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前回作成見本

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前回作成見本
京都市上京区
株式会社本田味噌本店
変わらない老舗の一本筋で
時代に挑む
株式会社本田味噌本店
代表取締役社長
レポート ◆
本田 茂俊 氏
〒602-0904京都市上京区室町通一条上ル
小島町558
営業時間…10:00~18:00 定休日…日曜日
TEL 075-441-1121㈹ FAX 075-431-4110
URL http://www.honda-miso.co.jp/
12
■京都独特の「白みそ」
なっていただけるか。それを念頭に商売を行っています」。
創業は天保元(18 3 0)年。丹波で杜氏頭をしていた初
店のポリシーは品質第一主義。味噌自体の品質はもちろ
代が、鴨川と堀川に囲まれ、水が豊かな上京の地で味噌づ
ん、電話や伝票の書き方、配達の際の運転、掃除など全て
くりを始めた。当時の屋号は丹波屋、今でも店ののれんに
においての品質を高めることを目標に掲げている。「味噌
その名が残されている。
を作っている職人だけでなく、全ての社員が自分の携わっ
京都のみその特徴は原材料の配合率にある。一般の味
ている仕事の品質を向上できるよう努力する。それがお客
噌は塩分が12%から13 %、原材料の大豆、米、食塩のう
様の満足につながると思っています」。
ち、大豆をもっとも多く使う。しかし、京都の味噌は塩分
が5%程度で米が非常に多いため、甘い白みそができあが
■顧客が求めているのは変わらないこと
る。保存性も比較的短く一般的なみそとは対照的だ。
「創業から180年が経ち、日本人の食生活もがらりと変わ
京都で白みそが発展したのには、1000年以上の間、都
りました。米食や小麦粉製品の需要が減った影響も大きい。
であったことが大きく影響している。貴族文化があったか
それでも敢えて『変化しない』道を選びたいですね」。と本
らこそ、労働の大切な栄養源である辛口のみそだけではな
田社長は言う。
く、甘口のみそが生まれた。白みそは、当時貴重品で使用
「お客様が本田味噌に求めているものは何かと考えた時、
が制限されていた砂糖に変わる甘味料として、菓子づくり
『変わらない』ということが一つのキーワードになるのです。
にも重宝され、また調味料の一つとしても多様に使われた
例えば、10年ぶりにお客様が来られたときに、
『本田味噌は
ことから現代まで受け継がれてきた。
変わってしまったな』と思われたら、そのお客様はもう味噌を
■すべてにおいて品質第一主義
買いにきてはくださらないでしょう。時間が経っても昔と同じ
佇まいでいる方が、うちを贔屓にしてくださったお客様に喜ん
昭和59(1984)年に、販売チャンネルを限定し、あくま
でいただけます。しかし、これは決して変わることがよくない
でも本店志向の姿勢をとる本田味噌本店に対して、全国に
というわけではありません。私たちも時代に合わせてインス
販売網を広げる目的で株式会社
タント味噌汁や、お酒のつまみ
西京味噌を設立。機能により分
になるような加工品を販売したり
社化した。そもそも「西京味噌」
しています。ただ、それはあくま
と命名したのは本田味噌本店で
でもお客様を飽きさせないため
あり、分社化によって、本田味噌
のスパイスでなければならない。
本店の商売の仕方が一層明確に
本質的には変わらないからこそ、
なった。「お客さまの顔を見な
お客様が何度も足を運んでくだ
がらの販売に集中できるように
さるのだと思います」。変わらな
なりました。量より質を追求し、
い老舗の拘りは、不況の時代に
お客様にどれだけ店のファンに
負けない大きな力となっている。
経営革新部 経営改革推進グループ
TEL
075 - 315 - 8848
URL
FAX
075 - 315 - 9240
E-mail
http://www.ki21.jp
[email protected]
まいんど京都/2 011 7 8 号
平成 2 3 年 1 2 月発行
● 発行所/経営革新部 経営改革推進グループ
● 編集協力/アド・アソシエイツ株式会社
78
vol.
