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資料6 国民生活における安全・安心にかかわる事故等の概要
国民生活における安全・安心にかかわる事故等の概要と主要な課題 資料6 事故等の概要 政府の対応 事故等から得られる主要な課題 エレベータ ○平成 18 年 6 月 3 日、男子高校生が ○平成 18 年 6 月 7 日、国土交通省は、各都道府 ○現行基準の安全性能等の規定の中には、内容が定性 ー シンドラーエレベータ(株)製のエレ 県に対し、管下におけるシンドラーエレベータ 的であり具体的な仕様等が定められていないものが ベーターから降りようとしたところ、 (株)製の所有者等に対して、注意喚起を行う ある。特に制御プログラムによる安全装置は、プログ 扉が開いたままの状態でエレベータ とともに、点検を実施し結果を報告すること及 ラムミス等を完全に取り除くことが困難であり確認 ーのかごが上昇し、かごの床面と乗り び過去の事故・不具合等の発生状況とそれに対 検査においても十分なチェックが行われていない。ま 場扉の三方枠の上面との間に挟まれ、 する対応状況について報告することを求めるよ た、定期検査は、その時点での状態の適否判断にとど 死亡。 う要請。各都道府県より報告のあった点検結果 まっており、次回検査までの性能維持が可能か十分な について、11 月 17 日に最終報告として公表。点 チェックを行うことが困難である。そこで、定期検 検対象 6,273 基中、指摘事項があり「否」とさ 査・報告等により把握された不具合情報や事故情報を れたものは 102 基、人身事故のあったものは3 収集するシステムを整備し、関係者が共有できるよう 基(3件)であった。 情報提供を行う必要があるのではないか。 ○平成 18 年 6 月 15 日、社会資本整備審議会(国 ○複数の製造者に供給されている部品の不具合等に 土交通大臣の諮問機関)建築分科会建築物等事 ついて、当該不具合が生じたエレベーターの製造者内 故・災害対策部会を緊急開催。平成 18 年 9 月 29 での改修等は行われているが、不具合情報等が共有さ 日、同部会は「エレベーターの安全確保につい れていない。そこで、製造者と製造者、製造者と保守 て 管理業者、保守管理業務を交代した保守管理業者の間 中間報告」を公表。これを受け、安全基準 の見直し、定期検査の見直し、不具合情報の共 で、不具合情報等の共有を図るべきではないか。 有化、業界におけるリコール的な仕組みの導入 ○設計・製造上の欠陥による事故が発生した場合の被 等に関する検討に着手。 害拡大・再発防止策として、リコール的な仕組みの導 入も視野に、現行の法体系における是正措置等との関 係整理や実効性の確保等の観点から総合的な検討が 必要ではないか。 ○事故の発生から自治体が把握するまで、時間がかか った。早急に危機管理対応ができるよう一層の自治体 の危機管理担当部局の体制整備が必要ではないか。 1 事故等の概要 政府の対応 事故等から得られる主要な課題 ガス瞬間湯 ○パロマ工業(株)が製造したガス瞬 ○平成 18 年 7 月 14 日、経済産業省は、パロマ ○行政による事故情報収集・活用のシステムについ 沸かし器 間湯沸かし器につき、安全装置の不正 工業(株)に対し、半密閉式ガス瞬間湯沸かし て、データベースの構築、事故の分析体制や関係機関 改造等を原因とする一酸化炭素中毒 器7機種の点検と必要な改修を行うとともに、 間の連携体制等について整備・改善すべきではない 事故が発生。昭和 60 年∼平成 17 年ま 相談窓口を設置することを指示し、原因究明に か。 での期間に 28 件の事故が発生、21 人 必要な報告を要求。各種ガス事業者に対しても、 ○事故情報の国民への迅速な提供の在り方を検討す が死亡。 点検を行うよう指示するとともに、該当 7 機種 べきではないか。 の設置状況や原因究明に資する情報を含めた再 ○設計・製造上の欠陥が判明した場合の被害拡大・再 発防止に必要な情報の提供と協力を要請。 発防止策の一つとして、リコールの在り方を検討すべ ○平成 18 年 8 月 28 日、経済産業省は、消費生 きではないか。 活用製品安全法に基づく点検・回収等の緊急命 ※リコールのガイドラインの例として、「消費生活用 令を発動。 製品のリコールハンドブック」(経済産業省、平成 14 ○同日、経済産業省は、 「製品安全対策に係る総 年 9 月)がある。 点検結果」をとりまとめ、公表。 ○企業の社会的責任の一環として、企業や業界団体に ○平成 18 年 9 月より、産業構造審議会(経済産 よる事故に関する事前の対策や事後の対応への自主 業大臣の諮問機関)消費経済部会製品安全小委 的取組みを促進すべきではないか。 