...

ダイジェスト版

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

ダイジェスト版
平成 20 年度
愛媛県松山市地域における環境的に持続可能な交通(EST)普及推進地域モデル事業
Ⅰ.事業概要
1.事業の目的
EST(Environmentally Sustainable Transport:環境的に持続可能な交通)は、長期的
視野に立って交通・環境政策を策定・実施する取組みで、運輸部門が地球・地域環境に及ぼ
す負荷の削減、とりわけ脱温暖化社会を目指した温室効果ガスの長期的・継続的な排出削減
を目指すものであり、短期的には、京都議定書遵守のために政府が掲げる 2010 年度の温室
効果ガス削減目標の達成をも目指している。
愛媛県松山市地域では、ESTモデル事業として、郊外の鉄道駅前でのバス乗り場・路線
新設など、交通結節点の機能強化、ハイグレードバス停の整備といったハード整備とともに、
公共交通の利用促進のためのテレビCM、小学生への環境教育、IT技術を活用したトラベ
ルフィードバックプログラム(TFP(注1))といったソフト施策を一体的に実施している。
特に、市民モニターを対象とした平成 19 年度のTFPでは、自動車での移動時間が約 10%
減少する一方、自転車、公共交通での移動時間がそれぞれ 6.5%、1.5%増加し、CO2 排出
量は1人1日当たり 4.56 ㎏から 3.44 ㎏へと約 25%のCO2 削減と、非常に良い結果を得て
いる。(注2)
また、下記のグラフからも分かるように、松山市は他の都市と比較しても自転車の利用比
率が高い都市である。
本事業は、従来の取組みの実効性をより強化するため、自動車に過度に依存しない、環境
に優しいライフスタイルとして、自転車ライフの楽しさを提供するワークショップや、環境
にどれくらい貢献しているかといった情報の提供を軸としたTFPなどを通してEST普
及事業を展開することにより、個々人の交通手段の公共交通や自転車利用への転換を促すこ
とを目的として実施した。
■利用交通手段構成比(就業者、通学者)
注)複数回答
資料:平成 12 年国勢調査
なお、当法人では、企業の自社職員に対する公共交通・自転車利用の推進といったビジネ
ススタイルの変容や、地域の自然環境・観光資源を活かし、公共交通・自転車を利用したエ
コツーリズムの導入による地域経済の活性化についても中長期的に推進し、欧州に匹敵する
ような自転車文化を松山市に根づかせたいと考えている。
(注1)TFP(Travel Feedback Program)とは、個人に交通行動の変容を促すモビリティ・
マネジメントの技術のうち「行動プラン法」、
「フィードバック法」を組み合わせ
たもので、参加者一人一人の外出行動を記録して、その結果を診断する、行動変
化を促すプログラム。
(注2)出典:平成 19 年度公共交通利用転換モデル調査(松山市)より
2.事業の概要
本事業では、以下のように、2つのプログラムを柱とする事業を実施した。
①自転車のある暮らしを提案するワークショップ
②TFP
(1)事業フロー
①ワークショップ
②TFP
〈10 月〉
〈10 月〉
ワークショップモニターの募集・選定(87人)
TFPモニターの募集・選定(20人)
自転車のある暮らし提案★自転車で行こう
〈10 月 21 日~10 月 27 日の1週間〉
日常交通行動の調査
・GPS・WEBを用いた調査
<11月1日>
・趣旨説明
・外部講師による講演
・自転車の利用促進について
・TFPの紹介
・フィールドワーク(サイクリング)について
・アンケート
CO2排出量等結果の整理・
移動手段の改善策(エコプラン)の提示
<11月2・3日>
・フィールドワーク(サイクリング)
・アンケート 等
〈11 月 4 日~11 月 10 日の1週間〉
環境を意識した交通行動の調査
・GPS・WEBを用いた調査
フォローアッププログラム
アンケート調査集計
効果の検証、自転車等利用促進策の検討・とりまとめ
(2)事業実施体制
本事業の実施体制は、次のとおりとした。
① 事業運営会議の設置
本事業をより効果的なものにするために、事業に関わる以下の組織の担当者が集まり、
事業の進捗確認や情報の共有、さまざまな課題解決に向けての協力を実施するための機
