
∼学級経営等におけるコミュニケーションづくり∼
鹿児島県立青少年研修センター
事業趣旨
○
8月8日・9日,教職員を対象に,児童生徒の
コミュニケーション能力を高め,学級の仲間づく
りや特別活動等で体験活動を指導する際の,指導
者としての資質向上を図ることを目的に標記の講
座を実施しました。
内
容
集団宿泊学習のほか,学級経営等に生かすこと
ができるように,集団の信頼関係を築くレクリエ
ーションの進め方,学校の体験活動等で役立つ危
険予知トレーニング,自然の素材を活用したクラ
フト活動(竹箸・竹筒茶碗作り ),安全指導を含
めた野外炊事を行いました。
○
【炊き込みご飯用の器作り】
薪の組み方を工夫した野外炊事
野外で包丁を使用するときの注意点ややけ
どの予防法について学んだ後,野外炊事を行
いました。今回のメニューは火の調整が難し
いものでしたが,薪の組み方を工夫して炊き
込みご飯と茶碗蒸しを作りました。受講者は,
できあがった料理を堪能していました。
活動の実際
○
自然の素材を利用したクラフト活動
施設内の竹林
にある孟宗竹で
竹ばし,竹筒茶
碗,盛り皿等を
製作しました。
学校の授業で
用する小刀やな
の安全な使い方
実践を通して学
びました。
学校の体験活動で役立つKYT(危険予
知トレーニング)
危険を予測するスキルを養う活動としてK
YTを行いました。
シートを使って,
危険な場所を探し,
回避するための方
法について発表し
ました。
参加者からは,
「今後に生かせるこ 【危険予知トレーニング】
とをたくさん 学ぶことができました 。」等の
コメントがありました。
○ 互いの絆を深める野外活動の実際
仲間づくりや集団の信頼関係を築くための
野外活動を8,9人のグループで行いました。
竹製の輪を指に乗せて息を合わせてゆっくり
と下ろしていく「UFO」では,お互いに声
を掛け合いながら挑戦しました。また,斜面
を登る「滝のぼり」では,手や足を精一杯伸
ばしてつかみ合い,協力しながら頂上を目指
しました。
体験活動を通して,コミュニケーションの
重要性や協力することの大切さを体感できま
した。
【野外協力ゲーム:UFO・滝のぼり】
5
【炊飯活動の様子とできあがった料理】
○
集団宿泊学習を充実させる計画・立案
プログラムデザインシートを活用して, 集
団宿泊学習の企画を行いました。まず,児童
の実態や課題,教
師や学校の願いや
思いをもとに,集
団宿泊学習のねら
いを立てました。
その後,ねらいを
達成するための活
動プログラムを立
【発表する参加者】
案しました。
スキルアップ講座の成果
参加された教職員のアンケートを紹介します。
○ どのプログラムも充実していてよかったで
す。集団宿泊学習はもちろんのこと,普段の
学校生活にも生かせそうで,今回学ぶことが
できてよかったです。
○ 子どもたちの体験も大切だと思いますが,
教師自身がこのように体験して学ぶことも大
切だと感じました。
○ レクリエーションやKYTなど,今後に生
かせるものをたくさん学ぶことができました。
かごしま教育NOW
チャレンジ霧島 in Winter ~冬景色の霧島山縦走とスケート体験~
鹿児島県立霧島自然ふれあいセンター
事業趣旨
ました。甑岳での美しい樹氷は参加者に感動
を与えました。
県立霧島自然ふれあいセンターでは,毎年,冬
季に「チャレンジ霧島 in Winter」を実施していま
す。極寒の冬山登山を通して,心身の強さと他人
を思いやる心を培い,生命や自然を大切にする心
豊かでたくましい児童生徒の育成を図ることがこ
の事業のねらいです。
背景
【霧島山縦走での記念撮影】
3日目の様子
この事業は,小学校5年生から高校3年生を対
象に平成9年の開所時から毎年実施しています。
冬の霧島の自然を思い切り味わうことのできる,
当センターならではの名物行事になっています。
○
内容
スケート体験,閉会式(踏破証授与)
○ 活動の様子
この企画を通してできた仲間とともに笑顔
がはじけ,楽しくスケート体験する様子が見
られました。
昨年度の事業の様子
12月22日(土)から24日(月)の2泊3日の日
程で行いました。募集定員を上回る申込みがあり,
先着順で申し込んだ35人で実施しました。
1日目の様子
○ 内容
開会式,仲間づくり,冬山登山における装
備装着の練習,冬山登山の講習や準備
○ 活動の様子
登山専門家による冬山登山の事前講習によ
り,参加者全員が安心・安全に冬山登山をす
る準備を整えることができました。
【アイススケート体験】
【踏破証授与】
参加者の感想
○ あまり仲間づくりが得意ではなかったけど,
たくさんの仲間ができてうれしかったです。
「チ
ャレンジ霧島」を終えて自分に自信が持てるよ
うになりました。
○ 今まで山に興味はなかったけど,この行事
に参加して山の厳しさを味わったり,樹氷を
実際に見ることができたりしてよかったです。
本年度の実施計画
【冬山登山の装備装着練習と講習】
2日目の様子
○
実施期日
平成26年1月11日(土)∼13日(月)
○ 実施場所
県立霧島自然ふれあいセンター及びえびの
高原周辺
○ 募集対象及び募集定員
小学校5年生から高校3年生35人
○
内容
霧島山縦走(大浪池∼韓国岳∼硫黄山∼不
動池∼甑岳),ふりかえり
○ 活動の様子
寒い中での霧島山縦走でしたが,お互いを
励ましあいながら,全員縦走することができ
6
すぐに使える学校情報(生徒指導情報)
学校ネットパトロール事業について
義務教育課
調査結果(第1回,第2回における中学校・高
等学校の検出結果)
これまでの調査で,誹謗中傷や多くの個人情報
の流布等の実態が明らかになりました。
※ 第1回(平成25年8月6日から8月31日の
期間における調査)
※ 第2回(平成25年9月1日から9月30日の
期間における調査)
1 学校種別ごとの件数内訳(件)
高等学校
中学校
計
第1回
351
53
404
第2回
821
60
881
2 リスクレベル内訳
高
中
低
計
第1回
0
1
403
404
第2回
0
1
880
881
3 投稿分類
いじめ・中傷
不法行為
トラブル
第1回
10
1
0
第2回
3
1
0
個人情報の流布
その他
計
第1回
365
28
404
第2回
847
30
881
検出された事例
【個人情報の流布】
ツイッターやブログ等に氏名,生年月日,所
属校名,写真,メールアドレス等の個人が特定
できる情報が公開されている。
【いじめ・誹謗中傷】
個人は特定されないが,誹謗中傷が投稿され
ている。
【不法行為】(写真投稿)
特定の個人を無断で撮影し,その画像をツイ
ッターに投稿している
【その他】
学校の悪評や,他人の著作物を無断で掲載し
ている。
インターネットに接続できる機器の普及や,ネ
ット上への不適切な書き込み等により,児童生徒
がインターネット上のトラブルに巻き込まれる事
案が発生しています。そこで,県教育委員会では,
今年度から新たに「学校ネットパトロール事業」
を始めました。
学校ネットパトロール事業の概要
1
目的
学校非公式サイト等への問題のある書き込み
や画像について監視し,学校等へ情報を提供す
るとともに,家庭や関係機関等と連携し,児童
生徒の問題行動等の未然防止,早期発見・早期
対応を図る。
2 調査期間
平成25年8月6日から平成26年3月31日まで
(全6回 期間に分けて実施)
※ 中学校・高等学校は毎回実施
※ 小学校・特別支援学校は3回目と6回目の
2回実施
3 実施対象校
県内すべての公立学校855校
4 調査方法
(1) 対象校に関するキーワード等により各学校
ごとに検索
(2) 該当学校のものであるか関連情報を含めて
目視確認により判断
(3) 投稿内容を以下の3段階に分類
リスクレ
内
容
学校の対応
ベル
犯罪予告や児童生
該当児童生徒の確認
高 徒の生命にかかわる
警察への通報等,予
緊急性の高い内容
め定めた手順で対応
緊急性はないが,
削除要請等の必要性
中 早期の対応及び指導 及び適切な指導
等が望ましい内容
学校を挙げて情報モラル教育の充実を!