2011 Dec.
京都の小売商業を
支援します
あやべ産業まつり[綾部市]
平成 2 3(2 0 1 1)年で 2 1 回目の開催となる「あやべ産業
まつり」は、多くの人に綾部市内の産業を知ってもらうこ
とを目的としています。同まつりは農林業振興祭・消費生活
展・商工フェア・工業団地ふれあいフェスタが合同で開催。
綾部市の秋の一大イベントとして定着しています。
綾部市の中心商店街「西町アイタウン」などでスタンプラ
リー抽選会やビンゴゲーム大会などのイベント、各団体や
商工業者の出店などが行われ、誰もが楽しみながら綾部の
産業を知ることができる内容となっています。
[平成 2 3 年 1 1 月 1 3 日(日)]
もくじ
2 …ファンド経営塾
伝統商品から新しい付加価値へ
石田 結実 氏(上羽絵惣 株式会社 取締役)
6 …地域商業チャレンジレポート
◆小町家(京都市東山区)
4 …繁盛店レポート(繁盛の秘訣)
◆株式会社 岩井製菓(宇治市)
◆つるつるクリームの 有限会社みそのコスメ(南丹市)
8 …京の老舗レポート
◆株式会社 本田味噌本店(京都市上京区)
◆磯野開化堂(宮津市)
京都小売商業支援センターのホームページもあわせてご覧ください http://www.joho-kyoto.or.jp/~retail/
ファンド
経営塾
伝統商品から新しい付加価値へ
■伝統的な顔料を使って新商品を開発
上羽絵惣は宝暦元(17 51)年に東洞院松原で創業。当代で
10代目になります。日本画用の絵の具(顔料)の製造を生業
とし、現在でも約1 200種の顔料を作っています。しかし、
絵を描く人の減少やバブルの崩壊、流行の変化など、様々な
要因が重なり、年々需要が減ってきていました。その現状を
打破すべく、異分野である美容業界向けに、新たな製品開発
を昨年に実施しました。
胡粉というのはホタテの貝殻を原料とした日本の伝統的な
顔料で、日本人形の顔への絵付け、西陣織や友禅、神社仏閣
の壁の下地、日本画などに使われています。一般にはあまり
知られていないものの、非常に身近な素材です。また胡粉は
炭酸カルシウムを主成分とするため口に入れても問題がな
公益財団法人京都産業 2 1では、きょうと元気な地域づくり
く、
「五色豆」などの豆菓子にも着色のために使用されていま
応援ファンド事業者を対象に、経営力アップのための様々
す。
なセミナーなどの企画を進めています。
何故その胡粉を使った異分野の商品開発を思い立ったのか
平 成 2 3 年 1 0月2 1日(金)、「ファンド経 営 塾(第 1 回)」
として、平成 2 2 年度及び平成 2 3 年度採択企業で、歴史
ある顔料製造の老舗でありながらも、その技術を生かした
「胡粉ネイル」を発表し、注目を集めている「上羽絵惣株
式会社」の石田結実取締役に、培った技術を使って、どう
いった商品を展開していくかなどをお聞きしました。
といえば、260年脈々と受け継がれてきた、
「うちにしかな
い」技術を途絶えさせるわけにはいかないと思ったことが始
まりです。
時代による価値観の変化や、不景気の影響を受けて日本画
の価値が下がるなど、私たちを取り巻く状況は決して良いも
のではありませんでした。しかし、私たちが倒れてしまって
は、ずっとご贔屓にしてくださったお客様に申し訳ないばか
りでなく、伝統工芸品の修復もできなくなってしまいます。
技術を残すためにも、職人さんの生活のためにも、リスクを
伴ってでも新しいことに挑戦しようと考えたわけです。
■伝統を新たな角度で考える
講師
商品を開発するといっても、最初から明確なビジョンが
上羽絵惣 株式会社
あったわけではありませんでした。まずは情報を集めること
取締役
からはじめないといけないと思い、商工会議所のセミナーや
石田 結実 氏
宝暦元(1 75 1)年から続く顔料製造の老舗「上羽絵惣」の
交流会に積極的に参加し、外の情報を集め、意見交換する機
取締役。平安女学院短期大学を卒業後、実家の上羽絵惣を手
会を多く持つようにしました。
伝っていたが結婚を機に一時店を離れる。しかし、平成 1 7
私どもと同じように伝統的な技を持ちながらも、時代に合
(2 0 0 5)年に先代社長が病気で倒れ、実兄の現社長、上羽豊