員会において、事故情報収集体制や公表のあり 方等の製品安全対策について検討。 ○平成 18 年 11 月 29 日、「消費生活用製品安全 法の一部を改正する法律」成立。 ○平成 18 年 9 月から、審議会等において、瞬間 湯沸器(半密閉式瞬間湯沸器)及びガス風呂釜(半 密閉式バーナー付き風呂釜)について、ガス事業 法及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適 正化に関する法律の技術基準省令の改正を検討 中(平成 18 年 11 月 17 日、改正案についてパブ リックコメント終了)。 2 事故等の概要 政府の対応 事故等から得られる主要な課題 シュレッダ ○家庭における紙用シュレッダー(ア ○平成 18 年 8 月 23 日、経済産業省は、関係業 ○行政による事故情報収集・活用のシステムについ ー イリスオーヤマ(株)製、カール事務 界団体に対して、シュレッダー事故の発生状況 て、データベースの構築、事故の分析体制や関係機関 器(株)製、ナカバヤシ(株)製、富 の網羅的調査・報告と消費者への注意喚起並び 間の連携体制等について整備・改善すべきではない 士ゼロックス(株)製)による幼児の に幼児による不慮の事故の再発防止のための対 か。 指切断事故が、昭和 58 年∼平成 18 年 策の策定・実施等を要請。 ○企業の社会的責任の一環として、企業や業界団体に の間に計 5 件発生。 ※関係業界団体に所属していないシュレッダー よる事故に関する事前の対策や事後の対応への自主 製造・輸入業者に対しては、経済産業省が直接 的取組みを促進すべきではないか。 調査を実施。 (平成 18 年 10 月 20 日に公表) ○従来は想定されていなかった製品の家庭への普及 ○平成 18 年 8 月 28 日、経済産業省は、 「製品安 による事故を未然に防止するための方策を検討すべ 全対策に係る総点検結果」をとりまとめ、公表。 きではないか。 ○平成 18 年 9 月より、産業構造審議会消費経済 部会製品安全小委員会において、事故情報収集 体制や公表のあり方等の製品安全対策について 検討。 ○平成 18 年 11 月 29 日、「消費生活用製品安全 法の一部を改正する法律」成立。 3 耐震偽装 事故等の概要 政府の対応 事故等から得られる主要な課題 ○平成 9 年頃より行われていた一部の建 ○平成 17 年 11 月 17 日、国土交通省は、構造計 ○複数の特定行政庁、指定確認検査機関におい 築士による構造計算書の偽装について、 算書偽装問題を公表するとともに、国及び関 て偽装が見逃されたことから、建築確認・検査 元請け建築士事務所やその設計を建築確 係特定行政庁からなる構造計算書偽装問題対 の厳格化を早急に図るべきではないか。【平成 認した指定確認検査機関等における審 策連絡協議会を設置。また、同月 21 日以降、 18 年6月成立の建築基準法等の改正で措置済 査・検査でも偽装であることが見過ごさ 偽装を行った建築士が関与した物件をはじめ み】 れた結果、建築基準法の定める耐震基準 とする関係物件等の調査を実施。 ○複数の指定確認検査機関において偽装が見 に適合しないマンション・ホテル等が建 ○平成 17 年 12 月 6 日、「構造計算書偽装問題 逃されたことから、指定確認検査機関に対す 設。 に関する関係閣僚による会合」開催、「構造計 る指導監督を強化すべきではないか。【同上】 ※調査の結果、偽装が確認された物件は全 算書偽装問題への当面の対応」とりまとめ。 ○建築士等による違法行為に対する罰則を大 国で 133 件(平成 18 年 11 月 10 日現在)。 ○平成 17 年 12 月 13 日、学識経験者、マンショ 幅に強化すべきではないか。【同上】 ンの居住者代表等からなる「構造計算書偽装問 ○建築士の資質、能力の向上を図ることが必要 題に関する緊急調査委員会」開催を決定。平成 ではないか。 18 年 4 月 6 日に最終報告。 ○専門分野の建築士の関与による構造設計及 ○平成 18 年 6 月、「建築物の安全性の確保を図 び設備設計の適正化が必要ではないか。 るための建築基準法等の一部を改正する法律」 ○建築士や建築士事務所の団体により、自主的 成立・公布。建築確認・検査の厳格化、指定確 な自己研鑽や業務の適正化を図ることが必要 認検査機関に対する監督の強化、建築士等に対 ではないか。 する罰則の大幅強化、住宅の売主等の瑕疵担保 ○新築住宅の売主等に十分な資力がなく瑕疵 責任の履行に関する情報開示等を措置。 担保責任を果たせない場合、住宅の所有者が ○平成 18 年 8 月 31 日、社会資本整備審議会が 経済的に不安定な立場におかれることへの対 「建築物の安全性確保のための建築行政のあり 応策を検討すべきではないか。 