ネットに投稿することによって,どんな影響が
あるのか意識していないということが問題として
浮かび上がっています。調査結果やネットいじめ
対策リーフレットも活用して,以下のことを定期
的に確認しましょう。
緊急性はないが,
削除要請等の必要性
低 必要に応じて適切な 及び適切な指導
指導・対応等が望ま
しい内容
5
□安易に個人情報を公開しない。
□他人の写真や著作物は,本人の許諾を得ずに掲
載しない。(肖像権や著作権の侵害)
□他人の悪口や嘘を書いたり,他人を不愉快にさ
せる言葉を使ったりしない。
□フィルタリングや迷惑メールフィルタ機能を有
効活用し,怪しいメールや有害情報に触れない。
□ネットで知り合った人とは会わない。
対応について
各学校では,緊急連絡及び定期報告書で把握
したリスクレベル【高】及び【中】の投稿につ
いては,速やかに事後指導を行い,対応結果を
「対応報告書」により県教委へ報告することに
なります。
7
かごしま教育NOW・服務規律の厳正確保
不祥事の根絶をめざして
教職員課
信頼される学校づくりのための委員会
その他に少数ですが,大学教授,医師,スクー
のモデル校
ルカウンセラー,人権擁護委員,地区少年補導員,
児童養護施設園長,保護司,婦人会代表者,児童
相談所・NPO法人・公共職業安定所の方などに
依頼している学校がありました。
平成25年4月16日付け鹿教教第38号で,
「信頼される学校づくりのための委員会」(以下,
委員会)の設置を県立学校及び市町村立学校に依
頼したところ,モデル校として,小学校4校,中
学校5校,高等学校8校,特別支援学校2校の計
19校が決定しました。各モデル校では,以下の
ように校内に委員会を設置し,それぞれの学校の
課題を解決するために,委員と協議し,提案を受
けながら,学校活性化に向けた積極的な取組を行
っているところです。
委員会の回数及び協議予定事項等
委員会の開催回数は,モデル校の約8割が学期
に1回の年間3回を予定しています。
すでに終了した第1回の委員会では,委員会設
置の経緯や趣旨及び学校経営や学校の現状と課題
等についての説明を行った後,服務規律の厳正確
保に係る年間指導計画やこれまでの校内研修にお
けるモラル向上の取組などについて,説明を行っ
ています。
2回目以降の委員会では,以下の事項等につい
て協議を行い,委員からの意見を求めていきます。
その中で実践できるものから積極的に具体的な取
組を行い,学校活性化を図っていくことにしてい
ます。
モデル校
小学校(4校)
鹿児島市立伊敷小学校
薩摩川内市立隈之城小学校
鹿屋市立西原小学校
中種子町立南界小学校
中学校(5校)
日置市立東市来中学校
南さつま市立加世田中学校
霧島市立霧島中学校
曽於市立財部中学校
知名町立田皆中学校
県立学校(10校)
鹿児島南高等学校
薩南工業高等学校
吹上高等学校
伊集院高等学校
鶴翔高等学校
加治木工業高等学校
鹿屋農業高等学校
種子島高等学校
串木野養護学校
大島養護学校
○ 外部への情報発信・PRの在り方
○ 地域に密着した学校行事等の在り方
○ 地域と連携した学校活性化の在り方
○ 学校評価アンケート結果を学校改善に生か
す方策
○ 教職員の資質・能力の向上を目指した校内
研修の在り方
○ 職員が主体となった研修プログラムの提案
など
活用した組織
委員会の設置にあたって,小学校2校,中学校
2校,高等学校1校が,新規に委員会を組織しま
した。他の学校は,既存の組織として,小・中学
校が学校評議員会等,県立学校が学校関係者評価
委員会を活用しています。
県立学校では,学校評価の項目に,学校活性化
の取組や服務規律に関する取組についての項目を
設定し,委員からも評価を受けることにしていま
す。
第三者委員の内訳等
各校種の第三者委員の主な内訳は,次のとおり
です。今後,各学校で委員を選定する際の参考に
してください。
<小学校>
公民館長,民生委員,元学校長,
校区公民館運営審議会委員長,学識経験者
<中学校>
民生委員,公民館長,元PTA役員,
学識経験者,校区公民館関係者
<高等学校>
中学校長,同窓会・後援会関係者,企業経営者,
地区・自治体関係者,市町教育委員会関係者
<特別支援学校>
福祉施設関係者,医療機関関係者,小学校長,
元校長,地区・自治体関係者
「不祥事防止強化月間」における取組例
伊集院高等学校では,県総合教育センターから
研究主事を講師として招聘し,職員間のコミュニ
ケーションの活性化を図り,モラルの向上や一体
感を高めるための研修を実施しました。
研修は ,「構成的グループエンカウンターの活
用」というタイトルで,生徒への指導に役立てる
ことのできる内容でした。
自己覚知や自己開示・他者受容,信頼感といっ
た関係性の構築の中で,職員自らが職場の居心地
の良さや自己肯定感を体感でき,終始和やかな雰
囲気の中で研修を進めることができました。
「この研修をとおして,同僚の信頼を裏切って
はならないと感じることができた」という職員の
感想でした。
8
南北600㎞の教育
小規模集合学習と読書活動日本一を目指す出水の教育
出水市教育委員会
「出水兵児修養掟」の精神
ツルガイド博士検定
本市は,鹿児島県の北西部に位置し,1万羽を
超えるツルの渡来地として有名です。また,熊本
県と隣接しているため,昔から薩摩藩の軍防の地
として栄え,出水麓の武家屋敷群は国の重要伝統
的建造物群保存地区に選定されています。
さらに,出水の第三代地頭山田昌巌の教えの流
れを汲む「出水兵児修養掟」が,今でも教育の場
等で教え継がれています。
小規模集合学習
本市は,平成23年度から,小規模校における
豊かな体験活動,個に応じた指導などの特色を生
かしつつ,大人数での集団活動や同一学年による
学び合いなどの場を設定することで,複式・小規
模校のデメリットを補うとともに,教師集団の相
互研究により学習指導の充実を図る目的で,小規
模集合学習を実施しています。
平成25年度実施日・会場
①6月6日(木)大川内小②6月7日(金)大川内小
③10月29日(火)荘小
④11月11日(月)荘小
⑤11月13日(水)荘小
⑥1月31日(金)切通小
参加学校
切通 小, 荘小,蕨島
小,大川内小,上場小
このほかに,修学旅
行・集団宿泊学習,社
会科見学,市音楽発表
会を5校合同で実施し
ています。
また,本年度から小規 【小規模集合学習の様子】
模の中学校2校も集合学習を試行的に実施しま
す。