う商品開発を行い、時代を乗り越えている企業の方とのお話
氏とともに同社に復帰し、現職に。伝統の技術を生かした新
商品「胡粉ネイル」を平成22(2010)年に発表し、多くの注
目を集めている。
や諸先輩方からのアドバイスは非常によい刺激になり、勉強
にもなりました。技術を残していくための、大きい市場に受
け入れられる商品開発を行うにはどうすればよいのか。外で
2
得た知識やヒントを会
また、会社の玄関先に新たに設けた小売りスペースのおか
社に持ち帰り、自問す
げで、お客様との直接対話も生まれ、次の商品開発にも役立
る日々が続きました。
つだけでなく、今まで卸売業で人との出会いがなかった従業
そ の 中 で、
「私 た ち
員たちが、お客様やマスコミの方々と話をする機会が生まれ
の会社は何をしている
ました。おかげで社内が非常に明るくなりました。社員のモ
会社なのか?」という
チベーションの観点からも胡粉ネイルは新しい風を運んでき
ことをよく考えてみる
てくれたと思います。
と、私たちは絵の具を
マニキュアなどのネイルの販売先としては、百貨店やデ
売っているだけではなく、芸術の元となるものをお客様に提
パートなどの化粧品コーナーというのが一般的ですが、胡
案している会社なのだという発想が出てきたのです。今まで
粉ネイルは和の要素も持ち、和服にも合うため、化粧品コー
とは違った角度で自分の会社を見たときに、
「アートをつか
ナーだけでなく、呉服店売場に置いていただいたりもしてい
さどる会社」になりたいという明確な思いが生まれました。
ます。さらに、京都市美術館をはじめとした、多くの美術館
そして、私が女性ということもあり、常々から女性が欲しい
でも販売をしていただいています。もともと私どもは画材店
ものを作りたいという思いと重なり、
「女性」と「アート」を
ですから、日本の美術界の活性化に、少しでもお役に立てれ
並べて考えたのがネイルアートです。手足の爪に施す化粧
ばと願っています。また、京都だけではなく、東京や長野や
や装飾であるネイルアートはバブル後から発展してきた産
愛知、滋賀、奈良、大阪、徳島に福岡まで取り扱い店舗を拡大
業で、マニキュアや付け爪をはじめとした様々な種類の製品
しています。
は、多くの女性にとって必要とされるものとして、まだまだ
昨年度は2 万本の販売でしたが、現在は1ヵ月で 1万本以上
伸びしろもあります。
「これしかない!」と決心し、一気に顔
販売しています。この状況が一過性のものにならないよう、
料を使ったマニキュアの商品開発へと進みました。
新たな企画も計画中です。また今後は、より多くのお客様に
■新商品の開発により新しい風が吹く
お買い求めいただけるよう、ネット販売にも力を入れていき
たいと考えています。
開発テーマを決めたあとは、コンセプトの構築に時間を費
新しいことに挑戦するというのは当然リスクも伴います
やしました。「日本画材屋が作ったマニキュア」では物珍し
が、それでも「これだ!」と思うものがあれば絶対にチャレ
さだけで終わってしまいます。そうではない新たな価値を持
ンジするべきだと思います。伝統を保ち続けるのももちろん
たせることが重要だと考えました。
大切なことですが、それを生かした新しいものを生み出すと
先にも述べましたが、胡粉というのはホタテの貝殻を原料
いうことも大切です。
とし、炭酸カルシウムを主成分とするため、口に入れても害
胡粉ネイルの商品名には日本の伝統色の名が付けられてい
のないものです。しかし、従来のマニキュアというのはシン
ます。ネイルという商品を通して、日本古来の色への興味や、
ナー系の有機溶剤を含んだものがほとんどで、人によっては
日本画への興味が高まってもらえればこんなに嬉しいことは
刺激が強すぎることもあります。その問題を胡粉なら解決で
ありません。伝統を残すためにも、巻き起こった新しい風を
きると思い「胡粉ネイル」を作ることにしました。
吹かせ続けていきたいと思います。
「爪と皮膚に優しく、誰もが使えるマニキュア」をコンセ
プトに開発し、平成2 2(20 10)年1月の発売に至ります。先
ず、6, 000本を1年間で売り切ることを目標にしました。発
