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3-2信用事業強化計画(PDF:1865KB)
信 用 事 業 強 化 計 画 (農林中央金庫及び特定農水産業協同組合による信用事業の再編 及び強化に関する法律 附則第 4 条第 1 項) 平成 24 年 1 月 そうま農業協同組合 目 次 はじめに ・・・ 1 1 信用事業強化計画の実施期間 ・・・ 1 2 信用事業指導契約の内容 ・・・ 2 3 損害担保契約の内容 ・・・ 2 4 農業者等に対する信用供与の円滑化その他の当組合が事業 ・・・ 3 ・・・ 4 ・・・ 9 ・・・ 10 ・・・ 13 ・・・ 22 ・・・ 25 (2)金額の算定根拠及び当該自己資本の活用方法 ・・・ 25 6 剰余金の処分の方針 ・・・ 26 7 財務内容の健全性及び事業の健全かつ適切な運営の確保 (1)経営管理体制 ・・・ 27 (2)業務執行に対する監査又は監督の体制 ・・・ 27 (3)地域特性・事業基盤にあった収支構造に向けた取組み ・・・ 27 ・・・ 27 を行っている地域における経済の活性化に資する方策 (1)農業者等に対する信用供与の円滑化その他の当組合が 事業を行っている地域における経済の活性化に資するため の方針 (2)農業者等に対する信用供与の円滑化のための方策 (3)担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の 農業者の需要に対応した信用供与の条件又は方法の充実 のための方策 (4)東日本大震災の被災者への信用供与の状況 (5)東日本大震災の被災地への支援をはじめとする被災地域 における復興に資する方策 (6)その他当組合が主として事業を行っている地域における 経済の活性化に資する方策 5 指定支援法人による優先出資の引受け等に係る事項 (1)社団法人JAバンク支援協会による優先出資の引受け等 を求める額及びその内容・金額及び条件 のための方策 (4)与信リスクの管理(不良債権の適切な管理を含む。)及び 市場リスクの管理を含む各種のリスクの管理状況ならびに これらに対する今後の方針 はじめに 当組合は、福島県の浜通り北部、宮城県との境に位置する 2 市 1 町 1 村(相馬市・ 南相馬市・新地町・飯舘村)を事業区域とする農業協同組合として、 「人の和、努力、 実践」の経営理念のもと、地域に根ざした事業活動を展開してまいりました。 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、当組合管内の農業および経済に甚 大な被害をもたらし、当組合では、新地低温農業倉庫、新地ライスセンター、味噌・ 納豆加工所、駒ヶ嶺農業倉庫、ふれあい旬のひろば(直売所)、やすらぎ会館小高(葬 祭会館)、その他多数のJA施設も大きな損害を被り、全部損壊 35 施設、一部損壊 51 施設、損壊なしが 6 施設で、組合施設の 93%が被害を受けております。 また、震災に続く東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、農産物の作 付・出荷制限や風評被害を受け、農家収入は著しく減少しており、当組合の販売事業 はもとより、購買・信用・共済事業の主要事業、その他の事業においても影響が発生 している状況にあります。 当組合は、東日本大震災以降、被災組合員等への貯金払戻しや借入金返済等にかか る相談対応等に適切に対応してまいりましたが、今後とも当組合の組合員・利用者に 対し、これまで以上に適切に金融機能を発揮していくため、資本増強を図る方針を決 定し、農林中央金庫(以下「農林中金」という。)の指導に基づき資本支援の要請を 行いました。これを受け、農林中金は、農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等に よる信用事業の再編及び強化に関する法律(以下「法」という。)第 32 条第 2 項に定 める指定支援法人である(社)JAバンク支援協会(以下「支援協会」という。)に 対し、当組合が発行する優先出資の引受けの要請を行いました。 支援協会は、法附則第 3 条に基づき、農水産業協同組合貯金保険機構(以下「貯金 保険機構」という。)に対し、当組合が発行する優先出資の取得にかかる申込みを行 うこととしております。 当組合は、今回の申請に基づく資本増強により財務基盤の健全性を確保し、東日本 大震災の被災地域の皆様のご期待に応えるため、適切な金融機能の発揮による組合 員・利用者に対する信用供与の維持・拡大と各種サービスの向上に努め、総力をあげ て本信用事業強化計画に基づいた様々な施策に鋭意取り組んでまいります。 1 信用事業強化計画の実施期間 当組合は、法附則第 3 条第 1 項第 1 号の規定に基づき、平成 23 年 3 月から平成 28 年 2 月までの信用事業強化計画を実施いたします。 なお、今後計画に記載された事項について重要な変化が生じた場合、または生じ ることが予想される場合には、遅滞なく主務大臣に報告いたします。 -1- 2 信用事業指導契約の内容 当組合は、農林中金と法附則第 3 条第1項第 2 号に定める信用事業指導契約を次 のとおり締結することとしております。 (1)農林中金は、法附則第 4 条第 2 項により主務大臣に提出した当組合にかかる信 用事業強化指導計画に基づき、当組合の被災債権の管理等に関する指導その他当 組合の信用事業の強化のために必要な指導及び助言を行うものとし、当組合はそ の指導、助言に基づき適切に信用事業を行うものとする。 (2)農林中金は、当組合の信用事業強化計画が円滑かつ確実に実施されるよう、次 の内容の指導・助言を行う。 a 信用事業強化計画に基づく各施策の実施状況及び実績の把握ならびに他農 業協同組合の成功事例の提供などを通じた地域農業者への円滑な資金提供や 金融サービスの充実に向けた指導・助言 b 財務内容の健全性及び事業の健全かつ適切な運営を確保するための指導・助 言 c 被災債権の管理及び回収にかかる指導・助言 (3)農林中金は、当組合から以下のとおり報告を受けるものとする。 a 農林中金は、毎四半期終了後に、当組合の信用事業強化計画の進捗状況等を 確認し、その結果等を踏まえて当組合に対し必要な指導・助言を行うものとす る。 b 当組合は、「JAバンク基本方針」に定める報告のほか、農林中金から、そ の業務および財産の状況につき必要な報告を求められた場合は、その求めに応 じ必要な報告を行うものとする。 c 当組合は、財産、経営、業況に重大な変化が生じたとき、または生じるおそ れがあるときは、直ちに農林中金に対し報告し、必要な指導・助言を受けるも のとする。 (4)本契約は、契約締結の日(支援協会による当組合が発行する優先出資の引受け にかかる払込期日とする。)から効力を有し、当組合が法附則第 16 条第 3 項の認 定又は附則第 17 条第 2 項の認定のいずれかを申請した日までの間に限り、その 効力を有するものとする。 3 損害担保契約の内容 当組合は、損害担保契約(法附則第 3 条第 1 項第 3 号に規定する損害担保契約を いう。)を行っておりません。 -2- 4 農業者等に対する信用供与の円滑化その他の当組合が事業を行っている地域に おける経済の活性化に資する方策 (1)農業者等に対する信用供与の円滑化その他の当組合が事業を行っている地域に おける経済の活性化に資するための方針 a 当組合管内の経済・農業情勢 当組合の事業区域(相馬市・南相馬市・新地町・飯舘村)は、本県の浜通り北 部に位置しており、太平洋沿岸部から平坦部、阿武隈山間部までバラエティに富 んだ地勢の中で、農林水産業・商工業の振興が図られてまいりました。 農業分野においては、海洋性気候の海岸沿い平坦部は、降雪・降雨量が少なく 比較的温暖な気候であることから、水稲を基幹作物としながら、ブロッコリー・ ニラ・なし等産地形成による園芸振興を図ってまいりました。一方、阿武隈山間 部は、冷涼な気候であり、肉牛のブランド化など畜産振興を図ってまいりました。 仙台市といわき市のほぼ中間に位置し、管内を南北に縦断する常磐自動車道が 平成 24 年開通の予定であり、当地域が大消費地である関東圏・仙台圏に直結さ れることから、地域経済・社会の一層の飛躍・発展が期待されておりました。 このような情勢下、当組合は、管内貯金シェア約 20%、同貸出金シェア約 15% を占め、また管内の2町村(新地町、飯舘村)の指定金融機関を担っており、こ うした地域金融機関としての役割に加え、農産物生産・流通や生活全般に関わる 事業運営を通じて、「農」を基軸とした地域の協同組合としての社会的な役割・ 使命の発揮に努めているところです。 