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PRESS RELEASE
富田直樹個展「郊外少年/suburban boy」のご案内
<Snowy Morning > 2016 年
Oil on Canvas 218.2 x 291 cm ©Naoki Tomita / MAHO KUBOT GALLERY
春陽の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
MAHO KUBOTA GALLERY では 5 月 10 日より若手ペインター、富田直樹の新作展を開催する
こととなりました。
油絵具を厚く塗り重ねることで削り出すように描かれた大都市近郊の風景や、空きテナントの
ファサード、フリーターの若者達の表情、持ち主不在の指輪の絵。2010 年代のリアル、「全て
を失った僕らの再生」を描く油絵は厚塗りの絵具のマチエールに光だけでなく影を宿している
からこそ、眩い印象をもって鑑賞者の心に届きます。
<展覧会概要>
展覧会名
富田直樹展「郊外少年/suburban boy」
展覧会会期
2016 年 5 月 10 日(火)- 6 月 11 日(土)
12:00-7:00pm
会期中
会場
日・月および祝日は休廊
MAHO KUBOTA GALLERY
東京都渋谷区神宮前 2-4-7 1F
tel 03-6434-7716
http://www.mahokubota.com
入場無料
富田直樹
1983 年茨城県生まれ。2012 年京都造形芸術大学美術工芸学科を卒業。2015 年東京藝術大学
大学院美術研究科修士課程油画専攻修了。
厚塗りの油絵具を重ねる手法で描いた大都市近郊の風景や空きテナントのファサード、職業を
もたないフリーターの若者達を描いたペインティングが注目を集める。
2015 年東京オペラシティアートギャラリーProject N 60 にて個展を開催。同年現代芸術振興
財団アートアワードにて審査員特別賞を受賞。現在の日本のアートシーンで最も活躍が期待さ
れる若手アーティストの一人である。
<展覧会について>
「郊外少年/suburban boy」と題された本展では大都市近郊のロードサイドの風景や、フリー
ターの若者の顔を描いた大小の油絵の新作が展示されます。
日本の現代アートが国際的なアートの状況と真の意味で密接にリンクし始めたのが 1980 年代
のこと。その頃に生まれた世代のアーティストの作品が国内外の展覧会などで注目を集めるよ
うになってきました。 ペインティング、彫刻、映像、コンセプチュアルアートなど、多くの分
野ですでに何もかもがやりつくされたように見える中、80 年代生まれのアーティスト達はどの
ような言葉で自分達の創作を語るのでしょうか。
中でも絵画の分野には先人の成し遂げた仕事の数々が累々と積み重なっています。超絶技巧系
でナラティブを描くもの、イメージを排除して崇高を描くもの、あるいは毒を描くことで社会
の闇にせまるもの。しかし 80 年代生まれのペインター達の仕事は一時みられた絵画の閉塞感に
対し、歴史の重みの呪縛から幾分か解放されているようにも見えます。
ペインティングのメインストリーム不在のいま、若いペインターたちはアカデミックなルール
から解放され、主題ですらインターネットの世界から軽々と選択することも可能です。ともす
ると「軽やかすぎる」その状況の中、愚直なまでに時間をかけ、厚く油絵具を重ねていくペイ
ンターが富田直樹です。
1983 年に茨城県で生まれた富田は、大都市と里山の間にある日本の「都市郊外」というごくあ
りふれた環境の中で 10 代を迎えました。里山ほどの豊かな緑はなく、工業的な幹線道路にはど
こにでもあるチェーンの飲食店や大型の商業施設。都市の街ほど刺激的な場所もなく、娯楽と
いえばゲームにカラオケ。そんな「郊外少年」を拗らせた彼は 10 代の半ばには特攻服を着て剃
り込みを入れ、夜の町を仲間とバイクで飛ばすことで自分の居場所を探そうとしていました。
結局のところそうすることでは自分の居場所をみつけられなかった富田の興味はその後自分を
表現することに向けられていきます。試行錯誤の上たどりついたのが絵を描くことでした。
富田の技法は対象を削り出すように重ねてマチエールを作っていく厚塗りの絵具の表現に特徴
的です。厚みをもった絵具の表面は光をひろい、影を作ります。代表的な作品シリーズのひと
つ、《No Job》のシリーズでは雑誌などで見つけた、決まった職業をもたないフリーターの若
者達の顔が 18 x 14 cm /F0 号という小さなキャンバスの上に描かれています。富田は「《No
Job》はフリーターの人達の肖像を描いた作品です。フリーターと聞くと一見ネガティブな印象
を受けますが、私は無とも呼べるこの状態を新しく何かが始まる可能性や希望として捉えてい
ます。」と説明します。
同様に多く描かれる大都市近郊の風景や、空きテナントのファサード、不動産屋に案内された
空き部屋の光景、持ち主が不在の指輪の絵などの中にも「無とも呼べる状態」から「何かが始
まる可能性や希望」を見てとることができます。ニュートラルな状態をネガティブに空虚と捉
えるのではなく、そこからもれて見える光の部分を描きたいという富田自身の願いは作品のそ
こここに見られますが、その願いを裏打ちしているのは過去の喪失の経験ととらえることもで
きるかもしれません。5 年前には未曾有の災害を経験し、今もまた失うものが多すぎる 2010 年
代の日常。まるでフィクションの世界のように「全てを失った僕らの再生」を描く油絵のリア
ルは、厚塗りの絵具のマチエールに光だけでなく影を宿しているからこそ、眩い印象をもって
鑑賞者の心に届きます。
広報お問合せ:[email protected]
03-6434-7716
Night Rain ( Yosame ) 2014 年
©Naoki Tomita / MAHO KUBOT GALLERY
Corner #2
No Job
2012 年
2015 年
©Naoki Tomita / MAHO KUBOT GALLERY
©Naoki Tomita / MAHO KUBOT GALLERY
No Job 展示風景 ©Naoki Tomita / MAHO KUBOT GALLERY
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