読書活動日本一のまちづくり
出水平野には,年間1万羽を超えるツルが渡来
し越冬します。ツルの羽数は,市内の荘中学校と
高尾野中学校のツルクラブの生徒による年6回の
羽数調査で決まります。また,ツルを見るために
多くの観光客も本市を訪れます。
出水市は,世界でも希有なツルの渡来地という
ことで,ツル博物館があります。また,市内の小
・中学校に「出水のツル 」(市教材開発委員会作
成)という副教材を配布し ,「ツル検定」を実施
してきました。昨年度から,1級合格者を対象に,
さらに実技試験を行い,
合格者を「ツルガイド
博士」と認定しました。
冬季休業中,2人1組
で,ツル観察センター
で観光客にボランティ
アガイドとして活躍し
てもらっています。
【ツルガイド博士検定】
ふるさと学寮
親元を離れて,異年齢集団で行う生活体験や通
学体験を通して,自主性や協調性を高め,社会の
ルールを養い,自立心や社会性を育む目的で,た
かおの交流館で年間4回「ふるさと学寮」を実施
しています。対象は,小学校3年生から中学校3
年生で,7泊8日を3
回,3泊4日を1回実
施しています。それぞ
れ32人の募集ですが,
市内21校の小・中学
校から毎回抽選になる
くらいの申込みがあり
ます。
【ふるさと学寮】
農家民泊修学旅行,小学生農家民泊体
験学習
本市では,平成19年度から「読書活動日本一
のまちづくり」を目指して,子どもの読書活動推
進に取り組んできました。昨年,第一次の5か年
計画が終了し,第二次の「出水市読書活動推進計
画」を策定しました。この計画では,市民全員が
読書を楽しみながら「感動する心」を培い ,「想
像する力」を育み ,「コミュニケーション能力」
を身に付け,自らが主体的に「生きる力」を養う
ことを目的としています。
学校では,年間読書
目標の設定と読破,「出
水市推薦図書」の読破,
朝読書の継続と推進,
家読(うちどく)の推進,
図書資料の充実,校内
読書研修会の充実を目
指しています。
出水市は,平成21年度から農家民泊の修学旅
行生の受入れをしています。関東・関西等の中学
生・高校生,アジアの高校生等が毎年,本市の農
家を訪れ,農業体験をしています。同時に教育委
員会も学校交流や職員との交流を実施しています。
また,昨年度から,子どもたちの学ぶ意欲や自
立心,思いやりの心,
規範意識などを育むこ
とを目的に,小学生農
家民泊体験学習を実施
しています。平成29
年度までには,市内全
小学校が実施する予定
です。
【小学生農家民泊体験学習】
【中学校読書グループによる読み聞かせ】
9
私の実践紹介
市来農芸高校における寮教育の効果
市来農芸高等学校
はじめに
本校は,農業経営科,生物工学科,生活科の3学
科を有する農業の単独高校です。将来の農業後継者
や農業のスペシャリストを育成するために,文部科
学省より農業経営者育成高等学校の指定を受け,新
入生全員に対して1年間の寮教育を行っています。
寮では,我が家での快適な環境と違って,これま
で経験のない不便な生活を送ることになります。親
元を離れ生活・学習面全てのことを自分で行い,切
磋琢磨して生活する生徒の様子について紹介します。
寮生活について
■ 生活状況
教諭
前田
陽市
■ 学習時間は,学力向上のための課題や研修
に積極的に取り組む。
自宅学習の習慣が身につ
かないまま入寮します。初
めは各居室で学習机に向か
って自主学習の形で取り組
んできましたが,なかなか
成果があがりません。そこ
で,集中力を高めるため,2年前から1年生全
員を食堂に集めて集団学習としました。
(静かに
)
決められた時間机に向かうことから始めました。
■ 食事をしっかり摂り健康的な寮生活を送る。
本校の寮は,1年生対象の教育寮的役割と,2
・3年生の遠隔生(離島を含む)対象の寄宿舎的役割
の二つの面を持っています。1年生は毎週月曜の朝
に帰寮し,金曜の夕方に帰省します。遠隔生は長期
休業日まで毎日寮生活を送っています。寮は冷暖房
や,テレビ,ゲーム等の娯楽はなく,食事は一斉で,
入浴は決められた時間内で済ませ,学習時間や清掃
作業,起床,消灯時間等も寮の日課表にしたがって
規則正しい生活を行っています。
■ 生徒の実態
入寮当初,ほとんどの生徒が,時間や行動に制
約される寮生活(集団生活)になかなか馴染めません
が,適応しようと一生懸命に努力しています。また,
学習の習慣については身についているとはいえませ
ん。
指導の実際(入寮時)
入寮当初,寮生活を安全に送れるように集団生活
での注意点や寮則について,オリエンテーションで
指導します。
■ 教育寮として,不便な生活を送る。
普段の生活では当たり前のものが,寮生活におい
ては不要なものとなります。不便な生活を体験す
ることで,もののありがたさや親のありがたさを
改めて生徒が感じ取れるようにはたらきかけをし
ます。
■ あいさつを基本とした礼儀正しい生活を送
る。
日常のあいさつは勿論のこと,登校時の「いって
きます」
,帰寮時の「ただいま」を大きな声で言え
るように指導します。当然のことですが,なかな
か声を出して言えません。そこで,職員から大き
な声であいさつをしています。
■ 集団生活を通して他人を思いやり規則正し
い生活を送る。
家庭では,食べたい時間
に食べたいものを食べたい
だけ食べる,という不規則
な食事を摂ってきている生
徒も多く見られました(特
に朝食抜きや野菜の食べ残
し等)
。そこで,食べ残しや
偏食等がないように指導するとともに,一斉食
事であることを十分理解させ,準備や片付けも
皆で分担します。
寮教育の効果
自己中心的でなく相手の気持ちを理解するなど,
考え方や行動に変化が出てきました。
■ 家庭において(保護者の意見)
・ あいさつがしっかりできるようになりまし
た。
・ 食事の準備や片付け,その他色々な作業など
を自主的に手伝ってくれるようになりました。
・ 自宅の自室において,課題学習や読書のため
に机に向かうようになりました。
・ 食農教育の効果である命の大切さをよく理解
しているように思えます。
■ 学校において
・ 規則正しい生活習慣が身につき,全体集合で
の時間厳守や儀式・講演等の聞く態度が良くな
りました。
・ 集団での学習を通して,集中力が身に付
き学校での授業中の態度もよくなりまし
た。
・ 農業教育により食の大切さや命の尊さなどを
認識しながら,人に対する思いやりの精神が身
に付いてきました。
・ 忍耐力がつきました。