b 東日本大震災による影響 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災により、東北・関東の広域が被災 し、当組合管内においても人的被害のほか様々な社会・生活インフラ、生産・営 農施設、物流ネットワーク等が、過去にない規模の甚大な被害を受けました。 県や市町村の発表等によると、現在判明している当組合管内の被害状況は、死 者・行方不明者が 1,241 人、建物の全壊・半壊・一部損壊が 11,300 棟に及ぶと ともに、津波・原発被害により作付可能農地 8,917.5ha のうち 7,058.5ha(約 8 割:平成 23 年 10 月 1 日現在)が作付不能となっております。 また、原発事故による警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難準備区域の指定 等により、当組合管内の組合員等住民の多くが避難生活を余儀なくされている状 況にあります。(緊急時避難準備区域の指定は、平成 23 年 9 月 30 日に解除) この東日本大震災・原発事故の影響により、地域の雇用情勢・個人消費・住宅 建設・設備投資等において状況は悪化しており、当組合管内の農業者等の経営環 境はかつてないほどの厳しさに直面しております。 地震・津波・原発事故に加えて風評等、三重・四重の甚大な被害が懸念される ものの、一日も早い復旧・復興に向けて、農業協同組合には、これまで以上に金 融仲介機能を発揮し、農業者等への復興支援を強化・継続していくことが求めら れております。 -3- c 農業者等に対する信用供与の円滑化、その他当組合の事業区域における経済の 活性化に資するための基本的な取組み姿勢 (a)基本的な取組み姿勢 当組合は、当組合管内が直面している東日本大震災後の社会経済情勢及び金融 円滑化法の趣旨等を踏まえ、被災地域の農業協同組合として、組合員・利用者の 皆様からの声に丁寧に耳を傾けながら、組合員・利用者の皆様にとって最適な金 融機能の提供に努め、地域農業・経済の活性化に向けて真摯に取り組んでまいり たいと考えております。 なお、地域農業・経済の活性化については、当組合として主体的に取り組んで いくことはもちろんのことですが、地域の行政機関や、農林中金のみならず、農 協系統諸団体と連携して取り進めていくこととします。 (b)農業者に対する相談機能の発揮 東日本大震災後、被災された農業者においては、農業施設の損壊・消失や福島 原発事故に伴う風評被害等、かつて経験したことのない極めて厳しい現実に直面 しております。 そのような中、当組合といたしましては、営農経済部門とも連携して農業者の もとへ積極的に出向き、農業者からの相談への対応・ニーズの掘り起こしを的確 に行い、公的金融制度等も活用しながら、安定的かつ円滑な資金供給機能を積極 的に果たすことで、地域農業の復旧・復興に向けて取り組んでまいります。 (c)地域再生への積極的な参画 当組合は、農業協同組合としての情報集積機能をさらに発揮し、市町村や農協 系統諸団体との連携を密にして、様々な公的支援策も活用しながら、組合員・利 用者への復興支援に取り組んでまいります。 また、地域経済を構成する一員として、地域復興計画等の策定や実施等にも多 面的かつ積極的に参画し、地域経済の復興と活性化に取り組んでまいります。 (2)農業者等に対する信用供与の円滑化のための方策 a 農業者等に対する信用供与の実施体制の整備のための方策 当組合は、農業者の協同組織金融機関として、「健全な事業を営む農業者をは じめとする地域の組合員・利用者に対して必要な資金を円滑に供給していくこ と」を、当組合の最も重要な役割の一つと認識し、この認識のもと、「金融円滑 化にかかる基本的方針」を制定し、本支店においてご相談を承る等、農業者等に 対する信用供与の円滑化を適切に推進するための体制を整備し、地域金融機関と して、農業をはじめとする地域経済の発展に資するべく取り組んでまいりました。 今後につきましても、管内の東日本大震災からの復興支援を万全に進めるため、 営農再開や生活再建に向けた具体的なニーズに対して、相談窓口の明確化や組合 内部門間の連携を更なる強化に加えて外部専門家等の助言・サポートを受ける等 により、地域の組合員・利用者のニーズ充足や満足度向上を図るべく信用供与の -4- 円滑化の取組みを一層着実に進めることといたします。 【金融円滑化に係る基本的方針(概要)】 1 新規融資・借入条件の変更等の申込みに対する柔軟な対応 2 組合員・利用者の経営相談等、経営改善に向けた取組みへの支援と役職員の対応能力 向上 3 新規融資・借入条件変更等の相談・申込みに対する適切かつ十分な説明 4 新規融資・借入条件の変更等に関する相談・要望・苦情への公正・迅速・誠実な対応 5 中小企業者等金融円滑化への適切な対応 6 当組合の金融円滑化管理に関する体制整備 7 金融円滑化管理態勢の検証、見直しの実施 (a)東日本大震災以降これまでの取り組み 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故により、組合員・利用者 の多くが被災するとともに県内・県外に避難されました。 通帳やキャッシュカードを津波により流失した方、所持せず避難された方も多 く、震災直後、通信回線が寸断されオンライン業務が不可能な中ではありました が、当組合では臨時窓口営業やATM稼動の体制を整え、組合員・利用者の当面 の生活資金確保の相談・要望や通帳・カードの盗難・不正使用防止等に休日を含 め対応してまいりました。 地震・津波により寸断・使用不可能となっていた通信回線・オンライン業務は、 3 月下旬以降、順次復旧し、11 支店のうち、4 月 21 日には警戒区域の指定を受 けて立ち入りできない小高総合支店・福浦支店の 2 支店を除く 9 支店が通常の窓 口業務を再開しました。 その後、4 月には飯舘総合支店、飯樋出張所の 2 支店の位置する飯舘村が計画 的避難区域の指定を受け、警戒区域に該当した小高総合支店・福浦支店とあわせ たこれら 4 支店は、現在、管轄する地区住民の多くが避難する避難所に近接する 場所に臨時店舗を設置のうえ営業を行っております。 管轄地区外で臨時店舗を展開している 4 支店においては地区外及び県外の避 難者への対応として郵送等による書類のやりとりによる通帳・キャッシュカード の再発行等を行い、また、農林中金福島支店(利用者対応班)との連携を図りな がら臨時店舗まで足を運べない避難者からの払戻し等にも対応しております。 一方、通常営業が可能な店舗においては貸出金返済の猶予及び返済期間の変更 等の対応を行うとともに、当組合独自に設定した「東日本大震災対応資金(小口 資金)」の活用により生活資金の需要に対応いたしました。 -5- <緊急貯払い等対応件数(平成 23 年 8 月末までの累計)> 対応内容 緊急貯払(便宜払い) 件数 2,926 事故貯金受付登録(出金停止処理等) 631 カード・通帳再発行 311 合計 3,868 (b)現在の体制等 震災後約 10 か月を経過した現在、管内では復興に向けたステージに移りつつ あり、震災直後は当面の生活費のための対応として貯金払戻しに対する便宜的な 対応が大半でしたが、現在は将来の生活再建に向けた長期的な資金相談(住宅資 金等)、農地復旧等、復興に向けた動きが出てきています。 住宅資金等についてはJA住宅ローンの案内とともに住宅支援機構の復興住 宅融資資金の活用も積極的に行っていきます。また、農地復旧に取り組んでいる 沿岸部の農地復興組合に対してつなぎ資金対応・給与振込手数料免除等により支 援を行ってまいります。 このような状況に鑑み、当組合では被災された農業者等からの営農再開や生活 再建に向けた信用供与等の相談を受け付ける「震災相談窓口担当者」を配置し、 JA内他部門との連携・調整や外部専門家・関係機関への照会・指導依頼等を行 い、相談者が抱える個別のニーズに対して迅速・適切に解決策を提供できるよう、 体制を整備しています。 また、訪問活動や情報提供の強化を通じて、被災された農業者・利用者への支 援につなげていくとともに、受け付けた相談内容については進捗管理を適切に行 い、対応漏れ等が発生しないよう取り組んでまいります。 ア 震災相談窓口担当者の指定 新たな農業機械の購入やハウス等の農業施設復旧等の設備投資や、集団化等 の営農形態の変更に伴う経営計画の策定等、被災された農業者等からの事業資 金や生活資金等幅広い相談を受け付け、適切な支援を実施するため「震災相談 窓口担当者」を本店および全支店の窓口に配置しており、各店舗の窓口におい て明示しています。