売当初から新聞や雑誌に取り上げていただいたおかげで、設
定していた目標よりも8ヵ月速い、約4ヵ月で完売し、新分
野進出への確かな手ごたえを感じることができました。
■新しいことに挑戦する勇気を持つことが必要
上羽絵惣 株式会社
〒600-8401 京都市下京区東洞院松原上ル燈籠町579
営業時間…9:00~17:00 定休日…土・日曜日、祝日
TEL 075-351-0693 FAX 075-365-0613
URL http://www.gofun-nail.com/
その後も順調に商品開発を進め、現在では約 20種類のマ
ニキュアを販売しています。有機溶剤を使わず、また胡粉と
いう伝統的な自然素材を使っていて、爪に優しいという最大
の利点を生かし、従来のマニキュアでは少なかった子ども向
けキッズネイル製品を開発したり、アロマオイル配合で香り
のするマニキュア販売を始めたりと、新しい挑戦にも積極的
に取り組んでいます。
3
繁 盛の秘訣
宇治市
株式会社 岩井製菓
繁盛店レポート 23
お客様の要望に応えながら
先代の飴の味を伝える
地釜で丁寧に作られた飴を広めるために
京都・宇治の土産物として親しまれている抹茶飴。昭和 39(1964)年に設立された
岩井製菓を代表する逸品だ。「うちでは抹茶飴だけでも50種類くらい作っています。
『こんな形の袋に詰めたい』などのお客様の希望に合わせていったらどんどん品数が増
えて、今では50 0種類くらいの飴を作っているんですよ」と、岩井社長は話す。
初代の岩井保さんは「現代の名工(京都府優秀技能者賞)」を受賞したほどの職人。
「父親が地釜でつくる飴の味は間違いないという思いを常に持っていました。しかし、日
株式会社 岩井製菓
本が豊かになってきたことで、必需品とはいえない飴の売り上げはどうしても下がってし
まう。そのため、企画や営業の部分を掘り下げて考えることが必要だと思ったんです」。
代表取締役:岩井 正和 氏
〒611-0013
京都府宇治市菟道丸山203-3
営業時間 ■ 9:00~18:00
定 休 日■ 土・日曜日、祝日
TEL ■ 0774-21-4023
FAX ■ 0774-24-8500
花の茶屋で生まれた新たな看板商品
初代のつくる飴をよりたくさんの人に味わってもらう。それが売り上げを伸ばし、新
しいことに挑戦するためのチャンスとなるに違いない。そう考え、日々営業に奔走し
た。「最初の7、8年くらいは中々うまくいきませんでした。そんなとき三室戸寺さん
から花の茶屋を受け持たせてもらうことになったんです」。
URL http://www.iwaiseika.com
紫陽花が有名な三室戸寺において、4月中旬から 7月にかけて開かれるカフェ「花の
茶屋」で、スイーツを提供し、飴も販売する。これにより認知度が高まるとともに、新
たな看板商品も生まれた。
「ドリンクとして冷やし飴を販売しました。関西以外の方には珍しさもあり、とても
MAP
気に入っていただき、
『あの冷やし飴を売っているお店はどこにあるんですか?』とい
京滋バイパス
宇治東IC
宇
治
川
三室戸
岩井製菓
京阪宇治
三室戸寺
「花の茶屋」
4月半ば
( )
~7月半ば
●源氏物語
ミュージアム
●宇治上神社
JR宇治
●
平等院
「京の飴工房
はんなりかふぇ憩和井」
う問い合わせが増えました」。
実店舗とネットショップを使い分け、顧客満足につなげる
「花の茶屋」で得た経験をもとに、平成19(2007)年3月 宇治平等院の表参道で
「はんなりかふぇ・京の飴工房『憩和井』平等院店」をオープンさせる。
「店を持ったことで、年間を通じてお客様に来ていただけるようになりました。同時
期にネットショップの運営も始め、全国の方からの注文にも応じられる体制を整えま
した。基本的には、お電話や直接会っての販売を大切にしたいのですが、千歳飴などの
時期が決まっている商品については、ネット販売の方が要望に応えられます。うまく使
い分けてお客様に満足いただける体制にしていきたいと思います」。
一つひとつの要望に丁寧に応える
ネットショップを始めたことで、企業からの問い合わせも増えた。「うちの店では比較的