おわりに
初めは自分のことが精一杯で,他人のことまで手 本校における寮教育は,農業の持つ教育力と相ま
が回りません。また,
「けじめ」がなく自分勝手な って,生徒が本来持っている自立心,向学心,向上
行動がよく見られました。そこで,何が悪いかど 心を引き出し,また,他人と生活を共にすることで
うすればよいかを一緒に考えています。
協調性や立派な社会人になるための基礎・基本を身
に付けてきました。これからも,社会的自己実現に
向けて,生徒の本来持っている力を十分発揮できる
よう支援を続けていきたいと思います。
10
私の実践紹介
「言葉」を大事にできる子どもの育成を目指して
いちき串木野市立荒川小学校
はじめに
「言葉」で伝えることのよさを実感させ,自分の
「言葉」で伝えたいという思いをもてるよう,国
語科(低学年)を中心に「言葉」を大事にできる
子どもの育成を目指して実践しています。
教諭
中村すみれ
【ノート指導】
主題のとらえ方
「『 言葉』を大事にできる」とは,具体的に低学
年段階では次の3点を考えています。
・ 思いを言葉で話す,相手の思いを聞く。
【話・聞】
・ 言葉にこだわって読む。
【読】
・ 思いにぴったりの言葉を選んで書く。【書】
実践
①「言葉」にこだわり ,「言葉」を大事にした授
業作り
【教材との向き合わせ方の工夫①】
写真と文章がどのように対応しているかをとら
えさせるために,写真と段落ごとに切った文章を,
写真と対応させて置いていくという活動を行いま
した。そのとき,なぜその写真と文章を対応させ
たのか,根拠となる文にサイドラインを引かせ,
言葉を丁寧に,大事に読ませるようにしました。
【教材との向き合わせ方の工夫②】
順序を表す言葉の有用性を実感できるよう,順
序を表す言葉をぬいたカードを並べさせる活動を
行いました。この活動を通して,順序を表す言葉
の大切さに気付くことができました。
ノートの使い方として,自分の考えを青い線で
囲み,マス目は無視して書いてよいということを
指導しています。授業の中で視写を取り入れ,登
場人物の気持ちを叙述に即して考えられるように
しました。
② 国語で身に付けた力を他の教科で生かす場の
設定
「かんさつ名人に
なろう」で詳しく書
くための描写力を身
に付けました。それ
を生活科で生かし,
学校に新しく仲間入
りしたにわとりの特
徴や様子を,全校児
童の前で発表する場
を設定しました。
終わりに
「言葉を大事に」という点から教材を見つめ,試
行錯誤しながら取り組んできました。まだまだ教
材分析が甘いところがあり,改善しなければなら
ないところが多いと思いますが,これからも私自
身が「言葉」を大事にし,そして「言葉」のすば
らしさを伝えていけたらと思います。
11
人権同和教育情報
共に生きる社会を目指して
~障害者の人権~
人権同和教育課
正しい理解と認識を深める資料の活用
人権教育を推進するためには,人権課題につい
て正しい理解と認識を深めることが大切です。
障害のある人が日常生活の中で不利益を被り,
自立と社会参加を阻まれている現状があります。
障害の有無に関わりなく,誰もが尊重し合い支
え合える「共に生きる社会」を実現することが求
められています。障害者の人権について正しい理
解と認識を深めましょう。
障害者の人権に関連した国や県の動き
鹿児島県においては,国の障害者基本計画(平成
14年度)に基づき,平成15年度から平成24年度まで
を計画期間とする「鹿児島県障害者計画」を策定
し,障害の有無に関わらず,全ての人が相互に人
格と個性を尊重し合う「共に生きる社会」の実現
を目指して,各種の障害者施策に取り組んできま
した。
一方,国においては,平成23年には「障害者基
本法」が改正され,平成25年度からは ,「障害者
総合支援法」並びに「障害を理由とする差別の解
消の推進に関する法律」が施行されています。
このことを踏まえ,県では,平成25年度から平
成29年度を対象期間とする新たな鹿児島県障害者
計画を策定しました。
鹿児島県障害者計画における分野別施策の基
本的方向(学校教育との関連から抜粋)
② 福祉教育等の推進
■ 道徳教育において,児童生徒の発達の段階
に応じてお互いに認め合い,支え合って生き
る態度を育成する学習を実施します。
■ 「総合的な学習の時間」等において,車い
す体験,視覚障害者の疑似体験等を通して,
障害のある人についての理解を深める学習を
推進します。
■ 平成23年の改正障害者基本法において,障
害のある児童生徒と障害のない児童生徒の相
互理解の促進が引き続き明記されたことを踏
まえ,小・中学校と特別支援学校等との交流
及び共同学習を推進します。
③
■
共に生きるためには,相手の思いや状況を正し
く理解し,お互いを尊重し合うことが大切です。
平成25年度「なくそう差別 築こう明るい社会∼
自尊感情の育成と人間関係づくり∼」(P15)には,
障害のある人の思いを基に,共に生きることにつ
いて考える学習資料が掲載されています。
その他にも次のような資料があります。
・ 平成24年度「なくそう差別 築こう明るい社会
∼様々な人権課題を解決するために∼」(P9)
「交流及び共同学習ガイド」の概要
・ 平成24年度人権教育実践例集「仲間づくり」
(P4∼P9)
特別支援学校との交流及び共同学習の実践
障害者差別の禁止
障害を理由とした差別をなくし,障害のあ
る人もない人も,一人ひとりの人格と個性が
尊重され,社会を構成する対等な一員として,
安心して暮らすことのできる社会を実現する
障害者週間12月3日~9日
ため「障害のある人もない人も共に生きる鹿
障害者基本法において,障害者に対する国民の
児島づくり条例(仮称 )」の制定に取り組み 理解と関心を深めるとともに,障害者が社会,経
ます。
済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する意
欲を高めるため,毎年12月3日から9日までの1
週間を「障害者週間」としています。
学校でも,この週間の意識付けや活動を通して,
「共に生きる社会」を目指すためには,どのよう
なことが大切か考える機会にしてはいかがでしょうか。
12
すぐに使える学校情報(生徒指導ワンポイント)
平成24年度児童生徒の問題行動等の概要(鹿児島県公立学校分)
義務教育課
調査結果の概要
不登校の児童生徒数は,依然として多く,特に
中学校で1000人を越える生徒が不登校の状態にあ