(総合支店・支店・出張所各 1 名(金融窓口担当者兼務) 、 本店金融共済部 2 名 計 13 名) 震災相談窓口担当者は、農業者等からの相談を的確に把握し、相談内容に応 じて営農担当者、融資担当者(担い手金融担当者)、担い手金融リーダー(本店) (注)等と連携のうえ、組合員・利用者が抱える個別の問題に対して迅速に解 決策を提供しています。 なお、担い手金融リーダー(本店)は、農業融資にかかる企画推進・管理を 行う担当者として本店に設置しており、支店の農業融資担当者(担い手金融担 当者)への指導・指示や、営農・経済部門との連携、担当者への研修等を行っ ています。 -6- また、担い手金融リーダーは、福島県のJAグループが農林中金福島支店に 設置しております「福島県農業金融センター」からの指導・サポートを受け、 取組みの実効性向上を図っています。 注;担い手金融リーダーとは、JAバンクとして担い手金融対応強化を図るため,全JA・信 連・農林中金(本・支店)に設置している農業融資の実務リーダーであり,JA・農林中 金間や行政・関係機関の農業担い手担当部署と連携する金融部門の窓口担当者です。 イ 訪問活動等の取組み 津波被害に加え、原発事故に伴う警戒区域・計画的避難区域指定による避難 に伴い、組合員・利用者の多くが依然として県内外に避難しておられます。 当組合では、店舗窓口に来店できない組合員・利用者への対応として、営農 指導部署や原発損害賠償補償請求担当部署と信用・共済担当部署の共同により、 避難所に出向いて原発損害賠償請求手続、共済金支払手続の説明及び各種相談 対応を行っています(新潟・群馬・南会津方面 6 避難所、延べ 18 人日、相談者 総数 138 名)。 避難されている組合員・利用者からは、①東電に対する損害賠償請求、②自 動車共済契約の加入更新、③共済掛金支払い、④警戒区域内の建物共済金の査 定・支払い、⑤通帳・カードの再発行、⑥警戒区域内の住宅ローン支払い、⑥ 流失した乗用車・軽トラック等の共済金支払い等に関する相談が寄せられ適切 に対応しています。 また、仮設住宅等に入居している被災者には高齢者が多く、仮設住宅の立地 から利便性が必ずしも良いとは言えないケースが多いことから、仮設住宅に避 難している高齢の組合員・利用者への生活支援として、平成 23 年 5 月中旬より 週 1 回の頻度で移動購買を実施し、食料品・日用雑貨品の販売活動を行ってい ます。 引き続き、他部門と連携した避難所訪問や、渉外担当者による訪問活動の強 化を図っており、避難されている組合員・利用者に配慮した取組みを進めてま いります。 ウ 避難された組合員・利用者への情報提供の強化 自宅を離れ仮設住宅や避難所に居住されている組合員・利用者支援として、 LA(共済専任渉外)40 名・MA(金融専任渉外)10 名を「利用者サポートチ ーム」として編成し、訪問活動を強化し、金融面のみならず営農・生活支援の ための各種情報提供を行ってまいります。(詳細は下表のとおり) <分野別各種情報提供内容> 分野 金融 情報提供及びサポート内容 住宅再建のための住宅ローン相談(復興住宅融資含む) 生活支援のためのJAそうま独自資金の案内 既存貸付案件の条件変更等に対する説明 -7- 分野 情報提供及びサポート内容 共済 警戒区域(原発 20 ㎞圏内)避難者への申請手続き案内 被災住宅の保障内容の見直し 未加入世帯への加入案内 営農 地域内農地の放射線数値の周知 次年度農産物作付けへの現状での情報提供 農産物損害賠償手続きの受任及び今後の対応説明 生活 仮設住宅入居者への移動購買による生活物資サポート 仮設住宅入居者への家庭薬配置促進による利用者健康管理 仮設住宅入居者への食材加入による栄養バランスサポート エ 臨時営業店舗での相談対応 警戒区域、計画的避難区域の指定により当組合管内に避難している南相馬市 小高区及び飯舘村の組合員・利用者への対応としては、警戒区域等の指定によ り閉鎖している小高総合支店、福浦支店、飯舘総合支店、飯樋出張所の臨時営 業店舗を南相馬市の鹿島区及び原町区に臨時営業店舗として開設し、各種相 談・支援を行っています。 <臨時営業店舗・総合相談JA窓口> 店舗名 住所・電話番号 南相馬市鹿島区横手字川原185番地1 小高総合支店 (鹿島総合支店施設内及び同敷地内仮設事 福浦支店 務所) TEL.0244-46-4055 FAX.0244-46-4058 南相馬市原町区北長野字北原田310 飯舘総合支店 (原町営農センター施設内) 飯樋出張所 TEL.0244-24-3636 FAX.0244-24-5105 福島市飯野町字後川3番地1 飯舘村総合相 (飯野交流館内) 談JA窓口 TEL.024-562-2120 FAX.024-562-2130 b 取扱業務 金融・共済・購買窓口 営農・損害賠償相談 金融・共済・購買窓口 営農・損害賠償相談 総合相談窓口 (支店・出張所への 取次ぎ) 農業者等に対する信用供与の実施状況を検証するための体制 当組合では、管内の復興支援を万全に進めるべく、組合員・利用者の具体的ニ ーズの充足や満足度向上を図る取組みを着実に進めていく観点から、組合員・利 用者に対する信用供与の実施状況等について、月次及び四半期毎に取組事項の検 証や情報の共有を行うこと等により、計画した実施事項の進捗管理を行います。 (a)「信用事業強化計画実績検討会」での進捗管理(月次) 当組合では、本店総務部を管理部署として、常勤役員、本店各部長・次長、 支店長の参画により、毎月「信用事業強化計画実績検討会」を開催し、各施策 及び計数実績等の進捗管理を行うとともに、取組状況に応じた改善策の検討を 行ってまいります。 -8- (b)理事会での進捗管理(四半期毎) 理事会は、四半期毎に、 「信用事業強化計画実績検討会」から信用事業強化計 画の取組状況の報告を受け、計画の進捗状況等を確認・管理するとともに、地 域の復興状況や組合員・利用者からの相談・ニーズ等に応じた信用供与の対応 状況について検証してまいります。 また、こうした検証等を通じ、計画遂行上必要と認識される施策等について、 「信用事業強化計画実績検討会」に対して、個別実施事項の改善や取組み強化 を指示してまいります。 <被災された農業者等からの信用供与等の相談受付・対応・管理体制、フロー図> 外部専門家(弁護士)・関係機関(農林中金等) 照会・指導依頼 【総合支店・支店・出張所】 相談 【本店】 報告 震災相談窓口 担当者 責任者 金融共済部 サポート 解決策 の提供 (融資等対応) 連絡・調整 理事会 (全体的な管理) (現場での管理) 連絡・調整 本店 定期報告 組合員・利用者 震災相談窓口 営農担当者 融資担当者(担い手金融担当者) 本店内他部門 支店内他部門 (3)担保または保証に過度に依存しない融資の促進その他の農業者の需要に対応し た信用供与の条件又は方法の充実のための方策 a 不動産担保又は個人保証に過度に依存しない融資の促進 東日本大震災及び原発事故以降、当組合の組合員・利用者は住宅施設等の直接 被害や放射能による健康被害を避けるため、福島県内外の応急避難所あるいは親 戚宅等への避難を余儀なくされましたが、現在は、原発事故による緊急時避難準 備区域が解除され、管内各自治体の応急仮設住宅及び福島県借上げ住宅への入居 等多くの組合員・利用者が管内へ戻ってきている状況にあります。 当組合では、福島県農業信用基金協会の保証制度(個人の場合、原則無担保・ 無保証)を活用し、平成 23 年 6 月から取扱開始となった農業近代化資金等の震 災特例融資を積極的に活用しながら、組合員・利用者の経営状況及び将来性や復 興状況を踏まえ、不動産担保又は個人保証に過度に依存しない融資を推進してま いります。 -9- そのため、当組合では、農林中金福島支店や福島県農業信用基金協会等と連携 した震災特例融資にかかる研修会を開催し、担当者の育成を図ってまいります。 なお、当組合では、平成 23 年 10 月以降、原則経営者以外の第三者連帯保証人 を求めないこととする事務手続に内容を改正し、個人保証に過度に依存しない取 組みを進めています。 <震災特例融資> 被災した農業者に対して、平成 23 年 5 月に、JA原資の農業近代化資金 や日本政策金融公庫原資の経営体育成強化資金等が最長 18 年間無利子かつ 実質担保・保証人不要で対応できる震災特例融資の枠組みが設けられました。 震災特例融資は、長期かつ低利であり、担保・保証人に依存しない資金で あることから、農業者支援につながるものと判断しており、JA原資の資金 に加え、当組合が受託する日本政策金融公庫資金についても積極的に活用し てまいります。 b 出資の機会の提供 震災・原発災害を機に農地等を集積し、大規模化・法人化を目指す動向も注目 されております。 