小ロットでオリジナルの飴が生産できるようにしています。例えば、オリジナルの飴をつく
りたいと思っても、1トンの在庫を持つのはお客様としても怖いわけです。そこで、1 5 キ
ロのロットでできる体制を整えました」。1 袋 1 0 0gとして約 1 5 0 袋程度。少し割高になっ
てしまうが、在庫をもつリスクよりも、利用しやすいというメリットが勝り好評だという。
「OEMを通じて新しい飴づくりのヒントをいただくこともあり、できる限りお客様
の希望に沿ったものができるように日々いろいろな方法を考えています」。 今後は、新たにもう一店舗の出店も計画しているという。岩井製菓の躍進劇は、まだ
まだ続きそうだ。
4
繁 盛の秘訣
南丹市
つるつるクリームの
有限会社みそのコスメ
繁盛店レポート 24
お客様にとって本当に役立つ
化粧品を提供したい
注)平成23(2011)年4月
みその薬局から薬品に変更
水虫薬をメインにして開業
京都府南丹市園部町の『チロリン村』に建つ薬局、
『みその薬局』。
大正3(19 14)年に初代が創業し、三代目である薬剤師の人見和夫さんは大手製薬会社
で経験を積んだ後、昭和4 2(1967)年に園部町で開業した。「もとは八木で代々薬局を
人 見 和 夫 氏(1940年生まれ)
有限会社みそのコスメ
(つるつるクリーム製造・販売)
営んできましたが、自分で挑戦したいと園部にやってきました。大型スーパーができた影
響で今の場所に移転し、以来、35年間この場所で薬局を営んでいます」。
開業以来、水虫薬をメインに営業を続けてきた。「大手薬品会社の商品だけを取り扱う
代表取締役 人見悠里 氏
だけでなく、
『この薬はここにしかない』というものがなければいけない。そこで、薬品会
〒622-0002
京都府南丹市園部町美園町4- 1 6 - 2 3
社に私の意向を組んだ薬を開発してもらい販売しました」。
TEL ■ 0771-68-2626
注目されるためにはどうするべきかを常に考える
FAX■ 0771-63-5119
U R L ■ http://www.turunan.com/
良い薬を真面目に販売していれば、お客さんは必ず喜んでくれる。そうすれば、結果的
に自分たちの商売の拡大にもつながる。その思いでずっと薬局を営んできたという。「も
ちろん『みその薬局』を知ってもらうための工夫は続けてきました」。
みその薬品
例えば、国道沿いに建てた看板は、わざと傾けることで注目を集められるようにした。ま
(つるつるクリーム発売元)
〒622-0002
京都府南丹市園部町チロリン村
た、店の横の『チロリン村』とかかれた看板は、道ゆくひとの目を引いている。「『チロリン
村』というのはこのあたりの商店街一帯の名前です。名前の公募があったとき、この名前
T E L■ 0771-62-4193
ならインパクトがあるだろうと応募したところ採用されました」。結果、遠方からのお客さん
営業時間■ 9:00~19:00
(日・祭日9:30~18:3 0)
との話のネタにもなり、非常に役立っているという。
定 休 日■ 第 3月曜日(5月~9月のみ)
祖父の配合をもとに新商品を開発
水虫薬に加えて、現在は新しい看板商品ができた。「父が作っていたあれどめが、手足の
MAP
荒れに非常によく効くと評判でした。基剤の配合の仕方がよく、皮フへの吸収率がとても
●京都銀行
みそのコスメ
良かった。これを改良すればもっとたくさんのお客さんに喜んでもらえるのではないかと思
9
い、商品開発をはじめました」。そうして出来上がったのが『みそのつるつるクリーム』だ。
みその薬品
父の代では20 g程度だったが、たっぷり使ってもらいたいということで、量は88gまで
増やした。また、一般流通に乗せるため、ベースとなる成分を変えて化粧品の許可をとり、
幅広く販売ができるようにした。その後、シルクセリシンというアミノ酸を配合した顔専用
のクリームも開発し、女性を中心に人気を集めている。
JR園部
全国からリピーターを集める人気商品に
当初は口コミで広がっていった『みそのつるつるクリーム』だが、ある代理店からぜひ自
分のところで総代理店をさせてほしいという依頼があり、
『有限会社みそのコスメ』を立ち
上げた。