関として「事業運営会議」を設置し、構成する各団体の呼び掛けにより、随時、会議を
開催した。
(構成団体)
・ 特定非営利活動法人まちづくり支援えひめ
・ 復建調査設計株式会社
・ 松山市役所都市整備部総合交通課
② 総合ディレクター
企画・立案・制作等の業務全般について責任を持つ、また、各団体との連絡・調整の
要となる者として、前田眞(特定非営利活動法人まちづくり支援えひめ代表)を総合デ
ィレクターとした。
③ プログラムリーダー
本事業の柱である 2 つのプログラム「トラベルフィードバックプログラムモニターの
実施」と「ワークシッョプの開催」の制作進行について、次の者をプログラムリーダー
とした。
A)トラベルフィードバックプログラムモニターの実施
石飛
直彦(復建調査設計株式会社総合計画部松山計画課長)
B)ワークシッョプの開催
稲田
里香(特定非営利活動法人まちづくり支援えひめ理事)
(3)事業内容
①トラベルフィードバックプログラムの実施
GPS機能付き携帯電話を活用して、モニター(参加者)の交通行動データを記録し、
当該データから算定されるCO2 排出量(削減量)、移動手段の改善案(エコプラン)等の
交通診断結果をWEBサイト上で提供することで、交通行動の見直しを図ってもらう、
IT技術を活用したプロープ型(注)のトラベルフィードバックプログラム(TFP)を
実施した。
A)参加対象者
「TFP」のモニター選定条件は以下3つの条件を満たす方とした。
・松山市内在住の普通免許以上を所有する 18 歳以上の方
・普段、自家用車を利用する機会が多い方
・インターネットの利用が可能な環境にある方
B)参加者数
20 名(ワークショップ参加者の中から選定)
C)実施概要
専用のアプリケーションをダウンロードしたGPS携帯電話を貸与し、日常(従前)
の交通行動と交通診断結果の検討やワークショップへの参加を経て、環境を意識した
時の交通行動を各 1 週間調査し、CO2 排出量、車の利用時間などの比較を行う。
データは随時、WEBサイトでの閲覧が可能であるが、それぞれの調査期間の前後
にはモニター参加者を対象に説明会、報告会を開催し調査の分析・評価結果を共有化
することで、環境負荷を考慮したライフスタイルへの変換を促進する。
(注) プロープ型とは、電子測定器で、測定する場所を探査する方法。今回は GPS
機能付き携帯電話を活用して実施した。
② 自転車のある暮らしを提案するワークショップの開催
現在、通勤や買い物、レジャーといった日常生活の足として自家用車を利用している
市民を対象に、自転車、特に軽量で快適に移動できるスポーツタイプの自転車を上手に
取り入れることによって得ることのできる新しい暮らし方を、ワークショップを通して
提案した。
ワークショップでは、スポーツタイプの自転車の中でも、一般の方が乗りやすいクロ
スバイクの紹介など、自転車に関わる様々な情報提供や、実際にスポーツ自転車でのサ
イクリングを実施し、自転車がエコな乗り物であるということはもちろん、自転車の持
つ快適性や先進性、経済性をアピールし、実生活においても自転車への移行が促進され
るよう魅力的な内容とした。
A)参加対象者
・松山市内在住の普通免許以上を所有する 18 歳以上の方
・普段、自家用車を利用する機会が多い方
B)参加者数
・講演会
87 名
・サイクリング
49 名
C)実施概要
講演会を1日、サイクリングを1日、計2日がセットとなったワークショップ形式
で運営した。講演会では、自転車通勤による様々な効果を広く普及している業界第一人
者の疋田智氏(自転車ツーキニスト)を招聘し、自転車の効用を講演頂くと共に、地元
松山市周辺を活動エリアとしているサイクリストや自転車販売店とも協働して、自転車
にまつわる様々な情報提供を行った。
講師: 疋田智(ひきた・さとし)氏プロフィール
1966 年宮崎県生まれ。東京大学文学部卒。毎日往復 24km の通勤に自転車を使う“自
転車ツーキニスト”。芝浦自転車研究所主任研究員、NPO 法人自転車活用推進研究会理
事、学習院大学生涯学習センター非常勤講師。TBS 報道局勤務。
「環境、健康、そして都市再生のために自転車の有効活用を」をモットーに執筆活
動を展開。近著は『疋田智のロードバイクで歴史旅』(枻出版社、2008)。
■ワークショップの概要
概
要
■自転車ってこんなにイケテル!!