こうした管内の営農形態の動向・変化等を引き続き把握しながら、出資受入れ による財務安定化等のニーズにも応えるべく、アグリビジネス投資育成株式会社 (注)による出資等、官民の各種ファンドの活用機会に関して、農林中金福島支 店とも連携のうえ、出資受入れを希望する者に対し、適切に紹介・提案等を行い ます。 こうした新たな信用供与の手法を追加していくことで、管内の農業経営体に対 して必要資金の供給と併せ、財務安定化のサポートを行い、管内農業の発展に取 り組んでまいります。 (注)アグリビジネス投資育成㈱とは、農業法人の発展をサポートするため、JAグループと ㈱日本政策金融公庫の出資により設立され、農林水産省の監督を受ける機関です。 (4)東日本大震災の被災者への信用供与の状況 a 被災状況等の調査 当組合におきましては、震災後の平成 23 年 7 月から 8 月にかけて、全ての農 業資金や住宅ローン等のお取引をいただいている組合員・利用者を対象に被災状 況等の聞き取り調査を行いました。 調査対象は、平成 23 年 8 月末時点で、当該先の件数は 7,533 先、貸出金等債 権残高は 295 億円となっています。 この調査における聞き取り項目は、居宅区域や職場・農地区域の状況(津波被 害、原発被害における警戒区域・計画的避難区域・緊急的避難準備区域の別)、 調査時点の避難先居住状況、営農・勤務先状況、等であり、こうした調査結果を 踏まえて、きめ細く組合員・利用者の状況等を把握しながら、円滑な信用供与に 資する方策を立案し、一層の取組み強化を図ることとしております。 - 10 - <貸出金等債権の内訳、平成 23 年 8 月末時点> (単位:百万円) 先 数 貸出金等債権 債権残高 7,533 29,550 3,702 26,636 うち農業資金 472 1,370 うち住宅ローン 690 7,547 うち貸出金 <聞き取り結果の概要:平成 23 年 8 月末時点> (単位:百万円・%) 先数・債権残高 先数 (貸出金等債権) 債権残高 構成比 先数 債権残高 (7,533) (29,550) 累計抽出先・残高 5,252 17,789 100.0 100.0 うち一時的に収入無し 1,795 4,415 34.2 24.8 うち被災地域に居住不可 1,735 4,346 33.0 24.4 (注)複数項目の回答があるため、後述の被災影響金額合計とは一致しない。貸出金 等債権には、債務保証見返、経済事業未収金等を含む。 b 貸出金の状況 調査の結果、東日本大震災による津波被害を受けた地域および原子力発電所の 事故に伴う警戒区域等を管轄する本支店の管内別の貸出金は合計で 2,523 件、 158 億円であり、これら震災等により何らかの影響を受ける可能性のある被災債 権は、当組合の貸出金総額 266 億円に対して 59%となっております。 <区域別貸出金の状況> 被害区域 (単位:件・百万円) 件数 金額 該当支店等 新地総合支店、相馬中村総合支店、 津波被害区域 205 638 警戒区域 711 3,358 計画的避難区域 640 1,936 飯舘総合支店、飯樋出張所 緊急時避難準備 区域 967 9,877 2,523 15,809 合計 中村みなみ支店、鹿島総合支店 小高総合支店、福浦支店、原町総 合支店 原町総合支店、原町西支店、鹿島 総合支店 (注)緊急時避難準備区域は、平成 23 年 9 月 30 日に指定解除 c 被災者に対する条件変更等の対応状況 組合員・利用者から返済猶予又は条件変更の申し出を受けた場合は、金融円滑 化の趣旨を踏まえて、無理な返済計画とならぬよう収入状況等を勘案し対応して おり、毎月、各支店の対応状況を本店金融共済部が確認しております。 震災発生以降、被災した組合員・利用者からの既往融資の返済猶予の申し出・ - 11 - 相談が多数あり、当組合では平成 23 年 9 月末までに 357 件の返済猶予を受け付 け、最大 6 ヶ月の返済猶予を対応しました。 これら被災者等に対しては、順次、個別の状況等確認のうえ、返済計画を相談 し、条件変更等の対応を進めています。 返済猶予を対応した 357 件のうち、平成 23 年 9 月末までに 194 件の条件変更 を対応しました。これ以外の 163 件については、条件変更審査中の 3 件を除く 160 件が正常返済となっています。 また、当組合では、私的整理ガイドラインにかかる相談受付、申請手続の支援 を行っていますが、平成 23 年 9 月末までに 18 件の相談を受け付け、4 件につい ては条件変更を対応、残る 14 件については概要についての説明・相談のみで終 了しております。 <震災以降実施した返済猶予、条件変更対応状況:平成 23 年 3 月 12 日∼9 月末> (単位:件・百万円) 対応内容 件 数 357 返済猶予申出先への対応件数 194 うち条件変更対応先 債権等残高 2,709 債権等残高 1,914 18 私的整理ガイドラインにかかる相談件数 d 備 考 被災者に対する新規融資の対応状況 震災以降、被災した組合員・利用者の営農再開・生活再建を支援するため、被 災者に対する新規融資に積極的に取り組んだ結果、平成 23 年 8 月末までに 219 先、490 百万円(うち農業融資先 14 先 55 百万円、うち住宅ローン 8 先 167 百万 円、うち東日本大震災対応資金 46 先 37 百万円)の新規融資を実行しました。 <震災以降の新規貸出実行状況:平成 23 年 4 月∼8 月末> (単位:件・百万円) 件 数 農業関連資金 金 額 14 55 8 39 8 167 東日本大震災対応資金 46 37 マイカーローン 46 80 その他生活資金 105 151 合計 219 490 うち農業経営安定資金 住宅ローン・リフォームローン - 12 - (5)東日本大震災の被災地への支援をはじめとする被災地域における復興に資する 方策 a b 復興対策組織の設立・体制整備 当組合では、平成 23 年 4 月 28 日に組合長を委員長とする「震災復興・支援対 策等委員会」(常勤役員、専門委員長で構成)及び「震災復興・支援対策本部」 (常勤役員・部長・次長・総合支店長で構成)を設立して復旧・復興に向けた体 制を整備し、平成 23 年 5 月には「東日本大震災・原発災害 復興対策(平成 23 年度修正事業計画)」 (平成 23 年 5 月 30 日理事会決定、平成 23 年 8 月 27 日総代 会で説明・承認。)を策定して方針を明確にしました。 また、この「東日本大震災・原発災害 復興対策」を進めるための専任部署と して、平成 23 年 6 月 1 日に「原発事故損害賠償・補償対策班」 (6 名専従体制) 、 平成 23 年 11 月 7 日に「災害農地除塩・除染対策班」(2 名専従体制)を新設し ました。 金融面の対策 (a)既往債務の対策 ア 負担軽減等にかかる対応 当組合では、東日本大震災の影響を受けた組合員・利用者からの既存の融資 の返済猶予を受け付けた案件については、順次、被災者等の収入状況、返済計 画に沿った条件変更等を対応してまいりました。 今後、作付不能による農業収入の減少や、農外収入の減少による既往債務の 償還が難しい農業者に対しては、個別の状況を踏まえ、償還条件の緩和等の条 件変更、日本政策金融公庫や福島県農業信用基金協会と連携した経営体育成強 化資金、農業経営負担軽減資金を提案・活用し、負担軽減を図りつつ復興・復 旧を支援してまいります。 また、住宅ローン等生活資金の利用者に対しては、一時的な収入の減少等、 個別の状況等ふまえ、条件変更等必要な対応を進めていくとともに、既往債務 の整理が必要と判断される場合には、私的整理ガイドラインの活用検討や、税 理士、弁護士等専門家と連携し、債務整理等、利用者の状況に応じた対策を実 施してまいります。 イ 二重債務問題にかかる対応 組合員・利用者の事業の復旧等に際し、二重債務問題への対応が必要と判断 される場合には、債務の負担を軽減しつつ、その再生を支援することを目的に、 福島産業復興機構や東日本大震災事業者再生支援機構の活用を検討してまい ります。 (b)新規資金需要への対応 当組合では、復旧・復興に向けた資金需要に対応するため、組合員・利用者か らの相談対応、仮設住宅等への訪問活動を通じ把握した資金ニーズに対して、県、 - 13 - 各市町村、農業信用基金協会、日本政策金融公庫、住宅金融支援機構、福島県農 業協同組合中央会、農林中金等の関係機関と連携し、低利・無利子資金等の提案、 提供してまいります。 ア 制度資金などの震災特例融資等の積極的活用 震災・津波及び原発事故の影響により組合員・利用者の農業施設に被害が発 生したほか、管内農地の 8 割、7058.5ha が作付不能となり、作付が行われた 区域でも花菜類(ブロッコリー等)、葉菜類(ほうれん草等)が平成 23 年 6 月まで放射能汚染による出荷制限が行われ、うめ、ゆず、柿、栗、キウイ、た けのこ、しいたけ(原木・菌床)、野生きのこは現在も出荷制限が続いていま す。