ります。平成24年度においては,小学校で370人
に1人,中学校で38人に1人,高等学校で44人に
1人という割合です。
不登校については ,「進路の問題」として捉え
ることが大切であり,一人一人の児童生徒が社会
的自立に向けて自らの進路を主体的に形成してい
くための生き方支援を行う必要があります。
平成24年度児童生徒の問題行動等の概要(鹿
児島県公立学校分)について公表しました。
この調査は,児童生徒の問題行動等について,
「これまでの状況を調査・分析することにより,
教育現場における生徒指導上の取組のより一層の
充実に資するとともに,本調査を通じて,実態把
握を行うことにより,児童生徒の問題行動等の未
然防止,早期発見・早期対応に繋げていく」こと
を目的としています。
ここでは ,「いじめ 」「不登校 」「暴力行為」の
各状況について述べます。
暴力行為の状況
暴力行為数の推移
140
いじめの認知件数の状況
120
100
24年度学校種別のいじめの認知件数
25000
20000
15000
10000
5000
0
80
小学校
60
中学校
40
高等学校
20
H24
0
H20
認知件数は,23年度の342件に対して,24年
度は32,031件でした。「1件でも多く発見し,1
件でも多く解決する」学校こそが生徒や保護者か
ら信頼される学校であるという認識の下,アンケ
ート方法を工夫するなどして,これまで認知でき
なかった事案についても把握することができまし
た。内訳は,小学校22,469件,中学校6,208件,
高等学校3,266件,特別支援学校88件でしたが,
10月8日現在99.9%が解決しています。
いじめがあった場合は,いじめられている児童
生徒や保護者の気持ちに寄り添い,関係機関と連
携しながら,当該生徒へのケアや,いじめを行っ
た児童生徒への適切な指導に,学校全体で迅速に
対応する必要があります。
不登校の状況
不登校児童生徒数の推移
1600
1400
1200
1000
小学校
800
中学校
600
高等学校
400
200
0
H20
H21
H22
H23
H24
H21
H22
H23
H24
高等学校は減少していますが,中学校で増加
現象にあります。対教師暴力,生徒間暴力,器物
損壊が増加しています。また,依然として「同一
校で複数回の暴力行為が発生し,同一生徒が繰り
返し暴力行為を起こす」傾向が続いています。
各学校においては,暴力行為については,警察
とも連携しながら,状況を踏まえ,被害届を出す
などして,毅然とした姿勢を示すことが大切です。
調査結果を自校の問題として受止める
問題行動等は,どの児童生徒にも起こりうるこ
とであるという認識を強くもって対応することが
大切です。
中学校や高等学校での問題行動等の件数が目立
ちますが,小学校段階でその予兆がある場合があ
ります。問題行動等の未然防止のためには幼稚園
や保育園も含め,各校種間の連携を推進するとと
もに,学校全体で,児童生徒が自己存在感を感じ
たり,望ましい人間関係をつくったりする取組を
行っていくことが大切です。
そのためには,児童生徒の抱える課題,実態を
的確に捉え,教職員が一丸となって,チームとし
ての取組を進め,一人一人の児童生徒に寄り添う
教育が展開されていくことが必要です。
(調査結果については次を参照)鹿児島県教育委
員会>教育・文化・交流>学校教育>生徒指導
http://www.pref.kagoshima.jp/kyoiku-bunka/sch
ool/shidou/index.html
13
すぐに使える学校情報
学力向上ワンポイント情報
思考力・表現力の育成(算数)
~平成25年度全国学力・学習状況調査の結果から~
義務教育課
小学校
・
単位量当たりの大きさなどに着目して,二つ
の数量の関係の求め方を記述する。
・ 割合が同じで基準量が増えているときの比較
量の大小を判断し,その判断の理由を記述する。
これらの課題に対応するために,指導におい
ては,次の3点が大切であると考えます。
① 具体的な場面に対応させながら,事柄や関係
を式に表すことができるよう工夫すること。
② 式を通して,場面などの意味を読み取り,言
葉や図を用いて表したり,式で処理したりする
ことができるよう工夫すること。
③ 式を言葉,図,表,グラフなどと関連付けて
用いて,自分の考えを説明したり,分かりやす
く伝え合ったりできるよう工夫すること。
平成25年度全国学力・学習状況調査の結果に
ついて,平均正答率を全国平均と比べると,主と
して「知識」に関する問題(A問題)は比較的良
好ですが,主として「活用」に関する問題(B問
題)に課題があります。
算
県 平 均
正 答 率
全国平均
正答率
全国平均
との差
A
78.8%
77.2%
1.6%
B
56.7%
58.4%
−1.7%
数
B問題において,特に平均正答率が低い問題の
内容として次のことが挙げられます。
算数的活動の充実・言語活動の充実
・
表から数値を適切に取り出して,二つの数量
の関係が比例の関係ではないことを記述する。
算数的活動と言語活動
平成25年度全国学力・学習状況調査の結果から,特にB問題について,最も合理的な処理の仕方を
選択し,その理由を記述すること(B1(2) ),面積が等しくなることを言葉や数を用いて記述するこ
と(B3(2)),二つの数量の関係が比例の関係でないことを根拠となる数値を示して記述すること(B
2(3))に課題がある。これらの課題を改善するために,特に言語活動の充実が必要である。
【算数的活動】
算数的活動…
○
○
○
○
○
○
○
○
児童が目的意識をもって主体的に取り組む算数にかかわりのある様々な活動
手や身体などを使ってものを作るなどの作業的な活動
教室の内外において各自が実際に行ったり確かめたりする体験的な活動
身の回りにある具体物を用いた活動
実態や数量などを調査する活動
数量や図形の意味,性質や問題解決の方法などを見付けたりつくりだしたりする探究的な活動
学習したことをさらに発展させて考える活動
学習したことを様々な場面に応用する活動
※ 学習指導要領解説 算数編(文部科学省) P10∼P11を参照
【言語活動】
根拠を明らかにし筋道を立てて考えることや言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連
を理解し,それらを適切に用いて問題を解決したり,自分の考えを分かりやすく説明したり,互