方について」を答申。 ○平成 18 年 10 月 24 日、「建築士法の一部を改 正する法律案」閣議決定。 4 プール 事故等の概要 政府の対応 事故等から得られる主要な課題 ○平成 18 年 7 月 31 日、埼玉県ふじみ野市 ○平成 18 年 8 月 1 日、文部科学省は学校内外の ○施設の設置・管理にあたり、施設基準や維持 の市営大井プールで、児童が流水プールで 水泳プールの施設・設備について安全点検及び 管理基準等の遵守を徹底させる必要があるの ふたの外れた吸水口に吸い込まれ、死亡。 確認を実施するとともに、排(環)水口の状況 ではないか。 について報告するよう各都道府県教育委員会等 ※大井プールでは、県の要綱に定められた排水 に通知。 口及び循環水の取入口に係る施設基準や維持 ○平成 18 年 8 月 7 日、文部科学省は、上記調査 管理基準を遵守していなかった。 に基づき、安全確保に必要な構造がとられてい ○設計段階や施工段階、維持管理段階のそれぞ ないことが判明したプールについては、構造の れにおいて、施設基準や維持管理基準等の遵 改善が講じられるまでの間使用を中止するよう 守・確認を行う責任の所在を明確化する必要が 各都道府県教育委員会等へ要請。 あるのではないか。 ○平成 18 年 8 月 10 日、 「プールにおける事故対 ○過去の事故例やその教訓などについて、全国 策に関する関係省庁連絡会議」において、全国 の設置者や管理者、その他行政機関等の間で情 のプールに対し安全確保のための緊急自主点検 報を共有できるようなシステムを整備する必 を行い、結果を各施設で掲示することを要請す 要があるのではないか。 る「プールにおける安全確保のための緊急アピ ○民間委託等において第三者に被害が及んだ ール」を申し合わせ。 場合について、被害者の迅速な救済と合理的な ○平成 18 年 8 月 30 日、同会議において、平成 リスク分担の観点から、官民の損害賠償責任の 18 年 12 月を目途にプールの安全標準指針(仮 分担の在り方を検討する必要があるのではな 称)を関係省庁で取りまとめ、技術的助言とし いか。 て遵守を要請することを内容とする「今後の取 ○企業や行政の社会的責任の一環として、企業 り組みについて」を申し合わせ。 や行政による事故に関する事前の対策や事後 の対応、コンプライアンス強化への取組みを促 進すべきではないか。 5 アスベスト 事故等の概要 政府の対応 事故等から得られる主要な課題 ○クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の従 ○平成 17 年 7 月 29 日、第 1 回「アスベスト問 ○関係省庁連絡会議等により情報を共有し、危 業員等が、アスベストを原因とする「中皮 題に関する関係閣僚による会合」開催、 「アスベ 険が生じるおそれがあるものについて、予防的 腫」等で死亡。 スト問題への当面の対応」とりまとめ(第2回 取組方法の観点に立ち、早期かつ適切な対策を 同会合で改訂)。 講ずる体制を整備する必要があるのではない ○平成 17 年 12 月 27 日、第 5 回の同会合にお か。 いて「アスベスト問題に係る総合対策」とりま ○企業・業界団体の知見を活用し、自主的な規 とめ。 制、事故情報の公表等、企業・業界団体におけ ○平成 18 年 2 月、石綿健康被害救済給付金・特 る自主的な取組を促進すべきではないか。 別遺族給付金制度等を定める「石綿による健康 ○石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石 被害の救済に関する法律」及び今後の被害の未 綿による健康被害者であって労災補償による 然防止のために関係法律の改正を行う「石綿に 救済の対象とならない方に対し、迅速かつ安定 よる健康等に係る被害の防止のための大気汚染 した救済を図る必要があるのではないか。【平 防止法等の一部を改正する法律」が成立、公布。 成18年2月成立の「石綿による健康被害の救 ○平成 18 年9月1日、改正労働安全衛生法施 済に関する法律」で措置済み】 行令が施行され、石綿及び石綿をその重量の ○国民の不安への対応を図るため、実態調査及 0.1%を超えて含有する全ての物の製造、輸入、 び調査研究等の推進、情報提供の充実、各省庁 譲渡、提供、使用が禁止。 が連携した相談の実施等の対応策を検討する ことが考えられるのではないか。 【アスベスト問題に関する上記課題すべてに ついて、平成18年2月成立の「石綿による健 康被害の救済に関する法律」等による法律措置 のほか、予算措置(平成17年度補正予算及び 平成18年度予算)を含む「アスベスト問題に 係る総合対策」により様々な対策が講じられて おり、措置済み】 (各省庁プレスリリース等より内閣府作成。) 6