畜産についても、警戒区域、計画的避難区域内での飼育が出来なくなり、 区域外においても肥育牛の出荷制限が平成 23 年 9 月 15 日まで続きました。こ うした実害に加え、風評被害による販売環境悪化も重なり管内の農家経済は急 速に厳しくなっています。 農業施設の復旧に必要な費用、原発事故で出荷制限又は風評被害で所得が 減少した農業者に対する運転資金に対応するため、震災特例融資および農業信 用基金協会保証付で無利子の農家経営安定資金(福島県の制度資金)を積極的 に活用し対応してまいります。 また、津波被害による農機具等買い替えに迅速かつ低利で対応するため、 JAアグリサポート利子助成事業対象のJA農機ハウスローンを提案・活用す るとともに、農地復興組合における国、地方公共団体等からの補助金振込まで のつなぎ資金として、アグリマイティー資金を提案してまいります。 イ 住宅金融支援機構の災害復興住宅融資での不足分に対する対応 震災による管内の住宅被災状況は、全壊 2,692 棟・半壊 1,716 棟ですが、地 域の復興計画では津波により被災した地域の住宅復興については高台等への 宅地を斡旋し、集団移転による新たなコミュニティーづくりが検討されていま す。 当組合では、地震・津波で被災(半壊以上)した住宅を復興するため、住宅 金融支援機構の災害復興住宅融資制度を活用するとともに、同制度を利用して も必要資金が不足する場合等は、農業信用基金協会等保証付のJA住宅ローン、 JAリフォームローンを提案してまいります。 <管内住宅被災状況> 管内世帯数(戸) 全壊棟数(世帯数) 半壊棟数(世帯数) 新地町 2,654 463 98 相馬市 13,645 1,049 643 南相馬市 23,898 1,180 975 飯舘村 1,715 0 0 計 41,912 2,692 1,716 (福島県 HP) - 14 - ウ 生活資金の対応 東日本大震災及び原発事故以降、組合員・利用者の避難状況や地域の復旧・ 復興状況等が把握できない状況ではありますが、被災者の自動車購入や教育資 金等の生活資金に対応するため、JAマイカーローンやJAリフォームローン、 平成 23 年 5 月に当組合独自に創設した東日本大震災対応資金(限度額 100 万 円。原則、無担保・無保証人)を提案してまいります。 <農業関連資金の内容> 貸付利率は平成 23 年 12 月 1 日現在 資金名 資金の内容 制度資金 日本政策金融公庫原資の資金であり、当組合が相談窓口 経営体育成強化資 および取扱金融機関として受付を行います。東日本大震災 金 を受け、最長18年間の無利子化措置が図られています。 対 象 者:認定農業者、主業農業者 資 金 使 途:施設・機械・負債整理等 貸付限度額:5 億円まで(個人は1億 5 千万円まで) 貸 付 期 間:28 年以内 貸 付 利 率:18 年間は無利子(保証料は不要) 担保保証人:原則不要(保証については、法人の場合は代 表者のみ、担保物件は融資対象物件に限る) 被災を受けた農業者の復旧・復興に向けた営農に係る負 農業経営負担軽減 債整理資金であり、当組合が取扱金融機関として相談・受 支援資金 付を行います。大震災を受け、最長 10 年間(特認の場合は 15 年間)の無利子化措置が図られています。 対 象 者:主業農業者 資 金 使 途:営農に係る負債整理 貸付限度額:所要金額の範囲内 貸 付 期 間:10 年(特認 15 年)以内 貸 付 利 率:10 年間(特認 15 年間)は無利子 担保保証人:原則不要(福島県農業信用基金協会の保証・ 保証料負担なし) - 15 - 資金名 資金の内容 東日本大震災ならびに東京電力福島第一原発事故により 農家経営安定資金 (東日本大震災農 被害を受けた農業者等の農業経営の維持安定を図るため, 業経営対策特別資 当組合が相談窓口および取扱金融機関として受付を行いま す。大震災を受け、県と JA グループ福島による利子補給(助 金) 成)措置を行い,最長10年間の無利子化措置が図られて います。 【東日本大震災農業経営対策特別資金】 (平成 23 年 12 月 1 日時点の取扱期限:平成 24 年 3 月末日) ① 東北地方太平洋沖地震対策資金(地震・津波の被害を 受けた農業者等を対象) 対 象 者:農業を営む個人・団体等 資 金 使 途:施設等の復旧、営農のための運転資金 貸付限度額:500 万円まで 貸 付 期 間:10 年以内 貸 付 利 率:無利子(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) ② 原発事故対策緊急支援資金(出荷制限・風評被害等の 影響により収入減少した農業者等を対象) 対 象 者:農業を営む個人・団体等 資 金 使 途:営農のため当面必要な運転資金 貸付限度額:1,200 万円まで(個人は 1,000 万円まで) 貸 付 期 間:10 年以内 貸 付 利 率:無利子(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) ③ 農家経済維持支援資金(警戒区域等に居住していた農 業者等を対象) 対 象 者:農業を営む個人・団体等 資 金 使 途:農家経済の維持に必要な資金 貸付限度額:200 万円まで 貸 付 期 間:5 年以内 貸 付 利 率:無利子(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) - 16 - 資金名 資金の内容 ④ 肉用牛経営緊急支援資金(肉用牛の出荷制限を受けた 農業者等を対象) 対 象 者:農業を営む個人・団体等 資 金 使 途:営農のため当面必要な運転資金 貸付限度額:1 億円まで(個人は 5,000 万円まで) 貸 付 期 間:10 年以内 貸 付 利 率:無利子(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) 農業近代化資金 平成 23 年5月から最長 18 年無利子かつ実質担保・保証 人なしで融資を受けることが出来るようになり、当組合で も取扱金融機関として受付を行っています。 本資金により津波被害により、耕作地が浸水あるいは農 機や施設等が流失する等の影響を受けている農業者の復 旧・復興に向けた需資に対応しています。 対 象 者:農業を営む個人・団体等 資 金 使 途:施設・農機具、果樹等植栽育成、 家畜購入、長期運転資金等 貸付限度額:2 億円まで(個人は 1,800 万円まで) 貸 付 期 間:20 年以内 貸 付 利 率:最長 18 年無利子 担保保証人:必要に応じて担保、保証人が必要 (福島県農業信用基金協会の保証・保証料 負担なし) JAバンクの資金 東日本大震災の影響を受けた農業者の負担軽減を図るため、JAバンク利子助成 事業(*)を活用したJA農業関係資金を相談・受付しております。 *JAバンクアグリ・エコサポート基金では、厳しい経営環境に直面している農 業者に対して、農業経営の安定化・効率化を目的に、JAバンクの3資金に対して 最大年 1.0%の利子助成を行っております。 (以下①∼③の貸付利率は利子助成前の利率) ① JA農機ハウス ローン 対 象 者:農業を営む個人・団体等 資 金 使 途:農機具、パイプハウス購入等 貸付限度額:1,000 万円まで 貸 付 期 間:10 年以内 貸 付 利 率:年 1.975%∼2.650%(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) - 17 - 資金名 ② 農業経営改善促 進資金 (新スーパーS資 金)(制度資金) 資金の内容 対 象 者:認定農業者、六次産業化法認定者 資 金 使 途:農業経営改善計画の達成に必要な短期運転資 金 貸付限度額:2,000 万円まで(個人は 500 万円まで) 貸 付 期 間:1 年以内 貸 付 利 率:年 1.5%(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) ③アグリマイティー 対 象 者:農業を営む個人・法人等 資金 資 金 使 途:農機具購入、農畜舎建設資金、農産物加工・ 流通・販売に必要な資金、地域の活性化や 振興を支援するための設備資金 等 貸付限度額:所要金額の範囲内まで 貸 付 期 間:10 年以内 貸 付 利 率:年 1.2%∼年 1.3%(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) <生活関連資金の内容> 資金名 資金の内容 制度資金 災害復興住宅融資 制度 住宅金融支援機構原資の資金であり、当組合が相談窓口 および取扱金融機関として受付を行います。 