いに自分の考えを表現し伝え合ったりする学習活動
・
考えを表現する過程で,そのよさや誤りに気付いたり,筋道を立てて考えを進めたり,より
よい考えを作ったりすることができるよう指導を充実する。
・ 授業の中では,様々な考えを出し合い,互いに学び合っていくことができるよう指導を充実
する。
・ 問題を解決したり,判断したり,推論したりする過程において,見通しをもち,筋道を立て
て考えたり表現したりする力を育むことが重要であり,その際,帰納的な考えや類推的な考え,
演繹的な考えを用いることができるようにする。
※ 言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】(文部科学省) P12を参照
14
すぐに使える学校情報
学力向上ワンポイント情報
思考力・表現力の育成(数学)
~平成25年度全国学力・学習状況調査の結果から~
義務教育課
中学校
図形
○ 作図の方法を図形の対称性に着目して見直す
活動を重視する。
○ 証明の方針を立て,その方針に基づいて証明
する活動を充実する。
関数
○ 関数の意味を理解し,関数関係を見いだす活
動を重視する。
○ 事象を数学的に解釈し,問題解決の方法を数
学的に説明する活動を充実する。
資料の活用
○ 相対度数の必要性と意味を理解し,資料の傾
向を読み取る活動を重視する。
○ 読み取った資料の傾向を基に,事柄の特徴を
数学的に説明する活動を充実する。
平成25年度全国学力・学習状況調査の結果に
ついて,平均正答率を全国平均と比べると,主と
して「知識」に関する問題(A問題 ),「活用」
に関する問題(B問題)に課題があり,これまで
の傾向がより顕著になっています。
数
県 平 均
正 答 率
全国平均
正答率
全国平均
との差
A
61.5%
63.7%
−2.2%
B
39.2%
41.5%
−2.3%
学
指導改善のポイントとして,次のことが挙げら
れます。
数と式
○ 正の数と負の数の意味を,実生活の場面に結
び付ける活動を重視する。
○ 事象と式の対応を的確に捉え,事柄が成り立
つ理由を説明する活動を充実する。
数学的活動の充実・言語活動の充実
学び直しの機会の設定
数学的活動と言語活動
平成25年度全国学力・学習状況調査の結果から,特にB問題について,事象を数学的に表現したり,
数学的に表現された結果を事象に即して解釈したりすることを通して,事柄が成り立つ理由を筋道立て
て説明すること(B6( 2) ,3) ),問題解決の方法を数学的に説明することや,言葉で表現された事柄の
数学的な意味を的確に捉えること(B3(2),(3)),資料の傾向を的確に捉え,事柄の特徴を数学的に
説明すること(B5(2))に課題がある。これらの課題を改善するために,特に言語活動の充実が必要
である。
【数学的活動】
数学的活動…
○
○
○
生徒が目的意識をもって主体的に取り組む数学にかかわりのある様々な活動
既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだし,発展させる活動
日常生活や社会で数学を利用する活動
数学的な表現を用いて,根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
※ 学習指導要領解説 数学編(文部科学省) P129を参照
【言語活動】
○
言葉や数,式,図,表,グラフなどの数学的な表現を用いて,論理的に考察し表現したり,
その過程を振り返って考えを深めたりする学習活動
・ 具体的な事象を数学的に表現したり,処理したりする技能を高める学習活動を充実する。
・ 思考の過程や判断の根拠などを数学的に表現して説明したり,数学的に表現されたもの
について話し合って解釈したりする学習活動を充実する。
・ 数や図形の性質などについて伝え合うことで,お互いの考えをよりよいものに改めたり,
一人では気付くことのできなかったことを見いだしたりする機会を設けることに留意する
必要がある。
※
言語活動の充実に関する指導事例集【中学校版】(文部科学省)
15
P12を参照
すぐに使える学校情報
体力向上ワンポイント情報
「たくましい“かごしまっ子”」育成推進事業
体力向上プログラムに基づいた体力向上の取組
No2
□保健体育課
「体力向上プログラム」の活用状況
県教育委員会では,県内小学校を対象に「かごし
まの子ども体力向上プログラム」(小学校版)の活
用状況(平成25年8月体力向上取組状況調査)を調
査しました。
その結果,
70%近い学校で活用されているものの,
30%の学校では,まだ活用されていない状況です。
校種
活用「有り」
活用「無し」
小学校
355校(69.2%)
158校(31.8%)
に付けさせる「尺取
り虫」などの種目を
数多く行い,十分な
運動量を確保してい
ます。
また,各学年の体
力・運動能力の実態
から,重点的取組種
「ゆりかご」をみんなであわせます 目を決定したり,
「一
週間に一回,親子で体力づくりに取り組む」家庭の
姿を目指して,学校保健委員会と連携したりした取
組を実践しています。
奄美市立赤木名小学校の実践
活用している学校の内訳(複数回答)
校内研修
165校(30.6%)
教科部会
131校(24.3%)
学年部会
65校(12.1%)
そ の 他
21校(4.4%)
赤木名小学校では,児童の体力向上を目指し,学
校全体で共通理解を図り,サーキットコース(PT
Aや職員で整備)に毎時間取り組んでいます。また,
体力分析結果から,赤木名小学校の児童に必要な運
動遊びを紹介し,「ハッキナ運動」と称して,全校
で取り組んでいます。3年生の鉄棒運動では,基本
的な上がり技や支持回転技,下り技を身に付けるこ
とができるように,基礎となる感覚を段階的に習得
できるような運動遊びを取り入れています。
その他の内訳:学校保健員会,PTA等での活用
今後,
「かごしまの子ども体力向上プログラム」
(小
学校版)を県内すべての学級に配布する予定です。
各学校の実態に応じた,本プログラムの活用の在
り方を職員研修等で共通理解を図り,授業の充実や
昼休み等に活用してください。また,家庭と連携し
た運動の日常化のために,PTA等で家庭への一層
の広報を図ったり,家庭教育学級等で活用したりす
るなど運動好きな子どもの育成に役立ててくださ
い。
「ハッキナ運動」
(タイヤ)
また,児童会が中心とな