(1日目)
11月1日(土)
13:30~16:30
自転車ツーキニスト・疋田智氏講演会
「エコ&健康&財布に優しい!ヒキタの自転車入門講座」
・自転車とエコ・健康
・欧州の自転車文化
・自転車の最新事情(最新モデル・乗り方とタイプ)
■トラベルフィードバックプログラムの紹介
復建調査設計㈱
石飛
直彦氏
■交通規制と自転車の乗り方
松山東警察署
有光
茂氏
■最新モデルの自転車展示
■参加者、サイクリスト、自転車販売店による意見交換
■サイクリングコースの説明及び集合時間・場所等の告知
■アンケート記入
(2日目)
11月2日(日)
午前(8:30~
11:30)
午後(13:00~
16:00)
11月3日(月)
午後
3班に分かれ
て実施
■自転車ってこんなにオモシロイ!!
松山市内をサイクリング
内容:サイクリング(市街地約9km)
グループワーキング
アンケート記入
③ ブログの開設
事業PR(参加者募集)
、また、今回の事業で集まったメンバーの事業終了以降のネ
ットワークの構築を目的にブログを開設した。自転車に関する内容はもちろんのこと、
ESTという幅の中で、暮らしや自然に関する情報を寄せてもらい、今後のEST事業
の普及・発展につなげるものとする。
■ブログコンテンツリスト
ページ名
内
容
イベントインフォメーション
TFPモニター・参加申込の受付
(参加者募集)
ワークショップ・参加申込の受付
コラム
エコ、自転車、公共交通、暮らし、
健康などをテーマとしたコラム
ワード解説
EST・ESTモデル事業・オムニバスタウン計画
TFP
リンク集
ESTポータルサイト
自転車通勤で行こう(講師:疋田智氏サイト)
しまなみスローサイクリング協議会
環境省中国四国地方環境事務所
当方人への問い合わせ
電子メール入力フォーム
H20 松山市EST
ソフト施策の取り組み (ワークショップ
ワークショップ)
)
自転車ワークショップ
【 自転車ワークショップ開催状況 】
10/1(水)~10/24(金)
参加者募集
・ポスター、ラジオ、新聞、地域情報誌など
で参加者を募集
11/1(土)
講演会
(参加者:83名)
疋田智氏による講演
「自転車の通行ルール」の講演
サイクリング状況
サイクリング後の意見交換
・「自転車ツーキニスト」疋田智氏の講演
・「自転車の通行ルール」の講演(松山東警察署)
「自転車
講演
東警察
・最新モデルの自転車展示 など
11/2(日) 11/3(月)
市内をサイクリング
(参加者:50名)
・松山市内の約10kmをサイクリング
・クロスバイクなどの最新自転車を貸し出し
11/16(日)
フォローアップ
(参加者:20名)
・講演会やサイクリングの感想や自転車の
利用促進方法などについて意見交換
フォローアップ
47
H20 松山市EST
ソフト施策の取り組み (ワークショップ
ワークショップ)
)
(9) 自転車ワークショップ
自転車に対するイメージ
ワークショップ前(N=234)
50
46
40
ワークショップ後(N=183)
44
プラスイメージが増加
38
マイナスイメージが減少
マイナスイメ
ジが減少
35
30
24
20
15
10
その他
季節の変化を感じ
じれる
便利で
である
快適で
である
渋滞
滞に左右され
れない
楽しい
楽
ファッシ
ショナブルで
である
経済的で
である
エコな暮
暮らしにつな
ながる
健康づくりに
健
になる
である
高価で
駐輪が大変
危険
時間がか
かかる
天気に影響さ
される
しん
んどい
0
48
Fly UP