「以来、インターネット販売や通信販売でも取り扱われるようになりました」。また、
リピーターのお客さんが直接店舗に訪れることも多いという。
「創業以来、人の役に立つものをつくろうという思いでやってきました。『みそのつるつ
るクリーム』の開発によって、自分たちの商品が世の中で役に立っているのだということを
実感することができました。お客様さまのためにこれからもこの場所で邁進してゆきたい
ですね」。熱い思いがまた新たな製品の開発に繋がってゆくに違いない。
5
地域商業チャレンジレポート
きょうと元気な地域づくり応援ファンド支援事業から
レポート
京都市東山区
23 小町家
話し手 小町家
暮らすように泊まっていただくという
コンセプトを具現化できた
代表
たなか まさえ 氏
京都の歴史を身近に感じられる滞在型レンタル町家
外向けの広告展開等にもファンドを活用しました。
もともと日本の古いものや伝統文化が好きで、大阪に住んで
また、商店街の活性化プロジェクトメンバーとしても活動して
いたということもあり、京都によく訪れていました。滞在型の町
おり、昨年1 2月には商店街と連携した落語イベントを開催しま
家を開こうと思ったきっかけは、暮らすように泊まっていただくこ
した。落語の鑑賞料としていただいた500円をそのまま商店
とで、より深く京都の歴史を感じてもらえるのではないかと思っ
街で使える商品券としてお客様にお渡しするという仕組みで、
たからです。訪問する立場だったからこそのありがたさと憧れが
商店街のお店にお客様を誘致することにも成功しました。1回
あり、そこから生まれたビジネスアイデアだったと思います。
1回のイベントの効果というよりは、継続的に行ってゆくことで
古川町商店街という場所を選んだのは、昔からある地元の商
商店街の活性化、店舗の誘致につなげてゆければという思い
店街であること、観光地へのアクセスが便利であることが大き
で、今後も定期的に開催してゆくつもりです。
な要因です。また、商店街の活性化にも繋げたいという思いも
あり、暮らすように泊まっていただきたいという私の希望を叶え
商店街の一員として活性化に臨む
てくれる場所がまさにこの商店街でした。
応援ファンド助成金を通して、滞在するお客様により満足の
いくサービスができたこと、国内、海外問わず問い合わせが増
ファンドで設備の充実と商店街との連携を深める
えたことは私にとっても大変うれしい結果です。また、イベント
レンタル町家として実際に小町家をオープンさせたのは、平成
を通じて商店街との関係がより深まり、古川町商店街の一員と
22(2010)年の春です。雑誌に取り上げられたことなども追い
して認めていただけるようになりました。立地条件も良く、この
風になり、比較的順調な滑り出しでしたが、イニシャルコストの
施設を利用することで、改めて京都や地元の商店街の良さを実
問題で事業を始めるまでに実現できなかった部分もありました。
感していただければ幸いです。
「きょうと元気な地域づくり応援ファンド支援事業助成金」を
同年7月に採択されたことで、やりたいが、残念にもできなかっ
体験型プログラムでより深く京都を知ってもらいたい
たことがより早く実行でき、お客様の満足へも繋げてゆけたの
小町家をオープンさせてから1 年半ほど経ちましたが、その
ではないでしょうか。例えば、町家は寒くなってくるととても冷
間に東山三条周辺に町家の宿が4軒できました。自分でお客様
えるので、お風呂に暖房を入れたり、お茶をできるように炉を
と接していて思いますが、滞在型観光の需要というのはまだま
入れたりなど、これまで以上に京都の暮らしというのを体験して
だあると思います。今後は、お茶やお花などの要望に応じた体
いただきやすくなったように思います。小町家のお客様は3分
験プログラムを提供していきたいと考えています。のんびりと
の1近くが海外からのお客様です。外国人のお客様を更に誘致
時間をかけて、京都の街を知っていただく手助けができれば、
してゆきたいという希望もあり、英語版webサイトの充実や海
こんなに嬉しいことはありません。
小町家
〒605-0026 京都市東山区古川町543-2
TEL 090-2705-6042