って,朝のランニングへ参
(登り棒)
加を呼びかけたり,家庭と 「ハッキナ運動」
連携 した ,「 生活リズム
鹿屋市立串良小学校の実践
串良小学校では,各運動領域の基礎となる動きや カード」を活用したりし
感覚を身に付けることができるように,主運動の類 ています。
似の動きを経験させる「ぽかぽかタイム」を毎時間
その結果,友達を誘っ
設定しています。
て,ランニングや昼休み
4年生の「ぽかぽか に遊 んだり ,「早寝,早
タイム」では,マッ 起き」の習慣が定着しつ
ト運動の基礎となる つある子どもが増えてい
苦手な子どもへの補助
腕支持感覚を身に付 ます。
ける「かえるの足う
本県児童の体力向上のために,「かごしまの子ど
ち」や接転感覚を身 も体力向上プログラム」をより一層活用し,自校の
に付ける「ゆりかご」
, 体力向上計画に基づいた体力向上の取組をお願いし
「うさぎ跳び」に取り組む様子 体の締めの感覚を身
ます。
16
若いこだま
生徒と共に
鹿児島市立桜島中学校
鹿児島のシンボル桜島。その裾野に位置する桜
島中学校に新規採用教員として着任してから,1
年半が過ぎました。桜島のエネルギーに負けない
くらい元気のある,明るく素直な生徒と,とても
楽しく,時には悩みながら充実した毎日を過ごし
ています。
本校に赴任する前の4年間は,期限付教諭とし
て2つの学校に勤務しましたが,この4年間の経
験は,私の教員生活を支える非常に重要な経験に
なっています。生徒や,先輩の先生方から多くの
ことを学ばせていただきました。今の私があるの
も,この経験があってのことであり,これまで築
いてきた繋がりはずっと大切にしていかなければ
ならないと思っています。
昨年度は,初めて学級担任を任され,これまで
の経験を活かしながら,私自身の思いを込めて学
級経営に取り組みました。自分の学級を持つとい
うことは,それだけ責任が増しますが,生徒との
距離はより近づき,これまでとは違った充実感を
味わうことができました。しかし,順風満帆とは
いかず,壁にぶつかったときもありました。ちょ
っとしたことから,生徒との距離が遠くなり,「自
分のやろうとしていたことは何だったのだろう」
教諭
有田
雄介
と,心が折
れそうにな
り ま し た
が,そんな
ときに,
「先
生,僕は先
生について
いきます。」
という生徒
の言葉に救
われました。この言葉は,折れかけていた私の心
を奮い立たせ,担任として踏ん張らせてくれまし
た。教員としての自覚と責任,そして熱い情熱を
持って生徒と真正面から向かい合っていかなけれ
ば教育はできないということを,担任を経験して
更に強く感じました。クラスみんなでたくさんの
時間を共有し,深く関わることで,教員という職
のやりがいを再認識することができました。
教員は,生徒と深く関わることができる分,生
徒に与える影響力は他の人に比べると大きなもの
があります。今後も,初心と感謝の気持ちを忘れ
ることなく,謙虚に学び続け,生徒と共に成長で
きる教師を目指します。
学校づくりへの思い
アニマシオン効果を活用した学校経営の充実
日置市立東市来中学校
本校は「学・道・錬」の校
訓のもと ,「相互にかかわりな
がら主体性を発揮する生徒の
育成」を学校教育目標に掲げ
ています。生徒たちが試行錯
誤して判断し,主体性を発揮
することを期待しています。
しかし ,大人にはシンプルで
明快に思われる目標も,生徒たちにはイメージし
にくい表現のようです。そこで,さらに目標を具
現化させ,1年間の学校生活の展開や具体的な取
組のイメージをもたせるために,学期単位や月単
位に,下記のとおりのスモールタスクを設定しま
した。
1学期(創生期)
(共通基盤の構築)
4月
5月
6月
7月
8月
リセット
意 識
熟 慮
フィードバック
チャレンジ
2学期(発展期)
(実りの季節)
9月
10 月
11 月
12 月
姿
勢
積み上げ
燃
総
焼
括
3学期(飛躍期)
(収束から拡散へ)
1月 自 覚
2月 自 信
3月 飛 躍
校長
隈元
浩二郎
この手法は読書活動で用いられ,アニマシオン
効果と呼ばれています。これはスペインで開発さ
れた読書法で,直訳すると「魂の活性化 」(アニメーシ
ョンと同義 ),子どもの潜在的な読む力を引き出す
ために用います。具体的には吹き出しや挿絵,語
句,人物などを示すことで,読み聞かせ活動など
での子どもの興味・関心や意欲を高めるとともに,
内容を適切に振り返り,読みを深めていきます。
私は職員朝会でスモールタスクの趣旨や意義,
活用例などを説明するとともに,授業や全校朝会,
学級活動,学年集会,部活動などの場や,さらに
は学校だよりや学級通信などでもスモールタスク
に関連付けて語りかけるよう,啓発しました。
当初はスモールタスクの提示に戸惑う姿も見ら
れましたが,慣れると興味を示すようになり,機
会あるごとに生徒たちがスモールタスクを話題に
したり,振り返りや反省の際にスモールタスクと
関連付けた発言をしたりするようになりました。
3年目の今,地域の方々から生徒の挨拶が以前
よりよくなったと褒められるようになり,成績も
右肩上がりに転じてきました。今後も一枚岩の学
校経営を目指し,心新たに精進して参ります。
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郷土の文化財
おおすみしようはちまんぐうけいだい
しや け あと
国指定史跡 大隅 正 八幡宮境内及び社家跡
(平成25年10月17日指定)
文化財課
大隅正八幡宮境内及び社家跡とは
霧島市隼人町の鹿児島神宮は,800年ほど前頃に
は大隅正八幡宮と呼ばれ,大隅国全体の4割強を
荘園とする勢力を有していました。大隅正八幡宮
周辺には,社家と呼ばれる神職の家をはじめ,正
み ろくいん
八幡宮に関わる多くの人々が居住し,また,弥勒院
など寺院も配置されていました。中世において,
この地には大隅正八幡宮を中心とした都市が繁栄
していたと考えられています。
霧島市(旧隼人町)では,平成6年からこの地
の発掘調査を行った結果,社家の屋敷跡を取り囲
む堀や東南アジア産の陶器など,日本史上重要な
発見があり,この貴重な文化財を保護していくこ
とにしました。
陶磁器,タイ・ベトナム産の陶器のほか国内各地
き ない
が き
の土器類が出土しており,特に畿内産の瓦器は京
都の摂関家など権門勢力との関係を示す資料とし
て注目されます。
る す