大震災を受け、平成 23 年 5 月から取扱いが開始となった 融資制度であり、主に被災者が住宅再建を行う際に、当初 5年間無利子、元金据置期間を5年(通常3年)に拡充し た被災者支援のための住宅融資制度です。 対 象 者:住宅が全壊、半壊、一部損壊された方 (り災証明書を交付されている方) 資 金 使 途:住宅の新築・購入、補修 貸付限度額:3,260 万円まで 貸 付 期 間:35 年以内 貸 付 利 率(注): 当初 5 年 年 0.00% 6 年∼10 年目 年 1.04% 11 年目以降 年 1.57% (注)建設・購入の場合で特例加算部分は除く 担保保証人:建物・敷地に第一抵当権順位の抵当権を設定 (補修は建物のみ抵当権設定)。 火災共済(保険)金請求権に質権設定。 - 18 - 資金名 資金の内容 JAバンクの資金 JA住宅ローン 災害復興住宅融資制度は、金額の上限があることや面積 要件があることから、被災者支援を目的にJA住宅ローン の要件を緩和いたしました。 具体的には、後順位での抵当権設定を可とするなどの対 応を行っており、災害復興住宅融資制度と併せ、被災者の 住宅再建支援を行ってまいります。 対 象 者:組合員の方 資 金 使 途:住宅の新築・購入(中古住宅含む)、増改築 資金等 貸付限度額:5,000 万円まで 貸 付 期 間:35 年以内 貸 付 利 率:年 1.25%∼2.04%(保証料は別途必要) 担 保:融資対象物件(土地・建物)に原則として第 一抵当権順位の抵当権を設定。 火災共済(保険)金請求権に質権設定。 保 証 人:原則不要(福島県農業信用基金協会の保証) 震災等により被災した組合員に対し、日常生活に関連す 東日本大震災対応 る資金を融通する当組合独自に設定した資金で、限度額 100 資金 (当組合独自の小 万円以内・貸付期間 5 年以内・原則として無担保・無保証、 にて対応することにより、被災組合員の生活復旧・再建を 口生活資金) 支援してまいります。 対 象 者:東日本大震災により被災された組合員及びそ の家族 資 金 使 途:生活にかかる資金 貸付限度額:100 万円まで 貸 付 期 間:5 年以内 貸 付 利 率:年 0.5% 担保保証人:不要 JAマイカーロー ン 津波被害によりマイカーが多く失われ、被災者の生活の 足は奪われました。当管内・避難生活において、日々の生 活にマイカーが必要不可欠であることから、JAマイカー ローンを取り扱っております。 対 象 者:組合員の方 資 金 使 途:自動車・オートバイ購入、点検・修理、車検、 運転免許取得、車庫建設(100 万円以内) 等 貸付限度額:500 万円まで 貸 付 期 間:7 年以内 - 19 - 資金名 資金の内容 貸 付 利 率:年 1.60%∼3.95%(保証料は別途必要) 担保保証人:不要(福島県農業信用基金協会の保証) c 地域の復興計画策定への参画 当組合は、農業者を代表する立場として、各市町村における復興連絡会議等に 委員として参画し、「復旧・復興計画」作りに積極的に関わっております。 また農業従事者の高齢化・後継者不足等に伴う耕作放棄地及び不作付地の増加、 震災・原発事故被害や農産物価格の低迷等を背景に農業収入の減少と生産意欲の 低下により管内農業生産基盤が弱体化していることから、平成 23 年 7 月に相馬 地方の農業所得の拡大と自給力向上に向け、関係機関・団体が一体となって地域 農業振興を図る事を目的に当組合が事務局となり「相馬地方農業振興連絡会議」 を設立しました。 「相馬地方農業振興連絡会議」は福島県(相双農林事務所)、管内市町村、農業 委員会、土地改良区、相馬地方農業共済組合、地域水田農業推進協議会(再生協 議会)、福島県農業協同組合中央会、認定農業者の会・集落営農連絡協議会の代 表者、そうま農業協同組合を構成員としており、今後相馬地方の農業復興・振興 に向けて関係機関との更なる連携強化を図ってまいります。 <管内市町村の復興計画策定状況> 市町村 d 計画策定時期 新地町 24 年 1 月 相馬市 24 年 3 月 南相馬市 23 年 12 月下旬 飯舘村 23 年 12 月下旬 備 考 復興構想(10 月確定)を基本に策定。 飯舘復興村民会議(12 月 6 日)提案後策定。 被災地域の復興支援にかかる取組み 当組合では、農業の復興が地域の復興に直結することを踏まえ、当組合の「東 日本大震災・原発災害 復興対策(平成 23 年度修正事業計画)」及び各市町村の 「復旧・復興計画」に基づき、次のような取組みを続けてまいります。 (a)農業生産基盤の復旧対策 被災地域においては、農業の復興が地域の復興に直結することを踏まえ、当組 合では、当組合の「東日本大震災・原発災害 復興対策(平成 23 年度修正事業計 画)」及び各市町村の「復旧・復興計画」に基づき取組みを進めます。 管内の農地については約 38%が津波により流出していることから、国の被災 農家経営再開支援事業を活用し、市町村又は集落単位に地域農業復興組合を設立 し被災農地の復旧(除草・がれき撤去作業他)にあたっています。今後も復興組 合を中心に被災農地の復旧を進めるとともに、国・県・市町村等行政機関及び各 - 20 - 種研究機関と連携し復旧農地への作付推進に取組みます。 さらに、農作業の効率化、低コスト化を進めるために農地利用集積円滑化事業 を活用して農地の面的集積を行っていきます。 また、当組合の所有する共同利用施設等についても、東日本大震災生産対策交 付金等を活用し復旧に努めてまいります。 (b)除塩・除染対策の取組み 除塩対策の具体的取組みとしては、管内 3 市町村で被災農家経営再開支援事業 を利用して地域農業復興組合を 20 組織設立し、被害を受けた農地 2,700ha の軽 微ながれき撤去や除草等除塩作業前の対策を行っております。 また、除染対策の取組みについては、平成 23 年 6 月より日本原子力学会及び 東京農業大学等支援機関の指導を受けながら、放射線測定の講習及びひまわり栽 培、代かき等による除染試験を行っているほか、農産物の放射能検査について、 放射能測定機を 2 台導入し「災害農地除塩・除染対策班」を中心に検査を実施し 農産物の安全確保を図ってまいります。 農業の復興が地域の復興に直結することから、当組合では引き続き行政、関係 機関と連携して除塩・除染対策に積極的に取り組んでまいります。 (c)東京電力に対する原発事故農畜産物損害賠償対策 当組合では、平成 23 年 6 月 1 日に「原発事故損害賠償・補償対策班」 (専従者 6 名)を設置し、「JAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策福島県 協議会」に加盟して福島県農業協同組合中央会等と連携の下、組合員からの委任 に基づく農畜産物損害賠償・補償請求の事務を実施しています。 組合員 7,767 戸から委任を受け、廃棄農産物、不耕作、風評被害による価格下 落、営業損害等を対象として、平成 23 年 12 月 6 日現在で組合員 7,767 戸(委任 を受けた全戸)からの請求分として延べ 11,601 件、8,827 百万円を請求し、3,921 百万円の仮払いを受けています。 今後は、当組合自体の営業損害も含め、東電原発事故による災害・影響が続く 限り、賠償・補償請求を継続してまいります。 (d)JA出資型農業生産法人による農作業受委託・農業経営 農業従事者の高齢化・担い手不足・遊休農地の増加等が懸念されるなか、自ら が「担い手」として農業及び関連事業を行い、地域農業の振興・基盤強化に寄与 することを目的として、平成 23 年 10 月 12 日にJA出資型農業生産法人「㈱ア グリサービスそうま」を設立いたしました。 平成 23 年 11 月 24 日現在、常勤役員 2 名、従業員 1 名、研修生 2 名の体制で、 利用権設定等により水田・畑 5.4ha を集積するとともに、契約栽培による業務用 玉ねぎの栽培(目標:2ha・120 トン)や地域農業復興組合からの災害農地復旧 作業受託(除草剤散布 388.8ha)、保有米配送業務等を実施しています。 今後も、当組合との連携を強化しながら、地域の農業者との共存・共栄を基本 に、地域農業の振興・基盤強化への貢献を図ってまいります。 - 21 - e 人材育成と活用 被災地域において農業者をはじめとする被災者等からの相談に的確に対応し、 様々なニーズに対応できる十分な金融手法や各種事業の知識をもった人材の育 成を図るため、次の取組みを行ってまいります。 平成 23 年度より、JAバンク農業金融プランナー資格制度が創設されたこと を受けて、今後、農業経営アドバイザー及び同資格取得を督励し、多様化・専門 化する農業者の金融ニーズに応えてまいります。 