URL http://www.komachiya-kyoto.com
6
京都府と(公財)京都産業21では、京都府内の新たな事業の創出等を支援することにより、地域力の再生を図るため、
「きょうと元気な地域
づくり応援ファンド支援事業助成金」により、地域資源を最大限に活用した事業や商店街の活性化、福祉の向上、環境対策に役立つ事業など
を支援しています。本コーナーでは、これまでの助成事業の中から、地域商業に関わる取り組み内容や今後の抱負等を紹介しています。京都
の商業発展のために、これから意欲的かつ大胆に取り組もうと考えておられる皆様のお役に立つ情報のひとつになることを目指しています。
レポート
宮津市
24 磯野開化堂
地元の特産物を使ったお菓子で
商店街の活性化も目指す
話し手 磯野開化堂
日本茶インストラクター
磯野 修一 氏
老舗お茶屋が開発した本物の抹茶アイス
後地域をいろいろ回りましたが、外に向けて誇るべき食材が
明治30(18 97)年の創業以来、宮津で緑茶、抹茶、茶道具
本当に豊富だと実感しました。その魅力をアイスという形に
の卸・小売販売を営んできました。店でアイスクリームを製
濃縮できればと考えています。
造、販売するようになったのは、地元の小売店を中心とした
研究会に参加したことがきっかけです。もともと私自身が抹
食材、パッケージにいたるまで丹後産
茶アイスクリームを好みますが、抹茶味のついたミルクアイ
応援ファンド助成金を活用して、まずは冷凍庫等の設備増
スはあっても、抹茶を飲んでいるような濃い本当の抹茶アイ
強を行い、その後、販路開拓として東京をはじめとした各地
スクリームというのはほとんど見かけません。
のイベントへの出店や、ウェブページでのPRにも活用しまし
それならば自分で調合して作ってみようと考え、菓子屋の
た。そして、最終的に新商品として作り上げたのが、由良み
友人に作り方を相談したり、茶のブレンドを変えたりしなが
かんと炒り玄米のアイスクリームでした。
ら作り上げた試作品を研究会に持っていきました。それが皆
今回新しく作った新商品は素材だけでなく、パッケージにもこ
さんにとても好評で、ぜひ商品化を、という声をいただき、
だわりました。地元で絵を描いておられる方に依頼し、女性を
平成21(2009)年から店頭で販売するようになりました。
モチーフにした印象的なものに仕上がっています。食材だけで
2 年間で確実につかんだ手ごたえを形に
磯野開化堂の抹茶アイスクリームの特徴は、何と言っても
なく人材という意味でも、丹後にはまだまだたくさんの魅力が
あると実感できたことは非常に良かったと思います。
抹茶の香りが非常に高いことです。鼻から抜けるような冴え
地元の魅力を府外に発信し、集客に結び付ける
たお茶の香りは、お茶屋で味わうものと同じだと自負してい
今回の新商品開発で、これまで以上に客層を広げることが
ます。牛乳や卵は丹後地域のものを使い、敢えて甘みを抑え
できました。インターネットでの問い合わせも増え、県外へ
てお茶の風味を引き立てるために作っています。年配の方に
のお土産に持って行っていただけるなど、地域ぐるみの応援
も好評で、女性のお客様も増えました。抹茶の次に販売した
を非常にありがたく思っています。
ほうじ茶のアイスクリームもたいへん好評です。
私どもの商品をきっかけに、丹後にもっと観光客を集客でき
2 年間のアイスクリーム販売で手ごたえを感じていたこと
れば嬉しいですね。お茶屋としての販路を活かしつつ、ご当地
もあり、新たな商品開発に取り組むこととし、今回の「きょ
アイスとして地元の活性化の一役を担えればと思います。まだ
うと元気な地域づくり応援ファンド支援事業助成金」に申請
まだ丹後には魅力的な食材があります。今後も、新しい商品の
したわけです。コンセプトは「丹後の里山の味覚をそのまま
開発に積極的に取り組んでいきたいと考えています。
アイスにしょう!」です。ご当地アイスを開発するために丹
磯野開化堂
〒626-0015 京都府宮津市魚屋954
営業時間…8:00~18:30
定休日…日曜日
TEL 0772-22-1185
FAX0772-20-2101
URL http://www.umai-cha.jp/
7
Fly UP