留守氏館跡 今なお高さ約3m,幅約11mの土塁
が,延長40m残っています。堀も発見され,東西
約70m,南北100mの敷地と推定されます。
さわ
沢氏館跡 発掘調査の結果,80m四方の区画の敷
地であったことがわかりました。敷地に墓碑群が
あり,この中に「薩摩塔」と呼ばれる中国との交
流を示す石塔が残っています。
さいしよう じ
最 勝 寺氏館跡 堀の発見により,長辺85m,短辺
60m,幅50mの台形上の敷地が推定されます。
土塁(留守氏館跡)
堀跡(断面・桑幡氏館跡)
現在の鹿児島神宮の境内
大隅正八幡宮と弥勒院跡
大隅正八幡宮 現在の鹿児島神宮の社殿は宝暦6
(1756)年に建造されたもので,県の指定文化財
(建造物)になっています。境内裏の山林の発掘
調査が行われ,特に中世後半の中国産の陶磁器,
タイ産の陶器等や遺構が発見され,現在よりも境
内が広範囲に使用されていたことがわかりました。
弥勒院跡 現在,霧島市立宮内小学校が所在する
べつ とう
場所にあった寺院跡で,大隅正八幡宮の別当寺で
した。校舎の増築等に伴う発掘調査で池跡や多量
の土器,陶磁器が出土しました。特に大量の土器
ど こう
が出土した土坑や,タイ・ベトナム産の陶器も発
見されています。
土器が大量に出土した土坑
薩摩塔(沢氏館跡)
(弥勒院跡)
異文化交流の場
大隅正八幡宮一帯からは,国内各地の土器・陶
器や中国や東南アジア産の陶磁器が各所で出土し
ています。史跡指定に当たっては,遺物や史料か
ら京都や鎌倉,琉球や東南アジアとも交流を行う
異文化交流の場として機能していたことが,確認
できる稀有な遺跡と評価されています。
社家跡
くわ はた
桑幡氏館跡 発掘調査の結果,館を取り囲む堀が
発見されました。土塁も現存しており,この配置
から南北90m,東西100mの方形区画の敷地で防御
施設を有していたことがわかりました。中国産の
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桑幡氏館跡出土の中国産陶磁器
くらしに役立つ福利厚生情報
教職員の福利厚生についてのお知らせ
総務福利課
■
教職員住宅空き家状況について
今回は,日置地区と北薩地区の教職員住宅の空き家状況についてお知らせします。
入居を希望する方や空家の詳細については,住宅管理所属にお問い合わせください。また,他地区の
空家状況については,各地区または各学校の住宅管理所属にお問い合わせください。
◇日置地区◇ (H25.11.1現在)
住所
空家戸数
入居料
駐車料
住宅管理所属
1戸
4,420円
吹上高校
日置市吹上町今田795-7
舗装 1,000円
未舗装 700円
串木野養護学校
いちき串木野市下名1017
5戸
6,450円
◇北薩地区◇ (H25.11.1現在)
住宅管理所属
住所
空家戸数
入居料
駐車料
薩摩川内市平佐町3524-10
1戸
4,850円
薩摩川内市勝目町5315-70
4戸
6,660円
北薩教育事務所
薩摩川内市勝目町5315-70
2戸
9,570円
舗装 1,000円
薩摩川内市五代町字若宮後3163-1
1戸
10,510円
未舗装 700円
薩摩川内市入来町副田字櫻ヶ丸6616-2
1戸
5,970円
川薩清修館高校
薩摩川内市入来町副田字櫻ヶ丸6625-2
2戸
5,970円
薩摩川内市入来町副田字櫻ヶ丸6625-2
2戸
6,770円
薩摩中央高校
薩摩郡さつま町虎居932
1戸
4,420円
■
教職員相談事業のお知らせ
■教職員よろず相談
■メンタルヘルス相談
場 所 県立図書館内 教職員相談室
教職員相談員 2名(退職校長,退職養護教諭)
相談員 臨床心理相談員 1名
教職員相談員:
毎週水~土曜 9:30~20:00
毎週日・火曜及び祝日 9:30~17:00
臨床心理相談員:
9:30~16:00
相談日時 毎月第2・4火曜
※ いずれも図書館休館日,年末年始を除く。
相談方法 直接面談,電話,メール,文書での相談
県精神保健福祉センター/ 県立姶良病院
上記機関の所長,院長,副院長
(いずれも精神科医)
県精神保健福祉センター
面接: 毎週月曜(再来のみ),
毎週木曜(新規・要予約) 9:00~11:00
電話: 毎週月~金曜 8:30~17:00
県立姶良病院
面接: 毎週月~金曜(要予約) 13:00~17:00
電話: 毎週月~金曜 9:00~17:00
※ いずれも祝日,年末年始を除く。
直接面談,電話での相談
全ての分野
メンタルヘルス
相談内容 (職場,経済,住居,交通事故,健康,家庭,結婚,異 (人間関係,業務関係,その他)
性,その他)
※ 相談内容は秘密扱いとなっております。
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表紙写真紹介
瀬戸内町立池地小中学校紹介
ポのよい授業が印象的でした。
「教育情報かごしま」では,児童生徒や
学校の様子等を毎号,表紙に掲載します。
写真をとおして,鹿児島の教育の今をお伝え
します。取材申込みも大募集です!
今回は,瀬戸内町立池地小中学校を紹介しま
す。
美しい自然造形
▲
小学6年生の授業の様子
が特徴的な請島は ,
奄美大島南西部に
位置する総面積13.
7平方 キロメートル
の島です。
▲
請阿室集落の様子
瀬戸内町立池地小中学校は,池地・請阿室の
二つの集落を校区としています。
▲
現在,小学校では,6年生1名,中学校では
2年生1名 ,3年生2名が元気に学んでいます 。
優しい秋雨に濡れる校庭のディゴの木は,学
校のシン ボルツ
中学3年生の授業の様子
美しく自然豊かな島で,志を高く持ち,たくま
し く , 共 に 学 校 生 活 を 送 る 児 童 生 徒 の 姿 は ,「 き
ゅら島
うけゆり魂」の校訓そのものでした。
リーです 。ゆる
やかな長 い時の
中で,こ こに集
う児童生 徒たち
や先生方,地域の
▲
シンボルツリーのディゴ
人々を温かく見守ってきたのでしょう。
6年生の教室では ,先生と児童が一対一で ,
算数の授業中。先生の視線を一身に受け,真
剣に答えを書き込んでいました。
また,中学3年生の教室では,2人の生徒
教育情報かごしま」Vol.16
2013年11月発行
が英語の授業を受けていました。先生の声の
後に続いて発音したり,意味を答えたり,テン
20
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