また、融資担当者の対応能力の向上のために協同セミナー通信研修「農業融資 コース」、 「JAバンクローン基礎コース」、 「JA住宅ローンコース」の受講を奨 励するとともに、研修結果の具現化のために協同セミナー信用事業検定「農業融 資実務」 、 「JAバンクローン基礎」 、 「JA住宅ローン実務」の受験を必須として 奨めていくとともに、農林中金福島支店が主催する、協同セミナー派遣講師によ る農業融資研修の受講を積極的に行っていきます。 FP資格者及び宅建資格者が、組合員及び地域住民の生活再建に向けて、相続・ 贈与・税務・宅地取得等の相談に対応する等、震災前の生活復帰に向けて大きな役 割を果たしてまいります。 <資格取得状況> 資 格 取得者数 金融法務相談員 27 名 税務相談員 20 名 年金アドバイザー 16 名 FP 2名 宅地建物取引主任者 5名 <推奨している主な研修・検定> 集合研修 ・農業融資審査研修 ・住宅ローン提案型営業研修 ・税務基礎研修(相続・贈与) ・マネーアドバイザー養成研修 検定試験 他 ・JAバンクローン基礎 ・JA住宅ローン実務 ・農業融資実務 ・JAバンク信用事業管理者 他 (6)その他当組合が主として事業を行っている地域における経済の活性化に資する 方策 震災後の平成 23 年 7 月から 8 月にかけて、組合員・利用者を対象に実施した被 災状況等の聞き取り調査では、全体の 93.4%が地区内での営農継続を希望する結 果となっており、今後は、農業復興による地域経済の活性化に向けて、以下の方 策を実施してまいります。 - 22 - a 創業又は新事業の開拓に対する支援にかかる機能の強化のための方策 (a)新規就農に対する支援 当組合の事業区域は、前述の通り本県の浜通り北部に位置しており、太平洋沿 岸部から平坦部、阿武隈山間部までバラエティに富んだ地勢の中で農業の振興が 図られてまいりました。海岸沿いの平坦部は水稲を基幹作物としながら、ブロッ コリー・ニラ・なし等、阿武隈山間部については肉牛のブランド化等畜産振興が 図られており、当組合管内の総農家数は 7,325 世帯と管内総世帯数の約2割を占 めるとともに、農業算出額も管内全体で約 255 億円(2010 農業センサス)と地 域にとって重要な産業となっています。 当組合では、東日本大震災による被害を乗り越え、地域農業の活性化を図って いくうえでは、新規就農の誘致及び定着の支援していくことが必要との認識から、 県・市町村と連携した就農相談会において情報提供を行います。また㈱アグリサ ービスそうまと連携し農業技術研修の場を提供するとともに、信用部門と連携し 初期投資・運転資金等のニーズに対応してまいります。 (b)六次産業化に対する支援 農産物等の価値を高め、又は新たな価値を生み出すことを目指していくうえで、 農業者による事業の多角化・高度化、新たな事業の創出等を行っていく六次産業 化の取組みは、被災地域の復興促進の観点から、有意なものと考えられます。 当組合では震災前は地元農産物(大豆、米、南瓜、加工トマト)を原料に、納 豆、味噌、焼酎、米粉うどん、トマトジュース等六次産業化の取組みを進めてま いりました。今回の震災・津波により納豆の加工施設が壊滅したほか、米、南瓜、 加工トマトの作付についても原発事故による放射能汚染により制限が加えられ ております。 今後は、加工施設の復旧及び農地除染作業の進行状況を見極めながら六次産業 化の取組みを進めてまいります。 b 経営に関する相談その他の利用者に対する支援にかかる機能の強化のための 方策 農業経営の健全化を図るために、各営農センターの担当者の資質向上のための 記帳講習会や組合員を対象とした「農業税務研修会」を年 1∼2 回開催するとと もに、JA情報マネジメントを活用した決算書の作成支援、派遣税理士による税 務申告支援を各営農センター単位に開催し、相談機能を提供しております。 今後は、除染・農地復旧の進行による作付再開に向け、市町村と連携し作付品 目の選定、農地の集積、農業機械・施設の導入等に関する相談機能を強化してま いります。 c 早期の事業再生・生活再建に資する方策 農業者の事業再生・生活再建に向けて、営農部門による農業者向け営農指導や コンサルティング等の経営面の対策として、県・市町村等と連携し、被災農地・ 排水設備等の復旧支援にあたるとともに、農地の復旧計画と併せて、営農再開に - 23 - 向けた作付計画を作成します。 これと併せて、認定農業者や集落営農の担い手に対して営農に関する意向調査 を行い、作付品目の選定や農業機械・施設の導入等経営相談対応を行い、資金需 要等に応じた必要な金融面の対策を行ってまいります。 d 事業の承継に対する支援にかかる機能の強化のための方策 営農部門と信用事業部門が連携し、担い手農家を訪問し相談対応を行うととも に、経営・税務等に関する事業承継の研修会・相談会を開催しております。今後 とも、人材の育成に努め相談機能の強化を図ってまいります。また当組合で解決 できない相談・課題等に適切に対応するために、社労士・税理士等外部専門家と 連携し事業の承継に対する支援を行ってまいります。 e 地域や組合員・利用者への積極的な情報発信 当組合は、経営状況等について、ディスクロージャー誌等により適切に開示す るとともに、当組合の地域に対する取組み状況(東日本大震災に伴う各種対応・ 営業状況、各事業所の環境放射線モニタリング結果等)についてもホームページ や広報誌「ひろば」等を通じて継続的に情報発信しております。 今後も、組合員・利用者からの信頼を高めるため、農業をはじめとする地域経 済復興への支援策等も含めて、これらの取組みを継続してまいります。 - 24 - すため、なお一層の努力が必要であると認識しております。 具体的には、高い健全性に支えられた強固な財務基盤を背景に安定的かつ円滑 な資金供給を続けることであり、一方では、地域経済の一日も早い復旧・復興と 活性化に向けて、今回の信用事業強化計画を着実に実践し、金融支援を含めた復 興支援策に全力で取り組むことであります。 このため、現在把握できている 15,809 百万円の被災債権について、現時点で の保全状況をふまえ、潜在的なリスクが将来的に顕在化したとしても、十分な自 己資本を確保できるようにするとの考え方に基づき、9,900 百万円の優先出資の 発行を行い、支援協会に引受けを要請するものです。 平成 24 年 2 月期の決算では、今般の資本増強により、同期の純資産は 146 億 円程度まで増加する見込みであり、東日本大震災からの復興需要に十分耐えうる 強固な財務基盤を備えることができるものと考えております。 なお、当組合は原発事故により多大な「営業損害」を被っていることから、東 京電力に対する損害賠償金の請求に取り組んでまいります。しかしながら、損害 賠償金の受取り見通しは極めて不透明であるため、資本注入必要額の算定にあた っては、東京電力からの損害賠償金の受け取りを見込んでおりません。 b 6 当該自己資本の活用方針 今回の資本増強により、経営の安定確保が図られることから、当組合管内の地 域経済の復興と、金融仲介機能の発揮による農業者・利用者に対する信用供与の 維持・拡大、各種サービスの向上等、震災からの復興に向けた諸施策に持続的に 取り組んでまいります。 剰余金の処分の方針 当組合は、農業協同組合として、組合員から出資を受け入れ、生じた剰余金につ きましては、農業協同組合法等の定めるところにより内部留保として蓄積しており ます。 今回、支援協会を引受先とする優先出資の発行を行うこととしておりますが、優 先出資に対する配当は、法令上配当の順位が普通出資よりも優先されることになり ます。 今回の資本注入により、当組合の資本は増強され、地域農業・経済の活性化への 一層の貢献を行うことができるものと認識しております。こうした地域の復興を通 じ、当組合の収益の改善を図り、確保した収益をもとに安定的な配当や内部留保の 蓄積を図ることを基本といたします。 ただし、計画期間当初におきましては、震災復興に伴う経費の増加や信用コスト の上昇等が見込まれることから、平成 24 年 2 月期決算におきましては、配当可能 利益の確保が困難と見込まれ、無配となる見込みです。 - 26 - 7 財務内容の健全性及び事業の健全かつ適切な運営の確保のための方策 (1)経営管理体制 当組合は、農業者により組織された協同組合であり、正組合員の代表者で構成 される総代会の決定事項を踏まえ、総代会において選任された理事により構成さ れる理事会が業務執行を行っています。また、総代会で選任された監事が理事会 の決定や理事の業務執行全般の監査を行っています。 信用事業については、専任担当の理事を置くとともに、農業協同組合法第 30 条に規定する常勤監事及び員外監事を設置し、ガバナンスの強化を図っています。 今後におきましても、業務の健全かつ適切な運営の確保に努めてまいります。 (2)業務執行に対する監査又は監督の体制 当組合では、内部監査部門を被監査部門から独立して設置し、経営全般にわた る管理及び各部門の業務の遂行状況を内部管理態勢の適切性と有効性の観点か ら検証・評価し、改善事項の勧告等を通じて業務運営の適切性の維持・改善に努 めています。 内部監査は、JAの本店・支店の全てを対象とし、中期及び年度の内部監査計 画に基づき実施しています。 監査結果は、代表理事組合長、代表理事専務及び監事に報告したのち被監査部 門に通知され、定期的に被監査部門の改善取り組み状況をフォローアップしてい ます。 また、監査結果の概要を四半期毎に理事会に報告することとしていますが、特 に重要な事項については、ただちに理事会、代表理事組合長、代表理事専務及び 監事に報告し、すみやかに適切な措置を講じています。 (3)地域特性・事業基盤にあった収支構造に向けた取組み 当組合では、場所別・部門別の経営分析を実施しており、収支構造や課題等 を把握し、事業利益等を重視した経営管理を実施しております。 東日本大震災・原発事故による事業基盤の変化を受けて、場所別・部門別損益 管理に引き続き取り組み、地域の復興状況等を踏まえ、部門毎の業務改善や、必 要に応じ金融店舗の再配置等を検討してまいります。 (4)与信リスクの管理(不良債権の適切な管理を含む。)及び市場リスクの管理を 含む各種のリスクの管理状況ならびにこれらに対する今後の方針 a リスク管理体制 組合員・利用者の皆様に安心して当組合をご利用いただくためには、より健全 性の高い経営を確保し、信頼性を高めていくことが重要と認識しております。 このため、有効な内部管理態勢を構築し、直面する様々なリスクに適切に対応 すべくリスク管理体制を整備し、認識すべきリスクの種類や管理体制と仕組み等、 - 27 - リスク管理の基本的な体系を整備しています。 また、これらに基づき、収益とリスクの適切な管理、適切な資産自己査定の実 施等を通じてリスク管理体制の充実・強化に努めています。 今後におきましても、上記管理体制による適切なリスク管理に努めてまいりま す。 b 信用リスク管理 (a)信用リスク管理態勢の現状 当組合は、個別の重要案件または大口案件については理事会において対応方針 を決定しています。 また、通常の貸出取引については、本店金融共済部に審査管理課を設置し、各 支店と連携を図りながら与信審査を行っています。審査にあたっては、取引先の キャッシュ・フロー等により償還能力の評価を行うとともに、担保評価基準等体 系的な規程・手続きを整備し、与信判定を行っています。 貸出取引において資産の健全性の維持・向上を図るため、資産の自己査定を適 正に行っています。 不良債権については個別の管理方針を作成・実践し、資産の健全化に取り組ん でいます。また、資産自己査定の結果、貸倒引当金については「債権の償却・引 当基準」に基づき必要額を計上し、資産及び財務の健全化に努めています。 (b)今後の方針(不良債権の適切な管理を含む) 平成 23 年 2 月期決算では、東日本大震災の発生前であったことから、震災に 伴う損失については計上しておりません。 平成 24 年 2 月期決算においては、震災後に進めてきた融資取引先の実態把握 や担保物件の確認作業の結果を基に、適切な資産自己査定を行い、震災関連の貸 倒引当金を計上する予定です。 また、震災の影響が中長期に及ぶことが懸念されることから、当組合は、営農・ 経済部門や信用事業部門等の関係部署が連携して、組合員・利用者への訪問・面 談等を徹底し、状況把握に継続的に取組み、早期の情報収集に取り組んでまいり ます。 その状況を適切に踏まえたうえで、リスク管理部門が当組合全体の信用リスク 状況等を適切に把握・分析するとともに、被災者に対する相談機能を適切に発揮 し、被災状況や生活再建状況に応じた適切な金融サポート策を提供することで、 不良債権の抑制・信用リスクの低減等に取り組んでまいります。 なお、今後は、「被災債権の管理方針」を制定し、金融円滑化を念頭に置いた 債権の管理に努めてまいります。 また、理事会は、被災者への信用供与の状況や信用リスクに関する報告を毎月 かつ必要に応じて随時に受け、必要な改善策等を指示する等、適切にリスクを把 握・管理してまいります。 - 28 - c 市場リスク管理 (a)市場リスク管理態勢の現状 当組合では、「JAバンク基本方針」に基づき、経営体制・リスク管理能力・ 財務体力を超えた資金運用を防止することを基本とし、余裕金の 3 分の 2 以上を 農林中金に預け入れしております。この預け金以外の資金運用については、金利 リスク、価格変動リスク等の市場性リスクを的確にコントロールすることにより、 収益化および財務の安定化を図っています。 このため、財務の健全性維持と収益力強化とのバランスを重視したALM(資 産・負債管理)を基本に、資産・負債の金利感応度分析等を実施し、金融情勢の 変化に機敏に対応できる柔軟な財務構造の構築に努めています。 とりわけ、有価証券運用については、市場動向や経済見通し等の投資環境分析 および当組合の保有有価証券ポートフォリオの状況やALM等を考慮し、経営層 で構成するALM委員会を定期的に開催して、運用方針及びリスク管理方針を協 議したのち、理事会において決定しています。 運用部門は、理事会で決定した運用方針等に基づき、有価証券の売買やリスク ヘッジ(損失等の危機回避)を行っています。 運用部門が行った取引については、リスク管理部門が適切な執行を行っている かどうかチェックし、定期的にリスク量の測定を行い経営層に報告しています。 (b)今後の方針 当組合は、今後も上記の管理態勢に基づく適切なリスク管理に取り組むととも に、市場動向の変化や当組合ポートフォリオ動向等に応じて管理態勢の改善を図 る等、市場リスク管理態勢を引き続き徹底してまいります。 d 流動性リスク管理 (a)流動性リスク管理態勢の現状 当組合では、前述のとおり、余裕金の 3 分の 2 以上を農林中金に預け入れして おり、全体として高い流動性を確保しております。そのうえで、運用調達につい て月次の資金計画を作成し、安定的な流動性の確保に努めています。 また、預け金以外の資金運用にかかる市場流動性リスクについては、投資判断 を行ううえでの重要な要素と位置づけ、商品ごとに異なる流動性(換金性)を把 握したうえで、運用方針等の策定の際に検討を行っています。 (b)今後の方針 当組合は、今後も上記の管理態勢に基づく適切なリスク管理に取り組むととも に、必要に応じて管理態勢の改善を図る等、リスク管理態勢を引き続き徹底して まいります。 - 29 - e オペレーショナル・リスク管理 (a)オペレーショナル・リスク管理態勢の現状 当組合では、収益発生を意図し能動的な要因により発生する信用リスクや市場 リスク及び流動性リスク以外のリスクで、受動的に発生する事務・システム・法 務等について、事務手続にかかる各種規程を決め、その有効性について内部監査 や監事監査の対象とするとともに、事故・事務ミスが発生した場合はすみやかに 状況を把握して報告する体制を整備して、リスク発生後の対応及び改善が迅速・ 正確に反映できるよう努めています。 このうち、事務リスクについては、業務の多様化や事務量の増加に対応して正 確な事務処理を行うため、事務マニュアルを整備するとともに自主検査・自店検 査を実施し、事務リスクの削減に努めています。なお、事故・事務ミスが発生し た場合には、発生状況を把握し改善を図るとともに、内部監査により重点的なチ ェックを行い、再発防止策を実施しています。 また、システムリスクについては、コンピュータシステムの安定稼動のため、 安全かつ円滑な運用に努めるとともに、システムの万一の災害・障害等に備え、 システムリスク管理についてのマニュアルを策定しています。 (b)今後の方針 当組合は、今後も上記の管理態勢に基づく適切なリスク管理に取り組むととも に、必要に応じて管理態勢の改善を図る等、リスク管理態勢を引き続き徹底して まいります。 以 - 30 - 上 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強 化に関する法律施行規則附則第3条第2号に掲げる書類 ○ 最終の貸借対照表等及び剰余金処分計算書等、当該貸借対照表等の作成の日に おける自己資本比率を記載した書面、最近の日計表その他の最近における業務、 財産及び損益の状況を知ることができる書類 剰余金処分計算書 剰余金処分計算書(平成 22 年度) (単位:円) 1.当期未処分剰余金 87,279,950 2.次期繰越剰余金 87,279,950